【発明の詳細な説明】
ハロゲン化銀写真材料およびレセプタ要素への写真画像の転写方法
本願のもとになる1996年11月4日出願の暫定出願である米国特許出願第60/029,
917号の内容は、引用により本明細書中に含まれるものとする。発明の背景
1.発明の分野
本発明は、ハロゲン化銀写真転写要素、レセプタ要素への写真画像の転写方法
、およびハロゲン化銀写真要素そのものに関する。より詳細には、本発明は、ビ
デオカメラ、コンピュータ、カラー複写機、家庭用プリンタ、および/または平
版捺染機などの市販の装置を必要とすることなく、例えば衣服のような布に直接
転写可能な画像を有する写真フィルムまたはプリントに関する。
2.従来技術の説明
様々な図柄を有する衣服(例えば、Tシャツ)などの布製品が、最近、非常に
目につくようになった。多くの衣服は、消費者の好みに合わせて予め図柄がプリ
ントされた形で販売されている。現在では、消費者が自分の好みの図柄または絵
柄を選択できる注文Tシャツ店が多数営業されている。また、1980年9月23日発行
の米国特許第4,244,358号に記載されているように、消費者が転写シート上に自
分の図案を作製し、普通のアイロンを使用してTシャツに転写できるようにした
方法も提案されている。更に、1988年9月27日発行の米国特許第4,773,953号は、
パーソナルコンピュータ、ビデオカメラなどを利用して、グラフィックス、画像
、または独創的な図柄を布の上に形成する方法を指向したものである。
従って、既に、上述した流行のTシャツの虜になっている消費者グループの興
味を引くように、本発明者は、画像の保持および転写が可能な材料を使用して写
真画像をレセプタ要素に直接転写する機能を提供する。本発明の独特な利点は、
すべての消費者が、フィルムに納められた自分の好みの場面が描かれた衣類を着
用できること、またコストおよび時間に関して最も効率的な単一の手段を用いて
そうしたことを実施できることである。
同時係属出願の米国特許出願第08/206,218号および同第08/479,409号は、ハロ
ゲン化銀写真転写要素および該転写要素からレセプタ要素に画像を転写する方法
を指向したものであるが、これらの特許は、引用により本明細書中に含まれるも
のとする。これらの同時係属出願と、ここで特許請求された本発明との違いは、
同時係属出願では独立した転写層が必要な点である。それとは対照的に、本発明
では、ハロゲン化銀感光性粒子が、転写層として機能するキャリヤの内部に分散
されているかまたはキャリヤ上に配置されている。
発明の概要
従って、本発明は、前面および背面を有する支持体と、該支持体の前面上に配
置され、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する少なくとも1層のハロゲン化銀感光
性乳剤層とを含んでなる従来型のハロゲン化銀写真要素(例えば、湿式処理のも
の)に関するものであるが、ただし、ハロゲン化銀粒子は非有機銀塩であり、乳
剤層には色素供与物質は含まれないものとし、更に、ハロゲン化銀粒子は、キャ
リヤ中に分散されているかまたはキャリヤ上に配置され、該キャリヤは、少なく
とも100℃の融点を有し、支持体の背面に熱エネルギーを加えたときに、現像さ
れた画像領域および非画像領域を支持体の前面から転写させて接着させることが
でき、該キャリヤは、加熱すると液化して支持体から解放されることにより支持
体の前面から離れ、液化されたキャリヤは、レセプタ要素上まで流動してその上
で固化することによりレセプタ要素と接着し、その接着は、外部接着剤層を必要
とせず、ハロゲン化銀粒子の領域と少なくとも同じ広がりを有する領域中で生じ
るものとする。好ましくは、キャリヤの粒子サイズは、1〜20マイクロメートル
である。
本発明のキャリヤは、上述した転写機能を呈することができるが、このキャリ
ヤを写真材料用の従来型キャリヤの代わりに使用してもよい。従って、本発明は
また、必ずしも画像転写を目的とするものではない写真材料にも適用可能である
。
本発明のハロゲン化銀写真要素は、カラーペーパー(例えば、プリントおよび
リバーサル)、カラーネガティブフィルム、カラーリバーサルフィルム、白黒フ
ィルムまたはペーパーなどの従来型写真系(例えば、湿式処理のもの)に適用可
能である。カラー拡散フィルムユニット(例えば、インスタント型プリント)は
、ハロゲン化銀と本発明のキャリヤとを同一層中に混合することだけが変更点で
ある場合には、熱現像可能なマイクロカプセル型の系である本発明の製品そのも
のからは除外される。しかしながら、ここで特許請求されたキャリヤを含有する
すべてのタイプのハロゲン化銀写真要素を、本発明の方法に従って転写させるこ
とが可能である。
画像を受容するレセプタ表面は、衣服(例えば、Tシャツ)などの布であって
よい。他の好適なレセプタ表面としては、キャンバス、紙、ガラス、または美術
館もしくは美術学校関連業界で使用されるレセプタ支持体が挙げられる。
本発明はまた、写真画像をレセプタ要素に転写する方法に関するが、この方法
には、
(a)ハロゲン化銀写真要素(この写真要素は、前面および背面を有する支持
体と、該支持体の前面上に配置され、感光性ハロゲン化銀粒子を含有する少なく
とも1層のハロゲン化銀感光性乳剤層とを含み、該ハロゲン化銀粒子は、キャリ
ヤ中に分散されているかまたはキャリヤ上に配置され、該キャリヤは、支持体の
背面に熱エネルギーを加えたときに、現像された画像領域および非画像領域を支
持体の前面から転写させて接着させることができ、該キャリヤは、加熱すると液
化して支持体から解放されることにより支持体の前面から離れ、液化されたキャ
リヤは、レセプタ要素上まで流動してその上で固化することによりレセプタ要素
と接着し、その接着は、外部接着剤層を必要とせず、ハロゲン化銀粒子の領域と
少なくとも同じ広がりを有する領域中で生じるものとする)を画像に沿って(イ
メージワイズに)露光するステップと、
(b)画像に沿って露光されたハロゲン化銀感光性写真要素を現像して、写真
画像を形成するステップと、
(c)該レセプタ要素と対向させて該ハロゲン化銀写真要素の前面を配置する
ステップと、
(d)該ハロゲン化銀写真要素の背面にエネルギー(例えば、熱)を加えて、
該写真画像を該レセプタ要素に転写させるステップと、
が含まれる。
レセプタ要素は、布、皮革、セラミック、ウール、ガラス、またはプラスチッ
クであってよい。ハロゲン化銀写真要素の背面に加えられるエネルギーは、熱お
よび/または圧力(例えば、アイロンがけによる)である。
このハロゲン化銀写真要素用のキャリヤは、一般的には、従来型のキャリヤと
同じ機能を果たすことができ、例えば、感光性ハロゲン化銀粒子および関連化学
薬品(例えば、カラーカプラ)を担持するためのベヒクルを提供する手段となる
。しかしながら、本発明のキャリヤは、好ましくは、支持体の背面に熱エネルギ
ーを加えたときに、現像された画像領域および非画像領域を支持体の前面から転
写させて接着させることができなければならない。キャリヤは、加熱すると液化
して支持体から解放されることにより支持体の前面から離れる。液化されたキャ
リヤは、レセプタ要素へと流動してその上で固化することによりレセプタ要素と
接着する。その接着は、外部接着剤層を必要とせず、ハロゲン化銀粒子の領域と
少なくとも同じ広がりを有する領域中で生じる。
図面の簡単な説明
以下に記載の詳細な説明および添付の図面から、本発明はより完全に理解され
るようになるであろうが、これらの説明および図面は、例示だけを目的として提
示されたものであり、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明のハロゲン化銀写真転写要素の好ましい実施形態の断面図であ
り、
図2は、Tシャツなどの上にハロゲン化銀写真転写要素をアイロンがけするステ
ップを示している。
発明の詳細な説明
写真乳剤には、一般に可撓性の層を形成するために、コーティングおよびそれ
に続く乾燥を行うことのできる好適な透明ベヒクルが必要である。ゼラチンのよ
うな従来型のキャリヤは、ハロゲン化銀粒子を結晶化させるための媒体となる。
すなわち、結晶成長を制御し、懸濁状態を保持できるようにする。従来型のキャ
リヤ(例えば、ゼラチン)は、一般的には、架橋により強度を得ることが可能で
あり、膨潤により化学処理を促進することが可能である。
写真系のための好ましいキャリヤは、高価でなく、扱いが容易であり、しかも
結合剤としてのみ機能するものである。従って、写真系のキャリヤは不活性であ
ることが好ましい。更に、一般的には、従来型のゼラチンキャリヤを硬化させて
層を強靭にし、耐磨耗性を増大させることが必要である。
本発明のキャリヤはまた、バインダとしても機能する。しかしながら、従来型
のキャリヤ(例えば、ゼラチン)とは異なり、キャリヤが十分な細孔を含有する
場合、化学処理溶液が浸透して潜像を現像できるようにするためにキャリヤが膨
潤する必要はない。従って、本発明のキャリヤは、好適な細孔を含有する場合、
従来型のキャリヤの膨潤を必要としないバインダとして機能してもよい。
転写要素中で使用する場合の好適なキャリヤの更なる要件は、キャリヤが繊維
質支持体に、場合によりガラス質支持体に強力に接着することである。
更に、キャリヤを転写要素中で使用する場合、従来型のキャリヤのように「不
活性」である必要はない。例えば、従来型のキャリヤは、数十年にわたり暗所ま
たは明所において画像の安定性に悪影響を及ぼしてはならない。しかしながら、
転写物質(例えば、Tシャツに転写された画像)の寿命は、数十年ではなく数ヶ
月または数年の単位で測られるので、画像安定性への悪影響は、それほど問題に
はならないと考えられる。このように最終製品の寿命が短い場合でも、より安価
な材料であれば選択の対象になる。更に、他の写真特性も同様にして、製品の寿
命が短いことを考慮して、必要に応じて最適化しなおしてもよい。
本発明のキャリヤはまた、別個の表面接着剤層を必要とすることなく、写真用
支持体からの転写およびレセプタ支持体への接着を可能にするものでなければな
らない。いずれの理論にも拘束されるものではないが、支持体の背面を加熱した
際、ハロゲン化銀層のキャリヤは、固相から液相へ転移を起こし、受容層に転写
されるものと考えられる。受容層に対するエッジ間接着は、受容層上でキャリヤ
を冷却させたときに生じる。冷却すると、画像層は受容層上に完全に転写され、
過剰のキャリヤにより機械的および熱的安定性ならびに洗濯適性が得られる。
キャリヤは、レセプタ表面に転写されたときに色彩堅牢性を示すものでなけれ
ばならない。すなわち、レセプタ要素(例えばTシャツ)を洗濯した場合、画像
が損傷を受けずにレセプタ要素上に残存しなければならない。
本発明のキャリヤはまた、写真材料中でゼラチンのような従来型のキャリヤの
代わりに使用してもよい。しかしながら、本発明のキャリヤは写真用支持体から
レセプタ支持体に転写することもできるので、写真画像をレセプタ要素に転写さ
