JP2002514688A - アルカン基質の電気化学的フッ素化 - Google Patents

アルカン基質の電気化学的フッ素化

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JP2002514688A JP2000548532A JP2000548532A JP2002514688A JP 2002514688 A JP2002514688 A JP 2002514688A JP 2000548532 A JP2000548532 A JP 2000548532A JP 2000548532 A JP2000548532 A JP 2000548532A JP 2002514688 A JP2002514688 A JP 2002514688A
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シー. スメルツァー,ジョン
エフ. コルピン,チャールズ
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Abstract

(57)【要約】 アルカン基質の電気化学的フッ素化方法が開示され、この方法は、炭素に結合した水素を少なくとも1つ含むアルカン基質を供給する工程と、アルカン基質とフッ化水素を含む反応溶液を調製する工程と、アルカン基質の1つ以上の水素のフッ素による置換を起こすのに十分な電流を反応溶液に流す工程とを含み、電流は高位電流と低位電流とを含む電流量によって定義される電流サイクルに従って中断され、中断された電流で稼働する電解槽の抵抗が中断されない電流で稼働する電解槽の抵抗よりも低くなるような方法で電流を変動させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 技術分野 本発明は、アルカン類の電気化学的フッ素化方法に関する。
【0002】 背景 フッ素化アルカン類(例えば、ペルフルオロアルカン類)は、工業的価値があ
り有用な化学物質である。フッ素化アルカンは種々の有用な性質を示すことがあ
り、例えば、不活性、無極性、疎水性、疎油性などになりうる。従って、これら
のフルオロケミカル(フッ素化合物)は、不活性流体、溶剤、洗浄流体、熱伝達
流体、発泡剤、人工血液の酸素運搬体などの多種多様な用途において有用となり
うる。フッ素化アルカンは汎用性があり、その結果これらの材料には大きな需要
があるため、フッ素化アルカンの新規で改良された製造方法が今なお必要とされ
ている。
【0003】 フルオロケミカル化合物の公知の工業的製造方法の1つは、1950年代に3
M社によって最初に工業化された電気化学的フッ素化方法である。Simons
フッ素化または電気化学的フッ素化(ECF)と呼ばれることも多いこの方法は
、液体無水フッ化水素とフッ素化を行う有機化合物(「基質」)との混合物を含
有する電解質溶液に電流を流す方法である。一般に、Simons法は電解質に
一定の電流を流して行われると教示されており、すなわち一定の電圧および一定
の電流の流れが使用される。例えば、W.V.Childs,et al.,A
nodic Fluorination in Organic Electr
ochemistry,H.Lund and M.Baizer eds.,
Marcel Dekker Inc.,New York,1991、を参照
にされたい。電解質に流される電流によって、基質の1つ以上の水素がフッ素に
置き換えられる。
【0004】 Simons法の電気化学的フッ素化は、工業的に有用であるが、改良が望ま
れる点を含んでいる。例えば、Simons法は、かなりの量の電気エネルギー
を電解質溶液に流す必要がある。多量の電気エネルギーは基質のフッ素化に効率
的に使用されるが、この電気エネルギーのうちのある量は熱エネルギーに変化し
て電気化学的フッ素化電解槽から無駄なエネルギーとして必ず放出されてしまい
、この方法の全稼働コストがその分増大する。Simons法において散逸熱エ
ネルギーとして浪費される電気エネルギー量を減少させ、それによってこの方法
の稼働に必要な全電気費用を減少させることが望ましい。
【0005】 また、従来のSimons法は、電解質溶液に電流を流すために伝導性添加剤
の使用が含まれることも多い。例えば、J.Burdon and J.C.T
atlow,The Electrochemical Process fo
r the Synthesis of Fluoro−Organic Co
mpounds,Advances in Fluorine Chemist
ry,M.Staceyら編著、volume 1 p.129(1960)、
を参照にされたい。Simons法で使用する場合、伝導性添加剤は望ましくな
い結果を引き起こす場合がある。例えば、アノードの腐蝕の増加を引き起こすか
、あるいはフッ素化反応において伝導性添加剤自身が消費されるかフッ素化され
るかすることによって、伝導性添加剤が基質のフッ素化を妨害する可能性がある
。このことが原因となって所望のフッ素化生成物の全体の収率を低下させる可能
性があり、いろいろな意味でフッ素化作業のコストを増大させる可能性がある。
従って、伝導性添加剤の必要性を減少させるかあるいは実質的に不要にすること
が望ましい。
【0006】 抵抗の大きな副生成物の皮膜およびタールがフッ素化電解槽の電極上、特にア
ノードに蓄積しやすくなることがあるので、Simons法は定常状態の長時間
の維持が困難となる場合がある。通常操作では、アノード上に皮膜およびタール
が蓄積することによって、電気化学電解槽の抵抗が増加し、電解槽電圧の上方ド
リフトが起こる。問題はより重大となり、電解槽内の持続的な抵抗の増大および
導電率の低下によって明らかになる「電流ブロッキング」という状態に陥ること
がある。電流ブロッキングを直すためには、装置を停止して洗浄することが必要
な場合が多い。従って、電解槽の導電性の低下および電流ブロッキング状態の持
続の原因となりうるフッ素化電解槽の抵抗の増大を防止することが望ましい。
【0007】 最後に、Simons電気化学的フッ素化は、炭化水素アルカン類をフッ素化
してフッ素化アルカン類を生成するためには特に有用であるとは考えられていな
い。Simons法を用いて基質をフッ素化するためには、基質を反応溶液に溶
解させなければならない。炭化水素カルボニルフッ化物および炭化水素スルホニ
ルフッ化物などの官能基を有する化合物は無水フッ化水素に溶解性であることが
多いのでSimons法によるフッ素化を比較的容易に行うことができるが、炭
化水素およびハロ炭化水素はフッ化水素に対して溶解性がより低いためSimo
ns法を用いたフッ素化が多少困難となる。
【0008】 米国特許第3,950,235号(Benninger)には、脂肪族炭化水
素のSimons電気化学的フッ素化によるペルフルオロアルカン類の調製(フ
ッ化水素中の炭化水素の「不溶性」のため)またはオレフィン系炭化水素のSi
mons電気化学的フッ素化(アノード表面にポリマー生成物が形成されること
によるアノードの急速なブロッキングのため)は困難であると記されており、分
岐ペルフルオロオレフィン類を電気化学的にフッ素化して対応する分岐ペルフル
オロアルカン類を生成するという別の方法についても記載されている。
【0009】 特願平4−12243号(ダイキン工業株式会社)には、アルキルアミンを伝
導性添加剤として使用したヘキサフルオロプロペンの電気化学的フッ素化による
オクタフルオロプロパンの調製方法が記載されている。この添加剤はアノードを
激しく腐蝕する作用がないと述べられており、プロピルアミンまたはジプロピル
アミンを選択した場合にはフッ素化工程中にさらなるオクタフルオロプロパンに
転化すると述べられている。
