【発明の詳細な説明】
ヒドロキシル化合物および溶媒の存在下でのニトロベンゼンの4−アミノジフェ
ニルアミンへの接触水素添加
発明の背景
本発明は、ポリマー、特にゴムのための置換されたパラフェニレンジアミン(
PPD)分解防止剤の製造における重要な中間体である4−アミノジフェニルアミ
ン(4−ADPA)の製造法に関する。
アニリン誘導体がハライドと置き換わる求核芳香族置換機構によって4−ADPA
を製造することは公知である。この方法は、4−ADPA中間体、すなわち、4−ニ
トロジフェニルアミン(4−NDPA)の製造およびそれに続くニトロ部分の還元を
含む。4−NDPAは、酸受容体または中和剤(炭酸カリウムなど)の存在下、所望
により触媒を使用して、p−クロロニトロベンゼンと、ホルムアニリドまたはそ
のアルカリ金属塩などのアニリン誘導体との反応によって製造される。例えば、
米国特許第4,187,248号、同第4,683,332号、同第4,155,936号、同第4,670,595号
、同第4,122,118、同第4,614,817号、同第4,209,463号、同第4,196,146号、同第
4,187,249号、同第4,140,716号を参照。この方法は、置き換えられるハライドが
反応体に対して腐食性であり、廃棄流中に現れ、従って、かなりの費用で処分さ
れなければならないという点で不利である。さらに、ホルムアニリ
ドなどのアニリン誘導体の使用およびp−クロロニトロベンゼンの使用は、その
ような出発物質を各々、アニリンおよびニトロベンゼンから製造するための更な
る製造装置および能力を必要とする。
また、アニリンの頭−尾結合から4−ADPAを製造することも公知である。例え
ば、英国特許第1,440,767号および米国特許第4,760,186号を参照。この方法は、
4−ADPAの収率が、工業的方法にとって受け入れられるものでないという点で不
利である。また、ウレタンの脱カルボキシル化を行って4−NDPAを製造すること
も公知である。米国特許第3,847,990号を参照。しかし、かかる方法は、コスト
および収率の点で工業的に実際的ではない。
ニトロソベンゼンの接触二量化によって製造することができるp−ニトロソジ
フェニルヒドロキシルアミンを、還元剤として脂肪族化合物、ベンゼン、ナフタ
レンまたはエチレン性不飽和化合物を使用して水素添加することにより4−ADPA
を製造することが公知である。例えば、米国特許第4,178,315号および同第4,404
,401号を参照。また、過剰の塩化水素の存在下、ジフェニルアミンおよび硝酸ア
ルキルからp−ニトロソジフェニルアミンを製造することも公知である。例えば
、米国特許第4,518,803号および同第4,479,008号を参照。
また、DMSO中、水酸化ナトリウムおよび炭酸カリウムの存在下、80℃で5時間
、アセトアニリドおよびニトロベンゼンを反応させることにより4−ニトロソジ
フェニルア
ミンを製造することも公知である。Ayyangarら、Tetrahedron Letters,Vol.31
,No.22,pp.3217−3220(1990)を参照。また、Wohl,Chemische Berichte,36
,p.4135(1903)およびChemische Berichte,34,p.2442(1901)も参照。しか
し、4−ニトロソジフェニルアミンの収率は低く、従って、工業的に実際的では
ない。さらに、かかる方法は、アニリン誘導体、すなわちアセトアニリドの使用
を必要とし、従って、出発物質のコストを高める。
a)塩基の存在下、制御された条件下でアニリンをニトロベンゼンと反応させ
て、4−ニトロジフェニルアミンおよび4−ニトロソジフェニルアミンの塩を含
む混合物を製造し、次いでb)塩を水素添加する連続的工程によって4−ADPAを
製造することが公知である。米国特許第5,117,063号がかかる方法を開示してい
る。
米国特許第5,420,354号は、水素添加触媒、水素添加阻害剤および酸触媒の存
在下、ニトロベンゼンを水素およびアニリンと接触させることによりp−アミノ
ジフェニルアミンを製造する別の方法を示している。この後者の方法は、1工程
プロセスとして記載されているが、所望物質への選択性が比較的低い。
本発明の方法は、1工程プロセスで4−ADPAを製造するものであり、該方法で
は、水素圧下、強有機塩基および水素添加触媒の存在下で反応器ゾーンにニトロ
ベンゼンが供給される。種々の反応が同一反応器中、好ましくは固定床で行われ
て、4−ADPAが1つの連続する処理工程で製造さ
れる。さらに、本発明方法は、1工程プロセスの便利性のため、製造コストおよ
