JP4318085B2 - 抗体およびハイブリドーマ、並びにこれらを用いた免疫学的測定法 - Google Patents

抗体およびハイブリドーマ、並びにこれらを用いた免疫学的測定法 Download PDF

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本発明は、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンおよびヒトフィブロネクチンとは反応しないモノクローナル抗体、ならびに血栓性疾患の患者血漿を用いた免疫学的測定法に関するものである。
「凝固・線浴・キニン」(以下、非特許文献1という)に、「血管内における止血や血栓形成は血液凝固機序の活性化により生じるものである。すなわち、種々の血液凝固活性化のトリガー物質により、外因系または内因系の血液凝固カスケードが活性化を受け、トロンビンが生成する。このトロンビンは、その一部が血液中に存在するアンチトロンビンIIIや血管壁に存在するトロンボモジュリンにより不活性化される一方、この網の目を潜り抜けたトロンビンは血液中に存在するフィブリノーゲンに作用して、連続的にAα鎖のフィブリノペプタイドAおよびBβ鎖のフィブリノペプチドBを遊離させ、フィブリンモノマー(デスAAフィブリンおよびデスAABBフィブリン)を形成し、これらは互いに会合して不安定フィブリンを形成する。
さらにトロンビンは血液凝固第XIII因子を活性化し、この活性化血液凝固第XIII因子は不安定フィブリンの分子間に架橋形成(共有結合)を行い、酸や尿素に不溶性の安定化フィブリンを作る。さらに活性化血液凝固第XIII因子は、フィブロネクチンやα2プラスミンインヒビターをこの安定化フィブリン間にそれぞれ架橋結合を行い、フィブリンマトリックスが完成する。」との記載がある。
生物試料分析(非特許文献2〜5という)に、「トロンビンによって活性化された、活性化血液凝固第XIII因子は、血液中のフィブリノーゲンのAα鎖とフィブロネクチンのAまたはB鎖との間に架橋形成を行い、可溶性のフィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を形成する。この複合体の形成は、不溶性の不安定フィブリンや安定化フィブリンが形成する前段階に生じる。」という記載がある。
臨床検査(非特許文献6という)に、「血管内の血栓形成を示唆するマーカーとしては、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体、プロトロンビンフラグメント1+2、フィブリノペプタイドA、可溶性フィブリン(モノマー複合体)などの測定が行われている。」という記載がある。
特開平3−48159(特許文献1)に、「免疫化したBalb/cマウスから脾細胞を骨髄腫細胞系(好ましくは細胞系Sp2/0AG14またはP3×63Ag8653)(免疫グロブリンを産生しない)と融合する。融合した細胞は選択メディウム中の培養により選択し、ここで融合しない脾細胞および骨髄腫細胞は死亡し、そして骨髄腫細胞と融合する脾細胞(ハイブリドーマ)のみが生き残る。この選択工程後、フィブリン特異的抗体を産生するハイブリドーマ細胞をELISA系中で選択する。フィブリン特異的抗体をBalb/cマウスの腹腔中に導入し、ここでそれらは増殖しかつ腹水を産生し、この腹水を取り出し、そしてこれは要求されるモノクローナル 抗体の精製源として働く。
本発明は、また、前述のフィブリンに対する抗体を調製するために使用できる免疫原に関する。
本発明による抗体は、フィブリノゲンと反応しないが、フィブリンI型およびII型と反応する。この反応の感度は0.1μg/ml程度であり、この感度は20,000倍の過剰で存在するフィブリノゲンにより制限されない。
フィブリンI型の測定の利点は、凝固においてすべての第1工程がフィブリンI型の形成であるということである。「可溶性フィブリン」の測定は非常に最も早期の凝固の検出の正確な指標となるので、フィブリンI型に向けられた試験はフィブリンII型のみ向けられたものよりすぐれた診断の価値を有する。フィブリンII型の形成はフィブリンI型を経て進行する。」という記載がある。
「本発明による抗体のそれ以上の利点は、t−Pa(組織プラスミノゲン活性化因子)によるプラスミノゲンの活性化の促進、すなわち、加速されたプラスミンの形成において参加するフィブリン中にある部位に対して抗体は向けられるということである。この部位と抗体との複合化はその加速と反作用し、こうしてフィブリンが形成する間、血漿中に存在するフィブリンを完全な状態で保持するであろう。これは従来知られているフィブリンに対する抗体では不可能である。」という記載がある。
特開昭60−158353(特許文献2)に、「血漿または組織中のフィブリンの測定において、特定のアミノ酸配列したペプチドを使用して抗体を得ることにより、高濃度のフィブリン存在下でもフィブリンを定性的、定量的に測定可能である。」との記載がある。
しかして、本発明によれば、「フィブリンの部分的アミノ酸配列を有するペプチドをマウスに投与し抗体を生成する。この抗体はフィブリンモノマーに陽性反応を示すが、フィブリノゲンに対して免疫応答を示さない。従って播種性血管内凝固の患者等の血液中の可溶性フィブリンを検出できる。」との記載がある。
国際公開番号WO95/012617(特許文献3)に、「本発明は、可溶性フィブリンを簡便に、正確にそして再現性よく測定する方法を開発すべく鋭意研究した結果、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノゲンと結合したフィブリン・フィブリノゲン複合体、すなわちヒト可溶性フィブリンが形成される際にフィブリン分子内に新たに出現するネオ・アンチジェンと反応し、ヒトフィブリノゲンとは反応しないモノクローナル抗体を見出し、これらのモノクローナル抗体の1種あるいは2種の組合せを用いると、血漿中の可溶性フィブリンをチオシアン酸カリウム(KSCN)等のタンパク変性剤で前処理することなく、迅速にかつ正確に、しかも検体中に共存するフィブリノゲン、各種フィブリノゲンフラグメント(X、Y、D、E)、各種フィブリンフラグメント(X、Y、D、E)および安定化フィブリンの各種プラスミン分解物の妨害を受けずに、特異的に測定することができることを見出した。従って、本発明の目的は、前記の新規モノクローナル 抗体、そのモノクローナル 抗体を産生するハイブリドーマおよびそのモノクローナル 抗体を用いる免疫学的定量方法を提供することにある。」という記載がある。