【0010】 米国特許第3,957,596号(Seto)は炭化水素の電気化学的フッ素
化の改良された方法を開示しており、この方法では電気化学的フッ素化電解槽は
大気圧より高い状態に維持され、伝導性添加剤は使用されず、電極間隙、乱流、
および電気エネルギー入力は制御され、改良された収率および電流効率が得られ
る。
【0011】 電気化学的フッ素化の技術分野では、電気化学的にアルカン類をフッ素化して
フッ素化アルカン類を生成するより効率的な方法が必要とされている。
【0012】 発明の要約 本発明は、アルカン炭化水素の電気化学的フッ素化方法に関する。本方法では
、アルカン基質とフッ化水素とを含む反応溶液が使用される。電位(電圧)が反
応溶液にかけられることによって、電流が反応溶液に流れ、それによってアルカ
ン基質のフッ素化が起こる。本方法では、電流は周期的および規則的に中断され
、すなわち最初電流は高位電流量と呼ぶ電流量で流され、続いて周期的に中断さ
れて低位電流量で流れされる。本発明では、電流をこのように中断することによ
って、本発明の条件下で稼働する電気化学的フッ素化電解槽の抵抗が、電流を遮
断しないで稼働する電解槽の抵抗よりも低くなる。
【0013】 フッ素化中の電流の中断によって、従来の電気化学的フッ素化法に対する多く
の利点が得られる。前述のように、電流を中断させずに稼働させた同種のフッ素
化電解槽の抵抗と比べてフッ素化電解槽の抵抗が低くなるような方法で電流を中
断させることができる。電流の中断によって低下した電解槽の抵抗が低下するた
めに、一定電流でフッ素化を行うために必要な電解槽電圧が低下することになり
、すなわち中断された電流によるアノードとカソードの間の電圧を、同じ電流量
で稼働され電流が中断される同種の電解槽の電圧よりも低くすることができる。
同時に、電解槽の抵抗が比較的低いために、フッ素化工程中に発生する浪費熱エ
ネルギー量も減少し、フッ素化電解槽からの浪費熱エネルギーを除去する必要性
も少なくなるかまたは不要となる。より低い稼働電圧が実現されるとより高い電
流密度で安定な電解槽の稼働が可能となり、これによって所与の時間において生
成する生成物が増加し、さらには大きな中断なしに長期の連続生産時間(例えば
、数日、数週間など)が可能となる。製造規模において、電解槽電圧、電解槽抵
抗の低下、および電流の増大は、フッ素化生成物の生産速度が上昇し、コストが
軽減されることも多く、工程がより効率的となる。さらに、電流の中断によって
、電気化学的フッ素化工程における伝導性添加剤の必要性を軽減あるいは解消す
ることができる。これによって、フッ素化電解槽内の電極の腐蝕の減少、伝導性
添加剤自身のフッ素化によるエネルギー量および廃棄原材料の減少、ならびに不
必要な副生成物の減少が可能となる。ある場合には、電流の中断によってフッ素
化反応の選択性が増大して収率が増大し副生成物が減少する。これらのすべての
改良点は電気化学的フッ素化工程全体の稼働コストを軽減するために好都合であ
る。
【0014】 本発明の態様の1つは、電気化学的フッ素化電解槽を使用したアルカン基質の
フッ素化方法に関する。該方法は、(1)炭素に結合した水素を少なくとも1つ
含むアルカン基質を供給する工程と、(2)該アルカン基質とフッ化水素とを含
む反応溶液を調整する工程と、(3)該アルカン基質の1つ以上の水素をフッ素
に置換するために十分な電流を該反応溶液に流す工程とを含む。この方法では、
高位電流と低位電流とを含む電流量で定められるサイクルによって電流が中断さ
れ、電流を中断させずに稼働させた電解槽の抵抗よりも電流を中断させて稼働さ
せた電解槽の抵抗の方が低くなるような方法で電流が中断される。
【0015】 本発明の別の態様は、上記方法によるアルカン基質のペルフルオロ方法に関す
る。
【0016】 本発明のさらに別の態様は:炭素に結合した水素を少なくとも1つ有する基質
を供給する工程と;該基質がその中で溶解性であるフルオロケミカルを供給する
工程と;電気化学的フッ素化電解槽を供給する工程と;フッ化水素を供給する工
程と;該基質を該フルオロケミカルに添加して該基質を該フルオロケミカルに溶
解する工程と;該フッ化水素を該電気化学的フッ素化電解槽に導入する工程と;
該フッ化水素の温度よりも低温で該基質が溶解した該フルオロケミカルを該フル
オロケミカル電解槽に導入する工程と;該基質の1つ以上の水素がフッ素で置換
されるために十分な電流を該電解槽に流す工程とを含む電気化学的フッ素化方法
に関する。
【0017】 本明細書の説明ならびに電気化学的フッ素化方法を参照する場合の使用におい
て: 「フッ素化」は、炭素に結合した水素の少なくとも1つがフッ素で置き換えら
れた化合物を意味し、特にペルフルオロ化合物が含まれる。「ペルフルオロ」化
合物は、炭素に結合した水素の実質的に全部がフッ素で置き換えられた化合物を
意味するが、通常はある程度の残留水素化物がペルフルオロ化合物中に存在し、
例えば、1mg未満の水素化物が化フッ素化物1g当りに存在することが好まし
い。
【0018】 「中断されない電流」は、実質的に一定で電流が電気化学的フッ素化電解槽に
流れることを意味するのであって、すなわち実質的には変動せず、特に以下の説
明に記載されるような周期的な中断がないことを意味する。
【0019】 詳細な説明 本発明は、基質をフッ素化してフッ素化生成物を生成する方法に関する。本方
法は、「Simons」電気化学的フッ素化として一般に知られる電気化学的フ
ッ素化方法と同様の方法に従って実施することができる。
【0020】 「Simons法」または「Simons電気化学的フッ素化方法」は、液体
の無水フッ化水素(HF)に溶解または分散させた基質のフッ素化の工業的方法
である。Simons電気化学的フッ素化は、実質的に以下のように実施するこ
とができる。基質と任意に伝導性添加剤とを、無水フッ化水素に分散または溶解
して電解質「反応溶液」を調製する。1つ以上のアノードと1つ以上のカソード
とを反応溶液中に配置し、アノードとカソードの間に電位(電圧)を生じさせる
ことによって反応溶液を介してカソードとアノードの間に電流が流れ、これによ
ってアノードにおける酸化反応(主にフッ素化、すなわち、炭素に結合した水素
1つ以上が炭素に結合したフッ素と置き換わる)とカソードにおける還元反応(
主に水素の発生)が起こる。本明細書で使用する場合、「電流」は、電流という
語句の従来の意味である電子の流れを意味し、また正または負に帯電した化学種
(イオン)の流れも意味し、理論と結びつけようとするものではないが、工程中
に反応溶液を流れる電流では反応溶液を移動するこのようなイオン性化学種の流
れが主であると考えられる。Simons法は公知であり、多数の技術的刊行物
の題材となっている。Simons法が記載される初期の特許は米国特許第2,
519,983号(Simons)であり、これにはSimons電解槽および
その付属物の図面が含まれている。Simons法の実施に好適な実験室規模お
よび実験工場規模の電気化学的フッ素化電解槽の説明および写真を、J.H.S
imons編著「Fluorine Chemistry」Vol.1の416
〜418ページ(1950年、Academic Press,Inc.(ニュ
ーヨーク)出版)に見ることができる。米国特許第5,322,597号(Ch
ildsら)および第5,387,323号(Mindayら)のそれぞれはS
imons法およびSimons電解槽を引用している。さらに、Simons
法による電気化学的フッ素化は、Alsmeyerら,Electrochem
ical Fluorination and Its Applicatio
ns,Organofluorine Chemistry:Principl
es and Commercial Applications Chapt