せるための転写製品中で使用するのに適している。
以上をまとめると、本発明のキャリヤは、これまでに知られているキャリヤに
は見られない以下の特徴を有する。
(1)本発明のキャリヤは、写真現像薬を浸透させるのに十分な細孔を含有す
る場合、膨潤する必要のないバインダとして機能する。
(2)転写要素中で使用する場合、キャリヤは、繊維質支持体に、場合により
ガス質支持体に強力に接着する必要がある。
(3)転写要素中で使用する場合、製品の保存寿命が比較的短いことを考慮す
ると、従来型のキャリヤのように「不活性」である必要もなければ純粋である必
要もない。製品を長期保存を目的として使用する場合(例えば、美術館で使用す
る場合)には、選択されるキャリヤは、画像安定性に悪影響を及ぼすことのない
ように不活性でなければならない。
(4)キャリヤはまた、別個の表面接着剤層を必要とすることなく、写真用支
持体から転写してレセプタ支持体に接着できるものでなければならない。
(5)キャリヤは、レセプタ表面に転写されたときに色彩堅牢性のある画像を
提供する必要がある。
本発明の好適なキャリヤを以下に具体的に示す。しかしながら、本明細書中に
示された性能基準を考慮して、余計な実験を行うことなく好適なキャリヤを選択
することは容易である。例えば、好適なスクリーニングプロトコルについて以下
に示された実施例を参照されたい。更に、本発明のキャリヤは、従来型のキャリ
ヤ(例えば、ゼラチン)と混合してもよい。ただし、従来型のキャリヤの量は、
キャリヤの転写特性に悪影響を及ぼさない程度にしなければならない。本発明の
1実施形態において、混合物中のゼラチンの最大量は、約30g/溶剤1L(例えば、3
wt%)である。
本発明の代表的な実施形態としては、ハロゲン化銀粒子を含有する写真層(1
層または複数層)が従来型ゼラチンを含み、各中間層(フィルタ層)が本発明の
キャリヤを含むハロゲン化銀写真要素が挙げられる。このほか、すべての層が新
規なキャリヤ配合物を含み、写真要素中にゼラチンが含まれない場合が挙げられ
る。更に、実施例3の場合のように、写真要素の層には、従来型のキャリヤ(例
えば、ゼラチン)と本発明のキャリヤとの混合物が含まれていてもよい。転写要
素として使用する場合、存在するゼラチンの量は、キャリヤの転写および接着特
性に悪影響を及ぼさない程度にする必要がある。
好適なキャリヤ材料としては、米国特許第5,501,902号、同第5,271,990号、お
よび同第5,242,739号に記載の組成物が挙げられる。米国特許第5,501,902号、同
第5,271,990号、および同第5,242,739号の内容は、引用により本明細書中に含ま
れるものとする。次に、これらの特許について以下に説明する。
本発明のキャリヤは、米国特許第5,501,902号に記載の第2層の材料を利用する
。
キャリヤには、好ましくは、約1〜約20マイクロメートルの寸法を有する熱可
塑性ポリマーの粒子が含まれる。粒子は、より好ましくは、約2〜約20マイクロ
メートルの寸法を有するであろう。一般的には、熱可塑性ポリマーは、本明細書
に記載の判定基準を満たす任意の熱可塑性ポリマーであってよい。望ましくは、
この粉末熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、およびエチレン
−酢酸ビニルコポリマーから成る群より選択されるであろう。
キャリヤにはまた、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約10〜約50重量パーセン
トのフィルム形成性バインダが含まれる。望ましくは、バインダの量は、約10〜
約30重量パーセントであろう。一般的には、本明細書に記載の判定基準を満たす
任意のフィルム形成性バインダを利用してもよい。第2層にカチオンポリマーが
含まれる場合、ノニオン系またはカチオン系分散液または溶液を利用してもよい
。好適なバインダとしては、ポリアクリレート、ポリエチレン、およびエチレン
−酢酸ビニルコポリマーが挙げられる。後者は、カチオン系ポリマーの存在下に
おいて安定であるため、特に望ましい。バインダは、望ましくは、120℃以下の
温度で熱軟化性であるだろう。
キャリヤ層の基本重量は、所望により変化させてもよいが、好ましくは、全層
中に合計で約5〜約30g/m2の量で存在する。望ましくは、基本重量は、約10〜約2
0g/m2であろう。キャリヤ層は、当業者に周知の方法により、支持体に直接に、
または他の層の上に適用することができる。キャリヤ層は、例えば、カーテンコ
ーティング法、Meyerロッドコーティング法、エアナイフコーティング法、およ
びグラビアコーティング法(ただし、これらは単なる例示にすぎない)により適
用してもよい。
写真材料を熱転写材料として使用する場合、キャリヤは、約65〜約180℃の融
点を有するであろう。「溶融」という用語またはその変化形は、本明細書中では
定性的な意味でのみ使用され、いずれか特定の試験手順に依存することを意味す
るものではない。本明細書中において使用される融解温度または融解範囲とは、
ポリマーまたはバインダが溶融転写プロセスの条件下で融解して流動し、実質的
に平滑なフィルムを生成するおよその温度または温度範囲を単に示すにすぎない
ことを意味する。
ポリマーまたはバインダの融解挙動に関する製造業者の公表データは、本明細
書に記載の溶融要件と一致する。しかしながら、材料の性質にもよるが、真の融
点または軟化点が与えられる場合もあることに注意しなければならない。例えば
、主に線状のポリマー分子を含有するポリオレフィンやワックスのような材料は
、一般的には、融点未満ではいくらか結晶質の状態にあるため、比較的狭い温度
範囲で融解する。
製造業者から融点が公表されていない場合、融点は、示差走査熱量測定などの
周知の方法により容易に決められる。多くのポリマー、特にコポリマーは、ポリ
マー鎖または側鎖構成部分に枝分れがあるため、非晶質である。これらの材料は
、温度が増加するにつれて、ゆっくりと軟化および流動を開始する。ASTM E-28
により測定されるこうした材料の環球式軟化点は、材料の挙動を予測するのに有
用である。更に、記載の融点または軟化点は、ポリマーまたはバインダの化学的
性質よりも良好な性能指標である。
こうした材料を熱転写材料として使用する場合、キャリヤには、望ま
しくは、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約2〜約20重量パーセントのカチオン
ポリマーが含まれるであろう。カチオンポリマーは、例えば、アミド−エピクロ
ロヒドリンポリマー、カチオン官能基を有するポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンイミン、ポリジアリルアミンなどであってよい。カチオンポリマーが存在する
場合、相容性のあるバインダを選択しなければならない。バインダは、望ましく
は、溶液形態のノニオンバインダか、またはノニオン系もしくはカチオン系の分
散液もしくはエマルションであろう。紙塗被業界で周知のように、多くの市販の
バインダには、アニオンの荷電を有する粒子またはポリマー分子が含まれる。こ
れらの材料は、一般的には、本発明に使用しうるカチオンポリマーとは相容性が
ない。
キャリヤ中で1種以上の他の成分を使用してもよい。例えば、キャリヤには、
熱可塑性ポリマーの重量を基準に約1〜約20重量パーセントの保湿剤が含まれて
いてもよい。好ましくは、保湿剤は、エチレングリコールおよびポリ(エチレン
グリコール)から成る群より選ばれるであろう。ポリ(エチレングリコール)は、
典型的には、約100〜約40,000の重量平均分子量を有するであろう。約200〜約80
0の重量平均分子量を有するポリ(エチレングリコール)が特に有用である。
キャリヤにはまた、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約0.2〜約10重量パーセ
ントの流体(例えば、インク)粘度調整剤が含まれていてもよい。粘度調整剤は、
望ましくは、約100,000〜約2,000,000の重量平均分子量を有するポリ(エチレン
グリコール)であろう。このポリ(エチレングリコール)は、望ましくは、約100,0
00〜約600,000の重量平均分子量を有するであろう。
キャリヤ層中に存在していてもよい他の成分としては、いずれも熱可塑性ポリ
マーの重量を基準に、約0.1〜約5重量パーセントの弱酸、および約0.5〜約5重量
パーセントの界面活性剤が挙げられる。特に有用な弱酸は、クエン酸である。「
弱酸」という用語は、本明細書中では、1未満の解離定数を有する酸(すなわち、
解離定数の対数に-1を乗じた値が1
より大きい酸)を意味する。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、またはカチオン界
面活性剤であってよい。カチオンポリマーがキャリヤ中に存在する場合、界面活
性剤はアニオン界面活性剤であってはならない。
望ましくは、界面活性剤は、ノニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤で
ある。しかしながら、カチオンポリマーが存在しない場合には、所望によりアニ
オン界面活性剤を使用してもよい。アニオン界面活性剤の具体例としては、特に
、直鎖および分枝鎖のナトリウムアルキルベンゼンスルホネート、直鎖および分
枝鎖のアルキルスルフェート、ならびに直鎖および分枝鎖のアルキルエトキシス
ルフェートが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、獣脂トリメチ
ルアンモニウムクロリドが挙げられる。同様に具体例にすぎないが、ノニオン界
面活性剤としては、アルキルポリエトキシレート、ポリエトキシル化アルキルフ
ェノール、脂肪酸エタノールアミド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドと
アルコールとの複合ポリマー、ならびにポリシロキサンポリエーテルが挙げられ
る。より望ましくは、界面活性剤はノニオン界面活性剤であろう。
熱転写用途に対して、本発明の写真材料は、場合により、支持体の上かつハロ
ゲン化銀写真層および/または中間層または下塗り層の下に位置する溶融転写層
を備えていてもよい。このような溶融転写フィルム層には、典型的には、先に記
載したフィルム形成性バインダ、または他のポリマーが含まれる。この層は、望
ましくは、押出コーティング法により適用されるが、ほかの方法も使用できる。
溶融転写フィルム層は、望ましくは、ポリエチレンから、またはエチレンと、ア
クリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、もしくはエチルアクリレートのようなア
クリル酸エステルとのコポリマーから作製される。このポリマーは、望ましくは
、ASTM法D-1238に従って測定した場合、少なくとも約30グラム毎10分(g/10分)
