JP2002515404A - 増殖性疾患を治療するための抗プロラクチン剤の使用 - Google Patents

増殖性疾患を治療するための抗プロラクチン剤の使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プロラクチン受容体においてアンタゴニストとして作用するヒトプロラクチンの変異体、およびそのような変異体を、乳房及び前立腺の良性および悪性疾患の双方を含む、ヒト癌および増殖性疾患の治療に使用することに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 1.緒言 本発明は、その受容体に及ぼすプロラクチンの細胞増殖促進作用を阻害するた
めの方法および組成物に関する。本発明の方法および組成物は、望ましくない細
胞増殖を伴う悪性疾患と共に良性疾患の治療において用いてもよい。
【0002】 2.発明の背景 プロラクチン(「PRL」)は、構造的に成長ホルモンに関連し、程度は低いも
ののインターロイキンファミリーのメンバーにも関連する23 kDaの神経内分泌ホ
ルモンである(レイノルズ(Reynolds)ら、1997、Endocrinol. 138:5555〜556
0、カニンガム(Cunningham)ら、1990、Science 247:1461〜1465;ウェルズ(
Wells)ら、1993、Recent Prog. Horm. Res. 48:253〜275)。これは、プロラ
クチン受容体を通じて作用し、乳房組織の増殖および最終分化(マニ(Mani)ら
、1986、Cancer Res. 46:1669〜1672;マラーキー(Malarkey)ら、1983、J. C
lin. Endocrinol. Metab. 56:673〜677、ビスワス&フォンデルアール(Biswas
and Vonderhaar)、1987、Cancer Res. 47:3509〜3514)、管上皮の増殖およ
び分化の促進、分葉状単位の増殖および分化、ならびに授乳の開始および維持(
ケリー(Kelly)ら、1993、Recent Prog. Horm. Res. 48:123〜164;シウ(Shi
u)ら、1987、Recent Prog. Horm. Res. 43:277〜303)にとって必要である。
生殖および免疫応答における役割を含む、その他の多様な作用がPRLに帰因して
いる(ウェンボ(Wennbo)ら、1997、Endocrinol. 138:4410〜4415;ニコル(N
icoll)、1974、「生理学ハンドブック(Handbook of Physiology)」、ノビル
&ソウヤー(Knobil and Sawyer)編、米国生理学会、ワシントンD.C.;シウ&
フリーセン(Shiu and Friesen)、1980、Annu. Rev. Physiol. 42:83〜96)。
【0003】 プロラクチン受容体(「PPLR」)は、サイトカイン受容体スーパーファミリー
に属し、PRLのみならず胎盤のラクトゲンおよび霊長類の成長ホルモン(「GH」
)を含む一連のホルモンに結合して、分裂促進作用を生じる(オーマンディ(Or
mandy)ら、1997、J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:3692〜3699;ホースマン
(Horeseman)、1995、Endocrinol. 136:5249〜5251;クレベンガー(Clevenge
r)ら、1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6460〜6464;バックリー(Buck
ley)ら、1985、Life Sci. 37:2569〜2575;コステロ(Costello)ら、1994、P
rostate 24:162〜166)。PRLRはGHの受容体(「GHR」、ソマトゲン受容体とも
呼ばれる)と相同であり、これらはいずれもサイトカイン受容体スーパーファミ
リーに属する(ケリー(Kelly)ら、1991、Endocrin. Rev. 12:235〜251;ケリ
ー(Kelly)ら、1993、Recent Prog. Horm. Res. 48:123〜164;ホースマン&
ユ・リー(Horeseman and Yu-Lee)、1994、Endocrin. Rev. 15:627〜649)。
【0004】 PRL活性と乳癌との関連が提唱されている(オーマンディ(Ormandy)ら、1997
、J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:3692〜3699)。PRLレベルが上昇すると、
ラットにおいて7,12ジメチルベンズ(α)アントラセンによって誘発される乳癌
の増殖を促進することが判明したが、PRLを除去すると阻害作用を有することが
認められた(ウェルシュ(Welsch)、1985、Cancer Res. 45:3415〜3443)。乳
房腫瘍の増殖は、齧歯類のPRLRに結合するヒトGHを過剰発現するトランスジェニ
ックマウスにおいて増加した(バートケ(Bartke)ら、1994、Proc. Soc. Exp.
Biol. Med. 206:345〜359)。性ステロイドの受容体とPRLは、同時発現されて
交叉調節されることが発見されたが、これは腫瘍増殖の調節におけるエストロゲ
ン、プロゲステロン、およびPRLの相乗作用を説明する可能性がある(オーマン
ディ(Ormandy)ら、1997、J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:3692〜3699)。
【0005】 それにもかかわらず、今日では、下垂体切除およびブロモクリプチン投与(い
ずれも下垂体によるPRL産生を減少または消失させる方向に向けられる)のよう
なPRLレベルを減少させる治療は、乳癌の治療において成功していない(ペイラ
ート(Peyrat)ら、1984、Eur. J. Cancer Clin. Oncol. 20:1363〜1367;ホ
ウソン(Heuson)ら、1972、Eur. J. Cancer 8:155〜156)。それにもかかわら
ず、オートクライン/パラクライン増殖調節ループが存在するならば(すなわち
、下垂体はプロラクチンの複数の分泌源の一つに過ぎない;クレベンガー(Clev
enger)ら、1995、Am. J. Pathol. 146:695〜705;フィールズ(Fields)ら、1
993、Lab. Invest. 68:354〜360;ギンスバーグ&フォンデルアール(Ginsburg
and Vonderhaar)、1995、Cancer Res. 55:2591〜2595;フー&ウェルズ(Fuh
and Wells)、1995、J. Biol. Chem. 270:13133〜13137を参照のこと)、PRL
は乳癌において何らかの役割を果たしている可能性があると提唱されてきた。こ
の点に関して、PRLおよびPRLRのRNAレベルは逆転写酵素/PCR技術を用いて調べ
たところ、PRLおよびPRLRは乳癌(>95%)および正常乳房組織(>93%)にお
いて広く発現されていることが判明し、このことから、PRL/PRLR受容体における
介入が乳癌の治療において有用となる可能性があることが示唆された(レイノル
ズ(Reynolds)ら、Endocrinol. 138:5555〜5560)。実際に、最近、抗エスト
ロゲン剤(タモキシフェン)、GH類似体(オクトレオチド)、および強力な抗プ
ロラクチン剤(CV 205-502、下垂体によるプロラクチン分泌を阻害するドーパミ
ンアゴニスト)を組みあわせた複合レジメが、転移性乳癌患者においてタモキシ
フェン単独療法と比較してよりよい臨床成績を収めたことが報告されている(ボ
テンバル(Botenbal)ら、1998、Br. J. Cancer 77:115〜122)。
【0006】 PRL発現と前立腺疾患との関連についても提唱されている(ウェンボ(Wennbo
)ら、1997、Endocrinol. 138:4410〜4415)。PRL受容体は前立腺組織に認めら
れる(アラゴナ&フリーセン(Aragona and Friesen)、1975、Endocrinol. 97
:677〜684;リーケ(Leake)ら、1983、J. Endocrinol. 99:321〜328)。PRL
レベルは、前立腺過形成の発症と一致する年齢と共に増加することが認められ(
ハモンド(Hammond)ら、1977、Clin. Endocrinol. 7:129〜135;べケマンス&
ロビン(Vekemans and Robyn)、1975、Br. Med. J. 738〜739)、PRLは前立腺
組織において栄養および分化作用を有することが判明した(コステロ&フランク
リン(Costello and Franklin)、1994、Prostate 24:162〜166)。PRL遺伝子
を過剰発現するトランスジェニックマウスは前立腺が劇的に肥大した(ウェンボ
(Wennbo)ら、1997、Endocrinol. 138:4410〜4415)。それにもかかわらず、
前立腺疾患におけるPRLの役割はなおもわかっていない(ウェンボ(Wennbo)ら
、1997、Endocrinol. 138:4410〜4415)。前立腺過形成を有する患者におけるP
RLレベルは、増加しているか(オドマ(Odoma)ら、1985、J. Urol. 133:717〜
720;サロフ(Saroff)ら、1980、Oncology 37:46〜52)、前立腺癌患者に限っ
て増加しているか、または不変である(ハーパー(Harper)ら、1976、Acta End
ocrinol.(Copenh)81:409〜426)ことが報告されている。ジャンセン(Jansse
n)らは、アンドロゲン不応性ヒト前立腺細胞株の増殖がPRLによって有意に調節
することができることを報告した(1996、Cancer 77:144〜149)。これらの相
違を説明するために、前立腺におけるPRLの局所合成(ネバレイネン(Nevalaine
n)ら、1997、J. Clin. Invest. 99:618〜627)が重要な要因である可能性があ
ると提唱されている。ラット前立腺上皮におけるPRLのアンドロゲン依存的発現
が認められており、このことは、前立腺にプロラクチン作用のオートクライン/
パラクラインループが存在し、これがアンドロゲン関連作用を媒介するという考
え方の根拠となっている(ネバレイネン(Nevalainen)ら、1997、FASEB J. 11(
14):1297〜1307)。さらに、臨床データは有望であるように思われる:下垂体
切除は、前立腺癌患者において性腺摘除および副腎摘除と組みあわせると、相加
的な治療効果を示すことが判明し(ブレンドラー(Brendler)、1973、Urology
2:99〜102)、そしてラナ(Rana)らは、アンドロゲンとプロラクチンを合わせ
た最大抑制が起こった結果、進行前立腺癌患者において、従来の治療と比べて有
意に改善された臨床反応が得られたことを報告している(ハビブ(Habib)ら、1
995、Eur. J. Cancer 31A:859〜860)。
【0007】 PRL分子とその受容体の生物学的関連性を考慮して、多くの研究者らは本来の
非改変型の分子と比較して構造的に異なるPRL変異体の活性を評価してきた。天
然の燐酸化されたラットPRLは、ラットNb2 Tリンパ腫細胞の増殖を測定するアッ
セイ法およびGH3細胞増殖のオートクライン調節において、非改変型PRLの増殖促
進作用に拮抗すると報告されている(ワン&ウォーカー(Wang and Walker)、1
993、Endocrinol. 133:2156〜2160;クラウン(Krown)ら、1992、Endocrinol.
122:223〜229)。さらに、179位のセリンの代わりに置換されたかさ高い陰性
荷電アミノ酸(すなわちグルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩)を有する燐酸
化されたPRLの分子模倣体は、PRLの増殖促進作用に拮抗した(チェン(Chen)ら
、1998、Endocrinol. 139:609〜616)。
【0008】 PRL変異体デザインに関するその他の戦略は、PRLとその受容体との相互作用を
破壊することを目的としている。この目的のため、研究者らはPRLRとGHRとの類
推を行い、それに対して構造/機能関係がよりよく理解される。
【0009】 GHRの特定の特徴は、120位のグリシンがアルギニン残基に置換されているヒト
GH(「hGH」)の変異体の完全なGHアンタゴニスト活性の基礎を研究することに
よって解明された(チェン(Chen)ら、1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87
:5061〜5065;チェン(Chen)ら、1991、Mol. Endocrinol. 5:1845〜1852;チ
ェン(Chen)ら、1994、J. Biol. Chem. 269;15892〜15897;チェン(Chen)ら
、1995、Mol. Endocrinol. 9:1〜7;コプチック&チェン(Kopchick and Chen
)の米国特許第5,350,836号;コプチック&チェン(Kopchick and Chen)の米国
特許第5,681,809号)。hGHは、hGHRの二量体型と複合体を形成すると予想された
。フー(Fuh)と彼の共同研究者は、それによってGHが第一の結合部位(GHのヘ
リックス1、ヘリックス4、およびループ1の部分によって分けられる)を通じ
て1つの受容体にまず結合して、不活性な中間体の1:1複合体を形成し、その
後受容体結合hGHが結合部位2(G120R変異体において変異したGHのヘリックス3
グリシンを含む)を通じて第二の受容体と相互作用して、活性な1:2ホルモン
/受容体複合体を形成する(フー(Fuh)ら、1992、Science 256:1677〜1680;
フー(Fuh)ら、1993、J. Biol. Chem. 268:5376〜5381;ゴフィン(Goffin)
ら、1994、J. Biol. Chem. 269:32598〜32606)、という連続二量体形成モデル
を提唱した。GHの120位のヘリックス3グリシンがアルギニン残基に置換される
と、第二の結合部位は立体妨害されて、GHはもはや受容体二量体形成を誘導する
ことができない。
【0010】 PRLRの構造に関してはあまり知られていないが、PRLRも同様にホルモン媒介連
続二量体形成によって活性化されることが示唆されている(カニンガム(Cunnin
gham)ら、1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:3407〜3411;フー(Fuh)ら
、1992、Science 256:1677〜1680;フー(Fuh)ら、1993、J. Biol. Chem. 268
:5376〜5381)。PRLの22位のアラニン、25位のロイシン、26位のセリンおよび1
29位のグリシンのトリプトファンおよび/またはアルギニンへの変異を含む、GH
のヘリックス3/ヘリックス1界面に対応すると考えられる領域に変異を含むヒ
トPRL(「hPRL」)の変異体が作製された(特に、A22W、L25R、L25W、S26R、S26
W、およびG129Rを作製するため;ゴフィン(Goffin)ら、1994、J. Biol. Chem.
