JP2002510478A - ヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ - Google Patents

ヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ(HUGA)及びHUGAを特定し、コードするポリヌクレオチドを提供する。また、本発明は発現ベクター、宿主細胞、抗体、アゴニスト、及びアンタゴニストを提供する。また本発明は、HUGAの発現に関連する疾病の診断、処置、又は予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼの核酸及びアミノ酸配列、
及び癌、発達障害、生殖障害、及び自己免疫性/炎症性疾患の診断、処置、及び
予防におけるこれらの配列の使用法に関するものである。
【0002】 (発明の背景) 高度に分化した上皮細胞の層からなる上皮は、体内及び体外や、腸、腎臓、膵
臓、肺、口、及び子宮頚管のような器官の表面のほぼ全体を覆っている。上皮は
、組織の区画間及び外部環境との物質交換を調節する。胎仔の上皮細胞の構成及
び形状の調節された変化によって、体内器官が形成される。間葉によって産生さ
れる分泌・膜結合タンパク質は、これらの変化を調節する。細胞−細胞接着及び
細胞運動の調節は、上皮の形態形成において重要や役割を果たしているという仮
説が唱えられている(Goode, S.ら (1996) Development 122:3863-3879; Lodish
, H.ら (1995) Molecular Cell Biology, Scientific American Books, NewYork
, NY. pp. 196-197,623-624,1167-1172; 及びGumbiner, B.M. (1992) Cell 69:3
85-387)。
【0003】 ショウジョウバエDrosophila melanogasterの卵胞上皮は、上皮の形態形成の モデルの系として用いられてきた。Drosophilaは、その遺伝子の多くが哺乳動物
のホモログであることから、成長、分化、及び癌抑制の研究のために役立つ系で
ある(Watson, K.L.ら (1994) J. Cell Sci. Suppl. 18:19-33; 及びLodish, 前
出, pp. 1167-1172)。卵形成の際に生殖系列と共に発達する体細胞の単層であ る卵胞上皮は、各発育中の卵室を完全に取り囲み、最終的に卵殻の成分を分泌す
る。卵胞上皮及び卵母細胞は共に、一分は卵胞上皮によって発現され一分は卵母
細胞によって発現される少なくとも13個の遺伝子の相互作用によって確立され
る、離隔した背側−腹側非対称構造を有している。これらの遺伝子が変異すると
、卵殻及び胎仔の背方化または腹方化の何れかをもたらす(Morisato, D.及びAn
derson. K.V. (1995) Annu. Rev. Genetics 29:371-399)。
【0004】 卵胞上皮の正しい発達に重要な遺伝子であるbraianicは、遺伝子egghead及びn
otchと協働して生殖系列−卵胞細胞の接着を媒介し得る。braianicの変異したメ
ス及びその子孫は、卵殻の腹方化、卵胞上皮におけるギャップ、及び卵母細胞の
周囲の卵胞細胞の多層化等の異常を有する。上記の卵胞細胞の過剰増殖は腺腫に
類似している。braianicのメスは、野生型のハエより卵の数が少なく、これは母
体内で変異した卵室の破壊が生じていることによるようである。作られた胎仔は
、表皮細胞が神経芽細胞に転換し、その結果過剰な神経組織が作られてしまうた
めに、癌様神経組織発生の表現型を有する。X染色体上に存在するbraianic遺伝
子は、推定上のシグナル配列を含む325個のアミノ酸からなるタンパク質をコ
ードする。braianic遺伝子は、胚形成の開始後12時間の間に生殖系列において
構成的に発現される(Morisato及びAnderson, 前出; Goode, S.ら (1992) Devel
opment 116:177-192; Goode, S.ら (1996) Developmental Biol. 178:35-50; 及
びGoode, S.ら (1996) Development, 前出)。
【0005】 最近の研究は、braianicのタンパク質がβ1,3-ガラクトシルトランスフェラー
ゼであることを示唆している(Yuan, Y.P.ら (1997) Cell 88:9-11; 及びHennet
, T.ら (1998) J. Biol. Chem. 273:58-65)。ガラクトシルトランスフェラーゼ
は、ガラクトースを、糖タンパク質または糖脂質の一部であるか、または溶液中
で遊離して存在するN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を末端とするオリゴ糖鎖に
転移させる酵素である(Kolbinger, F.ら (1998) J. Biol. Chem. 273:433-440 )。β1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼは、Gal(β1-3)GlcNac架橋を有す るI型糖鎖を形成する。既知のヒト及びマウスのβ1,3-ガラクトシルトランスフ ェラーゼは、短いサイトゾルの領域、1箇所の膜貫通領域、及び8個の保存領域
を有する触媒作用性ドメインを有していると考えられる(Kolbinger, 前出; 及 びHennet, 前出)。マウスのUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミン−I において、領域1は78番目〜83番目のアミノ酸残基であり、領域2は93番
目〜102番目のアミノ酸残基であり、領域3は116番目〜119番目のアミ
ノ酸残基であり、領域4は147番目〜158番目のアミノ酸残基であり、領域
5は172番目〜183番目のアミノ酸残基であり、領域6は203番目〜20
6番目のアミノ酸残基であり、領域7は236番目〜246番目のアミノ酸残基
であり、領域8は264番目〜275番目のアミノ酸残基である(Hennet, 前出
)。マウスのUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミン−Iの領域8内で見 出される配列の変異体は、細菌のガラクトシルトランスフェラーゼにおいても見
出され、このことは、この配列がガラクトシルトランスフェラーゼ配列のモチー
フを確定していることを示唆している(Hennet, 前出)。
【0006】 Gal(β1-4)GlcNac架橋を有するII型糖鎖を形成するβ1, 4-ガラクトシルトラ ンスフェラーゼは、ゴルジと細胞表面の両方に局在している。これらの酵素は、
短いサイトゾルの領域、1箇所の膜貫通領域、及びゴルジ内腔または細胞表面に
対向する幹及び触媒作用性ドメインを有する。可溶性β1, 4-ガラクトシルトラ ンスフェラーゼは、膜結合形態のものを切断することによって形成される。β1,
4-ガラクトシルトランスフェラーゼの中で保存されるアミノ酸としては、触媒 作用性ドメインにおける推定上のUDP-ガラクトース結合部位及び2つのジスルフ
ィド結合したシステインがある(Yadav, S.及びBrew, K. (1990) J. Biol. Chem
. 265:14163-14169; Yadav, S.P.及びBrew, K. (1991) J. Biol. Chem. 266:698
-703; 及びShaper, N.L.ら (1997) J. Biol. Chem. 272:31389-31399)。β1, 4
-ガラクトシルトランスフェラーゼは、糖タンパク質または糖脂質上での糖鎖の 合成に加えて、幾つかの特定の役割を有する。哺乳動物では、β1, 4-ガラクト シルトランスフェラーゼは、αラクトアルブミンとで形成するヘテロ二量体の一
部として、乳腺のラクトース産物の乳汁分泌において機能を果たす。精子の表面
上のβ1, 4-ガラクトシルトランスフェラーゼは、卵子を特異的に認識する受容 体として機能する。細胞表面のβ1, 4-ガラクトシルトランスフェラーゼは、細 胞接着、細胞−基底層相互作用、及び正常な転移性細胞の移動においても機能を
果たす(Shur, B.D. (1993) Curr. Opin. Cell Biol. 5:854-863; 及びShaper,
前出)。ヒトの卵巣癌細胞系は、異常な形で切断された可溶性β1, 4-ガラクト シルトランスフェラーゼを分泌する(Uejima, T.ら (1992) Cancer Res. 52:615
8-6163)。
【0007】 ガラクトシルトランスフェラーゼは、細胞成長、発達、及び分化の調節に関与
する、より大きい酵素のクラス、グリコシルトランスフェラーゼの一部である。
多くのグリコシルトランスフェラーゼはゴルジに局在するが、細胞表面上に存在
するものや、可溶性細胞外タンパク質として存在するものもある。細胞表面膜結
合グリコシルトランスフェラーゼは、隣接する細胞の表面上または細胞外の基質
のなかで糖質の基質を結合することにより、細胞接着において機能を果たし得る
。或る場合には膜結合形態のもののタンパク分解による切断に由来する分泌グリ
コシルトランスフェラーゼは、それらの結合した糖質を結合することにより細胞
表面受容体を活性化するきっかけを作ったり、或いは調節されながら細胞表面の
分子上の糖質を修飾し得る。細胞外の糖質成分は発生的に調節されて、 細胞の移動の調節に関与し得る(Yuan, 前出; Shur, 前出; 及びPaulson, J.C. 及びColley, K.J. (1989) J. Biol. Chem. 264:17615-17618)。自己免疫性甲状
腺疾患の患者の多くでは、α1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼの酵素性の 産物に対して産生される抗体の血液中のレベルが高いことから、グリコシルトラ
ンスフェラーゼは、自己免疫性/炎症性疾患に関与し得る(Etienne-Decerf, J.
ら (1987) Acta Endocrinol. 115:67-74)。
【0008】 新規なヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ及びそれをコードするポリヌク
レオチドの発見によって、癌、発達障害、生殖障害、及び自己免疫性/炎症性疾
患の診断、処置、及び予防において役立つ新規な組成物が提供されて当分野にお
ける必要性が満たされる。
【0009】 (発明の概要) 本発明は、それぞれ、HUGA−1及びHUGA−2と称し、集合的にHUG
Aと称する、実質的に精製されたヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼを提供
する。或る実施態様では、本発明は、配列番号(SEQ ID NO):1、配列番号: 3、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたア
ミノ酸配列を含む実質的に精製されたポリペプチドを提供する。
【0010】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、またはこれらの配列の何れかの
断片のアミノ酸配列と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性を有する実質的に
精製された変異体を提供する。また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配
列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸
配列を有するポリペプチドをコードする、単離され精製されたポリヌクレオチド
を提供する。また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片
、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌクレオチド
配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体を包含する。
【0011】 加えて、本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び
配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の下でハイブリダイ
ズする、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供すると共に、配列番号:1
、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から
選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに
相補的な配列を有する、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0012】 また本発明は、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:2の断片、及び配列
番号:4の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む単離され
精製されたポリヌクレオチドを提供する。さらに本発明は、配列番号:2、配列
番号:4、配列番号:2の断片、及び配列番号:4の断片からなる群から選択さ
れたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
クレオチド配列同一性を有する単離され精製されたポリヌクレオチド変異体を提
供すると共に、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:2の断片、及び配列番
号:4の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレ
オチドに相補的な配列を有する、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供す
る。
【0013】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列
番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発現ベクターを提供する。
別の実施態様では、前記発現ベクターが宿主細胞に含められる。
【0014】 また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列
番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドの
製造方法であって、(a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で、前記ポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発現ベクター
を含む宿主細胞を培養する過程と、(b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプ
チドを回収する過程とを含む、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断
片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポ
リペプチドの製造方法を提供する。
【0015】 また本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列
番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製さ
れたポリペプチドと、適切な医薬用担体とを含む医薬品組成物を提供する。
【0016】 更に本発明は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列
番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドと
結合する精製された抗体を包含すると共に、前記ポリペプチドの精製されたアゴ
ニスト及び精製されたアンタゴニストを包含する。
【0017】 また本発明は、癌の処置又は予防方法であって、そのような処置が必要な患者
に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断
片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプ
チドを有効な量含む医薬品組成物を投与する過程を含む、癌の処置又は予防方法
を提供する。
【0018】 また本発明は、発達障害の処置又は予防方法であって、そのような処置が必要
な患者に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:
3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポ
リペプチドを有効な量含む医薬品組成物を投与する過程を含む、発達障害の処置
又は予防方法を提供する。
【0019】 また本発明は、生殖障害の処置又は予防方法であって、そのような処置が必要
な患者に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:
3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポ
リペプチドを有効な量含む医薬品組成物を投与する過程を含む、生殖障害の処置
又は予防方法を提供する。
【0020】 また本発明は、自己免疫性/炎症性疾患の処置又は予防方法であって、そのよ
うな処置が必要な患者に、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、
及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を有する、実質
的に精製されたポリペプチドを有効な量含む医薬品組成物を投与する過程を含む
、自己免疫性/炎症性疾患の処置又は予防方法を提供する。
【0021】 また本発明は、核酸を含む生物学的サンプルにおいて配列番号:1、配列番号
:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択された
アミノ酸配列含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法で
あって、(a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番
号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドをコー
ドするポリヌクレオチドに相補的な分子と、前記生物学的サンプルの前記核酸の
少なくとも1種類とをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形
成する過程と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であっ
て、前記ハイブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおけ
る前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する、
該過程とを含む、核酸を含む生物学的サンプルにおいて配列番号:1、配列番号
:3、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択された
アミノ酸配列含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法を
提供する。或る実施態様では、ハイブリダイゼーションを行う過程の前に、前記
生物学的サンプルの核酸をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅する。
【0022】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、及び方法について説明する前に、本
発明は、ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試
薬に限定されず、それらは様々に変更可能であることを理解されたい。また、本
明細書において用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いら
れたものであり、請求項の記載のみによって限定される本発明の範囲を限定する
ことを意図したものではないということも理解されたい。
【0023】 本明細書の発明の詳細な説明又は図面及び特許請求の範囲において、単数を表
す「或る」及び「その(この)」と形容されたものは、前後関係でそうでないこ
とが明らかである場合以外は、複数の意味も含んでいることに注意しなければな
らない。従って、例えば「或る宿主細胞」なる表記が表すものには、複数のその
ような宿主細胞が含まれ、「或る抗体」なる表記は、1種または複数の種類の抗
体及び当業者に周知のその等価物等も表している。
【0024】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し
開示する目的で引用されたものであり、引用により本明細書の一部とする。また
本明細書のあらゆる開示内容を、本発明におけるそのような開示内容が従来技術
に先行しないということを認めるものと解釈してはならない。
【0025】 (定義) 本明細書において、「HUGA」は、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ、ブ
タ、マウス、ウマ、及び好ましくはヒト等のような哺乳動物に由来し、天然の、
合成の、半合成の、又は組換え体の何れかの起源から得られる実質的に精製され
たHUGAのアミノ酸配列である。
【0026】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、HUGAに結合したときHUGA
の効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。アゴニストに
は、HUGAに結合し、その効果を変調するタンパク質、核酸、糖質や、任意の
他の分子が含まれ得る。
【0027】 本明細書において「アレル」或いは「アレル配列」とは、HUGAをコードす
る遺伝子の対立形である。アレルは、核酸配列の少なくとも一箇所の変異によっ
て生じ、変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異したmRN
A或いはポリペプチドの構造や機能が変わる場合もあれば変わらない場合もある
。所定の天然の遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しないもの、1
つ存在するもの、或いは多数存在するものがある。一般にアレルを生じる変異は
ヌクレオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。このタイプの変
異はそれぞれ単独で、或いは他の変異と同時に、所定の配列内で1回又は2回以
上生じ得る。
【0028】 本明細書において、HUGAをコードする「変異」核酸配列とは、異なるヌク
レオチド残基の置換、挿入や欠失を含み、結果的に同一のHUGA、またはHU
GAの機能的な特徴を少なくとも1つ有するポリペプチドをコードするポリヌク
レオチドとなるものである。この定義には、HUGAをコードするポリヌクレオ
チド配列の通常の染色体上の遺伝子座以外の座位を有する多型、アレルとの不適
切なまたは予期しないハイブリダイゼーションによって起こる多型、及びHUG
Aをコードするポリヌクレオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて
容易に検出可能な、或いは検出が困難な多型が含まれている。コードされたタン
パク質も同様に「変異」したものであり得、サイレント変異を生じ、結果的に機
能的に等価なHUGAとなるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに置換を含むもので
あり得る。意図的なアミノ酸の置換は、HUGAの生物学的活性が保持される限
り、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての
類似性に基づいて生じさせることができる。例えば負に荷電したアミノ酸にはア
スパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸にはリジン及び
アルギニンが含まれ、近い親水性値を有する荷電していない極性頭基を有するア
ミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、及びバリン;グリシン及びアラニン;ア
スパラギン及びグルタミン;セリン及びスレオニン;及びフェニルアラニン及び