の溶融流量を有するであろうが、溶融流量は、約4,000g/10分程度の大きさであ
ってもよい。より望ましくは、ポリマーの溶融流量は、
約300〜約700g/10分であろう。溶融転写フィルム層の基準重量は、望ましくは、
約10〜約50グラム毎平方メートル(g/m2)であろうが、約30〜約50の基準重量が
より望ましい。
溶融転写フィルム層の代わりに、またはそれに追加して、剥離層が含まれてい
てもよい。前者の場合、剥離層は、支持体の上かつ写真層および/または中間層
または下塗り層の下に配置されるであろう。後者の場合、剥離層は、支持体と溶
融転写フィルム層との間に配置されるであろう。剥離層は、望ましくは、水性懸
濁液から適用される低分子量のエチレン−アクリル酸コポリマーであろう。エチ
レン−アクリル酸コポリマーの溶融流量は、少なくとも約200g/10分、より望ま
しくは約800〜約1,200g/10分であろう。このような分散体にはまた、エマルショ
ンとしてエチレン−アクリル酸コポリマーと混合されるパラフィンワックスが含
まれていてもよい。パラフィンワックスは、Chemwax 40(ノースカロライナ州Cha
rlotteのChematron,Inc.)のような市販品のうちのいずれであってもよい。パラ
フィンワックスとコポリマーとの比は、0〜4の間で変化可能であるが、この比は
約1が望ましい。剥離層の基準重量は、望ましくは約2〜約20g/m2、より望ましく
は約6〜約10g/m2であろう。記載の剥離コーティングは容易に融解し、画像を布
上に手でアイロンがけすると第1の層から容易に離れる。このような特徴は、手
でアイロンがけする方法で起こらないともかぎらない画像の加熱むらに対して特
に有用である。
写真材料の様々な層は、ロールコーティング法、ブレードコーティング法、カ
ーテンコーティング法、およびエアナイフコーティング法のような周知の技法に
より形成される。こうして得られた材料は、例えば、スチーム加熱ドラム、空気
吹付、放射加熱、またはこれらのいくつかの組合せなどの手段により乾燥させる
。しかしながら、キャリヤ層中に存在する熱可塑性ポリマーの粒子が乾燥プロセ
ス中に融解しないように乾燥温度を十分に低くするよう注意を払わなければなら
ない(例えば、80℃において5分以上空気を吹き付ける)。
本発明の写真材料中の画像の熱転写は、手持ちアイロンや熱転写プレスのよう
な任意の既知の手段により行うことが可能である。転写温度は、典型的には、約
120℃〜約205℃で約5秒間〜約2分間であろう。
従って、本発明のキャリヤには、約1〜約20マイクロメートル、より好ましく
は約2〜約10マイクロメートルの寸法を有する熱可塑性ポリマー粒子と、熱可塑
性ポリマーの重量を基準に約10〜約50重量パーセントのフィルム形成性バインダ
と、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約0.2〜約10重量パーセントの粘度調整剤
とが含まれていてもよい。
キャリヤは、好ましくは100℃を超える融点、より好ましくは約100〜約180℃
の融点を有する。キャリヤにはまた、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約2〜約2
0重量パーセントのカチオンポリマーが含まれていてもよい。更に、キャリヤに
は、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約1〜約20重量パーセントの保湿剤が含ま
れていてもよい。保湿剤は、(1)エチレングリコールまたは(2)ポリエチレングリ
コール(例えば、約100〜約40,000、好ましくは約200〜約800の重量平均分子量を
有するもの)であってよい。
粘度調整剤は、約100,000〜約2,000,000、好ましくは約100,000〜約600,000の
重量平均分子量を有するポリエチレングリコールであってよい。
粘度調整剤は、低粘度または高粘度のメチルセルロースまたはポリビニルアルコ
ールであってよい。
キャリヤにはまた、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約0.1〜約5重量パーセン
トの弱酸が含まれていてもよい。更に、キャリヤには、熱可塑性ポリマーの重量
を基準に約0.5〜約5重量パーセントの界面活性剤(例えばノニオン界面活性剤ま
たはカチオン界面活性剤)が含まれていてもよい。
剥離層は、場合に応じて、支持体と、本発明のキャリヤを含有する写真層との
間に挿入される。
キャリヤは、好ましくは、約100℃を超える温度、より好ましくは約100〜約18
0℃の間の温度で融解し、キャリヤには、約1〜約20マイクロメ
ートル、より好ましくは約2〜約10マイクロメートルの寸法を有する熱可塑性ポ
リマー粒子と、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約10〜約50重量パーセントのフ
ィルム形成性バインダと、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約2〜約20重量パー
セントのカチオンポリマーとが含まれていてもよい。
更に、キャリヤには、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約1〜約20重量パーセ
ントの保湿剤と(場合に応じて、熱可塑性ポリマーの重量を基準に約0.2〜約10重
量パーセントの流体(例えば、インク)粘度調整剤と)、熱可塑性ポリマーの重量
を基準に約0.5〜約5重量パーセントの界面活性剤とが含まれていてもよい。
また、本発明のキャリヤとして、米国特許第5,271,990号の受像溶融転写フィ
ルム層の材料も利用される。
キャリヤには、100℃を超える温度、好ましくは摂氏約100〜約180度(℃)の間
の温度で融解する熱可塑性ポリマーが含まれていてもよい。もう1つの実施態様
において、熱可塑性ポリマーは、約100℃〜約120℃の範囲で融解する。
熱可塑性ポリマー(例えば、キャリヤ)の性質が決定的な要因であるとは思われ
ないが、一般的には、写真性能上不活性でなければならない(例えば、写真画像
に関連した性質に悪影響を及ぼしてはならない)。すなわち、本明細書中に明記
された判定基準を満たすかぎり、任意の既知の熱可塑性ポリマーを使用すること
ができる。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、
およびエチレン−酢酸ビニルコポリマーから成る群より選ばれるが、20マイクロ
メートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満の粒子サイズを有するも
のが好ましい。
既に述べたように、望ましい場合には、本発明のキャリヤを含有する写真材料
は、必要に応じて溶融転写フィルム層を含んでいてもよい。この場合、溶融転写
フィルム層は、ベースシートの上側の面に配置され、中間層(1層または複数層)
を含む写真層は、溶融転写フィルム層の上に
配置される。
一般的には、溶融転写フィルム層には第1の熱可塑性ポリマーが含まれ、写真
層には第2の熱可塑性ポリマーが含まれるが、これらのポリマーはそれぞれ、100
℃を超える温度、好ましくは摂氏約100〜約180度(℃)の間の温度で融解する。好
ましくは、第1の熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、エチレ
ン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、およびエチレ
ン−アクリル酸コポリマーから成る群より選ばれる。更に、第2の熱可塑性ポリ
マーは、ポリオレフィン、ポリエステル、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマ
ーから成る群より選ばれる。
「溶融」という用語またはその変化形は、本明細書中では定性的な意味でのみ
使用され、いずれか特定の試験手順に依存することを意味するものではない。本
明細書中において使用される融解温度または融解範囲とは、熱可塑性ポリマーが
フィルム形成条件下で融解して流動し、実質的に平滑なフィルムを生成するおよ
その温度または温度範囲を単に示すにすぎないことを意味する。
キャリヤには、ポリオレフィン、ポリエステル、およびエチレン−酢酸ビニル
コポリマーから成る群より選ばれる熱可塑性ポリマーが含まれていてもよいが、
ただし、これらのポリマーは、100℃を超える温度、好ましくは摂氏約100〜約18
0度の間の温度、更に好ましく摂氏約100〜約120度の間の温度で融解するものと
する。
本発明のキャリヤとしては、例えば、デラウェア州WilmingtonのE.I.Du Pont
de Nemours & Company,Inc.,Polymer Products Department,Ethylene Polymers
Divisionから供給されるElvax 3200が挙げられる。Elvax 3200は、約25%の酢酸
ビニルを含有し、ワックスで改質されたエチレン−酢酸ビニルコポリマーである
。このメルトインデックスは32g/10分である。本発明のもう1つのキャリヤは、
同様にDuPontから供給されるSurlyn 1702である。Surlyn 1702は、14g/10分のメ
ルトインデックスを有する架橋されたエチレン−メタクリル酸コポリマーから成
るイオノ
マである。これらのキャリヤは、別々に利用してもよいし、一緒に利用してもよ
い。
また、本発明のキャリヤとして、米国特許第5,242,739号の受像溶融転写フィ
ルム層の材料も利用される。
キャリヤには、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、およびワ
ックスから成る群より選ばれるフィルム形成性バインダ約15〜約80重量パーセン
トと、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ワックス、エポキシポリマ
ー、エチレン−アクリル酸コポリマー、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー
から成る群より選ばれる粉末熱可塑性ポリマー約85〜約20重量パーセントとが含
まれていてもよいが、ただし、該フィルム形成性バインダおよび該粉末熱可塑性
ポリマーはそれぞれ、約100℃、好ましくは摂氏約100〜約180度の間で融解し、
該粉末熱可塑性ポリマーは、好ましくは、直径約1〜約20マイクロメートルの粒
子形状である。
従って、キャリヤには、約15〜約80重量パーセントのフィルム形成性バインダ
と、約85〜約20重量パーセントの粉末熱可塑性ポリマーとが含まれる。フィルム
形成性バインダおよび粉末熱可塑性ポリマーはそれぞれ、約100℃を超える温度
、好ましくは摂氏約100〜約180度(℃)の間温度で融解する。更に、粉末熱可塑性