269:32598〜32606)。その論文では、A22、S26、およびG129における点突然変
異は、変異体の分裂促進活性を2〜3桁著しく低下させる(天然のPRLと比較し
て)と報告されたが(Nb2増殖アッセイ法において調べたところ)、G129R変異体
(GHのG120Rの位置的類似体)はアンタゴニストというよりはむしろ弱いアゴニ
ストとして作用することが報告された。その後、hPRLRをコードする核酸とリポ
ーター遺伝子とをPRL反応性DNA配列の制御下で同時トランスフェクトさせた細胞
をG129R hPRL変異体に暴露する、というPRLR活性を調べるアッセイ法において調
べたところ、アンタゴニスト作用が認められたことが報告された(ゴフィン(Go
ffin)ら、1996、J. Biol. Chem. 271:16573〜16579)。
【0011】 GH作用の天然に存在するアンタゴニストが存在する可能性がある。GHRの細胞
不含切断型(「GH-BP」と呼ばれる)がヒトおよび特定の動物において同定され
ている(バウマン(Baumann)、1991、Acta Endocrinol. 124(suppl 2):21〜
26;バウマン(Baumann)ら、1994、J. Endocrinol. 141:1〜6;バウマン(Bau
mann)、1995、Endocrinol. 136:377〜378)。GH-BPのヒト型は受容体の細胞外
ドメインを含み、本来の受容体の蛋白質分解による切断または別のRNAスプライ
シングの結果となりうる。GH-BPは、GHのその受容体への結合を阻害するように
作用することが示唆されている(バウマン(Baumann)、1991、Acta Endocrinol
. 124(suppl 2):21〜26;バウマン(Baumann)ら、1994、J. Endocrinol. 14
1:1〜6)。この仮説の根拠となるのは、先端巨大症患者(GHの過剰発現による
)におけるGH-BPレベルはGHの血清レベルと反比例する(すなわち、GH-BPが少な
ければ、GH血清濃度は多くなる;アミット(Amit)ら、1992、Hormone Res. 37
:205〜211)という知見である。GH-BPのレベルが低いほど、GH受容体アッセイ
法において先端巨大症の血清GHが比較的活性となる可能性があり、従って疾患に
対して負の関与をする可能性がある(ホッフバーグ(Hochberg)ら、1994、Acta
Endocrinol. 125:23〜27)。サイトカイン受容体スーパーファミリーにおける
他の受容体の可溶性型もまた認められている(バウマン(Baumann)、1995、End
ocrinol. 136:377〜378)。それにもかかわらず、本発明より以前にPRLRの天然
に存在する細胞不含型の存在を示唆する如何なる証拠もなかった。
【0012】 3.発明の概要 本発明は、その受容体に及ぼすプロラクチンの細胞増殖促進作用を阻害するた
めの方法および組成物に関する。
【0013】 第一の組の態様において、本発明は、プロラクチン受容体に対してアンタゴニ
ストとして作用するプロラクチン変異体、およびプロラクチン受容体を発現する
細胞の増殖の阻害における該プロラクチン変異体の使用を提供する。本発明は、
プロラクチン変異体が細胞増殖を用量依存的に阻害することができるという知見
に基づいている。さらに、プロラクチン変異体は癌細胞においてアポトーシスを
誘導することができることが認められた。好ましい態様において、プロラクチン
変異体は129位のグリシンアミノ酸が別のアミノ酸に置換されている、ヒトプロ
ラクチンの変異型である。特定の非制限的態様において、ヒトプロラクチンの12
9位のグリシンがアルギニンに置換されている。
【0014】 第二の組の態様において、本発明は、プロラクチンに結合することができ、そ
れによってその受容体に結合するプロラクチンの利用率を減少させるプロラクチ
ン受容体の切断型を提供する。本発明のプロラクチン変異体および切断型プロラ
クチン受容体は、プロラクチン受容体を発現する細胞の増殖を阻害する方法にお
いて用いてもよい。
【0015】 本発明はさらに、プロラクチン受容体を発現する細胞においてアポトーシスを
誘導する方法を提供する。本発明は、プロラクチン変異体がヒト乳癌細胞におい
て細胞アポトーシスを誘導することができるという知見に基づいている。
【0016】 本発明のさらにもう一つの態様において、本発明は、抗エストロゲン剤と共に
プロラクチン変異体を使用することを含む、プロラクチン受容体を発現する細胞
の増殖を阻害する方法を提供する。そのような抗エストロゲン剤には、タモキシ
フェン、ラロキシフェン、またはICI 164384(インペリアルケミカルインダスト
リーズ(Imperial Chemical Industries))が含まれるがこれらに限定されない。
この方法は、プロラクチン変異体を抗エストロゲン剤と共に投与すると、細胞増
殖に対して相乗的阻害作用を誘導するという知見に基づいている。さらに、プロ
ラクチン変異体は抗アンドロゲン剤と共に用いてもよい。そのような抗アンドロ
ゲン剤には、細胞増殖の相乗的な阻害を誘発するために、フルタミド、アナンド
ロン、または酢酸シプロテロンが含まれるがこれらに限定されない(抗アンドロ
ゲン療法に関してはスミス(Smith, D. C.)、1997、Semin Urol. Oncol. 15:3
〜12;ゴメラ(Gomella, I. M.)、1997、3:16〜24;スシウ(Suciu, S.)、19
93、Cancer 15:3841〜6を参照のこと)。
【0017】 したがって、そのような方法は、望ましくない細胞増殖を伴うヒトおよびヒト
以外の動物における臨床的障害の治療に用いてもよい。特定の非制限的な態様に
おいて、本発明はヒトにおける乳癌および前立腺癌の治療に用いてもよい。
【0018】 5.詳細な説明 制限するためではなくて、明確にするために、本発明の詳細な説明を以下の小
章に分ける: (i)プロラクチン変異体; (ii)切断型プロラクチン受容体;および (iii)本発明の用途。
【0019】 5.1 プロラクチン変異体 本発明は、その受容体でPRLの作用に拮抗するプロラクチン(PRL)変異体を提
供する。
【0020】 プロラクチン(PRL)という用語は、本明細書においてヒトおよびヒト以外の
動物型のホルモンであるプロラクチンを意味する。そのようなプロラクチンには
、アミノ酸配列を図10に述べたプロラクチンが含まれるが、これらに限定されな
い(同様に、クック(Cooke)ら、1981、J. Biol. Chem. 256:4007;クック(C
ooke)ら、1980、J. Biol. Chem. 225:6502;コウモト(Kohmoto)ら、1984、E
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マーチナント(Martinant)ら、1991、Biochem. Biophys. Acta. 1077:339;レ
ーマン(Lehman)ら、1988、Int. J. Peptide Protein Res. 31:544;リ(Li)
ら、1989、Int. J. Peptide Protein Res. 33:67;ハンクス(Hanks)ら、1989
、J. Mol. Endocrinol. 2:21;ワタヒキ(Watahiki)ら、1989、J. Biol. Chem
. 264:5535;カラツァス(Karatzas)ら、1990、Nucl. Acids Res. 18:3071;
ヤスダ(Yasuda)ら、1990、Gen. Comp. Endocrinol. 80:363;ノソ(Noso)ら
、Int. J. Peptide Protein Res. 39:250;バックバインダー(Buckbinder)ら
、1993、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3820;タカハシ(Takahashi)ら、J.
Mol. Endocrinol. 5:281;ヤマグチ(Yamaguchi)ら、1988、J. Biol. Chem.
263;9113;レントラー・デルルー(Rentler-Delrue)ら、DNA 8:261;ヤスダ
(Yasuda)ら、1987、Gen. Comp. Endocrinol. 66:280;チャン(Chang)ら、1
991、ゲンバンク受入番号X61049;チャン(Chang)ら、1991、ゲンバンク受入番
号X61052;ヤスダ(Yasuda)ら、1986、Arch. Biochem. Biophys. 244:528;ク
ワナ(Kuwana)ら、1988、Agric. Biol. Chem. 52:1033;ソング(Song)ら、1
988、Eur. J. Biochem. 172:279;メルシエ(Mercier)ら、1989、DNA 8:119
を参照のこと)。
【0021】 プロラクチン(PRL)変異体という用語は、本来の型のアミノ酸配列が、アミ
ノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって変化している場合を含む、その
本来の型と比較して構造的に変化しているプロラクチンの型を意味する。
【0022】 そのような変異体の、PRLの受容体におけるPRLの作用に対する拮抗能は、通常
の条件で、PRLによって媒介される作用の変異体の阻害能として定義される。例
えば、PRLがある種の細胞に対して増殖作用を有する場合、本発明のPRL変異体は
、その種の細胞の増殖を阻害する;以下の理論に制限されることなく、PRLは阻
害作用が認められるためにはある程度のレベルが存在すると考えられる。図5Aは
、本発明の実施例を説明しており、ここで、ヒトプロラクチン(hPRL)はT47Dヒ
ト乳癌細胞の増殖を誘導するが、129位のグリシンがアルギニン残基に置換され
ている、hPRLAと呼ばれるhPRL変異体は、hPRLまたはhPRLAを加えていないT47D細
胞と比較してT47D細胞の増殖を阻害する;T47DレベルがPRLを生じると考えられ
ている(ギンスバーグ&フォンデルアール(Ginsberg and Vonderharr)、1995
、Cancer Res. 55:2591〜2595)。
【0023】 特定の非制限的な実施例として、PRL変異体は、PRLおよびPRL変異体の双方が
存在する場合に、その受容体を通じてのPRLの作用能を変異体が阻害するか否か
を決定することによって、PRLのアンタゴニストとして同定されてもよい。一例
として、PRLの所定の濃度Xが培養においてPRLRを発現する細胞の増殖において増
加Yに関連している場合、同等の細胞試料を濃度XのPRLおよび濃度VのPRL変異体
に暴露すると、細胞の増殖はZ増加するが、ここでZはYより小さく、負の数であ
ってもよいであろう。
【0024】 本発明の一つの非制限的な態様において、PRL変異体は129位のグリシンが別の
アミノ酸に置換されているヒトPRLの変異体である。G129*として速記法で示され
る置換(ここで*はグリシン以外の天然または合成アミノ酸である)は、本来の
配列からの単なる変異であってもよく、または幾つかの変化の一つであってもよ
い(アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換を含む)。置換アミノ酸は、ア
ラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチ
オニンのような中性の極性アミノ酸;セリン、トレオニン、チロシン、システイ
ン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸のような中性
の非極性アミノ酸;アスパラギン酸およびグルタミン酸のような酸性アミノ酸;
ならびにアルギニン、ヒスチジン、またはリジンのような塩基性アミノ酸であっ
てもよい。本発明の好ましい態様において、hPRLの129位のグリシンは、バリン
、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、プロリン、チロシン、システ
イン、メチオニン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニ
ン、リジン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸
に置換してもよい。本発明の最も好ましい態様において、置換は129位のグリシ
ンをアルギニン(G129R)に置換する。さらに特定の非制限的な態様において、
本発明は、129位のグリシンが欠失しているプロラクチン変異体を提供する。
【0025】 さらに他の非制限的な態様において、プロラクチン変異体は融合蛋白質の一部
としてもう一つの蛋白質に結合している。一つの特定の態様として、プロラクチ
ン変異体はインターロイキン2に結合してもよい。そのような態様の一つの非制
限的な例は、インターロイキン2に結合したヒトプロラクチンのG129R変異体で
ある。
【0026】 本発明のPRL変異体は化学合成、または組換えDNA技術によって調製してもよい
。一般的にPRLのcDNAは、標準的なPCR増幅技術、PRLを産生する細胞(脳下垂体
細胞など)から調製した鋳型としてのRNAまたはcDNA、および既知のPRL核酸また
はアミノ酸配列に基づいてデザインされたオリゴヌクレオチドプライマー、を用
いて調製してもよい。hPRLをコードするcDNA調製の非制限的な実施例を下記の第
7章に記載する。次にランダムに、または部位特異的変異誘発のいずれかによっ
てPRL cDNAに変化を導入してもよい。オリゴヌクレオチド媒介部位特異的変異誘
発を用いる例についても実施例7に記載しており、hPRLへのG129R置換の導入を
説明する。
【0027】 PRL変異体が組換え技術によって産生される場合、PRL変異体をコードする核酸
を、適したプロモーター/エンハンサー配列に機能的に結合した発現ベクターに
組み入れてもよい。発現ベクターは、さらに、転写終結部位、ポリアデニル化部
位、リボソーム結合部位、シグナル配列等を含む、PRL変異体の発現を助ける1
つまたは複数のエレメントを含んでもよい。適した発現系には、哺乳類細胞、昆
虫細胞、植物細胞、酵母細胞、粘菌、ならびにトランスジェニック植物およびト
ランスジェニック動物を含む生物が含まれる。適した発現ベクターには、pHSV1
のような単純ヘルペスウイルスに基づくベクター(ゲラー(Geller)ら、1990、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8950〜8954);MFGのようなレトロウイルスベ
クター(ジャフィー(Jaffee)ら、1993、Cancer Res. 53:2221〜2226)、およ
び特にLN、LNSX、LNCX、LXSNのようなモロニーレトロウイルスベクター(ミラー
&ロスマン(Miller and Rosman)、1989、Biotechniques 7:980〜989);MVA
のようなワクシニアウイルスベクター(スッター&モス(Sutter and Moss)、1
992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10847〜10851);pJM17のようなアデノ
ウイルスベクター(アリ(Ali)ら、1994、Gene Therapy 1:367〜384;バーカ
ー(Berker)、1988、Biotechniques 6:616〜624;ワンド&ファイナー(Wand
and Finer)、1996、Nature Medicine 2:714〜716);AAV/neoのようなアデノ
関連ウイルスベクター(ムラ・カチョ(Mura-Cacho)ら、1992、J. Immunother.
