JP2002502263A - 植物チオエステラーゼの工学的操作および新規な基質特異性を有する植物チオエステラーゼ - Google Patents

植物チオエステラーゼの工学的操作および新規な基質特異性を有する植物チオエステラーゼ

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Abstract

(57)【要約】 植物アシル-ACPチオエステラーゼの基質特異性を改変する方法、並びにそのようにして得られる遺伝子工学的に作製された植物アシル-ACPチオエステラーゼを提供する。植物チオエステラーゼのC末端側の3分の2の部分がそのような修飾にとって望ましいことが確認された。さらに、遺伝子工学的に操作されたチオエステラーゼを発現させるためのDNA配列および構築物、並びにそれから産生された新規チオエステラーゼを提供する。前記DNA配列は脂肪酸の組成を改変するために宿主細胞(特に脂肪種子作物の種子細胞)において遺伝子工学的に操作されたチオエステラーゼを発現させるのに用いられる。ここに記載されるC12優先性の植物アシル-ACPチオエステラーゼを改変して、C14およびC12基質に対してほぼ同等の活性を有する植物チオエステラーゼを得ることができる。C12酵素のさらなる修飾により、C12基質よりもC14基質に対して高い活性を有するチオエステラーゼが得られる。特に興味を引くものとして、相対的18:0活性が増加している植物18:1チオエステラーゼがある。この種のFatAチオエステラーゼは植物種子油中のステアリン酸の生産量を高めるために利用される。

Description

【発明の詳細な説明】 植物チオエステラーゼの工学的操作および新規な基質特異性を有する植物チオエ ステラーゼ技術分野 本発明は、タンパク質、核酸配列とその構築物およびこれに関連する方法に関 する。 序論発明の背景 脂肪酸は、およそ炭素数4から24の炭化水素鎖を有する有機酸である。脂肪 酸は、鎖長、また二重結合が存在するならばその数や位置が異なる、多くの種類 が知られる。脂肪酸は通常、細胞内において脂肪アシル基と呼ばれるカルボキシ ルの部分が共有結合された形で存在する。この分子の鎖長ならびに飽和度は通例 、CX:Y(Xは炭素数、Yは二重結合の数を表す)の式で示される。 植物脂肪酸の生産は、プラスチドにおいて、酵素β-ケトアシル-ACPシンター ゼIIIによって触媒されるブチリル-ACPを生成する、アセチル-CoAとマロニル-AC P間の反応に始まる。16-から18-炭素脂肪酸へのアセチルACPの伸長には、以下に 記載する、一連の反応サイクルが関わる。すなわち、2炭素単位でのマロニル-A CPの縮合によるβ-ケトアシル-ACP(β-ケトアシル-ACPシンターゼ)の生成、ケト 基からアルコールへの還元(β-ケトアシル-ACPリダクターゼ)、脱水素による エノイル-ACP(β-ヒドロキシアシル-ACPデヒドラーゼ)の生成、そして最後に エノイル-ACPの還元による伸長飽和アシル-ACP(エノイル-ACPリダクターゼ)の 生成。β-ケトアシル-ACPシンターゼIがパルミトイル-ACP(C16:0)にまで伸長 を触媒する一方、β-ケトアシル-ACPシンターゼIIはステアロイル-ACP(C18:0) への最終伸長を触媒する。FASにより生成される最長鎖の脂肪酸 は通常18炭素長である。プラスチドで生じる脂肪酸の生化学的ステップはさらに 、18-炭素アシル-ACPのステアリン酸塩に対して高活性を有し、そのため通常「 ステアロイル-ACPデサチュラーゼ」と呼ばれる、AE-9デサチュラーゼが触媒する 反応における、ステアロイル-ACP(18:0)の脱飽和化によるオレオイル-ACP(C 18:1)生成へと続く。 プラスチドにおける炭素鎖伸長は、グリセロール3-燐酸へのアシル基の転移に より停止できる。その際生じるグリセロリピドはプラスチドの「原核生物的」脂 質生合成経路において保持される。一方、特異的なチオエステラーゼは、新しく 生成されたアシル-ACPを遊離脂肪酸およびACPへ加水分解することにより、原核 生物的経路を遮ることができる。 続いて遊離脂肪酸は、プラスチドエンベロープ内で脂肪アシル-CoAに変換され 、細胞質に運び出される。ここで遊離脂肪酸は、燐脂質、トリグリセリドおよび その他中性脂肪の生成に関わる細胞質網状構造(小胞体)内の真核生物的脂質生 合成経路に組み込まれる。細胞質網状構造への脂肪アシルCoAの運搬に続いて、 トリグリセリドを生成する一連のステップも生じうる。例えば、膜結合型酵素の 作用による連続的な脱飽和化の結果としてリノレオイルや、a-リノレオイルのよ うなポリ不飽和脂肪アシル基が生じる。トリグリセリドは、1-、2-および3-アシ ル-ACPトランスフェラーゼ酵素、グリセロール-3-燐酸アシルトランスフェラー ゼ、リソホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼ、ジアシルグリセロールア シルトランスフェラーゼの作用により生成される。植物細胞の脂肪酸組成は、遊 離脂肪酸プールと、アシルトランスフェラーゼ活性の結果としてトリグリセリド に組み込まれる脂肪酸(脂肪アシル基)を反映する。所定のトリグリセリド特性 は、トリグリセリド分子中、位置の異なる各種脂肪アシル基の組み合わせによる 。例えば、もし脂肪アシル基の多くが飽和脂肪酸であれば、トリグリセリドは室 温で固体となる。ただし通常、植物油は異なるトリグリセリドの混合物であるこ とが多い。従って、トリグリセリド油の特質は、油を構成するトリグリセリドの 組み合わせ結果によって決まり、その後それぞれの脂肪アシル組成により影響さ れる。 植物アシル-アシルキャリヤータンパク質チオエステラーゼは、その脂肪酸合 成に果たす役割および植物種子油の生物工学における有用性のために、生化学的 関心を集めている。カリフォルニアゲッケイジュ(California bay tree)Umbel lularia californica由来の中鎖アシル-ACPチオエステラーゼは単離され(Davie sら(1991)Arch.Biochem.Biophys.290:37-45)、そのcDNAは、大腸菌(Volelke rら(1994)J.Bacterial.176:7320-7327)および、Arabidopsis thalianaとBras sica napus(Voelkerら(1992)Science257:72-74)の種子においてクローニン グ、発現された。いずれの場合にも大量のラウレート(laurate)(12:0)と少 量のミリステート(14:0)が蓄積された。以上の結果は、植物でのde novo脂肪 酸生合成において鎖長決定に果たすTEの役割、ならびに高等植物における種子油 組成改変における上記酵素の有用性を示している。 近年、異なる植物アシル-ACPチオエステラーゼをコードするcDNAが多数クロー ニングされた(Knutzonら(1992)Plant Physiol.100:1751-1758;Voelkerら(1 992)前掲;Dormannら(1993)Plantal89:425-432;Dormannら(1994)Biochim.B iophys.Acta 1212:134-136;Jonesら(1995)The Plant Cell 7:359-371)。こ れらチオエステラーゼの配列解析は、構造と機能の類似性を示唆する高い相同性 を示している。このチオエステラーゼcDNAのいくつかは大腸菌において発現され 、その基質特異性はin vitroアッセイにより決定された。これら酵素が有意な配 列相同性を有する一方で異なる基質特異性を示すという事実は、基質選択性がア ミノ酸のわずかな(subtle)変化で十分に変わり得ることを示している。 上記植物チオエステラーゼ類の構造的、機能的相違については不明な点が多く 、植物チオエステラーゼの三次構造についてもまだ決定されていない。チオエス テラーゼの基質認識ならびに触媒作用の機構を理解する上でタンパク質工学は強 力なツールであり、かつ所望の基質特異性を有する新規酵素の合理的な設計につ ながるものであると考えられる。このような新規酵素を植物生物工学において利 用すれば、特に中鎖脂肪アシル基(C8か らC14)ならびにより長鎖の脂肪アシル基(C16またはC18)を含む、所望の脂肪 アシル基を有意な割合で有する植物油の産生に関して、脂肪アシル組成の様々な 改変が提供される。さらに種子貯蔵油中に存在する様々な脂肪アシル基の相対的 な割合を制御して、様々な用途にいろいろな油を提供するなどが期待される。文献 キメラ遺伝子産物を用いる戦略は、酵母菌におけるホスホトランスフェラーゼ (Hjelmstadら(1994)J.Biol.Chem.269:20995-21002)およびFlavobacterium制 限エンドヌクレアーゼ(Kimら(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.91:883-887)の 構造と機能の研究に応用されている。 タンパク質の機能ドメインを配列し直すドメインスワッピングは、タンパク質 工学に利用されている(Hedstrom(1994)Current Opinion in Structural Biol ogy 4:608-611)。最近Vibrio harveyi由来のミリストイル-ACPチオエステラー ゼの構造が決定された(Lawsonら(1994)Biochemistry 33:9382-9388)。この チオエステラーゼはその他細菌もしくは哺乳類のチオエステラーゼと同様に、植 物エステラーゼとの配列相同性がない(Voelkerら(1992)前掲)。 図面の説明 図1 代表的なクラスI(FatA)とクラスII(FatB)チオエステラーゼのアミ ノ酸配列アライメント。