JP7161511B2 - 不妊症の処置のための組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、不妊症の処置のための組成物および医薬製品に関する。
体外受精(IVF)などの生殖補助医療(ART)技術は周知である。これらのART
技術は、一群の卵胞が完全成熟するように刺激される調節卵巣刺激法(COS)のステッ
プを一般に必要とする。標準的COS治療計画は、卵胞発育を刺激する卵胞刺激ホルモン
(FSH)単独の、またはそれと黄体化ホルモン(LH)活性との組合せなどの、ゴナド
トロピン〔gonadotrophin〕の投与を、通常は早発性LHサージを予防するための刺激の
前および/または刺激中でのGnRHアナログの投与と共に、含む。COSのために一般
に使用される医薬組成物は、組換え卵胞刺激ホルモン(rFSH)、尿由来FSH、組換
えFSH+LH調製物、尿由来メノトロピン〔menotrophin〕[ヒト閉経期ゴナドトロピ
ン(hMG)]および高精製ヒト閉経期ゴナドトロピン(HP-hMG)を含む。IVF
は、重症の場合は生命を危うくする可能性がある、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の危
険を伴う可能性がある。
上に示したとおり、標準的COSプロトコールはFSHの投与を一般に含む。FSHの
用量は、年齢、FSH刺激への以前の応答、FSHの基礎レベル、胞状卵胞数および近年
では抗ミュラー管ホルモン(AMH)を含む多数の因子に一般に依存する。臨床医は、所
与の用量に応答した卵巣の複数の卵胞の発育を、循環中の17-β-エストラジオールの
上昇と共に、予期する。
所与の用量への応答(卵巣の複数の卵胞の発育、循環中の17-β-エストラジオール
の上昇)が適当である、または予期したとおりである場合、これは正常な卵巣予備能とも
称される、正常な卵巣機能を示している。FSH刺激に十分に応答しない患者は、わずか
しか卵胞を産生せず、結果として刺激の際の彼女らの17-β-エストラジオールレベル
は、ゆっくり上昇し、比較的低いレベルに達する。これらの患者は「低応答者」と称され
、卵巣予備能が減退していると言われる場合がある。年齢の上昇、骨盤癒着症、卵巣疾患
および免疫学的因子を含むいくつかの因子が低応答に関与すると考えられている。
調節卵巣刺激法(COS)への女性の応答可能性を予測する能力は、個別化されたCO
Sプロトコールの開発を可能にし得る。例えばこれは、刺激に過剰に応答すると予測され
る女性におけるOHSSの危険を低減でき、低応答者と分類された女性における妊娠結果
を改善でき、および/またはFSHの用量(および曝露)の低減をもたらし、それにより
特定の患者における治療費を低減した(および治療の安全性を増大させた)。
抗ミュラー管ホルモン(AMH)の血清濃度は、いまや卵巣予備能の信頼できるマーカ
ーとして確立されている。AMHのレベルの低下は、COSの際のゴナドトロピンへの卵
巣応答の低減と関連している。さらに、高レベルのAMHは過剰卵巣応答の良好な予測因
子であり、OHSSの危険の指標である。
ARTを受けている35歳未満の女性の予備研究では、CONSORT投薬アルゴリズ
ム(基礎FSH、BMI、年齢およびAFCを組み込んでいる)が、OHSS発症の危険
がある女性におけるCOSのための、最適なFSH開始用量を予測するために使用された
(Olivennes et.al.,2009)。用量を個別化することは、適当な卵
母細胞収量および良好な妊娠結果をもたらした。しかし、低用量群(75IU FSH)
では不適当な応答による中止が高率であり、患者の相当な割合においてOHSSが生じた
上に示すとおり、標準的COSプロトコールはFSHの投与を含む場合がある。FSH
は天然では脳下垂体前葉によって分泌され、卵胞発育および排卵を支持するように機能す
る。FSHは、他の糖タンパク質ホルモンLHおよびCGにも共通する92アミノ酸アル
ファサブユニットと、ホルモンの生物学的特異性を付与するFSHに固有の111アミノ
酸ベータサブユニットとを含む(Pierce and Parsons,1981)。
各サブユニットは、複雑な炭水化物残基の付加によって翻訳後修飾される。両サブユニッ
トは、N連結グリカン付着のための部位2個を有している、アルファサブユニットのアミ
ノ酸52および78、ならびにベータサブユニットのアミノ酸残基7および24である(
Rathnam and Saxena,1975,Saxena and Rathn
am,1976)。FSHはこのようにして、質量で約30%までグリコシル化されてい
る(Dias and Van Roey.2001.Fox et al.2001)
閉経後のヒト尿から精製されたFSHは何年もの間、自然生殖で排卵を促進するためお
よび生殖補助技術のための卵母細胞を提供するための両方で、不妊症処置において使用さ
れている。フォリトロピンアルファ(GONAL-F、Merck Serono/EM
D Serono)およびフォリトロピンベータ(PUREGON/FOLLISTIM
、MSD/Schering-Plough)などの、卵巣刺激のための現在承認されて
いる組換えFSH(rFSH)製品は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株由
来である。現在、ヒト細胞株由来のrFSH産生物は商業的に入手できない。
FSH調製物には、存在する種々のアイソフォームの量の差異に関連する相当な不均一
性が伴う。個々のFSHアイソフォームは、同一のアミノ酸配列を示すが、翻訳後修飾さ
れた程度が異なっている;具体的なアイソフォームは炭水化物分枝構造の不均一性および
シアル酸(末端糖)取り込みの量の差異によって特徴付けられ、その両方が特定のアイソ
フォーム生理活性に影響を与えると考えられている。
天然FSHのグリコシル化は非常に複雑である。天然由来下垂体FSHにおけるグリカ
ンは、モノ、バイ、トリおよびテトラアンテナグリカンの組合せを含む場合がある、さま
ざまな構造を含有する場合がある(Pierce and Parsons,1981.
Ryan et al.,1987.Baenziger and Green,198
8)。グリカンはさらなる修飾を有する場合がある:コアフコシル化、二分グルコサミン
、アセチルラクトサミンでの鎖伸長、部分的または完全なシアル酸付加、α2,3および
α2,6連結でのシアル酸付加およびガラクトースの硫酸化ガラクトサミン置換である(
Dalpathado et al.,2006)。さらに、個々のグリコシル化部位で
グリカン構造の分布間に差異がある。個体の血清由来および閉経後の女性の尿由来のFS
Hにおいて同等なレベルのグリカン複雑性が見出されている(Wide et al.,
2007)。
組換えFSH産生物のグリコシル化は、宿主細胞株に存在するグリコシル転移酵素の範
囲を反映する。商業的に入手可能なrFSH産生物は、操作されたチャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞(CHO細胞)由来である。CHO細胞由来rFSHにおけるグリカン修飾の
範囲は、天然産生物において見出されるものよりも限定されている。CHO細胞由来rF
SHにおいて見出されるグリカン不均一性の低減の例は、二分グルコサミンの欠失ならび
にコアフコシル化およびアセチルラクトサミン伸長の含有量の低減を含む(Hard e
t al.,1990)。加えて、CHO細胞は、α2,3連結を使用してのみシアル酸
を付加できる(Kagawa et al,1988,Takeuchi et al,
1988,Svensson et al.,1990);CHO細胞由来rFSHはα
2,3-連結シアル酸だけを含み、α2,6-連結シアル酸を含まない。
したがってCHO細胞由来FSHは、α2,3およびα2,6-連結シアル酸の混合物
のグリカンを含有し前者が優位である天然産生FSH(例えばヒト下垂体/血清/尿中F
SH)とは異なる。したがってCHO系を使用して発現された組換えタンパク質は、それ
らの末端シアル酸連結の種類において、その天然カウンターパートとは異なる。これは、
炭水化物部分が分子の薬理学的特質に寄与する場合があることから、薬学的使用のための
生物製剤の産生において考慮すべき重要な事項である。
本出願者らは、WO2009/127826Aとして公開された国際特許出願第PCT
/GB2009/000978号の対象であるヒト由来組換えFSHを開発した。α2,
3およびα2,6-連結シアル酸の両方の混合物を含む組換えFSHは、rFSHおよび
α2,3シアル酸転移酵素の両方を発現するようにヒト細胞株を操作することによって作
られた。発現産生物は、非常に酸性であり、α2,3-およびα2,6-連結シアル酸の
両方の混合物を有し、後者は内在性シアル酸転移酵素活性によってもたらされている。シ
アル酸連結、α2,3-またはα2,6-の種類が、FSHの生物学的クリアランスに劇
的な影響を有する場合があることが見出された。α2,3およびα2,6-連結シアル酸
の両方の混合物を含む組換えFSHは、従来のCHO細胞において発現されたrFSHを
超える2つの利点を有する。第1に、2種のシアル酸転移酵素の活性の組合せによって物
質はさらに高度にシアル酸付加されており、第2に、物質は天然FSHにさらに密接に類
似している。これは、α2,3-連結シアル酸だけを産生している(Kagawa et
al,1988,Takeuchi et al,1988,Svensson et
al.,1990)、およびシアル酸含有量が減少している(Ulloa-Aguir
re et al.1995.,Andersen et al.2004)CHO細胞
由来組換え産生物と比較してさらに生物学的に好適であると考えられる。
近年、卵胞刺激ホルモン受容体またはFSH受容体(FSHR)が卵巣予備能の減退に
関連するまたは関与する場合があることが示唆されている。FSH受容体は、FSHと相
互作用する膜貫通受容体である。FSH受容体は、アデニル酸シクラーゼに連結されたG
-タンパク質共役7回膜貫通受容体であり、大きなN末端リガンド結合ドメインならびに
推定リン酸化部位としてのセリンおよびスレオニン残基に富むC末端細胞質側末端を有す
る。その活性化はFSHのホルモン機能のために必要である。FSH受容体中の変異が卵
巣予備能の減退を導くかもしれないと仮定されている。変異だけでなく、FSH受容体バ
リアント(FSH受容体多型)が見出されている。そのような多型の2種は、FSH受容
体のエクソン10中の307位(Ala/Thr)および680位(Asn/Ser)に
位置している(図4)。これらは、307位におけるAlaまたはThrのバリアント、
および680位におけるAsnまたはSerのバリアントである。これらの多型は、68
0位に関する3種の異なるFSH受容体遺伝子型:Asn/Asn、Asn/Serおよ
びSer/Serをもたらす[Simoni et al,Journal of Cl
inical Endocrinology and Metabolism,Vol8
4,No.2,751~755(1999)、Falconer et al,Acta
Obstet Gynecol Scand 2005:84:806~811(20
05)およびLoutradis et al,Journal of Assiste
d Reproduction and Genetics,Vol.23,No.4,
(April 2006)を参照されたい]。
本出願者らは、低AMH[AMHレベル<15pmol/L、一般に低応答と関連付け
られる]を有する、またFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有すると
同定された患者は、低AMHおよびFSH受容体の680位にバリアントAsn/Asn
またはバリアントAsn/Serを有する患者と比較して、FSH処置の継続期間が長い
ことを見出した。低AMH[AMHレベル<15pmol/L、(例えば0.05pmo
l/Lから14.9pmol/L、例えば5.0pmol/Lから14.9pmol/L
)]を有するだけでなく、FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有する
患者への開始FSH用量の増加は、したがって長期間のFSH処置を回避するための代替
手段となり得る。これは特定のAMHレベルを有するだけでなく、FSHRに特定の多型
を有すると同定された、特定の患者におけるFSHの用量の調整を可能にする。
低AMH[AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.
