JP2002510321A - 抗−第IX因子 Fabフラグメントの結晶構造およびペプチド模倣物デザインのための使用方法 - Google Patents
抗−第IX因子 Fabフラグメントの結晶構造およびペプチド模倣物デザインのための使用方法Info
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Abstract
(57)【要約】
新規な抗−第IX因子Fabフラグメント結晶構造が同定される。これらのフラグメントのペプチド模倣物を同定する方法が開示される。
Description
【発明の詳細な説明】
抗−第IX因子Fabフラグメントの結晶構造および
ペプチド模倣物デザインのための使用方法
本発明は、1997年7月3日に出願された米国仮出願第60/051,64
5の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、抗−第IX因子Fabフラグメント結晶およびペプチド模倣物のデ
ザインおよび選択のための相補性決定領域(CDR)構造パラメーターの使用に
関する。
発明の背景
正常な環境下では、血管の並んでいる脈管の血管内非細胞が傷つくと、多かれ
少なかれ、一般に凝集「カスケード」と称される一連の事象を介して止血応答が
作動する。カスケードは、可溶性フィブリノーゲンを不溶性フィブリンに変換し
、フィブリンは血小板と一緒になって、血液成分の管外溢出を防ぐ局在する血餅
または血栓を形成する。ついで、創傷治癒が起こり、その後血餅が分解し、血管
が完全に修復し、流れることができる。
傷害と血餅形成の間に起こる事象は、慎重に制御され、かつ関連している一連
の反応である。簡単には、複数の不活性なプロ酵素の形態にある血漿凝集タンパ
ク質およびコファクターが血液中を循環する。活性な酵素複合体が傷害部位にて
アセンブリされ、続いてセリンプロテアーゼに活性化され、各セリンプロテアー
ゼは次にその後のプロ酵素のプロテアーゼへの活性化を触媒する。この酵素カス
ケードにより、各工程が次の工程の効果を強めることになる。凝集カスケードの
総説については、「Thombosis and Hemorrhage」,J.Loscalzo and A.Schafer
,eds.,Blackwell Scientific Publications,Oxford,England(1994)の第一章
を参考のこと。
有効な凝固は、障害部位における血液の損失を制限するが、静脈または動脈中
での不適当な血栓の形成は、疾病および死亡の一般的原因である。異常な凝固活
性は、心筋梗塞、不安定アンギナ、心室細動、発作、腎臓障害、経皮経管冠動脈
形成、汎発性血管内凝固症候群、敗血症、肺塞栓症および深静脈血栓症などの病
状または治療をもたらし、および/または、その病状または治療より由来しうる
。人工心臓弁などの人工臓器、シャントおよび補綴の外来物質の表面上の血餅の
形成もまた、問題がある。
これらの病状および他の血栓性および塞栓性障害の治療において現在用いられ
る承認された抗凝固剤には、硫酸化ヘテロポリサッカライドヘパリンおよび低分
子量(LMN)ヘパリンが包含される。これらの薬剤は、非経口投与され、トロ
ンビン阻害剤、アンチトロンビンIIIの活性化およびすべての凝固因子の不活化
によって迅速かつ完全な凝固阻害を引き起こすことができる。
しかしながら、その効能により、ヘパリンおよびLMWヘパリンは不利益を生
じる。単純な動作のストレスの結果として、手術部位での物質との接触に伴い、
出血を制御できないことが主な合併症であり、連続注入を受けている患者の1〜
7%において、および、間欠性ボーラス投与を受けている患者の8〜14%にお
いて観察される。この危険を最小とするため、サンプルを連続的に採取し、ex v
ivoで凝固時間を連続的にモニターできるようにするが、これにより実質的な治
療のコストが上がり、患者を不自由なものとする。
さらに、患者を出血の危険にさらすことなく所望の効能レベルに達するための
標的とする治療範囲は狭い。その治療範囲は、約1ないし3μg以下のヘパリン
/ml血漿であり、これにより、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT
)アッセイ時間は約35〜約100秒となる。ヘパリン濃度を3μg/mlに増
加すると標的範囲を上回り、4μg/mlよりも高い濃度では、凝固活性が検出
されない。それゆえ、患者の血漿濃度を治療範囲内に維持するために大きな注意
を払わなければならない。
よりゆっくりかつより長く持続効果を有する別の承認された抗凝固剤は、クマ