UcFatB1(配列番号1)は、カリフォルニアゲッケイジュ (California bay)C12チオエステラーゼである。CcFatB1(配列番号2)は、ク スノキ(camphor)C14チオエステラーゼである。CpFatB1(配列番号3)は、Cuph ea palustris C8およびC10チオエステラーゼである。CpFatB2(配列番号4)は、 Cuphea palustris C14チオエステラーゼである。GarmFatA1(配列番号5)は、C1 8:0アシル-ACP基質に対してもかなりの活性を有するマンゴスチン18:1チオエス テラーゼである。 BrFatA1(配列番号6)は、Brassica rapa(aka Brassica campestris)由来の18 :1チオエステラーゼである。ここに図示するチオエステラーゼ全てにおいて同一 のアミノ酸配列は太く陰影(bold shading)で示してある。 図2 大腸菌での発現における、野生型ゲッケイジュ(bay)(図2A)ならび に野生型クスノキ(camphor)(図2B)のチオエステラーゼ活性のアッセイ結果 を示す。 図3 クスノキ(camphor)クラスIIアシル-ACPチオエステラーゼの成熟タン パク質部分をコードする領域を含むPCR断片(配列番号7)の核酸ならびに翻訳ア ミノ酸配列を提供する。 図4 マンゴスチンクラスIアシル-ACPチオエステラーゼクローン(GarmFatA 1)の核酸ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号8)。GarmFatA1は、18:1アシル- ACP基質に対し主なチオエステラーゼ活性を示すだけでなく、18:0基質に対して もかなりの活性(18:1活性のおよそ10-20%)を示す。 図5 マンゴスチンクラスIアシル-ACPチオエステラーゼクローンであるGarm FatA2の核酸ならびに翻訳アミノ酸配列(配列番号9)。 GarmFatA2は、18:1アシル-ACP基質に対し主なチオエステラーゼ活性を有する一 方で、16:0および18:0基質に対し等しく低い活性を有する。 図6 C8およびC10アシル-ACP基質に対し選択的な活性を有するCuphea palust risクラスIIアシル-ACPチオエステラーゼクローン(CpFatB1)の核酸ならびにア ミノ酸配列(配列番号10)を提供する。 図7 C14アシル-ACP基質に選択的な活性を有するCuphea palustrisクラスII アシル-ACPチオエステラーゼクローン(CpFatB2)の核酸ならびにアミノ酸配列 (配列番号11)を提供する。 図8 ゲッケイジュ(C12)(配列番号1)とクスノキ(C14)(配列番号2)ア シル-ACPチオエステラーゼのアミノ酸配列比較。チオエステラーゼ間で異なるア ミノ酸残基は太く陰影で示してある。 図9 ゲッケイジュ/クスノキ(Bay/camphor)キメラ構築物、Ch-1およびCh-2 を、チオエステラーゼのN-とC-末端部分の枠内(in-frame)融合 (左から右)として図示する。キメラ構築物の構築に用いるKpnI部位を示す。 図10 C,palustris CpFatB1(C8/C10)(配列番号3)およびC,palustris CpF atB2(C14)(配列番号4)アシル-ACPチオエステラーゼのアミノ酸配列比較を提 供する。チオエステラーゼ間で異なるアミノ酸残基は太く陰影で示してある。 図11 ゲッケイジュ/クスノキ(bay/camphor)キメラ酵素とゲッケイジュ変異 チオエステラーゼ2つの基質特異性(黒く陰影を付したカラム)を提供する。対 照(ベクターのみで形質転換した大腸菌)のバックグラウンド活性は、細い斜線 のカラムで表示する。(A)Ch-1、(B)Ch-2、(C)ゲッケイジュ(bay)変異体M197R/ R199H、(D)ゲッケィジュ(bay)変異体M197R/R199H/T231K。 図12 18:1、18:0、16:0アシル-ACP基質に対する野生型(5247)ならびに変異 Garcinia mangiferaチオエステラーゼ(GarmFatA1)の相対的チオエステラーゼ 活性を提供する。 図13 B.rapa BrFatA1(C18:1)(配列番号6)およびGarcinia mangifera Gar mFatA1(C18:1/C18:0)(配列番号5)アシル-ACPチオエステラーゼのアミノ酸配列 比較を提供する。チオエステラーゼ間で異なるアミノ酸残基は太い陰影で示して ある。 図14 PCRによる短いドメインスワッピング。遺伝子全長は2本の長い平行線 で示す。斜線部分は、目的のドメインを示す。各PCRプライマー(a,b,c,d)につ いては、3'端を矢印で図示する。プライマーaとbは、全長DNA用の正方向と逆 方向のプライマーである。プライマーcとd中の細い線は、ドメインの3'下流と ちようど一致する配列を表す。プライマーcとdの濃い末尾は新しいドメイン配 列に対応する5’突出端である。 図15 PCRによる長いドメインスワッピング。遺伝子Iを鋳型として2回のPCR (PCR1およびPCR2)を行う。同時に、遺伝子IIを鋳型として第3のPCRを行う。 プライマーaとbは、全長遺伝子I用の正方向と逆方向のプライマーである。プ ライマーcは、遺伝子I中の元のドメインの3'下 流に隣接する配列と一致する。プライマーdの細い線は、遺伝子Iの元のドメイ ンの3'下流と一致し、濃い末尾は遺伝子IIの置換ドメインの3'端配列と一致する 。プライマーeは遺伝子IIのドメインの5'末端部分の配列であり、プライマーf はもう一方の末端部分の配列である。プライマーfの細い末尾は遺伝子Iの元の ドメインの3'下流と一致する配列を表す。 図16 野生型Garm FatA1チオエステラーゼと比較したGarm FatA1変異チオエス テラーゼ活性の18:0と18:1基質に対する活性の相対的変化を示す。 図17 16:0、18:0、18:1アシル-ACP基質に対するGarm FatA1変異チオエステラ ーゼの比活性を提供する。 図18 FatAならびにFatBチオエステラーゼを代表するGarm FatA1とUc FatB1チ オエステラーゼのアライメント。2つの種類のチオエステラーゼの、それぞれに 特有(ユニーク)な領域、部分的に相同な領域、および高度に相同な領域を示す 。 図19A FatAとFatBの野生型、およびキメラ変異体を示す。活性ならびに特異 性分析を提供する。各種ハッチングの解釈については図18に記す説明に準じる。 図19B FatAおよびFatB組換え変異体を示す。活性結果と特異性分析を提供す る。各種ハッチングの解釈については図18に記す説明に準じる。 図20 pCGN5255およびpCGN5274で形質転換した植物B.napus Quantum由来の種 子の脂肪酸分析ヒストグラムを提供する。 図21、図21Aには、5255の脂肪酸組成分析を提供する。図21Bには、5274トラン スジェニックの脂肪酸組成分析を提供する。 図22、図22Aには、5290の脂肪酸組成分析を提供し、図22Bには、5291トランス ジェニックの脂肪酸組成分析を提供する。 発明の概要 本発明により、遺伝子工学的に操作(engineered)された植物アシル-ACPチオ エステラーゼを産生する方法が提供される。上述の遺伝子操作し た植物アシル-ACPチオエステラーゼでは、天然アシル-ACPチオエステラーゼに比 して、植物チオエステラーゼにより加水分解したアシル-ACP基質についての基質 特異性が改変されている。この方法は、次の3つのステップから成る。(1)一 つかそれ以上の修飾チオエステラーゼ遺伝子配列を作製する修飾のための標的植 物チオエステラーゼタンパク質をコードする遺伝子配列を修飾する。修飾配列は 、標的植物チオエステラーゼの成熟部分中、一つかそれ以上のアミノ酸残基の置 換、挿入もしくは欠失を有する遺伝子操作されたアシル-ACPチオエステラーゼを コードする。(2)宿主細胞内で、修飾したコード配列を発現させ、これにより 遺伝子操作植物チオエステラーゼを産生する。(3)遺伝子操作した植物チオエ ステラーゼをアッセイし、基質特異性に望ましい改変があるものを検出する。 アミノ酸改変の関心領域は特に植物チオエステラーゼのC-末端側の3分の2の 部分、詳しくは図1の配列アライメントに示す、植物チオエステラーゼ配列のア ミノ酸229から285(上記配列のコンセンサスナンバリング)に対応する領域であ る。さらに、C8やC10のようなより短い脂肪酸鎖に向けたチオエステラーゼ基質 特異性改変の関心領域は、アミノ酸285-312の領域である。 異なる加水分解活性を示すチオエステラーゼの、関連植物アシル-ACPチオエス テラーゼアミノ酸配列を比較すると、標的チオエステラーゼ中で可能性のある修 飾部位に関して有用な情報が得られる。この点で、成熟タンパク質領域中少なく とも75%の配列同一性をもつ植物チオエステラーゼアミノ酸配列の比較は、特に 有益である。このようにして、関連チオエステラーゼの異なるアミノ酸残基もし くはペプチドドメインを突然変異誘発のために選択できる。 アミノ酸もしくはペプチドドメインを修飾のために選択する方法として他には 、標的チオエステラーゼの可撓性(flexibility)および/または二次構造に影響 すると予測される置換、挿入または欠失の効果についてのチオエステラーゼタン パク質配列分析がある。 さらに、配列をコードする植物アシル-ACPチオエステラーゼのランダム な突然変異、続くチオエステラーゼ活性もしくは脂肪酸組成分析による基質特異 性における変化の検出により、有用なチオエステラーゼ遺伝子突然変異を見出す ことができる。 遺伝子操作されたチオエステラーゼを生成するには、チオエステラーゼをコー ドするDNA配列をドメインスワッピングあるいは、ランダムな、または部位特異 的な突然変異誘発により改変させ、アミノ酸置換、挿入または欠失を導入する。 