JP2002502669A - 中空体の殺菌法と装置 - Google Patents

中空体の殺菌法と装置

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、容器、容器のプレフォーム、さまざまなパイプまたはダクトのような中空体を殺菌するための方法及び装置に関するものである。本発明によれば、殺菌剤が殺菌される表面全体に付着することを可能にする誘導手段7;13を用いて、中空体9の壁面上で蒸発可能な殺菌剤の誘導15が引き起こされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、中空体を殺菌するための方法に関するものである。本発明はとりわ
け、限定的なものとしてではないが、容器の製造と充填との間の容器の殺菌、あ
るいはまた無菌容器の製造工程における容器のプレフォームまたはパリソンの殺
菌に適用される。本発明はまた、この方法を適用する装置にも関する。
【0002】 本発明の意味における殺菌とは、繁殖すると中空体の中味を、定められている
用途または消費に適さないものにしてしまう恐れがある要素(微生物、病原微生
物、酵母など)を破壊するまたは減少させるための何らかの方法を意味する。し
たがって、ある種の要素または他の要素による汚染の度合いを必ずしも「ゼロ」
にする必要はないが、容器の中味、その用途、望ましい保存期間あるいはまた他
のパラメータに応じて、許容できる度合いを意味していなければならない。この
ように、残された汚染の度合いに応じて、清潔なまたは殺菌された中空体と呼ぶ
ことができる。
【0003】 無菌中空体を得るために数多くの方法がすでに考えられている。しかしそれら
は、さまざまな理由から十分なものではない。
【0004】 通常、基本原理は、中空体内、さらにその外部も殺菌することを望む場合には
、中空体の内と中空体の外側に殺菌用流体を噴射するというものである。
【0005】 達成される殺菌の度合いを決定するのは、使用される流体と適用される作業形
態である。
【0006】 従来の方法は、中空体を殺菌液に浸す、または殺菌液で満たすというものであ
る。それらの方法は、殺菌液の排出、さらには中空体の乾燥を必要とする。その
一方で、殺菌液が大量に消費されるか、または多量の殺菌液をリサイクルするこ
とが要求される。
【0007】 中空体が完全に殺菌液で満たされている場合には、乾燥と同様に排出も難しい
作業である。これらの作業が、新たな汚染の原因となってはならないからである
【0008】 一方で、殺菌液の消費量を減少させようとする場合には、殺菌液のリサイクル
のために複雑な設備が必要となる。
【0009】 他の方法では殺菌用気体が使用される。その方法を実施するための設備は、複
雑で消費的である。このようにしてたとえば、無菌空気または殺菌剤が添加され
た空気を吹き付けることによって、瓶のような可塑性材料でできた殺菌容器を製
造する方法が考えられた。無菌空気を得ることは、吹き込む空気の体積が大きけ
れば大きいほど大規模な手段を必要とする作業である。実際に、噴射−吹付け技
術を使用することによって、可塑性材料でできた瓶を製造するためには、吹付け
圧力はおよそ40バールとなることを思い起す必要がある。そのことは、1リッ
トルの容器の製造に、40リットルの空気が消費されることを意味している。さ
らに、吹付け後に、容器から気体を抜く必要がある。使用される殺菌剤の種類に
よっては、その気体を大気中に放出することが不可能であり、その結果、そこで
もまたリサイクルのための複雑な設備が必要となる。
【0010】 こうして、液体殺菌剤(過酸化水素、過酢酸またはその他)を噴霧し、容器の
殺菌される表面上に、細かい液滴の形でそれを噴射することによる方法が考え出
された。
【0011】 これまでに知られているこの種の方法及びその対応装置は、中空体の内側表面
全体、または内側壁面と呼ばれている部分全体が主に殺菌されなければならない
場合には、それら表面全体に殺菌剤を分配することができないという点において
適合していない。さらに、従来の装置は、1つ1つ異なる形状を持つ中空体を処
理することができない、あるいはまたあらゆるタイプの材料の処理には適さない
という点においては「万能」ではない。
【0012】 このようにして、たとえばアメリカ合衆国特許US 4 631 173に記
載されている装置は、殺菌剤の均等な分配を行なうことはできない。なぜなら、
この装置は、殺菌剤が激しく噴射される、加熱された表面を利用するからである
