JP4318085B2 - 抗体およびハイブリドーマ、並びにこれらを用いた免疫学的測定法 - Google Patents
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さらにトロンビンは血液凝固第XIII因子を活性化し、この活性化血液凝固第XIII因子は不安定フィブリンの分子間に架橋形成(共有結合)を行い、酸や尿素に不溶性の安定化フィブリンを作る。さらに活性化血液凝固第XIII因子は、フィブロネクチンやα2プラスミンインヒビターをこの安定化フィブリン間にそれぞれ架橋結合を行い、フィブリンマトリックスが完成する。」との記載がある。
本発明は、また、前述のフィブリンに対する抗体を調製するために使用できる免疫原に関する。
本発明による抗体は、フィブリノゲンと反応しないが、フィブリンI型およびII型と反応する。この反応の感度は0.1μg/ml程度であり、この感度は20,000倍の過剰で存在するフィブリノゲンにより制限されない。
フィブリンI型の測定の利点は、凝固においてすべての第1工程がフィブリンI型の形成であるということである。「可溶性フィブリン」の測定は非常に最も早期の凝固の検出の正確な指標となるので、フィブリンI型に向けられた試験はフィブリンII型のみ向けられたものよりすぐれた診断の価値を有する。フィブリンII型の形成はフィブリンI型を経て進行する。」という記載がある。
「本発明による抗体のそれ以上の利点は、t−Pa(組織プラスミノゲン活性化因子)によるプラスミノゲンの活性化の促進、すなわち、加速されたプラスミンの形成において参加するフィブリン中にある部位に対して抗体は向けられるということである。この部位と抗体との複合化はその加速と反作用し、こうしてフィブリンが形成する間、血漿中に存在するフィブリンを完全な状態で保持するであろう。これは従来知られているフィブリンに対する抗体では不可能である。」という記載がある。
しかして、本発明によれば、「フィブリンの部分的アミノ酸配列を有するペプチドをマウスに投与し抗体を生成する。この抗体はフィブリンモノマーに陽性反応を示すが、フィブリノゲンに対して免疫応答を示さない。従って播種性血管内凝固の患者等の血液中の可溶性フィブリンを検出できる。」との記載がある。
「精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー免疫原溶液を用いて哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ又はウマ)をインビボ免疫法により免疫する。具体的には、例えば、精製した尿素可溶化ヒトフィブリンモノマー免疫原溶液を等量のフロインド氏完全アジュバンド又は不完全アジュバンドと乳化するまで混合する。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する(第1回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で同様の操作を行い、数回免疫する。最終免疫から数日後に脾臓を無菌的に取り出し、ステンレススチールメッシュ等で押しつぶして脾臓細胞を調製し、細胞融合工程に用いる。ハイブリドーマを常法によって培養した培養液から、あるいは本発明のハイブリドーマを投与した適当な哺乳動物(例えばマウス又はラット)の腹水から、目的とする本発明のモノクローナル抗体を分離し精製することができる。このようにして製造された培養液又はマウスの腹水からモノクロナール抗体を分離、精製する場合にはタンパク質の単離、精製に一般的に用いられる方法を用いることが可能である。」という記載がある。
すなわち、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンおよびヒトフィブロネクチンとは反応しない新規の抗体を得るとともに、可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体が、トロンビンをさらに作用した活性化血液凝固第XIII因子が生成する産物であるため、トロンビン・アンチトロンビンIII複合体、プロトロンビンフラグメント1+2、フィブリノペプタイドA、および可溶性フィブリン(モノマー複合体)より生成時期がかなり遅いため、採血操作不良に伴う擬陽性反応がほとんどない、従って上記課題を解決した。
本発明のモノクローナル抗体は、ヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と反応し、ヒトフィブリノーゲンおよびヒトフィブロネクチンとは反応しないものである。
さらに、本発明は、血漿中のヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を前記の免疫学的測定法によって検出することからなるDIC(播種性血管内凝固症候群)および血栓性疾患の診断および病理研究に有用な手段を提供するものである。
〔可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体〕
免疫原として用いるヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えば、曲らの方法〔生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251、および生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251〕に従って調整することができる。
健常者希釈血漿のみまたは健常者血漿に終濃度で3.3mMの塩化カルシウムを添加し、37℃ 90分間で生成させた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体に富む希釈血漿に、終濃度で5ATU/mLのヒルジンおよび5mMのEDTA−2Naを加えトロンビンと活性化血液凝固第XIII因子を不活化した希釈血漿をゼラチンセファロースカラムを通し、フィブロネクチンと可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を吸着後、1Mの臭化ソーダを含む0.05Mの酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0で溶出する。次にこの溶出画分中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体をさらに抗ヒトフィブリノーゲン抗体を結合させたアフィゲル10カラムで吸着させ、十分洗浄後、6M尿素を含む0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.8で回収する。
