JP2002505210A - 耐層剥離性積層ガラス構造体 - Google Patents
耐層剥離性積層ガラス構造体Info
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Abstract
Description
る試みを常に行っている。いくつかの欠陥はガラスの品質が直接の原因となり得
るが、多くは積層工程、さらに具体的には一般的に使用されるポリビニルブチラ
ール(PVB)中間層に関連すると考えられる。欠陥は、気泡または細長い虫食
い状もしくは樹枝状の形状の空気のポケットのように見える。細長い虫食い状ま
たは樹枝状の欠陥は、しばしば層剥離と呼ばれる。幾つかの欠陥はオートクレー
ブ処理直後に目に見えるものであるが、その他は積層後数時間または数日かけて
成長する。真空を用いて脱気を行う層体製造業者は、暖かい気候においてより高
い欠陥率を経験する傾向がある。
れている。すなわち接着力が、ガラス内での不整合ならびに間隙やゆがみによる
応力に耐えられない。積層体の縁部近くの欠陥に対しては、環境からPVBが水
分を吸収し、それが接着レベルを低下させて欠陥形成を招くと、一般に説明され
ている。それ故、暖かく湿潤な季節の間には、水分が高比率で吸収され、したが
ってより多くの欠陥を引き起こすと理論的に説明される。
、高さ約0.1mmで5cmの距離におよぶ間隙は、欠陥を引き起こす疑いがあ
る。0.1mmの間隙またはひずみを生ずるのに必要な負荷を力学的に計算する
ことができ、それは驚くほど低く、厚さ2.1mmのガラスで1.0N/cmで
ある。このため、接着力では多くの欠陥形成を説明することはできない。
応力に耐えることができ、したがって、欠陥を引き起こさずに、より大きな間隙
やひずみが許容されるはずである。しかしながら本発明者等の知見は、そうでな
いことを示している。
その平衡レベルは相対湿度に依存し、異種の中間層では異なる可能性がある。水
分吸収の機構は拡散であり、これは拡散媒の濃度が、相界面で(すなわち積層体
の縁部で)最も高いことを意味する。相対湿度95%、40℃に1週間曝露され
たPVB積層体の典型的な水分プロフィルは、縁部から3〜4mm以内の中間層
でだけ含水率は1.5%より高く、縁部から約8mmでは含水率はほとんど変化
しないことを示す。観察される大半の欠陥は、縁部から約3〜12mm離れた所
で発生し、一部は僅かに内側に広がる。水分レベルが最も高く、接着レベルが最
も低いと予想される、縁部に開口している欠陥はほとんどない。
力が自動車のフロントガラスでの使用に適するようにすることが可能である。し
かしながら、このようにして製造された積層体は、高い周囲温度下で運転される
か、またはそうした周囲温度に曝露される自動車に装着された場合、不具合を生
じる。PVB中間層を積層前に50%より高い相対湿度で平衡させた積層体では
、100℃未満の温度で気泡が容易に形成される。こうした積層体は、国内およ
び国際規格(例えばANSI Z26、JIS R−3212、EC R−43
その他)で要求されるベーク試験または沸騰試験にほとんどパスしそうもない。
、30℃での接着力が、室温での接着力の数分の一にすぎないことである。それ
故、室温でのガラスと接着中間層間の接着力を高めても、高温下で生じる傾向の
ある欠陥を除去する助けにはならない。さらに、パンメル試験のような室温より
充分に低い温度で実施される試験データと層剥離との相関関係は、すくなくとも
疑問の余地がある。
役割を果たしていることを見出した。欠陥をさけるために、オートクレーブ処理
の前に、脱気および縁部の封止を、予備プレス段階の積層体でできるだけ完全に
行わなければならない。しかし、脱気のみを最適化しても、層剥離問題が完全に
解決されるとは思われない。
の接着結合力を増大させるために、接着シートに種々の添加剤を含めるものであ
った。このようなアプローチは、接着レベルを変化させ、ある程度層剥離を減少
させるのに有効であったが、接着力を増大させると、積層製品を自動車や他の窓
割り用途に望ましいものにする微妙な特性のバランスが覆される。接着レベルが
高すぎると、積層体がモノリシックになり、衝撃が吸収できなくなる可能性があ
るか、または、接着力が低すぎると、衝撃時に構造体からガラスの破片が飛散し
てしまうことは周知である。どちらの場合にも、接着レベルの変化により、積層
体は許容しがたいものになる。
不利な方向に変化させることなく、耐層剥離性の付与により、好ましくない虫食
い状、樹枝状の層剥離のない積層構造体を提供することである。