er 5 pp.121−43(1994);S.NagaseによるFluo
rine Chem.Rev.,1(1)77−106(1967);およびJ
.BurdonおよびJ.C.Tatlow,The Electrochem
ical Process for the Synthesis of Fl
uoro−Organic Compounds,Advances in F
luorine Chemistry,M.Staceyら編著(1960)、
に記載されている。
【0021】 本発明の実施の際には、フッ化水素と基質とを含む反応溶液が調製される。フ
ッ化水素は無水フッ化水素が好ましく、これはフッ化水素が多くとも水を少量し
か含まないことを意味し、例えば、約1重量%(wt%)未満の水、好ましくは
約0.1重量%未満の水を含む。フッ化水素中に存在する水がこのような少量で
あれば、カソードとアノードの間に電圧をかけることによって通常この水は酸化
されるので容認できる。
【0022】 基質は、炭素に結合した水素を含み、フッ化水素(任意に伝導性添加剤の存在
下で)と混合して反応溶液を調製しこの溶液に電流を流すことによって基質のフ
ッ素化が可能である任意の化合物であってよい。好ましくは、基質としては、完
全な炭化水素(例えば、直鎖アルカンCn2n+1、式中のnは約2〜25、好ま
しくは約3〜12、または環状アルカンCn2n)であるか、またはそれらの部
分的ハロゲン化類似物(例えば、Cnxy、式中Xはフッ素または塩素などの
ハロゲンであり、直鎖または分岐アルカンの場合はx+y=2n+1であり、環
状の場合はx+y=2nである)である、直鎖、分岐、または環状のアルカンを
上げることができる。好ましい有機基質の例としてはヘキサンとオクタンが挙げ
られる。
【0023】 ECF電解槽内の反応溶液は、HFとこれに溶解したある量の基質とを含有す
る電解質相を含む。一般に基質は、液体フッ化水素中にある程度溶解性または分
解性であることが好ましい。基質は、液体、固体、または気相蒸気の形態である
ことができ、その物理的状態に適するようにフッ化水素に加えることができる。
具体的に言えば、気体の基質は、フッ化水素に吹込んで反応溶液を調製したり、
加圧下で電解槽に送り込んだりすることができる。固体または液体の基質は、フ
ッ化水素中に溶解したり分散させたりすることができる。フッ化水素に対して比
較的溶解性が低い基質の場合に任意であるが好ましいことには、後述のフルオロ
ケミカル流体に溶質として基質を溶解させて電解槽に加えることができる。
【0024】 しかし、一部の基質(例えば、アルカン類)はフッ化水素に対してあまり溶解
性が高くない。これらの比較的難溶性の基質は、Simons電気化学的フッ素
化法によってフッ素化することが困難であると見なされる。一般に、HFに溶解
させる基質の量はできるだけ多いことが望ましく、例えば基質のHFに対する溶
解性の上限が望ましい。これとは逆に、ECF電解槽中における基質の相分離を
避けることが重要である。電解槽中におけるアルカン相などの基質相の分離が存
在すると、基質相が電気化学的フッ素化工程中に重大な問題を引き起こすことが
あるので、これを避けるべきである。具体的には、電解槽中に分離したアルカン
層が存在すると、このアルカン層内のアルカン基質が重合して高分子量の重合化
部分的フッ素化タールが生成することがあり、これが電解質内で蓄積して電極上
に皮膜を形成することによって電極が非活性化することがある。このタールを電
解質および電極から取り除かねばならず、これにはかなりの時間と費用が必要で
ある。従って、ECF電解槽内の基質層の形成を防止することが好ましい。
【0025】 基質が電解質相に対して十分溶解性であれば、電解槽で基質相が分離する可能
性はほとんどない。しかし、基質の電解質(HF)に対する溶解性が比較的低い
場合は、電解槽中で基質相の分離が発生する可能性は高くなる。これは多くのア
ルカン基質の場合に起こりうることであり、従って基質がヘキサン、ヘプタン、
オクタンなどのアルカンである場合は、電気化学的フッ素化電解槽内の反応溶液
中に分離したフルオロケミカル相が存在すると好都合となる場合がある。HFに
対して比較的溶解性が低いアルカン基質がフッ素化される場合、基質相の形成は
、ECF電解槽内に分離したフルオロケミカル相を存在させることで防止するこ
とができ、この場合基質がフルオロケミカル相に対して十分溶解性であるために
基質相の分離が起こらない。電気化学的フッ素化における分離したフルオロケミ
カル相の利用は、例えば米国特許第5,387,323号に記載されている。
【0026】 理論と結びつけようとするものではないが、無水フッ化水素電解質に対しては
比較的溶解性が低いがフルオロケミカル相に対してははるかに溶解性が高い基質
の「貯蔵層」としてフルオロケミカル相が作用すると考えられる。フッ化水素相
に溶解可能な量よりも多くの基質がフルオロケミカル相の作用によって溶解し、
これによって電解槽中に分離した基質が蓄積したり基質相が形成されたりするこ
とを防止できる。さらに、基質がフッ化水素に対して比較的溶解性であり、その
ため基質相が分離する可能性が大きくない場合でさえも、フルオロケミカル相が
望ましい場合があり、フッ素化工程が促進される場合があるが、その理由はアル
カンのフルオロケミカル相への溶解性が高いことで、フッ素化工程の欠乏(例え
ば、電解質中の基質の不足によって)と、分離した基質相が形成されるかまたは
電解質相の下に沈む代わりに電解質相上に相が浮かぶほど多くの基質を含む1つ
の基質/フッ化炭化水素相が形成されるかのいずれかとの間の操作条件の幅が広
くなるからである。さらに、基質の供給のためフッ化炭化水素相を使用すること
によって(特に、後述するように低温において)、確実に制御された量の基質を
電解槽へ供給する改良された方法が得られる。
【0027】 フルオロケミカル相は、基質の溶解性が電解質相(HF)に対してよりも比較
的高い任意のフルオロケミカル材料を含むことができ、これによってHF相には
溶解できない基質が溶解し、このため分離した基質相の形成が防止される。好ま
しくは、フルオロケミカル相は電気化学的フッ素化生成物を含むことができる。
【0028】 フルオロケミカル相としての使用に適したフルオロケミカル化合物の例として
は、ペルフルオロアルカン、ペルフルオロスルファニル置換ペルフルオロアルカ
ン、ペルフルオロシクロアルカン、ペルフルオロアミン、ペルフルオロエーテル
、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアミノエーテル、ペルフルオロアル
カンスルホニルフッ化物、ペルフルオロカルボン酸フッ化物、およびそれらの混
合物などのペルフルオロ化合物が挙げられる。このような化合物は、ある程度の
水素または塩素を含むことができ、例えば、好ましくは炭素原子2個ごとに水素
または塩素のいずれかの原子を1個未満含むが、実質的に完全にフッ素化されて
いることが好ましい。このような化合物の代表例としては、ペルフルオロブタン
、ペルフルオロイソブタン、ペルフルオロペンタン、ペルフルオロイソペンタン
、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロメチルペンタン、ペルフルオロヘプタン
、ペルフルオロメチルヘキサン、ペルフルオロジメチルペンタン、ペルフルオロ
オクタン、ペルフルオロイソオクタン、ペルフルオロノナン、ペルフルオロデカ
ン、1−ペンタフルオロスルファニルペルフルオロブタン、1−ペンタフルオロ
スルファニルペルフルオロペンタン、1−ペンタフルオロスルファニルペルフル
オロヘキサン、ペルフルオロシクロブタン、ペルフルオロ(1,2−ジメチルシ
クロブタン)、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペ
ルフルオロトリメチルアミン、ペルフルオロトリエチルアミン、ペルフルオロト
リプロピルアミン、ペルフルオロメチルジエチルアミン、ペルフルオロトリブチ
ルアミン、ペルフルオロトリアミルアミン、ペルフルオロプロピルテトラヒドロ
フラン、ペルフルオロブチルテトラヒドロフラン、ペルフルオロポリ(テトラメ
チレンオキシド)、ペルフルオロ(N−メチルモルホリン)、ペルフルオロ(N
−エチルモルホリン)、ペルフルオロ(N−プロピルモルホリン)、フッ化ペル
フルオロプロパンスルホニル、フッ化ペルフルオロブタンスルホニル、フッ化ペ
ルフルオロペンタスルホニル、フッ化ペルフルオロヘキサンスルホニル、フッ化
ペルフルオロヘプタンスルホニル、フッ化ペルフルオロオクタンスルホニル、フ
ッ化ペルフルオロヘキサノイル、フッ化ペルフルオロオクタノイル、フッ化ペル
フルオロデカノイル、およびそれらの混合物が挙げられる。コスト、入手しやす
さ、および安定性を考慮すると、本発明の方法への使用にはペルフルオロアルカ
ンが好ましい(H.Saffarian、P.Ross、F.Behr、および
G.Gard,J.Electrochem.Soc.139,2391(19
92)、を参照されたい)。好ましくは、フルオロケミカル相は基質のフッ素化
生成物を含むことができる。
【0029】 フルオロケミカル相は、ECF電解槽に別個に加えることができるし、連続供
給材料として加えることもできるし、電気化学的フッ素化反応生成物として選択
した場合には電解槽内で生成させることもできる。当然ながら、これらの方法を
組みあわせて使用して、フルオロケミカル相を電解槽内に形成させることもでき
る。好ましくは、フルオロケミカル相はECF工程の開始前に初期投入物として
電解槽に投入することができ、基質はフルオロケミカル相に溶解した後フルオロ
ケミカル相を連続的にECF電解槽に供給するおよび/または再循環させる(基
質を溶解させて)ことによって、フルオロケミカル相とアルカン基質の両方を同
時に供給することができる。任意のフルオロケミカル相が反応溶液中に存在する
場合、フルオロケミカル相の量は有用となる任意の量であってよい。この量は、
一般には電気化学的フッ素化電解槽内で分離したフルオロケミカル相が形成され
るために十分な量であるが、一般には伝導性電解質(HF)相内に形成されると
考えられる電気化学的フッ素化工程を妨害するほど多くなるべきではない。
【0030】 反応溶液は、基質のフッ素化に効果的であり基質相がECF電解槽内に形成さ
れるのを防止するために好ましい任意の比率の量のフッ化水素、基質、およびフ
ルオロケミカル相を含むことができる。フッ化水素のアルカン基質に対する有用
な質量比は、アルカン基質の性質とそのHFに対する溶解性に依存する。一般に
、アルカンの量は、反応溶液中に多量のアルカン層が形成されることを防止する
ために十分低くするべきである。HF量と基質量の有用な比率の例は、例えば約
1:1〜99:1(フッ化水素:アルカン基質)の範囲、好ましくは約75:2
5〜99:1(フッ化水素:アルカン基質)の範囲、より好ましくは約9:1〜
99:1(フッ化水素:アルカン基質)の範囲とすることができる。
【0031】 基質のフッ素化が行われるために十分な量の電流が反応溶液に流れるようにす
るために、反応溶液は十分に電気伝導性であるべきである。純粋な液体無水フッ
化水素は実質的に非導電性である。従って、導電性にするために反応溶液は、反
応溶液に電流を流すための電解質成分を含まなければならない。種々の有機基質
、特に官能基を有する有機基質が、フッ化水素に対して溶解性であり、かつ十分
に電解質であるので、有効量の電気分解電流を流すことができる。従って、ある
場合には有機基質が反応溶液の電解質成分として機能しうる。しかし、有機基質
によって十分な電気伝導性がフッ化水素に与えられない場合は、反応溶液に伝導
性添加剤を加えることによって十分な電気伝導性にすることができる。例えば、
ある種の炭化水素およびフッ化炭化水素は少量しかフッ化水素に溶解しない。こ
れらの種類の化合物の電気化学的フッ素化には、伝導性添加剤を反応溶液に加え
ることが必要となる場合もありうる。J.BurdonおよびJ.C.Tatl
ow,The Electrochemical Process for t
he Synthesis of Fluoro−Organic Compo
unds,Advances in Fluorine Chemistry,
M.Staceyら編著(1960);米国特許第3,028,321号(Da
nielson)、第3,692,643号(Holland)、および第4,
739,103号(Hansen)。
【0032】 伝導性添加剤は、任意の有用な伝導性物質または材料であってよく、有機伝導
性またはイオン伝導性のいずれでもよい。ブチルメルカプタンおよびメチルメル
カプタンなどのメルカプタン類、エステル類、無水物、ジメチルジスルフィド(
DMDS)、ならびにフッ化カリウムおよびフッ化リチウムなどのイオン性塩が
一部の例として挙げられる。その他の有用な伝導性化合物は、電気化学的フッ素
化の分野において公知である。
【0033】 伝導性添加剤が反応溶液に加えられる場合は、基質のフッ素化を行えるように
反応溶液が十分伝導性になるような任意の量の伝導性添加剤を加えることができ
る。有用な程度の電気伝導性を反応溶液が維持するために必要最小量の伝導性添
加剤を使用することが好ましいが、これは最小量の伝導性添加剤を使用すること
によって、電気の使用効率を最大限にしながらフッ素化電解槽を安定に使用する
ことができ、さらに伝導性添加剤の不必要なフッ素化により生成する不要な副生
成物の量を減少させるか最小限にすることができるからである。より好ましくは
、安定な電解槽の稼働に不要であれば伝導性添加剤を使用しない。本発明の固有
の利点は、電流を中断し、伝導性添加剤を使用しないかあるいは伝導性添加剤の
量を減少させるかによってフッ素化電解槽の伝導性が向上するということである
。反応溶液に必要な伝導性添加剤の量が減少することによって、伝導性添加剤に
より生成される副生成物量が減少し(例えば、有機伝導性添加剤が使用される場
合)、このような望ましくない副生成物のフッ素化に浪費される電流量が減少す
るため、フッ素化生成物の収率が増大する。伝導性添加剤が必要である場合、そ
の有用な量の例としては、伝導性添加剤は基質の量を基準にして20重量%未満
の量の伝導性添加剤を使用することができ、例えば、基質の量を基準にして約1
0重量%未満、または5重量%未満が使用される。
【0034】 反応溶液は、基質のフッ素化を行うために十分な反応条件(例えば、反応温度
、反応圧、ならびに電圧、電流、および電力)におくことができる。一般に反応
条件は、所望のフッ素化生成物の生成を促進することが分かっている任意の条件
にすることができる。特定のフッ素化工程に選択される反応条件は、電気化学的
フッ素化電解槽の規模および構造、反応溶液の各成分ならびに伝導性添加剤の使
用の有無における組成(すなわち、種類および相対的な量)、連続反応工程の場
合の各成分の流速;所望のフッ素化生成物、などの要因に依存して選択すること
ができる。
【0035】 電気化学的フッ素化電解槽が稼働する反応温度は、基質のフッ素化が有用な程
度となる任意の温度であってよい。反応温度は、上述の種々の要因ならびにその
他に依存して選択し制御することができる。例えば、反応温度は、基質の溶解性
、基質またはフッ素化生成物の物理的状態(例えば、一方が液体状態または気体
状態のどちらが望ましいか)に依存して選択され、さらに反応圧などの他の反応
条件にも依存して選択することができる。反応(稼働)温度は、フッ素化生成物
の沸点よりも高温に選択することもでき、この場合は自己圧力下の加圧容器中で
