JP2002520048A - ヒト・アスパラギン酸プロテアーゼ - Google Patents

ヒト・アスパラギン酸プロテアーゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト・アスパラギン酸プロテアーゼ(NHAP)及びNHAPを同定しコードするポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニスト、及びアンタゴニストを提供する。また本発明は、NHAPの発現が関連する疾病の診断、治療、又は予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本出願は、1998年1月16日に出願された「ヒトプロテアーゼ分子」なる
名称の同時係属中の米国特許出願第09/008,271号の一部継続出願であ
る。
【0002】 (技術分野) 本発明は、アスパラギン酸プロテアーゼの核酸及びアミノ酸配列、及び呼吸器
疾患、内分泌疾患、及び免疫疾患、及び癌の診断、治療、及び予防におけるこれ
らの配列の使用に関するものである。
【0003】 (発明の背景) タンパク質分解プロセスは、正常な細胞の成長、分化、再構築、及びホメオス
タシスにとって必要不可欠な要素である。細胞内のペプチド結合の切断は、前駆
体タンパク質の活性形態への成熟、標的のタンパク質からのシグナル配列の除去
、正しくない形で折り畳まれたタンパク質の分解、及び細胞内でのペプチドの調
節された代謝回転のために必要不可欠である。プロテアーゼは、アポトーシス、
炎症、及び胚発育、創傷治癒及び正常な成長の際の組織再構築に関与する。また
プロテアーゼは、細菌、寄生虫、及びウイルスのホストへの侵入及びホスト内で
の複製における必要不可欠な要素である。哺乳動物のプロテアーゼの4つの主要
なカテゴリーが、活性部位の構造、作用機構、及び全体の三次元的構造に基づい
て特定された(Beynon, R.J.及びJ.S. Bond (1994) proteolytic Enzymes: A Pr
actical Approach, Oxford University Press, New York, NY, pp. 1-5)。
【0004】 カテゴリーの1つは、前駆体タンパク質のプロセシングからタンパク質の細胞
内分解に至る様々な細胞プロセスに関与するシステインプロテアーゼである。シ
ステインプロテアーゼを産生するのは、単球、マクロファージ、及び炎症部位に
移動し、その防御的な役割を果たすために様々な分子を分泌して損傷を受けた組
織を修復する免疫系の他の細胞である。或る種の疾患においては、これらの細胞
が、同じ分子を過剰に産生し、組織破壊を引き起こすことがある。リソソームの
プロテアーゼのカテプシンファミリーとしては、カテプシンB、H、K、L、O
2、及びSのようなシステインプロテアーゼ、及びペプシンA、ガストリクシン
、キモシン、レニン、及びカテプシンD及びEのようなアスパラギン酸プロテア
ーゼが挙げられる。エンドソームプロテアーゼファミリーの様々なメンバーは異
なった発現の仕方をする。例えばカテプシンDのようなメンバーは、広範な組織
分布を示すが、カテプシンLのように、単球、マクロファージ、及び他の免疫系
の細胞においてのみ見られるものもある。
【0005】 アスパラギン酸プロテアーゼの特徴的な活性部位の残基は、一対のアスパラギ
ン酸残基であり、例えばペニシロペプシンにおいてはasp(33番)及びasp
(213番)である。アスパラギン酸プロテアーゼは、その活性の最適pHが2乃
至3の範囲にあることから、酸性プロテアーゼとも呼ばれる。このpH範囲にお
いて、アスパラギン酸残基の一方はイオン化され、他方はイオン化されない。ア
スパラギン酸プロテアーゼの強力なインヒビターとして6アミノ酸のペプチドで
あるペプスタチンがあり、これは遷移状態において正常な基質に類似する。
【0006】 カテプシンの調節及び発現の異常は、様々な炎症性疾病状態の証拠である。リ
ウマチ性関節炎のような自己免疫疾患では、システインプロテアーゼのカテプシ
ンCが分泌されることにより、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、及び骨の細
胞外基質において見られる他の構造タンパク質が分解される。炎症の滑膜から単
離された細胞では、ストロメライシン、サイトカイン、TIMP−1、カテプシ
ン、ゼラチナーゼ、及び他の分子のmRNAが優先的に発現される。カテプシン
L及びDの発現は、リウマチ性関節炎及び変形性関節炎の患者から得られた滑膜
組織において上昇する。カテプシンLの発現も、単核細胞の流入の一因となり得
、この単核細胞の流入によってリウマチ様滑膜の破壊が更に進む(Keyszer, G.M
. (1995) Arthritis Rheum. 38:976-984)。カテプシンの発現の上昇及び調節の
変化は、様々な種類の癌の転移の可能性と関係があり、そのため治療上の及び予
後における興味の対象となる(Chambers, A.F.他 (1993) Crit. Rev. Oncog. 4:
95-114.)。
【0007】 新規なアスパラギン酸プロテアーゼ及びそれをコードするポリヌクレオチドの
発見は、呼吸器疾患、内分泌疾患、及び免疫疾患、及び癌の診断、予防、及び治
療において役立つ新たな組成物を提供することにより、当分野における必要性を
満たすものである。
【0008】 (発明の概要) 本発明は、実質的に精製されたポリペプチドであるアスパラギン酸プロテアー
ゼ(集合的に「NHAP」と称し、それぞれ「NHAP−1」及び「NHAP−
2」と称する)を提供する。或る実施態様では、本発明は、SEQ ID NO:
1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID N
O:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸を有する実質的に精製されたポ
リペプチドを提供する。
【0009】 更に本発明は、SEQ ID NO:1又はSEQ ID NO:3、又はそれら
の配列の何れかの断片のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性
を有する実質的に精製された変異体を提供する。本発明はまた、SEQ ID N
O:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ I
D NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸を有するポリペプチドを
コードする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。また本発明は、S
EQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及
びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する
ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドと70%以上のポリヌクレオチド配
列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異体も包含する。
【0010】 更に本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID
NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに、厳密な条件
の下でハイブリダイズする単離され精製されたポリヌクレオチドを提供すると共
に、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断
片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を
有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列を有する単離
され精製されたポリヌクレオチドも提供する。
【0011】 また本発明は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID
NO:2の断片、及びSEQ ID NO:4の断片からなる群から選択されたポ
リヌクレオチド配列を含む単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。更
に本発明は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO
:2の断片、及びSEQ ID NO:4の断片からなる群から選択されたポリヌ
クレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列と70%以上のポリヌクレオチド配
列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異体を提供すると共に
、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:2の断片
、及びSEQ ID NO:4の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド
配列を含むポリヌクレオチドに相補的な配列を有する単離され精製されたポリヌ
クレオチドを提供する。
【0012】 更に本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID
NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも断片
を含む発現ベクターを提供する。別の実施態様では、この発現ベクターは、宿主
細胞内に含められる。
【0013】 また本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID
NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方法であって、(a)前記ポリペプチドの
発現に適した条件の下で、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの少
なくとも断片を含む発現ベクターを含む宿主細胞を培養する過程と、(b)前記
宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むことを特徴とする
、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片
、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含
むポリペプチドの製造方法を提供する。
【0014】 また本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID
NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを、適切な製薬用担体と共
に含む医薬品組成物を提供する。
【0015】 更に本発明は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID
NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する精製された抗体、及び前記ポリペプチ
ドの精製されたアゴニスト及び精製されたアンタゴニストを提供する。
【0016】 また本発明は、NHAPの発現又は活性の低下に関係する内分泌疾患の治療又
は予防方法であって、そのような治療が必要な患者に、SEQ ID NO:1、
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID NO:
3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポ
リペプチドを含む医薬品組成物を有効な量投与する過程を含む、NHAPの発現
又は活性の低下に関係する内分泌疾患の治療又は予防方法を提供する。
【0017】 また本発明は、NHAPの発現又は活性の上昇に関連する内分泌疾患の治療又
は予防方法であって、そのような治療が必要な患者に、SEQ ID NO:1、
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID NO:
3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタ
ゴニストを有効な量投与する過程を含む、NHAPの発現又は活性の上昇に関連
する内分泌疾患の治療又は予防方法を提供する。
【0018】 また本発明は、癌の治療又は予防方法であって、そのような治療が必要な患者
に、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断
片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を
有するポリペプチドのアンタゴニストを有効な量投与する過程を含む、癌の治療
又は予防方法を提供する。
【0019】 また本発明は、免疫疾患の治療又は予防方法であって、そのような治療が必要
な患者に、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:
1の断片、及びSEQ ID NO:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸
配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを有効な量投与する過程を含む、免
疫疾患の治療又は予防方法を提供する。
【0020】 また本発明は、核酸を含む生物学的サンプルにおける、SEQ ID NO:1
、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID NO
:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドの検出方法であって、(a)SEQ ID NO:1、S
EQ ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3
の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド配列の相補配列と、生物学的サンプルにおける核酸の少なくと
も1種類とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過
程と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記
ハイブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおける該ポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を有する、該過程とを有
する、核酸を含む生物学的サンプルにおける、SEQ ID NO:1、SEQ
ID NO:3、SEQ ID NO:1の断片、及びSEQ ID NO:3の断
片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポ
リヌクレオチドの検出方法を提供する。或る実施態様では、前記方法が、ハイブ
リダイゼーションの前に、前記ポリヌクレオチドを増幅する過程を含む。
【0021】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、及び方法について説明する前に、本
発明は、ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試
薬に限定されず、これらを変更して実施できることを理解されたい。また、ここ
で用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いられたものであ
り、特許請求の範囲の請求項のみによって限定される本発明の範囲を限定するこ
とを意図したものではないということも理解されたい。
【0022】 本明細書及び請求の範囲において、単数を表す「或る」及び「その(この)」
と形容されたものは、前後関係でそうでないことが明らかである場合以外は、複
数の意味も含んでいることに注意しなければならない。従って、例えば「或る宿
主細胞」なる表記が表すものには、複数のそのような宿主細胞が含まれ、この「
抗体」なる表記は、1種またはそれ以上の種類の抗体及び当業者に周知のその等
価物等も表している。
【0023】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し
開示する目的で引用されたものであり、この引用により本明細書の一部とする。
本明細書のあらゆる開示内容を、本発明におけるそのような開示内容が従来技術
に先行し得ないことを認めるものと解釈してはならない。
【0024】 定義 本明細書において、NHAPは、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ、ブタ、
マウス、ウマ、及び好ましくはヒトを含む哺乳動物に由来する、天然物、合成物
、半合成物、又は組換え体の何れかを起源として得られる実質的に精製されたN
HAPのアミノ酸配列である。
【0025】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、NHAPに結合したときNHAP
の効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。アゴニストに
は、NHAPに結合し、その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質や、任意の
他の分子が含まれ得る。
【0026】 本明細書において「アレル変異体」とは、NHAPをコードする遺伝子の対立
形である。アレル変異体は、核酸配列の少なくとも一箇所の変異によって生じ得
、これにより変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異ポリペ
プチドの構造や機能は、変わる場合もあれば変わらない場合もある。与えられた
元のままの遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しないもの、1つ存
在するもの、或いは多数存在するものがある。一般にアレルを生じる変異はヌク
レオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。このタイプの変化は
それぞれ単独で、或いは他の変化と同時に、所定の配列内で1回又は2回以上生
じ得る。
【0027】 本明細書において、NHAPをコードする「変異」核酸配列とは、異なるヌク
レオチド残基の欠失、挿入並びに置換を含み、NHAPと同一のポリヌクレオチ
ド、またはNHAPの機能的特徴の少なくとも1種類を備えているポリペプチド
を作り出すものである。この定義には、NHAPをコードするポリヌクレオチド
配列の正常な染色体上の遺伝子座以外の座位を有する、アレル変異体との不適切
又は予期しないハイブリダイゼーション、及びNHAPをコードするポリヌクレ
オチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な或いは検
出が困難な多型が含まれている。コードされたタンパク質も同様に「変異」した
ものであり得、サイレント変化となるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに置換を含
み、結果的に機能的に等価なNHAPとなるものであり得る。意図的なアミノ酸
の置換は、NHAPの生物学的または免疫学的活性が保持される限りの範囲で、
残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての類似
に基づいてなされ得る。例えば負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸
及びグルタミン酸があり、正に荷電したアミノ酸としては、リジン及びアルギニ
ンがあり、近い親水性値を有する荷電していない極性頭基を有するアミノ酸とし
ては、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、
グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン並びにチロシンがある。
【0028】 本明細書において「アミノ酸」または「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、
ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列及びその断片であり、自然発生
の又は合成した分子である。これに関連して、「断片(フラグメント)」、「免
疫原性断片」、または「抗原性断片」とは、好ましくは約5〜約15個以上のア
ミノ酸、最も好ましくは14個以上のアミノ酸からなる長さを有するとともに、
NHAPの生物学的活性又は免疫学的活性を保持しているNHAPの断片である
。ここで「アミノ酸配列」が自然発生のタンパク質分子のアミノ酸配列を表すも
のとして用いられている場合には、「アミノ酸配列」等の用語は、アミノ酸配列
を本明細書に記載のタンパク質分子に関連する完全な元のままのアミノ酸配列に
限定する意味で用いられているわけではない。
【0029】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なるコピーを生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて行われる(
例えば、Dieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laborato
ry Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY, pp.1-5を参照)。
【0030】 本明細書において、用語「アンタゴニスト」は、NHAPに結合したとき、N
HAPの生物学的又は免疫学的活性の強さを低下させたり、活性の持続時間を短
縮させる分子である。アンタゴニストとしては、NHAPの作用を低下させるタ
ンパク質、核酸、糖質や、任意の他の分子等が挙げられる。
【0031】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子と、Fa、F(ab')2 、及びFvフラグメントのような抗原決定基と結合し得るそのフラグメントとを
指す。NHAPポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原として、完全なポ
リペプチドを用いて、或いは小さい目的のペプチドを含むそのフラグメントを用
いて作り出すことができる。動物を免疫化するために用いられるポリペプチドま
たはオリゴペプチドは、翻訳されたRNAから作り出されたものか、化学的に合
成されたものであり得、必要ならば担体タンパク質と結合させることができる。
ペプチドに化学的に結合する通常用いられる担体としては、ウシ血清アルブミン
