JP2002516097A - ヒト・カルモジュリン関連タンパク質 - Google Patents

ヒト・カルモジュリン関連タンパク質

Info

Publication number
JP2002516097A
JP2002516097A JP2000550993A JP2000550993A JP2002516097A JP 2002516097 A JP2002516097 A JP 2002516097A JP 2000550993 A JP2000550993 A JP 2000550993A JP 2000550993 A JP2000550993 A JP 2000550993A JP 2002516097 A JP2002516097 A JP 2002516097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
calrep
sequence
polynucleotide
seq
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000550993A
Other languages
English (en)
Inventor
タング、ワイ・トム
コーレイ、ニール・シー
ゲグラー、カール・ジェイ
パターソン、チャンドラ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Incyte Corp
Original Assignee
Incyte Pharmaceuticals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Incyte Pharmaceuticals Inc filed Critical Incyte Pharmaceuticals Inc
Publication of JP2002516097A publication Critical patent/JP2002516097A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4728Calcium binding proteins, e.g. calmodulin
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒト核酸メチラーゼ(HNAM)とそれを同定しコードするポリヌクレオチドとを提供する。また、本発明は、発現ベクター及び宿主細胞、抗体、アゴニスト、アンタゴニストを提供する。更に、本発明は、HNAMの発現に関連する疾患の診断または治療方法、予防方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、ヒト・カルモジュリン関連タンパク質の核酸及びアミノ酸配列、及
び細胞増殖障害及び神経疾患の診断、処置、及び予防におけるこれらの配列の使
用法に関するものである。
【0002】 (発明の背景) 真核細胞のほぼ全てにおいて、カルシウム(Ca2+)は、細胞増殖、神経伝達
物質の分泌、グリコーゲンの代謝、及び骨格筋収縮等を含む様々な細胞プロセス
における細胞内シグナル伝達分子として機能している。静止期の細胞内では、サ
イトゾルにおけるCa2+の濃度が極めて低く(<10-7M)なっている。しかし
、細胞が、神経インパルスまたは成長因子のような外部シグナルの刺激を受ける
と、サイトゾルにおけるCa2+の濃度は約50倍に増加する。Ca2+の流入は、
原形質膜のCa2+チャネルが開き、かつ小胞体のような細胞内の貯蔵部からCa 2+ が放出されることによって生ずる。Ca2+は、例えばプロテインキナーゼCの
ような調節酵素を直接活性化し、その酵素がシグナル伝達経路を開始させる。ま
た、Ca2+はカルモジュリンのような特定のCa2+結合タンパク質にも結合し、
そのタンパク質は酵素、膜輸送ポンプ、及びイオンチャネル等の様々な標的タン
パク質を活性化する。
【0003】 多くのCa2+結合タンパク質が、1個又は複数のEFハンドCa2+結合モチー
フの存在によって特性化されている(Reviewed in Cello, M. R.ら (1996) Gui
debook to the Calcium-Binding Proteins, Oxford University Press, New Yor
k, NY, pp. 15-20, 34-43, and 152-155.)。EFハンドモチーフは、αヘリッ
クスに隣接する12個のアミノ酸からなる。通常は1、3、5、7、9、及び1
2番目の位置に酸性残基が保存されており、多くの場合グリシンが6番目の位置
に保存されている。39のサブファミリーをなす少なくとも250種類のEFハ
ンドタンパク質が様々な組織において同定された。例えば、カルモジュリンは、
広範に分布し、細胞増殖及び細胞周期の進行を調節する高度保存EFハンドタン
パク質である。トロプニンCは、アクチンによる筋収縮に関与する筋特異性のカ
ルモジュリン様タンパク質である。S100βは、神経系、特にグリア細胞にお
いて多量に発現されるEFハンドタンパク質である。最近になって、NB−1と
呼ばれるカルモジュリン関連タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(m
RNA)が、正常なヒト乳房上皮細胞(HMECs)から単離された(Yaswen,
P.ら (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:7360-7364.)。NB−1は4つの
EFハンドを有し、カルモジュリンと、アミノ酸レベルで85%の配列同一性を
共有している。NB−1のmRNAの発現は、in vitroで腫瘍化形質転換された
HMECsでは50分の1以下まで低下する。また、NB−1転写物は、正常な
乳房、前立腺、子宮頚、及び上皮組織において検出されるが、これらの組織の腫
瘍に由来する不死化細胞系では検出されない。これらの観察結果は、NB−1の
発現は腫瘍の抑制と関連していることを示唆している。
【0004】 EFハンドCa2+結合タンパク質の発現の異常は、一定の疾病状態の進行及び
診断に関連を有していた(Celio, 前出)。例えば、腫瘍細胞においては、カル
モジュリンの濃度はNB−1の濃度と異なり数倍に高まる。同様に、S100β
の濃度は、脳梗塞、一過性脳虚血発作、出血、頭部外傷、及びダウン症候群が原
因で神経の障害を患う患者の胞脊髄液及び血中において高くなっている。更に、
S100β及び他の神経特異的EFハンドタンパク質は、例えばアルツハイマー
病、パーキンソン病、及びハンチントン病のような神経発生障害を防止し得る。
加えて、S100βに対する抗体は、クリア細胞起源の腫瘍の診断及び分類のた
めに用いられる。
【0005】 新規なカルモジュリン関連タンパク質及びそれをコードするポリヌクレオチド
の発見は、細胞増殖傷害及び神経疾患の診断、処置、及び予防において役立つ新
規な組成物を提供することにより、当分野における必要性を満たすものである。
【0006】 (発明の概要) 本発明は、新規なヒト・カルモジュリン関連タンパク質(CALREP)、C
ALREPをコードするポリヌクレオチド、及び細胞増殖障害及び神経疾患の診
断、処置、又は予防のためのこれらの組成物の使用法の発見に基づくものである
【0007】 本発明は、配列番号(SEQ ID NO):1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配
列を含む、実質的に精製されたポリヌクレオチドを提供する。
【0008】 更に本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列との少な
くとも90%のアミノ酸配列同一性を有する、実質的に精製された変異体を提供
する。また本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を含むポリペ
プチドをコードする、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供する。また本
発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドとの少なくとも90%のポリヌクレオチド配列
同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体を包含する。
【0009】 更に本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポ
リペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の下でハイ
ブリダイズする、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供すると共に、配列
番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードす
るポリヌクレオチドに相補的な、単離され精製されたポリヌクレオチドを提供す
る。
【0010】 また本発明は、配列番号:2又は配列番号:2の断片のポリヌクレオチド配列
を含む単離され精製されたポリヌクレオチド、及び配列番号:2又は配列番号:
2の断片のポリヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドとの少なくとも90%
のポリヌクレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド
を提供する。また本発明は、配列番号:2又は配列番号:2の断片のポリヌクレ
オチド配列を含むポリヌクレオチドに相補的な配列を有する、単離され精製され
たポリヌクレオチドを提供する。
【0011】 更に本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を含むポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発現ベクターを提供す
る。別の実施態様では、前記発現ベクターが宿主細胞内に含められる。
【0012】 また本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポ
リペプチドの製造方法であって、(a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の
下で配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドを
コードするポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発現ベクターを含む宿主細
胞を培養する過程と、(b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収す
る過程とを含む、配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を含むポ
リペプチドの製造方法を提供する。
【0013】 また本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を有する実質的に
精製されたポリペプチドを適切な医薬用担体と共に含む医薬品組成物を提供する
【0014】 更に本発明は、配列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を含むポリペプチ
ドに結合する精製された抗体を包含すると共に、前記ポリペプチドの精製された
アゴニスト及び精製されたアンタゴニストを包含する。
【0015】 本発明は、CALREPの発現の低下に関連する細胞増殖障害の処置又は予防
方法であって、そのような処置が必要な患者に、配列番号:1又は配列番号:1
の断片のアミノ酸配列を有する、実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品
組成物を有効な量投与する過程を含む、CALREPの発現の低下に関連する細
胞増殖障害の処置又は予防方法を提供する。
【0016】 また本発明は、CALREPの発現の増加に関連する細胞増殖障害の処置又は
予防方法であって、そのような処置が必要な患者に、配列番号:1又は配列番号
:1の断片のアミノ酸配列を有するポリペプチドのアンタゴニストを有効な量投
与する過程を含む、CALREPの発現の増加に関連する細胞増殖障害の処置又
は予防方法を提供する。
【0017】 また本発明は、CALREPの発現の低下に関連する神経疾患の処置又は予防
方法であって、そのような処置が必要な患者に、配列番号:1又は配列番号:1
の断片のアミノ酸配列を有する実質的に精製されたポリペプチドを含む医薬品組
成物を有効な量投与する過程を含む、CALREPの発現の低下に関連する神経
疾患の処置又は予防方法を提供する。
【0018】 また本発明は、CALREPの発現の増加に関連する神経疾患の処置又は予防
方法であって、そのような処置が必要な患者に、配列番号:1又は配列番号:1
の断片のアミノ酸配列を有するポリペプチドのアゴニストを有効な量投与する過
程を含む、CALREPの発現の増加に関連する神経疾患の処置又は予防方法を
提供する。
【0019】 また本発明は、核酸を含む生物学的サンプルにおける配列番号:1又は配列番
号:1の断片のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
の検出方法であって、(a)配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配
列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに相補的な分子と、前記生
物学的サンプルの核酸の少なくとも1つとをハイブリダイズさせ、ハイブリダイ
ゼーション複合体を形成する過程と、(b)前記ハイブリダイゼーション複合体
を検出する過程であって、前記ハイブリダイゼーション複合体の存在が、前記生
物学的サンプルにおける配列番号:1又は配列番号:1の断片のアミノ酸配列を
含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する、該
過程とを含む、ポリヌクレオチドの検出方法を提供する。或る実施態様では、前
記ハイブリダイゼーションを行う過程の前に前記生物学的サンプルの核酸をポリ
メラーゼ連鎖反応法により増幅する。
【0020】 (発明の実施の形態) 本発明のタンパク質、ヌクレオチド配列、及び方法について説明する前に、本
発明は、ここに開示した特定の方法論、プロトコル、細胞系、ベクター、及び試
薬に限定されず、それらは様々に変更可能であることを理解されたい。また、本
明細書において用いられる用語法は、特定の実施例のみを説明する目的で用いら
れたものであり、請求項の記載のみによって限定される本発明の範囲を限定する
ことを意図したものではないということも理解されたい。
【0021】 本明細書の発明の詳細な説明又は図面及び特許請求の範囲において、単数を表
す「或る」及び「その(この)」と形容されたものは、前後関係でそうでないこ
とが明らかである場合以外は、複数の意味も含んでいることに注意しなければな
らない。従って、例えば「或る宿主細胞」なる表記が表すものには、複数のその
ような宿主細胞が含まれ、「或る抗体」なる表記は、1種または複数の種類の抗
体及び当業者に周知のその等価物等も表している。
【0022】 本明細書における全ての科学技術専門用語は、特別に定義されていない限り、
本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者に一般に理解されるのと
同じ意味を有する。ここに説明したものと類似のまたは等価な方法や材料を本発
明の実施や試験において用いることができるが、好適な方法、装置、及び材料を
本明細書において説明する。本明細書に記載された全ての文献は、本発明の関連
において用いられ得る文献で報告された細胞系、ベクター、及び方法論を説明し
開示する目的で引用されたものであり、引用により本明細書の一部とする。また
本明細書のあらゆる開示内容を、本発明におけるそのような開示内容が従来技術
に先行しないということを認めるものと解釈してはならない。
【0023】 (定義) 本明細書において、「CALREP」は、任意の種、具体的にはウシ、ヒツジ
、ブタ、マウス、ウマ、及び好ましくはヒト等のような哺乳動物に由来し、天然
の、合成の、半合成の、又は組換え体の何れかの起源から得られる実質的に精製
されたCALREPのアミノ酸配列である。
【0024】 本明細書において、用語「アゴニスト」は、CALREPに結合したときCA
LREPの効果を強めたり、その効果の持続時間を長くさせる分子である。アゴ
ニストには、CALREPに結合し、その効果を変調するタンパク質、核酸、糖
質や、任意の他の分子が含まれ得る。
【0025】 本明細書において「アレル変異体」とは、CALREPをコードする遺伝子の
対立形である。アレル変異体は、核酸配列の少なくとも一箇所の変異によって生
じ、変異したmRNA或いはポリペプチドを生ずるが、その変異したmRNA或
いはポリペプチドの構造や機能が変わる場合もあれば変わらない場合もある。所
定の天然の遺伝子または組換え遺伝子には、アレル形が存在しないもの、1つ存
在するもの、或いは多数存在するものがある。一般的にアレル変異体を生じる変
異はヌクレオチドの自然な欠失、付加並びに置換に因るものである。このタイプ
の変異はそれぞれ単独で、或いは他の変異と同時に、所定の配列内で1回又は2
回以上生じ得る。
【0026】 本明細書において、CALREPをコードする「変異」核酸配列とは、異なる
ヌクレオチド残基の置換、挿入や欠失を含み、結果的に同一のCALREPをコ
ードするポリヌクレオチド、又はCALREPの機能的な特徴を少なくとも1つ
有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとなるものである。この定義
には、CALREPをコードするポリヌクレオチド配列の通常の染色体上の遺伝
子座以外の座位を有する多型、アレル変異体との不適切な又は予期しないハイブ
リダイゼーションによって起こる多型、及びCALREPをコードするポリヌク
レオチドの特定のオリゴヌクレオチドプローブを用いて容易に検出可能な、或い
は検出が困難な多型が含まれている。コードされたタンパク質も同様に「変異」
したものであり得、サイレント変異を生じ、結果的に機能的に等価なCALRE
Pとなるアミノ酸残基の欠失、挿入並びに置換を含むものであり得る。意図的な
アミノ酸の置換は、CALREPの生物学的活性が保持される限り、残基の極性
、電荷、溶解度、疎水性、親水性並びにまた両親媒性についての類似性に基づい
て作り出すことができる。例えば負に荷電したアミノ酸にはアスパラギン酸及び
グルタミン酸が含まれ、正に荷電したアミノ酸にはリジン及びアルギニンが含ま
れ、近い親水性値を有する荷電していない極性頭基を有するアミノ酸には、ロイ
シン、イソロイシン、及びバリン;グリシン及びアラニン;アスパラギン及びグ
ルタミン;セリン及びスレオニン;及びフェニルアラニン及びチロシンが含まれ
る。
【0027】 本明細書において「アミノ酸」又は「アミノ酸配列」は、オリゴペプチド、ペ
プチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列、又はそれらの何れかの断片であ
り、自然発生の分子又は合成した分子である。この文脈で、「断片」、「免疫原
性断片」又は「抗原性断片」は、CALREPの断片で、好ましくは約5個〜約
15個のアミノ酸、最も好ましくは14個のアミノ酸からなる長さを有し、かつ
CALREPの生物学的活性又は免疫学的活性を保持しているものである。ここ
で、「アミノ酸配列」が自然発生タンパク質分子のアミノ酸配列を指している場
合に、「アミノ酸配列」や類似の用語は、そのアミノ酸配列を本明細書に記載の
タンパク質分子に関連する完全で元のままのアミノ酸配列に限定する意味で用い
られているわけではない。
【0028】 本明細書において「増幅」は、核酸配列の更なるコピーを生成することであり
、通常は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応法(PCR法)を用いて行われる
(例えばDieffenbach, C.W.及びG.S. Dveksler (1995) PCR Primer. a Laborato
ry Manual, Cold Spring Harbor Press, Plainview, NY, pp.1-5参照)。
【0029】 本明細書において、用語「アンタゴニスト(拮抗物質)」は、CALREPに
結合したとき、CALREPの生物学的又は免疫学的効果の大きさを低下させた
り、効果の継続時間を短縮させる分子である。アンタゴニストとしては、CAL
REPの効果を低下させるタンパク質、核酸、糖質、抗体、または他の分子等が
挙げられる。
【0030】 本明細書において、用語「抗体」は、完全な抗体分子を意味するとともに、例
えばFab、F(ab')2、及びFv断片のような抗原決定基と結合し得るその
断片を意味する。CALREPポリペプチドに結合する抗体は、免疫化の抗原と
して完全なポリペプチド又は目的の小ペプチドを含むその断片を用いることによ
って作り出すことができる。動物(例えばマウス、ラット、またはウサギ)を免