「精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー免疫原溶液を用いて哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ又はウマ)をインビボ免疫法により免疫する。具体的には、例えば、精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバンド又は不完全アジュバンドと乳化するまで混合する。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する(第1回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫から数日後に脾臓を無菌的に取り出し、ステンレススチールメッシュ等で押しつぶして脾臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。ハイブリドーマを常法によって培養した培養液から、あるいは本発明のハイブリドーマを投与した適当な哺乳動物(例えばマウス又はラット)の腹水から、目的とする本発明のモノクローナル抗体を分離し精製することができる。このようにして製造された培養液又はマウスの腹水からモノクロナール抗体を分離、精製する場合にはタンパク質の単離、精製に一般的に用いられる方法を用いることが可能である。」という記載がある。
特開平3−48159号公報 特開昭60−158353号公報 国際公開番号WO95/012617号公報 青木延雄、岩永貞昭著「凝固・線浴・キニン」、中外医学者社、1979年 曲 泰男、他3名、インビボおよびインビトロにおける可溶性フィブリンモノマー複合体の構造解析、生物試料分析、生物試料分析科学会、平成11年12月、第22巻、第5号、P.409〜420 曲 泰男、他5名、健常者血漿およびNIDDM患者血漿からの可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の精製とその成分解析、生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251 曲 泰男、他5名、健常者および患者血漿中可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の新しいELISA法、生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年9月、第23巻、第4号、P.325〜334 曲 泰男、他5名、2ステップELISA法を用いた種々の疾患の患者血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体濃度の測定とその生成メカニズム、生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年12月、第23巻、第5号、P.431〜442 猪狩 淳、他5名、血栓症と血小板凝固線溶検査、臨床検査、医学書院、平成8年10月、第40巻、11巻、P.117〜127
しかし、非特許文献1に示した血液中のフィブリン生成経路の中には、安定化フィブリン(固相)のα鎖にフィブロネクチンやα2プラスミンインヒビターが活性化血液凝固XIII因子の作用で共有結合するとの記載があるが、血液中(液相)でフィブリノーゲンとフィブロネクチンが活性化血液凝固XIII因子の作用で共有結合するとの記載はない。
非特許文献2〜6に示した血液中における可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の発見とポリクローナル抗体を用いたELISA法については、既に曲らにより報告されている。但し、この測定系は、固相抗体として抗ヒトフィブリノーゲンウサギポリクローナル抗体を使用しているため、共存する血液中のフィブリノーゲンにも反応性を有し、従ってこれらの影響をなくすために検体の高率倍数の希釈操作や長時間の反応時間について改善することが望まれた。
非特許文献6のマーカーは、いずれも直接トロンビン生成を示唆するマーカーであるため、採血操作そのものに不良があると、血液凝固機序の活性化に伴うトロンビンの生成が頻繁に生じて、擬陽性反応が生じることが最大の欠点である。
特許文献1のモノクローナル抗体はフィブリンに特異性が高いものの、採血操作そのものが不良であると、血液凝固機序の活性化に伴うトロンビンの生成が頻繁に生じて、フィブリンが生成し、結果として擬陽性反応を生じることが問題である。
特許文献2はフィブリノペプチドA開裂に生じるα鎖の新アミノ末端からのペプチドを免疫源として使用して動物を免疫することにより誘導される抗体を用いて、フィブリンを測定するELISA法を記載している。しかし、この抗体も採血操作そのものが不良であると、血液凝固機序の活性化に伴うトロンビンの生成が頻繁に生じて、フィブリンが生成し、結果として擬陽性反応が生じる。更に、この抗体は、同じ抗原決定基を有するフィブリンのプラスミン分解物、並びにフィブリンフラグメントX、Y、DおよびEと反応するという欠点もある。
特許文献3は可溶性フィブリンを簡便に、正確にそして再現性よく測定する方法ではあるが、やはり採血操作そのものが不良であると、血液凝固機序の活性化に伴うトロンビンの生成が頻繁に生じて、可溶性フィブリンが生成し、結果として擬陽性反応の出現頻度が高いことが欠点である。
本発明は、新規のモノクローナル抗体、そのモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得ること、およびそのモノクローナル抗体を用いる、高率倍数の希釈操作を必要としない、短時間の反応で検出できる、擬陽性反応のない免疫学的定量方法を提供することにある。
