JP2000245464A - 新規ポリペプチド - Google Patents

新規ポリペプチド

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JP2000245464A
JP2000245464A JP11047571A JP4757199A JP2000245464A JP 2000245464 A JP2000245464 A JP 2000245464A JP 11047571 A JP11047571 A JP 11047571A JP 4757199 A JP4757199 A JP 4757199A JP 2000245464 A JP2000245464 A JP 2000245464A
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Japan
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polypeptide
dna
sugar chain
cell
gene
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Hisashi Narimatsu
久 成松
Soichiro Isshiki
聡一郎 一色
Akira Togayanai
晶 栂谷内
Katsutoshi Sasaki
克敏 佐々木
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KH Neochem Co Ltd
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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    • C12N9/1048Glycosyltransferases (2.4)
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なβ1,3−ガラクトース転移酵素を利
用し、抗炎症、抗感染症、または癌転移抑制等の医薬
品、乳製品等の食品、タンパク質の改善法、および癌等
の疾患の診断法を提供する。 【解決手段】 本発明によれば、タイプ1糖鎖の合成に
関与するβ1,3−ガラクトース転移酵素活性を有する
新規ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするDN
A、該DNAを含有する組換え体ベクター、該組換え体
ベクターを保有する形質転換体、該ポリペプチドまたは
該形質転換体を用いた該ポリペプチドまたはタイプ1糖
鎖含有糖鎖・複合糖質の製造法、該ポリペプチドを認識
する抗体、該抗体を用いる該ポリペプチドの検出・定量
法、該ポリぺプチドに関わる物質のスクリーニング法、
該DNAあるいは該抗体を用いた消化器系癌の診断法・
治療法、スクリーニング法で得られた物質を用いた消化
器系癌の治療法を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアリルルイスa
糖鎖を発現している大腸癌細胞、膵臓癌細胞等の消化器
系癌細胞において、シアリルルイスa糖鎖等のタイプ1
糖鎖の合成に関与するβ1,3−ガラクトース転移酵素
活性を有する新規ポリペプチド、該ポリペプチドの製造
法、該ポリペプチドをコードするDNA、該DNAが組
み込まれた組換え体ベクター、該組換え体ベクターを保
有する形質転換体、該ポリペプチドを認識する抗体、該
ポリペプチドを用いたタイプ1糖鎖含有糖鎖および該糖
鎖を含有する複合糖質の製造法、該組換え体ベクターを
保有する形質転換体を用いたタイプ1糖鎖含有糖鎖およ
び該糖鎖を含有する複合糖質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】糖鎖は、発生・分化、細胞認識といった
生命現象に関与しているほか、炎症、癌、感染症、自己
免疫疾患、およびその他多くの病気の発生、進行に深く
関係していると考えられている〔木幡陽・箱守仙一郎・
永井克孝編,グリコバイオロジーシリーズ〜,講談
社,(1993年)、Glycobiology,3, 97 (1993)〕。
【0003】糖鎖は、タンパク質や脂質に付加して、糖
タンパク質、プロテオグリカン、または糖脂質として存
在するほか、オリゴ糖としても存在する。Galβ1-3GlcN
Ac構造を有する糖鎖はタイプ1糖鎖と呼ばれ、ルイス式
血液型抗原や癌関連糖鎖抗原の骨格糖鎖を構成してい
る。ルイス式血液型抗原としては、ルイスa糖鎖(Gal
β1-3(Fucα1-4)GlcNAc)およびルイスb糖鎖〔Fucα1-
2Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAc〕が存在する。シアリルル
イスa糖鎖〔NeuAcα2-3Galβ1-3(Fucα1-4)GlcNAc〕お
よびシアリルルイスc糖鎖(NeuAcα2-3Galβ1-3GlcNA
c)は、主に大腸癌や膵臓癌等の消化器系の癌において
高頻度に検出される癌関連糖鎖であり、シアリルルイス
a糖鎖およびシアリルルイスc糖鎖に対する抗体は癌の
血清診断に利用されている。
【0004】白血球の炎症部位への集積やリンパ球のリ
ンパ節へのホーミングには、接着分子セレクチン(E-、
P-、およびL-セレクチン)とその糖鎖リガンド(シアリ
ルルイスx糖鎖またはその関連糖鎖)の接着が関与して
いることが明らかとなっている。
【0005】シアリルルイスx糖鎖〔NeuAcα2-3Galβ1
-4(Fucα1-3)GlcNAc〕の構造異性体であるシアリルルイ
スa糖鎖はセレクチンと結合することから、シアリルル
イスa糖鎖は癌の転移に関与すると考えられている。ま
た、大腸癌や膵臓癌におけるシアリルルイスa糖鎖の発
現量が、癌の予後の悪さと相関しているという報告もあ
る。
【0006】Galβ1-3GlcNAc構造は、GlcNAcβ1,3−ガ
ラクトース転移酵素によって合成される。これまでに3
種類のGlcNAcβ1,3−ガラクトース転移酵素(β3Ga
l−T1、β3Gal−T2、β3Gal−T3)の遺
伝子がクローン化され、それぞれの酵素の受容基質特異
性が解析されている〔特開平6-181759、J. Biol. Chem.
273, 58-65 (1998)、J. Biol. Chem. 273, 433-440(19
98)、J. Biol. Chem.273, 12770-12778 (1998)〕。ま
た、基質特異性の異なる別のβ1,3−ガラクトース転
移酵素(β3Gal−T4)の遺伝子がクローン化され
ている〔J. Biol. Chem. 272, 24794-24799 (1997)、J.
Biol. Chem. 273, 12770-12778 (1998)〕。β3Gal
−T4はガングリオシドGA1、GM1またはGD1bを合成する
が、Galβ1-3GlcNAc構造は合成しない。
【0007】大腸癌や膵臓癌等の消化器系の癌におい
て、癌関連糖鎖であるシアリルルイスa糖鎖およびシア
リルルイスc糖鎖の合成に関与するGlcNAcβ1,3−ガラ
クトース転移酵素が同定できれば、該酵素または該酵素
遺伝子の発現量を調べることにより、より正確な癌の診
断が可能になると推定される。また、該酵素活性、また
は該酵素遺伝子の転写・翻訳を抑制することにより、癌
転移の抑制が可能になると期待される。しかし、これま
でに該酵素または該酵素遺伝子は同定されていない。大
腸癌細胞株Colo205からGlcNAcβ1,3−ガラクトース転移
酵素が部分精製されているが、該酵素の単離、該酵素の
アミノ酸配列の決定、ならびに該酵素遺伝子の単離には
至っていない〔J. Biol. Chem. 262, 15649-15658 (198
7)、Archi.Biochem. Biophys. 270, 630-646 (1989)、A
rchi. Biochem. Biophys. 274, 14-25 (1989)〕。
【0008】セレクチンに強い結合能を有する糖鎖は、
セレクチンアンタゴニストとして、炎症や癌転移の治療
および予防に有用である。従って、大腸癌や膵臓癌等の
消化器系の癌においてシアリルルイスa糖鎖の合成に関
与しているβ1,3−ガラクトース転移酵素は、セレク
チンアンタゴニストの効率的合成にも利用可能と推定さ
れる。
【0009】ヒトの乳中には、様々なオリゴ糖が存在す
ることが知られている〔Acta Paediatrica, 82, 903 (1
993)〕。ラクト−N−テトラオース(Galβ1-3GlcNAcβ
1-3GlcNAcβ1-4Glc)は、ヒト乳中に多く含まれ、乳児
がウイルスや微生物に感染するのを防いでいると考えら
れている。また、ラクト−N−テトラオースには良性の
腸内細菌であるビフィズス菌の増殖を促す活性もある。
一方、ウシやマウス等の動物の乳中に存在するオリゴ糖
の種類は少なく、大部分がラクトースであり3糖以上の
オリゴ糖はほとんど存在しない〔Acta Paediatrica, 8
2, 903 (1993)、J. Biol. Chem., 270, 29515 (199
5)〕。
【0010】ラクト−N−テトラオースを母核とする様
々なオリゴ糖、あるいはそれらが含まれたミルクを効率
よく生産することができれば、産業上非常に有用と思わ
れる。したがって、これまでにクローン化されたGlcNAc
β1,3−ガラクトース転移酵素に比較して、よりラクト
−N−テトラオースを合成する活性の高い酵素の開発は
産業上重要な課題である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規なβ
1,3−ガラクトース転移酵素を有するポリペプチドを
利用し、抗炎症、抗感染症、または癌転移抑制等の医薬
品、乳製品等の食品、タンパク質の改善法、および癌等
の疾患の診断法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の(1)
〜(47)に関する。 (1) シアリルルイスa糖鎖を発現している大腸癌細
胞に存在する、シアリルルイスa糖鎖の合成に関与する
β1,3−ガラクトース転移酵素活性を有するポリペプ
チド。
【0013】上記本発明の新規β1,3−ガラクトース
転移酵素活性を有するポリペプチドは、シアリルルイス
a糖鎖を発現している大腸癌細胞のみならずシアリルル
イスc糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖等のタイプ1
糖鎖を発現している大腸癌細胞、膵臓癌細胞等の消化器
系癌細胞にも存在し、これら消化器系癌細胞に存在する
タイプ1糖鎖の効率的合成に関与するβ1,3−ガラク
トース転移酵素活性を有するポリペプチドも、本発明の
ポリペプチドである。本発明のポリペプチドは、公知の
β3Gal−T1、β3Gal−T2およびβ3Gal
−T3とは異なる新規なβ1,3−ガラクトース転移酵
素である。
【0014】(2) 以下の(a)、(b)および
(c)から選ばれるポリペプチド: (a)配列番号1記載のアミノ酸配列からなるポリペプ
チド、(b)配列番号1記載のアミノ酸配列の31〜3
10番目のアミノ酸配列を含むポリペプチド、および
(c)(a)または(b)のポリペプチドの有するアミ
ノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置
換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつGal
β1-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,3−ガラクトース
転移酵素活性を有するポリペプチド。
【0015】上記のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加
は、出願前周知技術である部位特異的変異誘発法により
実施することができ、また、1若しくは数個のアミノ酸
とは、部位特異的変異誘発法により欠失、置換若しくは
付加できる程度の数のアミノ酸を意味する。
【0016】かかる1若しくは数個のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ新
規β1,3−ガラクトース転移酵素活性を有するポリペ
プチドは、Molecular Cloning, A Laboratory Manual,
Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Pres
s (1989)(以下、モレキュラー・クローニング第2版と
略す)、Current Protocols in Molecular Biology, Su
pplement 1〜38, JohnWiley & Sons (1987-1997) (以
下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・
バイオロジー サプルメント1〜38と略記する)、Nu
cleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl.
Acad. Sci., USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1
985)、Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985)、 Pr
oc. Natl. Acad. Sci USA, 82, 488 (1985)、Proc. Nat
l. Acad. Sci., USA, 81,5662 (1984)、Science, 224,
1431 (1984)、PCT WO85/00817(1985)、Nature, 316, 6
01(1985)等に記載の方法に準じて調製することができ
る。
【0017】上記の(a)または(b)のポリペプチド
の有するアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ
酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からな
り、かつGalβ1-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,3−ガ
ラクトース転移酵素活性を有するポリペプチドは、公知
のβ3Gal−T1、β3Gal−T2およびβ3Ga
l−T3とは異なる新規なβ1,3−ガラクトース転移
酵素である。
【0018】(3) β1,3−ガラクトース転移酵素
活性が、糖鎖の非還元末端に存在するN−アセチルグル
コサミン残基にβ1,3結合でガラクトースを転移する
活性である上記(1)または(2)記載のポリペプチ
ド。 (4) β1,3−ガラクトース転移酵素活性が、GlcN
Acβ1-3Galβ1-4Glcの非還元末端に存在するN−アセチ
ルグルコサミン残基、またはN−アセチルグルコサミン
単糖にβ1,3結合でガラクトースを転移する活性であ
る、上記(1)または(2)記載のポリペプチド。
【0019】(5) 以下の(a)、(b)、(c)お
よび(d)から選ばれるDNA: (a)請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドを
コードするDNA、(b)配列番号2で表される塩基配
列の402〜1331番目の塩基配列を有するDNA、
(c)配列番号2で表される塩基配列の492〜133
1番目の塩基配列を有するDNA、および(d)(a)
〜(c)いずれかに記載のDNAとストリンジェントな
条件下でハイブリダイズするDNAであり、かつGalβ1
-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,3−ガラクトース転移
酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
【0020】上記の「ストリンジェントな条件下でハイ
ブリダイズするDNA」とは、上記(a)、(b)およ
び(c)のDNAから選ばれるDNAをプローブとし
て、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラーク・
ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイ
ブリダイゼーション法等を用いることにより得られるD
NAを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク
由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7
〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼ
ーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(sali
ne-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組
成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン酸
ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルタ
ーを洗浄することにより同定できるDNAをあげること
ができる。
【0021】ハイブリダイゼーションは、モレキュラー
・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イ
ン・モレキュラー・バイオロジー サプルメント1〜3
8、DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Ap
proach,Second Edition, Oxford University Press (19
95)等の実験書に記載されている方法に準じて行うこと
ができる。
【0022】ハイブリダイズ可能なDNAとして具体的
には、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードするDNAの塩基配列と少なくとも6
0%以上の相同性を有するDNA、好ましくは80%以
上の相同性を有するDNA、更に好ましくは95%以上
の相同性を有するDNAをあげることができる。該DN
AのコードするGalβ1-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,
3−ガラクトース転移酵素活性を有するポリペプチド
は、公知のβ3Gal−T1、β3Gal−T2および
β3Gal−T3とは異なる新規なβ1,3−ガラクト
ース転移酵素である。
【0023】(6) 上記(5)記載のDNAをベクタ
ーに組み込んで得られる組換え体DNA。 (7) 組換え体DNAが、プラスミドpAMo−3G
T5またはプラスミドpBS−3GT5(FERM B
P−6645)である、上記(6)記載の組換え体DN
A。
【0024】(8) 上記(5)に記載のDNA、
(6)記載の組換え体DNA、または(7)記載の組換
え体DNAを保有する形質転換体。 (9) 形質転換体が、微生物、動物細胞、植物細胞、
昆虫細胞、非ヒトトランスジェニック動物およびトラン
スジェニック植物から選ばれる形質転換体である、上記
(8)記載の形質転換体。
【0025】(10) 微生物が、Escherichia属に属
する微生物である、上記(9)記載の形質転換体。 (11) 動物細胞が、マウス・ミエローマ細胞、ラッ
ト・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ細胞、CH
O細胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、Namalw
a細胞、Namalwa KJM-1細胞、ヒト胎児腎臓細胞およびヒ
ト白血病細胞から選ばれる動物細胞である、上記(9)
記載の形質転換体。
【0026】(12) 昆虫細胞が、Spodoptera frugi
perdaの卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞およびカ
イコの卵巣細胞から選ばれる昆虫細胞である、上記
(9)記載の形質転換体。 (13) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ
ペプチドをコードするDNAをベクターに組み込んで得
られる組換え体DNAを保有する形質転換体を培養液中
で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積さ
せ、該培養物中より該ポリペプチドを採取することを特
徴とする、該ポリペプチドの製造法。
【0027】(14) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドをコードするDNAをベクターに
組み込んで得られる組換え体DNAを保有する非ヒトト
ランスジェニック動物を飼育し、該ポリペプチドを該動
物中に生成・蓄積させ、該動物中より該ポリペプチドを
採取することを特徴とする、該ポリペプチドの製造法。
【0028】(15) 生成・蓄積が動物のミルク中で
あることを特徴とする、上記(14)記載の製造法。 (16) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ
ペプチドをコードするDNAをベクターに組み込んで得
られる組換え体DNAを保有するトランスジェニック植
物を栽培し、該ポリペプチドを該植物中に生成蓄積さ
せ、該植物中より該ポリペプチドを採取することを特徴
とする、該ポリペプチドの製造法。
【0029】(17) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドをコードするDNAを用い、in v
itroでの転写・翻訳系により該ポリペプチドを合成する
ことを特徴とする、該ポリペプチドの製造法。 (18) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ
ペプチドを酵素源として用い、 (a)該酵素源、 (b)i)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、 ii)N−アセチルグルコサミン残基を非還元末端に有す
るオリゴ糖および iii)N−アセチルグルコサミン残基を非還元末端に有す
る複合糖質から選ばれる受容基質、および (c)ウリジン−5’−二リン酸ガラクトースを水性媒
体中に存在せしめ、該水性媒体中に、該受容基質のN−
アセチルグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミン
残基にβ1,3結合でガラクトースが付与された反応産
物を生成・蓄積させ、該水性媒体中より該反応産物を採
取することを特徴とする、該反応産物の製造法。
【0030】(19) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドを酵素源として用い、 (a)該酵素源、 (b)i)グルコース、 ii)グルコース残基を非還元末端に有するオリゴ糖およ
び iii)グルコース残基を糖鎖の非還元末端に有する複合糖
質から選ばれる受容基質、および (c)ウリジン−5’−二リン酸ガラクトースを水性媒
体中に存在せしめ、該水性媒体中に、該受容基質のグル
コースまたはグルコース残基にβ1,3結合でガラクト
ースが付与された反応産物を生成・蓄積させ、該水性媒
体中より該反応産物を採取することを特徴とする、該反
応産物の製造法。
【0031】(20) 上記(9)記載の微生物、動物
細胞、植物細胞および昆虫細胞由来の形質転換体から選
ばれる形質転換体を培養液中で培養し、該培養物中に、
ガラクトースがβ1,3結合でN−アセチルグルコサミ
ン、N−アセチルグルコサミン残基、グルコースまたは
グルコース残基に付加した構造を有する糖鎖または該糖
鎖を含有する複合糖質を生成・蓄積させ、該培養物中よ
り該糖鎖または該複合糖質を採取することを特徴とす
る、該糖鎖または該複合糖質の製造法。
【0032】(21) 上記(9)記載の非ヒトトラン
スジェニック動物を飼育し、該動物中に、ガラクトース
がβ1,3結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセ
チルグルコサミン残基、グルコースまたはグルコース残
基に付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖を含有する
複合糖質を生成・蓄積させ、該動物中より該糖鎖または
該複合糖質を採取することを特徴とする、該糖鎖または
該複合糖質の製造法。
【0033】(22) 上記(9)記載のトランスジェ
ニック植物を栽培し、該植物中に、ガラクトースがβ
1,3結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセチル
グルコサミン残基、グルコースまたはグルコース残基に
付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖を含有する複合
糖質を生成・蓄積させ、該植物中より該糖鎖または該複
合糖質を採取することを特徴とする、該糖鎖または該複
合糖質の製造法。
【0034】(23) 複合糖質が、糖蛋白質、糖脂
質、プロテオグリカン、グリコペプチド、リポ多糖、ペ
プチドグリカン、およびステロイド化合物等に糖鎖が結
合した配糖体から選ばれる複合糖質である、上記(1
8)〜(22)のいずれかに記載の製造法。
【0035】(24) 生成・蓄積が動物のミルク中で
あることを特徴とする、上記(21)記載の製造法。 (25) 上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリ
ペプチドをコードするDNAを用い、ハイブリダイゼー
ション法により、該ポリぺプチドをコードする遺伝子の
発現量を定量する方法。
【0036】(26) 上記(5)に記載のDNAまた
は配列番号2または3で表される塩基配列を有するDN
Aの有する塩基配列中の連続した5〜60塩基と同じ配
列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチド
と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド、およびこ
れらオリゴヌクレオチドの誘導体オリゴヌクレオチドか
ら選ばれるDNA。
【0037】(27) 誘導体オリゴヌクレオチドが、
オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスフ
ォロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオ
チド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合が
N3’−P5’ホスフォアミデート結合に変換された誘
導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボ
ースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換
された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド
中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された
誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウ
ラシルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体
オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシン
がC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴ
ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェ
ノキサジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytos
ine)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中
のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換された
誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中
のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換さ
れた誘導体オリゴヌクレオチドから選ばれる誘導体オリ
ゴヌクレオチドである、上記(26)記載のオリゴヌク
レオチド。
【0038】(28) 配列番号20または21で表さ
れる塩基配列を有するDNA。 (29) 上記(26)〜(28)のいずれかに記載の
オリゴヌクレオチドを用い、ポリメラーゼ・チェイン・
リアクション法により、上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を定
量する方法。 (30) 上記(25)または(29)記載の方法を用
いた癌または癌転移の検出法。
【0039】(31) 上記(5)、(26)〜(2
8)記載のDNAおよび配列番号2または3で表される
塩基配列を有するDNAから得らばれるDNAを用い、
上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリペプチドを
コードするDNAの転写またはmRNAの翻訳を抑制す
る方法。
【0040】(32) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドを認識する抗体。 (33) 上記(32)記載の抗体を用いる、上記
(1)〜(4)のいずれかに記載のポリペプチドの免疫
学的検出法。
【0041】(34) 上記(32)記載の抗体を用
い、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリペプチ
ドを検出することを特徴とする、免疫組織染色法。 (35) 上記(32)記載の抗体を含有する、免疫組
織染色剤。 (36) 上記(32)記載の抗体を含有する、癌また
は癌転移の診断薬。
【0042】(37) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドと被験試料とを接触させることを
特徴とする、該ポリペプチドの有する活性を変動させる
化合物のスクリーニング法。
【0043】(38) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドを発現する細胞と被験試料とを接
触させ、抗シアリルルイスa抗体、抗ルイスa抗体、抗ル
イスb抗体または抗シアリルルイスc抗体を用い、シア
リルルイスa糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖またはシ
アリルルイスc糖鎖含量を測定することを特徴とする、
該ポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を変動させる
化合物のスクリーニング法。
【0044】(39) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドを発現する細胞と被験試料とを接
触させ、上記(32)記載の抗体を用い、該ポリペプチ
ド含量を測定することを特徴とする、該ポリぺプチドを
コードする遺伝子の発現を変動させる化合物のスクリー
ニング法。
【0045】(40) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドをコードする遺伝子の転写を司る
プロモーターDNA。 (41) プロモーターDNAが、小腸細胞、大腸細
胞、膵臓細胞、胃細胞、大腸癌細胞、膵癌細胞および胃
癌細胞から選ばれる細胞で機能しているプロモーターで
ある、上記(40)記載のプロモーターDNA。
【0046】(42) プロモーターDNAが、ヒトま
たはマウス由来のプロモーターDNAである、上記(4
0)または(41)記載のプロモーターDNA。 (43) プロモーターDNAが配列番号3で表される
塩基配列の1〜5000番目の塩基配列中の連続する5
0〜5000bpのDNA配列を有する、上記(40)
〜(42)のいずれかに記載のプロモーターDNA。
【0047】(44) 上記(40)〜(43)のいず
れかに記載のプロモーターDNAおよび該プロモーター
DNAの下流に連結させたレポーター遺伝子を含有する
プラスミドを用いて動物細胞を形質転換し、該形質転換
体と被験試料とを接触させ、該レポーター遺伝子の翻訳
産物含量を測定することを特徴とする、該プロモータに
よる転写の効率を変動させる化合物のスクリーニング
法。
【0048】(45) レポーター遺伝子が、クロラム
フェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、β
−ガラクトシダーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、
ルシフェラーゼ遺伝子およびグリーン・フルオレッセン
ト・プロテイン遺伝子より選ばれる遺伝子である、上記
(44)記載のスクリーニング法。
【0049】(46) 上記(1)〜(4)のいずれか
に記載のポリペプチドをコードするDNAを欠損または
変異させたノックアウト動物。 (47) ノックアウト動物がマウスである、上記(4
6)記載のノックアウト動物。以下、本発明を詳細に説
明する。
【0050】
【発明の実施の形態】(1)本発明のシアリルルイスa
糖鎖等のタイプ1糖鎖を合成可能なβ1,3−ガラクト
ース転移酵素活性を有する新規ポリペプチドをコードす
るDNA(以下、新規β1,3−ガラクトース転移酵素
遺伝子と略すこともある)の取得、ならびに該DNAお
よびオリゴヌクレオチドの製造 シアリルルイスa糖鎖またはシアリルルイスc糖鎖を発
現している、大腸癌細胞または膵臓癌細胞等の消化器系
癌細胞より、常法によりcDNAライブラリーを作製す
る。
【0051】cDNAライブラリー作製法としては、モ
レキュラー・クローニング第2版やカレント・プロトコ
ールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー サプルメ
ント1〜38、A Laboratory Manual, 2nd Ed.(1989)、
DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical App
roach, Second Edition, Oxford University Press (19
95)等に記載された方法、あるいは市販のキット、例え
ばスーパースクリプト・プラスミド・システム・フォー
・cDNA・シンセシス・アンド・プラスミド・クロー
ニング〔SuperScript Plasmid System for cDNA Synthe
sis and Plasmid Cloning;ギブコBRL(Gibco BRL)
社製〕やザップ−cDNA ・シンセシス・キット〔ZAP
-cDNA Synthesis Kit、ストラタジーン社製〕を用いる
方法等があげられる。
【0052】シアリルルイスa糖鎖またはシアリルルイ
スc糖鎖を発現している大腸癌細胞または膵臓癌細胞等
の消化器系癌細胞としては、例えば、シアリルルイスa
糖鎖を発現しているヒト大腸癌細胞株であるColo205、C
olo201、SW1116等、あるいはシアリルルイスa糖鎖を発
現しているヒト膵臓癌細胞株であるCapan-2等を用いる
ことができる。
【0053】cDNAライブラリーを作製するための、
クローニングベクターとしては、大腸菌K12株中で自
立複製できるものであれば、ファージベクター、プラス
ミドベクター等いずれでも使用できる。具体的には、ZA
P Express〔ストラタジーン社製、Strategies, 5, 58
(1992)〕、pBluescript II SK(+)〔Nucleic Acids Rese
arch, 17, 9494 (1989)〕、λZAP II(ストラタジーン