。この表面と接触することによって殺菌剤は、一方では蒸発し、他方では殺菌さ
れる表面に向かって送り返される。殺菌剤が中空体内に分散されるためには、加
熱された表面の方向付けを行なうことが必要となる。
【0013】 したがって、加熱される表面の外形と方向を、中空体の容積と形状に適合させ
なければならない。中空体があまりに深いと、殺菌剤がそこから隔てられている
表面に向かって送り返されることが確実には行なわれなくなる。
【0014】 この装置は、瓶または瓶のプレフォーム(またはパリソン)の殺菌には適さな
い。なぜなら、それらの開口部は、分散された殺菌剤がこのタイプの中空体の内
部に誘導されるのに十分な大きさをもっていないからである。ただし、容器の開
口部から導入するために非常に寸法の小さな加熱表面をもっている場合は例外で
ある。しかしその場合には、この表面と接触させて殺菌剤を引き入れることが難
しいだろう。さらに、蒸発に必要な熱エネルギーは、感熱性材料でできている場
合には、中空体(瓶またはプレフォーム)を劣化させる恐れがある。
【0015】 ドイツ特許出願43 05 478に記載されている方法は、殺菌剤の均等な
分配を行なうことができず、中空体のあらゆるタイプの構成材料に適するわけで
はない。
【0016】 この方法は、殺菌剤を均等に分配することができない。なぜなら、殺菌剤は、
中空体の底部の正面に通じるノズルを介して噴射されるからである。殺菌剤は、
理論上は、中空体内の蒸気相に再び出て行くように水蒸気と混ぜることによって
、ノズルの中に入れられる。しかし、パイプが冷却されると、水蒸気と殺菌剤の
混合物は凝縮し、蒸気の雲の代わりに液滴になって中空体の底に落ちる。このこ
とから、底部に液滴が蓄積し、壁面上に殺菌剤が再び上昇しないという恐れが生
じる。
【0017】 このような蓄積の恐れを減少させる、及び/または容器の底部で殺菌剤が凝縮
するのを防ぐために、中空体が再び加熱され、その結果殺菌剤の蒸発を再び活性
化することができる。
【0018】 もっとも、この方法は、蒸発した殺菌剤が、中空体の壁面全体に正しく分配さ
れることを保証するわけではない。
【0019】 さらに、この再加熱方法は、特定のタイプの材料、特に感熱性(可塑性)材料
または断熱性材料では実施が不可能である。というのも、感熱性材料の中空体は
、この方法によって劣化する恐れ(特に材料の収縮による変形の恐れ)がある。
断熱性材料は、中空体を再加熱するための熱の供給が外部からなされることから
、処理時間を著しく伸ばしてしまう。極端な場合には、再加熱に必要な時間があ
まりに長いので、その方法を実施するのが不可能になってしまう。
【0020】 この方法はまた、殺菌される中空体の形状と寸法を変えた場合には、設備を大
きく修正すること(再加熱用ゾーンの変更)が必要となる。
【0021】 この方法の他の欠点は、殺菌剤が通常は水蒸気に混合されていることから、制
御システムの故障の場合に、殺菌剤の不足または欠如が検知されない点にある。
水蒸気だけを噴射する場合には、殺菌剤の欠如は、外部から観察している者によ
って容易に検知することができないだろう。
【0022】 特に、圧縮気体を用いて中空体内に殺菌剤を押出すことからなる他のアプロー
チ方法も存在する。
【0023】 この方法では、殺菌剤の正確な分配を行なうことができない。というのも、殺
菌剤が圧力下で導入される場合には、圧縮腹または節や乱流現象、あるいは前記
分配への他の障害が引き起こされるからである。
【0024】 したがって、本発明は、上記の欠点のいずれももたない方法及び装置を対象と
する。すなわち、殺菌剤の表面全体への分配と、殺菌される中空体が変わった場
合にも装置に大きな修正を加える必要なく適用できる可能性と、あらゆるタイプ
の中空体(瓶、壷、フラスコ、鉢、パイプなど)への適用と、あらゆるタイプの
材料への適用と、殺菌剤の欠如の簡単な検知とを可能にする方法及び装置を対象
とする。
【0025】 本発明によれば、殺菌される表面にあらかじめ蒸発した殺菌剤を付着させるこ
とによる、中空体、特に容器や容器のプレフォームを殺菌するための方法は、前
記表面全体に殺菌剤を分配することができるように、殺菌される表面全体に向か
って蒸発させた殺菌剤を導く気体の流れを発生させることを特徴とする。
【0026】 このようにして、表面に殺菌剤を導く、すなわち誘導することによって、殺菌
剤を内部に噴射するまたは吹き付ける装置とは反対に、殺菌剤の正確な分配を行
なうことができる。殺菌剤を蒸発させた後に単に導くことによって、特に中空体