ポリマーは、好ましくは、約1〜約20マイクロメートルの直径を有する粒子を含
有する。
他の実施態様において、フィルム形成性バインダおよび粉末熱可塑性ポリマー
はそれぞれ、100℃を超える温度、好ましくは約100℃〜約120℃の間の温度で融
解する。
粉末熱可塑性ポリマーの役割は、転写のし易さおよび転写画像の耐久性の両方
の側面から、布への画像の転写を助けることである。
フィルム形成性バインダの性質が決定的な要因であるとは思われない。すなわ
ち、本明細書中に明記された判定基準を満たすかぎり、任意のフィルム形成性バ
インダを利用することができる。好ましい実施態様において、フィルム形成性バ
インダは、転写温度において、粉末熱可塑性ポ
リマーよりも低い溶融粘度を有する。実際問題としては、水分散性のエチレン−
アクリル酸コポリマーが特に有効なフィルム形成性バインダであることが判明し
た。
一般的には、粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書中に記載の判定基準を満たす
任意の熱可塑性ポリマーであってよい。好ましくは、粉末熱可塑性ポリマーは、
ポリオレフィン、ポリエステル、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマーから成
る群より選ばれる。
粉末熱可塑性ポリマーは、画像が転写される布の繊維マトリックス中に部分的
に流入する。その結果、布を硬くすることなく、画像を有する布が得られる。更
に、画像そのものは、ゴム状でもなく、ざらついた感触を与えるものでもなく、
しかも繰り返しの洗濯に対して安定である。
既に述べたように、望ましい場合には、本発明のキャリヤを含有する写真材料
は、必要に応じて溶融転写フィルム層を含んでいてもよい。この場合、溶融転写
フィルム層は、ベースシートの上側の面に配置され、中間層を含む写真層は、溶
融転写フィルム層の上に配置される。
既に述べたように、溶融転写フィルム層には、フィルム形成性バインダが含ま
れる。受像フィルム層には、好ましくは、約15〜約80重量パーセントのフィルム
形成性バインダ(例えば、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリオレフィン、
および摂氏約65〜約180度の範囲で融解するワックス)が含まれる。溶融転写層に
はまた、約85〜約20重量パーセントの粉末熱可塑性ポリマーが含まれていてもよ
い。これらについてはいずれも先に述べた通りである。
原則として、粉末熱可塑性ポリマーの使用量は、大きな粒子サイズのものを使
用する場合、少なくてもよい。しかしながら、特に、ハロゲン化銀粒子を熱可塑
性ビーズの存在下で成長させる場合、ビーズは小さいほどよいと考えられる。粒
子サイズは、好ましくは、1〜20マイクロメートル、より好ましくは2〜10マイク
ロメートルである。
望ましい場合には、これまでに述べたフィルム層にはいずれも、加工助剤、剥
離剤、顔料、艶消剤、消泡剤などの他の物質が含まれていても
よい。これらの物質および他の類似物質の使用については、当業者には周知であ
る。
代表的なバインダおよび粉末熱可塑性ポリマーは、以下の通りである。
バインダA
バインダAは、オハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.から供給されるMichem
58035である。これは、約10パーセントのアクリル酸および90パーセントのエ
チレンであるAllied Chemical製のAC 580の固形分35パーセントの分散液である
。報告によれば、このポリマーは、102℃の軟化点および140℃において0.65pa s
(650センチポアズ)のブルックフィールド粘度を有する。
バインダB
このバインダは、Michem Prime 4983(オハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.
)である。このバインダは、Dow Chemical Company製のPrimacor 5983の固形分25
パーセントの分散液である。ポリマーには、20パーセントのアクリル酸および80
パーセントのエチレンが含まれる。このコポリマーは、43℃のビカー軟化点およ
び100℃の環球式軟化点を有する。コポリマーのメルトインデックスは、500g/10
分(ASTM D-1238に従って測定した場合)である。
バインダC
バインダCは、Michem 4990(オハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.)である。
この物質は、Dow Chemical Company製のPrimacor 5990の固形分35パーセントの
分散液である。Primacor 5990は、20パーセントのアクリル酸と80パーセントの
エチレンとのコポリマーである。これはPrimacor 5983(バインダBを参照された
い)と類似しているが、ただし、環球式軟化点は93℃である。コポリマーは、1,3
00g/10分のメルトインデックスおよび39℃のビカー軟化点を有する。
バインダD
このバインダは、Michem 37140であり、Hoechst-Celanese製の高密度ポリエチ
レンの固形分40パーセントの分散液である。ポリマーは、10
0℃の融点をもつと報告されている。
バインダE
このバインダは、Michem 32535であり、Allied Chemical Company製のAC-325
の高密度ポリエチレンのエマルションである。ポリマーの融点は約138℃である
。Michem 32535は、オハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.から供給される。
バインダF
バインダFは、Michem 48040であり、88℃の融点を有するEastman Chemical Co
mpany製のミクロクリスタリンワックスのエマルションである。供給業者は、オ
ハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.である。
粉末熱可塑性ポリマーA
この粉末ポリマーは、Microthene FE 532であり、オハイオ州CincinnatiのQua
ntum Industriesから供給されるエチレン酢酸ビニルコポリマーである。粒子サ
イズは、20マイクロメートルであると報告されている。ビカー軟化点は75℃であ
り、メルトインデックスは9g/10分である。
粉末熱可塑性ポリマーB
粉末熱可塑性ポリマーBは、Aqua Polysilk 19である。これは、いくらかのポ
リテトラフルオロエチレンを含有する微粉化ポリエチレンワックスである。平均
粒子サイズは18マイクロメートルであり、ポリマーの融点は102〜118℃である。
この物質は、ニューヨーク州ScarsdaleのMicro Powders,Inc.から供給される。
粉末熱可塑性ポリマーC
この物質は、Microthene FN 500であり、オハイオ州CincinnatiのUSI Chemica
ls Co.から供給されるポリエチレン粉末である。この物質は、20マイクロメート
ルの粒子サイズ、83℃のビカー軟化点、および22g/10分のメルトインデックスを
有する。
粉末熱可塑性ポリマーD
このポリマーは、ニューヨーク州ScarsdaleのMicro Powders,Inc.から供給さ
れるAquawax 114である。報告によると、ポリマーは、91〜93℃
の融点および3.5マイクロメートルの平均粒子サイズを有する。最大粒子サイズ
は、13マイクロメートルであると記されている。
粉末熱可塑性ポリマーE
粉末熱可塑性ポリマーEは、Corvel 23-9030であり、ペンシルヴェニア州Readi
ngのMorton Thiokol,Inc.,Morton Chemical DivisionのPowder Coatings Group
から供給される透明ポリエステルである。
粉末熱可塑性ポリマーF
この物質は、Corvel天然ナイロン20-9001であり、同じようにMorton Thiokol,
Inc.から供給される。
粉末熱可塑性ポリマーG
このポリマー粉末は、Corvel透明エポキシ13-9020であり、Morton Thiokol,In
c.から供給される。
粉末熱可塑性ポリマーH
粉末熱可塑性ポリマーHは、AClyn 246Aであり、示差走査熱量測定法により測
定した場合、約95℃の融解温度を有する。ポリマーは、エチレン−アクリル酸マ
グネシウムイオノマである。この物質は、ニュージャージー州MorristownのAlli
ed-Signal,Inc.から供給される。
粉末熱可塑性ポリマーI
このポリマーは、AC-316Aであり、酸化された高密度ポリエチレンである。こ
の物質は、ニュージャージー州MorristownのAllied Chemical Companyから供給
される。
粉末熱可塑性ポリマーJ
このポリマーは、Texture 5380であり、ニュージャージー州NewarkのShamrock
Technologies,Inc.から供給される。これは、163℃の融点および40マイクロメ
ートルの平均粒子サイズを有する粉末ポリプロピレンである。
バインダおよび熱可塑性ポリマーは、所望により、一緒にしてブレンドしても
よい。例えば、バインダA(例えば、80部)を、粉末熱可塑性ポリマーA(例えば、8
0部)、および場合により、duPontから提供されるZ
ony 7040(例えば、0.20部)とブレンドしてもよい。もう1つの例では、バインダB
(例えば400部)とポリマーB(例えば、70部)とを一緒にして標準的な実験室用コロ
イドミル中でブレンドする。また、バインダA(例えば、286部)をポリマーC(例え
ば、65部)と組合せてもよい。バインダB(例えば、400部)をポリマーD(例えば、7
0部)と組合せてもよい。バインダC(例えば、200部)を、ポリマーE(例えば、35部
)ならびに場合によりプロピレングリコール(例えば、20部)および水(例えば、20
部)と組合せてもよい。同様に、バインダC(例えば、200部)を、ポリマーF(例え
ば、54部)ならびに場合によりプロピレングリコール(例えば、20部)および水(例
えば、20部)と組合せてもよい。また、バインダA(例えば、200部)を、ポリマーG
(例えば、30部)ならびに場合によりプロピレングリコール(例えば、20部)および
水(例えば、20部)と組合せてもよい。バインダD(例えば、200部)を、ポリマーH(
例えば、30部)および場合により水(例えば、40部)と組合せてブレンドしてもよ
い。バインダA(例えば、286部)を、ポリマーJ(例えば、40部)および場合により
プロピレングリコール(例えば、50部)と組合せてもよい。
本発明のもう1つの実施態様において、支持体に最も近接した1層または複数層
の写真層には、本発明のキャリヤが含まれていてもよく、一方、最も上側の1層
または複数層には、従来型のキャリヤ(1種もしくは複数種)または本発明のキャ
