JP2837030B2 - 抗ヒトプラスミン−α▲下2▼−プラスミンインヒビター複合体特異抗体及び免疫学的測定方法 - Google Patents

抗ヒトプラスミン−α▲下2▼−プラスミンインヒビター複合体特異抗体及び免疫学的測定方法

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JP2837030B2 JP4184467A JP18446792A JP2837030B2 JP 2837030 B2 JP2837030 B2 JP 2837030B2 JP 4184467 A JP4184467 A JP 4184467A JP 18446792 A JP18446792 A JP 18446792A JP 2837030 B2 JP2837030 B2 JP 2837030B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒトプラスミン−α2
−プラスミンインヒビター複合体(Plasmin−α
2 −Plasmin Inhibitor Compl
ex:以下PPIの略称を用いることがある)と特異的
に反応するが、ヒトプラスミン及びヒトα2 −プラスミ
ンインヒビターとは反応しないモノクローナル抗体、及
びそのモノクローナル抗体を用いたPPIの免疫学的測
定方法に関する。更に詳しくは、本発明は、血漿検体を
希釈することなく、血漿中に存在するPPIを、共存す
るヒトプラスミノーゲン及びヒトα2 −プラスミンイン
ヒビターの妨害を受けることなく、正確にしかも再現性
良く、免疫学的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】汎発性血管内凝固症候群(DIC:Di
sseminated intravascular
coagulation)患者の血漿中や、ウロキナー
ゼ又はティッシュプラスミノーゲンアクチベータ(t−
PA)を用いた血栓溶解療法実施中の患者血漿中では、
プラスミノーゲンが活性化されてプラスミンが生成され
る。生成されたプラスミンは、流血中では瞬時にα2
ラスミンインヒビター(α2 PI:青木ら、J.Bio
l.Chem.,251,5956−5965,197
6)と1:1の複合体、即ち前記のPPIを形成する。
従って、PPIを測定することにより、プラスミンの生
成、即ち、線溶系活性化の事象を把握することができ
る。最近、血漿中のPPIはDICの診断及び血栓溶解
療法のモニター等の分子マーカーとして重要視されてい
る。そのため、血液あるいは血漿中のPPIの量を正確
かつ簡単に測定する必要がある。
【0003】従来から知られているPPI測定法として
は以下の4つの方法を挙げることができる。第1の方法
は、二次元交又免疫電気泳動法を用いる方法である。第
2の方法は、PPIのネオアンチゲンを認識するポリク
ローナル抗体を用いたラテックス凝集法である。第3の
方法は、プラスミノーゲンに対するポリクローナル抗体
とα2 −プラスミンインヒビターに対するポリクローナ
ル抗体の両者を用い、その一方を固定化抗体とし、他方
を酵素標識抗体とした、酵素免疫測定法である。第4の
方法は、α2 −プラスミンインヒビターに存在するプラ
ミスンの繊維素溶解作用を阻止する部位を特異的に認識
するモノクローナル抗体とプラスミンポリクローナル抗
体の両者を用い、その一方を固定化抗体とし、他方を酵
素標識抗体とし、血漿検体を1200倍に希釈して測定
する酵素免疫測定法である。
【0004】しかしながら、第1の方法には、感度が低
く定量性に欠けるという欠点があった。第2の方法に
は、PPIを特異的に測定できないという欠点があっ
た。第3の方法は、感度は良好であるが、抗血清の安定
な確保が困難であり、免疫反応が2工程であるので操作
が煩雑で、測定に長時間を要するという欠点があった。
第4の方法は、α2 −プラスミンインヒビターに対する
モノクローナル抗体を使用する点及び免疫反応を1工程
で操作する点で前記の第3の方法が改良されているが、
酵素免疫反応が有する欠点、即ち、操作が煩雑で測定に
長時間を要するという問題点を解消するものではなかっ
た。更に、第4の方法には、1工程の免疫反応を導入す
るために、検体を1200倍に希釈する工程が必要にな
るという欠点もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、PPIを
簡便に、正確にそして再現性よく測定する方法を開発す
るべく鋭意研究をした結果、PPIに反応性を示す第1
のモノクローナル抗体(特には、PPI No.5
0)、PPI及びプラスミノーゲンの両者に反応性を示
す第2のモノクローナル抗体(特には、PPI No.
