JPWO2002064769A1 - 新規疾患マーカー - Google Patents
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Abstract
癌、癌転移および骨疾患のマーカーを提供し、癌、骨疾患の検出方法ならびに診断キットを提供する。また、癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症の予防および治療を目的とする医薬を提供する。間葉系幹細胞においてC0126が発現しており、胃癌において発現が増加していることから胃癌マーカーとして有用である。また、C0126が軟骨細胞分化誘導活性を有することから変形性関節症、リュウマチ性関節炎マーカーとして有用である。さらに、C0126ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリペプチドに対する抗体は、軟骨細胞分化誘導活性を調節する物質をスクリーニングするのに有用である。該スクリーニングにより得られた物質は医薬として有用で、胃癌、変形性関節症およびリュウマチ性関節炎の予防または治療剤として有用である。
Description
技術分野
本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するプレキシン、c−METおよびTEM7と相同性を有する膜貫通型タンパク質C0126の癌、癌転移ならびに骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症のマーカーとしての用途に関する。また、C0126ポリペプチドおよびその断片、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその断片、該ポリペプチドおよびその断片を認識する抗体を用いた癌、癌転移および骨疾患、特に、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症などの診断、予防および治療のための医薬、製剤、方法に関する。
背景技術
膜貫通型ポリペプチドとして配列番号4のアミノ酸配列で表わされるポリペプチドを単離し、次いで、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離し、その配列(配列番号3)が決定された(WO00/77037)。該ポリペプチドは507個のアミノ酸からなるポリペプチドであるが、その機能は未だ解明されていない。。
プレキシンは、セマフォリンの受容体であり、細胞外領域にc−METと相同性の高いシステインリッチドメインを有する1回膜貫通タンパク質で生体内に幅広く発現している(Neuron,14,1189(1995).)。セマフォリンは、神経回路形成に関与する因子として見出されている(Cell,75,1389(1993).)。神経回路は細胞接着因子と反発因子によりその回路網が形成される。セマフォリンは、神経系組織においては反発因子として働いており、軸索を目的の細胞へと反発的に誘導している。近年、末梢組織においてセマフォリンは、血管新生(Journal of Cell Biology,146,233(1999).)、癌細胞増殖および癌転移(Cancer Research,58,1238(1998).)にも関与していることが見出されている。プレキシンは細胞内領域にタイロシンキナーゼ活性に関係する部位を有し、セマフォリンの作用を細胞内に伝達している(Cell,99,71−80(1999).)。c−METは肝細胞増殖因子(HGE)の受容体であり(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,84,6379(1987).)、1回膜貫通タンパク質で細胞内領域にタイロシンキナーゼ領域を有し、神経細胞にも発現しており、軸索の突起伸展および誘導に関与している(Neuron,17,1157(1996).)。TEM7(Tumor Endothelial Maker 7)は、大腸癌のマーカー遺伝子として発見され、筋肉腫、転移肝癌、肺癌、膵癌、乳癌および脳腫瘍とでもその発現増加が見出され、血管新生に関与していると考えられている(Science,289,1197(2000).)。
癌は生体内のほとんどの組織で発症する疾患で、これまでに癌化の標的遺伝子である癌遺伝子および癌抑制遺伝子が数多く発見され、ヒト癌化機構は特定の遺伝子レベルで多段階的に描かれている(Molecular Medicine,36,424(1999).)。例えば、胃癌は、低分化型腺癌と腺腫および腸上皮化生の見られる高分化型腺癌に分けられているが、両型に共通して発症の極めて初期に、(1)テロメア長短縮および遺伝子不安定が起きている。早期癌になるまでに、(2)テロメラーゼの活性化およびテロメラーゼリバーストランスクリプターゼ発現、(3)CD44異常転写産物、サイクリンE過剰発現、c−metの発現が誘導されている。その後、進行癌となり、(4)染色体7q欠失、サイクリンE遺伝子増幅、p27発現低下、nm23発現低下、増殖因子過剰発現、CD44異常転写産物などの異常が生じている。高分化型に特徴的な遺伝子異常としては、(1)D1S191不安定性、DNAメチル化、(2)APC遺伝子の不活化、p53遺伝子の不活化、K−ras遺伝子活性化、pS2発現喪失、(3)p27発現低下、c−erbB2遺伝子増幅である。低分化型に特徴的な遺伝子異常としては、(1)染色体17p12−21欠失、カドヘリン遺伝子変異、K−sam遺伝子増幅、c−met遺伝子増幅である。c−metは肝細胞成長因子の受容体であり、肝細胞成長因子の刺激によりカテニンをリン酸化することによりカドヘリン機能を低下させ、細胞解離を促進する。よって、c−metタンパク質の増加により、肝細胞成長因子が細胞分散因子として作用し、びまん性浸潤に関与していると考えられている。しかしながら、発癌機構は未だ完全に解明されておらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられている。この様な状況の下、癌の発症に関わる新規遺伝子の同定および同遺伝子を用いた癌の診断方法が待望されていた。
変形性関節症およびリュウマチ性関節炎は関節の軟骨組織の変性、摩粍を伴う疾患で、その治療方法は、現在のところ鎮痛と抗炎症を中心とする対症療法が中心である。しかし、根本的治療のためには、軟骨の破壊と再生を促進する治療法の開発が望まれている。軟骨細胞は、間葉系幹細胞が軟骨に分化することにより形成される。間系幹細胞は、骨髄中に含まれる細胞で、多分化能を有し、骨、軟骨、腱、靭帯、脂肪、骨格筋等の中胚葉由来組織の幹細胞である。特に、脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞には容易に分化させることが可能である(Science,284,143(1999).)。したがって、間系幹細胞の軟骨分化を制御機構の解明が変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の予防・治療のための医薬・方法を開発するのに重要であるが、軟骨細胞の分化機構は未だ完全に解明されておらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられている。この様な状況の下、軟骨分化に関わる遺伝子の同定および同遺伝子あるいは同遺伝子産物を用いた変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の診断、予防および治療のための医薬・方法が待望されていた。
発明の開示
本発明は、癌、癌転移および骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の診断に有用な新規なマーカーを提供することである。また、本発明は、癌、癌転移および骨疾患、特に、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の予防ならびに治療に有用なポリペプチドおよびポリヌクレオチドを提供することである。
本発明者らは、血管新生および間葉系幹細胞の分化に関与している遺伝子の単離を目的として、鋭意研究を行なった結果、新規な癌および癌転移のマーカーとして配列番号1で表されるポリヌクレオチドを見出した。また、該マーカーが胃癌組織で発現が上昇していることを見出し、癌あるいは癌転移のマーカーとして有用であることを確認した。さらに、研究を進めた結果、新規な骨疾患マーカーとして配列番号2で表されるC0126ポリペプチドを見出した。また、間葉系幹細胞を軟骨細胞分化誘導因子で軟骨細胞に分化させるとC0126の発現が増加していること、C0126を間葉系幹細胞株で発現させると軟骨細胞への分化が促進されることを見出し、本発明のマーカーが軟骨細胞分化が関連する骨疾患のマーカーとして有用であることを確認し、さらに、変形性関節症、リュウマチ性関節炎や骨粗鬆症のマーカーとして有用であることを示唆し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)配列番号2の1位のAspから45位のArgで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(2)配列番号2の46位のAsnから432位のTyrで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(3)配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む(1)または(2)に記載のマーカー;
(4)配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む(1)または(2)に記載のマーカー;
(5)配列番号2の1位のAspから45位のArg、46位のAsnから432位のTyr、1位のAspから507位のCysまたは2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドのいずれかにおいて、欠失、置換または挿入から選ばれる1若しくは数個のアミノ酸変異を有するポリペプチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(6)該癌が胃癌である(1)から(5)に記載のマーカー;
(7)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(1)から(5)のいずれかに記載のマーカー;
(8)配列番号1の423番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(9)配列番号1の288番目のGから422番目のAで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(10)配列番号1の288番目のGから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む(8)または(9)に記載のマーカー;
(11)配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、(8)または(9)に記載のマーカー;
(12)配列番号1の423番目のAから1808番目のC、288番目のGから422番目のA、288番目のGから1808番目のCまたは222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列のいずれかとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(13)該癌が胃癌である(8)から(12)に記載のマーカー;
(14)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(8)から(12)のいずれかに記載のマーカー;
(15)下記の工程を含む、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部からなるポリペプチドを認識する抗体を用いることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該抗体とを接触させる工程、および
(b)被験物質と該抗体との結合を検出する工程;
(16)下記の工程を含む、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを用いることを特徴とする(8)から(15)のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該ポリヌクレオチドとを接触させる工程、および
(b)被験物質と該ポリヌクレオチドとの結合を検出する工程;
(17)(15)または(16)に記載の検出方法を用いることを特徴とする癌、癌転移または骨疾患の診断用キット;
(18)該癌が胃癌である(17)に記載の診断キット;
(19)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(17)に記載の診断用キット;
(20)下記工程を含む、配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を用いることを特徴とする軟骨細胞誘導活性調節物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質の存在下または非存在下で該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体を培養する工程、および
(b)該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体における軟骨基質の生成量を被験物質の存在下または非存在下で比較する工程;
(21)配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を含むことを特徴とする、軟骨細胞分化誘導活性調節物質スクリーニング用キット;
(22)(21)に記載のスクリーニング方法により得られることを特徴とする軟骨細胞分化誘導活性調節物質;
(23)配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである(22)に記載の軟骨細胞分化誘導活性調節物質;
(24)(22)または(23)に記載の化合物またはその塩、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチド、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部からなるポリヌクレオチドを含むヒト遺伝子治療用発現ベクター、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部を含むポリペプチド、該ポリペプチドに対する抗体の何れかを有効成分として含有する医薬組成物;
(25)癌または癌転移の予防または治療剤である(24)に記載の医薬組成物;
(26)骨疾患の予防剤または治療剤である(24)に記載の医薬組成物;
(27)変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防剤または治療剤である(24)記載の医薬組成物;
(28)(24)から(27)のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする癌、癌転移、骨疾患の予防または治療方法;
に関する。
本明細書において使用される用語は、特に言及する場合を除いて、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。以下に特に本明細書で用いられる用語について説明する。
本発明のマーカーは、「配列番号2の1位のAspから45位のArgで表わされるアミノ酸配列」または「配列番号2の46位のAsnから432位のTyrで表わされるアミノ酸配列」であり、「配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列」および「配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列」も包含する。さらに、本発明のマーカーは、「配列番号1の423番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列」または「配列番号1の288番目のGから422番目のAで表わされる塩基配列」であり、「配列番号1の288番目のGから1808番目のCで表わされる塩基配列」および「配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列」も包含する。
「癌」とは、がん腫、肉腫、白血病、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍などに分類される悪性腫瘍および悪性新生物を意味し、胃癌を包含し、さらにこれらの癌転移をも包含する。「骨疾患」とは、例えば、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などが挙げられる。
本明細書において、「マーカー」とは、生体内において癌、癌転移または骨疾患を検出するのに使用される物質である。ある種のmRNAまたはタンパク質が、癌、癌転移または骨疾患においてその発現が増加または減少する場合にマーカーとなりえ、例えば、配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、それに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドおよびそれらの一部が挙げられる。
「配列番号1に記載の塩基配列の一部」とは、配列番号1に記載の塩基配列のうち少なくとも連続した10個以上の塩基配列であり、好ましくは配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列の少なくとも連続した10個以上の塩基配列である。
「配列番号2に記載のアミノ酸配列の一部」とは、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、好ましくは配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、さらに好ましくは、配列番号2の1位のAspから45位のArgまたは46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列である。
「1若しくは数個のアミノ酸」とは、部位特異的変異誘発法などにより欠失、置換および付加できる程度の数のアミノ酸であり、50個以下、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、さらに好ましくは10個以下のアミノ酸を意味する。さらに、該ポリペプチドは、欠失、置換および付加によってもマーカーとしての機能を有するポリペプチドである。
「ストリンシェントな条件でハイブリダイズする」とは、当該分野において周知慣用な手法、例えば、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることによりハイブリダイズすることを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したメンブランを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline Sodium Citrate;150mM塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウム)溶液を用い、65℃でメンブランを洗浄した場合でもハイブリダイズしていることを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley−Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A Practical Approach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)などに記載されている方法に準じて行うことができる。
「抗体」とは、当該分野で通常使用される意味で用いられ、抗体の全部またはその断片、誘導体、結合体、修飾体なども包含される。好ましくは、C0126またはその断片を認識する抗体であり、好ましくは、特異的に認識する抗体であり、さらに好ましくは、単一特異的に認識する抗体である。そのような抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれでもよい。
「検出する方法」とは、mRNAの検出を行う分子生物学的測定方法、またはポリペプチドの検出を行う免疫学的測定方法であればいかなる方法でもよい。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法、RT−PCR法などが、免疫学的測定方法としては、例えば、ELISA(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay)法、RIA(Radio Immuno Assay)法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などが挙げられる。
「診断用キット」とは、C0126が癌、癌転移および骨疾患のマーカーとなり得るため、少なくとも該マーカーを検出するためのポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126に対する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドが含まれており、前述の検出する方法に基づき、該マーカーを分子生物学的あるいは免疫学的に測定するためのキットである。
「軟骨細胞分化誘導活性」とは幹細胞から軟骨細胞への分化を促進する活性である。軟骨細胞分化誘導活性は、幹細胞から軟骨細胞へ分化する際に生成される軟骨基質、例えば、各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成を検出することにより測定することができる。
「軟骨細胞分化誘導活性調節物質」とは、幹細胞から軟骨細胞への分化を調節する物質であり、前述の軟骨細胞分化誘導活性を調節できる物質である。そのような物質は幹細胞が軟骨細胞へ分化する際に生成される各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質を指標に、その増加あるいは減少させる物質をスクリーニングすることによって得ることができる。軟骨細胞分化誘導活性調節物質としてはC0126に結合する「結合物質」、C0126と該結合物質の結合を調節する「結合活性調節物質」、C0126の発現を調節する「発現調節物質」など軟骨細胞の分化誘導を調節できる物質であれば何れのものでもよく、このような物質としては、例えば、低分子物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの物質が挙げられる。好ましくは、配列番号2の−22位のMetから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドであり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドであり、さらに好ましくは、配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドである。
「スクリーニング方法」とは、C0126に対する結合物質、結合活性調節物質、発現調節物質をスクリーニングする方法であり、前述の分子生物学的測定方法、免疫学的測定方法、バイオアッセイおよび結合アッセイなど、当該分野で公知となっている技術を適宜適応することにより達成することができる。
「スクリーニング用キット」とは、軟骨細胞分化誘導活性調節物質をスクリーニングするためのもので、少なくともC0126を検出するためのポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126に対する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドが含まれており、前述のスクリーニング方法に基づき、該活性調節物質を分子生物学的測定方法、免疫学的測定方法、バイオアッセイおよび結合アッセイによりスクリーニングするためのキットである。
「医薬組成物」とは、少なくともC0126のポリペプチドまたはその一部、C0126のポリヌクレオチドまたはその一部、C0126またはその一部に対する抗体、軟骨細胞分化誘導活性調節物質の何れかを含有していればよく、特定の疾患、例えば、癌、骨疾患、特に胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの予防または治療に用いうる。このような物質としては、例えば、低分子物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの物質が挙げられる。好ましくは、配列番号2の−22位のMetから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、さらに好ましくは、配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、本発明の医薬組成物に「遺伝子治療用発現ベクター」も包含する。「遺伝子治療用発現ベクター」とは、該マーカーのポリヌクレオチドの一部または全部を組み込んだ発現ベクターで、細胞・組織に導入することにより正常な遺伝子を細胞に補ったり、遺伝子の欠陥を修復・修正することができるベクターである。そのようなベクターは、複製能を欠いたウイルスの配列の一部または全部を治療用遺伝子と置き換えたものなどが用いられる。該マーカーが癌、癌転移、骨疾患に関連していることから、該マーカーのポリヌクレオチドはそれらの遺伝子治療に有用である。
「予防または治療剤」とは、C0126が癌、骨疾患において増加していることから、C0126の発現量あるいは活性を調節する物質が有用であり、少なくとも前述の医薬組成物を含有する製剤である。
「予防または治療方法」とは、前述の医薬組成物を投与することにより特定疾患、例えば、癌、癌転移および骨疾患、好ましくは、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎あるいは骨粗鬆症などの予防または治療方法である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明のマーカーを用いた癌、癌転移または/および骨疾患の検出方法、診断用キット、軟骨細胞分化誘導活性調節物質、軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング方法、遺伝子治療用発現ベクター、予防または治療剤、予防または治療方法について説明する。本明細書において、特に指示のない限り、当該分野で公知である遺伝子組換え技術、粗換えタンパク質の生産技術、発現タンパク質の分離精製法、分析法および免疫学的手法が採用される。
(1)C0126の取得
ヒト間葉系幹細胞、脳、胃、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤、肺および腎臓由来のヒト正常細胞、または、胃由来のヒト癌細胞より、常法によりcDNAライブラリーを作製する。
cDNAライブラリー作製法としては、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)やCurrent Protocols in Molecular Biology(1994)(Green Publishing Associates and Wiley−Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A PracticalApproach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)などに記載された方法、あるいは市販のキット、例えば、SuperScript Plasmid System forcDNA Synthesis and Plasmid Cloning(インビトロジェン社製)やZAP−cDNA Synthesis Kits(ストラタジーン社製)などを用いる方法が挙げられる。また、ヒト癌細胞由来株COLO205(ATCC:CCL−222;結腸腺癌由来株)から調製したmRNAを用いて、SuperScript First−strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン社製)などのcDNA合成キットなどによりcDNAを合成することもできる。
調製したcDNAの両末端にSfi Iリンカーを付与した後、クローニングベクター、例えば、pAMo(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)のSfi Iサイトに挿入する。該プラスミドを用い、大腸菌株Bacterial Strain LE392,Glycerol Stock(プロメガ社製)を形質転換してcDNAライブラリーを作製する。作製したcDNAライブラリーより目的とするDNAを含むクローンを以下の方法で選択する。
上記で作製したcDNAライブラリーより、常法または市販のキット、例えば、QIAGEN Plasmid Maxi Kit(キアゲン社製)などを用いた方法によりプラスミドを調製する。
上記で調製したcDNAライブラリーからTEM7のアミノ酸配列と相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA断片を有するプラスミドを選択する。そのようなDNA断片は、TEM7、プレキシンおよびc−Metでアミノ酸配列がよく保存されている領域を2ヶ所以上見出し、該領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対応する縮重プライマーを設計し、Polymerase Chain Reaction(PCR)法により増幅することで得られる。縮重プライマーの作製方法は、PCR Primer:A Laboratory Manual(1995)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ザ・プロトコールシリーズ「cDNAクローニング」(1996)(井上純一郎、仙波憲太郎編;羊土社)およびScience,241,42(1988).などに記載の方法が挙げられる。PCR法はMolecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびPCR Protocols(1989)(Academic Press)などに記載の方法が挙げられる。
このようにしてPCR法で増幅したDNA断片を適当なプラスミドに挿入し、サブクローニングする。サブクローニングは、増幅したDNA断片をそのままあるいは制限酵素やDNAポリメラーゼで処理した後、常法によりプラスミドベクターに組み込むことにより行うことができる。そのようなベクターとしては、pBluescript II SK(+)、pBluescript II SK(−)、pPCR−Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT(Nucreic Acids Research,18,6069(1990).)、pT7Blue(ノバゲン社製)、pCRII(インビトロジェン社製)、pCR−TRAP(ジーンハンター社製)、pNoTAT7(Eppendorf 5prime社製)などが例示できる。
サブクローン化されたPCR増幅断片の塩基配列をスクリーニングすることにより、既知のTEM7のアミノ酸配列とホモロジーを有するが、完全には一致しないアミノ酸配列をコードするDNA断片を選択することができる。塩基配列は、通常用いられる塩基配列解析方法、例えば、サンガーらのジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,74,5463(1977).)あるいは373A DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)などの塩基配列分析装置で解析することができる。このようにして選択したDNA断片をプローブとし、上記で作製したcDNAライブラリーに対して、コロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーション解析を行うことにより、既知のTEM7とホモロジーを有するポリペプチドをコードするcDNAを取得することができる。プローブは、該DNA断片を32Pなどの放射性同位体、ジゴキシゲニン(digoxigenin)、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素などで標識したものを使用することができる。ハイブリダイゼーションは、通常用いられる方法、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の方法で行うことができる。
ハイブリダイゼーションにより取得されたcDNA断片をそのままあるいは適当な制限酵素で消化した後、常法によりプラスミドベクターに組み込み、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばサンガーらのジデオキシ法(Procceedings of the National Academy of Sciences USA,74,5463(1977).)あるいは373ADNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)などの塩基配列分析装置を用いて塩基配列を分析することで目的とするDNAを取得することができる。
このようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号2で表されるポリペプチドをコードするDNAなどが挙げられ、具体的には、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。配列番号1のDNAを含むプラスミドとしては、例えば、後述の実施例に記載したプラスミドをあげることができる。
上記のようにして取得したDNAを発現ベクターに組み込み発現プラスミドを構築する。得られた発現プラスミドを適当な動物細胞に導入後、軟骨細胞への分化誘導活性を指標に、該DNAが骨組織における軟骨の形成に関与する生理活性を有するかどうかを調べることができる。
該発現ベクターとしては、該cDNAを組み込んで動物細胞で発現できるベクターであればいかなるものでも用いることができ、例えば、pCR2.1TOPO、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pCDM8、pREP(インビトロジェン社製)、pHM6、pHB6(ロシュダイアグノスティックス社製)、pKK223−3、pGEX(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pET−3、pET−11、pBluescriptII SK(+)、pBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)、pUC19、pTrxFus、pREP4(インビトロジェン社製)、pUC118、pSTV28(宝酒造社製)、pMAL−c2X(New England BioLabs社製)、pAGE107(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).;特開平3−22979)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101(5),1307−1310(1987).)、pAMo、pAMoA(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)、pAMoPRSA(特開平5−336963)、pAS3−3(特開平2−227075)などを用いることができる。
該発現ベクターの宿主への導入方法としてはDNAを導入する方法であればいずれの方法も用いることができる。宿主が動物細胞である場合、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).)、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,7413(1987).;Vilology,52,456(1973).)に記載の方法が例示される。
宿主としては発現ベクターに対応する適当な細胞または組織を用いることが可能で、例えば、動物細胞などが挙げられる。宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由来株細胞のNamalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL−1432)およびそのサブラインNamalwaKJM−1、HCT−15(ヒト大腸癌細胞、ATCC:CCL−225)、サル由来株細胞のCOS−1(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1650)およびCOS−7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1651)、ハムスター由来株細胞のCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞、ATCC:CCL−61)およびHBT5637(特開昭63−299)、マウス由来株細胞のC3H/10T1/2(胎児細胞、ATCC:CCL−226)などが例示されるが、好ましくは、C3H/10T1/2細胞を用いる。