一方、還元のSDS電気泳動の結果を図1右に示す。280KDのバンドが確認されていることから、活性化血液凝固第XIII因子の作用で共有結合したフィブリノーゲンのAα鎖(68KDおよび65KD)とフィブロネクチンのAまたはB鎖(220KD)の共有結合した複合体であることがわかる。これを可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(可溶性FG−FNと略すことがある)という。
本発明のモノクローナル抗体およびハイブリドーマは、このヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を免疫原として調整する。
精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫原溶液を用いて哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、ラット、ウサギ、ヤギ)をインビボ免疫法により免疫する。具体的には、例えば、精製した可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫原溶液と、等量のフロインド氏の完全アジュバンド又は不完全アジュバンドとをエマルジョン化するまで混合する。この混合液を、例えばマウスの皮下に投与する。以後、2〜4週間の間隔で皮下投与の操作を行い、追加免疫を数回行う。最終免疫から数日後に脾臓を無菌的に取り出し、ナイロンメッシュ等を通し、脾細胞を分散させて調整する。
〔モノクローナル抗体〕
サンドイッチELISA法による本発明の免疫学的定量方法では、具体的には、前記の本発明によるモノクローナル抗体を適当な不溶性担体に固定化する。次に、次に不溶性担体と検体試料との非特異的な結合を避けるために、適当なブロッキング剤(例えばウシ血清アルブミンやスキムミルク等)で不溶性単体の表面を被覆する。続いて、検体試料を加えて一定時間(例えば5分〜1時間)および一定温度(例えば4〜40℃)で接触させ反応させる(1次反応)。続いて、前期以外の抗フィブリノーゲンモノクローナル抗体または抗フィブロネクチンモノクローナル抗体に標識を付けた第2抗体を加えて一定時間(例えば5分〜1時間)および一定温度(例えば4〜40℃)で接触させ反応させる(2次反応)。これを洗浄液(例えば界面活性剤を含む生理食塩液)で洗浄してから、不溶性担体の表面に存在する標識抗体の量を定量する。その値から、検体試料中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の量を算出することができる。また、1次反応と2次反応を同時に行うことも可能である。
健常者の測定結果が正常参考値以上の値が検出される場合、陽性と判定されるときを擬陽性の判定といい、測定系の反応を擬陽性反応という。
採血業務が不慣れな医療技術者により、健常者の腕正中静脈から、血球算定用EDTA−3K入り真空採血管(二プロ)を用い、3mLを15秒間隔で連続5本採血する。十分に転倒混和した後、2500Gで10分間遠心した後、それぞれ血漿を分離した。これらの血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を測定する。
いずれの濃度も2〜5.6μg/mLの範囲内にあり、1本目群と5本目群においても濃度の差異が認められなかった。このことは、擬陽性反応が認められないことを示す証左である。
一方、同一の検体を、従来の測定法であるTAT濃度(正常参考値4ng/mL以下)、SF濃度(正常参考値6μg/mL以下)を用いて測定すれば、正常参考値以上の値が検出される。
以上のように、血液中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を測定することにより、播種性血管内凝固症候群(DIC)、および種々の血栓性疾患の診断や治療後の経過観察に利用することができる。
免疫原として用いる可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えばヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を免疫原として調整することができる。免疫原として用いるヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体は、例えば、曲らの方法〔生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251、および生物試料分析、生物試料分析科学会、平成12年6月、第23巻、第3号、P.243〜251〕に従って調整することができる。すなわち、健常者希釈血漿のみまたは健常者血漿に終濃度で3.3mMの塩化カルシウムを添加し、37℃、90分間で生成させた可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体に富む希釈血漿に、終濃度で5ATU/mLのヒルジンおよび5mMのEDTA−2Naを加え、トロンビンと活性化血液凝固第XIII因子を不活化した希釈血漿をゼラチンセファロースカラムに通し、フィブロネクチンと可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体を吸着後、0.05Mのトリス塩酸緩衝液 pH7.5(平衡化液)で十分洗浄後、1Mの臭化ソーダを含む0.05Mの酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0で溶出した。次にこの溶出画分中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体をさらに抗ヒトフィブリノーゲン抗体を結合させたアフィゲル10カラムで吸着させ、平衡化液で十分洗浄後、6M尿素を含む0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.8で溶出することで精製した。この精製された可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(以下可溶性FG−FNと称することがある)を免疫原または免疫学的測定法の標準品として使用した。