及びサイログロブリン、及びキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)が挙
げられる。この結合したペプチドを用いて動物を免疫化する。
【0032】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と接触する分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質の一部分、即ち断片を用いてホストの動
物を免疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、抗原決定基(該タンパク質
上の所定の領域または三次元構造)に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る
。抗原決定基は、抗体との結合について、元の抗原(即ち免疫応答を引き出すた
めに用いられる免疫原)と競合し得る。
【0033】 本明細書において、用語「アンチセンス」は、特定の核酸配列の「センス」鎖
に対して相補的なヌクレオチド配列である。アンチセンス分子は、合成や転写を
含む任意の方法で作り出すことができる。この相補的ヌクレオチドは、一旦細胞
内に導入されると、細胞によって作られた天然の配列と結合して二重鎖を形成し
、更なる転写や翻訳を阻害する。「マイナス(−)」なる表現はアンチセンス鎖
を表すことがあり、「プラス(+)」はセンス鎖の意味で用いられることがある
【0034】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造的機能
、調節機能、又は生化学的機能を有するタンパク質を表す。同様に「免疫学的に
活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のNHAP、若しくはそのオリゴペプ
チドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体に結合
する能力を指す。
【0035】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、塩基対を形成してポ
リヌクレオチド同士が自然に結合する性質である。例えば、配列「5’A−G−
T3’」は相補的配列「3’T−C−A5’」に結合する。2本の一本鎖分子の
間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合する「部分的」なものであるか、若しく
は両一本鎖分子の全てにわたって相補性が存在する場合は完全に相補的なもので
あり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダイゼーション
の効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の結合によって
左右される増幅反応において、及びペプチド核酸(PNA)分子の設計及び使用
において特に重要である。
【0036】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」または「所定
のアミノ酸配列を含む組成物」とは、所定のポリヌクレオチド配列またはアミノ
酸配列を含むあらゆる物質をさす。この組成物には、乾燥した製剤又は水溶液が
含まれる。NHAPまたはNHAPの断片をコードするポリヌクレオチド配列を
含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして用いることができる。こ
のプローブは凍結乾燥して保存することができ、糖質のような安定化剤と結合さ
せることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、このプローブは、塩(例
えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物質(例えばデンハート
液、乾燥ミルク、サケ精子DNA等)を含む水溶液に展開することができる。
【0037】 本明細書において「コンセンサス」は、再配列決定して不要な塩基を分離し、
XL-PCRTM(The Perkin Elmer Corp., Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/ま
たは3′方向に延長し、再配列決定した核酸配列か、フラグメントを組み立てる
ためのコンピュータプログラム(例えばGELVIEWTM Fragment Assembly system,
GCG, Madison WI)を用いて2種以上のインサイト社クローンの重複した配列を
組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両方によってコン
センサス配列が作られることもある。
【0038】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相関性を有する」なる表現は
、ノーザン法による解析でNHAPをコードする核酸配列と同一または近縁な核
酸の存在が検出されることが、サンプル内のNHAPをコードする核酸の存在を
表し、従ってNHAPをコードする遺伝子からの転写物の発現と相関性を有して
いる、ということを表している。
【0039】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基またはヌクレオチドが欠ける、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列
の変化である。
【0040】 本明細書において、用語「誘導体」は、ポリペプチド配列またはポリヌクレオ
チド配列を化学的に修飾したものを意味する。ポリヌクレオチド配列の修飾の例
としては、水素からアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換があげられる
。誘導体ポリヌクレオチドは、修飾していない分子の生物学的又は免疫学的機能
のなかの少なくとも1種類を保持しているポリペプチドをコードする。誘導体ポ
リペプチドは、元のポリペプチドの生物学的又は免疫学的機能のなかの少なくと
も1種類を保持しており、グリコシル化、ポリエチレングリコール化(PEGylati
on)、または他のプロセスで修飾されたものである。
【0041】 本明細書において、用語「類似性」は、或る程度の相補性を意味する。部分的
な類似性と、完全な類似性があり得る。用語「同一性」は、用語「類似性」の代
りに用いることができる。部分的に相補的な配列は、同一の配列が標的の核酸と
ハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害するものであり、このことを「
実質的に類似性を有する(実質的に類似な)」という。完全に相補的な配列と標
的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、低い厳密性条件の下でのハイブリ
ダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロット法、溶液ハ
イブリダイゼーション等)によって調べることができる。実質的に類似な配列、
即ちハイブリダイゼーションプローブは、低い厳密性条件の下で、標的の配列と
完全に類似な(同一の)配列との結合について競合し、それを阻害する。このこ
とは、厳密性の条件が低いことが非特異的な結合を許容するということを意味す
るわけではない。低い厳密性条件でも、2つの配列の相互の結合が特異的(即ち
選択的)相互作用であることが必要だからである。非特異的結合が存在しないこ
とは、部分的な程度の相補性も有していない(例えば約30%未満の類似性また
は同一性を有する)第2の標的配列を用いることにより調べることができる。非
特異的結合が不存在の場合、プローブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイ
ズしない。
【0042】 「パーセント同一性」或いは「%同一性」という言いまわしは、2以上のアミ
ノ酸または核酸配列を比較した際の配列類似性のパーセンテージである。パーセ
ント同一性は、例えばMegAlignTMプログラム(DNASTAR, Inc., Madison WI)を
用いることによって電子的に求めることができる。このMegAlignTMプログラムは
、異なる方法、例えばクラスタ法(clustal method)(例えばHiggins, D.G.及
びP.M. Sharp (1988) Gene 73:237-244参照)に従って2以上の配列のアライメ
ントを作成することができる。このクラスタ法のアルゴリズムでは、配列群を、
全ての配列の対について両配列間の距離を調べることによってクラスタ(集団)
にグループ分けする。このクラスタ群について、一対毎にアライメントをとり、
次にグループにおいてアライメントをとる。2つのアミノ酸配列、例えば配列A
と配列Bの間のパーセント類似性は、(配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ
残基の数−配列Bにおけるギャップ残基の数)/(配列Aと配列Bとの間の残基
の一致の総数)×100で計算する。2つのアミノ酸配列の間の類似性の差が低
いか無いケースは、パーセント類似性の計算に含められない。核酸配列間のパー
セント同一性も、他の周知の方法、例えばJotun Hein法(例えばHein J. (1990)
Methods Enzymol. 183: 626-645参照)によってカウント即ち計算することがで
きる。配列間の同一性は、他の周知の方法、例えばハイブリダイゼーション条件
を変えることによっても決定することができる。
【0043】 本明細書において「ヒト人工染色体」(HAC)は、約6kb〜10Mbのサ
イズのDNA配列を含んでおり、安定した分裂期染色体の分離及び維持に必要な
全ての要素を含む直鎖状の小染色体である(例えば、Harrington, J.J.等 (1997
) Nat Genet. 15:345-355参照)。
【0044】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、元の結合能力をそのまま保持しつ
つヒトの抗体により近いものとなるように、非抗原結合領域におけるアミノ酸配
列を改変した抗体分子である。
【0045】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」と
は、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0046】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、2つの核酸配
列の間で、相補的な塩基間での水素結合の形成によって形成された複合体である
。ハイブリダイゼーション複合体は、溶液中で形成させるか(例えばC0t又は
0t解析の場合)、或いは核酸は溶液中に存在する一方の核酸と、固形支持体
(例えば細胞やその核酸が固定されるような、紙、メンブラン、濾紙、チップ、
ピン、スライドガラス、または他の適切な基板)に固定されたもう一方の核酸と
の間で形成させることができる。
【0047】 本明細書において「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子における配列と
比較して、1個または2個以上のヌクレオチドが加わるようなヌクレオチド配列
の変化、或いは1個または2個以上のアミノ酸残基が加わるようなアミノ酸配列
の変化である。
【0048】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫疾患、または感染症や遺伝病等に関連する
状態であり得る。この状態は、細胞の及び全身の防御系に影響を及ぼし得る様々
な因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び他のシグナル伝達分子の発現に
よって特性化され得る。
【0049】 本明細書において、用語「マイクロアレイ」は、異なるポリヌクレオチドを基
板上に配列したものである。基板としては、例えば紙、ナイロン又は他のタイプ
のメンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の適切な固体支持
体が用いられる。
【0050】 本明細書において、マイクロアレイに関連して用いられる用語「エレメント」
または「アレイエレメント」とは、基板の表面上に配列されたハイブリダイズ可
能なポリヌクレオチドである。
【0051】 本明細書において、用語「変調」は、NHAPの活性の変化である。例えば、
変調によって、タンパク質の活性の上昇や低下、結合特性の変化、又はNHAP
の生物学的、機能的、免疫学的特性の他の変化が生ずる。
【0052】 本明細書において「核酸」または「核酸配列」という用語は、ヌクレオチド、
オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはその断片を表す。この用語は、
一本鎖か二本鎖のセンス鎖またはアンチセンス鎖であり得るゲノム起源又は合成
したDNAまたはRNA、ペプチド核酸(PNA)、またはあらゆるDNA様ま
たはRNA様物質をも表す。これに関連して、「断片(フラグメント)」は、例
えば同じゲノム内の他のあらゆる配列とは区別される点で、SEQ ID NO:
2及びSEQ ID NO:4を特定する独特のポリヌクレオチド配列の領域を含
む核酸配列である。例えば、SEQ ID NO:2の断片またはSEQ ID N
O:4の断片は、ハイブリダイゼーション及び増幅技術や、近縁なポリヌクレオ
チド配列からSEQ ID NO:2の断片またはSEQ ID NO:4を区別す
るための類似の方法において有用である。SEQ ID NO:2の断片またはS
EQ ID NO:4の断片の長さは、少なくとも約15〜20ヌクレオチドから
なる長さである。SEQ ID NO:2またはSEQ ID NO:4の断片、及
びその断片が対応するSEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:4の領域の
正確なサイズは、断面の使用目的に応じて当業者が繰り返し求めることができる
。或いは、断片が翻訳されると、完全長ペプチドの幾つかの機能的特徴(例えば
抗原性)や、構造的ドメインの特徴(例えばATP結合部位)を保持しているポ
リペプチドが作り出される。
【0053】 本明細書において、用語「機能的に関連する」または「機能的に結びついた」
は、機能的に関連する核酸配列を意味する。プロモーターは、そのプロモーター
がコーディング配列によってコードされたポリペプチドの翻訳を調節しているな
れば、コーディング配列と機能的に関連、或いは機能的に結びついている。機能
的に関連する、または機能的に結びついた核酸配列同士は、近接し、同じ読み枠
内に存在することもあるが、或る種のゲノムエレメント、例えばリプレッサー遺
伝子は、ポリペプチドをコードする配列に近接した位置には存在しないが、その
ポリペプチドの発現を調節するオペレーター配列に結合する。
【0054】 本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅、ハイブリダ
イゼーションアッセイやマイクロアレイで用いることができる核酸配列であって
、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適には15〜3
0ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを指す。本明
細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、当分野において一般に定義され
ている用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー」、及び「プロー
ブ」と実質的に同義である。
【0055】 本明細書において、「ペプチド核酸」(PNA)は、末端がリジンであるアミ
ノ酸残基のペプチドバックボーンに結合した、約5ヌクレオチド以上の長さのオ
リゴヌクレオチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリ
ジンがこの物質に溶解性を賦与している。PNAは、相補的な一本鎖DNAやR
NAに優先的に結合して転写物の伸長を止め、また、PNAをポリエチレングリ
コール化して細胞におけるその寿命を延ばすことができる(Nielsen, P.E.他(19
93) Anticancer Drug Des. 8:53-63)。
【0056】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。NHAPをコードする核酸またはその断片またはNHAP自体を含む疑いのあ
る生物学的サンプルとしては、体液;細胞からの抽出物や細胞から単離された染
色体、細胞小器官、又は細胞膜からの抽出物;細胞;溶液中の、または固体支持
体に結合したゲノムのDNA、RNA、またはcDNA;組織:組織プリントそ
の他がある。
【0057】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、タン
パク質またはペプチドと、アゴニスト、抗体、またはアンタゴニストとの相互作
用である。この相互作用は、結合する分子によって認識されるタンパク質上の特
定の構造、例えば、抗原決定基即ちエピトープの存在に左右される。例えば、抗
体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、フリーの標識したA及びその
抗体を含む反応において、エピトープAを含むポリペプチド、またはフリーの非
標識Aが存在すると、抗体に結合した標識Aの量が低下する。
【0058】 本明細書において、用語「厳密な条件(厳密性条件)」とは、ポリヌクレオチ
ドと特許請求の範囲に記載のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが可
能な条件を意味する。厳密な条件は、塩濃度、例えばホルムアミドのような有機
溶媒の濃度、温度、及び他の周知の条件によって定義することができる。詳述す
ると、塩濃度を下げたり、ホルムアミド濃度を高めたり、或いはハイブリダイゼ
ーション温度を高めることによって厳密性を高めることができる。
【0059】 本明細書において、用語「実質的に精製された」は、天然の環境から取り除か
れ、天然にはそれが結合して存在する他の構成要素から単離又は分離されて、6
0%以上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上がフリーな状態に
ある核酸配列又はアミノ酸配列を表す。
【0060】 本明細書において「置換」は、それぞれ1個または2個以上のヌクレオチド或
いはアミノ酸を、異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることである。
【0061】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、周知の様々な方法に従って
自然の条件または人工の条件の下で生じ得、また、外来核酸配列を原核細胞また
は真核細胞の宿主細胞に導入するための何らかの既知の方法に基づいている。形
質転換のための方法は、形質転換される宿主細胞によって選択され、以下に限定
するものではないが、ウイルス感染による方法、電気穿孔法(エレクトロポレー
ション)、熱ショック、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法が含まれ
得る。用語「形質転換(された)」細胞とは、挿入されたDNAが、自律的に複
製するプラスミドとして、または宿主の染色体の一部としてその内部で複製が可
能な安定的に形質転換された細胞とともに、導入されたDNAやRNAを限られ
た時間だけ発現する一過性の形質転換をされた細胞等である。
【0062】 本明細書においてNHAPポリペプチドの「変異体」は、1又は2箇所以上の
アミノ酸が変異したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むも
のであり得、この保存的変化では、(例えばロイシンをイソロイシンで置き換え
る場合のように)置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。
稀に、変異体が「非保存的」に変化する場合もある(例えばグリシンがトリプト
ファンで置換される場合)。類似した小変化として、アミノ酸の欠失か挿入、若
しくはその両方が含まれることもある。例えばLASERGENETMソフトウエアのよう
な周知のコンピュータプログラムを用いることが、生物学的或いは免疫学的活性
を損なわずに置換、挿入、又は欠失できるアミノ酸が何れかということを決定す
る助けとなる。
【0063】 用語「変異体または変異配列」は、ポリヌクレオチド配列に関連して用いられ
る場合、NHAPに近縁なポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義には、
例えば、「アレル変異体」(前に定義した)、「スプライスバリアント」、「種
変異体」、または「多型変異体」も含まれる。スプライスバリアントは、基準の
分子と有意な同一性を有し得るが、mRNAのプロセシングの際にエキソンのス
プライシング部位が変わるためにポリヌクレオチドの数が多いか或いは少ないも
のである。対応するポリペプチドは、追加の機能的ドメインを有していたり、或
いはドメインが欠けていることがある。種変異体は、種の間で異なるポリヌクレ
オチド配列である。これから生ずるポリペプチドは、通常、互いに有意なアミノ
酸同一性を有している。多型変異体は、ポリヌクレオチド配列の1箇所の塩基が
異なっている「一塩基多型」(SNPs)も包含している。SNPsが存在する
ことが、例えば、一定の集団、疾病状態、または疾病状態の性向を示すことがあ
る。
【0064】 発明 本発明は、2種の新規なヒト・アスパラギン酸プロテアーゼ(NHAP)、N
HAPをコードするポリヌクレオチド、及び呼吸器疾患、内分泌疾患、及び免疫
疾患、及び癌の診断、治療、又は予防のためのこれらの組成物の使用法の発見に
基づくものである。
【0065】 本発明のNHAP−1及びNHAP−2をコードする核酸は、以下のインサイ
ト社クローン(SEQ ID NO:5〜SEQ ID NO:9)、即ちクローン
No. 372637H1(LUNGNOT02を起源)、1242901H1(LUNGNOT03を起源)、2222291H
1(LUNGNOT18を起源)、2435410H1(EOSINOT03を起源)、及び2756549H1(THP1A
ZS08を起源)において、アミノ酸配列アライメントのコンピュータ検索、例えば
BLAST等を用いて同定された。NHAP−1の完全長cDNA配列は、GeneTrapp
erTMメソッド(Life Technologies, Gaithersburg MD)及びインサイト社クロー
ンNo. 2756549(THP1AZS08を起源)から作られたオリゴヌクレオチドを用いて、
ヒト肺cDNAライブラリーから得た。NHAP−2の完全長cDNA配列は、
GeneTrapperTMメソッド(Life Technologies)と、NHAP−1の場合に用いた
ものと同一のオリゴヌクレオチドとを用いてヒト白血球cDNAライブラリーか