3)の、2種のモノクローナル抗体を見出した。従っ
て、本発明は、新たに見出したモノクローナル抗体を利
用して、PPIを簡便に、正確にそして再現性よく測定
する方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、受託番
号がFERM P−13001であるハイブリドーマか
ら分泌され、ヒトプラスミン−α−プラスミンインヒ
ビター複合体と特異的に反応するが、ヒトプラスミン及
びヒトα−プラスミンインヒビターとは反応しないモ
ノクローナル抗体に関する。
【0007】更に、本発明は、前記のモノクローナル抗
体を第1のモノクローナル抗体として不溶性担体に固定
し、この固定化された第1のモノクローナル抗体と被検
試料とを接触させ、続いて前記の第1のモノクローナル
抗体と異なる部位でヒトプラスミン−α−プラスミン
インヒビター複合体に特異的に反応する、標識を付した
第2の抗体と接触させ、前記標識からの信号を検出する
ことを特徴とする、ヒトプラスミン−α−プラスミン
インヒビター複合体の免疫学的測定方法に関する。
【0008】本発明のモノクローナル抗体を分泌するハ
イブリドーマを作成する際に免疫原として用いるヒトP
PIは、例えば、Plowらの方法(J.Lab.Cl
in.Med.93,199−209,1979)に従
って調製することができる。精製したヒトPPI免疫原
溶液を用いて、常法により、哺乳動物(例えば、マウス
又はラット)をイン・ビボ免疫法により免疫し、免疫動
物から脾臓を無菌的に取り出し、脾臓細胞を調製し、細
胞融合工程に用いる。細胞融合に用いるもう一方の親細
胞であるミエローマ細胞としては、各種の公知の細胞株
を使用することができる。
【0009】免疫脾臓細胞とミエローマ細胞との細胞融
合は通常の方法で行うことができる。例えば、公知の融
合促進剤及び場合により補助剤の存在下で、免疫脾臓細
胞とミエローマ細胞とを、例えば、ミエローマ細胞に対
して脾臓細胞を約1〜10倍程度の量で用いる。融合用
培地中で免疫脾臓細胞とミエローマ細胞とをよく混合
し、続いて、選別用培地を用いてハイブリドーマ以外の
細胞を除去し、ハイブリドーマ培養上清の抗体産生の有
無を、例えば免疫沈降法により確認して、目的とするハ
イブリドーマを分離することができる。
【0010】こうして得られたハイブリドーマは、通常
の培地で継代培養することができ、液体窒素等の中で容
易に長期間保存することができる。また、ハイブリドー
マの培養培地は特に限定されず、好適にはDMEMにウ
シ胎児血清、L−グルタミン、L−ピルビン酸及び抗生
物質を含む培地が用いられる。ハイブリドーマの培養
は、イン・ビトロの場合には例えば培地中で5%CO2
濃度及び37℃で約3日間、またイン・ビボ例えばマウ
スの腹腔中で培養する場合には約14日間実施するのが
好ましい。
【0011】前記のハイブリドーマを常法によって培養
した培養液から、あるいはハイブリドーマを投与した適
当な哺乳動物(例えばマウス又はラット)の腹水から、
目的とするモノクローナル抗体を分離し、精製すること
が可能である。このようにして製造された培養液又はマ
ウスの腹水からモノクローナル抗体を分離、精製する場
合には、タンパク質の単離、精製に一般的に用いられる
方法、例えば、硫安塩析、イオン交換クロマトグラフィ
ー、分子篩ゲルを用いる分子篩カラムクロマトグラフィ
ー、プロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロ
マトグラフィー、透析、凍結乾燥などを用いることがで
きる。
【0012】こうして得られるヒトプラスミン−α2
プラスミンインヒビター複合体と特異的に反応するが、
ヒトプラスミン及びヒトα2 −プラスミンインヒビター
とは反応しないモノクローナル抗体を用いて、被検試料
中のPPIを免疫学的に検出することができる。特に、
前記の特性をもつモノクローナル抗体を第1のモノクロ