C0126を発現する形質転換体は、当該分野において周知慣用の常法により培養する。形質転換した宿主に適した培地を用いて行うことができ、培養に使用される培地としては液体培地が適当である。具体的には、MEM培地(Science,130,432(1959).)、D−MEM培地(Virology,8,396(1959).)、RPMI1640培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967).)、YT培地、BEM培地などが用いられる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際の培地としては、例えば、MEM培地、D−MEM培地、RPIM培地などにウシ胎児血清(FCS)を適量添加したものなどが用いられる。必要により発現ベクターのプロモーターの転写活性を高めるために、転写活性を促進する物質を含んでいてもよく、例えば、イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシン(IPTG)などを用いることができる。
培地には形質転換体が生育するのに必要な栄養素、例えば、グルコース、アミノ酸、ペプトン、ビタミン類、ホルモン類、血清、好ましくは、ECS、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどが含有されており、その様な培地であればどのような組成の培地でも用いることができ、市販されている培地も用いることができる。培養はpH6.0〜8.0、25〜40℃、5% CO2存在下などの条件で行う。
所望のDNAは、C0126が有する軟骨細胞の分化誘導活性を指標に、該形質転換体によって産生されたタンパク質をスクリーニングすることによって選択することができる。軟骨細胞の分化誘導活性とは、軟骨細胞の細胞増殖速度の上昇をもたらし、該細胞の形態変化を促進させる活性を指す。該活性は、例えば、顕微鏡による軟骨細胞の形態学的観察や、軟骨細胞の分化マーカー、例えば、アグリカン、コラーゲン、プロテオグリカン(コンドロイチン硫酸など)などの軟骨基質を測定することにより検出することが可能である。軟骨基質は、例えば、細胞をアルシアンブルー染色液で染色した後、軟骨基質を染色したアルシアンブルーをグアニジン塩酸塩を用いて細胞から抽出し、その量を分光光度計
該培養により得られた細胞を、該発現プラスミドを導入した細胞において、神経細胞軸索の突起伸展活性あるいは誘導活性、または血管新生活性を指標に、該DNAが中枢組織における神経回路の形成または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する生理活性を有するかどうか検討する。上記生理活性が検出されれば、該DNAは中枢組織における神経回路の形成または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する新規TEM7をコードしていると考えることができる。
以上のようにして、ヒト間葉系幹細胞、脳、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤および肺、または、ヒト胃癌細胞において、中枢組織における神経回路の形成、または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する生理活性を有するC0126をコードするDNAを取得することができる。即ち、非ヒト動物、例えば、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ニワトリ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等由来のcDNAライブラリーに対してスクリーニングを行うことにより、目的のDNAを取得することができる。スクリーニングされたTEM7活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、該ポリペプチドをコードするDNAを化学合成することによっても目的のDNAを調製することができる。DNAの化学合成は、チオホスファイト法を利用した島津製作所社製のDNA合成機、フォスフォアミダイト法を利用したパーキン・エルマー社製のDNA合成機model392等を用いて行うことができる。
また、後述のオリゴヌクレオチドをセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして用い、これらDNAに相補的なmRNAを発現している細胞のmRNAから調製したcDNAを鋳型として、PCRを行うことによっても、目的とするDNAを調製することができる。
現在、多くの機能未知のヒト染色体遺伝子の配列がデータベースに登録されている。したがって、C0126をコードするヒトcDNAの配列と、データベースに登録されてるヒト染色体遺伝子の配列とを比較することにより、C1026をコードするヒト染色体遺伝子を同定し、該遺伝子の構造を明らかにできる可能性がある。cDNAの配列と一致する染色体遺伝子配列が登録されていれば、cDNAの配列と染色体遺伝子の配列を比較することにより、C0126をコードする染色体遺伝子のプロモーター領域、エクソンおよびイントロン構造をスクリーニングすることができる。
(2)C0126ポリペプチドの製造
C0126ポリペプチドは、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー サプルメント1〜38等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、C0126ポリヌクレオチドを宿主細胞中で発現させ、製造することができる。
C0126ポリペプチドをコードする全長DNAを基にして、必要に応じて、該ポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、該ポリペプチドをコードする部分の塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換したDNAを調製する。該DNAは該ポリペプチドの生産率を向上させるうえで有用である。該DNA断片、または全長DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNA(組換えベクター)を作製する。該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、C0126ポリペプチドを生産する形質転換体を得ることができる。
宿主としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。発現ベクターとしては、宿主において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、C0126遺伝子の転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
(i)原核生物を宿主として用いる場合
C0126cDNAの発現ベクターは、原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、C0126をコードするcDNA、転写終結配列、より構成されていることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pCDM8、pREP(インビトロジェン社製)、pHM6、pHB6(ロシュダイアグノスティックス社製)、pKK223−3、pGEX(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pET−3、pET−11、pBluescriptII SK(+)、pBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)、pUC19、pTrxFus(インビトロジェン社製)、pUC118、pSTV28(宝酒造社製)、pET System(ノバジェン社製)、pMAL−c2X(New England BioLabs社製)、pAGE107(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).;特開平3−22979)、pKYP200(Agricaltural and Biological Chemいstry,48,669(1984).)、pLSA1(Agricaltural and Biological Chemistry,53,277(1989).)、pGEL1(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,82,4306(1985).)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101(5),1307−1310(1987).)、pAMo、pAMoA(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)、pEG400(Journal of Bacteriology,172,2392(1990).)、pTrs30(FERM BP−5407)、pTrs32(FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGKA2(FERM B−6798)、pAMoPRSA(特開平5−336963)、pAS3−3(特開平2−227075)、pKYP10(特開昭58−110600)、pTerm2(特開平3−22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pPA1(特開昭63−233798)などを例示することができる。
プロモーターとしては、大腸菌などの宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージなどに由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどを挙げることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp ×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーターなども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。C0126ポリヌクレオチドの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
宿主としては、Escherichia属、Serratia属、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Microbacterium属、Pseudomonas属などに属する微生物、例えば、Escherichia属として、E.coliのXL1−Blue株、XL2−Blue株、DH1株、MC1000株、KY3276株、W1485株、JM109株、HB101株、No.49株、W3110株、NY49株、BL21(DE3)株、BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株、HMS174(DE3)pLysS株などが、Serratia属として、S.ficaria株、S.fonticola株、S.liquefaciens株、S.marcescens株などが、Bacillus属として、B.subtilis株、B.amyloliquefaciens株などが、Brevibacterium属として、B.ammmoniagenes株、B.immariophilum(ATCC:14068)株、B.saccharolyticum(ATCC:14066)株などが、Corynebacterium属として、C.glutamicum(ATCC:13032)株、C.glutamicum(ATCC:14067)、C.glutamicum(ATCC:13869)、C.acetoacidophilum(ATCC:13870)、Microbacterium属として、M.ammoniaphilum(ATCC:15354)、Pseudomonas属として、P.sp.D−0110株などを挙げることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Nucleic Acids Research,16,6127(1988).)、カルシウムイオンを用いる方法(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,69,2110(1972).)、プロトプラスト法(特開昭63−2483942)、Gene,17,107(1982).およびMolecular & General Genetics,168,111(1979).に記載の方法などを挙げることができる。
(ii)酵母を宿主として用いる場合
宿主として酵母を用いる場合、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC:37115)、YEp24(ATCC:37051)、YCp50(ATCC:37419)、pHS19、pHS15などを例示することができる。プロモーターとしては、酵母中で発現できるものであればいずれのものでもよく、例えば、ADH1(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PHO5(酸性フォスファターゼ)プロモーター、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター、GAL1(ガラキトースキナーゼ)プロモーター、GAL10(UDPガラクトース4−エピメラーゼ)プロモーター、MFα1(αフェロモン)プロモーター、CUP1(メタロチオネイン)プロモーターなどが挙げられる。
宿主としては、例えば、Saccharomyces属、S.cerevisiae種、Schizosaccharomyces属、S.pombe種、Kluyveromyces属、K.lactis種、Trichosporon属、T.pullulans種、Schwanniomyces属、S.alluvius種およびPichia属、P.pastoris種などが挙げられる。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Methodsin Enzymology,194,182(1990).)、スフェロプラスト法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,1929(1978).)、酢酸リチウム法(Journal of Bacteriology,153,163(1983).およびProceedings of the National Academyof Sciences USA,75,1929(1978).)記載の方法などが挙げられる。
(iii)動物細胞を宿主として用いる場合
宿主として動物細胞を用いる場合、発現ベクターとして、例えば、pcDNA1/Amp、pcDNA1、pCDM8、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE107(Cytotechnology,3,133(1990).)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101,1307(1987).)、pAMo、pAMoA(pAMoPRSA)(The Journal of Biologycal Chemistry,268,22782−22787(1993).)、pAS3−3(特開平2−22705)などを用いることができる。
プロモーターとしては、宿主中で発現できるものであればいずれも用いることができ、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のIE(Imediate−early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、モロニー・ミュリン・ロイケミア・ウイルス(Moloney Murine Leulemia Virus)のロング・ターミナル・リピート・プロモーター(Long Terminal Repeat Promoter)、レトロウイルスのプロモーター、HSPプロモーター、SRαプロモーターおよびメタロチオネインのプロモーターなどを挙げることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由来株細胞のHEK293(ヒト胎児腎細胞、ATCC:CRL−1573)、Namalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL−1432)、HeLa(子宮頚部癌細胞、ATCC:CCL−2)、HBT5637(白血病細胞、特開昭63−299)、BALL−1(白血病細胞)およびHCT−15(大腸癌細胞)、マウス由来株細胞のSp2/0−Ag14(マウス骨髄種細胞、ATCC:CRL−1581)、C3H/10T1/2(マウス胎児細胞ATCC:CCL−226)およびNSO(マウス骨髄種細胞)、サル由来株細胞のCOS−1(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1650)およびCOS−7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1651)、ハムスター由来株細胞のCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞、ATCC:CCL−61)およびBHK−21(C−13)(シシリアンハムスター仔腎細胞、ATCC:CCL−10)、ラット由来株細胞のPC12(副腎褐色細胞腫、ATCC:CRL−1721)およびYB2/0(ラット骨髄種細胞、ATCC:CRL−1662)などを例示することができる。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3,133,(1990).)、リン酸カルシウム法(特開平2−22705)、リポフェクション法(Proceedings of the National Academy of Sciences,USA,84,7413(1987).、Vilology,52,456(1973).)。
(iv)昆虫細胞を宿主として用いる場合
宿主として昆虫細胞を用いる場合、トランスファーベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(インビトロジェン社製)などが、感染用ウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するバキュロウイルス(Vaculovirus)Autographa california nuclear polyhedrosis virus(AcMNPV)Bac−N−Blue DNAなどが挙げられる。昆虫細胞の形質転換の方法は、例えば、Baculovirus Expression Vector:A Laboratory Manual(1992)(W.H.Freeman and Company)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley−Interscience)、BioTechnology,6,47(1988).などに記載の方法が用いれる。
昆虫細胞培養液に目的遺伝子を含むトランスファーベクターおよび昆虫細胞への感染用のバキュロウイルスDNAを添加し、組換えにより作製された目的遺伝子を発現するウイルスが昆虫細胞に感染することによりポリペプチドを発現することができる。
宿主に用いる昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)由来株細胞、Trichoplusia ni(イラクサキンウワバ)由来株細胞などが挙げられ、具体的には、S.frugiperda由来細胞としては、Sf9(ATCC:CRL−1711、卵巣細胞)、Sf21(卵巣細胞)などが、T.ni由来細胞株としては、High Five、BTI−TN−5B1−4(卵細胞、インビトロジェン社製)などが例示される。
組換えベクターの導入方法としては、宿主に導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2−22705)、リポフェクション法(Proceedings of the National Acacemy of Sciences USA,84,7413(1987).)などを挙げることができる。また、動物細胞と同様に、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3,133(1990).)なども用いることができる。
(v)植物細胞を宿主細胞として用いる場合
宿主として植物細胞または植物個体を用いる場合、公知の方法(組織培養,20(1994).、組織培養,21(1995).、Trends in Biotechnology,15、45(1997).)に準じてポリペプチドを生産することができる。発現ベクターとしては、例えば、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクターなどを挙げることができる。遺伝子発現に用いるプロモーターとしては、植物細胞中で発現できるものであればいずれも用いることができ、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーターなどを挙げることができる。また、プロモーターと発現させる遺伝子の間に、トウモロコシのアルコール脱水素酵素遺伝子のイントロン1などを挿入することにより、遺伝子の発現効率をあげることもできる。
宿主としては、ポテト、タバコ、トウモロコシ、イネ、アブラナ、大豆、トマト、ニンジン、小麦、大麦、ライ麦、アルファルファ、亜麻などの植物細胞が例示される。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)法(特許第2606856号、特許第2517813号)などを挙げることができる。
(vi)培養方法
C0126をコードするcDNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する形質転換体が、大腸菌、酵母、動物細胞あるいは植物細胞などの細胞の場合、各種宿主に適した通常の培養方法に従って培養し、該ポリペプチドを産生・蓄積させ、形質転換体または培養液より該ポリペプチドを回収することにより、該ポリペプチドを製造することができる。形質転換体が、動物個体または植物個体の場合、各種宿主に適した通常の生育方法に従って飼育または栽培し、該ポリペプチドを産生・蓄積させ、該動物個体または植物個体より該ポリペプチドを回収することにより、該ポリペプチドを製造することができる。
宿主が動物個体の場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有する非ヒトトランスジェニック動物を飼育し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導活性を有するポリペプチドを該動物中に産生・蓄積させ、該動物個体中から該ポリペプチドを回収することにより、軟骨細胞分化誘導活性を有するポリペプチドを製造することができる。動物個体中の産生・蓄積場所としては、例えば、該動物の細胞膜などを挙げることができる。
宿主が植物個体の場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有するトランスジェニック植物を栽培し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを該植物個体中に産生・蓄積させ、植物個体中から該ポリペプチドを回収することにより、軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを製造することができる。
宿主が大腸菌などの原核生物または酵母などの真核生物である場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有する形質転換体を培地中で培養し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを培養液に産生・蓄積させ、該培養液から該ポリペプチドを回収することにより、C0126を製造することができる。
前述の形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
形質転換体が大腸菌などの原核生物あるいは酵母などの真核生物である場合、得られた形質転換体を培養する培地としては、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。宿主が大腸菌である形質転換体を培養する際の培地としては、例えば、バクトトリプトン、イーストエクストラクトおよび塩化ナトリウムを含むYT培地が好ましい。
炭素源としては、それぞれの宿主が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物などの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、その他含窒素物質、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物などを用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
培養方法は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件で行う。培養温度、培養時間および培養液のpHは、各種宿主に適した範囲に設定し、通常15〜40℃、5時間〜7日間、pH3.0〜9.0で培養を行う。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行うことができる。また、必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主を培養する場合、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主を培養する場合、インドールアクリル酸などを培地に添加してもよい。
形質転換体が植物細胞や組織である場合、ジャーファーメンターを用いて大量培養することができる。培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、White培地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニンなどの植物ホルモンを添加した培地を用いることができる。
形質転換体が動物細胞や組織である場合、培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967).)、MEM培地(Science,130,432(1959).)、D−MEM培地(Virology,8,396(1959).)、199培地(Proceedings of the Society for the Biological Medicine,73,1(1950).)またはこれら培地に牛胎児血清(FCS)などを添加した培地などが用いられる。
培養は、通常pH6〜8、25〜40℃、5% CO2存在下などの条件で1〜7日間行う。また培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
形質転換体が昆虫細胞である場合、培養する培地としては、一般に使用されているTNM−FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf−900II SFM培地(インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405(JRHバイオサイエンシーズ社製〕、Grace’s InsectMedium(Nature,195,788(1962).)などを用いることができる。
(vii)製造方法
C0126は、形質転換体を培養し、培養液からC0126を単離・精製することにより製造することができる。C0126の単離・精製方法は、当該分野において周知慣用の常法により行うことができ、例えば、酵素の単離・精製方法やSandlerらの糖転移酵素の精製方法(Methods in Enzymology,83,458)を用いることができる。
C0126が溶解性ポリペプチドとして産生・蓄積される場合、上記のように形質転換体を培養した培養液を、例えば、遠心分離などの方法で細胞または菌体と培地に分離する。C0126が宿主細胞内に存在する場合、採取した細胞または菌体をSTE溶液などの適当な緩衝液で洗浄した後、超音波、フレンチプレス、マントンガウリンホモジナイザー、ダイノミルなどで細胞または菌体を破砕し、遠心分離やろ過により無細胞溶液として得ることができる。
C0126の分離・精製に用いる緩衝液には界面活性剤が適量含まれていてもよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)やN−ラウロイルサルコシンナトリウム(サルコシル)などを含んでいてもよい。
得られた粗精製物に含まれる目的タンパク質の分離・精製方法は自体公知の各種分離・精製方法を組合わせて行うことができる。これらの公知の方法としては、例えば、溶媒抽出法、硫酸アンモウニウムなどによる塩析法、透析法、有機溶媒による沈殿法、限外濾過法、ゲル濾過、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロースクロマトグラフィー、DIAION HPA−75(三菱化学社製)などのリジンを用いた陰イオンクロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィー、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)などのリジンを用いた陽イオンクロマトグラフィー、ブチルセファロースなどの疎水性クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー法、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法や等電点電気泳動法などの各種電気泳動などが例示される。アフィニティークロマトグラフィーは、C0126に対する抗体を用いることによっても行うことができる。
C0126が不溶性ポリペプチドとして産生・蓄積される場合、上記同様に細胞または菌体を分離し、適当な方法により破砕後、該ポリペプチドを含む分画を回収する。回収した試料は、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)やN−ラウロイルサルコシンナトリウム(サルコシル)などの界面活性剤などの可溶化剤で可溶化する。該可溶化液は、可溶化剤を含まないか殆ど含まれない濃度にまで希釈または透析し、該ポリペプチドを正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の分離・精製方法により精製標品を得ることができる。
また、C0126を他のタンパク質との融合タンパク質として生産し、融合したタンパク質に親和性をもつ物質を用いたアフィニティークロマトグラフィーを利用して精製することもできる(山川彰夫,実験医学,13,469−474(1995).)。融合タンパク質に使用する付加タンパク質としてはプロテインA、FLAGなどが例示される(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,86,8227(1989).、GenesDevelopment,4,1288(1990).、特開平5−336963、特開平6−823021)。プロテインAを使用する場合、C0126とプロテインAの融合タンパク質を生産し、イムノグロブリンGを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより精製することができる。FLAGペプチドを使用する場合、C0126とFLAGの融合タンパク質を生産し、抗FLAG抗体を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより精製することができる。
C0126は、公知の方法に準じて、in vitro転写・翻訳系を用いてを生産することができる(Journal of Biomolecular NMR,6,129−134(1995).、Science,242,1162−1164(1988).、The Journal of Biochemistry,110,166−168(1991).)。
C0126は、そのアミノ酸配列を基に、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法や市販されているペプチド合成機器、例えば、APEX396(アドバンストケムテック社製)、433A(アプライドバイオシステムズ社製)、PS3(プロテインテクノロジーズ社製)、9050(パーセプティブ社製)、PSSM−8(島津製作所製)などのペプチド合成機器をにより化学合成することができる。
C0126の構造解析は、タンパク質化学で通常用いられる方法、例えば、遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析(平野久著、東京化学同人発行、1993年)に記載の方法により実施可能である。C0126の軟骨細胞分化誘導活性は、公知の測定法(Cell,75,1389(1993).、Journal of Cell Biology.146,233(1999).、Cancer Research,58,1238(1998).、Neuron,17,1157(1996).、Science,289,1197(2000).)に準じて測定することができる。
(3)C0126を認識する抗体の作製
(i)ポリクローナル抗体の作製
C0126の全長、その部分ペプチドもしくはその部分ペプチド含むポリペプチドを抗原として哺乳動物に投与することで抗体を作製することができる。抗原は、それ自体でもよいが、担体、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、スカシガイのヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin;KLH)や牛チログロブリン(BTG)などに結合したものを用いてもよい。また、抗原による免疫反応を高めるために、例えば、フロイントの完全アジュバント(CFA)および不完全アジュバント(IFA)を投与してもよい。免疫に用いられる哺乳動物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ハムスターなどを用いることができる。
ポリクローナル抗体は、例えば、レーンらの方法(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harber Laboratory Press))などに従って作製することができる。
哺乳動物に抗原を1回目の投与後、1〜2週間毎に3〜10回投与することで免疫された哺乳動物を得て、それらの哺乳動物から血清を採取し、精製することで作製できる。
該抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに3〜10回行う。該抗原の投与量は1回当たり動物1匹に対し、50〜100μgが好ましい。ペプチドを用いる場合は、適当な担体に共有結合させたものを抗原とするのが望ましい。抗原とするペプチドは、遺伝子工学的手法やペプチド合成機で合成することができる。各投与後、3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応することを酵素免疫測定法(酵素免疫測定法(ELISA法):医学書院刊(1976年)、Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の方法で確認することができる。
免疫された哺乳動物から採血し、抗体価を測定する。十分な抗体価が得られるまでに免疫された時点で採血し、血清を調製することによりポリクローナル抗体を得ることができる。ポリクローナル抗体の分離、精製方法としては、遠心分離、硫酸アンモニウムによる塩析、カプリル酸沈殿(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)またはDEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カラム、プロテインAカラム、G−カラムあるいはゲル濾過カラムなどの各種クロマトグラフィーを単独または組み合わせることで行うことができる。
(ii)モノクローナル抗体の作製
(a)抗体産性細胞の調製
モノクローナル抗体は、(i)で十分な抗体価が得られたのち、それらの哺乳動物から脾臓またはリンパ節を採取し、それらから得られた抗体産生細胞を骨髄腫(ミエローマ)細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得ることができる。骨髄種細胞としては、マウスまたはラットから樹立した細胞株を用いる。細胞融合の方法は既知の方法で行うことができ、例えば、ケーラーとミルスタインの方法(Nature,256,495−497(1975).)に従って作製することができる。