9pmol/L、例えば5.0pmol/Lから14.9pmol/L)]を有するだけ
でなく、FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有する患者へのFSHの
さらに高い開始用量の投与は、それが成功(妊娠および/または出生に関する)のさらに
高い可能性および成功のさらに良好な予測を提供できることから有利である。患者が理想
的な処置ウインドウ内で生じる適当な応答(予期された卵巣の複数の卵胞の発育、循環中
の17-β-エストラジオールの上昇)を有する場合、さらに成功が期待できる。応答が
この処置ウインドウの中央内にある、すなわちウインドウ内で早すぎも遅すぎもしない場
合、成功はさらに増強される。低AMHおよびFSH受容体の680位にバリアントSe
r/Serを有する患者における処置期間の低減(用量を12μgを超えて増加させるこ
とによる)は、成功の見込みの増強を伴って、応答を処置ウインドウの中央に移動できる
pFSHアルファ/ベータ発現ベクターのプラスミドマップを示す図である。 α2,3-シアル酸転移酵素(ST3GAL4)発現ベクターを示す図である。 α2,6-シアル酸転移酵素(ST6GAL1)発現ベクターを示す図である。 エクソン10のアミノ酸307および680位ならびにプロモーター中の29位での多型の位置を示すFSH受容体の模式図である。 実施例8の研究においてFSHで処置した患者222名についてのFSH受容体遺伝子でのSNPハプロタイプの分布を示す図である。 完全分析セットについて、680位に関する3種の異なるFSH受容体遺伝子型:Asn/Asn、Asn/SerおよびSer/Serのそれぞれにおいて、AMH<15pmol/Lを有する患者/対象の、ゴナドトロピン(FSH)処置の観察された継続期間(日)ならびに送達された合計ゴナドトロピン(FSH)用量(μg)を示す結果の表である。 完全分析セットについて、680位に関する3種の異なるFSH受容体遺伝子型:Asn/Asn、Asn/SerおよびSer/Serのそれぞれにおいて、AMH<15pmol/Lを有する患者/対象に送達されたゴナドトロピン(FSH)処置の予測された継続期間(日)を、用量について調整して示す結果の表である。
図1、2および3:pFSHアルファ/ベータ、pST3およびpST6発現ベクター
のプラスミドマップ。CMV=サイトメガロウイルスプロモーター、BGHp(A)=ウ
シ成長ホルモンポリアデニル化配列、fl ori=fl複製開始点、SV40=シミア
ンウイルス40プロモーター、Neo=ネオマイシン耐性マーカー、Hyg=ハイグロマ
イシン耐性マーカー、SV40 p(A)=シミアンウイルス40ポリアデニル化配列、
FSH A=卵胞刺激ホルモンアルファポリペプチド、FSH B=卵胞刺激ホルモンベ
ータポリペプチド、ST3GAL4=α2,3-シアル酸転移酵素、ST6GAL1=α
2,6-シアル酸転移酵素、ColE1=ColE1複製開始点、Amp=アンピリシン
耐性マーカー。
本発明による第一の態様では、9から24μgの卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む、
不妊症の処置における使用のための組成物(例えば医薬組成物)であって、FSH受容体
の680位にバリアントSer/Serを有すると(処置前に)同定された(例えば、と
して選択された)患者への(例えば連日の)投与のための、組成物が提供される。組成物
は、FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有すると(処置前に)同定さ
れ(例えば、として選択され)、かつ血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.
05pmol/Lから14.9pmol/L)を有すると(処置前に)同定された(例え
ば、として選択された)患者への(例えば連日の)投与のためのものであってよい。組成
物は、9から24μgのFSH、例えば10から18μgのFSH、例えば12から16
μgのFSH、例えば12から15μgのFSHを含んでよい。組成物は、12μg超の
FSH、例えば12.3から24μgのFSH、例えば12.33から24μgのFSH
、例えば12.67から24μgのFSH、例えば13から24μgのFSH、例えば1
3から16μgのFSH、例えば13から15μgのFSHを含んでよい。
組成物(例えば医薬組成物)は、上に、本明細書におよび特許請求の範囲に定義のヒト
由来rFSHの量の日用量または相当する日用量を含んでよい。組成物(例えば医薬組成
物)は、処置の1日目に開始し、6から16日間、例えば7から16日間、例えば8から
16日間、例えば8から13日間継続する、FSHの(連日)投与のためのものであって
よい。不妊症の処置は、患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定する(例え
ば決定する、例えば測定する)ステップ、およびFSH受容体の680位にバリアントS
er/Serを有する(と同定された)患者に用量を投与するステップを含んでよい。不
妊症の処置は、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する、例えば測定する)
ステップおよび、15pmol/L未満の血清AMHレベル(例えば0.05pmol/
Lから14.9pmol/L)を有する(と同定された)患者に用量を投与するステップ
を含んでよい。
FSHは組換えFSHであってよい。FSHは、α2,3-およびα2,6-シアル酸
付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の1から99%がα2
,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の99%から1%がα2,3-シアル酸付加
である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであってよい。F
SHは、全シアル酸付加の1から50%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付
加の50%から99%がα2,3-シアル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シ
アル酸付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の5から40%
がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の60%から95%がα2,3-シア
ル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであって
よい。好ましくは、FSHはヒト細胞株由来組換えFSHである。
本発明によるさらなる態様では、血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.0
5pmol/Lから14.9pmol/L)を有し、かつFSH受容体の680位にバリ
アントSer/Serを有する患者における不妊症の処置における使用のための卵胞刺激
ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)であって、1日あたり9から24
μgの用量または相当量の組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)が投与され、不妊症の処置
が、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する)ステップ、患者のFSH受容
体の680位でのバリアントを同定するステップ、ならびに血清AMHレベル<15pm
ol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)およびFSH受容体
の680位にバリアントSer/Serを有する(と同定された)患者に組成物を投与す
るステップを含む、組成物が提供される。組成物は、9から24μgのFSH、例えば1
0から18μgのFSH、例えば12から16μgのFSH、例えば12から15μgの
FSHを含んでよい。組成物は、12μg超のFSH、例えば12.3から24μgのF
SH、例えば12.33から24μgのFSH、例えば12.67から24μgのFSH
、例えば13から24μgのFSH、例えば13から16μgのFSH、例えば13から
15μgのFSHを含んでよい。
組成物(例えば医薬組成物)は、血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.0
5pmol/Lから14.9pmol/L)を有し、かつFSH受容体の680位にバリ
アントSer/Serを有する患者における不妊症の処置における使用のためのものであ
ってよい[不妊症の処置は、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する)ステ
ップ、患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定するステップ、および血清A
MHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L
)およびFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有する(と同定された)
患者に用量を投与するステップを含む]。
FSHは組換えFSHであってよい。FSHは、α2,3-およびα2,6-シアル酸
付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の1から99%がα2
,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の99%から1%がα2,3-シアル酸付加
である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであってよい。F
SHは、全シアル酸付加の1から50%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付
加の50%から99%がα2,3-シアル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シ
アル酸付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の5から40%
がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の60%から95%がα2,3-シア
ル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであって
よい。好ましくは、FSHはヒト細胞株由来組換えFSHである。
用量は、OHSSの危険を最少化する一方で効果的な応答をもたらす。
上の用量は、患者の(対象の)初回刺激プロトコールでの不妊症の処置のためのもので
あってよい。さらなる刺激周期のために、用量が初回周期での実際の卵巣の応答に応じて
調整され得ることは理解される。
rFSHは、単一のアイソフォームとしてまたはアイソフォームの混合物として存在し
てよい。
本出願者らは、組換えFSHの特定の用量が、患者の特定のAMHレベルおよびFSH
R単一ヌクレオチド多型に基づいて、患者を処置するために使用され、それにより刺激へ
の適当な応答の見込みを増加させ(例えば応答可能性が低い患者において)、および/ま
たはOHSSもしくは他の副作用の危険を減少させる、「個別化」COSプロトコールを
発明した。
AMHの血清レベルは、当技術分野において周知の任意の方法によって決定(例えば測
定)され得る。一例として、血清AMHレベルは、AMH Gen-II enzyme
linked immunosorbent assayキット(Beckman C
oulter、Inc.、Webster、Texas)を使用して測定される。このア
ッセイは、1.1pmol/Lを定量の最少限度として、0.57pmol/Lより高い