社製)、λgt10 、λgt11〔DNA Cloning, A Practi
cal Approach, 1, 49 (1985)〕、λTriplEx(クローン
テック社製)、λExCell(ファルマシア社製)、pT7T31
8U (ファルマシア社製)、pcD2〔Mol. Cell. Biol.,
3, 280 (1983)〕、pUC18 〔Gene, 33, 103 (1985)〕、p
AMo〔J.Biol.Chem.,268, 22782-22787 (1993)、別名pAM
oPRC3Sc(特開平05-336963)〕等をあげることができ
る。
【0054】宿主微生物としては、大腸菌Escherichia
coliに属する微生物であればいずれでも用いることがで
きる。具体的には、Escherichia coli XL1-Blue MRF'
〔ストラタジーン社製、Strategies, 5, 81 (1992)〕、
Escherichia coli C600〔Genetics, 39, 440 (195
4)〕、Escherichia coli Y1088〔Science, 222, 778 (1
983)〕 、Escherichia coli Y1090〔Science, 222, 778
(1983)〕、Escherichia coli NM522 〔J. Mol. Biol.,
166, 1 (1983)〕、Escherichia coli K802〔J. Mol.Bi
ol., 16, 118 (1966)〕、Escherichia coli JM105 〔G
ene, 38, 275 (1985)〕、Escherichia coli SOLRTM Str
ain〔ストラタジーン社より市販〕、E. coliLE392(モ
レキュラー・クローニング第2版)等を用いることがで
きる。
【0055】cDNAライブラリーとして、例えば、以
下のようにして作製したcDNAライブラリーをあげる
ことができる。ヒト大腸癌細胞株Colo205由来のmRN
AよりGIBCO BRL社製のcDNA合成システム(cDN
A Synthesis System)キットを用いてcDNAを合成
する。
【0056】該DNAの両末端にSfiIリンカーを付
与した後、クローニングベクターpAMoのSfiI部
位に挿入したプラスミドを作製する。該プラスミドを用
い、E. coli LE392を形質転換してcDNAライブラリ
ーを作製する。
【0057】作製したcDNAライブラリーより目的と
するDNAを含むクローンを以下の方法で選択する。上
記で作製したcDNAライブラリーから、常法あるいは
キィアジェン(Qiagen)社製のプラスミド調製キットで
ある/plasmid/maxi kit(商品番号41031)等のキット
を用いてプラスミドを調製する。
【0058】既知の4種のβ1,3−ガラクトース転移
酵素のアミノ酸配列を比較することにより、4種のβ
1,3−ガラクトース転移酵素でアミノ酸配列がよく保
存されている領域を2ヶ所以上見出す。公知の方法〔Ca
rl W. Dieffenbach, Gabriela S. Dveksler, "PCR Prim
er: ALaboratry Manual", Cold Spring Harbor Lab.(19
95)、井上純一郎・仙波憲太郎編,ザ・プロトコールシ
リーズ「cDNAクローニング」,羊土社,(1996
年)、Science, 241, 42 (1988)〕に従って各領域のア
ミノ酸配列に対応するDNA配列を有するdegenerateプ
ライマーを設計し、上記で調製したcDNAライブラリ
ーを鋳型としてポリメラーゼ・チェイン・リアクション
(Polymerase Chain Reaction;以下、PCRと略記す
る)〔モレキュラー・クローニング第2版およびPCR
Protocols Academic Press (1990)〕を行い、増幅断片
を適当なプラスミドにサブクローニングする。
【0059】PCR増幅断片のサブクローニングは、増
幅DNA断片をそのまま、あるいは制限酵素やDNAポリ
メラーゼで処理後、常法によりベクターに組み込むこと
により行うことができる。ベクターとしては、pBluescr
ipt II SK(+)、pBluescript SK(-)(いずれもStratagen
e社製)、pDIRECT〔Nucleic Acids Research, 18, 6069
(1990)〕、pCR-Script Amp SK(+)〔Stratagene社製、S
trategies, 5, 6264 (1992)〕、pT7Blue〔Novagen社
製〕、pCR II〔インビトロジェン社製、Biotechnology,
9, 657 (1991)〕、pCR-TRAP〔Genehunter社製〕、pNoT
AT7(5’→3’社製)等をあげることができる。
【0060】サブクローン化されたPCR増幅断片の塩
基配列を決定することにより、既知のβ1,3−ガラク
トース転移酵素のアミノ酸配列とホモロジーを有するが
完全には一致しないアミノ酸配列をコードするDNA断
片を選択する。塩基配列は、通常用いられる塩基配列解
析方法、例えばサンガー(Sanger)らのジデオキシ法〔Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463 (1977)〕あるい
は373A・DNAシークエンサー〔Perkin Elmer社
製〕等の塩基配列分析装置を用いて決定することができ
る。
【0061】上記で作製したcDNAライブラリーに対
して、該DNA断片をプローブとしてコロニーハイブリ
ダイゼーションまたはプラークハイブリダイゼーション
(モレキュラー・クローニング第2版)を行うことによ
り、既知のβ1,3−ガラクトース転移酵素とホモロジ
ーを有するポリペプチドをコードするcDNAを取得す
ることができる。プローブとしては、該DNA断片をア
イソトープあるいはジゴキシゲニン(digoxigenin)標
識したものを使用することができる。
【0062】上記の方法により取得されたDNAの塩基
配列は、該DNA断片をそのままあるいは適当な制限酵
素等で切断後、モレキュラー・クローニング第2版等に
記載の常法によりベクターに組み込み、通常用いられる
塩基配列解析方法、例えばサンガー(Sanger)らのジデオ
キシ法〔Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463 (197
7)〕あるいは373A・DNAシークエンサー〔パーキ
ン・エルマー(Perkin Elmer)社製〕等の塩基配列分析
装置を用いて分析することにより決定することができ
る。
【0063】該方法により取得されるDNAとして、例
えば、配列番号1で表されるポリペプチドをコードする
DNA等をあげることができ、具体的には、配列番号2
または3で表される塩基配列を有するDNA等をあげる
ことができる。配列番号2のDNAを含むプラスミドと
しては、例えば、後述の実施例に記載したpAMo−3
GT5、pBS−3GT5(FERM BP−664
5)をあげることができる。
【0064】上記のようにして取得したDNAを発現ベ
クターに組み込み発現プラスミドを構築する。得られた
発現プラスミドを適当な動物細胞に導入後、抗シアリル
ルイスa糖鎖抗体または抗シアリルルイスc糖鎖抗体を
用いたフルオレッセンス・アクティベーテッド・セル・
ソーター(Fluorescence Activated Cell Sorter;以
下、FACSと略記する)解析により、該DNAがシアリル
ルイスa糖鎖またはシアリルルイスc糖鎖の合成に関与
するβ1,3−ガラクトース転移酵素をコードするかど
うかを調べることができる。
【0065】該発現ベクターとしては、該cDNAを組
み込んで動物細胞で発現できるベクターであればいかな
るものでも用いることができ、例えば、pcDNAI/Amp、pc
DNAI、pCDM8(いずれもフナコシ社より市販)、pAGE107
〔特開平3-22979、Cytotechnology, 3, 133 (1990)〕、
pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103〔J. Bioche
m., 101, 1307 (1987)〕、pAMo、pAMoA〔J. Biol. Che
m., 268, 22782-22787 (1993)、別名pAMoPRSA
(特開平05-336963)〕、pAS3-3(特開平2-227075)等
を用いることができる。
【0066】cDNAを組み込んだ発現ベクターを、目
的とするcDNAを選択可能な動物細胞に導入し、形質
転換細胞を取得する。該発現ベクターの導入方法として
は、動物細胞にDNAを導入する方法であればいずれも
用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法
〔Cytotechnology, 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウ
ム法(特開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕、Virology,
52, 456 (1973)に記載の方法等の方法をあげることが
できる。
【0067】動物細胞としては、ヒトの細胞であるNama
lwa細胞、Namalwa細胞のサブラインであるNamalwa KJM-
1細胞、サルの細胞であるCOS細胞、チャイニーズ・ハム
スターの細胞であるCHO細胞、HBT5637(特開昭63−29
9)、大腸癌細胞株であるHCT-15等をあげることがで
き、好ましくは、Namalwa細胞、Namalwa KJM-1細胞また
はHCT-15をあげることができる。
【0068】得られた形質転換細胞を常法により培養す
る。具体的には、以下の形質転換体の培養方法をあげる
ことができる。形質転換体が動物細胞である場合、該細
胞を培養する培地は、一般に使用されているRPMI1640培
地〔The Journal of the American Medical Associatio
n, 199, 519 (1967)〕、EagleのMEM培地〔Science, 12
2,501 (1952)〕、DMEM培地〔Virology, 8, 396 (195
9)〕、199培地〔Proceeding of the Society for the B
iological Medicine, 73, 1 (1950)〕またはこれら培地
に牛胎児血清等を添加した培地等が用いられる。
【0069】培養は、通常pH6〜8、25〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また培
養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレ
プトマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0070】該培養により得られた細胞を、抗シアリル
ルイスa糖鎖抗体または抗シアリルルイスc糖鎖抗体を
用いて蛍光染色した後、FACSを用いて解析することによ
り、該発現プラスミドを導入した細胞においてシアリル
ルイスa糖鎖またはシアリルルイスc糖鎖量が増加する
かどうか検討する。シアリルルイスa糖鎖またはシアリ
ルルイスc糖鎖量が増加していれば、該DNAはシアリ
ルルイスa糖鎖またはシアリルルイスc糖鎖の合成に関
与する新規β1,3−ガラクトース転移酵素をコードし
ていると考えることができる。
【0071】シアリルルイスa糖鎖またはシアリルルイ
スc糖鎖と反応する抗体であればいかなるものでも、抗
シアリルルイスa糖鎖抗体または抗シアリルルイスc糖
鎖抗体として用いることができ、例えば、抗シアリルル
イスa糖鎖抗体である19-9(Fujirebio社製)やKM231(K
yowa Medex社製)、あるいは抗シアリルルイスc糖鎖抗
体であるDU-PAN-2(Kyowa Medex社製)をあげることが
できる。
【0072】以上のようにして、大腸癌細胞、膵臓癌細
胞等の消化器系癌細胞において、シアリルルイスa糖鎖
等のタイプ1糖鎖に属する癌関連糖鎖の合成に関与す
る、β1,3−ガラクトース転移酵素活性を有する新規
ポリペプチドをコードするDNAを取得することができ
る。
【0073】また、上記方法で取得したDNAとストリ
ンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを選択
することにより、配列番号1記載のアミノ酸配列と比較
して、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは
付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドをコード
する目的のDNAを取得することができる。
【0074】即ち、非ヒト動物、例えば、マウス、ラッ
ト、ウシ、サル等由来のcDNAライブラリーに対して
スクリーニングを行うことにより、目的のDNAを取得
することができる。決定された新規β1,3−ガラクト
ース転移酵素ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、
該ポリペプチドをコードするDNAを化学合成すること
によっても目的のDNAを調製することができる。DN
Aの化学合成は、チオホスファイト法を利用した島津製
作所社製のDNA合成機、フォスフォアミダイト法を利
用したパーキン・エルマー社製のDNA合成機mode
l392等を用いて行うことができる。
【0075】また、後述のオリゴヌクレオチドをセンス
プライマーおよびアンチセンスプライマーとして用い、
これらDNAに相補的なmRNAを発現している細胞の
mRNAから調製したcDNAを鋳型として、PCRを
行うことによっても、目的とするDNAを調製すること
ができる。
【0076】上述の方法で取得した本発明のDNAおよ
びDNA断片を用いて、モレキュラー・クローニング第
2版等に記載の常法、あるいはDNA合成機により、本
発明のDNAの一部の配列を有するアンチセンス・オリ
ゴヌクレオチド、センス・オリゴヌクレオチド等のオリ
ゴヌクレオチドを調製することができる。
【0077】該オリゴヌクレオチドとしては、上記DN
Aの有する塩基配列中の連続した5〜60塩基と同じ配
列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有す
るDNAをあげることができ、具体的には、配列番号2
または3で表される塩基配列中の連続した5〜60塩基
と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配
列を有するDNAをあげることができる。センスプライ
マーおよびアンチセンスプライマーとして用いる場合に
は、両者の融解温度(Tm)および塩基数が極端に変わ
ることのない上記記載のオリゴヌクレオチドが好まし
い。具体的には、配列番号20,21等に示された塩基
配列を有するオリゴヌクレオチドをあげることができ
る。
【0078】更に、これらオリゴヌクレオチドの誘導体
(以下、誘導体オリゴヌクレオチドという)も本発明の
オリゴヌクレオチドとして利用することができる。
【0079】該誘導体オリゴヌクレオチドとしては、オ
リゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスフォ
ロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチ
ド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN
3’−P5’ホスフォアミデート結合に変換された誘導
体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボー
スとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換さ
れた誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中
のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘
導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラ
シルがC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オ
リゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンが
C−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌ
クレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノ
キサジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytosin
e)で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌク
レオチド中のリボースが2’−O−プロピルリボースで
置換された誘導体オリゴヌクレオチド、あるいはオリゴ
ヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリ
ボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチド等をあげ
ることができる〔細胞工学, 16, 1463 (1997)〕。
【0080】(2)新規β1,3−ガラクトース転移酵
素ポリペプチド(以下、本発明のポリペプチドともい
う)の製造 本発明のポリペプチドは、モレキュラー・クローニング
第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラ
ー・バイオロジー サプルメント1〜38等に記載され
た方法等を用い、例えば以下の方法により、本発明のD
NAを宿主細胞中で発現させ、製造することができる。
【0081】本発明のポリペプチドをコードする全長D
NAを基にして、必要に応じて、該ポリペプチドをコー
ドする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。
また、該ポリペプチドをコードする部分の塩基配列を、
宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換し
たDNAを調製する。該DNAは該ポリペプチドの生産
率を向上させるうえで有用である。
【0082】該DNA断片、または全長DNAを適当な
発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することによ
り、組換え体DNA(組換えベクター)を作製する。該
組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞
に導入することにより、本発明のポリペプチドを生産す
る形質転換体を得ることができる。
【0083】宿主細胞としては、原核細胞、酵母、動物
細胞、昆虫細胞、植物細胞等、目的とする遺伝子を発現
できるものであればいずれも用いることができる。ま
た、動物個体や植物個体を用いることができる。発現ベ
クターとしては、上記宿主細胞において自立複製が可
能、または染色体中への組込みが可能で、新規β1,3
−ガラクトース転移酵素遺伝子の転写に適した位置にプ
ロモーターを含有しているものが用いられる。
【0084】細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる
場合、新規β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の発
現ベクターは、原核生物中で自立複製可能であると同時
に、プロモーター、リボソーム結合配列、新規β1,3
−ガラクトース転移酵素遺伝子、転写終結配列、より構
成されていることが好ましい。プロモーターを制御する
遺伝子が含まれていてもよい。
【0085】発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、
pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社よ
り市販)、pKK233-2(ファルマシア社)、pSE280(イン
ビトロジェン社)、pGEMEX-1〔プロメガ(Promega)社
製〕、pQE-8(キアゲン(QIAGEN)社製)、pKYP10(特開
昭58-110600)、pKYP200〔Agric. Biol. Chem., 48, 66
9(1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 277 (198
9)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306
(1985)〕、pBluescript II SK+(ストラタジーン社
製)、pBluescript II SK(-)(ストラタジーン社製)、
pTrs30(FERM BP-5407)、pTrs32(FERM BP-5408)、pGHA
2(FERM BP-400)、pGKA2(FERM B-6798)、pTerm2(特開平
3-22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pEG400
〔J. Bacteriol., 172, 2392 (1990)〕、pGEX(ファル
マシア社製)、pETシステム(ノバジェン社製)、pSupe
x、pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(Invitrogen社
製)、pMAL-c2(New England Biolabs社製)、pUC19〔G
ene, 33, 103 (1985)〕、pSTV28(宝酒造社製)、pUC11
8(宝酒造社製)、pPA1(特開昭63-233798)等を例示す
ることができる 。
【0086】プロモーターとしては、大腸菌等の宿主細
胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。
例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター
(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSE
プロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロ
モーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモータ
ー、penPプロモーター等をあげることができる。ま
たPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp
2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプ
ロモーターのように人為的に設計改変されたプロモータ
ー等も用いることができる。
【0087】リボソーム結合配列であるシャイン−ダル
ガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当
な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを
用いることが好ましい。本発明のDNAの発現には転写
終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子直下に
転写終結配列を配置することが好ましい。
【0088】宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラ
チア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、コリネバ
クテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス
属等に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1-B
lue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli D
H1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY32
76、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM10
9、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.4
9、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、
Escherichia coli BL21(DE3)、Escherichia coli BL21
(DE3)pLysS、Escherichia coli HMS174(DE3)、Escheric
hia coli HMS174(DE3)pLysS、Serratia ficariaSerra
tia fonticolaSerratia liquefaciensSerratia mar
cescensBacillus subtilisBacillus amyloliquefac
iensBrevibacterium ammmoniagenesBrevibacterium
immariophilum ATCC14068、Brevibacterium saccharol
yticumATCC14066、Corynebacterium glutamicum ATCC13
032、Corynebacterium glutam icum ATCC14067、Coryneb
acterium glutamicum ATCC13869、Corynebacterium ace
toacidophilum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphi
lum ATCC15354、Pseudo monas sp. D-0110等をあげるこ
とができる。
【0089】組換えベクターの導入方法としては、上記
宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用い
ることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Nu
cleic Acids Res., 16, 6127 (1988)〕、カルシウムイ
オンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69,
2110 (1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63-248394
2)、Gene, 17, 107 (1982)やMolecular & General Gen
etics, 168, 111 (1979)に記載の方法等をあげることが
できる。
【0090】酵母菌株を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC3711
5)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS1
9、pHS15等を例示することができる。プロモーターとし
ては、酵母菌株中で発現できるものであればいかなるも
のでもよく、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモー
ター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロ
モーター、gal 10プロモーター、ヒートショック蛋白質
プロモーター、MFα1プロモーター、CUP 1プロモーター
等をあげることができる。
【0091】宿主細胞としては、サッカロマイセス属、
シゾサッカロマイセス属、クルイベロミセス属、トリコ
スポロン属、シワニオミセス属、ピチア属等に属する酵
母菌株をあげることができ、具体的には、Saccharomyce
s cerevisiaeSchizosaccharomyces pombeKluyverom
yces lactisTrichosporon pullulansSchwanniomyce
s alluviusPichia pastoris等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導
入する方法であればいずれも用いることができ、例え
ば、エレクトロポレーション法〔Methods. Enzymol., 1
94, 182 (1990)〕、スフェロプラスト法〔Proc. Natl.
Acad. Sci. USA,84, 1929 (1978)〕、酢酸リチウム法
〔J. Bacteriol., 153, 163(1983)〕、Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 75, 1929 (1978)記載の方法等をあげるこ
とができる。
【0092】動物細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、 pcDNAI/Amp、pcDNA
I、pCDM8(いずれもフナコシ社より市販)、pAGE107
〔特開平3-22979、Cytotechnology, 3, 133 (1990)〕、
pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE103〔J. Bioche
m., 101, 1307 (1987)〕、pAMo、pAMoA〔J. Biol. Che
m., 268, 22782-22787 (1993)、別名pAMoPRSA
(特開平05-336963)〕、pAS3-3(特開平2-227075)等
を例示することができる。
【0093】プロモーターとしては、動物細胞中で発現
できるものであればいずれも用いることができ、例え
ば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(imme
diateearly)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プ
ロモーター、モロニー・ミュリン・ロイケミア・ウイル
ス(Moloney Murine Leukemia Virus)のロング・ター
ミナル・リピート・プロモーター(Long Terminal Repe
at Promoter)、レトロウイルスのプロモーター、ヒー
トショックプロモーター、SRαプロモーター、あるい
はメタロチオネインのプロモーター等をあげることがで
きる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーを
プロモーターと共に用いてもよい。
【0094】宿主細胞としては、マウス・ミエローマ細
胞、ラット・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ
細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細
胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞、ヒトの細
胞であるNamalwa細胞またはNamalwa KJM-1細胞、ヒト胎
児腎臓細胞、ヒト白血病細胞、HBT5637(特開昭63−29
9)、ヒト大腸癌細胞株等をあげることができる。
【0095】マウス・ミエローマ細胞としては、SP2/
0、NSO等、ラット・ミエローマ細胞としてはYB2/0等、
ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATCC: CRL-1573)等、
ヒト白血病細胞としてはBALL-1等、アフリカミドリザル
腎臓細胞としてはCOS-1、COS-7、ヒト大腸癌細胞株とし
てはHCT-15等をあげることができる。
【0096】組換えベクターの導入方法としては、動物
細胞にDNAを導入する方法であればいずれも用いるこ
とができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytote
chnology, 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウム法(特
開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕、virology, 52, 456
(1973)に記載の方法等をあげることができる。
【0097】昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例
えば、バキュロウイルス・イクスプレッション・ベクタ
ーズ ア・ラボラトリー・マニュアル〔Baculovirus Exp
ression Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freema
n and Company, NewYork (1992)〕、モレキュラー・バ
イオロジー ア・ラボラトリー・マニュアル(Molecular
Biology, A Laboratory Manual)、カレント・プロト
コールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー サプル
メント1〜38(Current Protocols in Molecular Bio
logy)、Bio/Technology, 6, 47 (1988)等に記載された
方法によって、ポリペプチドを発現することができる。
【0098】即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバ
キュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上
清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルス
を昆虫細胞に感染させ、ポリペプチドを発現させること
ができる。該方法において用いられる遺伝子導入ベクタ
ーとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII
(すべてインビトロジェン社製)等をあげることができ
る。
【0099】バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗
蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カ
リフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス
(Autographa californica nuclear polyhedrosis viru
s) 等を用いることができる。
【0100】昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperd
aの卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞、カイコ卵巣
由来の培養細胞等を用いることができる。Spodoptera f
rugiperdaの卵巣細胞としてはSf9、Sf21(バキュロウイ
ルス・イクスプレッション・ベクターズ ア・ラボラト
リー・マニュアル)等、Trichoplu sia niの卵巣細胞と
してはHigh 5、BTI-TN-5B1-4(インビトロジェン社製)
等、カイコ卵巣由来の培養細胞としてはBombyx mori N4
等をあげることができる。
【0101】組換えウイルスを調製するための、昆虫細
胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウ
イルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法(特開平2-227075)、リポフェクション法〔Proc.