び原料コストに関してはるかに安価である。最後に、この方法は、改善された収
率および選択性を生み出す。
発明の概要
本発明は、水素圧下、強有機塩基および水素添加触媒の存在下で反応器ゾーン
にニトロベンゼンを供給することにより4−ADPAを製造する方法を提供する。該
方法は、1工程プロセスの便利性および経済性を提供し、一方では改善された収
率および選択性を生み出す。
さらに、上記した方法において水素圧下で製造された4−ADPAが更に水素添加
されて、ポリマー、とりわけゴムのためのアルキル化パラフェニレンジアミン(
PPD)分解防止剤および/またはオゾン亀裂防止剤を製造する方法が提供される
。
本発明のさらに別の方法は、4−ADPAを還元的にアルキル化してアルキル化PP
Dを製造する方法である。
特に、本発明は、PPDへの中間体である4−ADPAを製造する方法に関し、ここ
でニトロベンゼンは、強有機塩基の存在下で、水素圧下の反応器ゾーンに供給さ
れる。水素添加触媒は、米国特許第5,453,541号(本発明の譲受人による所有;
引用することにより本明細書に含められる)に記載された方法とは対照的に、反
応開始時に反応ゾーンに供給される。本発明の新規方法によれば、反応は、ニト
ロベンゼンがアニリンに転化され、アニリンとニトロベンゼン
との頭−尾結合が強有機塩基の存在下で開始される1工程プロセスである。得ら
れる反応は、4−ADPA中間体に富む混合物、またはその置換誘導体、例えば4−
ニトロジフェニルアミンおよび/または4−ニトロソジフェニルアミン塩など、
および次いでその水素添加物質としての4−ADPAを生じる。4−ADPAへの高収率
および選択性を得る本発明方法の鍵は、より多くのアニリンを生じるための反応
の操作である。そうでないと、ニトロベンゼンの収率はアゾキシベンゼンへと失
われ、アゾキシベンゼンの接触水素添加におけるように、アゾキシベンゼン物質
からアニリンを回収するための別の反応工程が必要である。本発明方法では、得
られる4−ADPAを使用してp−フェニレンジアミンのアルキル化物質を製造する
ことができる。この物質は、酸化防止剤およびオゾン亀裂防止剤として有用であ
る。あるいは、4−ADPA中間体を還元し、還元された物質を、溶媒としてケトン
を使用して同じ反応容器中でアルキル化することができる。
本発明の一実施態様では、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMA(OH))に対
するニトロベンゼンのモル比に特に注意が払われる。この比が1.0未満のレベル
で維持される場合、ニトロベンゼンが、水素圧下、強有機塩基、すなわちTMA(OH
)、および水素添加触媒の存在下、1工程プロセスで水素添加される水素添加反
応の4−ADPAへの選択性が高められる。
本発明の別の実施態様では、強有機塩基および水素添加
触媒の存在下、水素圧下でのニトロベンゼンの4−ADPAへの1工程水素添加が、
適切な支持体上の貴金属触媒、好ましくは炭素またはアルミナ支持体上のパラジ
ウムまたは白金、最も好ましくはパラジウムの使用により促進される。本発明の
さらに別の実施態様では、使用されるパラジウムのレベルが、4−ADPAへの収率
および選択性を最適にするために調節される。
本発明のさらに別の実施態様では、アニリンとニトロベンゼンとのモル比が、
4−ADPAへの収率および選択性が1工程転化プロセスのために最適化されるよう
に調節され、それによってニトロベンゼンが水素圧下、強有機塩基および水素添
加触媒の存在下で水素添加を受けて4−ADPAになる。あるいは、水素添加プロセ
ス中に生じたアニリンを、所望のアニリン/ニトロベンゼンモル比を達成するた
めに反応器にさらに供給してもよい。
発明の詳細な説明
発明の説明
4−ADPAを製造するための本発明方法は、水素圧下、適する塩基および水素添
加触媒の存在下で限られたゾーンにニトロベンゼンを供給し、ニトロベンゼンを
水素添加して4−アミノジフェニルアミン(4−ADPA)を製造することを含む。
特に、本発明は、水素圧下、強有機塩基および水素添加触媒の存在下で、限ら
れたゾーン、すなわち反応器または
反応ゾーンにニトロベンゼンを供給することを含む。ニトロベンゼンが水素添加
されると、インシチューに(in situ)アニリンが生じ、それがニトロベンゼン
の一部と反応して、4−ADPA中間体、特に、反応生成物の中でもとりわけ、4−
ニトロジフェニルアミン(4−NDPA)および4−ニトロソジフェニルアミン(4
−NODPA)の塩を生じる。水素添加反応はさらに、反応が進むにつれて、これら