AMH濃度を検出できる。他のアッセイも使用され得る。本明細書において、血清AMH
値は一般にpmol/Lの単位で記されている。これは、変換式1ng/ml AMH=
7.1pmol/L AMHを使用して、ng/mLに変換され得る。
したがって組成物は、Beckmann-Coulter Gen-II enzym
e linked immunosorbent assayを使用して測定したときの
血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmo
l/L)、または異なる方法によって測定される同等なAMHレベルを有すると同定され
た(例えば、として選択された)患者への(例えば連日の)投与のためのものであってよ
い。
本明細書において用語「患者」および「対象」は、互換的に用いられる。
組成物(例えば医薬組成物)は好ましくは、上に、本明細書におよび特許請求の範囲に
定義のヒト由来rFSHの量の日用量または相当する日用量を含む。(日)用量は初回量
であってよい(すなわちそれは処置の際に低減、増加または維持されてよい)。
FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有すると同定された患者は、当
技術分野において周知の手段によって、例えば当技術分野において周知の方法によるゲノ
ムDNAの抽出に続く、FSH受容体の680位での対立遺伝子バリアントの同定によっ
て同定され得る[例えば、Gromoll et al,Methods,21,83~
97(2000),Simoni et al,Journal of Clinica
l Endocrinology and Metabolism,Vol 84,No
.2,751~755(1999),Falconer et al,Acta Obs
tet Gynecol Scand 2005:84:806~811(2005)お
よびその参考文献に記載の、血液からのゲノムDNAの抽出のためのキットおよび続くD
NA配列決定の手段による、またはDNA抽出に続く、1本鎖コンホメーション多型(S
SCPに続くゲル電気泳動など)、もしくはLoutradis et al,Jour
nal of Assisted Reproduction and Genetic
s,Vol.23,No.4,April 2006に記載されているようなPCRおよ
びRFLP法による]。それにより組成物は、ゲノムDNAの抽出(例えば血液から)と
、Loutradis et al,Journal of Assisted Rep
roduction and Genetics,Vol.23,No.4,April
2006に記載されているような、それに続くPCRおよびRFLP法または同等の方
法による分析とによって測定したときに、FSH受容体の680位にバリアントSer/
Serを有すると同定された(例えば、として選択された)患者への(例えば連日の)投
与のためのものであってよい。
組成物(例えば医薬組成物)は、処置の1日目に開始し、6から16日間、例えば7か
ら16日間、例えば8から16日間、例えば8から13日間継続するFSHの(連日)投
与のためのものであってよい。組成物(例えば医薬組成物)は、GnRHアゴニスト(例
えばSynarel、Lupron、Decapeptyl)の投与から(例えば投与の
開始から、例えば連日投与の開始から)12から16日後、例えば13から15日後、例
えば14日後の投与のためのものであってよい。組成物(例えば医薬組成物)は、GnR
Hアゴニストを伴う投与のためのものであってよい。組成物(例えば医薬組成物)は、G
nRHアンタゴニスト(例えばganirelix、cetrorelix)の投与の前
の投与、例えばGnRHアンタゴニストの投与の5または6日前の投与のためのものであ
ってよい。組成物(例えば医薬組成物)は、GnRHアンタゴニストを伴う投与のための
ものであってよい。組成物(例えば医薬組成物)は、処置の6日目から(例えば連日)投
与されるGnRHアンタゴニスト(例えばganirelix、cetrorelix)
を伴う投与のためのものであってよい。好ましくは組成物(例えば医薬組成物)は、最終
的な卵胞成熟を誘発するためのhCGの高用量(排卵性)(例えば4,000から11,
000IUのhCG、例えば5,000IUのhCG、10,000IUのhCGなど、
または150から350マイクログラムの組換えhCG、例えば250マイクログラムの
組換えhCG)の投与の前の投与のためのものである。
組成物が連日より多い(または少ない)頻度での投薬のためのものであってよいことは
理解され、その場合、妥当な用量は本明細書に明記する(日)用量に相当する。
本明細書における用語「不妊症の処置」は、調節卵巣刺激法(COS)、または調節卵
巣刺激法(COS)のステップもしくは段階を含む方法による不妊症の処置、例えば子宮
腔内人工授精(IUI)、体外受精(IVF)、または細胞質内精子注入法(ICSI)
を含む。用語「不妊症の処置」は、排卵誘発(OI)によるまたは排卵誘発(OI)のス
テップもしくは段階を含む方法による不妊症の処置を含む。用語「不妊症の処置」は、子
宮内膜症、例えばステージIもしくはステージII子宮内膜症を有する対象、および/ま
たは無排卵性不妊症、例えばWHO II型無排卵不妊症を有する対象、および/または
男性不妊症を有するパートナーを有する対象における不妊症の処置を含めて、卵管性また
は原因不明不妊症を有する対象における不妊症の処置を含む。組成物は、子宮内膜症を有
する対象、例えば子宮内膜症の種々のステージについてThe American So
ciety for Reproductive Medicine(ASRM)分類系
によって定義された(ステージIVは最も重度、ステージIは最も軽度)ステージIもし
くはステージII子宮内膜症を有する対象における不妊症の処置(および/または調節卵
巣刺激のため)(における使用)のためのものであり得る[American Soci
ety for Reproductive Medicine.Revised Am
erican Society for Reproductive Medicine
classification of endometriosis:1996.Fe
rtil Steril 1997;67,817 821]。
組成物は、初期卵胞相において1から16IU/L、例えば1から12IU/Lの正常
血清FSHレベルを有する対象における不妊症の処置(および/または調節卵巣刺激)(
における使用)のためのものであってよい。
組成物は、年齢18から42歳、例えば25から37歳として同定された対象における
不妊症の処置(および/または調節卵巣刺激)(における使用)のためのものであってよ
い。産生物は、BMI>15からBMI<38kg/mを有すると同定された対象、例
えばBMI>18かつBMI<25kg/mを有すると同定された対象、例えばBMI
>20かつBMI<25kg/mを有する対象における不妊症の処置(および/または
調節卵巣刺激)(における使用)のためのものであってよい。
rFSHは[シアル酸のモルのタンパク質のモルに対する比を単位として表した]6m
ol/mol以上、例えば6mol/molから15mol/molの間、例えば8mo
l/molから14mol/molの間、例えば9mol/molから14mol/mo
lの間、例えば10mol/molから14mol/molの間、例えば11mol/m
olから14mol/molの間、例えば12mol/molから14mol/molの
間、例えば12mol/molから13mol/molの間のシアル酸含有量を有してよ
い。rFSHは、ヒト細胞株において産生または発現され得る。
本発明による使用のためのFSH(rFSH)は、全シアル酸付加の1%から99%が
α2,3-シアル酸付加であってよい。rFSHは、全シアル酸付加の10%以上がα2
,3-シアル酸付加であってよい。例えば全シアル酸付加の20、30、40、50、6
0、70、80または90%以上がα2,3-シアル酸付加であってよい。rFSHは、
全シアル酸付加の50から95%、例えば全シアル酸付加の50から70%、例えば全シ
アル酸付加の60から69%、例えば63から67%、例えば全シアル酸付加のおよそ6
5%の量でα2,3-シアル酸付加を好ましくは含んでよい。本発明による使用のための
FSH(rFSH)は、全シアル酸付加の1%から99%がα2,6-シアル酸付加であ
ってよい。本発明のrFSH(またはrFSH調製物)は、全シアル酸付加の5%以上、
例えば5%から99%、例えば5%から50%がα2,6-シアル酸付加であってよい。
rFSHは、全シアル酸付加の50%以下がα2,6-シアル酸付加であってよい。rF
SHは、全シアル酸付加の5から50%、例えば全シアル酸付加の10から50%、例え
ば31から38%、例えば全シアル酸付加のおよそ35%の量でα2,6-シアル酸付加
を好ましくは含んでよい。シアル酸付加によって、FSH炭水化物構造に存在するシアル
酸残基の量が意味される。α2,3-シアル酸付加は、2,3位でのシアル酸付加(当技
術分野において周知のとおり)および2,6位でのα2,6シアル酸付加(同様に当技術
分野において周知のとおり)が意味される。したがって「全シアル酸付加の…%がα2,
3シアル酸付加であってよい」は、FSH中に存在するシアル酸残基の総数における2,
3位でシアル酸付加の%を指す。用語「全シアル酸付加の…%がα2,6-シアル酸付加
である」は、FSH中に存在するシアル酸残基の総数における2,6位でシアル酸付加の
%を指す。
rFSHは、質量で(タンパク質に加えて炭水化物の質量ではなくタンパク質の質量に
基づいて)6%以上(例えば6%から15%の間、例えば7%から13%の間、例えば8
%から12%の間、例えば11%から15%の間、例えば12%から14%の間)のシア
ル酸含有量(FSH分子あたりのシアル酸付加の量)を有してよい。
rFSHは、ヒト細胞株、例えばPer.C6細胞株、HT1080細胞株などにおい
て産生または発現されてよい。これは、シアル酸付加を維持するための、例えば細胞増殖
培地の、操作および管理が公知のプロセスよりもあまり重要でない場合があることから、
産生方法を簡便化(およびさらに効率的に)できる。方法は、公知のrFSH産生物の産
生と比較して塩基性rFSHがあまり産生されず、酸性rFSHが多く産生され、塩基性
FSHの分離/除去が問題になりにくいことから、さらに効率的になり得る。rFSHは
、PER.C6(登録商標)細胞株、PER.C6(登録商標)由来細胞株または改変P
ER.C6(登録商標)細胞株において産生および発現されてよい。ヒト細胞株(例えば
PER.C6(登録商標)細胞株、HT1080細胞株など)において産生または発現さ
れるrFSHは、[細胞株の]内在性シアル酸転移酵素活性によって提供されるいくらか
のα2,6-連結シアル酸(α2,6シアル酸付加)を含み、内在性シアル酸転移酵素活
性によって提供されるいくらかのα2,3-連結シアル酸(α2,3シアル酸付加)を含
む。細胞株は、α2,3-シアル酸転移酵素を使用して改変されてよい。細胞は、α2,
6-シアル酸転移酵素を使用して改変されてよい。代替的にまたは追加的に、rFSHは
、[細胞株の]内在性シアル酸転移酵素活性によって提供されるα2,6-連結シアル酸
(α2,6シアル酸付加)を含んでよい。本明細書において用語「ヒト由来組換えFSH
」は、ヒト細胞株において産生または発現される組換えFSH(例えばヒト細胞株を操作
することによって作られた組換えFSH)を意味する。
rFSHは、α2,3-および/またはα2,6-シアル酸転移酵素を使用して産生さ
れ得る。一例では、rFSHはα2,3-シアル酸転移酵素を使用して産生される。rF
SHは、内在性シアル酸転移酵素活性によってもたらされたα2,6-連結シアル酸(α
2,6シアル酸付加)を含んでよい。
組成物は、医薬組成物であってよい。医薬組成物は、不妊症の処置のためのものである
。不妊症の処置は、生殖補助技術(ART)、排卵誘発または子宮腔内受精(IUI)を
含んでよい。医薬組成物は、例えば公知のFSH調製物が使用される場合、医学的適用で
使用されてよい。
産生物または組成物は、任意の経路の薬物投与、例えば経口、直腸内、非経口、経皮(