をもはや加熱する必要がなくなることから、この方法をあらゆるタイプの材料で
使用することができるようになる。後述するように、この方法は、中空体の形状
または寸法がいかなるものであれ、また中空体の形状及び/または寸法が変わっ
た場合に装置を大きく修正する必要なく、あらゆるタイプの中空体について使用
可能な比較的単純な装置によって実施することができる。さらに、殺菌剤の欠如
を容易に検知することができる。それは、蒸発時に、殺菌剤が導入されたかどう
かを確認するだけで良いからである。
【0027】 本発明の他の利点は、気体の流れによって殺菌剤を導くことによって、中空体
の配置に関係なく、すなわちその開口部の位置(上部、下部またはその他)に関
係なく殺菌を行なうことが可能になる点である。
【0028】 本発明の他の特徴によれば、殺菌剤の蒸発は、中空体の外側で、その開口部付
近で行なわれ、導くための気体の流れは、中空体内で開口部と反対側に働きかけ
る吸込み手段を用いて、蒸発させた殺菌剤の吸込みを行なうことによってつくり
だされる。
【0029】 本発明の他の特徴によれば、吸込みは、この方法を実施するための両端が開口
しているパイプの殺菌用設備においては、蒸発が行なわれる付近の先端とは反対
側のパイプの先端側に働きかける装置を用いて行なわれる。
【0030】 本発明の方法の他の特徴によれば、中空体内への殺菌剤の蒸発と導入段階に先
立って、貯蔵時に入り込んだ埃のような、中空体内に存在する非粘着性エレメン
トまたは粒子を排出する段階が行なわれる。
【0031】 本発明の他の特徴によれば、蒸発段階に続いて、接触時間が経過した後、残留
している殺菌剤を取り出す段階(乾燥段階)が実行される。
【0032】 添付の図面を参照して、以下に説明することで、本発明の他の特徴と利点が明
らかになるだろう。
【0033】 図1に示されている装置は、過酸化水素や過酢酸またはその他の何らかの適合
した殺菌剤のような蒸発可能な殺菌剤の噴射器または噴霧器1を有する。噴射器
は、一方ではここには示されていない殺菌剤のタンクに、他方ではその開放と閉
鎖を制御する手段に接続される。
【0034】 噴射器は、機械式、電気機械的、空気式または他の何らかの適切なタイプとす
ることができる。
【0035】 噴射器から殺菌液が出ると、図示されている例では、円筒形のカバー3内に閉
じ込められた蒸発器2に向かって誘導される。開口部4は、蒸発器2への液体の
噴霧を可能にするために、噴射器1の出口の正面でカバーの円筒形壁面に設けら
れる。
【0036】 図示されている実施形態においては、蒸発器2は、熱伝導率が優れている材料
でできた円筒によって構成され、その周囲には、環状に突出したフィン5を備え
る。好ましくは、フィンは、蒸発器本体を形成する円筒の高さに規則正しく配分
される。
【0037】 蒸発器の外径は、蒸発後に、殺菌剤が、後述するように循環されるためにカバ
ー3の内径より小さい。
【0038】 カバー3は、スライドする中空パイプ7を通すために、中央に開口孔をあけた
蓋6によって、図ではその上端で閉鎖される。
【0039】 好ましくは、図に示されているように、パイプ7は、蒸発器2のここには図示
されていない軸方向孔を貫通する。
【0040】 カバーの下端は、殺菌される中空体9(ここでは瓶のような容器)の開口部8
の正面に置かれるためのものである。この下端は、開口され、好ましくは、先端
の開口部の内側の形状と寸法が、それぞれ、中空体の内側開口部の形状と寸法に
対応する。
【0041】 蒸発器2は、中空体9と蒸発器2の間で蒸発させた殺菌剤の経路とぶつかるこ
とがないように、中空体9から最も離れた蒸発器の先端付近に配置されたねじま
たは間隔材のような固定手段10を用いて、カバー3に取付けられて保持される
【0042】 蒸発器2の再加熱手段11は、殺菌剤が接触するとほぼ瞬間的に蒸発させるよ
うな温度にするために設けられる。ここに図示されている例においては、これら
手段11は、カバー3と蒸発器2の構成材料を通した熱伝導、及び/またはカバ
ー3内壁と蒸発器2との間の自由空間内の対流によって、カバー3と蒸発器2を
再加熱することができるように、カバー3の壁面の厚みの中に配置された電熱抵
抗によって構成される。
【0043】 好ましくは、装置の正面に中空体9を設置するのを容易にするために、少なく
ともパイプ7はスライドする(両矢印12)。このようにして、中空体9は、中
空体の導入経路からパイプを引込めながら、単純な側方向並進によって装置の正
面に導入される。こうして、中空体の設置を行なうために、連結されたアーム上
