JP2002530071A - UDPガラクトース:β−N−アセチル−グルコサミンβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ、β3Gal−T5 - Google Patents

UDPガラクトース:β−N−アセチル−グルコサミンβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ、β3Gal−T5

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JP2002530071A JP2000582542A JP2000582542A JP2002530071A JP 2002530071 A JP2002530071 A JP 2002530071A JP 2000582542 A JP2000582542 A JP 2000582542A JP 2000582542 A JP2000582542 A JP 2000582542A JP 2002530071 A JP2002530071 A JP 2002530071A
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dna
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クラウセン、ヘンリク
アマド、マルガリダ
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クラウセン、ヘンリク
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Abstract

(57)【要約】 UDP-D-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミン/β-N-アセチルガラクトサミンβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼファミリーに属し、β3Gal-T5と命名した特有の酵素的性質を有する新規の酵素を規定する新規の遺伝子を開示する。β3GAL-T5の酵素活性は、この遺伝子ファミリーのすでに同定されている酵素の酵素活性とは異なることが示される。本発明は、β3Gal-T5をコードする単離されたDNA分子およびDNA構築物、およびβ3Gal-T5活性を示すアミノ酸の欠失、置換、または挿入による該DNA分子および該DNA構築物の誘導体、ならびに該DNAを含むクローニングベクターおよび発現ベクター、該ベクターでトランスフェクトされた細胞、ならびにβ3Gal-T5を得るための組換え方法を開示する。酵素β3Gal-T5およびそのβ3Gal-T5活性を有するその誘導体、特にβ3Gal-T5の触媒活性ドメインを含有す可溶性誘導体を開示する。さらに、本発明は、β1,3ガラクトシルグリコシル化サッカリド、糖ペプチド、または糖タンパク質を得るための方法であって、酵素活性を有するβ3Gal-T5タンパク質もしくはその融合タンパク質を用いる方法、または酵素活性を有するβ3Gal-T5タンパク質をコードするDNAを含むベクターで恒常的にトランスフェクトした細胞を前記の糖ペプチドまたは糖タンパク質の組換え生産のための発現系として用いる方法を開示する。また、患者由来のDNAを単離し、β3Gal-T5をコードするエキソンをPCRにより増幅し、そしてDNA配列変異の存在を検出することによる、β3Gal-T5遺伝子のDNA配列変異を同定する方法も開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、米国特許法(35 U.S.C.)119条に基づき、1998年11月13日に出願のデ
ンマーク国特許出願第PA1998 01483号についての優先権を主張するものであり、
該出願は全文を参照により本明細書中に組込むこととする。
【0002】1.発明の分野 本発明は一般に、遊離のオリゴサッカリド、またはタンパク質および糖スフィ
ンゴ脂質に共有結合しているオリゴサッカリドとして認められる、グリカンの生
合成に関する。より詳しくは、本発明は、UDP-D-ガラクトース:βN-アセチルグ
ルコサミンβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β3Gal-トランスフェラーゼ
)をコードする核酸ファミリーに関する。該トランスフェラーゼは、2-アセトア
ミド-2-デオキシ-D-グルコース(GlcNAc)の3位の炭素の水素基にガラクトースを
付加する。更に詳しくは、本発明は、β3Gal-T5と命名された、β3Gal-トランス
フェラーゼファミリーの5つめのメンバーをコードする遺伝子、β3Gal-T5をコー
ドするDNAに対するプローブ、β3Gal-T5をコードするDNAを含むDNA構築物、β3G
al-T5を生産するための組換えプラスミドおよび組換え方法、β3Gal-T5を発現さ
せるために細胞を恒常的にトランスフェクトする組換え方法、および患者のDNA
多型の特定方法に関する。
【0003】2.発明の背景 UDP-D-ガラクトース:β-N-アセチル-グルコサミンβ1,3-ガラクトシルトラン
スフェラーゼ(β3Gal-T)ファミリーは最近同定された(Amado, M.、Almeida, R.
、Carneiro, F.ら、ヒト(β3-ガラクトシルトランスフェラーゼファミリー:UDP
-ガラクトースβ-N-アセチル-グルコサミン/β-N-アセチルガラクトサミンβ1,3
-ガラクトシルトランスフェラーゼファミリーの4つのメンバーの特性解析、J.
Biol. Chem. 273: 12770-12778,1998; Kolbinger, F.、Streiff, M. B.およびKa
topodis, A. G.、1型鎖形成を触媒するヒトUDP-ガラクトース: 2-アセトアミド-
2-デオキシ-D-グルコース3β-ガラクトシルトランスフェラーゼのクローニング
、J. Biol. Chem. 273: 433-440,1998; Hennett, T.、Dinter, A.、Kuhnert, P.
、Mattu, T. S.、Rudd, P. M.およびBerger, E. G.、三種のマウスUDP-ガラクト
ース: β-N-アセチルグルコサミンβl,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝
子の遺伝子クローニングおよび発現、J. Biol. Chem. 273: 58-65,1998; Miyaki
, H.、Fukumoto, S.、Okada, M., Hasegawa, T.および Furukawa, K.、G(D1b)/G
(Ml)G(Al)の発現を決定するUDP-ガラクトース G(D2)βl,3ガラクトシルトランス
フェラーゼをコードするラットcDNAの発現クローニング、J. Biol. Chem. 272:
24794-24799,1997)。このファミリー内の3つの遺伝子、β3Gal-T1、-T2、およ
び-T3は、Galβ1-3GlcNAc結合を形成するβ3ガラクトシルトランスフェラーゼを
コードする。1型鎖Galβ1-3GlcNAc配列は、糖タンパク質のN-結合型およびO-結
合型双方のオリゴサッカリドに見出されており、ならびに、2型Galβ1-4GlcNAc
ポリ-N-アセチルラクトサミン構造の対応物であるラクト系列の糖スフィンゴ脂
質にも見出されている(Kobata. A.、糖タンパク質の糖鎖の構造および機能、Eur
J Biochem 209: 483-501, 1992.)。1型鎖構造は、主に内胚葉由来の上皮に見ら
れるのに対し、2型鎖は赤血球を含む外胚葉および中胚葉由来の細胞に見られる(
Oriol, R.、 Le Pendu, J、およびMollicone, R.、ABO、H、Lewis、Xおよび関連
抗原の遺伝学、Vox Sanguinis 51: 161-171,1986; Clausen, Hおよび Hakomori,
S. ABHおよび関連する組織血液型抗原;キャリアーアイソタイプおよびその分布
の免疫化学的な相違、Vox Sanguinis 56:1-20,1989)。正常な胃腸上皮は主に1型
鎖糖複合体を発現しているが、腫瘍においては2型鎖構造が優勢に発現する(Hako
mori, S.、腫瘍における異常なグリコシル化と腫瘍関連糖抗原;異常なグリコシ
ル化およびスフィンゴ(糖)脂質代謝により判定される腫瘍悪性度、Advances in
Cancer Research 52: 257-331,1989; Hakomori, S.、異常なグリコシル化および
スフィンゴ(糖)脂質代謝により判定される腫瘍悪性度、Cancer Res 56: 5309-53
18,1996)。正常および悪性上皮におけるこれらのコア構造(core structure)の
形成を担っている遺伝子を決定することはかなり興味深い。1型鎖構造を形成で
きる3種のすでに公知となっているβ3Gal-Tの以下の複数の特性は、これらは上
皮における1型鎖合成に関与する主要な酵素ではないことを示唆している;(i)ノ
ーザン解析によりβ3Gal-T1および-T2は脳でのみ発現されている(Amado, M.、Al
meida, R.、Carneiro, F.ら、ヒトβ3-ガラクトシルトランスフェラーゼファミ
リー: UDPガラクトース β-N-アセチルグルコサミン/β-N-アセチルガラクトサ
ミンβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼファミリーの4つのメンバーの特性
解析、J. Biol. Chem. 273:12770-12778,1998; Kolbinger, F.、Streiff, M. B.
およびKtopodis, A. G.、1型鎖形成を触媒するヒトUDP-ガラクトース:2-アセト
アミド-2-デオキシ-D-グルコース3β-ガラクトシルトランスフェラーゼのクロー
ニング、J. Biol. Chem. 273: 433-440,1998; Hennett, T.、Dinter, A.、Kuhne
rt, P.、Mattu, T. S.、Rudd, P. M.およびBerger, E. G.、3種のマウス UDP-ガ
ラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ
遺伝子のゲノムクローニングおよび発現、J. Biol. Chem. 273: 58-65,1998);(
ii) β3Gal-T3は広範な発現パターンを有するが、大腸を含む複数の組織では検
出されず、胃粘膜では発現が弱い(Amado, M.、Almeida, R.、Carneiro, Fら、ヒ
トβ3-ガラクトシルトランスフェラーゼファミリー: UDP-ガラクトース β-N-ア
セチルグルコサミン/β-N-アセチルガラクトサミン β1,3-ガラクトシルトラン
スフェラーゼファミリーの4つのメンバーの特性解析、J.Biol. Chem. 273: 127
70-12778,1998; Kolbinger, F.、Streiff, M. B.、およびKtopodis, A. G、1型
鎖形成を触媒するヒト UDP-ガラクトース: 2-アセトアミド-2-デオキシ-D-グル
コース3β-ガラクトシルトランスフェラーゼのクローニング、J. Biol. Chem. 2
73: 433-440,1998); (iii)組換え体酵素の速度論的特性は上皮におけるβ3Gal-T
活性について報告されている速度論的特性と一致しない(Sheares, B. T.、Lau,
J. T.、およびCarlson, D. M.、ガラクトシル-β1,3-N-アセチルグルコサミンの
生合成、J. Biol. Chem. 257: 599-602, 1982; Holmes, E. H. ヒト大腸腺腫細
胞系Cob 205およびSW403由来のβ1----3-およびβ1---4-ガラクトシルトランス
フェラーゼの特性解析および膜の構成: 1型鎖ラクト系列炭化水素構造の優先的
合成の根拠、Arch Biochem Biophys 270: 630-646,1989);および(iv)β3Gal-T1,
-T2, または-T3の受容体基質特異性は、ブタ気管から単離したβ3Gal-Tの活性に
対する高効率の基質とすることがすでにわかっている(Sheares, B. T.およびCar
lson, D. M. ブタ気管由来のUDP-ガラクトース: 2-アセトアミド-2-デオキシ-D-
グルコース 3 β-ガラクトシルトランスフェラーゼの特性解析、J. Biol. Chem.