の4−NDPAおよび4−NODPA中間体を4−ADPAに転化する。前記プロセスの一つ
の利点は、1工程または1ポット反応プロセスで4−ADPAを得ることができるこ
とである。4−アミノジフェニルアミンへの高い収率および選択性を得るための
鍵は、より多くのアニリンを作るように反応を押し進めることである。そうでな
いと、ニトロベンゼンの収率はアゾキシベンゼンへと失われ、アゾキシベンゼン
の接触水素添加におけるように、アゾキシベンゼンからアニリンを回収するため
の別の工程が必要である。
あるいは、4−ADPAを製造するために、別の量のアニリンをニトロベンゼンと
同時に反応ゾーンに導入することにより、中間体(4−NDPAおよび4−NODPA)
の生成を高めることができる。
4−ADPAがその中間体であるアルキル化PPDを製造するために、本発明方法は
、4−ADPAを水素添加して、ポリマー、特にゴムのための分解防止剤/オゾン亀
裂防止剤であるアルキル化PPDへの転化を行う更なる工程を含む。さらに、アル
キル化p−フェニレンジアミンを製造するため
に、本発明方法は、上記で製造された4−ADPAを還元的にアルキル化してアルキ
ル化PPDを得る工程を含む。
いくつかの因子が、ニトロベンゼンの4−ADPAへの転化のための本明細書に提
供された1工程プロセスの最適化において利点を有することが認められる。かか
る因子の一つとして、TMA(OH)塩基物質に対するニトロベンゼンのモル比の調
節が挙げられる。この比は、1.0以下であるべきであり、好ましくは1.0未満であ
る。ニトロベンゼン:TMA(OH)のモル比が1.0より大きいと、4−ADPAを製造す
るための水素添加反応は、選択性が4−アミノジフェニルアミンへの選択性より
もむしろ、アゾキシベンゼン、アニリンおよびジフェニルヒドラジンの形成へシ
フトするという点で、好ましくない影響を受ける。
本発明の1工程プロセスの別のパラメーターは、水素添加触媒の選択、ならび
に触媒の量および支持体上の触媒の量に基づく。
4−ADPA収率および選択性の最適化に影響を及ぼすために調節され得るさらに
もう一つの因子は、反応ゾーンで利用できるアニリンとニトロベンゼンとのモル
比である。アニリンとニトロベンゼンとのモル比は、大過剰のニトロベンゼンか
ら大過剰のアニリンまで様々であり得る。好ましくは、反応が、過剰のアニリン
を使用して行われる。本発明の反応で製造される4−NDPAと4−NODPAとの比は
、アニリンとニトロベンゼンとの比を変えることにより調節することができる。
例えば、ニトロベンゼンに対するアニリ
ンの比が高いほど、4−NDPAに対する4−NODPAの比は高くなる。この1工程プ
ロセスで好ましいのは、アニリンとニトロベンゼンとのモル比が4:1となるよ
うにニトロベンゼンおよびアニリン(供給する場合)を供給することである。こ
れは、より高い4−ADPAへの選択性の調節が容易に達成され得るので好ましい。
しかし、水素添加触媒の量が適切であるとして、過剰量のニトロベンゼンを使用
すると、或る量のニトロベンゼンは、ニトロベンゼン還元生成物、すなわち、ア
ゾキシベンゼン、アゾベンゼンおよびジフェニルヒドラジンへと失われる。
前記因子の他に、1工程プロセスに必須なのは、水素圧下でプロセスを行うこ
とである。本明細書で言及した反応ゾーン中の水素圧は、本発明方法中に水素添
加を行うための駆動力を付与する。貴金属として分類されるような非常に活性な
水素添加触媒の場合、ゲージ圧は、好ましくは、水素流制御または水素圧制御下
で0〜7000kPaである。流動制御中の水素の取り込み速度は、4−ニトロソジフ
ェニルアミンへの、そして最終的には4−アミノジフェニルアミンへの選択性に
影響を及ぼす上で同様に重要である。使用される流速は、触媒の種類および量に
依存するであろう。
例えば、より高い量での炭素上のパラジウムなどの活性水素添加触媒は、より
大きい水素取り込みを有し、その結果、ニトロベンゼンの望ましくない副生物(
アゾキシベンゼンなど)への還元を促進し、それは、4-ADPAへの選択
性を低下させる。そのような触媒系においては、流動をより低い圧力(700kPaよ
り低い圧力など)およびより高いレベルの水酸化テトラメチルアンモニウム(TM
A(OH))に調節することができ、その結果ニトロベンゼンの4-ADPAへの収率が高
められる。
本発明の別の局面は、塩基物質の使用であり、その存在下でニトロベンゼンを
水素添加する。適する塩基としては、それらに限定されないが、例えばアルカリ
金属(ナトリウム金属など)、アルカリ金属の水素化物、水酸化物およびアルコキ