ら得た。
【0066】 或る実施例では、本発明は、図1A、図1B、図1C、及び図1Dに示すSE
Q ID NO:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。NHAP−1
は420個のアミノ酸からなる長さを有し、残基M(1番)〜P(21番)に渡る
シグナルペプチド配列を有する。Nグリコシル化可能部位は、残基N(90番)、
N(133番)、及びN(336番)に見られる。リン酸化可能部位は、カゼインキナ
ーゼIIによるリン酸化可能部位がS(60番)及びT(338番)に、プロテイン
キナーゼCによるリン酸化可能部位がS(106番)、T(143番)、T(346番)
、及びS(393番)に見られる。2つのロイシンジッパーパターンは、L(309番
)及びL(316番)から始まっており、細胞接着可能部位は、配列R387GDに見
られる。アスパラギン酸プロテアーゼの特徴である2つの活性部位アスパラギン
酸残基は、残基D(96番)及びD(283番)に見られる。BLOCKS及びPRINTS解析に
よっても、アスパラギン酸プロテアーゼの特徴である2つのアスパラギン酸残基
を包含する配列を同定できる。図3A、図3B、及び図3Cに示すように、NH
AP−1は、マウスのアスパラギン酸プロテアーゼ様タンパク質(GI 1906810;
SEQ ID NO:10)と化学的及び構造的類似性を有する。詳述すると、N
HAP−1とマウスのアスパラギン酸様タンパク質は、69%の配列同一性を共
有している。この2種のタンパク質は、シグナル配列、3カ所のグリコシル化可
能部位、及びNHAP−1ではS(106番)、T(143番)、及びT(338番)に
見られるリン酸化可能部位を共有している。NHAP−1及びNHAP−2にお
いて見られる2つの活性部位アスパラギン酸残基、及びそれを取り囲む配列は、
マウスのタンパク質においても保存されている。SEQ ID NO:1のアミノ
酸残基P(54番)からアミノ酸残基V(76番)に渡る断片をコードする、SEQ
ID NO:2の、ヌクレオチド(160番)〜ヌクレオチド(228番)の断片は、
例えばハイブリダイゼーションプローブとして有用である。
【0067】 別の実施例では、本発明は、図2A、図2B、図2C、及び図2Dに示すよう
なSEQ ID NO:3のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。NHA
P−2は433個のアミノ酸からなる長さを有し、M(1番)〜P(21番)にわ
たるシグナル配列、N(90番)、N(125番)、及びN(336番)の3箇所のNグ
リコシル化可能部位、T(143番)のcAMP−cGMP依存性プロテインキナ
ーゼのリン酸化可能部位、S(60番)、S(181番)、T(338番)及びT(383
番)のカゼインキナーゼリン酸化可能部位、S(106番)、S(129番)、及びT
(143番)のプロテインキナーゼCによるリン酸化可能部位、Y(78番)のチ
ロシンキナーゼによるリン酸化可能部位を有し、細胞接着部位は、配列R387G
Dに見出される。アスパラギン酸プロテアーゼの特徴である2つの活性化部位ア
スパラギン酸残基は、残基D(96番)及びD(283番)に見出される。BLOCKS及
びPRINTS解析によっても、アスパラギン酸プロテアーゼの特徴である2つのアス
パラギン酸残基を含む配列を同定できる。図3A、図3B及び図3Cに示すよう
に、NHAP−2は、マウスアスパラギン酸プロテアーゼ様タンパク質(GI 190
6810;SEQ ID NO:10)と化学的及び構造的類似性を有する。詳述する
と、NHAP−2とマウスのアスパラギン酸プロテアーゼ様タンパク質は、69
%の配列同一性を共有し、N(90番)及びN(336番)の2つのグリコシル化可
能部位、及びNHAP−2のS(106番)、S(129番)、T(143番)、及びT
(338番)に見られるリン酸化可能部位を共有している。NHAP−2に見られ
る2つの活性化部位アスパラギン酸残基及びそれを取り囲む配列は、マウスのタ
ンパク質においても保存されている。SEQ ID NO:3のアミノ酸残基P(
54番)〜アミノ酸残基A(76番)の断片をコードするSEQ ID NO:4の、
ヌクレオチド(190番)〜ヌクレオチド(258番)の配列は、例えばハイブリダイ
ゼーションプローブとして役立つ。
【0068】 電子的なノーザン法による解析の結果から、様々なcDNAライブラリーにお
いて発現されたNHAPが集まったクローンが分かる。このようなcDNAライ
ブラリーの59%以上は癌及び不死化細胞系関連であり、22%以上は、炎症及
び免疫応答に関連するものである。特に注目すべきは、肺組織(37%)におけ
るNHAPの発現である。NHAP−2のcDNAライブラリーを用いる膜をベ
ースにしたノーザン法解析によって、腎臓、肺、及び例えば脾臓、骨髄、及び末
梢血白血球のような免疫応答に関連する組織における〜1.3kbのRNA種の
発現が分かった(図4参照)。NHAP−2プローブが、NHAP−2と〜90
%の相同性を有していることから、この解析は、NHAP−1とNHAP−2の
両方の発現を表している。NHAP−1に特異的なオリゴヌクレオチドプローブ
を用いた膜をベースにしたノーザン法解析の結果(図5)から、〜1.3kbの
RNA種が肺においてのみ発現されることが分かった。NHAP−1特異的ウサ
ギ免疫血清を用いた正常な及び疾病状態のヒト組織サンプルを免疫細胞化学的に
染色することにより、脳下垂体、甲状腺の瀘胞細胞、正常な肺の気胞、細気管支
肺胞性癌、及び肺の腺癌におけるこのタンパク質の発現が立証された。
【0069】 図6は、大腸菌において発現された組換えNHAP−1タンパク質のウエスタ
ンブロット法分析の結果を示す。NHAP−1は、免疫前血清ではなく免疫血清
を用いて約45kDaのバンドとして検出され、NHAP−1の発現物を含むI
PTGで誘導された細胞において圧倒的に多く見出された。
【0070】 FISH解析による染色体上の位置決定実験により、NHAP−1及びNHA
P−2をコードする遺伝子は、染色体19の長いアーム、特にバンド19q13
.3に対応する領域に位置決定されることが分かった。
【0071】 また本発明は、NHAPの変異体を包含する。好適なNHAP変異体は、NH
APアミノ酸配列と80%以上、より好適には90%以上、最も好ましくは95
%以上のアミノ酸配列同一性を有し、且つNHAPの機能的特徴または構造的特
徴の少なくとも1種類を保持しているものである。
【0072】 また本発明は、NHAPをコードするポリヌクレオチドを包含する。具体的な
実施例では、本発明は、NHAPをコードするSEQ ID NO:2の配列を含
むポリヌクレオチドを包含する。更に別の実施例では、本発明は、NHAPをコ
ードするSEQ ID NO:4の配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0073】 また本発明は、NHAPをコードするポリヌクレオチドの変異体を包含する。
詳述すると、そのような変異体ポリヌクレオチド配列は、NHAPをコードする
ポリヌクレオチド配列と70%以上、より好適には80%以上、最も好ましくは
95%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する。本発明の特定の実施態様は
、SEQ ID NO:2の配列と70%以上、より好適には80%以上、最も好
ましくは95%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する。更に本発明は、S
EQ ID NO:4の配列と70%以上、より好適には80%以上、最も好まし
くは95%以上のポリヌクレオチド配列同一性を有する、SEQ ID NO:4
のポリヌクレオチド変異体を包含する。上述のポリヌクレオチド変異体の何れか
1つは、NHAPの機能的特徴または構造的特徴の少なくとも1種類を有するア
ミノ酸配列をコードし得る。
【0074】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の類似性しか有していないものも含めて、多
種のNHAPをコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本発明は
、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作り出されるあ
らゆる可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、
自然発生のNHAPのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なトリプレッ
ト遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全てここに具
体的に開示されたものと考えられたい。
【0075】 NHAPをコードするヌクレオチド配列及びその変異体は、適切に選択された
厳密性の条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能であ
るのが好ましいが、実質的に異なるコドン、例えば非自然発生のコドンを有して
いる、NHAPをコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る
。コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従っ
て、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高
めるように選択することができる。NHAPをコードするヌクレオチド配列及び
その誘導体を、コードされるアミノ酸配列を変えないように実質的に改変する他
の理由として、例えば自然発生の配列から作られる転写物より長い半減期のよう
な、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことが挙げられる。
【0076】 本発明には、NHAP及びNHAP誘導体をコードするDNA配列又はその断
片の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。この合成配列は、作製後、
周知の試薬を用いて様々な入手可能な発現ベクター及び細胞系に挿入することが
できる。更に、合成ケミストリを用いてNHAPをコードする配列又はその任意
の断片に突然変異を導入することができる。
【0077】 また本発明の範囲に含まれるものとして、種々の厳密性条件(例えば、Wahl,
G.M. 及びS.L.Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399-407、及びKimmel, A.R
. (1987) Methods in Enzymol. 152:507-511参照)の下で請求項に記載のヌクレ
オチド配列、具体的にはSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4、SEQ
ID NO:2の断片、またはSEQ ID NO:4の断片とハイブリダイズし
得るポリヌクレオチド配列がある。例えば、厳密な条件の塩濃度は、通常、概ね
750mM未満のNaCl及び75mM未満のクエン酸3ナトリウム、好ましくは約500mM未満
のNaCl及び50mM未満のクエン酸3ナトリウム、最も好ましくは約250mM未満のNaC
l及び25mM未満のクエン酸3ナトリウムである。低い厳密性のハイブリダイゼー
ションは、例えばホルムアミドのような有機溶媒の不存在下で生じ、高い厳密性
のハイブリダイゼーションは、約35%以上のホルムアミドの存在下で、最も好ま
しくは約50%以上のホルムアミドの存在下で生ずる。厳密な条件の温度は、通常
、30℃以上、より好ましくは37℃以上、最も好ましくは42℃以上の温度である。
例えばハイブリダイゼーション時間、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)のような
界面活性剤の濃度、及びキャリアDNAを有無のような他のパラメータを変える
ことは、当業者に周知である。厳密性の様々な水準は、これらの様々な条件を必
要に応じて変えることによって得られる。好適実施例では、ハイブリダイゼーシ
ョンが、750mMのNaCl、75mMのクエン酸3ナトリウム、及び1%のSDSにおいて、3
0℃で生ずる。より好ましい実施例では、ハイブリダイゼーションが、500mMのNa
Cl、50mMのクエン酸3ナトリウム、1%のSDS、35%ホルムアミド、及び100μg/m
lの変性サケ精子DNA(ssDNA)において、37℃で生ずる。最も好ましい
実施例では、ハイブリダイゼーションが、250mMのNaCl、25mMのクエン酸3ナト
リウム、1%のSDS、50%ホルムアミド、及び200μg/mlのssDNAにおいて、4
2℃で生ずる。これらの条件を適宜改変することは、当業者には明らかであろう
【0078】 ハイブリダイゼーションの後に行われる洗浄ステップでも、厳密性を変えるこ
とができる。洗浄での厳密性条件は、塩濃度及び温度によって定義することがで
きる。上述のように、洗浄での厳密性は、塩濃度をを低くしたり、温度を高める
ことによって高くすることができる。例えば、洗浄ステップにおける厳密な条件
の塩濃度は、好ましくは約30mM未満のNaCl及び3mM未満のクエン酸3ナトリウム
、最も好ましくは約15mM未満のNaCl及び1.5mM未満のクエン酸3ナトリウムであ
る。洗浄ステップにおける厳密な条件の温度は、通常、約25℃以上、より好まし
くは約42℃以上、最も好ましくは約68℃以上である。好適実施例では、洗浄ステ
ップを、30mMのNaCl、3mMのクエン酸3ナトリウム、及び0.1%のSDSにおいて25
℃で行う。より好ましい実施例では、洗浄ステップを、15mMのNaCl、1.5mMのク
エン酸3ナトリウム、及び0.1%のSDSにおいて42℃で行う。最も好ましい実施例
では、洗浄ステップを、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸3ナトリウム、及び0.1%
のSDSにおいて68℃で行う。これらの条件を適宜改変することは、当業者には明
らかであろう。
【0079】 DNAのシークエンシング及び解析の方法は周知である。この方法では酵素を
使用する。このような酵素としては、例えばDNAポリメラーゼIのクレノウ断
片であるSEQUENASETM(Amersham Pharmacia Biotech Ltd., Uppsala, Sweden)
、Taqポリメラーゼ(The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT)、熱安定性T7ポリ
メラーゼ(Amersham Pharmacia Biotech Ltd., Uppsala, Sweden)、或いはELON
GASE増幅システム(Life Technologies)のような校正エキソヌクレアーゼとポ
リメラーゼとの組み合わせがある。配列の調製は、例えばABI CATALYSTTM 800(
The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT)またはMICROLAB 2200(Hamilton Co.,
Reno, NV)システムをサーマルサイクラーとともに用いて自動化するのが好まし
い。また、シークエンシングも、例えばABI PRISMTM 373または377システム(Th
e Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT)またはMEGABACETM 1000キャピラリー電気
泳動システム(Molecular Dynamics, Inc., Sunnyvale, CA)によって自動化す
るのが好ましい。配列の解析は、周知のコンピュータプログラム及びアルゴリズ
ムを用いて行うことができる(例えばAusbel (前出) unit 7.7;及びMeyers, R.A
. (1995) Molecular Biology and Biotechnology, Wiely VCH, Inc, New York,
NY参照)。
【0080】 NHAPをコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用して当業
者に周知の様々なPCRをベースにした方法を用いて延長し、プロモーター及び
調節エレメントのような上流の配列を検出することができる。例えば、使用でき
る方法の一つである「制限部位」PCR法では、汎用の入れ子プライマーを用い
て、クローニングベクター内のゲノムDNAから未知の配列を増幅する(例えば
Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic. 2:318-322参照)。別の方法である逆
PCR法では、多岐した方向に延びているプライマーを用いて、環状の鋳型から
未知の配列を増幅する。この鋳型は、既知のゲノムの座位とその周囲の配列を含
む制限断片から導き出されたものである(例えばTriglia, T.他(1988)Nucleic
Acids Res 16:8186参照)。第3の方法であるキャプチャPCR法では、ヒト及
び酵母菌人工染色体DNAにおける既知の配列に隣接するDNA断片をPCRに
よって増幅する(例えばLagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Applic 1:111-1
19参照)。この方法では、PCRを行う前に、その配列の未知の領域に、複数の
制限酵素による消化及び連結を用いて、組換え二本鎖配列を挿入しておくことが
できる。未知の配列を引き出すために用いることができる他の方法も知られてい
る(例えばParker, J.D.他 (1991) Nucleic Acids Res 19:3055-3060)。更に、
PCR、ネスト化プライマー、PromoterFinderTMライブラリーを用いて、ゲノム
DNA内歩行を行うことができる(Clontech, Palo Alto CA)。この手順ではラ
イブラリーをスクリーニングする必要がなく、イントロン/エクソン接合部を探
し出すのに有用である。あらゆるPCRをベースにした方法において、プライマ
ーは、市販のソフトウェア、例えばOLIGOTM 4.06 Primer Analysis software(N
ational Biosciences Inc., Plymouth MN)又は他の適切なプログラムを用いて
、長さが22〜30ヌクレオチドで、GC含量が概ね50%以上となり、かつ約
68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計することができる。
【0081】 完全長cDNAをスクリーニングするときに好適なライブラリーは、サイズ選
択された大形のcDNAを含むライブラリーである。またランダムプライミング
した(random primed)ライブラリーは、遺伝子の5′領域を含む配列を含むこ
とが多く、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場合に
好ましい。ゲノムライブラリーは、5′の翻訳されない調節領域まで配列を延長
するために有用であり得る。
【0082】 シークエンシングやPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりその
存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることがで
きる。詳述すると、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離の
ための流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の各ヌクレオチドに対して
特異的な蛍光色素、及び放射される波長の検出のためのCCDカメラを用いる。
出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばGenotyperTM及びSequence Navigato
rTM(The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT))を用いて電気信号に変換され、
サンプルの負荷からコンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程をコンピ
ュータ制御することができる。キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に
少量しか存在しないDNA断片の配列決定に特に適している。
【0083】 本発明の別の実施例では、NHAPをコードするポリヌクレオチド配列または
その断片を組換えDNA分子にクローン化して、適切な宿主細胞内におけるNH
AP、その断片、またはその機能的等価物の発現を誘導することができる。遺伝
暗号固有の縮重のために、実質的に同一であるか機能的に等価なアミノ酸配列を
コードする他のDNA配列が作り出されることがあるが、これらの配列もNHA
Pを発現させるために用いることができる。
【0084】 本発明のヌクレオチド配列は、以下に限定するものではないが、遺伝子産物の
クローニング、プロセシング、及び/または発現の仕方を変える目的等の様々な
目的でHNAPをコードする配列を改変するために、周知の方法を用いて組換え
ることができる。ヌクレオチド配列は、無作為断片によるDNA再編成や、遺伝
子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再組立によって組換えること
ができる。例えば、オリゴヌクレオチドによる特定部位突然変異誘発で突然変異
を誘発させることによって、新しい制限部位の挿入、グリコシル化パターンの変
更、コドン選好の変化、スプライスバリアントの生成等を生じさせることができ
る。
【0085】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法を用いてNHAPをコードする配
列の全体、或いはその一部を合成することができる(例えばCaruthers. M.H.他
(1980)Nuc Acids Res Symp Ser 7:215-223; 及びHorn, T.他(1980)Nucl. Ac
ids Res Symp. Ser.225-232参照)。或いは、化学的方法を用いてNHAPそれ
自体、またはその断片を合成することができる。例えば、様々な固相技術でペプ
チド合成を行うことができる(例えばRoberge, J.Y.他(1995) Science 269:202-
204参照)。合成の自動化は、ABI 431Aペプチドシンセサイザ(The Perkin-Elme
r Corp., Norwalk, CT)を用いることにより達成することができる。更に、NH
APのアミノ酸配列またはその一部を、直接の合成の際に改変したり、及び/ま
たは他のタンパク質またはその一部の配列と結合して、変異体ポリペプチドを作
り出すことができる。
【0086】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより実質的に精製する
ことができる(例えばChiez, R.M.及びF.Z. Regnier (1990) Methods Enzymol.