電解槽を稼働させると好都合となりうる。約−20℃〜80℃の範囲内の稼働温
度が有用であることが分かっている。約20〜65℃の範囲内の稼働温度が好ま
しくなりうる。
【0036】 有用な反応圧は、ほぼ周囲(大気)圧〜約65psig(4.48×105
a)の範囲内であることが分かっており、約5〜45psig(0.34×10 5 〜3.10×105Pa)の範囲内が有用となりうる。さらに、これらの範囲外
の稼働圧を使用することもできる。
【0037】 反応溶液を流れる電気は、基質のフッ素化が行われる任意の量であってよく、
電流、電圧、および電力を含めたパラメーターで表される。本発明の実施の際は
、電流が中断される。電気的パラメーター(例えば、電流、電流密度、電圧、電
力など)に関して使用される「中断される(interrupted)」という
用語は、規則的に繰り返すサイクルでこのパラメーターの値が周期的変化するこ
とを表している。電流サイクル、電圧サイクル、または電力サイクルなどで使用
される「サイクル」という用語は、異なる量にパラメーターが変動する1つの完
結した動作を意味する。例を挙げると、電流サイクルは、開始電流量(サイクル
の任意に選択された点)で開始し、1つ以上の異なる電流量で稼働を続け、初期
電流量の開始点に戻るという、フッ素化電解槽に流れる電流が種々の量で変動す
る1つの動作を表す。電流サイクルの一例を図1に示すが、これは電流対処理時
間のグラフを示している。この図では、周期P、高位電流量Ie、および低位電
流量Irを有する規則的周期的なサイクル(Cで表されるサイクルの黒い部分)
にそって電流が変動する。本明細書では周期(P)は、1つのサイクルの実行に
かかる時間として定義される。電圧サイクルおよび電力サイクルの例は、それぞ
れ図3および5に示しており、C3およびC5で表される。
【0038】 本発明を実施する場合、サイクル(例えば、電流サイクル)は任意の有用な形
態にすることができ、波形として表すことができる。サイクルは例えば、方形波
(図1および3を参照)、実質的な方形波、正弦波(図6参照)、または他の任
意の周期的サイクルであってよい。理想的な波形は、電流、電圧、および電圧に
関連する図1、3、および5に示される方形波サイクルである。例えば図3は電
解槽電圧の変動(すなわち中断)が以下のようであることを示している:サイク
ルC3の始まりであり低位電圧Vrである出発点から電圧は高位電圧Veまで上昇
し、これが時間Teだけ維持され、次に電圧は低位電圧Vrまで低下し、これが時
間Trだけ維持されて1サイクルが完了する。このサイクルはフッ素化工程の間
中、規則的に繰り返される。
【0039】 図1では、高位電流量が各サイクルで一定であるとして示されている。しかし
実際には、高位電流量も低位電流量も一定である必要はなく、サイクル全体で変
動してもよい。このことが電流対処理時間のグラフを表す図2に示されており、
この場合電流(例えば、高位電流)は緩やかに増加するものとして示されている
(一方電解槽電圧は一定に保たれる)。さらに、希望するなら高位および低位電
流量はサイクルの単なる極値であってもよく、この場合サイクルの他の部分は、
正弦波の電流サイクルを示す図6に例示されるような中間電流量を含む。
【0040】 反応溶液を流れる電流は、基質のフッ素化が起こる任意の量の電流であってよ
い。電気化学的フッ素化電解槽に固有の性質によって電流は制限される。電流は
、基質の過度の断片化を起こすには不充分であるか、またはフッ素化中にフッ素
ガスが遊離するためには不充分であることが好ましい。便宜的に、電流の測定値
は電流密度で表すことができ、これは1つ以上のアノードの活性部位で測定した
反応溶液を流れる単位Aで表した電流を、1つ以上のアノードの面積で割ったも
のである。本発明で有用なことが分かった電流密度の例として、高位電流密度は
、例えば約10〜400mA/cm2(ミリアンペア/平方センチメートル)の
範囲内、例えば50〜200または300mA/cm2の範囲内とすることがで
き、好ましくは約20〜160mA/cm2の範囲内である。低位電圧密度は、
好ましくは実質0とすることができ、例えば約0〜2mA/cm2の範囲内であ
る。
【0041】 周期的な電流サイクルは、電気化学的フッ素化電解槽の電気を制御する任意の
公知で有用な方法によって生じさせることができる。電気化学的フッ素化電解槽
中の電解槽の抵抗は比較的一定であるため、反応溶液にかけられる電圧、反応溶
液に供給される電力、反応溶液に流される電流の中の最も好都合である任意の1
つを制御することよって電流を周期的に繰り返すことができる。一般に、最も制
御が容易な電気的パラメーターはフッ素化電解槽にかけられる電圧である。従っ
て、電気化学的フッ素化電解槽に周期的な電流を発生させるあらゆる可能な方法
を本発明において考慮することができるが、説明の一部では、(比較的安定な電
解槽抵抗において)周期的な繰り返しの電流、および同様に周期的な繰返しの電
力を反応溶液に供給するための方法として、反応溶液にかける電圧の制御につい
て説明している。
【0042】 反応溶液にかけられる電圧を変動させることによって、前述の種類の電流サイ
クルを得ることができる。具体的に述べると、規則的で繰り返す周期的なサイク
ルで電圧を変動させることができ、このサイクルは高位電圧と低位電圧とを含む
電圧レベルによって定められる。このような電圧サイクルは、周期的に中断され
る電流に関して前述した周期および波形と同様の周期と波形を有する。電圧サイ
クルの一例が図3に示されており、これは電解槽電圧対処理時間のグラフを示し
ている。図3において、電圧は、周期P3、高位電圧Ve、および低位電圧Vr
有する規則的周期的サイクルC3によって変動する。図3には0電流切片電圧Vo も示されており、特定の基質のフッ素化が行われるために必要な最小電圧として
本明細書の説明の目的で定義されるものである。0電流切片電圧(zero c
urrent intercept voltage)Voは、所与のフッ素化
反応において、所与の反応溶液にかけられる電気の電流対電圧をプロットし、曲
線の線状部分を0電流切片に外装することによって実験的に求めることができる
(図7参照)。0電流切片電圧Voの値は個々のフッ素化反応の関数となるが、
本明細書の説明の目的で、有機基質のフッ素化の場合には近似的に4.2Vであ
るとする。
【0043】 本発明の実施の際、高位電圧(Ve)は基質のフッ素化が行われる任意の電圧
であってよく、例えば、反応溶液に電流が流れる電圧であってよい。電流が流れ
、基質のフッ素化が起こるようにするために、高位電圧は少なくともフッ素化反
応の0電流切片電圧Vo以上であるべきで、多くの場合の有機基質フッ素化反応
では、高位電圧は約4.2〜約9ボルト(V)の範囲内が好ましく、より好まし
くは約4.5〜6Vの範囲内である。低位電圧は、電流を中断せずに稼働させた
場合の電解槽の抵抗と比較すると電解槽の抵抗が低くなる任意の電圧であってよ
い。好ましくは、低位電圧は、反応溶液に電流が実質的に流れなくなる(例えば
、Irは実質的に0である)値の電圧である。これは、0電流切片電圧Voより低
い低位電圧を供給することによって実現できることが好ましい。図3および4の
それぞれを高位電圧と同じ極性であるとして示しており、低位電圧が正となるこ
とが多いが、これは本発明に要求されることではなく、希望するのであれば高位
電圧と比べて負の極性を有する低位電圧、例えば図3または4のいずれかにおい
て負の電圧として示される電圧を使用することも可能であることに注意されたい
。電解槽電圧、低位電圧、高位電圧として表される電圧は、カソードとアノード
の間で測定した電圧を意味する。
【0044】 図3において、高位電圧(Ve)は一定値として示されている。しかし実際は