ーナル抗体として固定化した不溶性担体と、標識を付し
た別の抗体(この抗体はモノクローナル抗体又はポリク
ローナル抗体であることができ、好ましくは第1のモノ
クローナル抗体と異なる部位でPPIに特異的に反応す
るモノクローナル抗体を用いる)とによるサンドイッチ
EIA法を好適に行うことができる。
【0013】具体的には、前記第1のモノクローナル抗
体を適当な不溶性担体に固定化する(固定化抗体)。次
に、不溶性担体と検体試料との非特異的結合を避けるた
めに、適当な物質〔例えば、牛アルブミン(BSA)や
ウサギアルブミン(RSA)等〕で不溶性担体の表面を
被覆する。続いて、未希釈の検体試料を加えて一定時間
(例えば5分〜3時間)及び一定温度(例えば4°〜4
0°、好ましくは室温近辺)で接触させ反応させる(1
次反応)。これを適当な洗浄液(例えば、界面活性剤を
含む生理食塩水)で洗い、標識された抗体を加えて一定
時間(例えば5分〜3時間)及び一定温度(例えば4°
〜40°、好ましくは室温近辺)で接触させ反応させる
(2次反応)。適当な洗浄液(例えば界面活性剤を含む
生理食塩水)で洗ってから、不溶性担体上に存在する標
識抗体の量を定量する。その値から、検体試料中のPP
Iの量を算出することができる。また、1次反応と2次
反応を同時に行なうことも可能である。
【0014】本発明の測定方法に使用することのできる
不溶性担体は特に限定されるものではなく、例えば、ポ
リエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素
樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライドなどの高分
子、その他ニトロセルロース、紙、アガロース及びこれ
らの組合せなどを例示することができる。
【0015】標識物質としては酵素、螢光物質又は発光
物質を使用するのが有利である。酵素としてはアルカリ
ホスファターゼ、パーオキシダーゼ、β−D−ガラクト
シダーゼなど、また、螢光物質としてはフルオレセンイ
ソチオシアネートなど、また、発光物質としてはアクリ
ジニウムエステル、ルシフェリンなどを使用することが
できる。
【0016】本発明の免疫学的定量方法に用いる被検試
料は、PPIを含有する可能性のある試料であれば特に
制限されるものではないが、例えば、生体試料、特には
血液、血清、血漿または尿、好ましくは血漿である。本
発明の免疫学的定量方法においては、被検試料を希釈せ
ずに、そのまま使用しても、被検試料中に遊離の状態で
存在するプラスミノーゲンおよびα2 −プラスミンイン
ヒビターの妨害を避けることができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例によって限定されるもの
ではない。実施例1:PPIの精製 (a)ヒトプラスミン−α2 −プラスミンインヒビター
複合体(PPI)の精製はPlowらの方法(J.La
b.Clin.Med.93,199−209,197
9)に従って行った。簡単に説明すると、ヒト(健常
人)血漿100mlをリジン−セファロースカラム(ベ
ッド容量、100ml)に通過させ、プラスミノーゲン
を除去した。プラスミノーゲン不含のこの血漿に、プラ
スミン水溶液(60μg/ml)100mlを徐々に加
えた後、37℃で10分間保温した。反応後の水溶液を
リジン−セファロースカラム(ベッド容量、200m
l)に通し、PPIを吸着させた。PPI吸着カラムを
0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した
後、50mMε−アミノカプロン酸を含むPBSでPP
Iを溶出させた。更に、得られたPPIをウルトロゲル
ACA44による分子篩クロマトグラフィーによって精
製した。この精製PPIを免疫原及び抗PPIモノクロ
ーナル抗体のスクリーニングに使用した。