本願発明者は、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を簡便に且つ、再現性よく測定する方法を開発すべく研究に励んだ結果、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の分子内に新たに出現するネオ・アンチゲンと反応し、ヒトフィブリノーゲンやヒトフィブロネクチンとは反応しないモノクローナル抗体を見出し、これらのモノクローナル抗体の1種あるいは2種の組み合わせを用いると、血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を、高率倍数の希釈操作を必要とせず、迅速にかつ正確に、しかも検体中に共存するフィブリノーゲン、各種フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)、各種フィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)、およびフィブロネクチンの妨害を受けずに、特異的に測定できることを見出した。
すなわち、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンおよびヒトフィブロネクチンとは反応しない新規の抗体を得るとともに、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体が、トロンビンをさらに作用した活性化血液凝固第XIII因子が生成する産物であるため、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体、プロトロンビンフラグメント1+2、フィブリノペプタイドA、および可溶性フィブリン(モノマー複合体)より生成時期がかなり遅いため、採血操作不良に伴う擬陽性反応がほとんどない、従って上記課題を解決した。
本発明のモノクローナル抗体は、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと会合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体(以下、可溶性フィブリンまたはSFともいう。)と、フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)と、フィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)と、ヒトフィブリノーゲンと、ヒトフィブロネクチンとのいずれとも反応しない、活性化血液凝固第XIII因子の作用のもとに、ヒトフィブロネクチンのA鎖および/またはB鎖とヒトフィブリノーゲンのAα鎖とが共有結合したヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応する。
本発明のヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫学的測定法は、前記のモノクローナル抗体を第1抗体として不溶性担体に固定し、この固定化した第1抗体と被検試料とを接触させ、続いてヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応しない抗体に標識を付けた第2抗体と被検試料とを接触させ、標識の信号を検出することを特徴とする。
本発明の血管内凝固症候群または血栓性疾患の患者血漿を試料とした免疫学的測定法は、前記に記載のヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫学的測定の方法によって検出することからなる。
本発明のモノクローナル抗体は、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンおよびヒトフィブロネクチンとは反応しないものである。
さらに、本発明は、血漿中のヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を前記の免疫学的測定法によって検出することからなるDIC(播種性血管内凝固症候群)および血栓性疾患の診断および病理研究に有用な手段を提供するものである。




本モノクローナル抗体を1次抗体として用いることにより、血漿試料の前処理や高率倍数の希釈操作を行わなくても、血漿中のフィブリノーゲン、フィブロネクチン、フィブリノーゲンのプラスミン分解産物、フィブリンフラグメント、並びに安定化フィブリンのプラスミン分解産物の干渉を受けることなく、患者血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を、特異的、且つ迅速に、また擬陽性反応がほとんど無くELISA法により測定することができる。
以下、本発明をモノクローナル抗体、ハイブリドーマおよび免疫学的測定方法を順次説明する。
〔可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体〕
免疫原として用いるヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えば、曲らの方法〔生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251、および生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251〕に従って調整することができる。
健常者希釈血漿のみまたは健常者血漿に終濃度で3.3mMの塩化カルシウムを添加し、37℃ 90分間で生成させた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体に富む希釈血漿に、終濃度で5ATU/mLのヒルジンおよび5mMのEDTA−2Naを加えトロンビンと活性化血液凝固第XIII因子を不活化した希釈血漿をゼラチンセファロースカラムを通し、フィブロネクチンと可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を吸着後、1Mの臭化ソーダを含む0.05Mの酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0で溶出する。次にこの溶出画分中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体をさらに抗ヒトフィブリノーゲン抗体を結合させたアフィゲル10カラムで吸着させ、十分洗浄後、6M尿素を含む0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.8で回収する。