258: 9893-9898,1983)ムチン型コア3構造を含まない(Amado, M.、Almeida,R.、
Carneiro, F.ら、ヒトβ3-ガラクトシルトランスフェラーゼファミリー: UDP-ガ
ラクトースβ-N-アセチルグルコサミン/β-N-アセチルガラクトサミンβ1,3 ガ
ラクトシルトランスフェラーゼファミリーの4つのメンバーの特性解析、J. Biol
. Chem. 273: 12770-12778,1998; Hennett, T.、Dinter,A.、Kuhnert, P.、Matt
u, T. S.、Rudd, P. M.およびBerger, E. G. 3種のマウス UDP-ガラクトース:β
-N-アセチルグルコサミンβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子のゲノ
ムクローニングおよび発現、J. Biol. Chem. 273: 58-65,1998)。
【0004】 β3Gal-T1、T2、およびT3より優れた速度論的特性を有するβ3Gal-トランスフ
ェラーゼをコードする、他に存在するβGlcNAc β3Gal-トランスフェラーゼ遺伝
子を利用すると、オリゴサッカリド、糖タンパク質、および糖スフィンゴ脂質の
ガラクトシル化における使用のためのより効率的な酵素の生産が可能となるであ
ろう。かかる酵素は、例えば、特定の酵素的特性、免疫原性、または他の生物学
的および/もしくは物理的特性を有する適切にグリコシル化された糖複合体を生
産するために、β3Gal-T1、T2、およびT3が全くまたは僅かしか作用しないよう
なこれらの基質または他の基質の合成的ガラクトシル化を必要とする製薬的また
は他の商業的用途に用いられうる。
【0005】 従って、当技術分野では、特有の特異的性質を有する単離された他のUDP-ガラ
クトース:β-N-アセチルグルコサミン β1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ
、および、これらの酵素をコードする遺伝子の1次構造が求められている。本発
明は、かかる要求に合致しており、さらに、以下に詳細に記述するように、他の
関連する利点を有する。
【0006】3.発明の概要 本発明は、ヒトUDP-ガラクトース:β3-N-アセチルグルコサミン β1,3ガラク
トシルトランスフェラーゼ(β3Gal-T5)をコードする、cDNAおよびゲノムDNAを含
む単離された核酸を提供する。β3Gal-T5は、サッカリド誘導体および糖タンパ
ク質基質に対する優れた活性ならびにグロボシド糖脂質に対する活性により実証
されるように、β3Gal-T1、-T2、および-T3より優れた速度論的特性を有してい
る。もちろん、β3Gal-T5は、グロボシド(GalNAcβ1-3Galα1-4Galβ1-4Glcβ1-
Cer)へのGaβ1-3の転移に利用できる最初のグリコシルトランスフェラーゼであ
る。β3Gal-T5の完全なヌクレオチド配列は、図1に示されている。
【0007】 ある態様においては、図1に示すヌクレオチド1〜933のヌクレオチド配列を含
むか、もしくは該配列からなる単離された核酸、またはその配列が保存されてい
る変異体もしくはその機能的に保存されている変異体も、本発明の範囲内である
。本発明はまた、図1に示す配列を有する核酸もしくはその断片、またはその配
列が保存されている変異体もしくはその機能的に保存されている変異体にハイブ
リダイズ可能な単離された核酸も提供する。種々の実施形態では、本発明の核酸
は、低ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシー、高ストリンジェンシ
ーの条件下で、または本明細書中に規定する特定の好ましいストリンジェンシー
条件下で、β3Gal-T5配列とハイブリダイズ可能である。ある実施形態において
は、DNA配列は、図1に示すメチオニン(アミノ酸番号1)からバリン(アミノ酸番
号310)までのアミノ酸配列をコードする。他の実施形態では、DNA配列は図1に
示すメチオニン(25番)からバリン(310番)までの配列を含むアミノ酸配列をコ
ードする。
【0008】 関連する態様においては、本発明は、β3Gal-T5 DNA配列を含む核酸ベクター
を提供する。かかる核酸ベクターには、ポリアデニル化配列を含むかまたはそれ
を含まない、β3Gal-T5 DNA配列が転写制御エレメント(例えばプロモーター、エ
ンハンサー、またはその両方)に機能しうる形で連結しているベクターが含まれ
るが、限定はされない。該ベクターを含む細胞も提供され、該細胞は、一過性お
よび恒常的に発現する細胞を含むが限定する意味ではない。β3Gal-T5-由来DNA
配列を含有するウイルス(バクテリオファージを含む)も提供される。β3Gal-T5
ポリペプチドを生産する方法も、本発明の範囲内にある。細胞に基づく方法は、
宿主細胞にβ3Gal-T5をコードする単離されたDNA分子またはβ3Gal-T5をコード
するDNA配列を含有するDNA構築物を導入し、β3Gal-T5の発現に適切な条件下で
該宿主細胞を増殖させ、そして、該宿主細胞により産生されたβ3Gal-T5を単離
すること、を含む方法が挙げられるが、限定する意味ではない。さらに、本発明
は、宿主細胞にβ3Gal-T5をコードする単離されたDNA分子もしくはその酵素的に
活性な断片(例えば、図1に示すアミノ酸25〜310を含有するポリペプチドなど)
、またはβ3Gal-T5をコードするDNA配列もしくはその酵素的に活性な断片を含有
するDNA構築物を導入し;適切な培地で該宿主細胞を選択し、増殖させ;そして
、β3Gal-T5を発現する恒常的にトランスフェクトされた細胞を同定すること、
を含むβ3Gal-T5のde novoでの恒常的発現を有する宿主細胞を作製する方法を提
供する。この恒常的にトランスフェクトされた細胞を、触媒としての使用および
適切なガラクトシル化をもつペプチドまたはタンパク質の遺伝子組換えによる生
産を目的とする、β3Gal-T5酵素の生産に用いることができる。例えば、上記の
恒常的トランスフェクションによりグリコシル化のパターンが改変された正常ま
たは障害を有する真核細胞、またはこのような細胞の構成成分は、例えば、ワク
チン化のための免疫原などとして、糖ペプチドおよび糖タンパク質の特有の型の
糖鎖を送達するのに用いることができる。
【0009】 他の態様においては、本発明は、限定するものではないが図1に示す配列を有
するポリペプチドを含む単離されたβ3Gal-T5ポリペプチド、図1に示すアミノ
酸25−310の配列を有するポリペプチド、および第2の配列にフレームとして融
合された少なくとも図1に示すアミノ酸25〜310の配列を有する融合ポリペプチ
ドを提供する。第2の配列は、融合ポリペプチドにβ3Gal-T5酵素活性を保持す
るのに適合する任意の配列でよい。好適な第2の配列は、アフィニティリガンド
、反応基、および/または他のタンパク質に由来する機能性ドメインを含有する
配列を含むが、限定はされない。
【0010】 本発明の他の態様では、例えば正常および/または疾患を有する被験者の血液
細胞などから単離したゲノムDNAを用いる、β3Gal-T5遺伝子のコード領域(エキ
ソンI)内の突然変異についてスクリーニングする方法を開示する。ある態様では
、該方法は、正常または疾患を有する被験者からのDNAの単離;コーディングエ
キソンIのPCR増幅;増幅されたエキソンDNA断片のDNA配列決定、および、それか
ら疾患に関連するβ3Gal-T5遺伝子の潜在的な構造的欠陥を確証すること、を含
む。
【0011】 本発明のこれらの態様および他の態様は、以下の詳細な説明および図面を参照
すれば明白であろう。
【0012】4.図面の簡単な説明 (図面の簡単な説明は下記参照)5.発明の説明 本明細書中で引用されている全ての特許出願、特許および参考文献は、引用に
よりその全体を本明細書に組み入れる。矛盾する場合には、定義を含む本記載が
優先する。
【0013】5.1.定義 1.本明細書で用いられる「核酸」または「ポリヌクレオチド」とは、ポリリ
ボヌクレオチドもしくはポリデオキシリボヌクレオチドもしくは混合ポリリボ−
ポリデオキシリボヌクレオチドのいずれかである、任意の長さのプリンおよびピ
リミジン含有ポリマーをいう。これは、一本鎖および二本鎖の分子(すなわちDN
A−DNA、DNA−RNAおよびRNA−RNAハイブリッド)、ならびに塩基をアミノ酸バッ
クボーンに結合させることにより形成される「タンパク質核酸」(PNA)を含む
。これはまた、修飾塩基を含む核酸(後記を参照)を含む。
【0014】 2.本明細書で用いられる「相補的DNAまたはcDNA」とは、mRNA鋳型内に存在
する配列から酵素的に合成されたDNA分子もしくは配列、またはそのようなDNA分
子のクローンをいう。「DNA構築物」とは、 天然には存在しないような様式で結
合または並べられているDNAのセグメントを含むように改変されている、一本鎖
または二本鎖のDNA分子またはそのような分子のクローンをいう。非限定的な例
としては、イントロンを有しないcDNAまたはDNAは外因性DNA配列に隣接して、ま
たは外因性DNA配列内部に挿入される。
【0015】 3.プラスミド、より一般的にベクターとは、宿主細胞に挿入されるとその複
製をもたらし得る遺伝的情報を含むDNA構築物である。プラスミドは通常、宿主
細胞内で発現させようとする少なくとも1つの遺伝子配列、ならびにそのような
遺伝子発現を容易にする配列(例えばプロモーターおよび転写開始部位など)を
含んでいる。それは線状の分子であっても閉じた環状の分子であってもよい。
【0016】 4.核酸は、規定のストリンジェシー条件下で一方の核酸の少なくとも1つの
鎖が別の核酸にアニールできる場合に、互いに「ハイブリダイズし得る」という
。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、a)ハイブリダイ
ゼーションおよび/または洗浄を行う温度、およびb)ハイブリダイゼーション
溶液および洗浄溶液のイオン強度および極性(例えばホルムアミド)、ならびに
他のパラメーターにより決定される。ハイブリダイゼーションでは、それら2つ
の核酸が実質的に相補的な配列を含んでいることが必要とされる。しかし、ハイ
ブリダイゼーションのストリンジェンシーによっては、ミスマッチが許容される
ことがある。典型的には、高ストリンジェンシー(例えば、65℃で0.5×SSCの水
溶液中)での2つの配列のハイブリダイゼーションでは、それらの配列がそれら
の全配列にわたってある程度高い相補性を示すことが必要とされる。中程度スト
リンジェンシーの条件(例えば、65℃で2×SSCの水溶液)および低ストリンジ
ェンシーの条件(例えば、55℃で2×SSCの水溶液)では、それに対応してハイ
ブリダイズする配列間でそれほど高い全体的な相補性は必要とされない(1×SS
Cとは、0.15M NaCl、0.015M クエン酸Na。)。
【0017】 1つの実施形態では、本発明は、以下のハイブリダイゼーション条件下でβ3G
al-T5核酸にハイブリダイズし得る核酸を提供する:全長または可溶性β3Gal-T5
発現構築物(実施例を参照)をDNAまたはRNAブロットに対するプローブ(例えば
ランダムプライムラベリングによる)として用い、該ブロットを既に記載(Benn
ettら, 1996, cDNA cloning and expression of a novel human UDP-N-acetyl-a
lpha-D-galactosamine, Polypeptide N-acetyl-galactosaminyl-transferase, G
alNAc-T3, J. Biol. Chem. 271, 17006-17012)のようにして42℃で一夜プロー
ビングし、2×SSC、1%Na4P2O2で室温(室温:18〜23℃)で10分間にわたって
2回、0.2×SSC、1%SDS、1%Na4P2O2で65℃で20分間にわたって2回、そして
0.2×SSCで室温で10分間にわたって1回(「好ましいハイブリダイゼーション条
件」)洗浄する。これらの好ましいハイブリダイゼーション条件下では、β3Gal
-T5と既に同定されているβ3Gal-T(すなわち、β3Gal-T1、-T2、-T3および-T4
;Amadoら, 1998, A family of human β3-galactosyltransferases: character
ization of four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-a
cetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family, J. Biol. Chem. 27
3:12770-12778も参照のこと)との交差ハイブリダイゼーションはない。
【0018】 5.本明細書で用いられる「単離された」核酸またはポリペプチドとは、その
元の環境(例えば、それが天然に存在する場合には天然の環境)から取り出され
た成分をいう。単離された核酸またはポリペプチドは、それが元々は結合してい
た細胞成分を約50%以下、好ましくは約75%以下、最も好ましくは約90%以下を
含んでいる。
【0019】 6.「プローブ」とは、該プローブ中の少なくとも1つの配列と標的領域中の
配列との相補性のために該標的領域中の配列とハイブリッド構造を形成する核酸
をいう。
【0020】 7.ある指定の配列に「由来する」核酸とは、該指定の配列のある領域に該当
する核酸配列をいう。これは、該配列に相同または相補的な配列、ならびに「配
列が保存されている変異体」および「機能的に保存されている変異体」を包含す
る。配列が保存されている変異体とは、所与のコドン位置における1つ以上のヌ
クレオチドが変化しても、その位置でコードされるアミノ酸に改変が起こらない
ものである。β3Gal-T5の機能的に保存されている変異体とは、その生来のポリ
ペプチドの全体のコンフォメーションおよび酵素活性(基質特異性を含む)を変
えることなしに、そのポリペプチド中の所与のアミノ酸残基が変化しているもの
である。これらの変化としては、あるアミノ酸の、同様の物理化学的特性(例え
ば、酸性、塩基性、疎水性、など)を有するものによる置換が挙げられるが、そ
れに限定されない。
【0021】 8.「供与体基質」とは、例えばガラクトシルトランスフェラーゼにより認識
され、トランスフェラーゼ反応のためのガラクトシル成分をもたらす分子である
。β3Gal-T5の場合、供与体基質はUDP-ガラクトースである。「受容体基質」と
は、例えばガラクトシルトランスフェラーゼにより認識され、かつ該トランスフ
ェラーゼにより触媒される修飾の標的である(すなわち、ガラクトシル成分を受
け取る)分子であり、好ましくはサッカリドまたはオリゴサッカリドである。β
3Gal-T5の場合、受容体基質としては、配列GlcNAcβ1-6Gal、GlcNAcβ1-6GalNAc
、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1-2Man、GlcNAcβ1-4Man、GlcNAcβ1-6Man、Glc
NAcβ1-3Man、Glcβ1-セラミドおよびGalNAcβ1-3Galを含むオリゴサッカリド、
糖タンパク質、O結合型GlcNAc-糖ペプチド、O結合型GalNAc-糖ペプチドおよび
糖スフィンゴ脂質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0022】 本発明は、UDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1,3-ガラクトシ
ルトランスフェラーゼ(β3Gal-T5)をコードする単離されたDNA分子(ゲノムDN
AおよびcDNAを含む)を提供する。
【0023】 β3Gal-T5は、ESTデータベース配列情報の分析により同定し、ESTおよび5’RA
CE cDNAクローンをベースとしてクローニングした。クローニング戦略は、簡単
には次のように要約できる:1)EST配列情報から誘導されるオリゴヌクレオチ
ド(EBER1301およびEBER1302と命名)の合成;2)β3Gal-T5の全コード領域を
含むP1ゲノムDNAファージのPCRスクリーニングおよび単離;3)P1 DNAの配列決
定;4)β3Gal-T5に対応する新規なDNA配列の同定;5)ヒトP1 DNAを用いた逆
転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)による発現構築物の構築;6)Sf9スポド
プテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞内でのβ3Gal-T5をコード
するcDNAの発現。さらに詳細には、哺乳動物UDP-ガラクトース:β-N-アセチル
グルコサミン/β-N-アセチルガラクトサミンβ1,3-ガラクトシルトランスフェ
ラーゼファミリーの新規な第5のメンバーをコードする代表的なDNA分子の単離
は、以下に記載の次の手法を含む。
【0024】5.2.ヒトβ3Gal-T5の同定およびクローニング 既に記載の戦略(Almeida, R., Amado, M., David, L.,ら, A Family of Huma
n β4-Galastosyltransferases: Cloning and expression of two novel UDP-Ga
lactose β-N-Acetylglucosamine β1,4-Galactosyltransferases, β4Gal-T2お
よびβ4Gal-T3. J. Boil. Chem. 272:31979-31992, 1997)を用いて、β3Gal-ト
ランスフェラーゼ遺伝子ファミリーに対して有意な配列類似性を有する新規な遺
伝子を同定した(図1)。β3Gal-T5の予想コード領域は、2つの可能性のある
開始コドンを含み、先のものは疎水性配列であり、二番目のものはKozakのルー
ル(Kozak, M. Regulation of translation in eukaryotic systems. Ann. Rev.