【0018】(b)免疫化脾臓細胞の調製:PPI免疫
原溶液(A280nm=0.1)を等量のフロインド氏
完全アジュバンドと乳化するまで混合し、その混合液2
00μlをBALB/c系マウスの腹腔内に投与するこ
とにより免疫を行った(第1回免疫)。30日経過後、
前記と同様の混合液200μlを前記マウスの腹腔内に
投与した(第2回免疫)。第2回免疫から21日経過
後、PPI免疫原溶液(A280nm=0.1)を等量
の生理食塩水で希釈して調製したPPI希釈液200μ
lを、前記マウスの静脈内に投与した(最終免疫)。最
終免疫から3日経過後、脾臓を無菌的にマウスから取り
出し、次の細胞融合工程に使用した。
【0019】(c)細胞融合 15%ウシ胎児血清を含むDME培地5mlを入れたシ
ャーレに、無菌的に抽出した前記の脾臓を入れた。次
に、15%ウシ胎児血清を含むDME培地約15mlで
前記脾臓を還流して脾臓細胞を流出させた後、この脾臓
細胞懸濁液をナイロンメッシュに通した。この脾臓細胞
を50ml遠心チューブに集め、500×gで10分間
遠心した。こうして得たペレットにヘモライジング溶液
(155mM−NH4 Cl、10mM−KHCO3 、1
mM−Na2 EDTA:pH7.0)4mlを加え、懸
濁させた。0℃で5分間放置して懸濁液中の赤血球を破
壊させた。15%ウシ胎児血清10mlを含むDME培
地を加えてから遠心分離した。こうして得たペレットを
DME培地で遠心法により洗浄し、生きている脾臓細胞
数を測定した。
【0020】一方、予め培養しておいたマウスミエロー
マ細胞(骨髄腫細胞)SP2/0−Ag14(理化学研
究所ジーンバンク細胞銀行)約2×107 個に前記脾臓
細胞1×108 個を加え、DME培地中でよく混合し、
遠心分離を行った(500×g、10分間)。その上清
を吸引し、ペレットをよく解きほぐし、40%ポリエチ
レングリコール4000溶液(38℃に保温)0.5m
lを滴下し、遠心チューブを手で1分間穏やかに回転す
ることによってポリエチレングリコール溶液と細胞ペレ
ットとを混合させた。次に、38℃に保温しておいたD
ME培地を30秒毎に1mlずつ加えて、チューブを穏
やかに回転させた。この操作を10回繰り返した後、1
5%ウシ胎児血清20mlを含むDME培地を加えて、
遠心分離(500×g、10分間)を行った。上清を除
去した後、15%ウシ胎児血清を含むHAT培地(DM
E培地にアミノプテリン4×10-7M、チミジン1.6
×10-5M、ヒポキサンチン1×10-4Mになるように
添加したもの)で細胞ペレットを遠心法によって2回洗
浄した後、前記HAT培地40mlに懸濁した。この細
胞懸濁液を96ウエル細胞培養プレートの各ウエルに2
00μlずつ分注し、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養
器で37℃にて培養を開始した。培養中、2〜3日間隔
で各ウエルの培地を約100μl除き、新たに前記のH
AT培地100μlを加えることによりHAT培地中で
増殖するハイブリドーマを選択した。8日目から15%
ウシ胎児血清を含むHAT培地(DME培地にチミジン
1.6×10-5M、ヒポキサンチン1×10-4Mになる
ように添加したもの)に交換し、ハイブリドーマを観察
するとともに、10日目に、後記の免疫沈降法により、
PPI抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングした。
【0021】(d)ハイブリドーマの樹立 ハイブリドーマ培養液の上清における産生抗体の有無及
び特異性は、免疫沈降法により調べた。即ち、各ウエル
の培養上清50μl(200μg/ml)を、実施例1
(a)で調製した精製PPIと混合し、室温で2時間反
応させた。次に抗マウスイムノグロブリン抗体固定化セ
ファロース4B(ゲル1ml当たり1〜2mgの抗体が
固定化されている)100μlと0.5M−NaClを
