JP2002506825A - スフィンゴシン−1−ホスファート、スフィンゴシン−1−ホスファート誘導体及び/又はその混合物の炎症性皮膚病の治療のための使用 - Google Patents
スフィンゴシン−1−ホスファート、スフィンゴシン−1−ホスファート誘導体及び/又はその混合物の炎症性皮膚病の治療のための使用Info
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Abstract
Description
誘導体及び/又は上述の物質の混合物の即ち炎症性皮膚病の治療のための、即ち
特に尋常性乾癬、尋常性ざ瘡、又はKligmanが「皮膚の日射病」と称した慢性の 光の障害を含むその他の皮膚病の治療のための新規の使用に関する。
本発明は、リポソーム及び所謂固形のリピド-ナノ粒子のような新規の有効物質 用担体を含む薬剤に関する。好ましくは本発明は、尋常性乾癬、尋常性ざ瘡、又
は皮膚の日射病を治療するための局部的に適用可能の薬剤に関する。
な抗炎症性の有効物質であり、局所的治療において最も頻繁に使用される。更に
この物質は抗炎症性と抗掻痒性並びに抗増殖性である。前者の作用がグルココル
チコイドの主要な適用症、即ち皮膚の急性の炎症性反応の際に重要な役割を果た
す。後者の効果は特に乾癬の際に重要である。
る。これが高増殖性の成分を伴う炎症性皮膚病にとって望ましい効果であり、ま
た乾癬の場合にも使用される。しかし繊維芽細胞に対する作用により、皮膚の菲
薄又は萎縮を生ずる可能性があり、本質的に極めて好ましくない局所的作用であ
る。
最もよく見られる、ポリジーン遺伝子に由来し種々の作用因子により発症する皮
膚病である。尋常性乾癬の特徴は次々に形成する表皮(高増殖性)で、即ち基底
層から角質層までの角化細胞の移動が約4日しか掛からない(普通は28日掛か
る)。更に乾癬の皮膚では(異物の)吸収が明らかに増加し、同時に尿の中に短
くなった異物の分泌が認められ、また上皮層の保護機能と貯蔵機能の損傷により
診断された。
慢性に経過する皮膚病で、脂腺の機能亢進と濾胞の角化障害により閉塞して、尋
常性ざ瘡の典型的な発疹である面疱(にきび)が形成される。この尋常性ざ瘡の
場合、特に細胞への分化も妨げられる。普通ざ瘡は、角質を溶解する過酸化ベン
ゾイル、又は抗菌的にエリスロマイシン、クリンダマイシン又はアゼライン酸で
治療する。全身的には、抗菌的にテトラサイクリン乃至抗脂漏的に抗アンドロゲ
ン又はエストロゲンで治療するか、全身性のレチノイド・イソトレチノニンを使
用することが可能である。
た。これをKligmanは皮膚の日射病と命名した。この形態の範囲からの一つの重 大な病気は棘細胞癌の前段階である紫外線又は日光角化症で、この場合表皮の分
化が著しく阻害される。
る。この種の化合物は細胞膜の成分で、スフィンゴ脂質の重要な化合物の一つが
スフィンゴシンである。
スフィンゴシンを生成する。スフィンゴシン-1-ホスファートはスフィンゴシン キナーゼの生産物として公知である(例えば Stoffel, W., Hoppe-Seyer's Z. P
hysiol. Chem., 354, 562, 1973参照)。
て論じられている。スフィンゴシン及びスフィンゴシン代謝のその他の分解生成
物は、アポトーシス効果又はマイトジェン効果の何れかを調節する。これはその
細胞の種類と刺激の性質に依存すると見なされる。
公開WO 96/18404号には、これと関連してスフィンゴシンとスフィンゴシンの N-メチル誘導体が特定の型の細胞のアポトーシスを誘発すると記してある。
キナーゼCの阻害剤としての作用を述べている。プロテインキナーゼCの阻害に
より、多数の細胞の中で増殖が阻害され、プログラム化した細胞死が誘発される
。かなりの高濃度のスフィンゴシンの中での例えば角化細胞のこの細胞死は、プ
ロテインキナーゼCの阻害の後での細胞毒性作用によるものである。
の場合に増殖を促進する作用を有する。この増殖効果は立体特異的に、D(+)-エ
リトロ鏡像異性体によってのみ誘発される。
に対して示される。
促進すると論ぜられている。数多くの細胞間の推移がスフィンゴシン-1-ホスフ ァートにより影響を受ける。例えばスフィンゴシン-1-ホスファートはIP3( イノシトール1,4,5-トリスリン酸)に無関係の経路で細胞間記憶から細胞間のC