Cell Biol. 8:197-225, 1992)に合せてある(図1)。この予想コード配列か
ら、β3Gal-T5が、2個または7個の残基からなるN末端細胞質ドメインと、荷電
した残基に挟まれている19個の残基からなる膜貫通セグメントと、3つの可能性
のあるN-グリコシル化部位を有する284個の残基からなるステム領域および触媒
ドメインとを有するII型の膜貫通糖タンパク質であることことが示される(図1
)。KyteおよびDoolittleの疎水性親水性指標プロット(Kyte, J.およびDoolitt
le, R.F. A simple method for displaying the hydropathic character of a p
rotein. Journal of Molecular Biology 157:105-132, 1982)からは、その予想
ステム領域がβ3Gal-T1、-T2および-T3(Amado, M., Almeida, R., Carneiro, F
.,ら, A family of human β3-galactosyltransferases: characterization of
four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-acetylgalact
osamine β1,3-Galactosyltransferase family. J. Biol. Chem. 273:12770-127
78, 1998)と同様に親水性であることが示された。これに対して、独特の糖脂質
特異性を有するβ3Gal-T4は、疎水性のステム領域を有する(Amado, M., Almeid
a, R., Carneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosyltransferases: ch
aracterization of four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine
/β-N-acetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family. J. Biol. C
hem. 273:12770-12778, 1998;Miyaki, H., Fukumoto, S., Okada, M., Hasegaw
a, T.およびFurukawa, K. Expression cloning of rat cdna encoding UDP-gala
ctose G(D2)β1,3 galactosyltransferase that determines the expression of
G(D1b)/G(M1)G(A1). J. Biol. Chem. 272:24794-24799, 1997)。
【0025】 5種のβ3Gal-トランスフェラーゼの多重配列アライメントを図2に示す。β3
Gal-T5遺伝子は、β3Gal-T2に対して最も高い類似性を有する。これら5種のヒ
ト遺伝子の間の類似性は中心領域において顕著に見られ、NH2末端領域では有意
な類似性はない。推定触媒ドメインにおける幾つかのモチーフは、該配列の全て
の間で保存されている。注目すべきことに、全ての該ヒト遺伝子内には3個のシ
ステイン残基がアラインされており、さらに3個がβ3Gal-T1、-T2、-T3および-
T5内にアラインされている(図2および図3)。1つの可能性のあるN結合型グ
リコシル化部位は該推定触媒ドメインの中心領域に存在し、全ての配列において
保存されている。同様に、1つのN結合型グリコシル化部位がβ4Gal-T遺伝子フ
ァミリーの全てのメンバー間で保存されていた(Schwientek, T., Almeida, R.,
Levery, S.B., Holmes, E., Bennett, E.P.およびClausen, H. Cloning of a n
ovel member of the UDP-galactose: β-N-acetylglucosamine β1,4-galactosy
ltransferase family, β4Gal-T4, involved in glycosphingolipid biosynthes
is. J. Biol. Chem. 273:29295-29305, 1998 Schweintekら, 1998)。DXDモチー
フは、近年、幾つかのグリコシルトランスフェラーゼ遺伝子ファミリーの間で保
存されていることが示されているが(Wiggins, C.A.R.およびMunro, S. Activit
y of the yeast MNN1 alfa-1,3-mannosyltransferase requires a motif conser
ved in many other families of glycosyltransferases. Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA 95:7945-7950, 1998;Breton, C., Bettler, E., Joziasse, D.H., Gere
mia, R.A.およびImberty, A. Sequence-function relationships of prokaryoti
c and eukaryotic galactosyltranferases. J. Biochem 123:1000-1009, 1998)
、これは全てのヒトβ3Gal-トランスフェラーゼ中にも存在する。
【0026】5.3.β3Gal-T5、BGALT5のゲノム構成および染色体位置決定 β3Gal-T5のコード領域は、β3Gal-T1、-T2、-T3および-T4と同様に(Amado,
M., Almeida, R., Carneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosyltransf
erases: characterisation of four members of a UDP-galactose β-N-acetylg
lucosamine/β-N-acetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family.
J. Biol. Chem. 273:12770-12778, 1998)、1つのエキソン内にするようにした
P1クローンの配列決定により決定した。これは、最近公表された164kbのゲノム
配列(GenBank受託番号AF064860)において確認された。BGALT5は、染色体21q22
.3上に位置する。該ファミリーの他の3つの遺伝子は、異なる染色体上、BGALT2
(1q31)、-T3(3q25)および-T4(6p21.3)に位置する(Amado, M., Almeida,
R., Carneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosyltransferases: chara
cterisation of four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β
-N-acetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family. J. Biol. Chem
. 273:12770-12778, 1998)。
【0027】5.4.昆虫細胞におけるβ3Gal-T5の発現 Sf9細胞内でβ3Gal-T5の可溶性構築物を発現させることにより、末端βGlcNAc
を含む受容体基質を用いたガラクトシルトランスフェラーゼの活性は、未感染の
細胞または関連のない構築物を感染させた細胞(示さず)と比べて、著しく増大
した(20〜30倍)。部分精製したβ3Gal-T5の活性の基質特異性を分析したとこ
ろ、全ての有効な基質が非還元末端にβGlcNAcを含有することが示された(表I
)。
【0028】
【表1】
【0029】 試験した単純なサッカリド誘導体の中で、ジサッカリドβ-D-GlcNAc-(1-3)-β
-D-Gal-1-Meは全ての他のサッカリド誘導体よりも良好であった。これは、基質
として用いたジサッカリドに対して非常に低い相対活性を有していたβ3Gal-T1
および-T2とは異なる(Amado, M., Almeida, R., Carneiro, F.,ら, A family o
f human β3-galactosyltransferases: characterisation of four members of
a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-acetylgalactosamine β1,3-Ga
lactosyltransferase family. J. Biol. Chem. 273:12770-12778, 1998;Kolbin
ger, F., Streiff, M.B.およびKtopodis, A.G. Cloning of a human UDP-galact
ose: 2-acetamido-2-deoxy-D-glucose 3β-galactosyltransferase catalysing
the formation of type 1 chains. J. Biol. Chem. 273:433-440, 1998;Hennet
t, T., Dinter, A., Kuhnert, P., Mattu, T.S., Rudd, P.M.およびBerger, E.G
. Genomic cloning and expression of three murine UDP-galactose: β-N-ace
tylglucosamine β1,3-galactosyltransferase genes. J. Biol. Chem. 273:58-
65, 1998)。β3Gal-T5は、N結合型コア構造を示すサッカリド誘導体、すなわ
ちβ-D-GlcNAc-(1-6)-α-Man-1-Me、二分枝ペンタサッカリドおよびβ-D-GlcNAc
-(1-2)-α-D-Manに対して低い活性を示した。特に顕著だったのは、β-D-GlcNAc
(1-3)-α-D-GalNAc-1-p-Nph(コア3-O結合型構造を示す)に対する高い相対活
性であった。コア3-およびコア2-O結合型構造物に対する数種のβ3-およびβ
4Gal-トランスフェラーゼの相対活性の比較を表IIに示す。
【0030】
【表2】
【0031】 β3Gal-T類のいずれもがコア2基質を利用せず、またβ3Gal-T5だけがコア3
基質のグリコシル化を触媒した。試験した2種のβ4Gal-T類は、コア3基質に対
してβ3Gal-T5よりも低い活性を示したが、直接の比較は不可能である。それに
もかかわらず、1型の鎖構造はコア3に見られるが(van Halbeek, H., Dorland
, L., Vliegenthart, J.F.G.,ら, Primary-structure determination of fourte
en neutral oligosaccharides derived from bronchial-mucus glycoproteins o
f patients suffering from cystic fibrosis, employing 500-MHz 1H-NMR spec
troscopy. Eur J Biochem 7-20, 1982)、本発明者らが最も良く知る限りでは、
コア2構造は常に2型鎖のN-アセチルアクトサミン鎖により伸長される。
【0032】 受容体糖タンパク質を用いたβ3Gal-T類の分析(表III)から、β3Gal-T5だけ
が、約10%のGlcNAc末端コア3-O結合型グリカンを有するウシ下顎ムチン(Mar
tensson, S., Levery, S.B., Fang, T.およびBendiak, B. Neutral core oligos
accharides of bovine submaxillary mucin. Use of lead tetraacetate in the
cold for establishing branch positions. Eur. J. Biochem. 258, 603-622,
1998)を利用することが示された。
【0033】
【表3】
【0034】 既に報告されており、そして本研究でも報告しているように、β3Gal-T2はN
結合型グリカンを有する糖タンパク質を利用したが、β3Gal-T1は受容体糖タン
パク質に対して全く活性を示さなかったかまたは非常に低い活性を示した(Amad
o, M., Almeida, R., Carneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosyltra
nsferases: characterisation of four members of a UDP-galactose β-N-acet
ylglucosamine/β-N-acetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase famil
y, J. Biol. Chem. 273:12770-12778, 1998)(表III)。糖タンパク質に対する
同様のそれぞれ異なる特異性がβ4Gal-トランスフェラーゼ間に見られ、その場
合、β4Gal-T1、-T2および-T3はN結合型糖タンパク質のグリコシル化を触媒す
るが、新規なメンバーであるβ4Gal-T4はこれらの基質に対して不活性であると
思われる(Schwientek, T., Almeida, R., Levery, S.B., Holmes, E., Bennett
, E.P.およびClausen, H. Cloning of a novel member of the UDP-galactose:
β-N-acetylglucosamine β1,4-galactosyltransferase family, β4Gal-T4, in
volved in glycosphingolipid biosynthesis. J. Biol Chem. 273:29295-29305,
1998)。
【0035】 ある糖脂質基質のパネルに対する触媒活性の分析から、β3Gal-T5が、タウロ
デオキシコレート中またはTriton CF-54中のいずれかにおいて、GlcNAcβ1-3Gal
β1-4Glcβ1-Cer(Lc3)に対して高い活性を有することが明らかになった(表IV
)。
【0036】
【表4】
【0037】 活性はnLc5に対しても見られたが、Lc3に対するよりもほぼ3倍低いものであ
り、また活性はTriton CF-54中では有意に低かった。興味深いことに、Gb4に対
してはかなりの活性が見られ、GlcCerおよびGg3への検出可能な取込みがあった
。Gb4を用いて形成される生成物を特性決定したところ、主として予想通りのGal
β1-3Gb4の構造を示すことが判明した。タウロデオキシコレート存在下でのLc3C
erに対するβ3Gal-T5の見かけのKmは約2μMであったが、基質阻害のために、こ
の結果は低濃度におけるデータ値にのみ基づくものであった。
【0038】 β3Gal-T5の受容体基質特異性および速度論的特性は、既に報告されているブ
タ気管のβ3Gal-トランスフェラーゼ活性(Sheares, B.T.およびCarlson, D.M.
