【発明の詳細な説明】
水系スルホン化ポリマー組成物 発明の属する技術分野
本発明は、水系ポリマー、特に、向上した機械特性および接着特性を示す水系
スルホン化ポリマー組成物の製造法に関する。
発明の背景
水系スルホン化ポリマー組成物の製造を開示するいくつかの特許が存在する。
米国特許第5,334,690号(Hoechst AG)は、水系スルホン化ポリウレタン-尿素
ポリマーを開示し、このポリマーは、一般に、他の水性ポリマー分散体に対し相
溶性を示して、このような他の水性ポリマー分散体と混合することができる。
米国特許第4,888,383号(E.I.DuPont De Nemours and Company)は、水系ポリウ
レタン-尿素変性アクリル系ポリマーの製法を開示し、このポリマーは、アミン
および/またはヒドラジド官能性ボリアクリル系ポリマーをイソシアネート末端
ポリウレタンポリマーと反応させて製造している。
米国特許第4,491,646号(Ashland)は、ヒドロキシルル官能性ポリビニルポリ
マーを水分散性多官能性イソシアネートにブレンドした接着剤を開示する。
他の関連特許には、米国特許第5,371,133号(National Starch)、米国特許第5,
200,463号(Huels)、米国特許第5,204,404号(DuPont)、米国特許第5,173,526号(
Air Products & Chemicals,Inc.)および米国特許第5,071,904(PPG)が包含さ
れる。
発明の概要
本発明は、
(A)(1)少なくとも1つのポリイソシアネートおよび
(2)スルホネート基がアルカリ金属塩の形態で存在する少なくとも1
つのスルホン化ポリエステルポリオール
を含んでなる少なくとも1つの水系スルホン化ポリウレタン-尿素ポリマー:
(B)(1)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび
(2)所望による、活性水素原子を含む少なくとも1つのフリーラジカ
ル反応性保護コロイド
を含んでなる少なくとも1つの水性ポリビニル分散体:
および、所望により
(C)(1)(a)少なくとも1つのポリイソシアネートおよび
(b)スルホネート基がアルカリ金属塩の形態で存在する少なくと
も1つのスルホン化ポリエステルポリオール
を含んでなる、少なくとも1つのイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー
;および
(2)(a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび
(b)所望による、活性水素原子を含む少なくとも1つのフリーラ
ジカル反応性保護コロイド
を含んでなる少なくとも1つの水性ポリビニル分散体;
の反応生成物である、少なくとも1つのスルホン化ポリウレタン-ビニルポリマ
ー組成物:
を含む水系スルホン化ポリマー組成物を開示する。
驚くべきことに、スルホン化ポリマー組成物は、向上した機械特性および接着
特性を有すると共に、約2.0よりも大きいpH値で安定性を示す。これらの特異
的な特性のうち、ある種のものは、相互侵入ポリマー網状体の形成およびポリウ
レタンポリマーのポリオールセグメント中に存在するスルホネート特性に基づく
ものと、考えられる。
本発明の組成物は、紙や木材や金属やコンクリートやガラスや布や合成ポリマ
ーなどを含め、種々の基材に対する接着剤、バインダー、被膜およびプライマー
として有用であり、またガラス繊維のサイジングや木材加工や自動車の処理やフ
ィルム積層や靴の製造などを含む他の用途にも有用である。
本発明の別の要旨によれば、本発明は、イソシアネート末端ポリウレタンプレ
ポリマーを、一級アミン、二級アミン、一級ヒドロキシル基、二級ヒドロキシル
基およびホルムアミド基を含むことができる水性ポリビニル分散体中に分散させ
てなる、スルホン化ポリマー組成物の製法を開示する。この製法は、次の工程を
含む。
(A)(1)少なくとも1つのポリイソシアネートと(2)スルホ基がアルカリ
金属塩の形態で存在する少なくとも1つのスルホン化ポリエステルポリオールと
を反応させることによって、水分散性イソシアネート末端ポリウレタンプレポリ
マーを形成し、
(B)(1)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーと(2)所望による、
活性水素原子を含む少なくとも1つのフリーラジカル反応性保護コロイドとをフ
リーラジカル重合させることによって、水性ポリビニル分散体を形成し、次いで
(C)上記生成物(A)を上記成分(B)中に分散させる。
本発明の別の要旨によれば、本発明は、水系スルホン化ポリマー組成物および
播種乳化重合による水系スルホン化ポリマー組成物の製法を開示する。この組成
物は、(a)少なくとも1つのスルホン化ポリウレタン分散体と、(b)少なくと
も1つのエチレン性不飽和モノマーを含んでなる、少なくとも1つの水性エチレ
ン性不飽和モノマープレエマルジョン(pre-emulsion)と、(c)重合開始剤と
の反応生成物を含む。
以上の水系スルホン化ポリマー組成物の製法は、次の工程を含む。
(a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーおよび所望により少なくと
も1つの界面活性剤を含んでなる、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー
プレエマルジョンを含む水性プレエマルジョンを形成し、
(b)この水性プレエマルジョンを少なくとも1つのスルホン化ポリウレタン
分散体と、所望により、重合開始剤溶液および還元剤溶液の存在下に反応させる
。
本発明の別の要旨によれば、本発明は、ポリウレタン/ポリビニルハイブリッ
ド型ラテックスおよびこのようなラテックスの播種乳化重合による製法を開示す
る。ハイブリッド型ラテックスは、
(a)播種として使用される、少なくとも1つのスルホン化ポリウレタン分散
体、
(b)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含んでなる、少なくとも
1つの水性エチレン性不飽和モノマープレエマルジョン、および
(c)少なくとも1つのフリーラジカル重合開始剤
の播種乳化重合反応生成物を含む。
図面の簡単な説明
図1は、実施例6製造のラテックス(水系スルホン化ポリマー組成物)に関す
る、播種ポリウレタンの粒径分布(点線)を最終のハイブリッド型粒径分布(実
線)の関数として示すグラフである。
図2は、実施例7製造のラテックス(水系スルホン化ポリマー組成物)に関す
る、播種ポリウレタンの粒径分布(点線)を最終のハイブリッド型粒径分布(実
線)の関数として示すグラフである。
発明の詳細な説明
スルホン化ポリマー組成物は、対応する水系スルホン化ポリウレタン-尿素ポ
リマー、水性ポリビニル分散体およびそれらの単なるブレンドに比し、向上した
機械特性および接着特性を示す。本発明のためには、ポリビニル分散体には、エ
チレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリレートモノマーの付加重合生
成物の分散体が包含される。また、本明細書に用いられる「ポリウレタン」なる用
語は、1またはそれ以上のウレタン基を含むポリマーを意味し、同様に、この用
語には尿素基を含むポリウレタン(ポリウレタン-尿素)も包含される。前記し
た特異的な特性のうち、ある種のものは、相互侵入ポリマー網状体の形成に基づ
くものと考えられる。本明細書に用いられる「相互侵入ポリマー網状体(IPN)」
なる用語は、少なくとも2つの非類似または異なるポリマーを含んでなる架橋系