a+2-イオン濃度を高めてcAMP(サイクリックアデノシン3',5'-リン酸)の 分子間濃度を減少する。分子間作用におけるCa+2-含有量の増加は一つの分子 間作用に帰することができるが、最近スフィンゴシン-1-ホスファートに対して 膜に面した受容器が発見された。その際、cAMPの含有量に対する阻害的作用
は一つの受容器の効果に帰することができる。
フィンゴシン-1-ホスファート誘導体の種々の合成方法が公知となった。
体の細胞運動に対する作用が記してある。同様に国際公開WO 93/19760号には 、スフィンゴシン-1-ホスファートの抗癌剤としての利用が記載されている。
膚の日射病を治療するための新規な有効物質を提供することにある。更に前述の
作用物質を含む新規な薬剤を提供することにあり、この薬剤は特に局所的に適用
でき、界面活性剤を含まない薬剤担体が利用でき、これが水溶性媒体の中に粒子
の分散液を形成することができて、そのため有効物質の皮膚への吸収が容易にな
る。
新規な利用により解決される。ここでR1は1乃至6個の炭素原子を有するアル キル残基、R2=水素又は
それも繊維芽細胞に対して増殖を阻害する作用がない場合である。
。始めてスフィンゴシン-1-ホスファートが一次の繊維芽細胞の増殖を促進する 一方で、角化細胞の増殖を強く阻害することが示された。このスフィンゴシン-1
-ホスファートの増殖を阻害する作用はこれまで他の如何なる種類の細胞でも示 されたことは無かった。上述の一般式Iの種々のスフィンゴシン-1-ホスファー トは何れも同じような結果を示す。
細胞の分化の形態に影響する点である。即ちスフィンゴシン-1-ホスファートは 角化細胞の分化を誘発する。従って、上述の一般式Iのスフィンゴシン-1-ホス ファート及びスフィンゴシン-1-ホスファート-誘導体を高増殖性の炎症性皮膚病
の治療に適用することは容易に思いつくものではない。
-1-ホスファートは、細胞毒性の強化とは関係の無い抗増殖効果を形成する。
は反対になる一つの結果である。
なることが認められる。プロテインキナーゼCの活性化はプログラム化した細胞
死を阻害する。この場合本発明によれば、この保護効果は少なくとも一部が、プ
ロテインキナーゼCによるスフィンゴシンキナーゼの刺激に由来することが示さ
れた。スフィンゴシンキナーゼはスフィンゴシン-1-ホスファートを形成するた めの重要な酵素である。スフィンゴシン-1-ホスファートもアポトーシスの場合 に似たような保護効果を有する。
れが分化の誘発に関与する。ホルボールエステルによる酵素の刺激は分化を促進
する影響と関係があり、プロテインキナーゼCの阻害により、角化細胞の中で抗
増殖効果が得られる。これはしかし角化細胞の細胞死と関連する。
フィンゴシン-キナーゼを刺激し、スフィンゴシン-1-ホスファートの含有量を増
加する。このスフィンゴシン-1-ホスファートの分化を促進し増殖を阻害する効 果が、例えば国際公開WO88/01869号にスフィンゴシンに対して書かれたような
プロテインキナーゼCの阻害に基づくことは如何なる場合にもありえない。
の適用は高カルシウム副作用のため制限される。この化合物は角化細胞の中のプ
ロテインキナーゼCを活性化するので、この経路により分化が誘発される。
フィンゴシン-キナーゼに強い活性化の影響を与えると示すことができた。スフ ィンゴシン-1-ホスファートの形成により角化細胞の中に抗増殖効果のみならず 、分化促進効果が得られる。
疥癬、尋常性ざ瘡又は皮膚の日射病の治療用薬剤にカルシトリオール又はカルシ
ポトリオールを通常の濃度で加えることができる。
病の治療用の薬剤に関する。本発明の薬剤は、上述の一般式Iのスフィンゴシン
-1-ホスファート、スフィンゴシン-1-ホスファート誘導体、及び/又は前述の物
質の混合物、及び/又は前述の物質の薬学的に使用可能な塩及び薬学的に使用可
能な一種の担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
スフィンゴ脂質も対象になる。薬剤用担体として使用されるその他の脂質には、
ホスファチジルコリン、例えばホスファチジルコリンS100(メーカー:Lipoid K