Characterization of UDP-galactose: 2-acetamido-2-deoxy-D-glucose 3 beta-
galactosyltransferase from pig trachea. J. Biol. Chem. 258:9893-9898, 19
83)およびヒト結腸のβ3Gal-トランスフェラーゼ活性(Seko, A., Ohkura, T.,
Kitamura, H., Yonezawa, S., Sato, E.およびYamashita, K. Quantitative di
fferences in GlcNAc:beta1-->3 and GlcNAc:beta1-->4 galactosyltransferase
activities between human colonic adenocarcinomas and normal colonic muc
osa. Cancer Res 56:3468-3473, 1996)とほぼ同様であった。ブタおよびヒトの
β3Gal-トランスフェラーゼ活性は両者とも、βGlcNAcβ1-3Gal(GalNAc)受容体
基質を用いたUDP-Galに対する見かけのKmが200〜220μMであり、分泌型の組換え
β3Gal-T5は見かけのKmが169μMであった(表V)。
【0039】
【表5】
【0040】 供与体基質に対するこれらの比較的高いKmは、β3Gal-T1および-T2について報
告された値(それぞれ90および37μM)(Amado, M., Almeida, R., Carneiro, F
.,ら, A family of human β3-galactosyltransferases: characterisation of
four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-acetylgalact
osamine β1,3-Galactosyltransferase family, J. Biol. Chem. 273:12770-127
78, 1998)とは有意な差がある。興味深いことに、感染昆虫細胞のTriton CF-54
ホモジネート中で分析したβ3Gal-T5の全長コード構築物の活性は、該供与体基
質に対して33μMという低い見かけのKmを示した(示さず)。しかし、Shearesら
により分析された精製β3Gal-トランスフェラーゼの活性(Shears, B.T.,および
Carlson, D.M. Characterization of UDP-galactose:2-acetamido-2-deoxy-D-gl
ucose 3 beta-galactosyltransferase from pig trachea. J. Biol. Chem. 258:
9893-9898, 1983)は、アフィニティー精製したグリコシルトランスフェラーゼ
調製物の場合にしばしば見られる末端切断型のタンパク質分解により切断された
形態(Clausen, H., White, H., Takio, K.,ら, Isolation to homogeneity and
partial characterization of a histo-blood group A defined Fuc alpha 1--
--2Gal alpha 1----3-N-acetylgalactosaminyltransferase from human lung ti
ssue. J. Biol. Chem. 265:1139-1145, 1990)を示していると思われる。さらに
、Holmes(Holmes, E.H. Characterization and membrane organization of bet
a 1----3- and beta 1----4- galactosyltransferases from human colonic ade
nocarcinoma cell lines Cob 205 and SW403: basis for preferential synthes
is of type 1 chain lacto-series carbohydrate structures. Arch Biochem Bi
ophys 270:630-646, 1989)は、Colo205細胞由来の非精製β3Gal-Tの活性が、受
容体基質として糖脂質を用いた場合にUDP-Galに対して48μMという見かけのKmを
有することを報告した。この調製物は、トランスフェラーゼの完全形態および分
泌形態の双方を含み得る。β3Gal-T5の組換え体完全長形態は、試験した全ての
点において組換え体分泌形態と似ていた。ブタβ3Gal-トランスフェラーゼ活性
は、コア3に対して2.4mMという見かけのKmを有しており、β3Gal-T5は、コア3
に対して2.8mMという見かけのKmを示した。Holmes(Holmes, E.H. Characteriza
tion and membrane organization of beta 1----3- and beta 1----4- galactos
yltransferases from human colonic adenocarcinoma cell lines Cob 205 and
SW403: basis for preferential synthesis of type 1 chain lacto-series car
bohydrate structures. Arch Biochem Biophys 270:630-646, 1989)は、Colo20
5細胞由来のβ3Gal-T活性について、Lc3Cerに対するKmが13μMであることを報告
した。β3Gal-T5について同定した最良の基質は、β-D-GlcNAc(1-3)-D-β-Gal-1
-Me[見かけのKmは1.8mM(表V)]であった。これは、β-D-GlcNAc(1-3)-D-β-
Gal(1-4)-D-β-Glcに対するヒト結腸のβ3Gal-T活性についての2.9mMという見か
けのKm(Seko, A., Ohkura, T., Kitamura, H., Tonezawa, S., Sato, E.および
Yamashita, K. Quantitative differences in GlcNAc:beta1-->3 and GlcNAc:be
ta1-->4 galactosyltransferase activities between human colonic adenocarc
inomas and normal colonic mucosa. Cancer Res 56:3468-3473, 1996)とほぼ
同じである。β3Gal-T5は、試験した受容体基質を用いた場合に、UDP-Galに対し
て厳密な供与体基質特異性を示し、UDP-GalNAcまたはUDP-GlcNAcは利用しなかっ
た(データは示さず)。
【0041】 感染60時間後のSf9細胞内でβ3Gal-T5の全長コード構築物を発現させることに
より、実際上全てのβ3Gal-トランスフェラーゼ活性が細胞上に保持された(表V
I)。
【0042】
【表6】
【0043】 このことはまたβ3Gal-T1でも見られ(表VI)、同じことが他のβ3Gal-T類な
らびに幾つかのβ4Gal-T類およびポリペプチドGalNAc-トランスフェラーゼにつ
いても見られている(示さず)。これに対して、末端切断された分泌型構築物を
用いた場合、トランスフェクションの60時間後の培地には50%を越える酵素活性
が見られる。
【0044】5.5.β3Gal-T5によるコア3-p-NPhのグリコシル化により形成される生成物の1H-
および13C-NMR分光 GlcNAcβ1→3GalNAcα1→1pNpというβ3Gal-T5の反応から誘導される生成物を
NMR分光法により特性決定したところ、供与体の糖と受容体基質との間に適切な
結合が形成されていることが確認された。該生成物の1-D 1H-NMRスペクトル(図
4)と該基質のスペクトル(図示せず)との比較から、β-配置で結合した糖残
基に由来するもう1つのH-1共鳴(4.467ppm)が明らかに示された(3J1.2=7〜
9Hz)。これに伴って、その残基のグリコシル化の際に予想される通り、β-Glc
NAc H-1共鳴の4.719ppmへの低磁場シフト(downfield shift)(Δδ0.065)が
起こった。しかし、この新たに付加された残基の正体および結合位置を決定する
のには、アノマー化学シフトの判定基準だけでは不十分である。その理由は、本
発明者らが、コア3基質または予想されるGalβ3 コア3生成物のいずれのパラ-
ニトロフェニルグリコシドについてもNMRデータを文献にも複合糖質NMRデータベ
ースにも見つけることができなかったこと、およびパラニトロフェニル基の実質
的な異方性作用が、化学シフトデータとベンジルグリコシドのデータとの直接の
比較を要しないことにある(Pollex-Kruger, A., Meyer, B., Stuike-Pill, R.,
Sinnwell, V., Matta, K.L.およびBrockhausen, I. Preferred conformations
and dynamics of five core structures of mucin type O-glycans determined
by NMR spectroscopy and force field calculations. Glycoconjugate J 10:36
5-380, 1993)。
【0045】
【表7】
【0046】 結合定数のデータの分析から、付加残基がβ-Gal(3J3,4<1.5Hz)であること
が確認された。1→3結合は、次の判定基準により確認した:(i) コア3プロト
ンの中で最も大きなグリコシル化誘導化学シフトの変化がβ-GlcNAc H-3につい
て見られた(Δδ=0.270);(ii)これと一致して、該生成物の1H-1H ROESYスペ
クトル(示さず)においては、β-Gal H-1から観測される最も強い回転フレーム
(rotating frame)オーバーハウザー増大はβ-GlcNAc H-3に対するものであった
;(iii)C-2には可能性のあるグリコシル化部位がないので、β-Gal H-1から生じ
る残基間の他の相互関係は見られず、該生成物におけるβ-GlcNAc H-2およびH-3
の近縮退(near degeneracy)によるROESYスペクトルの解釈には曖昧さが生じない
;(iv)該基質と生成物との13Cスペクトルデータの比較により、グリコシル化に
より引き起こされる唯一の有意な低磁場シフトが、β-GlcNAc C-3について示さ
れた(Δδ8.69)。13Cシフト変化の大きさは、本質的に、その位置におけるグ
リコシル化に特徴的である。
【0047】 Gb4を用いて形成された生成物を1-D 1H-NMR分光法により特性決定した(示さ
ず)。2つ以上の成分が検出されたが、主要成分について5つのアノマー共鳴が
はっきりと観察され、化学シフトおよび3J1,2結合定数はGalβ1→3Gb4について
先に得られた値(Kannagi, R., Levery, S.B., Ishigami, F.ら, New globoside
s glycosphingolipids in human teratocarcinoma reactive with the monoclon
al antibody directed to a developmentally regulated antigen, stage-speci
fic embryonic antigen 3. J. Biol. Chem. 258:8934-8942, 1983)と実質的に
同じであった。これらは、Galβ1→3Gb4系列のGalα4、GalNAcβ3、Galβ4、Gal
β3およびGlcβ1のH-1にそれぞれ対応して、4.810ppm(3J1,2=3.6Hz)、4.620p
pm(3J1,2=8.7Hz)、4.267ppm(3J1,2=7.4Hz)、4.198ppm(3J1,2=7.9Hz)お
よび4.173ppm(3J1,2=7.9Hz)であった。該生成物においては、幾つかの未反応
Gb4に由来するアノマー共鳴もまた検出された。分取HPTLCにより分離可能な第3
の副次成分の正体は現在のところ調査中である。
【0048】5.6.β3Gal-T5のノーザン分析 Clontech社製の複数組織ノーザン(MTN)ブロットのノーザン分析では、幾つ
かの試みにおいてシグナルを得ることができなかった。配列分析から、第1の上
流ポリアデニル化共通シグナルの知見に基づいて、転写産物が10キロベース(kb
)を超える可能性があることが示唆された。したがって、市販のブロットでシグ
ナルが存在しないことは、大きなmRNAほど転写されにくいことから説明できるで
あろう。ブロットは、ヒト癌細胞系からの全RNAを用いて調製し、長いmRNA種の
効率的な転写を確実にするように注意を払った。これにより、3種の細胞系AsPC
-1、HPAF、Suit2およびS2-013について、12kb以上のところにハイブリダイズバ
ンドが得られた。興味深いことに、β3Gal-T5のコード領域に対して同定された
1つのESTを除いて、約10kbの領域の3’UTRのいかなる部分から得られるESTもES
Tデータベースには含まれていない。この時点で、何故この平均質量のタンパク
質が12kbのmRNA転写産物によりコードされるのかは不明である。
【0049】5.7. β3Gal-T5に対するDNA、ベクターおよび宿主細胞 本発明の実施においては、分子生物学、微生物学、組換えDNAおよび免疫学に
おける多くの慣用の技法が用いられる。そのような技法は周知であり、例えばSa
mbrookら, 1989, Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spri
ng Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York;DNA Cloning: A
Practical Approach, 第IおよびII巻, 1985 (D.N. Glover編);Oligonucleotid
e Synthesis, 1984, (M.L. Gait編);Nucleic Acid Hybridization, 1985, (Ham
esおよびHiggins);Transcription and Translation, 1984 (HamesおよびHiggin
s編);Animal Cell Culture, 1986 (R.I. Freshney編);Immobilized Cells and
Enzymes, 1986 (IRL Press);Perbal, 1984, A Practical Guide to Molecular
Cloning; the series, Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);Gene
Transfer Vectors for Mammalian Cells, 1987 (J. H. MillerおよびM.P. Carl
os編, Cold Spring Harbor Laboratory);Methods in Enzymology 第154巻およ
び第155巻(それぞれWuおよびGrossman,ならびにWu編);Immunochemical Methods
in Cell and Molecular Biology, 1987 (MayerおよびWaler編; Academic Press
, London);Scopes, 1987, Protein Purification: Principles and Practice,
第2版(Springer-Verlag, N.Y.)およびHandbook of Experimental Immunology, 1
986, 第I〜IV巻(WeirおよびBlackwell編);Ausubelら編, the Current Protocol
s in Molecular Biology series of laboratory technique manuals中, (著作
権)1987-1997 Current Protocols, (著作権)1994-1997 John Wiley and Sons
, Inc.);およびDyson, N.J., 1991, Immobilization of nucleic acids and h
ybridization analysis, Essential Molecular Biology中:A Practical Approac
h, 第2巻, T.A. Brown編, 111〜156頁, IRL Press at Oxford University Press
, Oxford, U.K.(それらの各々は引用によりその全体を本明細書に組み入れる)
に十分に説明されている。
【0050】 本発明は、図1に示すような本明細書に開示した核酸配列の全部または部分を
含む、単離された核酸断片を包含する。該断片は、長さが少なくとも約8ヌクレ
オチド、好ましくは長さが少なくとも約12ヌクレオチド、好ましくは長さが少な
くとも約15〜20ヌクレオチドである。さらに、そのような断片は、長さが少なく
とも約50、100、200、500、1000、2000、5000または10,000ヌクレオチドであっ
てもよい。本発明はさらに、2×SSC、55℃のストリンジェンシー条件下で図1
に示す配列にハイブリダイズし得る配列を含む、単離された核酸を包含する。好
ましくは、該核酸は、2×SSC、65℃でハイブリダイズし得るものであり、最も
好ましくは0.5×SSC、65℃でハイブリダイズし得るものである。
【0051】 該核酸は細胞から直接単離されてもよい。あるいはまた、ポリメラーゼ連鎖反
応(PCR)法を用いて、化学的に合成された鎖もしくはゲノム材料のいずれかを
鋳型として用いて、本発明の核酸を作製してもよい。PCRに用いるプライマーは
、本明細書において提供される配列情報を用いて合成でき、所望により、さらに
、適当な新たな制限部位を導入して組換え発現のための所与のベクターへの取込
みを容易にするように設計できる。
【0052】 本発明の核酸は、天然のヒト調節配列が隣接しているものでもよいし、または
プロモーター、エンハンサー、応答エレメント、シグナル配列、ポリアデニル化
配列、イントロン、5’-または3’-非コード領域などを含む異種配列と結合させ
てもよい。該核酸はまた、当業界で公知の多くの手段により改変されてもよい。
そのような改変の非限定的な例としては、メチル化、「キャップ」、類似体によ
る天然に存在するヌクレオチドの1つ以上の置換、例えば非荷電結合(例えば、
メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバマート
など)や荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)
によるヌクレオチド間の修飾が挙げられる。核酸は、1つ以上の追加の共有結合
成分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチ
ド、ポリ-L-リシンなど)、インターカレート剤(例えば、アクリジン、ソラレ
ンなど)、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、鉄、酸化性金属など)、
およびアルキル化剤、を含み得る。該核酸は、メチルもしくはエチルホスホトリ
エステルまたはアルキルホスホラニリデート結合(alkyl phosphoranlidate lin
kage)の形成により誘導体化されてもよい。さらに、本発明の核酸配列はまた、
検出可能なシグナルを与えることができる標識により、直接的または間接的に改
変されてもよい。代表的な標識としては、放射性同位元素、蛍光分子、ビオチン
などが挙げられる。
【0053】 本発明によれば、有用なプローブは、図1に示す配列またはその配列が保存さ
れている変異体もしくは機能的に保存されている変異体あるいはそれらの相補体
のうちの配列の全体もしくは部分からなり、かつ上記のようにして標識されてい
る、長さが少なくとも8ヌクレオチドのプローブ配列を含む。
【0054】 本発明はまた、開示されている配列もしくその誘導体またはそれらの断片を含
む核酸ベクターを提供する。種々の真核性および原核性宿主における複製および
/または発現のために、プラスミドおよび真菌ベクターを含む多数のベクターが
記載されており、それらを遺伝子治療ならびに単にクローニングまたはタンパク
質発現のために用い得る。
【0055】 組換えクローニングベクターは、クローニングもしくは発現のための1つ以上
の複製系、宿主内での選択のための1つ以上のマーカー(例えば抗生物質耐性)
、および1つ以上の発現カセットを含むことが多い。挿入されるコード配列は、
標準的な方法により合成してもよいし、天然の供給源から単離してもよいし、あ
るいはハイブリッドとして調製するなどしてもよい。該コード領域の、転写調節
エレメントおよび/または他のアミノ酸コード配列への連結は、公知の方法によ
り達成できる。適当な宿主細胞を、エレクトロポレーション、CaCl2媒介DNA取込
み、真菌感染、マイクロインジェクション、マイクロプロジェクタイル(microin
jectile)または他の確立された方法を含む任意の適当な方法により適宜に形質転
換/トランスフェクト/感染させればよい。
【0056】 適切な宿主細胞としては、細菌、古細菌、菌類(特に酵母)、ならびに植物お
よび動物細胞(特に哺乳動物細胞)が挙げられる。特に興味深いものはサッカロ
ミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ポンベ(Sac
charomyces pombi)、SF9細胞、C129細胞、293細胞、アカパンカビ(Neurospora)
、ならびにCHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、ならびに不死化哺乳動物骨髄性および
リンパ系細胞系が挙げられる。好ましい複製系としては、M13、ColE1、SV40、バ
キュロウイルス、ラムダ、アデノウイルス、などが挙げられる。多数の転写開始
および終結調節領域が単離されており、種々の宿主内での異種タンパク質の転写
および翻訳に有効であることが示されている。これらの領域、単離の方法、操作
の仕方などの例は当業界で公知である。適切な発現条件下で、宿主細胞は、組換
えにより作製されるβ3Gal-T5由来ペプチドおよびポリペプチドの供給源として
用いることができる。
【0057】 有利なことに、ベクターはまた、β3Gal-T5コード部分に機能し得るように連
結された転写調節エレメント(すなわち、プロモーター)も含み得る。そのプロモ
ーターは、場合により、オペレーター部分および/またはリボゾーム結合部位を
含んでもよい。大腸菌と適合し得る細菌性プロモーターの非限定的な例としては
、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)プロモーター;ラクトースプロモーター
;トリプトファン(trp)プロモーター;アラビノースBADオペロンプロモーター
;ラムダ由来のP1プロモーターおよびN遺伝子リボゾーム結合部位;ならびにtr
pおよびlac UV5プロモーターの配列から誘導されるハイブリッドtacプロモータ
ーが挙げられる。酵母プロモーターの非限定的な例としては、3-ホスホグリセレ
ートキナーゼプロモーター、グリセルアルデヒド-3ホスフェートデヒドロゲナー
ゼ(GAPDH)プロモーター、ガラクトキナーゼ(GAL1)プロモーター、ガラクト
エピメラーゼプロモーター、およびアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)プロモ
ーターが挙げられる。哺乳動物細胞に好適なプロモーターとしては、サルウイル
ス40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(ADV)およびウシ
パピローマウイルス(BPV)に由来のものなどのウイルスプロモーターが挙げら
れるが、それらに限定されない。哺乳動物細胞はまた、ターミネーター配列およ
びポリA付加配列を必要とすることがあり、発現を増大させるエンハンサー配列
も含まれてもよい。該遺伝子の増幅を引き起こす配列も望ましいものであり得る
。さらに、例えば細菌、酵母および動物細胞(しかしそれらに限定されない)の
細胞からの組換え産物の分泌を促進する配列、例えば分泌シグナル配列および/
またはプロホルモンpro領域配列、も含まれ得る。これらの配列は当業界では公
知である。
【0058】 野性型または変異型のポリペプチドをコードする核酸はまた、組換え事象によ
り細胞に導入することができる。例えば、そのような配列を細胞に導入し、それ
により内因性遺伝子または該遺伝子に対して実質的な同一性を有する配列の該部
位における相同組換えを起こすことができる。非相同組換え、または相同組換え
による内因性遺伝子の欠失などの、他の組換えに基づく方法を用いてもよい。
【0059】 本発明の核酸には、例えば近縁な生物の検出のためのプローブとしての使用、
およびペプチドまたはポリペプチドの組換え生産の鋳型としての使用が考えられ
る。本発明のこれらの、および他の実施形態を以下により詳細に説明する。
【0060】5.8.β3Gal-T5のポリペプチド 本発明は、開示する核酸配列によりコードされる単離されたペプチド(一般に
50個未満のアミノ酸残基を有するポリペプチドとして定義される)およびポリペ
プチドを包含する。ペプチドは、好ましくは長さが少なくとも5残基である。ペ
プチドまたはポリペプチドは、長さが、例えば6、10、15、30、50、100、200ま
たは300残基でありうる。
【0061】 タンパク質をコードする配列を含む核酸は、完全な細胞または無細胞翻訳系に
おけるポリペプチドの組換え発現を導くために用いることができる。既知の遺伝
暗号(所与の宿主生物体内でのより効率的な発現が望まれる場合にはそれに合わ
せて特化されたもの)を用いて、所望のアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレ
オチドを合成することができる。そのような合成には、Matteucciら, 1981, J.
Am. Chem. Soc. 103:3185のホスホルアミダイト固相支持法、Yooら, 1989, J. B
id. Chem. 764:17078の方法、または他の周知の方法を用いることができる。こ
うして得られたオリゴヌクレオチドを、適当なベクターに挿入し、適合する宿主
生物体内で発現させることができる。
【0062】 開示されている配列の機能的に保存されている変異体を含む本発明のポリペプ
チドは、タンパク質をコードする配列が導入されて発現されている天然のまたは
異種の生物体もしくは細胞(例えば細菌、真菌、昆虫、植物および哺乳動物の細
胞が挙げられるが、それらに限定されない)から単離してもよい。さらに、該ポ
リペプチドは、組換え融合タンパク質の一部であってもよい。
【0063】 ポリペプチドの精製方法は当技術分野では周知であり、分取ディスク-ゲル電
気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換および分配ク
ロマトグラフィー、ならびに向流分配法が挙げられるが、それらに限定されない
。目的によっては、該ポリペプチドを組換え系で産生することが好ましく、その
場合、該タンパク質は、ポリヒスチジン配列のような(しかしそれに限定されな
い)精製を容易にするもう1つの配列タグを含む。次に、該ポリペプチドを、適
当な固相マトリックスでのクロマトグラフィーにより該宿主細胞の粗溶解物から
精製すればよい。あるいはまた、タンパク質またはそれから誘導されるペプチド
に対して作製した抗体を精製試薬として用いてもよい。他の精製方法も可能であ
る。
【0064】 本発明はまた、ポリペプチドの誘導体および相同体も包含する。目的によって
は、該ペプチドをコードする核酸配列を、機能的に同等である分子(すなわち、
機能的に保存されている変異体)をもたらす置換、付加または欠失により改変す
ることができる。例えば、該配列中の1個以上のアミノ酸残基を同様の特性を有
する他のアミノ酸、例えば、正に荷電したアミノ酸(アルギニン、リシンおよび
ヒスチジン);負に荷電したアミノ酸(アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩
);極性が中性であるアミノ酸;および非極性アミノ酸、で置換可能である。
【0065】 該単離されたポリペプチドは、例えば、リン酸化、硫酸化、アクリル化または
他のタンパク質修飾により修飾されてもよい。またそれらを、放射性同位元素お
よび蛍光化合物などの(しかしそれらに限定されない)検出可能なシグナルを付
与する標識で直接的または間接的に修飾してもよい。
【0066】5.9.β3Gal-T5の抗体 本発明は、β3Gal-T5から誘導される免疫原性化合物を特異的に認識する種々
の抗体を包含する。そのような抗体は、例えばβ3Gal-T5の検出および精製のた
めの試薬として用いうる。
【0067】 本発明のβ3Gal-T5特異的抗体としては、ポリクローナル、モノクローナルお
よびヒト化抗体、ならびにそれらの断片および誘導体が含まれる。本発明の抗体
は、動物宿主内でβ3Gal-T5成分による免疫化により誘起させてもよく、または
免疫細胞のin vitro免疫化により生成してもよい。該抗体を誘起するのに用いら
れる免疫原性化合物は、ヒト細胞から単離してもよく、または組換え系において
作製してもよい。該抗体はまた、適当な抗体コードDNAを用いてプログラムされ
た組換え系において作製することもできる。あるいはまた、抗体は、精製した重
鎖および軽鎖の生化学的再編成により構築することも可能である。本発明の抗体
には、ハイブリッド抗体(すなわち、各々が異なる抗原を認識する2組の重鎖/
軽鎖の組合せを含むもの)、キメラ抗体(すなわち、重鎖、軽鎖またはその両者
が融合タンパク質であるもの)、および1価の抗体(すなわち、第2の重鎖の定
常領域に結合した重鎖/軽鎖複合体からなるもの)が含まれる。また、抗体のFa
b’およびF(ab)’フラグメントを含むFabフラグメント、一本鎖抗体、抗-イディ
オタイプ(抗Id)抗体、およびエピトープ結合抗体フラグメントも含まれる。上
記抗体および誘導体の全タイプの作製方法は当技術分野で周知である。例えば、
ポリクローナル抗血清を作製および処理するための技法はMayerおよびWalker, 1
987, Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology, (Academic Pre
ss, London)に開示されている。本発明のポリクローナル、モノクローナル、キ
メラおよびヒト化抗体についてのさらなる説明を下記に述べる。
【0068】 本発明のポリクローナル抗体は、免疫した動物の血清に由来する抗体分子の異
種混成集団である。当技術分野で周知の種々の手法がβ3Gal-T5に対するポリク
ローナル抗体およびそのフラグメントの作製に用いうる。ポリクローナル抗体の
作製の場合、種々の宿主動物をβ3Gal-T5またはそのフラグメントもしくは誘導
体を注射することにより免疫すればよく、宿主動物には、例えばウサギ、マウス
、ラットなどが挙げられるがそれらに限定されない。宿主の種に応じて種々のア
ジュバントを用いて、免疫学的応答を増大させることができ、例えばフロイント
(完全および不完全)、鉱物ゲル(例えば水酸化アルミニウム)、表面活性物質
(例えばリゾレシチン)、ポリアニオン、ペプチド、油乳化剤、キーホルリンペ
ットヘモシアニン、ジニトロフェノール、ならびに有用である可能性のあるヒト
・アジュバント(例えばBCG(bacille Calmette-Guerin)およびコリネバクテリ
ウム・パルバム(corynebacterium parvum))が挙げられるが、それらに限定され
ない。そのようなアジュバントもまた、当技術分野では周知である。
【0069】 本発明のモノクローナル抗体は、特定の抗原に対する抗体の均質な集団である
。β3Gal-T5またはそのフラグメントもしくはその誘導体に対するモノクローナ
ル抗体(mAb)は、培養下の継続的細胞系により抗体分子が作製できる当技術分
野で公知の任意の技法を用いることにより調製できる。これらには、最初にKohl
erおよびMilstein(1975, Nature 256, 495-497)により公開されたハイブリド
ーマ法、そしてより最近のヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kozborら, 1983, Immu
nology Today 4, 72)およびEBV-ハイブリドーマ法(Coleら, 1985、Moloclonal
Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁)が挙げられ
るが、それらに限定されない。そのような抗体は、IgM、IgE、IgA、IgD、IgG、
およびそれらの任意のサブクラスを含む、どの免疫グロブリンクラスのものであ
ってもよい。本発明で用いられるmAbを産生するハイブリドーマは、in vitroで
もin vivoでも培養できる。
【0070】 本発明のモノクローナル抗体としては、ヒトモノクローナル抗体が挙げられる
が、それに限定されない。ヒトモノクローナル抗体は、当技術分野で公知の多く
の方法のいずれかにより作製できる(例えば、Tengら, 1983, Proc. Nat’l. Ac
ad. Sci. U.S.A. 80, 7308-7312;Kozborら, 1983, Immunology Today 4, 72-79
;Olssonら, 1982, Meth. Enzymol. 92, 3-16)。
【0071】 本発明は、β3Gal-T5またはそのフラグメントもしくは誘導体に特異的なキメ
ラ抗体を提供する。キメラ抗体は、それぞれの部分が異なる動物種に由来する分
子であり、例えば、マウスmAb由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域と
を有するものなどが挙げられる。種々の技法(例えば、Morrisonら, 1984, Proc
. Nat’l Acad. Sci. U.S.A. 81, 6851-6855;Neubergerら, 1984, Nature, 312
, 604-608;Takedaら, 1985, Nature, 314, 452-454を参照)を利用して、その
ようなキメラ抗体を、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子を
適切な生物学的活性を有するヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングす
ることにより作製できる。
【0072】 本発明は、β3Gal-T5またはそのフラグメントもしくは誘導体に特異的なヒト
化抗体を提供する。簡単に説明すると、ヒト化抗体は、ヒト以外の種に由来する
1つ以上の相補性決定領域(CDR)とヒト免疫グロブリン分子に由来するフレーム
ワーク領域とを有する、ヒト以外の種由来の抗体分子である。ヒト化抗体の作製
のために種々の技法が開発されてきた(例えば、Queen, 米国特許第5,585,089号
を参照;これは引用によりその全体を本明細書に組み入れる)。免疫グロブリン
の軽鎖または重鎖の可変領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの超可
変領域によって分断されている「フレームワーク」領域からなる。フレームワー
ク領域およびCDRの範囲は、正確に定められている(Kabatら, 1983, Sequences
of proteins of immunological interest, U.S. Department of Health and Hum
an Serviceを参照)。
【0073】 さらに、一本鎖抗体の作製のために記載された技法(米国特許第4,946,778号
;Bird, 1988, Science 242, 423-426;Hustonら, 1988, Proc. Nat’l Acad. S
ci. U.S.A. 85, 5879-5883;およびWardら, 1989, Nature 334, 544-546)を、
β3Gal-T5またはそのフラグメントもしくは誘導体に特異的な一本鎖抗体を作製
するために適用できる。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグ
メントとをアミノ酸結合により共に連結して、一本鎖ポリペプチドを得ることに
より形成される。
【0074】 β3Gal-T5またはそのフラグメントもしくは誘導体の特定のエピトープを認識
する抗体フラグメントが、公知の技法により作製できる。例えば、そのようなフ
ラグメントとしては:該抗体分子のペプシン消化により生成されるF(ab’)2フラ
グメント、および該F(ab’)2フラグメントのジスルフィド結合を還元することに
より生成されるFabフラグメントが挙げられるが、それらに限定されない。ある
いはまた、Fab発現ライブラリーを構築して(Huseら, 1989, Science, 246, 127
5-1281)、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容
易な同定を可能にすることができる。