リン誘導体であるワルワァリンである。ワルワァリンは、プロトロンビンのビタ
ミンK依存性翻訳後修飾および他のビタミンK依存性凝固因子と競合することに
より作用する。
治療範囲よりもわずかに高いだけの濃度において血液が凝固できなくなる抗凝
固作用の一般的なパターンは、ワルワァリンならびにヘパリンおよびLMWヘパ
リンについて見られる。明らかに、血栓性および塞栓性障害の制御において効果
的であり、制御されていない出血を引き起こさないかまたはその可能性のない抗
凝固剤が必要とされている。したがって、新規な抗凝固剤の同定および構造に基
づくデザインを可能とする抗凝固剤の構造的情報も必要とされている。
発明の要約
したがって、本発明の一態様は、BC2 Fabフラグメント結晶である。
本発明の別の態様は、BC2 CDRを含むFabフラグメント結晶である。
本発明の別の態様は、SB249417 Fabフラグメント結晶である。
本発明の別の態様は、第IX因子結合活性を有するペプチド模倣物を同定する
方法であって、抗一第IX因子Fabフラグメント結晶由来のCDR構造パラメ
ーターで小分子構造データベースをサーチする;CDR構造パラメーターを模倣
する分子構造をデータベースから選択する;選択した分子構造を合成する;およ
び第IX因子結合活性について合成した分子をスクリーニングする工程を含む方
法である。
図面の簡単な説明
図1は、BC2 HC−CDR1の残基の3次元構造である。
図2は、BC2 HC−CDR2の残基の3次元構造である。
図3は、BC2 HC−CDR3の残基の3次元構造である。
図4は、BC2 LC−CDR1の残基の3次元構造である。
図5は、BC2 LC−CDR2の残基の3次元構造である。
図6は、BC2 LC−CDR3の残基の3次元構造である。
図7は、SB249417 HC−CDR1の残基の3次元構造である。
図8は、SB249417 HC−CDR2の残基の3次元構造である。
図9は、SB249417 HC−CDR3の残基の3次元構造である。
図10は、SB2494172 LC−CDR1の残基の3次元構造である。
図11は、SB2494172 LC−CDR2の残基の3次元構造である。
図12は、SB249417 LC−CDR3の残基の3次元構造である。発明の詳説
限定するものではないが特許および特許出願を含む、本明細書において引用し
たすべての出版物は、たとえ完全に記載されているものとしても出典明示により
本明細書に含まれる。
第IX因子(fIX)は、ビタミンK−依存性セリンプロテアーゼチモーゲン
であり、これは活性型第VIII因子およびカルシウムの存在下で膜表面上で第X
因子の活性化を触媒することにより、凝血カスケードの増幅に重要な役割を担う
。米国特許出願第08/783,853に記載されるネズミ科の抗−ヒト第IX
因子モノクローナル抗体(mAb)BC2は、動脈および静脈血栓症における抗
凝固治療に有用な特性を有するIgG1カッパモノクローナル抗体である。BC
2は、自己限定的に凝血カスケードをダウンレギュレートする。BC2は、fX
IがfIXのfIXaへの活性化ならびに組織因子およびfVIIaの複合体がそ
の活性化を阻害する。BC2はまた、fIXa凝固活性を阻害する。BC2は、
解離定数Kd=4nMで、カルシウム−依存的にヒトfIXおよびfIXaと結
合する。BC2はまた、ラットfIXと交差反応し、これを阻害する。
BC2のヒト化構築物を作成し、抗凝固活性について、in vitroおよび動物モ
デルにおいて試験した。これらの構築物は、米国特許出願第08/783,85
3に記載され、BC2と同様、自己限定性中和活性を示す新規な抗凝固剤であり
、すなわち、これらは自己限定的に凝血カスケードをダウン−レギュレートし、
ヘパリンおよび他の抗凝固治療に伴う出血の危険を最小にする。かかるBC2の
ヒト化構築物の1つがSB249417である。本明細書において用いる場合、
「自己限定性中和活性」なる用語は、ヒト凝固第IX因子または第IXa因子に
結合し、かつ凝固作用の限定的制御が得られるように血栓症を阻害するペプチド
模倣物の活性をいう。「凝固作用の限定的制御」は、活性化部分トロンボプラス
チン時間(aPTT)が延長されることで測定される凝固時間の増加を言い、血
漿は、高濃度のモノクローナル抗体にもかかわらずaTPPが最高値にある凝血
能をなおも有する。この凝固作用の限定的制御は、高濃度のヘパリンの存在下で
血漿が凝固能がなくなり、無限のaPTTを示すことと対照的である。好ましく
は、最大aPTT値は、ヘパリン治療範囲内である。最も好ましくは、最大aP
TTは、35秒〜100秒の範囲内であり、これは正常制御aPTT値の約1.