ラス/接着シートの積層構造体を提供するものであり、前記PVBには、前記ガ
ラスの層と前記PVBのシートとの間に、自動車のフロントガラス、サイドウィ
ンドウおよび車体ガラスとして使用するのに適した、予め選択された接着レベル
を提供するための接着制御剤がその中に混合されており、前記PVBはまた、前
記ポリマーのバルク中に表面エネルギー改変剤を、前記ポリビニルブチラール中
間層のシートが約52dyne/cm未満の全表面エネルギーを有するような量
で含んでいる。
ブ処理の間に空気がPVB中間層内に分散、封入または溶解することにより起こ
ることが見出された。溶解した空気は、PVB中での平衡溶解量を超える場合、
溶液から出てきて、欠陥を形成させる。これらの層剥離は始めはごく小さな気泡
として現れ、それが成長または合一してより大きな気泡を形成し、最終的には虫
食い状または樹枝状の層剥離を形成する。PVB内での空気気泡の形成および安
定性は、2つの不混和相からなる他の系と同様に、熱力学的状態に依存し、その
主な駆動力は前記2つの相間の単位体積あたりの総境界面積を減らすことである
。これが、小さな気泡が合体して、より大きな体積であるが、より小さな総境界
面積からなる1つの気泡を形成する理由である。添加剤の空気を分散状態に保つ
能力は、主に、PVBの表面張力を低下させることにおけるその有効性に依存す
る。
するのを防ぐことによって、層剥離をなくすか、またはこれを大幅に減少させる
。これはPVBシートのバルクの表面エネルギーを制御することにより達成され
る。一般に、その表面エネルギーは約52dyne/cm未満とすべきである。
積層体が自動車のフロントガラスおよび他の自動車用途に使用できるように、ガ
ラスとPVB中間層との間の接着レベルまたはコンプライアンス、剛性、エネル
ギー吸収特性のようなPVB中間層の諸特性のバランスを実質的に変化させるこ
となく非溶解空気および揮発性物質を安定化するには、約35から50dyne
/cmの範囲の表面エネルギーが有効である。
VBの好ましい調製方法は、フィリップス(Philips)の米国特許第4,276 ,351号に開示されている。これを、引用により本明細書に組み入れる。広範
囲の接着制御剤が、ポリビニルブチラールのシート材と共に使用できる。本発明
において、PVBシートは、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートま
たはエステル類およびテトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエートからな
る群から選ばれた相容可能な量のエステルで、またはトリエチレングリコールジ
−2−エチルブチレートおよびトリエチレングリコールジ−2−ヘキサノエート
のような相容可能な量の同様の分岐または非分岐のグリコールジエステルで可塑
化され、接着制御剤として、アルカリまたはアルカリ土類金属カルボン酸塩、例
えばギ酸塩、酢酸塩等のようなものを含んでいる。そのようなシート材の調製方
法は、モイニハン(Moynihan)の米国特許第4,292,372号に開示されて
いる。これを、引用により本明細書に組み入れる。他の適切な接着制御剤には、
酢酸カリウム、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、ネオデカン酸マグネシウ
ム、種々の有機酸の亜鉛およびカルシウム塩が含まれる。
はオーエスアイスペシャリティ社(OSi Specialities Inc.)から商標シルウェ ット(Silwet)(登録商標)で市販されているポリオキシエチレン変性シリコー
ンオイル、ポリオキシプロピレン変性シリコーンオイル、およびダウコーニング
(Dow Corning)、東レ−ダウコーニング(Toray-DowCorning)から市販されて いる種々のシリコーン界面活性剤のような有機物で変性されたシリコーン、γ−
グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシル
エチルトリメトキシシランのような種々の有機物で変性されたシラン、フルオロ
界面活性剤、ドデシル硫酸ナトリウム、ネオデカン酸マグネシウム、ネオデカン
酸カルシウムまたは亜鉛、2−エチルヘキサン酸マグネシウムなどのような少な
くとも炭素原子数4の中鎖から長鎖の分岐または非分岐のカルボン酸の塩など種
々の表面エネルギー改変剤を使用することができる。本発明の実施例においては
、非ブチラール化ビニルアルコール基が公称23重量%である乾燥PVBフレー