次いでDNA配列を宿主細胞にて発現させて遺伝子操作チオエステラーゼを生成し 、生じる脂肪酸組成を分析する。このように生成する遺伝子操作されたチオエス テラーゼをまたアッセイし、チオエステラーゼの基質特異性に及ぼすアミノ酸配 列修飾効果を決定する。こうして、加水分解されるアシル-ACP基質の炭素鎖長、 もしくはチオエステラーゼの相対的な活性に関して、異なる炭素鎖長のアシル-A CP基質に対しいろいろなプロフィールを示す新しいチオエステラーゼを見出すこ とができる。 こうして、遺伝子操作されたチオエステラーゼの発現のためのDNA配列と構築 物、およびこれにより生じる新しいチオエステラーゼはまた、本明細書に記載の 発明の範囲内にあると考える。このDNA配列は、脂肪酸組成修飾のための宿主細 胞における遺伝子操作されたチオエステラーゼの発現に利用できる。本発明では 特に植物細胞中での特に脂肪種子作物の植物種子細胞における遺伝子操作された チオエステラーゼ発現のためのDNA構築物に重点をおいている。このような構築 物発現の結果、油の組成が遺伝子操作チオエステラーゼの基質特異性の改変を反 映する植物トリグリセリド油を産生できる。したがって、上記構築物を含む植物 細胞、種子および植物は、上記植物種子より収穫できる新しい植物油もあわせて すべて本発明に含まれる。 例えば、本明細書に記載のC12好性植物アシル-ACPチオエステラーゼを改変さ せてC14およびC12基質に対する活性がほぼ等しい植物チオエステラーゼが得られ る。さらにC12酵素を修飾するとC12基質よりもC14に対する活性が大きいチオエ ステラーゼが得られる。 また本発明により、Cuphea palustrisおよびマンゴスチン(Garcinia mangife ra)由来の新規植物アシル-ACPチオエステラーゼ配列が提供される。C,palustri s配列(CpFatB1)は、C8およびC10脂肪アシル-ACPに対し基質特異性を有し、そ のうちC8に対する活性がより高い。マンゴスチンチオエステラーゼ遺伝子(Garm FatA1)は、主に18:1-ACP基質に対し活性を示すが、18:0-ACPに対してもかなり の活性を示す。このクローンが16:0基質に対し特異性を示さない点は重要である 。本発明により、新規C8/C10およびC18:1/C18:0植物チオエステラーゼの特異性 を改変する方法をも提供される。特に、マンゴスチンクローンの18:0/18:1活性 比を高める突然変異が提供される。トランスジェニック植物種子中での18:0脂肪 酸産生の強化のための、突然変異マンゴスチンチオエステラーゼクローンの使用 も提供される。このような使用は、植物、種子、植物油の改良につながる。 発明の詳細な説明 本発明によって、基質特異性が変化した遺伝子操作植物チオエステラーゼの製 造方法が提供される。本発明の遺伝子操作植物チオエステラーゼは、植物酵素反 応条件下で脂肪酸アシル−ACP基質からの遊離脂肪酸の生成を触媒する能力を有 する植物起源から得られるタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド断片等のい かなるアミノ酸配列も含まれ得る。「酵素反応条件」は、いかなる必要条件もそ の酵素が機能することが可能となる環境(すなわち温度、pH、阻害物質がないこ と等の因子)において利用可能であることを意味する。 遺伝子操作植物チオエステラーゼは、チオエステラーゼコード配列のランダム な、または特定の突然変異誘発によって、翻訳されたアミノ酸配列において1以 上のアミノ酸置換を与えることによって調製することができる。あるいはまた、 遺伝子操作植物チオエステラーゼは関連植物チオエステラーゼ間のドメイン交換 によって調製することができ、ここで本来のチオエステラーゼコード配列の伸長 領域は、異なる植物チオエステラーゼ由 来の相当する領域と置き換えられる。 ドメイン交換の標的には、アミノ酸長が5または6から数十までの範囲のペプ チドを挙げることができる。理想的な場合には、この型の交換は、双方のタンパ ク質をコードする遺伝子中の交換の正確な点における独特な、保存された制限部 位の存在によって達成することができる。便利な制限部位が利用できない場合に は数塩基の突然変異誘発(ループ形成)を利用しても良いが、大きなドメイン配 列が交換される時にはこの方法は時間がかかりすぎることがある。あるいはまた 、以下の実施例に記載のように、Hortonら記載のポリメラーゼ連鎖反応(PCR) を使用した重複伸長技術(BioTechniques(1990)8:528-535)の改変であるドメ イン交換の迅速法を使用しても良い。全ての手順は、in vivoの操作なしに6時 間(2回のPCR操作のための時間)以内に行うことができる。重複伸長法の基本 は、PCRにおいて、プライマーはプライムするためにその鋳型配列と十分マッチ しなければならないが、特に5’末端方向では正確にマッチする必要はないとい うことである。事実、5’オーバーハング(マッチしていない配列)を有するPC Rプライマーは日常的に使用されている。PCRに基づくドメイン交換は、ドメイン が約6アミノ酸以下である応用(短ドメイン交換)、またはずっと多数のアミノ 酸を含有するドメインが交換されるべき応用(長ドメイン交換)のために設計さ れている。 遺伝子操作チオエステラーゼの基質特異性の変化は、天然のチオエステラーゼ 酵素によっては加水分解されない特定の鎖長のアシル−ACP基質に対する加水分 解活性の存在によって表すことができる。新しく認識されたアシル−ACP基質は 、種々の意味で、例えば炭素鎖長が(通常は1以上の2個の炭素の単位の添加ま たは削除によって反映される)より短いか、もしくはより長いことによって、飽 和度がより大きいか、もしくはより小さいことによって、または植物細胞に一般 には存在しないある種の脂肪酸、すなわちイソ−及びアンチ−イソ−脂肪酸中に あるようなメチル基の存在によって、酵素の本来の基質と異なっている場合があ る。あるいは、基質特異性の変化は、鎖長及び/または飽和度の異なる2以上の アシル−ACP 基質に対する相対的加水分解活性の変化によって反映されることがある。 今や30種以上の植物アシル−ACPチオエステラーゼについてのDNA及びアミ ノ酸配列情報が入手可能であり、これらの配列を本発明の方法において使用して 改変のために望ましい領域を同定して、遺伝子操作チオエステラーゼの発現のた めの配列をつくることができる。 植物チオエステラーゼは、配列の相同性によって2つのクラスに分類できる。 これらの植物チオエステラーゼは全て、ペプチドターゲッティングのための、6 0から80アミノ酸長のトランジット(transit)ペプチドを含んでいる。この トランジットペプチドは、成熟タンパク質領域(トランジットペプチドがないも の)が顕著なアミノ酸配列の同一性を示すのに対し、種間での相同性が少ない。 第一のクラス、クラスI(あるいはFatA)として、主として18:1−ACPに対す る活性を有する長鎖アシル−ACPチオエステラーゼが挙げられる。18:1−ACPは、 真核生物の経路で合成されるリン脂質及びトリグリセライドで見られるほとんど の脂肪酸の直接の前駆体である。このクラスのチオエステラーゼは今日まで調べ られた実質上全ての植物源で見出されており、膜の生合成に必要とされる必須な 「ハウスキーピング」酵素であることが示唆されている(J onesら、(上記))。 クラスIのチオエステラーゼの例として、主として18:1−ACP基質に対する活性 を有するサフラワー、Cuphea hookeriana及びBrassica rapa(campestris)由来 のものが開示されている(WO92/20236及びWO94/10288)。他の18:1チオエステラ ーゼは、Arabidopsis thaliana(Dormannら、(1995)Arch.Biochem.Biophys .316:612-618)、Brassica napus(Loaderら、(1993)Plant Mol.Biol.23:7 69-778)、及びコリアンダー(Dormannら、(1994)Biochem.Biophys.Acta 121 2:134-136)で報告されている。同様の18:1−ACP特異的クラスIチオエステラー ゼ(GarmFatA2)は、マンゴスチン(Garcinia mangifera)由来の成育中の胚で 発見されており、本明細書に記載されている。大豆由来のクラスIチオエステラ ーゼ(WO92/11373)は、大腸菌で発現させた場合に16:0−ACP及び18:1−ACP活性 が10から96倍に上昇 し、18:0−ACP活性の上昇はより小さい(3−4倍)ことが報告された。クラス I植物チオエステラーゼの成熟タンパク質領域は非常に相同性が高く、80%以 上の配列同一性が報告されている。 更に、これも本明細書に記載されているもう一つのマンゴスチンクラスIチオ エステラーゼ(GarmFatA1)は、主として18:1−ACP基質に対するチオエステラー ゼ活性を示す(大腸菌で発現させた場合に100倍の上昇)が、18:0−ACP対16: 0−ACPに対する選択的な活性も示すことが発見されている。GarmFatA1の18:0活 性は18:1のほぼ25%であるが、今日まで分析されたほとんどのクラスIチオエ ステラーゼにおいては、16:0及び18:0基質に対する検出可能な活性は18:1活性レ ベルの5%未満であり、18:1活性が高度に優勢である。 植物チオエステラーゼの第二のクラス、クラスII(あるいはFatB)チオエス テラーゼとしては、C8:0からC14:0(中鎖脂肪酸)並びにC16:0の、より短い 鎖長の脂肪酸を利用する酵素が挙げられる。クラスIIチオエステラーゼは、好 ましくは飽和脂肪酸を含有する基質の加水分解を触媒する。