11:231〜237);レンチウイルスベクター(ツッファレイ(Zufferey)ら、199
7、Nature Biotechnology 15:871〜875);pCDNA3およびpCDNA1(インビトロゲ
ン社(InVitrogen))、pET11a、pET3a、pET11d、pET3d、pET22d、およびpET12a(
ノバゲン社(Novagen))のようなプラスミドベクター;プラスミドAH5(SV40起点
およびアデノウイルスの主要後期プロモーターを含む)、pRC/CMV(インビトロ
ゲン社)、pCMU II(パアボ(Paabo)ら、1986、EMBO J. 5:1921〜1927)、pZi
pNeo SV(セプコ(Cepko)ら、1984、Cell 37:1053〜1062)、pSRα(DNAX、パ
ロアルト、カリフォルニア州)、およびpBK-CMV;ならびにp2Bac(インビトロゲ
ン社)のようなバキュロウイルス発現ベクター(オライリー(O'Reilly)ら、19
95、「バキュロウイルス発現ベクター(Baculovirus Expression Vectors)」、
オックスフォード大学出版)が含まれる。
【0028】 次に、組換え発現系において産生されたPRL変異体を、電気穿孔、クロマトグ
ラフィー(アフィニティクロマトグラフィーを含む)、および限外濾過を含む、
標準的な技術によって精製してもよい。
【0029】 5.2 切断型プロラクチン受容体 本発明は、細胞不含切断型プロラクチン受容体(本明細書においてPRL-BPと呼
ばれる)を提供し、これはPRLとの結合能を保持し、したがって、PRL結合に関し
てPRLRの細胞表面型と競合することができ、それによって、PRLの受容体との相
互作用能を阻害することができる。
【0030】 PRL-BPは、酵素的、または組換え型DNA技術のいずれかを用いて、PRLPの膜貫
通および/または細胞内ドメインの全てまたは一部を除去することによって調製
してもよい。本発明の特定の非制限的な態様において、切断されるPRLRはボウチ
ン(Boutin)ら、1989、Mol. Endocrinol. 3:1455〜1461に記載の通りである。
【0031】 組換え型の調製に関して、本来のプロラクチン受容体をコードする核酸分子を
調製してもよく、次にPRL-BPをコードするように変化させてもよい。例えば、PR
LRは下記の実施例9に述べる技術を用いてクローニングしてもよいが、これらに
限定されない。
【0032】 多様な異なる生物からのPRLRのアミノ酸配列が既知である。ヒトPRLR配列はゲ
ンバンク受入番号13032から得ることができる。さらに、PRLRの細胞外、膜貫通
および細胞質ドメインを表すアミノ酸残基もまた既知である(例えば、ケリー(
Kelly)ら、1989、Biol. Reprod. 40:27〜32を参照のこと)。これらのドメイ
ンが解明されれば、当業者は、PRLとの結合能を保持するがPRLの作用を阻害する
ために用いてもよいPRLRの切断型を容易に産生することができると考えられる。
【0033】 当業者に周知であるDNA組換え法を、PRL-BPコード配列および適当な転写/翻
訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために用いることができる。発現
効率は、適当な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーター等を含めるこ
とによって増強することができる。方法は、インビトロ組換え型DNA、合成技術
およびインビボ組換え体を含んでもよい(例えば、参照としてその全体が本明細
書に組み入れられる、サムブルック(Sambrook)の「分子クローニング、実験マ
ニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」、コールドスプリング
ハーバー研究所出版、コールドスプリングハーバー、ニューヨーク州、およびグ
ローバー(Glover, D. M.)編、1985「DNAのクローニング:実践アプローチ(DN
A Cloning:A Practical Approarch )」、MRLプレス(株)、オックスフォード
、イギリス、第I、II巻を参照のこと)。
【0034】 組換えDNA技術を用いてPRL-BPを産生する場合、例えば、溶解度または精製を
容易にすることができる融合蛋白質を操作することが都合がよい可能性がある。
そのような融合蛋白質は、所望のアミノ酸配列をコードする適当な核酸配列は、
当技術分野で公知の方法によって適当なリーディングフレームにおいて互いにラ
イゲーションすること、および当技術分野で一般的に公知の方法によって融合蛋
白質を発現することによって作製することができる。そのような融合蛋白質に含
まれるPRL-BP遺伝子産物は、例えば、一つまたは複数の細胞外ドメインまたは部
分、好ましくはリガンド結合部分を含むことができる。
【0035】 hPRL-BP発現に関して一つの特定の実施例において、pcDNA3.1/His Xpress(イ
ンビトロゲン社、サンジエゴ、カリフォルニア州)のような哺乳類の発現ベクタ
ーを用いてもよい。このベクターはヒト早初期サイトメガロウイルスプロモータ
ーおよびbGHポリA付加シグナルを含む。さらに、これはインフレーム(His)6ペ
プチドをN末端に提供し、これによってhPRL-BPの精製後に容易に検出することが
できる。そのようなベクターを用いて培養細胞において産生された組換え型hPRL
-BPは、下記の第7章に記載する技術を用いて限外濾過によって濃縮してもよい
。限外濾過後のhPRL-BPの濃度は、蛋白質アッセイ法によって決定して、抗His抗
体(サンタクルズ、カリフォルニア州)を用いてウェスタンブロット解析によっ
て確認してもよく、および密度測定法によって定量してもよい(フェルナデス&
コプチック(Fernadez and Kopchick)、1990、Anal. Biochem. 191:268〜271
)。
【0036】 または、切断型PRL-BPは、例えばペプチドシンセサイザーを用いて蛋白質合成
技術によって作製してもよい。さらに、切断型PRL-BPは、天然に存在する、また
は遺伝子操作したPRLR産生細胞のいずれかから完全長のPRLR蛋白質を精製して、
その後トリプシンのような蛋白質分解酵素を用いて精製蛋白質を酵素的に分解し
てPRL-BPを形成することによって調製してもよい。
【0037】 5.3 PRLRアゴニストおよびアンタゴニストを同定するためのスクリーニングア
ッセイ法 本発明は、PRLR活性を調節する化合物または組成物を同定するために用いるこ
とができ、したがって細胞増殖の調節および異常な細胞増殖に関連した疾患の治
療に有用となる可能性がある、細胞に基づくアッセイ系を提供する。本発明の細
胞に基づくアッセイ系は、細胞のアポトーシスを調べるためにデザインされる。
アッセイ系はPRLRアンタゴニストであるG129RがPRLRを発現する細胞においてア
ポトーシスを誘導することができるという知見に基づいている。
【0038】 本発明に従って、PRLRの活性を調節し、それによって細胞増殖を調節する化合
物をスクリーニングするために、細胞に基づくアッセイ系を提供する。PRLR活性
に影響を及ぼす可能性がある化合物には、PRLRに結合して、且つシグナル伝達を
活性化する(アゴニスト)、または活性化を遮断する(アンタゴニスト)のいず
れかである化合物が含まれるがこれらに限定されない。本発明のアッセイ系は、
PRLRと相互作用して、それによってその機能に影響を及ぼす化合物を同定するた
めの迅速で信頼できる方法を提供する。
【0039】 プロラクチン受容体活性を調節することができる化合物を同定する方法は、 a. プロラクチン受容体を発現する細胞に化合物を接触させる段階; b. 細胞のアポトーシスのレベルを測定する段階;および c. (b)において得られたアポトーシスのレベルを化合物の非存在下で得ら
れたレベルと比較する段階を含み、 (b)において得られたレベルが化合物の非存在下で得られたレベルと異なる場
合、プロラクチン受容体活性を調節することができる化合物が同定される方法で
ある。アポトーシスのレベルが該アッセイ法において増加していれば、プロラク
チン受容体のアンタゴニストが同定される。
【0040】 本発明のさらにもう一つの態様において、以下の段階を含むプロラクチン受容
体の活性を誘導することができる化合物を同定する方法であって、プロラクチン
受容体媒介アポトーシスを誘導する化合物の存在下において、アポトーシスのレ
ベルが減少すれば、プロラクチン受容体の活性を活性化することができる化合物
が同定される方法が提供される: a. プロラクチン受容体媒介アポトーシスを誘導する化合物の存在下および非
存在下で、プロラクチン受容体を発現する細胞に化合物を接触させる段階; b. プロラクチン受容体媒介アポトーシスを誘導する化合物の存在下および非
存在下で、細胞におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;および c. (b)において得られたアポトーシスのレベルを比較する段階。
【0041】 この目的のため、内因性にPRLRを発現する細胞を用いて受容体の活性を調節す
る化合物をスクリーニングすることができる。本発明の好ましい態様において、
細胞は、例えば乳癌細胞または前立腺癌細胞のような形質転換細胞である。さら
に、通常PRLRを発現していない細胞を、PRLR遺伝子を発現するように遺伝子操作
することができ、そのような細胞をスクリーニング目的に用いてもよい。当業者
は、トランスフェクションすることができ、且つPRLRのバックグラウンドレベル
が低いか全くない任意の細胞株も許容可能であることを理解する。
【0042】 そのような細胞に基づくアッセイ系を利用する場合、PRLRを発現する細胞を試
験化合物または溶媒対照(例えば、プラセボ)に暴露する。PRLRアゴニストを同
定するようにデザインされたアッセイ法において、G129RのようなPRLR媒介アポ
トーシスを誘導する化合物もまた、アッセイ法に加えられる。暴露後、細胞はア
ポトーシスのレベルを測定するためにアッセイすることができる。アポトーシス
を測定するようにデザインされたアッセイ法には、ターミナルデオキシヌクレオ
チジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニック末端標識(TUNEL)アッセイ法(ケバ
ース(Kebers)ら、1998、Experimental Cell Research 240:197〜205);活性
化カスパーゼを検出するアッセイ法(ジャニッケ(Janicke)ら、1998、J. Biol
. Chem. 273:9357〜9360);ゲル電気泳動によって断片化DNAを検出するDNAラ
ダーゲルアッセイ法(ブルシュ(Bursch)ら、1996、Carcinogenesis 17:1595
〜1607);bcl-2およびbax蛋白質レベルを検出するアッセイ法(ビュエルツバー
ガー(Wuertzberger)ら、1998、Cancer Reseach 58:1876〜1885);アポトー
シス細胞における核濃縮を検出するためのヘキスト/DAPI染色(ブルシュ(Burs
ch)ら、1998、Carcinogenesis 17:1595〜1607);細胞質膜上のホスファチジ
ルセリンのアネキシンV染色(ファンエンゲランド(van Engeland)ら、1996、C
ytometry 24:131〜139);ヨウ化プロピジウム染色後のフローサイトメトリー
によるDNA含有量の分析(シャーウッド(Sherwood)ら、Methods in Cell Biolo
gy 46:77〜97);ならびに電子顕微鏡および位相差顕微鏡を用いた形態学的研
究(ブルシュ(Bursch)ら、Carcinogenesis 17:1595〜1607)が含まれる。
【0043】 試験化合物が、溶媒対照によって処置した細胞において認められるレベル以上
にアポトーシスのレベルを誘発することができれば、その試験化合物はPRLRによ
って媒介されるシグナル伝達を阻害するアンタゴニストとして作用することを示
している。対照的に、試験化合物が溶媒対照によって処置した細胞において認め
られたレベル以上に、G129Rのような化合物の存在下でアポトーシスのレベルを
減少させることができれば、試験化合物がPRLRによって媒介されるシグナル伝達
を誘導することが示される。
【0044】 高処理能スクリーニングは、考えられるPRLRアンタゴニストまたはアゴニスト
をそれぞれ含むマイクロタイタープレートのウェルに試験細胞を播種することに
よって行うことができる。ウェルはまた、完全な培地を含み、あるアゴニストが
G129Rのような化合物であると同定される場合が含まれる。可能性があるアンタ
ゴニストまたはアゴニストとのインキュベーション後、細胞を上記のような方法
を用いてアポトーシスの有無をアッセイする。可能性があるアンタゴニストはPR
LRを発現する細胞においてアポトーシスを誘導する化合物である。可能性がある
アゴニストは、受容体結合に関してG129Rと競合して、それによってG129R誘導ア
ポトーシスを阻害する化合物である。