ク100部を、可塑化剤であるテトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエー
ト、および可塑化剤中に前混合された光安定化剤(チヌビン−P)(Tinuvin-P )および抗酸化剤の35〜40部と混合する。押出機から排出される溶融物は約
215℃である。次に溶融物をギヤポンプを通過させて、異物除去のためカート
リッジ型の溶融フィルタに通し、スリットダイから押出して、公称厚0.76m
mのシート材を形成する。押出し機−ギヤポンプ−溶融フィルタ−スリットダイ
のアセンブリ内での約215℃の溶融物の全滞留時間は、約20分である。表面
エネルギー改変剤や接着制御添加剤のような他の添加物は、押出し機に入る直前
に、副流として主流の可塑剤に添加される。特に、接着制御添加物は、表面エネ
ルギー改変剤の副流に水性副流として添加される。この2つの副流が出会い、1
分まで共に留まり、この後、主流の可塑剤の流れに入る。副流が混合されるパイ
プ区間の温度は、このパイプのすぐ下流にある押出機からの熱のため約52℃で
ある。シランを水と混合する場合、シランは、これらの条件下では、すぐに加水
分解を受ける。シランを表面エネルギー改変剤として使用する場合、本発明で加
水分解されたシランを使用することが必須である。これは、これらが自動車のフ
ロントガラスの使用に望ましくないレベルにまで接着力を増加させる傾向がなく
、かつこれらが維持される操作の間、押出圧の持続的な増大をもたらさないから
である。改変剤は、通常、それをPVB樹脂と混合することにより取り込まれる
。PVBの全バルク表面エネルギーが約52dyne/cm未満となるのに十分
な量を添加する。
び接着制御剤の機能に悪影響を与えない、抗酸化剤、着色剤、紫外線吸収剤のよ
うな通常のアジュバンドをPVB組成物中に含めてもよい。
ら空気のほとんどを効果的に除去するためにPVBシート材の表面を粗くしてお
くことも公知である。これは、PVBシートの押出し中に、エンボス加工または
メルトフラクチャによって機械的に行うことができる。表面粗さの保持は、積層
体調製中に封入された空気の効果的な脱気を容易にするために不可欠である。表
面粗さRzは、国際標準化機構(International Organization for Standardiza
tion)のISO−R468に従って10ポイント平均粗さ(10-point average r
oughness)により、ミクロン単位で示す。約0.76mmより厚いシート材では
、空気の封入を防ぐのに、60ミクロンまでのRzで充分である。間への挟み込
みがないか、または抗ブロッキング剤なしに、シート材をロールに巻く場合、ブ
ロッキングを防止するために最低約20ミクロンのRzが必要である。熱可塑性
樹脂シート材の表面粗さと、表面粗さの特徴付けおよび定量化の方法は、ANS
SI/ASME B46.1(1995)に記載されている。空気とPVBのよ
うな2つの非相溶性の相の間の境界領域を、「界面」と呼んでいる。肉眼スケー
ルでは、界面は、一方のバルク相から他方のバルク相への化学的および物理的特
性の急激な変移を表している。顕微鏡スケールでは、この変移はほんの数個の分
子サイズでの距離にわたって起こる。ここで、PVB/ガラス積層体中での気泡
および層剥離に関して、慣習に従い、一相は空気なので、「表面」という語を用
いる。具体的には、PVBの「表面エネルギー」は、任意のPVB/空気界面(
そのような界面はどこにでも、すなわち積層体中の気泡または層剥離の境界、ま
たはPVBシート材とその周囲との界面に存在する。)でのPVBの「界面エネ
ルギー」と同義である。積層体中に欠陥を形成させる空気はPVBのバルク全体
に溶解または分散しているので、バルク中のPVBの表面エネルギーが欠陥の形
成を制御する。後述するように、測定が不可能なバルク中ではなく、空気との外
側境界でPVBの表面エネルギーを測定する。PVB中に溶解または分散した空
気は、その平衡溶解度を越えると、小さな孔を形成する核となる。存在する空気
の量に依存して、これらの微細な欠陥が成長して気泡を形成する可能性がある。
球状気泡の成長は、気泡の内部と外部の圧力差ΔP、周囲のPVBの表面エネル
ギーγおよび気泡の半径rにより制御される。これはラプラス式(Laplace equa
tion)で記述される。
部より常に高い。気泡外部の圧力は、ポリマーの重量および周囲からポリマー表
面にかかる圧力である。周囲条件のPVBで、これは大気圧であるか、または、