クラスII(または FatB)チオエステラーゼは、California Bay、ニレ、Cuphea hookeriana、Cuphe a palustris、Cuphea lanceolata、ナツメッグ、Arabidopsis thaliana、マンゴ ー、ニラ、及びクスノキから単離されている。クラスII植物チオエステラーゼの 成熟タンパク質領域も相同性が高く、70−80%の配列同一性が報告されてい る。 クラスIIチオエステラーゼの特性の一つは、成熟タンパク質のN末端領域に あるほぼ40個のアミノ酸の比較的疎水性の領域の存在である。この疎水性領域 は18:1−ACPチオエステラーゼには見られず、酵素活性には見かけ上影響がない 。この領域を有する、または有さないゲッケイジュ(bay)のクラスIIチオエ ステラーゼの組み換え発現では、in vitroでの同一な活性プロファイルが示され た(Jonesら、(上記))。 下記実施例でより詳細に説明するように、植物チオエステラーゼのアシル-ACP 基質特異性は、植物チオエステラーゼの成熟タンパク質部分でのアミノ酸置換、 挿入または欠失等の、タンパク質配列に対する種々のアミノ 酸変化によって改変することができる。改変された基質特異性は、大腸菌におけ る遺伝子操作植物チオエステラーゼの発現、及び酵素活性を検出するアッセイに よって検出することができる。 改変された基質特異性は、アシル−ACP基質選択のシフトによって示すことが できる。例えば、遺伝子操作されたチオエステラーゼは、本来のチオエステラー ゼによっては認識されない基質を新規に加水分解することができる。新しく認識 された基質は、基質の脂肪酸部分の炭素鎖長及び/または飽和度によって、本来 の酵素の基質と異なる場合がある。あるいはまた、改変された基質特異性は2以 上の基質に対する相対チオエステラーゼ活性のシフトによって反映されるかもし れない。例えば、遺伝子操作チオエステラーゼはアシル−ACP基質に対して異な る選択順位を示す場合があるかもしれない。 例えば、主としてC12基質に対する加水分解活性、及びC14基質に対する いくらかの低い加水分解活性を有する植物チオエステラーゼを改変して、例えば 遺伝子操作チオエステラーゼがC12及びC14基質に対してほぼ等しい活性を 有するように、C14に対する活性の上昇を示す遺伝子操作チオエステラーゼを 作成することができる。同様に、このような植物C12チオエステラーゼを更に 改変して、主としてC14基質に対する活性を有し、C12基質に対する活性は ほとんどないか、または活性がない植物チオエステラーゼを作成することができ る。あるいはまた、植物チオエステラーゼを改変して、より高い、またはより低 い飽和度を有する基質に対する相対活性を変化させることができる。例えば、ク ラスI(18:1)チオエステラーゼを改変して、18:1及び16:0等の、酵素の他の基 質に対する活性と比較して18:0基質に対する相対活性を上昇させることができる 。これらの型のチオエステラーゼ改変の例を下記の実施例に挙げる。植物チオエ ステラーゼの更なる改変も望ましく、本明細書に記載の方法及び配列を使用して 得ることができる。例えば、植物チオエステラーゼを改変して、C8及びC10 等のより短鎖の脂肪酸の加水分解に対する酸素活性にシフトさせることができる 。本明細書に開示されたC. palustrisC8/10、C.palustrisC14及びC.hookerianaC8/10チオエ ステラーゼの配列等の、密接に関連したチオエステラーゼ配列の比較を利用して 、チオエステラーゼ特異性の改変のための潜在的標的アミノ酸残基を同定するこ とができる。 植物チオエステラーゼ酵素の基質特異性を変えることを目的とした最初の実験 において、2種の高度に関連したクラスIIチオエステラーゼ、California Bay (Umbellularia california)由来のC12選択性アシル−ACPチオエステラーゼ 、及びクスノキ(Cinnamomum Camphora)由来のC14選択性アシル−ACPチオエ ステラーゼを研究した。これらの酵素は成熟タンパク質領域において90%のア ミノ酸配列の同一性を示すが、なおも異なる基質特異性を有する。クスノキまた はゲッケイジュのチオエステラーゼのいずれかの成熟タンパク質のN末端領域、 及び他方のチオエステラーゼのC末端部分を含有するキメラチオエステラーゼ酵 素をコードするキメラ成熟チオエステラーゼ発現のための構築物を調製した。こ れらの構築物中でコードされるN末端チオエステラーゼ部分は成熟チオエステラ ーゼタンパク質のほぼ3分の1を含み、C末端部分は成熟チオエステラーゼ領域 の残りの3分の2を含む。下記実施例でより詳細に記載するように、本発明者等 はこれら植物チオエステラーゼのC末端の3分の2の部分が基質特異性の決定に おいて重要であることを発見した。クスノキのチオエステラーゼのC末端部分を 含有するキメラ酵素(Ch-1)は天然のクスノキのチオエステラーゼと同じ活性プ ロファイル(14:0に特異的)を示し、ゲッケイジュのチオエステラーゼC末端を 有するキメラタンパク質(Ch-2)は天然のゲッケイジュのチオエステラーゼと同 じ活性プロファイル(12:0に特異的)を示す。 タンパク質のC末端の更なる研究を行い、基質特異性に重要なチオエステラー ゼタンパク質の領域を更に決定した。こうした研究の一つにおいて、ゲッケイジ ュのチオエステラーゼのC末端の13連続アミノ酸を、この領域に対するコード DNAを欠いた突然変異遺伝子の作成によって欠失させた。発現された突然変異チ オエステラーゼの活性を、発現された野生型ゲッケ イジュチオエステラーゼタンパク質と比較した。17C末端変異型及び野生型の ゲッケイジュチオエステラーゼタンパク質の活性プロファイルは同じであり、チ オエステラーゼタンパク質の実際のC末端は基質特異性に重要な領域ではないこ とが示された。 ゲッケイジュのC12選択型アシル−ACPチオエステラーゼのC末端3分の2 部分の更なる分析を行い、基質特異性に関与する特定アミノ酸を同定した。ゲッ ケイジュ及びクスノキのチオエステラーゼの配列を並べで検討することによって 、タンパク質のC末端3分の2部分における2つのチオエステラーゼ間の最小の 保存的アミノ酸置換を同定した。非保存的アミノ酸置換は、置換アミノ酸が本来 のアミノ酸残基と異なる電荷を有するものを含む。pH7において陽性に荷電し た側鎖を有すると考えられるアミノ酸はリシン及びアルギニンである。ヒスチジ ンも酸性pH条件下において陽性に荷電した側鎖を有することができる。pH7 において陰性に荷電した側鎖を有すると考えられるアミノ酸はアスパラギン酸及 びグルタミン酸である。非保存的アミノ酸置換はまた、置換アミノ酸の大きさが 、通常その位置に存在するアミノ酸の大きさと顕著に異なる場合にも示される。 ゲッケイジュ及びクスノキのチオエステラーゼ間の非保存的アミノ酸相違の例は 、M197−>R(ゲッケイジュTE−>クスノキTE)、R199−>H、T23 1−>K、A293−>D、R327−>Q、P380−>S、及びR381− >Sである(ゲッケイジュ及びクスノキのチオエステラーゼのアミノ酸配列の番 号付けは図8に示す)。 二次構造の予測を利用して、チオエステラーゼタンパク質の二次構造に影響を 及ぼしそうなアミノ酸置換を同定することができる。例えば、Chou及びFasmanの 方法を使用した二次構造予測によって、ゲッケイジュのトリペプチドM−R−R アミノ酸197-199及びクスノキの対応するトリペプチドR−R−Hは、2個の非 常に保存されたグリシン(G193及びG196)によってつながれたβ−シー ト及び折り返しの後ろ側に位置する。植物チオエステラーゼのこの領域は高度に 保存され、他の植物チオエステラーゼにおいてβ−シート及び折り返し構造も予 測されている。 下記実施例で記載するように、ゲッケイジュのM−R−Rトリペプチドを、ク スノキのチオエステラーゼの配列に似せてR−R−Hに変えた場合、変異型の12 :0に対する活性は野生型と比較して約7倍低下するが、14:0に対しては低下しな い。この結果、12:0及び14:0基質に対してほぼ等しい特異的活性を有する遺伝子 操作チオエステラーゼが得られる。 アミノ酸231のトレオニン残基をリシンに変換する(T231K)遺伝子操 作ゲッケイジュM197R/R199Hチオエステラーゼの更なる改変によって 、この遺伝子操作チオエステラーゼM197R/R199H/T231Kが高度 に14:0−ACP特異的であるように基質特異性が変えられる。興味深いことに、T 231K単独変異はゲッケイジュチオエステラーゼ活性に影響しない。M197 R/R199H遺伝子操作チオエステラーゼに対するT231K置換の非付加的 な組み合わせ効果から、変えられたアミノ酸部位は折り畳まれて互いに近接する ことが示唆される(Sandbergら、(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.90:8367-837 1)。 下記実施例において記載するように、植物アシル−ACPチオエステラーゼの活 性部位(YRREC、図1の共通の番号の357−361アミノ酸)近傍のアミノ酸 置換はチオエステラーゼ活性の大きな低下を招くことがある。ゲッケイジュチオ エステラーゼを改変してR327Qを作成すると、ゲッケイジュチオエステラー ゼ活性が100倍低下する。R327Qの活性低下は、このアミノ酸の位置が、 図8のゲッケイジュチオエステラーゼ配列のC320である活性部位システイン に非常に近接して存在しているという事実のためであるように思われる。 基質特異性の変化した遺伝子操作チオエステラーゼの宿主細胞での発現及び得 られた脂肪酸組成の分析は、遺伝子操作チオエステラーゼの基質特異性の変化は 宿主細胞の脂肪酸組成プロファイルに反映されることを示す。