G, Ludwigshafen)又はコレステリンがある。好ましくは炎症性皮膚病の治療用 薬剤にはスフィンゴシン-1-ホスファートが用いられる。スフィンゴシン-1-ホス
ファート乃至その誘導体は実質的にL-トレオ異性体を含んではならない。特に 有利な実施の形態においては、本発明の物質がリポソームのカプセルに充填され
、局所の適用が可能で、また特にヒドロゲル、オレオゲル、又はローション剤の
形を有する。有効物質、ここでは特にスフィンゴシン-1-ホスファートは調製し た製剤の中に0.002−0.05mg/g存在し、特に好ましくは調製した製剤の中の 有効物質の濃度は0.005−0.01mg/gである。
1-ホスファート誘導体又はその混合物のカプセル充填には、専門家には周知の方
法を使用することができる。例えばこの有効物質とリポソームを形成する物質と
を有機溶剤に溶解し、この溶液を水の相の中で混合し、必要ならばホモジナイズ
してから溶剤を蒸留して除去する。普通リポソーム形成物質又は物質混合物は、
有効物質、例えばスフィンゴシン-1-ホスファートに対して重量で100-倍乃至500
000-倍使用される。
質又はリン脂質の混合物を用いる。適当な混合物は60重量%までのコレステリ
ンと30重量%までの荷電体を含むことができる。溶剤には、好ましくはアルコ
ール類を使用する。
ガーレン式調合によって左右され、個々の場合に通常の予備試験により定める必
要がある。一般に薬剤学的製剤として使用する場合には、製剤1g当り0.002−0
.05mg、好ましくは0.005−0.01mgのスフィンゴシン、スフィンゴシン-1-ホ スファートが含まれていれば充分である。
種々のスフィンゴ脂質により4日間処理した後で、角化細胞の対数増殖期におけ るDNAへの[3H]-チミジン取込みを測定した。スフィンゴシン-1-ホスファー ト(SPP)はKGM(角化細胞増殖培地)の中で増殖を著しく阻害し、その際
はっきりした濃度依存性が認められた。増殖の阻害は既に1μMの濃度で始まり
、10μMのSPPはチミジン取込みを約63.1%だけ減少した(図1)。従
って尋常性乾癬に使用されるカルシポトリオールD3と同様の能力がある。スフ
ィンゴシン(SPH)も同じような成長阻害作用を示したが、その効果はSPP
よりも少なかった。MTTアッセイにより1−25μMのSPPの存在下で細胞
の活力(vitality)を検討したが、この物質は10μMまでは毒性の作用が無か
った。他のスフィンゴ脂質-誘導体、例えばジメチルスフィンゴシン(DMS) 及びC2-セラミド(C2C)は同様にチミジン取込みを阻害したが、しかしそ の作用は両方の物質の毒性にのみ由来するものであった。これは顕微鏡による検
討、アポトーシスとネクローシスに対するフローサイトメトリー研究としてのM
TTアッセイにより示された。
した角化細胞について実施した。この結果、SPP乃至SPHは角化細胞に対し
てマイトジェン効果を持たないことが判明した(図2)。DMSとC2Cはこの
培地でも毒性を有する。
いない細胞に就いて実施した。増殖はSPHと特にSPPにより濃度に依存して
著しく刺激された(図3)。SPPの最高の活性が10μMの濃度において測定さ
れた(約6.5倍) が、1μMにおいても既に増殖の増加が認められた。即ち角化細
胞の抗増殖効果を示す同じ濃度において、繊維芽細胞に対しては増殖作用がある
。SPHも繊維芽細胞の分裂活性を強化したが、その程度はやはりSPPよりも
低かった。SPHの濃度が10μMの時に毒性の作用が誘発された。DMSとC
2Cとは低濃度において非常に僅かの増殖促進効果があり、5μM以上の濃度で
明らかな毒性を示した。
施したが、血清成分の効果が重なったため、予想通り増殖促進効果は遥かに少な
かった。但し抗増殖効果は認められなかった(図4) 。
示した後で、スフィンゴ脂質-誘導体の作用による細胞の分化度を検討した。ト ランスグルタミナーゼの活性の測定から、SPPとSPHのみが − 即ち増殖
を阻害する脂質のみが − 角化細胞の分化を促進することが示された。比較の
ために、同じく分化を促進するビタミンD3の活性中間体を用いた。それによれ
ばSPPとSPHによる分化はカルシトリオールD3の分化と同程度であった(
図5)。
整を説明する。
0.75gのコレステリン及び15mgのスフィンゴシン-1-ホスファート(D-