含む20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)(以下緩
衝液Aと称する)800μlを添加して混合し、4℃で
1晩転倒混和した。遠心分離法でゲルを緩衝液Aにより
5回洗浄した後、ゲルを2%SDS−20mMトリス塩
酸(pH7.6)に懸濁し、室温で2時間転倒混和し
た。遠心分離(700×g、5分間、20℃)した後、
上清をSDS−PAGE(3.5〜9.0%ゲル)にか
け、銀染色を行ってPPIとの反応特異性を調べた。同
様に、ヒトプラスミノーゲン及びヒトα−プラスミン
インヒビターとの反応性についても試験を行った。マー
カーとして、精製PPI、精製ヒトプラスミノーゲン、
精製ヒトα−プラスミンインヒビター及び分子量マー
カーを用いた。
【0022】このように免疫沈降法によって抗PPI特
異的抗体を産生するハイブリドーマのクローンをスクリ
ーニングすると、溶液中に自然な(天然の)状態で含ま
れるタンパク質抗原との反応性を観察することができ
る。即ち、スクリーニング法として一般に用いられるE
LISA法では、タンパク質抗原を直接固相に結合させ
て抗体の特異性を見るので、固定化処理による人為的な
構造変化を認識する抗体を、天然の抗体に特異的に反応
するモノクローナル抗体であるとする間違った判断が度
々生じるが、前記の免疫沈降法はこうした誤認を防ぐこ
とができる。
【0023】前記のスクリーニングにより、各ハイブリ
ドーマにつき、20〜40個の抗体産生クローンが得ら
れた。これらのクローンの中から、増殖力が強く、抗体
分泌能が高く、しかも安定なクローンを選び、前記と同
様の方法で再クローン化を行い、2種の抗PPI抗体産
生ハイブリドーマPPI No.50−1−1−1及び
PPI No.3−1−2−2を樹立した。これら2種
のハイブリドーマから分泌される2種のモノクローナル
抗体PPI No.50及びPPI No.3とヒトプ
ラスミノーゲン(アテンズ・リサーチ社、アメリカ)あ
るいはヒトα2−プラスミンインヒビター(アテンズ・
リサーチ社、アメリカ)との反応性を前記の免疫沈降法
と同様の方法により調べた。モノクローナル抗体PPI
No.50はヒトプラスミノーゲンにも、ヒトα2
プラスミンインヒビターにも反応しなかった。モノクロ
ーナル抗体PPI No.3はヒトプラスミノーゲンと
は反応したが、ヒトα2 −プラスミンインヒビターとは
反応しなかった。
【0024】前記の各ハイブリドーマは工業技術院微生
物工業技術研究所に1992年6月12日から寄託され
ている。託番号は、ハイブリドーマPPI No.5
0−1−1−1が微工研菌寄第13001号(FERM
P−13001)であり、ハイブリドーマPPI N
o.3−1−2−2が微工研菌寄第13002号(FE
RM P−13002)である。
【0025】実施例2:モノクローナル抗体の製造 (a)イン・ビトロ法 マウスハイブリドーマPPI No.50−1−1−1
及びPPI No.3−1−2−2を、それぞれ15%
ウシ胎児血清を含むDME培地で、37℃で5%二酸化
炭素雰囲気中において72〜96時間培養した。培養物
を遠心分離(10000×g、10分間)後、上清に固
形の硫酸アンモニウムを50%最終濃度となるように徐
々に加えた。混合物を氷冷下で30分間攪拌した後、6
0分間放置してから遠心分離(10000×g、10分
間)処理し、得られた沈渣を少量の10mMリン酸緩衝
液(pH8.0)に溶解し、1000倍量の10mMリ
ン酸緩衝液ですでに平衡化したDEAE−セルロースの
カラムに充填した。モノクローナル抗体の溶出は10m
Mリン酸緩衝液(pH8.0)と0.2M−NaClを
含む10mMリン酸緩衝液(pH8.0)の間で濃度勾
配法により行った。溶出されたモノクローナル抗体を限
外濾過法で濃縮し、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.