シド(水素化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム
、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシドなど)などの無機塩基ならびにそれ
らの混合物が挙げられる。好ましいのは、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウ
ムまたはカリウムのアルコキシドなど)などの強有機塩基である。他の許容され
得る塩基物質としては、それらに限定されないが、相移動触媒と水酸化テトラ置
換アンモニウムなどの適する塩基源との組み合わせ(水酸化テトラ置換アンモニ
ウムにおいて、各置換基は、独立して、アルキル、アリールまたはアリールアル
キル基から選択され、例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水
酸化テトラメチルアンモニウム)、水酸化アリールトリアルキルアンモニウム(例
えば、水酸化フェニルトリメチルアンモニウム)、水酸化アリールアルキルトリ
アルキルアンモニウム(例えば、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム)、水酸
化アルキル置換ジアンモニウ
ム(例えば、水酸化ビス−ジブチルエチルヘキサメチレンジアンモニウム)が挙
げられる。)、および相移動触媒と適する塩基(アリールアンモニウム塩、クラ
ウンエーテルなどと組み合わせた塩基ならびにリチウムビス(トリメチルシリル
)アミドなどのアミン塩基など)との他の組み合わせ、ならびにそれらの混合物
が挙げられる。塩基として使用するのに好ましい物質は、水酸化テトラメチルア
ンモニウム(TMA(OH))などの水酸化テトラアルキルアンモニウムである。本発
明方法において使用される塩基の量は広範囲にわたって変えることができ、例え
ば、特定の反応生成物の増大または最少化の望ましい程度に特に依存する。例え
ば、反応は、塩基において制限する様式で行うことができ、あるいは、ニトロベ
ンゼンまたはアニリンにおいて制限する様式で行うことができる。最初に言及し
たように、塩基は、TMA(OH)に対するニトロベンゼンのモル比が1.0未満となるの
に十分な量で使用されるべきである。例えば、半バッチ様式の場合、塩基を、反
応ゾーンの反応ゾーン表面より上または下のいずれかに添加する。この場合、塩
基は好ましくは、二水和物などの水和形である。
また、水素添加触媒の使用も本発明方法に含まれる。水素添加触媒は、当技術
分野において周知である。本発明のための還元触媒として適する種々の触媒型が
存在する。これらとしては、以下のものおよび他の同様の性質を有するものが挙
げられる。すなわち、アルミナまたは軽石上の銅;軽石上の銀−マグネシウム酸
化物;軽石上の銅−セリウム
酸化物;軽石上の銅−マンガン酸化物または鉄−マンガン酸化物;シリカ上の銅
;活性炭素またはカーボンブラック上の白金;シリカまたは珪藻土上のニッケル
;チオフェン、チオウレア、トリフェニルホスファイト、ポリアミン、酸化マグ
ネシウム、モルホリンおよびチオエステルなどの触媒阻害剤を使用する、炭素ま
たはアルミナ上のモリブデンまたはパラジウム;ならびに硫化水素、硫化ナトリ
ウム、硫化アンモニウムおよびジメチルスルホキシドなどの硫化剤を使用する硫
化貴金属触媒である。触媒の選択は、ニトロベンゼンが直接水素添加されてアゾ
キシベンゼンなどの最終生成物になるのを遅くしまたは阻害し、その代わりにア
ニリンとニトロベンゼンとの頭−尾結合を可能にするものであるべきである。例
えば、亜クロム酸銅の使用は、ニトロベンゼンのアゾキシベンゼンへの水素添加
を制限し、そして、最初に、アニリンとニトロベンゼンとの4-NODPAおよび4-NDP
A塩への頭一尾結合速度を高め、4-NODPAおよび4-NDPA塩は適切な圧力で水素添加
を受けて直接4-ADPAになる。
上記したように、本発明は、出発物質としてニトロベンゼン、水素、有機塩基
および水素添加触媒のみを使用して4-ADPAを製造することを可能にする。アニリ
ンとニトロベンゼンとの頭−尾結合および4-NODPAおよび4-NDPAの塩の4-ADPAへ
の水素添加などの反応が分離されない。また、アニリンとニトロベンゼンとのモ
ル比の適切な選択および有機塩基と水素添加触媒との適切な重量比が与えられ
れば、4-ADPAへの最適な選択性を、水などのプロトン性物質を連続的に除去する
ことなく達成することができる。しかし、プロトン性物質の除去は、いくつかの