に取付けられた移動用挟持装置機構や、あるいはまた中空体の誘導用の溝または
孔を有する移動板または歯車付き機構のような、それ自体知られている移動用シ
ステムを使用することができる。
【0044】 代案として、中空体の設置は、それ自体を軸方向に並進させ、パイプ7は固定
したまま行なわれるという方法を考えることもできるだろう。
【0045】 実施形態においては、パイプ7のみがスライドする。したがって、中空体の設
置または取出しの際には、パイプが、中空体と、蒸発器2及びカバー3で構成さ
れた全体に対して相対的にスライドする。
【0046】 変形形態においては、中空体9の設置または取出しの際に、軸方向に並進する
のはパイプ7と蒸発器2及びカバー3の全体である。
【0047】 カバー3の蓋6側に位置するパイプ7の先端は、吸込み源13に接続される。
図1に示されているように、中空体9が設置されると、中空体9内に通じるパイ
プの先端は、中空体の底部14付近に来る。
【0048】 装置の作動は以下の通り行なわれる。
【0049】 蒸発器2は、噴射器1によって噴射された殺菌剤が接触するとすぐに、殺菌剤
を蒸発させるのに十分な温度となるように、加熱手段11を介して熱せられる。
【0050】 例として、殺菌剤が過酸化水素である場合には、蒸発器2は、100℃から4
00℃、好ましくはおよそ150℃から200℃の間の温度になる。
【0051】 中空体9の開口部8は、カバーの開口部の正面に位置するが、ただし、カバー
3の孔4と、容器とカバーの間に残された間隙との間に空気の流れがつくりださ
れるために、接触はしない。
【0052】 さらに、カバーと中空体の間に一定の間隔を保つことによって、中空体が感熱
性材料でできている場合に劣化を防ぐことができる。
【0053】 テストの結果、この間隔は0.1mmから5mmの場合に良い結果が得られ、
さらに0.5mmから3mmの間隔を残しておくと最良の結果が得られることが
分かった。
【0054】 好ましくは、装置は、殺菌される中空体内にさらに余分な粒子や埃が入り込む
ことを防ぐために、過圧による無菌空気の環境内で保持される。そのために、そ
の中に装置が設置される無菌空気の層流下にある隔離チャンバのような、従来の
手段が使用される。
【0055】 装置と中空体9が互いに対して正確な相対位置に置かれた後に、カバー3内に
設けられた孔4を通して、蒸発器2上に、噴射器または噴霧器1によって殺菌剤
が噴霧または噴射される。蒸発器2の高温は殺菌剤をただちに蒸発させ、中空体
9の底部14付近に通じるパイプ7を通して手段13によって生じる吸込みが、
中空体内に含まれる空気を導く流れをつくりだし、それに続いて、殺菌剤の蒸気
が導かれ、こうして中空体9の内側に誘導され、中空体の内側表面に付着する。
この流れは、図では矢印15によって概略的に示されている。
【0056】 さらに、中空体が室温である場合には、殺菌剤は、中空体の内側表面と接触し
ながら凝縮される。
【0057】 一定の接触時間が経過した後、中空体内に入れられた殺菌剤が取出される。
【0058】 可塑性物質(PET)でできた容器のプレフォームまたは容器自体について実
施された試験から、接触時間が2秒から6秒の場合に、殺菌剤として35%に濃
縮された過酸化水素を使用することによって、現行の食品規格に適合する無菌度
を得ることができる。
【0059】 吸込みは、パイプ7を通して、恒常的かつ連続的に行なわれる。連続的に行な
われる場合には、噴射され蒸発させた殺菌剤全体が中空体に向かって吸込まれる
ように、遅くとも噴射の瞬間に、吸込みが始まることが重要である。噴射より少
し遅れて吸込みが始まると、その結果、特に孔4によって外部に向かって蒸発し
てしまうことによって、一定量の殺菌剤を損失する恐れがある。この損失の危険
は、吸込みが噴射される瞬間に始まればもはや存在しなくなる。
【0060】 さらに、同じく吸込みが連続的に行なわれる場合、少なくとも処理される表面
全体が殺菌剤によって覆われるまでは続けられなければならない。
【0061】 上述の接触時間が経過した後に、中空体は殺菌される。しかしながら、たとえ
ば、殺菌剤が液体である場合には中空体を乾燥させることによって、殺菌剤を排
出する必要がある。
【0062】 そのために、中空体内に無菌乾気または熱気のような無菌気体を吹き付ける、
もしくは、好ましくは、吸込みによって中空体の内側に熱気を導くことが可能で
ある。実際に、たとえば空気の流れが優先的に底部に向かって誘導されるが、壁