リヤと従来型のキャリヤとの混合物が含まれていてもよい。このようにすれば、
最下部の層(1層もしくは複数層)が転写層として機能するため、別の転写層は必
要でない。
図1を参照すると、本発明のハロゲン化銀写真転写要素10の断面図が一般的に
示されている。転写要素10には、好適な支持体または基材20が含まれるが、これ
は、写真材料用の支持体として通常使用される任意のタイプの材料であってよい
。こうした例としては、セルロースアセテートフィルム、セルロースアセテート
プロピオネートフィルム、セルロースニトレートフィルム、セルロースアセテー
トブチレートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリスチレンフ
ィルム、ポリカル
ボネートフィルム、ならびにこれらのフィルムおよび紙のラミネートシートが挙
げられる。好適な紙としては、αオレフィン、好ましくは2〜10個の炭素原子を
有するαオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)のポリマーが
コーティングされた紙、およびバライタコート紙が挙げられる。支持体に課せら
れる唯一の制限は、加熱時に支持体がキャリヤ材料30から分離しなければならな
いことである。従来型のポリオレフィン紙が、キャリヤ材料からの分離が悪いた
めに転写を阻害する場合、支持体層に最も近接してまたは両方の表面上に樹脂コ
ート層を含有しない繊維ベース紙(fiber based paper)を使用することが好まし
い。
本発明のキャリヤを含有する写真層(1層または複数層)は、場合に応じて、商
標「TRANSEEZE」としてKimberly-Clark Corporationにより製造されている転写
紙のような既知の転写紙上にコーティングしてもよい。
写真用支持体または基材は、当業者に周知の方法により慣例に従って所望の写
真用乳剤でコーティングしてもよい。本発明のキャリヤは、従来型キャリヤ(1種
もしくは複数種)と単純に交換してもよいし、従来型キャリヤ(1種もしくは複数
種)と混合してもよいし、あるいは支持体に接触する最下部の層(1層または複数
層)中の従来型キャリヤと交換してもよい。後者の実施態様において、交換すべ
き最下部の層の数は、最下部の1層を最初に交換し、場合により次に、適切な転
写および接着が確保するために、その隣の層を交換することによって、容易に決
定される。もう1つの実施態様では、ハロゲン化銀を含有しない層にだけ本発明
のキャリヤが含まれ、ハロゲン化銀を含有する層には従来型キャリヤ(例えば、
ゼラチン)またはゼラチンと本発明のキャリヤとの混合物が含まれる。
本発明の好ましい用途の1つは、多色色素画像を形成可能な写真転写要素を指
向したものである。このような写真転写要素には、支持体とその上にコーティン
グされた複数の発色層が含まれる。発色層には、少なくとも1層の青色記録イエ
ロー色素形成層と、少なくとも1層の緑色記録マゼンタ色素画像形成層と、少な
くとも1層の赤色記録シアン色素画像
形成層とが含まれる。発色層の間に中間層を配置してもよい。各画像形成層には
、少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層が含まれる。色素画像形成材料は、乳剤
層中または隣接層中に配置してもよく、あるいは現像時に導入してもよい。青感
性乳剤層は、青色光に対する固有感度に依存してもよいし青感性層のハロゲン化
銀粒子に吸着させた青色増感色素を含んでいてもよい。緑色光および赤色光を吸
収可能な分光増感色素はそれぞれ、緑色記録発色層および赤色記録発色層の乳剤
中のハロゲン化銀粒子の表面に吸着させる。
隣接するカラー層の混色を防止するために、酸化された現像薬、酸化された電
子移動剤などの酸化された現像生成物のスカベンジャを発色層中あるいは隣接す
る発色層の間の中間層中の任意の位置に導入してもよい。好適なスカベンジャと
しては、米国特許第2,336,327号および同第2,937,086号に開示されているアルキ
ル置換アミノフェノールおよびヒドロキノン、米国特許第2,701,197号に開示さ
れているスルホアルキル置換ヒドロキノン、ならびに米国特許第4,205,987号に
開示されているスルホンアミド置換フェノールが挙げられる。
支持体上の写真層の順序は、当該技術分野の慣例に従った任意の順序である。
例えば、カラーペーパーでは、支持体から始めて層の順序を列挙すると、青感性
層、中間層、緑感性層、UV層、赤感性層、UV層、および表面オーバコート層の順
である。
本発明の写真材料では、場合により、これまでに知られている様々な親水性コ
ロイドを、本発明のキャリヤと組合せて使用してもよいが、ただし、本発明のキ
ャリヤの転写特性は、所望の機能(例えば、転写、接着、色彩保持)の実施を可能
にするものでなければならない。写真用ハロゲン化銀乳剤および写真層用の非感
光性乳剤のような他の乳剤(例えば、表面オーバコート、中間層など)のバインダ
として使用される典型的な親水性コロイドとしては、例えば、ゼラチン;寒天、
アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体のような糖誘導体;カゼイン;カルボキシメ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体;
コロイドアルブミン;ポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ
アクリル酸コポリマー、無水マレイン酸コポリマー、ポリアクリルアミド、これ
らの誘導体または部分加水分解生成物のような合成親水性コロイド;および水中
に分散されたラテックス形態のビニルポリマーが挙げられる。互いに相容性のあ
る組合せであれば、2種以上のこれらのコロイドの混合物を使用してもよい。
本発明で使用されるハロゲン化銀写真乳剤は、硝酸銀のような水溶性銀塩の水
溶液を、本発明のキャリヤの存在下で、臭化カリウムのような水溶性ハロゲン塩
の水溶液と混合することによって調製することが可能である。ハロゲン化銀は、
塩化銀、臭化銀など、または塩臭化銀、塩ヨウ化銀のような混合ハロゲン化銀で
あってよい。これらのハロゲン化銀粒子は、周知の方法に従って調製可能である
が、ただし、本発明のキャリヤを従来型キャリヤの代わりに使用するものとする
。こうした周知の方法としては、例えば、シングルジェット法、いわゆるダブル
ジェット法、またはコントロールダブルジェット法が挙げられる。また、別々に
調製された2種以上の異なるハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。
ハロゲン化銀写真乳剤にはまた、写真材料の製造、処理、または保存の際のカ
ブリの発生を防止するため、および感度低下を防止するための化合物が含まれて
いてもよい。この目的のための好適な化合物としては、l-フェニル-5-メルカプ
トテトラゾール、3-メチルベンゾトリアゾール、4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a
,7-テトラザインデン、ならびに多くの金属塩、水銀含有化合物、メルカプト化
合物、およびヘテロ環状化合物などが挙げられる。
周知の方法でハロゲン化銀乳剤を化学増感してもよい。好適な化学増感剤とし
ては、三塩化金のような金化合物、イリジウムやロジウムのような貴金属の塩、
チオ硫酸ナトリウムのように銀塩との反応を起こすことによって硫化銀を生成可
能な硫黄化合物、アミン、第一スズ化合物、および他の還元性化合物が挙げられ
る。
更に、メロシアニン、カルボシアニン、もしくはシアニンのようなシ
アニン色素を単独でもしくはそれらを組合せて使用するか、あるいはシアニン色
素とスチリル色素とを併用することにより、ハロゲン化銀写真乳剤を分光増感ま
たは強色増感してもよい。このような色素の選択は、所望の感度および波長領域
など、写真材料の目的および使用に依存する。
ビニルスルフェート化合物、活性ハロゲン化合物、カルボジイミド化合物など
のような架橋剤を用いて親水性コロイド層を硬化させてもよい。
本発明で好適に使用される色素形成カプラとしては、シアン色素形成カプラ、
マゼンタ色素形成カプラ、およびイエロー色素形成カプラが挙げられる。これら
のカプラは、米国特許第3,458,315号および同第3,277,155号に記載されているよ
うな4当量カプラまたは2当量カプラであってよい。
好適なイエロー色素形成カプラとしては、例えば、米国特許第3,384,657号、
同第3,277,155号、同第3,253,924号、同第3,227,550号、同第4,026,706号、同第
2,428,054号、同第2,908,573号、同第2,778,658号、同第2,453,661号、および同
第2,499,966号に記載のものが挙げられる。
好適なマゼンタ色素形成カプラとしては、例えば、米国特許第4,206,706号、
同第2,725,292号、同第3,227,550号、同第2,600,788号、同第3,252,924号、同第
3,062,653号、同第2,908,573号、同第3,152,896号、および同第3,311,476号に記
載のものが挙げられる。
好適なシアン色素形成カプラとしては、例えば、米国特許第3,043,892号、同
第4,026,706号、同第2,275,282号、同第3,253,294号、同第2,474,293号、同第3,
227,550号、同第2,423,730号、同第2,908,573号、および同第2,895,826号に記載
のものが挙げられる。
好適なカプラについての更なる一般的な解説は、Glafkides著,Photographic Chemistry
,Vol.2,p.596-615およびEncyclopedia of Chemical Technology,Vol.5
,p.822-825に記載されている。
カプラは、ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤層中に組み込んでもよいし、ある
いは処理時に材料に添加してもよい(例えば、Kodachromeプロセスの場合のよう
にカラー現像液にカラーカプラを添加してもよい)。
色素は、従来型処理の際に、カプラを酸化された芳香族第一級アミンハロゲン
化銀現像薬と反応させることにより生成可能である。カラーネガティブフィルム
用およびカラーペーパー用の典型的な処理ステップは、現像、漂白、定着、水洗
、場合により安定化、次いで乾燥である。2つ以上のこれらのステップを一緒に
して単一のステップにしてもよい。例えば、漂白ステップと定着ステップを一緒
にして単一の漂白-定着ステップにしてもよい。カラー現像は、通常、アミノフ
ェノール、フェニレンジアミン、またはこれらの混合物のような芳香族第一級ア
ミン現像薬を含有するアルカリ性溶液中で行われる。
カラースライド処理のようにカラー画像の色彩を反転させることが望まれる場