反応様式では、選択性を高め得る。これらの因子は、上記で参照した米国特許第
5,453,541号の発明に対する利点である。本発明では、このプロトン性物質の除
去は、4-ADPAへの高められた選択性のための要件(適正なアニリン対ニトロベン
ゼン、ニトロベンゼン対有機塩基のモル比、および有機塩基対水素添加触媒の重
量比を選択することを含む)が満たされる限り、必要ない。本発明において、水
の除去は、選択性をさらに改善するために、異なる反応器装備、例えば水素添加
触媒の連続固定床(これは、水の除去が減圧条件を必要としない)などを使用し
て行うことができる。また、本発明における4-ADPAの製造は、水などのプトン性
物質の除去をあまり考慮しないならば、高められた圧力を必要とする。
本発明方法において、ニトロベンゼンは、好ましくは、或る時間にわたって、
通常は0.1〜10時間にわたって、徐々に反応ゾーンに供給される。反応ゾーンの
温度は、好ましくは90℃であり、等温的に保持される。流動制御または圧力制御
での水素ゲージ圧は、0〜約3000kPaである。一定の水素圧では、プロセスの終
わり近くで圧力が2.757kPa〜3.102kPaである。
ニトロベンゼンが或る時間にわたって供給されると、それは、最初にアニリン
とニトロベンゼンとの頭−尾結合を
受けて、4−ニトロソジフェニルアミンおよび4−ニトロジフエニルアミンのテ
トラメチルアンモニウム(TMA)塩を生じる。アニリンとニトロベンゼンとの比
および触媒量に応じて、以下の物質が生成される。すなわち、アゾキシベンゼン
、アゾベンゼン、ジフェニルヒドラジンおよび4-ADPAである。例えば、大過剰の
ニトロベンゼン(ニトロベンゼンに対するアニリンのモル比が1よりはるかに小
さいか、ゼロに近い)の存在下では、アゾキシベンゼンが主要な副生物である。
他方、アニリンが過剰である場合(またはニトロベンゼンに対するアニリンのモ
ル比が1よりはるかに大きい場合)は、主要な副生物が、ジフェニルヒドラジン
およびアゾベンゼンである。4-NODPAおよび4-NDPAのテトラメチルアンモニウム
塩は、触媒的に還元されて、4-ADPAおよび水酸化テトラメチルアンモニウムを生
じる。
好ましくは、半バッチ様式において、ニトロベンゼンを或る時間にわたって供
給して4-ADPAへの可能な最も高い選択性を達成することができる。この様式では
、ニトロベンゼンに対するTMA(OH)などの有機塩基の量が比較的多く、適切な
量の水素添加触媒を存在させると、4-ADPAへのより高い選択性を得ることができ
る。反応の終点は、還元反応で生成した水の量によって決定される。なぜならば
、水含量が多いと(例えば4体積%のオーダー)、アニリンとニトロベンゼンとの
頭−尾結合が低下し、反応がアゾキシベンゼンの生成に有利な方にシフトするか
らである。
4-ADPAへの選択性は、アニリンとニトロベンゼンとの
頭−尾結合がニトロベンゼンの最終生成物への直接的な水素添加に対抗して行わ
れるように水素流制御を操作することにより高めることもできる。この水素添加
流速は、圧力が範囲の比較的低い部分にあるように制御される。
半バッチ様式に対する別の代替法は、連続法である。ここでは、水素添加触媒
の固定床が、アニリン、ニトロベンゼン、水素、およびアニリン系に予め溶解さ
せた水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物などの有機塩基と共に連続的に供
給される。これらの供給流の流速の値は、4-ADPAへの最大の選択性を生じる値に
対応する。すなわち、アニリンとニトロベンゼンとのモル比が好ましくは4:1
以上であり、有機塩基に対するニトロベンゼンのモル比が好ましくは1に近いか
1未満である。使用される水素添加触媒の量は、反応器の入口では少なく、次第
に増加して、4-NODPAおよび4−NDPAの塩が4-ADPAに転化されるような程度にな
る。さらに、この操作様式を使用すると、水の連続除去が促進され、それによっ
て4-ADPAへのより高い選択性が促進される。
別のバッチ様式では、ニトロベンゼンを、ニトロベンゼンのモル数が大体、有
機塩基のモル数未満であるような割合で一度に全てを反応ゾーンに供給すること
ができる。この添加様式は、ニトロベンゼンの一部がアゾキシベンゼンなどの最
終物質へと失われないように特定量の水素添加触媒を必要とする。しかし、アニ
リンが反応ゾーンに最初に供給されると、より高い4-ADPA選択性のためには、ニ
ト
ロベンゼンを徐々に添加するのが好ましい。
反応ゾーンは好ましくは、20〜200℃、より好ましくは80〜100℃の温度で維持