本明細書で後述する過酷(torture)試験中では10バールである。気泡の内部 圧力は、外部圧力、PVBの粘弾性特性および気泡の周囲に作用する界面力によ
って均衡がとられる。PVBの表面張力を低下させる適当な添加剤の導入により
、より大きな気泡および層剥離をもたらす駆動力であるΔPを最小限に抑える。
内より大きくなる。半径r1>r2の2つの気泡間の圧力差は次のようになる。
な気泡から大きな気泡へ拡散することにより、これらの圧力を等しくすることで
ある。この系のポテンシャルエネルギーを減少させるこれら2つの機構によって
、小さな気泡の成長または合一により、虫食い状または樹脂状欠陥の形成がもた
らされる。
び式2)。適切な添加剤の使用により、PVBの表面張力を低下させることがで
き、その結果ΔPが減少し、気泡が安定化され、気泡が成長または合一して虫食
い状または樹枝状欠陥を形成することが防止される。
する。この測定には、PVBシート材の平滑表面を用意しなければならない。P
VBシート材の表面パターンは、マイラー(Mylar)(登録商標)ポリエステル 膜(E.I.du Pont de Nemours & Coの商標)の間で
オートクレーブ処理することにより平滑化する。マイラー(Mylar)(登録商標 )を剥がした後、レイム−ハート接触角ゴニオメータ(レイム−ハート社、マウ
ンテンレイク、ニュージャージー州)を使ってPVB上の水およびヨウ化メチレ
ンの前進および後退接触角を測定する。PVBの表面エネルギーを、下記に記載
した調和平均法を使って、平均前進接触角から計算した。
ない。PVB中間層を、相対湿度23%で、水分量0.5%にコンディショニン
グした。その後、それを、添加剤を含まないマイラー(Mylar)(登録商標)ポ リエステルフィルムとこのマイラー(Mylar)(登録商標)に接触している2枚 のガラス片の間に置いた。「添加剤を含まない」とは、被覆などを施していない
場合のフィルムの表面を意味する。PVB/マイラー(Mylar)(登録商標)/ ガラスのアセンブリを、2つのロール間で20psi(1.4バール)および室
温でプレスし、オーブン中90℃で30分加熱し、40psi(2.7バール)
で熱間ロールプレスする。次にそれをポリエチレン袋に真空袋詰めし、135℃
および225psi(15.3バール)で9分間オートクレーブ処理する。冷却
後、接触角測定の直前にマイラー(Mylar)(登録商標)を剥がす。固体表面に 接触している液滴は、接触角θを示す。固体上で液体前面を前進させることによ
り形成される接触角を前進接触角と呼び、液体前面を後退させることにより形成
される接触角を後退接触角と呼ぶ。固体に接触する滴から液体を添加したり、ま
たは戻したりしながら、前進および後退の接触角を測定する。準安定状態にある
系では、前進接触角の方が後退接触角より通常は大きい。前進接触角と後退接触
角の差を、接触角ヒステリシスと呼び、これは固体表面の不均質性および粗さを
反映する。完全に平滑で化学的に均質な表面は、ゼロの接触角ヒステリシスを示
す。レイム−ハート接触角ゴニオメータおよび液滴の体積を制御するための精密
マイクロシリンジを用いて、水およびヨウ化メチレンの前進および後退の接触角
を、約1インチ×3インチ(25mm×76mm)のPVBの平滑な片上の異な
る3カ所で測定した。PVBシートの表面エネルギーを、平均調和法を用いて平
均前進接触角から計算した。
。分散力はロンドン力によるものであり、極性は双極子−双極子相互作用、双極
子誘導および水素結合による。表面上でのヨウ化メチレンのような分散性液体の
接触角は、表面の分散性成分を反映する。同様に、表面上での水のような極性液
体の接触角は、表面の極性成分を反映する。これらの力の総和が全表面張力に等
しい。
つの被験液体の接触角、ヤング式(Young's equation)および調和平均の関係か
ら、次式が得られる。
面張力を示す。下付き添え字1および2は、被験液体を示す。被験液体のγj dお
よびγj p(j=1および2)が既知ならば、接触角θ1およびθ2から2つの2次
方程式を同時に解くことより、固体表面張力の分散性成分γs dおよび極性成分γ s p を求めることができる。水およびヨウ化メチレンは、2つの好都合な被験液体
であり、それらのγdおよびγpを表1に示す。2つの数学的には正しい根拠(し
かし、一方だけが物理的に意味がある。)を式3および4を同時に解くことで計
算する。計算は、「Polymer Interface and Adhes
ion」Marecel Dekker、Inc、New York、NY(1