C0126、その部分ペプチドもしくはその部分ペプチドを含むポリペプチドを投与して、十分な抗体価を示したラットに抗原物質を最終投与した後3〜7日目に、抗体産生細胞として脾臓を摘出する。該脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、1,200rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。得られた沈殿画分の脾細胞をTris−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEM培地で3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
(b)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから由来の株化細胞を使用し、そのような細胞として、例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞P3−X63Ag8−U1株(以下、P3−U1と略す)(Current Topics Microbiologycal Immunology,81,1(1978).、Europian Journal of Immunology,6,511(1976).)、SP2/0−Ag14株(以下、SP−2と略す)(Nature,276、269(1978).)、P3−X63−Ag8653株(以下、653と略す)(Journal of Immunology,123,1548(1979).)、P3−X63−Ag8(以下、X63と略す)(Nature,256,495(1975).)などが用いることができる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地(15μg/ml8−アザグアニンを含む正常培地(1.5mM グルタミン、5×10−5M 2−メルカプトエタノール、10μg/ml ジェンタマイシンおよび10% FCS(CSL社製)を含むRPMI1640培地))で継代し、細胞融合を行う3〜4日前に正常培地で培養する。細胞融合には、そのようにして調製した細胞を2×107個以上用いる。
(c)ハイブリドーマの作製
(a)で調製した抗体産生細胞と(b)で調製した骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(1リットル当たり;1.83gリン酸二ナトリウム、0.21gリン酸一カリウム、7.65gNaCl、pH7.2)で洗浄し、骨髄腫細胞の細胞数に対し抗体産生細胞5〜10倍になるよう混合し、1,200rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、該細胞群に対し抗体産生細胞108当たり、ポリエチレングリコール溶液(2gポリエチレングリコール−1000(PEG−1000)、2ml MEM培地、0.7ml ジメチルスルホキシド(DMSO))を0.2〜1mlを37℃で攪拌しながら添加し、更に1〜2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回添加する。MEM培地で全量を50mlになるように調製し、900rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。沈殿分画にHAT培地(正常培地、10−4M ヒポキサンチン、1.5×10−5M チミジンおよび4×10−7M アミノプテリンを含む)100mlを添加し、ゆるやかにほぐし懸濁する。
該懸濁液を96穴培養用プレートの各穴に100μl穴ずつ分注し、37℃、5% CO2存在下で7〜14日間培養する。酵素免疫測定法(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press))などに記載の方法で、培養上清に産生された抗体のうち、C0126に特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
(4)本発明のマーカーの分子生物学的検出方法
本発明のマーカーのポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチドより調製したオリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法またはPCR法により、該マーカーをコードする遺伝子の発現量をmRNAレベルで測定することができる。具体的には、(a)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどに対して、薬剤、例えば、抗癌剤などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器、例えば、脳、胃、腎臓など、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれる本発明のマーカーのmRNAは、例えば、通常の方法により細胞などからmRNAを抽出し、例えばPCRなどの手法を用いることにより定量することができ、自体公知の手段によりノザンブロットを行うことにより解析することもできる。
また、(b)本発明のマーカーを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれる該マーカーのmRNAを同様にして定量、解析することができる。
このような分子生物学的検出方法は胃癌などの癌、あるいは変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの骨疾患を検出するための方法において使用されうる。
(5)本発明マーカーの免疫学的検出方法
本発明マーカーに対する抗体を用いる該マーカーの免疫学的検出方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などをあげることができる。また、液相中で該マーカーに反応するエピトープの異なる2種類の単一特異的な抗体を用いたサンドイッチELISA法、125Iなどの放射性同位体で標識した該マーカーポリペプチドと該マーカーを認識する抗体を用いるラジオイムノアッセイなどによる定量方法が挙げられる。また、Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989).(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の種々の免疫学的検出方法が採用される。
このような免疫学的検出方法は胃癌などの癌、あるいは変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの骨疾患を検出するための方法において使用されうる。
このような方法は、抗体を使用して、適切な生物学的試料中の本発明のマーカーの存在の有無あるいはその量を検出することを包含する。本明細書において使用される適切な生物学的試料は、患者由来の癌または正常組織、切除組織、血液、リンパ液、尿、組織または細胞からの抽出物などを包含する。
(6)診断用キット
本発明のマーカーは、C0126が癌、癌転移および骨疾患のマーカーとなり得るため、少なくともC0126のポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126を認識する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドまたはその一部が含まれており、(4)に記載の分子生物学的検出方法、あるいは(5)に記載の免疫学的検出方法に基づき、本発明のマーカーを検出するキットである。
このような診断用キットは、癌、癌転移または骨疾患の診断キットとして有用であり、癌としては特に胃癌、骨疾患としては特に変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症の検出に利用することができる。
幹細胞を軟骨分化誘導因子で処理すると本発明のマーカーの発現が増加しており、幹細胞を宿主とするC0126発現細胞に骨分化誘導因子BMP−2やBMP−4を処理すると軟骨細胞への分化誘導がされること、幹細胞にBMP−2やBMP−4と同時にC0126の細胞外領域を処理すると軟骨細胞への分化が抑制されることから、該マーカーの発現を調べることにより軟骨細胞が関連する疾患の診断や予後の予測に利用できる。また、骨関連疾患と該マーカーの発現との関連を調べることにより他の骨疾患の診断にも利用できる。
また、本発明のマーカーが、胃癌患者の癌細胞においてその発現が増加していることから、本遺伝子の多型を調べることにより、胃癌などの診断や予後の予測に利用できる。
また、本遺伝子の多型と、本遺伝子が発現している臓器(脳、食道、胃、肺、十二指腸、尿管、小腸癌、結腸、直腸、胆嚢甲状腺、副腎、膀胱、前立腺)における疾患との関連を調べることにより、他の疾患の診断にも利用できる。本遺伝子の多型解析は、本遺伝子の遺伝子配列情報を用いて行うことができる。具体的には、サザンブロット法、ダイレクトシークエンス法、PCR法、DNAチップ法などを用いて遺伝子多型を解析することができる(臨床検査,42,1507−1517(1998).、臨床検査,42,1565−1570(1998).)。
(7)軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング方法
ヒト間葉系幹細胞に軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1を処理した場合、C0126mRNAの発現誘導が認められること、マウス間葉系細胞C3H/10T1/2細胞でC0126を発現させ、骨分化誘導活性を有するBMP−2あるいはBMP−4を処理した場合、軟骨細胞への分化が促進されることからC0126が軟骨細胞分化誘導に関連していることが示唆される。従って、C0126ポリペプチドおよびその一部、あるいはそのポリヌクレオチドまたはその一部は軟骨細胞分化誘導活性を調節する物質をスクリーニングするのに有用である。軟骨細胞分化誘導活性調節物質としては、(i)C0126に結合する結合物質、(ii)該結合物質と該マーカーとの結合活性を調節する結合活性調節物質、(iii)C0126の遺伝子の転写またはmRNAの翻訳など発現を調節する発現調節物質などが例示される。軟骨細胞分化誘導活性調節物質をスクリーニングするには、該ポリペプチドを介する細胞刺激活性、例えば、幹細胞から軟骨細胞に分化する際に産生される各種コラーゲンやプロテオグリカン、例えば、アグリカン、コンドロイチン硫酸などの軟骨基質の生成量などを公知の方法または市販のキットを用いて測定することができる。
(i)結合物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドおよびその一部は、該ポリペプチドの結合物質、例えば、アゴニストなどのリガンドを探索またはスクリーニングするための試薬として有用である。すなわち、C0126のポリペプチドまたはその一部と被験物質とを接触させることを特徴とするC0126のポリペプチドに対する結合物質のスクリーニング方法を提供する。被験物質としては、例えば、セマフォリン、HGFなどの内分泌タンパク質に属するタンパク質、ヒトまたは哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなどの組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。これらの被験物質をC0126に添加し、結合活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。具体的には、結合物質スクリーニング方法は、C0126のポリペプチドまたはその一部を用いるか、組換えポリペプチド発現系を構築し、該発現系を用いた結合アッセイ系を用いるか、またはC0126に結合して細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやプロテオグリカン、例えば、アグリカン、コンドロイチン硫酸などの軟骨基質の生成量を測定することによりスクリーニングすることができる。
結合物質のスクリーニング方法に用いるポリペプチドとしては、C0126のポリペプチドまたはその一部を含有するものであれば何れのものであってもよいが、好ましくは、動物細胞を用いて大量発現させたポリペプチドが適している。そのようなポリペプチドの製造方法は、前述の発現方法が用いられるが、該ポリペプチドをコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現させたポリペプチドを用いるのが好ましい。目的とするタンパク質をコードするDNA断片には、通常、相補的なDNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。発現したポリペプチドの量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。例えば、The Journal of Biological Chemistry,267,19555〜19559(1992).に記載の方法に従って行うことができる。したがって、結合物質スクリーニング方法において、C0126ポリペプチドもしくはその部分ペプチドを含有するものとしては、それ自体公知の方法に従って精製したポリペプチドもしくはその部分ペプチドであってもよいし、該ポリペプチドを含有する細胞またはその細胞上清を用いてもよい。結合物質のスクリーニング方法において、C0126ポリペプチドを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行なうことができる。C0126ポリペプチドを含有する細胞としては、C0126ポリペプチドを発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞上清画分としては、細胞の培養上清に含まれる画分のことをいう。
C0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質をスクリーニングするためには、適当なポリペプチド画分と、標識した被験物質が必要である。ポリペプチド画分としては、天然型のポリペプチド画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型ポリペプチド画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験物質としては、3H、125I、14C、35Sなどで標識した、例えば、セマフォリン、HGFに属するタンパク質を挙げることができる。
具体的には、C0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質のスクリーニング方法を行なうには、まずC0126ポリペプチドを含有する細胞培上清を、スクリーニング方法に適したバッファーに懸濁することによりポリペプチド標品を調製する。バッファーには、pH4.0〜10.0、好ましくは、pH6.0〜8.0のリン酸バッファー、Tris−HCl緩衝液などのリガンドとポリペプチドとの結合を阻害しない緩衝液であればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80(花王−アトラス社)、Triton X−100ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種タンパク質をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターや結合物質の分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該ポリペプチド溶液に、一定量、好ましくは、5000cpm〜500000cpmの3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の被検物質を加えた反応チューブも用意する。。反応は0℃から50℃、好ましくは4℃から37℃で、20分から24時間、好ましくは30分から3時間で行なう。反応後、ガラス繊維濾紙などで濾過し、適量の同緩衝液で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験物質をC0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質として選択することができる。
C0126のポリペプチドに対する結合物質をスクリーニングするためには、C0126ポリペプチドを介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやアグリカン、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質の生産量などを公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、ポリペプチドを含有する細胞をマルチウェルプレートなどに培養する。結合物質のスクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当な緩衝液に交換し、試験物質などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質、例えば、コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。
(ii)結合活性調節物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドまたはその一部は、C0126ポリペプチドに対する結合活性調節物質を探索またはスクリーニングするための試薬として有用である。C0126ポリペプチドと結合物質との結合活性調節物質、すなわち、結合性を変化させる物質のスクリーニング方法としては、C0126ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する組換え体発現系を構築し、バイオアッセイ系または結合アッセイ系を用いることによって、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合性を変化させる物質、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性物質、合成物質、発酵生産物などを効率よくスクリーニングすることができる。このような物質には、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合を介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやアグリカン、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質の生成を増強あるいは減少させる物質、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を増強する物質あるいは減少させる物質が挙げられる。
すなわち、(a)C0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩と結合物質を接触させた場合および(b)C0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩と結合物質および被検物質とを接触させた場合の結合物質の結合量を比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩との結合活性調節物質のスクリーニング方法を提供する。
結合活性調節物質のスクリーニング方法は、(a)および(b)の場合において、該ポリペプチドと結合物質との結合量を、例えば、細胞刺激活性などを測定することにより比較することを特徴とする。
本発明の結合活性調節物質のスクリーニング方法として、具体的には、(a)標識した結合物質をC0126ポリペプチドなどに接触させた場合、および、標識結合物質および被検物質を接触させた場合における、該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質をスクリーニング方法、(b)C0126ポリペプチドなどを含有する細胞または細胞培養液と標識結合物質を接触させた場合および標識結合物質および被検物質を接触せた場合における、該細胞または細胞培養液における該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング方法、(c)C0126ポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞培養液に分泌したポリペプチドなどと標識結合物質を接触させた場合および標識結合物質および被検物質を接触させた場合における、該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング方法などが挙げられる。
(iii)発現調節物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドの発現調節物質のスクリーニング方法は、C0126ポリヌクレオチドまたはその一部、あるいはC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体を用いることにより、C0126ポリペプチドまたはその一部の発現調節物質のスクリーニングに用いることができる。
例えば、(a)非ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離した組織もしくは細胞、または(b)形質転換体などに含まれるC0126ポリペプチドまたはその一部のmRNA量あるいはタンパク質量を測定することにより、C0126ポリペプチドまたはその一部の発現調節物質のスクリーニングを行うことができる。
(8)軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング用キット
軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング用キットとしては、(i)C0126ポリペプチドまたはその塩などと結合する物質またはその塩のスクリーニング用キット、(ii)結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる物質またはその塩のスクリーニング用キット、(iii)C0126ポリペプチドの発現調節物質またはその塩のスクリーニング用キットなどが例示される。
(i)結合物質のスクリーニング用キット
C0126またはその塩に結合する結合物質スクリーニング用キットは、C0126ポリペプチドもしくはその塩、C0126のポリペプチドの一部もしくはその塩、C0126ポリペプチドを含有する細胞、またはC0126ポリペプチドを含有する細胞上清画分などを含有するものである。結合物質スクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(A)結合物質スクリーニング用試薬
(a)スクリーニング溶液および洗浄溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で添加し、37℃で1日間培養したもの。
(c)標識被検物質
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質した溶液を4℃あるいは−20℃にて保存し、測定用緩衝液にて1μMに希釈するして用時調製する。水に難溶性を示す被検物質については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノールなどに溶解する。
(d)非標識被検物質
標識物質と同じものを100〜1000倍濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(b)標識被検物質を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を測定ためには非標識被検物質を5μl加える。
(c)反応液を除去し、1mlの洗浄溶液で3回洗浄する。細胞に結合した標識被検物質を0.2M NaOH(1% SDSを含む)で溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(d)液体シンチレーションカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて放射活性を測定する。
(ii)結合活性調節物質のスクリーニング用キット
結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング用キットは、C0126ポリペプチド、C0126ポリペプチドを含有する細胞またはC0126ポリペプチドを含有する細胞培養液を含有するものなどである。そのようなスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(A)結合活性調節物質のスクリーニング用試薬
(a)スクリーニング用溶液および洗浄用溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌したものを、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチド
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で添加し、37℃、で1日間培養したもの。
(c)標識被検物質
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質した溶液を4℃あるいは−20℃にて保存し、測定用緩衝液にて1μMに希釈するして用時調製する。水に難溶性を示す被検物質については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノールなどに溶解する。
(d)非標識被検物質
標識物質と同じものを100〜1000倍濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、スクリーニング用溶液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(b)標識被検物質を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を測定ためには非標識被検物質を5μl加える。
(c)反応液を除去し、1mlの洗浄溶液で3回洗浄する。細胞に結合した標識被検物質を0.2M NaOH(1% SDSを含む)で溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬社製)と混合する。
(d)液体シンチレーションカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて放射活性を測定する。
(iii)発現調節物質のスクリーニング用キット
C0126ポリペプチドの発現調節物質またはその塩のスクリーニング用キットは、C0126ポリペプチドを発現する細胞、C0126ポリペプチドを発現する細胞を含有する細胞培養液を含有するものなどである。そのようなスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(a)免疫学的定量方法に基づくスクリーニング用キット
C0126またはその一部に対する抗体を用いて免疫学的手法によってC0126ポリペプチドの発現量を定量することができる。C0126ポリペプチドの定量方法としては、液相中でC0126ポリペプチドと反応する抗体のうちエピトープが異なる2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法、126Iなどの放射性同位体で標識したC0126ポリペプチドとそれを特異的に認識する抗体とを用いるラジオイムノアッセイ法などが例示される。従って、抗体を用いた診断の場合には、C0126またはその一部に対する抗体の他に、標準抗原としてC0126ポリペプチドが含まれる。更にキット中には標準曲線が含まれていてもよい。
(A)スクリーニング試薬
(a)スクリーニング用溶液および洗浄用溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌したものを、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチドを発現する細胞
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で分注し、37℃で1日培養したもの。
(c)被験物質
被験物質の水溶液状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時スクリーニング用溶液にて希釈する。水に難溶性の被験物質はジメチルホルムアミド、DMSまたはメタノールなどに溶解する。
(d)標識抗体
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識したC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体。
(e)標準物質
C0126ポリペプチドを各種濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、スクリーニング用溶液1mlで2回洗浄した後、490μlの同溶液を各穴に加える。
(b)10−3〜10−10Mの被検物質溶液を5μl加えた後、室温にて1時間反応させる。
(c)標識抗体溶液を加えた後、37℃で2時間振盪反応させる。
(d)遠心分離した後、γ−カウンター(ベックマン社製)を用いて残渣の放射活性を測定し、PMBを求める。
(b)分子生物学的定量方法に基づくスクリーニング用キット
C0126ポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチドから調製したオリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハイブリダイゼーション法またはPCR法などにより、C0126ポリペプチドをコードするDNAの発現量をmRNAレベルで定量することができる。具体的には、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどに対して、薬剤、例えば、抗癌剤などなどを投与し、一定時間経過した後、血液、特定の臓器、例えば、脳、胃、腎臓など、あるいは臓器から単離した組織または細胞を得る。得られた細胞に含まれるC0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドのmRNAは、例えば、当該分野において周知の抽出方法によりmRNAを抽出し、例えば、PCRなどの手法を用いることにより定量、または周知のノーザンプロット法により解析することもできる、または(ii)C0126ポリペプチドもしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれるC0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析することができる。また、ポリヌクレオチドを用いた診断の場合には、キット中には標識されたC0126ポリヌクレオチドが含まれる。
(A)スクリーニング試薬
(a)C0126ポリペプチドを発現する細胞
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で分注し、37℃で1日培養したもの。
(b)被験物質
被験物質の水溶液状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時スクリーニング用溶液にて希釈する。水に難溶性の被験物質はジメチルホルムアミド、DMSまたはメタノールなどに溶解する。
(c)標識ポリヌクレオチド
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識したC0126。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞に10−3〜10−10Mの被検物質溶液を5μl加えた後、37℃で1日培養を行う。
(b)TRIzol試薬(インビトロジェン社製)で全RNAを抽出する。
(c)全RNA10μgを電気泳動後、ナイロン膜に転写する。
(d)転写後のナイロン膜を標識ポリヌクレオチド溶液を浸した後、65℃で16時間ハイブリダイゼーション反応させる。
(d)ハイブリダイゼーション後のナイロン膜をX線フィルムに感光させ、検出されたバンドを定量する。
(9)医薬組成物
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質またはその塩とは、結合物質、結合活性調節物質、発現調節物質、C0126ポリペプチドまたはその一部、C0126ポリヌクレオチドまたはその一部およびC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体であり、具体的には、(a)結合物質とC0126ポリペプチドとの結合を介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成量を増強あるいは減少させる物質、(b)結合物質とC0126ポリペプチドとの結合活性を増強あるいは減少させる物質、あるいは(c)C0126ポリペプチドの発現量を増強あるいは減少させる物質である。該物質としては、低分子化合物、ペプチド、タンパク、非ペプチド性物質、合成物質、発酵生産物などが挙げられ、これら物質は新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよいく、天然物質または非天然物質の何れでもよい。C0126ポリペプチドなどに対するアゴニストは、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性と同様の作用を有しているので、該結合物質活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。C0126ポリペプチドなどに対するアンタゴニストは、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を抑制することができるので、該結合物質活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を増強する物質は、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を減少させる物質は、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
また、C0126を発現する遺伝子治療用発現ベクターも含まれる。C0126が癌、癌転移、骨疾患のマーカーとなり得ることから、該疾患に関連していることが示唆され、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの疾患に対する遺伝子治療に有用である。遺伝子治療用発現ベクターはC0126のポリヌクレオチドの一部または全部を組込んだ発現ベクターで、細胞や組織に導入することにより先天的、後天的を問わず、何れの疾患に対してその原因となる異常を遺伝子レベルで正常化することであり、正常な遺伝子を細胞に補ったり、遺伝子の欠陥を修復・修正することができるベクターである。
(10)予防または治療剤
C0126またはその一部に対する抗体、結合物質、結合調節物質、発現調節物質または遺伝子治療用ベクターを含有する医薬組成物は、治療薬として該物質単独で投与することも可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
医薬組成物の投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤、リポソーム製剤などが挙げられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などがあげられる。例えば、乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトールなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤などが挙げられる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体などを用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸などの担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該物質そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該物質を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体などを用いて調製する。担体として具体的には、乳糖、グリセリンなどが例示される。該物質および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダーなどの製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
遺伝子治療用発現ベクターとしてウイルスベクター型と非ウイルスベクター型に分類され、ウイルスベクター型は遺伝子発現効率がよく、非ウイルスベクター型は低毒性、低免疫原性などの利点を有しており大量調製も優れている。また、両者の利点を組合わせたものもあり、ウイルス/正電荷ポリマー/DNA複合体、HVJリポソームなどが例示される。遺伝子治療用の製剤としては、してウイルスベクター型と非ウイルスベクター型により異なる。