疫化するのに用いられるポリペプチドまたはペプチドは、RNAの翻訳に由来す
るもの、又は化学的に合成されたものであり得、必要ならば担体タンパク質と結
合させることができる。ペプチドに化学的に結合する担体として通常用いられる
ものとしては、ウシ血清アルブミン、サイログロブリン、及びキーホールリンペ
ットヘモシアニン(KLH)等が挙げられる。この結合したペプチドを用いて動
物を免疫化する。
【0031】 本明細書において、用語「抗原決定基」は、特定の抗体と結びつく分子の断片
(即ちエピトープ)である。タンパク質又はその断片を用いてホストの動物を免
疫化すると、このタンパク質の様々な領域が、該タンパク質上の所定の領域また
は三次元構造に特異的に結合する抗体の産生を誘発し得る。このような領域また
は構造を抗原決定基と称する。抗原決定基は、抗体への結合について元の抗原(
即ち免疫応答を誘導するに用いられる免疫原)と競合し得る。
【0032】 本明細書において用語「アンチセンス」は、特定のDNAまたはRNA配列に
相補的なヌクレオチド配列を含む組成物である。用語「アンチセンス鎖」は、「
センス」鎖に相補的な核酸鎖の意味で用いられる。アンチセンス分子としてはペ
プチド核酸があり、アンチセンス分子は合成や転写等の方法で作り出すことがで
きる。この相補的ヌクレオチドは、一旦細胞内に導入されると、細胞によって作
られた自然の配列と結合して二重鎖を形成し、これが更なる転写や翻訳を阻害す
る。「マイナス(−)」なる表現がアンチセンス鎖の意味で用いられ、「プラス
(+)」はセンス鎖の意味で用いられることがある。
【0033】 本明細書において、用語「生物学的に活性」は、自然発生の分子の構造上の機
能、調節の機能、又は生化学的な機能を有するタンパク質である。同様に「免疫
学的に活性」は、天然の、組換え体の、又は合成のCALREP、若しくはその
オリゴペプチドの、適当な動物や細胞における特定の免疫応答を誘発し、特定の
抗体に結合する能力である。
【0034】 本明細書において、用語「相補的」または「相補性」は、許容的な塩濃度及び
温度条件の下で、塩基対を形成してポリヌクレオチド同士が自然に結合すること
である。例えば、配列「A−G−T」は相補的な配列「T−C−A」に結合する
。2本の一本鎖分子間の相補性は、幾つかの核酸のみが結合する「部分的」なも
のであるか、若しくは、一本鎖分子間に完全な相補性が存在する場合は「完全に
」相補的なものであり得る。核酸鎖同士の相補性の程度は、核酸鎖同士のハイブ
リダイゼーションの効率及び強さに有意な影響を与える。このことは、核酸鎖同
士の結合によって左右される増幅反応や、ペプチド核酸(PNA)分子の設計及
び使用において特に重要である。
【0035】 本明細書において「所定のポリヌクレオチド配列を含む組成物」又は「所定の
アミノ酸配列を含む組成物」とは、所定のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列を
含むあらゆる物質をさす。この組成物は、粉末製剤、水溶液、又は滅菌組成物の
形態であり得る。CALREP又はCALREPの断片をコードするポリヌクレ
オチド配列を含む組成物は、ハイブリダイゼーションプローブとして利用するこ
とができる。このプローブは凍結乾燥した状態で保存することができ、糖質のよ
うな安定化剤と結合させることができる。ハイブリダイゼーションにおいて、こ
のプローブを、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)及び他の物
質(例えばデンハート液、粉乳、サケ精子DNA等)を含む水溶液に分散させて
おくことができる。
【0036】 本明細書において「コンセンサス配列」は、配列決定し直して不要な塩基を分
離し、XL-PCRTM(Perkin Elmer, Norwalk, CT)を用いて5′方向及び/または
3′方向に延長した上で再度配列決定し直した核酸配列か、または断片を組み合
わせるためのコンピュータプログラム、例えばGELVIEWTM Fragment Assembly sy
stem(GCG, Madison WI)を用いて2種以上のインサイト社クローンの重複した
配列を組み合わせて導き出した核酸配列である。延長と組み合わせの両方によっ
てコンセンサス配列が作られることもある。
【0037】 本明細書において、「ポリヌクレオチドの発現と相互関係を有する」なる表現
は、ノーザン法による解析でCALREPをコードする核酸と同一又は近縁関係
にある核酸の存在が検出されることが、サンプル内のCALREPをコードする
mRNAの存在を表し、従ってCALREPをコードする遺伝子からの転写物の
発現と相互関係を有している、ということを表している。
【0038】 本明細書において「欠失」は、1個または2個以上のヌクレオチド若しくはア
ミノ酸残基が欠けるような、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列における変化
である。
【0039】 本明細書において、用語「誘導体」は、CALREPをコードするポリヌクレ
オチド配列又はそれに相補的なポリヌクレオチド配列を化学的に修飾したもので
ある。このようなポリヌクレオチド配列の化学的修飾としては、例えば、水素か
らアルキル基、アシル基、又はアミノ基への置換がある。誘導体ポリヌクレオチ
ドは、元の分子の生物学的又は免疫学的機能の少なくとも1つを保持しているポ
リペプチドをコードする。誘導体ポリペプチドは、元のポリペプチドの生物学的
又は免疫学的機能の少なくとも1種類を保持しており、グリコシル化、ポリエチ
レングリコール化(PEGylation)、又は他の何らかのプロセスで修飾されたもの
である。
【0040】 本明細書において、用語「類似性」は、或る程度の相補性を意味する。部分的
類似性か完全な類似性があり得る。用語「(配列)同一性」は、用語「類似性」
と置換えることができる。同一の配列が標的の核酸とハイブリダイズするのを少
なくとも部分的に阻害する部分的に相補的な配列を、「実質的に類似」という。
完全に相補的な配列と標的配列とのハイブリダイゼーションの阻害は、ストリン
ジェンシー(厳密さ)を低くした条件の下で、ハイブリダイゼーションアッセイ
(サザンブロット法またはノーザンブロット法、溶液ハイブリダイゼーション等
)を用いて調べることができる。実質的に類似な配列またはハイブリダイゼーシ
ョンプローブは、低いストリンジェンシー条件の下で、標的の配列と完全に類似
(同一)な配列またはプローブとの結合について競合し、それを阻害する。この
ことは、低いストリンジェンシー条件が、非特異的な結合を許容するものである
ことを意味するわけではない。低いストリンジェンシー条件では、2つの配列の
相互の結合が特異的(即ち選択的)相互作用であることが必要だからである。非
特異的結合が存在しないことは、部分的な程度の相補性(即ち約30%未満の類
似性即ち同一性)も有していない第2の標的配列を用いることにより調べること
ができる。非特異的結合が存在しない場合、プローブは第2の非相補的標的配列
とハイブリダイズしない。
【0041】 「パーセント同一性」或いは「%同一性」という言葉は、2以上のアミノ酸ま
たは核酸配列を比較した際の配列類似性のパーセンテージである。パーセント同
一性は、例えばMegAlignプログラム(DNASTAR, Inc., Madison WI)を用いるこ
とによって電子的に求めることができる。このMegAlignTMプログラムは、異なる
方法、例えばClustal 法(例えばHiggins, D.G.及びP.M. Sharp (1988) Gene 73
:237-244参照)に従って2以上の配列のアライメントを作成することができる。
このClustalのアルゴリズムでは、配列群を、全ての配列の対について両配列間
の距離を調べることによってクラスタ(集団)にグループ分けする。このクラス
タ群について、一対毎にアライメントをとり、次にグループにおいてアライメン
トをとる。2つのアミノ酸配列、例えば配列Aと配列Bの間のパーセント類似性
は、(配列Aの長さ−配列Aにおけるギャップ残基の数−配列Bにおけるギャッ
プ残基の数)/(配列Aと配列Bとの間の残基の一致の総数)×100で計算す
る。2つのアミノ酸配列の間の類似性の差が低いか無いケースは、パーセント類
似性の計算に含められない。核酸配列間のパーセント同一性も、他の周知の方法
、例えばJotun Hein法(例えばHein J. (1990) Methods Enzymol. 183: 626-645
参照)によってカウント即ち計算することができる。配列間の同一性は、他の周
知の方法、例えばハイブリダイゼーション条件を変えることによっても決定する
ことができる。
【0042】 「ヒト人工染色体」(HACs)は約6kb〜10MbのサイズのDNA配列
を含んでいるものであり得、安定した分裂染色体の分離及び維持に必要な全ての
要素を含む線状の小形染色体である(例えばHarrington, J.J.他 (1997) Nat Ge
net. 15:345-355参照)。
【0043】 本明細書において、用語「ヒト化抗体」は、その元の結合能をそのまま保持し
つつ、ヒトの抗体により近づくように非抗原結合領域のアミノ酸配列を改変した
抗体分子である。
【0044】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション(ハイブリッド形成)」は
、核酸の鎖が塩基対の形成によって相補鎖と結合する過程である。
【0045】 本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション複合体」は、相補的なG塩
基とC塩基の間及び相補的なA塩基とT塩基の間での水素結合の形成によって、
2つの核酸配列で形成された複合体である。ハイブリダイゼーション複合体は、
溶液中で形成されるか(例えばC0t又はR0t解析の場合)、或いは核酸は溶液
中に存在する一方の核酸と、固体支持体(例えば細胞やその核酸が固定される紙
、メンブラン、フィルター、ピン、またはスライドガラスまたは他の適切な基板
)に固定されたもう一方の核酸との間で形成され得る。
【0046】 本明細書において、用語「挿入」或いは「付加」は、自然発生の分子と比較し
て、1個または2個以上のヌクレオチド、アミノ酸残基がそれぞれ加わるような
、ヌクレオチド配列或いはアミノ酸配列の変化を指す。
【0047】 「免疫応答」は、炎症、外傷、免疫疾患、又は感染症や遺伝病等と関連のある
状態を指すものであり得る。これらの状態は、細胞や全身の防御系を活性化する
様々な因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、及び他のシグナル伝達分子の産
生によって特性化され得る。
【0048】 本明細書において、用語「マイクロアレイ」は、個々のポリヌクレオチドを基
板上に配列したものである。基板としては、例えば紙、ナイロン又は他の種類の
メンブラン、濾紙、チップ、スライドガラス、又は他の任意の適切な固体支持体
等がある。
【0049】 本明細書において、マイクロアレイに関連して用いられる用語「エレメント」
または「アレイエレメント」とは、基板の表面上に配列されたハイブリダイズ可
能なポリヌクレオチドである。
【0050】 本明細書において、用語「変調」は、CALREPの活性を変化させることで
ある。例えば、変調によって、タンパク質の活性の増加や減少、結合特性の変化
、又は他のCALREPの生物学的、機能的、免疫学的特性の変化がもたらされ
る。
【0051】 本明細書において「核酸」又は「核酸配列」は、オリゴヌクレオチド、ヌクレ
オチド、ポリヌクレオチド、又はその断片を指すか、一本鎖か二本鎖であり、ま
たセンス鎖又はアンチセンス鎖である、ゲノム起源の若しくは合成したDNA又
はRNAを指すか、又はペプチド核酸(PNA)、又は、DNA様又はRNA様
物質である。この文脈において、「断片(フラグメント)」は、翻訳されたとき
に、完全長ポリペプチドのいくつかの機能的特徴、例えば抗原性を保持するポリ
ペプチド、又は構造的ドメインの特徴、例えばATP結合部位を保持するポリペ
プチドを作り出す核酸配列を意味する。
【0052】 本明細書において、用語「機能的に関連する」又は「機能的に結びついた」は
、機能的に関連する核酸配列を表す。プロモーターは、そのプロモーターが、コ
ードされるポリペプチドの転写を調節している場合、コード配列に機能的に関連
又は機能的に結びついている。機能的に関連した、又は機能的に結びついた核酸
配列は近接し読み枠にあり得るが、ある種のゲノムの配列、例えばリプレッサー
遺伝子は、コードされるポリペプチドに近接していないが、やはりそのポリペプ
チドの発現を調節するオペレーター配列に結合する。
【0053】 本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、PCR増幅又はハイブリ
ダイゼーションアッセイ、若しくはマイクロアレイで用いることができる核酸配
列であって、長さが約6ヌクレオチド以上、最大60ヌクレオチド程度、好適に
は15〜30ヌクレオチド、より好適には20〜25ヌクレオチドであるものを
指す。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、当分野において一般
に定義されているような用語「アンブリマー」、「プライマー」、「オリゴマー
」、及び「プローブ」と実質的に同義である。
【0054】 本明細書において「ペプチド核酸」(PNA)は、末端がリジンであるアミノ
酸残基のペプチドバックボーンに結合した5ヌクレオチド以上の長さのオリゴヌ
クレオチドを含むアンチセンス分子即ち抗遺伝子剤を意味する。末端のリジンが
この物質に溶解性を与えている。PNAは、相補的な一本鎖DNAやRNAに優
先的に結合して転写物の伸長を止め、かつPNAをポリエチレングリコール化す
ることにより、細胞でのその寿命を延ばすことができる(例えばNielsen, P.E.
他(1993) Anticancer Drug Des. 8:53-63参照)。
【0055】 本明細書において、用語「サンプル」は、その最も広い意味で用いられている
。CALREPをコードする核酸またはその断片またはCALREP自体を含む
疑いのある生物学的サンプルには、体液や、細胞から単離された染色体、細胞小
器官、又は細胞膜からの抽出物や、細胞や、(溶液中の、または固体支持体に結
合した)ゲノムのDNA、RNA、またはcDNAや、組織や、組織プリント(
tissue print)その他が含まれる。
【0056】 本明細書において、用語「特異的結合」または「特異的に結合する」は、タン
パク質又はペプチドと、アゴニスト、抗体、及びアンタゴニストとの相互作用を
意味する。この相互作用は、結合する分子によって認識されるタンパク質上の特
定の構造(即ち抗原決定基、即ちエピトープ)の存在に左右される。例えば、抗
体がエピトープ「A」に対して特異的である場合、標識した「A」及びその抗体
を含む反応において、エピトープA(つまり結合していない、非標識のA)を含
むタンパク質が存在すると、抗体が結合した標識したAの量が低下する。
【0057】 本明細書において、用語「ストリンジェントな(厳密な)条件」は、ポリヌク
レオチド配列と、特許請求の範囲に記載されたポリヌクレオチド配列との間のハ
イブリダイゼーションを許容する条件を指す。ストリンジェントな条件は、例え
ば、塩又は有機溶媒(例えばホルムアミド)の濃度、温度、その他の公知の条件
によって決定することができる。詳述すると、ストリンジェンシー(厳密さ)は
、塩の濃度を低下させること、ホルムアミドの濃度を上昇させること、又はハイ
ブリダイゼーション温度を高めることによって高めることができる。
【0058】 本明細書において、用語「実質的に精製」は、天然の環境から取り除かれ、単
離または分離されて、自然にはそれが結合して存在する他の構成要素が60%以
上、好ましくは75%以上、最も好ましくは90%以上除去された核酸配列又は
アミノ酸配列である。
【0059】 本明細書において「置換」は、1個または2個以上のヌクレオチド或いはアミ
ノ酸を、それぞれ異なるヌクレオチド或いはアミノ酸に置き換えることである。
【0060】 本明細書の定義では、「形質転換」は、外来DNAが入ってレシピエント細胞
を変化させるプロセスを意味する。このプロセスは、よく知られた様々な方法を
用いて、自然または人工の条件の下で生じ得る。形質転換は、外来核酸配列を原
核生物または真核生物の宿主細胞に挿入するための既知の方法によって行うこと
ができる。この方法は形質転換される宿主細胞の型に基づいて選択され、以下に
限定するものではないが、ウイルスを感染させる方法、電気穿孔法(エレクトロ
ポレーション)、熱ショック、リポフェクション、及び微粒子銃を用いる方法等
があり得る。用語「形質転換(された)」細胞は、そのなかで挿入されたDNA
が、自律的に複製するプラスミドか、または宿主の染色体の一部として複製でき
る、安定的に形質転換された細胞等である。またこのような細胞には、限られた
時間での挿入されたDNAやRNAの一過性の発現が起こる細胞もある。
【0061】 本明細書においてCALREPの「変異体」は、1又は2箇所以上のアミノ酸
が変化したアミノ酸配列である。この変異体は「保存的」変化を含むものであり
得、この保存的変化の場合は、例えばロイシンをイソロイシンで置き換える場合
のように置換されるアミノ酸が類似な構造的及び化学的特性を有する。稀に、変
異体が「非保存的」に変化する場合もあり、この非保存的変化の場合は、例えば
グリシンがトリプトファンで置換される。類似した小さな変化として、アミノ酸
の欠失か挿入、若しくはその両方が含まれる。生物学的或いは免疫学的活性を損
なわずに置換、挿入、又は欠失させることができるアミノ酸は何れかということ
は、例えばLASERGENETMソフトウエアのような周知のコンピュータプログラムを
用いて決定することができる。
【0062】 (発明) 本発明は、新規なヒト・カルモジュリン関連タンパク質(CALREP)、C
ALREPをコードするポリヌクレオチド、及び細胞増殖障害、及び神経疾患の
診断、処置、又は予防のためのこれらの組成物の使用法の発見に基づくものであ
る。
【0063】 本発明のCALREPをコードする核酸は、例えばBLASTのようなアミノ酸配
列アライメントのコンピュータ検索を用いて、脳腫瘍cDNAライブラリー(BR
AITUT03)を起源とするインサイト社クローンNo. 2109176において初めに特定さ
れた。コンセンサス配列の配列番号:2は、以下の重複及び/又は延長された核
酸配列、即ちインサイト社クローンNo. 2109176(BRAITUT03が起源)、2653689
(THYMNOT04が起源)、2878785(UTRSTUT05が起源)、及び959509(BRSTTUT03が
起源)から導き出されたものである。
【0064】 或る実施態様では、本発明は、図1A、図1B、図1C、及び図1Dに示す配
列番号:1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを包含する。CALREPは38
6個のアミノ酸からなる長さを有し、62番目のS(以下、「S62」のように
表記する。)、T71、S116、S196、S223、T296、S320、
及びS369に8個のカゼインキナーゼIIリン酸化可能部位を有し、T71、
T97、S116、T296、及びS320に5個のプロテインキナーゼCリン
酸化可能部位を有する。加えて、BLOCKS解析及びPFAM解析の両方の結果から、概
ねN324〜L352の領域内にあるEFハンドモチーフが分かった。EFハン
ドコンセンサスモチーフの1、3、5、7、及び9番目の位置は、CALREP
のD333、E335、S337、Y339、及びD341に保存されている。
EFハンドコンセンサスモチーフの6番目の位置にある保存されるグリシンも、
CALREPにおいてG338に存在する。また二次構造解析の結果から、推定
上のEFハンド隣接領域は、αヘリックスを形成していることが推定される。図
2に示すように、CALREPのEFハンド領域は、NB−1(GI 189081;配
列番号:3)の第3のEFハンドを含む領域との化学的及び構造的類似性を有す
る。図2において、CALREP及びNB−1の関連するEFハンド領域のみが
示されており、またアミノ酸残基は配列表の全タンパク質配列におけるそれらの
位置に基づいて番号付けされていることに注意されたい。CALREPとNB−
1は、図示された領域内で30%の配列同一性を共有している。加えて、CAL
REPのS196及びS369におけるリン酸化可能部位がNB−1で保存され
ている。CALREPの概ね21〜30番目のアミノ酸にある独特な配列の領域
は、配列番号:2の概ね149〜178番目のヌクレオチドの断片によってコー
ドされている。ノーザン法による解析の結果から、様々なライブラリーにおける
この配列の発現が分かる。そのようなライブラリーの少なくとも67%は癌性又
は増殖性組織関連のものであり、少なくとも39%は免疫応答関連のものである
。加えて、CALREPを発現するライブラリーの22%は生殖組織に由来する
ものであり、22%は神経組織、具体的にはアルツハイマー病及び腫瘍関連脳組
織に由来するものである。
【0065】 また本発明は、CALREPの変異体を包含する。好ましいCALREP変異