982)の613〜618ページにS.Wuが記載しているFORTRANコン
ピュータプログラムによって行う。
0、12を用いた圧縮せん断力試験を用いて決定される。まず積層前にポリビニ
ルブチラール中間層を相対湿度23±3%の環境下で23℃+2℃で一夜コンデ
ィショニングすることにより、接着力決定用の積層体を調製する。次に、添付図
に従って、洗浄し脱ミネラル水ですすいだサイズ12インチ×12インチ(30
5mm×305mm)、公称厚さ2.5mmのアニール化された2枚のフロート
ガラス16および20の間に中間層18を挟む。次にガラス/中間層/ガラスの
アセンブリを90〜100℃に設定したオーブンで30分間加熱する。その後、
ガラスと中間層の間のボイド空間の空気を押し出すために1組のニップロールに
それを通し、アセンブリの縁部を封止する。この段階でのそのアセンブリをプレ
プレスと呼ぶ。次にプレプレスを空気オートクレーブにいれ、温度を135℃に
上げ、圧力を200psig(14.3バール)に上げる。これらの条件を20
分間維持し、その後、空気を冷却する。その間オートクレーブにはさらなる空気
を加えない。20分間冷却後、オートクレーブ内の空気温度が50℃よりも低く
なったとき、過剰の空気圧を排気する。
用いて決定する。1インチ×1インチ(25mm×25mm)チップを6個積層
体から切り出す。このチップを試験前に23℃±2℃および相対湿度50%±1
%に調節された部屋で1時間コンディショニングに供する。チップの圧縮せん断
力を添付図に示したジグを用いて決定する。チップ16、18、20をジグ12
の下半分の切り出し部上に置き、次に上半分の部分10をチップの上面に置く。
クロスヘッドを毎分0.1インチ(毎分2.5mm)の速度で、装置の上部に接
するまで下げる。クロスヘッドが下方に移動し続けるにつれ、チップの一片が他
方に対して相対的に滑り始める。チップの圧縮せん断力は、接着の破壊を引き起
こすのに必要なせん断応力である。この試験の精度は、1つの標準偏差が、典型
的には、6つのチップの平均の結果の6%となるようなものである。このように
して接着力を試験して、圧縮せん断力が1400psiから4000psi(1
000N/cm2から2700N/cm2)である中間層は、自動車のフロントガ
ラスおよび自動車のサイドガラスおよびバックライトに使用するのに適すると見
なされる。
、圧縮せん断力試験のものと同様の方法で調製される。積層後に、それぞれの積
層体について、気泡、虫食い状または指状の層剥離のような目に見える欠陥を検
査する。目に見える欠陥が積層体で見つかった場合、それを取り除き、その代り
に別の積層体を過酷試験用に調製する。それぞれのPVB中間層から150mm
×300mmの積層体を2個、過酷試験の目的で作成する。
た蓋で容器を覆い、容器を動かす間にはね散るのを避ける。蓋つきの容器全体を
空気オートクレーブ内に置き、温度を140℃に上げ、圧力を150psig(
10.2バール)に上げる。これらの条件を4.5時間維持し、その後、理想気
体の法則に従った温度の低下により圧力を低下させながら、オートクレーブ内の
空気を75分間で冷却する。容器をオートクレーブから取り出し、蓋を外すと、
水温がたった約60℃であるにもかかわらず、水から空気が泡だっているのを見
ることができる。
と一般に呼ばれる虫食い状欠陥および気泡が、いくつかの試験積層試料中に発生
する。各々の試料において虫食い状層剥離が占める縁部の長さを記録する。虫食
い状欠陥のある縁部の長さとは、その試料の欠陥のすべての長さの総和である。
観測を記録した後、積層体を大気圧下で2時間80℃のオーブンでベークして、
残留空気および過酷なオートクレーブサイクルの間に吸収した可能性のある水分
を溶液から追い出す。積層体を室温まで冷却後、欠陥を再度調べる。それぞれの
積層体の虫食い状層剥離の長さを記録する。同じ試料における欠陥の長さの変化
を、このベークステップの結果として可塑化ポリビニルブチラール中間層のバル
クの表面エネルギーと相関させることができる。
1003に従って、ヘイズガードXL211曇り試験器(Hazegard XL211 Hazem
eter)(BYKガードナー−USA)を用いて測定する。曇り率は、全光透過に
対する拡散光透過の百分率である。曇り率が0.35%を越える積層体は、特に
フロントガラスには不適と見なされる。
別段の指定がない限り、部およびパーセントは重量基準である。
)(Butacite)の商標で市販されているポビニルブチラールシートであるテトラ
エチレングリコールジヘプタのエートを可塑材とする可塑化ポリビニルブチラー