ウイルスベクター型製剤は、ウイルスベクターとして複製能を欠いたウイルスを用い、ウイルスのポリヌクレオチド配列の一部または全部を治療用遺伝子と置き換えたものが遺伝子治療用ベクターとして調製される。そのようなウイルスとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)が例示される。ウイルスベクターは遺伝子導入効率よく広範に使用されている。
非ウイルスベクター型製剤は、DNA単独に正電荷リポソームなどの担体を用いて調製する正電荷DDS剤が例示される。正電荷リポソームとしては、4級アンモニウム界面活性剤、コレステロール、ジアシルグリセロールなどの正電荷誘導体、ポリアミンの脂質誘導体などの種々の正電荷脂肪、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリリジン、ポリエチレンイミン(PEI)などの正電荷ポリマーが例示される。
また、C0126ポリペプチドの発現量を変化させる物質を含有する各種疾病の予防および/または治療剤はC0126ポリペプチドは前述のとおり、例えば、軟骨分化など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられることから、C0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドの発現量を変化させる発現調節物質は、C0126ポリペプチドの機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。該物質をC0126ポリペプチドの機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。例えば、該物質は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該物質を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖や補助薬を含むD−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなどの等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、エタノール、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのアルコール類、ポリソルベート80やHCO−50など非イオン性界面活性剤などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなどの安定剤、ベンジルアルコール、フェノールなどの保存剤、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
(11)予防または治療方法
前述の医薬組成物が癌、癌転移、骨疾患の予防または治療剤となり得ることから、該医薬組成物を適宜・適切な方法で投与することにより、癌、癌転移、骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、あるいは骨粗鬆症などの疾患を予防または治療する方法が提供される。そのような方法としては、前述の医薬組成物を、予防・治療に際して最も効果的な投与方法を使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内などの非経口投与を挙げることができる。
前述で調製された予防または治療剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどの哺乳動物に対して投与することができる。予防または治療剤の1回の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、例えば体重60kgの高血圧症患者においては、一般に一日につき約0.1〜100mg、好ましくは杓1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgであり、非経口的に投与、例えば、注射剤の場合は、例えば体重60kgの高血圧症患者においては、一般に一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与する。他の動物の場合も、体重kg当たりに換算した量を投与することができる。投与量または投与回数は目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重などにより異なるが、通常成人1日当たり10μg〜8mg/kgである。
実施例
以下に実施例を示す。特に断らない限り、遺伝子操作的手法として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edtion(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている方法を用いた。
実施例1
C0126をコードするcDNAのクローニング
ヒト間葉系幹細胞(BioWhittaker社)5×107個から、TRLzol試薬(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従って全RNAを抽出し、500μgの全RNAを得た。得られた全RNAを、QuickPrep Micro mRNA Purification Kit(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルにしたがってpoly(A)+RNA画分を調製した。
ポリ(A)÷RNAからSuperScript Choice System(インビトロジェン社製)を用いてクローニング用cDNA断片を調製した。得られたポリ(A)+RNA3μgをOligo(dT)12−18primerおよびSuperScript II RTを用いてファーストストランドcDNAを合成し、E.coli DNA polymerase IおよびRNaseHを用いてセカンドストランドcDNAを合成した。得られたcDNAをT4DNA Polymeraseで処理し、平滑末端をもつcDNAを生成した後、EcoRI(NotI)AdapterをT4 DNA ligaseを用いて5’および3’両末端に付加した。アダプターを付加したcDNAはT4 polynucleotide kinaseを用いて5’末端をりん酸化した後、cDNA size fraction columnsで約500bp以上のcDNA断片を回収した。ベクターplasmid pSport 1(インビトロジェン社製)を制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で処理し、T4 polynucleotide kinaseを用いて5’末端をりん酸化した後、T4 DNA Ligaseを用いて得られたcDNA断片をに組み込んだ。得られた組換えプラスミドDNAをエタノール沈殿後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl,pH8.0、1mM EDTA)20μlに溶解し、エレクトロポーレーション法(Nucleic Acid Research,16,6127(1988).)によりElectroMAX DH10B(インビトロジェン社製)に導入し形質転換体を作製した。
形質転換体をS.O.C.培地(インビトロジェン社製)1ml中、37℃で1時間培養し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
その結果、cDNAライブラリーとして約100万個(挿入率95%)のアンピシリン耐性を示す形質転換体を取得した。
得られた形質転換体を別のLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養し、コロニー約1000個からQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってプラスミドを調製した。cDNAライブラリーからクローニングしたcDNAはDYEnamic ETDye Terminator Kit(MegaBACE)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルに従って、MegaBACE 500 DNA Analysis System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)によりcDNA断片の全塩基配列を決定した。TEM7とのアミノ酸配列比較のための至適アラインメントは、遺伝子情報処理ソフトウェアであるGENETYX(ソフトウェア社製)を用いて、Lipman−Pearson法(Science,227,1435−1441(1985).)により実施した。
その結果、既知のTEMアミノ酸配列とホモロジーを有するが完全には一致しないアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号1)を有するクローンを得た。
該cDNA断片を含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってcDNA断片を得た。該cDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識した。32P標識したcDNA断片をプローブとして用いコロニーハイブリダイゼーション解析を行った。
ヒト脳cDNAライブラリーHuman Brain(クロンテック社製)を50枚のLBプレートにプレート当たり約1×104コロニーとなるように塗布し、37℃で一晩培養してコロニーを形成させた。そのようにして得られたコロニーをDNAブロッティング用ナイロン膜Hybond−N(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に転写した後、溶解溶液(10% SDS)、変性溶液(0.5N NaOH、1.5M NaCl)、中和溶液(0.5M Tris−HCl、pH7.0(1.5M NaClを含む))および2×SSCで順次処理し、風乾した。転写したDNAは該ナイロン膜に紫外線照射することにより膜上に固定した。
上記で調製した標識プローブをExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)に添加し、該溶液にDNAを固定したナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を2×SSC(20×SSC:3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム、pH7.0)で室温にて5分、1×SSCで50℃にて30分、0.5×SSCで室温にて5分洗浄後、風乾した。次いで、このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000Gで画像解析を行た。シグナルが検出されたコロニーについて単一クローンが得られるまでコロニーハイブリダイゼーションを繰り返し行った。得られた単一クローンコロニーからQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いてプラスミドDNAを調製し、DYEnamic ET Dye Terminator Kit(MegaBACE)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルに従って、MegaBACE 500 DNA Analysis System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)により全塩基配列を決定した。
その結果、529個のアミノ酸よりなるポリペプチド(配列番号2)C0126をコードするcDNA断片を含むcDNA(配列番号1)を得た。C0126はアミノ末端の−22位のMetから−1位のThrまでの領域が、予想されるシグナルペプチド領域(Signal Peptide:SP)領域で、432位のGlyから455位のMetには、疎水性のアミノ酸からなる膜貫通領域(Transmenbrane domain:TM)が存在した。また、306位のCysから333位のCysには、HGF受容体であるMetおよびseamaphorin受容体であるplexinで保存されているMet−related sequence(MRS)が存在していた(第1図)。ヒトのTEM7との相同性は49%であった。
実施例2
ヒト正常組織におけるC0126mRNAの発現
実施例1で得られたcDNAライブラリーのうちC0126をコードするcDNA(配列番号1)を含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってC0783を含むcDNA断片を得た。得られたcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識した。このようにして調製した32P標識cDNA断片をプローブとして用いノーザンブロット解析を行った。
上記で調製した標識プローブをExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)に添加し、該溶液にMultiple Tissue Northern(MTN) Blots Human12−Lane MTN Blot(クロンテック社製)を浸漬し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を2×SSC(20×SSC:3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム、pH7.0)で室温にて5分間、1×SSCで50℃にて30分間、0.5×SSCで室温にて5分間洗浄後、風乾した。次いで、このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。
その結果、C0126のmRNAは、大きさは約2.7kbで、脳、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤および肺等の種々の組織で発現しており、特に腎臓で強い発現が観察された。
実施例3
ヒト胃癌組織におけるC0126mRNAの発現
ヒト由来各種臓器の正常組織および腫瘍組織における当該遺伝子の発現量を調べた。
68人のヒト由来の12種の癌組織およびそれに対応する正常組織から抽出した全RNAを固定したナイロン膜Matched Tumor/Normal Expression Array(クロンテック社製)を、ハイブリダイゼーションバッファー(0.5M りん酸バッファー、pH7.2;1%(w/V)BSA、1m mol/L EDTA、7%(w/v) SDSを含む)に浸し、65℃で1時間の予備ハイブリダイゼーションを行った。次に、実施例2と同様にして調製したC0783cDNAを含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、C0783を含むcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識することにより標識プローブを調製した。該標識プローブを添加したハイブリダイゼーションバッファーに、予備ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、該ナイロン膜を2×SSCで室温にて5分、1×SSCで50℃にて30分、0.5×SSCで50℃にて30分順次洗浄した後、風乾した。このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。ヒトユビキチンを対照区とし、該ナイロン膜をデハイブリダイズ後、Array添付のHuman Ubiquitin Control cDNA Probeを用いて上記と同様に操作し、解析を行った。対照区の解析結果を基に各組織での発現量を補正した後、正常組織に対応する癌組織での発現量比を算出し、各種癌組織における発現量を解析した。
その結果、8例の胃癌患者中6人の患者で、胃正常部と比較して胃癌組織におけるC0126遺伝子の発現の増加が観察された(第2図)。
実施例4
ヒト間葉系幹細胞におけるC0126mRNAの発現
ヒト間葉系幹細胞を、骨細胞に分化誘導した際のC0126mRNAの発現変化を解析した。ヒト間葉系幹細胞(BioWhittaker社)をHumanMesenchymal Stem Cell Basal Medium(BioWhittaker社製)を用いて培養した。該細胞培養液に試験区としてhuman IL−1β(R&D Systems社製)を最終濃度で0.5ng/mlになるよう添加したもの、human IGF−1(R&D Systems社製)を最終濃度で10ng/mlになるよう添加したもの、humanFGF−basic(FGF−2)(R&D Systems社製)を最終濃度で10ng/mlになるよう添加したものおよび対照区として無添加のものをそれぞれ調製し、37℃、5% CO2中で1日間または4日間培養を行った。各細胞培養液から細胞を回収し、TRIZOL試薬(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従い全RNAを抽出し、全RNAを得た。得られた全mRNA10μgを1% アガロースゲル(5.5% ホルマリンを含む)電気泳動で分画後、ナイロン膜Hybond−N(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に転写した。該ナイロン膜をハイブリダイゼーションバッファー(0.5M りん酸バッファー,pH7.2;1%(w/v) BSA、1mM EDTA、7%(w/v)SDSを含む)に浸し、65℃で1時間の予備ハイブリダイゼーションを行った。次に、実施例2と同様にして調製したC0126cDNAを含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、C0126を含むcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識することにより標識プローブを調製した。該標識プローブを添加したハイブリダイゼーションバッファーに、予備ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、該ナイロン膜を2×SSCで室温にて5分間、1×SSCで50℃にて30分間、0.5×SSCで室温にて5分間順次洗浄した後、風乾した。このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。各シグナル強度を測定し、対照区の解析結果に対する試験区の解析結果の比率を算出した。
その結果、C0126は軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1では発現誘導が認められたが、骨芽細胞分化誘導活性を有するIL−1βおよびFGF−2により発現誘導が認められなかった(第3図)。
実施例5
C0126の哺乳類動物細胞での発現
p3×FLAG−CMV−14(シグマアルドリッチジャパン社製)より3×FLAGペプチドをコードするDNAをPCR法により増幅し、クローニングベクターpCR2.1−TOPO(インビトロジェン社製)に挿入し、プラスミドpCR−FLAGを構築した。
次に、実施例1で得られたcDNA断片から、配列番号1で示されるC0126をコードするcDNAをpCR−FLAGのNotI部位に挿入することにより、カルボキシ末端に3×FLAGポリペプチドをコードするcDNA配列を付加したベクターを構築した。このプラスミドを制限酵素XhoIで消化し、発現ベクターpLXSN(クロンテック社製)のXhoI部位に挿入することによりC0126発現ベクターpLXNS−C0126FLAGを構築した。
pLXNS−C0126FLAGの宿主としてEcoPack2−293 Cell Line(クロンテック社製)を用いた。
10%(w/v) FCSを含むD−MEM培地(シグマアルドリッチジャパン社製)を分注した35mmのマルチディッシュに、EcoPack2−293Cell Lineを1×105細胞/ウェルになるよう添加し、5% CO2中37℃で16時間培養を行った。該細胞培養液に2μgのpLXNS−C0126FLAGおよび3μlのFugene(ロシュダイアグノスティックス社製)を添加し、5% CO2中37℃で24時間培養を行った。その後、培地を交換し、さらに5% CO2中37℃で24時間培養を行い、レトロウイルスを産生した。
該細胞培養液よりレトロウイルスう含む上清を回収し、マウス間葉系幹細胞であるマウス胎児細胞株C3H/10T1/2細胞(ATCC:CCL−226)を形質転換した。
C3H/10T1/2細胞を10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて37℃で16時間培養を行った後、培地をレトロウイルスを含有する培養上清にポリブレン(ナカライテスク社)を最終濃度で10μg/mlとなるよう添加した培養で置換し、37℃で8時間培養することによりウイルス感染をさせた。培養液から培地を除去し、感染したC3H/10T1/2細胞を10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて37℃で16時間さらに培養を行った。このようにして作製したC0126FLAGタンパク質発現細胞株での、C0126FLAGタンパク質発現はC0126の発現はLaemliの方法に従いウェスタンブロット法で解析を行った。
形質転換されたC3H/10T1/2細胞をLysis Buffer(10mM Tris−HCl、pH7.4;1%(w/v) TritonX−100、0.15M NaCl、1mM EDTA)で溶解させた。細胞溶解液5μlをSDS−PAGEにより分画した後、Immobilon−P(日本ミリポア社製)に電気的に転写した。該ナイロン膜をブロッキング溶液(PBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含む)に浸し、室温で1時間振盪反応を行った後、標識抗体溶液(PBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含むにAnti−FLAG M2 Monoclonal Antibody Peroxydase(HRP) Conjugate(シグマアルドリッチ社製)を添加したもの)に浸し、室温で1時間静置した。該ナイロン膜を洗浄液(PBS、pH7.4;0.1% Tween20を含む)で10分間の洗浄を3回行った後、該ナイロン膜とECL Plus Weatern Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を室温で反応させ、直ちに該ナイロン膜およびX線フィルムX−OMAT AR(コダック社製)をX−オマット カセッテ(コダック社製)に装着し数分間露光した。形質転換していないC3H/10T1/2細胞を同様に処理したものを対照区とした。
その結果、100Kd前後の大きさのバンドが検出された。予想される分子量約60Kdより大きいことから、糖鎖が付加されたと考えられる。
実施例6
C0126のバキュロウイルスでの発現
バキュロウイルスでの発現にはBac−to−Bac Baculovirus Expression System(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従って操作を行った。
C0126の細胞外領域である、配列番号2の1位のAspから454位のTyrで表わされるアミノ酸配列のカルボキシ末端に3×FLAG付加したポリペプチドをコードするcDNAを昆虫細胞で発現させる。
p3×FLAG−CMV−14(シグマアルドリッチジャパン社製)より3×FLAGペプチドをコードするDNAおよびC0126の細胞外領域をコードするDNAをPCR法により増幅したcDNA断片をpFastBac1のXhoI部位に挿入し、pFastBac−C0783FLAGを構築した。該組換えプラスミドをMAX Efficiency DH10Bac Competent Cellsに導入し、バキュロウイルスゲノム(bacmid DNA)へ転移することにより組換えbacmid DNAを構築した。該組換えbacmid DNAをCellFECTIN Reagentを用いてSf9細胞(ATCG:CRL−1711、卵巣細胞)に導入し、組換えバキュロウイルスを得た。該バキュロウイルス感染Sf9細胞培養液62.5μl、125μl、250μl、500μlそれぞれを2×106個/ml濃度のSf9細胞培養液50mlに添加し、28℃で72時間培養を行った。該細胞培養液を遠心分離し、上清画分に組換えC0126FLAGを得た。
C0126FLAGの発現は実施例5と同様にウェスタンブロット法により確認した。培養上清10μlをSDS−PAGEにより分画した後、ニトロセルロースメンブレン(テフコ社製)に電気的に転写した。該ナイロン膜をブロッキング溶液(TBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含む)に浸し、室温で1時間振盪反応を行った後、標識抗体溶液(TBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含むにAnti−FLAG M2 Monoclonal Antibody Peroxydase(HRP) Conjugate(シグマアルドリッチ社製)を添加したもの)に浸し、室温で1時間静置した。該ナイロン膜を洗浄液(TBS、pH7.4;0.05% Triton X−100を含む)で10分間の洗浄を3回行った後、該ナイロン膜とECL Plus Weatern Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を室温で反応させ、直ちに該ナイロン膜およびELC検出用フィルムHyperfilm−ECL(アマシャムファルマシアバイオテク社製)をX−オマット カセッテ(コダック社製)に装着し数分間露光した。組換えウイルス非感染Sf9細胞の培養上清を同様に処理したものを対照区とした。
その結果、約80Kdの大きさの単一バンドが検出された。各バンドのシグナルは添加したウイルス量依存的な強度で検出され、C0126の細胞外領域がSf9細胞の培養上清に分泌されていることを確認した。
次に、SDS−PAGEからこのバンドを切り出し、溶出し、アミノ酸シークエンサーを用いてこのポリペプチドのN末端部分のアミノ酸配列を解析することにより、これがC0126のcDNA配列より予想されるアミノ酸配列と一致し、しかも配列番号2の45位と46位のアミノ酸の間で切断されていることを確認した。この切断部位の直前に相当する42位から45位のアミノ酸配列は、フリンなどの膜結合型プロセッシングプロテアーゼの認識配列に一致することから、C0126は細胞由来のこのようなプロテアーゼによって45位と46位の間で切断されることが予想された。したがって、C0126の発現に伴って、シグナル配列の切断とフリン様プロテアーゼによるプロセッシングの結果、1位から45位に相当するペプチドが細胞外に遊離されるものと推測される。
実施例7
C0126の軟骨分化誘導活性
実施例4においてC0126が軟骨分化時に発現亢進することが示されたので、C0126を発現することによる軟骨分化への影響を検討した。
実施例5で作製したC0126FLAG発現プラスミドで形質転換されたC3H/10T1/2細胞および対照区として形質転換されていないC3H/10T1/2細胞を、10% ECSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて、37℃で16時間培養を行った。各培養細胞を24ウェルプレート(コーニング社)に4×104細胞/ウェルとなるよう分注し、37℃で16時間培養を行った後、培地を5% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)に交換した。培地交換後、37℃で6時間培養を行い、最終濃度でhuman BMP−2(サワデーテクノロジー社製)は400 ng/ml、human BMP−4(R&D Systems社製)は200 ng/ml、レチノイン酸(シグマアルドリッチ社製)は10−6Mとなるように各細胞培養液に添加した後、37℃で3日間培養を行った。該細胞培養液の培地を同濃度同被験物質を含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquidに交換し、さらに37℃で3日間培養を行った。
軟骨細胞への分化の定量方法は、軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質をアルシアンブルー染色し、吸光度を測定した。
各細胞培養液の培地を除去した後、10% ホルマリンを添加し、室温で10分間処理し細胞の固定化を行った。該固定細胞にアルシアンブルー染色液(pH2.5)(ナカライテスク社製)を200μl添加し、4℃で一晩の反応を行った後、染色液を除去し6M 塩酸グアニジンを添加し、室温で6時間反応を行い染色物質の抽出を行った。該抽出液の650nmにおける吸光度を分光光度計(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いて測定し、アルシアンブルー染色量を測定した。
その結果、C0126発現細胞において、BMP−2およびBMP−4による軟骨細胞への分化が促進された(第4図)。
実施例8
C0126細胞外領域タンパク質の軟骨分化誘導活性
C0126細胞外領域タンパク質を用いてC3H/10T1/2細胞の細胞分化への作用を検討した。
C0126細胞膜外領域タンパク質としては、実施例6で作製したバキュロウイルス発現系により発現させいたC0126細胞膜外領域である配列番号2の46位Asnから454位Tyrで表わされるアミノ酸配列のカルボキシ末端に3×FLAGを付加したポリペプチドを用いた。
C3H/10T1/2細胞を、10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて、37℃で16時間培養を行った。各培養細胞を24ウェルプレート(コーニング社)に4×104細胞/ウェルとなるよう分注し、37℃で16時間培養を行った後、培地を5% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)に交換した。培地交換後、37℃で6時間培養を行い、実施例6で調製したC0126細胞外領域タンパク質を最終濃度で10μg/mlとなるように添加した細胞培養液およびC0126細胞外領域タンパク質を添加していない細胞培養液を調製した。それの各細胞培養液に、最終濃度でhuman BMP−2(サワデーテクノロジー社製)は1000 ng/ml、human BMP−4(R&D Systems社製)は400 ng/ml、レチノイン酸(シグマアルドリッチ社製)は10−6Mとなるように添加した後、37℃で3日間培養を行った。該細胞培養液の培地を同濃度同被験物質を含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquidに交換し、さらに37℃で3日間培養を行った。
軟骨細胞への分化の定量方法は、実施例7と同様にアルシアンブルー染色液を用いて行った。
各細胞培養液の培地を除去した後、10% ホルマリンを添加し、室温で10分間処理し細胞の固定化を行った。該固定細胞にアルシアンブルー染色液(pH2.5)(ナカライテスク社製)を200μl添加し、4℃で一晩の反応を行った後、染色液を除去し6M 塩酸グアニジンを添加し、室温で6時間反応を行い染色物質の抽出を行った。該抽出液の650nmにおける吸光度を分光光度計(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いて測定し、アルシアンブルー染色量を測定した。
その結果、C0126細胞外領域タンパク質により、BMP−2およびBMP−4による軟骨細胞への分化が抑制された(第5図)。
産業上の利用可能性
本発明により、胃癌、変形性関節症およびリュウマチ性関節炎マーカーであるC0126ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、該DNAが組み込まれた遺伝子治療用ベクター、該ポリペプチドを認識する抗体、該抗体を用いるC0126ポリペプチドの定量方法、該ポリペプチドのmRNAの定量方法、該定量方法を用いた癌、変形性関節症あるいはリュウマチ性関節炎の診断用キットおよび該ポリペプチド、それを認識する抗体、該ポリヌクレオチドを含有する医薬組成物、該医薬組成物を含有する変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防・治療剤、該医薬組成物を用いた変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防・治療方法が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、C0126ポリペプチドの概略図を示した模式図である。
C0126ポリペプチドは529個のアミノ酸よりなる分泌蛋白質で、アミノ酸配列の第−22位のMetから第−1位のThrまでが、予想されるシグナルペプチド領域(SP;Signal peptide)、第306位のCycから第333位のCysまでが、HGF受容体であるMetおよびseamaphorin受容体であるplexinで保存されているMet関連配列(MRS;Met−related sequences)と類似性を有する領域、第433位のGlyから第455位のMetまでが、予測される膜貫通領域(TM;Transmembrane domain)を示している。
第2図は、ヒト胃癌粗織およびそれに対応する正常組織におけるC0126mRNAの発現量およびその比率を表している。
第3図は、軟骨分化誘導時におけるC0126ポリペプチドmRNAの発現量の変動を表している。
軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1、骨分化誘導活性を有するIL−1βおよびFGF−2を処理したヒト間葉系幹細胞のノーザンブロット解析を行い、対照区(無処理区)でのC0126ポリペプチドmRNAの発現量を1とした相対的な発現量で示している。
第4図は、C0126の軟骨分化誘導活性(アルシアンブルー染色性)を表している。
軟骨分化マーカーであるアルシアンブルー染色性を指標とし、C0126とBMP−2、BMP−4およびレチノイン酸(RA)を処理した場合の軟骨分化誘導活性を示している。対照区(無処理)でのアルシアンブルー染色性を1とした相対的な活性で示している。
第5図は、C0126細胞外領域の軟骨分化抑制活性(アルシアンブルー染色性)を表している。
軟骨分化マーカーであるアルシアンブルー染色性を指標とし、BMP−2、BMP−4およびレチノイン酸(RA)を処理した培養細胞に、C0126細胞外領域を添加した場合(C0126N末端(+))およびC0126細胞外領域を添加しない場合(C0126N末端(−))の軟骨分化誘導抑制活性を示している。対照区(無処理)でのアルシアンブルー染色性を1とした相対的な活性で示している。
本発明は、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するプレキシン、c−METおよびTEM7と相同性を有する膜貫通型タンパク質C0126の癌、癌転移ならびに骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症のマーカーとしての用途に関する。また、C0126ポリペプチドおよびその断片、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびその断片、該ポリペプチドおよびその断片を認識する抗体を用いた癌、癌転移および骨疾患、特に、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症などの診断、予防および治療のための医薬、製剤、方法に関する。
背景技術
膜貫通型ポリペプチドとして配列番号4のアミノ酸配列で表わされるポリペプチドを単離し、次いで、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを単離し、その配列(配列番号3)が決定された(WO00/77037)。該ポリペプチドは507個のアミノ酸からなるポリペプチドであるが、その機能は未だ解明されていない。。
プレキシンは、セマフォリンの受容体であり、細胞外領域にc−METと相同性の高いシステインリッチドメインを有する1回膜貫通タンパク質で生体内に幅広く発現している(Neuron,14,1189(1995).)。セマフォリンは、神経回路形成に関与する因子として見出されている(Cell,75,1389(1993).)。神経回路は細胞接着因子と反発因子によりその回路網が形成される。セマフォリンは、神経系組織においては反発因子として働いており、軸索を目的の細胞へと反発的に誘導している。近年、末梢組織においてセマフォリンは、血管新生(Journal of Cell Biology,146,233(1999).)、癌細胞増殖および癌転移(Cancer Research,58,1238(1998).)にも関与していることが見出されている。プレキシンは細胞内領域にタイロシンキナーゼ活性に関係する部位を有し、セマフォリンの作用を細胞内に伝達している(Cell,99,71−80(1999).)。c−METは肝細胞増殖因子(HGE)の受容体であり(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,84,6379(1987).)、1回膜貫通タンパク質で細胞内領域にタイロシンキナーゼ領域を有し、神経細胞にも発現しており、軸索の突起伸展および誘導に関与している(Neuron,17,1157(1996).)。TEM7(Tumor Endothelial Maker 7)は、大腸癌のマーカー遺伝子として発見され、筋肉腫、転移肝癌、肺癌、膵癌、乳癌および脳腫瘍とでもその発現増加が見出され、血管新生に関与していると考えられている(Science,289,1197(2000).)。