可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体(可溶性FG−FN :A280nm=0.22)を等量のフロインド氏完全アジュバンドとエマルジョンかするまで混合し、その混合液200μLをBALB/Cマウスの背部皮下に投与することにより免疫を行った(初回免疫)。3週間後前記と同様の免疫操作をマウスの背部に行い、さらに2週間毎にこの免疫操作3回繰り返した。さらに2週間後、可溶性FG−FNを等量の生理食塩水で希釈した免疫原を、前記マウスの腹腔内に投与した(最終免疫)。最終免疫から3日後、脾臓を無菌的に取り出し、細胞融合の材料とした。
無菌的に採取したマウス脾臓を、10vol%ウシ胎児血清を含むDMEMメディウム5mLを入れたシャーレに入れ、無鈎ピンセットを用いて脾細胞を解したのち、この脾細胞懸濁液をナイロンメッシュに通した。この脾細胞を50mLの遠心管に集め、1000rpm、5分間遠心し、上清を吸引除去した。この様にして得られた脾細胞に0.16Mの塩化アンモニウム液を加え、37℃で10分間放置することにより脾細胞中に存在する赤血球膜を破壊した。さらにDMEMメディウムで十分洗浄後、10mLの同メディウムで残った脾細胞を懸濁させ、生きている脾細胞数を算定した。
ハイブリドーマ培養上清における抗体産生のチェックはELISA法により行った。すなわち96ウエルELISA用プレート(Nnnc)の各ウエルに前記の、可溶性FG−FN免疫原溶液、フィブリノーゲン溶液、およびフィブロネクチン溶液をA280nm=0.02となるように生理食塩水で希釈し、それぞれ各ウエルに100μLずつ分注し、4℃で12時間放置することによりコーティイングを行った。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、各ウエルの培養上清100μLを加え、37℃で30分反応させた。次に3回洗浄した後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で1000倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(ダコ社)100μLを各ウエルに添加し、37℃で20分間反応させた。反応終了後、0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、0.005vol%過酸化水素水を含む17mMオルトフェニレンジアミン2塩酸塩溶液100μLを各ウエルに加え、37℃で20分間反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド)を用い測定した。その結果、960ウエル中、2ウエルにフィブリノーゲン、およびフィブロネクチンとは反応せず可溶性FG−FNとのみ反応性を示すクローンが認められた。この2ウエルのハイブリドーマを直ちに、限界希釈法によりクローニングした。限界希釈法は、無血清メディウム(コージンバイオ)を用い96ウエルの培養プレートに0.8個/100μLとなるように分注し、5vol%炭酸ガス下、37℃で20日間培養した。
その結果、各ハイブリドーマにつき、10〜20個の抗体産生クローン得られた。これらのクローンの中から抗体分泌量が高く、また増殖能が高いクローンを選び、1種類の抗可溶性FG−FN抗体産生ハイブリドーマ クローンFG−FN001を樹立した。
今回作製したマウスハイブリドーマ クローンFG−FN001を無血清メディウム(コージンバイオ)中で、37℃、5vol%炭酸ガス下で大量培養を行った。次に培養上清1L当り固形の硫酸アンモニウムを50wt%飽和となるように添加し、4℃で2時間静置した後、9000Gで20分間遠心し、沈渣を得た。得られた沈渣を少量の0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5に溶解し、同じ緩衝液で平衡化したセファクリルS200カラムにその一部を注入し、ゲルろ過クロマトグラフィーを行った。次に回収したモノクローナル抗体に富む画分を0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.5で平衡化したプロテインAセファロース4Bカラムにアプライした。十分洗浄後、0.2Mグリシン塩酸緩衝液pH2.80で溶出し、直ちに、500倍量の0.05Mトリス塩酸緩衝液pH7.50で4℃、一晩透析し抗可溶性FG−FNマウスモノクローナルIgG抗体を得た。
本発明のモノクローナル抗体(クローンFG−FN001)のサブクラスはELISA法で行った。まず、抗FG−FN抗体を0.1M炭酸・重炭酸緩衝液 pH9.5で10μg/mLとなるように希釈し、それぞれ100μLずつを96ウエルELISA用プレート(Nnnc)に4℃で16時間コーティングする。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、1000〜2000倍に希釈したペルオキシダーゼを標識した抗マウスIgG1(MBL)、抗マウスIgG2a(MBL)、および抗マウスIgG3(MBL)溶液を加え37℃ 20分間反応させた。その結果、このモノクローナル抗体の免疫グロブリンサブクラスは、IgG1であった。
本発明のモノクローナル抗体の反応特異性の同定はELISA法により行った。すなわち96ウエルELISA用プレート(Nnnc)の各ウエルに前記の、可溶性FG−FN免疫原溶液、フィブリノーゲン溶液、フィブリノーゲンのプラスミン分解産物、フィブリンのプラスミン分解産物、フィブロネクチンおよび可溶性フィブリンをA280nm=0.02となるように生理食塩水で希釈し、それぞれ各ウエルに100μLずつ分注し、4℃で16時間放置することによりコーティイングを行った。次に0.05vol%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した後、10μg/mLに調整した上記本発明のモノクローナル抗体100μLを加え、37℃で30分反応させた。