、高位電圧も低位電圧も完全あるいは実質的に一定である必要はなく、一方また
は両方がパルスサイクル全体で変動してもよい。例えば、図4は電圧サイクルC 4 を示しており、ここでは高位電圧はパルスサイクルを通して一定とはなってい
ない。図4において、電解槽電圧は、低位電圧から0電流切片電圧Voより大き
い高位電圧まで増加していることが示されている。次に高位電圧が段階的に増加
した後、低位電圧量Vrまで降下する。この現象は、電圧「ドリフト」と呼ばれ
ることも多く、アノード表面に皮膜が形成され段階的に電解槽の抵抗が増大する
ことが原因であると考えられる。一定ではない高位または低位電圧のさらなる例
として、正弦的電流サイクルを示す図6を再び考慮することができ、正弦的電流
サイクルで稼働する電解槽は同様の正弦的電圧サイクルを有する。
【0045】 ワットまたはJ/秒の単位で示される、反応溶液に供給される電力の値も、電
流および電圧について前述したように変動させることができる。具体的には、電
力は規則的な繰り返しの周期的サイクルで変動させることができ、電力は高位電
力量と低位電力量の間で変動する。このようなサイクルは電流および電圧を変動
させる場合について前述した場合と同様の周期と波形を有する。電力サイクルの
例が図5に示され、これは電力対処理時間のグラフを示すものである。この図で
は、電力は、周期P5、高位電力量Pe、および低位電力量Prを有する規則的で
周期的なサイクルC5に沿って変動する。
【0046】 電力の観点から言えば、反応溶液に流される電流量は、フッ素化工程の他の反
応条件と組み合わせることで有機基質のフッ素化が行われる任意の量の電流であ
ってよい。電力は電圧×電流(V×I)として定義され、従ってフッ素化工程で
使用される電力量は、使用される電流および電圧に依存し、フッ素化電解槽の大
きさに依存する。
【0047】 フッ素化電解槽に流される電流は、反応溶液に電流を周期的に中断させて流す
ために有用な任意の制御手段によって制御することができる。このような制御手
段の多くは、電気技術および電気化学的フッ素化技術分野の当業者であれば理解
できるであろう。電流を制御するための手段の具体例の1つを挙げると、2つの
あらかじめ設定された電圧設定点を有し、その一方の設定点が高位電圧に対応し
、もう一方が低位電圧に対応するサイクルタイマーを有する電源装置にアノード
とカソードを接続することによって、反応溶液にかけられる電圧は周期的に中断
する(すなわち、減少させる)ことができる。このタイマーは、あらかじめ設定
された時間間隔においてこれら2つの設定点の間を循環させることができる。簡
潔に言うと、反応溶液に周期的に繰り返す電流を流すために有用な制御手段の第
2の例は、電源装置にプログラム可能制御装置(PLC)を使用することによっ
て電流を直接制御することで行うことである。
【0048】 電気化学的フッ素化電解槽に流す電流を中断させることによって、フッ素化工
程においていくつかの利点を得ることができることが分かった。具体的に述べる
と、電気化学的フッ素化電解槽の電気抵抗(単位Ω)は、中断されない電流を反
応溶液に流すこと以外は同一条件にある同種の電解槽の電気抵抗よりも減少させ
ることができる。便宜的に、フッ素化電解槽の抵抗を「正規化抵抗」という言葉
で説明することができる。本明細書の説明で使用される「正規化抵抗」は、フッ
素化電解槽の抵抗の測定値を意味し、次式: Rn=(Vavg−Vo)/電流密度 (1) に従って計算される。式1において、Vavgは電解槽の平均電圧であり(電流が
中断される場合に平均高位電圧(Ve)を使用することができる)、Voは前述の
定義と同様である。正規化抵抗は抵抗×面積の次元を有し、例えば、Ω−ft2
またはΩ−dm2の単位を有する。本明細書の説明のために正規化抵抗を使用す
ると、所与のフッ素化電解槽およびフッ素化工程にいて正規化抵抗を比較的一定
であると見なすことができるので便利である。従って、正規化抵抗は、中断され
た電流による稼働と中断しない電流による稼働との間の向上度の便宜的な尺度と
なる。
【0049】 本発明により稼働される電気化学的電解槽の正規化抵抗は変動しうるが、代表
的なRnの範囲は約0.001〜0.05Ω−ft2の範囲内である。
【0050】 本発明の電気化学的フッ素化電解槽内の抵抗が低下することによって、電解槽
が中断されない電流で操作される場合の電圧よりも低い高位電圧(Ve)で電解
槽を稼働させることができる。この効果が図3に示されており、フッ素化電解槽
が中断されない電流条件で稼働する場合の電圧Vuと、中断される電流で稼働す
る場合の電圧(高位電圧)Veとの比較を示している。説明の仕方を変えると、
電解槽電圧が同じである場合は、電流が中断されない系と比較すると抵抗が減少
することによって電気化学的フッ素化電解槽を流れる電流量が増大する。これら
の利点によって、必要な電力量が減少した電気化学的フッ素化工程が提供され、
このため電気料が減少し、他の方法では除去しなければならないフッ素化工程中
に発生する熱量が減少し、ある種の基質と任意に使用される伝導性添加剤とのフ
ッ素化を実施する場合に不要な副生成物の生成を減少させることができる。
【0051】 本発明の実施の際、サイクル周期Pは、中断されない電流で稼働させる場合の
抵抗と比較して電気化学的フッ素化電解槽の抵抗が減少するという利点を得るた
めに十分である任意の周期であってよい。サイクル周期は0.4秒を下限とした
場合に有用であり、また1.5秒、3秒、10秒、30秒、150秒、300秒
のサイクル周期も有用であることが分かった。
【0052】 電流が上位電流および上位電圧における電流となるサイクル周期部分(本明細
書ではTeと表記される)、および低位電流および低位電圧における電流となる
サイクル周期部分(本明細書ではTrと表記される)は、フッ素化生成物を生成
するフッ素化工程が効率的に行われ、電解槽抵抗を比較的低くするために十分と
なる任意の時間であってよい。低位電流時間は非生産的であるので、絶対的な時
間と上位電流時間に対する時間との両方の意味で低位電流時間(Tr)は最小限
であることが好ましくなりうる。すなわち、基質のフッ素化は高位電流で稼働さ
れる場合に行われ、例えば、高位電流時間(Te)とサイクル時間またはサイク
ル周期(P)の比に比例した速度で行われる。従って、高位電流時の電流サイク
ル(Te)の割合が最大化されることが望ましく、低位電流の時間(Tr)が最小
化されることが望ましい。好ましい低位電圧時間(Tr)は全周期Pの50%未
満とすることができ、より好ましくは全周期Pの約20%未満、10%未満また
はそれ未満である。実際には、例えば、大規模生産の場合、低位周期Trは好ま
しくは約1〜5秒の範囲内、例えば、3秒とすることができ、高位周期Teは1
50秒、200秒、または300秒が好ましい。また実際に稼働を最適化するた
めに、高位電圧が段階的に上昇する場合は、上位周期Teを短くすることができ
、反対に高位電圧が減少するか比較的低い場合には、高位周期をTeを長くする
ことができる。
【0053】 本発明による調製することができる化合物の種類(「電気化学的フッ素化生成
物」または「フッ素化生成物」)は多様であり、これは基質の化学的性質に主に
依存する。一般に、所望のフッ素化生成物は基質のフッ素化またはペルフルオロ
化類似体であり、すなわちフッ素化生成物は基質と同様の長さの炭素主鎖を有し
、炭素に結合した水素の1つ以上がフッ素で置き換わったものである。好ましく
は、フッ素化生成物は実質的にペルフルオロ化される。炭化水素アルカンから調
製可能なフッ素化生成物の具体的な例としては、約2〜20個の炭素原子を有す
るペルフルオロアルカンなどのペルフルオロアルカン、例えば、ペルフルオロエ
