JP2002523246A - パイプの製造方法 - Google Patents

パイプの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属加工法による基層と被覆層との接合状態を、押出し加工の前に非破壊検査により確認する。 【解決手段】パイプの製造方法は、基層材料の中空体を形成する工程(S10)と、被覆材料を金属加工法により基層材料に接合して複合体を形成する工程(S12)と、次にこの複合体を押出し加工してパイプを形成する工程とを含む。 【効果】未接合部分はすべて検出されるため、無駄を減らすことができる。さらに、基層と被覆層との金属加工法による接合が、押出し加工の前に行なわれるので、押出し加工工程において被覆層の厚さが調節でき、その結果、不均衡に多量の被覆材料が基層材料内へ移入することを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 この発明は、パイプの製造方法に関し、特に耐腐食性および/または耐浸食性
材料からなる内側層を有する、押出し加工したパイプの製造方法に関するが、こ
れに限定されるものではない。
【0002】 目的とするパイプと同じ体積の管状金属ビレットを形成し、このビレットを適
切な寸法の環状ダイスに押出してパイプを製造する方法が知られている。この技
術は、内面に被覆層を有するパイプの製造にも使用できる。このようなパイプは
、パイプの内面を腐食および/または浸食から守るための低価格の解決策として
広く用いられている。パイプの基層の材料は、比較的低価格の材料(典型的には
炭素鋼)から製造でき、また、内側層または被覆層の材料は、使用条件を考慮し
て選択でき、例えば耐腐食性または耐浸食性材料であってもよい。被覆層の材料
は、通常、基層の材料に比べてかなり高価であるが、一層のみの被覆層を設ける
ことにより、価格を大幅に下げることができる。
【0003】 このような被覆パイプは、一般に、耐腐食性の被覆材料からなる管を管状ビレ
ット(典型的には炭素鋼製)内に挿入し、得られた複合ビレットを従来の方法で押
出し加工することにより製造される。得られたパイプの内面には被覆層が形成さ
れており、押出し加工時にビレットに変化が起こり、被覆層材料と基層材料とが
金属加工により互いに接合されている。この公知技術は非常に有用であるが、接
合状態が不均一であることが知られており、このために生じる完成品の無駄が大
きい。さらに、この方法を用いると、被覆層の厚さの調節が困難であることがわ
かっている。それは、不均衡に多量の被覆層材料が基層材料内へ移入し、その結
果、基層材料が薄くなってデザイン能力を失うからである。
【0004】 この発明の目的は、先行技術が有する困難な問題を克服または軽減できる、被
覆パイプの製造方法を提供することである。 この発明によれば、被覆パイプの製造方法は、基層材料からなる中空体を形成す
る工程と、その基層材料に金属加工法により被覆層材料を接合して複合体を形成
する工程と、その後に複合体を押出し加工してパイプを形成する工程とを含む。 好ましくは、基層材料上に溶接ライニングを溶接することで、被覆層が金属加工
法により基層材料に接合される。このような溶接ライニングの適切な溶接方法の
一つは、スコットランド、ファイフ、グレンロシーズのフォース ツール アン
ド バルブ リミテッド(Forth Tool & Valve Limited of Glenrothes, Fife,
Scotland)のプロクラッド(PROCLAD)(登録商標)法の使用である。
【0005】 金属加工法により被覆層を基層材料に接合すると、押出し加工の前に接合状態
が完全かどうかを確認できる。このようにして押出し加工されたパイプ製品は、
従来技術の方法で製造されたパイプに比べて接合欠陥が少ないことも判明してい
る。さらに、この完成品は、被覆層の希釈特性が低く、その結果、浸食、腐食などに
対抗する良好な特性を被覆層に提供する。 被覆層、例えば溶接ライニングを、押出し加工する前に機械切削するのが望ま
しい。また、被覆層と基層材料との金属加工法による接合状態を、押出し加工の
前に(たとえばX線検査や超音波検査で)確認してもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照してこの発明の一実施形態を説明するが、これはあくまで
も一例である。 図面は、この発明によるパイプの製造方法の一実施形態を示すフローチャート
である。ステップ10(以後「ステップ」を略して「S」で表わす。)において、
適切な基層材料、例えば炭素、低合金またはステンレス鋼からなる管状ビレット
を、例えばマネスマン・ピルガー(Mannesmann Pilger)法により形成する。典型
的なビレットの寸法は、長さが200mmから1500mm、外径が100mm
から1500mm、そして内径が30mmから600mmである。S12におい
て、一層の被覆材料を管状ビレットの内面に金属加工法により接合する。被覆材
料は、溶接ライニングとして、ビレットの円筒状内面に溶接されるのが望ましい
。被覆の深さは、典型的には6mmから100mmである。
【0007】 適切な溶接ライニングの溶接方法の一つは、前記スコットランド、ファイフの
フォース ツール アンド バルブ リミテッドのプロクラッド(PROCRAD)
(登録商標)システムである。被覆材料と溶接条件は、パイプ完成品の使用者の
要求によって変わる。典型的に、被覆層は、熱間ワイヤ溶接法により溶接された
インコネル(Inconel)624(商標)またはインコロイ(Incoloy)825(商
標)があげられる。しかしながら、ヘイスタロイ(Hastalloy)C22、300