チロシンが含まれる。
【0029】 本明細書において「アミノ酸」又は「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペ
プチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列、又はそれらの何れかの断片であ
り、自然発生の分子又は合成した分子である。この文脈で、「断片」、「免疫原
性断片」又は「抗原性断片」は、HUGAの断片で、好ましくは約5個〜約15
個のアミノ酸からなる長さを有し、かつHUGAの生物学的活性又は免疫学的活
性を保持しているものである。ここで、「アミノ酸配列」が自然発生タンパク質
分子のアミノ酸配列を指している場合に、「アミノ酸配列」や類似の用語は、そ
のアミノ酸配列を本明細書に記載のタンパク質分子に関連する完全で元のままの
アミノ酸配列に限定する意味で用いられているわけではない。
【0030】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なるコピーを生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を用いて行われる
(例えばDieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laborato ry Manual , Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY, pp.1-5参照)。
【0031】 本明細書において、用語「アンタゴニスト(拮抗物質)」は、HUGAに結合
したとき、HUGAの生物学的又は免疫学的効果の大きさを低下させたり、効果
の継続時間を短縮させる分子である。アンタゴニストとしては、HUGAの効果
を低下させるタンパク質、核酸、糖質、抗体、または他の分子等が挙げられる。
【0032】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子を意味するとともに、例
えばFa、F(ab')2、及びFv断片のような抗原決定基と結合し得るその断
片を意味する。HUGAポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原として完
全なポリペプチド又は目的の小ペプチドを含むその断片を用いることによって作
り出すことができる。動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免疫化す
るのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、RNAの翻訳に由来するもの
、又は化学的に合成されたものであり得、必要ならば担体タンパク質と結合させ
ることができる。ペプチドに化学的に結合する担体として通常用いられるものと
しては、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、及びキーホールリンペットヘ
モシアニン(KLH)等が挙げられる。この結合したペプチドを用いて動物を免
疫化する。
【0033】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と結びつく分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質又はその断片を用いてホストの動物を免
疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、該タンパク質上の所定の領域また
は三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。このような領域また
は構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について元の抗原(
即ち免疫応答を誘導するに用いられる免疫原)と競合し得る。
【0034】 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に
相補的なヌクレオチド配列を含む組成物である。用語「アンチセンス鎖」は、「
センス」鎖に相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子としてはペ
プチド核酸があり、アンチセンス分子は合成や転写を含む任意の方法で作り出す
ことができる。この相補的ヌクレオチドは、一旦細胞内に導入されると、細胞に
よって作られた自然の配列と結合して二重鎖を形成し、これが更なる転写や翻訳
を阻害する。「マイナス(−)」なる表現がアンチセンス鎖の意味で用いられ、
「プラス(+)」はセンス鎖の意味で用いられることがある。
【0035】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造上の機
能、調節の機能、又は生化学的な機能を有するタンパク質である。同様に「免疫
学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のHUGA、若しくはそのオリ
ゴペプチドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の抗体
に結合する能力である。
【0036】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩濃度及び
温度条件の下で、塩基対を形成してポリヌクレオチド同士が自然に結合すること
である。例えば、配列「A−G−T」は相補的な配列「T−C−A」に結合する
。2本の一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合する「部分的」なも
のであるか、若しくは、一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は完全に相
補的なものであり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブリダ
イゼーションの効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同士の
結合によって左右される増幅反応や、ペプチド核酸(PNA)分子の設計及び使
用において特に重要である。
【0037】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」又は「所定の
アミノ酸配列を含む組成物」とは、所定のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列を
含むあらゆる物質をさす。この組成物は、粉末製剤、水溶液、又は滅菌組成物の
形態であり得る。HUGA又はHUGAの断片をコードするポリヌクレオチド配
列を含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして利用することができ
る。このプローブは凍結乾燥した状態で保存することができ、糖質のような安定
化剤と結合させることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、このプロー
ブを、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物質(例え
ばデンハート液、粉乳、サケ精子DNA等)を含む水溶液に分散させておくこと
ができる。
【0038】 本明細書において「コンセンサス配列」は、配列決定し直して不要な塩基を分
離し、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/または 3′方向に延長した上で再度配列決定し直した核酸配列か、または断片を組み合
わせるためのコンピュータプログラム(例えばGELVIEWTM Fragment Assembly sy
stem, GCG, Madison WI)を用いて2種以上のインサイト社クローンの重複した 配列を組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両方によっ
てコンセンサス配列が作られることもある。
【0039】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相互関係を有する」なる表現
は、ノーザン法による解析でHUGAをコードする核酸と同一又は近縁関係にあ
る核酸の存在が検出されることが、サンプル内のHUGAをコードするmRNA
の存在を表し、従ってHUGAをコードする遺伝子からの転写物の発現と相互関
係を有している、ということを表している。
【0040】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基が欠けるような、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化
である。
【0041】 本明細書において、用語「誘導体」は、HUGAをコードするポリヌクレオチ
ド配列又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を化学的に修飾したものである
。このようなポリヌクレオチド配列の化学的修飾としては、例えば、水素からア
ルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。誘導体ポリヌクレオチドは
、元の分子の生物学的又は免疫学的機能の少なくとも1つを保持しているポリペ
プチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、元のポリペプチドの生物学的又は
免疫学的機能の少なくとも1種類を保持しており、グリコシル化、ポリエチレン
グリコール化(PEGylation)、又は他の何らかのプロセスで修飾されたものであ
る。
【0042】 本明細書において、用語「相同性」は、或る程度の相補性を意味する。用語「
(配列)同一性」は、用語「相同性」と置換えることができる。同一の配列が標
的の核酸とハイブリダイズするのを少なくとも部分的に阻害する部分的に相補的
な配列を、「実質的に相同」という。完全に相補的な配列と標的配列とのハイブ
リダイゼーションの阻害は、ストリンジェンシー(厳密さ)を低くした条件の下
で、ハイブリダイゼーションアッセイ(サザンブロット法またはノーザンブロッ
ト法、溶液ハイブリダイゼーション等)を用いて調べることができる。実質的に
相同な配列またはプローブは、低いストリンジェンシー条件の下で、標的の配列
と完全に相同な配列またはプローブとの結合(即ちハイブリッド形成)について
競合し、それを阻害する。このことは、低いストリンジェンシー条件が、非特異
的な結合を許容するものであることを意味するわけではない。低いストリンジェ
ンシー条件では、2つの配列の相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であ
ることが必要だからである。非特異的結合が存在しないことは、部分的な程度の
相補性(即ち約30%未満の相同性即ち同一性)も有していない第2の標的配列
を用いることにより調べることができる。非特異的結合が存在しない場合、プロ
ーブは第2の非相補的標的配列とハイブリダイズしない。
【0043】 「パーセント同一性」或いは「%同一性」という言いまわしは、2以上のアミ
ノ酸または核酸配列を比較した際の配列類似性のパーセンテージである。パーセ
ント同一性は、例えばMegAlignプログラム(DNASTAR, Inc., Madison WI)を用 いることによって電子的に求めることができる。このMegAlignTMプログラムは、
異なる方法、例えばCLUSTAL V法(例えばHiggins, D.G.及びP.M. Sharp (1988)
Gene 73:237-244参照)に従って2以上の配列のアライメントを作成することが できる。このCLUSTAL Vのアルゴリズムでは、配列群を、全ての配列の対につい て両配列間の距離を調べることによってクラスタ(集団)にグループ分けする。
このクラスタ群について、一対毎にアライメントをとり、次にグループにおいて
アライメントをとる。2つのアミノ酸配列、例えば配列Aと配列Bの間のパーセ
ント類似性は、(配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ残基の数−配列Bにお
けるギャップ残基の数)/(配列Aと配列Bとの間の残基の一致の総数)×10
0で計算する。2つのアミノ酸配列の間の類似性の差が低いか無いケースは、パ
ーセント類似性の計算に含められない。核酸配列間のパーセント同一性も、他の
周知の方法、例えばJotun Hein法(例えばHein J. (1990) Methods Enzymol. 18
3: 626-645参照)によってカウント即ち計算することができる。配列間の同一性
は、他の周知の方法、例えばハイブリダイゼーション条件を変えることによって
も決定することができる。
【0044】 「ヒト人工染色体」(HACs)は約10kb〜10MbのサイズのDNA配
列を含んでいるものであり得、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全て
の要素を含む線状の小形染色体である(例えばHarrington, J.J.他 (1997) Nat
Genet. 15:345-355参照)。
【0045】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、その元の結合能をそのまま保持し
つつ、ヒトの抗体により近づくように非抗原結合領域のアミノ酸配列を改変した
抗体分子である。
【0046】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は
、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0047】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩
基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、
2つの核酸配列で形成された複合体である。ハイブリダイゼーション複合体は、
溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析の場合)、或いは核酸は溶液
中に存在する一方の核酸と、固体支持体(例えば細胞やその核酸が固定される紙
、メンブラン、フィルター、ピン、またはスライドガラスまたは他の適切な基板
)に固定されたもう一方の核酸との間で形成され得る。
【0048】 本明細書において、用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較し
て、1個または2個以上のヌクレオチド、アミノ酸残基がそれぞれ加わるような
、ヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。
【0049】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫疾患、又は感染症や遺伝病等と関連のある
状態を指すものであり得る。これらの状態は、細胞や全身の防御系を活性化する
様々な因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び他のシグナル伝達分子の産
生によって特性化され得る。
【0050】 本明細書において、用語「マイクロアレイ」は、個々のポリヌクレオチドを基
板上に配列したものである。基板としては、例えば紙、ナイロン又は他の種類の
メンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の適切な固体支持体
等がある。
【0051】 本明細書において、マイクロアレイに関連して用いられる用語「エレメント」
または「アレイエレメント」とは、基板の表面上に配列されたハイブリダイズ可
能なポリヌクレオチドである。
【0052】 本明細書において、用語「変調」は、HUGAの活性の変化である。例えば、
変調によって、タンパク質の活性の増加や減少、結合特性の変化、又は他のHU
GAの生物学的、機能的、免疫学的特性の変化がもたらされる。
【0053】 本明細書において「核酸」又は「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレ
オチド、ポリヌクレオチド、又はその断片を指すか、一本鎖か二本鎖であり、ま
たセンス鎖又はアンチセンス鎖である、ゲノム起源の若しくは合成したDNA又
はRNAを指すか、又はペプチド核酸(PNA)、又は、DNA様又はRNA様
物質である。この文脈において、「断片(フラグメント)」は、長さが60ヌク
レオチド以上の核酸配列であり、最も好ましくは、長さが100ヌクレオチド以
上又は1000ヌクレオチド以上、及び10000ヌクレオチド以上の断片であ
る。
【0054】 本明細書において、用語「機能的に関連する」又は「機能的に結びついた」は
、機能的に関連する核酸配列を表す。プロモーターは、そのプロモーターが、コ
ードされるポリペプチドの転写を調節している場合、コード配列の機能的に関連
又は機能的に結びついている。機能的に関連した、又は機能的に結びついた核酸
配列は近接し読み枠にあり得るが、ある種のゲノムの配列、例えばリプレッサー
遺伝子は、コードされるポリペプチドに近接していないが、やはりそのポリペプ
チドの発現を調節するオペレーター配列に結合する。
【0055】 本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅又はハイブリ
ダイゼーションアッセイ、若しくはマイクロアレイで用いることができる核酸配
列であって、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適に
は15〜30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを
指す。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、当分野において一般
に定義されているような用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー
」、及び「プローブ」と実質的に同義である。
【0056】 本明細書において「ペプチド核酸」(PNA)は、末端がリジンであるアミノ
酸残基のペプチドバックボーンに結合した5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌ
クレオチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリジンが
この物質に溶解性を与えている。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優
先的に結合して転写物の伸長を止め、かつPNAをポリエチレングリコール化す
ることにより、細胞でのその寿命を延ばすことができる(例えばNielsen, P.E. 他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63参照)。
【0057】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。HUGAをコードする核酸またはその断片またはHUGA自体を含む疑いのあ
る生物学的サンプルには、体液や、細胞から単離された染色体、細胞小器官、又
は細胞膜からの抽出物や、細胞や、(溶液中の、または固体支持体に結合した)
ゲノムのDNA、RNA、またはcDNAや、組織や、組織プリント(tissue p
rint)その他が含まれる。
【0058】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、タン
パク質又はペプチドと、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストとの相互作用で
ある。この相互作用は、結合する分子によって認識されるタンパク質上の特定の
構造(即ち抗原決定基、即ちエピトープ)の存在に左右される。例えば、抗体が
エピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」及びその抗体を含
む反応において、エピトープA(つまり結合していない、非標識のA)を含むタ
ンパク質が存在すると、抗体が結合した標識したAの量が低下する。
【0059】 本明細書において、用語「ストリンジェントな(厳密な)条件」は、ポリヌク
レオチド配列と、特許請求の範囲に記載されたポリヌクレオチド配列との間のハ
イブリダイゼーションを許容する条件を指す。適切なレベルのストリンジェント
な条件は、例えば、プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション領
域における塩又はホルムアミドの濃度、又はハイブリダイゼーション温度によっ
て決定することができ、当分野でよく知られている。詳述すると、ストリンジェ
ンシー(厳密さ)は、塩の濃度を低下させること、ホルムアミドの濃度を上昇さ
せること、又はハイブリダイゼーション温度を高めることによって高めることが
できる。
【0060】 例えば、高いレベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーショ
ンは、約37℃〜42℃における約50%のホルムアミド濃度で生じ得る。低い
レベルのストリンジェントな条件の下でのハイブリダイゼーションは、約30℃
〜35℃の温度での約35%〜25%のホルムアミド濃度で生じ得る。詳述する
と、高いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、50%
のホルムアミド濃度、5X SSPE、0.3%SDS、及び200μg/ml
の同じ長さに切り揃え変性させたサケ精子DNAを用いて42℃で生じ得る。低
いストリンジェンシーの条件の下でのハイブリダイゼーションは、上述の条件で
、温度を35℃に下げ、ホルムアミド濃度を35%にした時に生じ得る。特定の
レベルのストリンジェンシーに対応する温度範囲は、目的の核酸のプリン対ピリ
ミジン比を計算し、それに従って温度を調節することによって更に狭めることが
できる。上述の温度範囲及び条件の変更については当分野で周知である。
【0061】 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、単
離または分離されて、自然にはそれが結合して存在する他の構成要素が60%以
上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上除去された核酸配列又は
アミノ酸配列である。
【0062】 本明細書において「置換」は、1個または2個以上のヌクレオチド或いはアミ
ノ酸を、それぞれ異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることである。
【0063】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた様々な方法を
用いて、自然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸配列を原
核生物または真核生物の宿主細胞に挿入するための既知の方法によって行うこと
ができる。この方法は形質転換される宿主細胞の型に基づいて選択され、以下に
限定するものではないが、ウイルスを感染させる方法、電気穿孔法(エレクトロ
ポレーション)、熱ショック、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法等
があり得る。用語「形質転換された」細胞は、そのなかで挿入されたDNAが、
自律的に複製するプラスミドか、または宿主の染色体の一部として複製できる、
安定的に形質転換された細胞等である。またこのような細胞には、限られた時間
での挿入されたDNAやRNAの一過性の発現が起こる細胞もある。
【0064】 本明細書においてHUGAの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸が変
化したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり得、
この保存的変化の場合は、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合のよ
うに置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変異体
が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化の場合は、例えばグリ
シンがトリプトファンで置換される。類似した小さな変化として、アミノ酸の欠
失か挿入、若しくはその両方が含まれる。生物学的或いは免疫学的活性を損なわ
ずに置換、挿入、又は欠失させることができるアミノ酸は何れかということは、