5倍〜約3.5倍に対応する。
ヒト化工程において、抗原結合部位を変化させないまま、マウス抗体構造をヒ
ト抗体由来のものに変える。この部位は、相補性決定領域(CDR)または超可
変セグメントと呼ばれる、mAbアミノ酸配列における特定の領域により形成さ
れる。抗原に対する特異性を決定する抗原−結合部位は、抗体のFabフラグメ
ント中に位置し、これは全軽鎖(LC)および重鎖(HC)部分からなる。
これらの治療に有用なマクロ分子の機能的な小分子模倣物を開発するための試
みの一部として、抗−fIX mAbs BC2およびSB249417の抗凝固
活性の構造的および機械的特徴を調べた。この情報は、機能的にmAbの抗凝固
特性を模倣する小さなペプチドをデザインし、試験するのに有用であり、これら
のペプチドを治療的使用のために開発するのに有用である。
BC2およびSB249417のFabフラグメントの3次元構造を、実施例
において記載したようにX−線結晶法を用いて調べた。構造情報をコンピュータ
ー読み取り可能媒体上に保存することができる。
マウスおよびヒト化FabフラグメントからのCDRは、一般に類似するコン
フォメーションを有する。2つのFab間の対応するCDR Cα位置間のr.
m.sの違いは、r.m.s値がそれぞれ1.97および3.7ÅであるHC−
CDR2およびHC−CDR3を除いて、0.5Åより小さい。HC−CDR2
およびHC−CDR3のコンフォメーションにおけるわずかな変化は、これらの
間の角度を変えずに、これらのループの平面における角シフトに帰することとな
る。両方のFabにおいて、3つのHC CDRおよびLC−CDR3は、CD
R表面に走る溝(長さ27Å、幅8Å、深さ9Å)を形成する。溝の中心の深い
穴にあるCDR残基HC−Asn35、HC−Trp50およびLC−Arg9
5は、抗原結合に重要であると考えられる。
BC2およびSB249417 Fab構造のCDRについて得られた構造情
報は、小分子ペプチド模倣物を見出すのに有用である。好ましいペプチド模倣物
には、第IX因子に結合し、in vitro凝固アッセイにおいて自己限定性中和活性
を有するペプチドおよび合成有機分子が包含される。かかる構造に基づいてペプ
チドを模倣するデザインの方法を以下に一例として示す(Zhao,et al.,1995;Mo
nfardini C.et al.,1996)。
Available Chemicals Directory、Cambridge Crystallographic Database、Fi
ne Chemical DatabaseおよびCONCORD database(総説は、Rusinko A.,1993を参
照のこと)などのいくつかの小分子構造データベースのサーチを、CDR構造由
来のパラメーターを用いて行う。サーチは、2次元、3次元、またはその両方で
行うことができ、UNITY version 2.3.1(Tripos,Inc.)、MACCS 3D、CAVEATおよ
びDOCKなどのソフトウェアの組み合わせを用いて行うことができる。小分子のコ
ンフォメーションの柔軟性は許容される。サーチを行うための方法では、個々の
CDRならびにCDRの組み合わせのコンフォメーションおよび/またはmAb
結合部位の鍵となる残基を考慮する。
これらのCDRは他のFab中において抗原認識に密接に関係することが見出
されているので、はじめのアプローチは、HC−CDR3、LC−CDR3およ
びHC−CDR2からの構造パラメーターに焦点を合わせることである。HC−
CDR3、LC−CDR3およびHC−CDR2の小分子模倣物についてのサー
チは別個に行う。これらの3個のCDRの各2個から由来の構造パラメーターを
組み合わせ、サーチを繰り返す。次の工程は、3種のCDRすべての組み合わせ
から由来のパラメーターを用いる。残る3つのCDRのコンフォメーションパラ
メーターは、6種のCDRをすべて組み合わせてサーチする後の段階に含める。
好ましくは、選択された分子構造は、CDR残基HC−Asn35、HC−Tr
p50およびLC−Arg95のパラメーターを模倣する。サーチにより得られ