回収して得られたものを非還元のSDS電気泳動を用いて測定した結果、分子量約800KDのバンドとして確認された。フィブリノーゲン(340KD)とフィブロネクチン(450KD)が活性化血液凝固第XIII因子の作用で共有結合した複合体であることがわかる(図1左)。
一方、還元のSDS電気泳動の結果を図1右に示す。280KDのバンドが確認されていることから、活性化血液凝固第XIII因子の作用で共有結合したフィブリノーゲンのAα鎖(68KDおよび65KD)とフィブロネクチンのAまたはB鎖(220KD)の共有結合した複合体であることがわかる。これを可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(可溶性FG−FNと略すことがある)という。
精製可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体、精製フィブリノーゲンおよび精製フィブロネクチン溶液を、0.05M Tris 0.2M NaCl pH7.5の緩衝液で平衡化したTSK−G4000SWカラム(東ソー)に注入し、0.5mL/分の流速でゲル濾過を行った。各溶出フラクションをELISA法で測定した結果を図2に示す。溶出時間29〜31分に可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体のピークが、また、溶出時間33〜35には精製フィブリノーゲンのピークが、35〜37には精製フィブロネクチンのピークが出現した。
可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の概念図を図3に示す。すなわち、血管内で内因系および外因系の血液凝固機序が活性化されると、最終的に生成したトロンビンにより、血液凝固第XIII因子が活性化を受け、活性化血液凝固第XIII因子を生ずる。このトラングルタミナーゼ酵素作用により、血液中のフィブリノーゲンAα鎖とフィブロネクチンAまたはB鎖間に共有結合が生じ、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体が生成する。
この精製された可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を免疫原または免疫学的測定法の標準品として使用する。
本発明のモノクローナル抗体およびハイブリドーマは、このヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を免疫原として調整する。
〔ハイブリドーマ〕
精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫原溶液を用いて哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、ラット、ウサギ、ヤギ)をインビボ免疫法により免疫する。具体的には、例えば、精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫原溶液と、等量のフロインド氏の完全アジュバンド又は不完全アジュバンドとをエマルジョン化するまで混合する。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する。以後、2〜4週間の間隔で皮下投与の操作を行い、追加免疫を数回行う。最終免疫から数日後に脾臓を無菌的に取り出し、ナイロンメッシュ等を通し、脾細胞を分散させて調整する。
これを免疫脾細胞として細胞融合に用いる。細胞融合のもう一方の親細胞であるミエローマ細胞(骨髄腫細胞)としては、各種の公知の細胞株、例えば、NS−1株,P3−U1株,MPC−II株、および+SP2株などを使用する。
免疫脾細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、例えば、公知の融合促進剤(ポリエチレングリコールやジメチルスルホキシドなど)を用いて行う。免疫脾細胞とミエローマ細胞とを混合比率(5〜10対1)に混合し、これを、細胞融合用のメディウムとしては、例えば、40%(W/V)ポリエチレンブリコールを含むダルベッコ改変イーグルメディウム(DMEM)を用いて培養する。
続いて、選択用のメディウム(例えば、HATメディウム)を用いてハイブリドーマ以外の細胞を除去する。ハイブリドーマ培養上清の抗体産生の有無を、例えばELISA法などによって測定する。目的の抗体を産生するハイブリドーマを分離する。こうして得られたハイブリドーマを、通常のメディウムで継代培養することができる。また、液体窒素などの中で長期間保存することができる。
また、前記のハイブリドーマを培養するメディウムとしては、ハイブリドーマの培養に適した任意のメディウムを用いることができ、DMEMにウシ胎児血清、L−グルタミン酸および抗生物質(ペニシリンGとストレプトマイシン等)を含むメディウムが好適に用いられる。前記のハイブリドーマのメディウムは、インビトロの場合には例えばメディウム中で5〜7vol%CO濃度および37℃で約3〜5日間、またインビボ例えばマウスの腹腔内で培養する場合は約14〜20日実施するのが好ましい。このハイブリド−マが、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンやヒトフィブロネクチンとは反応しないモノクローナル抗体を分泌産生する。
〔モノクローナル抗体〕
本発明のハイブリドーマを培養した培養液から、あるいは本発明のハイブリドーマを投与した適当な哺乳動物(例えばマウス又はラット)の腹水から、目的とする本発明のモノクローナル抗体を分離し精製する。培養液又はマウスの腹水からモノクローナル抗体を分離、精製する方法には、硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥等の方法がある。