例えばLASERGENETMソフトウエアのような周知のコンピュータプログラムを用い て決定することができる。
【0065】 (発明) 本発明は、新規なヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ(HUGA)、HU
GAをコードするポリヌクレオチド、及び癌、発達障害、生殖障害、及び自己免
疫性/炎症性疾患の診断、処置、又は予防のためのこれらの組成物の使用法の発
見に基づくものである。
【0066】 本発明のHUGA−1をコードする核酸は、十二指腸cDNAライブラリー(
DUODNOT02)を起源とするインサイト社クローンNo. 1705085において、アミノ酸
配列アライメントのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス
配列の配列番号:2は、以下の重複及び/又は延長された核酸配列、即ちインサ
イト社クローンNo. 861082(BRAITUTU03が起源)、1705085(DUODNOT02が起源)
、1798520(COLNNOT27が起源)、及び3149055(ADRENON04が起源)から導き出さ
れたものである。
【0067】 或る実施態様では、本発明は、図1A、図1B、図1C、及び図1Dに示す配
列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。HUGA−1は37
8個のアミノ酸からなる長さを有し、1番目の残基M(以下、「M1」のように
表記する。)〜概ねT21にシグナル配列であり得る配列を有する。HUGA−
1は、残基N149にNグリコシル化可能部位を、残基T79、T174、及び
S349に3個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位を、残基S146、T1
51、S297、及びS331に4個のプロテインキナーゼCリン酸化可能部位
を、及び残基Y179にチロシンキナーゼリン酸化可能部位を有する。図3A、
図3B、及び図3Cに示すように、HUGA−1は、ショウジョウバエ(Drosoh
ila melanogaster)brainiac遺伝子(GI 1150971;配列番号:5)及びマウスUD
P-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェ ラーゼ-I(GI 2745735;配列番号:6)と化学的及び構造的相同性を有する。詳
述すると、HUGA−1は、ショウジョウバエ(Drosohila melanogaster)brai
niacと23%の配列同一性を、マウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサ
ミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-Iと24%の配列同一性を有する 。HUGA−1は、マウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3
-ガラクトシルトランスフェラーゼの8つの保存領域のうちの7つと高い相同性 を示す。HUGA−1の71番目〜76番目のアミノ酸残基はマウスUDP-ガラク
トース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-I の領域1と83%の配列同一性を有し、HUGA−1の86番目〜95番目のア
ミノ酸残基はマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラ クトシルトランスフェラーゼ-Iの領域2と60%の配列同一性を有し、HUGA
−1の109番目〜112番目のアミノ酸残基はマウスUDP-ガラクトース:β-N-
アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-Iの領域3と1 00%の配列同一性を有し、HUGA−1の145番目〜156番目のアミノ酸
残基はマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシ ルトランスフェラーゼ-Iの領域4と83%の配列同一性を有し、HUGA−1の
170番目〜181番目のアミノ酸残基はマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチ
ルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-Iの領域5と67%の 配列同一性を有し、HUGA−1の262番目〜272番目のアミノ酸残基はマ
ウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラクトシルトラン スフェラーゼ-Iの領域7と64%の配列同一性を有し、HUGA−1の290番
目〜301番目のアミノ酸残基はマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコ
サミンβ1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-Iの領域8と50%の配列同一 性を有する。HUGA−1は、E(290番目)DVFVGにガラクトシルトラ
ンスフェラーゼモチーフの可能性のある部位を有する。概ね130番目のヌクレ
オチド〜概ね156番目のヌクレオチドに渡る配列番号:2の断片は、ハイブリ
ダイゼーションのために有用である。ノーザン法による解析の結果から、様々な
ライブラリーにおけるこの配列の発現が分かる。そのようなライブラリーの少な
くとも36%は、不死化細胞系即ち癌性のものであり、少なくとも57%は免疫
応答関連のものである。特に注目すべきは、内分泌腺、胃腸、造血/免疫関連組
織、神経組織、及び女性の生殖組織におけるHUGA−1の発現である。
【0068】 本発明のHUGA−2をコードする核酸は、肺癌cDNAライブラリー(LUNG
TUT06)を起源とするインサイト社クローンNo. 2551161において、アミノ酸配列
アライメントのコンピュータ検索を用いて初めに特定された。コンセンサス配列
の配列番号:4は、以下の重複及び/又は延長された核酸配列、即ちインサイト
社クローンNo. 094232(PITUNOT01が起源)、514851(MMLR1DT01が起源)、1727
376(PROSNOT14が起源)、1804115(SINTNOT13が起源)、1856849(PROSNOT18が
起源)、2478323(SMCANOT01が起源)、2529537(GBLANOT02が起源)、2551161 (LUNGTUT06が起源)、及び3176331(UTRSTUT04が起源)から導き出されたもの である。
【0069】 或る実施態様では、本発明は、図2A、図2B、図2C、図2D、図2E、図
2F、及び図2Gに示す配列番号:3のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含
する。HUGA−2は344個のアミノ酸からなる長さを有し、1番目の残基M
(以下、「M1」のように表記する。)〜概ねR14にサイトゾルドメインで有
り得る領域を、概ねN32〜概ねN76に幹ドメインであり得る領域を、及び概
ねC77〜A344に触媒作用性ドメインであり得る領域を有する。HUGA−
2は、残基N4、N220、及びN335に3個のNグリコシル化可能部位を、
残基T97に1個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位を、残基S10、S6
8、T69、及びS321に4個のプロテインキナーゼCリン酸化可能部位を、
及び残基Y158及びY284に2個のチロシンキナーゼリン酸化可能部位を有
する。図4A及び図4Bに示すように、HUGA−2は、ニワトリβ1, 4-ガラ クトシルトランスフェラーゼCK-I(GI 1469908;配列番号:7)と化学的及び構
造的相同性を有する。詳述すると、HUGA−2は、ニワトリβ1, 4-ガラクト シルトランスフェラーゼCK-Iの、ジスルフィド架橋を形成すると考えられる2つ
のシステイン残基は、HUGA−2においてC77及びC189に保存されてい
る。HUGA−2は、ガラクトシルトランスフェラーゼUDP-ガラクトース結合モ
チーフであり得る領域をK(283番目)YTMVFHTRDKに有している。
概ね432番目のヌクレオチド〜概ね455番目のヌクレオチドに渡る配列番号
:4の断片は、ハイブリダイゼーションのために有用である。ノーザン法による
解析の結果から、様々なライブラリーにおけるこの配列の発現が分かる。そのよ
うなライブラリーの少なくとも53%は、不死化細胞系即ち癌性のものであり、
少なくとも31%は免疫応答関連のものである。特に注目すべきは、女性の生殖
組織、男性の生殖組織、胃腸、造血/免疫関連組織、胎児の組織、及び神経組織
におけるHUGA−2の発現である。
【0070】 また本発明は、HUGAの変異体を包含する。好ましいHUGA変異体は、H
UGAの機能的又は構造的特徴の少なくとも1種類を有し、HUGAアミノ酸配
列と、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましく
は少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するものである。
【0071】 また本発明は、HUGAをコードするポリヌクレオチドを包含する。特定の実
施態様では、本発明は、HUGA−1をコードする、図1A、図1B、図1C、
及び図1Dに示す配列番号:2の配列を含むポリヌクレオチド配列を包含する。
更に別の実施態様では、本発明は、HUGA−2をコードする、図2A、図2B
、図2C、図2D、図2E,図2F、及び図2Gに示す配列番号:4の配列を含
むポリヌクレオチドを包含する。
【0072】 また本発明は、HUGAをコードするポリヌクレオチド配列の変異体を包含す
る。詳述すると、そのような変異体ポリヌクレオチド配列は、HUGAをコード
するポリヌクレオチド配列との、少なくとも約80%、より好ましくは少なくと
も約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列同一性
を有する。本発明の特定の実施態様は、配列番号:2の配列との、少なくとも約
80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95
%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列番号:2の変異体を包含する。更
に本発明は、配列番号:4の配列との、少なくとも約80%、より好ましくは少
なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配列
同一性を有する配列番号:4の変異体を包含する。上述のポリヌクレオチド変異
体の何れかが、HUGAの機能的又は構造的特徴の少なくとも1種類を有するア
ミノ酸配列をコードし得る。
【0073】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の相同性しか有していないものも含めて、多
種のHUGAをコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本発明は
、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作り出されるあ
らゆる可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせは、
自然発生のHUGAのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なトリプレッ
ト遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全てここに具
体的に開示されたものと考えられたい。
【0074】 HUGAをコードするヌクレオチド配列及びその変異体は、適切に選択された
ストリンジェンシーの条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブリダ
イズ可能であるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを有しているHUGA又
はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。
コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度に従って
、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生率を高め
るように選択することができる。HUGA及びその誘導体をコードするヌクレオ
チド配列を、コードされるアミノ酸配列が変わらないように実質的に改変する他
の理由として、例えば自然発生配列から作られる転写物より長い半減期のような
、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことが挙げられる。
【0075】 本発明の範囲には、HUGA又はその誘導体をコードするDNA配列又はその
断片の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製した後、この合成遺
伝子を、周知の試薬を用いて入手可能な様々な発現ベクター及び細胞系に挿入す
ることができる。更に、合成ケミストリを用いてHUGAをコードする配列又は
その任意の断片に突然変異を導入することができる。
【0076】 また本発明の範囲に含まれるものとして、様々なストリンジェンシーの条件の
下で請求項に記載のポリヌクレオチド配列、特に配列番号:2、配列番号:4、
配列番号:2の断片、又は配列番号:4の断片のポリヌクレオチド配列とハイブ
リダイズし得るポリヌクレオチド配列がある(例えばWahl, G.M. 及びS.L.Berge
r (1987) Methods Enzymol. 152:399-407; 及びKimmel, A.R. (1987) Methods i
n Enzymol. 152:507-511参照)。
【0077】 DNAシークエンシングの方法は、周知で当業者が通常利用可能であり、本発
明の実施例の何れかの実施のために用いることができる。この方法では、例えば
DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントであるSequenase(US Biochemical
Corp. Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメ ラーゼ(Amersham, Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)から発
売されているELONGASE Amplification Systemに見られるもののような校正エキ ソヌクレアーゼと組換え体ポリメラーゼとの組み合わせたもののような酵素を用
いることができる。このプロセスは、Hamilton Micro Lab2200(Hamilton, Reno
, NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch, Watertown MA)並びに
ABI Catalyst及びABI377及び377 DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置 を用いて自動化するのが好ましい。
【0078】 HUGAをコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用して、様
々な公知のPCRをベースにした方法を用いて伸長させ、プロモーター及び調節
エレメントのような上流の配列を検出することができる。例えば、使用可能な方
法の一つである制限部位PCR法では、汎用プライマー及び入れ子プライマーを
用いてクローニングベクター内のゲノムのDNAから未知の配列を得る(例えば
Sarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322参照)。別の方法である逆P
CR法では、ばらばらな方向に伸長するプライマーを利用して、環状のテンプレ
ートから未知の配列を増幅する。このテンプレートは、既知のゲノムの座位及び
その周りの配列を含む制限断片に由来するものである。(例えばTriglia, T.他 (1988)Nucleic Acids Res 16:8186参照)。第3の方法であるキャプチャPC R法では、ヒト及び酵母菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA断
片をPCRによって増幅する(例えばLagerstrom, M.他(1991)PCR Methods Ap
plic 1:111-119参照)。この方法では、PCRを行う前に、複数の制限酵素によ
る消化及び連結によってそのDNA分子の未知の断片のなかに、組換え二本鎖配
列を組み入れておくこともできる。未知の配列を釣り上げるために用いることが
できる別の方法も公知となっている(例えばParker, J.D.他 (1991) Nucleic Ac
ids Res 19:3055-3060参照)。更に、PCR、入れ子プライマー、PromoterFind
erTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行を行うことができる(Clontech
, Palo Alto CA)。このプロセスは、ライブラリーをスクリーニングする必要が
なく、イントロン/エクソン接合部を探し出すのに有用である。全てのPCRを
ベースにした方法のために、プライマーを、OLIGO 4.06 Primer Analysis softw
are(National Biosciences Inc., Plymouth MN)のような市販のソフトウェア や他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量が
50%以上、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計す
ることができる。
【0079】 完全長cDNAをスクリーニングするときには、より大きなcDNAを含むよ
うにサイズ選択されたライブラリーを用いるのが好ましい。またランダムプライ
ミングした(random primed)ライブラリーは、多くの場合遺伝子の5′領域を 含み、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場合に特に
好ましい。またゲノムライブラリーは、転写されない5′調節領域まで配列を延
長するために有用であり得る。
【0080】 シークエンシングやPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりその
存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることがで
きる。特に、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための
流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオチ
ドに対して1種類)を使用し、CCDカメラを用いて放射された波長の検出を行
う。出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin Elmer製のGenotyperTM 及びSequence NavigatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷から
コンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。
キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に少量しか存在しないようなDN
Aの小片の配列決定に特に適している。
【0081】 本発明の別の実施例では、HUGAをコードするポリヌクレオチド配列または
その断片を組換えDNA分子に組み入れることにより、適切な宿主細胞内でのH
UGA、その断片または機能的等価物の発現を誘導することができる。遺伝暗号
固有の縮重のために、実質的に同一又は機能的に等価なアミノ酸配列をコードす
る他のDNA配列も作り出され得、これらの配列をHUGAの発現のために用い
ることができる。
【0082】 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でHUGAをコードする配列を改変
するために、周知の方法を用いて組換えることができる。この配列改変の目的と
しては、限定するものではないが、例えば遺伝子産物のクローニング、プロセシ
ング及び/又は発現を変えること等が挙げられる。無作為断片によるDNA再編
成や遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再構成(reassembly
)によって、ヌクレオチド配列を組換えることができる。例えば、オリゴヌクレ
オチド媒介特定部位突然変異誘発によって、新しい制限部位の挿入、グリコシル
化パターンの変更、コドン選好の変化、スプライスバリアントの作出、突然変異
の導入その他を達成することができる。
【0083】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法(例えばCaruthers. M.H.他(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:215-223; Horn, T.他(1980)Nucl. Acids
Res. Symp. Ser. 225-232参照)を用いて、HUGAをコードする配列の全体、 或いはその一部を合成することができる。或いは、化学的方法を用いてタンパク
質自体を作り出して、HUGAのアミノ酸配列またはその断片を合成することが
できる。例えば、様々な固相技術(例えばRoberge, J.Y.他(1995) Science 269:
202-204参照)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例えばABI 4
31Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いることにより達成することができる 。更に、HUGAのアミノ酸配列及びその任意の一部を、直接の合成の際の変更
し、かつ/又は他のタンパク質又はその任意の一部の配列と結合することによっ
て、変異体ポリペプチドを作り出すことができる。
【0084】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより実質的に精製する
ことができる(例えば、Chiez, R.M.及びF.Z. Regnier (1990) Methods Enzymol
. 182:392-421参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸解析或いはシー クエンシングにより確認することができる(例えばCreighton T.(1983)Protei ns Structure and Molecular Principles , WH Freeman and Co., New York, NY 参照)。
【0085】 生物学的に活性なHUGAを発現させるためには、HUGAをコードするヌク
レオチド配列或いはその誘導体を、適切な発現ベクター、即ち適切な宿主内で挿
入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な配列を含むベクターに
挿入する。これらの配列としては、例えば、ベクターにおける、及びHUGAを
コードするポリヌクレオチド配列におけるエンハンサー、構成的及び誘導的プロ
モーター、及び5’及び3’末端非翻訳領域のような制御配列が挙げられる。こ
のようなエレメントの作用の強さや特異性は様々に異なったものであり得る。ま
た、HUGAをコードする配列のより効率的な翻訳のためには、特定の開始シグ
ナルも必要である。このようなシグナルとしては、ATG開始コドン及び隣接す
る配列、例えばKozak配列が挙げられる。HUGA及びその開始コドン及び上流 の制御配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合には、他の転写または翻訳
の制御シグナルは不要である。しかし、コーディング配列又はその断片のみが挿
入される場合には、ATG開始コドンを含む外来の翻訳制御シグナルを与えなけれ ばならない。さらに、全インサートの転写が確実に行われるようにするために、
開始コドンは正しい読み枠に存在しなければならない。外来転写エレメント及び
開始コドンは、天然及び合成両方の様々な起源に由来するものであり得る。使用
される特定の細胞系に適切なエンハンサーを含めることにより、発現の効率を高
めることができる(例えば、Scharf,D.他(1994)Results Probl. Cell Differ.