体は、CALREPの機能的又は構造的特徴の少なくとも1種類を有し、CAL
REPアミノ酸配列と、少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90
%、最も好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するものであ
る。
【0066】 また本発明は、CALREPをコードするポリヌクレオチドを包含する。特定
の実施態様では、本発明は、CALREPをコードする配列番号:2の配列を含
むポリヌクレオチド配列を包含する。
【0067】 また本発明は、CALREPをコードするポリヌクレオチド配列の変異体を包
含する。詳述すると、そのような変異体ポリヌクレオチド配列は、CALREP
をコードするポリヌクレオチド配列との、少なくとも約80%、より好ましくは
少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のポリヌクレオチド配
列同一性を有する。本発明の特定の実施態様は、配列番号:2の配列との、少な
くとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくと
も約95%のポリヌクレオチド配列同一性を有する配列番号:2の変異体を包含
する。上述のポリヌクレオチド変異体の何れも、CALREPの機能的又は構造
的特徴の少なくとも1種類を有するアミノ酸配列をコードし得る。
【0068】 当業者には理解されるように、遺伝暗号の縮重の結果、任意の既知の自然発生
遺伝子のヌクレオチド配列と最小限の類似性しか有していないものも含めて、多
種のCALREPをコードするヌクレオチド配列が作り出され得る。従って本発
明は、可能なコドン選択に基づく組み合わせを選択することによって作り出され
るあらゆる可能な核酸配列の変異をその範囲に含んでいる。それらの組み合わせ
は、自然発生のCALREPのヌクレオチド配列に適用されるような標準的なト
リプレット遺伝暗号に基づいて作り出されるものであり、このような変異は全て
ここに具体的に開示されたものと考えられたい。
【0069】 CALREPをコードするヌクレオチド配列及びその変異体は、適切に選択さ
れたストリンジェンシーの条件の下で自然発生配列のヌクレオチド配列とハイブ
リダイズ可能であるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを有しているCAL
REP又はその誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であ
り得る。コドンの選択においては、特定のコドンが宿主によって使用される頻度
に従って、特定の原核細胞又は真核細胞の発現宿主におけるペプチド発現の発生
率を高めるように選択することができる。CALREP及びその誘導体をコード
するヌクレオチド配列を、コードされるアミノ酸配列が変わらないように実質的
に改変する他の理由として、例えば自然発生配列から作られる転写物より長い半
減期のような、より望ましい特性を有するRNA転写物を作り出すことが挙げら
れる。
【0070】 本発明の範囲には、CALREP又はその誘導体をコードするDNA配列又は
その断片の、完全な合成ケミストリによる作製も含まれる。作製した後、この合
成遺伝子を、周知の試薬を用いて入手可能な様々な発現ベクター及び細胞系に挿
入することができる。更に、合成ケミストリを用いてCALREPをコードする
配列又はその任意の断片に突然変異を導入することができる。
【0071】 また本発明の範囲に含まれるものとして、様々なストリンジェンシー条件の下
で請求項に記載のポリヌクレオチド配列、特に配列番号:2及び配列番号:2の
断片のポリヌクレオチド配列とハイブリダイズし得るポリヌクレオチド配列があ
る(例えばWahl, G.M. 及びS.L.Berger (1987) Methods Enzymol. 152:399-407;
及びKimmel, A.R. (1987) Methods in Enzymol. 152:507-511参照)。例えば、
ストリンジェントな塩濃度は、通常、約750mM未満のNaCl及び75mM
未満の酢酸3ナトリウム、好ましくは約500mM未満のNaCl及び75mM
未満の酢酸3ナトリウム、最も好ましくは約250mM未満のNaCl及び25
mM未満の酢酸3ナトリウムである。低いレベルのストリンジェントな条件での
ハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドが無い状態で得られ
、高いレベルのストリンジェントな条件でのハイブリダイゼーションは、少なく
とも約35%のホルムアミド、最も好ましくは約50%のホルムアミドの存在下
で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30
℃、より好ましくは少なくとも約37℃、最も好ましくは少なくとも約42℃の
温度である。別のパラメータ、例えばハイブリダイゼーション時間、界面活性剤
、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、及びキャリアDNAの有無等
を変えることも、当業者に公知である。様々なレベルのストリンジェンシーを、
必要に応じて上記の様々な条件を組み合わせることによって達成できる。好まし
い実施態様では、750mMのNaCl、75mMの酢酸3ナトリウム、及び1
%のSDSにおいて30℃で、ハイブリダイゼーションが生ずる。より好ましい
実施態様では、500mMのNaCl、50mMの酢酸3ナトリウム、1%のS
DS、35%のホルムアミド、及び100μg/mlの変性サケ精子DNA(s
sDNA)において37℃で、ハイブリダイゼーションが生ずる。最も好ましい
実施態様では、250mMのNaCl、25mMの酢酸3ナトリウム、1%のS
DS、50%のホルムアミド、及び200μg/mlのssDNAにおいて42
℃で、ハイブリダイゼーションが生ずる。有益なこれらの条件の変更は、当業者
には明らかであろう。
【0072】 ハイブリダイゼーションの後に行われる洗浄過程でも、ストリンジェンシーを
変えることができる。洗浄でのストリンジェンシー条件は、塩濃度によって、及
び温度によって確定することができる。上述のように、洗浄過程でのストリンジ
ェンシーは、塩濃度を下げることによって、又は温度を上昇させることによって
高めることができる。例えば、洗浄過程のストリンジェントな塩濃度は、好まし
くは約30mM未満のNaCl及び3mM未満の酢酸3ナトリウムであり、最も
この好ましくは約15mM未満のNaCl及び1.5mM未満の酢酸3ナトリウ
ムである。洗浄過程のストリンジェントな温度条件は、通常は少なくとも約25
℃、より好ましくは少なくとも約42℃、最も好ましくは少なくとも約68℃で
ある。好ましい実施態様では、洗浄過程を、30mMのNaCl、3mMの酢酸
3ナトリウム、及び0.1%のSDSにおいて42℃で行う。最も好ましい実施
態様では、洗浄過程を、15mMのNaCl、1.5mMの酢酸3ナトリウム、
及び0.1%のSDSにおいて68℃で行う。これらの条件のこの他の変更は、
当業者には明らかであろう。
【0073】 DNAシークエンシングの方法は、周知で当業者が通常利用可能であり、本発
明の実施例の何れかの実施のために用いることができる。この方法では、例えば
DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントであるSequenase(US Biochemical
Corp. Cleveland OH)、Taqポリメラーゼ(Perkin Elmer)、熱安定性T7ポリメ
ラーゼ(Amersham, Chicago IL)、或いはGibco BRL(Gaithersburg MD)から発
売されているELONGASE Amplification Systemに見られるもののような校正エキ
ソヌクレアーゼと組換え体ポリメラーゼとの組み合わせたもののような酵素を用
いることができる。このプロセスは、Hamilton Micro Lab2200(Hamilton, Reno
, NV)、Peltier Thermal Cycler(PTC200;MJ Reserch, Watertown MA)並びに
ABI Catalyst及びABI377及び377 DNAシーケンサ(Perkin Elmer)のような装置
を用いて自動化するのが好ましい。
【0074】 CALREPをコードする核酸配列を、部分的なヌクレオチド配列を利用して
、様々な公知のPCRをベースにした方法を用いて伸長させ、プロモーター及び
調節エレメントのような上流の配列を検出することができる。例えば、使用可能
な方法の一つである制限部位PCR法では、汎用プライマー及び入れ子プライマ
ーを用いてクローニングベクター内のゲノムのDNAから未知の配列を得る(例
えばSarkar, G. (1993) PCR Methods Applic 2:318-322参照)。別の方法である
逆PCR法では、ばらばらな方向に伸長するプライマーを利用して、環状のテン
プレートから未知の配列を増幅する。このテンプレートは、既知のゲノムの座位
及びその周りの配列を含む制限断片に由来するものである。(例えばTriglia, T
.他(1988)Nucleic Acids Res 16:8186参照)。第3の方法であるキャプチャP
CR法では、ヒト及び酵母菌人工染色体DNA内の既知の配列に隣接するDNA
断片をPCRによって増幅する(例えばLagerstrom, M.他(1991)PCR Methods
Applic 1:111-119参照)。この方法では、PCRを行う前に、複数の制限酵素に
よる消化及び連結によってそのDNA分子の未知の断片のなかに、組換え二本鎖
配列を組み入れておくこともできる。未知の配列を釣り上げるために用いること
ができる別の方法も公知となっている(例えばParker, J.D.他 (1991) Nucleic
Acids Res 19:3055-3060参照)。更に、PCR、入れ子プライマー、PromoterFi
nderTMライブラリーを用いて、ゲノムDNA内歩行を行うことができる(Clonte
ch, Palo Alto CA)。このプロセスは、ライブラリーをスクリーニングする必要
がなく、イントロン/エクソン接合部を探し出すのに有用である。全てのPCR
をベースにした方法のために、プライマーを、OLIGO 4.06 Primer Analysis sof
tware(National Biosciences Inc., Plymouth MN)のような市販のソフトウェ
アや他の適切なプログラムを用いて、長さが22〜30ヌクレオチド、GC含量
が50%以上、かつ約68〜72℃の温度で標的配列にアニールするように設計
することができる。
【0075】 完全長cDNAをスクリーニングするときには、より大きなcDNAを含むよ
うにサイズ選択されたライブラリーを用いるのが好ましい。またランダムプライ
ミングした(random primed)ライブラリーは、多くの場合遺伝子の5′領域を
含み、オリゴd(T)ライブラリーでは完全長cDNAが得られない場合に特に
好ましい。またゲノムライブラリーは、転写されない5′調節領域まで配列を延
長するために有用であり得る。
【0076】 シークエンシングやPCRの産物のヌクレオチド配列をサイズ分析したりその
存在を確認するために、市販のキャピラリー電気泳動システムを用いることがで
きる。特に、キャピラリーシークエンシングでは、電気泳動による分離のための
流動性ポリマー、レーザーで活性化される4種の異なる蛍光色素(各ヌクレオチ
ドに対して1種類)を使用し、CCDカメラを用いて放射された波長の検出を行
う。出力/光強度は適切なソフトウエア(例えばPerkin Elmer製のGenotyperTM
及びSequence NavigatorTM)を用いて電気信号に変換され、サンプルの負荷から
コンピュータ解析及び電子データ表示までの全過程がコンピュータ制御される。
キャピラリー電気泳動法は、特定のサンプル内に少量しか存在しないようなDN
Aの小片の配列決定に特に適している。
【0077】 本発明の別の実施例では、CALREPをコードするポリヌクレオチド配列ま
たはその断片を組換えDNA分子に組み入れることにより、適切な宿主細胞内で
のCALREP、その断片または機能的等価物の発現を誘導することができる。
遺伝暗号固有の縮重のために、実質的に同一又は機能的に等価なアミノ酸配列を
コードする他のDNA配列も作り出され得、これらの配列をCALREPの発現
のために用いることができる。
【0078】 本発明のヌクレオチド配列は、様々な目的でCALREPをコードする配列を
改変するために、周知の方法を用いて組換えることができる。この配列改変の目
的としては、限定するものではないが、例えば遺伝子産物のクローニング、プロ
セシング及び/又は発現を変えること等が挙げられる。無作為断片によるDNA
再編成や遺伝子断片及び合成オリゴヌクレオチドのPCRによる再構成(reasse
mbly)によって、ヌクレオチド配列を組換えることができる。例えば、オリゴヌ
クレオチド媒介特定部位突然変異誘発によって、新しい制限部位の挿入、グリコ
シル化パターンの変更、コドン選好の変化、スプライスバリアントの作出、突然
変異の導入その他を達成することができる。
【0079】 本発明の別の実施例では、周知の化学的方法(例えばCaruthers. M.H.他(198
0)Nucl. Acids Res. Symp. Ser. 7:215-223; Horn, T.他(1980)Nucl. Acids
Res. Symp. Ser. 225-232参照)を用いて、CALREPをコードする配列の全
体、或いはその一部を合成することができる。或いは、化学的方法を用いてタン
パク質自体を作り出して、CALREPのアミノ酸配列またはその断片を合成す
ることができる。例えば、様々な固相技術(例えばRoberge, J.Y.他(1995) Scie
nce 269:202-204参照)でペプチド合成を行うことができ、合成の自動化は、例
えばABI 431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を用いることにより達成すること
ができる。更に、CALREPのアミノ酸配列及びその任意の一部を、直接の合
成の際の変更し、かつ/又は他のタンパク質又はその任意の一部の配列と結合す
ることによって、変異体ポリペプチドを作り出すことができる。
【0080】 このペプチドは、分離用高速液体クロマトグラフィーにより実質的に精製する
ことができる(例えば、Chiez, R.M.及びF.Z. Regnier (1990) Methods Enzymol
. 182:392-421参照)。合成されたペプチドの組成は、アミノ酸解析或いはシー
クエンシングにより確認することができる(例えばCreighton T.(1983)Protei
ns Structure and Molecular Principles, WH Freeman and Co., New York, NY
参照)。
【0081】 生物学的に活性なCALREPを発現させるためには、CALREPをコード
するヌクレオチド配列或いはその誘導体を、適切な発現ベクター、即ち適切な宿
主内で挿入されたコーディング配列の転写及び翻訳の調節に必要な配列を含むベ
クターに挿入する。これらの配列としては、例えば、ベクターにおける、及びC
ALREPをコードするポリヌクレオチド配列におけるエンハンサー、構成的及
び誘導的プロモーター、及び5’及び3’末端非翻訳領域のような制御配列が挙
げられる。このようなエレメントの作用の強さや特異性は様々に異なったもので
あり得る。また、CALREPをコードする配列のより効率的な翻訳のためには
、特定の開始シグナルも必要である。このようなシグナルとしては、ATG開始
コドン及び隣接する配列、例えばKozak配列が挙げられる。CALREP及びそ
の開始コドン及び上流の制御配列が適切な発現ベクター内に挿入される場合には
、他の転写または翻訳の制御シグナルは不要である。しかし、コーディング配列
又はその断片のみが挿入される場合には、ATG開始コドンを含む外来の翻訳制御
シグナルを与えなければならない。さらに、全インサートの転写が確実に行われ
るようにするために、開始コドンは正しい読み枠に存在しなければならない。外
来転写エレメント及び開始コドンは、天然及び合成両方の様々な起源に由来する
ものであり得る。使用される特定の細胞系に適切なエンハンサーを含めることに
より、発現の効率を高めることができる(例えば、Scharf,D.他(1994)Results
Probl. Cell Differ. 20:125-162参照)。
【0082】 CALREPをコードする配列及び適切な転写や翻訳の調節領域を含む発現ベ
クターを作製するために、当業者に周知の方法を用いることができる。これらの
方法としては、in vitro組換えDNA技術、合成技術、並びにin vivo遺伝子組
換え技術が含まれる(例えば、Sambrook, J.他(1989)Molecular Cloning, A L
aboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Planview NY, ch. 4, 8及びAus
ubel, F.M.等(1995, 及び定期的な増補) Current Protocol in Molecular Biolo
gy, John Wiley &Sons, New York, NY, ch. 9, 13,及び16を参照)。
【0083】 様々な発現ベクター/宿主系を、CALREPをコードする配列の保持、発現
のために利用することができる。このようなものとしては、以下に限定するもの
ではないが、組換えバクテリオファージ、プラスミド或いはコスミドDNA発現
ベクターで形質転換した細菌のような微生物;酵母菌発現ベクターで形質転換し
た酵母菌;ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫
細胞系;ウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)
、タバコモザイクウイルス(TMV))或いは細菌の発現ベクター(例えばTi、或
いはpBR322プラスミド)で形質転換した植物細胞系;或いは動物細胞系が挙げら
れる。本発明は、使用される宿主細胞によって限定されるものではない。
【0084】 細菌系では、CALREPをコードするポリヌクレオチドの用途に応じて様々
なクローニング及び発現ベクターを選択することができる。例えば、CALRE
Pをコードするポリヌクレオチドのルーチンのクローニング、サブクローニング
、及び成長(propagation)を、例えばBluescript(Stratagene)やpSport1TM
ラスミド(GIBCO BRL)のような多機能大腸菌ベクターを用いて達成することが
できる。ベクターの様々なクローニング部位にCALREPをコードする配列を
組み入れてlacZ遺伝子を壊すことによって、組換え分子を含む形質転換された細
菌を特定するための比色によるスクリーニングを行うことができるようになる。
更に、これらのベクターは、in vitro転写、ジデオキシ法のシークエンシング、
ヘルパーファージによる一本鎖レスキュー(single strand rescue)、及びクロ
ーン化した配列における入れ子欠失の生成のために有用であり得る(例えばVan
Heeke, G.及びS.M. Schuster(1989)J. Biol. Chem. 264:5503-5509)。例えば
抗体産生のために大量のCALREPが必要な場合には、CALREPの高レベ
ルで発現を誘導するベクターを用いることができる。例えば、強い誘導性T5ま
たはT7バクテリオファージプロモーターを含むベクターを用いることができる
【0085】 CALREPの産生のために、酵母菌発現系を用いることもできる。例えばα
因子、アルコールオキシダーゼ、及びPGHのような構成的または誘導的プロモ
ーターを含む様々なベクターを、酵母菌のサッカロミセスセレビシエ(Saccharo
myces cerevisiae)やメタノール資化酵母ピチアパストリス(Pichia pastoris
)において用いることができる。更に、そのようなベクターは、発現されたタン
パク質の細胞外への分泌または細胞内での保持の何れかを誘導し、安定的な発現
のための外来配列の宿主のゲノムへの組み入れを可能にする(例えばAusubel,
前出; 及びGrant他(1987)Methods Enzymol. 153:516-54; Scorer, C.A.他(1994)
Bio/Technology 12:181-184参照)。
【0086】 CALREPの発現のために植物系も用いることができる。例えばCaMVの35S
及び19Sプロモーターのようなウイルスのプロモーターを、単独で、或いはTMV(
Takamatsu,N.他(1987)EMBO J 6:307-311)のオメガリーダー配列と共に用いて
、CALREPをコードする配列の転写を促進することができる。或いは、RUBI
SCOの小サブユニットや熱ショックプロモーターのような植物のプロモーターを
用いてもよい(例えばCoruzzi, G.他(1984)EMBO J 3:1671-1680; Broglie, R.