例えばパッチ技術)、静脈内、筋肉内、皮下、胸骨内〔intrasusternal〕、膣内、腹腔内
、局所(散剤、軟膏もしくは滴下剤)またはバッカルもしくは鼻内噴霧のための周知の組
成物に製剤化されてよい。典型的な組成物は、Remington’s Pharmac
eutical Sciences fifteenth edition(Matt
Publishing Company,1975)の1405から1412頁および1
461~87頁ならびにthe national formulary XIV fo
urteenth edition(American Pharmaceutical
Association,1975)に記載されているような、水溶液、塩および保存
剤を含む無毒性賦形剤、緩衝剤などの薬学的に許容される担体を含む。
好適な水性および非水性医薬用担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、水、エタノ
ール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど
)、カルボキシメチルセルロースおよびその好適な混合物、植物油(オリーブ油など)お
よびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルを含む。本発明の組成物は、これだ
けに限らないが、保存剤、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤および分散剤などの添加物も含有
することができる。抗菌剤および抗真菌剤は、微生物の増殖を防ぐために含めることがで
き、例えば、m-クレゾール、ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、フェ
ノール、ソルビン酸などを含む。保存剤が含まれる場合、ベンジルアルコール、フェノー
ルおよび/またはm-クレゾールは好ましい、しかし保存剤は決してこれらの例に限定さ
れない。さらに、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことが望ましい場合がある。産
生物または組成物は、NaもしくはK塩からなる群から選択される薬学的に許容され
るアルカリ金属カチオンまたはこれらの組合せを含む塩をさらに含む場合がある。好まし
くは塩は、Na塩、例えばNaClまたはNaSOである。
好ましくは産生物または組成物は、組換えFSHならびにポリソルベート20、L-メ
チオニン、フェノール、硫酸二ナトリウムおよびリン酸ナトリウム緩衝剤の1つまたは複
数を含む。
一部の場合、持続性作用をもたらすことは、皮下または筋肉内注射からFSH(および
存在する場合は他の活性成分)の吸収を遅らせるために望ましい。これは、水溶性が乏し
い結晶またはアモルファス物質の液体懸濁物の使用によって達成することができる。次い
でFSHの吸収速度は溶解の速度に依存し、今度は結晶サイズおよび結晶形態に依存させ
ることができる。代替的に、非経口投与されたFSH組合せ形態の吸収の遅延は、FSH
組合せを油ビヒクル中に溶解するまたは懸濁することによって達成される。注射可能なデ
ポー形態は、ポリ乳酸ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中にFSH(および存在す
る場合は他の活性成分)のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製す
ることができる。FSHのポリマーに対する比および用いられる具体的なポリマーの性質
に応じて、FSHの放出速度は調節することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポ
リビニルピロリドン、ポリ(オルトエステル)、ポリ(無水物)などを含む。注射可能な
デポー製剤は、身体組織に適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中にFS
Hを捕捉することによっても調製される。
注射可能な製剤は、例えば細菌保持フィルターを通す濾過によって、または滅菌水もし
くは他の滅菌注射可能な媒体に使用直前に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組
成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。注射可能製剤は、
任意の好適な容器内、例えばバイアル、プレフィルドシリンジ、注射カートリッジなどで
供給することができる。
産生物または組成物は、単回使用のためまたは複数回使用(複数用量)のために製剤化
されてよい。産生物または組成物が複数回使用のために製剤化される場合、保存剤が含ま
れることが好ましい。保存剤が含まれる場合、ベンジルアルコール、フェノールおよび/
またはm-クレゾールは好ましいが、保存剤はこれらの例に決して限定されない。単回使
用または複数回使用に製剤化された産生物または組成物は、NaもしくはK塩からな
る群から選択される薬学的に許容されるアルカリ金属カチオンまたはこれらの組合せを含
む塩をさらに含んでよい。好ましくは塩はNa塩、例えばNaClまたはNaSO
である。
産生物または組成物は、バイアル、プレフィルドカートリッジ(例えば単回投与用もし
くは複数回使用のため)または例えば複数用量の投与のための「ペン」などの注射デバイ
スなどの容器に含めてもよい。
産生物または組成物は、FSH(任意選択でhCG、LH、LH活性などと共に)を含
む製剤(例えば注射可能な製剤)であってよい。存在する場合LH活性は、LHまたはヒ
ト絨毛性ゴナドトロピン、hCGから生じてよい。1つより多い活性成分(すなわちFS
Hおよび例えばhCGまたはLH)がある場合、これらは、別々または一緒での投与のた
めに好適なものとなり得る。別々に投与される場合、投与は逐次的にすることができる。
産生物は、任意の好適なパッケージで供給することができる。例えば産生物は、FSHも
しくはhCGまたはFSHおよびhCGの両方の1つの組合せ(または組合せ)を含有す
る多数の容器(例えばプレフィルドシリンジまたはバイアル)を含むことができる。hC
Gは、組換えhCGまたは尿由来hCGであってよい。産生物がFSH、例えば組換えF
SHを含有する多数の容器(例えばプレフィルドシリンジまたはバイアル)を含む場合、
各容器は同じ量のFSHを含んでよい。1つまたは複数の容器は異なる量のFSHを含ん
でよい。シリンジまたはバイアルは、ブリスターパッケージまたは滅菌性を維持するため
の他の手段にパッケージされてよい。任意の産生物は、FSH(および例えば存在する場
合はhCG)製剤を使用するための説明書を任意選択で含むことができる。医薬組成物の
種々の構成成分のpHおよび正確な濃度は、本分野の日常的習慣により調整される。GO
ODMAN and GILMAN’s THE PHARMACOLOGICAL B
ASIS FOR THERAPEUTICES、7th edを参照されたい。好まし
い実施形態では、本発明の組成物は非経口投与のための組成物として供給される。非経口
製剤の調製のための一般的方法は当技術分野において公知であり、上記REMINGTO
N;THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACYの7
80~820頁に記載されている。非経口組成物は、液体製剤でまたは投与の直前に滅菌
注射可能媒体と混合される固体として供給することができる。特に好ましい実施形態では
、非経口組成物は投与の簡便性および投薬の均一性のために単位投与形態で供給される。
本発明によるさらなる態様では、不妊症[例えば血清AMHレベル<15pmol/L
(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)およびFSH受容体の680
位にバリアントSer/Serを有する患者における不妊症]の処置方法であって、
(a)患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する)こと、
(b)患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定すること、ならびに(c)血
清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol
/L)およびFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有する(と同定され
た)患者に1日あたり9から24μgの用量または相当量の組換え卵胞刺激ホルモン(F
SH)を投与することを含む、不妊症の処置方法が提供される。組成物は、9から24μ
gのFSH、例えば10から18μgのFSH、例えば12から16μgのFSH、例え
ば12から15μgのFSHを含んでよい。組成物は、12μg超のFSH、例えば12
.3から24μgのFSH、例えば12.33から24μgのFSH、例えば12.67
から24μgのFSH、例えば13から24μgのFSH、例えば13から16μgのF
SH、例えば13から15μgのFSHを含んでよい。
FSHの投与は、処置の1日目に開始され、6から16日間、例えば7から16日間、
例えば8から16日間、例えば8から13日間継続してよい。
FSHは組換えFSHであってよい。FSHは、α2,3-およびα2,6-シアル酸
付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の1から99%がα2
,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の99%から1%がα2,3-シアル酸付加
である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであってよい。F
SHは、全シアル酸付加の1から50%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付
加の50%から99%がα2,3-シアル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シ
アル酸付加を含む組換えFSHであってよい。FSHは、全シアル酸付加の5から40%
がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の60%から95%がα2,3-シア
ル酸付加である、α2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHであって
よい。好ましくは、FSHはヒト細胞株由来組換えFSHである。
投与は好ましくは、上におよび特許請求の範囲に定義のFSHの量の日用量または相当
する日用量を含む。(日)用量は初回量であってよい(すなわちそれは処置の際に低減、
増加または維持されてよい)。
方法は、患者の(対象の)初回刺激プロトコールにおける不妊症の処置方法であってよ
い。さらなる刺激周期のために、用量が初回周期での実際の卵巣の応答に応じて調整され
得ることは理解される。
本発明によるさらなる態様では、9から24μgの卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む
、不妊症の処置のための医薬品の製造における使用のためのFSHを含む組成物(例えば
医薬組成物)が提供され、医薬品は(処置前に)FSH受容体の680位にバリアントS
er/Serを有すると同定された(例えば、として選択された)患者への(例えば連日
の)投与のためのものである。医薬品は、FSH受容体の680位にバリアントSer/
Serを有すると同定され(例えば、として選択され)、かつ(処置前に)血清AMHレ
ベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L))を
有すると同定された(例えば、として選択された)患者への(例えば連日の)投与のため
のものであってよい。組成物は、9から24μgのFSH、例えば10から18μgのF
SH、例えば12から16μgのFSH、例えば12から15μgのFSHを含んでよい
。組成物は、12μg超のFSH、例えば12.3から24μgのFSH、例えば12.