【0045】 本発明に従ってスクリーニングしてもよい化合物には、無機化合物、ペプチド
、抗体およびその断片、ならびにPRLRに結合してPRLRの活性を活性化する(すな
わちアゴニスト)、またはPRLRの活性を阻害する(すなわち、アンタゴニスト)
他の有機化合物(例えば、ペプチド模倣体)が含まれるが、これらに限定されな
い。化合物は例えば、ランダムペプチドライブラリのメンバーを含むがこれらに
限定しない可溶性ペプチドのようなペプチド(例えば、ラム(Lam)ら、1991、N
ature 354:82〜84;ホーグテン(Houghten)ら、1991、Nature 354:84〜86を
参照のこと)、およびD-および/またはL-型アミノ酸からなる組合せ化学由来分
子ライブラリ、ホスホペプチド(ランダムまたは部分的に縮重した定方向ホスホ
ペプチドライブラリのメンバーを含むが、これらに限定しない;例えば、ソンギ
ャング(Songyang)ら、1993、Cell 72:767〜778を参照のこと)を含んでもよ
いが、これらに限定されない。ライブラリのスクリーニングは、一般的に公知の
多様な方法のいずれによっても行うことができる。本発明の特定の態様において
、PRLのペプチド変異体は、PRLRの活性の調節能に関してスクリーニングしても
よい。
【0046】 本明細書に記述したアッセイ法を通じて同定される化合物は例えば、異常な細
胞増殖に関連した疾患を改善するために有用となる可能性がある。スクリーニン
グにおいて同定された化合物の有効性を調べるアッセイ法は、癌のような増殖性
疾患の動物モデル系において調べることができる。
【0047】 5.4 本発明の用途 本発明は、それによってPRL変異体(PRLアンタゴニストとして作用する)また
はPRLRの切断型(PRL結合に関して内因性受容体と競合する)をPRLの作用を阻害
するために、特にPRL媒介細胞増殖を阻害するために用いることのできる方法お
よび組成物を提供する。本発明の方法は、プロラクチン変異体またはPRLRの切断
型を、増殖しつつある細胞がプロラクチン受容体を発現する増殖性疾患を有する
被験者に投与することを含む。
【0048】 特に特異的な非制限的態様において、本発明のPRL変異体または切断型PRLR(P
RL-BPとも呼ばれる)は、PRL/PRLR利用率に応じて変化する作用を推論すること
ができるように、異なるレベルのPRLRおよび/またはPRLを発現する細胞株のパ
ネルにおけるPRL活性の拮抗能について調べてもよい。例えば、hPRL変異体また
は切断型hPRLRの活性を、以下の異なる5つのヒト乳癌細胞株の全てまたはサブ
セットにおいて調べてもよい(ATCCから得たT-47D、MCF-7、HTB19、HTB20、およ
びHTB123)。これらの細胞株上のhPRL受容体数は:T-47D(25,800個/細胞)、M
CF-7(8,300個/細胞)、HTB19(6,435個/細胞)、HTB20(5,480個/細胞)、H
TB123(1,094個/細胞、正常乳房細胞=1,700個/細胞)であると報告されてい
る。したがって、これらの細胞株はヒト乳癌細胞上のhPRL受容体レベルのスペク
トルを表す。ヒト乳癌細胞株を用いることは、種特異性によって引き起こされる
可能性がある混乱(confusing)作用を回避するために、乳腺刺激ホルモン研究
において広く用いられているラットNb2 T-細胞リンパ腫細胞株を用いるよりも好
ましいことに留意されたい。PRL変異体または切断型PRLRの作用を決定するため
に用いることのできるアッセイ法には、(i)(変異型PRLに関して)アンタゴニ
ストが受容体レベルで競合するか否かを調べるための、競合的受容体結合アッセ
イ法;(ii)推定のアンタゴニストがPRLによって誘発される細胞内シグナル伝
達を阻害するか否かを調べるための、STAT 5蛋白質の燐酸化の検出/定量;およ
び(iii)変異型PRLまたは切断型PRLRについて可能性がある阻害作用を調べる総
合試験として用いられる細胞増殖アッセイ法、が含まれる。PRL、変異型PRL、ま
たは切断型PRLRの増殖または抗増殖作用を調べる1つの好ましい方法は、図6に
概略を示し、下記の第8章に説明するような混合細胞培養アッセイ法である。
【0049】 本発明のPRL変異体またはPRL-BPの投与によって利益が得られる可能性がある
疾患には、PRLRを発現する細胞の良性および悪性増殖の双方が含まれる。そのよ
うな疾患には、乳房腺腫および繊維嚢胞症のような良性疾患、ならびに管型、硬
性、髄様、コロイド型、および葉状の癌(局所または転移性)を含む乳癌のよう
な悪性疾患を有する乳房の増殖性疾患;ならびに前立腺過形成および前立腺癌(
局所または転移性)を含む前立腺の増殖性疾患が含まれるがこれらに限定されな
い。成長ホルモン受容体を発現する細胞を含む疾患を含む、PRLRと相同な受容体
を発現する細胞を含む増殖性疾患もまた治療してもよい。
【0050】 下記の実施例11に記載するように、プロラクチン変異体はヒト乳癌細胞および
前立腺癌細胞において細胞アポトーシスを誘導することができる。このように、
本発明は、プロラクチン受容体を発現する細胞のみならず、プロラクチン受容体
と相同な受容体を発現する細胞においてアポトーシスを誘導し、それによってそ
のような細胞の増殖を阻害する方法を提供する。本発明の1つの態様において、
PRLR受容体の発現は、癌細胞集団のような、アポトーシスの標的とされる特異的
細胞集団に向けることができる。PRLRを発現する核酸分子は、遺伝子療法プロト
コールにおいて用いられる方法と同じ方法を用いて、標的細胞集団に移入するこ
とができる。標的細胞集団が表面上で発現されれば、プロラクチン変異体との接
触を通じて受容体が活性化されて、標的細胞のアポトーシスを誘導することがで
きる。
【0051】 増殖性疾患の治療において、PRL変異体またはPRL-BPは、単独、または連続も
しくは併用治療レジメの一部として投与してもよい。非制限的な例として、治療
すべき疾患が乳癌である場合、併用レジメにおいて用いられるさらなる物質は、
タモキシフェンのような抗エストロゲン剤および/または化学療法剤を含んでも
よい。治療すべき疾患が前立腺癌である場合、併用レジメにおいて用いられるさ
らなる物質は抗アンドロゲン剤および/または化学療法剤を含んでもよい。併用
治療レジメは、プロラクチン変異体を4-OHタモキシフェンのような抗エストロゲ
ン剤と併用して用いたところ、相乗的な阻害作用を示したという知見に基づいて
いる。
【0052】 したがって、本発明は、前記の方法において用いるために適した薬学的担体中
にPRL変異体またはPRL-BPを含む組成物を提供する。そのような組成物は、局所
適用、静脈内、動脈内、くも膜下、腹腔内、経口等を含む任意の適した技術によ
って投与することができる。
【0053】 本発明における用途に適した薬学的組成物には、その意図する目的を達成する
ために有効な量のPRL変異体またはPRL-BPを含む組成物が含まれる。より詳しく
述べると、有効量は、PRLRを発現する細胞の増殖を阻害して、それによって増殖
性疾患に関連した症状を減少させるために必要なPRL変異体またはPRL-BPの量を
意味する。有効量の決定は、当業者が十分に行える範囲内である。
【0054】 本発明の化合物の有効濃度は、細胞培養系および/またはトランスジェニック
動物において確立してもよい。有効量は異なる多様なアッセイ法を用いて決定で
きる。例えば、細胞増殖アッセイ法は、細胞増殖を阻害するために必要なPRL変
異体またはPRL-BPの濃度を定量するために実施してもよい。さらに、細胞アポト
ーシスを誘導するために必要なPRL変異体またはPRL-BPの濃度を定量するアッセ
イ法を行ってもよい。腫瘍細胞増殖の阻害は、PRL変異体またはPRL-BPによる腫
瘍細胞増殖の阻害を検出するためにアッセイすることができる。そのような場合
、PRL変異体またはPRL-BPの有効量は、癌細胞の増殖を阻害し、且つ患者におい
て腫瘍の増殖を阻害するために必要な量である。特定の場合、増殖性疾患を示す
被験者に、プロラクチン変異体またはPRL-BPをさらに別の1つまたは複数の物質
と共に同時投与することが望ましいかも知れない。そのような物質には例えば、
タモキシフェンのような抗エストロゲン剤、または抗アンドロゲン剤が含まれる
。これらのさらに別の化合物の有効量の決定は、当業者が十分に行える範囲内で
ある。
【0055】 組成物の量は、当然のこととして、治療すべき被験者、治療すべき増殖性障害
、障害の症状の重症度および処方医師の判断に左右される。場合によっては、望
ましくない副作用によって治療をより低用量へと調節するのみならず、臨床反応
が適切でない場合には治療をより高いレベルに調節することが必要であるかも知
れない。
【0056】 6.実施例:アンタゴニスト活性を有する変異型プロラクチンのデザイン hPRLに関して現在利用できる結晶構造データはないため、ガルニエ(Garnier
)ら(1987、J. Mol. Biol. 120:97〜120)が開発したコンピューターアルゴリ
ズムプログラムを用いて、hPRLとhGHとの二次構造を解析して比較した。その結
果、全体的なαヘリックス領域が非常に類似していることが示され、このことは
、これらのホルモンが類似の全体的立体構造を共有することを示唆している。第
三のαヘリックスにおけるアミノ酸配列をGHとPRLとで比較したところ、hPRLの1
29位グリシンがhGHの120位のグリシンに対応すること、そしてこれがGH/PRLファ
ミリーにおいて絶対的に保存されていることが明らかである(チェン(Chen)ら
、1994、J. Biol. Chem. 269:15892〜15897)。したがって、hPRL受容体特異的
アンタゴニストを作製するために、hPRLにおけるグリシンのアルギニンへの置換
変異体を調製した。
【0057】 7.実施例:G129Rプロラクチン変異体の調製 7.1 ヒトプロラクチン遺伝子のクローニング ヒトPRLは逆転写酵素(RT)を用いてその後ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行
うことによって首尾よくクローニングされた。簡単に説明すると、ヒト下垂体ポ
リA RNA(クロンテック社(ClonTech, Ins.)、パロアルト、カリフォルニア州)
を鋳型として用いた。hPRL cDNAの停止コドン(TAA)から2塩基先で始まるhPRL
アンチセンスプライマー(5' GCTTAGCAGTTGTTGTTGTG 3')をデザインし、および
ATGからセンスプライマー(5' ATGAACATCAAAGGAT 3')をデザインした。RT/PCR
はパーキン・エルマーシータスインク(Perkin-Elmer Cetus, Inc.)(ノーウォ
ーク、コネチカット州)のキットを用いて実施した。得られたhPRLのヌクレオチ
ド配列を、改変したT7 DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ、ユナイテッドステイツ
バイオケミカル(United States Biochemical))を用いてジデオキシチェーンタ
ーミネーション法によって決定したところ、ゲンバンクに報告された配列と1つ
の塩基が異なることを除いては同一であり、その結果コドン21位でのサイレント
突然変異(CTG→CTC)が生じていることが判明した。pUCIG-Met発現ベクターの
調製を含むクローニングプロセスの概略図を図1に要約する。
【0058】 7.2 G129Rプロラクチン変異体の作製 hPRL cDNAおよびM13 F1複製起点を含む親プラスミド(図1)を大腸菌(CJ236
)に形質転換した。ウリジンを含む一本鎖プラスミドDNAを、形質転換したCJ236
細菌からヘルパーバクテリオファージM13k07を用いて単離した。G129R変異を指
向する配列を含むオリゴヌクレオチド6 pmolを、アニーリング緩衝液(200 mMト
リス塩酸、20 mM MgCl2、100 mM NaCl)において、70℃で5分間加熱した後徐々
に冷却することによって一本鎖DNA 0.2 pmolとアニーリングした。G129R変異を
コードするオリゴヌクレオチド(5' CGGCTCCTAGAGaggATG-GAGCT 3')を用いて、
T4 DNAポリメラーゼによって触媒される一本鎖DNAを鋳型として用いてDNAの相補
鎖の合成をプライミングした。合成後、二本鎖DNAを用いて大腸菌(DH5a)を形
質転換した。個々のクローンを単離して、DNAヌクレオチドシークエンシングに
よってhPRL-G129Rに関してスクリーニングした。以降、G129R hPRL変異体をhPRL
Aと呼び、「A」はそのアンタゴニスト活性を指す。
【0059】 7.3 クローニングした蛋白質の発現 hPRLおよびhPRLAコード核酸をそれぞれ、cDNAの転写がマウスメタロチオネイ
ンエンハンサー/プロモーター配列およびbGHポリA付加シグナルによって制御さ
れる哺乳類細胞発現ベクターに挿入した(チェン(Chen)ら、1991、J. Biol. C
hem. 266:2252〜2258;チェン(Chen)ら、1991、Endocrinol. 129:1402〜140