この精製したモノクローナル抗体とマイクロプレートにコーティングした種々のフィブリノーゲン誘導体、フィブリン誘導体、フィブロネクチン、および可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体との反応性特異性を、酵素標識抗マウスイムノグロブリンを用いたELISA法で調べた。その結果、本発明のモノクローナル抗体は、活性化血液凝固第XIII因子の作用で共有結合したヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンやヒトフィブロネクチンとは反応しない。また、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと会合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体、フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)、およびフィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)とは反応しないことが判明した。
〔免疫学的測定方法〕
サンドイッチELISA法による本発明の免疫学的定量方法では、具体的には、前記の本発明によるモノクローナル抗体を適当な不溶性担体に固定化する。次に、次に不溶性担体と検体試料との非特異的な結合を避けるために、適当なブロッキング剤(例えばウシ血清アルブミンやスキムミルク等)で不溶性単体の表面を被覆する。続いて、検体試料を加えて一定時間(例えば5分〜1時間)および一定温度(例えば4〜40℃)で接触させ反応させる(1次反応)。続いて、前期以外の抗フィブリノーゲンモノクローナル抗体または抗フィブロネクチンモノクローナル抗体に標識を付けた第2抗体を加えて一定時間(例えば5分〜1時間)および一定温度(例えば4〜40℃)で接触させ反応させる(2次反応)。これを洗浄液(例えば界面活性剤を含む生理食塩液)で洗浄してから、不溶性担体の表面に存在する標識抗体の量を定量する。その値から、検体試料中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の量を算出することができる。また、1次反応と2次反応を同時に行うことも可能である。
〔擬陽性の判定〕
健常者の測定結果が正常参考値以上の値が検出される場合、陽性と判定されるときを擬陽性の判定といい、測定系の反応を擬陽性反応という。
採血業務が不慣れな医療技術者により、健常者の腕正中静脈から、血球算定用EDTA−3K入り真空採血管(二プロ)を用い、3mLを15秒間隔で連続5本採血する。十分に転倒混和した後、2500Gで10分間遠心した後、それぞれ血漿を分離した。これらの血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を測定する。
いずれの濃度も2〜5.6μg/mLの範囲内にあり、1本目群と5本目群においても濃度の差異が認められなかった。このことは、擬陽性反応が認められないことを示す証左である。
一方、同一の検体を、従来の測定法であるTAT濃度(正常参考値4ng/mL以下)、SF濃度(正常参考値6μg/mL以下)を用いて測定すれば、正常参考値以上の値が検出される。
本発明のサンドイッチELISA法に使用することのできる不溶性担体は特に限定されるものではなく、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ニトロセルロース、アガロース、紙およびこれらの組み合わせなどを例に示すことができる。
標識の物質としては、酵素、蛍光物質または発色物質およびラテックスを使用する。酵素としてはペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β―D―ガラクトシダーゼ等、また、蛍光物質としてはフルオレッシンイソチオシアネ−ト等、また発光物質としてはルシフェリンやアクリジニウムエステル化合物を使用することができる。ラテックスとしては市販のラテックスであり、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と凝集するものが好ましい。変成ポリスチレンラテックス、変成ポリシリコーンラテックスなどはとくに好ましい。
以上のように、血液中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を測定することにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)、および種々の血栓性疾患の診断や治療後の経過観察に利用することができる。
〔可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の精製〕
免疫原として用いる可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えばヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を免疫原として調整することができる。免疫原として用いるヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えば、曲らの方法〔生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251、および生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251〕に従って調整することができる。すなわち、健常者希釈血漿のみまたは健常者血漿に終濃度で3.3mMの塩化カルシウムを添加し、37℃、90分間で生成させた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体に富む希釈血漿に、終濃度で5ATU/mLのヒルジンおよび5mMのEDTA−2Naを加え、トロンビンと活性化血液凝固第XIII因子を不活化した希釈血漿をゼラチンセファロースカラムに通し、フィブロネクチンと可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を吸着後、0.05Mのトリス塩酸緩衝液 pH7.5(平衡化液)で十分洗浄後、1Mの臭化ソーダを含む0.05Mの酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0で溶出した。次にこの溶出画分中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体をさらに抗ヒトフィブリノーゲン抗体を結合させたアフィゲル10カラムで吸着させ、平衡化液で十分洗浄後、6M尿素を含む0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.8で溶出することで精製した。この精製された可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(以下可溶性FG−FNと称することがある)を免疫原または免疫学的測定法の標準品として使用した。