33から24μgのFSH、例えば12.67から24μgのFSH、例えば13から2
4μgのFSH、例えば13から16μgのFSH、例えば13から15μgのFSHを
含んでよい。
本出願者らは、低AMH[AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol
/Lから14.9pmol/L)、一般に低応答と関連付けられる]を有する、またFS
H受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有す
ると同定された患者へのFSHの投与が卵胞発育に関して良好な応答をもたらすことも見
出した。これは、低AMHおよびFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを
有する患者の処置と比較して、FSHの投薬量の低減および/または処置期間の低減を伴
って達成される。これは、特定のAMHレベル、またFSHRにこれらの特定の多型を有
すると同定された、特定の患者においてFSHの用量を調整できるようにする。下に記載
のとおり、AMHレベル<15pmol/LおよびバリアントAsn/Asnを有する患
者への刺激の予測継続期間は、AMHレベル<15pmol/LおよびバリアントSer
/Serを有する患者について必要な刺激継続期間より1.5日間短い(図7を参照され
たい)。したがって、処置前にAMHレベル<15pmol/LおよびバリアントAsn
/Asnの両方(またはAMHレベル<15pmol/LおよびバリアントAsn/Se
rの両方)を有すると同定された患者への用量を調整することは、薬剤費の観点では大幅
な節約、およびこれらの患者において必要とされるよりも高い合計用量のFSHの投与に
よる潜在的副作用の危険の低減を可能にし得る。
本発明によるさらなる態様では、10から12μgの卵胞刺激ホルモン(FSH)を含
む不妊症の処置における使用のための組成物(例えば医薬組成物)であって、(処置前に
)FSH受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Ser
を有すると同定された(として選択された)患者への(例えば連日の)投与のための組成
物が提供される。組成物は、FSH受容体の680位にバリアントAsn/Asnまたは
バリアントAsn/Serを有すると同定され(例えば、として選択され)、かつ(処置
前に)血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9
pmol/L)を有すると同定された(例えば、として選択された)患者への(例えば連
日の)投与のためのものであってよい。組成物は、FSH受容体の680位にバリアント
Asn/Asnを有すると同定され(例えば、として選択され)、かつ(処置前に)血清
AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/
L)を有すると同定された(例えば、として選択された)、患者への投与のためのもので
あってよい。組成物は、10から12μg未満のFSH、例えば10から11.9μgの
FSH、例えば11から11.9μgのFSH、例えば11.33または11.67μg
のFSHを含んでよい。
組成物(例えば医薬組成物)は、上に、本明細書におよび特許請求の範囲に定義のヒト
由来rFSHの量の日用量または相当する日用量を含んでよい。組成物(例えば医薬組成
物)は、処置の1日目に開始し、6から16日間、例えば7から16日間、例えば8から
16日間、例えば8から13日間継続する、FSHの(連日)投与のためのものであって
よい。
不妊症の処置は、患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定する(例えば決
定する、例えば測定する)ステップ、およびFSH受容体の680位にバリアントAsn
/AsnまたはバリアントAsn/Serを有する(と同定された)患者に用量を投与す
るステップを含んでよい。不妊症の処置は、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば
決定する、例えば測定する)ステップ、および15pmol/L未満の血清AMHレベル
(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)を有する(と同定された)患
者に用量を投与するステップを含んでよい。
本発明によるさらなる態様では、血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.0
5pmol/Lから14.9pmol/L)を有し、かつFSH受容体の680位にバリ
アントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有する患者における不妊症の処
置における使用のための卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む組成物(例えば医薬組成物)
であって、1日あたり10から12μgの用量または相当量の組換えFSHが投与され、
不妊症の処置が、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する)ステップ、患者
のFSH受容体の680位でのバリアントを同定するステップ、ならびに血清AMHレベ
ル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)および
FSH受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを
有する(と同定された)患者に組成物を投与するステップを含む、組成物が提供される。
組成物は、10から12μg未満のFSH、例えば10から11.9μgのFSH、例え
ば11から11.9μgのFSH、例えば11.33または11.67μgのFSHを含
んでよい。
組成物(例えば医薬組成物)は、血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.0
5pmol/Lから14.9pmol/L)を有し、かつびFSH受容体の680位にバ
リアントAsn/Asnを有する患者における不妊症の処置における使用のためのもので
あってよい[不妊症の処置は、患者の血清AMHレベルを同定する(例えば決定する)ス
テップ、患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定するステップ、ならびに血
清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol
/L)およびFSH受容体の680位にバリアントAsn/Asnを有する(と同定され
た)患者に用量を投与するステップを含む]。
本発明によるさらなる態様では、不妊症[例えば、血清AMHレベル<15pmol/
L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)を有し、かつFSH受容体
の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有する患者に
おける不妊症]の処置方法であって、(a)患者の血清AMHレベルを同定する(例えば
決定する)こと、(b)患者のFSH受容体の680位でのバリアントを同定すること、
ならびに(c)血清AMHレベル<15pmol/L(例えば0.05pmol/Lから
14.9pmol/L)およびFSH受容体の680位にバリアントAsn/Asnまた
はバリアントAsn/Serを有する(と同定された)患者に1日あたり10から12μ
gの用量または相当量の組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)を投与するステップを含む、
不妊症の処置方法が提供される。組成物は、10から12μg未満のFSH、例えば10
から11.9μgのFSH、例えば11から11.9μgのFSH、例えば11.33ま
たは11.67μgのFSHを含んでよい。
FSHの投与は、処置の1日目に開始され、6から13日間、例えば7から13日間、
例えば8から13日間、例えば8から11日間継続してよい。
本発明によるさらなる態様では、不妊症の処置のための医薬品の製造における使用のた
めのFSHを含む組成物(例えば医薬組成物)であって、10から12μgの卵胞刺激ホ
ルモン(FSH)を含み、医薬品が(処置前に)FSH受容体の680位にバリアントA
sn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有すると同定された(として選択された
)患者への(例えば連日の)投与のための組成物が提供される。医薬品は、FSH受容体
の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有すると同定
され(例えば、として選択され)、かつ(処置前に)血清AMHレベル<15pmol/
L(例えば0.05pmol/Lから14.9pmol/L)を有すると同定された(例
えば、として選択された)患者への(例えば連日の)投与のためのものであってよい。医
薬品は、FSH受容体の680位にバリアントAsn/Asnを有すると同定され(例え
ば、として選択され)、かつ(処置前に)血清AMHレベル<15pmol/L(例えば
0.05pmol/Lから14.9pmol/L)を有すると同定された(例えば、とし
て選択された)患者への投与のためのものであってよい。組成物は、10から12μg未
満のFSH、例えば10から11.9μgのFSH、例えば11から11.9μgのFS
H、例えば11.33または11.67μgのFSHを含んでよい。
本発明のこれらの態様に関するFSH、患者の血清AMHレベルおよびFSH受容体の
680位でのバリアントの同定などは、本明細書に列挙する本発明の他の態様についても
同様であってよいことは理解される。
発明の詳細な記載
本発明は、添付の図を参照してここにより詳細に記載される。
配列選択
ヒトFSH
FSHアルファポリペプチドに対する遺伝子のコード領域は、Fiddes and
Goodman(1981)に従って使用された。配列はAH007338として預けら
れ、構築時にこのタンパク質配列の他のバリアントはなかった。配列は本明細書において
配列番号1と称される。
FSHベータポリペプチドに対する遺伝子のコード領域は、Keene et al(
1989)に従って使用された。配列はNM_000510として預けられ、構築時にこ
のタンパク質配列の他のバリアントはなかった。配列は本明細書において配列番号2と称
される。
シアル酸転移酵素
α2,3-シアル酸転移酵素 - ベータガラクトシドアルファ-2,3-シアル酸転
移酵素4(α2,3-シアル酸転移酵素、ST3GAL4)に対する遺伝子のコード領域
は、Kitagawa and Paulson(1994)に従って使用された。配列
はL23767として預けられ、本明細書において配列番号3と称される。
α2,6-シアル酸転移酵素 - ベータガラクトサミドアルファ-2,6-シアル酸
転移酵素1(α2,6-シアル酸転移酵素、ST6GAL1)に対する遺伝子のコード領
域は、Grundmann et al.(1990)に従って使用された。配列はNM
_003032として預けられ、本明細書において配列番号4と称される。
[実施例1]FSH発現ベクターの構築
FSHアルファポリペプチド(AH007338、配列番号1)およびFSHベータポ
リペプチド(NM_003032、配列番号2)のコード配列を、プライマーの組合せ、
FSHa-fwおよびFSHa-revならびにFSHb-fwおよびFSHb-rec