Natl. Acad. Sci. USA, 84,7413 (1987)〕等をあげるこ
とができる。
【0102】また、動物細胞にDNAを導入する方法と
同様の方法を用いて、昆虫細胞にDNAを導入すること
もでき、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytotech
nology, 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウム法(特開
平2-227075)、リポフェクション法〔Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕等をあげることができ
る。
【0103】植物細胞または植物個体を宿主として用い
る場合には、公知の方法〔組織培養, 20 (1994)、組織
培養, 21 (1995)、Trends in Biotechnology, 15, 45
(1997)〕に準じてポリペプチドを生産することができ
る。発現ベクターとして、例えば、Tiプラスミド、タ
バコモザイクウイルスベクター等をあげることができ
る。
【0104】遺伝子発現に用いるプロモーターとして
は、植物細胞中で発現できるものであればいずれも用い
ることができ、例えば、カリフラワーモザイクウイルス
(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモー
ター等をあげることができる。また、プロモーターと発
現させる遺伝子の間に、トウモロコシのアルコール脱水
素酵素遺伝子のイントロン1等を挿入することにより、
遺伝子の発現効率をあげることもできる。
【0105】宿主細胞としては、ポテト、タバコ、トウ
モロコシ、イネ、アブラナ、大豆、トマト、ニンジン、
小麦、大麦、ライ麦、アルファルファ、亜麻等の植物細
胞等をあげることができる。組換えベクターの導入方法
としては、植物細胞にDNAを導入する方法であればい
ずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム
Agrobacterium)(特開昭59-140885、特開昭60-7008
0、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭6
0-251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方
法(特許第2606856、特許第2517813)等をあげることが
できる。
【0106】遺伝子を導入した植物の細胞や器官は、ジ
ャーファーメンターを用いて大量培養することができ
る。培養する培地としては、一般に使用されているムラ
シゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、ホワイト(White)培
地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニン
等、植物ホルモンを添加した培地等を用いることができ
る。
【0107】培養は、通常pH5〜9、20〜40℃の
条件下で3〜60日間行う。また、培養中必要に応じ
て、カナマイシン、ハイグロマイシン等の抗生物質を培
地に添加してもよい。また、遺伝子導入した植物細胞を
再分化させることにより、遺伝子が導入された植物個体
(トランスジェニック植物)を造成することもできる。
【0108】動物個体を用いて本発明のポリペプチドを
生産することもできる。例えば、公知の方法〔American
Journal of Clinical Nutrition, 63, 639S (1996)、A
merican Journal of Clinical Nutrition, 63, 627S (1
996)、Bio/Technology, 9, 830 (1991)〕に準じて、遺
伝子を導入した動物中に本発明のポリペプチドを生産す
ることができる。
【0109】プロモーターとしては、動物で発現できる
ものであればいずれも用いることができるが、例えば、
乳腺細胞特異的なプロモーターであるαカゼインプロモ
ーター、βカゼインプロモーター、βラクトグロブリン
プロモーター、ホエー酸性プロテインプロモーター等が
好適に用いられる。
【0110】本発明のポリペプチドをコードするDNA
を組み込んだ組換え体ベクターを保有する微生物、動物
細胞、あるいは植物細胞由来の形質転換体を、通常の培
養方法に従って培養し、該ポリペプチドを生成蓄積さ
せ、該培養物より該ポリペプチドを採取することによ
り、該ポリペプチドを製造することができる。
【0111】形質転換体が動物個体または植物個体の場
合は、通常の方法に従って、飼育または栽培し、該ポリ
ペプチドを生成蓄積させ、該動物個体または植物個体よ
り該ポリペプチドを採取することにより、該ポリペプチ
ドを製造することができる。
【0112】即ち、動物個体の場合、例えば、本発明の
DNAを保有する非ヒトトランスジェニック動物を飼育
し、該組換え体DNAのコードする新規β1,3−ガラ
クトース転移酵素活性を有するポリペプチドを該動物中
に生成・蓄積させ、該動物中より該ポリペプチドを採取
することにより、新規β1,3−ガラクトース転移酵素
活性を有するポリペプチドを製造することができる。該
動物中の生成・蓄積場所としては、例えば、該動物のミ
ルク、卵等をあげることができる。
【0113】植物個体の場合、例えば、本発明のDNA
を保有するトランスジェニック植物を栽培し、該組換え
体DNAのコードする新規β1,3−ガラクトース転移
酵素活性を有するポリペプチドを該植物中に生成蓄積さ
せ、該植物中より該ポリペプチドを採取することによ
り、新規β1,3−ガラクトース転移酵素活性を有する
ポリペプチドを製造することができる。
【0114】本発明のポリペプチド製造用形質転換体が
大腸菌等の原核生物、酵母菌等の真核生物である場合、
これら本発明の形質転換体を培地に培養し、培養物中に
本発明のポリペプチドを生成蓄積させ、該培養物から採
取することにより、本発明のポリペプチドを製造するこ
とができる。
【0115】本発明の形質転換体を培地に培養する方法
は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うこ
とができる。大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核
生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地と
しては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類
等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地で
あれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
【0116】炭素源としては、それぞれの微生物が資化
し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、
スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいは
デンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸
等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール
類を用いることができる。
【0117】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム等の各種無機酸や有機酸のアンモニウム
塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキ
ス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体
およびその消化物等を用いることができる。
【0118】無機塩としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。培養
は、振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下
で行う。
【0119】培養温度は15〜40℃がよく、培養時間
は、通常5時間〜7日間である。培養中pHは、3.0
〜9.0に保持する。pHの調整は、無機あるいは有機
の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニ
ア等を用いて行う。また培養中必要に応じて、アンピシ
リンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加して
もよい。
【0120】プロモーターとして誘導性のプロモーター
を用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養する
ときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加し
てもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベク
ターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロ
ピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、trpプロ
モーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を
培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加
してもよい。
【0121】本発明のポリペプチド製造用形質転換体が
動物細胞である場合、該細胞を培養する培地は、一般に
使用されているRPMI1640培地〔The Journal of the Ame
rican Medical Association, 199, 519 (1967)〕、Eagl
eのMEM培地〔Science, 122,501 (1952)〕、DMEM培地〔V
irology, 8, 396 (1959)〕、199培地〔Proceeding of t
he Society for the Biological Medicine, 73, 1 (195
0)〕またはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等
が用いられる。
【0122】培養は、通常pH6〜8、25〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また培
養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレ
プトマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0123】本発明のポリペプチド製造用形質転換体が
昆虫細胞である場合、該細胞を培養する培地としては、
一般に使用されているTNM−FH培地(ファーミンジ
ェン社製)、Sf-900 II SFM培地(ギブコBRL社
製)、ExCell400 、ExCell405〔い
ずれもJRHバイオサイエンシーズ社製〕、Grace's In
sectMedium〔Nature, 195, 788 (1962)〕等を用いるこ
とができる。
【0124】培養は、通常pH6〜7、25〜30℃等
の条件下で、1〜5日間行う。また、培養中必要に応じ
て、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよ
い。遺伝子の発現方法としては、ポリペプチド全長を発
現させる以外に、β1,3−ガラクトース転移酵素活性
を有する領域を含む部分ポリペプチドとして発現させる
こともできる。糖転移酵素は、一般にタイプ2型の膜タ
ンパク質のトポロジーを有し、N末端の数から数十アミ
ノ酸からなる細胞質領域、疎水性の高いアミノ酸配列を
有する膜結合領域、数から数十アミノ酸からなる幹領域
(stem region)、および触媒領域を含む残りの大半の
C末端部分からなっている。幹領域と触媒領域を含む残
りの大半のC末端部分は、ゴルジ体内腔に露出している
と考えられる。幹領域と触媒領域の境界は、N末端を欠
失させたポリペプチドを作製し、どこまで欠失させると
活性がなくなるかを検討することにより、実験的に求め
ることができる。一方、幹領域と触媒領域に関する知見
のある類似の糖転移酵素とアミノ酸配列を比較すること
により、幹領域と触媒領域を予想することもできる。
【0125】本発明の新規β1,3−ガラクトース転移
酵素の構造も、他の糖転移酵素と同様の構造を有してい
る。例えば、配列番号1で示されたアミノ酸配列を有す
る本発明のポリペプチドの場合、N末端の7アミノ酸か
らなる細胞質領域、それに続く19アミノ酸からなる疎
水性に富む膜結合領域、少なくとも4アミノ酸からなる
幹領域、および触媒領域を含む残りの大半のC末端部分
からなる。他のβ1,3−ガラクトース転移酵素とのア
ミノ酸配列上の相同性の比較、ならびに他のβ1,3−
ガラクトース転移酵素の幹領域と触媒領域に関する知見
〔特開平6-181759〕を基に、幹領域は少なくとも4アミ
ノ酸からなると予想される。従って、31番目から31
0番目のアミノ酸配列を含むポリペプチドは、触媒領域
を含むと考えられる。
【0126】上記のポリペプチド全長またはβ1,3−
ガラクトース転移酵素活性を有する領域(触媒領域)を
含む部分ポリペプチドは、直接発現させる以外に、モレ
キュラー・クローニング第2版に記載されている方法等
に準じて、分泌タンパク質または融合タンパク質として
発現させることもできる。融合させるタンパク質として
は、β-ガラクトシダーゼ、プロテインA、プロテイン
AのIgG結合領域、クロラムフェニコール・アセチル
トランスフェラーゼ、ポリ(Arg)、ポリ(Gl
u)、プロテインG、マルトース結合タンパク質、グル
タチオンS-トランスフェラーゼ、ポリヒスチジン鎖(H
is-tag)、Sペプチド、DNA結合タンパク質ドメイ
ン、Tac抗原、チオレドキシン、グリーン・フルオレ
ッセント・プロテイン、および任意の抗体のエピトープ
等があげられる〔山川彰夫,実験医学,13, 469-474 (1
995)〕。
【0127】本発明のポリペプチドの生産方法として
は、宿主細胞内に生産させる方法、宿主細胞外に分泌さ
せる方法、あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法が
あり、使用する宿主細胞や、生産させるポリペプチドの
構造を変えることにより、該方法を選択することができ
る。
【0128】本発明のポリペプチドが宿主細胞内あるい
は宿主細胞外膜上に生産される場合、ポールソンらの方
法〔J. Biol. Chem., 264, 17619 (1989)〕、ロウらの
方法〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 86, 8227 (198
9)、Genes Develop., 4, 1288(1990)〕、または特開平
05-336963、特開平06-823021等に記載の方法を準用する
ことにより、該ポリペプチドを宿主細胞外に積極的に分
泌させることができる。
【0129】すなわち、遺伝子組換えの手法を用いて、
本発明のポリペプチドの活性部位を含むポリペプチドの
手前にシグナルペプチドを付加した形で発現させること
により、本発明のポリペプチドを宿主細胞外に積極的に
分泌させることができる。
【0130】具体的には、触媒部位を含むと考えられる
31番目から310番目までのアミノ酸配列を有するポ
リペプチドの手前に、シグナルペプチドを付加して発現
させることにより、本発明のポリペプチドを宿主細胞外
に積極的に分泌させることができると考えられる。さら
に、シグナルペプチドと触媒領域を含むポリペプチドの
間、または触媒領域を含むポリペプチドのC末端に、精
製・検出用のタグを付加することもできる。精製・検出
用のタグとしては、β-ガラクトシダーゼ、プロテイン
A、プロテインAのIgG結合領域、クロラムフェニコ
ール・アセチルトランスフェラーゼ、ポリ(Arg)、
ポリ(Glu)、プロテインG、マルトース結合タンパ
ク質、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、ポリヒス
チジン鎖(His-tag)、Sペプチド、DNA結合タンパ
ク質ドメイン、Tac抗原、チオレドキシン、グリーン
・フルオレッセント・プロテイン、および任意の抗体の
エピトープ等があげられる〔山川彰夫,実験医学,13,
469-474 (1995)〕。また、特開平2-227075に記載されて
いる方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用
いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることも
できる。
【0131】本発明ポリペプチド製造用形質転換体の培
養物から、本発明のポリペプチドを単離・精製するに
は、通常の酵素の単離・精製法を用いることができる。
例えば、本発明のポリペプチドが本発明のポリペプチド
製造用形質転換体の細胞内に溶解状態で蓄積する場合に
は、培養物を遠心分離することにより、培養物中の細胞
を集め、該細胞を洗浄した後に、超音波破砕機、フレン
チプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミ
ル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。
【0132】該無細胞抽出液を遠心分離することにより
得られた上清から、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱
塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル
(DEAE)−セファロース、DIAION HPA-75 (三菱化
成社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフ
ィー法、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジ
ンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチル
セファロース、フェニルセファロース等のレジンを用い
た疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ
過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマト
フォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の
手法を用い、精製標品を得ることができる。
【0133】また、該ポリペプチドが細胞内に不溶体を
形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破砕し、
遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常
の方法により該ポリペプチドを回収後、該ポリペプチド
の不溶体をポリペプチド変性剤で可溶化する。該可溶化
液を、ポリペプチド変性剤を含まないあるいはポリペプ
チド変性剤の濃度がポリペプチドが変性しない程度に希
薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該ポリペプチドを正
常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法
により精製標品を得ることができる。
【0134】細胞外に該ポリペプチドが分泌される場合
には、該培養物を遠心分離等の手法により処理し、可溶
性画分を取得する。該可溶性画分から、上記無細胞抽出
液上清からの単離精製法と同様の手法により、該ポリペ
プチドの精製標品を得ることができる。
【0135】また、通常の糖転移酵素の精製方法〔J. E
van. Sadler ら:メソッド・イン・エンザイモロジー
(Methods in Enzymology),83,458〕に準じて精製でき
る。また、本発明のポリペプチドを他のタンパク質との
融合タンパク質として生産し、融合したタンパク質に親
和性をもつ物質を用いたアフィニティークロマトグラフ
ィーを利用して精製することもできる〔山川彰夫,実験
医学,13, 469-474(1995)〕。
【0136】例えば、ロウらの方法〔Proc.Natl.Acad.S
ci.,USA, 86, 8227 (1989)、GenesDevelop., 4, 1288
(1990)〕、特開平05-336963、特開平06-823021に記載
の方法に準じて、本発明のポリペプチドをプロテインA
との融合タンパク質として生産し、イムノグロブリンG
を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製
することができる。
【0137】また、本発明のポリペプチドをFLAGペ
プチドとの融合タンパク質として生産し、抗FLAG抗
体を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精
製することができる〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 8
6, 8227 (1989)、Genes Develop., 4, 1288 (199
0)〕。
【0138】更に、該ポリペプチド自身に対する抗体を
用いたアフィニティークロマトグラフィーで精製するこ
ともできる。本発明のポリペプチドは、公知の方法〔J.
Biomolecular NMR, 6, 129-134、Science, 242, 1162-
1164、J.Biochem., 110, 166-168 (1991)〕に準じて、i
n vitro転写・翻訳系を用いてを生産することができ
る。
【0139】上記で取得されたポリペプチドのアミノ酸
情報を基に、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカ
ルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニ
ル法)等の化学合成法によっても本発明のポリペプチド
を製造することができる。また、アドバンスト・ケムテ
ック(Advanced ChemTech )社、パーキン・エルマー
社、ファルマシアバイオテク社、プロテイン・テクノロ
ジー・インストゥルメント(Protein Technology Instr
ument)社、シンセセル・ベガ(Synthecell−Vega)
社、パーセプティブ(PerSeptive)社、島津製作所等の
ペプチド合成機を利用し化学合成することもできる。
【0140】精製した本発明のポリペプチドの構造解析
は、蛋白質化学で通常用いられる方法、例えば遺伝子ク
ローニングのためのタンパク質構造解析(平野久著、東
京化学同人発行、1993年)に記載の方法により実施
可能である。本発明のポリペプチドのβ1,3−ガラク
トース転移酵素活性は、公知の測定法〔J. Biol. Chem.
258, 9893-9898 (1983)、J. Biol. Chem. 262, 15649-
15658 (1987)、Archi. Biochem. Biophys. 270, 630-64
6 (1989)、Archi. Biochem.Biophys. 274, 14-25 (198
9)、特開平06-181759、J. Biol. Chem. 273, 58-65 (19
98)、J. Biol. Chem. 273, 433-440(1998)、J. Biol. C
hem. 273, 12770-12778 (1998)〕に準じて測定すること
ができる。
【0141】(3)ガラクトースがβ1,3結合で、N
−アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミン残
基、グルコースまたはグルコース残基に付加した構造を
有する糖鎖および該糖鎖を含有する複合糖質の製造 上記(2)で取得した微生物、動物細胞、植物細胞およ
び昆虫細胞由来の形質転換体から選ばれる形質転換体を
培養液中で培養し、該培養物中に、ガラクトースがβ
1,3結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセチル
グルコサミン残基、グルコースまたはグルコース残基に
付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖を含有する複合
糖質を生成・蓄積させ、該培養物中より該糖鎖または該
複合糖質を採取することにより、該糖鎖または該複合糖
質を製造することができる。
【0142】ガラクトースがβ1,3結合でN−アセチ
ルグルコサミン残基に付加した構造を含有する糖鎖とし
て、シアリルルイスa構造を含有する糖鎖、シアリルル
イスc構造を含有する糖鎖、ルイスa構造を含有する糖
鎖、ルイスb構造を含有する糖鎖、Galα1-3Galβ1-3Gl
cNAc構造を含有する糖鎖、Galα1-3(Fucα1-2)Galβ1-3
GlcNAc構造を含有する糖鎖、GalNAcα1-3(Fucα1-2)Gal
β1-3GlcNAc構造を含有する糖鎖等をあげることができ
る。
【0143】培養は上記(2)に準じて行うことができ
る。上記形質転換体において、本発明のポリペプチドと
任意の組換え糖タンパク質(例えば医薬用組換え糖タン
パク質)を、糖鎖合成可能な形質転換体中で同時に生産
させることにより、該組換え糖タンパク質に、ガラクト
ースがβ1,3結合で、N−アセチルグルコサミン、N
−アセチルグルコサミン残基、グルコースまたはグルコ
ース残基に付加した構造を有する糖鎖を付加することが
できる。
【0144】また、上記(2)で取得した動物個体また
は植物個体を用い、上記(2)の方法に準じて、ガラク
トースがβ1,3結合で、N−アセチルグルコサミン、
N−アセチルグルコサミン残基、グルコースまたはグル
コース残基に付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖の
付加した複合糖質を製造することができる。
【0145】即ち、動物個体の場合、例えば、本発明の
DNAを保有する非ヒトトランスジェニック動物を飼育
し、該動物中に、ガラクトースがβ1,3結合でN−ア
セチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミン残基、
グルコースまたはグルコース残基に付加した構造を有す
る糖鎖または該糖鎖の付加した複合糖質を生成・蓄積さ
せ、該動物中より該生成物を採取することにより、ガラ
クトースがβ1,3結合でN−アセチルグルコサミン、
N−アセチルグルコサミン残基、グルコースまたはグル
コース残基に付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖の
付加した複合糖質を製造することができる。
【0146】該動物中の生成・蓄積場所としては、例え
ば、該動物のミルク、卵等をあげることができる。植物
個体の場合、例えば、本発明のDNAを保有するトラン
スジェニック植物を栽培し、該植物中に、ガラクトース
がβ1,3結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセ
チルグルコサミン残基、グルコースまたはグルコース残
基に付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖の付加した
複合糖質を生成・蓄積させ、該植物中より該生産物を採
取することにより、ガラクトースがβ1,3結合でN−
アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミン残
基、グルコースまたはグルコース残基に付加した構造を
有する糖鎖または該糖鎖の付加した複合糖質を製造する
ことができる。
【0147】上記(2)記載の方法で取得される本発明
のポリペプチドを酵素源として用い、水性媒体中で、糖
鎖の非還元末端に存在するN−アセチルグルコサミン残
基またはN−アセチルグルコサミン単糖にβ1,3結合
でガラクトースが付与された反応産物を、以下の方法で
製造することができる。
【0148】即ち、N−アセチルグルコサミン単糖、N
−アセチルグルコサミン残基を非還元末端に有するオリ
ゴ糖、またはN−アセチルグルコサミン残基を糖鎖の非
還元末端に有する複合糖質を受容基質として、上記
(2)記載の方法で取得される本発明のポリペプチドを
酵素源として用い、該受容基質、該酵素源およびウリジ
ン−5’−二リン酸ガラクトース(UDP−Gal)を
水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中に、該受容基質
のN−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルグルコ
サミン残基にβ1,3結合でガラクトースが付与された
反応産物を生成・蓄積させ、該水性媒体中より該反応産
物を採取することにより、該反応産物を製造することが
できる。
【0149】上記(2)記載の方法で取得される本発明
のポリペプチドを酵素源として用い、水性媒体中で、糖
鎖の非還元末端に存在するグルコース残基またはグルコ
ース単糖にβ1,3結合でガラクトースが付与された反
応産物を、以下の方法で製造することができる。
【0150】即ち、グルコース単糖、グルコース残基を
非還元末端に有するオリゴ糖、またはグルコース残基を
糖鎖の非還元末端に有する複合糖質を受容基質として、
上記(2)記載の方法で取得される本発明のポリペプチ
ドを酵素源として用い、該受容基質、該酵素源およびU
DP−Galを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中
に、該受容基質のグルコースまたはグルコース残基にβ
1,3結合でガラクトースが付与された反応産物を生成
・蓄積させ、該水性媒体中より該反応産物を採取するこ
とにより、該反応産物を製造することができる。
【0151】酵素源は、アガラクトラクト−N−ネオテ
トラオース(agalact lacto-N-neotetraose, GlcNAcβ1
-3Galβ1-4Glc)を基質として、37℃で1分間に1μモ
ルのラクト−N−テトラオース(lacto-N-tetraose, Ga
lβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)を生成することのでき
る活性を1単位(U)として、0.1mU/l〜10,000U/
lであり、好ましくは1mU/l〜1,000U/lの濃度で
用いる。
【0152】水性媒体としては、水、りん酸塩、炭酸
塩、酢酸塩、ほう酸塩、クエン酸塩、トリス等の緩衝
液、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸エ
チル等のエステル類、アセトン等のケトン類、アセトア
ミド等のアミド類等をあげることができる。また、酵素
源として用いた微生物の培養液を水性媒体として用いる
ことができる。更に、上記(2)記載の培養により得ら
れた形質転換体の培養液、上記(2)記載の非ヒトトラ
ンスジェニック動物より得られたミルクを水性媒体とし
て用いることもできる。
【0153】水性媒体に、必要に応じて界面活性剤ある
いは有機溶媒を添加してもよい。界面活性剤としては、
ポリオキシエチレン・オクタデシルアミン(例えばナイ
ミーンS-215、日本油脂社製)等の非イオン界面活性
剤、セチルトリメチルアンモニウム・ブロマイドやアル
キルジメチル・ベンジルアンモニウムクロライド(例え
ばカチオンF2-40E、日本油脂社製)等のカチオン系界面
活性剤、ラウロイル・ザルコシネート等のアニオン系界
面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミン
FB、日本油脂社製)等の三級アミン類等、Gal含有糖
質の生成を促進するものであればいずれでもよく、1種
または数種を混合して使用することもできる。
【0154】界面活性剤は、通常0.1〜50g/lの
濃度で用いられる。有機溶剤としては、キシレン、トル
エン、脂肪族アルコール、アセトン、酢酸エチル等が挙
げられ、通常0.1〜50ml/lの濃度で用いられ
る。UDP−Galとしては、市販品の他、微生物等の
活性を利用して生成した反応液あるいは該反応液から精
製したものを用いることができる。該UDP−Galは
0.1〜500mMの濃度で用いることができる。
【0155】上記において、N−アセチルグルコサミン
残基を非還元末端に有するオリゴ糖としては、GlcNAcβ
1-3Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-3Galβ1-4GlcNAc、GlcNAc
β1-3(GlcNAcβ1-6)Galβ1-4Glc、GlcNAcβ1-3(GlcNAc
β1-6)Galβ1-4GlcNAc、GlcNAcβ1-3GalNAc、GlcNAcβ1
-6GalNAc、またはこれらオリゴ糖の構造のいずれか一
つの構造を糖鎖の非還元末端に有するオリゴ糖等をあげ
ることができる。
【0156】N−アセチルグルコサミン残基を糖鎖の非
還元末端に有する複合糖質としては、上記オリゴ糖の構
造のいずれか一つの構造を糖鎖の非還元末端に有する糖
鎖を含有する複合糖質、あるいはアシアロアガラクト複
合型N結合型糖鎖を含有する複合糖質等をあげることが
できる。
【0157】受容基質は0.01〜500mMの濃度で
用いることができる。該生成反応において、必要に応じ
てMnCl2等の無機塩、β−メルカプトエタノール、
ポリエチレングリコール等を添加することができる。生
成反応は水性媒体中、pH5〜10、好ましくはpH6
〜8、20〜50℃の条件で1〜96時間行う。
【0158】上記方法により生産される糖鎖または複合
糖質より、公知の酵素的手法または化学的手法により糖
鎖の一部を切り出すことができる〔日本生化学会編,続
生化学実験講座,第4巻,複合糖質研究法I,II,東京
化学同人,(1986年)、谷口直之・鈴木明身・古川清・
菅原和幸 監修,グリコバイオロジー実験プロトコー
ル,秀潤社,(1996年)〕。
【0159】(4)本発明のポリペプチドを認識する抗
体の作製 (i)ポリクローナル抗体の作製 上述(2)の方法により取得したポリペプチドの全長ま
たは部分断片精製標品、あるいは本発明の蛋白質の一部
のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原として用い、動
物に投与することによりポリクローナル抗体を作製する
ことができる。
【0160】投与する動物として、ウサギ、ヤギ、ラッ
ト、マウス、ハムスター等を用いることができる。該抗
原の投与量は動物1匹当たり50〜100μgが好まし
い。ペプチドを用いる場合は、ペプチドをスカシガイヘ
モシアニン(keyhole limpet haemocyanin)や牛チログ
ロブリン等のキャリア蛋白に共有結合させたものを抗原
とするのが望ましい。抗原とするペプチドは、ペプチド
合成機で合成することができる。
【0161】該抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2
週間おきに3〜10回行う。各投与後、3〜7日目に眼
底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応
することを酵素免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELIS
A法):医学書院刊 1976年、Antibodies-A Labor
atory Manual, Cold Spring Harbor Lavoratory (198
8)〕等で確認する。
【0162】免疫に用いた抗原に対し、その血清が充分
な抗体価を示した非ヒトほ乳動物より血清を取得し、該
血清より、下記方法によりポリクローナル抗体を分離、
精製することができる。抗体を分離、精製する方法とし
ては、遠心分離、40〜50%飽和硫酸アンモニウムに
よる塩析、カプリル酸沈殿〔Antibodies,A Laboratory
manual,Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)〕、ま
たはDEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カラ
ム、プロテインAまたはG−カラムあるいはゲル濾過カ
ラム等を用いるクロマトグラフィー等を、単独または組
み合わせて処理する方法があげられる。
【0163】(ii)モノクローナル抗体の作製 (a)抗体産性細胞の調製 免疫に用いた本発明のポリペプチドの部分断片ポリペプ
チドに対し、その血清が十分な抗体価を示したラットを
抗体産生細胞の供給源として供する。
【0164】該抗体価を示したラットに抗原物質を最終
投与した後3〜7日目に、脾臓を摘出する。 該脾臓を
MEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットで
ほぐし、1,200rpmで5分間遠心分離した後、上
清を捨てる。
【0165】得られた沈殿画分の脾細胞をトリス−塩化
アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理
し赤血球を除去した後、MEM培地で3回洗浄し、得ら
れた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。 (b)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから取得した
株化細胞を使用する。
【0166】例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BA
LB/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(以下、P3−U
1と略す)〔Curr. Topics. Microbiol. Immunol., 81,
1 (1978)、Europ. J. Immunol., 6, 511 (1976)〕、SP2
/0-Ag14(SP-2)〔Nature, 276,269 (1978)〕、P3-X63-Ag
8653(653)〔J. Immunol., 123, 1548 (1979)]、P3-X63
-Ag8(X63)〔Nature, 256, 495 (1975)〕等を用いること
ができる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地
〔RPMI-1640培地にグルタミン(1.5mM)、2−メ
ルカプトエタノール(5×10-5M)、ジェンタマイシ
ン(10μg/ml)および牛胎児血清(FCS)(C
SL社製、10%)を加えた培地(以下、正常培地とい
う)に、さらに8−アザグアニン(15μg/ml)を
加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正
常培地で培養し、融合には該細胞を2×107個以上用
いる。
【0167】(c)ハイブリドーマの作製 (a)で取得した抗体産生細胞と(b)で取得した骨髄腫細胞
をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム 1.