182:392-421参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸解析或いはシーク
エンシングにより確認することができる(例えばCreighton T.(1984)Proteins
Structure And Molecular Properties, WH Freeman and Co., NY参照)。
【0087】 生物学的に活性なNHAPを発現させるためには、NHAPをコードするヌク
レオチド配列或いはその誘導体を、適切な発現ベクター、即ち適切な宿主内にお
ける挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要なエレメントを含
むベクターに挿入する。これらのエレメントとしては、ベクター及びNHAPを
コードするポリヌクレオチド配列における、エンハンサー、構成的及び誘導的プ
ロモーター、及び5’及び3’末端の非翻訳領域のような調節配列等がある。こ
れらのエレメントは、その強さ及び特異性が様々に異なったものであり得る。N
HAPをコードする配列のより効率的な翻訳を達成するために、特定の開始シグ
ナルを用いることもできる。このようなシグナルとしては、開始コドンのATG
及びその近傍の配列、例えばコザック配列等がある。NHAPをコードする配列
及びその開始コドン及び上流の調節配列を、適切な発現ベクターに挿入する場合
には、追加的な転写または翻訳の調節シグナルは不要であり得る。しかし、コー
ディング配列またはその断片のみを挿入する場合には、フレーム内ATG開始コ
ドンを含む外来の翻訳調節シグナルをベクターに挿入しなければならない。外来
の翻訳エレメント及び開始コドンは、天然・合成両方の様々な起源をもつもので
あり得る。発現の効率は、使用される特定の宿主細胞系に適したエンハンサーを
含めることによって向上させることができる(例えばScharf, D他(1994) Result
s Probl. Cell Differ. 20:125-162参照)。
【0088】 NHAPをコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベクタ
ーを作製するために、当業者に周知の方法を用いることができる。これらの方法
としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組換え
技術が含まれる(例えば、Sambrook, J.他(1989)Molecular Cloning, A Labor
atory Manual, Cold Spring Harbor Press, Planview NY, ch. 4, 8及びAusubel
, F.M.等(1995, 及び定期的な増補) Current Protocol in Molecular Biology,
John Wiley &Sons, New York, NY, ch. 9, 13,及び16を参照)。
【0089】 様々な発現ベクター/宿主系を、NHAPコーディング配列の保持、発現のた
めに利用することができる。このようなものとしては、以下に限定するものでは
ないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベク
ターで形質転換した細菌のような微生物;酵母菌発現ベクターで形質転換した酵
母菌;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞
系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タ
バコモザイクウイルス(TMV))或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはp
BR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;或いは動物細胞系が挙げられる
。本発明は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0090】 細菌系では、NHAPをコードするポリヌクレオチドの用途に応じて様々なク
ローニング及び発現ベクターを選択することができる。例えば、NHAPをコー
ドするポリヌクレオチドのルーチンのクローニング、サブクローニング、及び成
長(propagation)を、例えばBluescript(Stratagene)やpSport1TMプラスミド
(GIBCO BRL)のような多機能大腸菌ベクターを用いて達成することができる。
ベクターの様々なクローニング部位にNHAPをコードする配列を組み入れてla
cZ遺伝子を壊すことによって、組換え分子を含む形質転換された細菌を特定する
ための比色によるスクリーニングを行うことができるようになる。更に、これら
のベクターは、in vitro転写、ジデオキシ法のシークエンシング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖レスキュー(single strand rescue)、及びクローン化した配
列における入れ子欠失の生成のために有用であり得る(例えばVan Heeke, G.及
びS.M. Schuster(1989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509)。例えば抗体産生の
ために大量のNHAPが必要な場合には、NHAPの高レベルで発現を誘導する
ベクターを用いることができる。例えば、強い誘導性T5またはT7バクテリオ
ファージプロモーターを含むベクターを用いることができる。
【0091】 NHAPの産生のために、酵母菌発現系を用いることもできる。例えばα因子
、アルコールオキシダーゼ、及びPGHのような構成的または誘導的プロモータ
ーを含む様々なベクターを、酵母菌のサッカロミセスセレビシエ(Saccharomyce
s cerevisiae)やメタノール資化酵母ピチアパストリス(Pichia pastoris)に
おいて用いることができる。更に、そのようなベクターは、発現されたタンパク
質の細胞外への分泌または細胞内での保持の何れかを誘導し、安定的な発現のた
めの外来配列の宿主のゲノムへの組み入れを可能にする(例えばAusubel, 前出;
及びGrant他(1987)Methods Enzymol. 153:516-54; Scorer, C.A.他(1994) Bio/
Technology 12:181-184参照)。
【0092】 NHAPの発現のために植物系も用いることができる。例えばCaMVの35S及び1
9Sプロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takam
atsu,N.他(1987)EMBO J 6:307-311)のオメガリーダー配列と共に用いて、N
HAPをコードする配列の転写を促進することができる。或いは、RUBISCOの小
サブユニットや熱ショックプロモーターのような植物のプロモーターを用いても
よい(例えばCoruzzi, G.他(1984)EMBO J 3:1671-1680; Broglie, R.他(1984
)Science 224:838-843; 及びWinter, J.他(1991)Results Probl. Cell Diffe
r. 17:85-105参照)。これらの作製物は、直接的なDNA形質転換或いは病原体
によるトランスフェクションにより植物細胞内に導入できる(例えばHobbs, S.
又はMurry, L.E. McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)Mc
Graw Hill NY, pp191-196を参照されたい)。
【0093】 哺乳動物の細胞では、多種のウイルスをベースにした発現系を利用することが
できる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、NHAPをコー
ドする配列を、後期プロモーター及び三連リーダー配列(tripartite leader se
quence)からなるアデノウイルスの転写/翻訳複合体に連結することが可能であ
る。ウイルスのゲノムの非必須のE1領域又はE3領域へ挿入することにより、
宿主細胞におけるNHAPを発現する感染性のウイルスが得られる(例えばLoga
n, J.及びT. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659)。さらに、
哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるためにラウス肉腫ウイルス(RSV)エン
ハンサーのような転写エンハンサーを用いることができる。
【0094】 また、ヒト人工染色体(HAC)を用いることにより、プラスミドに組み入れ
られてそこから発現され得るものより大きいDNAの断片を供給することもでき
る。治療上の目的で、6kb〜10MbのHACを構築し、従来のデリバリー方
法(リポソーム、ポリカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用して供給す
ることができる。
【0095】 哺乳動物系において長期間にわたる組換えタンパク質の産生を確保するために
は、細胞系におけるNHAPの安定した発現が望ましい。例えば、ウイルスの複
製起源及び/または内在性発現エレメント及び選択マーカー遺伝子を同一のベク
ター上、或いは個別のベクター上に含み得る発現ベクターを用いて、NHAPを
コードする配列を、細胞系に形質転換することができる。ベクターの導入の後、
細胞を濃縮培地内で概ね1〜2日間増殖させ、次に選択培地に切り替える。選択
マーカーの目的は、選択薬に対する耐性を与え、その存在に基づいて導入された
配列を間違いなく発現する細胞を増殖させ、回収できるようにすることである。
安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞の型に適した組織培養
技術を用いて増殖させることができる。
【0096】 形質転換された細胞系を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系としては、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子(tk)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(
apr)が挙げられ、それぞれtk-又はapr-細胞において用いられる(例えばWigler
, M.他 (1977) Cell 11:223-232、及びLowy, I.他 (1980) Cell 22:817-823参照
)。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用い
ることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはア
ミノ配糖体のネオマイシン及びG−418に対する耐性を与え、als或いはpatは
クロルスルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフ
ェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例え
ば、Wigler, M.他 (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570、Colberre-Ga
rapin, F.他 (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14、及びMurry (前出)参照)。別の
選択に利用できる遺伝子として、例えば、代謝のために細胞が要求する物質を変
える、trpBやhisDが文献に記載されている(例えばHartman, S.C.及びR.C. Mull
igan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-8051)。可視マーカー、例えば
アントシアニン、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein;GFT)
、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるβ−D−グルクロノシド、またはル
シフェラーゼ及びその基質であるルシフェリンを用いてもよい。これらのマーカ
ーは、形質転換体を特定するためばかりでなく、特定の発現ベクター系によ一過
性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために藻い入ることができる
(例えばRhodes, C.A.他 (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131)。
【0097】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示唆され
るが、その存在及び発現は確認する必要があることがある。例えばNHAPをコ
ードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、NHAPをコードす
る配列が組み入れられた形質転換された細胞を、マーカー遺伝子の機能の欠如に
基づいて確認できる。或いは、マーカー遺伝子はNHAPをコードする配列と直
列に配置され得、両者が単一のプロモータの制御下となり得る。誘導に応じたマ
ーカー遺伝子の発現、即ち選択は、通常、直列に配置された配列の発現をも同時
に表す。
【0098】 一般に、NHAPをコードする核酸配列を含みNHAPを発現する宿主細胞は
、当業者に周知の様々な方法により同定することができる。このような方法とし
ては、限定するものではないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリ
ダイゼーション、PCRによる増幅、及び核酸及びタンパク質を検出かつ/また
は定量するための、膜、溶液、或いはチップを用いる技術を含むタンパク質バイ
オアッセイ或いはイムノアッセイ等が挙げられる。
【0099】 このタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず
れかを用いる、NHAPの発現を検出、測定するための免疫学的方法は周知であ
る。このような方法としては、以下に限定するものではないが、酵素結合免疫検
定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FA
CS)等が挙げられる。NHAPポリペプチド上の2つの非干渉なエピトープに対
して反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノ
アッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的
結合アッセイを用いてもよい。これらアッセイの並びに他のアッセイは周知であ
る(例えばHampton, R.他(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual,
APS Press, St. Paul MN; Coligan, J.E.他(1997及び定期的に発行される補遺)
Current Protocols in Immunology, Greene Pub. Associates and Wiley-Inters
cience, New York, NY; 及びMaddox, D.E.他(1983) J. Exp. Med. 158:1211-121
6参照)。
【0100】 様々な標識・結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸及びアミノ酸のア
ッセイにおいて用いることができる。NHAPをコードするポリヌクレオチドに
近縁な配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ・P
CRプローブを作製するための手段には、オリゴ標識法、ニックトランスレーシ
ョン法、末端標識法、或いは標識したヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれ
る。或いは、NHAPをコードする配列またはその任意の断片を、mRNAプロ
ーブの作製のためのベクターにクローン化してもよい。そのようなベクターは周
知で、市販されており、これを用いて例えばT7、T3、或いはSP6のような
適切なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えることによって、
in vitroでRNAプローブを合成することができる。これらの方法は、種々の市
販のキット、例えばPharmacia Upjohn(Kalamazoo, MI);Promega(Madison WI
);及びU.S. Biochemical Corp.(Cleveland OH)から提供されているものを用
いて実施することができる。検出を容易にするために用いられ得る適切なリポー
ター分子、すなわち標識としては、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤
)、化学発光剤、或いは色素剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等
が挙げられる。
【0101】 NHAPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、このタ
ンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で培養す
ることができる。形質転換された細胞により産生されるタンパク質は、用いられ
る配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に保持され
る。当業者には理解されるように、NHAPをコードするポリヌクレオチドを含
む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのNHAP分泌を誘導
するシグナル配列を含むように設計することができる。
【0102】 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を変調したり、発現したタンパク
質を望ましい形にプロセシングする能力ついて選択することができる。このよう
なポリペプチドの修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カルボ
キシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が含
まれる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも、
タンパク質のターゲティング、折り畳み、及び/又は作用を特定するために用い
ることができる。翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的な機構を有し
ている種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、293、及びWI38)はAmerican T
ype Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手でき、導入される外来
タンパク質の正しい修飾やプロセシングが確実に行われるように、このなかから
選択することができる。
【0103】 本発明の別の実施例では、NHAPをコードする、天然の、修飾した、或いは
組換えた核酸配列をヘテロの配列に連結して、上述の宿主系の何れかにおける融
合タンパク質の翻訳を生じさせることができる。例えば、市販の抗体によって認
識され得る異種分子を含むキメラNHAPタンパク質は、ペプチドライブラリー
からのNHAPの活性のインヒビターの選別を促進し得る。そのような分子とし
ては、限定するものではないが、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、
マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結
合ペプチド(CBP)、6-His、FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA)が挙げられ
る。GST、MBP、Trx、CBP、及び6-Hisによって、それぞれ固定化グルタチオン、
マルトース、酸化フェニルアルシン(phenylarsine oxide)、カルモジュリン、
及び金属キレート樹脂の上でのそれらの同属の融合タンパク質の精製が可能とな
る。FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA)によって、それらのエピトープのタ
グを特異的に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用い
た融合タンパク質のイムノアフィニティ精製が可能となる。融合タンパク質を、
NHAPをコードする配列とへテロのタンパク質配列との間にタンパク分解酵素
による切断部位を含むように組換えることによって、NHAPを、精製の後にヘ
テロの分子から切り離すことができるようになる。融合タンパク質の発現及び精
製のための方法は、Ausubel, F.M.他(1995及び定期的補遺) Current Protocols
in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, ch 10に記載されて
いる。融合タンパク質の発現や精製を速やかに行うために、様々な市販のキット
を用いてもよい。
【0104】 本発明の更に別の実施例では、放射標識したNHAPを、TNTTMウサギ網状赤
血球のライセートまたはコムギ胚芽抽出物系(Promega, Madison, WI)を用いて
in vitroで合成することができる。これらの系は、T7、T3、またはSP6プ
ロモーターに機能的に関連するタンパク質コーディング配列の転写と翻訳を結び
つける。翻訳は、放射標識したアミノ酸前駆体、好ましくは35S-メチオニンの存
在の下で生じる。
【0105】 NHAPの断片の作製は、組換え体の産生によって行うのみならず、固相技術
を用いた直接のペプチド合成によっても行うことができる(例えばCreighton,
前出pp.55-60参照)。タンパク質合成は、手作業により、或いは自動的に行うこ
とができる。合成の自動化は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成
機 (The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT) を用いて達成することができる。
NHAPの様々な断片を個別に合成し、それを連結して完全長分子を作り出すこ
とができる。
【0106】 治療 NHAPとマウス由来のアスパラギン酸プロテアーゼ様タンパク質(Gl 19068
90)との間に例えば配列及びモチーフに関連する化学的及び構造的類似性が存在
する。更に、NHAPは、内分泌組織の疾患、癌、炎症及び免疫応答の疾患、及
び呼吸器疾患で発現される。従って、NHAPは、呼吸器疾患、内分泌疾患、及
び免疫疾患、及び癌において一定の役割を果たしていると考えられる。
【0107】 従って、或る実施例では、NHAPの発現又は活性の低下に関連する内分泌疾
患の治療又は予防のために、NHAP又はその断片若しくは誘導体を患者に投与
し得る。このような疾患としては、以下に限定するものではないが、性腺機能低
下症、シーハン症候群、尿崩症、カルマン症候群、ハンド−シュラー−クリスチ
ャン病、レトラー−ジーヴェ病、サルコイドーシス、エンプティセラ症候群、及
び小人症のような下垂体機能低下症に関連する疾患、及び結節性甲状腺腫、粘液
水腫、細菌感染に関連する急性甲状腺炎、ウイルス感染に関連する亜急性甲状腺
炎、自己免疫性甲状腺炎(橋本病)、及びクレチン病を含む甲状腺機能低下症に
関連する疾患を挙げることができる。
【0108】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したもののような内分泌
疾患の治療又は予防のために、NHAP又はその断片若しくは誘導体を発現し得
るベクターを患者に投与し得る。
【0109】 更に別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したもののような内
分泌疾患の治療又は予防のために、実質的に精製されたNHAPを、適切な医薬
用担体と共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0110】 更に別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したもののような内
分泌疾患の治療又は予防のために、NHAPの活性を変調するアゴニストを患者
に投与し得る。
【0111】 更に別の実施例では、NHAPの発現又は活性の上昇に関連する内分泌疾患の
治療又は予防のためにNHAPのアンタゴニストを患者に投与し得る。このよう
な疾患としては、以下に限定するものではないが、先端肥大症、巨人症、及び抗
利尿ホルモン(ADH)不適切症候群(SIADH)のような下垂体機能亢進症
;甲状腺中毒症及びその様々な形態、グレーブス病、前頸骨粘液水腫、中毒性多
結節性甲状腺腫、甲状腺癌、及びプランマー病のような甲状腺機能亢進症;及び
コン症候群(慢性高カルシウム血症)のような上皮小体機能亢進症を挙げること
ができる。或る実施態様では、NHAPに特異的に結合する抗体を、アンタゴニ
ストとして直接的に用いたり、或いはNHAPを発現する細胞又は組織に薬物を
送達するためのターゲティング又はデリバリー機構として間接的に用いることが
できる。
【0112】 更に別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む内分
泌疾患の治療又は予防のために、NHAPをコードするポリヌクレオチドの相補
配列を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0113】 更に別の実施例では、呼吸器疾患の治療又は予防のためにNHAPのアンタゴ
ニストを患者に投与し得る。このような疾患としては、以下に限定するものでは
ないが、アレルギー、喘息、急性及び慢性の炎症性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群
(ARDS)、肺気腫、肺うっ血及び肺浮腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、
間質性肺疾患、及び肺癌を挙げることができる。
【0114】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む呼吸器疾
患の治療又は予防のために、NHAPをコードするポリヌクレオチドの相補配列
を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0115】 更に別の実施例では、癌の治療又は予防のために、NHAPのアンタゴニスト
を患者に投与することができる。このような癌としては、以下に限定するもので
はないが、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫、具体的
には副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、消化管、心臓、
腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、
脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌を挙げることができる。
【0116】 更に別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の
治療又は予防のために、NHAPをコードするポリヌクレオチドの相補配列を発
現するベクターを患者に投与し得る。
【0117】 更に別の実施例では、免疫疾患の治療又は予防のために、NHAPのアンタゴ
ニストを患者に投与し得る。このような疾患としては、以下に限定するものでは
ないが、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群
、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド沈着症、貧血症、喘息、アテローム性
硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、胆嚢炎、接触
性皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、リンパ
球毒素性一時性リンパ球減少症、胎児性赤芽球症、結節性紅斑、萎縮性胃炎、腎
炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増
加症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎又は心膜炎、変形
性関節炎、骨粗鬆症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ライター症候群、リウマチ性関
節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマ
トーデス、全身性硬化症、血小板減少性紫斑病、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ウ
ェルナー症候群、癌と血液透析と体外循環の合併症、ウイルス感染、細菌感染、
真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、蠕虫感染、及び外傷等を挙げることができる
【0118】 別の実施例では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む免疫疾患
の治療又は予防のために、NHAPをコードするポリヌクレオチドの相補配列を
発現するベクターを患者に投与し得る。
【0119】 別の実施例では、本発明のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、
相補配列、又はベクターを、他の適切な薬物と組み合わせて投与することができ
る。併用療法において使用するための適切な薬剤を、当業者は既存の医薬上の原
理に基づいて選択することができよう。治療薬を組み合わせることにより、上述
した様々な疾患の治療又は予防に効果を奏する相乗作用を与えることができる。
この方法を用いることにより、より低い用量の薬剤で治療効果を達成することが
でき、従って副作用を減らすことができる。
【0120】 NHAPのアンタゴニストは周知の方法を用いて製造することができる。詳述
すると、精製されたNHAPを、抗体を作り出したり、或いはNHAPに特異的
に結合するものを同定するべく薬物のライブラリーをスクリーニングするために
用いることができる。NHAPに対する抗体も周知の方法を用いて作り出すこと
ができる。このような抗体としては、以下に限定するものではないが、ポリクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、及び一本鎖抗体、Fabフラグ
メント、及びFab発現ライブラリーによって作り出されたフラグメントを挙げ
ることができる。中和抗体(即ち二量体形成を阻害するもの)は、治療の用途に
特に好適である。
【0121】 ポリクローナル抗体を作り出すため、NHAPか、免疫学的特性を有するその
断片或いはオリゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、マ
ウス等の様々なホストを免疫化することができる。モノクローナル抗体の製造を
含むダウンストリームの用途のために用いるホストとしては、ラット及びマウス
が好ましい。免疫学的反応を増強するために、ホストの種に応じた様々なアジュ
バントを用いることができる。そのようなアジュバントとしては、限定するもの
ではないが、フロイントのアジュバント、水酸化アルミニウムのような無機質ゲ
ル、リゾレシチンのような界面活性剤、プルロニックポリオール(pluronic pol
yol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシニア
ン並びにジニトロフェノール等が挙げられる。ヒトで使用するアジュバントのな
かでは、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリネバクテリウム−パルヴム
(Corynebacterium parvum)が特に好適である(抗体の製造及び解析のための方
法について再検討するためには、例えばHarlow, E.及びLane, D. (1988) Antibo
dies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Ha
rbor, N.Y.参照)。
【0122】 NHAPに対する特異的抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペ
プチド、または断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好ましくは14個
以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は、元のタン
パク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸
配列を含んでいるのが好ましい。NHAPアミノ酸の短いストレッチを、キーホ
ールリンペットヘモシアニンのような他のタンパク質のストレッチと融合するこ
とができ、そのキメラ分子に対する抗体を産生させることができる。
【0123】 NHAPのモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(continuous
cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このような技術
として、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリド
ーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術等が挙げられる(例えばKohler, G.