合、反転処理を行うことができる。カラー反転処理を行う典型的な順序は、白黒
現像、停止、水洗、カブらせ(fogging)、水洗、カラー現像、水洗、漂白、定
着、水洗、安定化、および乾燥の順である。白黒現像の前に場合により前硬化(
prehardening)を利用してもよい。水洗ステップを省いてもよいし、あるいは順
序を並び替えてもよい。カブらせ(fogging)浴を使用する代わりに均一な露光
を与えるかまたはカラー現像ステップ時にカブらせ(fogging)剤を使用するこ
とにより、白黒現像ステップ時に現像されなかったハロゲン化銀を現像できるよ
うにしてもよい。
本発明のカラー写真材料がカラー写真拡散転写フィルムユニットである場合、
写真材料の処理は写真材料中で自動的に行われる。こうしたインスタント製品型
のユニットの場合、カラー現像薬を含有するカラー現像液は破壊可能な容器に入
れられる。好適な現像薬としては、3-フェニル-4-メチル-ヒドロキシメチル-3-
ピラゾリドン、1-フェニル-3-ピラゾリドン、N-メチルアミノ-フェノール、1-フ
ェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、および3-メトキシ-N,N-ジエチル-p-フェ
ニレン-ジアミンが挙げられる。
従って、写真材料中にカラー画像を形成するために様々な既知の方法が利用で
きる。例えば、上記の色素形成カラーカプラとp-フェニレンジ
アミン系カラー現像薬の酸化生成物とのカップリング反応、DRR化合物の酸化開
裂反応、DDRカプラとカップリングによる色素放出反応、DDRカプラのカップリン
グ反応による色素生成反応、および銀色素漂白プロセスが利用できる。
従って、本発明は、カラーポジティブフィルム、カラーペーパー、カラーネガ
ティブフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラー拡散転写フィルムユニット
、銀色素漂白写真材料、白黒フィルムおよびペーパーなどの様々なタイプのカラ
ー写真材料に適用できる。
本発明のハロゲン化銀写真要素の調製方法は、当該技術分野において周知であ
る。こうした方法の代表例は、米国特許第4,822,728号、同第4,743,533号、同第
4,710,455号、同第4,705,747号、同第4,680,247号、同第4,659,647号、同第4,65
4,293号、同第4,636,457号、同第4,634,661号、同第4,619,884号、同第4,588,67
2号、同第4,565,778号、同第5,552,834号、同第4,529,690号、同第4,459,353号
、同第4,499,174号、同第4,144,070号、同第4,379,837号、および再発行米国特
許第32,149号に記載されている。もちろん、本発明は、引用文献中のキャリヤの
代わりに、本発明で特許請求されたキャリヤを使用することによって得られる。
本発明の更なる理解のために以下に実施例を提示するが、本発明がこれらに限
定されるものとみなすべきではない。
実施例1
ペンシルヴェニア州MilfordのFotowearから入手したFOTOWEAR GREEN LINEの転
写層の透過性部分中でハロゲン化銀粒子を直接結晶化させることによって、ハロ
ゲン化銀写真材料を調製した。これは、当業者には「食塩紙」として周知のもの
である。この材料を増感する際、ハロゲン化銀粒子に対して追加のバインダまた
はキャリヤは添加しなかった。
次のようにしてペーパーを作製した。
(1)水中に溶解させた臭化カリウムの溶液でGreen Lincペーパーを飽和させ
た。
(2)周囲条件でペーパーを24時間乾燥させるか、または従来型の強制
通風法(例えば、送風乾燥機)により乾燥させた。
(3)臭化物で飽和させたペーパーを硝酸銀の溶液中に浸漬し、転写層の多孔
質領域全体にわたり感光性臭化銀の結晶化を開始させた。これらの結晶は、本質
的に水不溶性であり、機械的手段により周囲に移動することができるにすぎない
。従って、この実施例では、ゼラチンのような従来型キャリヤを利用した従来型
の系の場合とは異なり、ハロゲン化銀粒子はキャリヤ中に組み込まれていない。
(4)この感光性Green Lineペーパーを室温で乾燥させ、暗所で保存した。
次に、増感されたペーパーを室内灯で約30秒間均一に露光した。こうして露光
したものを、当該技術分野で使用液RA-4(Eastman Kodak)として周知のカラー現
像薬品中で現像した。使用液RA-4は、ペーパー現像カラープロセスである。マゼ
ンタ、シアン、またはイエローカラーカップリング色素を生成するカラーカプラ
を、現像前に使用液RA-4に添加した。従って、これは、K-14 Kodachromeプロセ
ス(Eastman Kodak)として知られるカラー現像プロセスと類似している。現像時
、カラー現像薬は多孔質キャリヤ中を通って銀画像を現像することができる。試
験サンプルは、分離した場合にマゼンタ層(赤−青の色相)の様相を呈するサンプ
ルである。こうして得られる均一画像には、銀とカラーカップリングされた色素
の両方が含まれている。材料および色素画像はいずれも、銀を除去するための漂
白処理に耐えるため、カラー画像だけが残る。
次に、画像を含有する転写層を剥離により支持体から分離させた。続いて、強
制通風法により転写層を乾燥させた。次いで、乾燥させた画像含有転写層を布製
受容層上に配置した。その後、転写層上に1枚のシリコン紙を配置した。従来型
の加熱アイロンを最大加熱の設定で使用し、熱を加えることにより、画像を布に
固定した。解像可能なディテール(例えば、人間の毛髪または草)を含む画像を用
いた場合、目視検査によれば、転写画像は転写前の原画と同程度の解像度である
。試験サンプル中には、色素および銀画像が、転写層全体にわたって存在する。
サンプ
ルはいずれも、別の支持層が加えられていないGreen Line転写体である。
この画像中の色の形成は、写真現像プロセスによってのみ行うことが可能であ
る。単一のGreen Line転写層を効率よく転写させた場合、銀と色素の両方の記録
が存在するという事実から、白黒画像とカラー画像の両方の転写が可能であるこ
とが分かる。
Green line転写紙を拡大した場合、層構造全体にわたり非常に多くの孔が見ら
れる。このように極めて多孔性であるために、水性現像薬の出入りが促進され、
キャリヤを膨潤させる必要はないと思われる。
この実施例は更に、転写コーティングが溶液浸透性を有するため、支持体上に
コーティングを施す前にハロゲン化銀を転写層中に直接導入する手段が提供可能
であることを示している。また、この実施例は、従来型のゼラチンキャリヤが写
真プロセスにおいて置き換え可能であることを示している。
実施例2
ハロゲン化銀写真材料を次のように調製する。硝酸銀の溶液を臭化カリウムの
溶液と混合することにより、ハロゲン化銀粒子を調製する。0.5〜10%ポリエチ
レン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ゼラチン、またはこれらの
混合物のようなフィルム形成性バインダ中において従来型のシングルジェット方
式でハロゲン化銀を成長させる。これらの粒子(ハロゲン化銀乳剤と以下に規定
されるキャリヤとの合計量を基準に5〜10wt%)を、以下の成分:
(ビーズサイズは1〜20ミクロンであり、融解温度の報告値は80〜180℃である
。)
を含むキャリヤの加熱溶液(例えば、70℃未満)中に混合する。
従って、この実施例では、ハロゲン化銀粒子は、ゼラチンのようなキャリヤを
利用した従来型の系のときと同じようにキャリヤー中に組み込まれる。この写真
乳剤(例えば、ハロゲン化銀粒子およびキャリヤ)を、両面がポリエチレンでコー
ティングされていない繊維ベース紙の支持体上にコーティングする。
次に、増感されたペーパーを室内灯で約30秒間露光してから、実施例1の場合
と同じように、当該技術分野でRA-4(Eastman Kodak)として知られるカラー現像
薬品中で現像する。現像後、実施例1と同じステップを実施する。
実施例3
ハロゲン化銀写真転写要素を次のように調製する。カラーペーパー用ハロゲン
化銀写真感光性乳剤の従来型パッケージ(ただし、キャリヤは異なる)を、両面が
ポリエチレンでコーティングされていない繊維ベース紙の支持体上にコーティン
グする。使用するキャリヤは、以下の配合物Aである。
(ビーズサイズは1〜20ミクロンであり、融解温度の報告値は80〜180℃である
。)
特に記載のないかぎり、以下の量はすべて、1平方メートルあたりのグラム数
を基準とする。
層1は、配合物A 1.5g、青感性塩臭化銀乳剤0.32g、およびジオクチルフタレー
ト(DOP)0.3g(この中には、イエローカプラとしてα-(1-ベン-ジル-2-フェニル-3
,5-ジオキソ-1,2,4-トリアゾリジニル)-α-ピバリル-2-クロロ-5-[α-(ドデシル
オキシカルボニル)エトキシカルボニル]アセトアニリド1.2×10-3molおよび2,5-
ジ-t-オクチルヒドロキノン(HQ)0.015gが
含まれる)を含有する。
層2は、配合物A 0.9gおよびDOP 0.6g(この中には、0.09gのHQが溶解されてい
る)を含む中間層である。
層3は、配合物A 1.3g、緑感性塩臭化銀乳剤0.27g、およびDOP 0.2g(この中に
は、マゼンタカプラとして1-(2,4,6-トリクロロフェニル)-3-(2-クロロ-5-オク
タデシルスクシンイミド-アニリノ)-5-ピラゾロン0.59×10-3molおよびHQ 0.015
gが溶解されている)を含有する。
層4は、配合物A 1.5gおよびDOP 0.6g(この中には、紫外線吸収剤としてベンゾ
フェノン0.8gおよびHQ 0.04gのが溶解されている)を含有する。
層5は、配合物A 1.6g、赤感性塩臭化銀乳剤0.3g、およびDOP 0.2g(この中には
、シアンカプラとして2,4-ジクロロ-3-メチル-6-[α-(2,4-ジ-t-アミルフェノキ
シ)-ブチルアミド]フェノール0.75×10-3molおよびHQ 0.005gが溶解されている)
を含有する。
層6は、表面オーバコート(例えば、保護層)であり、配合物A 1.0gを含有する
。
こうして作製されたカラーペーパーを、標準的なネガを介して露光する。
露光されたカラーペーパーを次のように処理する。33℃の温度を有するカラー
現像液中でサンプルを3.5分間処理する。現像されたサンプルを、33℃の温度を
有する漂白-定着溶液中に1.5分間入れる。30〜34℃に保たれた水でサンプルを3
分間水洗する。最後に、60〜80℃の温度でサンプルを2分間乾燥させる。
上記のカラー現像液の組成は、以下の通りである。
純水 800ml
エチレングリコール 15ml
ベンジルアルコール 15ml
ヒドロキシルアミンスルフェート 2g
炭酸カリウム 32g
臭化カリウム 0.65g
塩化ナトリウム 1.0g
硫化カリウム 2.0g
N-エチル-N-β-メタンスルホンアミド 4.5g