他(1984)Science 224:838-843; 及びWinter, J.他(1991)Results Probl. Ce
ll Differ. 17:85-105参照)。これらの作製物は、直接的なDNA形質転換或い
は病原体によるトランスフェクションにより植物細胞内に導入できる(例えばHo
bbs, S.又はMurry, L.E. McGraw Hill Yearbook of Science and Technology(1
992)McGraw Hill NY, pp191-196を参照されたい)。
【0087】 哺乳動物の細胞では、多種のウイルスをベースにした発現系を利用することが
できる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合には、CALREPを
コードする配列を、後期プロモーター及び三連リーダー配列(tripartite leade
r sequence)からなるアデノウイルスの転写/翻訳複合体に連結することが可能
である。ウイルスのゲノムの非必須のE1領域又はE3領域へ挿入することによ
り、宿主細胞におけるCALREPを発現する感染性のウイルスが得られる(例
えばLogan, J.及びT. Shenk (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. 81:3655-3659)。
さらに、哺乳類宿主細胞内の発現を増加させるためにラウス肉腫ウイルス(RS
V)エンハンサーのような転写エンハンサーを用いることができる。
【0088】 また、ヒト人工染色体(HAC)を用いることにより、プラスミドに組み入れ
られてそこから発現され得るものより大きいDNAの断片を供給することもでき
る。治療上の目的で、6kb〜10MbのHACを構築し、従来のデリバリー方
法(リポソーム、ポリカチオンのアミノポリマー、又は小胞)を利用して供給す
ることができる。
【0089】 哺乳動物系において長期間にわたる組換えタンパク質の産生を確保するために
は、細胞系におけるCALREPの安定した発現が望ましい。例えば、ウイルス
の複製起源及び/または内在性発現エレメント及び選択マーカー遺伝子を同一の
ベクター上、或いは個別のベクター上に含み得る発現ベクターを用いて、CAL
REPをコードする配列を、細胞系に形質転換することができる。ベクターの導
入の後、細胞を濃縮培地内で概ね1〜2日間増殖させ、次に選択培地に切り替え
る。選択マーカーの目的は、選択薬に対する耐性を与え、その存在に基づいて導
入された配列を間違いなく発現する細胞を増殖させ、回収できるようにすること
である。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、その細胞の型に適した
組織培養技術を用いて増殖させることができる。
【0090】 形質転換された細胞系を回収するために任意の数の選択系を用いることができ
る。選択系としては、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジン
キナーゼ遺伝子(tk)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(
apr)が挙げられ、それぞれtk-又はapr-細胞において用いられる(例えばWigler
, M.他 (1977) Cell 11:223-232、及びLowy, I.他 (1980) Cell 22:817-823参照
)。また代謝拮抗物質、抗生物質或いは除草剤への耐性を選択の基礎として用い
ることができる。例えばdhfrはメトトレキセートに対する耐性を与え、neoはア
ミノ配糖体のネオマイシン及びG−418に対する耐性を与え、als或いはpatは
クロルスルフロン(chlorsulfuron)、ホスフィノトリシンアセチルトランスフ
ェラーゼ(phosphinotricin acetyltransferase)に対する耐性を与える(例え
ば、Wigler, M.他 (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. 77:3567-3570、Colberre-Ga
rapin, F.他 (1981) J. Mol. Biol. 150:1-14、及びMurry (前出)参照)。別の
選択に利用できる遺伝子として、例えば、代謝のために細胞が要求する物質を変
える、trpBやhisDが文献に記載されている(例えばHartman, S.C.及びR.C. Mull
igan(1988)Proc. Natl. Acad. Sci. 85:8047-8051)。可視マーカー、例えば
アントシアニン、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein;GFT)
、β−グルクロニダーゼ及びその基質であるβ−D−グルクロノシド、またはル
シフェラーゼ及びその基質であるルシフェリンを用いてもよい。これらのマーカ
ーは、形質転換体を特定するためばかりでなく、特定の発現ベクター系によ一過
性の或いは安定的なタンパク質発現の量を定量するために藻い入ることができる
(例えばRhodes, C.A.他 (1995) Methods Mol. Biol. 55:121-131)。
【0091】 マーカー遺伝子の発現の存在/不存在によって目的の遺伝子の存在も示唆され
るが、その存在及び発現は確認する必要があることがある。例えばCALREP
をコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入された場合は、CALREPを
コードする配列が組み入れられた形質転換された細胞を、マーカー遺伝子の機能
の欠如に基づいて確認できる。或いは、マーカー遺伝子はCALREPをコード
する配列と直列に配置され得、両者が単一のプロモータの制御下となり得る。誘
導に応じたマーカー遺伝子の発現、即ち選択は、通常、直列に配置された配列の
発現をも同時に表す。
【0092】 一般的に、CALREPをコードする核酸配列を含みCALREPを発現する
宿主細胞は、当業者に周知の様々な方法により同定することができる。このよう
な方法としては、限定するものではないが、DNA−DNA或いはDNA−RN
Aハイブリダイゼーション、PCRによる増幅、及び核酸及びタンパク質を検出
かつ/または定量するための、膜、溶液、或いはチップを用いる技術を含むタン
パク質バイオアッセイ或いはイムノアッセイ等が挙げられる。
【0093】 このタンパク質に特異的なポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体のいず
れかを用いる、CALREPの発現を検出、測定するための免疫学的方法は周知
である。このような方法としては、以下に限定するものではないが、酵素結合免
疫検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光表示式細胞分取器法
(FACS)等が挙げられる。CALREPポリペプチド上の2つの非干渉なエピト
ープに対して反応するモノクローナル抗体を利用する二部位モノクローナルベー
スイムノアッセイ(two-site, monoclonal-based immunoassay)が好適であるが
、競合的結合アッセイを用いてもよい。これらアッセイの並びに他のアッセイは
周知である(例えばHampton, R.他(1990) Serological Methods, a Laboratory
Manual, APS Press, St. Paul MN; Coligan, J.E.他(1997及び定期的に発行され
る補遺)Current Protocols in Immunology, Greene Pub. Associates and Wile
y-Interscience, New York, NY; 及びMaddox, D.E.他(1983) J. Exp. Med. 158:
1211-1216参照)。
【0094】 様々な標識・結合技術が当業者には周知であり、種々の核酸及びアミノ酸のア
ッセイにおいて用いることができる。CALREPをコードするポリヌクレオチ
ドに近縁な配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーションプローブ
・PCRプローブを作製するための手段には、オリゴ標識法、ニックトランスレ
ーション法、末端標識法、或いは標識したヌクレオチドを用いるPCR増幅が含
まれる。或いは、CALREPをコードする配列またはその任意の断片を、mR
NAプローブの作製のためのベクターにクローン化してもよい。そのようなベク
ターは周知で、市販されており、これを用いて例えばT7、T3、或いはSP6
のような適切なRNAポリメラーゼ及び標識されたヌクレオチドを加えることに
よって、in vitroでRNAプローブを合成することができる。これらの方法は、
種々の市販のキット、例えばPharmacia Upjohn(Kalamazoo, MI);Promega(Ma
dison WI);及びU.S. Biochemical Corp.(Cleveland OH)から提供されている
ものを用いて実施することができる。検出を容易にするために用いられ得る適切
なリポーター分子、すなわち標識としては、放射性核種、酵素、フルオレセント
(蛍光剤)、化学発光剤、或いは色素剤や、基質、補助因子、インヒビター、磁
気粒子等が挙げられる。
【0095】 CALREPをコードするヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、こ
のタンパク質を細胞培地で発現させ、そこから回収するのに適した条件の下で培
養することができる。形質転換された細胞により産生されるタンパク質は、用い
られる配列及び/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に保持
される。当業者には理解されるように、CALREPをコードするポリヌクレオ
チドを含む発現ベクターを、原核細胞か真核細胞の細胞膜を通してのCALRE
P分泌を誘導するシグナル配列を含むように設計することができる。
【0096】 加えて、宿主細胞株は、挿入された配列の発現を変調したり、発現したタンパ
ク質を望ましい形にプロセシングする能力ついて選択することができる。このよ
うなポリペプチドの修飾としては、限定するものではないが、アセチル化、カル
ボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)並びにアシル化が
含まれる。またタンパク質の「プレプロ」部分を切り離す翻訳後プロセシングも
、タンパク質のターゲティング、折り畳み、及び/又は作用を特定するために用
いることができる。翻訳後の作用のための特定の細胞装置及び特徴的な機構を有
している種々の宿主細胞(例えばCHO、HeLa、MDCK、293、及びWI38)はAmerican
Type Culture Collection(ATCC; Bethesda, MD)より入手でき、導入される外
来タンパク質の正しい修飾やプロセシングが確実に行われるように、このなかか
ら選択することができる。
【0097】 本発明の別の実施例では、CALREPをコードする、天然の、修飾した、或
いは組換えた核酸配列をヘテロの配列に連結して、上述の宿主系の何れかにおけ
る融合タンパク質の翻訳を生じさせることができる。例えば、市販の抗体によっ
て認識され得る異種分子を含むキメラCALREPタンパク質は、ペプチドライ
ブラリーからのCALREPの活性のインヒビターの選別を促進し得る。そのよ
うな分子としては、限定するものではないが、グルタチオンSトランスフェラー
ゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、チオレドキシン(Trx)、カル
モジュリン結合ペプチド(CBP)、6-His、FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA
)が挙げられる。GST、MBP、Trx、CBP、及び6-Hisによって、それぞれ固定化グ
ルタチオン、マルトース、酸化フェニルアルシン(phenylarsine oxide)、カル
モジュリン、及び金属キレート樹脂の上でのそれらの同属の融合タンパク質の精
製が可能となる。FLAG、c-myc、及び赤血球凝集素(HA)によって、それらのエ
ピトープのタグを特異的に認識する市販のモノクローナル抗体及びポリクローナ
ル抗体を用いた融合タンパク質のイムノアフィニティ精製が可能となる。融合タ
ンパク質を、CALREPをコードする配列とへテロのタンパク質配列との間に
タンパク分解酵素による切断部位を含むように組換えることによって、CALR
EPを、精製の後にヘテロの分子から切り離すことができるようになる。融合タ
ンパク質の発現及び精製のための方法は、Ausubel, F.M.他(1995及び定期的補遺
) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N
Y, ch 10に記載されている。融合タンパク質の発現や精製を速やかに行うために
、様々な市販のキットを用いてもよい。
【0098】 本発明の更に別の実施例では、放射標識したCALREPを、TNTTMウサギ網
状赤血球のライセートまたはコムギ胚芽抽出物系(Promega, Madison, WI)を用
いてin vitroで合成することができる。これらの系は、T7、T3、またはSP
6プロモーターに機能的に関連するタンパク質コーディング配列の転写と翻訳を
結びつける。翻訳は、放射標識したアミノ酸前駆体、好ましくは35S-メチオニン
の存在の下で生じる。
【0099】 CALREPの断片の作製は、組換え体の産生によって行うのみならず、固相
技術を用いた直接のペプチド合成によっても行うことができる(例えばCreighto
n, 前出pp.55-60参照)。タンパク質合成は、手作業により、或いは自動的に行
うことができる。合成の自動化は、例えば、Applied Biosystems 431Aペプチド
合成機 (The Perkin-Elmer Corp., Norwalk, CT) を用いて達成することができ
る。CALREPの様々な断片を個別に合成し、それを連結して完全長分子を作
り出すことができる。
【0100】 (治療) CALREPと、EFハンドドメイン、具体的にはヒト由来のNB−1のEF
ハンドドメイン(GI 189081)との間に化学的及び構造的類似性が存在する。加
えて、CALREPは、増殖中の組織及び神経組織において発現される。従って
、CALREPは、細胞増殖障害及び神経疾患において一定の役割を果たしてい
ると考えられる。
【0101】 従って、或る実施態様では、CALREPの発現の低下に関連する細胞増殖障
害の処置又は予防のために、CALREPまたはその断片若しくは誘導体を患者
に投与し得る。そのような疾患としては、以下に限定するものではないが、動脈
硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液包炎、肝硬変、肝炎、混合型結合組織病
(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間血色素尿症、真性多血症、乾癬、原発性
血小板血症;腺癌、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫のような癌、具体的には、
副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓、腎臓
、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚、脾臓
、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌のような癌;及び白血病、リンパ腫、リウ
マチ性関節炎、皮膚炎、炎症、全身性エリテマトーデス、及び他の自己免疫疾患
のような免疫疾患等を挙げることができる。
【0102】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む細胞増
殖障害の処置又は予防のために、CALREPまたはその断片若しくは誘導体を
発現し得るベクターを患者に投与し得る。
【0103】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む細胞増
殖障害の処置又は予防のために、実質的に精製されたCALREPを適切な医薬
用担体と共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0104】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む細
胞増殖障害の処置又は予防のために、CALREPの活性を変調するアゴニスト
を患者に投与し得る。
【0105】 更に別の実施態様では、CALREPの発現の増加に関連する細胞増殖障害の
処置又は予防のために、CALREPのアンタゴニストを患者に投与し得る。そ
のような疾患としては、限定するものではないが、上に列挙したものを挙げるこ
とができる。或る実施態様では、CALREPに特異的に結合する抗体をアンタ
ゴニストとして直接用いたり、或いはCALREPが発現される細胞又は組織に
薬物を送達するためにターゲティング又はデリバリー機構としてその抗体を間接
的に用いることができる。
【0106】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む細胞増
殖障害の処置又は予防のために、CALREPをコードするポリヌクレオチドに
相補的な分子を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0107】 別の実施態様では、CALREPの発現の低下に関連する神経疾患の処置又は
予防のために、CALREPまたはその断片若しくは誘導体を患者に投与し得る
。そのような疾患としては、以下に限定するものではないが、静座不能、アルツ
ハイマー病、健忘症、筋萎縮性側索硬化症、双極性障害、緊張病、脳新生物、脳
梗塞、痴呆、うつ病、糖尿病性ニューロパシー、ダウン症候群、遅発性ジスキネ
ジア、ジストニー、てんかん、頭部外傷、ハンチントン舞踏病、末梢神経疾患、
多発性硬化症、神経線維腫症、パーキンソン病、妄想性精神病、帯状疱疹後神経
痛、精神分裂病、及びトゥーレット症状群等を挙げることができる。
【0108】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む神経疾
患の処置又は予防のために、CALREPまたはその断片若しくは誘導体を発現
し得るベクターを患者に投与し得る。
【0109】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む神経疾
患の処置又は予防のために、実質的に精製されたCALREPを適切な医薬用担
体と共に含む医薬品組成物を患者に投与し得る。
【0110】 更に別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む神
経疾患の処置又は予防のために、CALREPの活性を変調するアゴニストを患
者に投与し得る。
【0111】 更に別の実施態様では、CALREPの発現の増加に関連する神経疾患の処置
又は予防のために、CALREPのアンタゴニストを患者に投与し得る。そのよ
うな疾患としては、限定するものではないが、上に列挙したものを挙げることが
できる。或る実施態様では、CALREPに特異的に結合する抗体をアンタゴニ
ストとして直接用いたり、或いはCALREPが発現される細胞又は組織に薬物
を送達するためにターゲティング又はデリバリー機構としてその抗体を間接的に
用いることができる。
【0112】 別の実施態様では、限定するものではないが、上に列挙したものを含む神経疾
患の処置又は予防のために、CALREPをコードするポリヌクレオチドに相補
的な分子を発現するベクターを患者に投与し得る。
【0113】 別の実施例では、本発明のタンパク質、アンタゴニスト、抗体、アゴニスト、
相補的配列、又はベクターの何れかを、他の適切な薬剤と組み合わせて投与する
ことができる。当業者であれば、従来の薬学上の原理に基づいて併用療法で用い
るための適切な薬剤を選択することができよう。治療薬を組み合わせることによ
り、上述の様々な疾患の治療又は予防に効果を奏する相乗作用が得られる。この
方法を用いることにより、より低い用量の各薬剤で治療効果を上げることができ
、副作用が生ずる可能性を低下させることができる。
【0114】 CALREPのアンタゴニストは、周知の方法を用いて製造することができる
。詳述すると、精製されたCALREPを用いることによって、抗体を作り出し
たり、或いはCALREPに特異的に結合するものを同定するために薬物のライ
ブラリーをスクリーニングすることができる。CALREPに対する抗体も、周
知の方法を用いて作り出すことができる。このような抗体としては、限定するも
のではないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖
抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーから作られたフラグメ
ントが含まれる。中和抗体(即ち二量体形成を阻害するもの)は治療の用途に特
に好適である。
【0115】 抗体を作り出すため、CALREPか、免疫学的特性を有するその断片或いは
オリゴペプチドを注射することによって、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス等の様
々なホストを免疫化することができる。免疫学的反応を増強するために、ホスト
の種に応じた様々なアジュバントを用いることができる。そのようなアジュバン
トとしては、限定するものではないが、フロイントのアジュバント、水酸化アル
ミニウムのような無機質ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニッ
クポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キー
ホールリンペットヘモシアニン、並びにジニトロフェノール等が挙げられる。ヒ
トで使用するアジュバントのなかでは、BCG(カルメット‐ゲラン杆菌)及び
コリネバクテリウム−パルヴム(Corynebacterium parvum)が特に好適である。
【0116】 CALREPに対する抗体を誘発するために用いられるオリゴペプチド、ペプ
チド、またはその断片は、好ましくは5個以上のアミノ酸、より好ましくは10
個以上のアミノ酸からなるアミノ酸配列を有する。またこれらの配列は、元のタ
ンパク質のアミノ酸配列の一部と同一であり、小形の自然発生の分子の全アミノ
酸配列を含んでいるのが好ましい。CALREPアミノ酸の短いストレッチを、
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)のような他のタンパク質のストレ
ッチと融合し、そのキメラ分子に対する抗体を産生させることができる。
【0117】 CALREPのモノクローナル抗体は、培地内の無制限増殖性細胞系(contin
uous cell line)に抗体分子を産生させる技術を用いて作製できる。このような
技術として、限定するものではないが、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブ
リドーマ技術、及びEBV−ハイブリドーマ技術等が挙げられる(例えば、Kohl
er, G.他(1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D.他 (1985) J. Immunol. Metho
ds 81 :31-42;Cote, R.J.他 (1983) Proc. Natl. Acad. Sci. 80:2026-2030;C
ole, S.P.他 (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120参照)。
【0118】 加えて、適切な抗原特異性並びに生物活性を有する分子を得るための、マウス
抗体遺伝子をヒト抗体遺伝子にスプライシングする技術のような「キメラ抗体」
の産生のために開発された技術を用いることができる(例えば、Morrison,S.L.