た小分子ヒットを合成し、ELISAアッセイにおいて第IX因子結合について
、好ましくは、標準的なin vitro凝固アッセイにおいて抗−血栓活性についてス
クリーンする。ヒットは自己限定性中和活性を示すことが最も好ましい。
本発明の方法により製造されたペプチド模倣物は、心筋梗塞、不安定アンギナ
、
心室細動、発作、腎臓障害、肺塞栓症、深静脈血栓症、経皮経管冠動脈形成、汎
発性血管内凝固症候群、敗血症、人工臓器、シャントまたは補綴物に伴う障害な
どの、血栓性および塞栓性疾患の治療において有用であると考えられる。
本発明を以下の具体的な、限定するものではない実施例を用いて説明する。
実施例1 Fabフラグメントの調製および精製
BC2およびSB249417 Fabフラグメントの両方を以下のように調
製し、精製した。50mLの新たに精製したモノクローナル抗−ヒトfIX抗体
サンプル(PBS緩衝液中、1.2mg/ml)を30−kDa分子量カットオ
フ膜(YM30、65psi、4℃)を用いて、最終容積5.0mLおよび最終
濃度12.0mg/mlにまでAmiconセル中に濃縮した。その濃縮mAb
サンプルに、20μg/mLパパイン(Boehringer Manheim,cat.# 108014)、
2.5mM EDTA(pH7.5)および5.0mMシステイン−HCL−水
和物(PIERCE,cat.# 44889)を加え、その混合物を37℃にて4時間インキュベ
ートし、穏やかに振盪することによりmAbのパパイン消化を開始した。反応を
混合物を氷上で20分間冷却することにより終止した。
消化物を5mLのプロテインA−セファロース樹脂(Pharmacia)とインキュベ
ートし、4℃にて1時間混合することにより、Fcフラグメントを除去した。混
合物を、15mLの重力供給カラム中に移し、結合していないフラクション(F
abフラグメントを含む)を集めた。カラムを8mL容量の20mM Na2HP
O4、150mM NaCl、pH7.5で2回洗浄した。溶出物および2回の洗
浄物をプールし、YM10膜とAmiconセルを用いて4℃にて5.3mLに
まで濃縮した。
サンプルを、20mM Na2HPO4、150mM NaCl、pH7.5で予
め平衡化したPharmacia Superdex 75カラム(容積320mL)にローディングし
た。ついで、カラムを2.5mL/分の速度で同じ緩衝液にて溶出し、30分間
、空隙容量を集めた後、1mLのフラクションを集めた。Fabフラグメントが
フラクション26〜36に見られる大きなA280ピークで示される単一の分
子種として溶出し、それをプールし、A280吸光度によりタンパク質濃度につい
てアッセイした。この標準的なプロトコールを用いて、全部で25mgのFab
が作成された(精製率=50〜60%)。Superdex 75の溶出物をSDS−PA
GE分析に付し、見かけの分子量47,000Daの単一種が明らかにされた。
BC2 FabサンプルのIEF分析により、多くの等電変種の存在が明らか
にされた;2種の主要なイソフオームは、8.9および7.35の見かけのpI
値を有する。これらの2つの種を、有用な結晶を得るために必要かつ十分である
ことが判明したイオン交換クロマトグラフィー工程を用いて分離した。25mg
のSEC溶出物を完全に緩衝液交換し、20mM Tris、pH9.2に対し
て透析を繰り返し、Amiconセル中で5mLにまで濃縮し、緩衝液A(20
mM Tris、pH9.2)で予め平衡化した1mLのPharmacia Mono Qカラ
ムにローディングした。カラムを10mLの緩衝液Aで洗浄し、流出液中にはタ
ンパク質は溶出しなかった。3つのタンパク種を、1.0mL/分の速度にて、
緩衝液B(20mM Tris、pH9.2、1.0M NaCl)の0〜15%
勾配、ついで緩衝液Bの15〜100%勾配で溶出した。1mLフラクションを
集めた。クロマトグラムにおけるはじめの(シャープな)ピークに対応するフラク
ションをプールし、A280吸光度についてアッセイし、Amiconセル中20