タン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロヘキサン、ペ
ルフルオロオクタンなどが挙げられる。
【0054】 本発明の方法を実施することが可能な電気化学的フッ素化電解槽(本明細書で
は「電解槽」または「フッ素化電解槽」とも呼ぶ)は電気化学的フッ素化技術分
野において公知である任意の従来の電気化学的フッ素化電解槽であってよい。一
般に、好適なフッ素化電解槽は、反応溶液を入れることができる反応容器を含む
電解槽本体と、反応溶液中に入れることができ反応溶液の電流の通路となる電極
とを含む構成部分で構成されることができる。一般に、比較的大規模の設定では
、本発明の実施に有用な電解槽は、炭素鋼で通常構成される電解槽本体を含むこ
とができ、その中に狭い間隔で交互に配列した一連のカソード板(常にではない
が通常は鉄、ニッケル、またはニッケル合金製)およびアノード板(常にではな
いが通常はニッケル製)を含む電極パックがつり下げられる。これらの板は反応
溶液に浸漬され、電極に電圧がかけられ、反応溶液に電流が流される。
【0055】 本発明の実施において有用となりうる電気化学的フッ素化電解槽は、例えば米
国特許第2,519,983号、英国特許第741,399号および第785,
492号に記載されている。他の有用な電気化学的フッ素化電解槽としては電気
化学的フッ素化技術分野においてフローセルとして公知である種類のものが挙げ
られる。フローセルは、1組(それぞれ1つ)、スタック、または一連のアノー
ドおよびカソードを具備し、強制循環によって反応溶液がアノードおよびカソー
ドの表面に流される。これらの種類のフローセルは一般に単極フローセル(従来
の電気化学的フッ素化電解槽のように1つのアノードと1つのカソードとを有し
、任意に2つ以上の板の形態である)、および双極フローセル(一連のアノード
およびカソードを有する)と呼ばれる。双極フローセルは、例えば米国特許第5
,474,657号に記載されている。
【0056】 Simons電気化学的フッ素化法および電解槽のその他の詳細は省略するが
、前述の引用文献におけるこれらの技術の開示から詳細を参照することができる
【0057】 特に好ましい実施態様では、本発明の方法は、アルカン基質を無水フッ化水素
を含む電気化学的フッ素化電解槽(例えば、Simons電解槽またはフローセ
ル)に投入するか、または電解槽に無水フッ化水素を同時にまたは後で加えるこ
とによって行うことができる。好ましくは、反応溶液がフルオロケミカル相とフ
ッ化水素相とを含み、アルカン基質はフルオロケミカル相に溶解した溶質として
電解槽に投入することができ、フルオロケミカル相は電解槽に連続的に供給およ
び/または再循環される。
【0058】 任意であるが好ましくは、独立供給デカンターはフルオロケミカル相に溶解し
たアルカン基質(供給流)の貯蔵槽を含むことができ、次にこれが電解槽に供給
される。このようなデカンターは供給流の温度を制御することができ、それによ
って供給流中の基質(例えば、アルカン)濃度を制御することができる。
【0059】 具体的には、フルオロケミカル相に基質が溶解しフルオロケミカル相が基質で
飽和されるような基質量で、基質とフルオロケミカルの両方をデカンター内に収
容し混合することができる。このことは、過剰の基質をデカンターに投入して、
分離した基質相がフルオロカーボン相上に形成されるようにすることで容易に実
施可能である。電解槽に流される基質量は、フルオロケミカル相に溶解する基質
量に依存し、フルオロケミカル相に対する基質の溶解性は温度に依存するため、
溶解する基質量はフルオロケミカル相の温度に依存する。従って、デカンターの
設定値を変化させることによって、供給流中、従って電解槽のフッ化炭化水素中
、ならびに電解質中の基質濃度を制御および操作することができる。このような
供給流温度の制御によって、電解槽内で基質相が分離するのを防止することがで
きる。一般に、供給流の温度は電解槽の稼働温度より低温が好ましく、好ましく
は電解槽の稼働温度よりも少なくとも約5℃低温、より好ましくは電解槽の稼働
温度よりも少なくとも約10℃低温、例えば、15または20℃低温である。
【0060】 比較的低い温度でフルオロケミカル相を供給することによって、供給流中、従
って反応溶液のフルオロケミカル相中のアルカン基質量が、電解槽内の稼働温度
におけるフルオロケミカル相またはフッ化水素相のいずれかの溶解性の限界を超
えないようにすることができ、これによってアルカン基質の分離相の形成を防止
できる。この手順によって、供給過剰(基質がフッ素化され生成物として除去さ
れる速度よりも速く基質を電解槽を加える)を防止でき、タールの形成、電流ブ
ロッキング、および電極の汚染が有意に減少することが分かった。
【0061】 本発明の方法のこの実施態様の説明を図8に示す。この図では、アルカン基質
6で飽和させたフルオロケミカル相溶液2が供給デカンター4に収容されている
。このデカンターは、有機供給原料のアルカン相6も含んでいる。フルオロケミ
カル相2は、無水フッ化水素(電解質相10)と任意に初期量のフルオロケミカ
ル相12とを含む電気化学的フッ素化電解槽8に供給される。電解槽は、任意で
あるが好ましくはフルオロケミカル相12とフッ化水素電解質相10の量を監視
するためのサイトグラス管14を備える。電気化学的電解槽は、排出弁(図示し
ていない)を備えることができ、これはフッ素化生成物を取り出すためと、フル
オロケミカル相(好ましくはフッ素化生成物を含む)を一部をデカンターに再循
環させる循環ポンプ16に任意に接続するためのものである。循環ポンプは、ア
ルカン基質をフルオロケミカル化合物相に移動させ、さらに電解質相に移動させ
る混合工程を向上させ、さらに電極を行き来するアルカン基質量を増大させるこ
とによって電解槽の性能を向上させることが分かった。電解槽は、フルオロケミ
カル相および/またはフルオロケミカル生成物のフッ化水素、アルカン基質、お
よびフルオロケミカルを含む蒸気を濃縮し、これを電解槽に戻すことができる冷
却濃縮装置18を任意に取り付けることができる。
【0062】 電気化学的フッ素化分野の熟練者であれば理解できるであろうが、フルオロケ
ミカル相の溶質として基質供給原料が電解槽に供給される図8に示す本発明の実
施態様は、フローセル装置、双極フローセル装置、および従来のSimons電
解槽装置を含む異なる種類のECF設備に有用であり、パルス状、中断、または
連続的な電流を使用する場合に有用であり、任意の種類の基質を使用する場合に
も有用であると思われる。この実施態様は任意の基質に有用であるが、フッ化水
素に対して比較的非溶解性でありそのため電気化学的フッ素化電解槽内で分離相
を形成する傾向にあるアルカン、特にオクタンなどの高級アルカンなどの基質に
特に有用となると思われる。
【0063】 実施例1 ブライン温度が0℃および−40℃である2つのオーバーヘッド凝縮装置、0
.40ft2(3.7dm2)ニッケル製アノード、生成物を取り出すための外部
ループ、およびサイクルタイマーを有する電圧制御装置を備えた、米国特許第2
,713,593号に記載される種類の2.5lの電気化学的フッ素化電解槽に
、1000gのC614と41gのDMDS、および40gのヘキサンを投入し
、次に無水HFを満たした。35psig、45℃で稼働する電解槽にヘキサン
を連続的に供給し、電流を50A/ft2(5.4A/dm2)電圧を比較的一定
の5.3Vに調節した。電解槽電圧を4V未満(Vr)まで4秒間降下させて電
流を実質的に0にすることによって80秒ごとに電流を中断させた(Te=80
秒、Tr=4秒)。
【0064】 電解槽を約140時間稼働させた場合、電流は100A/ft2(10.8A
/dm2)に増大した。平均電解槽上位電圧Ve(Teの間の電圧)は最初約6.
2Vで、数日間で約5.4Vまで段階的に降下した。電解槽を約370時間稼働
させると、電流は150A/ft2(16.1A/dm2)まで増大し、Veは残
りの可動時間で5〜6Vの間を維持し、さらに500時間安定状態が持続した。
この間の正規化抵抗は約0.0083Ω−ft2(0.077Ω−dm2)(使用
したVoの値は4.2であり、電流密度は平均上位電流密度を使用して計算した
)であった。循環フルオロケミカル生成物相中4〜6%の一定のヘキサン濃度を
するためにヘキサンを供給した。一時中断して、電解槽中にフルオロケミカル相
が存在するように維持しながら生成物の一部を取り出した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電流対処理時間のグラフであり、電流は本発明により中断される。
【図2】 電流対処理時間のグラフであり、電流は本発明により中断される。
【図3】 電圧対処理時間のグラフであり、電圧は本発明により変動する。
【図4】 電圧対処理時間のグラフであり、電圧は本発明により変動する。
【図5】 電力対時間のグラフであり、電力は本発明により変動する。
【図6】 伝流対時間のグラフであり、電流は本発明により正弦波上に中断(変動)する
【図7】 フッ素化工程中の電気化学的フッ素化電解槽の電流対端子電圧のグラフである
【図8】 本発明の実施態様を概略的に示しており、フッ素化生成物(フルオロケミカル
相)は再循環してデカンターのアルカン基質供給原料と混合され、基質はフルオ
ロケミカル相中の溶質として電解槽に供給される。

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカンの電気化学的フッ素化方法であって、前記方法が、 炭素に結合した水素を少なくとも1つ含むアルカン基質を供給する工程と、 前記アルカン基質とフッ化水素とを含む反応溶液を調製する工程と、 前記アルカン基質の1つ以上の水素をフッ素で置き換えるのに十分な電流を前
    記反応溶液に流す工程と、 を含み、前記電流は高位電流と低位電流とを含む電流量で定義される電流サイク
    ルによって中断され、 前記電流サイクルの周期が約300秒未満であり、 前記電流が、中断された電流で稼働する前記電解槽の抵抗が中断されない電流
    で稼働する前記電解槽の抵抗よりも低くなるような方法で中断される方法。
  2. 【請求項2】 前記高位電流によって前記反応溶液に流れる電流密度が約1
    0〜400mA/cm2の範囲内となる請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記低位電流が実質的に0である請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記低位電流が約0〜2mA/cm2の範囲内である請求項
    3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記電解槽の電圧が高位電圧と低位電圧で定義されるサイク
    ルによって変動する請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記高位電圧が前記フッ素化反応の0電流切片よりも大きい
    請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記高位電圧が約4.2〜9Vの範囲内である請求項6に記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 前記低位電圧が約4.2V未満である請求項5に記載の方法
  9. 【請求項9】 前記反応溶液に供給される電力が高位電力と低位電力の間を
    変動する請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記電流サイクルの周期が0.4秒以上である請求項1に
    記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記電流サイクルの周期が10秒以上である請求項10に
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記電流が前記サイクルの50%未満低下する請求項1に
    記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記電流が前記サイクルの25%未満低下する請求項1に
    記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記電流が前記サイクルの約1〜10%低下する請求項1
    に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記反応溶液が伝導性添加剤をさらに含む請求項1に記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 前記反応溶液が伝導性添加剤を実質的に含まない請求項1
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記アルカン基質が、ヘキサンまたはオクタンの1種類以
    上を含む請求項1に記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記有機基質および前記反応溶液がフローセル中に供給さ
    れる請求項1に記載の方法。
  19. 【請求項19】 アルカン基質の電気化学的フッ素化方法であって、前記方
    法が、 炭素に結合した水素を少なくとも1つ含むアルカン基質を供給する工程と、 前記アルカン基質とフッ化水素とを含む反応溶液を調製する工程と、 前記反応溶液に電流が流れて前記アルカン基質の1つ以上の水素のフッ素によ
    る置換を起こすのに十分な電圧を前記反応溶液にかけ、前記電圧が高位電圧と低
    位電圧とを含む電圧量で定義されるサイクルに従って変動する工程と、を含み、 前記電圧サイクルの周期が約300秒未満であり、 電圧を変動させて稼働させた前記電解槽の抵抗が電圧を変動させずに稼働させ
    た前記電解槽の抵抗よりも低くなるような方法で前記電圧が変動させられる方法
  20. 【請求項20】 前記高位電圧が0切片電流電圧(Vo)より高く、前記低
    位電圧が前記0切片電流電圧(Vo)よりも低い請求項19に記載の方法。
  21. 【請求項21】 炭素に結合した水素を少なくとも1つ含む基質を供給する
    工程と、 前記基質が溶解性であるフルオロケミカルを供給する工程と、 電気化学的フッ素化電解槽を供給する工程と、 フッ化水素を供給する工程と、 前記基質をフルオロケミカルに加えて基質を前記フルオロケミカルに溶解させ
    る工程と、 前記フッ化水素を前記電気化学的フッ素化電解槽に投入する工程と、 基質が溶解した前記フルオロケミカルを前記フルオロケミカル電解槽に投入す
    る工程であって、基質が溶解した前記フルオロケミカルは前記フッ化水素の温度
    より低温である工程と、 前記基質の1つ以上の水素のフッ素による置換を起こすのに十分な電流を前記
    電解槽に流す工程と、を含む電気化学的フッ素化方法。
  22. 【請求項22】 フルオロケミカルに溶解させた基質を含み前記基質が炭素
    に結合した水素を少なくとも1つ含む供給流を供給する工程と、 フッ化水素とフルオロケミカル相とを含む電気化学的フッ素化電解槽を供給す
    る工程と、 前記供給流を前記電解槽に供給する工程であって、前記供給流の温度が前記電
    解槽の稼働温度よりも低温である工程と、 前記基質の1つ以上の水素のフッ素による置換を起こすのに十分な電流を前記
    電解槽に流す工程と、を含む電気化学的フッ素化方法。
  23. 【請求項23】 前記供給流の温度が前記電解槽の稼働温度より少なくとも
    約5℃低い請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記電流が前記方法の間に中断される請求項22に記載の
    方法。
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