他(1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D.他(1983) J. Immunol. Methods 81 :
31-42;Cote, R.J.他(1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;及びCole,
S.P.他(1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120)。
【0124】 さらに、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための、例えば
マウス抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングする技術のような「キメラ
抗体」の産生のために開発された技術を用いることができる(例えばMorrison,S
.L.他 (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.他 (198
4) Nature 312:604-608;Takeda, S.他 (1985) Nature 314:452-454)。或いは
、周知の方法によって一本鎖抗体の製造のための技術を適用して、NHAPに特
異的な一本鎖抗体を作り出すことができる。関連する特異性を有するがイディオ
タイプの構成が異なる抗体は、無作為の免疫グロブリン組み合わせライブラリー
からの鎖再編成(chain shuffling)によって作り出すことができる(例えばBur
ton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11134-10137)。
【0125】 また、文献(例えばOrlandi, R.他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:3833-
3837;及びWinter, G.他1991, Nature 349:293-299参照)に開示されているよう
に、高度に特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをス
クリーニングすることによって、或いはリンパ球集団のin vivoでの産生を誘導
することによって抗体を作り出すこともできる。
【0126】 NHAPに対する特異結合部位を含む抗体断片を作り出すこともできる。この
ような断片としては、限定するものではないが、抗体分子のペプシンによる消化
で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′)2フラグメ
ントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができるFabフラグ
メント等が挙げられる。或いは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフ
ラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリーを作製
してもよい(例えば、Huse, W.D.他(1989)Science 256:1275-1281参照)。
【0127】 所望の特異性及び最小限の交差(cross-reactivity)を有する抗体を同定する
ためのスクリーニングに、様々なイムノアッセイを利用することができる。確立
された特異性を有するモノクローナル抗体或いはポリクローナル抗体のいずれか
を用いる、競合的結合アッセイ或いはラジオイムノアッセイの様々なプロトコル
が当分野で周知である。このようなイムノアッセイでは、NHAPとその特異的
抗体との複合体の形成量が測定される。好適なのは、特定のNHAPタンパク質
上の2つの互いに非干渉なエピトープに対して反応するモノクローナル抗体を用
いる二部位モノクローナル抗体ベースイムノアッセイ(two sites monoclonal b
ased immunoassay)であるが、競合的結合アッセイも用いられる(Maddox , 前
出)。
【0128】 ラジオイムノアッセイとともに、スキャッチャード解析(Scatchard analysis
)のような様々な方法を用いて、NHAPの抗体の親和性を評価することができ
る。親和性は結合定数Kaで表され、この結合定数Kaは、平衡状態の下において
NHAP−抗体複合体のモル濃度をフリーの抗原及びフリーの抗体のモル濃度で
除したものとして定義される。ポリクローナル抗体は異なる複数のNHAPエピ
トープに対する親和性が一様でなく、このポリクローナル抗体の調製物に対して
求められたKaは、NHAPの抗体の平均の親和性、即ち結合活性を表す。モノ
クローナル抗体は特定のNHAPのエピトープに単一特異的であり、このモノク
ローナル抗体の調製物に対して求められたKaは、親和性の真の測定値を表す。
aが約109〜1012L/molの範囲にある高親和性抗体調製物は、NHAP−抗体複
合体が厳密な操作に耐えなければならないような免疫学的精製法での使用に好適
であり、Kaが約106〜107L/molの範囲にある低親和性抗体調製物は、最終的に抗
体からNHAPを好ましくは活性状態で分離する必要のある免疫学的精製法及び
類似の手順での使用に好適である(Catty, D. (1988) Antibodies, Volume I: A
Practical Approach, IRL Press, Washington, D.C.; 及びLiddell, J. E.及び
Cryer, A. (1991) A Practical Guide to Monoclonal Antibodies, John Wiley
& Sons, New York, NY)。
【0129】 ポリクローナル調製物の力価及び結合活性を更に評価して、ある種のダウンス
トリームの用途で用いる調製物の質や適合性を決定することができる。例えば、
1ml当たり、少なくとも1〜2mgの特異的抗体、好ましくは5〜10mgの特異的
抗体を含むポリクローナル抗体調製物は、NHAP−抗体複合体の沈降に必要な
手順で用いるのに好適である。抗体の特異性、力価、及び結合活性を評価するた
めの手順、及び抗体の質や様々な用途での抗体の使用のための指針は、一般に有
効である(例えばCatty, (前出)、及びColigan他 (前出)参照)。
【0130】 本発明の別の実施例では、NHAPをコードするポリヌクレオチド、またはそ
の任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実施態様
では、mRNAの転写をブロックすることが望ましいような状況において、NH
APをコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることができる。詳
述すると、NHAPをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細胞を形質
転換することができる。従って、相補的分子または断片を用いて、NHAPの活
性を変調、即ち遺伝子の機能を調節することができる。このような技術は現在周
知であり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくはより大きな断
片は、NHAPコーディング配列のコード領域や調節領域の様々な位置から設計
することができる。
【0131】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターを、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いることが
できる。NHAPをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を
発現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例え
ばSambrook (前出) 及びAusubel (前出)参照)。
【0132】 NHAPをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発現する
発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、NHAPをコードす
る遺伝子を遮断することができる。このような作製物を用いて、翻訳不可能なセ
ンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することができる。このようなベ
クターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベクターが内在性ヌクレア
ーゼにより破壊されるまでRNA分子の転写を続ける。このような一過性の発現
は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系の一部
である場合には更に長い期間継続し得る。
【0133】 上述のように、NHAPをコードする遺伝子の制御領域、5′領域、または調
節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に対す
る相補配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計する
ことにより遺伝子の発現の仕方を変えることができる。転写開始部位、例えば開
始部位の概ね+10〜−10の間の位置にある領域に由来するオリゴヌクレオチ
ドが好適である。同様に、三重らせん塩基対合法を用いて阻害を達成することが
できる。三重らせん対合が有用なのは、二重らせんが、ポリメラーゼ、転写因子
、或いは調節分子の結合のために十分にほどける能力をそれが阻害するからであ
る。三重らせんDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献に記載され
ている(例えば Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Appro
aches, Futura Publishing Co, Mt Kisco NY, pp. 163-177におけるGee, J.E.他
(1994)参照)。また、相補配列、即ちアンチセンス分子を設計して、転写物のリ
ボソームへの結合を妨げてmRNAの転写を阻害することもできる。
【0134】 酵素性RNA分子であるリボザイムは、RNAの特異的切断を触媒することが
できる。リボザイムの作用機構では、リボザイム分子が、相補的標的RNAに配
列特異的にハイブリダイズし、その後エンドヌクレアーゼによる切断(endonucl
eolytic cleavage)が行われる。例えば、人工合成のハンマーヘッド型リボザイ
ム分子は、NHAPをコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的
かつ効果的に触媒し得る。
【0135】 標的となり得るRNA内の特定のリボザイム切断部位を、初めに、標的の分子
における、配列GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位をスキャンするこ
とによって同定する。一旦同定されれば、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対
応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列に対して、その
オリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴を評価することができる
。候補の標的の適切性も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(ribonucl
ease protection assay)によって、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリ
ダイゼーションにおける接触性(accessibility)を測定することにより評価す
ることができる。
【0136】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための当分
野で周知の方法により作製することができる。これらの技術としては、固相ホス
ホラミダイト化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの化学合成技術等が挙げら
れる。或いは、RNA分子は、in vivo及びin vitroでのNHAPをコードする
DNA配列の転写により作り出すことができる。このようなDNA配列は、T7
或いはSP6のような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する様々なベ
クターに組み入れることができる。或いは、相補的RNAを合成するcDNA作
製物を、構成的に或いは誘導的に、細胞系、細胞或いは組織内に導入することが
できる。
【0137】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾としては、限定するものではないが、その分子の
5′末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバ
ックボーン内でのホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phos
phorothioate)或いは2′O−メチルの使用が挙げられる。この方式(concept
)は、本来PNAの作製において用いられるもので、これら分子の全てに、以下
の方法によって拡張することができる。即ち内在性エンドヌクレアーゼにより容
易に認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミン、及びウリジンの、ア
セチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の形態の修飾によるばかりでなく、
イノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(Wybutosine)のよう
な従来あまり用いられなかった塩基を含めることによって拡張することができる
【0138】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
それらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても同様に適
している。ex vivo治療法の場合には、患者から採取された幹細胞にベクターを
導入し、自家移植用にクローンとして増殖させて同じ患者に戻す方法がある。ま
たトランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカチオン
アミノポリマーによるデリバリーは、当分野でよく知られた方法を用いて実施す
ることができる(例えばGoldman, C.K.他(1997) Nature Biotechnology 15:462-
466参照)。
【0139】 上述の治療法は何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、最も
好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用することが
できる。
【0140】 本発明の別の実施例では、上述の治療効果をあげるために、医薬品組成物を医
薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物は、NHAP、
NHAPに対する抗体、NHAPの模擬体(mimetics)、アゴニスト、アンタゴ
ニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医薬品組成物は、単体
で、或いは例えば安定剤のような1種以上の他の薬剤とともに、滅菌した生体適
合性の医薬用担体を用いて投与する。このような担体としては、限定はしないが
、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水等が挙げられる。このような組成
物は、単体で、或いは他の薬剤やホルモンと組み合わせた形で患者に投与するこ
とができる。
【0141】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、くも膜下
内投与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与
、局所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0142】 これらの医薬品組成物は、主成分に加えて、作用物質を医薬上使用可能な製剤
にするための処理を容易にする、賦形剤及び補助剤のような適切な医薬上許容さ
れる担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、Remington's Phar
maceutical Sciences(Maack Publishing Co., Easton, PA)の最新版において
見ることができる。
【0143】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が服用するための、錠剤、丸剤、カプセル剤、液体剤、ゲル剤、シロ
ップ剤、スラリー剤、懸濁液等に製剤することができる。
【0144】 経口投与するための製剤は、活性化合物と固形の賦形剤とを結合することによ
って作製できる。必要ならば、適切な補助剤を添加できる。適切な賦形剤として
は、ラクトース、スクロース、マンニトール或いはソルビトールを含む砂糖のよ
うな糖質或いはタンパク質の賦形剤、トウモロコシ、コムギ、コメ、ジャガイモ
等のでんぷん、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース或いは
カルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセルロース、アラビアゴム或
いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或いはコラーゲンのようなタン
パク質である。必要ならば崩壊剤或いは可溶化剤、例えば架橋結合したポリビニ
ルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩を
加えてもよい。
【0145】 糖衣剤コア(dragee core)は、濃縮砂糖溶液等により適切な錠皮を塗布して
用いられる。錠皮を塗布するための溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリ
ビニルピロリドン、カルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール及び/または二
酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる
。錠剤の識別のため、すなわち主成分の量即ち投与量を表示するために染料或い
は色素を錠剤或いは錠皮に加えてもよい。
【0146】 経口投与可能な製剤としては、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル及
びゼラチンからなる柔軟な密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソル
ビトールのような錠皮が挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトース
或いはでんぷんのような賦形剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネ
シウムのような潤滑剤、並びに所望に応じて安定剤と混合された主成分を含み得
る。柔軟なカプセルでは、主成分が、安定剤とともに或いは安定剤なしで、脂肪
油、液体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或
いは懸濁されている。
【0147】 非経口投与用の製剤は、水溶液、好ましくはハンクの溶液、リンゲル溶液或い
は生理緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液において配合することがで
きる。水性の注射用懸濁剤には、 例えばカルボキシルメチルセルロースナトリ
ウム、ソルビトール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質を含
めることができる。更に、主成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁剤として調
製される。適切な親油性の溶媒或いは担体としては、胡麻油のような脂肪油や、
オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソームのような合成脂肪酸エステ
ルがある。脂質でないポリカチオンのアミノポリマーをデリバリーのために用い
ることもできる。懸濁剤には、溶解度を高め濃縮度の高い溶液の調製を可能にす
る適切な薬剤または安定剤を、所望に応じて加えることができる。
【0148】 局所的投与または経鼻粘膜投与用には、浸透させる特定の障壁に対して適切な
浸透剤を用いて製剤する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である
【0149】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合、溶解、顆粒化、
糖衣形成、研和、乳化、封入(entrapping)、或いは凍結乾燥により製造される
【0150】 この医薬品組成物は塩類として提供されることもあり、限定するものではない
が塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とと
もに形成することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応
するフリーの塩基形態より溶解性が高くなる傾向がある。この他、好ましい製剤
には、pH4.5〜5.5の範囲にあって、使用前に緩衝剤と結合させる、1m
M〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニ
トールの全てまたは何れかを含む凍結乾燥粉末がある。
【0151】 医薬品組成物は、調製された後、適切な容器内に入れ、さらに提示した状態の
治療のためにラベル付けすることができる。NHAPの投与の場合、このような
ラベルには、投与の量、頻度、方法が表示される。
【0152】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、主成分を所望の目的を
達成するために有効な量含む組成物である。有効な量の決定は、当業者の能力の
範囲内で十分行うことができる。
【0153】 あらゆる化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通
常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセ
イから推定することができる。適切な濃度範囲や投与経路を決定するために動物
モデルを用いることもできる。次に、このような情報を利用して、ヒトにおける
有効な量や投与経路を決定することができる。
【0154】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばNHAPまたは
その断片、NHAPの抗体、NHAPのアゴニスト、アンタゴニスト、またはイ
ンヒビターの量である。そのような化合物の毒性及び治療上の有効性は、細胞培
地における或いは実験動物を用いた標準的な医薬上の手順によって、例えばED 50 (個体群の50%における治療上の有効な量、50%有効量)、LD50(個体
群の50%の致死投与量)統計量を計算することによって決定することができる
。毒性と治療有効性との間の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比
として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これ
らの細胞培地のアッセイ及び動物実験から得られるデータは、ヒトで使用するた
めの投与量の範囲を決める際に用いることができる。そのような化合物の投与量
は、毒性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内にある
ことが望ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応
じてこの範囲内で変わってくる。
【0155】 正確な投与量は、処置が必要な患者に関連する要素を考慮して担当医師が決定
する。用量及び投与は、主成分を十分なレベルだけ与え、かつ所望の効果を維持
するべく調節する。考慮すべき要素としては、疾病状態の重症度、患者の一般的
な健康状態、患者の年齢、体重、並びに性別、投与の時間及び頻度、併用する薬
剤、反応感受性、並びに治療に対する反応等が挙げられる。長期的に作用する医
薬品組成物は、その特定の配合の半減期及びクリアランス速度に応じて3〜4日
毎に、1週間毎に、或いは2週間に1度投与することができる。
【0156】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大
約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いはデリバリー
の方法に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献において見出す
ことができる。当業者であれば、ヌクレオチドでは、タンパク質やインヒビター
用の剤形とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたは
ポリペプチドのデリバリーの方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まっ
てくる。
【0157】 診断 別の実施例では、NHAPに特異的に結合する抗体を、NHAPの発現によっ
て特性化される疾病の診断において、或いは、NHAPやNHAPのアゴニスト
、アンタゴニスト、またはインヒビターで治療を受けている患者のモニタリング
のためのアッセイにおいて用いることができる。診断のために有用な抗体は、上
述の治療用のものと同一の方法で作ることができる。NHAPの診断アッセイと
して、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物においてNHAPを検出するために
抗体或いは標識を利用する方法等がある。抗体は、修飾して用いても、修飾なし
で用いてもよく、共有結合、或いは非共有結合かのいずれかでリポーター分子と
結合させることにより標識することができる。様々なリポーター分子が周知であ
り、それを用いることができるが、その幾つかについては上記した。
【0158】 ELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)並びに
FACS(蛍光表示式細胞分取器法)のような、NHAPを測定するための様々
なプロトコルが当分野では周知であり、これによってNHAP発現の変化や異常
を診断するための基礎が得られる。NHAPの発現の正常値、つまり標準値は、
哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者の体液或いは細胞抽出物とNHAPの
抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合させることによって確立する。標
準の複合体形成量は、様々な方法、好ましくは測光手段を用いることにより定量
することができる。被験者の、生検組織の患部組織サンプル及び対照サンプルに
おいて発現されたNHAPの量を、標準値と比較する。標準値と被験者の値との
偏差から、疾病の診断のためのパラメータを確立する。
【0159】 本発明の別の実施例では、NHAPをコードするポリヌクレオチドを、診断目
的で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレ
オチド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びPNA等がある。このポリヌク
レオチドは、NHAPの発現が疾病と相関性を有し得る生検組織における遺伝子
発現を検出し、定量するために用いられる。診断アッセイは、NHAPが存在す
る状態か、存在しない状態か、過剰発現している状態の何れの状態にあるかを区
別したり、治療的な介入においてNHAPレベルの調節をモニタリングするため
に利用することができる。。
【0160】 或る実施態様では、NHAPまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含
むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼーショ
ンを利用して、NHAPをコードする核酸配列を同定することができる。そのプ
ローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(例えば5′調
節領域)、或いは特異性の低い領域(例えば保存的モチーフ)の何れに由来する
のか、ということや、及びハイブリダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度
の或いは低い)厳密性によって、そのプローブが自然発生のNHAPをコードす
る配列のみを同定するものであるか、或いはアレル変異体や近縁な配列も同定す
るものであるかということが決まってくる。
【0161】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
NHAPをコードする任意の配列と少なくとも50%の同一性を有するべきであ
る。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはRNAであり得
、かつSEQ ID NO:2、SEQ ID NO:4の配列か、NHAP遺伝子
のイントロン、プロモータ、及びエンハンサーを含むゲノムの配列に由来するも
のであり得る。
【0162】 NHAPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロー
ブを作製するための手段としては、NHAPやNHAP誘導体をコードするポリ
ヌクレオチド配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する
方法がある。このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメ
ラーゼや適切な標識ヌクレオチドを加えることによりin vitroでのRNAプロー
ブ合成のために用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは様々な
リポーター分子により標識することができる。例えば、32Pや35Sのような放射
性核種により、またはアビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するア
ルカリホスファターゼのような酵素標識等により標識することができる。
【0163】 NHAPをコードするポリヌクレオチド配列を、NHAPの発現に関連する疾
患の診断のために用いることができる。そのような疾患の例としては、以下に限
定するものではないが、内分泌疾患、例えば性腺機能低下症、シーハン症候群、
尿崩症、カルマン症候群、ハンド−シュラー−クリスチャン病、レトラー−ジー
ヴェ病、サルコイドーシス、エンプティセラ症候群、及び小人症を含む下垂体機
能低下症に関連する疾患や、例えば先端肥大症、巨人症、及び抗利尿ホルモン(
ADH)不適切症候群(SIADH)のような下垂体機能亢進症や、例えば甲状
腺腫、粘液水腫、細菌感染に関連する急性甲状腺炎、ウイルス感染に関連する亜
急性甲状腺炎、自己免疫性甲状腺炎(橋本病)、及びクレチン病のような甲状腺
機能低下症に関連する疾患や、例えば甲状腺中毒症及びその様々な形態、グレー
ブス病、前頸骨粘液水腫、中毒性多結節性甲状腺腫、甲状腺癌、及びプランマー
病のような甲状腺機能亢進症や、例えばコン症候群(慢性高カルシウム血症)の
ような上皮小体機能亢進症;アレルギー、喘息、急性及び慢性の炎症性肺疾患、
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺うっ血及び肺浮腫、慢性閉塞性肺
疾患(COPD)、間質性肺疾患、及び肺癌のような呼吸器疾患;腺癌、白血病
、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫、具体的には副腎、膀胱、骨、骨
髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、消化管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、
卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状
腺、及び子宮の癌;免疫疾患、例えば後天性免疫不全症候群(AIDS)、アジ
ソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド沈着症、
貧血症、喘息、アテローム性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺
炎、気管支炎、胆嚢炎、接触性皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋
炎、糖尿病、肺気腫、リンパ球毒素性一時性リンパ球減少症、胎児性赤芽球症、
結節性紅斑、萎縮性胃炎、腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病
、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、多発性硬化症、重症筋無力
症、心筋炎又は心膜炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、膵炎、多発性筋炎、乾癬、ラ
イター症候群、リウマチ性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフ
ィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、血小板減少性紫斑病、潰
瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、ウェルナー症候群、癌と血液透析と体外循環の合併症
、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、蠕虫感染、及び
外傷が挙げられる。患者の生検組織や体液を利用する、サザンブロット法或いは
ノーザンブロット法、ドットブロット法或いは他の膜をベースにした技術や、P
CR技術や、ディップスティック試験法(試験紙法)、ピン技術、及びELIS
Aアッセイや、またはマイクロアレイにおいてNHAPをコードするポリヌクレ
オチド配列を用いることによって、NHAPの発現の変化を検出することができ
る。このような定性的或いは定量的試験法は当分野では周知である。
【0164】 特定の実施態様では、関連する疾患、特に上に列挙した疾患の存在検出するア
ッセイにおいてNHAPをコードするヌクレオチド配列が有用であり得る。NH
APをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダイゼー
ション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加えること
ができる。適切なインキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄し、シ
グナルを定量して標準値と比較する。患者のサンプルにおけるシグナルの量が、
対照サンプルのシグナル量と有意に異なっている場合、このヌクレオチド配列は
サンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイズしており、サンプルのなかのNH
APをコードするヌクレオチド配列のレベルの変化が生じていることは、関連す
る疾患の存在を示している。このようなアッセイは、動物実験、臨床試験、また
は個々の患者の治療のモニタリングにおける特定の治療上の処置の有効性を評価
するために用いることもできる。
【0165】 NHAPの発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、即ち標準
の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト何れ
かの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリダイゼー
ション或いは増幅に適した条件下でNHAPをコードする配列又はその断片と結
合することにより確立し得る。標準のハイブリッド形成量は、既知の量の実質的
に精製されたNHAPが用いられる実験で得られる値と、正常被験者で得られる
値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプルから得られた
標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる値と比較することが
できる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認する。
【0166】 一旦疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを定期的に反復して行って、患者における発現のレベルが正常な患者
において観察されるレベルに近づき始めたか否かを決定することができる。継続
的なアッセイから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での
治療の効果を知ることができる。
【0167】 癌については、生検組織において転写物が比較的多量に存在することが、疾病
の発生の素因を示し、つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出する手段
となり得る。このタイプのより確定診断により、医療従事者が予防的処置を講じ
たり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予防すること
が可能となる。
【0168】 NHAPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの他の診断目的
の使用法では、PCR法を利用することがある。このようなオリゴマーは化学的
に合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製することができ
る。オリゴマーは、好ましくは、NHAPをコードするポリヌクレオチドの断片
、またはNHAPをコードするポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの
断片を含み、特定の遺伝子或いは状態を識別するために最適な条件下で用いられ
る。オリゴマーは、近縁なDNAまたはRNA配列の検出または定量のための低
めの厳密性条件の下で用いることもできる。
【0169】 NHAPの発現の定量のために用いることもできる方法として、放射標識(ra
diolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核酸の同時
増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準のグ
ラフ曲線の利用等がある(例えばMelby, P.C.他(1993) J. Immunol. Methods, 1
59:235-244;及びDuplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 229-236参照)。多数の
サンプルの定量では、目的のオリゴマーが様々な希釈溶液中に存在し、分光光度
計を用いたり比色定量によって迅速に定量することができるようなELISA形
式のアッセイを行うことによって一層定量のスピードを上げることができる。
【0170】 別の実施例では、ここに開示するポリヌクレオチド配列の何れかに由来するオ
リゴヌクレオチドまたは長めの断片を、マイクロアレイにおけるターゲット(標
的)として用いることができる。マイクロアレイを用いることにより、多くの遺
伝子の発現レベルを同時にモニタし、また遺伝子の変異体、変異及び多型を同定
することができる。この情報は、遺伝子の機能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の
理解、疾病の診断、及び治療薬の開発やその作用のモニタリングのために利用す
ることができる。
【0171】 マイクロアレイは、周知の方法を用いて準備し、使用し、解析することができ
る(例えばBrennam, T.M.他(1995)米国特許第5,474,796号;Schena, M.他 (1996
) Proc. Natl. Acad. Sci. 93:10614-10619;Baldeschweiler他 (1995) PCT出願
WO 95/251116;Shalon, D.他 (1995) PCT出願WO95/35505:Heller, R.A.他 (199
7) Proc. Natl. Acad. Sci. 94:2150-2155;及びHeller, M.J.他 (1997) 米国特
許第5,605,662号参照)。
【0172】 本発明の別の実施例では、NHAPをコードする核酸配列を用いて、自然発生
のゲノム配列マッピングのために有用なハイブリダイゼーションプローブを作り
出すことができる。この配列は、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は人工
染色体作製物にマッピングし得る。人工染色体作製物としては、例えばヒト人工
染色体(HACs)、酵母菌人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BAC
s)、細菌性P1作製物、又は単染色体cDNAライブラリー等がある(例えば
Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134;及びTrask, B.J. (1991) Trends G
enet. 7:149-154参照)。
【0173】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッ
ピング技術及び遺伝子地図データと関係がある(例えば、Meyers, R. A. (ed.) Molecular Biology and Biotechnology , VCH Publishers New York, NY, pp. 96
5-968に記載のHeinz-Ulrich他(1995)参照)。遺伝子地図データの例は、種々の
科学誌や、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)サイトに見られる。
物理的染色体地図上でのNHAPをコードする配列の位置と、特定の疾病(即ち
特定の疾病の素因)との相関関係を助けとして、ある疾病に関係するDNAの領
域のを決定することができる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、キ
ャリア、及び患者との遺伝子配列の違いを検出することができる。
【0174】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーションや、確立された染色体マーカ
ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術を、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数やアームが未知で
あっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連する
マーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアームへ割
当てることができる。これにより、位置クローニング或いは他の遺伝子発見技術
を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報をもたらすことができる。ひ
とたび、疾患或いは症候群が、遺伝子連鎖によって特定のゲノム領域に粗く位置
決定されたならば(例えば毛細血管拡張性運動失調は11q22-23へ)、その領域に
マッピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは
調節遺伝子を表し得ることになる(例えばGatti, R.A.等(1988)Nature 336:57
7-580参照)。本発明のヌクレオチド配列を、正常者、キャリア、及び患者の間
の、転座、逆位等によって生じた染色体の位置の違いを検出するために用いるこ
ともできる。
【0175】 本発明の別の実施例では、NHAPや、その触媒作用性または免疫原性断片、
オリゴペプチドを、様々な薬物スクリーニング技術において化合物のスクリーニ
ングのために用いることができる。そのようなスクリーニングにおいて用いられ
る断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固形支持体へ付着した形態で存在
するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在するもので
あり得る。NHAPと試験対象の薬剤との複合体形成を測定することができる。
【0176】 別の薬物スクリーニング技術によって、対象のタンパク質に対する適切な結合
親和性を有する化合物の高スループットのスクリーニングを行うことができる(
例えばGesen他(1984)PCT出願WO84/03564参照)。この方法では、多数の異なる小
形ペプチドの試験対象の化合物を、プラスチックピン或いは他の表面のような固
体基質上で合成する。試験対象の化合物をNHAP又はその断片と反応させ、洗
浄する。次に結合NHAPを周知の方法により検出する。また、前述の薬物スク
リーニング技術において使用するために、精製NHAPをプレート上に直接コー
ティングすることもできる。或いは、非中和抗体を用いて、ペプチドを捕捉して
固形支持体上にペプチドを固定することができる。
【0177】 別の実施例では、NHAPに結合し得る中和抗体がNHAPの結合について試
験対象の化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを用いる
ことができる。この方法では、抗体を用いて、NHAPの1又は2以上の抗原決
定基を共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。
【0178】 更に別の実施例では、NHAPをコードするヌクレオチド配列を、ヌクレオチ
ド配列の既知の特性、(例えば、限定するものではないが、トリプレット遺伝暗
号や特異的塩基対合のような特性に基づく現時点では未開発の新規技術)に基づ
く分子生物学上の技術において用いることができる。
【0179】 当業者であれば、更なる詳細な説明がなくとも、上述の説明に基づいて本発明
を最大限に利用することができると思われる。従って、以下の特定の好適実施例
は、あらゆる他の部分における開示内容を限定するものではなく単なる例示と解
釈されたい。
【0180】 本明細書に記載されているあらゆる特許、特許出願、及び文献、特に米国特許
出願第09/116,641号の開示内容は、ここで引用することにより本明細書の一部と
する。
【0181】
【実施例】
1 cDNAライブラリーの作製 RNAはClontech社(Palo Alto, CA)から購入するか、或いは末尾の表1に
記載の組織からインサイト社において単離した。組織をグアニジウムイソチオシ
アネートの中でホモジナイズ・溶解し、その溶解産物を塩化セシウム密度勾配遠
心法で遠心分離した。或いは、この組織をフェノール又はTRIzol試薬(Life Tec
hnologies)のような変性剤、フェノール及びグアニジンイソチオシアネートの
単相溶液の適切な混合物においてホモジナイズ・溶解し、この溶解産物をクロロ
ホルム(1:5 v/v)で抽出した。イソプロパノールか酢酸ナトリウム及びエタノ
ールの何れかを用いてRNAを溶解産物から沈殿させた。或いは、RNAを、分
離用アガロースゲル電気泳動法によって溶解産物から精製し、Whatman P81ペー
パー(Whatman, Lexington, MA)から回収した。RNAのフェノール抽出及び沈
殿の操作を、RNAの純度を高めるために必要なだけ反復し、このRNAをRN
アーゼの無い溶液に保存した。場合によっては、このRNAをDNアーゼで処理
した。ライブラリーのほとんどについては、オリゴd(T)を結合した常磁性粒子(
Promega, Madison, WI)、Oligotex樹脂、又はOligotex kit(QIAGEN Inc, Chat
sworth, CA)を用いてポリ(A+)RNAを単離した。或いは、RNA Isolation
kit(Stratagene)又はArabion PolyA Quick kit(Ambion, Austin, TX)を用い
てRNAを組織の溶解産物から直接単離した。
【0182】 cDNAの合成及びcDNAライブラリーの作製のため、共に周知の方法(Au
subel, 1997. units 5.1-6.6)に基づいた手順である、UNIZAPベクター(Strata
gene, La Jolla, CA)又はSuperScript plasmid system(Life Technologies)
の推奨手順に従ってRNAを用いた。或いは、インサイト社が提供したRNAを
用いてStratagene社がcDNAを作製した。逆転写は、オリゴd(T)又はランダム
プライマーを用いて開始させた。合成オリゴヌクレオチドアダプタを二本鎖DN
Aに連結し、適切な制限酵素でcDNAを切断した。多くのライブラリーについ
ては、Sephacryl S1000又はSepharose CL2B又はCL4Bカラムクロマトグラフィを
用いて、或いは分離用アガロースゲル電気泳動法を用いてcDNAをサイズ選択
した(300-1000 bp)。cDNAを適切なプラスミド、例えばpBluescript(Stra
tagene)、pSPORT 1(Life Technologies)、pINCY(Incyte Pharmaceuticals,
Inc. Palo Alto CA)のポリリンカーの適合性の制限酵素部位に連結した。pINCY
はJM109細胞で増幅し、QiaQuickカラム(QIAGEN Inc)を用いて精製した。組換
えプラスミドは、コンピテントな大腸菌細胞、例えばXLI-Blue、XLI-BiueMRF、
又はSOLR(Stratagene)若しくはDH5a、DH10B、又はElectroMAX DH10B(Life Te
chnologies)に形質転換した。
【0183】 2 cDNAクローンの単離 プラスミドを、in vivo切出し(UniZAP vector system, Stratagene)又は細
胞の溶解によって宿主細胞から回収した。プラスミドの精製は、MAGIC MINIPREP
S DNA purification system(Promega, Madison, WI);Miniprep kit(Advance
d Genetic Technologies Corporation, Gaithersburg, MD);QIAwell-8 Plasmi
d、QIAwell PLUS DNA purification systems、又はQIAwell ULTRA;若しくはREA
L Prep 96 plasmid kit(QIAGEN Inc)をその推奨プロトコルに従って用いて行
った。沈殿させた後、このプラスミドを0.1mlの蒸留水に再懸濁し、凍結乾
燥して、或いは凍結乾燥しないで4℃で保存した。
【0184】 或いは、高スループットのダイレクトリンクPCR法(Rao, V.B. (1994) Ana
l. Biochem. 216:1-14)を用いて、プラスミドDNAを宿主細胞の溶解産物から
増幅した。宿主細胞の溶解及びサーマルサイクル(熱の上下)過程は、単体の反
応混合物において行った。サンプルを処理した上で384穴プレート(Genetix
Ltd, Christchurch UK)に保存し、増幅したプラスミドDNAの作製物を、Pico
Green Dye(Molecular Probes, Eugene OR)及びFluoroscan II蛍光スキャナ(
Labsystems Oy, Helsinki, Finland)を用いて蛍光定量法で定量した。
【0185】 3 シークエンシング及び解析 cDNAを調製し、Peltier Thermal Cyclers(PTC200; MJ Research, Watert
own MA)と組合わせてABI CATALYST 800(Perkin Elmer)又はHamilton MICRO L
AB 2200(Hamilton, Reno, NV)の何れかを用いて配列決定した。標準的なABIプ
ロトコル、塩基指定(base calling)ソフトウェア、及びキットを用いて、Sang
er F及びA.R. Coulsonの方法(1975; J. Mol. Biol. 94:441-448)によって、AB
I373又は377 DNAシークエンシングシステム(Perkin Elmer)でcDNAを配列
決定した。或いは、Amersham Pharmacia Biotech製の溶液及び色素を用いて、c
DNAを調製し配列決定した。読み枠の決定は、標準的な方法(Ausubel, 前出
)を用いて行った。
【0186】 配列表のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を問い合わせ配列として用
いて、GenBankの霊長類(pri)、齧歯類(rod)、哺乳動物(mamp)、脊椎動物
(vrtp)、及び真核生物(eukp)のデータベース、SwissProt、BLOCKS、及び既
に同定されたモチーフ及び配列が注釈付きで含められている他のデータベース等
のデータベースを検索した。一次配列パターン及び二次構造ギャップペナルティ
を処理するSmith Waterman(Smith, T.等 (1992) Protein Engineering 5:35-51
)のようなアルゴリズム及びBLAST (Basic Local Alignment Search Tool; Alt
schul, S.F. (1993)J. Mol. Evol 36:290-300;及びAltschui他 (1990) J. Mol.