In vivoにおける 酵素活性はin vitroの活性アッセイには反映されない配列間相互作用または寿命 (lifetime)及び折りたたみ/変性速度等のパラメーターが関与し得るため、こ のことは重要である。大腸菌の膜の主要な脂質成分はホスファチジルエタノール アミン及びホスファチジルグリセロ ールであり、これらは主として長鎖脂肪酸アシル部分を含有する。FadD細胞にお ける天然のゲッケイジュチオエステラーゼcDNAの組み換え発現は、細菌のII型 脂肪酸シンターゼ系を長鎖から中間鎖の生成に向け直す。同様の結果はトランス ジェニック植物の種子における天然のゲッケイジュチオエステラーゼの発現にお いても得られる(Voelkerら、(1994)上記;Voelkerら、(1992)上記)。従っ て、大腸菌のin vivoのデータを利用して、トランスジェニック植物における遺 伝子操作チオエステラーゼの発現の効果を予測することができる。 天然のゲッケイジュチオエステラーゼを有している場合、大腸菌fadD細胞は大 量の12:0遊離脂肪酸及び少量の14:0(12:0のレベルの約5〜10%)を生成する (Voelkerら、(1994)及び表1)。しかしながら、下記の実施例に示すように、 2個のアミノ酸置換(M197R/R199H)の後、遺伝子操作ゲッケイジュ チオエステラーゼ酵素の発現によって、同様の量の12:0及び14:0脂肪酸の蓄積が 生じる。同様に、3個のアミノ酸置換(M197R/R199H/T231K) を有する遺伝子操作ゲッケイジュチオエステラーゼの発現によって、天然のゲッ ケイジュチオエステラーゼで得られる結果と比較して、生成する脂肪酸の12:0/ 14:0比は完全に逆転する。 植物FatAチオエステラーゼの遺伝子操作も本明細書に記載する。特に、特異的 活性がより高くかつ18:0基質対18:1基質に対するより望ましい相対活性を有する 変異型GarmFatA1チオエステラーゼを提供する突然変異が見出されている。例え ば、261位置(番号は、図1の配列比較における配列上の共通の線中に示した もの)で野生型クローンに存在するアスパラギン酸残基をリシン残基(K)で置 換したGarmFatA1変異体D261Kは、18:0対18:1基質に対する活性が上昇した 。D261K突然変異を含む二重及び三重の変異体では、18:0に対する活性がよ り高くなった。 マンゴスチンGarmFatA1チオエステラーゼの18:0活性を上昇させる他の突然変 異が本明細書に記載されており、S188A、S370A、G185A及びV2 70Aが挙げられる。これらの突然変異体チオエステラー ゼ、並びにこれらの突然変異の種々の組み合わせを有する突然変異体は、油料種 子作物植物におけるステアリン酸(18:0)脂肪酸含量の上昇のための植物遺伝子 操作の応用において使用する場合に特に重要である。例えば、下記実施例におい てより詳細に記載するように、188位置のセリン残基及び270位置のバリン 残基が共にアラニン残基に置換されたGarmFatA 1の二重の変異体、S188A/ V270A(番号は図1の配列比較における配列の上の共通の線中に示したもの )を発現するように形質転換された植物はステアリン酸レベルが顕著に上昇した 。Brassica napus種子におけるGarmFatA1チオエステラーゼの発現の結果、C18: 0脂肪酸のレベルが上昇したトランスジェニック植物がWO97/12047に報告されて おり、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明における変異 体チオエステラーゼを使用して、下記実施例により詳細に記載されるトランスジ ェニック植物種子中のステアリン酸含量のより高い上昇を提供することができる 。ステアリン酸に富む植物油は、WO97/12047に記載のような非水素添加(トラン スのない)マーガリン及びココアバター代用品としての応用等、または同時継続 中の米国特許出願第08/843,400(発明の名称「組み立てられたトリグリセライド を含有する食品」、1997年4月15日出願)に記載のような液体ショートニング への応用における利用のために望ましい。 従って、植物チオエステラーゼの基質特異性の改変の結果、加水分解に種々の 基質が利用できる細胞において生産される脂肪酸の相対量を変えることができる ことがわかる。更に、植物種子のトリグリセライド等の、利用できる遊離脂肪酸 から形成される分子も、基質特異性の変化した遺伝子操作チオエステラーゼの発 現の結果、変えることができる。 本明細書に記載された既知のアシル−ACPチオエステラーゼ及びそのコード配 列に加え、種々の植物種から他のアシル−ACPチオエステラーゼ配列を得ること ができ、こうしたチオエステラーゼ及びコード配列を本発明の方法において使用 できるだろう。上記のように、植物チオエステラーゼコード配列は、特に同じク ラスのチオエステラーゼ、すなわちクラスIま たはクラスIIのメンバーであるこれらのチオエステラーゼ間で高度に保存され ている。従って、更なるチオエステラーゼの単離のためには、目的の植物源候補 から調製されたゲノムライブラリーまたは他の適当なライブラリーを、1以上の クラスIまたはクラスIIの植物チオエステラーゼ配列由来の保存された配列を プローブとして、相同的に関連するクローンを同定する。陽性のクローンは制限 酵素分解及び/または配列決定によって分析する。プローブは、全配列よりもか なり短いものであっても良い。例えば、オリゴヌクレオチドを使用することがで きるが、これは少なくとも約10、好ましくは少なくとも約15、より好ましく は少なくとも20個のヌクレオチド長のものであるのが良い。比較のためにより 短い領域を使用する場合には、より長い配列のものよりもより高い配列同一性が 必要とされる。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)には、特に高度に保存された配 列を含有する植物チオエステラーゼの単離のためには、より短いプローブが特に 有用であることが多い(Gouldら、PNAS USA(1989)86:1934-1938)。植物チオ エステラーゼの保存された領域に対するオリゴヌクレオチドを使用したPCRは 、ライブラリースクリーニングのための相同プローブを作成するために使用する こともできる。 より長い核酸断片(>100bp)をプローブとして使用する場合、特に完全 または大きなcDNA配列を使用する場合には、20-50%の偏差を有する標的サンプ ル、すなわち相同配列からのシグナルを得るために、中程度の高さのストリンジ エンシー(例えば50%ホルムアミドを使用して37度で最低限の洗浄を行う) でもスクリーニングすることができる。(スクリーニング法に関する更なる情報 についてはBeltzら、Methods in Enzymology(1983)100:266-285を参照するこ と)。 本発明の遺伝子操作植物アシル−ACPチオエステラーゼをコードする核酸配列 またはアミノ酸配列を、他の非天然の、または「異種の」配列と種々の方法で組 み合わせることができる。「異種の」配列とは、天然では植物アシル−ACPチオ エステラーゼに結合して見出されることのなあらゆる配列を意味し、例えば、天 然では結合して見出されることのない同じ植 物由来の核酸配列の組み合わせが挙げられる。 宿主細胞中での発現のためには、遺伝子操作植物チオエステラーゼをコードす る配列を、転写の5’側から3’方向に向かって、宿主細胞中での転写及び翻訳 を促進することができる転写開始調節領域、遺伝子操作植物のアシル−ACPチオ エステラーゼをコードするDNA配列ならびに転写及び翻訳終結領域を有する、DNA 構築物中で組み合わせる。 DNA構築物は、トランジットペプチド配列等の、前プロセシング配列を含有し ても良く、含有しなくても良い。トランジットペプチド配列は所定のオルガネラ へのタンパク質の送達を容易にし、オルガネラに入るとアミノ酸部分から切断さ れて「成熟」配列を放出する。植物細胞発現カセットにおいては、植物アシル− ACPチオエステラーゼDNA配列前駆体の使用が好ましい。種子ACPのトランジット ペプチド等の他の色素体(plastid)トランジットペプチド配列を使用して、目 的の種々のオルガネラに植物アシル−ACPチオエステラーゼを転移させることも できる。 このように、in vitroまたはin vivoでの酵素の回復または研究のための宿主 細胞中での目的のチオエステラーゼの発現等のために、遺伝子操作植物チオエス テラーゼ配列を種々の構築物中で使用することができる。宿主細胞となりうるも のには原核生物細胞及び真核生物細胞の双方が挙げられる。宿主細胞は意図され る使用に応じて、単細胞であっても良く、または分化した、もしくは分化してい ない多細胞生物中に見出すこともできる。本発明における細胞は、その中に遺伝 子操作植物アシル−ACPチオエステラーゼが存在することで識別することができ る。 調節領域は、宿主に応じて変わり、ウイルス、プラスミドまたは染色体遺伝子 等に由来の領域が挙げられる。原核または真核微生物、特に単細胞宿主における 発現のためには、広範囲の構成的または調節可能なプロモーターを使用すること ができる。微生物中での発現によって、遺伝子操作植物酵素の既成供給源を提供 することができ、こうした酵素の特定の性状を同定するために有用である。これ まで報告された転写開始領域には、大腸菌、B.subtilis、Saccharomyces cerev isiae等の細菌及び酵母宿主由来 の領域があり、β−ガラクトシダーゼ、T7ポリメラーゼ、トリプトファンE等 の遺伝子が挙げられる。 ほとんどの場合、構築物は植物アシル−ACPチオエステラーゼの発現を提供す る植物において機能する調節領域を有しており、かくして植物細胞における脂肪 酸組成の修飾につながる。