他(1984)Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855;Neuberger, M.S.他(1984)
Nature 312:604-608;Takeda, S.他(1985)Nature 314:452-454参照)。或いは
、一本鎖抗体の生成のための周知技術を適用して、周知の方法によりCALRE
Pに特異的な一本鎖抗体を作り出すことができる。関連する特異性を有している
がイディオタイプの構成が異なる抗体は、無作為組み合わせ免疫グロブリンライ
ブラリーからの鎖再編成(chain shuffling)によって作り出すことができる(
例えば、Burton D.R.(1991) Proc. Natl. Acad. Sci. 88:11120-3参照)。
【0119】 また、文献(例えば、Orlandi, R.他(1989), Proc. Natl. Acad. Sci. 86:383
3-3837;Winter, G.他 (1991) Nature 349:293-299参照)に開示されているよう
に、高度に特異的な結合試薬のパネルや組換え免疫グロブリンライブラリーをス
クリーニングすることによって、或いはリンパ球集団でのin vivoの産生を誘導
することによって抗体を作り出すこともできる。
【0120】 CALREPに対する特異結合部位を含む抗体断片を作り出すこともできる。
このような断片としては、以下に限定するものではないが、抗体分子のペプシン
による消化で生成することができるF(ab′)2フラグメントや、F(ab′
2フラグメントのジスルフィド架橋を減らすことにより作り出すことができる
Fabフラグメント等が挙げられる。或いは、所望の特異性を有するモノクロー
ナルFabフラグメントを迅速かつ容易に同定できるように、Fab発現ライブ
ラリーを作製してもよい(例えば、Huse, W.D.他(1989)Science 256:1275-128
1参照)。
【0121】 様々なイムノアッセイを、所望の特異性を有する抗体を同定するためのスクリ
ーニングに利用することができる。確立された特異性を有するモノクローナル抗
体或いはポリクローナル抗体のいずれかを用いる競合的結合アッセイ或いはラジ
オイムノアッセイの、様々なプロトコルが当分野で周知である。このようなイム
ノアッセイでは、CALREPとその特異的抗体との複合体の形成量の測定を行
う。2つの互いに非干渉なエピトープに反応するモノクローナル抗体を用いる二
部位モノクローナル抗体ベースイムノアッセイ(two sites monoclonal based i
mmunoassay)が好適であるが、競合的結合アッセイを用いてもよい(Maddox, 前
出)。
【0122】 本発明の別の実施例では、CALREPをコードするポリヌクレオチド、また
はその任意の断片や相補配列を、治療上の目的で用いることができる。或る実施
態様では、mRNAの転写を阻害することが望ましいような状況において、CA
LREPをコードするポリヌクレオチドに対する相補配列を用いることができる
。詳述すると、CALREPをコードするポリヌクレオチドに相補的な配列で細
胞を形質転換することができる。従って、相補的分子または断片を用いて、CA
LREPの活性を変調、即ち遺伝子の機能を調節することができる。このような
技術は現在周知であり、センス又はアンチセンスオリゴヌクレオチド、若しくは
より大きな断片は、CALREPコーディング配列のコード領域や調節領域の様
々な位置から設計することができる。
【0123】 レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス或いはワクシニアウイルス由来の
発現ベクター、或いは種々の細菌性プラスミドに由来する発現ベクターを、標的
の器官、組織、または細胞群へのヌクレオチド配列の送達のために用いることが
できる。CALREPをコードする遺伝子のポリヌクレオチドに相補的な核酸配
列を発現するベクターは、当業者に周知の方法を用いて作製することができる(
例えば、Sambrookら(前出)及びAusubelら(前出)参照)。
【0124】 CALREPをコードするポリヌクレオチドまたはその断片を高レベルで発現
する発現ベクターで細胞または組織を形質転換することにより、CALREPを
コードする遺伝子を機能停止させることができる。このような作製物を用いて、
翻訳不可能なセンス配列或いはアンチセンス配列を細胞に導入することができる
。このようなベクターは、DNAへ組み入れられない場合でも、そのベクターが
内在性ヌクレアーゼにより破壊されるまでRNA分子の転写を続ける。このよう
な一過性の発現は、非複製ベクターでも1ヶ月以上、適当な複製エレメントがベ
クター系の一部である場合には更に長い期間継続し得る。
【0125】 上述のように、CALREPをコードする遺伝子の制御領域、5′領域、また
は調節領域(シグナル配列、プロモーター、エンハンサー、及びイントロン)に
相補的な配列、即ちアンチセンス分子(DNA、RNAまたはPNA)を設計す
ることにより遺伝子の発現の仕方を変えることができる。転写開始部位、例えば
開始部位の概ね+10〜−10の間の位置にある領域に由来するオリゴヌクレオ
チドが好適である。同様に、三重らせん塩基対合法を用いて阻害を達成すること
ができる。三重らせん対合が有用なのは、二重らせんがポリメラーゼ、転写因子
、或いは調節分子の結合のために十分にほどける能力を、それが阻害するからで
ある。三重らせんDNAを用いた最近の治療上の進歩については、文献に記載さ
れている(例えば、Huber, B.E.及びB.I. Carr, Molecular and Immunologic Ap
proaches, Futura Publishing Co, Mt Kisco NYにおけるGee, J.E.他(1994)参照
)。また、転写物のリボソームへの結合を妨げてmRNAの転写を阻害するため
に、相補的配列、即ちアンチセンス分子を設計することもできる。
【0126】 酵素性RNA分子であるリボザイムを、RNAの特異的切断を触媒するために
用いることもできる。リボザイムの作用機構では、リボザイム分子が相補的標的
RNAに配列特異的にハイブリダイズし、その後エンドヌクレアーゼによる切断
(endonucleolytic cleavage)がなされる。使用できるリボザイムの例として、
CALREPをコードする配列のエンドヌクレアーゼによる切断を特異的かつ効
果的に触媒し得る人工合成のハンマーヘッド型リボザイム分子がある。
【0127】 標的となり得るRNA内の特異的なリボザイム切断部位を、初めに、標的の分
子における配列GUA、GUU並びにGUCを含むリボザイム切断部位をスキャンするこ
とによって同定する。一旦同定されれば、切断部位を含む標的遺伝子の領域に対
応する15〜20個のリボヌクレオチドからなる短いRNA配列について、その
オリゴヌクレオチドの機能を停止させる2次構造の特徴を評価することができる
。候補の標的の適切性も、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ(ribonucl
ease protection assay)によって、相補的なオリゴヌクレオチドとのハイブリ
ダイゼーションについての接触性(accessibility)を測定することにより評価
することができる。
【0128】 本発明の相補的リボ核酸分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための周知
の方法により作製することができる。これらの技術としては、固相ホスホラミダ
イト化学合成法のようなオリゴヌクレオチドの化学合成技術等がある。或いは、
RNA分子は、in vivo及びin vitroでのCALREPをコードするDNA配列
の転写により作り出すことができる。このようなDNA配列は、T7或いはSP
6のような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを有する様々なベクターに組
み入れることができる。或いは、構成的RNAを合成するcDNA作製物を、細
胞系、細胞或いは組織内に導入することができる。
【0129】 RNA分子はその細胞内での安定性を高めたり、半減期を長くするために修飾
することができる。可能な修飾としては、限定するものではないが、その分子の
5′末端か3′末端、或いはその両方へのフランキング配列の付加や、分子のバ
ックボーン内でホスホジエステラーゼ結合ではなくホスホロチオネート(phosph
orothioate)或いは2′O−メチルを使用すること等が挙げられる。この方式(
concept)は本来PNAの作製において用いられるもので、以下のようにこれら
の分子全てに拡張することができる。即ち、内在性エンドヌクレアーゼにより容
易に認識されないアデニン、グアニン、シチジン、チミン、及びウリジンの、ア
セチル−、メチル−、チオ−形態、及び類似の形態の修飾によるだけでなく、イ
ノシン、キュエオシン(queosine)、及びワイブトシン(wybutosine)のような
従来あまり用いられなかった塩基を含めることによって、これら分子全てにこの
方式を拡張することができる。
【0130】 細胞或いは組織内にベクターを導入するための多くの方法が利用可能であり、
それらの方法は、in vivoin vitro、及びex vivoでの使用についても同様に適
している。ex vivo治療の場合には、患者から採取された幹細胞にベクターを導
入し、自家移植用にクローンとして増殖して同じ患者に戻す方法がある。またト
ランスフェクションによるデリバリー、リポソーム注入またはポリカチオンアミ
ノポリマーによるデリバリー(Goldman, C.K.他(1997) Nature Biotechnology 1
5:462-66; 引用により本明細書の一部とする)は、当分野で周知の方法を用いて
実施することができる。
【0131】 上述の治療法の何れも、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サル、及び
最も好ましくはヒトのような哺乳動物を含む、任意の適切な被験体に適用するこ
とができる。
【0132】 本発明の更に別の実施例では、上述の治療効果をあげるために、医薬品組成物
を医薬上許容される担体とともに投与する。このような医薬品組成物は、CAL
REP、CALREPに対する抗体、CALREPの模擬体(mimetics)、アゴ
ニスト、アンタゴニスト、又はインヒビターからなるものであり得る。この医薬
品組成物は、単独で、或いは例えば安定化剤のような1種以上の他の薬剤ととも
に、滅菌した生体適合性の医薬用担体を用いて投与する。このような担体として
は、限定はしないが、生理食塩水、緩衝食塩水、ブドウ糖或いは水等が挙げられ
る。このような組成物は、単体で、或いは他の薬剤やホルモンと組み合わせた形
で患者に投与することができる。
【0133】 本発明で用いられる医薬品組成物の投与経路としては、以下に限定するもので
はないが、経口投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、髄内投与、髄腔内投
与、心室内投与、経皮投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、経腸投与、局
所投与、舌下投与、或いは直腸内投与等が挙げられる。
【0134】 これらの医薬品組成物は、主成分に加えて、作用物質を医薬上使用可能な製剤
にするための処理を容易にする、賦形剤及び添加剤のような適切な医薬上許容さ
れる担体を含み得る。調合或いは投与に関する技術の詳細は、Remington's Phar
maceutical Sciences(Maack Publishing Co, Easton PA)の最新版において見
ることができる。
【0135】 経口投与用の医薬品組成物は、当分野で周知の医薬上に許容される担体を用い
て適切な剤形に製剤することができる。このような担体により、この医薬品組成
物を、患者が服用するための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤
、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等に製剤することができる。
【0136】 経口投与するための医薬製剤は、主成分と固形の賦形剤とを組み合わせた上で
、所望に応じて得られた混合物を粉砕し、錠剤或いは糖衣剤コア(dragee core
)を作るために、(所望に応じて粉砕した後に)顆粒の混合物を加工することに
よって得られる。必要ならば適切な添加剤を添加することができる。適切な添加
剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール或いはソルビトールを含む
砂糖のような糖質或いはタンパク質の賦形剤(filler)、トウモロコシ、コムギ
、コメ、ジャガイモ等のデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース或いはカルボキシルメチルセルロースナトリウムのようなセルロー
ス、アラビアゴム或いはトラガカントのようなゴム、並びにゼラチン或いはコラ
ーゲンのようなタンパク質がある。必要ならば、崩壊剤または可溶化剤、或いは
橋かけ結合したポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸ナトリウムのようなア
ルギン酸或いはアルギン酸ナトリウムのようなその塩を加えてもよい。
【0137】 糖衣剤コアは、濃縮砂糖溶液等により適切な錠皮を塗布して用いられる。錠皮
を作るための溶液としては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カ
ルボポルゲル剤、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカ
ー溶液及び適切な有機溶剤或いは溶剤混合物等が挙げられる。錠剤の識別のため
、或いは主成分の量即ち投与量を表示するために染料或いは色素を錠剤或いは錠
皮に加えてもよい。
【0138】 経口投与可能な製剤は、ゼラチンからなるプッシュフィットカプセル、ゼラチ
ンからなる柔軟な密封されたカプセル、並びにグリセロール或いはソルビトール
のような錠皮を有する。プッシュフィットカプセルは、ラクトース或いはでんぷ
んのような賦形剤或いは結合剤、タルク或いはステアリン酸マグネシウムのよう
な潤滑剤、並びに所望に応じて安定化剤と混合された主成分を含み得る。柔軟な
カプセルでは、主成分が、安定化剤とともに或いは安定化剤なしで、脂肪油、液
体パラフィン、液体ポリエチレングリコールのような適切な液体に溶解或いは懸
濁されている。
【0139】 非経口投与用の医薬製剤は、水溶液、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液
或いは生理緩衝食塩水のような生理学的に適合性の緩衝液において配合すること
ができる。水性の注射用懸濁剤には、 例えばカルボキシルメチルセルロースナ
トリウム、ソルビトール或いはデキストランのような懸濁剤の粘性を高める物質
を含めることができる。更に、主成分の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁剤とし
て調製することができる。適切な親油性の溶媒或いは担体としては、胡麻油のよ
うな脂肪油や、オレイン酸エチル、トリグリセリド或いはリポソームのような合
成脂肪酸エステルがある。脂質でないポリカチオンのアミノポリマーをデリバリ
ーのために用いることもできる。懸濁剤には、溶解度を高め濃縮度の高い溶液の
調製を可能にする適切な薬剤または安定剤を、所望に応じて加えることができる
【0140】 局所適用または経鼻粘膜投与用には、浸透される特定の障壁に対して適切な浸
透剤を用いて製する。このような浸透剤は、当技術分野において周知である。
【0141】 本発明の医薬品組成物は周知の方法、例えば従来通りの混合、溶解、顆粒化、
糖衣形成、微粒子化(levigating)、乳化、カプセル化、捕捉(entrapping)、
或いは凍結乾燥により製造される。
【0142】 この医薬品組成物は塩として提供することもでき、限定するものではないが塩
酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等を含む種々の酸とともに
形成することができる。塩は、水性或いはプロトニック溶剤において、対応する
フリーの塩基形態より可溶性が高くなる傾向がある。この他、好ましい製剤には
、pH4.5〜5.5の範囲にあって、使用前に緩衝剤を配合した、1mM〜5
0mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、及び2%〜7%のマンニトール
の全てまたは何れかを含む凍結乾燥粉末がある。
【0143】 医薬品組成物は、調製した後に適切な容器内に入れ、さらに提示した状態の処
置に用いられるようにラベル付けすることができる。CALREPの投与の場合
、このようなラベルには、投与の量、頻度、及び方法が表示される。
【0144】 本発明において使用するために適切な医薬品組成物は、有効成分を所望の目的
を達成するために有効な量含む組成物である。有効な量の決定は、当業者の能力
の範囲内で十分行うことができる。
【0145】 あらゆる化合物について、治療上有効な量は、初めに、新生物細胞、或いは通
常マウス、ウサギ、イヌ、ブタのような動物モデルの何れかの細胞培地のアッセ
イから推定することができる。この動物モデルを、適切な濃度範囲や投与経路を
決定するために用いることもできる。次に、このような情報を利用して、ヒトに
おける有効な量や投与経路を決定することができる。
【0146】 治療上有効な量とは、症状や状態を改善する有効成分、例えばCALREPま
たはその断片、CALREPの抗体、CALREPのアゴニスト、アンタゴニス
ト、またはインヒビターの量である。そのような化合物の治療上の有効性及び毒
性は、細胞培地における或いは実験動物を用いた標準的な薬学的手順によって、
例えばED50(集団の50%における治療上の有効量、50%有効量)及びL
D50(集団の50%の致死投与量)として決定することができる。毒性と治療
有効性との間の投与量の比は治療指数であり、LD50/ED50の比として表
すことができる。大きな治療指数を示す医薬品組成物が好ましい。これらの細胞
培地のアッセイ及び動物研究から得られるデータは、ヒトでの使用における投与
量の範囲を決める際に利用することができる。そのような化合物の投与量は、毒
性がほとんど或いは全くなく、ED50を達成する循環濃度の範囲内にあること
が望ましい。投与量は、用いられる剤形、患者の感受性並びに投与経路に応じて
この範囲内で変わってくる。
【0147】 正しい投与量は、処置が必要な患者に関連する要因を考慮して担当医師が選択
する。用量及び投与は、主成分を十分なレベルだけ与え、かつ所望の効果を維持
するべく調節する。考慮すべき要素としては、疾病状態の重症度、患者の全身の
健康状態、患者の年齢、体重、並びに性別、食事、投与の時間及び頻度、併用す
る薬剤、反応感受性、並びに治療に対する耐性/反応等が挙げられる。長期的に
作用する医薬品組成物は、その特定の製剤のクリアランス率に応じて、3〜4日
毎に、1週間毎に、或いは2週間に1度投与することができる。
【0148】 通常の投与量は0.1〜100,000μgの範囲にあって、全投与量は最大
約1gであり、投与経路に応じて変わってくる。特定の投与量或いはデリバリー
方法に関する手引きは、当分野の実施者が通常入手できる文献に見出すことがで
きる。当業者であれば、ヌクレオチドでは、タンパク質やインヒビター用の剤形
とは異なる剤形を採用するであろう。同様に、ポリヌクレオチドまたはポリペプ
チドのデリバリーの方式は、特定の細胞、状態、位置等によって決まってくる。
【0149】 (診断) 別の実施例では、CALREPに特異的に結合する抗体を、CALREPの発
現によって特性化される疾病の診断、或いは、CALREPやCALREPのア
ゴニスト、アンタゴニスト、またはインヒビターで治療を受けている患者のモニ
タリングのためのアッセイにおいて用いることができる。診断のために有用な抗
体は、上述の治療用のものと同一の方法で作り出すことができる。CALREP
の診断アッセイとして、ヒトの体液、細胞或いは組織の抽出物においてCALR
EPを検出するために抗体或いは標識を利用する方法がある。この抗体は、修飾
して用いても、修飾なしで用いてもよく、共有結合または非共有結合の何れかで
リポーター分子と結合させることにより標識することができる。幾つかは上記し
たが種々のリポーター分子が知られており、それを用いることができる。
【0150】 例えばELISA(酵素結合免疫測定法)、RIA(ラジオイムノアッセイ)
並びにFACS(蛍光表示式細胞分取器法)のようなCALREPを測定するた
めの種々のプロトコルが当分野では周知であり、これによってCALREP発現
の変化や異常を診断するための基礎が得られる。CALREPの発現の正常値、
即ち標準値は、哺乳動物、好ましくはヒトの正常な被験者から得られる体液或い
は細胞抽出物とCALREPの抗体とを、複合体形成に適した条件の下で結合さ
せることによって確立する。標準の複合体形成量は、様々な方法、好ましくは測
光手段を用いることにより定量することができる。被験者の生検組織の患部組織
サンプル及び対照サンプルにおいて発現されたCALREPの量を、標準値と比