癌は生体内のほとんどの組織で発症する疾患で、これまでに癌化の標的遺伝子である癌遺伝子および癌抑制遺伝子が数多く発見され、ヒト癌化機構は特定の遺伝子レベルで多段階的に描かれている(Molecular Medicine,36,424(1999).)。例えば、胃癌は、低分化型腺癌と腺腫および腸上皮化生の見られる高分化型腺癌に分けられているが、両型に共通して発症の極めて初期に、(1)テロメア長短縮および遺伝子不安定が起きている。早期癌になるまでに、(2)テロメラーゼの活性化およびテロメラーゼリバーストランスクリプターゼ発現、(3)CD44異常転写産物、サイクリンE過剰発現、c−metの発現が誘導されている。その後、進行癌となり、(4)染色体7q欠失、サイクリンE遺伝子増幅、p27発現低下、nm23発現低下、増殖因子過剰発現、CD44異常転写産物などの異常が生じている。高分化型に特徴的な遺伝子異常としては、(1)D1S191不安定性、DNAメチル化、(2)APC遺伝子の不活化、p53遺伝子の不活化、K−ras遺伝子活性化、pS2発現喪失、(3)p27発現低下、c−erbB2遺伝子増幅である。低分化型に特徴的な遺伝子異常としては、(1)染色体17p12−21欠失、カドヘリン遺伝子変異、K−sam遺伝子増幅、c−met遺伝子増幅である。c−metは肝細胞成長因子の受容体であり、肝細胞成長因子の刺激によりカテニンをリン酸化することによりカドヘリン機能を低下させ、細胞解離を促進する。よって、c−metタンパク質の増加により、肝細胞成長因子が細胞分散因子として作用し、びまん性浸潤に関与していると考えられている。しかしながら、発癌機構は未だ完全に解明されておらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられている。この様な状況の下、癌の発症に関わる新規遺伝子の同定および同遺伝子を用いた癌の診断方法が待望されていた。
変形性関節症およびリュウマチ性関節炎は関節の軟骨組織の変性、摩粍を伴う疾患で、その治療方法は、現在のところ鎮痛と抗炎症を中心とする対症療法が中心である。しかし、根本的治療のためには、軟骨の破壊と再生を促進する治療法の開発が望まれている。軟骨細胞は、間葉系幹細胞が軟骨に分化することにより形成される。間系幹細胞は、骨髄中に含まれる細胞で、多分化能を有し、骨、軟骨、腱、靭帯、脂肪、骨格筋等の中胚葉由来組織の幹細胞である。特に、脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞には容易に分化させることが可能である(Science,284,143(1999).)。したがって、間系幹細胞の軟骨分化を制御機構の解明が変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の予防・治療のための医薬・方法を開発するのに重要であるが、軟骨細胞の分化機構は未だ完全に解明されておらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられている。この様な状況の下、軟骨分化に関わる遺伝子の同定および同遺伝子あるいは同遺伝子産物を用いた変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の診断、予防および治療のための医薬・方法が待望されていた。
発明の開示
本発明は、癌、癌転移および骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の診断に有用な新規なマーカーを提供することである。また、本発明は、癌、癌転移および骨疾患、特に、変形性関節症、リュウマチ性関節炎および骨粗鬆症の予防ならびに治療に有用なポリペプチドおよびポリヌクレオチドを提供することである。
本発明者らは、血管新生および間葉系幹細胞の分化に関与している遺伝子の単離を目的として、鋭意研究を行なった結果、新規な癌および癌転移のマーカーとして配列番号1で表されるポリヌクレオチドを見出した。また、該マーカーが胃癌組織で発現が上昇していることを見出し、癌あるいは癌転移のマーカーとして有用であることを確認した。さらに、研究を進めた結果、新規な骨疾患マーカーとして配列番号2で表されるC0126ポリペプチドを見出した。また、間葉系幹細胞を軟骨細胞分化誘導因子で軟骨細胞に分化させるとC0126の発現が増加していること、C0126を間葉系幹細胞株で発現させると軟骨細胞への分化が促進されることを見出し、本発明のマーカーが軟骨細胞分化が関連する骨疾患のマーカーとして有用であることを確認し、さらに、変形性関節症、リュウマチ性関節炎や骨粗鬆症のマーカーとして有用であることを示唆し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)配列番号2の1位のAspから45位のArgで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(2)配列番号2の46位のAsnから432位のTyrで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(3)配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む(1)または(2)に記載のマーカー;
(4)配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む(1)または(2)に記載のマーカー;
(5)配列番号2の1位のAspから45位のArg、46位のAsnから432位のTyr、1位のAspから507位のCysまたは2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドのいずれかにおいて、欠失、置換または挿入から選ばれる1若しくは数個のアミノ酸変異を有するポリペプチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(6)該癌が胃癌である(1)から(5)に記載のマーカー;
(7)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(1)から(5)のいずれかに記載のマーカー;
(8)配列番号1の423番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(9)配列番号1の288番目のGから422番目のAで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(10)配列番号1の288番目のGから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む(8)または(9)に記載のマーカー;
(11)配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む、(8)または(9)に記載のマーカー;
(12)配列番号1の423番目のAから1808番目のC、288番目のGから422番目のA、288番目のGから1808番目のCまたは222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列のいずれかとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー;
(13)該癌が胃癌である(8)から(12)に記載のマーカー;
(14)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(8)から(12)のいずれかに記載のマーカー;
(15)下記の工程を含む、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部からなるポリペプチドを認識する抗体を用いることを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該抗体とを接触させる工程、および
(b)被験物質と該抗体との結合を検出する工程;
(16)下記の工程を含む、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを用いることを特徴とする(8)から(15)のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該ポリヌクレオチドとを接触させる工程、および
(b)被験物質と該ポリヌクレオチドとの結合を検出する工程;
(17)(15)または(16)に記載の検出方法を用いることを特徴とする癌、癌転移または骨疾患の診断用キット;
(18)該癌が胃癌である(17)に記載の診断キット;
(19)該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である(17)に記載の診断用キット;
(20)下記工程を含む、配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を用いることを特徴とする軟骨細胞誘導活性調節物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質の存在下または非存在下で該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体を培養する工程、および
(b)該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体における軟骨基質の生成量を被験物質の存在下または非存在下で比較する工程;
(21)配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を含むことを特徴とする、軟骨細胞分化誘導活性調節物質スクリーニング用キット;
(22)(21)に記載のスクリーニング方法により得られることを特徴とする軟骨細胞分化誘導活性調節物質;
(23)配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである(22)に記載の軟骨細胞分化誘導活性調節物質;
(24)(22)または(23)に記載の化合物またはその塩、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチド、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部からなるポリヌクレオチドを含むヒト遺伝子治療用発現ベクター、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部を含むポリペプチド、該ポリペプチドに対する抗体の何れかを有効成分として含有する医薬組成物;
(25)癌または癌転移の予防または治療剤である(24)に記載の医薬組成物;
(26)骨疾患の予防剤または治療剤である(24)に記載の医薬組成物;
(27)変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防剤または治療剤である(24)記載の医薬組成物;
(28)(24)から(27)のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする癌、癌転移、骨疾患の予防または治療方法;
に関する。
本明細書において使用される用語は、特に言及する場合を除いて、当該分野で通常用いられる意味で用いられる。以下に特に本明細書で用いられる用語について説明する。
本発明のマーカーは、「配列番号2の1位のAspから45位のArgで表わされるアミノ酸配列」または「配列番号2の46位のAsnから432位のTyrで表わされるアミノ酸配列」であり、「配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列」および「配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列」も包含する。さらに、本発明のマーカーは、「配列番号1の423番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列」または「配列番号1の288番目のGから422番目のAで表わされる塩基配列」であり、「配列番号1の288番目のGから1808番目のCで表わされる塩基配列」および「配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列」も包含する。
「癌」とは、がん腫、肉腫、白血病、悪性リンパ腫、胚細胞性腫瘍などに分類される悪性腫瘍および悪性新生物を意味し、胃癌を包含し、さらにこれらの癌転移をも包含する。「骨疾患」とは、例えば、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などが挙げられる。
本明細書において、「マーカー」とは、生体内において癌、癌転移または骨疾患を検出するのに使用される物質である。ある種のmRNAまたはタンパク質が、癌、癌転移または骨疾患においてその発現が増加または減少する場合にマーカーとなりえ、例えば、配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表される塩基配列からなるポリヌクレオチド、それに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドおよびそれらの一部が挙げられる。
「配列番号1に記載の塩基配列の一部」とは、配列番号1に記載の塩基配列のうち少なくとも連続した10個以上の塩基配列であり、好ましくは配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列の少なくとも連続した10個以上の塩基配列である。
「配列番号2に記載のアミノ酸配列の一部」とは、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、好ましくは配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列であり、さらに好ましくは、配列番号2の1位のAspから45位のArgまたは46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列の少なくとも連続した5残基以上のアミノ酸配列である。
「1若しくは数個のアミノ酸」とは、部位特異的変異誘発法などにより欠失、置換および付加できる程度の数のアミノ酸であり、50個以下、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、さらに好ましくは10個以下のアミノ酸を意味する。さらに、該ポリペプチドは、欠失、置換および付加によってもマーカーとしての機能を有するポリペプチドである。
「ストリンシェントな条件でハイブリダイズする」とは、当該分野において周知慣用な手法、例えば、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることによりハイブリダイズすることを意味し、具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のポリヌクレオチドを固定化したメンブランを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline Sodium Citrate;150mM塩化ナトリウム、15mM クエン酸ナトリウム)溶液を用い、65℃でメンブランを洗浄した場合でもハイブリダイズしていることを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley−Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A Practical Approach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)などに記載されている方法に準じて行うことができる。
「抗体」とは、当該分野で通常使用される意味で用いられ、抗体の全部またはその断片、誘導体、結合体、修飾体なども包含される。好ましくは、C0126またはその断片を認識する抗体であり、好ましくは、特異的に認識する抗体であり、さらに好ましくは、単一特異的に認識する抗体である。そのような抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれでもよい。
「検出する方法」とは、mRNAの検出を行う分子生物学的測定方法、またはポリペプチドの検出を行う免疫学的測定方法であればいかなる方法でもよい。分子生物学的測定方法としては、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法、RT−PCR法などが、免疫学的測定方法としては、例えば、ELISA(Enzyme Linked Immuno Sorbent Assay)法、RIA(Radio Immuno Assay)法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などが挙げられる。
「診断用キット」とは、C0126が癌、癌転移および骨疾患のマーカーとなり得るため、少なくとも該マーカーを検出するためのポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126に対する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドが含まれており、前述の検出する方法に基づき、該マーカーを分子生物学的あるいは免疫学的に測定するためのキットである。
「軟骨細胞分化誘導活性」とは幹細胞から軟骨細胞への分化を促進する活性である。軟骨細胞分化誘導活性は、幹細胞から軟骨細胞へ分化する際に生成される軟骨基質、例えば、各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成を検出することにより測定することができる。
「軟骨細胞分化誘導活性調節物質」とは、幹細胞から軟骨細胞への分化を調節する物質であり、前述の軟骨細胞分化誘導活性を調節できる物質である。そのような物質は幹細胞が軟骨細胞へ分化する際に生成される各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質を指標に、その増加あるいは減少させる物質をスクリーニングすることによって得ることができる。軟骨細胞分化誘導活性調節物質としてはC0126に結合する「結合物質」、C0126と該結合物質の結合を調節する「結合活性調節物質」、C0126の発現を調節する「発現調節物質」など軟骨細胞の分化誘導を調節できる物質であれば何れのものでもよく、このような物質としては、例えば、低分子物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの物質が挙げられる。好ましくは、配列番号2の−22位のMetから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドであり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドであり、さらに好ましくは、配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列からなるなるポリペプチドである。
「スクリーニング方法」とは、C0126に対する結合物質、結合活性調節物質、発現調節物質をスクリーニングする方法であり、前述の分子生物学的測定方法、免疫学的測定方法、バイオアッセイおよび結合アッセイなど、当該分野で公知となっている技術を適宜適応することにより達成することができる。
「スクリーニング用キット」とは、軟骨細胞分化誘導活性調節物質をスクリーニングするためのもので、少なくともC0126を検出するためのポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126に対する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドが含まれており、前述のスクリーニング方法に基づき、該活性調節物質を分子生物学的測定方法、免疫学的測定方法、バイオアッセイおよび結合アッセイによりスクリーニングするためのキットである。
「医薬組成物」とは、少なくともC0126のポリペプチドまたはその一部、C0126のポリヌクレオチドまたはその一部、C0126またはその一部に対する抗体、軟骨細胞分化誘導活性調節物質の何れかを含有していればよく、特定の疾患、例えば、癌、骨疾患、特に胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの予防または治療に用いうる。このような物質としては、例えば、低分子物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチドなどの物質が挙げられる。好ましくは、配列番号2の−22位のMetから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、より好ましくは、配列番号2の1位のAspから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、さらに好ましくは、配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表わされるアミノ酸配列を含むポリペプチドである。また、本発明の医薬組成物に「遺伝子治療用発現ベクター」も包含する。「遺伝子治療用発現ベクター」とは、該マーカーのポリヌクレオチドの一部または全部を組み込んだ発現ベクターで、細胞・組織に導入することにより正常な遺伝子を細胞に補ったり、遺伝子の欠陥を修復・修正することができるベクターである。そのようなベクターは、複製能を欠いたウイルスの配列の一部または全部を治療用遺伝子と置き換えたものなどが用いられる。該マーカーが癌、癌転移、骨疾患に関連していることから、該マーカーのポリヌクレオチドはそれらの遺伝子治療に有用である。
「予防または治療剤」とは、C0126が癌、骨疾患において増加していることから、C0126の発現量あるいは活性を調節する物質が有用であり、少なくとも前述の医薬組成物を含有する製剤である。
「予防または治療方法」とは、前述の医薬組成物を投与することにより特定疾患、例えば、癌、癌転移および骨疾患、好ましくは、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎あるいは骨粗鬆症などの予防または治療方法である。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明のマーカーを用いた癌、癌転移または/および骨疾患の検出方法、診断用キット、軟骨細胞分化誘導活性調節物質、軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング方法、遺伝子治療用発現ベクター、予防または治療剤、予防または治療方法について説明する。本明細書において、特に指示のない限り、当該分野で公知である遺伝子組換え技術、粗換えタンパク質の生産技術、発現タンパク質の分離精製法、分析法および免疫学的手法が採用される。
(1)C0126の取得
ヒト間葉系幹細胞、脳、胃、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤、肺および腎臓由来のヒト正常細胞、または、胃由来のヒト癌細胞より、常法によりcDNAライブラリーを作製する。
cDNAライブラリー作製法としては、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)やCurrent Protocols in Molecular Biology(1994)(Green Publishing Associates and Wiley−Interscience)、DNA Cloning 1:Core Techniques、A PracticalApproach,Second Edition(1995)(Oxford University Press)などに記載された方法、あるいは市販のキット、例えば、SuperScript Plasmid System forcDNA Synthesis and Plasmid Cloning(インビトロジェン社製)やZAP−cDNA Synthesis Kits(ストラタジーン社製)などを用いる方法が挙げられる。また、ヒト癌細胞由来株COLO205(ATCC:CCL−222;結腸腺癌由来株)から調製したmRNAを用いて、SuperScript First−strand Synthesis System for RT−PCR(インビトロジェン社製)などのcDNA合成キットなどによりcDNAを合成することもできる。
調製したcDNAの両末端にSfi Iリンカーを付与した後、クローニングベクター、例えば、pAMo(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)のSfi Iサイトに挿入する。該プラスミドを用い、大腸菌株Bacterial Strain LE392,Glycerol Stock(プロメガ社製)を形質転換してcDNAライブラリーを作製する。作製したcDNAライブラリーより目的とするDNAを含むクローンを以下の方法で選択する。
上記で作製したcDNAライブラリーより、常法または市販のキット、例えば、QIAGEN Plasmid Maxi Kit(キアゲン社製)などを用いた方法によりプラスミドを調製する。
上記で調製したcDNAライブラリーからTEM7のアミノ酸配列と相同性を有するアミノ酸配列をコードするDNA断片を有するプラスミドを選択する。そのようなDNA断片は、TEM7、プレキシンおよびc−Metでアミノ酸配列がよく保存されている領域を2ヶ所以上見出し、該領域のアミノ酸配列をコードするDNA配列に対応する縮重プライマーを設計し、Polymerase Chain Reaction(PCR)法により増幅することで得られる。縮重プライマーの作製方法は、PCR Primer:A Laboratory Manual(1995)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ザ・プロトコールシリーズ「cDNAクローニング」(1996)(井上純一郎、仙波憲太郎編;羊土社)およびScience,241,42(1988).などに記載の方法が挙げられる。PCR法はMolecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびPCR Protocols(1989)(Academic Press)などに記載の方法が挙げられる。
このようにしてPCR法で増幅したDNA断片を適当なプラスミドに挿入し、サブクローニングする。サブクローニングは、増幅したDNA断片をそのままあるいは制限酵素やDNAポリメラーゼで処理した後、常法によりプラスミドベクターに組み込むことにより行うことができる。そのようなベクターとしては、pBluescript II SK(+)、pBluescript II SK(−)、pPCR−Script Amp SK(+)(ストラタジーン社製)、pDIRECT(Nucreic Acids Research,18,6069(1990).)、pT7Blue(ノバゲン社製)、pCRII(インビトロジェン社製)、pCR−TRAP(ジーンハンター社製)、pNoTAT7(Eppendorf 5prime社製)などが例示できる。
サブクローン化されたPCR増幅断片の塩基配列をスクリーニングすることにより、既知のTEM7のアミノ酸配列とホモロジーを有するが、完全には一致しないアミノ酸配列をコードするDNA断片を選択することができる。塩基配列は、通常用いられる塩基配列解析方法、例えば、サンガーらのジデオキシ法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,74,5463(1977).)あるいは373A DNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)などの塩基配列分析装置で解析することができる。このようにして選択したDNA断片をプローブとし、上記で作製したcDNAライブラリーに対して、コロニーハイブリダイゼーションやプラークハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーション解析を行うことにより、既知のTEM7とホモロジーを有するポリペプチドをコードするcDNAを取得することができる。プローブは、該DNA断片を32Pなどの放射性同位体、ジゴキシゲニン(digoxigenin)、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素などで標識したものを使用することができる。ハイブリダイゼーションは、通常用いられる方法、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の方法で行うことができる。
ハイブリダイゼーションにより取得されたcDNA断片をそのままあるいは適当な制限酵素で消化した後、常法によりプラスミドベクターに組み込み、通常用いられる塩基配列解析方法、例えばサンガーらのジデオキシ法(Procceedings of the National Academy of Sciences USA,74,5463(1977).)あるいは373ADNAシークエンサー(アプライドバイオシステムズ社製)などの塩基配列分析装置を用いて塩基配列を分析することで目的とするDNAを取得することができる。
このようにして取得されるDNAとして、例えば、配列番号2で表されるポリペプチドをコードするDNAなどが挙げられ、具体的には、配列番号1で表される塩基配列を有するDNAを挙げることができる。配列番号1のDNAを含むプラスミドとしては、例えば、後述の実施例に記載したプラスミドをあげることができる。
上記のようにして取得したDNAを発現ベクターに組み込み発現プラスミドを構築する。得られた発現プラスミドを適当な動物細胞に導入後、軟骨細胞への分化誘導活性を指標に、該DNAが骨組織における軟骨の形成に関与する生理活性を有するかどうかを調べることができる。
該発現ベクターとしては、該cDNAを組み込んで動物細胞で発現できるベクターであればいかなるものでも用いることができ、例えば、pCR2.1TOPO、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pCDM8、pREP(インビトロジェン社製)、pHM6、pHB6(ロシュダイアグノスティックス社製)、pKK223−3、pGEX(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pET−3、pET−11、pBluescriptII SK(+)、pBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)、pUC19、pTrxFus、pREP4(インビトロジェン社製)、pUC118、pSTV28(宝酒造社製)、pMAL−c2X(New England BioLabs社製)、pAGE107(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).;特開平3−22979)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101(5),1307−1310(1987).)、pAMo、pAMoA(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)、pAMoPRSA(特開平5−336963)、pAS3−3(特開平2−227075)などを用いることができる。
該発現ベクターの宿主への導入方法としてはDNAを導入する方法であればいずれの方法も用いることができる。宿主が動物細胞である場合、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).)、リン酸カルシウム法(特開平2−227075)、リポフェクション法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,7413(1987).;Vilology,52,456(1973).)に記載の方法が例示される。
宿主としては発現ベクターに対応する適当な細胞または組織を用いることが可能で、例えば、動物細胞などが挙げられる。宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由来株細胞のNamalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL−1432)およびそのサブラインNamalwaKJM−1、HCT−15(ヒト大腸癌細胞、ATCC:CCL−225)、サル由来株細胞のCOS−1(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1650)およびCOS−7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1651)、ハムスター由来株細胞のCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞、ATCC:CCL−61)およびHBT5637(特開昭63−299)、マウス由来株細胞のC3H/10T1/2(胎児細胞、ATCC:CCL−226)などが例示されるが、好ましくは、C3H/10T1/2細胞を用いる。
C0126を発現する形質転換体は、当該分野において周知慣用の常法により培養する。形質転換した宿主に適した培地を用いて行うことができ、培養に使用される培地としては液体培地が適当である。具体的には、MEM培地(Science,130,432(1959).)、D−MEM培地(Virology,8,396(1959).)、RPMI1640培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967).)、YT培地、BEM培地などが用いられる。宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際の培地としては、例えば、MEM培地、D−MEM培地、RPIM培地などにウシ胎児血清(FCS)を適量添加したものなどが用いられる。必要により発現ベクターのプロモーターの転写活性を高めるために、転写活性を促進する物質を含んでいてもよく、例えば、イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシン(IPTG)などを用いることができる。
培地には形質転換体が生育するのに必要な栄養素、例えば、グルコース、アミノ酸、ペプトン、ビタミン類、ホルモン類、血清、好ましくは、ECS、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどが含有されており、その様な培地であればどのような組成の培地でも用いることができ、市販されている培地も用いることができる。培養はpH6.0〜8.0、25〜40℃、5% CO2存在下などの条件で行う。
所望のDNAは、C0126が有する軟骨細胞の分化誘導活性を指標に、該形質転換体によって産生されたタンパク質をスクリーニングすることによって選択することができる。軟骨細胞の分化誘導活性とは、軟骨細胞の細胞増殖速度の上昇をもたらし、該細胞の形態変化を促進させる活性を指す。該活性は、例えば、顕微鏡による軟骨細胞の形態学的観察や、軟骨細胞の分化マーカー、例えば、アグリカン、コラーゲン、プロテオグリカン(コンドロイチン硫酸など)などの軟骨基質を測定することにより検出することが可能である。軟骨基質は、例えば、細胞をアルシアンブルー染色液で染色した後、軟骨基質を染色したアルシアンブルーをグアニジン塩酸塩を用いて細胞から抽出し、その量を分光光度計
該培養により得られた細胞を、該発現プラスミドを導入した細胞において、神経細胞軸索の突起伸展活性あるいは誘導活性、または血管新生活性を指標に、該DNAが中枢組織における神経回路の形成または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する生理活性を有するかどうか検討する。上記生理活性が検出されれば、該DNAは中枢組織における神経回路の形成または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する新規TEM7をコードしていると考えることができる。