また、本発明のモノクローナル抗体と種々のフィブリノーゲン誘導体、フィブリン誘導体、フィブロネクチン、可溶性フィブリンおよび可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体との反応性特異性をELISA法で調べた成績を表1に示す。
(1)固相プレートの調整
精製抗可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体マウスモノクローナル抗体(FG−FN001)の蛋白濃度が10μg/mLとなるように0.01M炭酸・重炭酸緩衝液pH9.50で希釈し、その100μLずつを96ウエルELISA用マイクロプレート(Nunc)の各ウエルに分注し、4℃で16時間静置した。
(2)標識抗体の調整
抗ヒトフィブロネクチンウサギポリクローナルIgG抗体を、常法に従いホースラディシュペルオキシダーゼで標識し、HRP標識抗体を得た。
上記の当該抗体コーティングプレートを0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、前記実施例1−(1)で作製した精製可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体溶液を0.05%Tween20加生理食塩水で希釈して、5.0、2.5、1.25、0.625、0.313、0.156μg/mLに調整した標準物質および上記生理食塩水で10倍に希釈した健常者および患者血漿100μLずつを各ウエルにまき、37℃で10分間反応させた。
次に、0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、同液で500倍希釈した抗ヒトフィブロネクチンHRP標識抗体100μLを各ウエルにまき、37℃で10分間反応させた。
次いで0.05%Tween20加生理食塩水で3回洗浄した後、0.005%過酸化水素水を含む17mMオルトフェニレンジアミン2塩酸塩溶液100μLを各ウエルに加え、37℃、10分間暗所で反応させ、各ウエルの490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダー(バイオラッド)を用い測定し、検量線を作成した(図1)。検体中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度は、検量線より求め、希釈倍数を乗じて血漿中の濃度とした(図4)。
種々の血栓性疾患[播種性血管内凝固症候群(DIC)28例、急性心筋梗塞症および脳梗塞症30例、深部静脈血栓症12例、大動脈瘤症8例、閉塞性動脈硬化症11例]、糖尿病32例および健常者40例の血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を実施例7に準じてELISA法により測定した成績を図5に示す。
採血業務が不慣れな医療技術者2名により、健常者20例の腕正中静脈から、血球算定用EDTA−3K入り真空採血管(二プロ)を用い、3mLを連続5本採血し、十分転倒混和後、2500Gで10分間遠心した後、それぞれ血漿を分離した。これら20名の血漿中の可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の濃度を実施例7に準じて測定し、1本目と5本目の測定結果について比較検討した。また、併せて分離した健常者血漿中のTAT(エンザイグノストTATキット、デイドベーリング)およびSF(ヤトロSFキット)を同様に測定し、1本目と5本目の測定結果について比較検討した結果を図6に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血しても、1本目群に擬陽性反応(5.6μg/mLを超える)は認められず、さらに5本目群においても擬陽性反応は認められなかった。
実施例9の検体を、TATキットを用いて、測定した。結果を図7に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血すると、1本目群においてもTATの擬陽性反応
(4.1ng/mL以上)が高頻度に認められ、さらに5本目群においては擬陽性反応の出現頻度がさらに高くなった。
実施例9の検体を、SFキットを用いて、測定した。結果を図8に示す。
結果コメント:
採血業務が不慣れな医療技術者が採血すると、1本目群においても擬陽性反応(6.1
μg/mL以上)が高頻度に認められ、さらに5本目群においては擬陽性反応の出現頻度がさらに高くなった。
Claims (4)
- デスAABBフィブリン又はデスAAフィブリンがフィブリノーゲンと会合したフィブリン・フィブリノーゲン複合体と、フィブリノーゲン分解産物(X,Y、D、E)と、フィブリン分解産物(D−X−D/Y−Y、Y−D/D−Y、D−D/E)と、ヒトフィブリノーゲンと、ヒトフィブロネクチンとのいずれとも反応しない抗体であって、活性化血液凝固第XIII因子の作用のもとに、ヒトフィブロネクチンのA鎖および/またはB鎖とヒトフィブリノーゲンのAα鎖とが共有結合したヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応するモノクローナル抗体。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を分泌することを特徴とするハイブリドーマ。
- 請求項1に記載のモノクローナル抗体を第1抗体として不溶性担体に固定し、この固定化した第1抗体と被検試料とを接触させ、続いてヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体と特異的に反応しない抗体に標識を付けた第2抗体と被検試料とを接触させ、標識の信号を検出することを特徴とするヒト可溶性フィブリノーゲン−フィブロネクチン複合体の免疫学的測定法。
- 請求項3によって検出することからなる血管内凝固症候群または血栓性疾患の患者体液を用いた免疫学的測定法。
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