エチル-3-メチル-4-アミノアニリンスルフェート
Whitex BB(50%水溶液) 2ml
(日本の住友化学工業社製の蛍光増白剤)
1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 2ml
(60%水溶液)
これに純水を加えて1リットルにし、10%水酸化カリウムまたは希硫酸溶液を
用いてこのpH値を調節し、pH=10.1にする。
漂白-定着溶液の組成を以下に示す。
純水 550ml
カラー現像液 200ml
エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 65g
チオ硫酸アンモニウム 85g
亜硫酸水素ナトリウム 10g
メタ亜硫酸水素ナトリウム 2g
ジ-エチレンジアミンテトラアセテート 12g
臭化ナトリウム 10g
塩化カリウム 1.0g
これに純水を加えて1リットルにし、希硫酸または濃アンモニア水を用いてpH
値を調節し、pH=7.0にする。
実施例4
図2を参照すると、写真画像をレセプタ要素に適用する方法が示されている。
より詳細には、図2は、ハロゲン化銀写真転写要素(50)からTシャツまたは布(62)
に熱転写するステップをいかに実施するかを示している。
実施例1の場合と同じように、ハロゲン化銀写真転写要素の調製、露
光、および現像を行って写真画像を形成する。図示されているように、適切な支
持体表面上にTシャツ(62)を平らにして拡げ、ハロゲン化銀写真転写要素(50)の
前面をTシャツの上に配置する。ハロゲン化銀写真転写要素の裏側(52A)を横切る
ようにアイロンをかけて押圧する。画像をTシャツに転写させ、支持体を取り除
いて廃却する。
実施例5
この実施例は実施例3と同じであるが、ただし、層3〜6において、本発明のキ
ャリヤの代わりにゼラチンを使用する。
実施例6
実施例4を繰り返すが、ただし、実施例5の材料を使用する。
実施例7
透明ポリ(エチレンテレフタレート)フィルム支持体上に、以下の層を記載順に
コーティングすることにより、一体型受像体(IIR)要素を作製する。特に記載の
ないかぎり、かっこ内には、1平方メートルあたりのグラム数で量が示されてい
る。
(1)ポリ(スチレン-co-N-ベンジル-N,N-ジメチル-N-ビニルベンジル-アンモ
ニウムクロリド-co-ジビニルベンゼン)(モル比49/49/2)(1.1)およびキャリヤ
としての配合物A(1.2)の受像層;
(2)ポリ(スチレン-co-1-ビニルイミダゾール-co-3-ベンジル-1-ビニルイミ
ダゾリウムクロリド)(モル比50:40:10)(1.6)およびキャリヤとしての配合物A(
0.75)の受像層;
(3)二酸化チタン(17)およびキャリヤとしての配合物A(2.6)の反射層;
(4)カーボンブラック(0.95)およびキャリヤとしての配合物A(0.65)の不透明
層;
(5)中間層用のキャリヤとしての配合物A(0.54);
(6)中間層用のキャリヤとしての配合物A(0.65);
(7)シアンレドックス色素放出剤層;
(8)中間層用のキャリヤとしての配合物A;
(9)赤感性ハロゲン化銀乳剤層およびキャリヤとしての配合物A;
(10)中間層用のキャリヤとしての配合物A;
(11)マゼンタレドックス色素放出剤層;
(12)緑感性ハロゲン化銀乳剤層およびキャリヤとしての配合物A;
(13)中間層用のキャリヤとしての配合物A;
(14)イエローレドックス色素放出剤層;
(15)青感性ハロゲン化銀乳剤層およびキャリヤとしての配合物A;
(16)オーバーコート層用のキャリヤとしての配合物A。
層8〜17は、米国特許第4,356,250号の実施例Iに記載のものと類似のものであ
る。
カバーシートおよび処理ポッドを作製してフィルムアセンブリ中に集成する。
(例えば、米国特許第4,356,250号の実施例Iを参照されたい)。
上記のフィルムアセンブリに試験対象物の露光を行う。並置された一対のロー
ラを用いてカバーシートと一体型受像体との間に処理ポッドの内容物を展開させ
ることにより、慣例に従ってアセンブリを処理する。
実施例8
実施例7のIIR要素を用いて実施例4の方法を繰り返す。適切な支持体表面上にT
シャツを平らにして拡げ、IIR要素の前面をTシャツの上に配置する。IIR要素の
裏側を横切るようにアイロンをかけて押圧し、画像をTシャツに転写させる。
実施例9
実施例7を繰り返すが、層8〜16は、米国特許第4,356,250号の実施例Iと同じで
ある。
実施例10
実施例9の材料を用いて実施例4の方法を繰り返す。
実施例11
以下の組成を有する層を含む多層感光性カラーリバーサル要素を、セルロース
トリアセテートフィルム支持体上にコーティングする。
(1)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.2g/m2の銀コーティング重量の
黒色コロイド銀を含有するハレーション防止層。
(2)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.62g/m2の銀コーティング重量お
よび0.30の銀/キャリヤ(配合物A)比の臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モル%;平
均粒子サイズ:0.65μ)と、銀1モルあたり0.000315モルの量の増感色素Iと、銀1
モルあたり0.000316モルの量の増感色素IIと、トリクレジルホスフェートおよび
ジエチルラウラミドの中に分散された、銀1モルあたり0.211モルの量のカプラA
と、を含有する赤感性低感度乳剤層。
(3)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.57g/m2の銀コーティング重量お
よび0.30の銀/キャリヤ(配合物A)比の臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モル%;平
均粒子サイズ:1.18μ)と、銀1モルあたり0.000123モルの量の増感色素Iと、ト
リクレジルホスフェートおよびジエチルラウラミドの中に分散された、銀1モル
あたり0.221モルの量のカプラAと、を含有する赤感性高感度乳剤層。
(4)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、トリクレジルホスフェート中に分
散された2,5-ジtert-オクチルヒドロキノンを含有する中間層。
(5)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.63g/m2の銀コーティング重量お
よび0.46の銀/キャリヤ(配合物A)比の臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モル%;平
均粒子サイズ:1.18μ)と、銀1モルあたり0.000866モルの量の増感色素IIIと、
銀1モルあたり0.000190モルの量の増感色素IVと、銀1モルあたり0.183モルの量
のカプラBと、を含有する緑感性高感度乳剤層。
(6)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.46g/m2の総銀コーティ-ング重
量および0.41の総銀/キャリヤ(配合物A)比の、臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モ
ル%;平均粒子サイズ:0.65μ)と臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:5モル%;平均粒
子サイズ:0.29μ)とのブレンドと、銀1モルあたり
0.000935モルの量の増感色素IIIと、銀1モルあたり0.00021モルの量の増感色素I
Vと、銀1モルあたり0.132モルの量のカプラBと、を含有する緑感性低感度乳剤層
。
(7)層4と同じ中間層。
(8)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、分散された黄色コロイド銀を含有
する黄色フィルタ層。
(9)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.85g/m2の総銀コーティング重量
および0.52の総銀/キャリヤ(配合物A)比の、臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モル
%;平均粒子サイズ:1.18μ)と臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:14モル%;平均粒子
サイズ:1.4μ)とのブレンドと、銀1モルあたり0.00015モルの量の増感色素Vと
、いずれもトリクレジルホスフェートおよびジエチルラウラミドの中に分散され
た、銀1モルあたり0.145モルの量のカプラCおよび銀1モルあたり0.071モルの量
のカプラDと、を含有する青感性高感度乳剤層。
(10)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、0.55g/m2の銀コーティング重量
および0.46の銀/ゼラチン比の臭ヨウ化銀乳剤(ヨウ化銀:7モル%;平均粒子サ
イズ:0.65μ)と、銀1モルあたり0.000133モルの量の増感色素Vと、いずれもト
リクレジルホスフェートおよびジエチルラウラミドの中に分散された、銀1モル
あたり0.147モルの量のカプラCおよび銀1モルあたり0.071モルの量のカプラDと
、を含有する青感性低感度乳剤層。
(11)キャリヤとして配合物Aを含み、更に、平均直径2μのポリメチルメタク
リレート粒子と、トリクレジルホスフェートおよびジブチルフタレートの中に分
散された2-(2'-ヒドロキシ-3'5'-ジ-t-ブチルフェニル)-5-t-ブチル-ベンゾトリ
アゾールUV吸収剤と、を含有する保護層。
界面活性剤およびカブリ防止剤もまた、これらの層に添加される。
この要素の露光および処理は、"Using Process E6,Kodak Publication N2-119
"に記載のリバーサルカラープロセスE6に従って行う。
上記の要素の作製に使用しうる化合物は、次の通りである。 実施例12
実施例7の多層感光性カラーリバーサル要素を、実施例4に記載の方法でTシャ
ツに適用する。
実施例13
この実施例は実施例11と同じであるが、ただし、層4〜11において、本発明の
キャリヤの代わりにゼラチンを使用する。
実施例14
実施例13の材料を、実施例4に記載の方法でTシャツに適用する。
実施例15
両面がポリエチレンでコーティングされていない紙支持体に、Miche
ティングする。いずれの物質とも、オハイオ州CincinnatiのMichelman,Inc.から
入手可能である。58035と4983との比は4または5対1に設定する。
セントのアクリル酸および90パーセントのエチレンであるAllied Chemical製のA
C 580の固形分35パーセントの分散液である。報告によれば、このポリマーは、1