〔免疫〕
可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(可溶性FG−FN :A280nm=0.22)を等量のフロインド氏完全アジュバンドとエマルジョンかするまで混合し、その混合液200μLをBALB/Cマウスの背部皮下に投与することにより免疫を行った(初回免疫)。3週間後前記と同様の免疫操作をマウスの背部に行い、さらに2週間毎にこの免疫操作3回繰り返した。さらに2週間後、可溶性FG−FNを等量の生理食塩水で希釈した免疫原を、前記マウスの腹腔内に投与した(最終免疫)。最終免疫から3日後、脾臓を無菌的に取り出し、細胞融合の材料とした。
〔細胞融合〕
無菌的に採取したマウス脾臓を、10vol%ウシ胎児血清を含むDMEMメディウム5mLを入れたシャーレに入れ、無鈎ピンセットを用いて脾細胞を解したのち、この脾細胞懸濁液をナイロンメッシュに通した。この脾細胞を50mLの遠心管に集め、1000rpm、5分間遠心し、上清を吸引除去した。この様にして得られた脾細胞に0.16Mの塩化アンモニウム液を加え、37℃で10分間放置することにより脾細胞中に存在する赤血球膜を破壊した。さらにDMEMメディウムで十分洗浄後、10mLの同メディウムで残った脾細胞を懸濁させ、生きている脾細胞数を算定した。
一方、予め培養し、細胞数を調整しておいたマウスミエローマ細胞(NS−1)の約1.5×10個に前記洗浄脾細胞1×10個を加え、DMEMメディウム中でよく混和した後、1000rpm、5分間で遠心分離による洗浄操作を3回行った。最終洗浄の上清を吸引除去し、さらにペレットを十分解きほぐした後、37℃に保温した40vol%ポリエチレングリコール溶液0.5mLを加え、遠心管を手に取り円を描くように緩やかに回転させた。次に、DMEMメディウムを1mL加え、同様に回転させ、以下この操作を9回繰り返した。最後に10vol%ウシ胎児血清を含むDMEMメディウムを加えて、洗浄操作を数回行った。この融合細胞の細胞数を測定し、2×10個/mLとなるように調整し、96ウエルの細胞培養プレートの各ウエルに100μLずつ分注して、5〜7vol%炭酸ガスを含む培養器を用い37℃で培養を開始した。翌日、1/50のHATメディウムを含む10vol%ウシ胎児血清加DMEMメディウムを各ウエルに100μLを添加しハイブリドーマの選択を行った。HAT加メディウムの交換は4日おきに行い、それぞれ100μLずつを新しいメディウムと交換し、ハイブリドーマの生育状況を観察すると共に、20日後より後期のELISA法により、可溶性FG−FNに反応する抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングを行った。
〔ハイブリドーマの樹立〕
ハイブリドーマ培養上清における抗体産生のチェックはELISA法により行った。すなわち96ウエルELISA用プレート(Nnnc)の各ウエルに前記の、可溶性FG−FN免疫原溶液、フィブリノーゲン溶液、およびフィブロネクチン溶液をA280nm=0.02となるように生理食塩水で希釈し、それぞれ各ウエルに100μLずつ分注し、4℃で12時間放置することによりコーティイングを行った。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、各ウエルの培養上清100μLを加え、37℃で30分反応させた。次に3回洗浄した後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社)100μLを各ウエルに添加し、37℃で20分間反応させた。反応終了後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、0.005vol%過酸化水素水を含む17mMオルトフェニレンジアミン2塩酸塩溶液100μLを各ウエルに加え、37℃で20分間反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド)を用い測定した。その結果、960ウエル中、2ウエルにフィブリノーゲン、およびフィブロネクチンとは反応せず可溶性FG−FNとのみ反応性を示すクローンが認められた。この2ウエルのハイブリドーマを直ちに、限界希釈法によりクローニングした。限界希釈法は、無血清メディウム(コージンバイオ)を用い96ウエルの培養プレートに0.8個/100μLとなるように分注し、5vol%炭酸ガス下、37℃で20日間培養した。
その結果、各ハイブリドーマにつき、10〜20個の抗体産生クローン得られた。これらのクローンの中から抗体分泌量が高く、また増殖能が高いクローンを選び、1種類の抗可溶性FG−FN抗体産生ハイブリドーマ クローンFG−FN001を樹立した。
〔モノクローナル抗体の培養および精製法〕