植物アシル−ACPチオエステラーゼをコードする読み 取り枠は、その5’末端が天然でチオエステラーゼ構造遺伝子の5’側上流に見 られる野生型配列のような転写開始調節領域に結合する。広範囲の構成的または 調製可能な、例えば誘導可能な構造遺伝子機能の転写を提供する多くの他の転写 開始領域が利用できる。植物に使用される転写開始領域の中には、ノパリン及び マンノピン合成酵素等の構造遺伝子、またはナピン、ACPプロモーター等と関連 した領域がある。こうした構造遺伝子に対応する転写/翻訳開始領域は、それぞ れの開始コドンのすぐ5’上流に見出される。遺伝子操作チオエステラーゼタン パク質の発現が植物宿主中で求められる態様においては、天然の植物アシル−AC Pチオエステラーゼ遺伝子の一部の使用が考慮される。すなわち、5’上流の非 コード領域(プロモーター)の全体または一部を3’下流の非コード領域と共に 使用することができる。目的の植物宿主本来のプロモーターまたは改変されたプ ロモーター、すなわち一遺伝子由来の転写開始領域及び別の遺伝子由来の翻訳開 始領域を有するもの(増強されたプロモーター)(例えばダブル35S CaMVプロ モーター)のような、異なるプロモーターが望まれる場合には、標準的な方法を 使用して配列を結合することができる。 5’上流の非コード領域が種子の成熟過程で調節される他の遺伝子から得られ る場合に適用するには、ACP及びナピン由来の転写開始調節領域等の、植物の胚 組織で優先的に発現するものが望ましい。このような「種子特異的プロモーター 」は、1/25/88に出願された米国特許出願No.07/147,781(現在は7/9/90に出願さ れた米国特許出願No.07/550,804)、及び1990年3月16日頃に出願された米国特 許出願07/494,722(発明の名称「種子発育初期に優先的に発現される新規配列及 びそれに関連した方法」)の教示に従って得、使用することができる。これらの 参考文献は参照によって本明細書に組み入れる。種子組織において優先的に発現 される、すなわち他の植物部分では検出できない転写開始領域は、遺伝子産物へ の破壊的または悪い影響を最小限にするために脂肪酸修飾において望ましいと考 えられる。 調節転写終結領域は、本発明のDNA構築物において同様に提供することができ る。転写終結領域は、植物アシル−ACPチオエステラーゼをコードするDNA配列、 または異なる遺伝子由来の便利な転写終結領域、例えば天然には転写開始領域と 関連する転写終結領域によって提供することができる。転写終結領域が異なる遺 伝子由来のものである場合には、その終結領域が由来する構造遺伝子の3’側に 少なくとも約0.5kb、好ましくは約1−3kbの配列を含有するだろう。 目的のDNA配列として植物アシル−ACPチオエステラーゼを有する植物発現また は転写構築物は、植物の一生の広範囲の期間、特に食品及び工業用の用途のため の植物油の製造に関わる植物の一生において使用することができる。最も好まし いのは温帯地域の(temperate)油料種子作物である。目的の植物としては、菜 種(キャノーラ及び高エルカ酸含量品種)、ヒマワリ、サフラワー、綿、Cuphea 、大豆、ピーナッツ、ココナッツ及びギネアアブラヤシ、及びトウモロコシが挙 げられるが、これらに限定されるものではない。宿主細胞に組み換え構築物を導 入する方法に応じて、他のDNA配列が必要となる場合がある。重要なことは、本 発明は双子葉植物種及び単子葉植物種に同様に適用可能であり、新規及び/また は改良された形質転換及び調節法に容易に適用可能となることである。 形質転換の方法は本発明において重要ではない。植物の形質転換の種々の方法 が現在利用可能である。作物を形質転換するためのより新しい方法が利用できる ため、以下に直接応用できる。例えば、天然でAgrobacteriumに感染しやすい多 くの植物種を、Agrobacterium介在型形質転換の三部分(tripartite)または二 部分ベクター法を介して首尾良く形質転換することができる。更に、マイクロイ ンジェクション、DNA粒子 衝撃、エレクトロポレーションの技術が発展して、種々の単子葉植物種及び双子 葉植物種の形質転換が可能となった。 DNA構築物を開発する際、通常は、その構築物またはその断片の種々の成分を 、例えば大腸菌等の細菌宿主中で複製可能な便利なクローニングベクター中に挿 入する。文献に記載されている数多くのベクターが存在する。それぞれのクロー ニングの後、プラスミドを単離して、制限酵素分解、新規断片の挿入、ライゲー ション、欠失、挿入、切除等の更なる操作にかけ、望みの配列の成分を仕立てる ことができる。一旦構築物が完成すれば、次いで宿主細胞の形質転換法に従って 、更なる操作のための適当なベクターにこれを移すことができる。 通常、DNA構築物と共に含まれるものは、宿主中での発現のために必要な調節 領域を有し、形質転換細胞の選択を可能とする構造遺伝子である。この遺伝子は 、例えば抗生物質、重金属、毒素等の細胞毒性を有する薬剤に対する耐性、栄養 要求性宿主に原栄養を与える補完(complementation)、ウイルス免疫等を提供 することができる。発現構築物またはその成分が導入される種々の宿主の数に応 じて、異なる宿主に対して異なる選択条件が使用される場合、1種以上のマーカ ーを使用することができる。 DNAコードの縮重により、アミノ酸配列で相当する改変を起こすことなく、DNA 配列で数種のコドン置換が許容されることに言及しておく。 DNA構築物を植物宿主に導入する方法は本発明において重要ではない。有効な 形質転換を提供するいかなる方法も使用することができる。植物細胞の形質転換 のための種々の方法には、Ti-またはRi-プラスミドの使用、マイクロインジェク ション、エレクトロポレーション、DNA粒子衝撃、リポソーム融合、DNA衝撃等が 挙げられる。多くの場合、T-DNAによって一方または両方の境を区切られた(bor dered)構築物、特に左及び右の境界、更には右の境界を有するものが望ましい 。このことは、特に形質転換の方法としてA.tumefaciensまたはA.rhizogenesを 用いる構築物の場合に特に有用であるが、T-DNAの境界は他の形質転換法におけ る使用が可能な場 合がある。 植物細胞の形質転換にAgrobacteriumが使用される場合、Agrobacterium宿主中 に存在するT-DNAまたはTi-もしくはRi-プラスミドによる相同組み換えのために 、Agrobacterium宿主中に導入可能なベクターを使用することができる。組み換 えのためのT-DNAを含有するTi-またはRi-プラスミドは、vir遺伝子が形質転換し たAgrobacterium宿主中に存在する限り、武装(armed)(えい瘤(gall)形成を 引き起こすことができる)、または武装解除(disarmed)(えい瘤形成を引き起 こすことができない)することができ、後者が許容可能である。武装したプラス ミドは、正常な植物細胞とえい瘤の混合物を与えることができる。 Agrobacteriumが植物細胞を形質転換するためのビヒクルとして使用される場 合には、T-DNAの境界で区切られた発現構築物を宿主スペクトルの広いベクター 中に挿入する。宿主スペクトルの広いベクターは文献に記載されている。通常使 用されるものはpRK2またはその誘導体である。例えば、参照によって本明細書 に組み入れるDittaら、PNAS USA,(1980)77:7347-7351及びEPA 0 120 515を参 照のこと。発現構築物及びT-DNAと共に含まれるものは、形質転換されたAgrobac terium及び形質転換された植物細胞の選択を可能にする1以上のマーカーである 。植物細胞で使用するために、クロラムフェニコール、アミノグリコサイドG418 、ハイグロマイシン等に対する抵抗性等の多くの選択マーカーが開発されている 。使用される特定のマーカーは本発明に必須ではなく、特定の宿主及び構築法に 応じて1の、または別のマーカーが好ましい。 修飾された脂肪酸組成を有する種子を製造できるトランスジェニック植物が一 旦得られると、突然変異誘発法を含む伝統的な植物育種法を使用して、脂肪酸組 成を更に操作することができる。あるいはまた、外来脂肪酸を修飾する更なるDN A配列を遺伝子操作によって導入し、脂肪酸組成を更に操作することができる。 本発明において形質転換の方法は重要ではないことに触れておく。しかしながら 、遺伝子操作植物形質転換法の使用、すなわち一本鎖の望みのDNA配列を挿入す る力、は重要である。従来、植物 油の脂肪酸組成を修飾する能力は、植物交雑の間に性的に転移し得る特性、また は突然変異誘発を通じて作成される生存可能な特性の導入に限られていた。種間 の遺伝子情報の導入を可能にする遺伝子操作技術、及び内在性遺伝子の組織特異 的発現を調節する手段の使用を通して、修飾された脂肪酸組成を有する植物種子 油の製造のための新規な方法が利用できる。更に、本明細書に記載のツールの応 用によって、新規な植物種子油の開発の可能性がある。 植物宿主細胞における遺伝子操作植物アシル−ACPチオエステラーゼの発現と 共に、目的の1以上の他の配列の転写、または転写及び翻訳の提供を選択するこ とができる。特に、いくつかの応用においては、遺伝子操作植物アシル−ACPチ オエステラーゼの発現と組み合わせて、中間鎖長または非常に長い鎖長の脂肪酸 に対する活性を有する植物LPAATタンパク質の発現が好ましい場合がある。植物L PAATコード配列についてはWO95/27791を参照すること。 目的の1以上の核酸配列の組み合わせ効果のために形質転換した植物を提供し たい場合には、典型的には別々の核酸構築物をそれぞれに対して提供する。上記 のように、構築物は転写の、または転写及び翻訳の調節領域を含有する。