以上のようにして、ヒト間葉系幹細胞、脳、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤および肺、または、ヒト胃癌細胞において、中枢組織における神経回路の形成、または末梢組織における血管新生、癌細胞増殖あるいは癌転移に関与する生理活性を有するC0126をコードするDNAを取得することができる。即ち、非ヒト動物、例えば、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ニワトリ、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等由来のcDNAライブラリーに対してスクリーニングを行うことにより、目的のDNAを取得することができる。スクリーニングされたTEM7活性を有するポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて、該ポリペプチドをコードするDNAを化学合成することによっても目的のDNAを調製することができる。DNAの化学合成は、チオホスファイト法を利用した島津製作所社製のDNA合成機、フォスフォアミダイト法を利用したパーキン・エルマー社製のDNA合成機model392等を用いて行うことができる。
また、後述のオリゴヌクレオチドをセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとして用い、これらDNAに相補的なmRNAを発現している細胞のmRNAから調製したcDNAを鋳型として、PCRを行うことによっても、目的とするDNAを調製することができる。
現在、多くの機能未知のヒト染色体遺伝子の配列がデータベースに登録されている。したがって、C0126をコードするヒトcDNAの配列と、データベースに登録されてるヒト染色体遺伝子の配列とを比較することにより、C1026をコードするヒト染色体遺伝子を同定し、該遺伝子の構造を明らかにできる可能性がある。cDNAの配列と一致する染色体遺伝子配列が登録されていれば、cDNAの配列と染色体遺伝子の配列を比較することにより、C0126をコードする染色体遺伝子のプロモーター領域、エクソンおよびイントロン構造をスクリーニングすることができる。
(2)C0126ポリペプチドの製造
C0126ポリペプチドは、モレキュラー・クローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー サプルメント1〜38等に記載された方法等を用い、例えば以下の方法により、C0126ポリヌクレオチドを宿主細胞中で発現させ、製造することができる。
C0126ポリペプチドをコードする全長DNAを基にして、必要に応じて、該ポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。また、該ポリペプチドをコードする部分の塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換したDNAを調製する。該DNAは該ポリペプチドの生産率を向上させるうえで有用である。該DNA断片、または全長DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換え体DNA(組換えベクター)を作製する。該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入することにより、C0126ポリペプチドを生産する形質転換体を得ることができる。
宿主としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等、目的とする遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。発現ベクターとしては、宿主において自立複製が可能、または染色体中への組込みが可能で、C0126遺伝子の転写に適した位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。
(i)原核生物を宿主として用いる場合
C0126cDNAの発現ベクターは、原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、C0126をコードするcDNA、転写終結配列、より構成されていることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
発現ベクターとしては、例えば、pcDNA1.1、pcDNA1.1/Amp、pCDM8、pREP(インビトロジェン社製)、pHM6、pHB6(ロシュダイアグノスティックス社製)、pKK223−3、pGEX(アマシャムファルマシアバイオテク社製)、pET−3、pET−11、pBluescriptII SK(+)、pBluescriptII SK(−)(ストラタジーン社製)、pUC19、pTrxFus(インビトロジェン社製)、pUC118、pSTV28(宝酒造社製)、pET System(ノバジェン社製)、pMAL−c2X(New England BioLabs社製)、pAGE107(Cytotechnology,3(2),133−140(1990).;特開平3−22979)、pKYP200(Agricaltural and Biological Chemいstry,48,669(1984).)、pLSA1(Agricaltural and Biological Chemistry,53,277(1989).)、pGEL1(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,82,4306(1985).)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101(5),1307−1310(1987).)、pAMo、pAMoA(The Journal of Biologycal Chemistry,268(30),22782−22787(1993).)、pEG400(Journal of Bacteriology,172,2392(1990).)、pTrs30(FERM BP−5407)、pTrs32(FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGKA2(FERM B−6798)、pAMoPRSA(特開平5−336963)、pAS3−3(特開平2−227075)、pKYP10(特開昭58−110600)、pTerm2(特開平3−22979、US4686191、US4939094、US5160735)、pPA1(特開昭63−233798)などを例示することができる。
プロモーターとしては、大腸菌などの宿主細胞中で発現できるものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やファージなどに由来するプロモーター、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどを挙げることができる。またPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp ×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーターなども用いることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。C0126ポリヌクレオチドの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子直下に転写終結配列を配置することが好ましい。
宿主としては、Escherichia属、Serratia属、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Microbacterium属、Pseudomonas属などに属する微生物、例えば、Escherichia属として、E.coliのXL1−Blue株、XL2−Blue株、DH1株、MC1000株、KY3276株、W1485株、JM109株、HB101株、No.49株、W3110株、NY49株、BL21(DE3)株、BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株、HMS174(DE3)pLysS株などが、Serratia属として、S.ficaria株、S.fonticola株、S.liquefaciens株、S.marcescens株などが、Bacillus属として、B.subtilis株、B.amyloliquefaciens株などが、Brevibacterium属として、B.ammmoniagenes株、B.immariophilum(ATCC:14068)株、B.saccharolyticum(ATCC:14066)株などが、Corynebacterium属として、C.glutamicum(ATCC:13032)株、C.glutamicum(ATCC:14067)、C.glutamicum(ATCC:13869)、C.acetoacidophilum(ATCC:13870)、Microbacterium属として、M.ammoniaphilum(ATCC:15354)、Pseudomonas属として、P.sp.D−0110株などを挙げることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Nucleic Acids Research,16,6127(1988).)、カルシウムイオンを用いる方法(Proceeding of the National Academy of Sciences USA,69,2110(1972).)、プロトプラスト法(特開昭63−2483942)、Gene,17,107(1982).およびMolecular & General Genetics,168,111(1979).に記載の方法などを挙げることができる。
(ii)酵母を宿主として用いる場合
宿主として酵母を用いる場合、発現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC:37115)、YEp24(ATCC:37051)、YCp50(ATCC:37419)、pHS19、pHS15などを例示することができる。プロモーターとしては、酵母中で発現できるものであればいずれのものでもよく、例えば、ADH1(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PHO5(酸性フォスファターゼ)プロモーター、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、GAPDH(グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ)プロモーター、GAL1(ガラキトースキナーゼ)プロモーター、GAL10(UDPガラクトース4−エピメラーゼ)プロモーター、MFα1(αフェロモン)プロモーター、CUP1(メタロチオネイン)プロモーターなどが挙げられる。
宿主としては、例えば、Saccharomyces属、S.cerevisiae種、Schizosaccharomyces属、S.pombe種、Kluyveromyces属、K.lactis種、Trichosporon属、T.pullulans種、Schwanniomyces属、S.alluvius種およびPichia属、P.pastoris種などが挙げられる。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Methodsin Enzymology,194,182(1990).)、スフェロプラスト法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,1929(1978).)、酢酸リチウム法(Journal of Bacteriology,153,163(1983).およびProceedings of the National Academyof Sciences USA,75,1929(1978).)記載の方法などが挙げられる。
(iii)動物細胞を宿主として用いる場合
宿主として動物細胞を用いる場合、発現ベクターとして、例えば、pcDNA1/Amp、pcDNA1、pCDM8、pREP4(インビトロジェン社製)、pAGE107(Cytotechnology,3,133(1990).)、pAGE103(The Journal of Biochemistry,101,1307(1987).)、pAMo、pAMoA(pAMoPRSA)(The Journal of Biologycal Chemistry,268,22782−22787(1993).)、pAS3−3(特開平2−22705)などを用いることができる。
プロモーターとしては、宿主中で発現できるものであればいずれも用いることができ、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のIE(Imediate−early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、モロニー・ミュリン・ロイケミア・ウイルス(Moloney Murine Leulemia Virus)のロング・ターミナル・リピート・プロモーター(Long Terminal Repeat Promoter)、レトロウイルスのプロモーター、HSPプロモーター、SRαプロモーターおよびメタロチオネインのプロモーターなどを挙げることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由来株細胞のHEK293(ヒト胎児腎細胞、ATCC:CRL−1573)、Namalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL−1432)、HeLa(子宮頚部癌細胞、ATCC:CCL−2)、HBT5637(白血病細胞、特開昭63−299)、BALL−1(白血病細胞)およびHCT−15(大腸癌細胞)、マウス由来株細胞のSp2/0−Ag14(マウス骨髄種細胞、ATCC:CRL−1581)、C3H/10T1/2(マウス胎児細胞ATCC:CCL−226)およびNSO(マウス骨髄種細胞)、サル由来株細胞のCOS−1(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1650)およびCOS−7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL−1651)、ハムスター由来株細胞のCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞、ATCC:CCL−61)およびBHK−21(C−13)(シシリアンハムスター仔腎細胞、ATCC:CCL−10)、ラット由来株細胞のPC12(副腎褐色細胞腫、ATCC:CRL−1721)およびYB2/0(ラット骨髄種細胞、ATCC:CRL−1662)などを例示することができる。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3,133,(1990).)、リン酸カルシウム法(特開平2−22705)、リポフェクション法(Proceedings of the National Academy of Sciences,USA,84,7413(1987).、Vilology,52,456(1973).)。
(iv)昆虫細胞を宿主として用いる場合
宿主として昆虫細胞を用いる場合、トランスファーベクターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlueBacIII(インビトロジェン社製)などが、感染用ウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するバキュロウイルス(Vaculovirus)Autographa california nuclear polyhedrosis virus(AcMNPV)Bac−N−Blue DNAなどが挙げられる。昆虫細胞の形質転換の方法は、例えば、Baculovirus Expression Vector:A Laboratory Manual(1992)(W.H.Freeman and Company)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994)(Wiley−Interscience)、BioTechnology,6,47(1988).などに記載の方法が用いれる。
昆虫細胞培養液に目的遺伝子を含むトランスファーベクターおよび昆虫細胞への感染用のバキュロウイルスDNAを添加し、組換えにより作製された目的遺伝子を発現するウイルスが昆虫細胞に感染することによりポリペプチドを発現することができる。
宿主に用いる昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperda(ヨトウガ)由来株細胞、Trichoplusia ni(イラクサキンウワバ)由来株細胞などが挙げられ、具体的には、S.frugiperda由来細胞としては、Sf9(ATCC:CRL−1711、卵巣細胞)、Sf21(卵巣細胞)などが、T.ni由来細胞株としては、High Five、BTI−TN−5B1−4(卵細胞、インビトロジェン社製)などが例示される。
組換えベクターの導入方法としては、宿主に導入できる方法であればいずれも用いることができ、例えば、リン酸カルシウム法(特開平2−22705)、リポフェクション法(Proceedings of the National Acacemy of Sciences USA,84,7413(1987).)などを挙げることができる。また、動物細胞と同様に、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3,133(1990).)なども用いることができる。
(v)植物細胞を宿主細胞として用いる場合
宿主として植物細胞または植物個体を用いる場合、公知の方法(組織培養,20(1994).、組織培養,21(1995).、Trends in Biotechnology,15、45(1997).)に準じてポリペプチドを生産することができる。発現ベクターとしては、例えば、Tiプラスミド、タバコモザイクウイルスベクターなどを挙げることができる。遺伝子発現に用いるプロモーターとしては、植物細胞中で発現できるものであればいずれも用いることができ、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーターなどを挙げることができる。また、プロモーターと発現させる遺伝子の間に、トウモロコシのアルコール脱水素酵素遺伝子のイントロン1などを挿入することにより、遺伝子の発現効率をあげることもできる。
宿主としては、ポテト、タバコ、トウモロコシ、イネ、アブラナ、大豆、トマト、ニンジン、小麦、大麦、ライ麦、アルファルファ、亜麻などの植物細胞が例示される。
組換えベクターの導入方法としては、宿主にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いる方法(特開昭59−140885、特開昭60−70080、WO94/00977)、エレクトロポレーション法(特開昭60−251887)、パーティクルガン(遺伝子銃)法(特許第2606856号、特許第2517813号)などを挙げることができる。
(vi)培養方法
C0126をコードするcDNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する形質転換体が、大腸菌、酵母、動物細胞あるいは植物細胞などの細胞の場合、各種宿主に適した通常の培養方法に従って培養し、該ポリペプチドを産生・蓄積させ、形質転換体または培養液より該ポリペプチドを回収することにより、該ポリペプチドを製造することができる。形質転換体が、動物個体または植物個体の場合、各種宿主に適した通常の生育方法に従って飼育または栽培し、該ポリペプチドを産生・蓄積させ、該動物個体または植物個体より該ポリペプチドを回収することにより、該ポリペプチドを製造することができる。
宿主が動物個体の場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有する非ヒトトランスジェニック動物を飼育し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導活性を有するポリペプチドを該動物中に産生・蓄積させ、該動物個体中から該ポリペプチドを回収することにより、軟骨細胞分化誘導活性を有するポリペプチドを製造することができる。動物個体中の産生・蓄積場所としては、例えば、該動物の細胞膜などを挙げることができる。
宿主が植物個体の場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有するトランスジェニック植物を栽培し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを該植物個体中に産生・蓄積させ、植物個体中から該ポリペプチドを回収することにより、軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを製造することができる。
宿主が大腸菌などの原核生物または酵母などの真核生物である場合、例えば、C0126をコードするポリヌクレオチドを保有する形質転換体を培地中で培養し、該組換え体DNAのコードする軟骨細胞分化誘導抑制活性を有するポリペプチドを培養液に産生・蓄積させ、該培養液から該ポリペプチドを回収することにより、C0126を製造することができる。
前述の形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
形質転換体が大腸菌などの原核生物あるいは酵母などの真核生物である場合、得られた形質転換体を培養する培地としては、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。宿主が大腸菌である形質転換体を培養する際の培地としては、例えば、バクトトリプトン、イーストエクストラクトおよび塩化ナトリウムを含むYT培地が好ましい。
炭素源としては、それぞれの宿主が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物などの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの各種無機酸や有機酸のアンモニウム塩、その他含窒素物質、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物などを用いることができる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
培養方法は、振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件で行う。培養温度、培養時間および培養液のpHは、各種宿主に適した範囲に設定し、通常15〜40℃、5時間〜7日間、pH3.0〜9.0で培養を行う。pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行うことができる。また、必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主を培養する場合、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した宿主を培養する場合、インドールアクリル酸などを培地に添加してもよい。
形質転換体が植物細胞や組織である場合、ジャーファーメンターを用いて大量培養することができる。培養する培地としては、一般に使用されているムラシゲ・アンド・スクーグ(MS)培地、White培地、またはこれら培地にオーキシン、サイトカイニンなどの植物ホルモンを添加した培地を用いることができる。
形質転換体が動物細胞や組織である場合、培養する培地としては、一般に使用されているRPMI1640培地(The Journal of the American Medical Association,199,519(1967).)、MEM培地(Science,130,432(1959).)、D−MEM培地(Virology,8,396(1959).)、199培地(Proceedings of the Society for the Biological Medicine,73,1(1950).)またはこれら培地に牛胎児血清(FCS)などを添加した培地などが用いられる。
培養は、通常pH6〜8、25〜40℃、5% CO2存在下などの条件で1〜7日間行う。また培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシンなどの抗生物質を培地に添加してもよい。
形質転換体が昆虫細胞である場合、培養する培地としては、一般に使用されているTNM−FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf−900II SFM培地(インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405(JRHバイオサイエンシーズ社製〕、Grace’s InsectMedium(Nature,195,788(1962).)などを用いることができる。
(vii)製造方法
C0126は、形質転換体を培養し、培養液からC0126を単離・精製することにより製造することができる。C0126の単離・精製方法は、当該分野において周知慣用の常法により行うことができ、例えば、酵素の単離・精製方法やSandlerらの糖転移酵素の精製方法(Methods in Enzymology,83,458)を用いることができる。
C0126が溶解性ポリペプチドとして産生・蓄積される場合、上記のように形質転換体を培養した培養液を、例えば、遠心分離などの方法で細胞または菌体と培地に分離する。C0126が宿主細胞内に存在する場合、採取した細胞または菌体をSTE溶液などの適当な緩衝液で洗浄した後、超音波、フレンチプレス、マントンガウリンホモジナイザー、ダイノミルなどで細胞または菌体を破砕し、遠心分離やろ過により無細胞溶液として得ることができる。
C0126の分離・精製に用いる緩衝液には界面活性剤が適量含まれていてもよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)やN−ラウロイルサルコシンナトリウム(サルコシル)などを含んでいてもよい。
得られた粗精製物に含まれる目的タンパク質の分離・精製方法は自体公知の各種分離・精製方法を組合わせて行うことができる。これらの公知の方法としては、例えば、溶媒抽出法、硫酸アンモウニウムなどによる塩析法、透析法、有機溶媒による沈殿法、限外濾過法、ゲル濾過、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロースクロマトグラフィー、DIAION HPA−75(三菱化学社製)などのリジンを用いた陰イオンクロマトグラフィーやイオン交換クロマトグラフィー、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)などのリジンを用いた陽イオンクロマトグラフィー、ブチルセファロースなどの疎水性クロマトグラフィーやアフィニティークロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィー法、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法や等電点電気泳動法などの各種電気泳動などが例示される。アフィニティークロマトグラフィーは、C0126に対する抗体を用いることによっても行うことができる。
C0126が不溶性ポリペプチドとして産生・蓄積される場合、上記同様に細胞または菌体を分離し、適当な方法により破砕後、該ポリペプチドを含む分画を回収する。回収した試料は、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)やN−ラウロイルサルコシンナトリウム(サルコシル)などの界面活性剤などの可溶化剤で可溶化する。該可溶化液は、可溶化剤を含まないか殆ど含まれない濃度にまで希釈または透析し、該ポリペプチドを正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の分離・精製方法により精製標品を得ることができる。
また、C0126を他のタンパク質との融合タンパク質として生産し、融合したタンパク質に親和性をもつ物質を用いたアフィニティークロマトグラフィーを利用して精製することもできる(山川彰夫,実験医学,13,469−474(1995).)。融合タンパク質に使用する付加タンパク質としてはプロテインA、FLAGなどが例示される(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,86,8227(1989).、GenesDevelopment,4,1288(1990).、特開平5−336963、特開平6−823021)。プロテインAを使用する場合、C0126とプロテインAの融合タンパク質を生産し、イムノグロブリンGを用いてアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより精製することができる。FLAGペプチドを使用する場合、C0126とFLAGの融合タンパク質を生産し、抗FLAG抗体を用いてアフィニティークロマトグラフィーを行うことにより精製することができる。
C0126は、公知の方法に準じて、in vitro転写・翻訳系を用いてを生産することができる(Journal of Biomolecular NMR,6,129−134(1995).、Science,242,1162−1164(1988).、The Journal of Biochemistry,110,166−168(1991).)。
C0126は、そのアミノ酸配列を基に、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法や市販されているペプチド合成機器、例えば、APEX396(アドバンストケムテック社製)、433A(アプライドバイオシステムズ社製)、PS3(プロテインテクノロジーズ社製)、9050(パーセプティブ社製)、PSSM−8(島津製作所製)などのペプチド合成機器をにより化学合成することができる。
C0126の構造解析は、タンパク質化学で通常用いられる方法、例えば、遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析(平野久著、東京化学同人発行、1993年)に記載の方法により実施可能である。C0126の軟骨細胞分化誘導活性は、公知の測定法(Cell,75,1389(1993).、Journal of Cell Biology.146,233(1999).、Cancer Research,58,1238(1998).、Neuron,17,1157(1996).、Science,289,1197(2000).)に準じて測定することができる。
(3)C0126を認識する抗体の作製
(i)ポリクローナル抗体の作製
C0126の全長、その部分ペプチドもしくはその部分ペプチド含むポリペプチドを抗原として哺乳動物に投与することで抗体を作製することができる。抗原は、それ自体でもよいが、担体、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)、スカシガイのヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin;KLH)や牛チログロブリン(BTG)などに結合したものを用いてもよい。また、抗原による免疫反応を高めるために、例えば、フロイントの完全アジュバント(CFA)および不完全アジュバント(IFA)を投与してもよい。免疫に用いられる哺乳動物としてはマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ハムスターなどを用いることができる。
ポリクローナル抗体は、例えば、レーンらの方法(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harber Laboratory Press))などに従って作製することができる。
哺乳動物に抗原を1回目の投与後、1〜2週間毎に3〜10回投与することで免疫された哺乳動物を得て、それらの哺乳動物から血清を採取し、精製することで作製できる。
該抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに3〜10回行う。該抗原の投与量は1回当たり動物1匹に対し、50〜100μgが好ましい。ペプチドを用いる場合は、適当な担体に共有結合させたものを抗原とするのが望ましい。抗原とするペプチドは、遺伝子工学的手法やペプチド合成機で合成することができる。各投与後、3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応することを酵素免疫測定法(酵素免疫測定法(ELISA法):医学書院刊(1976年)、Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)などに記載の方法で確認することができる。
免疫された哺乳動物から採血し、抗体価を測定する。十分な抗体価が得られるまでに免疫された時点で採血し、血清を調製することによりポリクローナル抗体を得ることができる。ポリクローナル抗体の分離、精製方法としては、遠心分離、硫酸アンモニウムによる塩析、カプリル酸沈殿(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)またはDEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カラム、プロテインAカラム、G−カラムあるいはゲル濾過カラムなどの各種クロマトグラフィーを単独または組み合わせることで行うことができる。
(ii)モノクローナル抗体の作製
(a)抗体産性細胞の調製
モノクローナル抗体は、(i)で十分な抗体価が得られたのち、それらの哺乳動物から脾臓またはリンパ節を採取し、それらから得られた抗体産生細胞を骨髄腫(ミエローマ)細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを得ることができる。骨髄種細胞としては、マウスまたはラットから樹立した細胞株を用いる。細胞融合の方法は既知の方法で行うことができ、例えば、ケーラーとミルスタインの方法(Nature,256,495−497(1975).)に従って作製することができる。
C0126、その部分ペプチドもしくはその部分ペプチドを含むポリペプチドを投与して、十分な抗体価を示したラットに抗原物質を最終投与した後3〜7日目に、抗体産生細胞として脾臓を摘出する。該脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、1,200rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。得られた沈殿画分の脾細胞をTris−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65)で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEM培地で3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
(b)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから由来の株化細胞を使用し、そのような細胞として、例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞P3−X63Ag8−U1株(以下、P3−U1と略す)(Current Topics Microbiologycal Immunology,81,1(1978).、Europian Journal of Immunology,6,511(1976).)、SP2/0−Ag14株(以下、SP−2と略す)(Nature,276、269(1978).)、P3−X63−Ag8653株(以下、653と略す)(Journal of Immunology,123,1548(1979).)、P3−X63−Ag8(以下、X63と略す)(Nature,256,495(1975).)などが用いることができる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地(15μg/ml8−アザグアニンを含む正常培地(1.5mM グルタミン、5×10−5M 2−メルカプトエタノール、10μg/ml ジェンタマイシンおよび10% FCS(CSL社製)を含むRPMI1640培地))で継代し、細胞融合を行う3〜4日前に正常培地で培養する。細胞融合には、そのようにして調製した細胞を2×107個以上用いる。
(c)ハイブリドーマの作製
(a)で調製した抗体産生細胞と(b)で調製した骨髄腫細胞をMEM培地またはPBS(1リットル当たり;1.83gリン酸二ナトリウム、0.21gリン酸一カリウム、7.65gNaCl、pH7.2)で洗浄し、骨髄腫細胞の細胞数に対し抗体産生細胞5〜10倍になるよう混合し、1,200rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、該細胞群に対し抗体産生細胞108当たり、ポリエチレングリコール溶液(2gポリエチレングリコール−1000(PEG−1000)、2ml MEM培地、0.7ml ジメチルスルホキシド(DMSO))を0.2〜1mlを37℃で攪拌しながら添加し、更に1〜2分間毎にMEM培地1〜2mlを数回添加する。MEM培地で全量を50mlになるように調製し、900rpmで5分間遠心分離した後、沈殿分画を得る。沈殿分画にHAT培地(正常培地、10−4M ヒポキサンチン、1.5×10−5M チミジンおよび4×10−7M アミノプテリンを含む)100mlを添加し、ゆるやかにほぐし懸濁する。