0)に対して透析した。ウシ血清IgGを除くために、
透析物をヤギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bカラ
ムに通した。次に、通過液を0.1Mリン酸緩衝液(p
H8.0)で平衡化したプロテインA−セファロース4
Bカラムに充填した。カラムをpH2.5の緩衝液で溶
出して、精製した抗PPI特異モノクローナル抗体PP
I No.50、及び同様にモノクローナル抗体PPI
No.3の溶液を得た。
【0026】(b)イン・ビボ法 プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタ
デカン)0.5mlを10〜12週齢のBALB/c系
マウスの腹腔内に投与し、それから14〜20日目のマ
ウスの腹腔内にインビトロで増殖されたハイブリドーマ
PPI No.50−1−1−1又はPPI No.3
−1−2−2をマウス一匹あたり2×106 個となるよ
うに接種した。各ハイブリドーマにつき一匹のマウスか
ら約10〜15mlの腹水が得られた。その抗体濃度
は、2〜10mg/mlであった。腹水中のモノクロー
ナル抗体の精製は、前記のイン・ビトロ精製と同様の方
法(但し、ヤギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bの
カラムを通す操作を除く)で行なった。
【0027】実施例3:モノクローナル抗体の免疫グロ
ブリンクラス及び特異性の同定 (a) 抗PPI特異モノクローナル抗体PPI N
o.50及びPPI No.3の免疫グロブリンクラス
及び特異性の同定をそれぞれオクテロニー免疫拡散法及
びエンザイムイムノアッセイ法により行った。結果は表
1に示す通りである。
【0028】
【表1】
【0029】(b)免疫沈降法によってモノクローナル
抗体PPI No.50及びPPINo.3の特性を調
べた。即ち、前記実施例2で得た精製モノクローナル抗
体PPI No.50及びPPI No.3をブロムシ
アン化セファロース4B(ファルマシヤ社)に常法に従
って固定化した。ゲル1ml当たり1〜2mgの抗体が固定
化された。モノクローナル抗体固定化セファロース4B
ゲル(MoAbゲル)と、各種の抗原試料、即ち、精製
ヒトプラスミノーゲン(アテンズ・リサーチ社)、α2
−プラスミンインヒビター(アテンズ・リサーチ社)、
PPI〔前記実施例1(a)〕、血漿、及びウロキナー
ゼ処理血漿を混合し、下記の操作で免疫沈降法を行っ
た。前記抗原試料100μlと、前記の緩衝液A790
μlと、アプロチニン(Aprotinin)(100
TIU/ml)10μlと、モノクローナル抗体PPI
No.50又はPPI No.3のF(ab’)2 −セ
ファロース4Bの100μlとを混合し、5℃で1晩転
倒混和した。遠心分離でゲルを緩衝液Aにより5回洗浄
し、2%SDS−20mM−トリス塩酸(pH7.6;25
℃)にゲルを懸濁し、室温で2時間転倒混和した。更
に、遠心分離(700×g,5分,20℃)して得た上
清をSDS−PAGE(3.5〜9.0%gel)で分
離し、銀染色を行った。モノクローナル抗体PPI N
o.50とPPI No.3の反応性(SDS−PAG
E、銀染色)を図1に示す。マーカーとしては、精製P
PI、精製ヒトプラスミノーゲン、精製ヒトα2 −プラ
スミンインヒビター及び分子量マーカーを用いた。
【0030】実施例4:酵素免疫測定法(EIA)によ
るPPIの測定 (a)固相抗体の調製 モノクローナル抗体PPI No.50のIgG分画タ
ンパク濃度5μg/mlになるように50mMリン酸バッフ
ァー生理食塩水(pH7.5)にて調製する。この抗体液
50μlずつを、96ウエルELISA用プレート(I
mmulonII,日本ダイナテック)の各ウエルに分注
し、4℃で24時間放置した。 (b)標識抗体の調製 モノクローナル抗体PPI No.3のIgG分画を、
常法に従ってホースラディシュペルオキシダーゼ(HR
P)で標識化し、標識抗体を得た。 (c)検量線の作成 前記(a)で得られたモノクローナル抗体PPI N
o.50固定化96ウエルELISA用プレートを0.