当業者 であれば、それぞれの発現またはアンチセンス構築物について説明した上記の原 理に従って、最終生成物に適当な望みのタイミング及び組織特異性を与える調節 配列を決定することができるだろう。2以上の構築物が使用される場合には、そ れらが共に同じ脂肪酸修飾配列に関連しているか、または異なる脂肪酸修飾配列 に関連しているかに関わらず、配列間の自発的な相同組み換えを低減するために 、異なる調節配列をそれぞれのカセットで使用することが望ましいことがある。 構築物は、得られる生成物がそのゲノム中に組み込まれる双方の特性を有する植 物である限り、伝統的な植物育種法を介したトランスジェニック植物の交雑によ るこうした特性の導入を含め、同じ方法または異なる方法で宿主細胞中に導入す ることができる。 これまで本発明を総括的に記載してきたが、以下の実施例を参照するこ とによって本発明はより容易に理解されるだろう。実施例は説明の目的のために のみ含まれ、本発明を制限することを意図するものではない。 実施例実施例1 植物アシル-ACPチオエステラーゼの配列 A.カリホルニアベイ(California Bay)(Umbellularia Californica) カリホルニアベイクラスIIチオエステラーゼクローンpCGN3822のDNA配列およ び翻訳されたアミノ酸配列は、WO 92/20236号の図1に示されている。大腸菌(E .coli)におけるベイチオエステラーゼタンパク質成熟部分の発現、およびチオ エステラーゼ活性の分析は、ベイチオエステラーゼが、14:0-ACPに対するある程 度の活性も観察されているが、12:0-ACP基質に対して強い特異性を示すことを明 らかにした(Voelkerら,(1994)前出、および本明細書第図2A参照)。また、ベ イチオエステラーゼを大腸菌fadD細胞で発現すると、大量のラウリン酸(laurat e)(対照バックグラウンドの500倍以上)と少量のミリスチン酸(myristate) (ラウリン酸の約10%)が生成される。Brassica napusまたはArabidopsis thal ianaの種子におけるベイチオエステラーゼの発現の際にも、類似の比率のラウリ ン酸およびミリスチン酸の生成が観察される(Voelkerら,(1992)前出)。 B. ショウノウ(Cinnamomum camphora) PCRによって生成したクラスIIショウノウチオエステラーゼコーディング領域 のDNA配列および翻訳されたアミノ酸配列は、WO 92/20236号の図5Bに示されて いる。PCRにより逆転写cDNAから得られたショウノウクローン成熟タンパク質領 域含有DNA断片の配列(配列番号7)を図3に示す。この配列は、ショウノウチ オエステラーゼの推定成熟タンパク質コーディング領域の開始点に位置するXbaI 部位で始まる。 前記ショウノウPCR断片をpAMPベクター中にクローニングすると、pCGN5219が 得られる。pCGN5219をXbaIおよびSalIで消化し、得られたショウノウチオエステ ラーゼ断片を、XbaIおよびSalIで消化したpBCSK+(Stratagene)中にクローニン グすると、pCGN5220が得られる。Pollardらに より記載されているように(Arch.Biochem & Biophys.(1991)281:306-312)、ア シル-ACPチオエステラーゼ活性を分析すべく、pCGN5220を使用して大腸菌fadDを 形質転換する。8:0、10:0、12:0、14:0、16:0、18:0および18:1アシル-ACP基質 を使用したショウノウチオエステラーゼクローンのチオエステラーゼ活性アッセ イの結果は、12:0加水分解活性の僅かな増加も観察されるが、基質特異性が主と して14:0基質に対するものであることを示している(図2B)。 C. マンゴスチン(Garcinia mangifera) Stratagene Zap cDNA合成キット(Stratagene;La Jolla,CA)に記載の方法で 、成熟マンゴスチン果実から抽出した種子からcDNAバンクを形成する。RNA単離 に使用したマンゴスチン組織の油脂分析では、18:0レベルは約50%と判明した。 成熟度のより低いマンゴスチン果実の種子の油脂分析では、18:0レベルは20〜40 %である。WebbおよびKnappのCTAB DNA単離方法(Plant Mol.Biol.Reporter(199 0)8:180-195)を改変して、マンゴスチン種子から全RNAを単離する。バッファー は下記の通りである: REC: 50mMトリスCl pH9、0.7M NaCl、10mM EDTA pH8、0.5%CTAB。 REC+: 使用直前にB-メルカプトエタノールを1%まで添加。 RECP: 50mMトリスCl pH9、10mM EDTA pH8、および0.5%CTAB。 RECP+: 使用直前にB-メルカプトエタノールを1%まで添加。 1gの組織を抽出するために、液体窒素中で粉砕した組織に10mlのREC+および0. 5gのPVPPを加え、ホモゲナイズする。ホモゲナイズした材料を12000rpmで10分間 遠心分離する。上清をmiraclothを介して3mlの冷クロロホルムに注入し、再び ホモゲナイズする。12,000rpmで10分間遠心分離した後、上相を採取して容量を 測定する。同等容量のRECP+を加え、得られた混合物を室温で20分間静置する。 該材料を10,000rpmで20分間の遠心分離に2回かけ、各回毎に上清を廃棄する。 ペレットを0.4mlの1M NaCl(DEPC)に溶解し、同等容量のフェノール/クロロホ ルムで抽出する。エタノール沈降後、ペレットを1mlのDEPC水に溶解する。 要約すれば、cDNA合成のためのクローニング方法は下記の通りである。 第1鎖cDNA合成を、Robinsonら(Methods in Molecular and Cellular Biology( 1992)3:118-127)に従い改変したStratagene Instruction Manualに従って行う 。特に、5μgのポリ(A)+RNAの代わりに約57μgのLiCl沈降全RNAを使用し、反 応物を37℃ではなく45℃で1時間インキュベートする。 ライブラリースクリーニング用のプローブを、保存された植物アシル-ACPチオ エステラーゼ領域へのオリゴヌクレオチドを用いて、マンゴスチンcDNAからPCR により調製する。プローブGarm2およびGarm106を下記のオリゴヌクレオチドを用 いて形成する。下記のオリゴヌクレオチドのヌクレオチド塩基記号は下記の通り である: A=アデニン C=シトシン T=チミン U=ウラシル G=グアニン S=グアニンまたはシトシン K=グアニンまたはチミン W=アデニンまたはチミン M=アデニンまたはシトシン R=アデニンまたはグアニン Y=シトシンまたはチミン B=グアニン、シトシンまたはチミン、 H=アデニン、シトシンまたはチミン、 N=アデニン、シトシン、グアニンまたはチミン。Garm2 プライマー4874は、保存ペプチドV/L/A W/S/Y V/A M M Nの可能なコーディン グ配列に対応するために設計したセンスプライマーである。前記配列では1文字 のアミノ酸記号が使用されており、アミノ酸間のスラッシュは、当該位置に1つ を超えるアミノ酸が可能であることを示す。プライマー4875は、ペプチドD/E Y R R E Cの可能なコーディング配列に対応するように設計したアンチセンスプラ イマーである。Garm106 プライマー5424は、ペプチドE/D H/R Y P K/T W G Dの可能なコーディング配 列に対応するように設計したセンスプライマーである。 プライマー5577は、ペプチドT E W R K/P Kの可能なコーディング配列に対応 するように設計したアンチセンスプライマーである。 前記反応の結果得られたDNA断片を、クローニングまたは更なるPCRによりプロ ーブとして使用するために増幅し、ランダムまたは特異的プライミングによって 放射能標識する。 約800,000のプラークを製造業者の指示に従いプレーティングする。スクリー ニングのために、50%ホルムアミド、5X SSC、10Xデンハーツ(Denhardt's)、 0.1%(w/v)SDS、5mM Na2EDTA、0.1mg/ml変性サケ精子DNA中で室温でプラークフ ィルターを予備ハイブリダイズする。Garm2およびGarm106プローブ混合物とのハ イブリダイゼーションを、前記と同じバッファーに10%(w/v)硫酸デキストラ ンおよびプローブを加えたものの中で室温で実施する。プラーク精製およびファ ージミド切り出しを、Strata gene Zap cDNA Synthesis Kitの説明書に記載の通 りに実施した。 DNA配列決定および/またはPCR分析によって、約90のアシル-ACPチオエステラ ーゼクローンを同定し、チオエステラーゼの種類に応じて分類した。分析したク ローンのうち、少なくとも28個はクラスI(FatA)型であり、59個はクラスII( FatB)型であった。FatA型クローンの2つのサブクラスが観察された。最も顕著 な型をGarmFatA1と称し、第2のサブクラスの単一クローンをGarmFatA2と称する 。GarmFatA1クローンC14-4(pCGN5252)のDNAおよび翻訳されたアミノ酸配列( 配列番号8)を図4に示す。FatA2クローンC14-3のDNA配列および翻訳されたア ミノ酸配列(配列番号9)を図5に示す。 大腸菌における図4のGarmFatA1クローンの発現のための構築物を下記 のように調製する。制限部位を、PCR突然変異誘発により推定成熟タンパク質ア ミノ末端の近傍にあるアミノ酸49に挿入し(SacI)、タンパク質コーディング領 域のストップコドンの次に挿入する(BamHI)。