される。
ニトロベンゼンおよびアニリン(使用される場合)が反応体として列挙されて
いるが、本発明方法は、反応を妨害しない1以上の核置換基を含むニトロベンゼ
ンまたはアニリン化合物の使用にも適用される。
関与する反応を妨害しないならば、希釈剤または溶媒を本発明方法において使
用することができる。適する溶媒系としては、それらに限定されないが、例えば
ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アニリ
ン、ピリジン、ニトロベンゼン、非極性炭化水素溶媒(トルエンおよびヘキサン
など)、エチレングリコールジメチルエーテル、ジイソプロピルエチルアミンな
どの溶媒、およびそれらの混合物が挙げられる。また、反応に必要な量よりも過
剰な量のアニリンを反応ゾーンに供給することができ、その場合は、この過剰な
アニリンが溶媒としての役割を果たす。
本明細書で使用するとき、言葉「置換されたアニリン誘導体」とは、芳香環上
に1以上の電子吸引性または電子放出性置換基を含むアニリンを意味する。適用
できる置換基としては、それらに限定されないが、ハライド、−NO2、−NH2
、アルキル基、アルコキシ基、−SO3、−COOH、および少なくとも1個の
−NH2を含むアリール、アラルキルまたはアルカリル基が挙げられる。ハライ
ドは、
クロライド、ブロマイドおよびフルオライドから成る群から選択される。好まし
いアルキルおよびアルコキシ基は、1〜約6個の炭素原子を含む。好ましいアリ
ール、アラルキルおよびアルカリル基は、約6〜約18個の炭素原子を含む。置換
されたアニリン誘導体の例としては、それらに限定されないが、2−メトキシア
ニリン、4−メトキシアニリン、4−クロロアニリン、p−トルイジン、4−ニ
トロアニリン、3−ブロモアニリン、3−ブロモ−4−アミノトルエン、p−ア
ミノ安息香酸、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジクロロアニリン、1,4
−フェニレンジアミン、4,4'−メチレンジアニリン、1,3,5−トリアミ
ノベンゼンおよびそれらの混合物が挙げられる。
アゾベンゼンはまた、この反応において、反応条件に依存する可変量で製造さ
れる。しかし、アゾベンゼンは、好ましくない物質である。なぜならば、それは
、4-ADPAへの収率および選択性の低下を示すからである。アゾベンゼンの製造を
制御する1つの方法は、ニトロベンゼンに対するアニリンの比による。すなわち
、この比が増加すると、アゾベンゼンの量は一般に減少する。以下で説明し、下
記の実施例で例証するように、他の変数、例えば塩基および酸素の量なども、製
造されるアソベンゼンの量に影響を及し得る。すなわち、本発明の開示を使用す
ると、当業者は、製造されるアゾベンゼンの量を制御するように本発明の反応を
行うことができる。
1工程プロセスを含む反応は、広範囲で変わり得る適す
る温度で行われる。例えば、温度は約80℃〜約150℃、例えば約80℃〜約100℃、
好ましくは約80℃〜約90℃の範囲内であり得る。本発明の反応を行うのに最も好
ましい温度は、約80℃〜約90℃、例えば85℃である。
反応プロセス中に生じる水の量の制御は重要である。水は、ニトロベンゼンの
アゾキシベンゼンへの還元によって、アニリンとニトロベンゼンとの、それらの
対応する4-NODPAおよび4-NDPA塩への頭一尾結合によって、および4-NDPA塩の4-A
DPAへの還元によって生じる。反応ゾーンにおける水は、アニリンとニトロベン
ゼンとの反応を、反応がもはや有意でない、すなわち4-ADPA収量が望ましい値よ
り小さくなる程度に阻害する。水の量が約4%のレベルより下のレベルで生じる
ように反応を制御すると、反応は許容され得る様式で進行する。好ましい実施態
様では、水酸化テトラメチルアンモニウムを塩基として使用し、アニリンを溶媒
として使用すると、水の量がさらに、例えば反応混合物の体積に基づいて約0.5
%に減少するので、4-NDPAおよび4-NODPAおよび/またはそれらの塩の総量は増
加する。すなわち、本発明の反応は、無水条件下で行うことができる。生じた水
の「制御された量」は、アニリンとニトロベンゼンとの反応を阻害する量まで、
例えば、アニリンが溶媒として使用される場合は反応混合物の体積に基づいて約
4%のH2Oまでの量である。反応で許容され得る水の量の上限は、溶媒によっ
て変わる。例えば、DMSOが溶媒として使用され、水酸化テトラメチルアンモニウ
ム
が塩基として使用される場合、反応で生じる水の量の上限は、反応混合物の体積