8;チェン(Chen)ら、1991、Mol. Endocrinol. 5:1845〜1852;チェン(Chen
)ら、1994、J. Biol. Chem. 269:15892〜15897)。hPRLおよびhPRLAを産生す
る安定なマウスL細胞株を確立するために、マウスL細胞[チミジンキナーゼ(TK
)陰性およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)陰性]をイン
ビトロ発現系として選択した。hPRL(陽性対照として用いられる)およびhPRLA
(約5〜10 mg/L/24時間/細胞100万個)を発現する安定な細胞株を調製した。
【0060】 膜限外濾過を用いて、チェン(Chen)ら(1994、J. Biol. Chem. 269:15892
〜15897)が記述した技術を用いて、hPRLおよびhPRLAを細胞培養馴化培地から部
分的に精製すると共に濃縮した。分離は相対的分子サイズおよび膜の孔サイズに
基づいている。限外濾過膜は、アミコンインク(Amicon, Inc.)(ノートロウ、マ
サチューセッツ州)から得た。2つのタイプの膜、すなわちYM10およびYM100を
使用した。膜貫通圧20 psiの下でアミコンYM100によって、攪拌した細胞200 ml
をまず、培養培地からの大きい不純物を除去するために用いた。透過物(hPRLの
回収率>90%)を、溶液の容積を減少させて、このように蛋白質を濃縮するため
にYM10膜を使用する第二の濾過プロトコールに適用した。hPRLまたはhPRLAの濃
度は、ディアグノスティックプロダクツコーポレーション(Diagnostic Products
Corp.)(ロサンゼルス、カリフォルニア州)のイムノラジオメトリックアッセ
イ(IRMA)キットを用いて決定した。 8.実施例:G129Rプロラクチン変異体の阻害活性 8.1 材料および方法 放射性受容体結合アッセイ法 ハーディング(Harding)ら(1996、J. Biol
. Chem. 271:6708〜6712)が記述したように、ラクトペルオキシダーゼ法を用
いて、80〜105 μCi/μgの比活性を有するNa125Iによって、精製hPRLを標識した
。簡単に説明すると、1.0 mCiのNa125IをhPRL 1 mgに加えた。次に、ラクトペル
オキシダーゼ(10 μgを0.4 mol/L酢酸緩衝液10 μlに溶解する、pH 5.6)およ
びH2O2(1.76 mmol/Lを5μl)を加えた。30分後、移入用緩衝液(0.47 mol/L蔗
糖、0.06 mol/L KI、0.02%アジ化ナトリウム、pH 7.6)100 μlを加えることに
よって反応を終了させた。次に、放射性標識hPRLをセファデックスG-100クロマ
トグラフィーによって分離した。ヒト乳癌細胞を6ウェルプレートに播種した。
無血清DMEM中で2〜3時間プレインキュベートして、血清を枯渇させた後、細胞
単層を、様々な濃度のhPRLまたはhPRLAの存在下で、125I-hPRL(50,000 cpm)を
含む無血清馴化培地に37℃で2〜3時間暴露した。室温で3時間インキュベート
した後、細胞を燐酸緩衝生理食塩液(PBS)で2回洗浄して、その後1%SDS/0.1
N NaOH 1 ml中で溶解した。次に、溶解物中のCPMを決定した。非特異的結合は、
非特異的置換を制御するために、非標識hPRL5μg/mlを通常のマウスL細胞馴化
培地に加えることによって測定した。
【0061】 STAT5蛋白質のチロシン燐酸化のhPRL誘導のアッセイ法 STAT蛋白質は、分
子量が約92〜95 kDaの蛋白質のファミリーを表し、これはGHRまたはPRLR含有細
胞をそれぞれGHまたはPRLで処置した場合にチロシン燐酸化されることが判明し
た。STAT 5のチロシン燐酸化は受容体媒介事象であり、リガンド誘発シグナル伝
達における重要な段階であると考えられている(ワカオ(Wakao)ら、1994、EMB
O J. 13:2182〜2191;カザンスキー(Kazansky)ら、1995、Mol. Endocrinol.
9:1598〜1609;ワックスマン(Waxman)ら、1995、J. Biol. Chem. 270:13262
〜13270)。このアッセイ法は、野生型PRLによるSTAT 5燐酸化誘導のhPRLおよび
hPRLAの阻害能を評価するために用いた。
【0062】 簡単に説明すると、ヒト乳癌細胞を12ウェルプレートに播種した。無血清DMEM
において2〜3時間プレインキュベーションした後、細胞を無血清DMEMにおいて
hPRLおよびhPRLAの様々な濃度に暴露した。細胞を37℃で15分間インキュベート
して、PBSで1回洗浄し、溶解緩衝液(50 mMトリス塩酸、pH 6.8、1%SDS、1
%βメルカプトエタノール、0.1 M DTT、5%蔗糖、100μMオルトバナジン酸ナ
トリウム、および0.6%ブロモフェノールブルー)300 μl中に溶解した。細胞溶
解液30 μlを4〜12.5%SDS-PAGEに供して、ホースラディッシュ・ペルオキシダ
ーゼ(HRP)結合抗ホスホチロシン抗体PY20およびECL試薬キット(アマシャム社
(Amersham)、イリノイ州)を用いてイムノブロット分析を行った。次に、ブロッ
トをX線フィルムに露出して標準的な方法を用いて現像した(コダック社(Kodak)
、ロチェスター、ニューヨーク州)。このアッセイ法はチェン(Chen)ら(1994
、J. Biol. Chem. 269:15892〜15897;チェン(Chen)ら、1995、Endocrinol.
136:660〜667;ワン(Wang)ら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:1391
〜1395;チェン(Chen)ら、1995、Mol. Endocrinol. 9(3):292〜302;ハーデ
ィング(Harding)ら、1996、J. Biol. Chem. 271(12):6708〜6712)に記載さ
れている。
【0063】 細胞増殖アッセイ法 hPRLAを、組織培養において乳癌細胞増殖の阻害能に
関して調べた。ヒト乳癌細胞株を、ATCCの推奨に従って対応する培養培地中で増
殖させた。細胞を37℃で5%CO2を含む空気の湿潤大気中で維持した。アッセイ
条件は、本質的にギンスバーグ&フォンデルアール(Ginsburg and Vonderhaar
)(1995、Cancer Res. 55:2591〜2595)が記述した通りであった。個々の増殖
実験に関して、細胞を12ウェル培養プレートに密度約2×104個/ml、1 ml/ウェ
ルで播種した。次に、細胞を1日間接着させて(T-47D、MCF-7、HTB19およびHTB
20細胞、浮遊細胞であるHTB123細胞を除く)、その後上層の培地を除去して、IT
S*(インスリン-トランスフェリン-セレニウム-BSA-リノレン酸培養添加剤;コ
ラボレイティブリサーチ(Collaborative Research)、ベッドフォード、マサチュ
ーセッツ州)を含む培地によって無血清条件に変更した。hPRL単独またはhPRLA
と併用したhPRLの様々な濃度を導入した。さらに3日間培養後、細胞を簡単にト
リプシン処理してから回収して、細胞計数器において計数した。
【0064】 特定の実験に関しては、図6に概略を示す混合細胞培養アッセイ法を用いた。
このアッセイ法において、乳癌細胞を、PRLまたはPRL変異体をコードし、それら
の組換え型蛋白質を発現する核酸によってトランスフェクトした発現細胞と共に
培養した。発現細胞の数を変化させることによって、混合培養細胞中に存在する
PRLまたはPRL変異体の量は増加または減少した。図6に示すように、固定数の乳
癌細胞(T47D)を多穴細胞培養プレートのウェルに加えた。対照として用いる特
定のウェルでは、発現細胞を加えなかった。次に、発現細胞(hPRL(L-PRL)ま
たはhPRLA(L-PRLA)のいずれかを発現するトランスフェクトしたL細胞)の数を
増加させて、乳癌細胞含有ウェルに加えて、混合培養物を作製した。同じ数の発
現細胞を平行して培養し、対照として用いた(T47D細胞を含まない)。標準的な
条件で一定期間培養した後、ウェル中に存在する細胞数を計数して、対応する対
照培養中のL細胞数を差し引いた。次に、得られた数をT47D対照培養におけるT47
D細胞数と比較して、乳癌細胞増殖に及ぼす組換え型産物の作用を評価すること
ができる。
【0065】 8.2 結果および考察 放射性受容体結合アッセイ法の結果 ヒト癌細胞のパネルに沿ってT-47Dお
よびHTB123細胞を用いて実施したアッセイ法の結果を図2に示す。それらは、ヒ
ト白血病細胞、リンパ腫細胞および網膜芽細胞腫細胞と比較したところ、調べた
細胞の中でも2つの細胞株(T-47DおよびHTB123)のhGH受容体特異的結合が最小
であったことを示している。
【0066】 STAT5蛋白質の燐酸化 hPRLおよびhPRLA、およびその併用がT-47Dヒト乳癌
細胞においてSTAT5蛋白質の燐酸化を誘導するか否かを調べる実験から、hPRLAが
hPRLによって誘導されるシグナル伝達を遮断することができ(図3)、それによ
ってPRLAのアンタゴニスト活性を証明することが示された。特に、図3は、hPRL
によって誘導されたSTAT5蛋白質の燐酸化の誘導(レーン2)がhPRLAのみの存在
下では認められなかったこと(レーン3)、hPRLおよびhPRLAの等量が存在する
場合(レーン4)には部分的に消失すること、そして過剰量のhPRLAが存在する
場合には検出不可能であること(レーン5)を示している。
【0067】 細胞増殖アッセイ法 T-47D細胞をhGHまたはhPRLのいずれかに暴露した実験
からの細胞増殖アッセイ結果を図4に示す。ベル型の用量反応曲線は、GHおよび
PRLシグナル伝達の双方に類似の作用機序(すなわち、1つのリガンドによって
受容体が二量体を形成する)が用いられていることを示唆している。リガンドの
結合部位1の親和性は、結合部位2の親和性より明らかにはるかに高いために、
高濃度のホルモンでは、全ての受容体が、高親和性部位を通じて単一のリガンド
によって占有される(「自己拮抗」現象)。図5A〜BはhPRLおよびhPRLA(ヒトプ
ロラクチンのG129R変異体)の作用(図5A)を、エストロゲンおよびエストロゲ
ンアンタゴニストであるタモキシフェンの作用(図5B)と比較している。hPRLお
よびエストロゲンはT47D細胞の増殖を増加させたが(無処置対照培養物と比較し
て)、hPRLAとタモキシフェンは同等の阻害作用を示した。
【0068】 図7および8は、hPRLまたはhPRLA(ヒトプロラクチンのG129R変異体)を発現
するトランスフェクトしたL細胞の数を変化させて(y軸に示す)、T47Dヒト乳癌
細胞と共に24もしくは72時間(図7)、または1、2、3もしくは5日間(図8
)培養した混合細胞培養アッセイ法の結果を示す。hPRLはT47Dの増殖を増加させ
たが(無処置T47D細胞培養物と比較して)、hPRLAは増殖を100%まで阻害した。
【0069】 図9A〜Bは、2つの異なるヒト乳癌細胞株T47DおよびMCF-7(それぞれ、図9Aお
よび9B)に対する、混合細胞培養でのhPRLAの阻害作用を比較している。トラン
スフェクトされたL細胞によって発現されたhPRLAは、双方の細胞株に対して阻害
作用を示したが、おそらくMCF-7細胞と比較してT47D細胞上のプロラクチン受容
体の数がより多いために、その作用はT47D細胞においてより大きかった(シウ(
Shiu)ら、1979、Cancer Res. 39:4381〜4386;オーマンディ(Ormandy)ら、1
997、J. Clin. Endocrinol. Metab. 82:3692〜3699)。
【0070】 9.実施例:プロラクチン受容体のクローニング hPRL-BP cDNAを逆転写酵素(RT)の後にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い
てクローニングした。推定の膜貫通ドメインから66塩基に位置するNcoI制限酵素
切断部位でhPRL-BPアンチセンスプライマーをデザインし、終止コドン(TGA)を組
み入れた(5' GCACTtcaGTATCCATGGTCTGGT 3')。翻訳開始コドンATGを含むセン
スプライマーをデザインした(5' AGAAGGCAGCCAACatgAAG 3')。RT/PCRは、パー
キンエルマー・シータスインク(ノーウォーク、コネチカット州)のキットを用
いて実施した。ヌクレオチド配列hPRL-BPは、改変したT7 DNAポリメラーゼ(シ
ーケナーゼ、ユナイテッドステイツバイオケミカル)を用いてジデオキシチェー
ンターミネーション法によって決定した。
【0071】 10.実施例:プロラクチンアンタゴニストの阻害作用およびタモキシフェンと併
用した場合のその相乗作用 以下の章は、プロラクチン変異体を抗エストロゲン剤と共に加えると、細胞増
殖に相乗的な阻害作用を誘導することを示す細胞増殖アッセイ法に由来するデー
タを記述する。
【0072】 10.1 材料および方法 RT-PCR RT-PCR技術を用いてhPRL cDNAをクローニングした。ヒト下垂体mRN
Aはクロンテックラボラトリーズインク(Clontech Laboratory, Inc.)(パロアル