Biol. 215:403-410)、及びHMM (隠れマルコフモデル(Hidden Markov Models
); Eddy, S.R.(1996) Cur. Opin. Str. Biol. 6:361-365及びSonnhammer, E.L.
L.他 (1997) Proteins 28:405-420)のようなプログラム及びアルゴリズムを用
いて、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の組立て及び解析を行った。これらの
データベース、プログラム、アルゴリズム、方法及びツールは既存の利用可能の
ものであり、Ausubel(前出, unit 7.7)、Meyers, R.A.(1995; Molecular Bio
logy and Biotechnology, Wiley VCH, Inc, New York NY, p 856-853)、ソフト
ウェア(Genetics Computer Group (GCG), Madison Wl)によって提供される文
書や、インターネットのウェブサイト上の文書に記載されている。多くのデータ
ベース及びツールをリストし、記述し、及び/リンクしている2つの総合的なウ
ェブサイトは、(1)the www resource in practical sequence analysis(htt
p://genome.wusti.edu/)、及び(2)the bibliography of computational gen
e recognition(http://linkage. rockefeiler. edu/wli/gene/programs.html)
である。例えば、第1のウェブサイトは、データベースとしてPFAM(http://gen
ome.wustl.edu/Pfam/)にリンクしており、HMMサーチツール(http://genome.wu
stl.edu/eddy/cgi-bin/hmm_page.cgi)にもリンクしている。明細書末尾の表2
には、ここで用いるデータベース及びツールの概要が記載されている。表2の第
1列には、ツール、プログラム、又はアルゴリズムが、表の第2列にはデータベ
ースが、第3列には簡単な説明が記載されており、第4列には、(そこに記載が
ある場合は)2つの配列の間の一致度を決定するスコア(この値が高くなる程相
同性が高くなる)が記載されている。
【0187】 4 完全長NHAPのクローニング GeneTrapperTM cDNA Positive Selection System kit(Life Technologies)
を用いて、NHAP−1及びNHAP−2の完全長cDNAクローンを単離した
。製品の使用説明書に従って、インサイト社クローンNo. 2756549の部分的核酸
配列に基づきオリゴヌクレオチドを設計し、3’末端をビオチン標識し、ヒト肺
(Cat. No. 10424-018, Life Technologies)及びヒト白血球(Cat. No. 10421-
014, Life Technologies)のプラスミドcDNAライブラリーからの一本鎖DN
Aとハイブリダイズさせた。5種のcDNAクローン、gt83、gt86、gt97、gt88
、及びgt91を、肺cDNAライブラリーから単離した。また白血球ライブラリー
からは5種のcDNAクローン、gt4、gt22、gt49、gt53、及びgt90を単離した
。配列決定を行った結果、肺ライブラリーから単離したクローンは、インサイト
社クローンNo. 372637及び1242901の核酸配列、及び後にNHAP−1と称され
る遺伝子(前の出願ではHUPM−4)と同一であった。肺ライブラリーから単
離したクローンの核酸配列は、白血球ライブラリーから単離したもの及びインサ
イト社クローンNo. 2435410及び2756549とは異なっていた。従って2種の遺伝子
が同定され、後にNHAP−1及びNHAP−2と称するものとした。NHAP
−1は、cDNAクローンgt83、gt86、gt97、gt88、gt91、インサイト社クロー
ンNo. 372637及び1242901を含む。NHAP−2は、cDNAクローンgt4、gt22
、gt49、gt53、gt90、及びインサイト社クローンNo. 2435410及び2756549を含む
。配列の相同性解析の結果、NHAP−1とNHAP−2との間の89%の核酸
配列同一性が分かった。
【0188】 5 ノーザン法による解析 ノーザン法による解析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる
実験技術であり、この方法では特定の細胞の型又は組織からのRNAが結合した
メンブランに標識したヌクレオチド配列をハイブリダイズさせる。(例えばSamb
rook, 前出, ch. 7;及びAusubel, 前出, ch. 4及び16参照) 膜をベースにしたノーザン法による解析を、NHAP−2のcDNAでプロー
ビングしたMultiple Tissue Northern Blots(Clontech, Palo Alto, CA)を用
いて様々なヒト組織からのRNAサンプルについて行った。このプローブは、HI
GH PRIMER DNA labeling kit(Boerheinger Mannhelm, Indianapolis, IN)を用
いてランダムプライミング法で33Pで標識した。ハイブリダイゼーションは、5
0%のホルムアミド、5X SSC、50mMのNaPO4、pH7.4、1Xデ
ンハート溶液、2%のSDS、及び100ug/mlのサケ精子DNAを含む溶液に
おいて42℃で終夜、厳密な条件の下で行った。ブロットを室温で2〜3回2X
SSCで洗浄し、次に、必要な場合は0.2X SSC、0.1%のSDSで5
0℃で1〜2回洗浄し、−80℃でオートラジオグラフィにかけた。ノーザン法
による解析の結果、腎臓、末梢血の白血球、脾臓、及びリンパ節から〜1.3k
bのRNA種が高レベルで発現されていることが立証された(図4)。このRN
A種は、肺、骨髄、胸腺、及び胎仔の肝臓においてもより低いレベルであるが発
現された。NHAP−2がNHAP−1と89%の相同性を有していることから
、このノーザン法による解析の結果は、NHAP−1とNHAP−2の両方の発
現プロフィールを反映している。上記のブロットを剥ぎ取って、NHAP−1特
異的オリゴヌクレオチドで再度プロービングすると、1.3kbのRNA種の発
現が肺のみにおいて見出された(図5)。
【0189】 BLASTを利用する類似のコンピュータ技術を用いて、例えばGenBank又はLIFESE
QTMデータベース(Incyte Pharmaceuticals)のようなヌクレオチドデータベー
スにおいて同一の又は近縁な分子を検索した。
【0190】 検索の基準値は積スコアであり、これは以下の式、 (配列の一致率(%)×最大BLASTスコア(%))/100 で定義されるものである。
【0191】 この積スコアは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方
を考慮に入れている。例えば、積スコアが40の場合は、誤差が1〜2%の範囲
の一致であり、スコアが70の場合は正確な一致である。類似な分子は通常積ス
コアとして15〜40を示すものを選択することによって同定されるが、よりス
コアの低いものも近縁関係にある分子として同定される。
【0192】 ノーザン法による解析の結果から、様々なcDNAライブラリーにおけるNH
APをコードする転写物の存在が分かった。このようなcDNAライブラリーの
59%は癌及び不死化細胞系関連であり、22%以上は炎症及び免疫応答に関連
するものである。この解析では転写物の存在量及びパーセント存在率も報告され
る。存在量は或るcDNAライブラリーに存在する特定の転写物の数を直接反映
し、パーセント存在率は、存在量をそのcDNAライブラリーにおいて調べられ
た配列の総数で除したものである。
【0193】 6 個々のハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 SEQ ID NO:2及びSEQ ID NO:4の配列に基づいて作製された
ハイブリダイゼーションプローブを用いて、cDNA、ゲノムのDNA、または
mRNAをスクリーニングする。約20の塩基対からなるオリゴヌクレオチドの
標識について特に記すが、より大きなcDNAフラグメントの場合でも基本的に
同じ手順を用いる。オリゴヌクレオチドを、OLIGO4.06(National Biosciences
)のような最新式のソフトウェアを用いてデザインし、それぞれ50pmolの
オリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸(Amersham, Chic
ago, IL)と、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN、Boston, MA)とを
組み合わせて用いることにより標識する。標識されたオリゴヌクレオチドを、Se
phadex G-25超精細サイズ排除デキストランビードカラム(Pharmacia & Upjohn
, Kalamazoo, MI)を用いて実質的に精製する。毎分107カウントの標識された
プローブを含むアリコットを、エンドヌクレアーゼAseI,Bgl II,EcoRI,Pst I
,Xba1或いはPvuII(DuPont NEN)の1つを用いて切断したヒトゲノムDNAの
典型的な膜ベースのハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0194】 各切断物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画して、ナイロン製
メンブラン(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファ
ーする。ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグ
ナルを取り除くため、ブロットを、最大0.1xクエン酸ナトリウム食塩水及び
0.5%ドデシル硫酸ナトリウムまでの段階的に厳密性が増す条件で順次室温に
て洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)をブロットに数時間
露光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0195】 7 マイクロアレイ 化学的結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上にア
レイエレメントを合成することができる(例えばBaldeschweiler, 前出、参照)
。ドットブロット法又はスロットブロット法で用いるものに類似したアレイを利
用し、熱、UV、化学的、又は機械的結合プロシージャを用いて基板の表面にエ
レメントを配列し結合してもよい。通常のアレイは、手作業により、又は市販の
方法及び機械を使用することによって作成することができ、任意の適切な数のエ
レメントを有し得る。ハイブリダイゼーションの後、ハイブリダイズしていない
プローブを取り除き、スキャナを用いて蛍光の強度及びパターンを決定する。マ
イクロアレイ上でエレメントにハイブリダイズした各プローブの相補性の程度及
び相対的な量をスキャンしたイメージを解析することによって評価し得る。
【0196】 完全長cDNA、Expressed Sequence Tags(ESTs)、又はその断片は、
マイクロアレイのエレメントを含み得る。ハイブリダイゼーションに適したフラ
グメントを、例えばLASERGENETMのような周知のソフトウェアを用いて選択する
ことができる。本発明のヌクレオチド配列の1つに対応する、若しくは本発明に
関連するcDNAライブラリーからランダムに選択された完全長cDNA、ES
T、又はそのフラグメントを、適切な基板、例えばスライドガラス上に配列する
。このcDNAを、例えばUVでクロスリンクさせ、次に熱及び化学的処理をし
、乾燥させることによってスライド上に固定する(例えばSchena, M. 他 (1995)
) Science 270:467-470及びShaion, D.他 (1996) Genome Res. 6:639-645を参照
)。蛍光プローブを準備し、基板上のエレメントにハイブリダイズさせるために
用いる。この基板を上記のような手順で解析する。
【0197】 8 相補的ポリヌクレオチド NHAPをコードする配列或いはその任意の一部に対して相補的な配列は、自
然発生のNHAPの発現を検出したり、その発現を低下させる、即ち阻害するた
めに用られる。約15〜約30個の塩基対を含むオリゴヌクレオチドの使用につ
いて特に記すが、より小さな或いはより大きな配列のフラグメントの場合でも概
ね同じ方法を用いることができる。OLIGO4.06ソフトウェア及びNHAPのコー
ディング配列を用いて、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害する
ためには、最も独特な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これ
を用いてプロモーターがコーディング配列に結合しないようにする。翻訳を阻害
するためには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して、リボソームがNHAP
をコードする転写物に結合しないようにする。
【0198】 9 NHAP−1の発現 NHAPをコードするcDNAを用いて、cDNAを適当なベクターにサブク
ローニングし、このベクターを宿主細胞に導入することによって完全長NHAP
−1を発現させた。大腸菌におけるNHAP−1の発現のために、His6のN末端
タグを与える細菌の発現ベクターpET15b(Novagen, Inc., Madison, WI)にサブ
クローニングした。大腸菌における発現をモニタリングするため、IPTGによ
る誘導の前及び後に培地から得た細胞の溶解物を、低い変性条件の下でポリアク
リルアミドゲル電気泳動法を用いて分離し、免疫前血清及び免疫血清(IC620)
でプロービングした。抗血清の結合の検出は、HRP結合ロバ抗ウサギIgによ
って行い、ECL(機能強化(enhanced)化学ルミネセンス)を用いて可視化し
た。NHAP−1組換えタンパク質は、主として、免疫血清にさらされたIPT
Gで誘導された細胞の不溶性分画からの〜45kdのバンドとして検出された(
図6)。誘導されていない細胞や、免疫前血清でプロービングされた細胞ではバ
ンドは検出されなかった。NHAP−1のcDNAを、Sf9昆虫細胞における
発現のためにバキュロウイルスpFast-bac-HTc(Life Technologies)や、哺乳動
物HEK293細胞における発現のためにpCMV-SPORT(Life Technologies)に
もサブクローニングした。
【0199】 10 NHAPの活性の立証 NHAPのプロテアーゼ活性を、様々な色素生産性分子が結合した適切な合成
ペプチド基質の加水分解によって測定する。この場合加水分解の程度は、放出さ
れた発色団の分光光度的(又は蛍光定量的)な吸光度によって定量される(Beyn
on, R.J.及びJ.S. Bond (1994) Proteolytie Enzymes: A Practical Approach,
Oxford University Press, New York, NY, pp.25-55)。ペプチド基質は、エン
ドペプチダーゼ(セリン、システイン、アスパラギン酸プロテアーゼ)、アミノ
ペプチダーゼ(ロイシンアミノペプチダーゼ)、又はカルボキシペプチダーゼ(
カルボキシペプチダーゼA及びB、プロコラーゲンCプロテイナーゼ)等のプロ
テアーゼ活性のカテゴリに基づいて設計される。一般に使用される色素源として
は、2−ナフチルアミン、4−ニトロアニリン、及びフリルアクリル酸が挙げら
れる。アッセイは周囲温度で行い、適切なバッファに溶解した酵素及び適切な基
質のアリコットを用いる。反応は、適切なキュベットにおいて行い、その後ペプ
チド基質の加水分解の際に放出された色素源の吸光度の増加/減少が生ずる。こ
のアッセイにおいて吸光度の変化は酵素活性に比例する。
【0200】 11 機能分析アッセイ NHAPの機能を、哺乳動物細胞培養系において、NHAPをコードする配列
を生理学的に高いレベルで発現させることによって評価する。cDNAを、それ
を高レベルで発現させる強力なプロモーターを有する哺乳動物の発現ベクターに
サブクローニングする。選択されるベクターとしては、pCMV SPORTTM(Life Tec
hnologies, Gaithersburg, MD)及びpCRTM 3. 1(Invitrogen, Carlsbad, CA)
、両ベクターは共にサイトメガロウイルスのプロモーターを有している。5〜1
0μgの組換えベクターをリポソーム製剤又はエレクトロポレーションの何れか
を利用してヒトの細胞系、好ましくは内皮細胞又は造血細胞を起源とする細胞系
に一時的にトランスフェクトする。またマーカータンパク質をコードする配列を
有する別のプラスミドを1〜2μg同時感染させる。マーカータンパク質の発現
は、トランスフェクト細胞を非トランスフェクト細胞から区別するための手段と
なり、組換えベクターからのcDNAの発現の信頼できる予測が可能となる。選
択できるマーカータンパク質としては、例えばGreen Fluorescent Protein(GFP
)(Clontech, Palo Alto, CA)、CD64又はCD64-GFP融合タンパク質等が挙げら
れる。GFP又はCD64−GFPを発現するトランスフェクト細胞を特定し、その特性、
例えばそのアポトーシス状態を評価するために、自動式のレーザー光を用いる技
術であるフローサイトメトリー(流動細胞計測法)(FCM)を用いる。FCM
によって蛍光分子の取込みを検出し、定量細胞死の前又は細胞死の際の事象を診
断する。このような事象としては、ヨウ化プロピジウムでDNAを染色すること
によって測定される核のDNA含量の変化、散乱光及び90度横向きの散乱光を
当てることによって測定される細胞のサイズ及び粒状度の変化、ブロモデオキシ
ウリジンの取込みの低下によって測定されるDNA合成のダウンレギュレーショ
ン、特異的抗体との反応性によって測定される細胞表面及び細胞内のタンパク質
の発現の変化、及びフルオレセイン結合アレキシンVタンパク質と細胞表面との
結合によって測定される原形質膜の組成の変化がある。フローサイトメトリーの
方法は、Ormerod, M. G. (1994) Flow Cytometry, Oxford, New York, NYに記載
されている。
【0201】 遺伝子の発現に対するNHAPの影響は、NHAPをコードする配列及びCD64
又はCD64-GFPの何れかをトランスフェクトした高度に精製された細胞の集団を用
いて評価することができる。CD64及びCD64-GFPはトランスフェクト細胞の表面で
発現され、ヒト免疫グロブリンG(IgG)の保存的領域に結合する。トランスフ
ェクト細胞は、ヒトIgG又はCD64に対する抗体の何れかでコーティングされた磁
性ビーズ(DYNAL, Lake Success, NY)を用いて非トランスフェクト細胞から効
率的に分離する。mRNAの細胞からの精製は、当業者に周知の方法を用いて行
うことができる。NHAPをコードするmRNA及び目的の他の遺伝子の発現は
、ノーザンブロット法による解析又はマイクロアレイ技術によって解析すること
ができる。
【0202】 12 NHAPに特異的な抗体の製造 NHAP−1のC末端の19個のアミノ酸残基を含むオリゴペプチドを合成し
た。2匹のウサギを、フロイントの完全アジュバント(Zeneca LifeScience Mol
ecules, Wilmington, DE)を用いてオリゴペプチド−KLH複合体で免疫化した
。得られた抗血清のIC619及びIC620を、高ペプチド活性についてELISAで試
験した。ウエスタンブロット法による解析によって大腸菌及びSf9昆虫細胞に
おいて発現された組換えタンパク質を認識することが分かった。簡単に述べると
、対応する発現産物を含む大腸菌及びSf9細胞を溶解し、変性PAGEゲル(
NuPage gels, Novex)上でタンパク質を分離し、前に説明した方法に従ってニト
ロセルロース膜にトランスファーした。次にこのブロットに抗血清IC619又はIC6
20をプロービングした。抗血清の結合は、HRP結合ロバ抗ウサギIgで検出し