83g、リン酸一カリウム 0.21g、食塩7.65
g、蒸留水 1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、
細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1に
なるよう混合し、1,200rpmで5分間遠心分離し
た後、上清を捨てる。
【0168】得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、
該細胞群に、攪拌しながら、37℃で、108抗体産生
細胞あたり、ポリエチレングライコール−1000(P
EG−1000) 2g、MEM 2mlおよびジメチル
スルホキシド(DMSO)0.7mlを混合した溶液を
0.2〜1ml添加し、更に1〜2分間毎にMEM培地
1〜2mlを数回添加する。
【0169】添加後、MEM培地を加えて全量が50m
lになるように調製する。該調製液を900rpmで5
分間遠心分離後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の細
胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペットによる吸込
み、吹出しでゆるやかにHAT培地〔正常培地にヒポキ
サンチン(10-4M)、チミジン(1.5×10-5M)
およびアミノプテリン(4×10-7M)を加えた培地〕
100ml中に懸濁する。
【0170】該懸濁液を96穴培養用プレートに100
μl/穴ずつ分注し、5% CO2インキュベーター中、
37℃で7〜14日間培養する。培養後、培養上清の一
部をとりアンチボディイズ〔Antibodies, A Laboratory
manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14
(1988)〕等に述べられている 酵素免疫測定法により、
本発明のポリペプチドの部分断片ポリペプチドに特異的
に反応するハイブリドーマを選択する。
【0171】酵素免疫測定法の具体的例として、以下の
方法をあげることができる。免疫の際、抗原に用いた本
発明のポリペプチドの部分断片ポリペプチドを適当なプ
レートにコートし、ハイブリドーマ培養上清もしくは後
述の(d)で得られる精製抗体を第一抗体として反応さ
せ、さらに第二抗体としてビオチン、酵素、化学発光物
質あるいは放射線化合物等で標識した抗ラットまたは抗
マウスイムノグロブリン抗体を反応させた後に標識物質
に応じた反応を行ない、本発明のポリペプチドに特異的
に反応するものを本発明のモノクローナル抗体を生産す
るハイブリドーマとして選択する。
【0172】該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法に
よりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地
(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回
目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認
められたものを本発明のポリペプチドの抗ポリペプチド
抗体産生ハイブリドーマ株として選択する。
【0173】(d)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投
与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまた
はヌードマウスに、(c)で取得した本発明のポリペプチ
ドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞5〜20
×106細胞/匹を腹腔内に注射する。10〜21日間
でハイブリドーマは腹水癌化する。
【0174】該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、
3,000rpmで5分間遠心分離して固形分を除去す
る。得られた上清より、ポリクローナルで用いた方法と
同様の方法でモノクローナル抗体を精製、取得すること
ができる。
【0175】抗体のサブクラスの決定は、マウスモノク
ローナル抗体タイピングキットまたはラットモノクロー
ナル抗体タイピングキットを用いて行う。抗体のクラス
とは抗体のアイソタイプのことで、ヒトでは、IgG、Ig
A、IgM、IgD、IgEがあげられる。サブクラスとは、クラ
ス内のアイソタイプのことで、マウスでは、IgG1、IgG2
a、IgG2b、IgG3、ヒトでは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4が
あげられる。
【0176】抗体の蛋白質量は、ローリー法あるいは2
80nmでの吸光度より算出する。 (5)本発明のDNAまたはオリゴヌクレオチドを用い
た疾患の治療や診断等への利用 本発明のDNAは、アンチセンスRNA/DNA技術
〔バイオサイエンスとインダストリー, 50, 322 (199
2)、化学, 46, 681 (1991)、Biotechnology,9, 358(199
2)、Trends in Biotechnology, 10, 87 (1992) 、Trend
s in Biotechnology, 10, 152 (1992)、細胞工学, 16,
1463 (1997)〕あるいはトリプル・ヘリックス技術〔Tre
nds in Biotechnology, 10, 132 (1992)〕を用いた癌転
移抑制等の疾病の治療、ノーザンハイブリダイゼーショ
ン法またはPCR法を用いたそれら癌の診断に利用する
ことが可能である。
【0177】例えば、上記(1)記載の本発明のDN
A、オリゴヌクレオチドまたはその誘導体を投与するこ
とにより、本発明のポリペプチドの生産を抑制すること
ができる。即ち、本発明のDNA、オリゴヌクレオチド
またはその誘導体を用いて、本発明のポリペプチドをコ
ードするDNAの転写の抑制、本発明のポリペプチドを
コードするmRNAの翻訳の抑制を行うことが可能であ
る。
【0178】また、本発明のDNAあるいは該DNAよ
り調製した上記オリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハ
イブリダイゼーション法またはPCR法により、本発明
のポリペプチドをコードするDNAの発現量を定量する
ことができる。更に、本発明のDNAをプローブとし
て、公知の方法〔東京大学医科学研究所制癌研究部編、
新細胞工学実験プロトコール、秀潤社 (1993
年)〕を用いて、該遺伝子のプロモーター領域を取得す
ることが可能である。
【0179】現在、多くの機能未知のヒト染色体遺伝子
の配列がデータベースに登録されている。したがって、
本発明のポリペプチドをコードするヒトcDNAの配列
と、データベースに登録されてるヒト染色体遺伝子の配
列とを比較することにより、本発明のポリペプチドをコ
ードするヒト染色体遺伝子を同定し、該遺伝子の構造を
明らかにできる可能性がある。cDNAの配列と一致す
る染色体遺伝子配列が登録されていれば、cDNAの配
列と染色体遺伝子の配列を比較することにより、本発明
のポリペプチドをコードする染色体遺伝子のプロモータ
ー領域、エクソンおよびイントロン構造を決定すること
ができる。
【0180】プロモーター領域としては、哺乳動物細胞
において本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の転
写に関与するすべてのプロモーター領域があげられる。
例えば、ヒト大腸癌細胞あるいはヒト膵臓癌細胞で、本
発明のポリペプチドをコードする遺伝子の転写に関与す
るプロモータ領域をあげることができる。具体的には、
例えば、配列番号3で表される塩基配列の1〜5000
番目の塩基配列中の連続する50〜5000bpの配列
を有するプロモーターDNAをあげることができる。該
プロモーターは後述のスクリーニング法に利用すること
ができる。
【0181】糖転移酵素遺伝子には多型や変異が存在す
ることが知られている。例えば、ABO式血液型の決定
に関与する糖転移酵素に関しては、遺伝子多型に基づく
アミノ酸配列の違いにより以下の3種の酵素が生成され
る。A型抗原の合成に関与するα1,3-N−アセチルガラ
クトサミン転移酵素、B型抗原の合成に関与するα1,3-
ガラクトース転移酵素、およびO(H)型糖鎖の生成に
関与する活性を持たない酵素〔Nature, 345, 229-233
(1990)〕。
【0182】またルイス式血液型の決定に関与するα
1,3-フコース転移酵素(Fuc−TIII)の場合
も、遺伝子多型に基づくアミノ酸配列の違いにより、活
性が低下または消失した酵素が生成することが知られて
いる〔J. Biol. Chem. 269, 29271-29278 (1994)、Bloo
d 82, 2915-2919 (1993)、J. Biol. Chem. 269, 20987-
20994 (1994)、J. Biol. Chem. 272, 21994-21998 (199
7)〕。
【0183】Fuc−TIII遺伝子の多型は、大腸癌
における癌関連糖鎖抗原であるシアリルルイスa糖鎖の
発現と密接な関係があることが知られている〔Cancer R
es.56, 330-338 (1996)、Cancer Res. 58, 512-518 (19
98)〕。従って、Fuc−TIIIの多型を調べること
により、病気の診断や予後の予測を行うことができると
考えられる。
【0184】本発明の新規β1,3-ガラクトース転移酵
素は、大腸癌や膵臓癌においてシアリルルイスa糖鎖ま
たはシアリルルイスc糖鎖の合成に関与することから、
本遺伝子の多型を調べることにより、大腸癌や膵臓癌の
診断や予後の予測に利用できる。
【0185】また、本遺伝子の多型と、本遺伝子が発現
している臓器(胃、空腸、大腸、膵臓など)における疾
患との関連を調べることにより、他の疾患の診断にも利
用できる。本遺伝子の多型解析は、本遺伝子の遺伝子配
列情報を用いて行うことができる。具体的には、サザン
ブロット法、ダイレクトシークエンス法、PCR法、D
NAチップ法などを用いて遺伝子多型を解析することが
できる〔臨床検査, 42, 1507-1517 (1998)、臨床検査,
42, 1565-1570 (1998)〕。
【0186】(6)本発明のポリペプチドの利用 (a)本発明の抗体作製への利用 本発明のポリペプチドを用い、上記(4)の方法により
本発明の抗体を作製することができる。
【0187】(b)本発明のポリペプチドを用いる糖
鎖、複合糖質製造への利用 本発明のポリペプチドを用い、ガラクトースがβ1,3
結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコ
サミン残基、グルコースまたはグルコース残基に付加し
た構造を有する糖鎖または該糖鎖の付加した複合糖質を
製造することができる。 (c)本発明のポリペプチドの活性に関与する物質のス
クリーニングへの利用 本発明のポリペプチドは、下記(8)の(a)の方法に
より、該ポリペプチドの活性を増強または阻害する化合
物をスクリーニングすることができる。
【0188】(7)本発明の抗体の利用 (a)本発明の抗体を用いる本発明のポリペプチドの免
疫学的検出および定量 本発明のポリペプチドの免疫学的検出法としては、マイ
クロタイタープレートを用いるELISA法・蛍光抗体
法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法等をあげる
ことができる。
【0189】免疫学的定量法としては、液相中で本発明
のポリペプチドと反応する抗体のうちエピトープが異な
る2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチE
LISA法、126I等の放射性同位体で標識した本発明の
蛋白質と本発明の蛋白質を認識する抗体とを用いるラジ
オイムノアッセイ法等をあげることができる。上記検出
あるいは定量法は、大腸癌、膵臓癌等の診断に利用する
ことができる。
【0190】(b)本発明の抗体を含有する医薬 本発明の抗体は、医薬、例えば大腸癌、膵臓癌等の疾患
の治療薬として用いることができる。
【0191】本発明の抗体を含有する医薬は、治療薬と
して該化合物単独で投与することも可能ではあるが、通
常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体
と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られ
る任意の方法により製造した医薬製剤として提供するの
が望ましい。
【0192】投与経路は、治療に際して最も効果的なも
のを使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧
剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座
剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
【0193】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげら
れる。例えば乳剤およびシロップ剤のような液体調製物
は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール等のグリコー
ル類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒド
ロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフ
レーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤と
して用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒
剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の賦
形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ス
テアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチ
ン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセ
リン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0194】非経口投与に適当な製剤としては、注射
剤、座剤、噴霧剤等があげられる。例えば、注射剤は、
塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる
担体等を用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪
またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。また、
噴霧剤は該化合物そのもの、ないしは受容者の口腔およ
び気道粘膜を刺激せず、かつ該化合物を微細な粒子とし
て分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製す
る。担体として具体的には乳糖、グリセリン等が例示さ
れる。該化合物および用いる担体の性質により、エアロ
ゾル、ドライパウダー等の製剤が可能である。また、こ
れらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示し
た成分を添加することもできる。
【0195】投与量または投与回数は、目的とする治療
効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なる
が、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kg
である。
【0196】(8)スクリーニング法への応用。 本発明の新規β1,3−ガラクトース転移酵素ポリペプ
チドは、大腸癌細胞や膵臓癌細胞等の消化器系癌細胞に
おいて、シアリルルイスa糖鎖、シアリルルイスc糖
鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖等のタイプ1糖鎖の合
成に関与することから、該ポリペプチドの活性を増強ま
たは阻害する化合物を用いて、細胞におけるタイプ1糖
鎖の合成量を増加または低下させることが可能である。
【0197】また、該ポリペプチドをコードする遺伝子
の転写過程、あるいは転写産物からタンパク質への翻訳
過程を促進または抑制する化合物は、該ポリペプチドの
発現を制御し、細胞におけるタイプ1糖鎖の合成量を制
御することが可能である。
【0198】タイプ1糖鎖の合成量を抑制する化合物
は、癌転移抑制に有用と考えられる。一方、タイプ1糖
鎖の合成量を増加させる化合物は、タイプ1糖鎖の合成
に有用と考えられる。上記の化合物は、以下(a)〜
(e)に示す方法により取得可能である。
【0199】(a)上記(2)で記載した方法を用いて
調製した本発明の新規β1,3−ガラクトース転移酵素
活性を有するポリペプチド(精製物あるいは該ポリペプ
チドを発現する形質転換体の細胞抽出液または培養上
清)を酵素として用い、被験試料の存在下、公知の方法
〔J. Biol. Chem. 258, 9893-9898 (1983)、J. Biol. C
hem. 262, 15649-15658 (1987)、Archi. Biochem. Biop
hys. 270, 630-646 (1989)、Archi. Biochem. Biophys.
274, 14-25 (1989)、特開平06-181759、J. Biol.Chem.
273, 58-65 (1998)、J. Biol. Chem. 273, 433-440(19
98)、J. Biol. Chem. 273, 12770-12778 (1998)〕を用
いてβ1,3−ガラクトース転移酵素活性を測定し、β
1,3−ガラクトース転移酵素活性を増加または低下さ
せる活性を有する化合物を選択・取得する。
【0200】(b)本発明のポリぺプチドを発現する細
胞または上記(2)で記載した形質転換体を、被験試料
の存在下、上記(2)の培養法で2時間から1週間培養
後、細胞表面のシアリルルイスa糖鎖、シアリルルイス
c糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖等のタイプ1糖鎖
の量を、それぞれの糖鎖に対する抗体を用いて測定し、
該糖鎖量を増加または低下させる活性を有する化合物を
選択・取得する。
【0201】上記抗体を用いた測定法としては、例え
ば、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、
蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色等を
用いた検出法をあげることができる。 (c)本発明のポリぺプチドを発現する細胞を、被験試
料の存在下、上記(2)の培養法で2時間から1週間培
養後、細胞中の該ポリぺプチド量を、上記(4)で記載
した本発明の抗体を用いて測定し、該ポリぺプチド量を
増加または低下させる活性を有する化合物を選択・取得
する。
【0202】本発明の抗体を用いた測定法としては、例
えば、マイクロタイタープレートを用いるELISA
法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色
等を用いた検出法をあげることができる。 (d)本発明のポリぺプチドを発現する細胞を、被験試
料の存在下、上記(2)で記載の培養法で2時間から1
週間培養後、細胞中の該ポリぺプチドをコードする遺伝
子転写産物の量を、上記(5)で記載したノーザンハイ
ブリダイゼーション法またはPCR法等の方法を用いて
測定し、該転写産物量を増加または低下させる活性を有
する化合物を選択・取得する。
【0203】(e)上記(4)で取得したプロモーター
の下流にレポーター遺伝子を連結したDNAを組み込ん
だプラスミドを公知の方法により作製し、上記(2)記
載の動物細胞に、上記(2)記載の方法に準じて導入
し、形質転換体を取得する。該形質転換体を、被験試料
の存在下、上記(2)記載の培養法で2時間から1週間
培養後、細胞中のレポーター遺伝子の発現量を、公知の
方法〔東京大学医科学研究所 制癌研究部編, 新細胞工
学実験プロトコール, 秀潤社 (1993),Biotechniques, 2
0, 914 (1996)、J. Antibiotics, 49, 453 (1996) 、Tr
ends in BiochemicalSciences, 20, 448 (1995)、細胞
工学, 16, 581 (1997)〕を用いて測定し、該発現量を増
加または低下させる活性を有する化合物を選択・取得す
る。
【0204】レポーター遺伝子としては、例えば、クロ
ラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝
子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺
伝子、ルシフェラーゼ遺伝子またはグリーン・フルオレ
ッセント・プロテイン(GFP)遺伝子等をあげること
ができる。
【0205】(9)ノックアウト非ヒト動物の作製 本発明のDNAを含むベクターを用い、目的とする非ヒ
ト動物、例えばウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ニワ
トリ、マウス等の胚性幹細胞(embryonic stemcell)にお
いて染色体上の本発明のポリペプチドをコードするDN
Aを公知の相同組換えの手法〔例えば、Nature, 326, 6
110, 295 (1987)、Cell, 51, 3, 503(1987)等〕により
不活化または任意の配列と置換した変異クローンを作成
することができる〔例えば、Nature, 350, 6315, 243
(1991)〕。
【0206】このようにして作成した胚性幹細胞クロー
ンを用い、非ヒト動物の受精卵の胚盤胞(blastcyst)へ
の注入キメラ法または集合キメラ法等の手法により胚性
幹細胞クローンと正常細胞からなるキメラ個体を作成す
ることができる。該キメラ個体と正常個体の掛け合わせ
により、全身の細胞の染色体上の本発明のポリペプチド
をコードするDNAに任意の変異を有する個体を得るこ
とができ、さらにその個体の掛け合わせにより相同染色
体の双方に変異が入った、ホモ個体(ノックアウト非ヒ
ト動物)を得ることができる。
【0207】このようにして動物個体において、染色体
上の本発明のポリペプチドをコードするDNAの任意の
位置へ変異の導入が可能である。例えば染色体上の本発
明のポリペプチドをコードするDNAの翻訳領域中への
塩基置換、欠失、挿入等の変異を導入することにより、
その産物の活性を変化させることができる。
【0208】またその発現制御領域への同様な変異の導
入により、発現の程度、時期、組織特異性等を改変させ
ることも可能である。さらにCre-loxP系との組合せによ
り、より積極的に発現時期、発現部位、発現量等を制御
することも可能である。
【0209】このような例として、脳のある特定の領域
で発現されるプロモータを利用して、その領域でのみ目
的遺伝子を欠失させた例〔Cell, 87, 7, 1317 (1996)〕
やCreを発現するアデノウィルスを用いて、目的の時期
に、臓器特異的に目的遺伝子を欠失させた例〔Science,
278, 5335, (1997)〕が知られている。
【0210】従って染色体上の本発明のポリペプチドを
コードするDNAについてもこのように任意の時期や組
織で発現を制御できる、または任意の挿入、欠失、置換
をその翻訳領域や、発現制御領域に有するノックアウト
非ヒト動物を作製することが可能である。
【0211】このようなノックアウト非ヒト動物は任意
の時期、任意の程度または任意の部位で、本発明のポリ
ペプチドに起因する種々の疾患の症状を誘導することが
できる。従って、本発明のノックアウト非ヒト動物は、
本発明のポリペプチドに起因する種々の疾患の治療や予
防において極めて有用な動物モデルとなる。特にその治
療薬、予防薬、また機能性食品、健康食品等の評価用モ
デルとして非常に有用である。
【0212】
【実施例】以下実施例を示す。遺伝子操作的手法とし
て、断らない限りモレキュラー・クローニング第2版に
記載された方法を用いた。
【0213】実施例1 各種細胞株におけるタイプ1糖
鎖の発現量と既知β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝
子の発現量の測定 各種ヒト癌細胞株におけるタイプ1糖鎖(シアリルルイ
スa糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖)の発現量と既
知のヒトβ1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の発現
量を測定することにより、大腸癌細胞株あるいは膵臓癌
細胞株でタイプ1糖鎖の合成に関与するβ1,3−ガラ
クトース転移酵素の同定を試みた。
【0214】各種細胞株におけるタイプ1糖鎖(シアリ
ルルイスa糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖)の発現
量の測定は、抗シアリルルイスa糖鎖抗体、抗ルイスa
糖鎖抗体、または抗ルイスb糖鎖抗体を用いた蛍光抗体
染色後、FACSを用いて解析することにより行った
(図1のA)。
【0215】各種ヒト細胞株における既知β1,3−ガ
ラクトース転移酵素(β3Gal−T1、β3Gal−
T2、β3Gal−T3、β3Gal−T4)遺伝子の
転写物の定量は、RT−PCR法〔Proc. Natl. Acad.
Sci. USA., 87, 2725 (1990)、J. Biol. Chem., 269, 1
4730(1994)、特開平06-181759、J. Biol. Chem., 273,
26729(1998)〕を用いて行った。各種細胞株における各
β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子転写産物の量
は、いずれの細胞においても同程度発現していると考え
られるβ-アクチンの転写産物の量を1000とした時
の相対値として表示した(図1のB)。
【0216】(1)各種細胞株におけるタイプ1糖鎖
(シアリルルイスa糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖
鎖)の発現量の測定 細胞株としては、大腸癌細胞株(Colo205、Colo201、SW
1116、LS180、HT29、WiDr、HCT-15、SW480、SW620)、
膵臓癌細胞株(Capan-1、Capan-2)、胃癌細胞株(KATO
III、MKN45、MKN74)、肺癌細胞株(PC-1)、神経芽細
胞腫細胞株(SK-N-MC、SK-N-SH)、リンパ腫細胞株(Na
malwa、Jurkat)、前立腺癌細胞株(PC-3)を用いた。
【0217】Colo205、Colo201、LS180、HT29、WiDr、H
CT-15、SW480、SW620、Capan-1、Capan-2、KATOIII、MK
N45、MKN74、PC-1、SK-N-MC、SK-N-SH、Namalwa、PC-3
はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション (Am
erican Type Culture Collection;ATCC)より入手
した。また、SW1116(ATCCより入手可能)およびJu
rkat(理研ジーンバンク;RIKEN GENE BANKより入手可
能)は愛知県がんセンターの高橋博士より入手した。
【0218】上記の細胞をそれぞれの細胞に適した培地
で培養後、各細胞を抗シアリルルイスa糖鎖抗体(19-
9)、抗ルイスa糖鎖抗体(7LE)、または抗ルイスb糖
鎖抗体(Neokokusai社製)を用いて蛍光抗体染色し、F
ACSを用いて解析した。
【0219】具体的方法を以下に示す。各細胞(約1×
106)をマイクロチューブ(1.5ml:エッペンド
ルフ社製)にとり、遠心分離(550×g、7分間)に
より細胞を集めた。該細胞を0.9mlの0.1%のア
ジ化ナトリウムを含むリン酸緩衝液PBS(A−PB
S:8g/l NaCl、0.2g/l KCl、1.1
5g/l Na2HPO4(無水)、0.2g/l KH2
PO4、0.1% アジ化ナトリウム)で洗浄した後、該
洗浄細胞にA−PBSで約10μg/mlに希釈した上
記抗糖鎖抗体を20μl加えて懸濁し、4℃で1時間反
応させた。
【0220】反応後、細胞を0.9mlのA−PBSで
1回洗浄した後、フルオレセインイソチオシアネート
(FITC)で蛍光標識した抗マウスIgM/IgG抗
体(Bio-Rad社製)をA−PBSで16倍希釈した溶液
を20μl加えて懸濁し、4℃で30分間反応させた。
【0221】反応後、細胞を0.9mlのA−PBSで
1回洗浄した後、0.6mlのA−PBSに懸濁し、フ
ルオレッセンス・アクティベーティド・セル・ソーター
〔エピックス・エリート・フローサイトメーター(EPIC
S Elite Flow Cytometer);コールター(COULTER)社
製〕を用いて解析を行なった。また対照実験として、抗
糖鎖抗体の代わりにA−PBSを用いて同様の解析を行
なった。
【0222】結果を図1のAに示す。大腸癌細胞株であ
るColo205、Colo201、SW1116、および膵臓癌細胞株であ
るCapan-2においてタイプ1糖鎖が多く発現しているこ
と確認した。 (2)各種ヒト細胞株における既知β1,3−ガラクト
ース転移酵素(β3Gal−T1、β3Gal−T2、
β3Gal−T3、β3Gal−T4)遺伝子の転写物
の定量 (a)各種細胞株由来一本鎖cDNAの調製 上記(1)記載の細胞株から酸グアニジウム チオシア
ネート フェノール−クロロホルム法〔Anal. Biochem.