05%Tween−20生理食塩水で3回洗浄した後、
前記実施例1(a)の精製PPI40μg/ml、20μ
g/ml、10μg/ml、5μg/ml、2μg/ml、1μ
g/ml及び0.5μg/ml濃度の溶液50μlを各ウエ
ルに加え、25℃で10分間反応させた。0.05%T
ween−20−生理食塩水で3回洗浄した後、前記
(b)のホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)
標識モノクローナル抗体PPI No.3の0.05%
Tween−20−50mMリン酸緩衝液−生理食塩水
(pH7.5)溶液を50μl加え、25℃で10分間反
応させた。次いで、0.05%Tween−20−生理
食塩水で3回洗浄した後、HRP用基質液〔0.5mMア
ミノアンチピリン、10mMフェノール及び0.005%
過酸化水素水を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)〕
200μlを各ウエルに加え、25℃で10分間反応さ
せ、各ウエルの490nmにおける吸光度を測定した。得
られた検量線を図2に示した。
【0031】実施例5:精製PPIの添加回収試験 5種の検体(健常人A及びB、並びにDIC患者C,D
及びEから採取した血漿)中のPPIの定量を行い、次
いでそれぞれの検体に精製PPI2.0μg/ml、4.
0μg/ml及び8.0μg/mlを添加し、添加回収試験
を行った。結果は表2に示すように、回収率94〜10
4%と良好であった。
【0032】
【表2】
【0033】実施例6:健常人とDIC患者群のPPI
実施例5の測定法に準じ、健常人血漿12検体、DIC
患者血漿15検体のPPIを測定した。結果を図3に示
す。健常人群のPPI値は全例1μg/ml未満であっ
た。それに対してDIC患者群は全例2μg/ml以上で
あった。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、血漿試料の希釈操作を
行わなくても、血漿中の遊離プラスミノーゲン及び遊離
α2 −プラスミンインヒビターの干渉を受けることな
く、患者血漿中のPPIを特異的に、正確かつ迅速に測
定することができる。これは、本発明によって初めて可
能になったものである。従って、本発明はDIC等の診
断及び病理研究に有用な手段を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】モノクローナル抗体PPI No.50及びP
PI No.3の免疫沈降法による、プラスミノーゲ
ン、α2 −プラスミンインヒビター及びPPIとの反応
性を示す説明図である。
【図2】PPIの定量用検量線を示すグラフである。
【図3】健常人とDIC患者の複合体の測定値を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受託番号がFERM P−13001で
    あるハイブリドーマから分泌され、ヒトプラスミン−α
    −プラスミンインヒビター複合体と特異的に反応する
    が、ヒトプラスミン及びヒトα−プラスミンインヒビ
    ターとは反応しないモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 トプラスミン−α−プラスミンイン
    ヒビター複合体と特異的に反応するが、ヒトプラスミン
    及びヒトα−プラスミンインヒビターとは反応しない
    モノクローナル抗体を分泌する、受託番号がFERM
    P−13001であるハイブリドーマ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のモノクローナル抗体を第
    1のモノクローナル抗体として不溶性担体に固定し、こ
    の固定化された第1のモノクローナル抗体と被検試料と
    を接触させ、続いて前記の第1のモノクローナル抗体と
    異なる部位でヒトプラスミン−α−プラスミンインヒ
    ビター複合体に特異的に反応する、標識を付した第2の
    抗体と接触させ、前記標識からの信号を検出することを
    特徴とする、ヒトプラスミン−α−プラスミンインヒ
    ビター複合体の免疫学的測定方法。
  4. 【請求項4】 標識を付した第2の抗体としてモノクロ
    ーナル抗体を使用する、請求項3記載の免疫学的測定方
    法。
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