面全体とは接触しないような瓶の場合には、熱気の吹付けは、特殊な形状を有す
る中空体の場合には難しい。
【0063】 さらに、熱気を導くことからなるこの方法の利点は、噴射器1を、図2に示さ
れているような熱発生器16に置き換えることによって、殺菌剤の蒸発及び付着
のために使用される装置と同じ装置を使用することが可能である。
【0064】 熱気を使用する場合には、熱発生器16は、高温型熱気ノズルまたはバーナと
することもできる。熱または火炎が孔4に向かって誘導され、それと同時に、火
炎または熱が壁面に向かって誘導されるために中空体(ここでは容器のプレフォ
ーム)内に吸込みがつくりだされる。
【0065】 火炎または熱気発生器の使用は、熱可塑性材料でできた容器または容器のプレ
フォームのような感熱性材料でできた中空体の乾燥用でも可能である。
【0066】 というのも、熱にさらされる時間は非常に短いからである。材料の熱的慣性を
考慮すると、誘導された熱気は、中空体の掃気または乾燥という働きだけを行な
う。
【0067】 ただし、殺菌する中空体が熱可塑性材料でできている場合には、熱の発生器1
6の出口と中空体9の外側との間で直接的な移動が行なわれるのを妨ぐための手
段を備えることが好ましい。
【0068】 これらの手段は、図2に示されているように、中空体9側のカバー3の開口部
と、火炎の熱気通過用の孔4との間に配置され、カバー3を少なくとも部分的に
取り囲む中空体の開口部保護用プレート17によって構成することもできる。
【0069】 代案として、中空体の開口部をより広く覆う鐘型キャップを備えることも可能
であろう。
【0070】 図3は、殺菌剤の付着と同時に乾燥にも役立つ単一装置の可能な構成を概略的
に表わす、孔4のレベルで上から見た断面図である。
【0071】 噴射器1の出口と同時に熱気発生器16の出口が、カバー3の孔4に向かって
誘導される。その場合、熱(火炎または熱気)が、噴射/蒸発/殺菌剤の接触段
階中に供給されることがないように、熱気発生器16を連続タイプにする必要が
ある。
【0072】 好ましくは、中空体の乾燥は2つの段階で行なわれる。第1段階では、熱(火
炎または熱気)がカバー内に供給され、吸込みは能動的に行なわれる。第2段階
では、あらゆる気体残留物が排出されるように、熱がもはや供給されていないに
もかかわらず吸込みが続けられる。
【0073】 目安として、孔4に1から3秒間火炎を噴射し、さらに2から6秒間吸込みを
続けることによって、熱可塑性材料でできた容器のプレフォームを乾燥させるこ
とができる。
【0074】 図4では、中空体の乾燥のために特別に設けられた装置の概略断面図を示して
いる。
【0075】 図1から3の装置との主な違いは、蒸発器を備えていないという点である。
【0076】 この装置は、一端が閉鎖し、他端が開放されている円筒パイプ形19のカバー
18を備える。カバーには孔20があけられ、この例においては、その孔の正面
に熱発生器21、すなわちバーナが存在する。
【0077】 中空ロッド22は、その一端23が中空体24の底部付近に位置するようにカ
バーを貫通する。そのロッドの他端は、吸込み装置25に接続される。
【0078】 熱、ここでは火炎26が、吸込みと同時に供給されると、殺菌剤の蒸気及び火
炎を吸込み、中空体の内側表面を乾燥させる流れ(矢印27)がつくりだされる
【0079】 好ましくは、殺菌剤の噴射/蒸発段階に先立って、埃または非粘着性の他のエ
レメントのような粒子を中空体から排出する段階が実施される。
【0080】 この段階は、吸込み及び/または吹付けあるいは他の何らかの適切な方法によ
って実施することができる。
【0081】 実施形態おいては、装置が熱気発生器を備えていないという違いを除けば、図
4に示された、殺菌剤の痕跡を排出するために使用される装置と類似の装置が使
用される。したがって、この装置は、吸込み手段22、23、25とカバー18
を備える。
【0082】 変形形態においては、もはやロッド22によって吸込むのではなく、たとえば
孔20を経由してカバー18によって吸込むことによって、殺菌剤の噴射に先立
って排出段階が行なわれる。その場合、ロッド22は、吸込み時につくりだされ
た負圧を補う空気を引き入れることができる。
【0083】 実施形態において、上述の段階全体は、図3に示されているような、つまり蒸
発器、吸込み手段、殺菌剤の噴射手段、熱気発生器、すなわち図1、2、4によ
り詳細に示された手段全体を備える唯一の同一装置で行なわれる。