162, 156-159〕により全RNAを抽出した。
【0223】全RNA各々6μgに、デオキシリボヌク
レアーゼI(Life Technologies社製)を5単位/ml
ずつ添加し、室温で5分間反応させた。反応後、65℃
で15分間加熱することにより、酵素を失活させた。得
られた全RNA各々について、オリゴ(dT)プライマ
ーを用いてSUPERSCRIPTTM Preamplification System fo
r First Strand cDNA System(Life Technologies社)
によりcDNAを合成した。反応は20μlで行い、反
応後の溶液を水で50倍希釈し、使用するまで−80℃
で保管した。
【0224】(b)スタンダードと内部コントロールの
調製 検量線の作成に用いるスタンダードとしては、ヒトβ3
Gal−T1、ヒトβ3Gal−T2、ヒトβ3Gal
−T3、ヒトβ3Gal−T4の各cDNAをpUC119ま
たはpBluescript SK(-)に組み込んだプラスミド(pUC11
9-3GT1、pBS-3GT2、pBS-3GT3、pBS-3GT4)を、各cDN
A部分を切り出す適当な制限酵素で切断し、直鎖状DN
Aに変換したものを用いた。
【0225】pUC119-3GT1は、特開平6-181759記載のプ
ラスミドpUC119-WM1(FERM BP−4011)と同
じものである。ヒトβ3Gal−T2、ヒトβ3Gal
−T3およびヒトβ3Gal−T4の各cDNAの取得
は、以下のように行った。各cDNAの配列に特異的な
プライマーを用いてPCRを行うことにより各cDNA
の断片を取得した。
【0226】取得された各cDNA断片をプローブとし
て用いて、コロニーハイブリダイゼーションまたはプラ
ークハイブリダイゼーションを行うことにより、それぞ
れのcDNAを取得した。ヒトβ3Gal−T2、ヒト
β3Gal−T3およびヒトβ3Gal−T4の塩基配
列を、LI−COR社のDNAシークエンサー(dNAseq
uencer model 4000L)またはパーキンエルマー社のDN
Aシークエンサー377と、各シークエンサー用の反応
キットを用いて決定し、それぞれヒトβ3Gal−T
2、ヒトβ3Gal−T3、ならびにヒトβ3Gal−
T4をコードすることを確認した。各cDNAは公知の
配列をもとにしたPCRによっても得ることができる。
【0227】β−アクチンの転写産物定量用のスタンダ
ードとしては、pUC119−ACTをcDNA部分を
切り出す制限酵素(HindIIIとAsp718)で
切断して直鎖状DNAに変換したものを用いた〔J. Bio
l. Chem., 269, 14730(1994)、特開平06-181759〕。
【0228】内部コントロールとしては、下記のように
して調製したプラスミド(pBS-3GT1d、pBS-3GT2d、pBS-
3GT3d、pBS-3GT4d)を、各cDNAを切り出す適当な制
限酵素で切断し、直鎖状DNAに変換したものを用い
た。pUC119-3GT1において、ヒトβ3Gal−T1cD
NA中のBanII−EcoRV間212bpを欠失さ
せることによりpUC119-3GT1dを作製した。
【0229】pBS-3GT2において、ヒトβ3Gal−T2
cDNA中のAflII−BstEII間258bpを
欠失させることによりpBS-3GT2dを作製した。pBS-GT3に
おいて、ヒトβ3Gal−T3cDNA中のStyI−
StyI間183bpを欠失させることによりpBS-3GT3
dを作製した。
【0230】pBS-3GT4において、ヒトβ3Gal−T4
cDNA中のAccIII−StyI間253bpを欠
失させることによりpBS-3GT4dを作製した。β-アクチン
の転写産物定量用の内部コントロールとしては、pUC
119−ACTdをcDNA部分を切り出す制限酵素
HindIIIとAsp718)で切断して直鎖状D
NAに変換したものを用いた〔J. Biol. Chem., 269, 1
4730(1994)、特開平06-181759〕。
【0231】(c)RT−PCRによる転写量の定量 上記各組織由来のcDNA 10μlおよび内部コント
ロール用プラスミド10μl(10fg)を含む50μ
lの反応溶液〔10mM Tris−HCl(pH8.
3)、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.
2mM dNTP、0.001%(w/v)ゼラチン、
0.2μM 遺伝子特異的プライマー〕で、DNAポリ
メラーゼAmpliTaq GoldTM(Parkin Elmer社)を用いて
PCRを行った。
【0232】各遺伝子特異的プライマーの塩基配列を第
1表に示した。また、β3Gal−T1遺伝子特異的プ
ライマーの塩基配列を配列番号4、5に、β3Gal−
T2遺伝子特異的プライマーの塩基配列を配列番号6、
7に、β3Gal−T3遺伝子特異的プライマーの塩基
配列を配列番号8、9に、β3Gal−T4遺伝子特異
的プライマーの塩基配列を配列番号10、11に、β−
アクチン特異的プライマーの塩基配列を配列番号12、
13に示した。
【0233】
【表1】 上記プライマーのセットにより、各遺伝子転写産物およ
び各スタンダードからは、第1表のターゲットのところ
に示したサイズのDNA断片を増幅させることができ
る。一方、上記プライマーのセットにより、各内部コン
トロールからは、第1表のコンペティターのところに示
したサイズのDNA断片を増幅させることができる。
【0234】PCRは、95℃で11分間の加熱後、9
5℃で1分間、各遺伝子に適した第1表に記載のアニー
リング温度で1分間、72℃で2分間からなる反応を1
サイクルとして、β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝
子群については42サイクル、β−アクチンについては
24サイクルの条件で行った。
【0235】PCR後の溶液のうち10μlを1%のア
ガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで染
色し、写真を撮影した。写真をNIHイメージシステム
によりスキャニングすることにより増幅した断片の染色
の強さを測定し、増幅量とした。
【0236】細胞由来cDNAのかわりに上記で調製し
たスタンダードプラスミドを1.25fg、2.5f
g、5fg、10fg、20fg、40fg用いて、P
CRを行い、増幅断片の増幅量を測定し、cDNAの量
と断片の増幅量をプロットして検量線を作成した。
【0237】この検量線と各細胞由来cDNAでの断片
の増幅量から、各細胞でのcDNAの量を計算し、これ
を各細胞でのmRNA転写量すなわち遺伝子の発現量と
した。なお、β−アクチンは各細胞で普遍的に発現して
いる遺伝子と考えられるため、どの細胞においてもその
発現量は同程度と考えられる。従って、各細胞における
β−アクチン遺伝子の発現量の差は、cDNA合成反応
の効率の差と考えられるためβ1,3−ガラクトース転
移酵素遺伝子の発現量を比較する際にβ−アクチンの発
現量も考慮した。
【0238】各種細胞株における各β1,3−ガラクト
ース転移酵素遺伝子転写産物の量を、β-アクチンの転
写産物の量を1000とした時の相対値として表示した
(図1のB)。β3Gal−T1、β3Gal−T2お
よびβ3Gal−T3はGalβ1-3GlcNAc構造を合成する
活性を有しているが、タイプ1糖鎖を多く発現している
大腸癌細胞株(Colo205、Colo201、SW1116)および膵臓
癌細胞株(Capan-2)ではほとんど発現していなかっ
た。一方、β3Gal−T4は大腸癌細胞株(Colo20
5、Colo201、SW1116)および膵臓癌細胞株(Capan-2)
で発現がみられたが、この酵素はGalβ1-3GlcNAc構造を
合成する活性を有していないことが明らかになってい
る。
【0239】以上の結果から、これらの細胞株において
タイプ1糖鎖の合成に関与しているβ1,3−ガラクト
ース転移酵素は、新規の酵素であることが明らかになっ
た。
【0240】実施例2 大腸癌細胞または膵臓癌細胞等
の消化器系癌細胞において、シアリルルイスa糖鎖等の
タイプ1糖鎖の合成に関与する、新規β1,3−ガラク
トース転移酵素活性を有するポリペプチドをコードする
遺伝子(cDNA)のクローン化 (1)ヒト大腸癌細胞株Colo205からのmRNAの取得 ヒト大腸癌細胞株Colo205より、ロッシュ(Roche)社製
のmRNA抽出キットであるOligotexTM-dT30<super>を
用いて、約30μgのmRNAを取得した。
【0241】具体的試薬および方法は、キットに添付さ
れている説明書に従った。 (2)ヒト大腸癌細胞株Colo205由来cDNAのライブ
ラリーの作製 上記(1)で取得したヒト大腸癌細胞株Colo205由来の
mRNA 8μg、およびGIBCO BRL社製のキット(SUPE
RSCRIPT Choice System for cDNA Synthesis)を用い、
オリゴdTをプライマーとして2本鎖cDNAを合成し
た。
【0242】これら二本鎖cDNAの両末端に以下の方
法でSfiIリンカーを付与した。 〔SfiIリンカーの付与〕配列番号14で示された一
本鎖DNAおよび配列番号15で示された一本鎖DNA
をアプライド・バイオシステムズ社380A・DNA合
成機を用いて合成した。
【0243】該合成一本鎖DNAをそれぞれ50μgず
つ、別々に50mM トリス−HCl(pH7.5)、
10mM MgCl2、5mM ジチオスレイトール(以
下、DTTと略記する)、0.1mM EDTAおよび
1mM ATPを含む緩衝液(以下、T4キナーゼ緩衝
液と略記する)50μlに溶解し、T4ポリヌクレオチ
ドキナーゼ(宝酒造社製)30単位を加えて、37℃で
16時間リン酸化反応を行ない、11塩基および8塩基
のリンカーを取得した。
【0244】11塩基のリンカー 4μg、8塩基のリ
ンカー 2.9μgおよび上記で合成した2本鎖cDN
AをT4リガーゼ緩衝液45μlに溶解後、T4 DN
Aリガーゼ1050単位を加え、16℃で16時間反応
させ、該二本鎖DNA各々にSfiIリンカーを付与し
た。
【0245】得られた反応液をアガロースゲル電気泳動
に供し、約1.5kb以上のDNA断片を回収した。直
接発現クローニングベクター(Expression Cloning Vec
tor)であるpAMo〔J.Biol.Chem., 268, 22782(199
3)、別名pAMoPRC3Sc(特開平05-336963)〕
24μgを、10mM トリス−HCl(pH7.
5)、6mM MgCl2、50mM NaCl、6mM
2−メルカプトエタノールからなる緩衝液(以下、Y−
50緩衝液と略記する)590μlに溶解後、80単位
SfiI(宝酒造社製、以下、特に断らないかぎり制
限酵素は宝酒造社製のものを用いた)を加え、37℃で
16時間消化反応を行なった。
【0246】該反応液に40単位のBamHIを加え、
37℃で2時間消化反応を行なった。該反応液をアガロ
ースゲル電気泳動に供し、約8.8kbのDNA断片を
回収した。上記で調製したSfiIリンカーを付与した
DNA(mRNA 8μg由来分)をT4リガーゼ緩衝
液250μlに溶解後、それぞれの溶解液に、該約8.
8kbのDNA断片2μgおよびT4DNAリガーゼ2
000単位を加えて、16℃で16時間結合反応を行な
った。
【0247】反応後、それぞれの反応液にトランスファ
ーRNA(tRNA)5μgを添加し、エタノール沈殿
後、10mM トリス−HCl(pH8.0)および1
mMEDTA(エチレンジアミン4酢酸ナトリウム)か
らなる緩衝液(以下、TE緩衝液と略記する)20μl
に溶解した。
【0248】該反応液を用い、エレクトロポーレーショ
ン法〔Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)〕により
大腸菌LE392株〔モレキュラー・クローニング第2
版〕を形質転換し、約100万個のアンピシリン耐性を
有する形質転換体を取得し、cDNAライブラリーを構
築した。
【0249】更に、該cDNAライブラリー(大腸菌)
および、キィアジェン(Qiagen)社製のプラスミド調製
キットである/plasmid/maxi kit(商品番号 41031)
を用い、cDNAを含有するプラスミドを調製した。
【0250】(3)degenerateプライマーを用いた新規
β1,3−ガラクトース転移酵素cDNA断片の取得 既知の4種のβ1,3−ガラクトース転移酵素(β3G
al−T1、β3Gal−T2、β3Gal−T3、β
3Gal−T4)のアミノ酸配列を比較することによ
り、4種のβ1,3−ガラクトース転移酵素でアミノ酸
配列がよく保存されている領域を3ヶ所以上見出した。
該3領域をN末端側から順にモチーフ1、モチーフ2、
モチーフ3と呼ぶ。上記4種のβ1,3−ガラクトース
転移酵素における各モチーフのアミノ酸配列と各モチー
フの最初のアミノ酸のN末端からの番号を第2表に示
す。
【0251】
【表2】 公知の方法〔Carl W. Dieffenbach, Gabriela S. Dveks
ler, "PCR Primer: ALaboratry Manual", Cold Spring
Harbor Lab.(1995)、井上純一郎・仙波憲太郎編,ザ・
プロトコールシリーズ「cDNAクローニング」,羊土
社,(1996年)、Science, 241, 42 (1988)〕に従っ
て、各モチーフのアミノ酸配列に対応する塩基配列を有
するdegenerateプライマーを設計した。フォワードプラ
イマーとしてモチーフ1とモチーフ2に対応する2種の
合成DNA(それぞれの配列を配列番号16と配列番号
17に示す)を合成した。また、リバースプライマーと
して、モチーフ2とモチーフ3に対応する2種の合成D
NA(それぞれの配列を配列番号18と配列番号19に
示す)を合成した。
【0252】配列番号16記載のDNAと配列番号18
記載のDNAをプライマー、上記(2)で調製したcD
NAライブラリー(プラスミド)を鋳型としてPCRを
行い、増幅断片の末端をDNAポリメラーゼ クレノー
断片を用いて平滑末端に変換した後、pBluescript SK
(-)(Stratagene社製)のEcoRVサイトにサブクロ
ーニングした。また、配列番号17記載のDNAと配列
番号19記載のDNAをプライマー、上記(2)で調製
したcDNAライブラリー(プラスミド)を鋳型として
PCRを行い、増幅断片の末端をDNAポリメラーゼ
クレノー断片を用いて平滑末端に変換した後、pBluescr
ipt SK(-)(Stratagene社製)のEcoRVサイトにサ
ブクローニングした。
【0253】上記(2)で調製したcDNAライブラリ
ー(プラスミド100ng)を含む50μlの反応溶液
〔10mM Tris−HCl(pH8.3)、50m
MKCl、1.5mM MgCl2、0.2mM dNT
P、0.001%(w/v)ゼラチン、0.2μM プ
ライマー〕に、1UのDNAポリメラーゼAmpliTaqGold
TM(Parkin Elmer社)を添加し、PCRを行った。
【0254】PCRは、95℃で11分間の加熱後、9
5℃で30秒間、35℃で1分間、72℃で2分間から
なる反応を1サイクルとして、45サイクルの条件で行
った。サブクローニングしたPCR増幅断片の塩基配列
は、EPICENTRE TECHNOLOGIES社のキット(SequiTherm E
XCEL II Long-Read DNA Sequencing kit-ALF:Catalog
No. SE8301A)とALF DNAシークエンサー(アマー
シャム ファルマシアバイオテック社製)を用いて決定
した。
【0255】その結果、配列番号16記載のDNAと配
列番号18記載のDNAをプライマーとして用いたPC
Rにより、既知のβ1,3−ガラクトース転移酵素のア
ミノ酸配列とホモロジーを有するが完全には一致しない
アミノ酸配列をコードするDNA断片を1種取得した。
【0256】該DNA断片のプライマー部分を除く配列
は、配列番号2記載のDNAの643番目から851番
目の塩基配列と一致していた。また、配列番号17記載
のDNAと配列番号19記載のDNAをプライマーとし
て用いたPCRにより、既知のβ1,3−ガラクトース
転移酵素のアミノ酸配列とホモロジーを有するが完全に
は一致しないアミノ酸配列をコードするDNA断片を1
種取得した。
【0257】該DNA断片のプライマー部分を除く配列
は、配列番号2記載のDNAの876番目から1124
番目の塩基配列と一致していた。 (4)新規β1,3−ガラクトース転移酵素cDNAの
取得 上記(3)で取得した2種のPCR増幅断片を混合後、
マルチプライムDNA標識システム(アマシャム社)を
用いて32Pで標識し、プローブを作製した。
【0258】該プローブを用いて、上記(2)で作製し
たcDNAライブラリーの内の5×105クローンにつ
いてコロニーハイブリダイゼーションを行った。該ハイ
ブリダイゼーションにおいて、フィルターを、2倍濃度
のSSPE〔1倍濃度のSSPEの組成は、180mM
塩化ナトリウム、10mM リン酸二水素ナトリウム、
1mM エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)より
なる(pH7.4)〕、0.1%SDSよりなる緩衝液
中で65℃、10分間振とうする条件で2回、1倍濃度
のSSPE、0.1%SDSからなる緩衝液中で65
℃、15分間振とうする条件で1回、0.2xSSP
E、0.1%SDSからなる緩衝液中で65℃、10分
間振とうする条件で2回洗浄した。
【0259】該コロニーハイブリダイゼーションの結
果、ハイブリダイズする2個の独立したプラスミドが得
られた。 (5)プラスミドpAMo−3GT5中に挿入されてい
るcDNAの塩基配列の決定 上記(4)で得られたプラスミドの1つであるpAMo
−3GT5が含むcDNAの全塩基配列を、以下の方法
で決定した。
【0260】pAMoベクター中の配列に特異的なプラ
イマーを用いて、該cDNAの5’側および3’側の配
列を決定した。決定された配列に特異的な合成DNAを
調製し、それをプライマーとして用い、さらに先の塩基
配列を決定した。
【0261】該操作を繰り返すことにより、該cDNA
の全塩基配列を決定した。塩基配列の決定には、LI−
COR社のDNAシークエンサー(dNA sequencer mode
l 4000L)と反応キット(Sequitherm EXCEL IITM Long-
ReadTM DNA-sequencing kit-Lc:エア・ブラウン)、ま
たはパーキンエルマー社のDNAシークエンサー377
と反応キット(ABI PrismTM BigDyeTM Terminator Cycl
e Sequencing Ready Reaction kit:Applied Biosystems
社)を使用した。
【0262】pAMo−3GT5が含むcDNAの全塩
基配列(2775bp)を配列番号2に示した。該cD
NAは、糖転移酵素に特徴的な構造を有する310アミ
ノ酸からなるポリペプチドをコードしていた。
【0263】該ポリペプチドはこれまでにクローン化さ
れた4種のヒトβ1,3−ガラクトース転移酵素(β3
Gal−T1、β3Gal−T2、β3Gal−T3、
β3Gal−T4)とアミノ酸レベルで28%〜37%
の相同性を示したことから、新規なβ1,3-ガラクトー
ス転移酵素であると考えられた。該ポリペプチドのアミ
ノ酸配列を配列番号1に示した。
【0264】該ポリペプチドは、N末端の7アミノ酸か
らなる細胞質領域、それに続く19アミノ酸からなる疎
水性に富む膜結合領域、少なくとも4アミノ酸からなる
幹領域、および触媒領域を含む残りの大半のC末端部分
からなると考えられた。他のβ1,3−ガラクトース転
移酵素とのアミノ酸配列上の相同性の比較、ならびに他
のβ1,3−ガラクトース転移酵素の幹領域と触媒領域
に関する知見〔特開平6-181759〕を基に、幹領域は少な
くとも4アミノ酸からなると予想された。したがって、
31番目から310番目のアミノ酸配列を含むポリペプ
チドは、触媒領域を含むと考えられる。
【0265】以下、該cDNAをヒトβ3Gal−T5
cDNA、該cDNAがコードするポリペプチドをヒ
トβ3Gal−T5と呼ぶ。pAMo−3GT5をHi
dIIIとNotIで切断することによりヒトβ3Gal
−T5 cDNAを切り出し、pBluescript II SK(+)の
HindIIIとNotIサイト間に組み込むことにより、
pBS−3GT5を造成した(図2)。
【0266】pBS−3GT5を含む大腸菌であるEsch
erichia coli MM294/pBS-3GT5は、平成11年2月10日
付で工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM B
P−6645として寄託されている。 (6)ヒトβ3Gal−T5発現プラスミドを導入した
ヒト培養細胞におけるタイプ1糖鎖の合成 コントロールプラスミド(pAMo)およびヒトβ3G
al−T5発現プラスミド(pAMo−3GT5)をそ
れぞれ、1μg/μlになるようにTE緩衝液に溶解し
た後、エレクトロポレーション法〔Cytotechnology, 3,
133 (1990)〕によりNamalwa細胞に導入し、形質転換細
胞を得た。
【0267】1.6×106細胞あたり4μgのプラス
ミドを導入した後、10%のウシ胎児血清を含むRPMI16
40培地〔7.5% NaHCO3を1/40量、200m
M L−グルタミン溶液 (GIBCO 社製)を3%、ペニシリ
ン・ストレプトマイシン溶液(GIBCO 社製、5000uni
ts/ml ペニシリン、5000μg/mlストレプトマ
イシン)を0.5%添加したRPMI1640培地(日水製薬社
製)〕8mlに懸濁し、CO2インキュベーターで37
℃で24時間培養した。
【0268】培養後、G418(ギブコ社製)を0.8
mg/mlになるように添加し、更に14日間培養し安
定形質転換株を取得した。該形質転換株は、0.8mg
/mlのG418を含むRPMI1640で継代した。該形質転
換細胞について、抗シアリルルイスc糖鎖抗体(DU-PAN
-2:Kyowa Medex社製)を用いて間接蛍光抗体染色を行
なった。
【0269】間接蛍光抗体染色は、実施例1の(1)に
記載した方法に従って行った。その結果、pAMo−3
GT5を導入した細胞においては、pAMoを導入した
細胞に比較して、抗シアリルルイスc糖鎖抗体(DU-PAN
-2)への反応性が大幅に増加していた(図3のA)。
【0270】また、コントロールプラスミド(pAM
o)およびヒトβ3Gal−T5発現プラスミド(pA
Mo−3GT5)を上記と同様の方法により、タイプ1
糖鎖を発現していない大腸癌細胞株であるHCT-15に導入
し、安定形質転換細胞を得た。次いで、限界希釈法を用
いて該形質転換細胞からシングルクローン(HCT-3GT5L
およびHCT-3GT5H)を取得した。HCT-3GT5Lにおけるβ3
Gal−T5転写物の量は、HCT-3GT5Hにおけるβ3G
al−T5転写物の量に比較して少ない(実施例4およ
び第3表参照)。該シングルクローンは、0.8mg/
mlのG418を含むRPMI1640で継代した。
【0271】取得したシングルクローン(HCT-3GT5H)
について、抗シアリルルイスa糖鎖抗体(19-9)、抗シ
アリルルイスc糖鎖抗体(DU-PAN-2:Kyowa Medex社
製)、抗ルイスa糖鎖抗体(7LE)、または抗ルイスb
糖鎖抗体(ネオ国際社製)を用いて間接蛍光抗体染色を
行なった。
【0272】間接蛍光抗体染色は、実施例1の(1)に
記載した方法に従って行った。その結果、pAMo−3
GT5を導入した細胞においては、pAMoを導入した
細胞に比較して、4種の抗体全てへの反応性が大幅に増
加していることが明らかになった(図3のB)。
【0273】以上の結果から、β3Gal−T5は形質
転換細胞中で、タイプ1糖鎖(シアリルルイスa糖鎖、
シアリルルイスc糖鎖、ルイスa糖鎖およびルイスb糖
鎖)を合成可能であることが示された。またこの結果
は、β3Gal−T5を細胞で発現させることにより、
タイプ1糖鎖(シアリルルイスa糖鎖、シアリルルイス
c糖鎖、ルイスa糖鎖およびルイスb糖鎖等)を含有す
る糖鎖および該糖鎖を含有する複合糖質を新たに合成で
きることを意味している。
【0274】以上のことより、β3Gal−T5を発現
させた細胞を宿主として、有用な糖タンパク質を分泌生
産することにより、分泌生産される糖タンパク質にタイ
プ1糖鎖(シアリルルイスa糖鎖、シアリルルイスc糖
鎖、ルイスa糖鎖およびルイスb糖鎖等)を付与するこ
とが可能である。
【0275】(7)各種ヒト細胞株におけるヒトβ3G
al−T5遺伝子の転写物の定量 実施例1の(2)の方法に従って、ヒトβ3Gal−T
5遺伝子の転写物の定量を行った。鋳型として用いる各
種細胞株由来一本鎖cDNAは、実施例1(1)で調製
したものを使用した。
【0276】検量線の作成に用いるスタンダードとして
は、上記(5)で造成したヒトβ3Gal−T5cDN
AをpBluescript II SK(+)に組み込んだプラスミド(pB
S-3GT5)を、cDNA部分を切り出す適当な制限酵素で
切断し、直鎖状DNAに変換したものを用いた。
【0277】内部コントロールとしては、下記のように
して調製したプラスミド(pBS-3GT5d)を、cDNAを
切り出す適当な制限酵素で切断し、直鎖状DNAに変換
したものを用いた。pBS-3GT5において、ヒトβ3Gal
−T5cDNA中のEco81I−XcmI間144b
pを欠失させることによりpBS-3GT5dを作成した。
【0278】RT−PCRによる転写量の定量は、β3
Gal−T5特異的プライマーを用いて、実施例1の
(2)と同様にして行った。β3Gal−T5特異的プ
ライマーの塩基配列を第1表ならびに配列番号20、2
1に示した。β3Gal−T5特異的プライマーによ
り、β3Gal−T5遺伝子転写産物およびスタンダー
ドからは、第1表のターゲットのところに示したサイズ
(554bp)のDNA断片を増幅させることができ
る。一方、上記プライマーにより、内部コントロールか
らは、第1表のコンペティターのところに示したサイズ
(410bp)のDNA断片を増幅させることができ
る。
【0279】PCRは、95℃で11分間の加熱後、9
5℃で1分間、65℃で1分間、72℃で2分間からな
る反応を1サイクルとして、42サイクル繰り返す条件
で行った。各種細胞株におけるβ3Gal−T5遺伝子
転写産物の量を、β-アクチンの転写産物の量を100
0とした時の相対値として表示した(図4のA)。
【0280】β3Gal−T5転写産物は、タイプ1糖
鎖を多く発現している大腸癌細胞株(Colo205、Colo20
1、SW1116)および膵臓癌細胞株(Capan-2)で発現して
いることが判明した。また、β3Gal−T5転写産物
の発現は、タイプ1糖鎖の発現(図1参照)とよく相関
していた。
【0281】以上の結果と上記(5)および(6)の結
果を総合すると、β3Gal−T5は、大腸癌細胞また
は膵臓癌細胞等の消化器系癌細胞において、シアリルル
イスa糖鎖やシアリルルイスc糖鎖等のタイプ1糖鎖の
合成に関与する、新規β1,3−ガラクトース転移酵素
であると結論される。
【0282】(8)各種ヒト細胞株におけるCA19-9抗原
含有タンパク質の発現 抗シアリルルイスa抗体(19-9)を用いたウエスタン・
ブロッティング解析を行うことにより、大腸癌細胞株
(Colo205、Colo201、SW1116、LS180、HT29、WiDr、HCT
-15、SW480、SW620)、膵臓癌細胞株(Capan-1、Capan-
2)、胃癌細胞株(KATOIII、MKN45、MKN74)におけるシ
アリルルイスa糖鎖含有タンパク質の発現について検討
した。
【0283】19-9は大腸癌や膵臓癌における癌関連糖鎖
の検出に利用されており、19-9で検出されるシアリルル
イスa糖鎖抗原は、CA19-9抗原と呼ばれている。各細胞
(1×107個)を、溶液〔20mM HEPES(pH
7.2)、2%TrironX−100〕に懸濁後、短
時間超音波にかけて細胞溶解液を調製した。
【0284】該細胞溶解液の蛋白質濃度を、マイクロB
CA蛋白質アッセイ試薬キット(PIERCE社)により測定
し、10μgのタンパク質をSDS−ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に供した。電気泳
動後、Transblot SD cell(Bio-Rad社製)を用いて、ゲ
ル上のタンパク質をImmobilon PVDF膜(Millipore社
製)に移した。
【0285】該膜をブロッキング溶液(5%のスキムミ
ルクを含むPBS)で4℃で終夜処理することによりブ
ロッキングした。ブロッキング後、該膜をブロッキング
溶液で希釈した10μg/mlの抗シアリルルイスa抗
体(19-9)を用いて、室温で2時間処理した。
【0286】処理後、ECL Western blotting detection
reagent(Amersham社製)を用いて該膜を処理すること
により、19-9が結合したタンパク質の検出を行った。方
法はキットの説明書に従った。結果を図4のBに示し
た。
【0287】CA19-9含有糖タンパク質の発現は、上記
(7)で測定したβ3Gal−T5転写産物の発現(図
4のA参照)とよく一致していた。一方、他のGlcNAc
β1,3−ガラクトース転移酵素 (β3Gal−T1、β3
Gal−T2、β3Gal−T3)の転写物の発現は、C
A19-9含有糖タンパク質の発現と相関していなかった。
また、他のGlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素 (β3
Gal−T1、β3Gal−T2、β3Gal−T3)
は、CA19-9含有糖タンパク質を高発現しているColo205
やColo201で発現していなかった(図1参照)。
【0288】以上の結果は、β3Gal−T5は大腸癌
や膵臓癌等における癌関連抗原CA19-9の合成に関与する
β1,3−ガラクトース転移酵素であることを示してい
る。更に、β3Gal−T5が糖タンパク質も基質とし
て使用できることを示している。
【0289】実施例3 ヒトβ3Gal−T5のin vit
ro活性 実施例2で取得したヒトβ3Gal−T5cDNAがコ
ードするヒトβ3Gal−T5のin vitroでの活性を以
下のようにして調べた。他の既知のβ1,3−ガラクト
ース転移酵素と活性を比較するため、ヒトβ3Gal−
T1、ヒトβ3Gal−T2、ヒトβ3Gal−T3、
ヒトβ3Gal−T4の各cDNAをpAMoに組み込
んだ発現プラスミド(pAMo-3GT1、pAMo-3GT2、pAMo-3GT
3、pAMo-3GT4)を造成した。pAMo-3GT1は、特開平6-181
759記載のプラスミドpUC119-WM1(FERM BP−4
011)を構築するために用いたプラスミドpAMoPRWM1