ト、カリフォルニア州94303)から購入した。RT-PCRキットはパーキンエルマー
インク(ノーウォーク、コネチカット州)から購入した。hPRL cDNAの停止コド
ン(小文字)から2塩基のhPRLアンチセンスプライマー(RT反応のための)をデ
ザインし(5' GCttaGCAGTTGTTGTTGTG 3')、および翻訳開始コドンATGからセン
スプライマーをデザインした(5' atgAACATCAAAGGAT 3')。RT-PCR反応は製造元
の推奨に従って実施した。次に、PCR産物を、インビトロゲンコーポレーション
(カールスバッド、カリフォルニア州)の発現ベクターpcDNA3.1にクローニング
した。hPRL cDNAの発現はヒト早初期サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー
/プロモーター、ならびにウシGH遺伝子からのポリアデニル化シグナルおよび転
写終結配列によって制御した。このベクターは、ネオマイシン抵抗性哺乳類細胞
の選択を可能にするネオマイシン遺伝子も含む(図1B)。
【0073】 Hprl-G129Rの合理的デザイン 第三のαヘリックス領域における全ての既知
のPRLのアミノ酸配列をGH配列と共に配置した。hPRLの129位のグリシンがPRLに
おいて不変であり、hGHの120位に対応することは明らかであり、このことはその
機能においておそらく重要な役割を有することを示唆している。したがって、本
発明者らは、hPRLの129位のグリシンにおける単一のアミノ酸置換変異体(hPRL-
G129R)を作製することを決定した。本発明者らは、hPRLR特異的アンタゴニスト
を産生することを期待して、hGHアンタゴニストの検出にこれまで首尾よく用い
られてきたものと類似のアプローチを用いた(図11)。
【0074】 オリゴヌクレオチド定方向変異誘発 PCR変異誘発プロトコールを用いて、h
PRL-G129R cDNAを作製した。所望の変異を含むオリゴヌクレオチド(5' CTTCTAG
AGcgcATGGAGCTCATA 3';および5' CCCTCTAGACTCGAGCGGCCGCC 3')はナショナル
バイオサイエンスインク(National Biosciences, Inc.)(プリマス、ミネソタ
州)により合成された。129位のアルギニンに対するコドンを小文字で示し、制
限部位XbaIを下線で示す。PCR産物をXbaIによって消化して、先に記述したベク
ターに再びライゲーションした(図1B)。次に、変異をDNAヌクレオチドシーク
エンシングによって確認した。
【0075】 細胞株 2つのヒト乳癌細胞株(T47-DおよびMCF-7)およびマウスL繊維芽
細胞株をATCCから得た。いずれのヒト乳癌細胞株もエストロゲン受容体(ER)陽
性でPRLR陽性の細胞株として特徴付けされている(オーマンディ(Ormandy, C.
J.)ら、1997、J. Clin. Endocrinol. Metabo 82:3692〜99)。細胞は、MCF-7
細胞およびL細胞に関してはダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にて、T47-D細
胞に関してはRPMI-1640培地にて、デキストランコーティングしたチャコールで
処理した10%ウシ胎児血清(DCC-FCS)を加えた後に単層培養物としてルーチン
的に増殖させた。ヒト乳癌細胞の培地はフェノールレッドを加えずに用いた(そ
の可能性があるエストロゲン様活性を回避するため)。培養細胞を37℃で5%CO 2 を含む湿潤大気中で維持して、週に2回継代した。
【0076】 hPRLおよびhPRL-G129R蛋白質の発現および産生 マウスL細胞トランスフェ
クションおよび安定な細胞の選択は、これまでに記載された方法に軽度の改変を
加えて実施した(ゾウ(Zhou, Y.)ら、1996、Gene 177:257〜129;スン(Sun,
X. Z.)ら、1997、J. Steroid Biochem. Mol. Biol. 63:29〜36)。簡単に説
明すると、細胞を6ウェルプレートに播種して、培養が50%コンフルエントにな
るまで培養した。トランスフェクションの当日に、細胞を無血清培地によって1
回洗浄して、pcDNA3-hPRLまたはpcDNA3-hPRL-G129R1μgおよびリポフェクタミ
ン10 μl(ギブコBRL(GibcoBRL))を含む無血清培地1 ml中で5時間培養した。
増殖培地2 mlをDNA/リポフェクタミン溶液に加えて、インキュベーションを継
続した。18〜24時間のインキュベーション後、新鮮な増殖培地を用いてDNA/リポ
フェクタミン混合物を含む培地と交換した。トランスフェクションの72時間後、
細胞を1:10に希釈して、neo遺伝子発現に関して選択するために選択培地(400
μg/ml G418)に継代した。個々のコロニーを単離して増殖させた。個々の細胞
株の発現レベルは、ディアグノスティックプロダクツインク(ロサンゼルス、カ
リフォルニア州)のイムノラジオメトリーアッセイ(IRMA)キットを用いて決定
した。発現レベルが高い細胞株を増殖させた。
【0077】 hPRLおよびhPRL-G129Rを含む馴化培地を以下のように調製した。安定な細胞を
85〜90%コンフルエンシーでT-150培養フラスコに播種した。次に、増殖培地を
、1%DCC-FCSを含むRPMI-1640培地50 mlに交換して、1日おきに3回採取した
。採取した培地をプールして、0.2 μmフィルターユニットを通して濾過し、細
胞片を除去して、使用するまで−20℃で保存した。hPRLまたはhPRL-G129Rの濃度
はhPRL IRMAによって決定した。ウェスタンブロット分析プロトコールを用いて
それぞれのバッチ産物をさらに確認した(フェルナンデクス(Fernandex, E.)
ら、1990、Anal. Biochem. 191:268〜271)。本発明者らは、このプロトコール
を、インビトロ研究のためのhGHアンタゴニストを含むhGH類似体研究に用いた(
チェン(Chen, W. Y.)ら、1994、J. Biol. Chem. 269:15892〜15897)。
【0078】 T47-D細胞におけるSTAT蛋白質のチロシン燐酸化 このアッセイ法は、モデ
ル標的細胞としてT47-D細胞を用いて、シグナル伝達に及ぼすhPRLおよびhPRL-G1
29Rの作用を調べるためにデザインされている。簡単に説明すると、T47-D細胞を
12ウェルプレートに播種した。無血清培地での2〜3時間のプレインキュベーシ
ョンの後、細胞を無血清培地中で様々な濃度のhPRLもしくはhPRL-G129R、または
hPRLとhPRL-G129Rとの混合物に暴露した。細胞を37℃で15分間インキュベートし
て、PBSで1回洗浄して、溶解緩衝液(50 mMトリス塩酸、pH 6.8、1%SDS、1
%βメルカプトエタノール、0.1 M DTT、5%蔗糖、100 μMオルトバナジン酸ナ
トリウム、および0.6%ブロモフェノールブルー)200 μl中に溶解した。次に、
バイオラドプロテインIIシステムを用いて細胞溶解液30 μlを4〜12.5%SDS-PA
GE解析した。電気泳動後、ゲルをハイボンド-ECL(Hybond-ECL)メンブレン(アマ
シャム社、イリノイ州)に100ボルトの一定電圧で2時間転写した。ブロットを
すすぎ用緩衝液(10 mMトリス塩酸、pH 7.5、75 mM NaCl、0.1%ツイーン20、1
mM EDTA)中に4%BSA(ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim)、イ
ンジアナ州)を含むブロッキング溶液中で2時間インキュベートして、その後す
すぎ用緩衝液で2回15分間洗浄した。ブロットを、ホースラディッシュ・ペルオ
キシダーゼ(HRP)結合抗ホスホチロシン抗体PY20(アマシャム社、イリノイ州
)をブロッキング溶液中に0.1 μg/mlの濃度で含む溶液と共に1時間インキュベ
ートした。インキュベーション後、ブロットをすすぎ用緩衝液(15分、それぞれ
2回)によって洗浄して、製造元(アマシャム社、イリノイ州)の提唱に従って
ECL試薬キットを用いて展開した。次に、ブロットをX線フィルムに露出して、標
準的な方法(コダック社、ロチェスター、ニューヨーク州)を用いて現像した。
【0079】 HPRLG129R馴化培地 アッセイ条件はギンスバーグ&フォンデルアール(Gin
sburg and Vonderhaar)(1995、Cancer Res. 55:2591〜2595)が記述した方法
から改変した。T47-D細胞をトリプシン処理して、1%DCC-FCSを含むRPMI-1640
培地中で96穴プレートに容量100 μl/ウェルで加えた。それぞれの細胞株にとっ
て最適な細胞数/ウェルは、滴定アッセイ後に予め決定した。T47-D細胞に関し
ては、細胞15,000個/ウェルを播種した。細胞を沈殿させて、一晩(12〜18時間
)接着させ、その後hPRL、hPRL-G129R、E2、または4-OHタモキシフェンのいずれ
かの様々な濃度を培養培地の総量100 μlとして加えた。精製したhPRL(NIHの国
立ホルモン&下垂体プログラム(National Hormon & Pituitary Program)のパ
ーロウ(Parlow)博士からの寄贈)を、安定なL細胞から産生されたhPRLの陽性
対照として用いた。細胞を、5%CO2インキュベータ内で37℃でさらに96時間イ
ンキュベートした。インキュベーション後、MTS-PMS溶液(セルタイター96アク
エアスキット(Cell Titer 96 Aqueous kit)、プロメガコーポレーション(Promeg
a Corp.))を、製造元の指示に従ってそれぞれのウェルに加えた。バイオラド(B
IO-RAD)ベンチマークマイクロプレートリーダーを用いて、プレートを490 nmで
読みとった。実験は3連で行い、それぞれの細胞株について3〜6回繰り返した
【0080】 10.2 結果 hPRLのクローニングおよび変異誘発 RT-PCR技術を用いてhPRL cDNAをヒト
下垂体mRNAからクローニングした。対応するPCR産物のサイズは長さが663塩基対
であり、これをpcDNA3.1発現ベクターにクローニングした。hPRLのヌクレオチド
配列は、自動シークエンサー(PEアプライドバイオシステムズ(PE Applied Bios
ystems)、フォスターシティ、カリフォルニア州)を用いてジデオキシチェーン
ターミネーション法によって決定した。hPRL cDNA配列は、1つの塩基の違いを
除いてゲンバンクに報告された配列と同一であり、その結果コドン21位でのサイ
レント変異が起こる(CTG→CTC)ことが判明した。HPRL-G129R cDNAもまた、PCR
によって産生して、シークエンシングした。
【0081】 hPRLおよびhPRL-G129Rの発現 マウスL細胞をhPRLまたはhPRL-G129R cDNAの
いずれかに安定にトランスフェクトさせて、neo抵抗性クローンを選択して増殖
させた。馴化培地を採取してRIMAキットを用いて発現の有無を調べた。hPRLおよ
びhPRL-G129Rを約〜1 mg/L/24時間/細胞100万個の量で産生するhPRLおよびhPRL
-G129R安定なマウスL細胞株を作製した(図12)。
【0082】 hPRL-G129RによるSTAT蛋白質のチロシン燐酸化の阻害 STAT蛋白質は、分子
量約92〜95 kDaの蛋白質のファミリーを表す。GHアンタゴニストの阻害作用は、
STAT蛋白質のチロシン燐酸化の阻害レベルを測定することによってアッセイする
ことができる(チェン(Chen)ら、1994、J. Biol. Chem. 269:15892;ワン(W
ang)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:1391〜1395;シルバ(Silva)、199
3、Endocrinology 133:2307〜2312)。そのようなアッセイ法を用いて、GHアン
タゴニストhGH-G120Rは、STAT蛋白質燐酸化のGH誘導を用量依存的に阻害するこ
とが示された。
【0083】 T47-Dヒト乳癌細胞に対してhPRLおよびhPRL-G129Rを用いた結果から、hPRL-G1
29RがSTAT蛋白質の燐酸化を刺激するために活性でないことが示された。しかし
、hPRL-G129RをhPRLと共に加えると、hPRLによって誘導されたシグナル伝達を用
量依存的に遮断することができ(図13)、このことは、これがhPRLアンタゴニス
トとして機能していることを示唆している。hPRL-G129Rは、hPRLによって誘導さ
れるSTAT蛋白質の燐酸化を5:1の比で完全に阻害した。
【0084】 ヒト乳癌細胞増殖アッセイ法 ヒトPRLおよびhPRL-G129Rは、細胞培養にお
いて乳癌細胞増殖を刺激/阻害するか否かに関してさらに調べた。hPRL、hPRL-G
129R、E2、4-OHタモキシフェンを加えた後の乳癌細胞増殖の光学顕微鏡検査を図
14A〜Eに示す。hPRL(15B)、hPRL-G129R(15C)とE2(15D)、4-OHタモキシフ