エリトロ型)を5mlの96%エタノールに溶解し、溶液を回転蒸発器により穏
やかに蒸発乾固し、その際フラスコの壁に脂質のフィルムが形成される。この脂
質のフィルムを141.7 gの蒸留水に溶解し、次に得られた懸濁液(MLV)を高圧ホ
モジェナイザーにより950 barでホモジェナイズし、0.2μMのフィルターで濾
過する。得られたリポソーム懸濁液は平均粒径35nmのリポソームを含む。ホ
スファチジルコリンの含有量は48mg/gで、組み込まれた有効物質の含有量
は0.1mg/gである。
布し分散する。僅か乳白色のゲルが得られ、これを尚貯蔵する。有効成分の濃度
は10g/gである。
ィンゴ脂質の作用を示すグラフである。
ィンゴ脂質の作用を示すグラフである。
ィンゴ脂質の作用を示すグラフである。
成に及ぼすスフィンゴ脂質の作用を示すグラフである。
グラフである。
、及び/又は前述の物質の薬学的に許容し得る塩及び/又は前述の物質の混合物
の炎症性皮膚病を治療するための薬剤の調製のための使用。
体の細胞運動に対する作用が記してある。同様に国際公開WO 93/19760号には 、スフィンゴシン-1-ホスファートの抗癌剤としての利用が記載されている。 米国特許第5,712,262号は、神経変性疾患において及び老化プロセスの間のア ポトーシスの遅延のためのスフィンゴシン-1-ホスファートの治療的な適用を記 載する。 米国特許第5,391,800号、米国特許第5,663,404号及び米国特許第5,260,228号 は、炎症のために必須である細胞移動性の減少がSPN-1-Pで拮抗されること から、炎症の事象におけるスフィンゴシン-1-ホスファート(SPN-1-P)の適 用を記載する。 米国特許第5,627,171号は、スフィンゴシン-1-ホスファートとその誘導体の抗 増殖及び抗腫瘍効果を記載する。
Claims (9)
- 【請求項1】 一般式I 【化1】 (式中、R1は1乃至6の炭素原子を持つアルキル残基であり、R2は水素又は 【化2】 である) のスフィンゴシン-1-ホスファート及びスフィンゴシン-1-ホスファートの誘導体
、及び/又は前述の物質の薬学的に許容し得る塩及び/又は前述の物質の混合物
の炎症性皮膚病を治療するための使用。 - 【請求項2】 炎症性皮膚病が尋常性乾癬、尋常性ざ瘡又は皮膚の日射病で
あることを特徴とする請求項1記載の使用。 - 【請求項3】 スフィンゴシン-1-ホスファート及びスフィンゴシン-1-ホス
ファートの誘導体が本質的にL-トレオ異性体を含まないことを特徴とする請求 項1又は2記載の使用。 - 【請求項4】 − 次の一般式I 【化3】 (式中、R1は1乃至6の炭素原子を持つアルキル残基であり、R2は水素又は 【化4】 である) のスフィンゴシン-1-ホスファート及びスフィンゴシン-1-ホスファートの誘導体
及び/又は前述の物質の混合物、及び/又は前述の物質の薬学的に使用可能な塩
の群から選択される1つ又は幾つかの有効物質、及び − 薬学的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤、 を含む炎症性皮膚病を治療するための製剤。 - 【請求項5】 スフィンゴシン-1-ホスファート及びその誘導体が本質的に L−トレオ異性体を含むことを特徴とする請求項4記載の製剤。
- 【請求項6】 希釈剤としてスフィンゴシンを含むことを特徴とする請求項
4記載の製剤。 - 【請求項7】 製剤がリポソームで被包したスフィンゴシン-1-ホスファー ト及びスフィンゴシン-1-ホスファートの誘導体及び/又はその混合物を含むこ とを特徴とする請求項4又は5記載の製剤。
- 【請求項8】 局部的に適用可能で、ヒドロゲル、オレオゲル又はローショ
ンの形態で利用できることを特徴とする請求項4,5,6又は7のいずれか1項
記載の製剤。 - 【請求項9】 調製した製剤が、有効物質、特にスフィンゴシン-1-ホスフ ァートを0.002乃至0.05mg/g、特に0.005乃至0.01mg/
gの濃度で含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の製剤。
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