と同じものである。
【0290】コントロールプラスミド(pAMo)また
は5種のβ1,3−ガラクトース転移酵素発現プラスミ
ド(pAMo-3GT1、pAMo-3GT2、pAMo-3GT3、pAMo-3GT4、ま
たはpAMo-3GT5)を、実施例3に記載の方法と同様の方
法によりNamalwa細胞に導入し、各形質転換細胞を得
た。
【0291】実施例1の(2)と同様にして、該形質転
換細胞から全RNAを抽出し、定量的RT−PCRを用
いて、5種のβ1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の
転写量を測定した。結果を第3表に示す。
【0292】
【表3】
【0293】発現プラスミドを導入した細胞では、対応
するβ1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の転写量
が、ベクターのみを導入した細胞に比較して増加してい
ることが確認された。一方、該形質転換細胞を溶液〔2
0mM HEPES(pH7.2)、2% TrironX-10
0〕に懸濁後、短時間超音波にかけて細胞溶解液を調製
した。
【0294】該細胞溶解液の蛋白質濃度は、マイクロB
CA蛋白質アッセイ試薬キット(PIERCE社)により測定
した。該細胞溶解液を用いて、β1,3−ガラクトース
転移酵素活性を測定した。ピリジルアミノ化した糖鎖基
質の調製や活性測定は、既知の方法〔特開平6−181
759、特開平06−823021、J. Biol. Chem. 2
69, 14730-14737(1994)〕に準じて行った。
【0295】具体的には、活性測定は、10μlのアッ
セイ溶液〔14mM HEPES(pH7.4)、75
μM UDP−Gal(SIGMA社)、11μM MnC
2、、0.01% TrironX-100、25μM ピリジルア
ミノ化糖鎖基質、上記細胞溶解液〕中で37℃、2時間
反応後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によ
り生産物を同定することにより行った。
【0296】基質としては、アミノピリジンで蛍光標識
したラクト−N−ネオテトラオース(Lacto-N-neotetra
ose, Galβ1-4GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc;以下、LNn
Tと略記する)をβ-ガラクトシダ−ゼ処理して末端の
ガラクト−ス残基を除去したもの(アガラクトLNn
T,GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc)を使用した。
【0297】アガラクトLNnTは、約60nmolの
アミノピリジンで蛍光標識したLNnTに対し、100
ミリユニットのβ-ガラクトシダ−ゼ(生化学工業)を
加え、37℃で16時間反応後、100℃で5分間の熱
処理によりβ−ガラクトシダ−ゼを失活させることによ
り調製した。
【0298】スタンダードとしては、アミノピリジンで
蛍光標識したLNnTまたはアミノピリジンで蛍光標識
したラクト−N−テトラオース(Lacto-N-tetraose, Ga
lβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc;以下、LNTと略記す
る)を用いた。LNnTおよびLNTはオックスフォ−
ド・グライコシステムズ社から購入した。オリゴ糖の蛍
光標識は、常法〔Agric. Biol. Chem., 54, 2169 (199
0)〕に従って行った。
【0299】UDP−Gal(糖供与体)を含むアッセ
イ溶液と含まないアッセイ溶液を用いて反応を行った
後、HPLCで解析し、UDP−Galを含むアッセイ
溶液でのみ出現するピークを生成物とした。反応が終了
したアッセイ溶液は、100℃で3分間処理後、10,
000×gで5分間遠心して上清を取得し、その一部を
HPLCに供した。HPLCは、TSK−gel OD
S−80Tsカラム(4.6×300mm;東ソー)を
使用し、溶出液として0.02M 酢酸アンモニウム緩
衝液(pH4.0)を用い、溶出温度25℃、流速1m
l/分の条件で行った。
【0300】生成物の検出は、蛍光スペクトルフォトメ
ーターFP−920(日本分光)を用いて行った(励起
波長320nm、放射波長400nm)。生成物の同定
は、スタンダ−ドの糖鎖と溶出時間が一致することを指
標とした。
【0301】生成物の定量は、アミノピリジル化したラ
クト−スをスタンダ−ドとして用い、蛍光強度を比較す
ることにより行った。ヒトβ3Gal−T5の活性を1
00とした時の、各β1,3−ガラクトース転移酵素の
相対活性を第3表に示す。
【0302】ヒトβ3Gal−T5を発現させた細胞で
は明らかなβ1,3−ガラクトース転移酵素活性(LN
T合成活性)が検出されたが、他のβ1,3−ガラクト
ース転移酵素を発現させた細胞では活性は検出されなか
った。なお、コントロールプラスミド(pAMo)を導
入した細胞でも活性は検出されなかった。
【0303】各β1,3−ガラクトース転移酵素発現プ
ラスミドを導入した細胞において、各β1,3−ガラク
トース転移酵素転写物は同程度発現していることから
(第3表)、ヒトβ3Gal−T5のGlcNAc β1,3−ガ
ラクトース転移酵素活性(LNT合成活性)は他のGlcN
Ac β1,3−ガラクトース転移酵素(ヒトβ3Gal−T
1、ヒトβ3Gal−T2、ヒトβ3Gal−T3)に
比較して強いことが判明した。なお、ヒトβ3Gal−
T4に関しては、GlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素
活性はなく、GalNAc β1,3−ガラクトース転移酵素活性
を有することが知られている。
【0304】以上の結果、ヒトβ3Gal−T5はGlcN
Ac β1,3−ガラクトース転移酵素であることが証明され
た。また、ヒトβ3Gal−T5の活性は他のGlcNAc
β1,3−ガラクトース転移酵素(ヒトβ3Gal−T
1、ヒトβ3Gal−T2、ヒトβ3Gal−T3)に
比較して強いことから、LNT等のタイプ1糖鎖の合成
に有用であることが示された。
【0305】また、β3Gal−T5転写産物の発現量
とGlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素活性(LNT合
成活性)が相関するかを検討するために、実施例2で取
得したβ3Gal−T5発現プラスミドを導入したHCT-
15細胞(HCT-3GT5LおよびHCT-3GT5H)、ならびに実施例
1で使用した大腸癌細胞株(Colo205、SW1116、HCT-1
5)、膵臓癌細胞株(Capan-2)、胃癌細胞株(MKN45)
および肺癌細胞株(PC-1)について、β3Gal−T5
転写産物の発現量とGlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵
素活性(LNT合成活性)を測定した。
【0306】各細胞におけるβ3Gal−T5転写産物
の発現量は、実施例1または実施例2の(7)で記載し
た方法を用いて行った。GlcNAc β1,3−ガラクトース転
移酵素活性(LNT合成活性)の測定は、上記の方法に
従った。結果を第3表に示す。
【0307】その結果、β3Gal−T5転写産物の発
現量とGlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素活性(LN
T合成活性)が相関することが判明した。例えば、HCT-
3GT5Hにおけるβ3Gal−T5転写物量は、HCT-3GT5L
の約3倍であったが、HCT-3GT5HにおけるGlcNAc β1,3
−ガラクトース転移酵素活性(LNT合成活性)もHCT-
3GT5Lの約3倍であった。
【0308】一方、PC-1ではβ3Gal−T1を多く発
現していたが、GlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素活
性(LNT合成活性)は検出されなかった。また、MKN4
5ではβ3Gal−T3を多く発現していたが、GlcNAc
β1,3−ガラクトース転移酵素活性(LNT合成活性)
は検出されなかった。
【0309】以上の結果は、β3Gal−T1およびβ
3Gal−T3のGlcNAc β1,3−ガラクトース転移酵素
活性(LNT合成活性)は、β3Gal−T5に比較し
て弱いことを示しており、上記のNamalwa細胞を
用いた結果と一致した。
【0310】実施例4 β3Gal−T5遺伝子の各種
臓器での発現 実施例2の(7)と同様にして、RT−PCRを用いて
ヒト各組織(脳、肺、食道、胃(体)、胃(洞)、空
腸、大腸、肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、副腎、子宮、抹消
リンパ球におけるβ3Gal−T5転写物の定量を行っ
た。各組織におけるβ3Gal−T5遺伝子転写産物の
量を、β-アクチンの転写産物の量を1000とした時
の相対値として表示した(図5)。
【0311】β3Gal−T5転写物は、胃(体)、胃
(洞)、空腸、大腸、膵臓で有意に発現していることが
明らかになった。また、脳、食道、腎臓、子宮でも少し
発現がみられた。一方、肺、肝臓、脾臓、副腎、抹消リ
ンパ球では発現はみられなかった。
【0312】実施例5 β3Gal−T5染色体遺伝子
の構造解析 現在、多くの機能未知のヒト染色体遺伝子の配列がデー
タベースに登録されている。したがって、本発明のポリ
ペプチドをコードするヒトcDNAの配列と、データベ
ースに登録されてるヒト染色体遺伝子の配列とを比較す
ることにより、本発明のポリペプチドをコードするヒト
染色体遺伝子を同定し、その構造を明らかにできる可能
性がある。cDNAの配列と一致する染色体遺伝子配列
が登録されていれば、cDNAの配列と染色体遺伝子の
配列を比較することにより、本発明のポリペプチドをコ
ードする染色体遺伝子のプロモーター領域、エクソンお
よびイントロン構造を決定することができる。
【0313】β3Gal−T5cDNAの塩基配列(配
列番号2)とGenome Project Databaseに登録されてい
るDNA配列を比較した結果、登録番号AF064860の配列
の一部に、β3Gal−T5のcDNAの配列が含まれ
ていたことより、β3Gal−T5染色体遺伝子はヒト
染色体21q22.3に位置することが分かった。
【0314】β3Gal−T5染色体遺伝子のプロモー
ター領域を明らかにする目的で、5’RACE法を用い
て、Colo205細胞よりβ3Gal−T5cDNA
の5’末端領域の取得を行った。5’RACE法はキッ
ト(GIBCO社製5’RACEシステム、バージョン2.0)
に従って行った。
【0315】Colo205細胞由来のmRNA(1μg)を
鋳型、配列番号22および配列番号23に示す配列を有
する2種の合成DNAをプライマーとして、まず一本鎖
cDNAを合成した。 合成後、ターミナルデオキシヌ
クレオチジルトランスフェラーゼを用いて、該cDNA
の3’末端にオリゴdCを付加した後、キットに添付さ
れているdGテイルを有する合成DNAをフォワードプ
ライマー、配列番号24に示す配列を有する合成DNA
をリバースプライマーとして、PCRを行った。
【0316】PCRは、97℃で11分間の加熱後、9
4℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間からな
る反応を1サイクルとして、42サイクル繰り返すの条
件で行った。増幅断片をHindIIIとSpeIで消
化後、pBluescript SK(-)のHindIII−Spe
間にサブクローン化した。このようにして得られた5種
のプラスミドについて塩基配列を決定した結果、Colo20
5細胞におけるβ3Gal−T5染色体遺伝子の転写開
始点は上記の登録番号AF064860の配列上85153番目の塩
基であることが明らかになった。
【0317】したがって、これより上流の領域は、少な
くともColo205細胞において機能しているプロモーター
領域であることが判明した。β3Gal−T5染色体遺
伝子のプロモーター領域(転写制御領域を含む)は、転
写開始点の上流の5kb(配列番号3で表される塩基配
列の1〜5000番)と推定される。
【0318】転写開始点の上流1kb(配列番号3で表
される塩基配列の4001〜5000番)について、転
写因子の結合配列のコンセンサス配列の存在について、
TFSEARCH(transcripiton factor search)プログラム
(Akiyama, Y. http://www.rwcp.or.jp/lab/pdappl/pap
ia.html)を用いて解析した。転写開始点の上流にTA
TAボックスは存在しなかったが、転写開始点の上流1
50bp中に、2つのCdxAサイト、1つのAP-1サイト、
1つのMZF-1(myeloidzinc finger 1 protein)サイトが
存在すると推定された。
【0319】該領域の下流にレポーター遺伝子を連結し
たプラスミドを、β3Gal−T5を発現している細胞
に導入し、レポーター遺伝子が発現するかどうかを検討
することにより、プロモーター領域を実験的に特定する
こともできる。β3Gal−T5染色体遺伝子のエクソ
ン領域とイントロン領域をさらに詳しく解析するため
に、PCR法を用いてβ3Gal−T5cDNAのアイ
ソフォームが存在するかどうかについて検討した。
【0320】実施例1で調製したColo205細胞由来の1
本鎖cDNAを鋳型、配列番号22と配列番号25に示
す配列を有する2種の合成DNAをプライマーとして、
PCRを行った。PCRは、97℃で11分間の加熱
後、94℃で1分間、55℃で1分間、72℃で2分間
からなる反応を1サイクルとして、42サイクル繰り返
す条件で行った。
【0321】増幅断片をHindIIIで消化後、pBlu
escript SK(-)のHindIIIサイトにサブクローン
化した。このようにして得られたプラスミドについて塩
基配列を決定した結果、Colo205細胞において少なくと
も5種類のβ3Gal−T5cDNAアイソフォームが
存在することが明らかとなった(図6)。
【0322】各アイソフォームに相当するPCR増幅断
片の量を比較することにより、各アイソフォームの発現
量の比を求めたところ、アイソフォーム1が50%、ア
イソフォーム2が50%、アイソフォーム3、4、5は
それぞれ1%以下であった。各アイソフォームに相当す
るPCR増幅断片は、増幅断片の大きさと制限酵素処理
XbaI処理またはBsmI処理)により特定した。
【0323】以上の結果、β3Gal−T5染色体遺伝
子は4つのエクソンと3つのイントロンよりなることが
明らかとなった。β3Gal−T5染色体遺伝子のプロ
モーター領域(転写制御領域を含む)とβ3Gal−T
5染色体遺伝子の配列を合わせて配列番号3に示した。
β3Gal−T5染色体遺伝子のプロモーター領域(転
写制御領域を含む)の配列は、配列番号3の1〜500
0bpである。β3Gal−T5染色体遺伝子の配列
は、配列番号3の5001〜10562bpである。β
3Gal−T5染色体遺伝子のエクソンとイントロンの
位置を配列番号3の番号を用いて第4表に示した。第4
表中において、大文字で示した塩基配列はエクソン部
分、小文字で示した塩基配列はイントロン部分を示して
いる。
【0324】β3Gal−T5染色体遺伝子の構造(エ
クソン領域とイントロン領域の位置と配列)と染色体上
の位置、ならびにβ3Gal−T5染色体遺伝子のプロ
モーター領域の位置と配列は、本研究によってβ3Ga
l−T5cDNAの構造と機能が明らかになることによ
り、初めて特定できたものである。
【表4】
【0325】
【発明の効果】本発明により、大腸癌細胞または膵臓癌
細胞等の消化器系癌細胞において、タイプ1糖鎖の合成
に関与するβ1,3−ガラクトース転移酵素活性を有す
る新規ポリペプチド、該ポリペプチドの製造法、該ポリ
ペプチドをコードするDNA、該DNAが組み込まれた
組換え体ベクター、該組換え体ベクターを保有する形質
転換体、該ポリペプチドを認識する抗体、該抗体を用い
る本発明のポリペプチドの定量法および免疫染色法、該
ポリペプチドを用いたタイプ1糖鎖含有糖鎖および該糖
鎖を含有する複合糖質の製造法、該組換え体ベクターを
保有する形質転換体を用いたタイプ1糖鎖含有糖鎖およ
び該糖鎖を含有する複合糖質の製造法、該ポリぺプチド
をコードする遺伝子の発現を変動させる物質のスクリー
ニング法、該ポリペプチドの有する活性を変動させる物
質のスクリーニング法、該DNAあるいは該抗体を用い
た大腸癌、膵臓癌、胃癌等の疾患の診断法、該DNA、
該ポリぺプチドをコードする遺伝子の発現を変動させる
物質あるいは該ポリペプチドの有する活性を変動させる
物質を用いた大腸癌、膵臓癌、胃癌等の疾患の治療法を
提供することができる。
【0326】
【配列表フリーテキスト】配列番号4−人工配列の説
明:合成DNA 配列番号5−人工配列の説明:合成DNA 配列番号6−人工配列の説明:合成DNA 配列番号7−人工配列の説明:合成DNA 配列番号8−人工配列の説明:合成DNA 配列番号9−人工配列の説明:合成DNA 配列番号10−人工配列の説明:合成DNA 配列番号11−人工配列の説明:合成DNA 配列番号12−人工配列の説明:合成DNA 配列番号13−人工配列の説明:合成DNA 配列番号14−人工配列の説明:合成DNA 配列番号15−人工配列の説明:合成DNA 配列番号16−人工配列の説明:合成DNA 配列番号17−人工配列の説明:合成DNA 配列番号18−人工配列の説明:合成DNA 配列番号19−人工配列の説明:合成DNA 配列番号20−人工配列の説明:合成DNA 配列番号21−人工配列の説明:合成DNA 配列番号22−人工配列の説明:合成DNA 配列番号23−人工配列の説明:合成DNA 配列番号24−人工配列の説明:合成DNA 配列番号25−人工配列の説明:合成DNA
【0327】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD. <120> NOVEL PEPTIDE <130> H10-2031N2 <140> <141> <160> 25 <170> PatentIn Ver. 2.0
【0328】 <210> 1 <211> 310 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Met Ala Phe Pro Lys Met Arg Leu Met Tyr Ile Cys Leu Leu Val Leu 1 5 10 15 Gly Ala Leu Cys Leu Tyr Phe Ser Met Tyr Ser Leu Asn Pro Phe Lys 20 25 30 Glu Gln Ser Phe Val Tyr Lys Lys Asp Gly Asn Phe Leu Lys Leu Pro 35 40 45 Asp Thr Asp Cys Arg Gln Thr Pro Pro Phe Leu Val Leu Leu Val Thr 50 55 60 Ser Ser His Lys Gln Leu Ala Glu Arg Met Ala Ile Arg Gln Thr Trp 65 70 75 80 Gly Lys Glu Arg Met Val Lys Gly Lys Gln Leu Lys Thr Phe Phe Leu 85 90 95 Leu Gly Thr Thr Ser Ser Ala Ala Glu Thr Lys Glu Val Asp Gln Glu 100 105 110 Ser Gln Arg His Gly Asp Ile Ile Gln Lys Asp Phe Leu Asp Val Tyr 115 120 125 Tyr Asn Leu Thr Leu Lys Thr Met Met Gly Ile Glu Trp Val His Arg 130 135 140 Phe Cys Pro Gln Ala Ala Phe Val Met Lys Thr Asp Ser Asp Met Phe 145 150 155 160 Ile Asn Val Asp Tyr Leu Thr Glu Leu Leu Leu Lys Lys Asn Arg Thr 165 170 175 Thr Arg Phe Phe Thr Gly Phe Leu Lys Leu Asn Glu Phe Pro Ile Arg 180 185 190 Gln Pro Phe Ser Lys Trp Phe Val Ser Lys Ser Glu Tyr Pro Trp Asp 195 200 205 Arg Tyr Pro Pro Phe Cys Ser Gly Thr Gly Tyr Val Phe Ser Gly Asp 210 215 220 Val Ala Ser Gln Val Tyr Asn Val Ser Lys Ser Val Pro Tyr Ile Lys 225 230 235 240 Leu Glu Asp Val Phe Val Gly Leu Cys Leu Glu Arg Leu Asn Ile Arg 245 250 255 Leu Glu Glu Leu His Ser Gln Pro Thr Phe Phe Pro Gly Gly Leu Arg 260 265 270 Phe Ser Val Cys Leu Phe Arg Arg Ile Val Ala Cys His Phe Ile Lys 275 280 285 Pro Arg Thr Leu Leu Asp Tyr Trp Gln Ala Leu Glu Asn Ser Arg Gly 290 295 300 Glu Asp Cys Pro Pro Val 305 310
【0329】 <210> 2 <211> 2775 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> CDS <222> (402)..(1331) <400> 2 gtgaattcct ctttctctgc tggagctggg atattcttct tctcctgccc ttggacatca 60 gagctgcagg ctctctggcc tttggacccg aggatttata ccaagcaggt ttctgggttc 120 tcaggccttt ggccttggac tgatagttac accattggca tatctggttc tgaggctctt 180 ggtcttggac tgagccacac tcctggcatc ccagcgtctc cagcttgcat ggcctgtcac 240 gtgattcctg tcagaatcac catttttggt aaacaaacca agcccagaac ctgataatta 300 tggagcattc tacactgaca gttctttgag acaaatttcc tcttggcatt tacactgtgg 360 ctttagcttt caaaccagag gttcctctta cccagcaaaa a atg gct ttc ccg aag 416 Met Ala Phe Pro Lys 1 5 atg aga ttg atg tat att tgc ctt ctg gtt ctg ggg gct ctt tgt ttg 464 Met Arg Leu Met Tyr Ile Cys Leu Leu Val Leu Gly Ala Leu Cys Leu 10 15 20 tat ttt agc atg tac agt cta aat cct ttc aaa gaa cag tcc ttt gtt 512 Tyr Phe Ser Met Tyr Ser Leu Asn Pro Phe Lys Glu Gln Ser Phe Val 25 30 35 tac aag aaa gac ggg aac ttc ctt aag ctc cca gat aca gac tgc agg 560 Tyr Lys Lys Asp Gly Asn Phe Leu Lys Leu Pro Asp Thr Asp Cys Arg 40 45 50 cag aca cct ccc ttc ctc gtc ctg ctg gtg acc tca tcc cac aaa cag 608 Gln Thr Pro Pro Phe Leu Val Leu Leu Val Thr Ser Ser His Lys Gln 55 60 65 ttg gct gag cgc atg gcc atc cgg cag acg tgg ggg aaa gag agg atg 656 Leu Ala Glu Arg Met Ala Ile Arg Gln Thr Trp Gly Lys Glu Arg Met 70 75 80 85 gtg aag gga aag cag ctg aag aca ttc ttc ctc ctg ggg acc acc agc 704 Val Lys Gly Lys Gln Leu Lys Thr Phe Phe Leu Leu Gly Thr Thr Ser 90 95 100 agt gca gcg gaa acg aaa gag gtg gac cag gag agc cag cga cac ggg 752 Ser Ala Ala Glu Thr Lys Glu Val Asp Gln Glu Ser Gln Arg His Gly 105 110 115 gac att atc cag aag gat ttc cta gac gtc tat tac aat ctg acc ctg 800 Asp Ile Ile Gln Lys Asp Phe Leu Asp Val Tyr Tyr Asn Leu Thr Leu 120 125 130 aag acc atg atg ggc ata gaa tgg gtc cat cgc ttt tgt cct cag gcg 848 Lys Thr Met Met Gly Ile Glu Trp Val His Arg Phe Cys Pro Gln Ala 135 140 145 gcg ttt gtg atg aaa aca gac tca gac atg ttc atc aat gtt gac tat 896 Ala Phe Val Met Lys Thr Asp Ser Asp Met Phe Ile Asn Val Asp Tyr 150 155 160 165 ctg act gaa ctg ctt ctg aag aaa aac aga aca acc agg ttt ttc act 944 Leu Thr Glu Leu Leu Leu Lys Lys Asn Arg Thr Thr Arg Phe Phe Thr 170 175 180 ggc ttc ttg aaa ctc aat gag ttt ccc atc agg cag cca ttc agc aag 992 Gly Phe Leu Lys Leu Asn Glu Phe Pro Ile Arg Gln Pro Phe Ser Lys 185 190 195 tgg ttt gtc agt aaa tct gaa tat ccg tgg gac agg tac cca cca ttc 1040 Trp Phe Val Ser Lys Ser Glu Tyr Pro Trp Asp Arg Tyr Pro Pro Phe 200 205 210 tgc tcc ggc acc ggc tac gtg ttt tct ggc gac gtg gcg agt cag gtg 1088 Cys Ser Gly Thr Gly Tyr Val Phe Ser Gly Asp Val Ala Ser Gln Val 215 220 225 tac aat gtc tcc aag agc gtc cca tac att aaa ctg gaa gac gtg ttt 1136 Tyr Asn Val Ser Lys Ser Val Pro Tyr Ile Lys Leu Glu Asp Val Phe 230 235 240 245 gtg ggg ctc tgc ctc gaa agg ctg aac atc aga ttg gag gag ctc cac 1184 Val Gly Leu Cys Leu Glu Arg Leu Asn Ile Arg Leu Glu Glu Leu His 250 255 260 tcc cag ccg acc ttt ttt cca ggg ggc tta cgc ttc tcc gta tgc ctc 1232 Ser Gln Pro Thr Phe Phe Pro Gly Gly Leu Arg Phe Ser Val Cys Leu 265 270 275 ttc agg agg atc gtg gcc tgc cac ttc atc aag cct cgg act ctc ttg 1280 Phe Arg Arg Ile Val Ala Cys His Phe Ile Lys Pro Arg Thr Leu Leu 280 285 290 gac tac tgg cag gct cta gag aat tcc cgg ggg gaa gat tgt ccg cct 1328 Asp Tyr Trp Gln Ala Leu Glu Asn Ser Arg Gly Glu Asp Cys Pro Pro 295 300 305 gtc tgaggggagc ccagaggcac atccggacaa gtttcagata acccgtgggg 1381 Val 310 atagtttttg ctagattttg gaagaggggg cgggacagag gatgctgttc ttcagtgctg 1441 aaatccacgc cagaatgtcg gtgttcatga agtcactgat tagttcccac ttggtgcccc 1501 aggcaataat aggcccgtct cttgggcacg cacactcttc atactaagtg tttgacatac 1561 acctggattt ttgcatttca ggggtcagta tcctatgaca tgatgggtgt taccatccta 1621 attttacagg caaggacaca gcagctgcga gaggtacaga aacttgtccc aaggctcaca 1681 gccagtaggc ataggagcgg gaatgaaaat cgagcactgt cagaatctgg tgggcagccc 1741 ctgacttgaa ccactcccac gtgctgcctc ccttaggagg ggacactgat gatgaggtct 1801 cggagccggc atccttccat ccctgtcgag tcccctccac ctcagctccc agtccttgtg 1861 ctttttggag ctaagcctgg gatgaccaaa ttcaccccag ctccttcatt cacagggctg 1921 gatgtagctg ggattgagtc catgttatcg gctcggtact caacacaacc caagtttcat 1981 ccgaggaaat gtccccgcag tggatgcagc tcacatgctg aggaacaccc agctctggac 2041 agagttctta taaatgtata aattaggctc agaaaccact gcattctgac ctgctgtaca 2101 gactgcccac actgctgacc tgcctagcga gcaggacatc ccttctgagc catctgctgc 2161 tctctcattt catcacccca actgtccctt gtttttgatc aatggggacc agccactgcc 2221 ccaggagcac tttagggctc tcagttcaaa ctgaaggaca gttgaactca gatggggttc 2281 atgtgggatt ctgggagctt tctgggaatt cagttggagt caagtcagga tgctctcaag 2341 gacccctcgg gctcagagcc ctaaagtggg ccctggtgaa gcagggtggt cctgcgtcca 2401 cttcccaagc ctgagccaag ctcatcttca ttgaatgtct catttggccg aggaacaact 2461 gaactttgtg gtttgctgtt tagccttcag tttgctccgc tgcctcctac ccagaggttt 2521 gtgcgagcct gtgttgcagg gttgtataaa accaaggtac ttcgttagtt ttgcccattc 2581 agccatggtc acgtgacatg caaagtaatc ttgctcctaa ttatagaaat gatttttctt 2641 ttaatttttt actttaccag actttacttt gtactcagag aagaggcctc acatggctgt 2701 gtcacatata aatgttggac taaactctta aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa aaaaaaaaaa 2761 aaaaaaaaaa aaaa 2775