較する。標準値と被験者の値との偏差から、疾病の診断のためのパラメータを確
立する。
【0151】 本発明の別の実施例では、CALREPをコードするポリヌクレオチドを診断
目的で用いることができる。使用できるポリヌクレオチドとしては、オリゴヌク
レオチド配列、相補的RNA及びDNA分子、及びPNA等がある。このポリヌ
クレオチドは、CALREPの発現が疾病と関係がある可能性がある生検組織に
おける遺伝子発現を検出し、定量するために用いられる。診断アッセイは、CA
LREPが存在する状態か、存在しない状態か、過剰発現している状態の何れの
状態にあるかを区別したり、治療的な介入においてCALREPレベルの調節を
モニタリングするために利用することができる。
【0152】 或る実施態様では、CALREPまたは近縁な分子をコードする、ゲノム配列
を含むポリヌクレオチド配列を検出できるPCRプローブとのハイブリダイゼー
ションを利用して、CALREPをコードする核酸配列を同定することができる
。そのプローブの特異性、即ちそのプローブが非常に高度に特異的な領域(例え
ば5′調節領域における10個の独特のヌクレオチド)、或いは特異性の低い領
域(例えば特に3′コーディング領域)の何れに由来するのかということ、及び
ハイブリダイゼーション或いは増幅の(高い、中程度の或いは低い)ストリンジ
ェンシーにより、そのプローブが自然発生CALREPのみを同定するものであ
るか、或いはアレル配列や近縁な配列も同定するものであるかが決まる。
【0153】 プローブは、近縁な配列を検出するためにも用いることができ、好ましくは、
CALREPをコードする任意の配列に基づくヌクレオチドを少なくとも50%
含むべきである。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはR
NAであり得、また配列番号:2の配列か、自然発生CALREP遺伝子のイン
トロン、プロモータ、及びエンハンサーエレメントを含むゲノムの配列に由来す
るものであり得る。
【0154】 CALREPをコードするDNAに対して特異的なハイブリダイゼーションプ
ローブを作製するための手段としては、CALREPやCALREP誘導体をコ
ードする核酸配列を、mRNAプローブ生成のためのベクターにクローン化する
方法がある。このようなベクターは周知で市販されており、適切なRNAポリメ
ラーゼや適切な標識ヌクレオチドを付加することによりin vitroでのRNAプロ
ーブ合成のために用いることができる。ハイブリダイゼーションプローブは様々
なリポータ分子により標識することができる。例えば、32Pや35Sのような放射
性核種により、アビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合するアルカリ
ホスファターゼのような酵素標識等により標識することができる。
【0155】 CALREPをコードするポリヌクレオチド配列を、CALREPの発現に関
連する疾患の診断のために用いることができる。そのような疾患の例としては、
以下に限定するものではないが、 動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、滑液包炎、肝硬変、肝炎、混合型結合
組織病(MCTD)、骨髄線維症、発作性夜間血色素尿症、真性多血症、乾癬、
原発性血小板血症;腺癌、黒色腫、骨髄腫、肉腫、奇形癌腫のような癌、具体的
には、副腎、膀胱、骨、骨髄、脳、乳房、子宮頚、胆嚢、神経節、胃腸管、心臓
、腎臓、肝臓、肺、筋肉、卵巣、膵臓、副甲状腺、陰茎、前立腺、唾液腺、皮膚
、脾臓、精巣、胸腺、甲状腺、及び子宮の癌のような癌;及び白血病、リンパ腫
、リウマチ性関節炎、皮膚炎、炎症、全身性エリテマトーデス、及び他の自己免
疫疾患のような免疫疾患等の細胞増殖障害;及び 静座不能、アルツハイマー病、健忘症、筋萎縮性側索硬化症、双極性障害、緊
張病、脳新生物、脳梗塞、痴呆、うつ病、糖尿病性ニューロパシー、ダウン症候
群、遅発性ジスキネジア、ジストニー、てんかん、頭部外傷、ハンチントン舞踏
病、末梢神経疾患、多発性硬化症、神経線維腫症、パーキンソン病、妄想性精神
病、帯状疱疹後神経痛、精神分裂病、及びトゥーレット症状群のような神経疾患
を挙げることができる。CALREPをコードするポリヌクレオチド配列を、患
者の組織や体液を利用する、サザンブロット法或いはノーザンブロット法、ドッ
トブロット法或いは他の膜をベースにした技術や、PCR技術、ディップスティ
ック試験法(試験紙法)、ピン技術、及びELISAアッセイや、或いはマイク
ロアレイにおいて用いることによって、CALREP発現の変化を検出すること
ができる。このような定性的或いは定量的試験法は当分野では周知である。
【0156】 特定の実施態様では、特に上に列挙したもののような関連疾患の存在を検出す
るアッセイにおいてCALREPをコードするヌクレオチド配列が有用であり得
る。CALREPをコードするヌクレオチド配列を標準的な方法で標識し、ハイ
ブリダイゼーション複合体の形成に適した条件の下で患者の体液や組織サンプル
に加えることができる。適当なインキュベーション時間の経過後、このサンプル
を洗浄し、シグナルを定量して標準値と比較する。生検サンプルまたは抽出サン
プルにおけるシグナルの量が、比較できる対照サンプルのシグナル量と有意に異
なっている場合、このヌクレオチド配列はサンプルのヌクレオチド配列とハイブ
リダイズしており、サンプルのなかのCALREPをコードするヌクレオチド配
列のレベルの変化が生じていることは、関連する疾患の存在を示している。この
ようなアッセイは、動物実験、臨床試験、または個々の患者の治療のモニタリン
グにおいて特定の治療上の処置の有効性を評価するために用いることもできる。
【0157】 CALREPの発現に関連する疾病の診断の基礎とするために、正常な、即ち
標準の発現プロフィールを確立する。この標準プロフィールは、動物或いはヒト
何れかの正常な被験者から採取された体液或いは細胞の抽出物を、ハイブリダイ
ゼーション或いは増幅に適した条件下でCALREPをコードする配列又はその
断片と結合することにより確立し得る。標準のハイブリッド形成量は、既知の量
の実質的に精製されたCALREPが用いられる実験で得られる値と、正常被験
者で得られる値とを比較することにより定量することができる。正常なサンプル
から得られた標準値は、疾病の症状を呈する患者のサンプルから得られる値と比
較することができる。標準値と被験者値との偏差を用いて疾病の存在を確認する
【0158】 一旦疾患が確認され、治療プロトコルが開始されると、ハイブリダイゼーショ
ンアッセイを定期的に反復して行って、患者における発現のレベルが正常な患者
において観察されるレベルに近づき始めたか否かを評価することができる。継続
的なアッセイから得られる結果を用いて、数日間或いは数ヶ月にわたる期間での
治療の効果を知ることができる。
【0159】 癌については、患者の生検組織において転写物が異常な量で存在することが、
疾病の発生の素因を示す。つまり実際の臨床的症状が現れる前に疾病を検出する
手段となり得る。このタイプの確定診断により、医療従事者が予防的処置を講じ
たり、より早期に積極的な治療を開始し、癌の発生や更なる進行を予防すること
が可能となる。
【0160】 CALREPをコードする配列から設計されたオリゴヌクレオチドの別の診断
目的の使用法では、PCR法での利用があり得る。このようなオリゴマーは化学
的に合成したり、酵素を用いて作製したり、或いはin vitroで作製することがで
きる。オリゴマーは、好ましくは、CALREPをコードするポリヌクレオチド
の断片又はCALREPをコードするポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオ
チドを含み、特定の遺伝子或いは状態を特定するために最適な条件下で用いられ
る。また、オリゴマーは、近縁なDNAまたはRNA配列の検出または定量のた
め低い厳密さの条件の下で用いることもできる。
【0161】 CALREPの発現を定量するために用いることができる方法として、放射標
識(radiolabeling)或いはビオチン標識したヌクレオチドの利用、対照の核酸
の同時増幅(coamplification)の利用、並びに実験結果を補完して引かれた標
準のグラフ曲線の利用等がある(例えば、Melby, P.C.他(1993) J. Immunol. Me
thods, 159:235-44;Duplaa, C.他(1993) Anal. Biochem. 229-236参照)。多数
のサンプルの定量では、目的のオリゴマーが複数の希釈溶液中に存在し、分光光
度計を用いたり比色定量により迅速に定量することができるようなELISA形
式のアッセイを行うことによって一層定量のスピードを上げることができる。
【0162】 別の実施例では、ここに開示するポリヌクレオチド配列の何れかに由来するオ
リゴヌクレオチドまたはより大形の断片を、マイクロアレイにおけるターゲット
(標的)として用いることができる。マイクロアレイを用いることにより、多く
の遺伝子の発現レベルを同時にモニタし(転写物イメージを生成する)、また遺
伝子の変異体、変異及び多型を同定することができる。この情報は、遺伝子の機
能の決定や、疾病の遺伝的な基礎の理解、疾病の診断、及び治療薬の開発やその
活性のモニタリングのために利用することができる。
【0163】 マイクロアレイを準備し、周知の方法を用いて解析してもよい(例えば、Bren
nan, T.M.ら(1995)米国特許No. 5,474,796; Schena, M.ら (1996) Proc. Natl.
Acad. Sci. 93: 10614-10619; Baldeschweilerら, (1995) PCT出願WO95/251116;
Shalon, Dら(1995) PCT出願WO95/35505; Heller, R.A.ら(1997) Proc. Natl. A
cad. Sci. 94:2150-2155; Heller, M.J.ら(1997)米国特許No. 5,605,662参照)
【0164】 本発明の別の実施例では、CALREPをコードする核酸配列を用いて、自然
発生のゲノム配列マッピングのために有用なハイブリダイゼーションプローブを
作り出すこともできる。この配列は、特定の染色体、染色体の特定の領域、又は
人工染色体作製物にマッピングし得る。人工染色体作製物としては、例えばヒト
人工染色体(HACs)、酵母菌人工染色体(YACs)、細菌人工染色体(B
ACs)、細菌性P1作製物又は単染色体cDNAライブラリー等がある(例え
ば、Price, C.M. (1993) Blood Rev. 7:127-134, 及びTrask, B.J. (1991) Tren
ds Genet. 7:149-154参照)。
【0165】 蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は、他の物理的染色体マッ
ピング技術及び遺伝子地図データと相互関係を有し得る(Meyers, R. A. (ed.)
Molecular Biology and Biotechnology, VCH Publishers New York, NY, pp. 96
5-968に記載のHeinz-Ulrichら (1995)参照)。遺伝子地図データの例は、種々の
科学誌や、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)に見ることができる
。物理的染色体地図上でのCALREPをコードする配列の位置と特定の疾病(
または特定の疾病の素因)との相関関係を助けとして、或る遺伝病に関連するD
NAの領域を決定することができる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常
者、キャリア、または患者の遺伝子配列の違いを検出することができる。
【0166】 染色体調製物のin situハイブリダイゼーションや、確立された染色体マーカ
ーを用いる連鎖解析のような物理的マッピング技術を、遺伝子地図を拡大するた
めに用いることができる。多くの場合、特定のヒト染色体の数やアームが未知で
あっても、マウスのような別の哺乳動物の染色体上の遺伝子配置から、関連する
マーカーがわかる。新たな配列は、物理的マッピングにより染色体のアームまた
はその一部へ割当てることができる。これにより、位置クローニング或いは他の
遺伝子発見技術を用いて疾病遺伝子を調査する研究者に貴重な情報を提供するこ
とができる。例えば毛細血管拡張性運動失調(AT)が11q22-23に位置決定された
ように(例えば、Gatti, R.A.他(1988)Nature 336:577-580参照)、一旦疾患
或いは症候群が特定のゲノム領域に粗く位置決定されたならば、その領域にマッ
ピングされる任意の配列は、さらなる研究のための関連する遺伝子、或いは調節
遺伝子を表し得ることになる。本発明のヌクレオチド配列を、転座、逆位等によ
って生じた、正常者、キャリア、及び患者の間の染色体の位置の違いを検出する
ために用いることもできる。
【0167】 本発明の別の実施例では、CALREPや、その触媒作用性または免疫原性断
片、オリゴペプチドを、様々な薬物スクリーニング技術において化合物のスクリ
ーニングのために用いることができる。このようなスクリーニングにおいて用い
られる断片は、溶液に遊離した形態で存在するか、固体支持体へ付着した形態で
存在するか、細胞表面へ付着した形態で存在するか、或いは細胞内に存在するも
のであり得る。CALREPと試験対象の薬剤との結合複合体形成を測定するこ
とができる。
【0168】 別の薬物スクリーニング技術によって、対象のタンパク質に対する適切な結合
親和性を有する化合物の高スループットのスクリーニングを行うことができる(
例えば、Geysenら (1984) PCT出願WO84/03564参照)。この方法では、CALR
EPに適用する場合、多数の異なる小形の試験対象の化合物を、プラスチックピ
ン或いは他の表面のような固体基板上で合成する。この試験対象の化合物をCA
LREP又はその断片と反応させ、洗浄する。次に結合したCALREPを当分
野で周知の方法により検出する。また、前述の薬物スクリーニング技術において
使用するために、精製したCALREPをプレート上に直接コーティングするこ
ともできる。或いは、非中和抗体を用いてペプチドを捕捉し、固体支持体上に固
定することができる。
【0169】 別の実施例では、CALREPに結合し得る中和抗体が、CALREPとの結
合について試験対象の化合物と特異的に競合する競合的薬物スクリーニングアッ
セイを用いることができる。この方法では、抗体を用いて、CALREPの1ま
たは2以上の抗原決定基を共通に有する任意のペプチドの存在を検出することが
できる。
【0170】 更に別の実施例では、現在までに開発されていない分子生物学上の技術であっ
ても、その新技術がヌクレオチド配列の現在までに知られている特性(例えば、
以下に限らないが、トリプレット遺伝暗号及び特異的塩基対合のような特性)に
基づく技術であるならば、その技術においてCALREPをコードするヌクレオ
チド配列を用いることができる。
【0171】 以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、本発明をこの実施例に限定しよ
うとするものではない。
【0172】
【実施例】
1 cDNAライブラリーの作製 BRAITUT03 cDNAライブラリーを、脳髄膜病巣の切除術の際に、年齢17歳
の白人女性の左前葉から採取された脳腫瘍組織から単離されたRNAを用いて作
製した。病変は、グレード4線維性の巨細胞及び小細胞の星状細胞腫を示してい
た。家族歴には、良性高血圧症及び脳血管障害が含まれていた。
【0173】 この冷凍組織を、Brinkmann Homogenizer Polytron PT-3000 (Brinkmann I
nstruments, Inc., Westbury, NJ)を用いて、グアニジニウムイソチオシアネー
ト溶液の中でホモジナイズし溶解した。RNAをはStratagene社のRNA単離プ
ロトコル(Stratagene, La Jolla, CA)に従って単離した。RNAを酸性フェノ
ールで2回抽出し、酢酸ナトリウム及びエタノールを用いて沈殿させ、RNアー
ゼの無い水に再懸濁し、DNアーゼ処理した。ポリ(A+)RNAは、Qiagen O
ligotex kit(QIAGEN, Inc., Chatsworth, CA)を用いて単離した。
【0174】 ポリ(A+)RNAを用いて、cDNAを合成し、SuperScriptTM Plasmid Sy
stem for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning(品番18248-013; Gibco/BRL, G
aithersburg, MD)の推奨プロトコルに従ってBRAITUT03 cDNAライブラリー
を作製した。cDNAをSepharose CL4Bカラム(品番275105, Pharmacia Amersh
am Biotech, Piscataway, NJ)上で分画化し、400bpを越えるサイズのcD
NAをpSport I(品番15382-013, Gibco BRL)に連結した。次にこの組換えたプ
ラスミドをDH5aTMコンピテント細胞(品番18258-012, Gibco/BRL)に形質転換し
た。
【0175】 2 cDNAクローンの単離及び配列決定 プラスミドDNAはこの細胞から放出され、これをREAL Prep 96 Plasmid Kit
(品番26173; QIAGEN, Inc.)を用いて精製した。推奨プロトコルを用いたが、
以下の点を変更した。(1)25mg/Lのカルベニシリン及び0.4%のグリ
セロールを含む1mlの滅菌Terrific Broth (品番22711, Gibco/BRL)におい
て細菌を培養した。(2)培溶液を19時間インキュベートした後、この細胞を
0.3mlの溶解バッファーに溶解した。(3)イソプロパノール沈殿を行った
後、プラスミドDNAのペレットを0.1mlの蒸留水に再懸濁した。このDN
Aサンプルは4℃で保管した。
【0176】 このcDNAの配列決定は、Peltier Thermal Cyclers (MJ Research, Water
town, MA製のPTC200)及びApplied Biosystems社製の377 DNA Sequencing Syste
msと組み合わせてHamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno, NV)を用いて、
Sangerらの方法(1975, J. Mol. Biol.94:441f)により行い、リーディングフレ
ームを決定した。
【0177】 3 cDNAクローン及びそれらの類推されるタンパク質の類似性検索 配列表のヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列を問合せ配列として用いて
、GenBank、SwissProt、BLOCKS、及びPima II等のデータベースを検索した。こ
れらのデータベースには既に同定された配列が注釈付きで含められており、BLAS
T(Basic Local Alignment Toolを表す)を用いて類似性を有する領域をこのデ
ータベースのなかから検索した(例えば、Altschul. S.F. (1993) J. Mol. Evol
. 36:290-300; Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215:403-410参照)。
【0178】 BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列の両方のアライメントを作成して配
列の類似性を決定する。そのアライメントの局所的性質のために、BLASTは正確
な一致、すなわち原核生物(細菌)や真核生物(動物、菌類、又は植物)を起源
とするホモログを特定する際に特に有効である。一次配列パターンや二次構造の
ギャップペナルティを処理する際には、他のアルゴリズムを用いることができる
(例えば、Smith Tら (1992) Protein Engineering 5:35-51参照)。本明細書に
開示された配列の長さは少なくとも49ヌクレオチドであり、不必要な塩基は1
2%以下である(ここでNはA、C、G、又はT以外と記録されたものである)
【0179】 BLAST法は、問い合わせ配列とデータベースの配列の一致を検索し、発見した
あらゆる配列の一致の統計的有意性を評価して、ユーザが選択した有意性の閾値
を満たす一致のみを報告する。本出願での閾値は、ヌクレオチドで10-25、ペ
プチドで10-8に設定した。
【0180】 インサイト社のヌクレオチド配列を、霊長類(pri)、げっ歯類(rod)、及び
他の哺乳類配列(mam)のGenBankデータベースで検索し、次に同じクローンから
類推されるアミノ酸配列を、GenBankの機能性タンパク質データベース、哺乳類
(mamp)、脊椎動物(vrtp)、及び真核生物(eukp)で、類似性について検索し
た。
【0181】 加えて、cDNAライブラリーから特定された配列を、適切な解析用プログラ
ム、例えばBLOCKSを用いて解析して、保存タンパク質モチーフをコードする遺伝
子配列を特定することができる。BLOCKSは、PROSITEデータベース(Bairoch, A.