20:125-162参照)。
【0086】 HUGAをコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベクタ
ーを作製するために、当業者に周知の方法を用いることができる。これらの方法
としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組換え 技術が含まれる(例えば、Sambrook, J.他(1989)Molecular Cloning, A Labor atory Manual , Cold Spring Harbor Press, Planview NY, ch. 4, 8及びAusubel
, F.M.等(1995, 及び定期的な増補) Current Protocol in Molecular Biology,
John Wiley &Sons, New York, NY, ch. 9, 13,及び16を参照)。
【0087】 様々な発現ベクター/宿主系を、HUGAをコードする配列の保持、発現のた
めに利用することができる。このようなものとしては、以下に限定するものでは
ないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現ベク
ターで形質転換した細菌のような微生物;酵母菌発現ベクターで形質転換した酵
母菌;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞
系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、タ
バコモザイクウイルス(TMV))或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或いはp
BR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;或いは動物細胞系が挙げられる 。本発明は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0088】 細菌系では、HUGAをコードするポリヌクレオチドの用途に応じて様々なク
ローニング及び発現ベクターを選択することができる。例えば、HUGAをコー
ドするポリヌクレオチドのルーチンのクローニング、サブクローニング、及び成
長(propagation)を、例えばBluescript(Stratagene)やpSport1TMプラスミド
(GIBCO BRL)のような多機能大腸菌ベクターを用いて達成することができる。 ベクターの様々なクローニング部位にHUGAをコードする配列を組み入れてla
cZ遺伝子を壊すことによって、組換え分子を含む形質転換された細菌を特定する
ための比色によるスクリーニングを行うことができるようになる。更に、これら
のベクターは、in vitro転写、ジデオキシ法のシークエンシング、ヘルパーファ
ージによる一本鎖レスキュー(single strand rescue)、及びクローン化した配
列における入れ子欠失の生成のために有用であり得る(例えばVan Heeke, G.及 びS.M. Schuster(1989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509)。例えば抗体産生の ために大量のHUGAが必要な場合には、HUGAの高レベルで発現を誘導する
ベクターを用いることができる。例えば、強い誘導性T5またはT7バクテリオ
ファージプロモーターを含むベクターを用いることができる。
【0089】 HUGAの産生のために、酵母菌発現系を用いることもできる。例えばα因子
、アルコールオキシダーゼ、及びPGHのような構成的または誘導的プロモータ
ーを含む様々なベクターを、酵母菌のサッカロミセスセレビシエ(Saccharomyce s cerevisiae )やメタノール資化酵母ピチアパストリス(Pichia pastoris)に おいて用いることができる。更に、そのようなベクターは、発現されたタンパク
質の細胞外への分泌または細胞内での保持の何れかを誘導し、安定的な発現のた
めの外来配列の宿主のゲノムへの組み入れを可能にする(例えばAusubel, 前出;
及びGrant他(1987)Methods Enzymol. 153:516-54; Scorer, C.A.他(1994) Bio/
Technology 12:181-184参照)。
【0090】 HUGAの発現のために植物系も用いることができる。例えばCaMVの35S及び1
9Sプロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(Takam
atsu,N.他(1987)EMBO J 6:307-311)のオメガリーダー配列と共に用いて、H UGAをコードする配列の転写を促進することができる。或いは、RUBISCOの小 サブユニットや熱ショックプロモーターのような植物のプロモーターを用いても
よい(例えばCoruzzi, G.他(1984)EMBO J 3:1671-1680; Broglie, R.他(1984
)Science 224:838-843; 及びWinter, J.他(1991)Results Probl. Cell Diffe
r. 17:85-105参照)。これらの作製物は、直接的なDNA形質転換或いは病原体
によるトランスフェクションにより植物細胞内に導入できる(例えばHobbs, S. 又はMurry, L.E. McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1992)Mc
Graw Hill NY, pp191-196を参照されたい)。
【0091】 哺乳動物の細胞では、多種のウイルスをベースにした発現系を利用することが
できる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、HUGAをコー
ドする配列を、後期プロモーター及び三連リーダー配列(tripartite leader se
quence)からなるアデノウイルスの転写/翻訳複合体に連結することが可能であ
る。ウイルスのゲノムの非必須のE1領域又はE3領域へ挿入することにより、
宿主細胞におけるHUGAを発現する感染性のウイルスが得られる(例えばLoga
n, J.及びT. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659)。さらに、
哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるためにラウス肉腫ウイルス(RSV)エン
ハンサーのような転写エンハンサーを用いることができる。
【0092】 また、ヒト人工染色体(HAC)を用いることにより、プラスミドに組み入れ
られてそこから発現され得るものより大きいDNAの断片を供給することもでき
る。治療上の目的で、6kb〜10MbのHACを構築し、従来のデリバリー方
法(リポソーム、ポリカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用して供給す
ることができる。
【0093】 哺乳動物系において長期間にわたる組換えタンパク質の産生を確保するために
は、細胞系におけるHUGAの安定した発現が望ましい。例えば、ウイルスの複
製起源及び/または内在性発現エレメント及び選択マーカー遺伝子を同一のベク
ター上、或いは個別のベクター上に含み得る発現ベクターを用いて、HUGAを
コードする配列を、細胞系に形質転換することができる。ベクターの導入の後、
細胞を濃縮培地内で概ね1〜2日間増殖させ、次に選択培地に切り替える。選択
マーカーの目的は、選択薬に対する耐性を与え、その存在に基づいて導入された
配列を間違いなく発現する細胞を増殖させ、回収できるようにすることである。
安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞の型に適した組織培養
技術を用いて増殖させることができる。
【0094】 形質転換された細胞系を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系としては、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子(tk)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(
apr)が挙げられ、それぞれtk-又はapr-細胞において用いられる(例えばWigler
, M.他 (1977) Cell 11:223-232、及びLowy, I.他 (1980) Cell 22:817-823参照
)。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用い
ることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはア ミノ配糖体のネオマイシン及びG−418に対する耐性を与え、als或いはpatは
クロルスルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフ ェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例え ば、Wigler, M.他 (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570、Colberre-Ga
rapin, F.他 (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14、及びMurry (前出)参照)。別の 選択に利用できる遺伝子として、例えば、代謝のために細胞が要求する物質を変
える、trpBやhisDが文献に記載されている(例えばHartman, S.C.及びR.C. Mull
igan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-8051)。可視マーカー、例えば アントシアニン、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein;GFT) 、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるβ−D−グルクロノシド、またはル
シフェラーゼ及びその基質であるルシフェリンを用いてもよい。これらのマーカ
ーは、形質転換体を特定するためばかりでなく、特定の発現ベクター系によ一過
性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために藻い入ることができる
(例えばRhodes, C.A.他 (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131)。
【0095】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示唆され
るが、その存在及び発現は確認する必要があることがある。例えばHUGAをコ
ードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、HUGAをコードす
る配列が組み入れられた形質転換された細胞を、マーカー遺伝子の機能の欠如に
基づいて確認できる。或いは、マーカー遺伝子はHUGAをコードする配列と直
列に配置され得、両者が単一のプロモータの制御下となり得る。誘導に応じたマ
ーカー遺伝子の発現、即ち選択は、通常、直列に配置された配列の発現をも同時
に表す。
【0096】 一般に、HUGAをコードする核酸配列を含みHUGAを発現する宿主細胞は
、当業者に周知の様々な方法により同定することができる。このような方法とし
ては、限定するものではないが、DNA−DNA或いはDNA−RNAハイブリ
ダイゼーション、PCRによる増幅、及び核酸及びタンパク質を検出かつ/また
は定量するための、膜、溶液、或いはチップを用いる技術を含むタンパク質バイ
オアッセイ或いはイムノアッセイ等が挙げられる。
【0097】 このタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず
れかを用いる、HUGAの発現を検出、測定するための免疫学的方法は周知であ
る。このような方法としては、以下に限定するものではないが、酵素結合免疫検
定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法(FA
CS)等が挙げられる。HUGAポリペプチド上の2つの非干渉なエピトープに対
して反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベースイムノ
アッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが、競合的
結合アッセイを用いてもよい。これらアッセイの並びに他のアッセイは周知であ
る(例えばHampton, R.他(1990) Serological Methods, a Laboratory Manual,
APS Press, St. Paul MN; Coligan, J.E.他(1997及び定期的に発行される補遺)
Current Protocols in Immunology, Greene Pub. Associates and Wiley-Inters
cience, New York, NY; 及びMaddox, D.E.他(1983) J. Exp. Med. 158:1211-121
6参照)。
【0098】 様々な標識・結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸及びアミノ酸のア
ッセイにおいて用いることができる。HUGAをコードするポリヌクレオチドに
近縁な配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ・P
CRプローブを作製するための手段には、オリゴ標識法、ニックトランスレーシ
ョン法、末端標識法、或いは標識したヌクレオチドを用いるPCR増幅が含まれ
る。或いは、HUGAをコードする配列またはその任意の断片を、mRNAプロ
ーブの作製のためのベクターにクローン化してもよい。そのようなベクターは周
知で、市販されており、これを用いて例えばT7、T3、或いはSP6のような
適切なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えることによって、
in vitroでRNAプローブを合成することができる。これらの方法は、種々の市
販のキット、例えばPharmacia Upjohn(Kalamazoo, MI);Promega(Madison WI
);及びU.S. Biochemical Corp.(Cleveland OH)から提供されているものを用
いて実施することができる。検出を容易にするために用いられ得る適切なリポー
ター分子、すなわち標識としては、放射性核種、酵素、フルオレセント(蛍光剤
)、化学発光剤、或いは色素剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁気粒子等
が挙げられる。
【0099】 HUGAをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、このタ
ンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で培養す
ることができる。形質転換された細胞により産生されるタンパク質は、用いられ
る配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に保持され
る。当業者には理解されるように、HUGAをコードするポリヌクレオチドを含
む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのHUGA分泌を誘導
するシグナル配列を含むように設計することができる。
【0100】 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を変調したり、発現したタンパク
質を望ましい形にプロセシングする能力ついて選択することができる。このよう
なポリペプチドの修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カルボ
キシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が含
まれる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも、
タンパク質のターゲティング、折り畳み、及び/又は作用を特定するために用い
ることができる。翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的な機構を有し
ている種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、293、及びWI38)はAmerican T
ype Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手でき、導入される外来
タンパク質の正しい修飾やプロセシングが確実に行われるように、このなかから
選択することができる。
【0101】 本発明の別の実施例では、HUGAをコードする、天然の、修飾した、或いは
組換えた核酸配列をヘテロの配列に連結して、上述の宿主系の何れかにおける融
合タンパク質の翻訳を生じさせることができる。例えば、市販の抗体によって認
識され得る異種分子を含むキメラHUGAタンパク質は、ペプチドライブラリー
からのHUGAの活性のインヒビターの選別を促進し得る。そのような分子とし
ては、限定するものではないが、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、 マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カルモジュリン結
合ペプチド(CBP)、6-His、FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA)が挙げられ る。GST、MBP、Trx、CBP、及び6-Hisによって、それぞれ固定化グルタチオン、 マルトース、酸化フェニルアルシン(phenylarsine oxide)、カルモジュリン、
及び金属キレート樹脂の上でのそれらの同属の融合タンパク質の精製が可能とな
る。FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA)によって、それらのエピトープのタ グを特異的に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を用い
た融合タンパク質のイムノアフィニティ精製が可能となる。融合タンパク質を、
HUGAをコードする配列とへテロのタンパク質配列との間にタンパク分解酵素
による切断部位を含むように組換えることによって、HUGAを、精製の後にヘ
テロの分子から切り離すことができるようになる。融合タンパク質の発現及び精
製のための方法は、Ausubel, F.M.他(1995及び定期的補遺) Current Protocols
in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, ch 10に記載されて
いる。融合タンパク質の発現や精製を速やかに行うために、様々な市販のキット
を用いてもよい。
【0102】 本発明の更に別の実施例では、放射標識したHUGAを、TNTTMウサギ網状赤 血球のライセートまたはコムギ胚芽抽出物系(Promega, Madison, WI)を用いて
in vitroで合成することができる。これらの系は、T7、T3、またはSP6プ
ロモーターに機能的に関連するタンパク質コーディング配列の転写と翻訳を結び
つける。翻訳は、放射標識したアミノ酸前駆体、好ましくは35S-メチオニンの存
在の下で生じる。
【0103】 HUGAの断片の作製は、組換え体の産生によって行うのみならず、固相技術
を用いた直接のペプチド合成によっても行うことができる(例えばCreighton, 前出pp.55-60参照)。タンパク質合成は、手作業により、或いは自動的に行うこ
とができる。合成の自動化は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド合成 機 (The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT) を用いて達成することができる。 HUGAの様々な断片を個別に合成し、それを連結して完全長分子を作り出すこ
とができる。
【0104】 (治療) HUGA−1と、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のbraniac遺
伝子(GI 1150971)及びマウスのUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミン
β1, 3-ガラクトシルトランスフェラーゼ-I(GI 2745735I)との間に化学的及び
構造的相同性が存在する。加えて、HUGA−1は、癌性組織、炎症性組織、造
血/免疫関連組織、及び女性の生殖組織に由来するライブラリーにおいて発現さ
れる。
【0105】 HUGA−2と、ニワトリのβ1, 4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GI 14
69908)との間に化学的及び構造的相同性が存在する。加えて、HUGA−2は 、癌性組織、炎症性組織、造血/免疫関連組織、女性の生殖組織、及び男性の生
殖組織に由来するライブラリーにおいて発現される。
【0106】 従って、HUGAは、癌、発達障害、生殖障害、及び自己免疫性/炎症性疾患
において一定の役割を果たしていると考えられる。
【0107】 従って、或る実施態様では、癌の処置又は予防のために、HUGAまたはその
断片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような癌としては、以下に限定す
るものではないが、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫
、具体的には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸
管、心臓、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液
腺、皮膚、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌等を挙げることができる。
【0108】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、HUGAまたはその断片若しくは誘導体を発現し得るベク
ターを患者に投与し得る。
【0109】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌の処
置又は予防のために、実質的に精製されたHUGAを適切な医薬用担体と共に含
む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0110】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む癌
の処置又は予防のために、HUGAの活性を変調するアゴニストを患者に投与し
得る。
【0111】 別の実施態様では、発達障害の処置又は予防のために、HUGAまたはその断
片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような発達障害としては、以下に限
定するものではないが、尿細管性アシドーシス、貧血症、クッシング症候群、軟
骨形成不全性小人症、デュシェンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー、てんかん、
性腺形成異常症、ウィルムス腫瘍、無虹彩症、生殖器異常、WAGR症候群、S
mith−Magenis症候群、脊髄形成異常症候群、遺伝性粘膜上皮形成異
常、遺伝性角皮症、例えばシャルコー・マリー・ツース病や神経線維腫症のよう
な遺伝性神経病、甲状腺機能低下症、水頭症、例えばシドナム舞踏病や脳性小児
麻痺のような発作障害、2分脊椎、及び先天性緑内障、白内障、又は感覚神経性
聴力損失等を挙げることができる。
【0112】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発達障
害の処置又は予防のために、HUGAまたはその断片若しくは誘導体を発現し得
るベクターを患者に投与し得る。
【0113】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発達障