シリーズスレンレス鋼、モネル、コバルトを主成分とする合金、 アルミニウム青銅などの他の被覆材料を、熱間および冷間ワイヤGTAW(ガス
タングステンアーク溶接)、二重ガスGTAW、プラズマ移行アーク溶接、粉末
溶接または熱間および冷間ワイヤ溶接により溶接してもよい。
【0008】 次に、S14において、正確な厚さの被覆材料層を形成するために、溶接された
層を機械切削する。典型的な厚さは、例えば6mmから100mmである。次に
S16において、被覆層と基層との間に接合欠陥がないかどうか、(例えば、X線
検査、超音波検査、染料浸透検査またはエコメータによる検査で)複合ビレットを
検査し、もしこの複合ビレットに問題がなければ、S18において押出し加工し、
パイプを形成する。この接合欠陥検査は、機械切削の前にしてもよく、または機
械切削の前と後との両方に行なってもよい。
【0009】 S19においては、任意により、押出し加工したシェルをさらに冷間加工によ
り寸法を小さくして特定の寸法にし、壁厚の公差を調節してもよい。 S20においては、上記の押出し加工(および、実施するならば冷間縮小)の
後に、基部パイプの機械的特性を確立するために加熱処理してもよく、それによ
って基部パイプは典型的には205N/mm2から1030N/mm2の降伏強度
を有する。S22において、前記加熱処理の後に、パイプの最終検査を行なう。
この最終検査は、たとえばX線写真検査、超音波検査、渦電流検査および液体浸透
検査のうちの1つ以上を含んでよい。
【0010】 S10からS22までのステップは、個別に考えると、当該技術の熟練者には公
知の工程であるので、これ以上の詳しい説明は省く。 得られたパイプは、外側の基層と、この基層に金属加工法により接合された内側
の被覆層とからなる。金属加工法による二つの層の接合状態を、押出し加工の前
に非破壊検査で確かめることにより、未接合部分を検出できるので、無駄を減らす
ことができる。さらに、押出し加工の前に金属加工法による接合を行うので、押
出し加工工程において被覆層の厚さを調節できる。その結果、不均衡に多量の被
覆材料が炭素鋼内へ移入することを防止でき、腐食または浸食に対抗する良好な
特性を被覆層に提供することができる。
【0011】 この発明は、前記実施形態の詳細に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明によるパイプの製造方法の一実施例を示すフローチャートである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年8月14日(2000.8.14)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】 この発明の目的は、先行技術が有する困難な問題を克服または軽減できる、被
覆パイプの製造方法を提供することである。 この発明によれば、被覆パイプの製造方法は、基層材料からなる管状ビレット
形成する工程と、その基層材料に金属加工法により被覆層材料を接合して複合体
を形成する工程と、その後に複合体を押出し加工してパイプを形成する工程とを
含む。 好ましくは、基層材料上に溶接ライニングを溶接することで、被覆層が金属加工
法により基層材料に接合される。このような溶接ライニングの適切な溶接方法の
一つは、スコットランド、ファイフ、グレンロシーズのフォース ツール アン
ド バルブ リミテッド(Forth Tool & Valve Limited of Glenrothes, Fife,
Scotland)のプロクラッド(PROCLAD)(登録商標)法の使用である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基層材料の中空体を形成する工程と、前記基層材料に金属加工法により被覆材
    料を接合して複合体を形成する工程と、その後に前記複合体を押出し加工してパ
    イプを形成する工程とを含む、被覆パイプの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基層材料上に溶接ライニングを溶接することで、被覆層を金属加工法によ
    り前記基層材料に接合する、請求項1に記載のパイプの製造方法。
  3. 【請求項3】 押出し加工を行なう前に、前記被覆層を機械切削する、請求項1または2に記
    載のパイプの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記被覆層と前記基層材料との前記金属加工法による接合が完全であるかどう
    かを、押出し加工の前に検査および/または確認する、請求項1ないし3のいず
    れかに記載のパイプの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中空体が管状ビレットからなる、請求項1ないし4のいずれかに記載のパ
    イプの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記被覆材料を前記中空体の内面に溶接する、請求項1ないし5のいずれかに
    記載のパイプの製造方法。
  7. 【請求項7】 押出し加工後に前記パイプを冷間加工する、請求項1ないし6のいずれかに記
    載のパイプの製造方法。
  8. 【請求項8】 押出し加工後に前記パイプを加熱処理する、請求項1ないし7のいずれかに記
    載のパイプの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の方法により製造されたパイプ。
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