および/または半架橋系を意味する。IPNは、さらに"Hand book of Adhesives",
Irving Skeist,3版、1章、18頁、Van Nostrand,NY,1990年に記載されている。
本明細書に用いられる「ハイブリッド型」なる用語は、2またはそれ以上の異な
るポリマーからなるポリマーを意味する。これらの異なるポリマーは、共有結合
してもよく、また共有結合しなくともよい。
本発明において、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、一級アミ
ン、二級アミン、一級ヒドロキシル基および二級ヒドロキシル基のような活性水
素原子を含むことができる水性ポリビニル分散体中に分散すると、この水性ポリ
ビニル分散体と相互に作用し、これにより、相互侵入ポリマー網状体および架橋
網状体を形成する。このような相互反応の頻度は、各ポリマー分散体中に存在す
るイソシアネートおよび活性水素原子の量に影響されうる。架橋密度は、活性水
素原子が粒子表面上に分布するような構造化(structured)水性ポリビニル分散
体を用いて増加させることができる。構造化粒子は、活性水素原子を含むエチレ
ン性不飽和モノマーをフリーラジカル乳化重合工程の最後に添加することによっ
て形成することができる。このような粒子形態によって、イソシアネート/活性
水素原子反応の衝突頻度が改善され、組成物の架橋密度が増加するものと、考え
られる。
分散粒子は、スルホン化ポリウレタン-尿素ポリマー、ポリビニルポリマーお
よびスルホン化ポリウレタン-ビニルポリマーからなるポリマーの複合体混合物
を含むことができる。複合体粒子混合物は、実質的に非類似または実質的に異な
るポリマーを拡散させて、隣接した粒子を相互に反応または架橋させることによ
って形成することができる。このような拡散工程は、粒子表面上にポリマーを有
する場合と異なって、粒子の内部にポリマーを有するような粒子を形成すること
ができる。主成分としてポリウレタン-尿素をベースとする粒子の表面において
実質的にポリビニル系ポリマーを有する粒子、または主成分としてポリビニルを
ベースとする粒子の表面において実質的にポリウレタン-尿素系ポリマーを有す
る粒子が例示される。このような表面層は、連続層または非連続層であってよく
、その厚みを変化させることができる。粒子表面層が、実質的な厚みを有する場
合や連続層である場合には、粒子は、コアー-シェル型構造に接近する。
本発明のイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、モノイソシアネー
トおよびポリイソシアネートを用いて、形成することができる。イソシアネート
は、直鎖脂肪族、環式脂肪族、芳香族およびそれらの混合物であってよい。市販
のポリイソシアネートの例には、Vestanat(登録商標)IPDI(イソホロンジイソ
シアネート、HULS America Inc.,Piscataway,NJ)、TMXDT(登録商標、テ
トラメチルキシレンジイソシアネート、Cyanamid,Wayne,NJ)、Luxate(登録商標
)HM(ヘキサメチレンジイソシアネート、Olin Corporation,Stamford,CN)、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(Upjon Polymer Chemicals,Kalamazoo,MI)、Des
modur(登録商標)W(ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(Bayer
Corporation,Pittsburgh,PA,)およびトルエンジイソシアネート(TDI)が包含
される。好適なジイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートおよびそれらの混合物である。
所望により、2.1よりも大きいイソシアネート含量を有する、少量のポリイソ
シアネートを使用することができる。加えて、ヘキサメチレンジイソシアネート
、イソホロンジイソシアネートおよびトルエンジイソシアネートから調製される
変性ポリイソシアネートも使用することができる。このようなポリイソシアネー
トは、ウレタン、ウレチドン、イソシアヌレート、ビウレットおよびそれらの混
合物を含め、種々の官能基を有することができる。
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの製造に使用される、スルホン
化ポリエステルポリオールは、約20〜約140、好適には約40〜約110のヒドロキシ
ル価(ASTM試験法E-222-67(方法B)によって測定)を有することができる。ポ
リオールは、二酸、ジオール、スルホネートジオールおよびスルホネート二酸の
ような成分を形成することができる。このようなポリオールおよびその製造は、
さらに米国特許第5,334,690号に開示され、この開示をもって本明細書の記載と
する。好適なスルホン化ポリエステルポリオールは、5-スルホイソフタル酸モノ
ナトリウム塩、アジピン酸および1,6-ヘキサンジオールおよび/またはジエチレ
ングリコールをベースとする。ポリオールセグメントに存在するスルホネート特
性は、低下したpHでのポリマーの分散性および安定性を向上させるものと、考
えられる。
所望により、非スルホン化ポリマージオールを、スルホン化ポリエステルポリ
オールと組み合わせて使用することができる。このようなポリオールは、約20〜
約140、好適には約40〜約110のヒドロキシル価を有することができる。非スルホ
ン化ポリマーポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリアセタ
ールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール
、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオールおよびそれらの
混合物が包含される。
アルキレンジオールは、イソシアネート末端プレポリマーの製造に使用するこ
とができる。アルキレンジオールは、約130〜約1250、好適には約950〜約1250の
ヒドロキシル価を有することができる。好適なアルキレンジオールには、1,4-ブ
タンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび2-メチル-1,3-プロパンジオールが
包含され、これらアルキレンジオールは、イソシアネート末端ポリウレタンプレ
ポリマーにおいて約0.1〜約10.0重量%、好適には約0.5〜約5.0重量%(プレポ
リマー固体全量100部を基準)で存在する。
多価ポリオールも、ポリウレタン-尿素ポリマーの製造に使用することができ
る。好適な例には、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリ
オール、1,2,6-ヘキサントリオールおよびそれらの混合物が包含される。好適な
多価ポリオールは、トリメチロールプロパンである。このポリオールは、イソシ
アネート末端ポリウレタンプレポリマー固体全量100部に基づき、約0.1〜約1.0
重量%、好適には約0.3〜約0.7重量%の範囲で存在することができる。
所望により、ジヒドロキシカルボン酸を、イソシアネート末端ポリウレタンプ
レポリマーの製造の際に使用することができる。好適なジヒドロキシカルボン酸
は、ジメチロールプロピオン酸である。ジヒドロキシカルボン酸成分は、ポリウ
レタンプレポリマー固体全量100部に基づき、約0.05〜約1.0重量%、好適には約
0.2〜約0.5重量%の範囲で存在することができる。
ジヒドロキシカルボン酸基の中和は、水酸化アルカリ金属、有機三級アミン、
アンモニアおよびそれらの混合物のような化合物で達成することができる。好適
な中和剤は、水酸化ナトリウムおよびトリエチルアミンである。酸基のイオン基
(塩)への変換は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーのポリビニル
分散体混合物中への分散前または分散と同時に達成することができる。
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、化学量論量過剰のポリイソ
シアネートをポリオール成分と反応させることによって製造される。これらの反
応体は、得られるイソシアネート割合がイソシアネート末端ポリウレタンプレポ
リマー固体全量100部に基づき約1.0〜約10.0重量%、好適には約2.0〜約5.0重量
%となるような、比率で存在させる。プレポリマーは、温度約30〜約110℃、好
適には約65〜約85℃で処理することができる。
付加的に、少量の触媒を用いて、ヒドロキシ/イソシアネート反応を促進させ
ることができる。触媒は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー固体全
量100部に基づき約0.05〜約2.0重量%、好適には約0.13〜約0.15重量%の範囲で
存在することができる。その例には、Metacure(登録商標)T-12(有機スズ化合
物、Air Products and Chemicals,Inc,Allentown,PA)が包含される。
エチレン性不飽和モノマーには、モノ不飽和モノマー、ポリ不飽和モノマーお
よびそれらの混合物が包含される。その例には、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-プロピル、
アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、エチレン性不飽和フマレート、エチ
レン性不飽和マレエート、スチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタ
ンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコ
ールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびペンタ
エリトリトールトリアクリレートが包含される。
アニオン性および/またはイオン性基を含有するエチレン性不飽和モノマーも
使用することができる。このようなモノマーの例には、アクリル酸、メタクリル
酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、メサコン酸、マレイン酸、シトラコン
酸および/またはそれらの対応するイオン性基が包含される。これらのモノマー
は、組成物固体全量100部に基づき、約0.1〜約25.0重量%、好適には約0.1〜約1
0.0重量%の範囲で存在することができる。
活性水素原子を含有するエチレン性不飽和モノマーも、使用することができる
。本明細書に用いられる「活性水素原子」なる用語は、Zerewitinoffテスト(Kohl
erin,J.Am.Chem.Soc.,49,3181(1927))に従い活性を示すような水素
を意味する。その例には、アクリル酸ヒドロキシエチル、アリルアルコール、ア
リルアミン、N-メチロールアクリルアミド、グリコールのモノアクリル酸エステ
ル、イタコン酸および3-アミノクロトン酸メチルが包含される。
本発明の水性ポリビニル分散体を製造するために、アミンおよびヒドロキシル
官能性保護コロイドを使用することができる。好適な例には、水分散性ポリビニ
ルアルコール-コポリ(ビニルアミン)ポリマー(EP 0599245、譲受人:Air Pro
ducts & Chemicals,Inc.Allentown,PA)が包含される。このような保護コロイド
は、アミン約0.5〜約3.5meq./g、好適には約1.0〜約3.0meq./gのアミン含量を有
することができる。数平均分子量は、約10,000〜約350,000g/モル、好適には約3
0,000〜約250,000g/モルの範囲であってよい。このようなコロイドは、ポリアク
リル系固体全量100部に基づき、約0.1〜約20.0重量%、好適には約0.5〜約5.0重
量%の範囲で存在することができる。乳化共重合工程の間にグラフト反応が起こ
るようである。グラフト共重合法は、”Polyvinyl Alcohol Developments”(編
者:C.A.Finch;John Wiley & Sons,New York,1992,449〜453頁)に記載されて
いる。
また、特殊なモノマーを水性ポリビニル分散体中に混和させることができ、こ
のモノマーには、オルガノ-シランカップリング剤(米国特許第4,745,028号(PPG
)および米国特許第5,236,982号:Owens-Corning)、イミダゾリジノン官能性湿
潤接着モノマー(米国特許第5,496,907号、H.B.Fuller Co.,St.Paul,MN)および
Vinamer EFモノマー(N-エテニルホルムアミド、Air Products and Chemicals,I
nc,Allentown,PA)が包含される。
Vinamer EFモノマーは、水性ポリビニル分散体中に混和すると、その結合ホル
ムアミド基が、水酸化ナトリウム、塩酸および硫酸を含む塩基または酸のような
触媒の使用によって一級アミンに加水分解することができる。得られたアミン官
能性ポリビニルは、本発明の方法の反応成分として使用することができる。
水性ポリビニルは、この分野で既知の原料およびフリーラジカル重合法を用い
て形成することができる。例えば、付加重合法に使用されるフリーラジカル重合
開始剤は、水溶性重合開始剤、油溶性重合開始剤またはそれらの混合物であって
よい。その例には、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸ア
ンモニウム、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2.アゾビス(2-
メチルプロパンニトリル)および混合物、例えばt-ブチルヒドロペルオキシド、
Fe・EDTAおよびイソアスコルビン酸が包含される。このような重合開始剤は、固
体全量100部に基づき、約0.05〜約1.5重量%、好適には約0.1〜約0.5重量%の量
で存在することができる。また、酸化触媒は、単独で使用でき、また還元剤、例
えばナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、第一鉄塩、亜ニチオン酸ナ
トリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムおよびチオ硫酸ナトリウム
と組み合わせて使用することができる。このような酸化還元触媒は、固体全量10
0部に基づき、約0.05〜約1.5重量%、好適には約0.1〜約0.5重量%の量で存在す
ることができる。
エチレン性不飽和モノマーは、この分野で既知のフリーラジカル重合法を用い
て重合される。フリーラジカル重合開始剤は、一度に加えてもよいし、時間の経
過につれてゆっくり添加してもよいし、また初めに充填量の一部を添加し、その
残部を時間の経過につれてゆっくり添加してもよい。
フリーラジカル重合は、温度約5〜約85℃、好適には約25〜約80℃の範囲で実
施することができる。
本発明の水系スルホン化ポリマー組成物は、次のような方法を用いて形成され
る:イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、一級アミン、二級アミン
、一級ヒドロキシル基、二級ヒドロキシル基およびホルムアミド基を含むことが
できる水性ポリビニル分散体中に分散させる。また、イソシアネート末端ポリウ
レタンプレポリマーを水中に分散させ、次いで直ちに水性ポリビニル分散体にブ
レンドすることができる。所望により、水性ポリビニル分散体を、イソシアネー
ト末端ポリウレタンプレポリマーそれ自体または水中に分散したイソシアネート
末端プレポリマーポリマーに添加することができる。異なるこれらのポリマーは
、好適には、温度約25〜約95℃、好適には約45〜約75℃で合される。
アミン官能性水性ポリビニル分散体を用いる場合、ポリマー成分は、(アミン
活性水素)対(イソシアネート)の当量比が約1:10〜10:5、好適には約1:5
〜約5:1の範囲となるように、ブレンドすることができる。
所望により、一級および/または二級アミン含有水溶性化合物を、本発明のポ
リマー混合物と反応させることができる。好適なアミンの例には、モノエタノー
ルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンおよびアンモニアが包含さ
れる。
水系スルホン化ポリマー組成物は、粘度約10〜約1,000mPas、好適には約10〜
約500mPasを有することができる。粒径分布は、単一モードまたは多数モードを
有することができ、一般に平均直径約0.01〜約2.0ミクロンを有することができ
る。
水系スルホン化ポリマー組成物は、組成物全量の約20〜約70重量%、好適には
約35〜約55重量%の固形分を有することができる。
乾燥スルホン化ポリマー組成物は、単一または多数のガラス転移温度(Tg)約
−100〜約+200℃を有することができる。
また本発明は、とりわけガラス繊維サイジングに使用しうる水系スルホン化ポ
リマー組成物およびその製法を提供する。本発明の水系スルホン化ポリウレタン
ポリビニルハイブリッド型ラテックスは、前記したような、少なくとも1つのス
ルホン化ポリウレタン分散体と、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを
含んでなる少なくとも1つの水性エチレン性不飽和モノマープレエマルジョンと
、少なくとも1つのフリーラジカル重合開始剤との反応生成物を含む。
また本発明は、コアーおよび表面を含んでなる粒子を有する水系スルホン化ポ
リマー組成物を提供し、これらコアーおよび表面は、実質的に異なるポリマーを
含んでなり、コアーは、スルホン化ポリウレタンポリマー、スルホン化ポリウレ
タン-尿素ポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1
つのポリマーを含んでなり、表面は、主成分としてポリビニルポリマーを含む。
本発明の組成物は、スルホン化ポリウレタンまたはポリウレタン-尿素分散体(
播種として使用)の存在下に、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーをフ
リーラジカル播種乳化重合することによって、形成することができる。
米国特許第5,608,000号(Duanら)および米国特許第5,610,232号(Duan
ら)記載のようなスルホン化ポリウレタン分散体も、本発明の使用に好適である
。上記特許の具体例である2つのスルホン化ポリウレタン分散体、NP-4062およ
びNP-4073(生産会社:H.B.Fuller Co.)が本発明の使用に特に好適であるが、
スルホン化ポリウレタン-尿素分散体を含め、他のスルホン化ポリウレタン分散
体も同様に使用することができる。
水性エチレン性不飽和モノマーは、好適には、アクリレートモノマー、(メタ
)アクリレートモノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルモノマー、アク
リル系モノマー、アクリルアミドまたはそれらの混合物から選択することができ
る。その例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル
、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、ヘキ
サンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレートおよびペンタエリトリトールトリアクリレート
並びにそれらの混合物が包含される。好適には、エマルジョンを構成するモノマ
ーは、メタクリル酸メチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチ
ルおよびそれらの混合物を含む。しかしながら、アニオン性および/またはイオ
ン性基含有エチレン性不飽和モノマー、または活性水素原子含有エチレン性不飽
和モノマーのような、前記したエチレン性不飽和モノマーのいずれも同様に使用
することができる。好適な界面活性剤、例えばPluronic L64(BASF)または界面
活性剤の組み合わせをプレエマルジョンの製造に使用することができる。
一具体例によれば、(スルホン化ポリウレタン固体)対(ポリビニル固体)の
比率は、約9:1〜約1:9である。好適には、その比率は、約4:1〜約1:4、より
好適には約4:1〜約2:1である。
また本発明は、平均粒径が少なくとも200nmであるポリウレタンポリビニル粒
子を含んでなる水系スルホン化ポリウレタンポリビニルハイブリッド型ラテック
スを提供する。
播種乳化重合によって形成した水系スルホン化ポリマー組成物は、少なくとも
約350psiの高い重ね剪断強度を特徴とする。
また本発明は、前記ポリウレタンポリビニルハイブリッド型ラテックスの製法
を提供する。この製法は、次の工程を含む:少なくとも1つのエチレン性不飽和
モノマーを含んでなる水性プレエマルジョンを形成する工程(このプレエマルジ
ョンは、少なくとも1つのアクリレートおよび所望により界面活性剤を含む);
および水性プレエマルジョンを少なくとも1つのスルホン化ポリウレタン分散体
と、少なくとも1つのフリーラジカル重合開始剤の存在下に反応させる工程。
水性ポリビニルプレエマルジョンは、エチレン性不飽和モノマーを、界面活性
剤と共に水中に分散させ、得られた混合物を撹拌することによって形成すること
ができる。
次いで、ポリウレタンポリビニルラテックス分散体は、t-ブチルヒドロペルオ
キシドのような重合開始剤溶液、亜硫酸水素塩のような還元剤溶液およびプレエ
マルジョンをポリウレタン分散体に添加することによって形成される。これとは
別の態様として、重合開始剤をプレエマルジョンまたはポリウレタン分散体中に
予め存在させてもよい。混合物を、50〜100℃、好適には65℃で所定の期間反応
させる。
水系スルホン化ポリマー組成物の特性は、界面活性剤、消泡剤、融合助剤、防
カビ剤、殺菌剤、多官能性架橋剤、可塑剤、増粘剤、充填材、顔料、反応性顔料
、顔料分散剤、着色剤、芳香性物質、UV安定化剤、錯生成剤、ロウ、油、難燃剤
、有機溶媒などを含め、種々の物質を添加することによって変性することができ
る。このような物質は、製造工程のいずれの段階でも導入することができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例
実施例では、以下の試験法を用いた。
引張強度および引張伸び
ポリマー分散体を流延して、厚み約20〜40ミルの乾燥フィルムを形成した。De
wes GumbsダイによってタイプVのダンベル形態に切断し、これを、相対湿度50
%および温度23℃の環境下に少なくとも24時間コンディショニングした。サンプ
ルを、ASTMD-638に従い、クロスヘッド速度5.0cm/分で実験した。
剪断強度
ポリマー分散体を、スチール、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS
)およびガラス上に被覆し、24時間乾燥した。同様な基材を、手によって押し付
けて接合し、次いで70℃で30分間加熱活性化した。0.5×1.0インチの接着面積を
有するサンプルを、ASTM D.1002に従い、クロスヘッド速度1.27cm/分で実験した
。
剥離強度
剥離強度は次のように測定した。予め切断したシート(10.5×12.75インチ、1
0ミル厚、艶出プレス処理した透明PVCを、イソプロピルアルコールで洗浄し、少
量のイソプロピルアルコールを含むガラス板またはアルミニウム板上に置いた。
過剰のイソプロピルアルコールを除去して、良好なシールを形成した。PVCの暴
露面をイソプロピルアルコールで洗浄した。ASTM規格D3223-87の方法に従い、PV
Cシート上に、5ミルのフィルムアプリケーターから接着剤フィルムを送り出し
て形成した。接着剤を室温で乾燥した。PVC第1シートと同様にして洗浄した、P
VC第2シートを、PVC第1被膜シート上に置いた。PVC接着剤サンドイッチを1イ
ンチ試験片に切断し、2時間乾燥した。
試験片をヒートシーラー内に入れ、未被覆PVCをその頭部に接触させた(頭部は
、190°Fに予熱、圧力は50psiに設定)。30秒の膨潤時間の後、接着ラインの温度
は、160°Fであった。各試験片につき、最小で6個の接着部分をヒートシールし
、合計接着面積は、1インチ×7インチであり、両端から1.5インチは結合してい
ない。
接着体を室温で試験前1〜2時間および1週間エージングした。試験は、Thwing
Albert Intellect 500によって、クロスヘッド速度12インチ/分で行った(予め
1インチ剥離し、記録した剥離は3インチであった)。
重ね剪断強度
サンプルをガラス上に被覆し、一夜乾燥させた。接着面積は、0.5×1.0in2で
ある。重ね剪断サンプルを160°Fで30分間維持した。次いで、ASTM D-1002に従
い、クロスヘッド速度0.5インチ/分で重ね剪断強度を測定した。測定は、相対湿
度50%および温度23℃の環境下に行った。実施例1
この実施例では、水系スルホン化ポリウレタン-ポリビニルポリマー組成物の
製造を説明する。本発明の組成物の特性を対応するポリマー成分と比較した。
コンパウンド1A
コンパウンド1Aは、反応性乳化剤を用いて製造した水性ポリビニル分散体であ
り、この乳化剤は、ポリビニルアルコール/ポリビニルアミンコポリマー(PVOH-
PVAM)(Air Products and Chemicals,Inc,Allentown,PA)である。
(1)反応器充填材 g
PVOH-PVAM(ビニルアミン6%、中程度の分子量)1.50
脱イオン水酢酸 350.00
酢酸 0.30
(2)プレエマルジョン
メタクリル酸メチル 155.00
アクリル酸n-ブチル 145.00
メタクリル酸 3.90
チオール酢酸 0.10
(3)ディレード(delayed)界面活性剤供給原料
T-Det 0-407(Harcrons) 7.50
脱イオン水 30.00
(4)重合開始剤供給原料
t-ブチルヒドロペルオキシド 1.28
脱イオン水 20.00
(5)還元剤供給原料
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド 0.92
脱イオン水 20.00
撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を備えた反応器に、反応器充填
材(1)を添加した。混合物を65℃に加熱し、30分間撹拌した。反応温度を65℃
に維持しながら、プレエマルジョン(2)および界面活性剤供給原料(3)
を3時間の期間にわたり添加した。重合開始剤供給原料(4)および還元剤供給
原料(5)を3.5時間にわたり添加した。原料を全て添加した後、分散体をさらに
30分間加熱した。ポリマーは、固形分33.2%およびpH2.65を有していた。
コンパウンド1B
コンパウンド1Bは、水系スルホン化ポリウレタン-尿素ポリマーである。
反応器に、2-メチル-1,3-プロパンジオール4.5g(ヒドロキシル価0.099)およ
び溶融Rucoflex(登録商標)XS-5570-55(95.4g、ヒドロキシル価0.093)(5-ス
ルホイソフタル酸モノナトリウム塩(4重量%)をベースとする、Ruco Polymer
Corporationから入手したスルホン化ポリオール)、アジピン酸およびジエチレン
グリコールを充填した。混合物に、イソホロンジイソシアネート39.96g、数滴の
ジブチルスズジラウレートを充填し、80℃で2時間加熱して、イソシアネート末
端ポリウレタンプレポリマーを製造した。
得られたイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを脱イオン水247.0g中
に70℃で、穏やかに撹拌しながら分散し、さらに65℃で2時間加熱した。
コンパウンド1C
コンパウンド1Cは、水系スルホン化ポリウレタン-ビニルポリマーである。
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー(コンパウンド1Bと同様な方法
で製造、温度80℃)139.86gを脱イオン水139.86g中に分散し、5分間撹拌した。
分散したプレボリマーに、アミンおよびヒドロキシル官能性ポリビニル分散体(
コンパウンド1A)341.5gを充填した。混合物を撹拌し、65℃で2時間加熱した。
水系スルホン化ポリウレタン-ビニルポリマーは、固形分40.2%およびpH6.4を
有する。
得られたコンパウンドは、ガラス、スチールおよびアクリロニトリル-ブタジ
エン-スチレンコポリマー(ABS)上で引張強度、引張伸びおよび剪断強度につい
て試験した。結果を以下の表1に示す。表1:引張強度、引張伸びおよび剪断強度 以上のデーターが示すように、スルホン化ポリウレタン-ビニルポリマー(コ
ンパウンド1C)は、コンパウンド1Aと1Bのブレンドに比し、向上した機械特性を
有する。またデーターは、コンパウンド1Cがコンパウンド1A、コンパウンド1Bお
よびそれらの50/50ブレンドに比し向上した接着特性を示し、本発明の有用性が
証明された。
実施例2
この実施例は、酢酸ビニルを用いる、水系スルホン化ポリウレタン-ビニルポ
リマーの製造を説明する。本発明のポリマー組成物の特性を、対応するポリマー
成分と比較した。
コンパウンド2A
コンパウンド2Aは、活性乳化剤として、ポリビニルアルコール−ポリビニルア
ミンコポリマー(PVOH-PVAM)(Air Products and Chemicals,Inc,Allentown,PA)
を用いる水性ポリ酢酸ビニル分散体である。
ポリマーは、実施例1(コンパウンド1A)と同様な方法で製造した。ただし、
酢酸ビニル265.0g、アクリル酸n-ブチル35.0g、メタクリル酸3.9gおよびチオ酢
酸0.10gを含むプレエマルジョンを用いた。得られたポリマー分散体は、固形分3
3.6%およびpH2.5を有する。
コンパウンド2B
コンパウンド2Bは、スルホン化ポリウレタンプレポリマーである。
ポリマーは、実施例1(コンパウンド1B)に記載したように製造した。コンパウンド2C
コンパウンド2Cは、水系スルホン化ポリウレタン-酢酸ビニルポリマーである
。
分散前にコンパウンド1Bと同様に製造したイソシアネート末端ポリウレタンプ
レポリマー139.86g(温度80℃)を、脱イオン水(温度70℃)247g中に分散し、
約10分間撹拌した。分散したプレポリマーに、コンパウンド2Aについて記載した
ようなアミンおよびヒドロキシル官能性ポリビニル分散体341.5gを充填した。混
合物を穏やかに撹拌し、65℃で2時間加熱した。得られた水系スルホン化ポリウ
レタン-酢酸ビニルポリマー組成物は、固形分35.5%およびpH6.5を有する。
得られたコンパウンドは、ガラス、スチールおよびアクリロニトリル-ブタジ
エン-スチレンコポリマー(ABS)上で引張強度、引張伸びおよび剪断強度につい
て試験した。結果を以下の表2に示す。
表2:引張強度、引張伸びおよび前断強度 以上のデーターが示すように、スルホン化ポリウレタン-酢酸ビニルポリマー
(コンパウンド2C)は、コンパウンド2Aと2Bのブレンドに比し、向上した機械特
性を有する。また、データーは、コンパウンド2Cがコンパウンド2A、コンパウン
ド2Bおよびそれらの50/50ブレンドに比し向上した接着特性を示し、本発明の有
用性が証明された。実施例3
この実施例では、Vinamer EFモノマー(N-エチレンホルムアミド、Air Produc
ts and Chemicals,Inc,Allentown,PA)用いてアミン官能性ポリビニル分散体を
形成した、水系スルホン化ポリウレタン-ビニルポリマーを説明する。
コンパウンド3A
コンパウンド3Aは、N-エチレンホルムアミドを用いるアミン官能性ポリビニル
分散体である。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 295.0
過硫酸カリウム 0.42
脱イオン水 20.0
(2)プレエマルジョン g
脱イオン水 80.0
T-Det 0-407(Hacros) 8.86
Foamaster 111 0.325
過硫酸カリウム 0.55
メタクリル酸メチル 155.00
アクリル酸n-ブチル 155.00
メタクリル酸 0.5
(3)重合開始剤供給原料 g
脱イオン水 20.00
過硫酸カリウム 0.42
(4)モノマー供給原料 g
Vinamer EF 3.1
プレエマルジョン(2)を次のように製造した。水、界面活性剤、消泡剤およ
び重合開始剤を合し、15分間撹拌した。この混合物にモノマーを、撹拌しながら
30分間の期間にわたり添加して乳白色のプレエマルジョンを形成した。
撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を備えた反応器に、反応器充填
材(1)を添加した。混合物を約80℃に加熱し、この混合物に、プレエマルジョ
ン(2)(全量の2%)を充填し、次いでさらに15分間撹拌した。反応温度を80℃に
維持しながら、プレエマルジョン(2)を3時間の期間にわたり添加した。モノ
マー供給原料(4)は、プレエマルジョンのはじめの供給の後、約1.5時間後に添
加した。原料を全て添加した後、反応混合物をさらに30分間加熱した。この分散
体に、Igepal CO-710(3.1g、界面活性剤、Rhone-Poulenc)を充填し、反応混合
物をさらに1時間加熱して、これらモノマーのフリーラジカル重合を完結させた
。次いで、混和したVinamer EFを一級アミンに加水分解した。これは、5%水酸
化ナトリウム溶液17.5gを添加し、さらに80℃で2時間加熱して行った。
コンパウンド3B
コンパウンド3Bは、水系スルホン化ポリウレタン-ビニルポリマーである。
反応フラスコに、Rucoflex(登録商標)XS-5570.55(95.4g、ヒドロキシル価0
.093)および2-メチル-1,3-プロパンジオール4.5gを充填した。これらの材料を5
0℃に加熱し、次いで、イソホロンジイソシアネート39.96g、1滴のジブチルス
ズジラウレートを充填した。この混合物をさらに80℃で2時間加熱した。得られ
たイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、アミン官能性ポリビニルポ
リマー(コンパウンド3A)315gおよび脱イオン水244gを含む溶液中に分散させた
。
コンパウンドの機械特性および接着特性を以下の表3に示す。
表3:引張強度、引張伸びおよび前断強度 実施例4
実施例4では、イソシアネート末端スルホン化ポリウレタンプレポリマーを
ヒドロキシル官能性水系ポリアクリル系分散体中に分散させた、水系ポリマー組
成物の製造を説明する。
コンパウンド4A
コンパウンド4Aは、ヒドロキシル基をラテックス粒子内に存在させた、ヒドロ
キシル官能性ポリアクリル系分散体である。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 275.0
メタクリル酸 1.0
(2)プレエマルジョン g
脱イオン水 80.0
T-Det 0-407(Hacros) 8.86
メタクリル酸メチル 155.00
アクリル酸n-ブチル 155.00
アクリル酸ヒドロキシルエチル 10.85
n-ドデシルメルカプタン 0.31
(3)重合開始剤供給原料 g
脱イオン水 20.00
t-ブチルヒドロペルオキシド 1.37
(4)還元剤供給原料 g
脱イオン水 20.0
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド 0.97 撹拌機、温
度計、凝縮器および窒素パージ装置を備えた反応器に、反応器充填材(1)を添
加した。水を約65℃に加熱し、次いでプレエマルジョン(2)(全量の3%)を充填
した。反応温度を65℃に維持しながら、プレエマルジョン(2)を3時間の期間
にわたり添加した。他方、重合開始剤(3)および還元剤供給原料(4)は、4時
間にわたり添加した。プレエマルジョンの約75%の添加後に、アクリル酸ヒドロ
キシエチル10.85gを反応混合物に充填した。供給原料全てを添加した後、反応混
合物をさらに1時間加熱した。得られた分散体は、固形分
45.2%、pH2.65および数平均粒径(直径)443nmを有する。
コンパウンド4B
コンパウンド4Bは、ヒドロキシル基の一部を粒子表面に分散させた、ヒドロキ
シル官能性ポリアクリル系分散体である。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 275.0
メタクリル酸 1.0
(2)プレエマルジョン g
脱イオン水 80.0
T-Det 0-407(Hacros) 8.86
メタクリル酸メチル 155.00
アクリル酸n-ブチル 155.00
n-ドデシルメルカプタン 0.31
(3)重合開始剤供給原料 g
脱イオン水 20.00
t-ブチルヒドロペルオキシド 1.37
(4)還元剤供給原料 g
脱イオン水 20.0
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド 0.97
撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を備えた反応器に、反応器充填
材(1)を添加した。水を約65℃に加熱し、プレエマルジョン(2)(全量の3%)
を充填した。反応温度を65℃に維持しながら、プレエマルジョン(2)を3時間
の期間にわたり添加した。他方、重合開始剤(3)および還元剤供給原料(4)は
、4時間にわたり添加した。プレエマルジョンの約75%の添加後に、アクリル酸
ヒドロキシエチル10.85gを反応混合物に充填した。供給原料全てを添加した後、
反応混合物をさらに1時間加熱した。得られた分散体は、固形分45.2%、pH2.
65および数平均粒径(直径)443nmを有する。
コンパウンド4C
コンパウンド4Cは、スルホン化ポリウレタンプレポリマーである。
反応器に、2-メチル-1,3-プロパンジオール(4.5g、ヒドロキシル価0.099)お
よび溶融Rucoflex(登録商標)XS-5570-55(95.4g、ヒドロキシル価0.093)(5-
スルホイソフタル酸モノナトリウム塩(4重量%)をベースとする、Ruco Polyme
r Corporationから入手したスルホン化ポリオール)、アジピン酸およびジエチレ
ングリコールを充填した。混合物に、イソホロンジイソシアネート39.96g、1滴
のジブチルスズジラウレートを充填し、80℃で2時間加熱した。
コンパウンド4D
コンパウンド4Dは、水系スルホン化ポリウレタン−尿素ポリマーである。
コンパウンド4Cに記載のプレポリマー139.86g(80℃)に、脱イオン水(65℃
)629.3gを充填し、65℃未満の温度に維持しながら2時間撹拌した。
コンパウンド4E
コンパウンド4Eは、水系スルホン化ポリウレタン-アクリル系ポリマー組成物
である。
コンパウンド4Cに記載のプレポリマー139.86g(80℃)を、コンパウンド4Aに
記載のヒドロキシル官能性ポリアクリル系分散体309.4g(65℃)中に分散した。
分散体混合物を5時間撹拌し、次いでこの分散体に、脱イオン水250.0g(65℃)
を充填した。材料をさらに65℃で2時間加熱して、固形分40.2%およびpH6.5
のポリマー組成物を形成した。
コンパウンド4F
コンパウンド4Fは、コンパウンド4Eに記載した方法と同様に製造した。ただし
、コンパウンド4Bに記載のヒドロキシル官能性ボリアクリル系分散体312.2gを用
いた。得られたポリマー組成物は、固形分40%およびpH6.5を有する。
コンパウンドの機械特性を、以下の表4に示す。表4:引張強度および引張伸び 以上のデーターが示すように、本発明のポリマー組成物(コンパウンド4Eおよ
び4F)は、コンパウンド4A、4B、4D、コンパウンド4Aと4Dの50/50ブレンド、お
よびコンパウンド4Bと4Dの50/50ブレンドに比し、向上した引張強度を有する。
実施例5
この実施例では、水系スルホン化ポリウレタン-尿素/ポリビニルポリマーの製
造および対応するポリマー成分と比較したその特性を説明する。
コンパウンド5A
コンパウンド5Aは、活性水素原子を含んでいないポリビニル分散体の製造につ
いて説明する。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 290.0
(2)プレエマルジョン g
脱イオン水 90.0
T-Det 0-407(Hacros) 15.0
メタクリル酸メチル 170.0
アクリル酸n-ブチル 180.0
メタクリル酸 7.0
n-ドデシルメルカプタン 7.0
(3)重合開始剤供給原料 g
脱イオン水 30.00
t-ブチルヒドロペルオキシド 2.15
(4)還元剤供給原料 g
脱イオン水 30.0
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシド 2.10
撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を備えた反応器に、反応器充填
材(1)を添加した。水を約65℃に加熱し、プレエマルジョン(2)(全量の3%)
を充填した。反応温度を65℃に維持しながら、プレエマルジョン(2)、重合開始
剤(3)および還元剤供給原料を3時間の期間にわたり添加した。供給原料全て
を添加した後、反応混合物をさらに1時間加熱した。
コンパウンド5B
コンパウンド5Bは、水系スルホン化ポリウレタン-尿素ポリマーである。
反応器に、Rucoflex(登録商標)XS-5570-55(95.4g、ヒドロキシル価0.093)
および2-メチル-1,3-プロパンジオール4.5gを充填した。混合物を50℃に加熱し
、次いでイソホロンジイソシアネート39.96gおよび1滴のジブチルスズジラウレ
ートを充填した。混合物を、穏やかに撹拌しながら80℃で約2時間加熱した。イ
ソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを、次いで脱イオン水339.4g中に分
散し、ここに、エチレンジアミン2.88g、ジエチレントリアミン1.09gおよび脱イ
オン水20gを含む溶液を充填した。
コンパウンド5C
コンパウンド5Cは、水系スルホン化ポリウレタン-尿素/ポリビニル分散体であ
る。
反応器に、Rucoflex(登録商標)XS-5570-55(95.4g、ヒドロキシル価0.093)
および2-メチル-1,3-プロパンジオール4.5gを充填した。混合物を50℃に加熱し
、イソホロンジイソシアネート39.96gおよび1滴のジブチルスズジラウレートを
充填した。混合物を、穏やかに撹拌しながら80℃で約2時間加熱し
て、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを得た。次いで、イソシアネ
ート末端ポリウレタンプレポリマーを、脱イオン水339.4gおよびポリアクリル系
分散体(コンパウンド5A)969.3gを含む混合物(この混合物は、分散工程前に10
%水酸化ナトリウムl水混合液を用いてpH9.3に調整)中に分散した。得られた
イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマー/ポリビニル分散体に、エチレン
ジアミン2.88g、ジエチレントリアミン1.09gおよび脱イオン水20gを含む溶液を
充填した。得られた水系スルホン化ポリウレタン/ポリビニルポリマーは、固形
分35%およびpH9.0を有する。
得られたコンパウンドを、ガラス、スチールおよびアクリロニトリル-ブタジ
エン-スチレンコポリマー(ABS)上で剪断強度について試験した。結果を以下の
表5に示す。
表5:引張強度 以上のデーターが示すように、本発明のポリマー(コンパウンド5C)は、コン
パウンド5A、コンパウンド5Bおよびコンパウンド5Aと5Bの50/50ブレンドに比し
向上した剪断強度を有し、本発明の有用性が証明された。
実施例6および7では、播種としてポリウレタン分散体を用いて(メタ)アク
リル系モノマーを重合する、水系スルホン化ポリマー組成物の形成を説明する。
得られる水系スルホン化ポリマー組成物は、ガラス繊維のサイジングに使用する
ことができる。ここに、「アクリル系」なる用語には、アクリレート、メタクリ
レートおよびアクリルアミドが包含される。
実施例6:ポリウレタン分散体アクリル系ハイブリッド型ラテックスの合成
実施例6では、播種乳化重合による水系スルホン化ポリマー組成物の製造およ
び対応するポリマー成分のブレンドと比較した特性を説明する。
コンパウンド6A
コンパウンド6Aは、ポリアクリレートプレエマルジョンである。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 90.8
Pluronic L64(界面活性剤、BASF) 9.08
(2)モノマー混合物 g
メタクリル酸メチル(ICI) 159.6
アクリル酸n-ブチル(Hoechst Celanese) 163.5
メタクリル酸ヒドロキシルエチル(Rohm & Hass) 6.49
反応器充填材(1)を、撹拌機を備えた反応器に添加し、25℃で10分間混合し
た。次いで、モノマー混合物(2)を反応器に、撹拌しながら30分間の期間にわ
たり添加した。混合物を、温度25℃でさらに10分間混合した。得られたプレエマ
ルジョンを供給タンクに移した。
コンパウンド6B
コンパウンド6Bは、本発明の製造に用いられるポリウレタン分散体である。
(1)反応器充填材 g
脱イオン水 181.7
チオール酢酸(Evance) 0.065
ヒドロスルフィットAWC(Henkel) 0.065
Hamp-O 14.5%鉄(Hampshire) 0.039
反応器充填材(1)を、撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を備え
たジャケット付で清浄な反応器に添加し、十分に混合した。NP-4062-M(332.3g
、ポリウレタン分散体、H.B.Fuller Co.)を混合物に添加した。反応器を、窒素
パージしながら撹拌し、温度を65℃に上げた。
コンパウンド6C
コンパウンド6Cは、播種乳化重合によって製造した水系スルホン化ポリマー
組成物である。
4.5時間の期間にわたり、ポリアクリレートプレエマルジョン(コンパウンド6A
)、t-ブチルヒドロペルオキシド1.95g(Akzo)および脱イオン水19.5gを含有す
る重合開始剤溶液、ヒドロスルフィットAWC(Henkel)0.91gおよび脱イオン水19
.5gを含有する還元剤溶液を、撹拌機、温度計、凝縮器および窒素パージ装置を
備えたジャケット付で清浄な反応器(コンパウンド6Bであるポリウレタン分散体
混合物を含む)に供給した。供給の完了後に、混合物を一定の温度でさらに1時
間保持して、モノマーを完全に変換させた。次いで、反応器を室温まで冷却し、
得られたラテックスを200メッシュフィルターでろ過した。固形分45%、pH7.3
5および粘度316cPを有する安定なラテックスを得た。
コンパウンド6Cと同様にして付加的なコンパウンドを製造した。ただし、コン
パウンド6Bの量を変化させて、異なるポリウレタンlポリアクリレート(PU/PA)
比率を有する水系スルホン化ポリマー組成物を得る。コンパウンド6Cおよびこれ
と同様にして製造したコンパウンド(ポリウレタンlポリアクリレート比率が異
なる)、およびコンパウンド6Aと6Bのブレンド(重合開始剤および還元剤は含ま
ず)を、引張強度、引張伸び、剥離強度(基材として透明および白色PVCシート
採用)および重ね剪断強度について、試験した。結果を以下の表6〜表9に示す
。(ポリウレタン)対(ポリアクリレート)の比率は、ポリウレタンおよびポリ
アクリレートの固形分に基づくことに、注意すべきである。したがって、ポリウ
レタン/ポリアクリレートの比率=75/25は、ポリアクリレート固体1部当たりポ
リウレタン固体3部存在することを意味する。また、表9において、「ハイブリ
ッド」なる用語は、ボリウレタン/ポリアクリレート比率が25/75であるコンパウ
ンド6Cとして製造したことに注意すべきである。表9のブレンドは、ポリウレタ
ン/ポリアクリレート比率=25/75を有する。表6:引張強度および引張伸び 表7:剥離強度(透明PVCフィルム) 表8:剥離強度(白色PVCフィルム) 表9:重ね剪断強度 実施例7:鎖長延長、水系スルホン化ポリマー組成物
実施例6のサンプル工程を用い、別の水系スルホン化ポリマー組成物を、実施
例6Cと同様に製造した。ただし、コンパウンド6Bの製造に用いたポリウレタン分
散体NP-4062に代えて、NP-4073(スルホン化ポリウレタン分散体、H.B.Fuller C
o.)を用いた。
キャピラリーハイドロダイナミックフラクショネーション(Capillary Hydrod
ynamic Fractionation)を用い、実施例6および実施例7のラテックス粒子の成
長をモニターした。図1および図2は、実施例6および7で製造したラテックス
(水系スルホン化ポリマー組成物)に関する、播種ポリウレタンの粒径分布(点
線)を最終のハイブリッド型ラテックスの粒径分布(実線)の関数として示す。
両図面が示すように、アクリル系粒子についての新たな成長はなく、これは、ポ
リウレタン-コアー/ポリアクリル系-シェルのハイブリッド型構造が形成された
ことを意味するものである。本明細書に開示の水系スルホン化ポリマー組成物ラ
テックスにおける特異的なハイブリッド型形態は、対応するブレンドまたは通常
のアロイに比し、優れた物性につながるものである。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C09J 175/08 C03C 25/02 N
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,BR,CA,C
N,JP,MX
(72)発明者 ウェイ,イ
アメリカ合衆国、55110―5101、ミネソタ
州、セイントポール、ウィロー レイク
ブールバード 1200番
(72)発明者 ズー,ユドュオ
アメリカ合衆国、55110―5101、ミネソタ
州、セイントポール、ウィロー レイク
ブールバード 1200番