をそれぞれ使用して、PCRによって増幅した。
FSHa-fw 5’-CCAGGATCCGCCACCATGGATTACTACAG
AAAAATATGC-3’(配列番号9)
FSHa-rev 5’-GGATGGCTAGCTTAAGATTTGTGATAAT
AAC-3’(配列番号10)
FSHb-fw 5’-CCAGGCGCGCCACCATGAAGACACTCCAG
TTTTTC-3’(配列番号11)
FSHb-rev 5’-CCGGGTTAACTTATTATTCTTTCATTTC
ACCAAAGG-3’(配列番号12)
得られた増幅FSHベータDNAを制限酵素AscIおよびHpaIで消化し、ネオマ
イシン選択マーカーを有するCMV駆動哺乳動物発現ベクター上のAscIおよびHpa
I部位に挿入した。同様にFSHアルファDNAをBamHIおよびNheIで消化し、
FSHベータポリペプチドDNAを既に含む発現ベクター上のBamHIおよびNheI
部位に挿入した。
ベクターDNAを大腸菌(E.coli)のDH5α株を形質転換するために使用した
。コロニーを増幅のために取った。FSHアルファおよびベータの両方を含有するクター
を含有するコロニーを配列決定のために選択し、全てが配列番号1および配列番号2によ
る正しい配列を含有していた。プラスミドpFSH A+B#17をトランスフェクショ
ンのために選択した(図1)。
[実施例2]ST3発現ベクターの構築
ベータガラクトシドアルファ-2,3-シアル酸転移酵素4(ST3、L23767、
配列番号3)のコード配列を、プライマーの組合せ、2,3STfwおよび2,3STr
evを使用してPCRによって増幅した。
2,3STfw 5’-CCAGGATCCGCCACCATGTGTCCTGCAGG
CTGGAAGC-3’(配列番号13)
2,3STrev 5’-TTTTTTTCTTAAGTCAGAAGGACGTGAG
GTTCTTG-3’(配列番号14)
得られた増幅ST3 DNAを制限酵素BamHIおよびAflIIで消化し、ハイグ
ロマイシン耐性マーカーを有するCMV駆動哺乳動物発現ベクター上のBamHIおよび
AflII部位に挿入した。ベクターを既に記載のとおり増幅し、配列決定した。クロー
ンpST3#1(図2)は、配列番号3による正しい配列を含有しており、トランスフェ
クションのために選択した。
[実施例3]ST6発現ベクターの構築
ベータガラクトサミドアルファ-2,6-シアル酸転移酵素1(ST6、NM_003
032、配列番号4)のコード配列を、プライマーの組合せ、2,6STfwおよび2,
6STrevを使用してPCRによって増幅した。
2,6STfw 5’-CCAGGATCCGCCACCATGATTCACACCAA
CCTGAAG-3’(配列番号15)
2,6STrev 5’-TTTTTTTCTTAAGTTAGCAGTGAATGGT
CCGG-3’(配列番号16)
得られた増幅ST6 DNAを制限酵素BamHIおよびAflIIで消化し、ハイグ
ロマイシン耐性マーカーを有するCMV駆動哺乳動物発現ベクター上のBamHIおよび
AflII部位に挿入した。ベクターを既に記載のとおり増幅し、配列決定した。クロー
ンpST6#11(図3)は、配列番号4による正しい配列を含有しており、トランスフ
ェクションのために選択した。
[実施例4]PER.C6(登録商標)細胞におけるpFSH α+βの安定発現。ク
ローンのトランスフェクション、単離およびスクリーニング
単一のプラスミドからFSHの両ポリペプチド鎖を発現することによって、FSHを産
生するPER.C6(登録商標)クローンを生成した(実施例1を参照されたい)。
安定クローンを得るためのpFSH α+β構築物を含むリポソームベーストランスフ
ェクション剤。安定クローンを、10%のFCSを補充し、G418を含有するVPRO
中で選択した。トランスフェクション3週間後、G418耐性クローンが増殖した。クロ
ーンを単離のために選択した。単離したクローンを70~80%コンフルエントまで選択
培地で培養した。上清を、FSHタンパク質含有量についてFSH選択的ELISAを使
用して、およびクローン細胞株におけるFSH受容体での薬理学的活性についてcAMP
蓄積アッセイを使用して、アッセイした。機能性タンパク質を発現しているクローンを培
養増殖のために24ウエル、6ウエルおよびT80フラスコに進めた。
7個のクローンからの物質の生産性および品質を決定するための研究を、十分な物質を
生成するためにT80フラスコ中で開始した。細胞を既に記載のとおり補充培地で7日間
培養し、上清を回収した。生産性をFSH選択的ELISAを使用して決定した。物質の
等電点プロファイルを当技術分野において公知の方法による等電点電気泳動(IEF)に
よって決定した。十分な生産性および品質を有するクローンをシアル酸転移酵素操作のた
めに選択した。
[実施例5]シアル酸付加のレベルは、α2,3-シアル酸転移酵素を過剰発現してい
る細胞において増加している。FSH発現PER.C6(登録商標)細胞におけるpST
3の安定発現、クローンのトランスフェクション、単離およびスクリーニング。
高度にシアル酸付加されたFSHを産生するPER.C6(登録商標)クローンを、F
SHの両ポリペプチド鎖を既に発現している(実施例4由来)PER.C6(登録商標)
細胞中で、別のプラスミド(実施例2)からα2,3-シアル酸転移酵素を発現させるこ
とによって生成した。実施例4に記載のとおりPER.C6(登録商標)細胞から産生さ
れたクローンを、生産性、良好な増殖プロファイル、機能性タンパク質の産生およびいく
つかのシアル酸付加を含む産生されたFSHを含むそれらの特徴について選択した。安定
クローンは実施例4に既に記載のとおり生成した。クローンを単離し、増殖させ、アッセ
イした。α2,3-シアル酸転移酵素クローンを無血清培地および懸濁条件に適合させた
前述のとおり、クローンをFSH選択的ELISA、FSH受容体細胞株における機能
性応答、IEF、代謝クリアランス速度およびSteelman Pohley分析を使
用してアッセイした。結果を、商業的に入手できる組換えFSH(Gonal-f、Se
rono)および親FSH PER.C6(登録商標)細胞株と比較した。大部分のクロ
ーンによって産生されたFSHは、α2,3-シアル酸転移酵素を伴わずに発現されたF
SHと比較して、顕著に改善されたシアル酸付加(すなわち多数のシアル酸を有するFS
Hアイソフォームが平均でより多い)を有する。結論としてPER.C6(登録商標)細
胞におけるシアル酸転移酵素を伴うFSHの発現は、FSHだけを発現している細胞と比
較してFSHのシアル酸付加のレベルが上昇していた。
[実施例6]産生および精製概要
手順は、無血清培地中に懸濁で培養したPER.C6(登録商標)細胞においてFSH
を産生するために開発した。手順を下に記載し、いくつかのFSH産生PER.C6(登
録商標)細胞株に適用した。
α2,3-クローン(実施例5)由来のFSHをLowry et al.(1976
)によって記載の方法の変法を使用して調製した。
PER.C6(登録商標)-FSHの産生のために、細胞株を無血清培地、すなわち、
Excell 525(JRH Biosciences)に適合させた。細胞をT80
培養フラスコ中で70%~90%コンフルエント単層を形成するように最初に培養した。
継代の際に、細胞を無血清培地、Excell 525+4mM L-グルタミン中に、
0.3×10個/mlの細胞密度で再懸濁した。細胞懸濁物25mlを250ml振盪
フラスコに入れ、100rpm、37℃、5%COで振盪した。1×10個/ml超
の細胞密度に達した後、細胞を0.2または0.3×10個/mlの細胞密度で継代培
養し、さらに振盪フラスコ中、37℃、5%CO、100rpmで培養した。
FSHの産生のために、細胞を無血清産生培地、すなわち、PER.C6(登録商標)
細胞の増殖を非常に高い細胞密度(バッチ培養で通常10個/ml超)に支持するVP
RO(JRH Biosciences)に移した。細胞を1×10個/ml超にEx
cell 525中で最初に培養し、次いで5分間、1000rpmで遠沈し、続いてV
PRO培地+6mM L-グルタミンに1×10個/mlの密度で懸濁した。次いで細
胞を振盪フラスコ中で7~10日間、37℃、5%CO、100rpmで培養した。こ
の期間で、細胞は10個/ml超の密度に増殖した。培養培地を細胞生存率が減少し始
めた後に回収した。細胞を5分間、1000rpmで遠沈し、上清をFSHの定量および
精製のために使用した。FSHの濃度をELISA(DRG EIA 1288)を使用
して決定した。
次いでFSHの精製をLowry et al.(1976)によって記載の方法の変
法を使用して実行した。電荷選択的クロマトグラフィーを使用する精製を、当技術分野に
おいて周知の方法によって、高度にシアル酸付加された形態を富化するために実行した。
全てのクロマトグラフィー手順の際に、本明細書で特許請求されるFSHのシアル酸付
加形態の富化をRIA(DRG EIA 1288)および/またはIEFによって確認
した。
[実施例7]α2,3およびα2,6シアル酸の相対量の定量
精製されたrFSH(実施例6)上のα2,3およびα2,6シアル酸の相対百分率量
を公知の技術を使用して測定した。
N-グリカンを変性条件下でPNGase Fを使用して試料から放出させ、次いで2
-アミノベンズアミドで標識した。次いで放出されたグリカン形態を、電荷分布の決定の
ために、Weak Anion Exchange(WAX)カラムによって分離および
分析した。全シアル酸の決定のために2,3,6,8シアリダーゼで、および2,3シア
ル酸の決定のために2,3シアリダーゼで処置した標識グリカンを、WAXカラムによっ
てさらに分析した。
電荷グリカンの相対百分率を未消化および消化グリカンプール中に存在する構造から算
出し、図4に示す(試料8個について)。これらは、α2,3シアル酸付加について50
%~95%(例えば約80%から90%)およびα2,6シアル酸付加について5%から
50%、一般に約10から20%(または約31%もしくは35%)の範囲内に見出され
た。
[実施例8]GONAL-Fと比較してFE999049を調査する複数用量研究
以下は、体外受精(IVF)/細胞質内精子注入法(ICSI)のために調節卵巣刺激
を受けている患者におけるFE999049の用量応答関係を評価する、無作為化、対照
、査定者盲検、並行群、多国籍、多施設試験を記載する。患者集団は、年齢18から37
歳、BMIが18.5から32.0kg/mのIVF患者265名であった。
試験は、主要評価項目として採取された卵母細胞の数での用量応答試験として設計した
。二次評価項目は、エンドクリンプロファイル、卵胞発育、卵母細胞受精、胚品質および
処置効率(すなわち全ゴナドトロピン消費および刺激の継続期間)に関するさまざまな用
量のFE999049の定性的および定量的影響を調査する。試験は、IVF/ICSI
周期のための調節卵巣刺激において使用される場合の、妊娠を確立するためのFE999
049の有効性を評価するために設計されている。
対象を、卵巣応答に関連して治験集団の均一性を増加させ、試験で使用されるFE99
9049用量およびGONAL-F用量に対する潜在的応答不良者および過剰応答者の数
を最少化するための、抗ミュラー管ホルモン(AMH)評価を含む、組み入れ基準および
除外基準でのコンプライアンスについて無作為化する前の3カ月以内に評価した。AMH
評価は、AMH Gen-II enzyme linked immunosorbe
nt assay kit(Beckman Coulter、Inc.、Webste
r、Texas)を使用して測定した。このアッセイは、1.1pmol/Lを定量の最