ルシート材を使って、上記の方法に従って積層体を調製した。この組成物には、
接着制御剤としてギ酸カリウムの形態で、カリウムを335ppm含んでいた。
試料は、圧縮せん断力で3096psi(N/cm2)の接着レベルを有してい た。PVB中間層のバルクの1つの特性である全表面エネルギーは、53.2d
yne/cmと測定された。2つの積層体を上記のように過酷試験用に調製した
。積層体の半分では、過酷なオートクレーブの過酷サイクル後に、虫食い状層剥
離が発生した。欠陥は、実質的にベーク後に成長した。
び紫外線安定化剤(チヌビンP)を含有させた38.5部の可塑剤、ならびに0
.1部のポリオキシエチレン変性シリコーンオイル(シルウェット(Silwet)(
登録商標)L−7604、オーエスアイスペシャリティ社(OSi Specialities,
Inc.)と共に押出し機内で混合した。変性シリコーンオイル以外は、この組成物
は比較例1と同様である。混合物をスリットダイを通過させ、これを上記の工程
で、公称0.76mmのシート材にした。シート材中のカリウム濃度が300p
pmとなるようにギ酸カリウムを押出し機中で溶融物に添加した。このシート材
の表面エネルギーは、50.8dyne/cmと測定された。この試料は、圧縮
せん断力3199psi(2204N/cm2)の接着レベルを有していた。2
つの積層体を、上記の方法を用いて過酷試験用に調製した。それらを上記の過酷
試験に供した。過酷試験のオートクレーブサイクルまたはベークサイクルの後、
いずれの積層体においても虫食い状層剥離はなかった。
本実施例のポリビニルブチラール中間層は、実施例1で用いたものと同様である
。中間層の全バルク表面エネルギーは51.7dyne/cmであった。接着レ
ベルは、圧縮せん断力で、2485psi(1712N/cm2)であった。過 酷なオートクレーブサイクルまたはベークサイクル後に、虫食い状層剥離を発生
した積層体はなかった。
ウムを接着制御剤として使用しなかった以外は、本実施例のポリビニルブチラー
ル中間層は、実施例1で用いたものと同様である。接着レベルは、圧縮せん断力
で、2249psi(1552N/cm2)であった。積層体の曇り率は0.8 4%であった。接着力は適切な範囲内であるが、このPVB中間層からの積層体
は、自動車の窓ガラスとして使用するには曇りすぎている。
−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(シルケスト(Silquest)(登録
商標)A−187、オーエスアイスペシャリティ社(OSi Specialities Inc.) )に置き換えた以外は、本実施例のポリビニルブチラール中間層は、実施例1の
ものと同様である。中間層の全バルク表面エネルギーは47.5dyne/cm
であった。圧縮せん断力レベルは、1874psi(1291N/cm2)であ った。過酷試験において、オートクレーブサイクルまたはベークサイクル後に、
虫食い状層剥離はなかった。
.006部とした以外は、本実施例のポリビニルブチラール中間層は、実施例3
のものと同様である。中間層の全バルク表面エネルギーは47.3dyne/c
mであった。圧縮せん断力レベルは、3190psi(2198N/cm2)で あった。過酷試験において、オートクレーブまたはベークサイクル後に、虫食い
状層剥離はなかった。
ニルブチラール中間層は、実施例3のものと同様である。γ−グリシドオキシプ
ロピルトリメトキシシランは、ポリマーが溶融に至る前に加水分解しなかった。
圧縮せん断力レベルは、4169psi(2878N/cm2)であった。この PVB中間層からの積層体は、その高接着性のため自動車の窓ガラスとして使用
するには適していない。
登録商標)A−1100,オーエスアイスペシャリティ社(OSi Specialities I
nc.))を添加した以外は、本実施例のポリビニルブチラール中間層は、実施例 3のものと同様である。圧縮せん断力レベルは、4994psi(3448N/
cm2)であった。このPVB中間層からの積層体は、その接着性が高すぎるた め自動車の窓ガラスとして使用するには適していない。
標)L−7604)のレベルを0.025部とし、さらに、0.025部の加水
分解されたγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを添加した以外は、
本実施例の中間層は、実施例1のものと同様である。中間層の全バルク表面エネ
ルギーは47.5dyne/cmであった。接着レベルは、2857psi(1