、ECL(機能強化化学ルミネセンス)システム(Amersham Pharmacia Biotech
)を用いて可視化した。
【0203】 13 特異的抗体を用いる自然発生NHAPの精製 自然発生NHAP或いは組換えNHAPを、NHAPに特異的な抗体を用いる
イムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフィ
ニティーカラムは、例えばCnBr-活性化Sepharose(Pharmacia & Upjohn)のよう
な活性化クロマトグラフィー用レジンと抗NHAP抗体とを共有結合させること
により構築する。結合の後、そのレジンを製品の使用説明書の指示に従って、ブ
ロックし洗浄する。
【0204】 NHAPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをN
HAPを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下において高イ
オン強度のバッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とNHAPとの結合を
切るような条件下で(例えばpH2−3のバッファー、或いは高濃度の尿素また
はチオシアナートイオンのようなカオトロピックイオンで)溶出させ、NHAP
を回収する。
【0205】 14 正常な組織及び端部組織におけるNHAP−1の免疫細胞化学的解析 一次抗体としてNHAP−1に特異的なウサギ免疫血清IC619を用いてヒトの
組織サンプルにおけるタンパク質の位置決定をするために免疫細胞化学的解析を
行った。この解析は、LifeSpan BioSciences, Inc., Seattle WAにより行われた
。この検出システムは、ビオチン標識した二次抗体で標識した後に、ストレプト
アビジン−セイヨウワサビペロオキシダーゼ結合体及びDAB基質を加えたスト
レプトアビジン−ビオチンキットを含むDAKO LSAB+ Kit(DAKO corp., Carpinte
ria CA)からなるものであった。内在性ビオチン及び内在性ペルオキシダーゼに
対して組織のブロックも行った。各組織サンプルについて行ったネガティブコン
トロールとしては、免疫前血清による染色等を行った。更に、10倍量のNAP
1由来の免疫化ペプチドと共に抗体IC619をインキュベートすることにより染色
をブロックするための実験も行った。この解析の結果、抗体IC619が脳下垂体前
葉、甲状腺濾胞細胞、及び肺のII型肺細胞において強い陽性な染色を生ずること
が立証された。正常な組織及び患部組織の両方を含む全ての検査した肺組織にお
いて、II型肺細胞は抗体IC619に対して陽性に染色された。詳述すると、肺気管
支−肺胞癌及び肺腺癌は強い正の染色を生じた。小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌、
及び転移性結腸腺癌を含む他の肺新生物は、染色時陰性であった。
【0206】 15 蛍光In Situハイブリダイゼーション(FISH)解析によるNHAP
−1及びNHAP−2の染色体上の位置決定 NHAP−1及びNHAP−2の両方の染色体上の位置決定をするためにFI
SH解析を行った(Genome Systems, Inc., St. Louis, MO)。NHAP−1及
びNHAP−2に対応する2つのゲノムクローンからのDNAを、ニックトラン
スレーション法によりジゴキシゲニンdUTPで標識した。標識したプローブを
同じ長さに切り揃えたヒトDNAと結合させ、男性のドナーから得られた、PH
Aで刺激した末梢血の白血球に由来する正常な分裂中期の染色体を、50%のホ
ルムアミド、10%のデキストラン硫酸及び2X SSCを含む溶液内で個別に
ハイブリダイズさせた。蛍光標識した抗ジゴキシゲニン抗体の中でハイブリダイ
ズしたスライドをインキュベートし、DAPIで対抗染色することにより特定の
シグナルを検出した。これらの実験の結果、19番染色体の長いアームが特に標
識された。19番染色体に対する特異的ハイブリダイゼーションによって10本
のスプレッドを定量した結果、NHAP−1及びNHAP−2をコードする遺伝
子は、互いに区別不可能で、バンド19q13.3に対応する領域である染色体
アーム19qのセントロメアからテロメアに渡る距離の73%の位置にあること
が立証された。
【0207】 16 NHAPと相互作用する分子の同定 NHAP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬で標
識する(例えば、Bolton他 (1973) Biochem. J. 133:529参照)。マルチウェル
プレートに予め配列しておいた候補の分子を、標識したNHAPとともにインキ
ュベートし、洗浄して、標識したNHAP複合体を有するウェルをアッセイする
。異なるNHAP濃度で得られたデータを用いて、候補の分子とNHAPの会合
、親和性、数について数値を計算する。
【0208】 当業者は、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明の記載した方法
及びシステムの種々の改変を行うことができるであろう。特定の好適実施例に関
して本発明を説明したが、本発明の真の範囲が、そのような特定の実施例に不当
に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或いは関連
分野の専門家には明らかな本明細書に記載の本発明の実施のための方法の様々な
改変は、特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
【0209】 以下の表1は、インサイト社クローン、及びNHAPをコードする核酸配列が
同定された関連ライブラリー、ライブラリーの簡単な説明、及び各cDNAをク
ローン化したベクターを示す。
【0210】 以下の表2は、本発明の配列を組立て解析するために用いたデータベース及び
ツールの概要を示した表である。表2の第1列は、ツール、プログラム、又はア
ルゴリズムを示し、第2列はデータベースを示し、第3列は簡単な説明を示し、
第4列は、(記入されている場合は)2つの配列の間の一致度を決定するスコア
(この値が高くなる程より相同性が高い)を示す。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
【表3】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 NHAP−1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ
ID NO:2)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェア(Hitachi Software Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を
用いて作成した。
【図1B】 NHAP−1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ
ID NO:2)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェア(Hitachi Software Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を
用いて作成した。
【図1C】 NHAP−1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ
ID NO:2)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェア(Hitachi Software Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を
用いて作成した。
【図1D】 NHAP−1のアミノ酸配列(SEQ ID NO:1)及び核酸配列(SEQ
ID NO:2)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェア(Hitachi Software Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を
用いて作成した。
【図2A】 NHAP−2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)及び核酸配列(SEQ
ID NO:4)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェアを用いて作成した。
【図2B】 NHAP−2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)及び核酸配列(SEQ
ID NO:4)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェアを用いて作成した。
【図2C】 NHAP−2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)及び核酸配列(SEQ
ID NO:4)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェアを用いて作成した。
【図2D】 NHAP−2のアミノ酸配列(SEQ ID NO:3)及び核酸配列(SEQ
ID NO:4)の一部を示す図である。配列アライメントは、MacDNASIS PROT M ソフトウェアを用いて作成した。
【図3A】 NHAP−1(372637:SEQ ID NO:1)、NHAP−2(2435410;
SEQ ID NO:3)、及びマウス腎臓由来のアスパラギン酸プロテアーゼ様
タンパク質(GI 1906810:SEQ ID NO:10)の間のアミノ酸配列アライ
メントを示す図である。この配列アライメントは、マルチシーケンスアライメン
トプログラムであるLASERGENETMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)を用
いて作成した。
【図3B】 NHAP−1(372637:SEQ ID NO:1)、NHAP−2(2435410;
SEQ ID NO:3)、及びマウス腎臓由来のアスパラギン酸プロテアーゼ様
タンパク質(GI 1906810:SEQ ID NO:10)の間のアミノ酸配列アライ
メントを示す図である。この配列アライメントは、マルチシーケンスアライメン
トプログラムであるLASERGENETMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)を用
いて作成した。
【図3C】 NHAP−1(372637:SEQ ID NO:1)、NHAP−2(2435410;
SEQ ID NO:3)、及びマウス腎臓由来のアスパラギン酸プロテアーゼ様
タンパク質(GI 1906810:SEQ ID NO:10)の間のアミノ酸配列アライ
メントを示す図である。この配列アライメントは、マルチシーケンスアライメン
トプログラムであるLASERGENETMソフトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)を用
いて作成した。
【図4】 NHAP−2のcDNAでプロービングしたNHAP−2及びNHAP−1の
ノーザンブロッティング解析の結果を示す図である。組織ブロットはClontech,
Palo Alto, CA.から得た。
【図5】 図4と同じ組織を用いて行った、NHAP−1特異的オリゴヌクレオチドでプ
ロービングしたNHAP−1のノーザンブロッティング解析の結果を示す図であ
る。
【図6】 大腸菌における組み換えNHAP−1タンパク質の発現のウエスタンブロッテ
ィング解析の結果を示す図である。コンピテントな大腸菌株BL21(DE3)を、ベ
クター(pET15b)又はNHAP−1発現作成物(pETI 5b/NHAP-1)の何れかで形
質転換した。IPTGによる誘導の前(P)又はIPTGによる誘導の後(I)
の培地からの細胞溶解産物を、低い変性条件の下でポリアクリルアミドゲル電気
泳動法を用いて分離し、免疫前及び免疫血清(IC620)でプロービングした。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61P 35/00 4C084 A61P 3/00 37/02 4C085 11/00 C07K 16/40 4H045 35/00 C12N 1/15 37/02 1/19 C07K 16/40 1/21 C12N 1/15 9/64 Z 1/19 C12Q 1/68 A 1/21 C12P 21/08 5/10 C12N 15/00 ZNAA 9/64 A61K 37/02 C12Q 1/68 C12N 5/00 A // C12P 21/08 F (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE,G H,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 エルセンボス、ローラ・エイ アメリカ合衆国コネチカット州06355・ミ スティック・#エイ2・ヒューイットロー ド 45 (72)発明者 フォグリアーノ、マイケル アメリカ合衆国コネチカット州06371・オ ールドライム・スワンスウッドレーン 4 (72)発明者 コハン、ビクトリア・エル アメリカ合衆国コネチカット州06333・イ ーストライム・スプリングロックロード 43 (72)発明者 バンドマン、オルガ アメリカ合衆国カリフォルニア州94043・ マウンテンビュー・アンナアベニュー 366 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA14 CA04 CA11 DA01 DA02 DA05 DA11 EA01 EA02 EA03 EA04 GA11 HA01 HA12 HA15 4B050 CC01 CC03 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA19 QQ01 QQ42 QQ52 QR08 QR42 QR55 QR62 QS25 QS34 QS36 QX02 4B064 AG27 CA01 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA01X AA57X AA87X AA93Y AB01 BA02 CA25 CA33 CA44 CA46 4C084 AA02 AA17 CA53 DC50 ZA592 ZA812 ZB012 ZB082 ZB132 ZB262 ZC022 ZC062 4C085 AA13 AA14 CC04 CC22 DD24 DD63 DD86 FF02 FF03 4H045 AA11 AA20 AA30 CA40 DA76 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SEQ ID NO:3のアミノ酸配列又はその断片を含む
    実質的に精製されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配
    列同一性を有する実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする単離され精製された
    ポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドと少なくとも70%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異体。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドと、厳密な条件の下でハイブ
    リダイズする単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチド配列に相補的な配列を有する
    単離され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 SEQ ID NO:4のポリヌクレオチド配列又はその断
    片を含む単離され精製されたポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項7のポリヌクレオチドと少なくとも70%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異体。
  9. 【請求項9】 請求項7のポリヌクレオチドに相補的な配列を有する単離
    され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発
    現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10の発現ベクターを含む宿主細胞。
  12. 【請求項12】 SEQ ID NO:3のアミノ酸配列又はその断片を含
    むポリペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で、請求項11の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とするSEQ ID NO:3のアミノ酸配列又はその断片を含むポリペプ
    チドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1のポリペプチドを適切な医薬用担体と共に含む
    医薬品組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する精製された
    抗体。
  15. 【請求項15】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  17. 【請求項17】 内分泌疾患の治療又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項13の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む内分泌疾患の治療又は予防方法。
  18. 【請求項18】 内分泌疾患の治療又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む内分泌疾患の治療又は予防方法。
  19. 【請求項19】 免疫疾患の治療又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む免疫疾患の治療又は予防方法。
  20. 【請求項20】 呼吸器疾患の治療又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む呼吸器疾患の治療又は予防方法。
  21. 【請求項21】 癌の治療又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む癌の治療又は予防方法。
  22. 【請求項22】 生物学的サンプルにおけるSEQ ID NO:3のアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又はその断片を検出
    する方法であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、前記生物学的サンプルの核酸材料の少
    なくとも1種類とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成
    する過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおける前記ポリペ
    プチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相関性を有する、該過程とを含む
    ことを特徴とする生物学的サンプルにおけるSEQ ID NO:3のアミノ酸配
    列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又はその断片の検出方法。
  23. 【請求項23】 ハイブリダイゼーションの前に、前記ポリヌクレオチド
    を増幅する過程を更に含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
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