少限度として、0.57pmol/Lより高いAMH濃度を検出できる。
彼女らの月経周期の2~3日目に、対象を1:1:1:1:1:1様式で90IU、1
20IU、150IU、180IUもしくは210IU FE999049または150
IU GONAL-Fのいずれかでの処置に無作為化し、卵巣刺激を開始した。無作為化
は、スクリーニングでのAMHレベルに応じて層別化した[5.0~14.9pmol/
L(低AMH)および15.0から44.9pmol/L(高AMH))。
FDAの要求でGonal-Fは質量によって充填(FbM)されており、したがって
μg用量を参照することは好適である。Gonal-Fラベルは、600IU/44μg
を示しており、そのことは150IUが11μgであることを示す。しかしいくらかの変
動があり、この試験についてのバッチ証明書は11.3μgのGonal-Fが150I
Uに相当することを示した。FE999049用量は生物学的活性ではなくタンパク質含
有量(μg)によって表されている。したがって、FE999049の用量は、5.2μ
g(90IU)、6.9μg(120IU)、8.6μg(150IU)、10.3μg
(180IU)または12.1μg(210IU)であった。
対象および用量分布を次に記載する(データは対象数)。
Figure 0007161511000001
FE999049またはGONAL-Fの日用量レベルは、刺激期間全体を通じて固定
する。刺激の際に、対象は刺激1、4および6日目ならびにその後少なくとも2日ごとに
モニターする。15mm以上の卵胞3個が観察される場合、来診は連日で実施する。対象
は、FE999049またはGONAL-Fで最長16日間処置する。
早発性LHサージを予防するために、GnRHアンタゴニスト(ガニレリクスアセテー
ト、ORGALUTRAN、MSD/Schering-Plough)を刺激6日目に
0.25mgの日用量で開始し、刺激期間にわたって継続してもよい。最終卵胞成熟の誘
発は、直径≧17mmを有する卵胞が3個以上観察される時に行う。直径≧12mmを有
する卵胞が25個未満の場合、組換えhCG(絨毛性ゴナドトロピンアルファ、OVIT
RELLE、Merck Serono/EMD Serono)250μgを投与する
。直径≧12mmを有する卵胞が25~35個ある場合、GnRHアゴニスト(トリプト
レリンアセテート、DECAPEPTYL/GONAPEPTYL、Ferring P
harmaceuticals)0.2mgを投与する。直径≧12mmを有する卵胞が
35個超として定義される過剰卵巣応答の場合、処置は中止する。刺激10日目に直径≧
10mmを有する卵胞が3個未満として定義される卵巣応答不良が観察される場合、周期
は中止することができる。
卵母細胞採取は、最終卵胞成熟化の誘発後36時間(±2時間)で行い、卵母細胞をI
VFおよび/またはICSIによって授精させた。受精および胚発育を卵母細胞採取から
移植の日まで評価する。hCGでの最終卵胞成熟化の誘発を受けた対象について、利用可
能な最良の質の胚盤胞1個を卵母細胞採取の5日後に移植し、残りの胚盤胞は凍結する。
GnRHアゴニストでの最終卵胞成熟化の誘発を受ける対象について、新鮮周期では胚移
植は行わず、代わりに胚盤胞は5日目に凍結する。膣用プロゲステロン錠剤(LUTIN
US、Ferring Pharmaceuticals)100mg、1日3回を黄体
期支持のために卵母細胞採取翌日から臨床妊娠来診日まで提供する。βhCG検査を胚移
植13~15日後に実施し、臨床的妊娠を経膣超音波(TVU)によって胚移植5~6週
間後に確認する。
結果
採取された卵母細胞の数(主要評価項目)を次の表に示す。
Figure 0007161511000002
主目的は満たされた:顕著な用量応答関係が採取された卵母細胞の数に関してFE99
9049について確立された。この発見は、全体的な治験集団においてだけでなく、無作
為化で使用された2つのAMH層それぞれについても観察された。
FE999049について顕著な用量応答を全ての重要な客観的薬力学的パラメーター、
例えばエストラジオール、インヒビンBおよびインヒビンAについて実証した。同程度の
マイクログラム用量レベルで、FE999049での薬力学的応答はGONAL-Fでの
ものよりも大きかった(これらの結果は未記載)。
FE999049への曝露後の血清FSH濃度は、GONAL-Fについてよりも顕著に
高かった。結果は、FE999049のPKプロファイルがGONAL-Fのものとは異
なっていることを確認している。
FE999049で処置したIVF/ICSI患者における受精率、胚盤胞発育および妊
娠率は、予測の範囲内であった。
FE999049の使用に安全性への懸念はなかった。良好な局所忍容性を記載した。
さらなる分析
本出願者らは、採取される卵母細胞の数に関して次の基準を満たすFE999049用
量(複数可)を同定するためにデータをさらに分析した:
・ 卵母細胞が8~14個の範囲で採取される
・ 卵母細胞が8個未満である患者の割合の最少化
・ 卵母細胞が4個未満または20個以上である患者の割合の最少化
低AMH層
表2に見られるとおり、第1の判定基準(卵母細胞が8~14個の範囲で採取される)
を満たすFE999049の用量は、12.1μgであった(平均9.4個の卵母細胞を
採取した)。卵母細胞の分布を下の表3に示す。
Figure 0007161511000003
四角および矢印によって示すとおり、12.1μgのFE999049の用量は、低A
MH群の対象の60%において最も望ましい数の卵母細胞の採取を提供する。これは、G
onal-F(対象の33%だけが卵母細胞の最も望ましい数)についての顕著な改善で
ある。中程度または重度の性質の初期OHSSの徴候はなく、予防的処置が必要とされる
ことはなかったので、低AMHを有する患者における12.1μgのFE999049の
用量に関連する懸念はない。
したがって本出願者らは、6から24μg、例えば9から14μg、例えば12μgの
用量または相当する用量のヒト由来組換えFSHが、血清AMH<15pmol/L、例
えば0.05~14.9pmol/L、例えば5.0~14.9pmol/Lを有する患
者における不妊症の処置における使用のために好適であることを見出した。この用量は、
OHSSの危険を最少化する一方で効果的な応答をもたらす。
予備評価
予備評価として本発明者らは、FE999049での刺激後の卵巣応答および治療効率
への、FSH受容体多型の寄与を調査した。
試験の全ての患者由来のゲノムDNAをFSH-Rの29、307および680位での
一塩基多型(SNP)について、モデナ・レッジョ・エミリア大学、イタリアで分析した
。図4は、エクソン10のアミノ酸307および680位ならびにプロモーター中の29
位での多型の位置を示すFSH受容体の模式図である。SNP FSH-R組合せのこの
分布は、次のとおり:29位についてAA 7%、AG 35%およびGG 58%;3
07位についてThr/Thr 29%、Ala/Thr 54%およびAla/Ala
17%;ならびに680位についてAsn/Asn 30%、Asn/Ser 53%
およびSer/Ser 17%。図5は、実施例8の研究においてFSHで処置した患者
222名についてのFSH受容体遺伝子でのSNPハプロタイプの分布を示す。各位置に
ついての分布および全体の組合せは、低AMHと高AMH層との間で顕著には異ならなか
った。
臨床試験の結果を、SNPが処置の継続期間および必要な合計用量に影響を有するかど
うかを評価するためにさらに分析した。これは、低AMH群および高AMH群について行
った。
FSHR多型をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)およびRFLP(制限断片長多型)に
よって当技術分野において公知の方法により調査した。女性をAsn/Asn、Asn/
SerおよびSer/Ser遺伝子型に分類した。遺伝子解析は次のプロトコール概要に
記載されており、患者は特別なインフォームドコンセントに署名した。試料は刺激1日目
に他の血液試料の一部として取った。それらをモデナ・レッジョ・エミリア大学で測定し
た。
FSH受容体遺伝子でのSNP分析のために使用された手順概要
一般的手順:
1.ゲノムDNA抽出(Nucleon Genomic DNA extractio
n kit、GE HEALTHCAREを使用して血液から)
2.nanodropを使用する操作手順
HRM手順:
高解像度融解分析(HRM)法によるSNP遺伝子型判定(SsoFast EvaG
reen Supermix cod enzyme.172-5201、Bio-Ra
d;HSP-96 plates、cat.HSP9645、Bio-Rad;およびC
FX96 real-time thermal cycler Bio-Radを使用
する)。
配列決定手順:
HRM結果に疑問がある場合(同じ試料での2回の独立したHRM後)、次の配列決定
手順を利用する:
1.PCR反応および増幅
2.PCR産生物精製
3.精製されたPCRの定量
4.配列反応プロトコール
5.配列産生物精製
6.ABI PRISM 3130装置によって実行するキャピラリー電気泳動
7.ABI PRISM 3100でのキャピラリー電気泳動配列決定によって得られた
結果の評価および検証
結果
図7は、完全分析セットについて、680位に関する3種の異なるFSH受容体遺伝子
型:Asn/Asn、Asn/SerおよびSer/Serのそれぞれにおいて、AMH
<15pmol/Lを有する患者/対象に送達されたゴナドトロピン(FSH)処置の予
測された継続期間(日)を、用量について調整して示す結果の表である。
図7は、AMHレベル<15pmol/LおよびバリアントSer/Serを有する患
者の刺激のために必要な処置の予測平均継続期間が9.59日間であり、AMHレベル<
15pmol/LおよびバリアントAsn/Asn(8.13日間)を有する患者の刺激
のために必要なものより約1.5日間長く、AMHレベル<15pmol/Lおよびバリ
アントSer/Asn(8.26日間)を有する患者の刺激のために必要なものより約1
.3日間長いことを示している。
上に記載のとおり、成功(妊娠および/または出生に関して)は、患者が理想的な処置
ウインドウ内で生じる適当な応答(予期された卵巣多卵胞発育、循環中の17-β-エス
トラジオールの上昇)を有する場合に可能性が高い。成功は、応答がこの処置ウインドウ
の中央にある、すなわちウインドウ内で早すぎも遅すぎもしない場合にさらに増強される
。低AMHおよびFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有する患者にお
ける処置の継続期間の低減(用量を12μgを超えて増加させることによる)は、応答を
処置ウインドウの中央内へと移動させ、成功の見込みを増強し得る。
したがって、処置前にAMHレベル<15pmol/LおよびバリアントSer/Se
rを有すると同定された患者への用量を調整することは可能であり得る。処置前にSer
/Serを有する患者が同定されると、Ser/AsnおよびAsn/Asnを有する者
と比較して、これらの患者において開始用量を増加できるようになり得る。
上に記載のとおり、12.1μgのFE999049の用量は、低AMH群における対
象の60%において最も望ましい数の卵母細胞の採取を提供する(表3)。表3に示す低
AMH群は、バリアントSer/Serを有する患者も、Ser/AsnおよびAsn/
Asnを有する者も含んでいた。低AMH[AMHレベル<15pmol/L、(例えば
0.05pmol/Lから14.9pmol/L、例えば5.0pmol/Lから14.