害の処置又は予防のために、実質的に精製されたHUGAを適切な医薬用担体と
共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0114】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む発
達障害の処置又は予防のために、HUGAの活性を変調するアゴニストを患者に
投与し得る。
【0115】 別の実施態様では、生殖障害の処置又は予防のために、HUGAまたはその断
片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような生殖障害としては、以下に限
定するものではないが、プロラクチン産生の異常;卵管の異常、排卵障害、及び
子宮内膜症を含む不妊症;性周期の異常、月経周期の異常、多嚢胞卵巣症候群、
卵巣過剰刺激症候群、子宮内膜及び卵巣の腫瘍、子宮筋腫、自己免疫異常、異所
性妊娠、及び奇形発生;乳癌、繊維嚢胞製乳腺症、及び乳汁漏出;精子形成の異
常、精子の異常、精巣の癌、前立腺癌、良性前立腺肥大症、前立腺炎、ペーロニ
ー病、男性の乳房の癌、及び女性化乳房症等を挙げることができる。
【0116】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む生殖障
害の処置又は予防のために、HUGAまたはその断片若しくは誘導体を発現し得
るベクターを患者に投与し得る。
【0117】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む生殖障
害の処置又は予防のために、実質的に精製されたHUGAを適切な医薬用担体と
共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0118】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む生
殖障害の処置又は予防のために、HUGAの活性を変調するアゴニストを患者に
投与し得る。
【0119】 別の実施態様では、自己免疫性/炎症性疾患の処置又は予防のために、HUG
Aまたはその断片若しくは誘導体を患者に投与し得る。そのような自己免疫性/
炎症性疾患としては、以下に限定するものではないが、後天性免疫不全症候群(
AIDS)、アジソン病、成人呼吸窮迫症候群、アレルギー、強直性脊椎炎、ア
ミロイド沈着症、貧血症、喘息、アテローム性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、
自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、胆嚢炎、接触性皮膚炎、クローン病、アトピー
性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、結節性紅斑、萎縮性胃炎、腎炎、グッド
パスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏
性腸症候群、エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎又は心膜
炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、膵炎、多発性筋炎、リウマチ性関節炎、強皮症、
シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシー、全身性エリテマトーデス、全身
性硬化症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群、及び癌と血液透析と体外循環の合
併症;ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、寄生虫感染、原虫感染、及び蠕虫感
染;及び外傷等を挙げることができる。或る実施態様では、HUGAに特異的に
結合する抗体をアンタゴニストとして直接用いたり、或いはHUGAが発現され
る細胞又は組織に薬物を送達するためにターゲティング又はデリバリー機構とし
てその抗体を間接的に用いることができる。
【0120】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む自己免
疫性/炎症性疾患の処置又は予防のために、HUGAをコードするポリヌクレオ
チドに相補的な分子を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0121】 別の実施例では、本発明のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、
相補的配列、又はベクターの何れかを、他の適切な薬剤と組み合わせて投与する
ことができる。当業者であれば、従来の薬学上の原理に基づいて併用療法で用い
るための適切な薬剤を選択することができよう。治療薬を組み合わせることによ
り、上述の様々な疾患の治療又は予防に効果を奏する相乗作用が得られる。この
方法を用いることにより、より低い用量の各薬剤で治療効果を上げることができ
、副作用が生ずる可能性を低下させることができる。
【0122】 HUGAのアンタゴニストは、周知の方法を用いて製造することができる。詳
述すると、精製されたHUGAを用いることによって、抗体を作り出したり、或
いはHUGAに特異的に結合するものを同定するために薬物のライブラリーをス
クリーニングすることができる。HUGAに対する抗体も、周知の方法を用いて
作り出すことができる。このような抗体としては、限定するものではないが、ポ
リクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラ
グメント、及びFab発現ライブラリーから作られたフラグメントが含まれる。
中和抗体(即ち二量体形成を阻害するもの)は治療の用途に特に好適である。
【0123】 抗体を作り出すため、HUGAか、免疫学的特性を有するその断片或いはオリ
ゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等の様々な
ホストを免疫化することができる。免疫学的反応を増強するために、ホストの種
に応じた様々なアジュバントを用いることができる。そのようなアジュバントと
しては、限定するものではないが、フロイントのアジュバント、水酸化アルミニ
ウムのような無機質ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポ
リオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホー ルリンペットヘモシアニン、並びにジニトロフェノール等が挙げられる。ヒトで
使用するアジュバントのなかでは、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及びコリ
ネバクテリウム−パルヴム(Corynebacterium parvum)が特に好適である。
【0124】 HUGAに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプチド
、またはその断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好ましくは10個以
上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は、元のタンパ
ク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ酸配
列を含んでいるのが好ましい。HUGAアミノ酸の短いストレッチを、キーホー
ルリンペットヘモシアニン(KLH)のような他のタンパク質のストレッチと融
合し、そのキメラ分子に対する抗体を産生させることができる。
【0125】 HUGAのモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(continuous
cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このような技術
として、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリド
ーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術等が挙げられる(例えば、Kohler,
G.他(1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D.他 (1985) J. Immunol. Methods 8
1 :31-42;Cote, R.J.他 (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;Cole,
S.P.他 (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120参照)。
【0126】 加えて、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための、マウス
抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングする技術のような「キメラ抗体」
の産生のために開発された技術を用いることができる(例えば、Morrison,S.L. 他(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.他(1984)
Nature 312:604-608;Takeda, S.他(1985)Nature 314:452-454参照)。或いは
、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用して、周知の方法によりHUGAに
特異的な一本鎖抗体を作り出すことができる。関連する特異性を有しているがイ
ディオタイプの構成が異なる抗体は、無作為組み合わせ免疫グロブリンライブラ
リーからの鎖再編成(chain shuffling)によって作り出すことができる(例え ば、Burton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120-3参照)。
【0127】 また、文献(例えば、Orlandi, R.他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:383
3-3837;Winter, G.他 (1991) Nature 349:293-299参照)に開示されているよう
に、高度に特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをス
クリーニングすることによって、或いはリンパ球集団でのin vivoの産生を誘導 することによって抗体を作り出すこともできる。
【0128】 HUGAに対する特異結合部位を含む抗体断片を作り出すこともできる。この
ような断片としては、以下に限定するものではないが、抗体分子のペプシンによ
る消化で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′)2
ラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができるFab
フラグメント等が挙げられる。或いは、所望の特異性を有するモノクローナルF
abフラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブラリー
を作製してもよい(例えば、Huse, W.D.他(1989)Science 256:1275-1281参照 )。
【0129】 様々なイムノアッセイを、所望の特異性を有する抗体を同定するためのスクリ
ーニングに利用することができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗
体或いはポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いはラジ
オイムノアッセイの、様々なプロトコルが当分野で周知である。このようなイム
ノアッセイでは、HUGAとその特異的抗体との複合体の形成量の測定を行う。
2つの互いに非干渉なエピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる二部位
モノクローナル抗体ベースイムノアッセイ(two sites monoclonal based immun
oassay)が好適であるが、競合的結合アッセイを用いてもよい(Maddox, 前出)
【0130】 得本発明の別の実施例では、HUGAをコードするポリヌクレオチド、または
その任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実施態
様では、mRNAの転写を阻害することが望ましいような状況において、HUG
Aをコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることができる。詳述
すると、HUGAをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細胞を形質転
換することができる。従って、相補的分子または断片を用いて、HUGAの活性
を変調、即ち遺伝子の機能を調節することができる。このような技術は現在周知
であり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくはより大きな断片
は、HUGAコーディング配列のコード領域や調節領域の様々な位置から設計す
ることができる。
【0131】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターを、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いることが
できる。HUGAをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配列を
発現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(例え
ば、Sambrook他(前出)及びAusubel他(前出)参照)。
【0132】 HUGAをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発現する
発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、HUGAをコードす
る遺伝子を機能停止させることができる。このような作製物を用いて、翻訳不可
能なセンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することができる。このよ
うなベクターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベクターが内在性ヌ
クレアーゼにより破壊されるまでRNA分子の転写を続ける。このような一過性
の発現は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベクター系
の一部である場合には更に長い期間継続し得る。
【0133】 上述のように、HUGAをコードする遺伝子の制御領域、5′領域、または調
節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に相補
的な配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計するこ
とにより遺伝子の発現の仕方を変えることができる。転写開始部位、例えば開始
部位の概ね+10〜−10の間の位置にある領域に由来するオリゴヌクレオチド
が好適である。同様に、三重らせん塩基対合法を用いて阻害を達成することがで
きる。三重らせん対合が有用なのは、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子、或
いは調節分子の結合のために十分にほどける能力を、それが阻害するからである
。三重らせんDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献に記載されて
いる(例えば、Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Approa ches , Futura Publishing Co, Mt Kisco NYにおけるGee, J.E.他(1994)参照)。
また、転写物のリボソームへの結合を妨げてmRNAの転写を阻害するために、
相補的配列、即ちアンチセンス分子を設計することもできる。
【0134】 酵素性RNA分子であるリボザイムを、RNAの特異的切断を触媒するために
用いることもできる。リボザイムの作用機構では、リボザイム分子が相補的標的
RNAに配列特異的にハイブリダイズし、その後エンドヌクレアーゼによる切断
(endonucleolytic cleavage)がなされる。使用できるリボザイムの例として、
HUGAをコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効果的
に触媒し得る人工合成のハンマーヘッド型リボザイム分子がある。
【0135】 標的となり得るRNA内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、標的の分
子における配列GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位をスキャンするこ とによって同定する。一旦同定されれば、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対
応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列について、その
オリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴を評価することができる
。候補の標的の適切性も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(ribonucl
ease protection assay)によって、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリ ダイゼーションについての接触性(accessibility)を測定することにより評価 することができる。
【0136】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための周知
の方法により作製することができる。これらの技術としては、固相ホスホラミダ
イト化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの化学合成技術等がある。或いは、
RNA分子は、in vivo及びin vitroでのHUGAをコードするDNA配列の転 写により作り出すことができる。このようなDNA配列は、T7或いはSP6の
ような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する様々なベクターに組み入
れることができる。或いは、構成的RNAを合成するcDNA作製物を、細胞系
、細胞或いは組織内に導入することができる。
【0137】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾としては、限定するものではないが、その分子の
5′末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバ
ックボーン内でホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosph
orothioate)或いは2′O−メチルを使用すること等が挙げられる。この方式(
concept)は本来PNAの作製において用いられるもので、以下のようにこれら の分子全てに拡張することができる。即ち、内在性エンドヌクレアーゼにより容
易に認識されないアデニン、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、ア
セチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の形態の修飾によるだけでなく、イ
ノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)のような
従来あまり用いられなかった塩基を含めることによって、これら分子全てにこの
方式を拡張することができる。
【0138】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
それらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても同様に適
している。ex vivo治療の場合には、患者から採取された幹細胞にベクターを導 入し、自家移植用にクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある。またト
ランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカチオンアミ
ノポリマーによるデリバリー(Goldman, C.K.他(1997) Nature Biotechnology 1
5:462-66; 引用により本明細書の一部とする)は、当分野で周知の方法を用いて
実施することができる。
【0139】 上述の治療法の何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び
最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用するこ
とができる。
【0140】 本発明の更に別の実施例では、上述の治療効果をあげるために、医薬品組成物
を医薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物は、HUG
A、HUGAに対する抗体、HUGAの模擬体(mimetics)、アゴニスト、アン
タゴニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医薬品組成物は、
単独で、或いは例えば安定化剤のような1種以上の他の薬剤とともに、滅菌した
生体適合性の医薬用担体を用いて投与する。このような担体としては、限定はし
ないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水等が挙げられる。このよう
な組成物は、単体で、或いは他の薬剤やホルモンと組み合わせた形で患者に投与
することができる。
【0141】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、髄腔内投
与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局
所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0142】 これらの医薬品組成物は、主成分に加えて、作用物質を医薬上使用可能な製剤
にするための処理を容易にする、賦形剤及び添加剤のような適切な医薬上許容さ
れる担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、Remington's Phar maceutical Sciences (Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版において見 ることができる。
【0143】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が服用するための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤
、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等に製剤することができる。
【0144】 経口投与するための医薬製剤は、主成分と固形の賦形剤とを組み合わせた上で
、所望に応じて得られた混合物を粉砕し、錠剤或いは糖衣剤コア(dragee core )を作るために、(所望に応じて粉砕した後に)顆粒の混合物を加工することに
よって得られる。必要ならば適切な添加剤を添加することができる。適切な添加
剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール或いはソルビトールを含む
砂糖のような糖質或いはタンパク質の賦形剤(filler)、トウモロコシ、コムギ
、コメ、ジャガイモ等のデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセルロー
ス、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或いはコラ
ーゲンのようなタンパク質がある。必要ならば、崩壊剤または可溶化剤、或いは
橋かけ結合したポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなア
ルギン酸或いはアルギン酸ナトリウムのようなその塩を加えてもよい。
【0145】 糖衣剤コアは、濃縮砂糖溶液等により適切な錠皮を塗布して用いられる。錠皮
を作るための溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カ
ルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカ
ー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる。錠剤の識別のため
、或いは主成分の量即ち投与量を表示するために染料或いは色素を錠剤或いは錠
皮に加えてもよい。
【0146】 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル、ゼラチ
ンからなる柔軟な密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビトール
のような錠皮を有する。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはでんぷ
んのような賦形剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、並びに所望に応じて安定化剤と混合された主成分を含み得る。柔軟な
カプセルでは、主成分が、安定化剤とともに或いは安定化剤なしで、脂肪油、液
体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸
濁されている。
【0147】 非経口投与用の医薬製剤は、水溶液、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液
或いは生理緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液において配合すること
ができる。水性の注射用懸濁剤には、 例えばカルボキシルメチルセルロースナ トリウム、ソルビトール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質
を含めることができる。更に、主成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁剤とし
て調製することができる。適切な親油性の溶媒或いは担体としては、胡麻油のよ
うな脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソームのような合
成脂肪酸エステルがある。脂質でないポリカチオンのアミノポリマーをデリバリ
ーのために用いることもできる。懸濁剤には、溶解度を高め濃縮度の高い溶液の
調製を可能にする適切な薬剤または安定剤を、所望に応じて加えることができる
【0148】 局所適用または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸
透剤を用いて製する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である。
【0149】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合、溶解、顆粒化、
糖衣形成、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、捕捉(entrapping)、
或いは凍結乾燥により製造される。
【0150】 この医薬品組成物は塩として提供することもでき、限定するものではないが塩
酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とともに
形成することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応する
フリーの塩基形態より可溶性が高くなる傾向がある。この他、好ましい製剤には
、pH4.5〜5.5の範囲にあって、使用前に緩衝剤を配合した、1mM〜5
0mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニトール
の全てまたは何れかを含む凍結乾燥粉末がある。
【0151】 医薬品組成物は、調製した後に適切な容器内に入れ、さらに提示した状態の処
置に用いられるようにラベル付けすることができる。HUGAの投与の場合、こ
のようなラベルには、投与の量、頻度、及び方法が表示される。
【0152】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、有効成分を所望の目的
を達成するために有効な量含む組成物である。有効な量の決定は、当業者の能力
の範囲内で十分行うことができる。
【0153】 あらゆる化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通
常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセ
イから推定することができる。この動物モデルを、適切な濃度範囲や投与経路を
決定するために用いることもできる。次に、このような情報を利用して、ヒトに
おける有効な量や投与経路を決定することができる。
【0154】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばHUGAまたは
その断片、HUGAの抗体、HUGAのアゴニスト、アンタゴニスト、またはイ
ンヒビターの量である。そのような化合物の治療上の有効性及び毒性は、細胞培
地における或いは実験動物を用いた標準的な薬学的手順によって、例えばED5
0(集団の50%における治療上の有効量、50%有効量)及びLD50(集団
の50%の致死投与量)として決定することができる。毒性と治療有効性との間
の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表すことができ
る。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これらの細胞培地のアッセ
イ及び動物研究から得られるデータは、ヒトでの使用における投与量の範囲を決
める際に利用することができる。そのような化合物の投与量は、毒性がほとんど
或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内にあることが望ましい。
投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応じてこの範囲内で
変わってくる。
【0155】 正確な投与量は、処置が必要な患者に関連する要因を考慮して担当医師が選択
する。用量及び投与は、主成分を十分なレベルだけ与え、かつ所望の効果を維持
するべく調節する。考慮すべき要素としては、疾病状態の重症度、患者の全身の
健康状態、患者の年齢、体重、並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用す
る薬剤、反応感受性、並びに治療に対する耐性/反応等が挙げられる。長期的に
作用する医薬品組成物は、その特定の製剤のクリアランス率に応じて、3〜4日
毎に、1週間毎に、或いは2週間に1度投与することができる。
【0156】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大
約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いはデリバリー
方法に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献に見出すことがで
きる。当業者であれば、ヌクレオチドでは、タンパク質やインヒビター用の剤形
とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのデリバリーの方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。
【0157】 (診断) 別の実施例では、HUGAに特異的に結合する抗体を、HUGAの発現によっ
て特性化される疾病の診断、或いは、HUGAやHUGAのアゴニスト、アンタ
ゴニスト、またはインヒビターで治療を受けている患者のモニタリングのための
アッセイにおいて用いることができる。診断のために有用な抗体は、上述の治療
用のものと同一の方法で作り出すことができる。HUGAの診断アッセイとして
、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物においてHUGAを検出するために抗体
或いは標識を利用する方法がある。この抗体は、修飾して用いても、修飾なしで
用いてもよく、共有結合または非共有結合の何れかでリポーター分子と結合させ
ることにより標識することができる。幾つかは上記したが種々のリポーター分子
が知られており、それを用いることができる。
【0158】 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)
並びにFACS(蛍光表示式細胞分取器法)のようなHUGAを測定するための
種々のプロトコルが当分野では周知であり、これによってHUGA発現の変化や
異常を診断するための基礎が得られる。HUGAの発現の正常値、即ち標準値は
、哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者から得られる体液或いは細胞抽出物
とHUGAの抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合させることによって
確立する。標準の複合体形成量は、様々な方法、好ましくは測光手段を用いるこ
とにより定量することができる。被験者の生検組織の患部組織サンプル及び対照
サンプルにおいて発現されたHUGAの量を、標準値と比較する。標準値と被験
者の値との偏差から、疾病の診断のためのパラメータを確立する。
【0159】 本発明の別の実施例では、HUGAをコードするポリヌクレオチドを診断目的
で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオ
チド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びPNA等がある。このポリヌクレ
オチドは、HUGAの発現が疾病と関係がある可能性がある生検組織における遺
伝子発現を検出し、定量するために用いられる。診断アッセイは、HUGAが存
在する状態か、存在しない状態か、過剰発現している状態の何れの状態にあるか
を区別したり、治療的な介入においてHUGAレベルの調節をモニタリングする
ために利用することができる。
【0160】 或る実施態様では、HUGAまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列を含
むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼーショ
ンを利用して、HUGAをコードする核酸配列を同定することができる。そのプ
ローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(例えば5′調
節領域における10個の独特のヌクレオチド)、或いは特異性の低い領域(例え
ば特に3′コーディング領域)の何れに由来するのかということ、及びハイブリ
ダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度の或いは低い)ストリンジェンシー
により、そのプローブが自然発生HUGAのみを同定するものであるか、或いは
アレル配列や近縁な配列も同定するものであるかが決まる。
【0161】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
HUGAをコードする任意の配列に基づくヌクレオチドを少なくとも50%含む
べきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはRNA
であり得、また配列番号:2及び配列番号:4の配列か、自然発生HUGA遺伝
子のイントロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列
に由来するものであり得る。
【0162】 HUGAをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプロー
ブを作製するための手段としては、HUGAやHUGA誘導体をコードする核酸
配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する方法がある。
このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメラーゼや適切
な標識ヌクレオチドを付加することによりin vitroでのRNAプローブ合成のた
めに用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは様々なリポータ分
子により標識することができる。例えば、32Pや35Sのような放射性核種により
、アビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するアルカリホスファター
ゼのような酵素標識等により標識することができる。
【0163】 HUGAをコードするポリヌクレオチド配列を、HUGAの発現に関連する疾
患の診断のために用いることができる。そのような疾患の例としては、以下に限
定するものではないが、 例えば、腺癌、白血病、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫、具体的
には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓
、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚
、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌等の癌; 例えば、尿細管性アシドーシス、貧血症、クッシング症候群、軟骨形成不全性
小人症、デュシェンヌ・ベッカー型筋ジストロフィー、てんかん、性腺形成異常
症、ウィルムス腫瘍、無虹彩症、生殖器異常、WAGR症候群、Smith−M
agenis症候群、脊髄形成異常症候群、遺伝性粘膜上皮形成異常、遺伝性角
皮症、例えばシャルコー・マリー・ツース病や神経線維腫症のような遺伝性神経
病、甲状腺機能低下症、水頭症、例えばシドナム舞踏病や脳性小児麻痺のような
発作障害、2分脊椎、及び先天性緑内障、白内障、又は感覚神経性聴力損失等の
発達障害; 例えば、プロラクチン産生の異常;卵管の異常、排卵障害、及び子宮内膜症を
含む不妊症;性周期の異常、月経周期の異常、多嚢胞卵巣症候群、卵巣過剰刺激
症候群、子宮内膜及び卵巣の腫瘍、子宮筋腫、自己免疫異常、異所性妊娠、及び
奇形発生;乳癌、繊維嚢胞製乳腺症、及び乳汁漏出;精子形成の異常、精子の異
常、精巣の癌、前立腺癌、良性前立腺肥大症、前立腺炎、ペーロニー病、男性の
乳房の癌、及び女性化乳房症等の生殖傷害;及び 例えば、後天性免疫不全症候群(AIDS)、アジソン病、成人呼吸窮迫症候
群、アレルギー、強直性脊椎炎、アミロイド沈着症、貧血症、喘息、アテローム
性硬化症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性甲状腺炎、気管支炎、胆嚢炎、接
触性皮膚炎、クローン病、アトピー性皮膚炎、皮膚筋炎、糖尿病、肺気腫、結節
性紅斑、萎縮性胃炎、腎炎、グッドパスチャー症候群、痛風、グレーブス病、橋
本甲状腺炎、過好酸球増加症、過敏性腸症候群、エリテマトーデス、多発性硬化
症、重症筋無力症、心筋炎又は心膜炎、変形性関節炎、骨粗鬆症、膵炎、多発性
筋炎、リウマチ性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、全身性アナフィラキシ
ー、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、潰瘍性大腸炎、ウェルナー症候群
、及び癌と血液透析と体外循環の合併症;ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、
寄生虫感染、原虫感染、及び蠕虫感染;及び外傷等の自己免疫性/炎症性疾患を
挙げることができる。HUGAをコードするポリヌクレオチド配列を、患者の組
織や体液を利用する、サザンブロット法或いはノーザンブロット法、ドットブロ
ット法或いは他の膜をベースにした技術や、PCR技術、ディップスティック試
験法(試験紙法)、ピン技術、及びELISAアッセイや、或いはマイクロアレ
イにおいて用いることによって、HUGA発現の変化を検出することができる。
このような定性的或いは定量的試験法は当分野では周知である。
【0164】 特定の実施態様では、特に上に列挙したもののような関連疾患の存在を検出す
るアッセイにおいてHUGAをコードするヌクレオチド配列が有用であり得る。
HUGAをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイブリダイ
ゼーション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプルに加える
ことができる。適当なインキュベーション時間の経過後、このサンプルを洗浄し
、シグナルを定量して標準値と比較する。生検サンプルまたは抽出サンプルにお
けるシグナルの量が、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異なってい
る場合、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブリダイズ
しており、サンプルのなかのHUGAをコードするヌクレオチド配列のレベルの
変化が生じていることは、関連する疾患の存在を示している。このようなアッセ
イは、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療のモニタリングにおいて特
定の治療上の処置の有効性を評価するために用いることもできる。
【0165】 HUGAの発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、即ち標準
の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト何れ
かの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリダイゼー
ション或いは増幅に適した条件下でHUGAをコードする配列又はその断片と結
合することにより確立し得る。標準のハイブリッド形成量は、既知の量の実質的
に精製されたHUGAが用いられる実験で得られる値と、正常被験者で得られる
値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプルから得られた
標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる値と比較することが
できる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認する。
【0166】 一旦疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを定期的に反復して行って、患者における発現のレベルが正常な患者
において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価することができる。継続
的なアッセイから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での
治療の効果を知ることができる。
【0167】 癌については、患者の生検組織において転写物が比較的多量に存在することが
、疾病の発生の素因を示す。つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出す
る手段となり得る。このタイプの確定診断により、医療従事者が予防的処置を講
じたり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予防するこ
とが可能となる。
【0168】 HUGAをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの別の診断目的
の使用法では、PCR法での利用があり得る。このようなオリゴマーは化学的に
合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製することができる
。オリゴマーは、好ましくは、HUGAをコードするポリヌクレオチドの断片又
はHUGAをコードするポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含み、
特定の遺伝子或いは状態を特定するために最適な条件下で用いられる。また、オ
リゴマーは、近縁なDNAまたはRNA配列の検出または定量のため低い厳密さ
条件の下で用いることもできる。
【0169】 HUGAの発現を定量するために用いることができる方法として、放射標識(
radiolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核酸の同 時増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標準の グラフ曲線の利用等がある(例えば、Melby, P.C.他(1993) J. Immunol. Method
s, 159:235-44;Duplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 229-236参照)。多数のサ
ンプルの定量では、目的のオリゴマーが複数の希釈溶液中に存在し、分光光度計
を用いたり比色定量により迅速に定量することができるようなELISA形式の
アッセイを行うことによって一層定量のスピードを上げることができる。
【0170】 別の実施例では、ここに開示するポリヌクレオチド配列の何れかに由来するオ
リゴヌクレオチドまたはより大形の断片を、マイクロアレイにおけるターゲット
(標的)として用いることができる。マイクロアレイを用いることにより、多く
の遺伝子の発現レベルを同時にモニタし(転写物イメージを生成する)、また遺
伝子の変異体、変異及び多型を同定することができる。この情報は、遺伝子の機
能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の理解、疾病の診断、及び治療薬の開発やその
活性のモニタリングのために利用することができる。
【0171】 マイクロアレイを準備し、周知の方法を用いて解析してもよい(例えば、Bren
nan, T.M.ら(1995)米国特許No. 5,474,796; Schena, M.ら (1996) Proc. Natl.
Acad. Sci. 93: 10614-10619; Baldeschweilerら, (1995) PCT出願WO95/251116;
Shalon, Dら(1995) PCT出願WO95/35505; Heller, R.A.ら(1997) Proc. Natl. A
cad. Sci. 94:2150-2155; Heller, M.J.ら(1997)米国特許No. 5,605,662参照) 。
【0172】 本発明の別の実施例では、HUGAをコードする核酸配列を用いて、自然発生
のゲノム配列マッピングのために有用なハイブリダイゼーションプローブを作り
出すこともできる。この配列は、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は人工
染色体作製物にマッピングし得る。人工染色体作製物としては、例えばヒト人工
染色体(HACs)、酵母菌人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(BAC
s)、細菌性P1作製物又は単染色体cDNAライブラリー等がある(例えば、
Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Trends G
enet. 7:149-154参照)。
【0173】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッ ピング技術及び遺伝子地図データと相互関係を有し得る(Meyers, R. A. (ed.)