ェン(15E)処置細胞との間の細胞密度に有意な差が認められることは明らかで
ある。同様に、hPRL-G129R処置細胞の全体的な細胞状態は、光学顕微鏡検査の下
で健康ではなかったことを指摘することは注目に値する。
【0085】 96ウェル細胞増殖アッセイ法の結果を図15〜18に示す。hPRLはT47-D増殖を用
量依存的に刺激した。hPRLの最大刺激(250 ng/ml)は1回投与/4日間インキ
ュベーションの後に基礎レベルを約20%上回った。しかし、hPRLおよびE2を同時
に適用すると、相乗作用が認められた。10 nM E2の存在下でhPRLの最大反応(10
0 ng/ml)は、hPRL単独と比較して3倍以上であった(図15)。
【0086】 一方、hPRL-G129Rは、細胞増殖に対して用量依存的な阻害作用を示した(図16
A)。hPRL-G129R(150 ng/ml)の阻害作用は、アッセイ系において4-OHタモキシ
フェンの最大500 nM用量より強力であった(図16B)。4-OHタモキシフェン(500
nM)の1回処置の最大阻害は対照の約15%であるが(図16B)、hPRL-G129Rの1
回処置による最大阻害は対照の25%であった(図16A)。hPRL-G129Rはまた、hPR
L誘導細胞増殖を競合的に阻害することができた。hPRL-G129Rは、1:1のモル
比でhPRLの刺激作用を停止させることができ、2:1のモル比では、細胞増殖を
阻害した(図17)。より重要なことは、hPRL-G129Rを4-OHタモキシフェンと共に
適用すると、阻害作用はhPRL-G129Rまたは4-OHタモキシフェンの最大用量のいず
れかと比較して倍加した(図18)。例えば、100 nM 4-OHタモキシフェンは100 n
g/mlのhPRL-G129Rの存在下においても15%阻害を生じ、阻害作用は対照の約32%
となった。
【0087】 同時培養実験 安定なマウスL細胞株は、マウスL細胞が検出不可能なPRLRを
有するという事実により、それらがhPRLまたはhPRL-G129Rのいずれかを産生する
か否かによらず、通常のL細胞と同様に類似の速度で増殖する(チェン(Chen)
、1994、J. Biol. Chem. 269:15892〜15897)。同時培養実験のセットアップに
より、生物学的に活性なhPRL-G129Rの持続的な存在が提供され、それによってこ
れらの腫瘍細胞における最大反応が得られた。
【0088】 L-G129R細胞と共に培養後のヒト乳癌細胞株はいずれも、用量依存的な増殖阻
害を示した(図19A〜B)。反応は、馴化培地実験と比較してかなり劇的であった
。細胞増殖の完全な阻害は双方の細胞株において得られた。MCF-7細胞の反応パ
ターンがT47-D細胞のパターンと比較して右にシフトしたことは注目に値する、
すなわちMCF-7細胞では同じ阻害作用を誘発するためにより多くのhPRL-G129Rを
必要とした。これらの結果は、MCF-7細胞上のhPRLRの総数がT47-D細胞上に認め
られる数よりはるかに少ないという事実によって説明することができる(オーマ
ンディ(Ormandy)ら、Genes Dev. 15:167〜178;シー(Shih)、1981、「ホル
モンと乳癌(Hormones and Breast Cancer)」、コールドスプリングハーバー研
究所、パイク、シイテリ、およびウォルシュ(Pike, Siiteri, and Walsh)編、
185〜194頁)。
【0089】 11.実施例:ヒトプロラクチン受容体アンタゴニストG129Rは多数のヒト乳癌細
胞株および前立腺癌細胞においてアポトーシスを誘導する 11.1 材料および方法 細胞株 ヒト乳癌細胞株MDA-MB-134、T-47D、BT-474、およびMCF-7はATCCか
ら得た。これらの乳癌細胞株はそのPRLRレベルに基づいて選択した。細胞株MDA-
MB-134は最高のPRLRレベルを有し、これにPRLRレベルが減少する順にT-47D、BT-
474、MCF-7が続く(オーマンディ(Ormandy)、J. Clinical Endocrinology and
Metabolism 82:3692〜3699)。
【0090】 細胞培養 ATCCから得たT-47D細胞は、10%FBS(ギブコBRL)を加えたRPMI1
640(フェノールレッドを含まない)において増殖させた。BT-474細胞は10%FBS
およびATCC推奨添加剤を加えたRPMI 1640培地(フェノールレッドを含まない)
において増殖させた。MCF-7細胞を、10%FBSを加えたDMEM培地(フェノールレッ
ドを含まない)において増殖させた。細胞は5%CO2の存在下で湿潤大気中で37
℃で増殖させた。MDA-MB-134細胞は、20%FBSを加えたLeibovitz L-15培地中でC
O2不含大気中で増殖させた。乳癌細胞をトリプシン処理(0.02%トリプシン-EDT
A)して、10%CSS(チャコール通過血清)加えたそれぞれの培地(フェノールレ
ッドを含まない)中で1週間増殖させた。その後、細胞を再度トリプシン処理し
て、8室スライドシステム(ラブテックII(Lab-Tek II))に1室あたり60〜70%
のコンフルエンスで播種した。翌日、1%CSSを加えたそれぞれの培地(フェノ
ールレッドを含まない)を用いて乳癌細胞に処置を施した。MDA-MB-134 VI細胞
は、フェノールレッド含有培地であるが、他の乳癌細胞と同じ血清条件で増殖さ
せた。
【0091】 ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介dUTPニック末端標
識(TUNEL)アッセイ法 断片化DNAのニックをその3-OH末端で標識する。酵素
ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いてフルオレセイン
標識dUTPを3-OH末端に取り込ませる。所定の処置期間の後、製造元の指示に従っ
てチャンバーを取り外し、TUNELアッセイ法(アポトーシス検出システム、フル
オレセイン-プロメガ(Fluorescein-Promega))を製造元の指示通りに実施した。
オリンパスIX 70顕微鏡システムを用いて、スライドをFITCフィルターの下で調
べた。
【0092】 11.2 結果 アポトーシス(プログラムされた細胞死)は、細胞の死を時間的および秩序的
に調節する中心的な生理的メカニズムの1つである(ステラー(Stellar, H.)
、1995、Science 267:1445)。アポトーシスの生化学的特徴は、ヌクレオソー
ム内部のDNA切断であり(ワイルー(Wyllu)、1980、Nature 284:555;ロイ(R
oy)ら、1992、Exp. Cell Res. 200:416〜424;ワイルー(Wyllu)、1980、Int
. Rev. Cytol. 68:251〜306)、これはTUNELアッセイ法または従来のゲル電気
泳動によって検出することができる(チェン(Chen)、1996、J. Biol. Chem. 6
1:9〜17)。癌は、少なくとも幾つかの生理学的刺激に反応してアポトーシスを
受ける能力が減少した悪性疾患である(ホフマン(Hoffman)ら、1994、Oncogen
e 9:1807)。癌細胞をアポトーシスを引き起こすように誘導することができる
薬物は、癌療法において有効となることが証明されると考えられる。
【0093】 本明細書に示したように、PRLRアンタゴニストであるG129Rは、多数のヒト乳
癌細胞株においてDNA断片化によって検出されるアポトーシスを誘導することが
できる。図20A〜Fは、G129Rが24時間の処置後に用量依存的にアポトーシスを誘
導すること、およびアポトーシスが生理学的濃度(50 ng/ml、図20C)において
も起こることを示している。G129RのPRLRに対する特異性を証明するために、hPR
L(NIHのパーロウ博士の寄贈)およびG129Rを同時に用いて細胞を1:1および
1:4の比で処理した(図20G〜H)。G129RがhPRLと1:1の比で競合できるこ
と(図20E)、そしてG129Rによって誘導されたDNA断片化を4:1の比で競合的
に逆転できることは明白である(図20F)。hPRLのマイトゲン救済作用はG129Rが
アポトーシスを誘導するさらなる別の証明である。同じ結果がBT-474細胞を用い
て得られた。
【0094】 乳癌細胞におけるDNA断片化は、G129Rの50 ng/mlの濃度による2時間処理後で
も明らかである(図21A〜D)。これまでの研究において、4-OHタモキシフェンが
乳癌細胞の増殖をG129Rと共に相乗的に阻害することが示された。したがって、4
-OHタモキシフェンも同様にDNA断片化によるアポトーシスを乳癌細胞において誘
導することを確認するために、4-OHタモキシフェンを本試験に含めた。意外にも
、4-OHタモキシフェンは、4-OHタモキシフェンが細胞増殖を阻害することができ
るという事実にも関わらず、同じプロトコールによってアッセイしたところ、T-
47D、MCF-7、またはBT-474細胞において、1μMもの高濃度でもアポトーシスを
誘導しなかった(図22A〜H)。4-OHタモキシフェンとは対照的に、G129R 250 ng
は、24時間の処置後に4つ全てのPRLR陽性乳癌細胞株において、アポトーシスDN
A断片化を誘導した(図23A〜F)。
【0095】 さらに、カスパーゼ-3活性化に及ぼすhPRL-G129Rの作用を、図24に示すように
、T-47D細胞においてアポップアラート(ApopAlert)CPP32/カスパーゼ-3アッセイ
キット(クロンテック社(Clontech)、パロアルト、カリフォルニア州)を用いて
アッセイした。T-47D細胞は250 ng/mlのhPRL-G129Rによって2時間処置した。ア
ッセイ法はDEVD-CHO(カスパーゼ-3阻害剤)の存在下で実施して、hPRL-G129Rに
よるカスパーゼ-3誘導が特異的事象であることを証明した。
【0096】 上記のデータは、乳癌細胞がプロラクチンを主な増殖因子として利用するよう
に順応し、PRLRに対するG129Rの競合的結合によってこれを枯渇させると、PRL増
殖シグナルの遮断に至り、アポトーシスを起こすことを示している。このように
、hPRLによって提供される持続的なマイトゲンシグナルが、乳癌細胞内に存在す
るアポトーシスシグナルを無効にして、遅延型アポトーシスプロセスを進行させ
る可能性がある。本明細書に示したデータは、プロラクチン受容体アンタゴニス
トであるG129Rが、タモキシフェンと共に内分泌療法において、またはそれ自身
乳癌の治療に用いることができることを示している。
【0097】 さらに、2つの前立腺癌細胞は、TUNELアッセイ法を用いて検出すると、hPRL-
G129Rの250 ngによる24時間の処理に反応してアポトーシスを起こした(図25)
。試料は2本ずつ実施して、それぞれの試料は細胞約200万個で構成された。
【0098】 本発明は、本発明の個々の局面の単なる説明として解釈される、本明細書に記
述した特異的な態様によって範囲を制限されるわけではなく、機能的に同等な方
法および成分も本発明の範囲内である。実際に、本明細書に示して記述したもの
に加えて、本発明の様々な改変が、前述の説明および添付の図面から当業者には
明らかになると考えられる。そのような改変は本発明の範囲内に含まれると解釈
される。様々な論文を本明細書に引用しているが、その内容はその全文が参照と
して本明細書に組み入れられる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 発現プラスミドpUCIG-MT-hPRIcDNAのクローニングおよび構築
の概略図。
【図1B】 プラスミドマップとPCR定方向変異誘発の一般的方法。親ベク
ターであるpcDNA3は、ヒト早初期サイトメガロウイルス(CMV)転写調節配列な
らびにウシGH遺伝子(BGH pA)からのポリアデニル化シグナルおよび転写終結配
列を含む。hPRL cDNAは、ヒト下垂体mRNAからRT-PCRを用いてクローニングして
、BstXI部位に挿入した。変異体はXba I部位でPCRプライマーをデザインするこ
とによって作製した。
【図2】 様々なヒト癌細胞株(x軸に沿って記載)を用いたhGHおよびhPRL
の競合的放射性受容体結合実験からのデータ。HTB123およびT47Dはヒト乳癌細胞
株である。y軸は特異的結合の百分率を表す。各点はそれぞれ2連で実施した3
つの実験の平均値を表す。
【図3】 様々な条件でT47Dヒト乳癌細胞株におけるSTAT蛋白質(矢印のバ
ンド)の燐酸化を示すウェスタンブロット分析。左から右に読み、レーン1は対
照培養を示し、レーン2は5 nM hPRLを加えた培養、レーン3は5 nM hPRLAを加
えた培養、レーン4は培養物を5 nM hPRLおよび5 nM hPRLAに暴露した場合の競
合的作用を示し、ならびにレーン5は、培養物を5 nM hPRLおよび25 nM hPRLAに
暴露した場合の競合的作用を表す。
【図4】 乳癌細胞の増殖に及ぼす成長ホルモンとプロラクチンの影響。x
軸はT47Dヒト乳癌細胞の培養培地に存在するhGHまたはhPRLの濃度を表す。y軸は
インキュベーション期間終了時の細胞総数を表す。点は、それぞれを2連で実施