mM HEPES、pH7.4に対して緩衝液交換し、8mg/mLにまで濃縮
し、結晶化に用いた。他の2つのピークからのフラクションは結晶化しなかった
。プロトコールの最終収率は、約36%であった(結晶化可能なフラクションの
み)。
実施例2 Fabフラグメントの結晶化
BC2Fab:イオン交換工程のピーク1からのタンパク質イソフォームを、
シッティング−ドロップセットアップ(sitting-drop setup)方式の蒸気拡散法
を用いて結晶化した。ウェル溶液は、14% PEG6K、20mM硫酸アンモ
ニウム(または100mM LiCl)、10mM CaAc2および200mM
イミダゾール/HEPES、pH7.0を含んだ。液剤を3μLのウェル溶
液を3μLのタンパク質溶液(20mM HEPES、pH7.0中、8mg/
ml)を混合することにより調製した。大きな斜方晶系の結晶が5日間、21℃
にて、0.8×0.3×0.25mm3の大きさにまで成長した。結晶は、3.
0Åで回折し、単位格子寸法a=89.3、b=120.6、c=43.4Åの
空間群、P21212にて、非対称単位に1分子であった。
SB249417 Fab:同様なシッティングドロップ方法を用いた。ウェ
ル溶液は、30〜40%飽和硫酸アンモニウムおよび50mM Mes、pH6
.0を含んだ。液剤を、ウェル溶液およびタンパク質溶液(10mM HEPE
S、pH7.0中、10mg/ml)の等容積を混合することにより調製した。
大きな結晶が一週間、15℃にて、0.6×0.4×0.3mm3にまで成長し
た。結晶は、2.2Åで回折し、単位寸法a=56.6、b=56.6、c=7
3.74Å、α=86.0、β=86.0、γ=64.9℃の空間群、P1にて
、非対称単位に2分子であった。
実施例3 X−線データ収集
X−線回折データを、1°振幅フレームにて、単色性のCuKα放射線の50
kV/100mAにて作動するリガク(Rigaku)高輝源に固定したMAR領域デ
ィテクターに収集した。3および2個の異なる結晶からのデータを収集し、合わ
せ、BC2 FabおよびSB249417 Fabそれぞれの構造決定に用いた
。
すべてのデータをHKLプログラム、第4版(Otwinowski,1993)を用いて処理し
た。表1にデータ収集パラメーターをまとめる。
BC2の場合、合わせたデータを構造決定に用いたのに対し、構造精密化は、
最良のR−sym値で示される単結晶データを用いて行った。SB249417
の場合、構造決定および精密化に合わせたデータを用いた。 実施例4 構造決定 汎用分子置換法を用いて決定した。この方法には、リアル−スペース・クロス−
ローテーション・パターソン・サーチ(Huber,1985)、ついで、パターソン係数
ン・サーチ、および、最後に剛体精密化が包含される。X−PLORプログラム
サーチモデルを2つのFabのPDB−付着1.9Å構造からBC2について
構築した:ヒトライノウイルス14(PDBエントリIFOR)を中和するネズ
ミ科のIgG2aFabからの軽鎖モデルおよびネズミ科イディオタイプFab
730.1.4(PDBエントリ1IAI)からの重鎖。2つのモデルを、2−
鎖モデルの最小二乗適合操作により合した。BC2Fabと得られるプローブの
配列同一性は:
VL 84%
CL 100%
VH 84%
CH1 95%
であった。
PDB−付着3.0Åヒト化抗−CD18抗体Fabフラグメント(PDBエ
ントリ2FGW)から同様なサーチモデルをSB249417について構築した
。
SB249417とサーチモデルの配列同一性は、
VL 81%
CL 100%
VH 59%
CH1 99%
であった。
各モデルにおいて、Fabのアミノ酸配列のものと異なる残基は、アラニンに
変異していた。
BC2の場合、クロス−ローテーションサーチを全体の非対称単位を示すこの
モデルで行った。オイラー空間を、各次元にて定常的に2.5°増加する、回
θ2、θ3はRossmann & Blow(1962)により定義されたオイラー角である。)にお
いてサーチした。分解能範囲15.0〜4.0Åにおけるデータをこのサーチに