【0075】 さらに、一般的な抗体の作製および使用の方法が、本発明の抗体に適応する。
例えば、HarlowおよびLane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manural, Cold S
pring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York(これは引用
によりその全体を本明細書に組み入れる)を参照されたい。
【0076】 本発明の抗体は、標準的な方法により精製でき、例えば、分取ディスク-ゲル
電気泳動、等電点電気泳動、HPLC、逆相HPLC、ゲル濾過、イオン交換および分配
クロマトグラフィー、ならびに向流分配法が挙げられるが、それらに限定されな
い。抗体の精製方法は、例えばThe Art of Antibody Purification, 1989, Amic
on Division, W.R. Grace & Co.に開示されている。一般的なタンパク質精製方
法はProtein Purification: Principles and Practice, R.K. Scopes, 編, 1987
, Springer-Verlag, New York, New Yorkに記載されている。
【0077】 抗-β3Gal-T5抗体(標識されていなくても、標準的方法により標識されていて
もよい)は、イムノアッセイの基礎成分として用いることができる。用いられる
特定の標識は、用いるイムノアッセイの種類に応じて決まる。用いられる標識の
例としては、放射性同位元素(例えば32P、125I、3Hおよび14C);蛍光標識
(例えば、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダ
ンシルならびにウンベリフェロン);化学発光物質(例えば、ルシフェリン(luc
iferia)、および2,3-ジヒドロフタール-アジンジオン(dihydrophthal-azinedion
e));ならびに酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファ
ターゼ、リゾチームおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ)が挙げられ
るが、それらに限定されない。
【0078】 該抗体は、公知の方法により上記のような標識でタグを付加できる。例えば、
アルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド、イミデート、スクシンイミド、ビ
スジアゾ化ベンザジンなどのカップリング剤を用いて、該抗体を蛍光標識、化学
発光標識または酵素標識でタグを付加してもよい。含まれる概略的方法は当技術
分野では周知であり、例えばChan(編), 1987, Immunoasscry: A Practical Gu
ide, Academic Press, Inc., Orlando, FLに記載されている。
【0079】 本明細書中に記載し権利請求する発明は、当業者であれば以下の実施例を参照
することによりさらに理解できる。これらの実施例は、単に本発明の幾つかの態
様を説明するために提供されるものであり、いかなる点においても本発明を限定
しようとするものではない。
【0080】6.実施例 ESTデータベースのBLAST分析を用いて、既に報告されている4種のメンバー(
Amado, M., Almeida, R., Carneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosy
ltransferases: characterisation of four members of a UDP-galactose β-N-
acetylglucosamine/β-N-acetylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase f
amily, J. Biol. Chem. 273:12770-12778, 1998)を含む、合計10種のβ3Gal-T5
遺伝子ファミリーの候補のヒトの相同性のあるメンバーを同定した。最初の4種
のメンバーの配列類似性の分析により、システイン残基の保存、保存されている
モチーフの間隔および疎水性親水性プロフィールを含む、コードされる酵素の機
能の指標となる特徴を明らかにした(Amado, M., Almeida, R., Carneiro, F.,
ら, A family of human β3-galactosyltransferases: characterisation of fo
ur members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-acetylgalactos
amine β1,3-Galactosyltransferase family, J. Biol. Chem. 273:12770-12778
, 1998)。この点では、β3Gal-T4はβ3Gal-T1、-T2および-T3と有意に異なり、
この酵素の機能は、受容体サッカリドが神経節系の糖脂質中のβGalNAcである点
で異なっていた(Miyaki, H., Fukumoto, S., Okada, M., Hasegawa, T.およびF
urukawa, K. Expression cloning of rat cDNA encoding UDP-galactose G(D2)
β1,3 galactosyltransferase that determines the expression of G(D1b)/G(M
1)G(A1). J. Biol. Chem. 272:24794-24799, 1997;Amado, M., Almeida, R., C
arneiro, F.,ら, A family of human β3-galactosyltransferases: characteri
sation of four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-ac
etylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family, J. Biol. Chem. 273
:12770-12778, 1998)。
【0081】 Galβ1-3GlcNAc結合を形成するβ3Gal-Tをコードする新しい遺伝子を呈示する
、ESTクローン(GenBank寄託番号AJ003597)に由来する配列を予測した。
【0082】 ここに、β3Gal-T5と命名した、かかる遺伝子のクローニングおよび発現につい
て記載し、コードされる酵素がすでにクローニングされていたβ3Gal-Tよりも優
れた速度論的特性を有することを実証することを報告する。β3Gal-T5は、上皮
で認められるβ3Gal-T活性における候補である。
【0083】6.1.β3Gal-T5の同定およびクローニング BLASTnおよびtBLASTnをヒトβ3Gal-T2のコード配列と共に用いて、既に記載(
Almeida, R., Amado, M., David, L.,ら, A Family of Human β3-Galactosyltr
ansferases: Cloning and expression of two novel UDP-FalactOSe β-N-Acety
lglucosaflhine β1,4-Galactosyltransferases, β4Gal-T2 and β4Gal-T3. J.
Biol. Chem. 272:31979-31992, 1997)のようにして、National Centre for Bi
otechnology Information(NCBI、USA)でdbESTデータベースを検索した。推定
の新規なβ3Gal-T遺伝子に該当するものとして1つのEST(GenBank寄託番号AJ00
3597)を同定した。ヒトβ3Gal-T遺伝子ファミリーの全ての他のクローニングし
たメンバーのコード領域は1つのエキソン中にコードされていることがわかった
ので、このEST配列情報を用いて、P1ゲノムライブラリーのPCRスクリーニングの
ためのプライマーを設計した。ヒト包皮P1ライブラリー(DuPont Merck Pharmac
eutical Company Human Foreskin Fibroblast P1 Library)を、EBER1301(5’-
CTTCCTTAAGCTCCCAGATAC3’)(配列番号1)およびEBER1302(5’-GTTTCCGCTGCA
CTGCTGGTG3’)(配列番号2)のプライマー対を用いてスクリーニングした。β
3Gal-T5の1つのP1クローン(DMPC-HFF#1-1195h3)およびP1ファージ由来のDNA
はGenome Systems Inc.から入手した。このP1 DNAの配列決定から、II型のドメ
イン構造を有する推定タンパク質をコードする933bpのオープンリーディングフ
レームが明らかになった(図1)。β3Gal-T5の全コード配列は、自動配列決定
装置(ABI377、Perkin Elmer)を用いて色素ターミネーター化学(dye terminat
or chemistry)法により全て配列決定した。ESTクローンAJ003597は、第21染色
体ライブラリーに由来しており、したがってβ3Gal-T5の全配列を含む165キロベ
ース対のPAC配列を21 q22.3(GenBank受入れ番号AF064860)に連結した。このES
T配列は、正しいオリゴ-dTプライミングに由来するとは考えられず、ゲノムPAC
配列の分析からは、第1の下流共通ポリアデニル化シグナル(AATAAA)が最初の
開始コドンから9568bpであることが示された。推定3’UTR配列は、リピートおよ
び潜在的な短いコード領域を含んでいたが、そのコード領域のいずれもが既知の
遺伝子に対する類似性を示さなかった。この3’UTR由来のESTはGenBankデータベ
ースに寄託されていない。第2の共通ポリアデニル化シグナルは最初の下流共通
ポリアデニル化シグナルの2991bp下流に見られ、この部位から数個の3’ESTが同
定され、マッピングしたが(STS-N41029)、既知の遺伝子に対して類似性を有す
るタンパク質をコードする配列はこの領域からアサインされていない。
【0084】 該EST配列(AJ003597)は長さが338ヌクレオチドである。AJ003597のヌクレオ
チド1〜312は、β3Gal-T5のコード領域(図1)のヌクレオチド38〜349の相補
体(配列番号8のヌクレオチド116〜427)をコードする。
【0085】6.2.β3Gal-T5の発現 以下は、昆虫細胞におけるβ3Gal-T5の発現およびCHO細胞における全長または
部分長(可溶性)遺伝子産物の実施例である。
【0086】6.2.1.昆虫細胞におけるβ3Gal-T5の発現 疎水性膜貫通セグメントを除外し、かつアミノ酸残基25〜310をコードするよ
うに設計された発現構築物(pAcGP67-β3Gal-T5-sol)を、PCRにより、P1ゲノム
DNAならびにEBER1300sol(5’-ATGTACAGTCTAAATCCTTTC)(配列番号3)およびE
BER1310(5’-TCAGACAGGCGGACAATCTTC)(配列番号4)(図1)の、BamHI制限
部位を含むプライマー対を用いて調製した。PCR産物をpAcGP67B(Pharmingen)
のBamHI部位にクローニングした。全コード配列(図1の最初のATGから)をコー
ドするように設計された発現構築物(pVL-β3Gal-T5-full)を、PCRにより、P1
ゲノムDNAを用いて、EBER1309(5’-ATGGCTTCCCGAAGATGAG)(配列番号5)およ
びEBER1310のプライマー対を用いて調製した。このPCR産物をpVL1193(Pharming
en)のBamHI部位にクローニングした。可溶性構築物および全長構築物の両方を
全て配列決定して、配列の忠実さを確認した。プラスミドpAcGP67-β3GalT5-sol
およびpVL-β3Gal-T5-fullをBaculo-GoldTM DNA(Pharmingen)を用いて、既に
記載(Bennett, E.P., Hassan, H.およびClausen, H. cDNA cloning and expres
sion of a novel human UDP-N-acetyl-alpha-D-galactosamine. Polypeptide N-
acetyl-galactosaminyl-transferase, GaINAc-T3. J. Biol. Chem. 271:17006-1
7012, 1996)のようにして同時トランスフェクトした。血清含有培地で増殖させ
たSf9細胞内で2回連続して増幅させた後に組換えバキュロウイルスを得て、酵
素活性をモニターしながら24ウェルプレートで滴定することによりウイルスの力
価を評価した。対照は、pAcGP67-β3Gal-T1(Amado, M., Almeida, R., Carneir
o, F.,ら, 1998, A family of human β3-galactosyltransferases: characteri
sation of four members of a UDP-galactose β-N-acetylglucosamine/β-N-ac
etylgalactosamine β1,3-Galactosyltransferase family, J. Biol. Chem. 273
:12770-12778, 1998)、pAcGP67-β3Gal-T2(同上)、pAcGP67-β4Gal-T2(Alme
ida, R., Amado, M., David, L.,ら, A family of Human β4-galactosyltransf
erases: Cloning and expression of two novel UDP-Galactose β-N-Acetylglu
cosamine β1,4-Galactosyltransferases, β4Gal-T2 andβ4Gal-T3. J. Biol.
Chem. 272:31979-31992, 1997)、pAcGP67-β4Gal-T3(同上)、およびpAcGP67-
GalNAc-T3-sol(Bennett, E.P., Hassan, H.およびClausen, H. cDNA cloning a
nd expression of a novel human UDP-N-acetyl-alpha-D-galactosamine. Polyp
eptide N-acetyl-galactosaminyl-transferase, GaINAc-T3. J. Biol. Chem. 27
1:17006-17012, 1996)を含むものとした。大規模発現用に、増幅したウイルス
を用いてHigh FiveTM 細胞(Invitrogen)に感染させ、直立型ローラボトル内で
、27℃で140rpmで振盪させながら、無血清培地中で増殖させた。
【0087】 該酵素の部分精製した分泌形態を用いて速度論的特性を調べた。感染させたHi
gh-FiveTM細胞の無血清培地からの酵素の部分精製は、既に記載(Wandall, H.H.
, Hassen, H., Mirgorodskaya, E.,ら, Substrate specificites of three memb
ers of the human UDP-N-acetyl-alpha-D-galactosamine: Polypeptide Nacetyl
galactosaminyltransferase family, GalNAc-T1, -T2, and -T3. J. Biol. Chem
. 272:23503-23514, 1997)のように、逐次的にAmberlite、DEAE-Sephacelおよ
び5-Sepharoseクロマトグラフィーを行い実施した。酵素の比較は、βGlcNAc-Bz
lについて得られる活性(表IIおよびIII)に比較して行った。全長酵素は、洗浄
した細胞の1% Triton CF54ホモジネート物を用いてアッセイした。酵素アッセ
イは、25mM カコジル酸(pH 7.5)、10mM MnCl2、0.25% Triton X-100、100μM
UDP-[14C]-Gal(2,600cpm/nmol)(Amersham)を含有する全量50μlの反応混合
物中で、受容体基質(Sigma)の濃度を様々に変えて行った(基質については表
Iを参照)。反応生成物を、Dowex-1クロマトグラフィーにより定量した。糖タ
ンパク質を用いたアッセイは、150μM UDP-Gal、54mM NaClおよび0.5mgオボアル
ブミン、アシアロ-アガラクト-フェツイン(asialo-agalacto-fetuin)、オロソ
ムコイドまたはウシ顎下腺ムチンの受容基質(既に記載(Schwientek, T., Almei
da, R., Levery, S.B., Holmes, E., Bennett, E.P.およびClausen, H. Cloning
of a novel member of the UDP-galactose: β-N-acetylglucosamine β1,4-g
alactosyltransferase family,β4Gal-T4, involved in glycosphingolipid bio
synthesis. J. Biol. Chem. 273:29295-29305, 1998)のようにして得たもの)を
含有するように変更を加えた標準的な反応混合物を用いて行った。Galの転移は
、酸による沈殿の後に、Whatman GF/Cガラス線維濾紙での濾過により評価した。
受容体基質および供与体基質のKmを求めるためのアッセイは、200μM UDP-[14C]
-Gal(2,600cpm/nmol)または30mM GlcNAcβ-ベンジルを含むように変更した。
糖脂質受容体を用いるアッセイは、既に記載(Holmes, E.H. Characterization
and membrane organization of beta 1----3- and beta 1---4- galactosyltran
sferases from human colonic adenocarcinoma cell lines Cob 205 and SW403:
basis for preferential synthesis of type 1 chain lacto-series carbohydr
ate structures. Arch Biochem Biophys 270:630-646, 1989)のようにして、2.