に基づいて約8%のH2Oである。しかし、同じ塩基を用いてアニリンを溶媒と
して使用すると、上限は、反応混合物の体積に基づいて4%のH2Oである。さ
らに、生じる水の許容される量は、種々の溶媒系で使用される、塩基の種類、塩
基の量および塩基カチオンによって変わる。しかし、本発明の開示を使用すれば
、特定の溶媒、塩基の種類および量、塩基カチオンなどの場合の生じる水の量の
上限を決定することは当業者の範囲内である。所望の物質の選択性を維持するの
に必要な最少量も、使用される、溶媒、塩基の種類および量、塩基カチオンなど
に依存し、それも当業者によって決定することができる。
一実施態様では、プロセスの反応ゾーンに存在する生じた水の量は、上記で説
明したように、生じた水を、連続流固定床型反応器を使用して連続的に除去する
ことにより制御される。生じた水の連続的除去は、4−NODPAおよび4−NDPAの
塩の生成を増加させ、それによって4−ADPAへの選択性を増加させる。
オゾン亀裂防止剤を製造するための4−ADPAの還元的アルキル化は、いくつか
の周知の方法のの任意の一つにより行うことができる。例えば、米国特許第4,90
0,868号を参照。好ましくは、4−ADPAおよび適するケトンまたはアルデヒドを
、水素および触媒としての白金/炭素の存在下で反応させる。適するケトンとし
ては、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、メチルイソアミルケトンおよ
び
2−オクタノンが挙げられる。なお、4−ADPA中間体の還元および還元された物
質のアルキル化は、ケトンを溶媒として使用して同じ反応容器で行うことができ
る。例えば、米国特許第4,463,191号およびBanerjeeら、J.Chem.Soc.Chem.C
omm.18,1275−76(1988)を参照。
上記で述べた反応体および試薬の予期される等価物は、1以上の種々の基(例
えばNO2)が単純な違いであり、他の点ではそれらに対応しかつ同じ一般的特
性を有する反応体および試薬である。さらに、置換基が水素として示され、ある
いは水素であり得る場合、その位置での水素以外の置換基の正確な化学的性質は
、全体的な活性および/または合成手順に悪影響を及ぼさない限り、重要でない
。
上記で説明した化学反応は、本発明方法へのその最も広い適用に関して一般的
に開示されている。場合によっては、反応条件が、開示された範囲内の各反応体
および試薬に対して具体的に記載されたように適用可能でないかもしれない。例
えば、いくつかの適する塩基が、1つの溶媒においては、他の溶媒のように可溶
でないかもしれない。これが生じる反応体および試薬は、当業者には容易に認め
られる。そのような場合は全て、反応を、当業者に公知の通常の改変によって(
例えば温度、圧力などを適切に調整することによって)、他の溶媒または他の塩
基などの別の通常の試薬に変更することによって、反応条件などのごく普通の改
変によってうまく行うことができるか、本明細書に開示された他の反応または通
常の反応を本発明方法に適用するこ
とができる。全ての製造法において、出発物質は全て公知であり、または公知の
出発物質から容易に調製可能である。
当業者であれば、さらに詳述しなくても、上記の記載を使用して、本発明をそ
の最大限まで利用することができる。以下の好ましい特定の実施態様は、従って
、単に説明するためのものであり、開示の残りをいかなる方法でも限定するもの
でない。
全ての試薬は、特に断らない限り、受け取ったままで使用され、収率は全て、
説明したようにHPLCによって測定された。
本発明方法は、以下の実施例を参照することにより完全に理解され得る。以下
の実施例では、特に断らない限り、温度は全て摂氏温度であり、圧力は全てゲー
ジ圧であり、比は全て重量による。4−NDPAおよび4−NODPAは、それらの塩と
して存在する。
実施例1
300mlのパール(Parr)オートクレーブに、133.3gのニトロベンゼン、26.1g
のTMA(OH)・5H2Oおよび0.742gの水素添加触媒(5%パラジウム/アルミナ担
体)を充填した。水素を、制御下でオートクレーブに3時間供給し、その間、圧
力は、最高流量(70°Fおよび1atmで10リットル/時間)および73℃で400kPa
から上昇した。オートクレーブの中身を次いで、3時間かけて87℃および2900kP
aの水素圧に上げた。
公知のHPLC技術を使用して、オートクレーブ中の組成
を、最初に1時間のときに、そして5.5時間のときに再び調べた。以下は、反応
ゾーン組成の概要である。
表Iのデータは、所望の物質である4−ADPAが少量であるが認め得る量で生成