した3つの実験の平均値(+SD)である。
【図5A〜B】 (A)培養T47Dヒト乳癌細胞の増殖に及ぼすhPRLまたはG12
9Rプロラクチン変異体hPRLAの様々な濃度の影響。(B)24または72時間でのT47D
細胞の増殖に及ぼすエストロゲン(E2)およびタモキシフェン(Tam)の様々な
濃度の影響。
【図6】 T47D細胞増殖に及ぼす組換え型hPRLおよびG129Rプロラクチン変
異体hPRLAの作用を評価する混合細胞培養アッセイ法のダイヤグラム。
【図7】 24および72時間後の混合細胞培養アッセイ法におけるT47D乳癌細
胞増殖に及ぼす組換え型発現hPRL(L-PRL)およびG129Rプロラクチン変異体hPRL
A(L-PRLA)の作用。
【図8】 1日(D1)、2日(D2)、3日(D3)、または5日(D5)後での
混合細胞培養アッセイ法におけるT47D乳癌細胞増殖に及ぼす組換え型発現hPRL(
L-PRL)およびG129Rプロラクチン変異体(L-PRLA)の作用。
【図9A〜B】 組換え型G129ヒトプロラクチン変異体hPRLAを発現するL細
胞との混合細胞培養アッセイ法における、培養3日後の(A)T47Dヒト乳癌細胞
、または(B)MCF-7ヒト乳癌細胞の増殖。
【図10A〜B】 様々なヒトおよびヒト以外のプロラクチンの型のアミノ
酸配列。
【図11】 GHまたはhPRL(リガンド)アンタゴニストのメカニズムの概略
図。リガンドにおける4つのらせん領域(点のついた楕円形)をI、II、IIIおよ
びIVと印す。2つの膜結合型受容体(影付きの楕円形)も同様に図に示す。Arg
は、第3のαヘリックスにおける置換変異を表し、これによって第二の受容体が
機能的複合体を形成することが妨害される(AからB)。
【図12】 G129R変異体をコードするように遺伝子操作されたpcDNA3ベク
ターにトランスフェクトさせたマウスL細胞によるhPRL-G129R遺伝子発現のイム
ノブロット解析。レーンA〜Dは、標準物質として精製されたhPRL(NIHから)を
含む試料を表す。レーンE〜Hは、安定的にトランスフェクトされたマウスL細胞
からの培養培地を表す。
【図13】 ヒト乳癌細胞(T47-D)においてhPRLによって誘発されたSTAT
蛋白質のチロシン燐酸化に及ぼすhPRL-G129Rのアンタゴニスト作用。レーンの割
付はA、陰性対照;B、100 ng/ml hPRLによって刺激した細胞;C、100 ng/ml hPR
L-G129Rで処置した細胞;D、100 ng/ml hPRLおよび100 ng/ml hPRL-G129Rによっ
て処置した細胞;E、100 ng/ml hPRLおよび500 ng/ml hPRL-G129Rによって処置
した細胞。矢印は95 kDa蛋白質の位置を示す。
【図14A〜E】 200 ng/ml hPRL(15B);200 ng/ml hPRL-G129R(15C)
;200 nM E2(15D);または200 nM 4-OHタモキシフェン(15E)を1回処置し4
日間インキュベーションした後の、対照(15A)と比較したT47-Dヒト乳癌細胞の
光学顕微鏡検査。200倍。
【図15】 T47-Dヒト乳癌細胞増殖アッセイ法におけるhPRLの用量反応効
果およびE2との相乗効果。x軸はE2の非存在下(白いカラム)、または存在下の
いずれかにおけるhPRL濃度を表す。それぞれのデータは3個ずつのウェルによる
少なくとも3回の独立した実験の平均値を表す。バーはSDである。
【図16A〜B】 4-OHタモキシフェン(17A)およびhPRL-G129R(17B)の
用量反応効果。x軸は4-OHタモキシフェン(17A)およびhPRL-G129R(17B)の濃
度を表す。それぞれのデータの点は3個ずつのウェルによる少なくとも3回の独
立した実験の平均値を表す。バーはSDである。
【図17】 hPRL誘発T47-D細胞増殖に及ぼすhPRL-G129Rの用量反応阻害効
果。x軸はhPRLの非存在下(白いバー)およびhPRLの存在下のいずれかでのhPRL-
G129Rの濃度を表す。それぞれのデータの点は3個ずつのウェルによる少なくと
も3回の独立した実験の平均値を表す。バーはSDである。
【図18】 T47-Dヒト乳癌細胞増殖アッセイ法におけるhPRL-G129Rの用量
反応阻害効果および4-OHタモキシフェンとの相乗効果。x軸は4-OHタモキシフェ
ンの非存在下(白いカラム)、または存在下のいずれかでのhPRL-G129R濃度を表
す。それぞれのデータ点は3個ずつのウェルによる少なくとも3回の独立した実
験の平均値を表す。バーはSDである。
【図19A〜B】 共培養法を用いた2つのヒト乳癌細胞株におけるhPRL-G
129Rの用量反応阻害効果。x軸は共培養したL細胞(対照)またはL-hPRL-G129R細
胞数を表す。それぞれのデータの点は3個ずつのウェルによる少なくとも3回の
独立した実験の平均値を表す。バーはSDである。
【図20A〜F】 TUNELアッセイ法を用いて24時間処置した後のhPRL-G129
Rに対するT47-Dヒト乳癌細胞の用量反応(パネルA〜F)。パネル(G)および(H
)は、hPRLとhPRL-G129Rとの比が1:1(125 ng/ml hPRL+125 ng/ml hPRL-G12
9R;パネルG)および1:4(125 ng/ml hPRL-G129R+500 ng/ml hPRL、パネルH
)の場合での競合の結果を示す。
【図21A〜E】 TUNELアッセイ法を用いてhPRL-G129R処置(50 ng/ml)
に反応したT47-Dヒト乳癌細胞の時間経過。
【図22A〜H】 TUNELアッセイ法を用いた4-OHタモキシフェン処置(1
μMを24時間)に対する多数の乳癌細胞の反応。ラベルCおよびTはそれぞれ、対
照および処置細胞を表す。
【図23A〜F】 TUNELアッセイ法を用いて、250 ng hPRL-G129Rの24時間
処置に対する多数の乳癌細胞の反応。ラベルCおよびTはそれぞれ、対照および処
置細胞を表す。
【図24】 hPRL-G129Rによるカスパーゼ-3の誘導。アポップアラートCPP3
2/カスパーゼ-3アッセイキット(クロンテック社(Clontech)、パロアルト、カ
リフォルニア州)を用いてT-47D細胞におけるカスパーゼ-3活性化に及ぼすhPRL-
G129Rの作用を示す。T-47D細胞を250 ng/ml hPRL-G129Rで2時間処置した。hPRL
-G129Rによるカスパーゼ-3の誘導が特異的事象であることを証明するために、ア
ッセイ法をDEVD-CHO(カスパーゼ-3阻害剤)の存在下で実施した。試料を2本ず
つ試験し、それぞれの試料は細胞約200万個で構成された。
【図25】 TUNELアッセイ法を用いて、hPRL-G129R 250 ngの24時間処置に
対する2つの前立腺癌細胞の反応。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(A61K 38/22 A61K 37/24 31:133) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 ワグナー トーマス イー. アメリカ合衆国 サウスカロライナ州 グ リアー ゴールデン ウイングス ウェイ 104 Fターム(参考) 4C084 AA02 BA01 BA22 BA23 CA53 CA56 CA59 DB23 MA02 NA05 NA14 ZA812 ZB212 ZB262 ZC032 ZC102 ZC112 ZC422 4C206 AA01 AA02 FA18 KA01 KA15 MA02 MA04 ZA81 ZB21 ZB26 ZC11 4H045 AA10 AA30 BA10 BA53 CA40 DA45 EA28

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 129位のグリシンが置換されているヒトプロラクチン変異体
    の有効濃度を細胞に暴露することを含む、プロラクチン受容体を発現する乳癌細
    胞の増殖を阻害する方法。
  2. 【請求項2】 ヒトプロラクチン変異体の129位のグリシンがアルギニンに
    置換されている、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 治療を必要とする被験者において乳癌の治療に用いられる請
    求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ヒトプロラクチン変異体が併用療法レジメの一部として被験
    者に投与される、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 併用療法レジメが抗エストロゲン剤の投与を含む、請求項4
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 抗エストロゲン剤がタモキシフェンである、請求項5記載の
    方法。
  7. 【請求項7】 129位のグリシンが置換されているヒトプロラクチン変異体
    の有効濃度を細胞に暴露することを含む、プロラクチン受容体を発現する前立腺
    癌細胞の増殖を阻害する方法。
  8. 【請求項8】 ヒトプロラクチン変異体の129位のグリシンがアルギニンに
    置換されている、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 治療を必要とする被験者において前立腺癌の治療に用いられ
    る請求項7記載の方法。
  10. 【請求項10】 ヒトプロラクチン変異体が併用療法レジメの一部として被
    験者に投与される、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 併用療法レジメが抗アンドロゲンの投与を含む、請求項10
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 細胞不含切断型プロラクチン受容体の有効濃度を細胞に暴
    露することを含む、プロラクチン受容体を発現する乳癌細胞の増殖を阻害する方
    法。
  13. 【請求項13】 治療を必要とする被験者において乳癌の治療に用いられる
    請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 ヒトプロラクチン変異体が併用療法レジメの一部として被
    験者に投与される、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 併用療法レジメが抗エストロゲン剤の投与を含む、請求項
    14記載の方法。
  16. 【請求項16】 抗エストロゲン剤がタモキシフェンである、請求項15記載
    の方法。
  17. 【請求項17】 細胞不含切断型プロラクチン受容体の有効濃度を細胞に暴
    露することを含む、プロラクチン受容体を発現する前立腺癌細胞の増殖を阻害す
    る方法。
  18. 【請求項18】 治療を必要とする被験者において前立腺癌の治療に用いら
    れる請求項17記載の方法。
  19. 【請求項19】 ヒトプロラクチン変異体が併用療法レジメの一部として被
    験者に投与される、請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 併用療法レジメが抗アンドロゲンの投与を含む、請求項19
    記載の方法。
  21. 【請求項21】 129位のグリシンが置換されているヒトプロラクチン変異
    体の有効濃度を細胞に暴露することを含む、プロラクチン受容体を発現する細胞
    において細胞アポトーシスを誘導する方法。
  22. 【請求項22】 ヒトプロラクチン変異体の129位のグリシンがアルギニン
    に置換されている、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 細胞がプロラクチン受容体を発現するように遺伝子操作さ
    れている、請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 d. プロラクチン受容体を発現する細胞に化合物を接触さ
    せる段階; e. 細胞におけるアポトーシスのレベルを測定する段階;および f (b)において得られたアポトーシスのレベルを化合物の非存在下で得られた
    レベルと比較する段階 を含む、プロラクチン受容体活性を調節することができる化合物を同定する方法
    であって、(b)において得られたレベルが化合物の非存在下において得られた
    レベルと異なる場合、プロラクチン受容体活性を調節することができる化合物が
    同定される方法。
  25. 【請求項25】 化合物が細胞におけるアポトーシスのレベルを増加させる
    、請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 化合物がプロラクチン受容体アンタゴニストの存在下で細
    胞におけるアポトーシスのレベルを減少させる、請求項24記載の方法。
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