該懸濁液を96穴培養用プレートの各穴に100μl穴ずつ分注し、37℃、5% CO2存在下で7〜14日間培養する。酵素免疫測定法(Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press))などに記載の方法で、培養上清に産生された抗体のうち、C0126に特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択する。
(4)本発明のマーカーの分子生物学的検出方法
本発明のマーカーのポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチドより調製したオリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハイブリダイゼーション法、ドットブロット法またはPCR法により、該マーカーをコードする遺伝子の発現量をmRNAレベルで測定することができる。具体的には、(a)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどに対して、薬剤、例えば、抗癌剤などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器、例えば、脳、胃、腎臓など、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた細胞に含まれる本発明のマーカーのmRNAは、例えば、通常の方法により細胞などからmRNAを抽出し、例えばPCRなどの手法を用いることにより定量することができ、自体公知の手段によりノザンブロットを行うことにより解析することもできる。
また、(b)本発明のマーカーを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれる該マーカーのmRNAを同様にして定量、解析することができる。
このような分子生物学的検出方法は胃癌などの癌、あるいは変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの骨疾患を検出するための方法において使用されうる。
(5)本発明マーカーの免疫学的検出方法
本発明マーカーに対する抗体を用いる該マーカーの免疫学的検出方法としては、マイクロタイタープレートを用いるELISA法、蛍光抗体法、ウェスタンブロット法、免疫組織染色法などをあげることができる。また、液相中で該マーカーに反応するエピトープの異なる2種類の単一特異的な抗体を用いたサンドイッチELISA法、125Iなどの放射性同位体で標識した該マーカーポリペプチドと該マーカーを認識する抗体を用いるラジオイムノアッセイなどによる定量方法が挙げられる。また、Antibodies:A Laboratory Manual,Second Edition(1989).(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載の種々の免疫学的検出方法が採用される。
このような免疫学的検出方法は胃癌などの癌、あるいは変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの骨疾患を検出するための方法において使用されうる。
このような方法は、抗体を使用して、適切な生物学的試料中の本発明のマーカーの存在の有無あるいはその量を検出することを包含する。本明細書において使用される適切な生物学的試料は、患者由来の癌または正常組織、切除組織、血液、リンパ液、尿、組織または細胞からの抽出物などを包含する。
(6)診断用キット
本発明のマーカーは、C0126が癌、癌転移および骨疾患のマーカーとなり得るため、少なくともC0126のポリヌクレオチドまたはその一部および標準試薬としてC0126のポリヌクレオチド、あるいはC0126を認識する抗体および標準試薬としてC0126のポリペプチドまたはその一部が含まれており、(4)に記載の分子生物学的検出方法、あるいは(5)に記載の免疫学的検出方法に基づき、本発明のマーカーを検出するキットである。
このような診断用キットは、癌、癌転移または骨疾患の診断キットとして有用であり、癌としては特に胃癌、骨疾患としては特に変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症の検出に利用することができる。
幹細胞を軟骨分化誘導因子で処理すると本発明のマーカーの発現が増加しており、幹細胞を宿主とするC0126発現細胞に骨分化誘導因子BMP−2やBMP−4を処理すると軟骨細胞への分化誘導がされること、幹細胞にBMP−2やBMP−4と同時にC0126の細胞外領域を処理すると軟骨細胞への分化が抑制されることから、該マーカーの発現を調べることにより軟骨細胞が関連する疾患の診断や予後の予測に利用できる。また、骨関連疾患と該マーカーの発現との関連を調べることにより他の骨疾患の診断にも利用できる。
また、本発明のマーカーが、胃癌患者の癌細胞においてその発現が増加していることから、本遺伝子の多型を調べることにより、胃癌などの診断や予後の予測に利用できる。
また、本遺伝子の多型と、本遺伝子が発現している臓器(脳、食道、胃、肺、十二指腸、尿管、小腸癌、結腸、直腸、胆嚢甲状腺、副腎、膀胱、前立腺)における疾患との関連を調べることにより、他の疾患の診断にも利用できる。本遺伝子の多型解析は、本遺伝子の遺伝子配列情報を用いて行うことができる。具体的には、サザンブロット法、ダイレクトシークエンス法、PCR法、DNAチップ法などを用いて遺伝子多型を解析することができる(臨床検査,42,1507−1517(1998).、臨床検査,42,1565−1570(1998).)。
(7)軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング方法
ヒト間葉系幹細胞に軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1を処理した場合、C0126mRNAの発現誘導が認められること、マウス間葉系細胞C3H/10T1/2細胞でC0126を発現させ、骨分化誘導活性を有するBMP−2あるいはBMP−4を処理した場合、軟骨細胞への分化が促進されることからC0126が軟骨細胞分化誘導に関連していることが示唆される。従って、C0126ポリペプチドおよびその一部、あるいはそのポリヌクレオチドまたはその一部は軟骨細胞分化誘導活性を調節する物質をスクリーニングするのに有用である。軟骨細胞分化誘導活性調節物質としては、(i)C0126に結合する結合物質、(ii)該結合物質と該マーカーとの結合活性を調節する結合活性調節物質、(iii)C0126の遺伝子の転写またはmRNAの翻訳など発現を調節する発現調節物質などが例示される。軟骨細胞分化誘導活性調節物質をスクリーニングするには、該ポリペプチドを介する細胞刺激活性、例えば、幹細胞から軟骨細胞に分化する際に産生される各種コラーゲンやプロテオグリカン、例えば、アグリカン、コンドロイチン硫酸などの軟骨基質の生成量などを公知の方法または市販のキットを用いて測定することができる。
(i)結合物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドおよびその一部は、該ポリペプチドの結合物質、例えば、アゴニストなどのリガンドを探索またはスクリーニングするための試薬として有用である。すなわち、C0126のポリペプチドまたはその一部と被験物質とを接触させることを特徴とするC0126のポリペプチドに対する結合物質のスクリーニング方法を提供する。被験物質としては、例えば、セマフォリン、HGFなどの内分泌タンパク質に属するタンパク質、ヒトまたは哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなどの組織抽出物、細胞培養上清などが用いられる。これらの被験物質をC0126に添加し、結合活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。具体的には、結合物質スクリーニング方法は、C0126のポリペプチドまたはその一部を用いるか、組換えポリペプチド発現系を構築し、該発現系を用いた結合アッセイ系を用いるか、またはC0126に結合して細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやプロテオグリカン、例えば、アグリカン、コンドロイチン硫酸などの軟骨基質の生成量を測定することによりスクリーニングすることができる。
結合物質のスクリーニング方法に用いるポリペプチドとしては、C0126のポリペプチドまたはその一部を含有するものであれば何れのものであってもよいが、好ましくは、動物細胞を用いて大量発現させたポリペプチドが適している。そのようなポリペプチドの製造方法は、前述の発現方法が用いられるが、該ポリペプチドをコードするDNAを哺乳動物細胞や昆虫細胞で発現させたポリペプチドを用いるのが好ましい。目的とするタンパク質をコードするDNA断片には、通常、相補的なDNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。発現したポリペプチドの量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。例えば、The Journal of Biological Chemistry,267,19555〜19559(1992).に記載の方法に従って行うことができる。したがって、結合物質スクリーニング方法において、C0126ポリペプチドもしくはその部分ペプチドを含有するものとしては、それ自体公知の方法に従って精製したポリペプチドもしくはその部分ペプチドであってもよいし、該ポリペプチドを含有する細胞またはその細胞上清を用いてもよい。結合物質のスクリーニング方法において、C0126ポリペプチドを含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行なうことができる。C0126ポリペプチドを含有する細胞としては、C0126ポリペプチドを発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。細胞上清画分としては、細胞の培養上清に含まれる画分のことをいう。
C0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質をスクリーニングするためには、適当なポリペプチド画分と、標識した被験物質が必要である。ポリペプチド画分としては、天然型のポリペプチド画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型ポリペプチド画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。標識した試験物質としては、3H、125I、14C、35Sなどで標識した、例えば、セマフォリン、HGFに属するタンパク質を挙げることができる。
具体的には、C0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質のスクリーニング方法を行なうには、まずC0126ポリペプチドを含有する細胞培上清を、スクリーニング方法に適したバッファーに懸濁することによりポリペプチド標品を調製する。バッファーには、pH4.0〜10.0、好ましくは、pH6.0〜8.0のリン酸バッファー、Tris−HCl緩衝液などのリガンドとポリペプチドとの結合を阻害しない緩衝液であればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80(花王−アトラス社)、Triton X−100ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤やウシ血清アルブミンやゼラチンなどの各種タンパク質をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターや結合物質の分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該ポリペプチド溶液に、一定量、好ましくは、5000cpm〜500000cpmの3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の被検物質を加えた反応チューブも用意する。。反応は0℃から50℃、好ましくは4℃から37℃で、20分から24時間、好ましくは30分から3時間で行なう。反応後、ガラス繊維濾紙などで濾過し、適量の同緩衝液で洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターあるいはγ−カウンターで計測する。全結合量(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)が0cpmを越える試験物質をC0126ポリペプチドまたはその塩に対する結合物質として選択することができる。
C0126のポリペプチドに対する結合物質をスクリーニングするためには、C0126ポリペプチドを介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやアグリカン、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質の生産量などを公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、ポリペプチドを含有する細胞をマルチウェルプレートなどに培養する。結合物質のスクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当な緩衝液に交換し、試験物質などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質、例えば、コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。
(ii)結合活性調節物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドまたはその一部は、C0126ポリペプチドに対する結合活性調節物質を探索またはスクリーニングするための試薬として有用である。C0126ポリペプチドと結合物質との結合活性調節物質、すなわち、結合性を変化させる物質のスクリーニング方法としては、C0126ポリペプチドまたは該ポリペプチドを発現する組換え体発現系を構築し、バイオアッセイ系または結合アッセイ系を用いることによって、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合性を変化させる物質、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性物質、合成物質、発酵生産物などを効率よくスクリーニングすることができる。このような物質には、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合を介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲンやアグリカン、コンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの軟骨基質の生成を増強あるいは減少させる物質、結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を増強する物質あるいは減少させる物質が挙げられる。
すなわち、(a)C0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩と結合物質を接触させた場合および(b)C0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩と結合物質および被検物質とを接触させた場合の結合物質の結合量を比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチド、その一部またはそれらの塩との結合活性調節物質のスクリーニング方法を提供する。
結合活性調節物質のスクリーニング方法は、(a)および(b)の場合において、該ポリペプチドと結合物質との結合量を、例えば、細胞刺激活性などを測定することにより比較することを特徴とする。
本発明の結合活性調節物質のスクリーニング方法として、具体的には、(a)標識した結合物質をC0126ポリペプチドなどに接触させた場合、および、標識結合物質および被検物質を接触させた場合における、該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質をスクリーニング方法、(b)C0126ポリペプチドなどを含有する細胞または細胞培養液と標識結合物質を接触させた場合および標識結合物質および被検物質を接触せた場合における、該細胞または細胞培養液における該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング方法、(c)C0126ポリヌクレオチドを含有する形質転換体を培養することによって細胞培養液に分泌したポリペプチドなどと標識結合物質を接触させた場合および標識結合物質および被検物質を接触させた場合における、該ポリペプチドなどに対する標識結合物質の結合量を測定し、比較することを特徴とする結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング方法などが挙げられる。
(iii)発現調節物質のスクリーニング方法
C0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドの発現調節物質のスクリーニング方法は、C0126ポリヌクレオチドまたはその一部、あるいはC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体を用いることにより、C0126ポリペプチドまたはその一部の発現調節物質のスクリーニングに用いることができる。
例えば、(a)非ヒト哺乳動物の血液、特定の臓器、臓器から単離した組織もしくは細胞、または(b)形質転換体などに含まれるC0126ポリペプチドまたはその一部のmRNA量あるいはタンパク質量を測定することにより、C0126ポリペプチドまたはその一部の発現調節物質のスクリーニングを行うことができる。
(8)軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング用キット
軟骨細胞分化誘導活性調節物質のスクリーニング用キットとしては、(i)C0126ポリペプチドまたはその塩などと結合する物質またはその塩のスクリーニング用キット、(ii)結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる物質またはその塩のスクリーニング用キット、(iii)C0126ポリペプチドの発現調節物質またはその塩のスクリーニング用キットなどが例示される。
(i)結合物質のスクリーニング用キット
C0126またはその塩に結合する結合物質スクリーニング用キットは、C0126ポリペプチドもしくはその塩、C0126のポリペプチドの一部もしくはその塩、C0126ポリペプチドを含有する細胞、またはC0126ポリペプチドを含有する細胞上清画分などを含有するものである。結合物質スクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(A)結合物質スクリーニング用試薬
(a)スクリーニング溶液および洗浄溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で添加し、37℃で1日間培養したもの。
(c)標識被検物質
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質した溶液を4℃あるいは−20℃にて保存し、測定用緩衝液にて1μMに希釈するして用時調製する。水に難溶性を示す被検物質については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノールなどに溶解する。
(d)非標識被検物質
標識物質と同じものを100〜1000倍濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(b)標識被検物質を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を測定ためには非標識被検物質を5μl加える。
(c)反応液を除去し、1mlの洗浄溶液で3回洗浄する。細胞に結合した標識被検物質を0.2M NaOH(1% SDSを含む)で溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(d)液体シンチレーションカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて放射活性を測定する。
(ii)結合活性調節物質のスクリーニング用キット
結合物質とC0126ポリペプチドなどとの結合性を変化させる結合活性調節物質のスクリーニング用キットは、C0126ポリペプチド、C0126ポリペプチドを含有する細胞またはC0126ポリペプチドを含有する細胞培養液を含有するものなどである。そのようなスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(A)結合活性調節物質のスクリーニング用試薬
(a)スクリーニング用溶液および洗浄用溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌したものを、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチド
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で添加し、37℃、で1日間培養したもの。
(c)標識被検物質
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識した被検物質した溶液を4℃あるいは−20℃にて保存し、測定用緩衝液にて1μMに希釈するして用時調製する。水に難溶性を示す被検物質については、ジメチルホルムアミド、DMSO、メタノールなどに溶解する。
(d)非標識被検物質
標識物質と同じものを100〜1000倍濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、スクリーニング用溶液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(b)標識被検物質を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を測定ためには非標識被検物質を5μl加える。
(c)反応液を除去し、1mlの洗浄溶液で3回洗浄する。細胞に結合した標識被検物質を0.2M NaOH(1% SDSを含む)で溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬社製)と混合する。
(d)液体シンチレーションカウンター(ベックマンコールター社製)を用いて放射活性を測定する。
(iii)発現調節物質のスクリーニング用キット
C0126ポリペプチドの発現調節物質またはその塩のスクリーニング用キットは、C0126ポリペプチドを発現する細胞、C0126ポリペプチドを発現する細胞を含有する細胞培養液を含有するものなどである。そのようなスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
(a)免疫学的定量方法に基づくスクリーニング用キット
C0126またはその一部に対する抗体を用いて免疫学的手法によってC0126ポリペプチドの発現量を定量することができる。C0126ポリペプチドの定量方法としては、液相中でC0126ポリペプチドと反応する抗体のうちエピトープが異なる2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法、126Iなどの放射性同位体で標識したC0126ポリペプチドとそれを特異的に認識する抗体とを用いるラジオイムノアッセイ法などが例示される。従って、抗体を用いた診断の場合には、C0126またはその一部に対する抗体の他に、標準抗原としてC0126ポリペプチドが含まれる。更にキット中には標準曲線が含まれていてもよい。
(A)スクリーニング試薬
(a)スクリーニング用溶液および洗浄用溶液
Hank平衡塩溶液(インビトロジェン社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマアルドリッチ社製)を加えたものを孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌したものを、4℃で保存したものまたは用時調製したもの。
(b)C0126ポリペプチドを発現する細胞
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で分注し、37℃で1日培養したもの。
(c)被験物質
被験物質の水溶液状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時スクリーニング用溶液にて希釈する。水に難溶性の被験物質はジメチルホルムアミド、DMSまたはメタノールなどに溶解する。
(d)標識抗体
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識したC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体。
(e)標準物質
C0126ポリペプチドを各種濃度で調製したもの。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞を、スクリーニング用溶液1mlで2回洗浄した後、490μlの同溶液を各穴に加える。
(b)10−3〜10−10Mの被検物質溶液を5μl加えた後、室温にて1時間反応させる。
(c)標識抗体溶液を加えた後、37℃で2時間振盪反応させる。
(d)遠心分離した後、γ−カウンター(ベックマン社製)を用いて残渣の放射活性を測定し、PMBを求める。
(b)分子生物学的定量方法に基づくスクリーニング用キット
C0126ポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチドから調製したオリゴヌクレオチドを用い、ノーザンハイブリダイゼーション法またはPCR法などにより、C0126ポリペプチドをコードするDNAの発現量をmRNAレベルで定量することができる。具体的には、(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどに対して、薬剤、例えば、抗癌剤などなどを投与し、一定時間経過した後、血液、特定の臓器、例えば、脳、胃、腎臓など、あるいは臓器から単離した組織または細胞を得る。得られた細胞に含まれるC0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドのmRNAは、例えば、当該分野において周知の抽出方法によりmRNAを抽出し、例えば、PCRなどの手法を用いることにより定量、または周知のノーザンプロット法により解析することもできる、または(ii)C0126ポリペプチドもしくはその部分ペプチドを発現する形質転換体を前述の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれるC0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドのmRNAを同様にして定量、解析することができる。また、ポリヌクレオチドを用いた診断の場合には、キット中には標識されたC0126ポリヌクレオチドが含まれる。
(A)スクリーニング試薬
(a)C0126ポリペプチドを発現する細胞
C0126ポリペプチドを発現させたC3H/10T1/2細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で分注し、37℃で1日培養したもの。
(b)被験物質
被験物質の水溶液状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時スクリーニング用溶液にて希釈する。水に難溶性の被験物質はジメチルホルムアミド、DMSまたはメタノールなどに溶解する。
(c)標識ポリヌクレオチド
市販の3H、125I、14C、35Sなどで標識したC0126。
(B)測定法
(a)12穴組織培養用プレートにて培養したC0126ポリペプチド発現C3H/10T1/2細胞に10−3〜10−10Mの被検物質溶液を5μl加えた後、37℃で1日培養を行う。
(b)TRIzol試薬(インビトロジェン社製)で全RNAを抽出する。
(c)全RNA10μgを電気泳動後、ナイロン膜に転写する。
(d)転写後のナイロン膜を標識ポリヌクレオチド溶液を浸した後、65℃で16時間ハイブリダイゼーション反応させる。
(d)ハイブリダイゼーション後のナイロン膜をX線フィルムに感光させ、検出されたバンドを定量する。
(9)医薬組成物
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる物質またはその塩とは、結合物質、結合活性調節物質、発現調節物質、C0126ポリペプチドまたはその一部、C0126ポリヌクレオチドまたはその一部およびC0126ポリペプチドまたはその一部に対する抗体であり、具体的には、(a)結合物質とC0126ポリペプチドとの結合を介する細胞刺激活性、例えば、各種コラーゲン、アグリカンやコンドロイチン硫酸などのプロテオグリカンなどの生成量を増強あるいは減少させる物質、(b)結合物質とC0126ポリペプチドとの結合活性を増強あるいは減少させる物質、あるいは(c)C0126ポリペプチドの発現量を増強あるいは減少させる物質である。該物質としては、低分子化合物、ペプチド、タンパク、非ペプチド性物質、合成物質、発酵生産物などが挙げられ、これら物質は新規な物質であってもよいし、公知の物質であってもよいく、天然物質または非天然物質の何れでもよい。C0126ポリペプチドなどに対するアゴニストは、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性と同様の作用を有しているので、該結合物質活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。C0126ポリペプチドなどに対するアンタゴニストは、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を抑制することができるので、該結合物質活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を増強する物質は、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。結合物質とC0126ポリペプチドとの結合力を減少させる物質は、C0126ポリペプチドなどに対する結合物質が有する生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。
また、C0126を発現する遺伝子治療用発現ベクターも含まれる。C0126が癌、癌転移、骨疾患のマーカーとなり得ることから、該疾患に関連していることが示唆され、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、骨粗鬆症などの疾患に対する遺伝子治療に有用である。遺伝子治療用発現ベクターはC0126のポリヌクレオチドの一部または全部を組込んだ発現ベクターで、細胞や組織に導入することにより先天的、後天的を問わず、何れの疾患に対してその原因となる異常を遺伝子レベルで正常化することであり、正常な遺伝子を細胞に補ったり、遺伝子の欠陥を修復・修正することができるベクターである。
(10)予防または治療剤
C0126またはその一部に対する抗体、結合物質、結合調節物質、発現調節物質または遺伝子治療用ベクターを含有する医薬組成物は、治療薬として該物質単独で投与することも可能ではあるが、通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
医薬組成物の投与形態としては、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、軟膏、テープ剤、リポソーム製剤などが挙げられる。
経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などがあげられる。例えば、乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトールなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤などが挙げられる。例えば、注射剤は、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担体などを用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸などの担体を用いて調製される。また、噴霧剤は該物質そのもの、ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該物質を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体などを用いて調製する。担体として具体的には、乳糖、グリセリンなどが例示される。該物質および用いる担体の性質により、エアロゾル、ドライパウダーなどの製剤が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
遺伝子治療用発現ベクターとしてウイルスベクター型と非ウイルスベクター型に分類され、ウイルスベクター型は遺伝子発現効率がよく、非ウイルスベクター型は低毒性、低免疫原性などの利点を有しており大量調製も優れている。また、両者の利点を組合わせたものもあり、ウイルス/正電荷ポリマー/DNA複合体、HVJリポソームなどが例示される。遺伝子治療用の製剤としては、してウイルスベクター型と非ウイルスベクター型により異なる。
ウイルスベクター型製剤は、ウイルスベクターとして複製能を欠いたウイルスを用い、ウイルスのポリヌクレオチド配列の一部または全部を治療用遺伝子と置き換えたものが遺伝子治療用ベクターとして調製される。そのようなウイルスとして、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)が例示される。ウイルスベクターは遺伝子導入効率よく広範に使用されている。
非ウイルスベクター型製剤は、DNA単独に正電荷リポソームなどの担体を用いて調製する正電荷DDS剤が例示される。正電荷リポソームとしては、4級アンモニウム界面活性剤、コレステロール、ジアシルグリセロールなどの正電荷誘導体、ポリアミンの脂質誘導体などの種々の正電荷脂肪、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリリジン、ポリエチレンイミン(PEI)などの正電荷ポリマーが例示される。
また、C0126ポリペプチドの発現量を変化させる物質を含有する各種疾病の予防および/または治療剤はC0126ポリペプチドは前述のとおり、例えば、軟骨分化など生体内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられることから、C0126ポリペプチドまたはその部分ペプチドの発現量を変化させる発現調節物質は、C0126ポリペプチドの機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。該物質をC0126ポリペプチドの機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。例えば、該物質は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該物質を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖や補助薬を含むD−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなどの等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、エタノール、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどのアルコール類、ポリソルベート80やHCO−50など非イオン性界面活性剤などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝液、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなどの安定剤、ベンジルアルコール、フェノールなどの保存剤、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
(11)予防または治療方法
前述の医薬組成物が癌、癌転移、骨疾患の予防または治療剤となり得ることから、該医薬組成物を適宜・適切な方法で投与することにより、癌、癌転移、骨疾患、特に、胃癌、変形性関節症、リュウマチ性関節炎、あるいは骨粗鬆症などの疾患を予防または治療する方法が提供される。そのような方法としては、前述の医薬組成物を、予防・治療に際して最も効果的な投与方法を使用するのが望ましく、経口投与、または口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内などの非経口投与を挙げることができる。