969N/cm2)であった。過酷試験において、オートクレーブまたはベーク サイクル後に、虫食い状層剥離はなかった。
リウムを接着制御添加剤として使用しなかった以外は、本実施例のポリビニルブ
チラール中間層は、実施例3のものと同様である。γ−グリシドオキシプロピル
トリメトキシシランは、ポリマーが溶融に至る前に加水分解しなかった。明らか
な架橋およびゲル形成が、溶融スクリーンにおいて詰まりの問題を起こし、操作
圧力が連続的に増大するのが観察され、持続的な押出が不可能になった。圧縮せ
ん断力レベルは、1997psi(1379N/cm2)であった。曇りレベル は、0.47%であった。このPVB中間層からの積層体は、高い曇り率のため
自動車の窓ガラスとしての使用には適してしない。
スト(Silquest)(登録商標)A−187)の加水分解反応の速度およびその積
層接着力に対する効果を例示するものである。実施例C6では、含水率を0.5
%に調整されたブタサイト(Butacite)(登録商標)PVBシート材を、洗浄し
脱ミネラル水中ですすいでおいた公称2.5mmのフロートガラス2枚に積層し
た。積層体の圧縮せん断力は、2193psi(1514N/cm2)であった 。比較例C7では、n−ヘキサン120mlにγ−グリシドオキシプロピルトリ
メトキシシラン0.6gを溶かした溶液で、積層するガラス板の表面上をふき取
った。このガラスを、C6のブタサイト(Butacite)(登録商標)に積層する前
に、室温でフード中で乾燥した。積層体の圧縮せん断力は、2750psi(1
898N/cm2)であり、実施例C6より25%増大している。実施例C8で は、20mlの脱ミネラル水と100mlのイソプロピルアルコールにγ−グリ
シドオキシプロピルトリメトキシシラン0.6gを溶かした溶液で、積層するガ
ラス表面をふき取った。このシラン溶液は、使用のほんの数分前に調製し、室温
で保存した。ガラスを、この溶液の塗布の後、フード中で乾燥した。得られた積
層体の圧縮せん断力は、1435psi(991N/cm2)であり、実施例C 6の非処理試料より接着力が35%低下している。比較例C6〜C8は、加水分
解されていないA−187を使用すると、ブタサイト(Butacite)(登録商標)
/ガラス積層体の接着力が増大することを示している。これに対して、ブタサイ
ト(Butacite)(登録商標)/ガラス界面で、加水分解されたA−187は、お
そらく、ガラスとブタサイト(Butacite)(登録商標)上の活性接着部位をブロ
ックすることにより、接着性を増大させず、それを減少させる。加水分解された
γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを使用した実施例での耐層剥離
性の改善は、接着性の増大ではなく、むしろPVBの表面エネルギーを低下させ
る能力によるもであった。
て含まれている以外は、本比較例のポリビニルブチラール中間層は、比較例1の
ものと同様である。この試料は、圧縮せん断力で、2967psi(2047N
/cm2)の接着レベルを有していた。その全表面エネルギーは53.2dyn e/cmと測定された。2つの積層体を上記のように調製した。過酷試験のベー
クサイクル後に、試料の半数に層剥離が発生した。
および紫外線安定化剤(チヌビンP)を含有させた38.5部の(比較例C1の
)可塑剤、ならびに0.1部のフルオロ界面活性剤ゾニル(Zonyl)(登録
商標)FSPと、押出し機で混合した。フルオロ界面活性剤ゾニル(Zonyl
)(登録商標)FSP以外は、この組成物は、比較例C9のものと同様である。
混合物をスリットダイを通過させ、公称0.76mmのシート材にした。シート
材中のカリウム濃度が可塑化シートの重量に対して400ppmになるようにギ
酸カリウムを、押出し機中の溶融物に添加した。接着レベルは、圧縮せん断力で
2777psi(1916N/cm2)であった。その中間層の全バルク表面エ ネルギーは、51.3dyne/cmであった。2つの積層体を、上記の方法を
用いて過酷試験用に調製した。それらを上記の過酷試験に供した。オートクレー
ブまたはベークサイクル後に、いずれの積層体においても虫食い状層剥離は観察
されなかった。
全表面エネルギーは、53.2dyne/cmと測定された。上記のように2つ
の積層体を調製した。試料の半数において、過酷なオートクレーブサイクル後お
よびベークサイクル後に成長した虫食い状層剥離が発生した。
よび紫外線安定化剤(チヌビンP)を含有させた38.5部の(比較例C1の)