おいて用いた。回転関数(RF)の上から6000個のピークをクラスター解析
に用いた。ついで、ローテーションファンクションの溶液を、PC精密化、つい
で、最も高いPC値を有する溶液の剛体最小化に付した。後者を3工程で行った
:1)剛体として全分子モデルを処理すること、2)重鎖および軽鎖をそれぞれ
剛体として処理すること、3)各鎖の可変(VHおよびVL)および定常(CH1
およびCL)ドメインを処理すること。
SB249417の場合、はじめのセルフ−ローテーションサーチを、球面角
ψ、φ=147、0により定義される非結晶性2倍軸を表す単一溶液に収束した
。ついでPC精密化を行い、非結晶性対称性に関連する2つの溶液が得られた。
PC精密化(BC2の場合1つのピーク、SB249417の場合、NCSに
関連する2つのピーク)後の最も高いRFピークおよび15.0〜4.0Åデー
タに対応する構造を用いて、トランスレーションサーチを行った。BC2につい
て、サーチはすべての3次元において単位格子の半分に制限された。SB249
417について、NCSをトランスレーションファンクション溶液に直接適用し
、P1格子内に他の分子を作成した。各Fabについて、トランスレーションフ
ァンクションのトップ溶液に対応する構造は、ついで上記したように剛体精密化
した。
剛体精密化構造を用いて、BC2の場合、単結晶データからの反射を相にする
か、または、SB249417の場合、複数の結晶からの合わせたデータから反
射を相にした。F0−Fcおよび2F0−Fc電子密度マップを計算し、調べた。モ
デルを再構築し、CDR領域においてマップを適合させ、他には、Fabの真の
アミノ酸配列を用いた。構造をX−PLORの促進されたアニーリングプロト
める。 すべてのFabフラグメントと同様に、BC2およびSB249417Fab
構造を、イムノグロブリン折りたたみ構造に従う、4つの球状ドメイン−VL、
VH、CLおよびCH1−の四面体アレイから作成した。各ドメインは、疎水性相
互作用により一緒に保持される逆平行のβ−ストランドの2つの広いシートから
なる。CDRループを、可変温度−ファクター値で整列する。BC2およびSB
249417のすべての6個のCDRに属する残基の3次元座標を、それぞれ表
3〜8および表9〜14に列記する。図1〜6および7〜12は、対応する3次
元構造を示す。 本発明は、本発明の精神および本質的な特性から逸脱することなく他の特定の
形態に具体化してもよく、したがって、本発明の範囲を示すものとして、前記明
細書よりもむしろ添付する請求の範囲に言及すべきである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1. BC2Fabフラグメント結晶。 2. BC2相補性決定領域(CDR)を含むFabフラグメント結晶。 3. CDRが表3〜8の座標により特徴付けられる請求項2記載の結晶。 4. SB249417 Fabフラグメント結晶。 5. CDRが表9〜14の座標により特徴付けられる請求項4記載の結晶。 6. a.請求項1、2または4に記載の結晶由来のCDR構造パラメーターで 小分子構造データベースをサーチし; b. CDR構造パラメーターを模倣する分子構造をデータベースから選択し ; c. 選択した分子構造を合成し; d. 合成した分子を第IX因子結合活性についてスクリーニングする ことを含む第IX因子結合活性を有するペプチド模倣物を同定する方法。 7. 合成した分子をさらに抗血栓活性についてスクリーニングする請求項6記 載の方法。 8. 合成した分子をさらに自己限定性中和活性についてスクリーニングする請 求項7記載の方法。 9. 選択した分子構造が、CDR残基HC−Asn35、HC−Trp50お よびLC−Arg95のパラメーターを模倣する請求項6記載の方法。 10. BC2 CDR構造情報を格納したコンピューター読み取り可能媒体。 11. SB249417 CDR構造情報を格納したコンピューター読み取り 可能媒体。
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