【0084】 しかしながら、実施されるさまざまな処理の効果という理由から、その後の殺
菌段階、すなわち噴射/蒸発/接触及び乾燥のために使用されるひとつまたは複
数の別々の装置内で、少なくとも埃を除去する予備段階を実施することが好まし
い。
【0085】 実際に、第1段階では埃または他の粒子が回収され、続く段階では、吸込まれ
るのが気体または蒸気となる。殺菌剤の気体または蒸気をリサイクルできるよう
にするために、埃または他の粒子が回収され、捨てられなければならない。した
がって、蒸気または気体のリサイクルを行なう場合には、別々の吸込み手段を有
する必要があり、それぞれの装置を区別することが望ましい。
【0086】 さらに、たとえば、殺菌される中空体が、容器の吹付け器の入口に並んで引き
入れられる、可塑性材料でできた容器(瓶またはその他)のプレフォーム、また
は製造工程の出口における容器であり、装置の使用頻度が高くなければならない
場合には、単一装置の使用は適さない。
【0087】 このような場合には、段階全体を別々に分け、処理を連続して行なえるような
別々の段を中空体が並んで進むように実施することが好ましい。
【0088】 図5は、容器30の吹付け/充填機械29の上流側で、それらを殺菌するため
に、プレフォーム28の処理時に、上述の段階全体を実施することができる設備
の原理図を示している。
【0089】 矢印31の方向に並んで進むプレフォーム28は、排出(除埃またはその他)
用の第1段32内に連続的に引き入れられる。この段は、ここには図示されてい
ないが、複数のプレフォームを連続的に処理するための手段を有する。
【0090】 次に、プレフォームは、殺菌剤の噴射、蒸発、接触のために配置された段33
の中に運ばれる。この段は、図1の装置に合致する1つまたは複数の装置を有す
る。
【0091】 さらに、プレフォームは乾燥段34に向けて運ばれる。殺菌に必要な接触時間
を引き延ばすために、前の段からこの乾燥段までの運搬時間が活用される点に留
意されたい。
【0092】 次に、プレフォームは、容器の製造/充填機械29に向けて運ばれる。
【0093】 好ましくは、この機械29とさまざまな処理段32、33、34は、層流下の
殺菌ゾーン内に閉じ込められる。
【0094】 このゾーンは、図5では点線35で概略的に示されている。
【0095】 各処理段、それぞれ32、33、34は、少なくとも1つの適切な固定装置を
備えることができ、この装置の前に、中空体が処理のために少しずつ引き入れら
れる。
【0096】 しかしながら、この構造は、多くの設備において必要とされる頻度の高い処理
にはうまく適合しない。それゆえ、好ましくは各段は、中空体が並んで連続的に
処理されるように配置される。
【0097】 実施形態においては、各段は、連続的な運搬手段に連結した、中空体の把握ま
たは支持手段を備える。こうして、中空体が設備内に到着するにつれて処理する
ことが可能になる。
【0098】 処理の頻度は、各段の寸法と、各段が包含している装置数に応じて異なる。
【0099】 ここに図示されていない変形形態においては、殺菌段階は、容器の製造後、た
とえば充填前に行なわれる。こうして、さまざまな段、特にいわゆる殺菌用の段
33は、機械29の出口の下流側に置かれる。この場合、機械29は、無菌空気
の層流下に置くことはできない。しかし少なくとも、殺菌段33、34と乾燥段
は層流下に置かれることが重要である。
【0100】 図6は、両端が開放されている中空体の殺菌に適用される場合の本発明の原理
図である。それはたとえば、さまざまなパイプまたはダクトの場合である。
【0101】 その場合、吸込みは、カバー36を貫通し、噴射手段(ここには図示されてい
ない)及び/または熱気発生手段(ここには図示されていない)をともなうカバ
ー36が付近に存在する先端39とは反対側の中空体38の先端37に通じてい
るパイプを用いては行なわれずに、カバー36が付近に存在する先端39とは反
対側の中空体の開放端37に位置するパイプ40を用いて行なわれる。パイプ4
0は、吸込み手段41に接続される。
【0102】 当然のことながら、本発明は、以上に説明した実施形態のみに限定されるわけ
ではない。本発明は、考えられるあらゆる実施の変形及び同等形態を含むものと
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による中空体を殺菌するための装置の原理図である。
【図2】 一定の接触時間が経過した後に殺菌剤を排出する装置の原理図である。