【0330】 <210> 3 <211> 10562 <212> DNA <213> Homo sapiens <220> <221> promoter <222> (1)..(5000) <220> <221> exon <222> (5001)..(5140) <220> <221> exon <222> (5001)..(5273) <220> <221> exon <222> (5459)..(5567) <220> <221> exon <222> (7427)..(7586) <220> <221> exon <222> (8234)..(10562) <400> 3 cgcctctggc aaggtagacc ttgaaggcaa aactgagttg aggtttgtta ggacggaaat 60 aattactgct gggcatgcag cacttcccaa ccgttctgtg aggcaggcag tgttattgcc 120 agtttggcac aagggcacag gtgtagaaca cgtaagtgcc ctgggccgtg ctacaccacc 180 actgtgtttg agctgagatg tgaaccaggg ccttctgatt ccaaattcct cattcctttc 240 atcctagcag gctgcctgcg gttagcagaa ggggactcct gtatctgctc tgcagcttct 300 tcagctgatt tataatggaa aacagagtag atattgattt ggcaattagt gaaatattat 360 gagaatcatc atagcaaact tcacagtttg atcaaggatc ctgccttcaa tatctggcca 420 actgatgtgt aaaagcagct gcaagaactt cagagctgac aaaaaaagca aactccagac 480 tttatttcct ggaatctgtt ttgtgagaca ctggcccatg aaatgctctc ccagaaatag 540 tcggatttgt ggtcaaataa atttgggcaa ttctacagaa catgtgtctt tttcagagat 600 ttatttttaa ttaaacttat ttaaaaatat taacatggta caatttgcat atagtgaagt 660 gtgcaaatct tcgctacatg gctcaatgag tttttacata tatttccacc catgtaatca 720 ccaccgagat ctagaataga atgtattcgt ctctccagag gttcctctgt tcccttgcag 780 tcaataattc tccaccaaag ataaacattc tgctgacttc cttcatcatt gataagtttt 840 tcctggtttt gaacttcata taaatggaat catttcatgt ctagctcttt tcactcaaca 900 taacatctgt cagattaata catcgcatgt caatagtttg tagtttttat ggctgtgtag 960 catttcattc attcattctg ctgttgatgg aaatttcttg actagagttg tgttatcaat 1020 ttattgcctc ttggctccaa attcaccctt tttgcctggt ctctggaaat gggtctgggc 1080 cctctaaata ttttcccttt gcaatctggc tcttgaagct tatcagtgga gggtcctgga 1140 ggggcattgc aggggaaaca gtttttcctt cctggttcag ggacgctggt ttggtagccc 1200 ctgtggtgtt acaggagtac ttggcaagac agcagtttcc ccgggtacac ccgctaggtg 1260 ttttgtagca gagtgcatct gtgagacaac tggtgaactg ctttccttgc aacctagagg 1320 gcagatttct ggcaagttcc agagggtgga ttccaaacat gttcctctaa tgtggatctg 1380 cagtgatgtc tctgccattc agtgggcata gctgtgccct tttagtgggg tctagatctc 1440 agccctggga ttgggggcat tttctcagtt gctcaatctc agccctaggg gcagtgacca 1500 ttccttatat atggttgttt gtatattctt tggaactgtc ttgattttat tactgttagt 1560 ctctcattac tccactccct tattatagta aatgattctt tgtatttgac tttccctggt 1620 caaggtacta agtggttttt ctctcctgtt tggatctaga ttgatacaat aattttttgc 1680 aattatgagc aatgctgctg tgaacattct tgatcatgtc ttagtggaca taagcaataa 1740 ttgctgctgg gtctgtgtgc aggaatgatt tgctagatca tagcacatac gtttatctgt 1800 agcagaaact gccaaggtat atacagcttt ccaaagtgtg ttaatttaca tgcctgctag 1860 caaggtagga gaaatacagt tgcttcccaa gtagctggga ttacaggtgt gtgccaccac 1920 tcctggctaa ttttttgtag agatagggtt ttgccatgtt ggccaggcta gtcttgaact 1980 gctggcctca agtgatctgc ctgccttggg ctcccaaagt gctaggatta cagggatgag 2040 ccaccatggt cgacttcatg ataaaacttc agtggatgag gagctgcctc ttatgatgaa 2100 caaagaaggt ggtttcttga aatggaatct actcctggtg aagatgctgt gaacattgtt 2160 gaaatgacaa gaaagaattt acagtgttac atagagttag ttgatgaagc agtagcagga 2220 ttcgagagga tcgattccaa tttcaaaata agttcttctg tgggtaaaat gctatcaaat 2280 ggcgtcgcat gctacagaga aatctatcat gaaaggaaga gtcaattgat gtggcaaact 2340 tcattgttgt cgtattttaa gaaattgtca ggaccacccc aaccttcaac aaccatgacc 2400 ctgatcagtc aggagccatc cacattgagg cgagaacctc cagcagtaaa aagattatga 2460 ttctctaaag gatcagatga acattagcat ttttttaagc aataaagtat ttttacgtaa 2520 gatatgtatg ttatttttta ggcataatgc tattatgcat ttaatagact ccagtatatt 2580 gtaaacataa ctttaaatgc actgggagat aaaagtattt gctcttttat gatatttgct 2640 ttattgcagt agtctgtaat ggaaactaca ttatctcttg ggtacacctg tatacagaaa 2700 gaaatttatc atgaggaaat gctcatgcaa tgatggaggc tggaaagtcc caagatctgc 2760 agtcagcaag ttggagaccc atgagagtcg atggtgtggc cccagtctgt gtttgaaggc 2820 ctgagaacca ggagagccaa aagctggcaa gctctggacc caggaagagc tgatgtttca 2880 gttcaagtcc gaaggcagga aaagactgaa ggcccagctc caggcagtca ggcaggagaa 2940 ctttcctttt actcacgaga gggtcagcat tttgttctgt tcaggctgtc aactgagtga 3000 cccagaaaag ctggcacata acattcacca tcgtgctgca agagctgcaa aaccctctct 3060 gcttctaaca ctgatgctca gcccacctcc agtgggcagg gagctgggtg ccgggaggac 3120 ttggggttgc cagcccagtg tgggcctgga cagttgctga gaatctccct ccgccctgtg 3180 acttcttaat tacttagagg gtcaccctgg ttgctcactt cagctcactt gggagattct 3240 ctctgcttga ggccaggggt aggtccaggt ctgatggggt ctgaagctta tacaattggg 3300 gtggggggca ttcctcttta aggaaaagaa aacagcagag gtgagtcgtc ctgcagctta 3360 gcttcactag tctcgtggaa aatttgcctc ctaaaatgtc tttcctctga gaaagcccag 3420 gcctccaaag gcccagccag gctggcgtca gtctggggtc agctgcgggg aggctccagg 3480 ccatgtgtga cacgggagtt taccccatcc cagtttccag tggagaagca tcgttctcgt 3540 ccacccccgt catgctcttt tccaccttct ccaggggaag ggatattttc agtctgtaca 3600 acgaatccac tgaaatgtta aggtgggcac agtggtctgg ggtcttcgac cttgtttata 3660 cgtggtgcct gttactggtc gggtctgtac aggcagtttc cactggcgtt ttttaccagg 3720 ccagcctaga gtagaatgac cgcatgttaa aatatagatt cctgggcccc agacctgcca 3780 gaatctctgt gagatggaac ctttcaacct gggttttaaa caagcctccc gggtgattct 3840 gacactcact ggatttgaga accgtggggt tgttcagaca gcagggacgt tgatgttgtt 3900 ccttctgcgt tcctggtgat gctgttctgt tctcccaagg cctatgcggt ggtgagaatc 3960 tccaaggata caagacagtg atctggagcg agtgtcctga aagcagactc tagcactcag 4020 gactgccaac accctccccg ggtttccttg gtctggaatt cccatcccct ggttccacct 4080 gttacatcac acctcccctt caaggaccag tgcagatgcc acgtccttca cggggctcag 4140 aatgctcacc agcttcctct ccaccgaggg ccacagcccc tggagacccc ttgagctgag 4200 tgctttgtcc ttgcatactc tttctggcct catagtgggg cttggccatt gtcccttcac 4260 tccagatctc tcctttcagg tccaggaagt gcatcttgaa cttaactttc cagacccccc 4320 cttcagtttt ccagtcctta gagaggtgga cttctgattc ctttgtctct gtgccctgta 4380 gcctcaggtc aggcttaagg caaggtctcc tcacctggcc tggggagagt cccaggacgc 4440 tgcacgtgcc tgtgcgggta ggatgctgat gcccagattt cccgttagag agcctttccc 4500 tatcctgacg gctctagctt tgtgtgttac ttacttgttc cactttaatt caaaatgtac 4560 ccagcaacca gcttgtgcac agttctctgg ggtttcagga gggatgtaag acatacccct 4620 tgcccttcag gcactatggc cagaaggggg gcagtgacct aggcagaggg cgggagccag 4680 cagatgggat acactcagag gagcctgcag caggcagagg cagaggagaa gggaggtcta 4740 cacgttctgc actgtattta tctccttcag ttccaaggtt ctctcctggc atctatattg 4800 ctcatgagtt acagagcaaa gcctggtgtg atggttactt ttaggtgtca acttggctgg 4860 attaataaat acctagagaa ctggtaaagc attatttctg ggtgtgtttg tgaaggtgtt 4920 tccagaggag attggctgtg agtcagtggg ctgagtgggg aggagctgcc ctccatgtgg 4980 gcaggcacca tccattgact gggcccagat agaacaagaa ggcagaagaa atgtgaattc 5040 ctctttctct gctggagctg ggatattctt cttctcctgc ccttggacat cagagctgca 5100 ggctctctgg cctttggacc cgaggattta taccaagcag gtttctgggt tctcaggcct 5160 ttggccttgg actgatagtt acaccattgg catatctggt tctgaggctc ttggtcttgg 5220 actgagccac actcctggca tcccagcgtc tccagcttgc atggcctgtc acggtatttc 5280 ccaacctccg taatcacgct agccaattct tctaagaaat ttcttctcat ctatctgtct 5340 gtctatctat ctatctgtct acctaccgac ttacctacct acctgcctat ctatcttttg 5400 attaatctac ctatcaatct ttctatctat ccataacctg ttgattcgat ctctctagag 5460 aaccctgact aatacacctg gagtgcagaa tctgctggag aaactgccat tccgttattg 5520 actggctggt caggccatac agcctggtgg tctagatgtg tttggaggta gggcttctgt 5580 agcacagata gtgcctgttc atggctctgt cccaggtaag gcagagctag cttgtgctga 5640 gggcttctgc tttgcagctg gcctggggtg gctaggatct ggggacacag gctgcccttt 5700 ccaggctctg tctgctggtg ctgcaggtgc ccctacctcc tccttcagtg gaaggctggc 5760 ccccaggtcc tctttaggcc caatacagac tcagccaaag atgcagatgt ctcatatatg 5820 aggattctga gctgtgactt ctggtggtaa ctccacttta ggcaggaaaa atgttcaact 5880 gcccatgaaa acaaatgacc ccgggtcatt tgggtttggc acctgctctg ccagttgggt 5940 ttggcacctg ctctgcctcc tgggaaacag tttggccaat gcactgcatg aggtgagcgc 6000 ccatccctgg gaatttagag ccctgtgaag ggtcctgagg agaggcacat cagagagaat 6060 gagaatttaa ggtttactgt taaagcaacc catagaaaag gagcagaatt attcaagcaa 6120 ggaaacaaag tagaaaaata tcttctttcc cttgcacttg gtttttatgt ttctctctaa 6180 aatgtattgt gggggagaaa gcagtccccc aaccccccta atcagctgca tatcttagcc 6240 atgcaaataa ataatgaaag agagaaagaa ggagagaaag agaaagaaaa gtaaaggaag 6300 gaaggagaga aggaaggaaa gaaagaaaag aaagaaagaa actttgcagc atcctggagc 6360 accagttcag acaagttctg gtctcctgct tgccttctgc tgtgatttct ctgaagttgc 6420 tgggggcagg agctgggcag gaactcccca ggggtgccaa gcagagcagg tagttggcta 6480 agtttgcctc caggaaagaa gtccctggag agcgagctgg ttctagaaag ctccattatt 6540 atattcctat tgcttttggc gaatatatgt agaacagaat tttgacaatg aaattttcag 6600 gtgctctttt ggccatcaaa ataaccagct cttggctggg cacagtggct tgcccttgta 6660 attccagtgt tttgggaggc caaggcaggg gactgcgtga gcccaggagt ttgagactag 6720 cctgggcaac atagtgaaac cccatctcta caaaaaatac aaagttagaa gagtatggtg 6780 gcatgcgcct gtggtcacag ctacttggga agctgtgacc caagtcacag gaggatcgct 6840 tgagcccagg agttcagggc tgtagtgagc tatgattgtg ctactgtgct ccagcctggg 6900 agacagagtg acatcaggtc tctgaaatat taaaattaaa aagcccaaac caactctgct 6960 tttcactctt tcagtttcat ttcttgctgt cctctctgtc ctctcaccca gggtaacatt 7020 tttaaagtgc cgctattgtg ttaagaattg gatttattct ctgtgttaaa ttctctcagc 7080 attaactaca gactctgtta tgtaaataag gtaaattatc aggatgagaa gtgagactct 7140 aatttatgag tttatcatgt ctctttaaaa agctgctagg tgctatccta acttattagg 7200 cttgaaggat tctgggggat tggcatattg ttactgttgt ggactttgtt tgccttgatc 7260 atacccattt tacagatgag aaaagtgagg ctgggattgg ggctcaaatg cgtgctcaga 7320 gtcacataag taggttggaa ggtgacgcta cagacacggt aaattgtgaa ggcctgctgg 7380 taaggcacga gtgatttgaa tgacactctt tttttttttt tcctagtgat tcctgtcaga 7440 atcaccattt ttggtaaaca aaccaagccc agaacctgat aattatggag cattctacac 7500 tgacagttct ttgagacaaa tttcctcttg gcatttacac tgtggcttta gctttcaaac 7560 cagaggttcc tcttacccag caaaaagtga gttatacgct ttcttaatgt tataacgtta 7620 ccatggatga tcctgaactt gccgaggata gcagagacgg gtgggcagaa caggaaagaa 7680 tcagatcaga gactgtaaaa agtaacttaa aaaaaaataa ttctggcaga gacagaattt 7740 gaaggtactt gtgcacatca gaacactgga cttgcttttt tctgggagca ggaatgctgc 7800 ttaattagat cagagaagaa tgcaagtggt ccatacattt agatctacaa tgcgtggttt 7860 ccagacctgc agcttgtttt gctgcgcttc atcatggagt catagaaggg cagagctgga 7920 ggaccgagtg agggacctgg tgccatatcc ctacagacag gcaattggag actcccgtag 7980 gttaagggct gcagagcctg gaccaatgcc cagaatctct gagcttttta tcttacacca 8040 tgaagtgaca gatgctggca gatgttagac ctttgtgctt aactgtttaa ccacacagca 8100 cccgacttct gtatgcagcg aggttctaga gtttccaaaa cacgggtctc ctctcccacc 8160 tcagcctcct agcataaaac tagacacatc ctcatgcttt tgaggtctaa tcattggatt 8220 ttgttccttt cagatggctt tcccgaagat gagattgatg tatatttgcc ttctggttct 8280 gggggctctt tgtttgtatt ttagcatgta cagtctaaat cctttcaaag aacagtcctt 8340 tgtttacaag aaagacggga acttccttaa gctcccagat acagactgca ggcagacacc 8400 tcccttcctc gtcctgctgg tgacctcatc ccacaaacag ttggctgagc gcatggccat 8460 ccggcagacg tgggggaaag agaggatggt gaagggaaag cagctgaaga cattcttcct 8520 cctggggacc accagcagtg cagcggaaac gaaagaggtg gaccaggaga gccagcgaca 8580 cggggacatt atccagaagg atttcctaga cgtctattac aatctgaccc tgaagaccat 8640 gatgggcata gaatgggtcc atcgcttttg tcctcaggcg gcgtttgtga tgaaaacaga 8700 ctcagacatg ttcatcaatg ttgactatct gactgaactg cttctgaaga aaaacagaac 8760 aaccaggttt ttcactggct tcttgaaact caatgagttt cccatcaggc agccattcag 8820 caagtggttt gtcagtaaat ctgaatatcc gtgggacagg tacccaccat tctgctccgg 8880 caccggctac gtgttttctg gcgacgtggc gagtcaggtg tacaatgtct ccaagagcgt 8940 cccatacatt aaactggaag acgtgtttgt ggggctctgc ctcgaaaggc tgaacatcag 9000 attggaggag ctccactccc agccgacctt ttttccaggg ggcttacgct tctccgtatg 9060 cctcttcagg aggatcgtgg cctgccactt catcaagcct cggactctct tggactactg 9120 gcaggctcta gagaattccc ggggggaaga ttgtccgcct gtctgagggg agcccagagg 9180 cacatccgga caagtttcag ataacccgtg gggatagttt ttgctagatt ttggaagagg 9240 gggcgggaca gaggatgctg ttcttcagtg ctgaaatcca cgccagaatg tcggtgttca 9300 tgaagtcact gattagttcc cacttggtgc cccaggcaat aataggcccg tctcttgggc 9360 acgcacactc ttcatactaa gtgtttgaca tacacctgga tttttgcatt tcaggggtca 9420 gtatcctatg acatgatggg tgttaccatc ctaattttac aggcaaggac acagcagctg 9480 cgagaggtac agaaacttgt cccaaggctc acagccagta ggcataggag cgggaatgaa 9540 aatcgagcac tgtcagaatc tggtgggcag cccctgactt gaaccactcc cacgtgctgc 9600 ctcccttagg aggggacact gatgatgagg tctcggagcc ggcatccttc catccctgtc 9660 gagtcccctc cacctcagct cccagtcctt gtgctttttg gagctaagcc tgggatgacc 9720 aaattcaccc cagctccttc attcacaggg ctggatgtag ctgggattga gtccatgtta 9780 tcggctcggt actcaacaca acccaagttt catccgagga aatgtccccg cagtggatgc 9840 agctcacatg ctgaggaaca cccagctctg gacagagttc ttataaatgt ataaattagg 9900 ctcagaaacc actgcattct gacctgctgt acagactgcc cacactgctg acctgcctag 9960 cgagcaggac atcccttctg agccatctgc tgctctctca tttcatcacc ccaactgtcc 10020 cttgtttttg atcaatgggg accagccact gccccaggag cactttaggg ctctcagttc 10080 aaactgaagg acagttgaac tcagatgggg ttcatgtggg attctgggag ctttctggga 10140 attcagttgg agtcaagtca ggatgctctc aaggacccct cgggctcaga gccctaaagt 10200 gggccctggt gaagcagggt ggtcctgcgt ccacttccca agcctgagcc aagctcatct 10260 tcattgaatg tctcatttgg ccgaggaaca actgaacttt gtggtttgct gtttagcctt 10320 cagtttgctc cgctgcctcc tacccagagg tttgtgcgag cctgtgttgc agggttgtat 10380 aaaaccaagg tacttcgtta gttttgccca ttcagccatg gtcacgtgac atgcaaagta 10440 atcttgctcc taattataga aatgattttt cttttaattt tttactttac cagactttac 10500 tttgtactca gagaagaggc ctcacatggc tgtgtcacat ataaatgttg gactaaactc 10560 tt 10562