ら (1997) Nucleic Acids Res. 25:217-221)からコンパイルされた、短いアミ
ノ酸のセグメント即ちブロックに基づく重み付けマトリクス解析アルゴリズムで
ある。BLOCKSアルゴリズムは、未知の機能を有する遺伝子の分類に役立つ(Heni
koff S.及びHenikoff G.J., Nucleic Acids Research (1991) 19:6565-6572)。
3〜60個のアミノ酸からなる長さのブロックは、タンパク質の最も高度に保存
される領域に対応する。BLOCKSアルゴリズムは、問合せ配列と、BLOCKSデータベ
ースにあるブロックの重み付けされたスコアリングマトリクスとを比較する。BL
OCKSデータベースにおけるブロックを、SWISS-PROTデータベースからの既知の機
能を有するタンパク質配列に対して較正し、一致の確率分布を決定する。例えば
タンパク質フィンガープリントデータベースであるPRINTSのような類似のデータ
ベースもBLOCKSアルゴリズムを用いて検索することができる(Artwood, T. K.ら
(1997) J. Chem. Inf. Comput. Sci. 37:417-424.)。PRINTSは、例えばSwissP
rot、GenBank、PIR、及びNRL-3Dのようなソースから得られた冗長でない配列に
基づくものである。
【0182】 BLOCKSアルゴリズムは、問合せ配列と、BLOCKS又はPRINTSデータベースとの間
の一致を検索し、見出された一致の統計的有意性を評価する。BLOCKS又はPRINTS
検索で得られた一致は、局所的類似性と全体の類似性の2つのレベルで評価する
ことができる。局所的類似性の程度は、スコアによって測定され、全体の類似性
の程度は、スコアランキング及び確率値によって測定される。最も高いランキン
グのBLOCKSの一致に対して1000以上のスコアであることは、その一致が、一
致したブロックをSWISS-PROTに対して較正した時に偽陽性のレベルが0.5パー
センタイル内に収まっていることを示している。同様に、確率値が1.0×10 -3 未満であることは、1000回の検索につき1回以上の頻度で一致が生ずることを
示している。1000以上のカットオフスコア及び1.0×10-3未満のカットオフ
確率値を有する一致のみが配列表におけるタンパク質配列の機能的解析において
考慮される。
【0183】 配列表の核酸及びアミノ酸配列は、PFAMを用いて解析することもできる。PFAM
はタンパク質ファミリーの検索において役立つプロトコルに基づく隠れマルコフ
モデル(HMM)である。HMMは、遺伝子ファミリーのコンセンサス一次構造を解析
する確率論的な方法である(例えばEddy, S.R. (1996) Cur. Opin. Str. Biol.
6:361-365.を参照)。
【0184】 PFAMデータベースは、2つの高い質のアライメントルーチン、即ち種アライメ
ント(seed alignment)及び全アライメント(full alignment)を用いて、良く
特性化されたタンパク質ドメインを検索する(例えばSonnhammer, E.L.L.ら (19
97) Proteins 28:405-420.を参照)。種アライメントは、局所的一致を検索する
プログラムであるhmmlsプログラム及びPFAMデータベースの非冗長な組を利用す
る。全アライメントは、長い配列における複数の断片、例えば反復配列群及びモ
チーフ群を検索するプログラムであるhmmfsプログラム、及びPFAMデータベース
における全ての配列を利用する。結果即ち100「ビット」のスコアは、その配
列が、モデル又は比較配列に対して真の一致を見る尤度が2100倍以上であるこ
とを意味し得る。モデル又は比較配列としてSWISS-PROT配列を用いた場合、個々
のタンパク質ファミリーに対して10〜50ビットに渡る範囲のカットオフスコ
アが通常用いられる。
【0185】 共に上述のHMMアルゴリズム(例えばEddy, supra及びSonnhammerを参照)をベ
ースにした2つの他のアルゴリズム即ちSIGPEPT及びTMは、それぞれシグナル配
列の可能性のある配列及び膜貫通ドメインを特定する。SIGPEPTは、SWISS-PROT
に由来するシグナル配列の注釈を有するタンパク質配列を用いて生成される。こ
れは、14〜36個のアミノ酸残基からなる長さの、約1413個の非冗長シグ
ナル配列を含む。TMは、同様に膜貫通ドメインの注釈を用いて生成された。これ
は、1579個の膜貫通ドメインセグメントを含む、約453個の非冗長膜貫通
配列を含む。適切なHMMモデルは、上述の配列を用いて作成し、高い相関係数、
即ち解析の正しさの測定値が得られるまで既知のSWISS-PROTシグナルペプチド配
列又は膜貫通ドメイン配列を用いて精度を高めた。テストセットとしてSWISS-PR
OTデータベースからのタンパク質配列を用いると、上で求めたような11ビット
のカットオフスコアは、91〜94%の真の陽性及び約4.1%の偽陽性と相関
性を有し、SIGPEPTに対する相関係数は約0.87〜0.90となる。TMの場合
の11ビットのスコアは、一般的に以下の結果を与える。即ち75%の真の陽性
及び1.72%の偽陽性、及び相関係数0.76である。各検索は、発見された
一致の統計的有意性を評価するものであり、少なくとも11ビットのスコアを有
する一致のみが報告される。
【0186】 4 ノーザン法による解析 ノーザン法解析は、遺伝子の転写物の存在を検出するために用いられる実験技
術であり、標識されたヌクレオチド配列と、特定の細胞タイプまたは組織のRN
Aが結合しているメンブランとのハイブリダイゼーションを行う(例えば、Samb
rook, 前出, ch. 7; 及びAusubel, F.M.ら 前出, ch. 4及び16参照)。
【0187】 BLASTに適用する類似のコンピュータ技術を用いて、GenBank又はLIFESEQTM
ータベース(インサイト社)のようなヌクレオチドデータベースにおいて同一の
又は近縁な分子を検索する。この解析にかかる時間は、複数回の膜をベースにし
たハイブリダイゼーションより非常に短時間である。加えて、特定の一致が正確
な一致に分類されるか、或いは類似なものに分類されるかを決定するべく、コン
ピュータ検索の感度を変えることができる。
【0188】 検索の基準値は、積スコア(product score)であり、これは以下の式で定義
されるものである。 (配列の一致(%)×最大BLASTスコア(%))/100 この積スコアでは、2つの配列間の類似性の程度、及び配列の長さの一致の双方
が考慮される。例えば、積スコアが40の場合は、一致は誤差が1〜2%の範囲
で正確であり、スコアが70の場合は正確に一致している。類似な分子は、通常
積スコアとして15〜40を示すものを選択することにより同定されるが、これ
よりスコアの低いものは近縁な分子として同定される。
【0189】 ノーザン法による解析の結果は、CALREPをコードする転写物が発生する
ライブラリーのリストとして報告される。存在量(abundance)及びパーセント
存在率(percent abundance)も報告される。存在量は、cDNAライブラリー
に特定の転写物が存在する回数を直接的に反映し、パーセント存在率は、存在量
をcDNAライブラリーにおいて検出された配列の総数で除したものである。
【0190】 5 CALREPをコードする配列の延長 インサイト社クローンNo. 2109176の核酸配列を用いて、部分的ヌクレオチド
配列を完全長まで伸長させるためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計した。
一方のプライマーはアンチセンス方向の延長を開始するために合成し、他方のプ
ライマーはセンス方向に配列を延長するために合成した。これらのプライマーを
用いて、既知のCALREP配列を「外側に」延長し、興味の対象の領域の新し
い未知のヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成した。初めのプライマーは
、OLIGOTM 4.06(National Biosciences, Plymouth, MN)、或いは他の適切なプ
ログラムを用いて設計したもので、約22個から約30個のヌクレオチドからな
る長さで、50%以上のGC含量を有し、かつ約68〜約72℃の温度で標的配
列にアニールするように設計した。ヘアピン構造及びプライマー−プライマー二
量体化を生じるようなあらゆるヌクレオチドのストレッチは除いた。
【0191】 選択されたヒトcDNAライブラリー(Gibco/BRL)を用いて、この配列を延
長した。2段階以上の延長が必要または望ましい場合は、既知領域をさらに延長
するための追加のプライマーの組を設計する。
【0192】 XL-PCRTMキット(Perkin Elmer)の説明書の指示に従って、酵素と反応混合物
とを徹底的に混合することにより、高い忠実度の増幅がなされる。40pmol
の各プライマーと、推奨された濃度のキットの他の全ての成分とから増幅を開始
する場合、Peltier Thermal Cycler(PTC200;M.J. Reserch, Watertown MA)を
用いて、以下のパラメータ、即ち ステップ1 94℃で1分間(初期変性) ステップ2 65℃で1分間 ステップ3 68℃で6分間 ステップ4 94℃で15秒間 ステップ5 65℃で1分間 ステップ6 68℃で7分間 ステップ7 ステップ4〜6をさらに15サイクル反復 ステップ8 94℃で15秒間 ステップ9 65℃で1分間 ステップ10 68℃で7分15秒間 ステップ11 ステップ8〜10を12サイクル反復 ステップ12 72℃で8分間 ステップ13 4℃(その温度を保持) でPCRを行った。
【0193】 反応混合物の5〜10μlのアリコットを、低濃度(約0.6〜0.8%)ア
ガロースミニゲル上での電気泳動で解析して、配列を延長する反応が成功したか
否かを決定した。最も大きな生成物即ちバンドを選択して、ゲルから切り出し、
QIAQuickTM(QIAGEN Inc., Chatsworth, CA)を用いて精製し、Klenow酵素を用
いて一本鎖ヌクレオチドの延び出し(overhang)を切り取って、再結合及びクロ
ーニングを容易にする平滑末端を作った。
【0194】 エタノール沈殿の後、生成物を13μlの連結バッファーに再溶解し、1μl
のT4−DNAリガーゼ(15単位)及び1μlのT4ポリヌクレオチドキナー
ゼを加えて、その混合物を室温で2〜3時間、或いは16℃で終夜インキュベー
トした。コンピテントな大腸菌細胞(40μlの適切な培養液内にある)を、3
μlのライゲーション混合物を用いて形質転換し、80μlのSOC培地で培養
した(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 1)。37℃で1時間のイン
キュベーションの後、全ての形質転換混合物を、2xCarbを含むLuria Bertani(L
B)寒天(例えば、Sembrook他, 前出, Appendix A, p. 2)上にのせた。後日、
いくつかのコロニーを各プレートから無作為に選択し、適切な市販の無菌の96
穴マイクロタイタープレートの各のウェル内に入れられた150μlの液状LB
/2xCarb培地で培養した。さらに後日、各5μlの終夜の培養物を非滅菌
96穴プレート内に移し、水で1:10に希釈した後、それぞれ5μlのサンプ
ルをPCRアレイに移した。
【0195】 PCR増幅のため、4単位のrTth DNAポリメラーゼを含む18μlの濃縮
PCR反応混合物(3.3x)、ベクタープライマー、並びに延長反応に用いら
れる遺伝子に特異的なプライマーの一方或いは両方を各ウェルに加えた。増幅は
、以下の条件、即ち ステップ1 94℃で60秒間 ステップ2 94℃で20秒間 ステップ3 55℃で30秒間 ステップ4 72℃で90秒間 ステップ5 ステップ2〜4をさらに29サイクル反復 ステップ6 72℃で180秒間 ステップ7 4℃(そのまま保持) で行った。
【0196】 PCR反応物のアリコットを、分子量マーカーと共にアガロースゲル上を走ら
せた。PCR生成物のサイズを元の部分的cDNAと比較して、適切なクローン
を選択し、プラスミドに結合して、配列決定を行った。
【0197】 同様に、配列番号:2のヌクレオチド配列を用いて、上述の手順を用いて5′
調節配列を得ること、5′方向の延長のために設計されたオリゴヌクレオチドを
得ること、及び適切なゲノムライブラリーを得ることが可能である。
【0198】 6 ハイブリダイゼーションプローブの標識及び使用 配列番号:2の配列から作られたハイブリダイゼーションプローブを用いて、
cDNA、mRNA並びにゲノムDNAをスクリーニングする。約20の塩基対
からなるオリゴヌクレオチドの標識について特に記すが、より大きなcDNAフ
ラグメントの場合でも概ね同じ手順を用いる。OLIGO4.06(National Bioscience
)のような最新式のソフトウェアを用いてオリゴヌクレオチドを設計し、それぞ
れ50pmolのオリゴマーと、250μCiの[γ‐32P]アデノシン三リン酸
(Amersham, Chicago, IL)及びT4ポリヌクレオチドキナーゼ(DuPont NEN, B
oston, MA)とを結合することによって標識する。標識されたオリゴヌクレオチ
ドを、Sephadex G-25超微粒子樹脂カラム(Pharmacia & Upjohn, Kalamazoo, MI
)を用いて精製する。毎分107カウントの標識されたプローブを含むアリコッ
トを、エンドヌクレアーゼAseI,Bgl II,EcoRI,Pst I,Xba1或いはPvuII(DuP
ont NEN, Boston, MA)の1つを用いて消化したヒトゲノムDNAの一般的な膜
を用いるハイブリダイゼーション解析において用いる。
【0199】 各消化物からのDNAを、0.7%アガロースゲル上で分画化して、ナイロン
膜(Nytran Plus, Schleicher & Schuell, Durham NH)にトランスファーする。
ハイブリダイゼーションは40℃で16時間かけて行う。非特異的シグナルを取
り除くため、ブロットを、0.1xクエン酸ナトリウム水及び0.5%ドデシル
硫酸ナトリウムまでの、段階的にストリンジェンシーが増す条件下で室温にて順
次洗浄する。XOMAT ARTMフィルム(Kodak, Rochester, NY)をブロットに数時間
露光した後、ハイブリダイゼーションパターンを視覚的に比較する。
【0200】 7 マイクロアレイ 化学結合プロシージャ及びインクジェット装置を用いて、基板の表面上でオリ
ゴマーを合成する(例えば、Baldeschweilerら, 前出, 参照)。更に別の方法で
は、ドットブロット法(スロットブロット法)で用いるものに類似したアレイを
用いて、真空システム、熱、UV、機械的又は化学的結合プロシージャを用いて
、cDNA断片又はオリゴヌクレオチドを基板の表面に配置し結合させる。一般
的なアレイは、手作業により、又は市販の材料及び機械を用いることによって製
作することができ、適切な数のエレメントを有し得る。ハイブリダイゼーション
の後、マイクロアレイを洗浄してハイブリダイズしていないプローブを取り除き
、スキャナーを用いて蛍光のレベル及びパターンを求める。スキャンされた画像
を解析して、マイクロアレイ上のエレメントにハイブリダイズする核プローブの
相補性の程度及び相対的な存在量を評価することができる。
【0201】 完全長cDNAまたは発現される配列タグ(ESTs)が、マイクロアレイの
エレメントを含み得る。ハイブリダイゼーションに適した断片は、例えばLASERG
ENETMのような周知のソフトウェアを用いて選択することができる。本発明のヌ
クレオチド配列の1つに対応する、又は本発明に関連するcDNAライブラリー
から無作為に選択された完全長cDNA又はESTsを、適切な基板、例えばス
ライドガラス上に配置する。そのcDNAは、例えば、UV架橋処理の後に熱及
び化学薬品による処理を行って乾燥することによってスライドガラス上に固定す
る(例えば、Schena. Mら (1995) Science 270:467-470; 及びShalon, D.ら (19
96) Genome Res. 6:639-645)。基板上のエレメントへのハイブリダイゼーショ
ンのために蛍光プローブを作製して使用する。この基板を、上述の手順によって
解析する。
【0202】 8 相補的ポリヌクレオチド CALREPをコードする配列或いはその任意の一部分に相補的な配列は、自
然発生のCALREPの発現を低下、即ち阻害するために用られる。約15〜約
30塩基対からなるオリゴヌクレオチドの使用について特に記すが、より小さな
或いはより大きな配列フラグメントの場合でも基本的に同じ方法を用いることが
できる。OLIGOTM4.06ソフトウェア及びCALREPのコーディング配列を用い
て、適切なオリゴヌクレオチドを設計する。転写を阻害するためには、最も独特
な5′配列から相補的なオリゴヌクレオチドを設計し、これを用いてプロモータ
ーが結合しないようにする。翻訳を阻害するためには、相補的なオリゴヌクレオ
チドを設計して、リボソームがCALREPをコードする転写物に結合しないよ
うにする。
【0203】 9 CALREPの発現 CALREPの発現及び精製は、細菌又はウイルスをベースにした発現系を用
いて達成される。細菌におけるCALREPの発現のためには、cDNAを、高
いレベルのcDNAの転写を誘導する誘導性プロモーターや構成物質耐性遺伝子
を含む適切な発現ベクター内にサブクローニングする。そのようなプロモーター
の例としては、以下に限定するものではないが、trp-lac(tac)ハイブリッドプ
ロモーター及びT5又はT7バクテリオファージプロモーターや、lacオペレーター
制御配列等が挙げられる。組換えベクターを、例えばBL21(DE3)のような適切
な細菌のホストに形質転換する。イソプロピル-1-チオ‐β-D-ガラクトシド(I
PTG)で誘導すると、構成物質耐性の細菌がCALREPを発現する。真核細
胞におけるCALREPの発現は、バキュロウイルスとしてよく知られている、
組換えAutographica californica多核体病ウイルス(AcMNPV)を、昆虫または哺
乳動物の細胞系に感染させることによって達成される。バキュロウイルスの非必
須のポリへドリン遺伝子を、相同的組換えか、転移プラスミドによる媒介を用い
る細菌媒介遺伝子転移の何れかによってCALREPをコードするcDNAで置
換する。ウイルスの感染力は維持され、かつ強力なポリヘドリンプロモーターが
、高レベルのcDNAの転写を誘導する。組換えバキュロウイルスを用いて、大
抵の場合はSpondoptera frugiperda(Sf9)昆虫細胞に、場合によってはヒト肝
細胞に感染させる。後者の場合には、バキュロウイルスに追加の遺伝子の修飾を
加えることが必要である(Engelhard, E. K.ら (1994) Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 91: 3224-3227; Sandig, V.ら (1996) Hum. Gene Ther. 7:1937-1945参照
)。
【0204】 大部分の発現系においては、例えば、粗製の細胞溶解物からの速やかな1ステ
ップでの組換え融合タンパク質のアフィニティ精製を可能にする、FLAG又は6-Hi
sのようなペプチドエピトープタグまたはグルタチオンSトランスフェラーゼ(
GST)を用いて、融合タンパク質が合成される。日本住血吸虫(Schistosoma
japonicum)に由来する26キロダルトンの酵素であるGSTによって、タンパ
ク質の活性及び抗原性を維持する条件の下で固定化グルタチオン(Pharmacia, P
iscataway, NJ)上での融合タンパク質の精製が可能となる。精製の後、GST
分子を、特異的に組換えられた部位において、タンパク分解によりCALREP
から切り離すことができる。8個のアミノ酸からなるペプチドであるFLAGに
よって、市販のモノクローナル及びポリクローナル抗FLAG抗体(Eastman Ko
dak, Rochester, NY)を用いるイムノアフィニティ精製が可能となる。6個の連
続したヒスチジン残基のストレッチである6-Hisによって、金属キレート樹脂(Q
IAGEN Inc, Chatworth, CA)上での精製が可能となる。タンパク質の発現及び精
製のための方法は、Ausubel. F. M.ら(1995及び定期的な補遺) Current Protoco
ls in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, NY, ch 10, 16に記
載されている。これらの方法によって得られた精製CALREPを、以下の活性
のアッセイにおいて直接用いることができる。
【0205】 10 CALREPの活性の立証 CALREPの活性のアッセイでは、Ca2+オーバレイシステムを用いて、C
ALREPのCa2+への結合を測定する(Weis, Kら (1994) J. Biol. Chem. 26
9:19142-19150)。精製されたCALREPをニトロセルロースメンブランにト
ランスファーし、固定する。そのメンブランをバッファー(60mM KCl、5mM MgCl 2 、10mMイミダゾールHCl, pH6.8)で3回洗浄し、1μCiの[45Ca2+](NEN
-DuPont, Boston,MA)と共にこのバッファーのなかで10分間インキュベートす
る。未結合の[45Ca2+]を水で洗浄することにより取り除き、メンブランを乾
燥する。メンブランに結合した[45Ca2+]をオートラジオグラフィーにより検
出し、イメージ解析システム及びソフトウェアを用いて定量する。CALREP
の活性は、メンブラン上で検出された[45Ca2+]の量に比例する。
【0206】 11 機能分析アッセイ(Functianl assays) CALREPの機能を、哺乳動物細胞培養系において、CALREPをコード
する配列を生理学的に高いレベルで発現させることによって評価する。cDNA
を、それを高レベルで発現させる強力なプロモーターを有する哺乳動物の発現ベ
クターにサブクローニングする。選択されるベクターとしては、pCMV SPORTTM
Life Technologies, Gaithersburg, MD)及びpCRTM 3. 1(Invitrogen, Carlsba