【図3】 本発明による装置の変形形態を上から見た概略図である。
【図4】 殺菌剤を排出するために使用される装置の概略図である。
【図5】 本発明を使用する設備のブロック図である。
【図6】 図1から4の装置の変形形態の概略図である。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年5月29日(2000.5.29)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベルナール,ベロニク フランス国、エフ−76053・ル・アーブ ル・セデツクス、ボワツト・ポスタル・ 204、オクトウビル−シユール−メール、 アブニユ・ドウ・ラ・パトルイユ・ドウ・ フランス、シデル・エス・アー Fターム(参考) 4C058 AA25 BB04 BB07 CC01 CC02 CC03 CC06 CC07 EE26 JJ16 JJ24 JJ28 JJ29

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 あらかじめ蒸発させた殺菌剤を殺菌される表面に付着させる
    ことからなる、中空体(9)を殺菌させるための方法であって、前記表面全体に
    殺菌剤を分配するために、中空体内に働きかける吸込み手段を用いて、殺菌され
    る表面全体に向かって蒸発させた殺菌剤を導く気体の流れを引き起こすことを特
    徴とする方法。
  2. 【請求項2】 殺菌剤の蒸発が、中空体の開口部(8)付近で、中空体の外
    側でおこなわれ、殺菌剤を導く気体の流れが、前記開口部の反対側で、中空体内
    に働きかける吸込み手段を用いて蒸発させた殺菌剤の吸込み(7)を発生させる
    ことによってつくりだされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 殺菌剤が、過酸化水素、過酢酸またはその他といった液体相
    で使用可能な殺菌剤の中から選択されることを特徴とする請求項1または2に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 殺菌剤の蒸発及び中空体内への導入段階に先立って、中空体
    内に存在する粒子または非粘着性エレメントを除去する段階が行なわれることを
    特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 除去する段階が吹付けによって行なわれることを特徴とする
    請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 除去する段階が吸込みによって行なわれることを特徴とする
    請求項4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 蒸発段階に続いて、殺菌する表面と殺菌剤との接触時間が経
    過した後に、残留している殺菌剤の排出段階が行なわれることを特徴とする請求
    項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 残留物の排出段階が、中空体の内側に排出手段を噴射するこ
    とによって行なわれることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 排出手段が無菌乾気または熱気であることを特徴とする請求
    項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 排出手段が、中空体の開口部の反対側で中空体内に働きか
    ける吸込み手段を用いて、中空体の内側で吸込みによって導かれることを特徴と
    する請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 無菌気体が、熱気ノズルを用いて、噴射された熱気である
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  12. 【請求項12】 排出段階が、バーナによって噴射された火炎を用いて行な
    われ、その開口部の反対側で、中空体内に働きかける吸込み手段を用いて、中空
    体の内側で吸込みによって導かれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  13. 【請求項13】 排出手段、すなわち乾気または熱気あるいは火炎が、中空