【0331】 <210> 4 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 4 ttcagccacc taacagttgc cagg 24
【0332】 <210> 5 <211> 25 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 5 ataccttctt cgtggcttgg tggag 25
【0333】 <210> 6 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 6 tagaagctag aagagctatt cggc 24
【0334】 <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 7 actcgccagt gattgaacac aaac 24
【0335】 <210> 8 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 8 cccaatgcca agtacgtaat gaag 24
【0336】 <210> 9 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 9 tgtggtgttc cttagcatga cctg 24
【0337】 <210> 10 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 10 ttgatcccca accaggaagc ttgc 24
【0338】 <210> 11 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 11 tgaggccact gctcctctga tacg 24
【0339】 <210> 12 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 12 gatatcgccg cgctcgtcgt cgac 24
【0340】 <210> 13 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 13 caggaaggaa ggctggaaga gtgc 24
【0341】 <210> 14 <211> 11 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 14 ctttagagca c 11
【0342】 <210> 15 <211> 8 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 15 ctctaaag 8
【0343】 <210> 16 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified_base <222> (3) <223> i <220> <221> modified_base <222> (9) <223> i <220> <221> modified_base <222> (15) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 16 gcnathmgnc aracntgggg 20
【0344】 <210> 17 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified_base <222> (6) <223> i <220> <221> modified_base <222> (15) <223> i <220> <221> modified_base <222> (21) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 17 taygtnatga aracngaytc ngay 24
【0345】 <210> 18 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified_base <222> (10) <223> i <220> <221> modified_base <222> (19) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 18 rtcrctrtcn gtyttcatna crta 24
【0346】 <210> 19 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <221> modified_base <222> (4) <223> i <220> <221> modified_base <222> (7) <223> i <220> <221> modified_base <222> (10) <223> i <220> <221> modified_base <222> (16) <223> i <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 19 rcanarnccn acrtanacrt cytc 24
【0347】 <210> 20 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 20 accaccagca gtgcagcgga aac 23
【0348】 <210> 21 <211> 23 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 21 gccacgatcc tcctgaagag gca 23
【0349】 <210> 22 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 22 ctaagcttga aaggatttag actgtacatg c 31
【0350】 <210> 23 <211> 31 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 23 ctaagcttgt ctgcctgcag tctgtatctg g 31
【0351】 <210> 24 <211> 29 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 24 ctaagcttga caggccatgc aagctggag 29
【0352】 <210> 25 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 25 ctaagcttgt gaattcctct ttctctgctg 30
【図面の簡単な説明】
【図1】図1のAは、各種ヒト癌細胞株におけるタイプ
1糖鎖(シアリルルイスa糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイス
b糖鎖)の発現量を測定した結果を示した図である。各
細胞を抗シアリルルイスa糖鎖抗体(19-9)、抗ルイス
a糖鎖抗体(7LE)、または抗ルイスb糖鎖抗体(Neoko
kusai)で蛍光抗体染色した後、FACSを用いて解析
した。各抗体との反応性が強い順に+++、++、+、
±、−で示した。−は抗体との反応性がなかったことを
示している。NTは解析していないことを意味してい
る。図1のBは、定量的PCR法を用いて、各種ヒト癌
細胞株におけるヒトβ3Gal−T1、ヒトβ3Gal
−T2、ヒトβ3Gal−T3およびヒトβ3Gal−
T4の転写産物の量を定量した結果を示した図である。
各種細胞株における各β1,3−ガラクトース転移酵素
遺伝子転写産物の量は、いずれの細胞においても同程度
発現していると考えられるβ-アクチンの転写産物の量
を1000とした時の相対値として表示した。
【図2】図2は、プラスミドpBS−3GT5の造成工
程を示した図である。
【図3】図3のAは、コントロールプラスミド(pAM
o)を導入したNamalwa細胞[Namalwa(mock)]、あるいは
ヒトβ3Gal−T5発現プラスミド(pAMo−3G
T5)を導入したNamalwa細胞(Namalwa-3GT5)につい
て、抗シアリルルイスc糖鎖抗体(DU-PAN-2)を用いて
間接蛍光抗体染色を行なった後、FACSを用いて解析
した結果を示した図である。影をつけたヒストグラム
は、DU-PAN-2の代わりにA−PBSを用いた時の結果で
ある。図3のBは、コントロールプラスミド(pAM
o)を導入したHCT-15細胞[HCT15(mock)]、あるいはヒ
トβ3Gal−T5発現プラスミド(pAMo−3GT
5)を導入したHCT-15細胞(HCT-3GT5H)について、抗
シアリルルイスa糖鎖抗体(19-9)、抗シアリルルイス
c糖鎖抗体(DU-PAN-2)、抗ルイスa糖鎖抗体(7LE)
または抗ルイスb糖鎖抗体(Neokokusai)を用いて間接
蛍光抗体染色を行なった後、FACSを用いて解析した
結果を示した図である。影をつけたヒストグラムは、DU
-PAN-2の代わりにA−PBSを用いた時の結果である。
【図4】図4のAは、定量的PCR法を用いて、各種ヒ
ト癌細胞株におけるヒトβ3Gal−T5の転写産物の
量を定量した結果を示したずである。各種細胞株におけ
るヒトβ3Gal−T5の転写産物の量は、いずれの細
胞においても同程度発現していると考えられるβ-アク
チンの転写産物の量を1000とした時の相対値として
表示した。図4のBは、ウエスタン・ブロッティング解
析により、各種ヒト癌細胞株におけるCA19-9抗原含有タ
ンパク質の発現を調べた結果を示した図である。
【図5】図5は、定量的PCR法を用いて、各種ヒト組
織におけるヒトβ3Gal−T5の転写産物の量を定量
した結果を示した図である。各組織におけるヒトβ3G
al−T5の転写産物の量は、いずれの細胞においても
同程度発現していると考えられるβ-アクチンの転写産
物の量を1000とした時の相対値として表示した。
【図6】図6のAは、ヒトβ3Gal−T5染色体遺伝
子の構造を示した図である。4つのエクソンは四角で、
イントロンは線で示してある。エクソン2中にはXba
Iサイトが、エクソン3中にはBsmIサイトが存在し
ている。コーディング領域(open reading frame)は、
斜線で示してある。ヒトβ3Gal−T5cDNAのア
イソフォームの解析に使用したプライマー(si-1、si-
2、si-3、si-4)の位置を矢印で示した。図6のBは、
ヒトβ3Gal−T5cDNAのアイソフォームの構造
を示した図である。存在比は、Colo205細胞における各
アイソフォームの発現量をパーセンテイジで示したもの
である。図6のCは、RT−PCR法を用いて、Colo20
5細胞におけるヒトβ3Gal−T5cDNAの各アイ
ソフォームの発現量を調べた結果を示した図である。図
6Aに示したプライマーの組み合わせでRT−PCRを
行った後、図中に示した制限酵素(XbaIまたはBs
I)で切断してアイソフォームの特定を行った。none
は制限酵素処理をしないことを意味している。左のレー
ンは分子量マーカー(100bpラダー)である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 19/00 C12P 21/02 C 21/02 21/08 21/08 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/53 D G01N 33/53 C12N 5/00 B //(C12N 1/21 C12R 1:185) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:185) (C12P 21/02 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA05 AA11 BA10 BA79 BA80 CA04 CA09 CA10 CA20 DA03 DA06 EA04 FA02 GA14 GA18 GA19 GA27 HA13 HA14 HA19 4B050 CC01 CC03 DD11 EE01 LL01 LL02 LL03 LL05 4B063 QA01 QA19 QQ44 QR08 QR38 QR42 QR56 QR62 QS25 QS34 QX01 4B064 AF11 AF21 AG27 CA01 CA21 CB30 CC01 CC24 CD09 CD12 CD15 CD19 DA01 DA10 DA13 4B065 AA26X AA88X AA90X AA93X AA93Y AB01 AC14 AC16 BA03 BA25 BB01 BC01 BD50 CA21 CA22 CA29 CA41 CA43 CA44 CA46

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアリルルイスa糖鎖を発現している大
    腸癌細胞に存在する、シアリルルイスa糖鎖の合成に関
    与するβ1,3−ガラクトース転移酵素活性を有するポ
    リペプチド。
  2. 【請求項2】 以下の(a)、(b)および(c)から
    選ばれるポリペプチド。 (a)配列番号1記載のアミノ酸配列からなるポリペプ
    チド (b)配列番号1記載のアミノ酸配列の31〜310番
    目のアミノ酸配列を含むポリペプチド (c)(a)または(b)のポリペプチドの有するアミ
    ノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置
    換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつGal
    β1-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,3−ガラクトース
    転移酵素活性を有するポリペプチド
  3. 【請求項3】 β1,3−ガラクトース転移酵素活性
    が、糖鎖の非還元末端に存在するN−アセチルグルコサ
    ミン残基にβ1,3結合でガラクトースを転移する活性
    である、請求項1または2記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 β1,3−ガラクトース転移酵素活性
    が、GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glcの非還元末端に存在するN
    −アセチルグルコサミン残基、またはN−アセチルグル
    コサミン単糖にβ1,3結合でガラクトースを転移する
    活性である、請求項1または2記載のポリペプチド。
  5. 【請求項5】 以下の(a)、(b)、(c)および
    (d)から選ばれるDNA。 (a)請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドを
    コードするDNA (b)配列番号2で表される塩基配列の402〜133
    1番目の塩基配列を有するDNA (c)配列番号2で表される塩基配列の492〜133
    1番目の塩基配列を有するDNA (d)(a)〜(c)いずれかに記載のDNAとストリ
    ンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであ
    り、かつGalβ1-3GlcNAc構造を合成可能なβ1,3−ガ
    ラクトース転移酵素活性を有するポリペプチドをコード
    するDNA
  6. 【請求項6】 請求項5記載のDNAをベクターに組み
    込んで得られる組換え体DNA。
  7. 【請求項7】 組換え体DNAが、プラスミドpAMo
    −3GT5またはプラスミドpBS−3GT5(FER
    M BP−6645)である、請求項6記載の組換え体
    DNA。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載のDNA、請求項6記載
    の組換え体DNA、または請求項7記載の組換え体DN
    Aを保有する形質転換体。
  9. 【請求項9】 形質転換体が、微生物、動物細胞、植物
    細胞、昆虫細胞、非ヒトトランスジェニック動物および
    トランスジェニック植物から選ばれる形質転換体であ
    る、請求項8記載の形質転換体。
  10. 【請求項10】 微生物が、Escherichia属に属する微
    生物である、請求項9記載の形質転換体。
  11. 【請求項11】 動物細胞が、マウス・ミエローマ細
    胞、ラット・ミエローマ細胞、マウス・ハイブリドーマ
    細胞、CHO細胞、BHK細胞、アフリカミドリザル腎臓細
    胞、Namalwa細胞、Namalwa KJM-1細胞、ヒト胎児腎臓細
    胞およびヒト白血病細胞から選ばれる動物細胞である、
    請求項9記載の形質転換体。
  12. 【請求項12】 昆虫細胞が、Spodoptera frugiperda
    の卵巣細胞、Trichoplusia niの卵巣細胞およびカイコ
    の卵巣細胞から選ばれる昆虫細胞である、請求項9記載
    の形質転換体。
  13. 【請求項13】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAをベクターに組み込んで得
    られる組換え体DNAを保有する形質転換体を培養液中
    で培養し、該ポリペプチドを該培養物中に生成・蓄積さ
    せ、該培養物中より該ポリペプチドを採取することを特
    徴とする、該ポリペプチドの製造法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAをベクターに組み込んで得
    られる組換え体DNAを保有する非ヒトトランスジェニ
    ック動物を飼育し、該ポリペプチドを該動物中に生成・
    蓄積させ、該動物中より該ポリペプチドを採取すること
    を特徴とする、該ポリペプチドの製造法。
  15. 【請求項15】 生成・蓄積が動物のミルク中であるこ
    とを特徴とする、請求項14記載の製造法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAをベクターに組み込んで得
    られる組換え体DNAを保有するトランスジェニック植
    物を栽培し、該ポリペプチドを該植物中に生成蓄積さ
    せ、該植物中より該ポリペプチドを採取することを特徴
    とする、該ポリペプチドの製造法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAを用い、in vitroでの転写
    ・翻訳系により該ポリペプチドを合成することを特徴と
    する、該ポリペプチドの製造法。
  18. 【請求項18】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを酵素源として用い、 (a)該酵素源、 (b)i)N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、 ii)N−アセチルグルコサミン残基を非還元末端に有す
    るオリゴ糖および iii)N−アセチルグルコサミン残基を非還元末端に有す
    る複合糖質から選ばれる受容基質、および (c)ウリジン−5’−二リン酸ガラクトースを水性媒
    体中に存在せしめ、該水性媒体中に、該受容基質のN−
    アセチルグルコサミンまたはN−アセチルグルコサミン
    残基にβ1,3結合でガラクトースが付与された反応産
    物を生成・蓄積させ、該水性媒体中より該反応産物を採
    取することを特徴とする、該反応産物の製造法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを酵素源として用い、 (a)該酵素源、 (b)i)グルコース、 ii)グルコース残基を非還元末端に有するオリゴ糖およ
    び iii)グルコース残基を糖鎖の非還元末端に有する複合糖
    質から選ばれる受容基質、および (c)ウリジン−5’−二リン酸ガラクトースを水性媒
    体中に存在せしめ、該水性媒体中に、該受容基質のグル
    コースまたはグルコース残基にβ1,3結合でガラクト
    ースが付与された反応産物を生成・蓄積させ、該水性媒
    体中より該反応産物を採取することを特徴とする、該反
    応産物の製造法。
  20. 【請求項20】 請求項9記載の微生物、動物細胞、植
    物細胞および昆虫細胞由来の形質転換体から選ばれる形
    質転換体を培養液中で培養し、該培養物中に、ガラクト
    ースがβ1,3結合でN−アセチルグルコサミン、N−
    アセチルグルコサミン残基、グルコースまたはグルコー
    ス残基に付加した構造を有する糖鎖または該糖鎖を含有
    する複合糖質を生成・蓄積させ、該培養物中より該糖鎖
    または該複合糖質を採取することを特徴とする、該糖鎖
    または該複合糖質の製造法。
  21. 【請求項21】 請求項9記載の非ヒトトランスジェニ
    ック動物を飼育し、該動物中に、ガラクトースがβ1,
    3結合でN−アセチルグルコサミン、N−アセチルグル
    コサミン残基、グルコースまたはグルコース残基に付加
    した構造を有する糖鎖または該糖鎖を含有する複合糖質
    を生成・蓄積させ、該動物中より該糖鎖または該複合糖
    質を採取することを特徴とする、該糖鎖または該複合糖
    質の製造法。
  22. 【請求項22】 請求項9記載のトランスジェニック植
    物を栽培し、該植物中に、ガラクトースがβ1,3結合
    でN−アセチルグルコサミン、N−アセチルグルコサミ
    ン残基、グルコースまたはグルコース残基に付加した構
    造を有する糖鎖または該糖鎖を含有する複合糖質を生成
    ・蓄積させ、該植物中より該糖鎖または該複合糖質を採
    取することを特徴とする、該糖鎖または該複合糖質の製
    造法。
  23. 【請求項23】 複合糖質が、糖蛋白質、糖脂質、プロ
    テオグリカン、グリコペプチド、リポ多糖、ペプチドグ
    リカン、およびステロイド化合物に糖鎖が結合した配糖
    体から選ばれる複合糖質である、請求項18〜22のい
    ずれかに記載の製造法。
  24. 【請求項24】 生成・蓄積が動物のミルク中であるこ
    とを特徴とする、請求項21記載の製造法。
  25. 【請求項25】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAまたは該DNAの断片を用
    い、ハイブリダイゼーション法により、該ポリぺプチド
    をコードする遺伝子の発現量を定量する方法。
  26. 【請求項26】 請求項5に記載のDNAまたは配列番
    号2または3で表される塩基配列を有するDNAの有す
    る塩基配列中の連続した5〜60塩基と同じ配列を有す
    るオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチドと相補的
    な配列を有するオリゴヌクレオチド、およびこれらオリ
    ゴヌクレオチドの誘導体オリゴヌクレオチドから選ばれ
    るDNA。
  27. 【請求項27】 誘導体オリゴヌクレオチドが、オリゴ
    ヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスフォロチ
    オエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、
    オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’
    −P5’ホスフォアミデート結合に変換された誘導体オ
    リゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースと
    リン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換された
    誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウ
    ラシルがC−5プロピニルウラシルで置換された誘導体
    オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシル
    がC−5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴ
    ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−
    5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレ
    オチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサ
    ジン修飾シトシン(phenoxazine-modified cytosine)で
    置換された誘導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボ
    ースが2’−O−プロピルリボースで置換された誘導体
    オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボ
    ースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘
    導体オリゴヌクレオチドから選ばれる誘導体オリゴヌク
    レオチドである、請求項26記載のDNA。
  28. 【請求項28】 配列番号20または21で表される塩
    基配列を有するDNA。
  29. 【請求項29】 請求項26〜28のいずれかに記載の
    オリゴヌクレオチドを用い、ポリメラーゼ・チェイン・
    リアクション法により、請求項1〜4のいずれかに記載
    のポリペプチドをコードする遺伝子の発現量を定量する
    方法。
  30. 【請求項30】 請求項25または29記載の方法を用
    いた癌または癌転移の検出法。
  31. 【請求項31】 請求項5、26〜28記載のDNAお
    よび配列番号2または3で表される塩基配列を有するD
    NAから得らばれるDNAを用い、請求項1〜4のいず
    れかに記載のポリペプチドをコードするDNAの転写ま
    たはmRNAの翻訳を抑制する方法。
  32. 【請求項32】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを認識する抗体。
  33. 【請求項33】 請求項32記載の抗体を用いる、請求
    項1〜4のいずれかに記載のポリペプチドの免疫学的検
    出法。
  34. 【請求項34】 請求項32記載の抗体を用い、請求項
    1〜4のいずれかに記載のポリペプチドを検出すること
    を特徴とする、免疫組織染色法。
  35. 【請求項35】 請求項32記載の抗体を含有する、免
    疫組織染色剤。
  36. 【請求項36】 請求項32記載の抗体を含有する、癌
    または癌転移の診断薬。
  37. 【請求項37】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドと被験試料とを接触させることを特徴とする、
    該ポリペプチドの有する活性を変動させる化合物のスク
    リーニング法。
  38. 【請求項38】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを発現する細胞と被験試料とを接触させ、抗シ
    アリルルイスa抗体、抗ルイスa抗体、抗ルイスb抗体ま
    たは抗シアリルルイスc抗体を用い、シアリルルイスa
    糖鎖、ルイスa糖鎖、ルイスb糖鎖またはシアリルルイ
    スc糖鎖含量を測定することを特徴とする、該ポリぺプ
    チドをコードする遺伝子の発現を変動させる化合物のス
    クリーニング法。
  39. 【請求項39】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドを発現する細胞と被験試料とを接触させ、請求
    項32記載の抗体を用い、該ポリペプチド含量を測定す
    ることを特徴とする、該ポリぺプチドをコードする遺伝
    子の発現を変動させる化合物のスクリーニング法。
  40. 【請求項40】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードする遺伝子の転写を司るプロモーター
    DNA。
  41. 【請求項41】 プロモーターDNAが、小腸細胞、大
    腸細胞、膵臓細胞、胃細胞、大腸癌細胞、膵癌細胞およ
    び胃癌細胞から選ばれる細胞で機能しているプロモータ
    ーである、請求項40記載のプロモーターDNA。
  42. 【請求項42】 プロモーターDNAが、ヒトまたはマ
    ウス由来のプロモーターDNAである、請求項40また
    は41記載のプロモーターDNA。
  43. 【請求項43】 プロモーターDNAが、配列番号3で
    表される塩基配列の1〜5000番目の塩基配列中の連
    続する50〜5000bpのDNA配列を有する、請求
    項40〜42のいずれかに記載のプロモーターDNA。
  44. 【請求項44】 請求項40〜43のいずれかに記載の
    プロモーターDNAおよび該プロモーターDNAの下流
    に連結させたレポーター遺伝子を含有するプラスミドを
    用いて動物細胞を形質転換し、該形質転換体と被験試料
    とを接触させ、該レポーター遺伝子の翻訳産物の含量を
    測定することを特徴とする、該プロモータによる転写の
    効率を変動させる化合物のスクリーニング法。
  45. 【請求項45】 レポーター遺伝子が、クロラムフェニ
    コール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、β−ガラ
    クトシダーゼ遺伝子、β-ラクタマーゼ遺伝子、ルシフ
    ェラーゼ遺伝子およびグリーン・フルオレッセント・プ
    ロテイン遺伝子より選ばれる遺伝子である、請求項44
    記載のスクリーニング法。
  46. 【請求項46】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリ
    ペプチドをコードするDNAを欠損または変異させたノ
    ックアウト動物。
  47. 【請求項47】 ノックアウト動物がマウスである、請
    求項46記載のノックアウト動物。
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