Molecular Biology and Biotechnology, VCH Publishers New York, NY, pp. 96
5-968に記載のHeinz-Ulrichら (1995)参照)。遺伝子地図データの例は、種々の
科学誌や、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)に見ることができる 。物理的染色体地図上でのHUGAをコードする配列の位置と特定の疾病(また
は特定の疾病の素因)との相関関係を助けとして、或る遺伝病に関連するDNA
の領域を決定することができる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者、
キャリア、または患者の遺伝子配列の違いを検出することができる。
【0174】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーションや、確立された染色体マーカ ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術を、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数やアームが未知で
あっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連する
マーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアームまた
はその一部へ割当てることができる。これにより、位置クローニング或いは他の
遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供するこ
とができる。例えば毛細血管拡張性運動失調(AT)が11q22-23に位置決定された
ように(例えば、Gatti, R.A.他(1988)Nature 336:577-580参照)、一旦疾患 或いは症候群が特定のゲノム領域に粗く位置決定されたならば、その領域にマッ
ピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節
遺伝子を表し得ることになる。本発明のヌクレオチド配列を、転座、逆位等によ
って生じた、正常者、キャリア、及び患者の間の染色体の位置の違いを検出する
ために用いることもできる。
【0175】 本発明の別の実施例では、HUGAや、その触媒作用性または免疫原性断片、
オリゴペプチドを、様々な薬物スクリーニング技術において化合物のスクリーニ
ングのために用いることができる。このようなスクリーニングにおいて用いられ
る断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固体支持体へ付着した形態で存在
するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在するもので
あり得る。HUGAと試験対象の薬剤との結合複合体形成を測定することができ
る。
【0176】 別の薬物スクリーニング技術によって、対象のタンパク質に対する適切な結合
親和性を有する化合物の高スループットのスクリーニングを行うことができる(
例えば、Geysenら (1984) PCT出願WO84/03564参照)。この方法では、HUGA に適用する場合、多数の異なる小形の試験対象の化合物を、プラスチックピン或
いは他の表面のような固体基板上で合成する。この試験対象の化合物をHUGA
又はその断片と反応させ、洗浄する。次に結合したHUGAを当分野で周知の方
法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術において使用するため
に、精製したHUGAをプレート上に直接コーティングすることもできる。或い
は、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、固体支持体上に固定することができ
る。
【0177】 別の実施例では、HUGAに結合し得る中和抗体が、HUGAとの結合につい
て試験対象の化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッセイを用
いることができる。この方法では、抗体を用いて、HUGAの1または2以上の
抗原決定基を共通に有する任意のペプチドの存在を検出することができる。
【0178】 更に別の実施例では、現在までに開発されていない分子生物学上の技術であっ
ても、その新技術がヌクレオチド配列の現在までに知られている特性(例えば、
以下に限らないが、トリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合のような特性)に
基づく技術であるならば、その技術においてHUGAをコードするヌクレオチド
配列を用いることができる。
【0179】 以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、本発明をこの実施例に限定しよ
うとするものではない。
【0180】
【実施例】
1 BRAITUT21 cDNAライブラリーの作製 DUODNOT02 DUODNOT02 cDNAライブラリーを、頭部の外傷が原因で死亡した年齢8歳の
白人女子から採取した、顕微鏡検査で正常な十二指腸組織から作製した。この冷
凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000 (Brinkmann Instruments
, Inc., Westbury, NJ)を用いて、グアニジニウムイソチオシアネート溶液の中
でホモジナイズし溶解した。この溶解産物を、Beckman L8-70M超遠心分離機にお
いてBeckman SW28ロータを用いて(Beckman Instruments)、外界温度で18時 間、1分当たり25000回転の回転速度で5.7Mの塩化セシウムとともに遠
心分離にかけた。RNAを酸性フェノールpH4.7で抽出し、0.3Mの酢酸
ナトリウム及び2.5倍量のエタノールを用いて沈殿させ、RNアーゼの無い水
に再懸濁し、37℃でDNアーゼ処理した。RNAの抽出及び沈殿を前回と同様
に反復した。Qiagen Oligotex kit(QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)を用いて mRNAを単離し、これを用いてcDNAライブラリーを作製した。
【0181】 このmRNAを、SuperScriptTM Plasmid System for cDNA Synthesis and Pl
asmid Cloning(品番18248-013; Gibco/BRL)の推奨プロトコルに従って取り扱 った。cDNAをSepharose CL4Bカラム(品番275105-01, Pharmacia)上で分画
化し、400bpを越えるサイズのcDNAをpSport Iに連結した。次にこのプ
ラスミドpSport 1をDH5aTMコンピテント細胞(品番18258-012, Gibco/BRL)に形
質転換した。
【0182】 LUNGTUT06 LUNGTUT06 cDNAライブラリーを、年齢80歳の白人女性から、気管支、肺
、及び卵巣の悪性新生物の診断を受けた後の肺区域切除術の際に採取された癌性
肺組織から作製した。病状は、右肺の後上方において腫瘍塊を形成している転移
性顆粒膜細胞腫を示していた。
【0183】 この冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000(Brinkmann Inst
ruments, Westbury, NY)を用いてTrizol試薬(1gの組織/10mlのTrizol ;品番10296-028; Gibco/BRL)、即ちフェノール及びグアニジンイソチオシアネ
ートの単一組成細胞の溶液(monoplastic solution)においてホモジナイズし溶
解した。氷冷しながら短時間にインキュベートした後、クロロホルムを加え(1:
5 v/v)、混合物を遠心分離した。上側のクロロホルム層を取り除いて新しい試 験管に移し、イソプロパノールでRNAを抽出し、DEPC処理した水に再懸濁
し、37℃で25分間DNアーゼ処理した。このRNAを酸性フェノールクロロ
ホルムpH4.7で1回再抽出し、0.3Mの酢酸ナトリウム及び2.5倍量の
エタノールで沈殿させた。次にこのmRNAをQiagen Oligotex kit(QIAGEN, I
nc., Chatsworth, CA)を用いて単離し、cDNAライブラリーの作製に用いた 。
【0184】 このmRNAを、SuperScriptTM Plasmid System(品18248-013; Gibco/BRL)
の推奨プロトコルに従って取り扱った。cDNAを、Sepharose CL4Bカラム(品
番275105-01; Pharmacia, Piscataway, NJ)上で分画化し、400bpを越える
大きさのcDNAをpINCY 1に連結した。次にこのプラスミドpINCY 1をDH5aTM
ンピテント細胞(品番18258-012, Gibco/BRL)に形質転換した。
【0185】 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAはこの細胞から放出され、これをREAL Prep 96 Plasmid Kit
(品番26173; QIAGEN, Inc.)を用いて精製した。推奨プロトコルを用いたが、 以下の点を変更した。(1)25mg/Lのカルベニシリン及び0.4%のグリ
セロールを含む1mlの滅菌Terrific Broth (品番22711, Gibco/BRL)におい て細菌を培養した。(2)接種の後、培溶液を19時間インキュベートし、イン
キュベーションの終了時に、この細胞を0.3mlの溶解バッファーに溶解した
。(3)イソプロパノール沈殿を行った後、プラスミドDNAのペレットを0.
1mlの蒸留水に再懸濁した。このDNAサンプルを、96穴ブロックに移し4
℃で保管した。
【0186】 このcDNAの配列決定は、Peltier Thermal Cyclers (MJ Research, Water
town, MA製のPTC200)及びApplied Biosystems社製の377 DNA Sequencing Syste
msと組み合わせてHamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno, NV)を用いて、
Sangerらの方法(1975, J. Mol. Biol.94:441f)により行い、読み枠を決定した
【0187】 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の相同性検索 配列表のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を問い合わせ配列として用
いて、例えばGenBank、SwissProt、BLOCKS、及びPima IIのようなデータベース を検索した。これらのデータベースには既に同定された配列が注釈付きで含めら
れており、BLAST(Basic Local Alignment Toolを表す)を用いて相同性(類似 性)を有する領域をこのデータベースのなかから検索した(例えば、Altschul.
S.F. (1993) J. Mol. Evol. 36:290-300; Altschul他(1990) J. Mol. Biol. 215
:403-410参照)。
【0188】 BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを作成して配 列の類似性を決定する。そのアライメントの局所的性質のために、BLASTは正確 な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起源
とするホモログを特定する際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造の
ギャップペナルティを処理する際には、他のアルゴリズムを用いることができる
(例えば、Smith Tら (1992) Protein Engineering 5:35-51参照)。本明細書に
開示された配列の長さは少なくとも49ヌクレオチドであり、不必要な塩基は1
2%以下である(ここでNはA、C、G、又はT以外と記録されたものである)
【0189】 BLAST法は、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索し、発見した あらゆる配列の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有意性の閾値
を満たす一致のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペ プチドで10-8に設定した。
【0190】 インサイト社のヌクレオチド配列を、霊長類(pri)、げっ歯類(rod)、及び
他の哺乳類配列(mam)のGenBankデータベースで検索し、次に同じクローンから
類推されるアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、哺乳類 (mamp)、脊椎動物(vrtp)、及び真核生物(eukp)で、相同性について検索し
た。
【0191】 加えて、cDNAライブラリーから特定された配列を、適切な解析用プログラ
ム、例えばBlock 2 Bioanalysisプログラム(Incyte, Palo Alto, CA)を用いて
解析して、保存タンパク質モチーフを有する遺伝子配列を特定する。このモチー
フ解析プログラムは、Swiss-Protデータベース及びPROSITEに含められた配列情 報に基づいており、ゲノムの又はcDNAの配列から翻訳された、特性化されて
いないタンパク質の機能を決定するメソッドである(例えば、Bairoch, A.ら (1
997) Nucleic Acids Res. 25:217-221; 及びAttwood, T. K.ら (1997) J. Chem.
Inf. Comput. Sci. 37:417-424参照)。様々なタンパク質における機能的又は 構造的ドメインを特定するために、PROSITEを用いることができる。この方法は 、加重マトリクスに基づくものである。次に、この方法によって特定されたモチ
ーフを、SWISS-PROTデータベースに対して較正して、一致の可能性の分布の測定
値を得る。
【0192】 別の実施態様では、隠れマルコフモデル(HMMs;Hidden Markov models)
を用いて、共通のモチーフ、特にコンセンサス配列を見出すことができる(例え
ば、Pearson, W.R.及びD.J. Lipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:2444-2
448;及びSmith, T.F.及びM.S. Waterman (1981) J. Mol. Biol. 147:195-197参
照)。HMMsは、当初は音声認識パターンを調べるために開発されたが、現在
では生物学的な面でタンパク質や核酸の配列解析や、タンパク質の構造のモデリ
ングのために用いられている(例えば、Krogh, A.ら (1994) J. Mol. Biol. 235
:1501-1531;及びCollin, M.ら (1993) Protein Sci. 2:305-314参照)。HMM
sは、形式的確率論に基づいており、アミノ酸又はヌクレオチドについての位置
特異的なスコアを用いる。このアルゴリズムは、継続的に新規に特定された配列
からの情報を組み込んで、そのモチーフ解析能を高める。
【0193】 4 ノーザン法による解析 ノーザン法解析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験技
術であり、標識されたヌクレオチド配列と、特定の細胞タイプまたは組織のRN
Aが結合しているメンブランとのハイブリダイゼーションを行う(例えば、Samb
rook, 前出, ch. 7; 及びAusubel, F.M.ら 前出, ch. 4及び16参照)。
【0194】 BLASTに適用する類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank又はLIFESEQTMデ ータベース(インサイト社)のようなヌクレオチドデータベースにおいて同一の
又は近縁な分子を検索する。この解析にかかる時間は、複数回の膜をベースにし
たハイブリダイゼーションより非常に短時間である。加えて、特定の一致が正確
な一致に分類されるか、或いは相同なものに分類されるかを決定するべく、コン
ピュータ検索の感度を変えることができる。
【0195】 検索の基準値は、積スコア(product score)であり、これは以下の式で定義 されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方
が考慮される。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の範囲
で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。相同な分子は、通常
積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、これ
よりスコアの低いものは近縁な分子として同定される。
【0196】 ノーザン法による解析の結果は、HUGAをコードする転写物が発生するライ
ブラリーのリストとして報告される。存在量(abundance)及びパーセント存在 率(percent abundance)も報告される。存在量は、cDNAライブラリーに特 定の転写物が存在する回数を直接的に反映し、パーセント存在率は、存在量をc
DNAライブラリーにおいて検出された配列の総数で除したものである。
【0197】 5 HUGAをコードする配列の延長 インサイト社クローンNo. 1705085及び2551161の核酸配列を用いて、部分的ヌ
クレオチド配列を完全長まで伸長させるためのオリゴヌクレオチドプライマーを
設計した。一方のプライマーはアンチセンス方向の延長を開始するために合成し
、他方のプライマーはセンス方向に配列を延長するために合成した。これらのプ
ライマーを用いて、既知のHUGA配列を「外側に」延長し、興味の対象の領域
の新しい未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成した。初めのプライ
マーは、OLIGO 4.06(National Biosciences, Plymouth, MN)、或いは他の適切
なプログラムを用いて設計したもので、約22個から約30個のヌクレオチドか
らなる長さで、50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜約72℃の温度で標
的配列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマ
ー二量体化を生じるようなあらゆるヌクレオチドのストレッチは除いた。
【0198】 選択されたヒトcDNAライブラリー(Gibco/BRL)を用いて、この配列を延 長した。2段階以上の延長が必要または望ましい場合は、既知領域をさらに延長
するための追加のプライマーの組を設計する。
【0199】 XL-PCRキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物と
を徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅がなされる。40pmolの
各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始す
る場合、Peltier Thermal Cycler(PTC200;M.J. Reserch, Watertown MA)を用
いて、以下のパラメータ、即ち ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行った。
【0200】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア
ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、配列を延長する反応が成功したか
否かを決定した。最も大きな生成物即ちバンドを選択して、ゲルから切り出し、
QIAQuickTM(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製し、Klenow酵素を用 いて一本鎖ヌクレオチドの延び出し(overhang)を切り取って、再結合及びクロ
ーニングを容易にする平滑末端を作った。
【0201】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベー
トした。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な培養液内にある)を、3
μlのライゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地で培養
した(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 1)。37℃で1時間のイン
キュベーションの後、全ての形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(L
B)寒天(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 2)上にのせた。後日、 いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の無菌の96
穴マイクロタイタープレートの各のウェル内に入れられた150μlの液状LB
/2xCarb培地で培養した。さらに後日、各5μlの終夜の培養物を非滅菌
96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、それぞれ5μlのサンプ
ルをPCRアレイに移した。
【0202】 PCR増幅のため、4単位のrTth DNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮 PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いら
れる遺伝子に特異的なプライマーの一方或いは両方を各ウェルに加えた。増幅は
、以下の条件、即ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行った。
【0203】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上を走ら
せた。PCR生成物のサイズを元の部分的cDNAと比較して、適切なクローン
を選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行った。
【0204】 同様に、配列番号:2及び配列番号:4のヌクレオチド配列を用いて、上述の
手順を用いて5′調節配列を得ること、5′方向の延長のために設計されたオリ
ゴヌクレオチドを得ること、及び適切なゲノムライブラリーを得ることが可能で
ある。
【0205】 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2及び配列番号:4の配列から作られたハイブリダイゼーションプ
ローブを用いて、cDNA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングする
。約20の塩基対からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より
大きなcDNAフラグメントの場合でも概ね同じ手順を用いる。OLIGO4.06(Nat
ional Bioscience)のような最新式のソフトウェアを用いてオリゴヌクレオチド
を設計し、それぞれ50pmolのオリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]ア
デノシン三リン酸(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナー ゼ(DuPont NEN, Boston, MA)とを結合することによって標識する。標識された
オリゴヌクレオチドを、Sephadex G-25超微粒子樹脂カラム(Pharmacia & Upjo
hn)を用いて精製する。毎分107カウントの標識されたプローブを含むアリコ ットを、エンドヌクレアーゼAseI,Bgl II,EcoRI,Pst I,Xba1或いはPvuII(D
uPont NEN, Boston, MA)の1つを用いて消化したヒトゲノムDNAの一般的な 膜を用いるハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0206】 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン
膜(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファーする。
ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取
り除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム水及び0.5%ドデシル
硫酸ナトリウムまでの、段階的にストリンジェンシーが増す条件下で室温にて順
次洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)を、Phosphoimager カセット(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)においてブロットに数時間露 光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0207】 7 マイクロアレイ 化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でオリ
ゴマーを合成する(例えば、Baldeschweiler他, 前出, 参照)。更に別の方法で
は、ドットブロット法(スロットブロット法)で用いるものに類似したアレイを
用いて、真空システム、熱、UV、機械的又は化学的結合プロシージャを用いて
、cDNA断片又はオリゴヌクレオチドを基板の表面に配置し結合させる。一般
的なアレイは、手作業により、又は市販の材料及び機械を用いることによって製
作することができ、適切な数のエレメントを有し得る。ハイブリダイゼーション
の後、マイクロアレイを洗浄してハイブリダイズしていないプローブを取り除き
、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターンを求める。スキャンされた画像
を解析して、マイクロアレイ上のエレメントにハイブリダイズする核プローブの
相補性の程度及び相対的な存在量を評価することができる。
【0208】 完全長cDNAまたは発現される配列タグ(ESTs)が、マイクロアレイの