5μmol HEPESバッファー、pH 7.2、1μmol MnCl2、100μgタウロデオキシコー
ル酸もしくはTriton CF-54、20μg受容体糖脂質、15nmol UDP-[14C]-ガラクトー
ス(13,000cpm/nmol)および酵素を含有する反応混合物中(全容量が100μl)で
行った。インキュベーションおよび生成物の単離の条件は既に記載(同上)のも
のとした。
【0088】6.2.2.CHO細胞におけるβ3Gal-T5の全コード配列の恒常的発現 β3Gal-T5遺伝子の全コード配列をコードするcDNA配列を、BamHI制限部位を含
むプライマーEBER1309およびEBER1310を用いて、RT-PCRにより得た。このPCR産
物は、該酵素をトランスフェクトした細胞で発現させ、適切なゴルジコンパート
メント内に分布させるために疎水性膜貫通保持シグナルを有するβ3Gal-T5タン
パク質を生じるように設計した。このPCR産物を、哺乳動物の発現ベクターpCDNA
3(Invitrogen)のBamHI部位に挿入し、その構築物であるpCDNA3-β3Gal-T5-mem
をCHO細胞にトランスフェクトし、恒常的トランスフェクタントを選択した。さ
らに詳細を以下に記す。
【0089】 全長のゴルジに保持される形態のβ3Gal-T5を、ATCCから入手したチャイニー
ズハムスター卵巣細胞(CHO-K1)内で恒常的に発現させた。アミノ酸1〜310を
含むように設計した全長コード構築物を、PCRにより、P1ゲノムDNAを用いて、EB
ER1309およびEBER1310(図1)の、BamHI制限部位を含むプライマー対を用いて
調製した。pcDNA3ベクター(Invitroge)のBamHI部位にクローニングしたこのPC
R産物が正しく挿入されていることを配列決定により確認した。該構築物の推定
コード領域を図1に示す。CHO-K1細胞を、0.2μg DNAおよび5μgリポフェクト
アミン(Invitrogen)を用いて、サブコンフルエントの6ウェルプレート中で、
製造元のプロトコールに従ってトランスフェクトした。48時間後、培地を交換し
、400μg/mlのG418を添加した。72時間の時点で、該ウェルの10〜20%をトリプ
シン処理し、β3Gal-T5を発現している細胞の割合(%)を免疫細胞学により、
抗-β3Gal-T5モノクローナル抗体であるUH9を用いて評価した。
【0090】6.2.3.CHO細胞におけるβ3Gal-T5の可溶性形態の恒常的発現 可溶性で分泌型のβ3Gal-T5酵素のコード配列を含むcDNA pAcGP67-β3Gal-T5-
solを、改変哺乳動物発現ベクターpCDNA3(Invitrogen)のBamHI部位にクローニ
ングした。pcDNA3は、インターフェロンシグナルペプチド配列をKpnI/BamHI部位
に挿入することにより改変して、該ベクターにクローニングされた場合に発現さ
れた産物が確実に分泌されるようにした。このpcDNA3-γINF-β3Gal-T5-sol構築
物をCHO細胞にトランスフェクトし、恒常的トランスフェクタントを選択した。
さらなる詳細を以下に記す。
【0091】 分泌可能な型のβ3Gal-T5を、ATCCから入手したチャイニーズハムスター卵巣
細胞(CHO-K1)内で恒常的に発現させた。アミノ酸25〜310を含むように設計さ
れた末端切断型の構築物は、PCRにより、P1ゲノムDNAならびにEBER1300sol(配
列番号3)およびEBER1310(配列番号4)(図1)のBamHI制限部位を含むプラ
イマー対を用いて調製した。このPCR産物を、改変pcDNA3ベクター(Invitrogen
)のBamHI部位にクローニングした。pcDNA3は、KpnIおよびBamHIで挟まれる部位
を有する該インターフェロン配列をコードする91bpの合成配列を部位指定的に挿
入することにより、γ-インターフェロンのシグナル配列の19個のアミノ酸を含
むように改変した。この改変pcDNA3ベクターは次のようにして構築した。4つの
合成オリゴヌクレオチドを合成した:INFFOR(5’-cggggtaccggaaacgatgaaatata
caag-3’)(配列番号14);INFREVA(5’-ggcggatccaggcagatcacagccaagagaacc
caaaacg-3’)(配列番号15);INFREVB(5’-gcggatcccaggcagatcacagccaagaga
acccaaaacg-3’)(配列番号16);およびINFREVC(5’-gcggatccccaggcagatcac
agccaagagaacccaaaacg3’)(配列番号17)。オリゴヌクレオチドプライマー対I
NFFOR/INFREVA、INFFOR/INFREVBおよびINFFOR/INFREVCを用いて、ヒトゲノムDNA
からのインターフェロンをコードするDNA断片を、Ampli-Taq(Perkin-Elmer Cet
us)および480型Thermocycler(Perkin-Elmer)を用いて、以下の条件:95℃で3
0秒、60℃で5行、72℃で15秒でPCR増幅した。1塩基分ずつずらして配置した3
種のプライマーを用いることにより、シグナル配列に対して3つのリーディング
フレームのいずれかに位置するBamHI部位を有する3種のベクターが得られる。
【0092】 CHO-K1細胞(ATCC)を、0.2μg DNAおよび5μgリポフェクトアミン(Invitro
gen)を用いて、コンフルエント以下の6ウェルプレート中で、製造元のプロト
コールに従ってトランスフェクトした。48時間後、培地を交換し、400μg/mlのG
418を添加した。72時間の時点で、該ウェルの10〜20%をトリプシン処理し、β3
Gal-T5を発現している細胞の割合(%)を免疫細胞学により、抗-β3Gal-T5モノ
クローナル抗体であるUH9を用いて評価した。
【0093】6.3.コア3-p-Nphを用いてβ3Gal-T5により形成される生成物の特性解析 コア3-p-Nphの完全なグリコシル化は、1mU(βGlcNAc-Umbを用いて求めた比
活性)のβ3Gal-T5、2mgのコア3-p-Nph、50mM Tris(pH 7.0)、1mMのMnCl2
0.01%のTriton X-100および4.6μmolのUDP-Galからなる反応混合物中(最終容
量が500μl)で行った。このグリコシル化は、HPTLCによりモニターし、3時間
インキュベーションした後に完了した。反応生成物を、既に記載のようにしてオ
クタデシル-シリカカートリッジ上(「Bakerbond;」 J.T. Baker, Phillipsburg
, NJ)(Almeida, R., Amado, M., David, L.,ら, A Family of Human β4-Gala
stosyltransferases: Cloning and expression of two novel UDP-Galactose β
-N-Acetylglucosamine β1,4-Galactosyltransferases, β4Gal-T2およびβ4Gal
-T3. J. Boil. Chem. 272:31979-31992, 1997)で、MeOHによる連続段階的溶出
(successive stepwise elution)により単離した。このMeOH溶液を蒸発乾固さ
せ、以下に記載のように1H-NMR分析に供した。
【0094】6.3.1.コア3-p-NphおよびGb4を用いた反応生成物の1-D 1H-NMR分光法 コア3-p-Nphを用いた反応からの精製した生成物を、超音波処理およびD2Oでの
凍結乾燥を繰り返し行うことにより重水素交換した。D2O中での飽和溶液をNMR分
析に用いた。1-D 1H-NMR、2-D 1H-1H-TOCSY(Braunschweiler, L.およびErnst,
R.R. Coherence transfer by isotropic mixing: Application to proton corre
lation spectroscopy. J. Magn. Reson. 53:521-528, 1983;Bax, A.およびDavi
s, D.G. MLEV-1 7-based two-dimensisonal homonuclear magnetization transf
er spectroscopy. J. Magn. Reson. 65:355-360, 1985a)および-ROESY(Bothne
r-By, A.A., Stephens, R.L., Lee, J.M., Warren, C.D.およびJeanloz, R.W. S
tructure determination of a tetrasaccharide: Transient nuclear Overhause
r effects in the rotating frame. J. Am. Chem. Soc. 106:811-813, 1984;Ba
x, A.およびDavis, D.G. Practical aspects of two-dimensional transverse N
OE spectroscopy. J. Magn. Reson. 63:207-213, 1985b)実験を、298℃にてVar
ian Unity Inova 600MHzスペクトロメーター(5mmチューブ中に0.5mL)で、Var
ian VNMRソフトウェアパッケージで入手可能な標準的な収集ソフトウェア(stand
ard acquisition software)を用いて行った。1H-検出・13C-デカップリング型位
相感受性勾配(1H-detected, 13C-decoupled, phase sensitive, gradient)(D
avis, A.L., Keeler, J., Laue, E.D.およびMoskau, D. Experiments for recor
ding pure-absorption heteronuclear correlation spectra using pulses fiel
d gradients. J. Magn. Reson. 98:207-216, 1992)13C-1H-HSQC(Bodenhausen,
G.およびRuben, D.J. Natural abundance nitrogen-15 NMR by enhanced heter
onuclear spectroscopy. Chem. Phys. Lett. 69:185-189, 1980)実験は、Varia
n Unity Inova 大口径500MHzスペクトロメーター(8mm試験管中で2mL)で298
℃にて行った。コア3-pNphの2mgサンプルを同様にして調製し、比較のために同
一条件下で分析した。化学シフトは、内部基準アセトン(1Hおよび13Cについて
それぞれ2.225および29.92ppm)を参照した。
【0095】 Gb4を用いた反応からの精製した糖スフィンゴ脂質生成物を、CDCl3-CD、OD2
:1中に溶解することにより重水素交換し、乾燥窒素下で十分に蒸発させ(2回
繰り返す)、次にNMR分析のために0.5mL DMSO-d6/2%D2O(Dabrowski, J., Han
fland, P.およびEgge, H. Structural analysis of glycosphingolipids by hig
h resolution 1H nuclear magnetic resonance spectroscopy. Biochemistry 19
:5652-5658, 1980)に溶解した。600MHz(温度、308°K)にて1-D 1H-NMRスペク
トルを得て、緩和遅延の間にプレ飽和パルスにより溶媒抑制を用いて、10,000の
FIDを蓄積した。スペクトルを、同等の条件下で既に得られている適切な糖スフ
ィンゴ脂質標準物質のスペクトル(Dabrowski, J., Hanfland, P.およびEgge, H
. Structural analysis of glycosphingolipids by high resolution 1H nuclea
r magnetic resonance spectroscopy. Biochemistry 19:5652-5658, 1980;Kann
agi, R., Levery, S.B., Ishigami, F.,ら, New globosides glycosphingolipid
s in human teratocarcinoma reactive with the monoclonal antibody directe
d to a developmentally regualted antigen, stage-specific embryonic antig
en 3. J. Biol. Chem. 258:8934-8942, 1983)と比較することにより解釈した。
【0096】6.4.β3Gal-T5の限定的組織発現パターン ヒト腺癌細胞系AsPC-1、BxPC-3、Capan-1、Capan-2、Colo357、HPAF、HT-29
、PANC-1、Suit2およびS2-013から、全RNAを、既に記載(Sutherlin, M.E., Nis
himori, I., Caffrey, T.,ら, Expression of three UDP-N-acetyl-alpha-D gal
actosamine: polypeptide GalNAc N-acetylgalactosaminyl-transferases in ad
enocarcinoma cell lines. Cancer Res. 57:4744-4748, 1997)のようにして単
離した。25μgの全RNAを、既に記載(Sutherlin, M.E., Nishimori, I., Caffre
y, T.,ら, Expression of three UDP-N-acetyl-alpha-D galactosamine: polype
ptide GalNAc N-acetylgalactosaminyl-transferases in adenocarcinoma cell
lines. Cancer Res. 57:4744-4748, 1997)のようにして、1%変性アガロース
ゲルでの電気泳動に供し、ニトロセルロースに移した。ヒトマルチプル組織ノー
ザンブロット、MTNIおよびMTNIIはClontechから入手した。この可溶性発現構築
物をプローブとして用いた。このプローブを、ランダムプライミングによりαP3 2 dCTP(Amercham)およびオリゴラベリングキット(Pharmacia)を用いて標識し
た。ブロットは、既に記載(Bennett, E.P., Hassan, H.およびClausen, H. cDN
A cloning and expression of a novel human UDP-N-acetyl-alpha-D-galactosa
mine. Polypeptide N-acetyl-galactosaminyl-transferase, GaINAc-T3. J. Bio
l. Chem. 271:17006-17012, 1996)のように、42℃で一夜プロービングし、2×