前述で調製された予防または治療剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトやラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなどの哺乳動物に対して投与することができる。予防または治療剤の1回の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、例えば体重60kgの高血圧症患者においては、一般に一日につき約0.1〜100mg、好ましくは杓1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgであり、非経口的に投与、例えば、注射剤の場合は、例えば体重60kgの高血圧症患者においては、一般に一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与する。他の動物の場合も、体重kg当たりに換算した量を投与することができる。投与量または投与回数は目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重などにより異なるが、通常成人1日当たり10μg〜8mg/kgである。
実施例
以下に実施例を示す。特に断らない限り、遺伝子操作的手法として、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edtion(1989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている方法を用いた。
実施例1
C0126をコードするcDNAのクローニング
ヒト間葉系幹細胞(BioWhittaker社)5×107個から、TRLzol試薬(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従って全RNAを抽出し、500μgの全RNAを得た。得られた全RNAを、QuickPrep Micro mRNA Purification Kit(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルにしたがってpoly(A)+RNA画分を調製した。
ポリ(A)÷RNAからSuperScript Choice System(インビトロジェン社製)を用いてクローニング用cDNA断片を調製した。得られたポリ(A)+RNA3μgをOligo(dT)12−18primerおよびSuperScript II RTを用いてファーストストランドcDNAを合成し、E.coli DNA polymerase IおよびRNaseHを用いてセカンドストランドcDNAを合成した。得られたcDNAをT4DNA Polymeraseで処理し、平滑末端をもつcDNAを生成した後、EcoRI(NotI)AdapterをT4 DNA ligaseを用いて5’および3’両末端に付加した。アダプターを付加したcDNAはT4 polynucleotide kinaseを用いて5’末端をりん酸化した後、cDNA size fraction columnsで約500bp以上のcDNA断片を回収した。ベクターplasmid pSport 1(インビトロジェン社製)を制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で処理し、T4 polynucleotide kinaseを用いて5’末端をりん酸化した後、T4 DNA Ligaseを用いて得られたcDNA断片をに組み込んだ。得られた組換えプラスミドDNAをエタノール沈殿後、TE緩衝液(10mM Tris−HCl,pH8.0、1mM EDTA)20μlに溶解し、エレクトロポーレーション法(Nucleic Acid Research,16,6127(1988).)によりElectroMAX DH10B(インビトロジェン社製)に導入し形質転換体を作製した。
形質転換体をS.O.C.培地(インビトロジェン社製)1ml中、37℃で1時間培養し、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養した。
その結果、cDNAライブラリーとして約100万個(挿入率95%)のアンピシリン耐性を示す形質転換体を取得した。
得られた形質転換体を別のLB寒天培地に塗布し、37℃で一晩培養し、コロニー約1000個からQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってプラスミドを調製した。cDNAライブラリーからクローニングしたcDNAはDYEnamic ETDye Terminator Kit(MegaBACE)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルに従って、MegaBACE 500 DNA Analysis System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)によりcDNA断片の全塩基配列を決定した。TEM7とのアミノ酸配列比較のための至適アラインメントは、遺伝子情報処理ソフトウェアであるGENETYX(ソフトウェア社製)を用いて、Lipman−Pearson法(Science,227,1435−1441(1985).)により実施した。
その結果、既知のTEMアミノ酸配列とホモロジーを有するが完全には一致しないアミノ酸配列をコードする塩基配列(配列番号1)を有するクローンを得た。
該cDNA断片を含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってcDNA断片を得た。該cDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識した。32P標識したcDNA断片をプローブとして用いコロニーハイブリダイゼーション解析を行った。
ヒト脳cDNAライブラリーHuman Brain(クロンテック社製)を50枚のLBプレートにプレート当たり約1×104コロニーとなるように塗布し、37℃で一晩培養してコロニーを形成させた。そのようにして得られたコロニーをDNAブロッティング用ナイロン膜Hybond−N(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に転写した後、溶解溶液(10% SDS)、変性溶液(0.5N NaOH、1.5M NaCl)、中和溶液(0.5M Tris−HCl、pH7.0(1.5M NaClを含む))および2×SSCで順次処理し、風乾した。転写したDNAは該ナイロン膜に紫外線照射することにより膜上に固定した。
上記で調製した標識プローブをExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)に添加し、該溶液にDNAを固定したナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を2×SSC(20×SSC:3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム、pH7.0)で室温にて5分、1×SSCで50℃にて30分、0.5×SSCで室温にて5分洗浄後、風乾した。次いで、このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000Gで画像解析を行た。シグナルが検出されたコロニーについて単一クローンが得られるまでコロニーハイブリダイゼーションを繰り返し行った。得られた単一クローンコロニーからQIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いてプラスミドDNAを調製し、DYEnamic ET Dye Terminator Kit(MegaBACE)(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い、添付のマニュアルに従って、MegaBACE 500 DNA Analysis System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)により全塩基配列を決定した。
その結果、529個のアミノ酸よりなるポリペプチド(配列番号2)C0126をコードするcDNA断片を含むcDNA(配列番号1)を得た。C0126はアミノ末端の−22位のMetから−1位のThrまでの領域が、予想されるシグナルペプチド領域(Signal Peptide:SP)領域で、432位のGlyから455位のMetには、疎水性のアミノ酸からなる膜貫通領域(Transmenbrane domain:TM)が存在した。また、306位のCysから333位のCysには、HGF受容体であるMetおよびseamaphorin受容体であるplexinで保存されているMet−related sequence(MRS)が存在していた(第1図)。ヒトのTEM7との相同性は49%であった。
実施例2
ヒト正常組織におけるC0126mRNAの発現
実施例1で得られたcDNAライブラリーのうちC0126をコードするcDNA(配列番号1)を含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、QIAquick Gel Extraction Kit(キアゲン社製)を用い添付のマニュアルにしたがってC0783を含むcDNA断片を得た。得られたcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識した。このようにして調製した32P標識cDNA断片をプローブとして用いノーザンブロット解析を行った。
上記で調製した標識プローブをExpressHyb Hybridization Solution(クロンテック社製)に添加し、該溶液にMultiple Tissue Northern(MTN) Blots Human12−Lane MTN Blot(クロンテック社製)を浸漬し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を2×SSC(20×SSC:3M NaCl、0.3M クエン酸ナトリウム、pH7.0)で室温にて5分間、1×SSCで50℃にて30分間、0.5×SSCで室温にて5分間洗浄後、風乾した。次いで、このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。
その結果、C0126のmRNAは、大きさは約2.7kbで、脳、心臓、骨格筋、ひ臓、肝臓、小腸、胎盤および肺等の種々の組織で発現しており、特に腎臓で強い発現が観察された。
実施例3
ヒト胃癌組織におけるC0126mRNAの発現
ヒト由来各種臓器の正常組織および腫瘍組織における当該遺伝子の発現量を調べた。
68人のヒト由来の12種の癌組織およびそれに対応する正常組織から抽出した全RNAを固定したナイロン膜Matched Tumor/Normal Expression Array(クロンテック社製)を、ハイブリダイゼーションバッファー(0.5M りん酸バッファー、pH7.2;1%(w/V)BSA、1m mol/L EDTA、7%(w/v) SDSを含む)に浸し、65℃で1時間の予備ハイブリダイゼーションを行った。次に、実施例2と同様にして調製したC0783cDNAを含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、C0783を含むcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識することにより標識プローブを調製した。該標識プローブを添加したハイブリダイゼーションバッファーに、予備ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、該ナイロン膜を2×SSCで室温にて5分、1×SSCで50℃にて30分、0.5×SSCで50℃にて30分順次洗浄した後、風乾した。このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。ヒトユビキチンを対照区とし、該ナイロン膜をデハイブリダイズ後、Array添付のHuman Ubiquitin Control cDNA Probeを用いて上記と同様に操作し、解析を行った。対照区の解析結果を基に各組織での発現量を補正した後、正常組織に対応する癌組織での発現量比を算出し、各種癌組織における発現量を解析した。
その結果、8例の胃癌患者中6人の患者で、胃正常部と比較して胃癌組織におけるC0126遺伝子の発現の増加が観察された(第2図)。
実施例4
ヒト間葉系幹細胞におけるC0126mRNAの発現
ヒト間葉系幹細胞を、骨細胞に分化誘導した際のC0126mRNAの発現変化を解析した。ヒト間葉系幹細胞(BioWhittaker社)をHumanMesenchymal Stem Cell Basal Medium(BioWhittaker社製)を用いて培養した。該細胞培養液に試験区としてhuman IL−1β(R&D Systems社製)を最終濃度で0.5ng/mlになるよう添加したもの、human IGF−1(R&D Systems社製)を最終濃度で10ng/mlになるよう添加したもの、humanFGF−basic(FGF−2)(R&D Systems社製)を最終濃度で10ng/mlになるよう添加したものおよび対照区として無添加のものをそれぞれ調製し、37℃、5% CO2中で1日間または4日間培養を行った。各細胞培養液から細胞を回収し、TRIZOL試薬(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従い全RNAを抽出し、全RNAを得た。得られた全mRNA10μgを1% アガロースゲル(5.5% ホルマリンを含む)電気泳動で分画後、ナイロン膜Hybond−N(アマシャムファルマシアバイオテク社製)に転写した。該ナイロン膜をハイブリダイゼーションバッファー(0.5M りん酸バッファー,pH7.2;1%(w/v) BSA、1mM EDTA、7%(w/v)SDSを含む)に浸し、65℃で1時間の予備ハイブリダイゼーションを行った。次に、実施例2と同様にして調製したC0126cDNAを含むプラスミドを制限酵素EcoRI(宝酒造社製)で消化し、C0126を含むcDNA断片50ngをRediprimer II DNA Labelling System(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用い添付のマニュアルに従って、[α−32P]dCTP(6000 Ci/mmol,20mCi/ml)(NEN社製)で32Pで標識することにより標識プローブを調製した。該標識プローブを添加したハイブリダイゼーションバッファーに、予備ハイブリダイゼーション後のナイロン膜を浸し、65℃で16時間ハイブリダイゼーションを行った。その後、該ナイロン膜を2×SSCで室温にて5分間、1×SSCで50℃にて30分間、0.5×SSCで室温にて5分間順次洗浄した後、風乾した。このナイロン膜をイメージングプレート(富士写真フィルム社製)共にイメージングプレートカセット(富士写真フィルム社製)に装着し、オートラジオグラフィーを行った後、イメージアナライザーFLA3000G(富士写真フィルム社製)で画像解析を行た。各シグナル強度を測定し、対照区の解析結果に対する試験区の解析結果の比率を算出した。
その結果、C0126は軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1では発現誘導が認められたが、骨芽細胞分化誘導活性を有するIL−1βおよびFGF−2により発現誘導が認められなかった(第3図)。
実施例5
C0126の哺乳類動物細胞での発現
p3×FLAG−CMV−14(シグマアルドリッチジャパン社製)より3×FLAGペプチドをコードするDNAをPCR法により増幅し、クローニングベクターpCR2.1−TOPO(インビトロジェン社製)に挿入し、プラスミドpCR−FLAGを構築した。
次に、実施例1で得られたcDNA断片から、配列番号1で示されるC0126をコードするcDNAをpCR−FLAGのNotI部位に挿入することにより、カルボキシ末端に3×FLAGポリペプチドをコードするcDNA配列を付加したベクターを構築した。このプラスミドを制限酵素XhoIで消化し、発現ベクターpLXSN(クロンテック社製)のXhoI部位に挿入することによりC0126発現ベクターpLXNS−C0126FLAGを構築した。
pLXNS−C0126FLAGの宿主としてEcoPack2−293 Cell Line(クロンテック社製)を用いた。
10%(w/v) FCSを含むD−MEM培地(シグマアルドリッチジャパン社製)を分注した35mmのマルチディッシュに、EcoPack2−293Cell Lineを1×105細胞/ウェルになるよう添加し、5% CO2中37℃で16時間培養を行った。該細胞培養液に2μgのpLXNS−C0126FLAGおよび3μlのFugene(ロシュダイアグノスティックス社製)を添加し、5% CO2中37℃で24時間培養を行った。その後、培地を交換し、さらに5% CO2中37℃で24時間培養を行い、レトロウイルスを産生した。
該細胞培養液よりレトロウイルスう含む上清を回収し、マウス間葉系幹細胞であるマウス胎児細胞株C3H/10T1/2細胞(ATCC:CCL−226)を形質転換した。
C3H/10T1/2細胞を10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて37℃で16時間培養を行った後、培地をレトロウイルスを含有する培養上清にポリブレン(ナカライテスク社)を最終濃度で10μg/mlとなるよう添加した培養で置換し、37℃で8時間培養することによりウイルス感染をさせた。培養液から培地を除去し、感染したC3H/10T1/2細胞を10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて37℃で16時間さらに培養を行った。このようにして作製したC0126FLAGタンパク質発現細胞株での、C0126FLAGタンパク質発現はC0126の発現はLaemliの方法に従いウェスタンブロット法で解析を行った。
形質転換されたC3H/10T1/2細胞をLysis Buffer(10mM Tris−HCl、pH7.4;1%(w/v) TritonX−100、0.15M NaCl、1mM EDTA)で溶解させた。細胞溶解液5μlをSDS−PAGEにより分画した後、Immobilon−P(日本ミリポア社製)に電気的に転写した。該ナイロン膜をブロッキング溶液(PBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含む)に浸し、室温で1時間振盪反応を行った後、標識抗体溶液(PBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含むにAnti−FLAG M2 Monoclonal Antibody Peroxydase(HRP) Conjugate(シグマアルドリッチ社製)を添加したもの)に浸し、室温で1時間静置した。該ナイロン膜を洗浄液(PBS、pH7.4;0.1% Tween20を含む)で10分間の洗浄を3回行った後、該ナイロン膜とECL Plus Weatern Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を室温で反応させ、直ちに該ナイロン膜およびX線フィルムX−OMAT AR(コダック社製)をX−オマット カセッテ(コダック社製)に装着し数分間露光した。形質転換していないC3H/10T1/2細胞を同様に処理したものを対照区とした。
その結果、100Kd前後の大きさのバンドが検出された。予想される分子量約60Kdより大きいことから、糖鎖が付加されたと考えられる。
実施例6
C0126のバキュロウイルスでの発現
バキュロウイルスでの発現にはBac−to−Bac Baculovirus Expression System(インビトロジェン社製)を用いて、添付のマニュアルに従って操作を行った。
C0126の細胞外領域である、配列番号2の1位のAspから454位のTyrで表わされるアミノ酸配列のカルボキシ末端に3×FLAG付加したポリペプチドをコードするcDNAを昆虫細胞で発現させる。
p3×FLAG−CMV−14(シグマアルドリッチジャパン社製)より3×FLAGペプチドをコードするDNAおよびC0126の細胞外領域をコードするDNAをPCR法により増幅したcDNA断片をpFastBac1のXhoI部位に挿入し、pFastBac−C0783FLAGを構築した。該組換えプラスミドをMAX Efficiency DH10Bac Competent Cellsに導入し、バキュロウイルスゲノム(bacmid DNA)へ転移することにより組換えbacmid DNAを構築した。該組換えbacmid DNAをCellFECTIN Reagentを用いてSf9細胞(ATCG:CRL−1711、卵巣細胞)に導入し、組換えバキュロウイルスを得た。該バキュロウイルス感染Sf9細胞培養液62.5μl、125μl、250μl、500μlそれぞれを2×106個/ml濃度のSf9細胞培養液50mlに添加し、28℃で72時間培養を行った。該細胞培養液を遠心分離し、上清画分に組換えC0126FLAGを得た。
C0126FLAGの発現は実施例5と同様にウェスタンブロット法により確認した。培養上清10μlをSDS−PAGEにより分画した後、ニトロセルロースメンブレン(テフコ社製)に電気的に転写した。該ナイロン膜をブロッキング溶液(TBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含む)に浸し、室温で1時間振盪反応を行った後、標識抗体溶液(TBS、pH7.4;5%(v/v) スキムミルクを含むにAnti−FLAG M2 Monoclonal Antibody Peroxydase(HRP) Conjugate(シグマアルドリッチ社製)を添加したもの)に浸し、室温で1時間静置した。該ナイロン膜を洗浄液(TBS、pH7.4;0.05% Triton X−100を含む)で10分間の洗浄を3回行った後、該ナイロン膜とECL Plus Weatern Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を室温で反応させ、直ちに該ナイロン膜およびELC検出用フィルムHyperfilm−ECL(アマシャムファルマシアバイオテク社製)をX−オマット カセッテ(コダック社製)に装着し数分間露光した。組換えウイルス非感染Sf9細胞の培養上清を同様に処理したものを対照区とした。
その結果、約80Kdの大きさの単一バンドが検出された。各バンドのシグナルは添加したウイルス量依存的な強度で検出され、C0126の細胞外領域がSf9細胞の培養上清に分泌されていることを確認した。
次に、SDS−PAGEからこのバンドを切り出し、溶出し、アミノ酸シークエンサーを用いてこのポリペプチドのN末端部分のアミノ酸配列を解析することにより、これがC0126のcDNA配列より予想されるアミノ酸配列と一致し、しかも配列番号2の45位と46位のアミノ酸の間で切断されていることを確認した。この切断部位の直前に相当する42位から45位のアミノ酸配列は、フリンなどの膜結合型プロセッシングプロテアーゼの認識配列に一致することから、C0126は細胞由来のこのようなプロテアーゼによって45位と46位の間で切断されることが予想された。したがって、C0126の発現に伴って、シグナル配列の切断とフリン様プロテアーゼによるプロセッシングの結果、1位から45位に相当するペプチドが細胞外に遊離されるものと推測される。
実施例7
C0126の軟骨分化誘導活性
実施例4においてC0126が軟骨分化時に発現亢進することが示されたので、C0126を発現することによる軟骨分化への影響を検討した。
実施例5で作製したC0126FLAG発現プラスミドで形質転換されたC3H/10T1/2細胞および対照区として形質転換されていないC3H/10T1/2細胞を、10% ECSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて、37℃で16時間培養を行った。各培養細胞を24ウェルプレート(コーニング社)に4×104細胞/ウェルとなるよう分注し、37℃で16時間培養を行った後、培地を5% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)に交換した。培地交換後、37℃で6時間培養を行い、最終濃度でhuman BMP−2(サワデーテクノロジー社製)は400 ng/ml、human BMP−4(R&D Systems社製)は200 ng/ml、レチノイン酸(シグマアルドリッチ社製)は10−6Mとなるように各細胞培養液に添加した後、37℃で3日間培養を行った。該細胞培養液の培地を同濃度同被験物質を含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquidに交換し、さらに37℃で3日間培養を行った。
軟骨細胞への分化の定量方法は、軟骨細胞分化マーカーである軟骨基質をアルシアンブルー染色し、吸光度を測定した。
各細胞培養液の培地を除去した後、10% ホルマリンを添加し、室温で10分間処理し細胞の固定化を行った。該固定細胞にアルシアンブルー染色液(pH2.5)(ナカライテスク社製)を200μl添加し、4℃で一晩の反応を行った後、染色液を除去し6M 塩酸グアニジンを添加し、室温で6時間反応を行い染色物質の抽出を行った。該抽出液の650nmにおける吸光度を分光光度計(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いて測定し、アルシアンブルー染色量を測定した。
その結果、C0126発現細胞において、BMP−2およびBMP−4による軟骨細胞への分化が促進された(第4図)。
実施例8
C0126細胞外領域タンパク質の軟骨分化誘導活性
C0126細胞外領域タンパク質を用いてC3H/10T1/2細胞の細胞分化への作用を検討した。
C0126細胞膜外領域タンパク質としては、実施例6で作製したバキュロウイルス発現系により発現させいたC0126細胞膜外領域である配列番号2の46位Asnから454位Tyrで表わされるアミノ酸配列のカルボキシ末端に3×FLAGを付加したポリペプチドを用いた。
C3H/10T1/2細胞を、10% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)を用いて、37℃で16時間培養を行った。各培養細胞を24ウェルプレート(コーニング社)に4×104細胞/ウェルとなるよう分注し、37℃で16時間培養を行った後、培地を5% FCSを含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquid(インビトロジェン社製)に交換した。培地交換後、37℃で6時間培養を行い、実施例6で調製したC0126細胞外領域タンパク質を最終濃度で10μg/mlとなるように添加した細胞培養液およびC0126細胞外領域タンパク質を添加していない細胞培養液を調製した。それの各細胞培養液に、最終濃度でhuman BMP−2(サワデーテクノロジー社製)は1000 ng/ml、human BMP−4(R&D Systems社製)は400 ng/ml、レチノイン酸(シグマアルドリッチ社製)は10−6Mとなるように添加した後、37℃で3日間培養を行った。該細胞培養液の培地を同濃度同被験物質を含むMinimun Essential Medium(MEM) alpha Medium(1×) liquidに交換し、さらに37℃で3日間培養を行った。
軟骨細胞への分化の定量方法は、実施例7と同様にアルシアンブルー染色液を用いて行った。
各細胞培養液の培地を除去した後、10% ホルマリンを添加し、室温で10分間処理し細胞の固定化を行った。該固定細胞にアルシアンブルー染色液(pH2.5)(ナカライテスク社製)を200μl添加し、4℃で一晩の反応を行った後、染色液を除去し6M 塩酸グアニジンを添加し、室温で6時間反応を行い染色物質の抽出を行った。該抽出液の650nmにおける吸光度を分光光度計(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いて測定し、アルシアンブルー染色量を測定した。
その結果、C0126細胞外領域タンパク質により、BMP−2およびBMP−4による軟骨細胞への分化が抑制された(第5図)。
産業上の利用可能性
本発明により、胃癌、変形性関節症およびリュウマチ性関節炎マーカーであるC0126ポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、該DNAが組み込まれた遺伝子治療用ベクター、該ポリペプチドを認識する抗体、該抗体を用いるC0126ポリペプチドの定量方法、該ポリペプチドのmRNAの定量方法、該定量方法を用いた癌、変形性関節症あるいはリュウマチ性関節炎の診断用キットおよび該ポリペプチド、それを認識する抗体、該ポリヌクレオチドを含有する医薬組成物、該医薬組成物を含有する変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防・治療剤、該医薬組成物を用いた変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防・治療方法が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図は、C0126ポリペプチドの概略図を示した模式図である。
C0126ポリペプチドは529個のアミノ酸よりなる分泌蛋白質で、アミノ酸配列の第−22位のMetから第−1位のThrまでが、予想されるシグナルペプチド領域(SP;Signal peptide)、第306位のCycから第333位のCysまでが、HGF受容体であるMetおよびseamaphorin受容体であるplexinで保存されているMet関連配列(MRS;Met−related sequences)と類似性を有する領域、第433位のGlyから第455位のMetまでが、予測される膜貫通領域(TM;Transmembrane domain)を示している。
第2図は、ヒト胃癌粗織およびそれに対応する正常組織におけるC0126mRNAの発現量およびその比率を表している。
第3図は、軟骨分化誘導時におけるC0126ポリペプチドmRNAの発現量の変動を表している。
軟骨細胞分化誘導活性を有するIGF−1、骨分化誘導活性を有するIL−1βおよびFGF−2を処理したヒト間葉系幹細胞のノーザンブロット解析を行い、対照区(無処理区)でのC0126ポリペプチドmRNAの発現量を1とした相対的な発現量で示している。
第4図は、C0126の軟骨分化誘導活性(アルシアンブルー染色性)を表している。
軟骨分化マーカーであるアルシアンブルー染色性を指標とし、C0126とBMP−2、BMP−4およびレチノイン酸(RA)を処理した場合の軟骨分化誘導活性を示している。対照区(無処理)でのアルシアンブルー染色性を1とした相対的な活性で示している。
第5図は、C0126細胞外領域の軟骨分化抑制活性(アルシアンブルー染色性)を表している。
軟骨分化マーカーであるアルシアンブルー染色性を指標とし、BMP−2、BMP−4およびレチノイン酸(RA)を処理した培養細胞に、C0126細胞外領域を添加した場合(C0126N末端(+))およびC0126細胞外領域を添加しない場合(C0126N末端(−))の軟骨分化誘導抑制活性を示している。対照区(無処理)でのアルシアンブルー染色性を1とした相対的な活性で示している。
Claims (28)
- 配列番号2の1位のAspから45位のArgで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 配列番号2の46位のAsnから432位のTyrで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 配列番号2の1位のAspから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む請求の範囲1または2に記載のマーカー。
- 配列番号2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドを含む請求の範囲1または2に記載のマーカー。
- 配列番号2の1位のAspから45位のArg、46位のAsnから432位のTyr、1位のAspから507位のCysまたは2の−22位のMetから507位のCysで表わされるアミノ酸配列からなるポリペプチドのいずれかにおいて、欠失、置換または挿入から選ばれる1若しくは数個のアミノ酸変異を有するポリペプチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 該癌が胃癌である請求の範囲1から5のいずれかに記載のマーカー。
- 該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である請求の範囲1から5のいずれかに記載のマーカー。
- 配列番号1の423番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 配列番号1の288番目のGから422番目のAで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 配列番号1の288番目のGから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む請求の範囲8または9に記載のマーカー。
- 配列番号1の222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む請求の範囲8または9に記載のマーカー。
- 配列番号1の423番目のAから1808番目のC、288番目のGから422番目のA、288番目のGから1808番目のCまたは222番目のAから1808番目のCで表わされる塩基配列のいずれかとストリンジェントな条件でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含む癌、癌転移または骨疾患のマーカー。
- 該癌が胃癌である請求の範囲8から12のいずれかに記載のマーカー。
- 該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である請求の範囲8から12のいずれかに記載のマーカー。
- 下記の工程を含む、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部からなるポリペプチドを認識する抗体を用いることを特徴とする請求の範囲1から7のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該抗体とを接触させる工程、および
(b)被験物質と該抗体との結合を検出する工程。 - 下記の工程を含む、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを用いることを特徴とする請求の範囲8から15のいずれかに記載のマーカーを検出する方法;
(a)被験物質と該ポリヌクレオチドとを接触させる工程、および
(b)被験物質と該ポリヌクレオチドとの結合を検出する工程。 - 請求の範囲15または16に記載の検出方法を用いることを特徴とする癌、癌転移または骨疾患の診断用キット。
- 該癌が胃癌である請求の範囲17に記載の診断用キット。
- 該骨疾患が変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症である請求の範囲17に記載の診断用キット。
- 下記工程を含む、配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を用いることを特徴とする軟骨細胞誘導活性調節物質のスクリーニング方法;
(a)被験物質の存在下または非存在下で該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体を培養する工程、および
(b)該ポリヌクレオチドを発現する形質転換体における軟骨基質の生成量を被験物質の存在下または非存在下で比較する工程。 - 配列番号1で表わされる塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチドを発現する形質転換体を含むことを特徴とする、軟骨細胞分化誘導活性調節物質スクリーニング用キット。
- 請求の範囲21に記載のスクリーニング方法により得られることを特徴とする軟骨細胞分化誘導活性調節物質。
- 配列番号2の46位のAsnから432位のAlaで表されるアミノ酸配列を含むポリペプチドである請求の範囲22に記載の軟骨細胞分化誘導活性調節物質。
- 請求の範囲22または23に記載の化合物またはその塩、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部を含むポリヌクレオチド、配列番号1に記載の塩基配列またはその一部からなるポリヌクレオチドを含むヒト遺伝子治療用発現ベクター、配列番号2に記載のアミノ酸配列またはその一部を含むポリペプチド、該ポリペプチドに対する抗体の何れかを有効成分として含有する医薬組成物。
- 癌または癌転移の予防または治療剤である請求の範囲24に記載の医薬組成物。
- 骨疾患の予防剤または治療剤である請求の範囲24に記載の医薬組成物。
- 変形性関節症、リュウマチ性関節炎または骨粗鬆症の予防剤または治療剤である請求の範囲24記載の医薬組成物。
- 請求の範囲24から27のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを特徴とする癌、癌転移、骨疾患の予防または治療方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060801 |