    体の開口部付近でその外側に噴射されることを特徴とする請求項8から12のい
    ずれか一項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 蒸発可能な殺菌剤の噴射手段(1)と、噴射手段の出口の
    正面に位置する蒸発器(2)と、中空体が装置に対して相対的に設置されると、
    中空体(9;38)の内側表面に向かって蒸発させた殺菌剤を導くための気体の
    流れを発生させるための手段(7、13;40、41)とを備えることを特徴と
    する請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
  15. 【請求項15】 蒸発器が、中空体の開口部付近で中空体(9;38)の外
    側に配置されたカバー(3;36)内に閉じ込められ、噴射手段(1)の出口の
    正面に位置する開口部(4)と、中空体(9;38)の内側開口部の寸法にほぼ
    対応する内側寸法と形状を有する開口端とを備えることを特徴とする請求項14
    に記載の装置。
  16. 【請求項16】 気体の流れを発生させるための手段(7、13;40、4
    1)が、吸込み源(13;41)に接続されたパイプ(7;40)で構成される
    ことを特徴とする請求項14または15に記載の装置。
  17. 【請求項17】 中空体が容器の形状を持ち、すなわち一端が開放され、一
    端が閉鎖され、パイプ(7)が、中空体の開口部によって挿入され、そのパイプ
    が、中空体の底部付近に通じる一つの先端を有し、カバー(3)の側に位置する
    別の先端は、吸込み源(13)に接続されることを特徴とする請求項16に記載
    の装置。
  18. 【請求項18】 パイプ(7)が蒸発器(2)とカバー(3)を貫通するこ
    とを特徴とする請求項17に記載に装置。
  19. 【請求項19】 中空体(38)は向かい合った両端が開放しているパイプ
    またはダクトであり、吸込みは、噴射が行なわれる先端と反対側の中空体の先端
    に吸込み用パイプ(40)を配置して行なわれることを特徴とする請求項16に
    記載の装置。
  20. 【請求項20】 中空体内で接触時間が経過した後に殺菌剤を排出するため
    の手段を備えることを特徴とする請求項14から19のいずれか一項に記載の装
    置。
  21. 【請求項21】 前記殺菌剤を排出するための手段が、無菌乾気または熱気
    の発生器(16;21)を備えることを特徴とする請求項20に記載の装置。
  22. 【請求項22】 発生器がバーナ(21)であることを特徴とする請求項2
    1に記載の装置。
  23. 【請求項23】 発生器(16;21)が、中空体の開口部付近で、その外
    側に配置され、中空体の内部に熱を誘導するための手段を備えることを特徴とす
    る請求項21または22に記載の装置。
  24. 【請求項24】 熱を誘導するための手段が、吸込み用パイプ(7;22;
    40)で構成され、パイプの吸込み用先端が、中空体全体に熱を導くために、中
    空体の開口部から離れたゾーン内で中空体内に通じることを特徴とする請求項2
    3に記載の装置。
  25. 【請求項25】 中空体が容器であり、パイプ(7;22)が中空体の開口
    部から挿入され、中空体の底部付近に通じることを特徴とする請求項24に記載
    の装置。
  26. 【請求項26】 中空体がパイプまたはダクトであり、パイプ(40)が、
    熱の発生器(16;21)の付近に存在する先端の反対側の中空体先端に配置さ
    れることを特徴とする請求項24に記載の装置。
  27. 【請求項27】 殺菌剤の蒸発及び付着段階に先立って、埃または他の粒子
    を除去するための手段を備えることを特徴とする請求項14から26のいずれか
    一項に記載の装置。
  28. 【請求項28】 除去が吸込み及び/または吹付けによって行なわれること
    を特徴とする請求項27に記載の装置。
  29. 【請求項29】 空気のような過圧された無菌気体の層流(35)が行きわ
    たることを特徴とする請求項14から28のいずれか一項に記載の装置。
  30. 【請求項30】 請求項14から29のいずれか一項に記載の装置を備える
    ことを特徴とする容器の製造及び/または充填設備。
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