SSC、1%Na4P2O2で室温で10分間にわたって2回、0.2×SSC、1%SDS、1%Na4 P2O2で65℃で20分間にわたって2回、そして0.2×SSCで室温10分間で1回洗浄し
た(「好ましいハイブリダイゼーション条件」)。
【0097】6.5.β3Gal-T5遺伝子のDNA多型の分析 全コード配列の増幅のためのEBER1320(5’-CAGCGAGGTTCTAGAGTTTCC-3’)(
配列番号6)およびEBER1321(5’-GAAATCCACGCCAGAATGTCG-3’)(配列番号7
)のプライマー対を、エキソン1のPCR増幅に用いた。このPCR産物をサブクロー
ニングし、適切なインサートを含む10のクローンの配列を決定して、それぞれの
対立遺伝子の両方が確実に特性決定されるようにした。
【0098】6.6.β3Gal-T5に対する抗体 抗-β3Gal-T5モノクローナル抗体であるUH9は、マウスを精製したβ3Gal-T5調
製物(該調製物は、SDS-PAGEクーマシー染色ゲル上に約35,000の単一バンドを生
じる)で免疫することにより調製した。Balb/cマウスを、10μlの未変性タンパク
質のフロイント完全アジュバント溶液を1回皮下または腹腔内注射し、続いてフ
ロイント不完全アジュバントを用いて2回注射し、最後にアジュバントを用いず
に静脈内追加免疫することにより免疫した。3回目の免疫化の7日後に眼から採
血し、抗-β3Gal-T5抗体の力価および特異性を評価した。NS-1への融合およびク
ローニング手法は、Whiteら, Biochemistry 29:2740(1990)に記載のものとした
。このモノクローナル抗体UH9を、固定化していない細胞および/または組織との
反応性、ならびにβ3Gal-T5活性を免疫沈降する能力に基づいて選択した。ハイ
ブリドーマを以下の3つの基準:(i)ELISAアッセイにおける精製組換え型酵素と
のそれぞれ異なる反応性;β3Gal-トランスフェラーゼβ3Gal-T1、-T2、-T3、-T
4および-T5を含むバキュロウイルスによる感染の2日後のSf9細胞についての免
疫細胞学;および(iii)活性のある組換え型酵素のそれぞれ異なる免疫沈降、に
より選択した。
【0099】 ELISA分析は、Whiteら(同上)により記載されているようにして、精製した組
換えβ3Gal-T1、-T2および-T5を用いて、初期抗原濃度10μg/mlを用いて行った
【0100】 免疫細胞学アッセイは、トリプシン処理した細胞をPBS中で2回洗浄し、該洗
浄した細胞をカバースライドガラス上で風乾して実施した。乾燥したスライドガ
ラスを100%氷冷アセトン中で10分間固定し、乾燥し、モノクローナル抗-β3G
al-T5抗体と共に1時間インキュベートした。PBSで洗浄した後、スライドガラス
をFITC-結合ウサギ抗-マウスIGと共に30分間インキュベートし、PBSで洗浄し、
グリセロール中でマウントし、顕微鏡法により分析した。
【0101】 組換えヒトβ3Gal-トランスフェラーゼの免疫沈降は次のようにして行った。
分泌型のヒトβ3Gal-トランスフェラーゼをSf9細胞内で発現させ、感染の3日後
に培地を収集して酵素供給源として用いた。Protein G Sepharoseを、ウサギ抗-
マウスIgGで飽和させ、次いで培養上清のモノクローナル抗体で飽和させた。Pro
tein Gビーズの5%懸濁液を、GalNAc-T1、-T2または-T4のいずれかを含むSf9培
地に添加した。4℃で1時間インキュベートした後、ビーズをPBS中で洗浄し、2
5mM Tris(pH 7.4)、0.25% Triton X-100に再懸濁した。上清および洗浄した
ペレットにおいてβ3Gal-トランスフェラーゼ活性を測定した。UH9はβ3Gal-T5
活性を選択的に免疫沈降したが、β3Gal-T1活性も-T2活性も免疫沈降しなかった
【0102】 精製した組換え型酵素を用いてウエスタンブロット分析も行った。天然のβ3G
al-T5酵素および変性したβ3Gal-T5酵素の両方と反応性を有する抗体を選択する
ことは困難であることが判明した。したがって、抗体UH9は、コンフォメーショ
ンエピトープに対して誘起され、β3Gal-T5の天然のコンフォメーションを検出
すると思われる。UH10と命名された別の抗体は、ウエスタンブロットにおける能
力から明らかなように変性β3Gal-T5とだけ反応した。この抗体は、pVL-β3Gal-
T5-fullおよびpAcGP67-β3Gal-T5-solを感染させた昆虫細胞を染色(stain)し
たが、β3Gal-T5発現構築物で恒常的にトランスフェクトしたCHO細胞も種々の上
皮細胞系および組織も染色しなかった。さらに、UH10はβ3Gal-T5酵素活性を免
疫沈降しなかった。
【0103】 免疫反応性と酵素活性とを関連付けるために、可溶性β3Gal-T5を発現してい
るトランスフェクトした細胞をトリプシン処理し、96ウェルプレートに播いた。
UH9との免疫反応性を用いてスクリーニングおよび限界希釈によるクローニング
を2回行い、50%を越える陽性細胞を生じるクローンを選択し、コンフルエント
な培養物の上清中の分泌酵素のレベルについて試験した。いずれの場合において
も、細胞学アッセイによる免疫反応性の強度は、クローンから得た使用済み培地
中で見られるβ3Gal-T5酵素活性のレベルと相関していた。
【0104】 本明細書中で記載し権利請求する本発明は、本明細書中で開示する特定の実施
形態によりその範囲が限定されるものではない。何故ならば、これらの実施形態
は、本発明の幾つかの態様の説明として意図されているからである。等価な実施
形態は全て本発明の範囲にあるものとする。実際、上記の記載から、本明細書に
示され記載されたものに加えて、本発明の種々の改変が当業者には明らかとなろ
う。そのような改変もまた、添付の請求の範囲にあるとする。本出願の全体を通
して種々の参考文献が引用されており、それらの各々の内容は、引用によりその
全体を本出願に組み入れるものとする。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、β3Gal-T5遺伝子(配列番号8)DNA配列およびβ3Gal-T5の推定アミ
ノ酸配列(配列番号9)を示す。該アミノ酸配列は、一文字アミノ酸コードで示
されている。予想膜貫通ドメインに該当する疎水性セグメントには二重下線が引
いてある[Kyte & Doolittle, 8のウィンドウ(Kyte, J.およびDoolittle, R.F
. A simple method for displaying the hydropathic character of a protein.
Journal of Molecular Biology 157:105-132, 1982)]。N-グリコシル化につ
いての3つの共通モチーフはアスタリスクで示してある。発現構築物の調製に用
いるプライマーの位置は一本下線で示してある。一文字アミノ酸コードは、次の
ように、以下に示す配列表の3文字アミノ酸コードに対応する:A、 Ala;R、
Arg;N、Asn;D、Asp;B、Asx;C,Cys;Q、Gln;E、Glu;Z、Glx;G、
Gly;H、His;I、Ile;L、Leu;K、Lys;M、Met;F、Phe;P、Pro;S、
Ser;T、Thr;W、Trp;Y、Tyr;およびV、Val。
【図2】 図2は、5種のヒトβ3Gal-トランスフェラーゼの多重配列分析(Clustal W)
の説明図である。それらのトランスフェラーゼは、β3Gal-T1との類似性の順に
従って列記してある。図示のトランスフェラーゼの配列番号は次のとおりである
:β3Gal-T1(配列番号11)、β3Gal-T2(配列番号10)、β3Gal-T3(配列番号1
2)、β3Gal-T4(配列番号13)およびβ3Gal-T5(配列番号9)。導入されたギ
ャップはハイフンで示し、アラインした同一の残基は枠で囲んである(全部の配
列がそうである場合は黒、4種の配列がそうである場合には暗灰色、3種の配列
がそうである場合には明灰色)。予想膜貫通ドメインには一本下線を引いてある
。保存されたシステインの位置はアスタリスクで示してある。1つの保存された
N-グリコシル化部位は白丸で示してある。DxDモチーフは矢印で示してある。
【図3】 図3は、保存されたシステイン残基についてアラインしたβ3Gal-トランスフ
ェラーゼの概略図である。可能性のあるN-グリコシル化部位は、木の印で示して
ある。システン残基はCの文字で示してあり、システインの保存は遺伝子間の破
線で示してある。図2に示す保存された配列モチーフの位置は点線およびアミノ
酸配列で示してある。予想膜貫通シグナルは太線で示してある。
【図4】 図4は、コア3-pNPh、Galβ1→3GlcNAcβ1→3GalNAcα1→1pNPhを有するβ3Ga
l-T5産物の1-D 1H-NMRスペクトルの一部を示し、全ての交換不可能なモノサッカ
リド環メチンおよび環外メチレンの共鳴を示している。Galβ1→3(Galβ3)、Glc
NAcβ1→3(GlcNAcβ3)、GalNAcα1→1(α)についての残基名の後ろにプロトン名
を付す(Braunschweiler, L.およびErnst, R.R. Coherence transfer by isotro
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atural abundance nitrogen-15 NMR by enhanced heteronuclear spectroscopy.
Chem. Phys. Lett. 69:185-189, 1980)。
【図5】 図5は、ヒト腫瘍細胞系のノーザンブロット分析の写真による説明図である。
ヒト膵臓腺癌の細胞系であるAsPC-1、BxPC-3、Capan-1、Capan-2、Colo357、HPA
F、PANC-1、Suit2、S2-013、およびHT29結腸腺癌細胞系を可溶性発現構築物に相
当するβ3Gal-T5の32P標識cDNAでプロービングした。
【手続補正書】特許協力条約第19条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年4月3日(2000.4.3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/10 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA20 BA10 CA04 DA02 EA04 GA11 HA01 4B050 CC03 DD11 LL01 4B065 AA90X AA93Y AB01 BA02 CA29 CA44

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 UDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミンβ1,3-ガラク
    トシルトランスフェラーゼ(β3Gal-T5)をコードする単離された核酸。
  2. 【請求項2】 核酸がDNAである請求項1記載の単離された核酸。
  3. 【請求項3】 DNAがcDNAである請求項2記載の単離された核酸。
  4. 【請求項4】 DNAがゲノムDNAである請求項2記載の単離された核酸。
  5. 【請求項5】 核酸が、図1に示すヌクレオチド1〜930のヌクレオチド配列
    またはその配列が保存されている変異体もしくはその機能的に保存されている変
    異体を含む、請求項1記載の単離された核酸。
  6. 【請求項6】 図1に示すヌクレオチド73〜930を含む、単離されたヌクレ
    オチド配列。
  7. 【請求項7】 ストリンジェントな条件下で核酸とハイブリダイズする、請
    求項1記載のヌクレオチド1〜200、ヌクレオチド201〜400、ヌクレオチド401〜6
    00、ヌクレオチド601〜800、およびヌクレオチド801〜930からなる群から選択さ
    れるヌクレオチドを含有する単離されたヌクレオチド配列。
  8. 【請求項8】 高ストリンジェンシー条件下で図1に示すヌクレオチド1〜9
    30の配列を有する核酸とハイブリダイズする単離された核酸。
  9. 【請求項9】 β3Gal-T5またはその断片をコードする核酸配列を含有する
    核酸ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のベクターであって、その配列が図1に示す
    ヌクレオチド1〜930のヌクレオチド配列またはその配列が保存されている変異体
    もしくはその機能的に保存されている変異体を含む、前記ベクター。
  11. 【請求項11】 β3Gal-T5をコードする前記配列が転写制御エレメントに
    機能しうる形で連結している請求項10記載のベクター。
  12. 【請求項12】 請求項5記載のヌクレオチド配列を含有する核酸ベクター
  13. 【請求項13】 請求項6記載のヌクレオチド配列を含有する核酸ベクター
  14. 【請求項14】 請求項9記載のベクターを含有する宿主細胞。
  15. 【請求項15】 細胞が前記ベクターで恒常的にトランスフェクトされてい
    る、請求項11記載のベクターを含有する宿主。
  16. 【請求項16】 細胞が前記ベクターで恒常的にトランスフェクトされてい
    る、請求項14記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 細胞が酵素的に活性なβ3Gal-T5を産生する請求項13記
    載の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 細胞が細菌、酵母、昆虫、鳥類、および哺乳動物の細胞か
    らなる群から選択される、請求項13記載の宿主細胞。
  19. 【請求項19】 細胞が細菌、酵母、昆虫、鳥類、および哺乳動物の細胞か
    らなる群より選択される、請求項17記載の宿主細胞。
  20. 【請求項20】 細胞がSf9細胞である、請求項19記載の細胞。
  21. 【請求項21】 細胞がCHO細胞である、請求項19記載の細胞。
  22. 【請求項22】 請求項12記載の核酸ベクターを含有する宿主細胞。
  23. 【請求項23】 請求項13記載の核酸ベクターを含有する宿主細胞。
  24. 【請求項24】 β3Gal-T5ポリペプチドを生産する方法であって、 (i)ヒトβ3Gal-T5をコードする単離されたDNA分子またはβ3Gal-T5をコードす
    るDNA配列を含むDNA構築物を宿主細胞内に導入し、 (ii)ヒトβ3Gal-T5の発現に適切な条件下で該宿主細胞を増殖させ、そして (iii)該宿主細胞により産生されるβ3Gal-T5を単離すること、 を含む上記方法。
  25. 【請求項25】 単離されたUDP-ガラクトース:β-N-アセチルグルコサミ
    ンβ1,3ガラクトシルトランスフェラーゼ(β3Gal-T5)ポリペプチド。
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