今回作製したマウスハイブリドーマ クローンFG−FN001を無血清メディウム(コージンバイオ)中で、37℃、5vol%炭酸ガス下で大量培養を行った。次に培養上清1L当り固形の硫酸アンモニウムを50wt%飽和となるように添加し、4℃で2時間静置した後、9000Gで20分間遠心し、沈渣を得た。得られた沈渣を少量の0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5に溶解し、同じ緩衝液で平衡化したセファクリルS200カラムにその一部を注入し、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。次に回収したモノクローナル抗体に富む画分を0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5で平衡化したプロテインAセファロース4Bカラムにアプライした。十分洗浄後、0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.80で溶出し、直ちに、500倍量の0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.50で4℃、一晩透析し抗可溶性FG−FNマウスモノクローナルIgG抗体を得た。
〔本発明のモノクローナル抗体のサブクラスの同定〕
本発明のモノクローナル抗体(クローンFG−FN001)のサブクラスはELISA法で行った。まず、抗FG−FN抗体を0.1M炭酸・重炭酸緩衝液 pH9.5で10μg/mLとなるように希釈し、それぞれ100μLずつを96ウエルELISA用プレート(Nnnc)に4℃で16時間コーティングする。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、1000〜2000倍に希釈したペルオキシダーゼを標識した抗マウスIgG1(MBL)、抗マウスIgG2a(MBL)、および抗マウスIgG3(MBL)溶液を加え37℃ 20分間反応させた。その結果、このモノクローナル抗体の免疫グロブリンサブクラスは、IgG1であった。
〔本発明のモノクローナル抗体の反応特異性の同定〕
本発明のモノクローナル抗体の反応特異性の同定はELISA法により行った。すなわち96ウエルELISA用プレート(Nnnc)の各ウエルに前記の、可溶性FG−FN免疫原溶液、フィブリノーゲン溶液、フィブリノーゲンのプラスミン分解産物、フィブリンのプラスミン分解産物、フィブロネクチンおよび可溶性フィブリンをA280nm=0.02となるように生理食塩水で希釈し、それぞれ各ウエルに100μLずつ分注し、4℃で16時間放置することによりコーティイングを行った。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、10μg/mLに調整した上記本発明のモノクローナル抗体100μLを加え、37℃で30分反応させた。
次に3回洗浄した後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社)100μLを各ウエルに添加し、37℃で20分間反応させた。反応終了後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、0.005vol%過酸化水素水を含む17mMオルトフェニレンジアミン2塩酸塩溶液100μLを各ウエルに加え、37℃で20分間反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド)を用い測定した。
その結果、本発明のモノクローナル抗体は、活性化血液凝固第XIII因子の作用で共有結合したヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンやヒトフィブロネクチンとは反応しない。また、デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと会合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体、フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)、およびフィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)とは反応しないことが判明した。
また、本発明のモノクローナル抗体と種々のフィブリノーゲン誘導体、フィブリン誘導体、フィブロネクチン、可溶性フィブリンおよび可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体との反応性特異性をELISA法で調べた成績を表1に示す。
Figure 0004318085
〔ELISA法を用いた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の測定〕
(1)固相プレートの調整
精製抗可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体マウスモノクローナル抗体(FG−FN001)の蛋白濃度が10μg/mLとなるように0.01M炭酸・重炭酸緩衝液pH9.50で希釈し、その100μLずつを96ウエルELISA用マイクロプレート(Nunc)の各ウエルに分注し、4℃で16時間静置した。
(2)標識抗体の調整
抗ヒトフィブロネクチンウサギポリクローナルIgG抗体を、常法に従いホースラディシュペルオキシダーゼで標識し、HRP標識抗体を得た。
(3)測定
上記の当該抗体コーティングプレートを0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、前記実施例1−(1)で作製した精製可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体溶液を0.05%Tween20加生理食塩水で希釈して、5.0、2.5、1.25、0.625、0.313、0.156μg/mLに調整した標準物質および上記生理食塩水で10倍に希釈した健常者および患者血漿100μLずつを各ウエルにまき、37℃で10分間反応させた。
次に、0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、同液で500倍希釈した抗ヒトフィブロネクチンHRP標識抗体100μLを各ウエルにまき、37℃で10分間反応させた。
次いで0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、0.005%過酸化水素水を含む17mMオルトフェニレンジアミン2塩酸塩溶液100μLを各ウエルに加え、37℃、10分間暗所で反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド)を用い測定し、検量線を作成した(図1)。検体中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度は、検量線より求め、希釈倍数を乗じて血漿中の濃度とした(図4)。