していることを示す。
実施例2
本実施例は、アニリンの更なる存在の効果を最初に調べる。実施例1で使用し
たものと同じ方法を使用したが、最初に、136.9gのアニリンおよび43.7gのニ
トロベン
ゼンを、58.0gのTMA(OH)・5H2Oおよび1.05gの水素添加触媒と共に充填した。
すなわち、反応器には、アニリンが、ニトロベンゼンに対するアニリンのモル比
4.165で最初に充填された。HPLC技術を使用して、オートクレーブ中の組成物を
、最初に1.11時間のときに、次いで3.6時間のときに、そして最後に5.61時間の
ときに調べた。反応器の温度は、反応時間中ずっと、約94℃で制御された。3.46
時間のとき、2つの相(比較的重い有機相と比較的軽い水性相)を形成するのに
十分な量の水が生成した。反応プロセスの残りの間に、この多量の水が、4−AP
DAを生成するためのアニリンとニトロベンゼンとの結合の前駆体であるアニリド
イオンの生成を阻害する。
実施例1とは対照的に、実施例2は、過剰のアニリンの存在下、すなわち、ア
ニリン(モル)/ニトロベンゼン(モル)が1より大きい場合には、ニトロベン
ゼンの水素添加は、4−NODPAおよび4−NDPAのTMA塩の生成およびニトロベンゼ
ンの総転化率に都合がよく、従って、4−ADPA収率および選択性を高める。表II
AおよびIIBに示すように、ニトロベンゼンの転化は、3.46時間のときにほぼ100
%であり、水素添加反応は本質的に完了している。残り反応時間、すなわち3.46
時間から5.61時間までは、アゾベンゼン副生物のジフェニルヒドラジンへの還元
および4−フェニルアゾDPAの4−ADPAおよびアニリンへの還元的不均化の仕上
げとして使用された。
実施例3
実施例3では、ニトロベンゼンに対するアニリンのモル比を7.07に上げた。す
なわち、実施例2に示したモル比の1.7倍である。アルミナ上の5%パラジウム
触媒の量は、実施例2で使用したものとほぼ同じであった。しかし、この実施例
では、ニトロベンゼンに対する塩基の量が、実
施例2よりわずかに少なかった。付随して、触媒の単位重量当りのニトロベンゼ
ンの量は、実施例3では、実施例2に示したものより少なかった。もう一度、反
応物を最初の単一相から2つの液相(重い有機相および比較的軽い水性相)に移
した。6時間という反応時間は、水素添加の終わりを示し、その前に、一定圧水
素添加が行われた。表IIIAおよび表IIIBに示した選択性の結果は、実施例2の結
果(表IIAおよび表IIB)と密接に似ている。ただし、ニトロベンゼンの結合反応
生成物への転化率は比較的低いことが分かる。 実施例3は、塩基の量がより少なくかつパラジウム触媒の量がより多いことに
よりニトロベンゼンの4−NDPAおよび4−NODPAへの転化率がより低いことを示
す。これは、ニトロベンゼンのジフェニルヒドラジンへの水素添加を引き起こし
て多量の水を生成した。ニトロベンゼン1gに対して使用される多量のパラジウ
ム触媒は、ニトロベンゼンの還元のためのターンオーバーがより大きいことを示
し、
従って、ニトロベンゼンの転化の速度は、実施例3の方が実施例2よりも高い。
実施例2におけるように、アニリドイオンの生成に対する水の阻害効果が、ニ
トロベンゼンの結合反応生成物への直接的な転化を制限した。ニトロベンゼンに
対するアニリンのモル比が高く、ニトロベンゼンに対するパラジウムの比がより
高いと、4−NODPAが排他的に生じる。表IIIAにみられるように、1.45時間の反
応時間後、4−NDPAは検出されなかった。
表IVは、実施例1、2および3の種々の反応/反応器成分および生成物のモル
比の値および量を比較して示す。
上記実施例は、ニトロベンゼンの4−ADPAへの転化の
有意な収率が、過剰の水酸化テトラメチルアンモニウム、すなわち1未満のニト
ロベンゼン(モル)/TMA(OH)(モル)、および適量のパラジウム触媒を使用す
ることにより得られ得ることを示唆している。前記は、ニトロベンゼンを、アニ
リドイオンの生成を阻害しないように過剰の塩基の要件および少量の水の生成を
満足する速度で連続的に供給することにより最も良く行われる。
実施例2および3の結果は、ニトロベンゼンの結合反応生成物への全体的な消
費速度(およびそれ故にアニリドイオンのかなりの生成速度)は、触媒およびTM
A(OH)の相対量によって支配されることを示す。前記結果が与えられると、多
量のパラジウム触媒は好ましくない。
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