可塑剤、ならびに0.06部のフルオロ界面活性剤ゾニル(Zonyl)(登録
商標)FSPと、押出し機で混合した。フルオロ界面活性剤ゾニル(Zonyl
)(登録商標)FSP以外は、この組成物は、比較例C10のものと同様である
。混合物をスリットダイを通過させ、公称0.76mmのシート材にした。シー
ト材中のカリウム濃度が可塑剤シートの重量に対して400ppmになるように
ギ酸カリウムを、押出し機中の溶融物に添加した。圧縮せん断力レベルは、26
08psi(1800N/cm2)であった。この中間層の全バルク表面エネル ギーは、50.4dyne/cmであった。2つの積層体を、上記の方法を用い
て調製した。それらを上記の過酷試験に供した。オートクレーブまたはベークサ
イクル後に、虫食い状層剥離はなかった。これは、明らかに表面エネルギーを変
更する添加剤が如何に層剥離の形成を防止するかを示している。
Claims (13)
- 【請求項1】 少なくとも1層のガラスと可塑化ポリビニルブチラールのシ
ートとを含む積層体であって、前記ポリビニルブチラールは、前記ガラスの層と
前記ポリビニルブチラールのシートとの間に予め選択された接着レベルを提供す
るための接着制御剤と、表面エネルギー改変剤とをその中に含有し、前記表面エ
ネルギー改変剤は、前記ガラスの層と前記ポリビニルブチラールのシートと間の
予め選択された接着レベルを実質的に変化させることなしに約52dyne/c
m未満の全表面エネルギーを有する前記ポリビニルブチラールのシートを提供す
るのに十分な量で存在することを特徴とする積層体。 - 【請求項2】 前記表面エネルギー改変剤が、有機物でに変性されたシリコ
ーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体。 - 【請求項3】 前記表面エネルギー改変剤が、加水分解された、有機物で変
性されたシランであることを特徴とする請求項1記載の積層構造体。 - 【請求項4】 前記表面エネルギー改変剤が、フッ素含有界面活性剤である
ことを特徴とする請求項1記載の積層構造体。 - 【請求項5】 改変剤が、中鎖から長鎖のカルボン酸の塩である。
- 【請求項6】 前記全表面エネルギーが35から52dyne/cmである
ことを特徴とする請求項1記載の積層構造体。 - 【請求項7】 前記接着制御剤が、有機酸のアルカリ金属またはアルカリ土
類金属または遷移金属の塩からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1記
載の積層構造体。 - 【請求項8】 ガラス/接着剤積層構造体に耐層剥離性を付与する方法であ
って、層剥離が接着剤中に分散された空気の存在により起こり、前記積層体は少
なくとも1層のガラスと可塑化ポリビニルブチラール接着剤のシートとから構成
される方法において、前記ガラスと前記シートとの間に予め選択された接着レベ
ルを提供する接着制御剤を含有する可塑化ポリビニルブチラールのバルク組成物
を調製する工程と、前記組成物中に表面エネルギー改変剤を含有させる工程であ
って、表面エネルギー改変剤の量が35から52dyne/cmの間の全表面エ
ネルギーを有する可塑化ポリビニルブチラールの接着シートを提供するように選
ばれる工程と、前記シートをガラスプレートに接着することにより積層構造体を
形成する工程と、前記構造体を脱気する工程と、これに熱および圧力をかけるこ
とにより前記シートと前記ガラスプレートを封止する工程とを含むことを特徴と
する方法。 - 【請求項9】 前記表面エネルギー改変剤が、有機物で変性されたシリコー
ンオイル、加水分解された、有機物で変性されたシラン、フッ素含有界面活性剤
、中鎖から長鎖のカルボン酸の塩、またはそれらの組み合わせからなる群から選
ばれることを特徴とする請求項8記載の方法。 - 【請求項10】 前記接着制御剤が、有機酸のアルカリ金属またはアルカリ
土類金属または遷移金属の塩からなる群から選ばれることを特徴とする請求項8
記載の方法。 - 【請求項11】 前記予め選択された接着レベルが1000から2700N
/cm2であることを特徴とする請求項8記載の方法。 - 【請求項12】 前記予め選択された接着レベルが1000から2700N
/cm2であることを特徴とする請求項1記載の積層体。 - 【請求項13】 ASTM D−1003に従って測定された前記積層体の
曇り率が0.35%以下であることを特徴とする請求項12記載の積層体。
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