02℃の軟化点および140℃において0.65 Pas(650センチ
散液である。ポリマーには、20パーセントのアクリル酸および80パーセントのエ
チレンが含まれる。このコポリマーは、43℃のビカー軟化点および100℃の環球
式軟化点を有する。コポリマーの溶融流量ば、500g/10分である。
次に、溶融転写層に、熱可塑性ポリマーの粒子、バインダ、およびカ
チオンポリマーを含有するキャリヤをコーティングする。ただし、このキャリヤ
には、実施例2のように生成させたハロゲン化銀粒子が含まれる。熱可塑性バイ
ンダおよび/またはバインダが変化要因である場合、カチオンポリマーは、いず
れの場合にもアミド-エピクロロヒドリンコ
ある。これらはいずれも、デラウェア州WilmingtonのHercules Inc.から供給さ
れる。カチオンポリマーは、熱可塑性ポリマーの重量を基準に5重量パーセント
のレベルで含まれる。80〜95℃で加熱することにより、キャリヤを乾燥させる。
キャリヤ層の基本重量は、15g/m2である。
一般的には、最小量のバインダを使用する。例えば、ポリアクリレー
で使用してもよい。過剰のバインダを用いると、キャリヤ層の多孔度が減少し、
吸収性が低下すると推定される。10重量パーセントのレベルで
インダは、カチオンポリマーとの相容性をもたなければならない。カチ
これらはいずれも、ポリ(ビニルアルコール)で安定化されたエチレン−酢酸ビニ
ルコポリマーである。これらの物質は、ペンシルヴェニア州AllentownのAir Pro
ducts and Chemicals,Inc.から入手可能である。
いくつかの熱可塑性ポリマーが使用可能であり、具体的には、オハイオ州Cinc
innatiのUSI Chemicals Co.により供給されるエチレン−酢酸ビ
均で約20マイクロメートルであると報告されている。ビカー軟化点は75℃である
。このコポリマーの溶融流量は9g/10分であり、0.928g/cm3の密度はを有すると
報告されている。もう1つの熱可塑性ポリマーは、これもUSI Chemicals Co.から
供給されるものであるが、低密度ポリエチ
ルの平均粒子サイズ、83℃のビカー軟化点、22g/10分の溶融流量、およ
び0.915g/cm3の密度を有する。
実施例4の場合と同じように、この材料の露光、現像、および転写を行う。
実施例16
溶融転写層を用いずに実施例15を繰り返す。
実施例17
実施例15を繰り返すが、ただし、以下の熱可塑性ポリマーを使用する。
熱可塑性ポリマーA
熱可塑性ポリマーB
熱可塑性ポリマーC
る。平均粒子サイズは20マイクロメートルであり、ポリマーの融点は約80℃であ
り、溶融流量は「高い」と報告されている。この物質は、ペンシルヴェニア州Re
adingのMorton Thiokol,Inc.,Morton Chemical DivisionのPowder Coatings Gro
upから供給される。
熱可塑性ポリマーD
このポリマーは、実施例15に記載のMP 22である。
熱可塑性ポリマーE
熱可塑性ポリマーEは、実施例15にも記載されているMPP 611である。
熱可塑性ポリマーF
この物質もMicro Powdcrs,Inc.より供給されるポリエチレンのMPP 635である
。ポリマーの平均粒子サイズは5マイクロメートルであり、融点は124と報告され
ており、溶融流量は「高い」。
熱可塑性ポリマーG
このポリマーは、ニュージャージー州MorristownのAllied Chemical C
有するポリエチレンである。ポリマーの平均粒子サイズは6マイクロメ
ートルであり、溶融流量は「高い」。
熱可塑性ポリマーH
ompanyより供給される。ポリマーは、126℃の融点を有する高密度ポリエチレン
である。ポリマーの平均粒子サイズは、12マイクロメートルである。
熱可塑性ポリマーI
このポリマーは、ポリスチレン分散体のDPP 714であり、ミシガン州Midlandの
Dow Chemical Companyより供給される。
熱可塑性ポリマーJ
LC55Rであり、Hercules,Inc.より供給される。
熱可塑性ポリマーK
熱可塑性ポリマーKは、ポリスチレン分散体のDL 256であり、これもDow Chemi
cal Companyより供給される。
熱可塑性ポリマーL
このポリマーは、ポリスチレン分散体のBN 4901Xであり、カナダのオンタリオ
州SarniaのBASF Corporationより入手可能である。
熱可塑性ポリマーM
ア州PhiladelphiaのRohm and Haas Companyより供給される。
4つの異なるバインダを使用する。
バインダA
バインダAは、水中に分散されたポリアクリレートバインダのCarbose
される。
バインダB
バインダC
バインダD
このバインダは、カチオン低密度ポリエチレンエマルションのMarklu
供給される。
キャリヤ層の組成は、以下の表1にまとめられている。この表において、「TP
」の欄には文字により熱可塑性ポリマーを示し、「タイプ」の欄には文字により
バインダを示している。また、基本重量は、g/m2単位で示している。
表1 重々の熱可塑性ポリマーを用いたキャリヤの組成のまとめ 実施例18
溶融転写層を用いずに実施例17を繰り返す。
実施例19
両面上にポリエチレンがコーティングされていない繊維ベース紙のベースシー
トに、低分子量ポリマーフィルム層(以下、第1の層と記す)をコーティングする
。次の層は、より高い分子量を有するポリマーをベースとしたフィルム(以下、
第2の層と記す)であった。最後に、(第2の層の上の)キャリヤは、主に低分子量
ポリエチレンワックス粒子+実施例2に記載のハロゲン化銀粒子から成っていた
。
所定数の多層サンプル(ベースシートも含む)を評価する。いずれの場合におい
ても、キャリヤ層は、77重量パーセントのMPP 635(熱可塑性ポリマーF)、8重量
パーセントのBN 4901X(熱可塑性ポリマーL)、10重
面活性剤)から成っていた。ただし、これらの重量は層(ハロゲン化銀粒子は除く
)の全重量を基準にしたものである。バインダ、カチオンポリマー、および界面
活性剤のこれらの重量は、熱可塑性ポリマーの重量を基準に、それぞれ12、5、
および1重量パーセントに等しい。
この形態をとる好ましいサンプルは、以下のものを含有する。
この層の基準重量は、8g/m2であった。
準重量20g/m2で溶融押出することにより形成される。このポリマーは、テネシー
州KingsportのEastman Chemical Products,Inc.から入手した溶
融流量200の低密度ポリエチレンである。
第2の層として使用可能であり、かつ紙ベースシート上に押出コーティングで
きるもう1つの物質は、デラウェア州WilmingtonのE.I.Du Pon
このポリマーは、10重量パーセントのメタクリル酸を有するエチレン−メタクリ
ル酸コポリマーであり、溶融流量は約500g/10分である。
この材料の露光、現像、および転写は、実施例4の場合と同様に行う。
実施例20
この実施例では、種々のカチオンポリマーを評価する。カチオンポリマーが1
成分として含まれる2つのタイプのキャリヤ層を利用する。タイから成る。この層の基準重量は、15g/m2である。タイプB層は、MPP 635(熱可塑
性ポリマーF)、熱可塑性ポリマーの重量を基準に18重量パー
重量は、13g/m2である。タイプBの第2の層を利用する場合、基準重量1
る。評価した種々のカチオンポリマーは以下の通りである。
カチオンポリマーA
カチオンポリマーAは、アミド−エピクロロヒドリンコポリマーのKy
カチオンポリマーB
カチオンポリマーC
yより供給されるポリエチレンイミンである。
カチオンポリマーD
merican Cyanamideから入手可能である。
カチオンポリマーE
z Paperchemから供給される。
カチオンポリマーF4LSであり、Hercules,Inc.から入手可能である。
カチオンポリマーG
カチオンポリマーH
カチオンポリマーI
カチオンポリマーJ
カチオンポリマーK
表中、「CPタイプ」の欄にはカチオンポリマーを示し、「タイプ」の欄には使
用した上記のキャリヤのタイプを示している。
表4
種々のカチオンポリマーの評価 実施例2に記載のハロゲン化銀粒子を、キャリヤ層に導入し、これを、(i)両面
上にポリエチレンがコーティングされていない繊維ベース紙、および(ii)透明ポ
リアセテートフィルムの上にコーティングする。実施例4に記載したように、こ
の材料の露光、現像、および転写を行う。
実施例21
実施例20で報告したカチオンポリマーFを含む配合物に更に変更を加える。な
ぜなら、画像の熱転写の際に黄変を生じる可能性を有するからである。
実験において、両面上にポリエチレンがコーティングされていない紙
ン−メタクリル酸コポリマーであり、E.I.Du Pont de Nemours and Co.,Inc.よ
り供給される)を押出コーティングする。第2の層は、基準重量が約13g/m2であっ
た。
キャリヤ層(例えば、実施例2に記載したようにハロゲン化銀粒子を含
重量を基準に26重量パーセントのレベルで存在する。使用したカチオン
平均分子量を有するDow Chemical Company製のポリ(エチレングリコール)である
)である。保湿剤のレベルは、熱可塑性ポリマーの重量を基準に10重量パーセン
トである。界面活性剤は、利用した熱可塑性ポリマー
粘度調節剤は、同様に熱可塑性ポリマーの重量を基準に3重量パーセン
ぞれMicropowders製およびAllied Chemical Company製のマイクロパウダ
に、この材料の露光、現像、および転写を行う。
実験を表5にまとめる。表中、「TP」の欄には文字により熱可塑性ポリマーを
示し(実施例17を参照されたい)、「WT.-%CP」の欄には第2の
パーセントで示し、更に、「WT.-%酸」の欄では、キャリヤ中に含まれるクエン
酸の量を熱可塑性ポリマーの重量を基準に重量パーセントで示している。
表5
カチオンポリマーFの配合物の変更のまとめ 本出願中で参照されているすべての引用特許および刊行物は、参照により本明
細書中に組み込まれるものとする。
本発明は以上のように説明したが、同じことを多数の方法で変化させて実施し
うることは自明であろう。そうした変更は、本発明の精神および範囲から逸脱す
るものとみなされるべきものではなく、当業者に自明と思われるこのような変更
はすべて、以下の請求の範囲の中に含まれるとみなされる。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP
,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,
LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M
W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW