JP2002511362A - 特に自動車のスリップコントロール式の液圧ブレーキ装置用の、圧力制限機能を有する遮断弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 遮断弁は、電気的な巻線（５）の励磁によってポールコア（３７）に向けて縦方向移動可能な可動子（１８）と、可動子縦孔（４３）内に位置するプレロードをかけられた押圧ばね（２）及び孔段部（４４）に支持されている、押圧ばねにより負荷された支持体（１９）とを有している。更に遮断弁は、支持体（１９）に作用する、可動子（１８）に対して相対的に可動なプランジャ（１５）と、シート弁（２７）の閉鎖体（１６）とを有している。巻線（５０）が励磁された場合に閉鎖体（１６）が、弁行程（ｂ）を克服してシート弁（２７）の弁座に向けて可動である。巻線（５０）が励磁された場合に閉鎖体（１６）が、弁座側で閉鎖体に作用する液力的な力によって可動子（１８）内の押圧ばね（２０）のばね力に抗して弁座から持上げ可能である。この場合、ポールコア（３７）に係合する可動子（１８）に対して相対的なプランジャ（１５）の行程が、弁行程よりも小さな値に制限されている。スリップコントロール式の液圧ブレーキ装置において使用される遮断弁（１０）は、圧力制限機能を発揮した際の騒音低減によって特徴付けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 従来の技術 本発明は、請求の範囲第１項の上位概念に記載の形式の遮断弁に関する。

【０００２】 ドイツ国特許第４０４１５０６号明細書から既に公知の、自動車の液圧ブレー
キ装置用の上記形式の遮断弁においては、応答圧力が超過して圧力制限機能が発
揮される場合には、プランジャはシート弁の閉鎖位置から押圧ばねのばね力に抗
して可動子内に突入する。シート弁の閉鎖体に作用する液力的な力が減少した場
合には、押圧ばねのばね力に基づきプランジャは閉鎖体と共に可動子内で弁座の
方向に移動しかつ、プランジャがシート弁を閉鎖する前に、シート弁の流過横断
面において程度の差こそあれ著しく減少した縦振動にさらされる。これによって
、不都合な流れ騒音が生ずる。

【０００３】 発明の利点 請求項１記載の特徴を有する本発明による遮断弁の利点は、圧力制限機能を発
揮するシート弁開放時のプランジャの行程制限に基づき、プランジャの過剰行程
が回避されかつ圧力制限機能からシート弁を閉鎖する際にプランジャが振動なく
閉鎖位置に移動するということにある。このことは、プランジャの行程制限によ
り閉鎖体において著しく安定的な流れ状態が生ぜしめられ、該流れ状態によって
、液力的な力が減少した際の縦振動発生が阻止される。

【０００４】 その他の請求項に記載の特徴によって、請求項１記載の遮断弁の有利な改良及
び改善が得られる。

【０００５】 遮断弁の機能及び構成に関しては、弁の簡単な構成、弁の個々の構成部材のコ
スト的に有利な製作及び取付けが得られるため、請求項２及び３の構成が特に有
利である。

【０００６】 プランジャは支持体を間挿して可動子内部に配置された押圧ばねと作用的に協
働するので、請求項４に記載の支持体の構成が有利である。それというのも、こ
の場合プランジャは平らな端面を備えることができ、これにより安価な製作が得
られるからである。

【０００７】 請求項５に記載の遮断弁の構成部材の適合によって、圧力制限のための既述の
機能形式を保証する手段が得られる。

【０００８】 次に図示の実施例につき本発明を説明する。

【０００９】 実施例の説明 圧力制限機能を有する第１図で図示の遮断弁１０は、２つの構造ユニット、つ
まり、液圧ユニット１１とマグネットユニット１２とから構成されている。液圧
ユニット１１はほぼ以下の構成部材を備えている。即ち、弁体１４を有する弁ケ
ーシング１３と、閉鎖体１６を有するプランジャ１５と、戻しばね１７と、支持
体１９を有する可動子１８と、押圧ばね２０と、圧入ブシュ２１と、可動子ガイ
ドスリーブ２２とを備えている。

【００１０】 弁ケーシング１３は一貫した縦孔２５を有していて、該縦孔内には、可動子と
反対側で弁体１４が圧入されている。弁体１４は、可動子１８の閉鎖体１６に対
応配置された中空円錐状の弁座２６を有している。閉鎖体１６と弁座２６とは、
遮断弁１０の、無通流状態で開放されるシート弁２７を形成する。弁座２６は、
弁体１４の段孔２８を介して弁ブロック３０の圧力媒体管路２９に接続されてい
る。弁ブロック３０内には、液圧ユニット１１が固定されている。

【００１１】 球形状の閉鎖体１６は、可動子とは反対側の円錐状に狭められたプランジャ１
５の端部区分内にかしめ固定されている。閉鎖体側では弁ケーシング１３内に弁
室３３が形成されていて、該弁室は、弁ブロック３０の圧力媒体管路３４に接続
されている。更に弁室３３内には戻しばね１７が設けられていて、該戻しばねは
、一端で弁体１４に係合しかつ他端でプランジャ１５に係合ししかもシート弁２
７をシート弁開放位置で保持する。

【００１２】 プランジャ１５は、閉鎖体側の端部区分を除いて、一定の直径の一様な横断面
を有している。縦孔２５内で案内されたプランジャ１５は、ポールコア３７とし
て作用する弁ケーシング区分内に延びていてかつ弁開放位置で端面３８により所
定の値だけポールコア３７の可動子側の端面３９から突出している（第２図参照
）。

【００１３】 弁ケーシング１３及びプランジャ１５に対して同軸的に配置された可動子ガイ
ドスリーブ２２は、ポールコア３７に外周面側で被せられて、ポールコアに密に
溶接されている。可動子１８は、可動子ガイドスリーブ２２内に配置されていて
かつプランジャ側もしくはポールコア側の端面４２でポールコア３７の端面３９
に対して所定の間隔を有している。可動子１８は、縦孔横断面を狭めるポールコ
ア側の段部４４を備えた一貫した縦孔４３を有している。前記段部４４には、縦
孔４３内に受容された支持体１９がつば４５によって支持されている。前記つば
４５の、段部とは反対側の面側には、同様に可動子の縦孔４３内に受容された押
圧ばね２０が係合していて、該押圧ばねは、可動子の縦孔４３内に圧入されたブ
シュ２１によって緊定されている。支持体１９は、つば４５を起点として延びる
ピン４６を有していて、該ピンは、所定の値だけ可動子端面４２から突出しかつ
ピン端面４７でプランジャ１５の端面３８に係合している。

【００１４】 マグネットユニット１２は、液圧ユニット１１をポールコア３７及び可動子１
８の領域で取り囲んでいる。マグネットユニット１２は電気的な巻線５０を有し
ていて、該巻線の通電により、可動子１８に作用するポールコア３７に向いた磁
力が生ぜしめられる。

【００１５】 圧力制限機能を有する遮断弁１０は、自動車のスリップコントロール式の液圧
ブレーキ装置において使用される。このようなブレーキ装置は、冒頭に述べたド
イツ国特許第４０４１５０６号明細書の第１図で部分的に記載されている。この
ような使用ケースにおいては遮断弁１０は、圧力媒体管路３４を介してマスタブ
レーキシリンダに接続されかつ圧力媒体管路２９を介して少なくとも１つのホイ
ールブレーキシリンダ及びブレーキ装置の高圧ポンプに接続されている。遮断弁
１０の電気的な巻線５０の無通電状態、即ち、非励磁状態では、既述のように、
シート弁２７は圧力媒体管路２９，３４が液力式に接続されている弁開放位置を
占める。電気的な巻線５０が通電された場合、即ち、励磁された場合には、シー
ト弁２７は圧力媒体管路２９，３４が液力式に分離されている弁閉鎖位置に移行
する。弁閉鎖位置では遮断弁１０は圧力制限機能を満たすことができる。このた
めに、プランジャ１５、可動子１８、支持体１９及びポールコア３７は、軸方向
の配属関係に関し次のように互いに適合されている。

【００１６】 つまり、巻線５０の非励磁状態で遮断弁１０の前記構成部材、即ち、プランジ
ャ１５、可動子１８、支持体１９及びポールコア３７は、第２図で図示の位置を
占める。この場合可動子１８は、戻しばね１７のばね力に基づきプランジャ１５
、支持体１９、押圧ばね２０及び圧入ブシュ２１を介して、ポールコアとは反対
側の領域で可動子ガイドスリーブ２２に支持される。押圧ばね２０の予ばね力又
はプレロードは戻しばね１７の力よりも極めて大きいので、可動子１８の前記位
置で支持体のつば４５は可動子の縦孔４３の段部４４に当接する。この場合、可
動子１８の端面４２とポールコア３７の端面３９とは、第２図で可動子行程ａと
して示された相互間隔を有する。

【００１７】 電気的な巻線５０が励磁されることにより、可動子１８は可動子行程ａを克服
して、可動子１８がポールコア３７に支持される位置（第３図）に移行可能であ
る。可動子行程ａは弁行程ｂよりも大きく、即ち、プランジャ１５及び閉鎖体１
６が弁開放位置から弁閉鎖位置に達するまで進む行程よりも大きく、前記弁閉鎖
位置では閉鎖体１６が弁座２６に係合する。この際生ずるプランジャ１５の端面
３８の軸方向変位は第２図で一点鎖線で示されている。第３図では、巻線５０の
励磁状態でプランジャ１５が可動子側で占める位置を示している。

【００１８】 弁開放位置では、つまり、巻線５０の非励磁状態では、支持体のピン４６は端
面４７によって可動子１８の端面４２から（第２図で記号ｃで示した）所定の値
だけ突出する。突出量ｃは可動子行程ａよりも小さい。可動子行程ａは、弁行程
ｂと巻線５０の非励磁状態で得られる突出量ｃとの総計よりも小さい。

【００１９】 突出量ｃはシート弁２７の閉鎖プロセスに際して、ポールコア３７に向かう可
動子１８の運動中に弁行程ｂを克服した後で、可動子に作用する磁力が押圧ばね
２０の予ばね力又はプレロードを克服しかつ支持体１９がプランジャ１５によっ
て可動子内に押し戻されることによって、減少される。支持体のピン４６のこの
ように減少された突出量は、第３図で図示の可動子１８とポールコア３７との係
合状態で、同時に制限されたプランジャ行程ｄを成し、遮断弁１０の圧力制限機
能を満たすために、このようなプランジャ行程ｄだけ、閉鎖体１６及びプランジ
ャ１５は弁閉鎖位置から押圧ばね２０の力に抗して移動可能である。本発明によ
れば、ポールコア３７に係合する可動子１８に対して相対的なプランジャ１５の
行程ｄは、弁行程ｂよりも小さな値に制限されている。

【００２０】 遮断弁１０の圧力制限機能は次のような形式で得られる。即ち、 ブレーキ装置のトラクションコントロールの場合、高圧ポンプによって圧力媒
体が、シート弁閉鎖状態で弁室３３内で支配する圧力よりも極めて高い圧力で搬
送される。弁座側で閉鎖体１６に作用する、差圧によって生ぜしめられる液力的
な力が、押圧ばね２０の予ばね力又はプレロードによって生ぜしめられる対向力
を克服した場合には、戻しばね１７によって支持されて、プランジャは制限され
たプランジャ行程ｄだけ可動子１８のストッパまで押し戻されかつ圧力媒体管路
２９から圧力媒体管路３４に向けて圧力媒体が抑制制御される。これによって、
高圧ポンプ側の許容し得ない高い圧力上昇がブレーキ装置において回避される。
差圧の減少に伴って、可動子側で押圧ばね２０により生ぜしめられる、プランジ
ャ１５に対する対向力が上回りかつシート弁２７は再度閉鎖位置に移行する。

【００２１】 電気的な巻線５０の通電を終了した場合には、プランジャ１５、可動子１８及
び支持体１９は、シート弁２７が開放位置を占める第２図で図示の位置に戻る。

【００２２】 図示の実施例の場合には製作技術的に有利な形式で、プランジャ１５、可動子
１８及びポールコア３７は、これらの縦軸線に対して半径方向に延びる平らな端
面３８もしくは４２もしくは３９を備えることができる。プランジャ１５は端面
側で支持体１９のピン４６よりも大きな直径を有しているので、可動子１８の端
面４２は、遮断弁１０の圧力制限機能中にプランジャ１５用のストッパとして用
いられる。可動子１８のプランジャ側の端面４２から突出する支持体のピン４６
（該ピンには、図示の実施例の場合プランジャ１５の端面３８が係合する）の代
わりに、変化実施例においてはピン４６をプランジャ１５に成形することもでき
る。前記変化実施例においては、支持体１９は支持体のつば４５に相応するディ
スクとして構成されれば十分であり、該ディスクには、プランジャ１５に統合さ
れたピン４６が係合する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 圧力制限機能を有する遮断弁の縦断面図。

【図２】 可動子と、ポールコアと、プランジャとを有する、第１図Ｘで示した遮断弁領
域の拡大図。

【図３】 ポールコアに係合する可動子を有する、第２図に相応する弁領域を示した図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロベルト ミュラー ドイツ連邦共和国 ブライヒャッハ ロベ ルト−ボッシュ−シュトラーセ 14 Ｆターム(参考） 3D046 BB07 BB29 LL23 3H106 DA07 DA13 DA23 DB02 DB12 DB23 DB32 DC04 DD10 EE20 GA15 GB06 KK22 【要約の続き】 いる。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 特に自動車のスリップコントロール式の液圧ブレーキ装置用
   の、圧力制限機能を有する遮断弁（１０）であって、電気的な巻線（５）の励磁
   によってポールコア（３７）に向けて縦方向移動可能な可動子（１８）と、可動
   子（１８）の縦孔（４３）内に位置するプレロードをかけられた押圧ばね（２０
   ）と、可動子の縦孔（４３）の段部（４４）に支持されている、押圧ばね（２０
   ）により負荷された支持体（１９）と、ポールコア（３７）内で縦方向に案内さ
   れて支持体（１９）に作用する、可動子（１８）に対して相対的に可動なプラン
   ジャ（１５）と、可動子とは反対側でプランジャに支持された、シート弁（２７
   ）の閉鎖体（１６）と、シート弁（２７）の弁座（２６）とが設けられており、
   該弁座に向けて、巻線（５０）が励磁された場合に閉鎖体（１６）がプランジャ
   （１５）に対する可動子（１８）の間接的な作用により弁行程（ｂ）を克服して
   可動でありかつ前記弁座から、巻線（５０）が励磁された場合に閉鎖体（１６）
   が弁座側で閉鎖体に作用する液力的な力によって可動子（１８）内の押圧ばね（
   ２０）のばね力に抗して持上げ可能である形式のものにおいて、閉鎖体（１６）
   に作用する液力的な力に基づきポールコア（３７）に係合する可動子（１８）に
   対して相対的に行われるプランジャ（１５）の行程（ｄ）が、弁行程（ｂ）より
   も小さな値に制限されていることを特徴とする、圧力制限機能を有する遮断弁。
2. 【請求項２】 プランジャ（１５）の行程（ｄ）が、可動子（１８）のスト
   ッパによって制限されている、請求項１記載の遮断弁。
3. 【請求項３】 ストッパが、可動子（１８）のプランジャ側の端面（４２）
   である、請求項２記載の遮断弁。
4. 【請求項４】 支持体（１９）が、可動子（１８）のプランジャ側の端面（
   ４２）から突出するピン（４６）を有していて、該ピンに、プランジャ（１５）
   が一方の端面で係合している、請求項３記載の遮断弁。
5. 【請求項５】 ポールコア（３７）に対する可動子（１８）の行程（ａ）が
   、弁行程（ｂ）と、巻線（５０）の非励磁状態で得られる、プランジャ側の可動
   子端面（４２）から支持体ピン（４６）が突出する突出量（ｃ）との総計よりも
   小さい、請求項４記載の遮断弁。