〔種々の血栓性疾患における可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の血漿中濃度〕
種々の血栓性疾患[播種性血管内凝固症候群(DIC)28例、急性心筋梗塞症および脳梗塞症30例、深部静脈血栓症12例、大動脈瘤症8例、閉塞性動脈硬化症11例]、糖尿病32例および健常者40例の血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を実施例7に準じてELISA法により測定した成績を図5に示す。
〔擬陽性の判定〕
採血業務が不慣れな医療技術者2名により、健常者20例の腕正中静脈から、血球算定用EDTA−3K入り真空採血管(二プロ)を用い、3mLを連続5本採血し、十分転倒混和後、2500Gで10分間遠心した後、それぞれ血漿を分離した。これら20名の血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を実施例7に準じて測定し、1本目と5本目の測定結果について比較検討した。また、併せて分離した健常者血漿中のTAT(エンザイグノストTATキット、デイドベーリング)およびSF(ヤトロSFキット)を同様に測定し、1本目と5本目の測定結果について比較検討した結果を図6に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血しても、1本目群に擬陽性反応(5.6μg/mLを超える)は認められず、さらに5本目群においても擬陽性反応は認められなかった。
〔比較例1〕
実施例9の検体を、TATキットを用いて、測定した。結果を図7に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血すると、1本目群においてもTATの擬陽性反応
(4.1ng/mL以上)が高頻度に認められ、さらに5本目群においては擬陽性反応の出現頻度がさらに高くなった。
〔比較例2〕
実施例9の検体を、SFキットを用いて、測定した。結果を図8に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血すると、1本目群においても擬陽性反応(6.1
μg/mL以上)が高頻度に認められ、さらに5本目群においては擬陽性反応の出現頻度がさらに高くなった。
精製可溶性FG−FN、精製フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンの非還元および還元SDS−PAGEによる解析結果である。精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体のSDS−PAGEパターンである。 精製可溶性FG−FN、精製フィブリノーゲンおよび精製フィブロネクチンのTSK4000SWカラムによるゲルろ過後の各フラクション中の可溶性FG−FN、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンの各抗原量をそれぞれのELISA法を用いて測定した結果である。精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体のゲルろ過法による解析結果である。 可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の概念図である。 本発明のELISA法により得られた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の検量線である。 種々の血栓性疾患における可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合 体の血漿中濃度である。 採血業務が不慣れな医療技術者が連続採血した健常者20例の1本目と5本 目の血漿中の可溶性FG−FN濃度の推移である。 採血業務が不慣れな医療技術者が連続採血した健常者20例の1本目と5本目の血漿中のTAT濃度の推移〔比較例1〕である。 採血業務が不慣れな医療技術者が連続採血した健常者20例の1本目と5本目の血漿中のSF濃度の推移〔比較例2〕である。

Claims (4)

  1. デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと会合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体と、フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)と、フィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)と、ヒトフィブリノーゲンと、ヒトフィブロネクチンとのいずれとも反応しない抗体であって、活性化血液凝固第XIII因子の作用のもとに、ヒトフィブロネクチンのA鎖および/またはB鎖とヒトフィブリノーゲンのAα鎖とが共有結合したヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応するモノクローナル抗体。
  2. 請求項1に記載のモノクローナル抗体を分泌することを特徴とするハイブリドーマ。
  3. 請求項1に記載のモノクローナル抗体を第1抗体として不溶性担体に固定し、この固定化した第1抗体と被検試料とを接触させ、続いてヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応しない抗体に標識を付けた第2抗体と被検試料とを接触させ、標識の信号を検出することを特徴とするヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫学的測定法。
  4. 請求項3によって検出することからなる血管内凝固症候群または血栓性疾患の患者体液を用いた免疫学的測定法。
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