エレメントを含み得る。ハイブリダイゼーションに適した断片は、例えばLASERG
ENETMのような周知のソフトウェアを用いて選択することができる。本発明のヌ クレオチド配列の1つに対応する、又は本発明に関連するcDNAライブラリー
から無作為に選択された完全長cDNA又はESTsを、適切な基板、例えばス
ライドガラス上に配置する。そのcDNAは、例えば、UV架橋処理の後に熱及
び化学薬品による処理を行って乾燥することによってスライドガラス上に固定す
る(例えば、Schena. Mら (1995) Science 270:467-470; 及びShalon, D.ら (19
96) Genome Res. 6:639-645)。基板上のエレメントへのハイブリダイゼーショ ンのために蛍光プローブを作製して使用する。この基板を、上述の手順によって
解析する。
【0209】 8 相補的ポリヌクレオチド HUGAをコードする配列或いはその任意の一部分に相補的な配列は、自然発
生のHUGAの発現を低下、即ち阻害するために用られる。約15〜約30塩基
対からなるオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、より小さな或いはよ
り大きな配列フラグメントの場合でも基本的に同じ方法を用いることができる。
Oligo4.06ソフトウェア及びHUGAのコーディング配列を用いて、適切なオリ ゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特な5′配列から
相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモーターが結合しない
ようにする。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオチドを設計して
、リボソームがHUGAをコードする転写物に結合しないようにする。
【0210】 9 HUGAの発現 HUGAの発現及び精製は、細菌又はウイルスをベースにした発現系を用いて
達成される。細菌におけるHUGAの発現のためには、cDNAを、高いレベル
のcDNAの転写を誘導する誘導性プロモーターや構成物質耐性遺伝子を含む適
切な発現ベクター内にサブクローニングする。そのようなプロモーターの例とし
ては、以下に限定するものではないが、trp-lac(tac)ハイブリッドプロモータ
ー及びT5又はT7バクテリオファージプロモーターや、lacオペレーター制御配列 等が挙げられる。組換えベクターを、例えばBL21(DE3)のような適切な細菌の ホストに形質転換する。イソプロピル-1-チオ‐β-D-ガラクトシド(IPTG)
で誘導すると、構成物質耐性の細菌がHUGAを発現する。真核細胞におけるH
UGAの発現は、バキュロウイルスとしてよく知られている、組換えAutographi ca californica 多核体病ウイルス(AcMNPV)を、昆虫または哺乳動物の細胞系に
感染させることによって達成される。バキュロウイルスの非必須のポリへドリン
遺伝子を、相同的組換えか、転移プラスミドによる媒介を用いる細菌媒介遺伝子
転移の何れかによってHUGAをコードするcDNAで置換する。ウイルスの感
染力は維持され、かつ強力なポリヘドリンプロモーターが、高レベルのcDNA
の転写を誘導する。組換えバキュロウイルスを用いて、大抵の場合はSpondopter a frugiperda (Sf9)昆虫細胞に、場合によってはヒト肝細胞に感染させる。後 者の場合には、バキュロウイルスに追加の遺伝子の修飾を加えることが必要であ
る(Engelhard, E. K.ら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 3224-3227;
Sandig, V.ら (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945参照)。
【0211】 大抵の発現系においては、例えば、粗製の細胞溶解物からの速やかな1ステッ
プでの組換え融合タンパク質のアフィニティ精製を可能にする、FLAG又は6-His のようなペプチドエピトープタグまたはグルタチオンSトランスフェラーゼ(G
ST)を用いて、融合タンパク質が合成される。日本住血吸虫(Schistosoma ja ponicum )に由来する26キロダルトンの酵素であるGSTによって、タンパク 質の活性及び抗原性を維持する条件の下で固定化グルタチオン(Pharmacia, Pis
cataway, NJ)上での融合タンパク質の精製が可能となる。精製の後、GST分 子を、特異的に組換えられた部位において、タンパク分解によりHUGAから切
り離すことができる。8個のアミノ酸からなるペプチドであるFLAGによって
、市販のモノクローナル及びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Kodak, R
ochester, NY)を用いるイムノアフィニティ精製が可能となる。6個の連続した
ヒスチジン残基のストレッチである6-Hisによって、金属キレート樹脂(QIAGEN
Inc, Chatworth, CA)上での精製が可能となる。タンパク質の発現及び精製のた
めの方法は、Ausubel. F. M.ら(1995及び定期的な補遺) Current Protocols in
Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, ch 10, 16に記載され ている。これらの方法によって得られた精製HUGAを、以下の活性のアッセイ
において直接用いることができる。
【0212】 10 HUGAの活性の立証 HUGAの活性は、ガラクトースのUDP-グルコースからGlcNac末端化オリゴ糖
鎖への転移を、放射能アッセイにおいて測定するkとによって決定する(Kolbin
ger, 前出)。サンプルを、14μlのアッセイストック溶液(180mMのカコジル酸 ナトリウム、pH6.5、1mg/mlのウシ血清アルブミン、0.26mMのUDP-ガラクトース 、2μlのUDP-[3H]ガラクトース)、1μlのMnCl2(500mM)、及び2.5μlのGlcNac
βO-(CH2)8-CO2Me(ジメチルスルホキシド中に37mg/ml)と共に、37℃で60分間 インキュベートする。次に、1mlの水を加えることによって反応を止め、C18 Sep
-Pakキャリッジ(Waters)上に負荷し、カラムを5mlの水で2回洗浄して未反応 のUDP-[3H]ガラクトースを取り除く。水での洗浄の間に、[3H]ガラクトシル化Gl
cNacβO-(CH2)8-CO2Meはカラムの結合した状態で残り、5mlのエタノールで溶出 させる。溶出物中の放射能は液体シンチレーションカウンターを用いて測定し、
そのレベルは開始サンプル中のHUGA活性に比例する。
【0213】 11 機能分析アッセイ(Functianl assays) HUGAの機能を、哺乳動物細胞培養系において、HUGAをコードする配列
を生理学的に高いレベルで発現させることによって評価する。cDNAを、それ
を高レベルで発現させる強力なプロモーターを有する哺乳動物の発現ベクターに
サブクローニングする。選択されるベクターとしては、pCMV SPORTTM(Life Tec
hnologies, Gaithersburg, MD)及びpCRTM 3. 1(Invitrogen, Carlsbad, CA) 等があり、両ベクターは共にサイトメガロウイルスのプロモーターを有している
。5〜10μgの組換えベクターをリポソーム製剤又はエレクトロポレーションの何
れかを利用してヒトの細胞系、好ましくは内皮細胞又は造血細胞を起源とする細
胞系に一時的にトランスフェクトする。またマーカータンパク質をコードする配
列を有する別のプラスミドを1〜2μg同時感染させる。マーカータンパク質の発 現は、トランスフェクト細胞を非トランスフェクト細胞から区別するための手段
となり、組換えベクターからのcDNAの発現の信頼できる予測が可能となる。
選択できるマーカータンパク質としては、例えばGreen Fluorescent Protein(G
FP)(Clontech, Palo Alto, CA)、CD64又はCD64-GFP融合タンパク質等が挙げ られる。GFP又はCD64−GFPを発現するトランスフェクト細胞を特定し、その特性
、例えばそのアポトーシス状態を評価するために、自動式のレーザー光を用いる
技術であるフローサイトメトリー(流動細胞計測法)(FCM)を用いる。FC
Mによって蛍光分子の取込みを検出し、定量細胞死の前又は細胞死と同時におこ
る事象を診断する。このような事象としては、ヨウ化プロピジウムでDNAを染
色することによって測定される核のDNA含量の変化、散乱光及び90度横向き
の散乱光を当てることによって測定される細胞のサイズ及び粒状度の変化、ブロ
モデオキシウリジンの取込みの低下によって測定されるDNA合成のダウンレギ
ュレーション、特異的抗体との反応性によって測定される細胞表面及び細胞内の
タンパク質の発現の変化、及びフルオレセイン結合アレキシンVタンパク質と細
胞表面との結合によって測定される原形質膜の組成の変化等がある。フローサイ
トメトリーの方法は、Ormerod, M. G. (1994) Flow Cytometry, Oxford, New Yo
rk, NYに記載されている。
【0214】 遺伝子の発現に対するHUGAの影響は、HUGAをコードする配列及びCD64
又はCD64-GFPの何れかをトランスフェクトした高度に精製された細胞の集団を用
いて評価することができる。CD64及びCD64-GFPはトランスフェクト細胞の表面で
発現され、ヒト免疫グロブリンG(IgG)の保存領域に結合する。トランスフェ クト細胞は、ヒトIgG又はCD64に対する抗体の何れかでコーティングされた磁性 ビーズ(DYNAL, Lake Success, NY)を用いて非トランスフェクト細胞から効率 的に分離する。mRNAの細胞からの精製は、当業者に周知の方法を用いて行う
ことができる。HUGAをコードするmRNA及び目的の他の遺伝子の発現は、
ノーザンブロット法による解析又はマイクロアレイ技術によって解析することが
できる。
【0215】 12 HUGAに特異的な抗体の産生 PAGE電気泳動法(例えば、Harrington, M.G. (1990) Methods Enzymol. 1
82:488-495参照)、又は他の精製技術を用いて実質的に精製したHUGAを用い
て、標準的なプロトコルに従ってウサギを免疫化し、抗体を作り出す。
【0216】 或いは、HUGAのアミノ酸配列をLASERGENETMソフトウエア(DNASTAR Inc. )を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチドを合
成し、当業者に周知の方法でこれを用いて抗体を産生させる。適切なペプチド配
列の選択及び抗体の産生の技術は当業者に周知である。C末端付近のエピトープ
或いは親水性領域内のエピトープのような適切なエピトープの選択については、
文献に記載されている(例えば、Ausubelら, 前出, ch. 11参照)。
【0217】 一般的に、15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsの
ペプチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し
、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS
)を用いる反応によってキーホールリンペットヘモシニアン(KLH、Sigma, S
t. Louis, MO)に結合する(例えば、Ausubel他 (前出)参照)。フロイントの完
全アジュバント中のオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する
。得られた抗血清の抗ペプチド活性を試験するには、例えばペプチドをプラスチ
ックに結合し、1%BSAでブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さ
らに放射性ヨウ素標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0218】 13 特異的抗体を用いる自然発生HUGAの精製 自然発生のHUGA或いは組換えHUGAを、HUGAに特異的な抗体を用い
るイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する。イムノアフ
ィニティーカラムは、CnBr-活性化 Sepharose(Pharmacia & Upjohn)のような 活性化クロマトグラフィーレジンとHUGA抗体とを共有結合で結合させること
により構築する。結合の後、そのレジンを使用説明書の指示に従って、ブロック
し洗浄する。
【0219】 HUGAを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラムをH
UGAを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下において高イ
オン強度バッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とHUGAとの結合を切
るような条件下(例えばpH2〜3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチ
オシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、HUGAを回
収する。
【0220】 14 HUGAと相互作用する分子の同定 HUGA又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬(例 えば、Bolton 他 (1973) Biochem. J. 133:529参照)で標識する。マルチウェル
プレートのウェルに予め配列しておいた候補の分子を、標識したHUGAととも
にインキュベートし、洗浄して、標識HUGA複合体を有するウェルをアッセイ
する。異なる濃度のHUGAを用いて得られたデータを用いて、候補の分子とH
UGAの会合、親和性、数の数値を計算する。
【0221】 本発明の範囲及び精神から逸脱しない本明細書に記載した本発明の方法及びシ
ステムの様々な改変は、当業者には明らかであろう。本発明は、特に好適な実施
例に関連して説明されているが、本発明の真の範囲は、そのような特定の実施例
に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或い
は関連分野の専門家には明らかな本発明の実施形態の様々な改変は、請求の範囲
内に含まれるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 HUGA−1のアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。
【図1B】 HUGA−1のアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。
【図1C】 HUGA−1のアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。
【図1D】 HUGA−1のアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。
【図2A】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2B】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2C】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2D】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2E】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2F】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2G】 HUGA−2のアミノ酸配列(配列番号:3)及び核酸配列(配列番号:4)
を示す図。配列のアライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitach Soft
ware Engineering Co. Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図3A】 HUGA−1(インサイトクローンNo. 1705058;配列番号:1)、ショウジ ョウバエ(Drosophila melanogaster)brainiac遺伝子(GI 1150971;配列番号 :5)、及びマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラ クトシルトランスフェラーゼ-I(GI 2745735;配列番号:6)の間のアミノ酸配
列アライメントを示す図。
【図3B】 HUGA−1(インサイトクローンNo. 1705058;配列番号:1)、ショウジ ョウバエ(Drosophila melanogaster)brainiac遺伝子(GI 1150971;配列番号 :5)、及びマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラ クトシルトランスフェラーゼ-I(GI 2745735;配列番号:6)の間のアミノ酸配
列アライメントを示す図。
【図3C】 HUGA−1(インサイトクローンNo. 1705058;配列番号:1)、ショウジ ョウバエ(Drosophila melanogaster)brainiac遺伝子(GI 1150971;配列番号 :5)、及びマウスUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1, 3-ガラ クトシルトランスフェラーゼ-I(GI 2745735;配列番号:6)の間のアミノ酸配
列アライメントを示す図。
【図4A】 HUGA−2(インサイトクローンNo. 2551161;配列番号:3)及びニワト リβ1, 4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GI 1469908;配列番号:7)の間 のアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメントは、LASERGENETMソ フトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライメントプロ グラムを用いて作成した。
【図4B】 HUGA−2(インサイトクローンNo. 2551161;配列番号:3)及びニワト リβ1, 4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GI 1469908;配列番号:7)の間 のアミノ酸配列アライメントを示す図。配列のアライメントは、LASERGENETMソ フトウェア(DNASTAR Inc, Madison WI)のマルチシーケンスアライメントプロ グラムを用いて作成した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 A61P 37/06 4H045 37/06 43/00 43/00 C07K 16/40 C07K 16/40 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/48 5/10 1/68 A 15/09 ZNA A61K 37/02 C12Q 1/48 C12N 5/00 A 1/68 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 シャー、パルビ アメリカ合衆国カリフォルニア州94087・ サニーベイル・#5・クイーンシャルロッ トドライブ 1608 (72)発明者 パターソン、チャンドラ アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・レランドアベニュー 2189 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA12 BA44 BA53 BA61 CA04 CA09 FA10 HA04 HA12 HA13 4B050 CC03 CC07 DD11 LL01 LL03 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ44 QR40 QR55 QS25 QS36 QX07 4B065 AA93Y AB01 AC14 BA01 CA24 CA29 CA44 CA46 4C084 AA02 AA03 AA06 AA07 AA13 AA17 BA01 BA02 BA22 NA14 ZA812 ZB072 ZB112 ZB262 ZC012 ZC192 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 CA40 DA75 DA89 EA22 EA26 EA28 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号(SEQ ID NO):1、配列番号:3、配列番号: 1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含
    む、実質的に精製されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1の配列と少なくとも90%のアミノ酸配列同一性
    を有する、実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のHUGAをコードする、単離され精製されたポ
    リヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体。
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の
    下でハイブリダイズする、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドに相補的な配列を有する、単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:2の断片、及び
    配列番号:4の断片からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を含む、単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項7のポリヌクレオチドと少なくとも90%のポリヌ
    クレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体。
  9. 【請求項9】 請求項7のポリヌクレオチド配列に相補的な配列を有する
    、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発
    現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10の発現ベクターを含む宿主細胞。
  12. 【請求項12】 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及
    び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチ
    ドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で、請求項11の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含むこと
    を特徴とする配列番号:1、配列番号:3、配列番号:1の断片、及び配列番号
    :3の断片からなる群から選択されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1のポリペプチドを、適切な医薬用担体と共に含
    む医薬品組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する、精製され
    た抗体。
  15. 【請求項15】 請求項1のポリペプチドの、精製されたアゴニスト。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドの、精製されたアンタゴニスト
  17. 【請求項17】 癌の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む癌の処置又は予防方法。
  18. 【請求項18】 発達障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む発達障害の処置又は予防方法。
  19. 【請求項19】 生殖障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13の医薬品粗製物を有効な量投与す
    る過程を含む生殖障害の処置又は予防方法。
  20. 【請求項20】 自己免疫性/炎症性疾患の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13の医薬品粗製物を有効な量投与す
    る過程を含む自己免疫性/炎症性疾患の処置又は予防方法。
  21. 【請求項21】 生物学的サンプルにおいて配列番号:1、配列番号:3
    、配列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミ
    ノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法であ
    って、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、前記生物学的サンプルの核酸の少なく
    とも1つとをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成する過
    程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおける前記ポリペ
    プチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する、該過程とを含
    むことを特徴とする生物学的サンプルにおいて配列番号:1、配列番号:3、配
    列番号:1の断片、及び配列番号:3の断片からなる群から選択されたアミノ酸
    配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法。
  22. 【請求項22】 ハイブリダイゼーションを行う前記過程の前に、前記生
    物学的サンプルの前記核酸をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅することを特徴
    とする請求項21に記載の方法。
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