d, CA)等があり、両ベクターは共にサイトメガロウイルスのプロモーターを有
している。5〜10μgの組換えベクターをリポソーム製剤又はエレクトロポレーシ
ョンの何れかを利用してヒトの細胞系、好ましくは内皮細胞又は造血細胞を起源
とする細胞系に一時的にトランスフェクトする。またマーカータンパク質をコー
ドする配列を有する別のプラスミドを1〜2μg同時感染させる。マーカータンパ
ク質の発現は、トランスフェクト細胞を非トランスフェクト細胞から区別するた
めの手段となり、組換えベクターからのcDNAの発現の信頼できる予測が可能
となる。選択できるマーカータンパク質としては、例えばGreen Fluorescent Pr
otein(GFP)(Clontech, Palo Alto, CA)、CD64又はCD64-GFP融合タンパク質
等が挙げられる。GFP又はCD64−GFPを発現するトランスフェクト細胞を特定し、
その特性、例えばそのアポトーシス状態を評価するために、自動式のレーザー光
を用いる技術であるフローサイトメトリー(流動細胞計測法)(FCM)を用い
る。FCMによって蛍光分子の取込みを検出し、定量細胞死の前又は細胞死と同
時におこる事象を診断する。このような事象としては、ヨウ化プロピジウムでD
NAを染色することによって測定される核のDNA含量の変化、散乱光及び90
度横向きの散乱光を当てることによって測定される細胞のサイズ及び粒状度の変
化、ブロモデオキシウリジンの取込みの低下によって測定されるDNA合成のダ
ウンレギュレーション、特異的抗体との反応性によって測定される細胞表面及び
細胞内のタンパク質の発現の変化、及びフルオレセイン結合アレキシンVタンパ
ク質と細胞表面との結合によって測定される原形質膜の組成の変化等がある。フ
ローサイトメトリーの方法は、Ormerod, M. G. (1994) Flow Cytometry, Oxford
, New York, NYに記載されている。
【0207】 遺伝子の発現に対するCALREPの影響は、CALREPをコードする配列
及びCD64又はCD64-GFPの何れかをトランスフェクトした高度に精製された細胞の
集団を用いて評価することができる。CD64及びCD64-GFPはトランスフェクト細胞
の表面で発現され、ヒト免疫グロブリンG(IgG)の保存領域に結合する。トラ
ンスフェクト細胞は、ヒトIgG又はCD64に対する抗体の何れかでコーティングさ
れた磁性ビーズ(DYNAL, Lake Success, NY)を用いて非トランスフェクト細胞
から効率的に分離する。mRNAの細胞からの精製は、当業者に周知の方法を用
いて行うことができる。CALREPをコードするmRNA及び目的の他の遺伝
子の発現は、ノーザンブロット法による解析又はマイクロアレイ技術によって解
析することができる。
【0208】 12 CALREPに特異的な抗体の産生 ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)(例えば、Harrington, M.G.
(1990) Methods Enzymol. 182:488-495参照)、又は他の精製技術を用いて実質
的に精製したCALREPを用いて、標準的なプロトコルに従ってウサギを免疫
化し、抗体を作り出す。
【0209】 或いは、CALREPのアミノ酸配列をLASERGENETMソフトウエア(DNASTAR I
nc.)を用いて解析して免疫原性の高い領域を決定し、対応するオリゴペプチド
を合成し、当業者に周知の方法でこれを用いて抗体を産生させる。適切なペプチ
ド配列の選択及び抗体の産生の技術は当業者に周知である。C末端付近のエピト
ープ或いは親水性領域内のエピトープのような適切なエピトープの選択について
は、文献に記載されている(例えば、Ausubelら, 前出, ch. 11参照)。
【0210】 一般的に、15残基の長さを有するオリゴペプチドを、Applied Biosystemsの
ペプチドシンセサイザModel 431Aを用いてfmoc法のケミストリにより合成し
、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS
)を用いる反応によってキーホールリンペットヘモシニアン(KLH、Sigma, S
t. Louis, MO)に結合する(例えば、Ausubel他 (前出)参照)。フロイントの完
全アジュバント中のオリゴペプチド−KLH複合体を用いてウサギを免疫化する
。得られた抗血清の抗ペプチド活性を試験するには、例えばペプチドをプラスチ
ックに結合し、1%BSAでブロックし、ウサギ抗血清と反応させて洗浄し、さ
らに放射性ヨウ素標識したヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
【0211】 13 特異的抗体を用いる自然発生CALREPの精製 自然発生のCALREP或いは組換えCALREPを、CALREPに特異的
な抗体を用いるイムノアフィニティークロマトグラフィにより実質的に精製する
。イムノアフィニティーカラムは、CnBr-活性化 Sepharose(Pharmacia & Upjoh
n)のような活性化クロマトグラフィーレジンとCALREP抗体とを共有結合
で結合させることにより構築する。結合の後、そのレジンを使用説明書の指示に
従って、ブロックし洗浄する。
【0212】 CALREPを含む培養液をイムノアフィニティーカラムに通し、そのカラム
をCALREPを優先的に吸着できる条件下で(例えば界面活性剤の存在下にお
いて高イオン強度バッファーで)洗浄する。このカラムを、抗体とCALREP
との結合を切るような条件下(例えばpH2〜3のバッファー、或いは高濃度の
尿素またはチオシアン酸塩イオンのようなカオトロピックイオン)で溶出させ、
CALREPを回収する。
【0213】 14 CALREPと相互作用する分子の同定 CALREP又は生物学的に活性なその断片を、125Iボルトンハンター試薬
(例えば、Bolton 他 (1973) Biochem. J. 133:529参照)で標識する。マルチウ
ェルプレートのウェルに予め配列しておいた候補の分子を、標識したCALRE
Pとともにインキュベートし、洗浄して、標識CALREP複合体を有するウェ
ルをアッセイする。異なる濃度のCALREPを用いて得られたデータを用いて
、候補の分子とCALREPの会合、親和性、数の数値を計算する。
【0214】 本発明の範囲及び精神から逸脱しない本明細書に記載した本発明の方法及びシ
ステムの様々な改変は、当業者には明らかであろう。本発明は、特に好適な実施
例に関連して説明されているが、本発明の真の範囲は、そのような特定の実施例
に不当に制限されるべきではないことを理解されたい。実際に、分子生物学或い
は関連分野の専門家には明らかな本発明の実施形態の様々な改変は、請求の範囲
内に含まれるものである。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 CALREPのアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。配列アライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitachi Softw
are Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1B】 CALREPのアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。配列アライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitachi Softw
are Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1C】 CALREPのアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。配列アライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitachi Softw
are Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図1D】 CALREPのアミノ酸配列(配列番号:1)及び核酸配列(配列番号:2)
を示す図。配列アライメントは、MacDNASIS PROTMソフトウェア(Hitachi Softw
are Engineering Co., Ltd., San Bruno, CA)を用いて作成した。
【図2】 LASERGENETMソフトウェアのマルチシーケンスアライメントプログラム(DNAST
AR Inc, Madison WI)を用いて作成した、CALREPのEFハンドドメイン(
2109176;配列番号:1)とヒトNB−1(GI 189081;配列番号:3)との間の
アミノ酸配列アライメントを示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/47 C12N 1/15 4H045 16/18 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 C12P 21/02 C 1/21 C12Q 1/68 A 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 A61K 37/02 C12Q 1/68 C12N 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 コーレイ、ニール・シー アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・#30・デールアベニュ ー 1240 (72)発明者 ゲグラー、カール・ジェイ アメリカ合衆国カリフォルニア州94025・ メンロパーク・オークランドアベニュー 1048 (72)発明者 パターソン、チャンドラ アメリカ合衆国カリフォルニア州94040・ マウンテンビュー・レランドアベニュー 2189 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA04 CA06 DA06 EA04 GA11 HA12 HA15 4B063 QA01 QA19 QQ08 QQ43 QR08 QR32 QR42 QR56 QS25 QS34 QX02 QX07 4B064 AG01 AG26 AG27 CA02 CA10 CA19 CA20 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA92X AA93Y CA24 CA44 CA46 4C084 AA01 AA02 AA06 AA07 AA17 BA01 BA22 CA53 DB59 DC50 ZA012 ZC032 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 BA10 CA41 DA86 EA21 EA50 FA72 FA74

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号(SEQ ID NO):1又は配列番号:1の断片のア
    ミノ酸配列を含む、実質的に精製されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 請求項1の配列との少なくとも90%のアミノ酸配列同一
    性を有する、実質的に精製された変異体。
  3. 【請求項3】 請求項1のポリペプチドをコードする、単離され精製され
    たポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 請求項3のポリヌクレオチドとの少なくとも90%のポリ
    ヌクレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体
  5. 【請求項5】 請求項3のポリヌクレオチドとストリンジェントな条件の
    下でハイブリダイズする、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 請求項3のポリヌクレオチドに相補的な、単離され精製さ
    れたポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 配列番号:2又は配列番号:2の断片のポリヌクレオチド
    配列を含む、単離され精製されたポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 請求項7のポリヌクレオチドとの少なくとも90%のポリ
    ヌクレオチド配列同一性を有する、単離され精製されたポリヌクレオチド変異体
  9. 【請求項9】 請求項7のポリヌクレオチドに相補的な配列を有する、単
    離され精製されたポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 請求項3のポリヌクレオチドの少なくとも断片を含む発
    現ベクター。
  11. 【請求項11】 請求項10の発現ベクターを含む宿主細胞。
  12. 【請求項12】 配列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を含むポリ
    ペプチドの製造方法であって、 (a)前記ポリペプチドの発現に適した条件の下で、請求項11の宿主細胞を
    培養する過程と、 (b)前記宿主細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する過程とを含む、配
    列番号:1又は配列番号:1の断片の配列を含むポリペプチドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1のポリペプチドを適切な医薬用担体と共に含む
    医薬品組成物。
  14. 【請求項14】 請求項1のポリペプチドに特異的に結合する、精製され
    た抗体。
  15. 【請求項15】 請求項1のポリペプチドの精製されたアゴニスト。
  16. 【請求項16】 請求項1のポリペプチドの精製されたアンタゴニスト。
  17. 【請求項17】 細胞増殖障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項13の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む、細胞増殖障害の処置又は予防方法。
  18. 【請求項18】 細胞増殖障害の処置又は予防方法であって、 そのような処置が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む、細胞増殖障害の処置又は予防方法。
  19. 【請求項19】 神経疾患の処置又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項13の医薬品組成物を有効な量投与す
    る過程を含む、神経疾患の処置又は予防方法。
  20. 【請求項20】 神経疾患の処置又は予防方法であって、 そのような治療が必要な患者に、請求項16のアンタゴニストを有効な量投与
    する過程を含む、神経疾患の処置又は予防方法。
  21. 【請求項21】 核酸を含む生物学的サンプルにおいて、配列番号:1の
    アミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法
    であって、 (a)請求項6のポリヌクレオチドと、前記生物学的サンプルの核酸材料の少
    なくとも1つとをハイブリダイズさせ、ハイブリダイゼーション複合体を形成す
    る過程と、 (b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記ハイ
    ブリダイゼーション複合体の存在が、前記生物学的サンプルにおける前記ポリペ
    プチドをコードするポリヌクレオチドの存在と相互関係を有する、該過程とを含
    む、核酸を含む生物学的サンプルにおいて配列番号:1のアミノ酸配列を含むポ
    リペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出する方法。
  22. 【請求項22】 前記ハイブリダイゼーションを行う過程の前に、前記生
    物学的サンプルの核酸をポリメラーゼ連鎖反応法により増幅することを特徴とす
    る請求項21に記載の方法。
JP2000550993A 1998-05-22 1999-05-14 ヒト・カルモジュリン関連タンパク質 Pending JP2002516097A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US8390898A 1998-05-22 1998-05-22
US09/083,908 1998-05-22
PCT/US1999/010747 WO1999061609A1 (en) 1998-05-22 1999-05-14 Calmodulin related protein

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002516097A true JP2002516097A (ja) 2002-06-04

Family

ID=22181433

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000550993A Pending JP2002516097A (ja) 1998-05-22 1999-05-14 ヒト・カルモジュリン関連タンパク質

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1080190A1 (ja)
JP (1) JP2002516097A (ja)
AU (1) AU4080199A (ja)
CA (1) CA2333006A1 (ja)
WO (1) WO1999061609A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013028639A (ja) * 2006-09-26 2013-02-07 Toray Ind Inc 免疫誘導剤及びその用途

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2377635B (en) 2001-04-17 2005-10-19 Hoffmann La Roche Novel use of neuronal calcium sensor-1 (NCS-1) in therapy of CNS disorders and in the development of therapeutic agents

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0731166A3 (en) * 1995-03-06 1997-12-29 Tonen Corporation Novel calcium-binding proteins
AU5420796A (en) * 1996-03-11 1997-10-01 Human Genome Sciences, Inc. Chemotactic cytokine ii

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013028639A (ja) * 2006-09-26 2013-02-07 Toray Ind Inc 免疫誘導剤及びその用途

Also Published As

Publication number Publication date
WO1999061609A1 (en) 1999-12-02
AU4080199A (en) 1999-12-13
CA2333006A1 (en) 1999-12-02
EP1080190A1 (en) 2001-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002522075A (ja) 細胞外接着性タンパク質、exadh1及びexadh2
JP2002510478A (ja) ヒト・ガラクトシルトランスフェラーゼ
JP2002514430A (ja) ヒト・アポトーシス関連タンパク質
JP2002513553A (ja) 成長関連プロテアーゼインヒビタ重鎖前駆体
US6391580B1 (en) Ras proteins
US6348576B1 (en) Human cornichon molecule
JP2002513570A (ja) ヒト受容体分子
JP2002504366A (ja) ヒトプロテインキナーゼcインヒビター
US6919429B2 (en) Prostate associated Ets protein
US6610526B2 (en) Human E1-like protein
JP2001526886A (ja) ヒト・ヌクレオチドピロホスホヒドロラーゼ−2
WO1999058672A1 (en) Human promonocyte associated protein: prmnc
JP2002519029A (ja) アポトーシス関連分子
JP2001520015A (ja) ヒト・マンモグロビンホモログ
JP2002516097A (ja) ヒト・カルモジュリン関連タンパク質
CA2292643A1 (en) Human ubiquitin carrier protein e2-like protein and cyclin b-like protein
US6750027B2 (en) Human ubiquitin-conjugating enzyme homologs
US6432687B1 (en) Delayed rectifier potassium channel subunit
US6326158B1 (en) SH3-containing proteins
JP2002517190A (ja) カルバモイルリン酸シンターゼホモログ
JP2002520055A (ja) ヒトプレセニリン関連タンパク質
JP2002518046A (ja) ヒトarf関連タンパク質
JP2002516099A (ja) 腫瘍サプレッサー
US20020156014A1 (en) Human neurosecretory proteins
JP2002504375A (ja) 細胞周期関連タンパク質