9pmol/L)]を有し、またFSH受容体の680位にバリアントSer/Serを
有する患者への、FSHのより高い開始用量(例えば9から24μg、例えば12μg超
から24μg、例えば12.33μgまたは13μgのヒト由来組換え体)の投与は、そ
れが成功(妊娠および/または出生に関する)のさらに高い可能性および成功のさらに良
好な予測を提供できることから、有利なものとなり得る。
図7は、AMHレベル<15pmol/LおよびバリアントAsn/Asnを有する患
者の刺激のために必要な処置の平均継続期間が8.13日間であること、およびAMHレ
ベル<15pmol/LおよびバリアントSer/Asnを有する患者の刺激のために必
要な期間が8.26日間であって、AMHレベル<15pmol/LおよびバリアントS
er/Serを有する患者の相当する処置のための継続期間(9.59日間)よりも約1
.5から1.3日間短いことを示している。それにより処置前でのAMHレベル<15p
mol/LならびにバリアントSer/AsnおよびAsn/Asnを有する患者が同定
されると、これらの患者について卵胞発育に関して良好な応答を依然として提供しながら
、開始用量を12μg未満、例えば10から12μgのFE999049に低減、または
処置の継続期間を低減できるようになり得る。これは、薬剤費の観点から、およびこれら
の患者における効果のために必要であるよりも高い用量の投与に伴う危険の低減の観点か
らも薬剤費を提供できる。
図6は、完全分析セットについて、680位に関する3種の異なるFSH受容体遺伝子
型:Asn/Asn、Asn/SerおよびSer/Serのそれぞれにおいて、AMH
<15pmol/Lを有する患者/対象の、ゴナドトロピン(FSH)処置の観察された
継続期間(日)ならびに送達された合計ゴナドトロピン(FSH)用量(μg)を示す結
果の表である。これは、図7に示す効果を確認している。
結果は、高AMH集団ではSNPに関連するこの効果を示さなかった。
これは、特定のAMHレベル、およびFSHRに特定の多型を有すると同定された特定
の患者におけるFSHの用量の調整を可能にする。
[実施例9]個別化されたCOSプロトコール(低AMH)
選択された患者は、当技術分野において公知の方法による体外受精(IVF)/細胞質
内精子注入法(ICSI)のためにCOSを受けようとしている。前処置プロトコールは
、AMH Gen-II enzyme linked immunosorbent
assay kit(Beckman Coulter、Inc.、Webster、T
exas)を使用する患者の血清AMHの評価/スクリーニングを含む。このアッセイは
、1.1pmol/Lを定量の最少限度として、0.57pmol/Lより高いAMH濃
度を検出できる。AMHは、他のアッセイキット(例えばRocheから入手可能)を使
用して測定してもよい。前処置プロトコールは、当技術分野において周知の方法によるゲ
ノムDNAの抽出に続くFSH受容体の680位での対立遺伝子バリアントの同定を含む
(例えば、Gromoll et al,Methods,21,83~97(2000
)、Simoni et al,Journal of Clinical Endoc
rinology and Metabolism,Vol 84,No.2,751~
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ecol Scand 2005:84:806~811(2005)およびこれらの参
考文献に記載のとおり、血液からのゲノムDNAの抽出のためのキットおよび続くDNA
配列決定の手段による、またはLoutradis et al,Journal of
Assisted Reproduction and Genetics,Vol.
23,No.4,April 2006に記載のものなどのPCRおよびRFLP法によ
る)。
COSプロトコールは、通常の様式では、スクリーニングでのAMHレベルによるFE
999049の初回量の投与とは別に開始する。15pmol/L未満のAMHレベルお
よびバリアントSer/AsnまたはAsn/Asnを有する患者は、およそ12μgの
FE999049、実施例6の方法により製造されたヒト由来組換えFSH産生物、また
は12μg未満のFE999049、例えばヒト由来組換えFSHの10から12μg、
例えば11.33μgもしくは11.67μgの初回日用量を投与される。15pmol
/L未満のAMHレベルおよびバリアントSer/Serを有する患者は、ヒト由来組換
えFSHの12μgより高い初回日用量(例えば12.33から24μgまたは13~2
4μg)を受ける。
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配列番号1
卵胞刺激ホルモンアルファポリペプチド
受託番号AH007338
FSHアルファのヌクレオチド配列
Figure 0007161511000004
FSHアルファのタンパク質配列(配列番号5)
Figure 0007161511000005
配列番号2
卵胞刺激ホルモンベータポリペプチド
受託番号NM_000510
FSHベータのヌクレオチド配列
Figure 0007161511000006
FSHベータのタンパク質配列(配列番号6)
Figure 0007161511000007
配列番号3
ベータガラクトシドアルファ-2,3-シアル酸転移酵素4
受託番号L23767
ST3GAL4のヌクレオチド配列
Figure 0007161511000008
ST3GAL4のタンパク質配列(配列番号7)
Figure 0007161511000009
配列番号4
ベータガラクトサミドアルファ-2,6-シアル酸転移酵素1
受託番号NM_003032
ST6GAL1のヌクレオチド配列
Figure 0007161511000010
0p-
ST6GAL1のタンパク質配列(配列番号8)
Figure 0007161511000011

Claims (9)

  1. 卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む、不妊症の処置における使用のための組成物であって、前記処置は、
    処置前に、FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有し、血清AMHレベル<15pmol/Lを有し、かつ両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧8を有する患者を同定するステップ、および
    FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有し、血清AMHレベル<15pmol/Lを有し、かつ両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧8を有すると同定された患者に、1日あたり12μg超から24μgの用量または相当量のFSHを投与するステップ
    を含む、組成物。
  2. 前記処置が、処置前に、FSH受容体の680位にバリアントSer/Serを有し、血清AMHレベル0.05pmol/Lから14.9pmol/Lを有し、かつ両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧8を有する患者を同定するステップを含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
  3. 卵胞刺激ホルモン(FSH)を含む、不妊症の処置における使用のための組成物であって、前記処置は、
    処置前に、FSH受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有し、血清AMHレベル<15pmol/Lを有し、かつ両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧8を有する患者を同定するステップ、および
    FSH受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有し、血清AMHレベル<15pmol/Lを有し、かつ両卵巣において合計された 胞状卵胞数(AFC)≧8を有すると同定された患者に、1日あたり10から12μgの用量または相当量のFSHを投与するステップ
    を含む、組成物。
  4. 前記処置が、処置前に、FSH受容体の680位にバリアントAsn/AsnまたはバリアントAsn/Serを有し、血清AMHレベル0.05pmol/Lから14.9pmol/Lを有する患者を同定し、かつ両卵巣において合計された胞状卵胞数(AFC)≧8を有するステップを含む、請求項に記載の使用のための組成物。
  5. 処置の1日目に開始し、6から16日間継続するFSHの投与のための、請求項1~のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  6. FSHが組換えFSHである、請求項1~のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  7. FSHがα2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含む組換えFSHである、請求項1~のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 組換えFSHがα2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の1から99%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の99%から1%がα2,3-シアル酸付加である、請求項またはに記載の使用のための組成物。
  9. 組換えFSHがα2,3-およびα2,6-シアル酸付加を含み、全シアル酸付加の1から50%がα2,6-シアル酸付加であり、全シアル酸付加の50%から99%がα2,3-シアル酸付加である、請求項またはに記載の使用のための組成物。
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