成熟タンパク質コーディング領 域をSacI/BamHI断片としてpBC SK(Stratagene;La Jolla,CA)に挿入し、pCGN52 47を得る。これは、マンゴスチンチオエステラーゼをlacZ融合タンパク質として 発現させるために使用し得る。 16:0、18:0および18:1アシル-ACP基質を使用したマンゴスチンクラスIチオエ ステラーゼクローンGarmFatA1のチオエステラーゼ活性アッセイの結果は下記の 通りである。 アシル-ACPチオエステラーゼ活性(cpm/分) 16:0 18:0 18:1 対照 1400 3100 1733 GarmFatA1 4366 23916 87366 GarmFatA1クローンはC18:1アシル-ACP基質に対して優先的な活性を示し、C18: 0アシル-ACP基質に対しても実質的な活性(18:1活性の約25%)を示す。C16:0 活性では対照細胞での活性と比べて僅かな増加が観察されるだけであり、16:0活 性は18:1活性の約3%にすぎない。 大腸菌でのGarmFatA2チオエステラーゼの発現および結果として生じたチオエ ステラーゼ活性のアッセイは、C18:1がアシル-ACP基質として極めて好ましいこ とを立証している。16:0および18:0アシル-ACP基質に対するチオエステラーゼ活 性はほぼ同等であり、観察された18:1活性の5%以下である。 D. Brassica campestris(rapa) Brassica campestrisクラスIアシル-ACPチオエステラーゼのDNA配列および翻 訳されたアミノ酸配列は、WO 92/20236号(図6)に示されている。 E. Cuphea palustris C8/C10 前述の改変したCTAB手順で、C.palustrisの発育種子から全RNAを単離する。約 6x106pfuを含むラムダZipLox(BRL;Gaithersburg,MD)cDNAラ イブラリーを全RNAから構築する。非増幅ライブラリーからの約500,000のプラー クを、Cuphea hookerianaクラスIIチオエステラーゼクローンCUPH-1(CMT-9)、 CUPH-2(CMT-7)およびCUPH-5(CMT-10)由来のチオエステラーゼコーディング 領域を含む混合プローブを用いてスクリーニングする。(これらのクローンのDN A配列はWO 94/10288号に記載されている)。低ストリンジェンシーハイブリダイ ゼーション条件を下記のように使用する:ハイブリダイゼーションを、30%ホル ムアミドおよび2X SSC(1X SSC=0.15M NaCl;0.015M クエン酸Na)中で室温で実 施する。82の推定陽性クローンが同定され、そのうち30をプラーク精製した。MC T29(CpFatB1)と称するクローンの核酸配列および翻訳されたアミノ酸配列(配 列番号10)を図6に示す。このクローンの翻訳されたアミノ酸配列は、C8:0およ びC10:0脂肪アシル-ACP基質に対して主要なチオエステラーゼ活性を示すCuphea hookeriana CUPH-2クローン(WO 94/10288号の図7に記載のCMT-7)の配列と 約83%同一である。 大腸菌でのMCT29の発現のための構築物を調製する。SphIおよびStuI部位を、P CRにより、アミノ酸114に位置する推定成熟タンパク質N末端に対して5'に挿入 する。成熟N末端は、最初にベイチオエステラーゼ成熟タンパク質N末端である と同定されたLeu84への対応により推定される。C.palustrisチオエステラーゼを lacZ融合タンパク質として大腸菌中で発現させるために、成熟タンパク質コーデ ィング領域をStuI/XbaI断片としてpUC118中にクローニングし、クローンMCT29LZ を得る。MCT29チオエステラーゼタンパク質を発現する形質転換大腸菌細胞のラ イセートを、アシル-ACPチオエステラーゼ活性についてアッセイする。結果は、 CpFatB1が、主にC8-およびC10-ACP基質に対して活性を有し、C8-ACPに対する活 性がC10-ACPに対する活性より50%大きいチオエステラーゼ酵素をコードするこ とを明らかにした。C8-ACP活性の約10%のレベルで、C14-ACP基質に対する低活 性も観察される。 また、脂質組成を分析するために、MCT29LZを大腸菌fadD、即ち中鎖(medium- chain)特異的アシル-CoAシンテターゼを欠く大腸菌突然変異体 中に形質転換する(Overathら,Eur.J.Biochem.(1969)7:559-574)。これらの分 析の結果、C.palustris MCT29LZクローンで形質転換した細胞では、8:0および10 :0脂肪酸の生成が実質的に増加することを示している。 近縁のC.hookeriana ChFatB2クローンもC8:0およびC10:0アシル-ACP基質に対 して選択的な活性を示し、C10:0に対する活性はC8:0基質に対する活性より50% 大きい。トランスジェニックBrassica植物の種子中でのChFatB2クローンの発現 の結果、種子中のC8およびC10脂肪酸の生成が増加する。C10レベルはC8レベルよ り大きい。(1994年6月16日出願の同時係属出願SN 08/261,695号参照)。 F. Cuphea palustris C14 更に別のC.palustrisクラスIIチオエステラーゼクローンMCT34(CpFatB2)の 核酸配列および翻訳されたアミノ酸配列(配列番号11)を第7図に示す。このク ローンの翻訳されたアミノ酸配列は、Cuphea hookeriana CUPH-4クローン(WO 9 4/10288号図8のCMT-13)の配列と約80%同一である。 大腸菌でのMCT34発現のための構築物を形成する。SphIおよびStuI部位を、PCR により、アミノ酸108に位置する推定成熟タンパク質N末端に対して5'に挿入す る。C.palustrisチオエステラーゼをlacZ融合タンパク質として大腸菌中で発現 させるために、成熟タンパク質コーディング領域をStuI/XbaI断片としてpUC118 中にクローニングし、クローンMCT34LZを得る。MCT34チオエステラーゼタンパク 質を発現する形質転換大腸菌細胞のライセートをアシル-ACPチオエステラーゼ活 性についてアッセイする。結果は、CpFatB2が、主にC14-ACP基質に対して活性を 示すチオエステラーゼ酵素をコードすることを明らかにした。C16-ACP基質に対 する活性もC14-ACP活性の約30%のレベルで観察される。 また、脂質組成を分析するために、MCT34LZを大腸菌fadD、即ち中鎖特異的ア シル-CoAシンテターゼを欠く大腸菌突然変異体(Overathら,Eur.J.Biochem(196 9)7:559-574)中に形質転換する。これらの分析の結果は、C.palustris MCT34LZ クローンで形質転換した細胞で、14:0および14:1 脂肪酸の生成が実質的に増加することを示している。実施例2 キメラチオエステラーゼ構築物 ベイおよびショウノウチオエステラーゼのcDNAはどちらも、オープンリーディ ングフレームをコードする382個のアミノ酸を含んでいる。31個のアミノ酸のみ が異なり、その半分以上が保存性置換(conservative substitution)である( 図8)。コドンの使用はこれら2つの遺伝子の間で高度に保存されており、これ らが共通の起源を有することを示唆している。 プラスミドpCGN3823(WO 92/20236号およびVoelkerら(1994)前出)は、pBS-( Stratagene;La Jolla,CA)プラスミド主鎖にベイC12選択的チオエステラーゼcDN Aの1.2kb XbaI断片を含み、アミノ酸84(Voelkerら(1992)前出文献の番号付け )で始まる成熟ベイチオエステラーゼタンパク質をコードする。ベイチオエステ ラーゼのアミノ酸84は最初、精製タンパク質のアミノ酸配列解析に基づき、成熟 タンパク質のアミノ末端として同定された。しかしながら、別のクローン化植物 中鎖アシル-ACPチオエステラーゼの翻訳されたアミノ酸配列と比べると、アミノ 末端はleu84残基の更に上流に位置し得ることが明らかである(Jonesら(1995)前 出)。上述のプラスミドpCGN5220は、pBC+プラスミド(Stratagene)に挿入した ショウノウC14選択的チオエステラーゼcDNAのXbaI/XhoI断片を含む。ショウノウ cDNA中のXbaI部位は、ベイチオエステラーゼコーディング領域の場合と同様に、 ロイシンであるアミノ酸84に存在する。 ベイ及びショウノウcDNAクローンのどちらにも、保存された唯一のKpnI部位が 、前駆体ベイ及びショウノウチオエステラーゼのコーディング配列のアミノ酸残 基177に存在する(図9)。チオエステラーゼ配列の終止コドンに対して3'のプ ラスミドのポリリンカー内に第2のKpnI部位が存在する。pCGN3823とpCGN5220と の間で2つのKpnI断片を交換すると、一方のチオエステラーゼのN末端領域が他 方のチオエステラーゼのC末端領域に融合し、その結果2つのキメラ酵素が形成 される。 キメラ構築物を形成するために、pCGN3823およびpCGN5220をKpnIで消 化し、得られた断片をゲル精製し、逆の起源に由来する主鎖プラスミドに連結さ せた。DNAミニプレパレーション(mini-preparation)および制限消化を用いて 、正しい融合構築物を同定した。発現および酵素アッセイに使用するキメラ構築 物も、DNA配列決定により確認した。 得られたキメラ酵素は、一方のチオエステラーゼのN末端に由来する92のアミ ノ酸と、他方のチオエステラーゼのC末端部分に由来する207のアミノ酸とを含 む。ショウノウチオエステラーゼのC末端部分を含む融合タンパク質はキメラ1 (Ch−1)と称し、他方の融合タンパク質はキメラ2(Ch-2)と称する(図9) 。実施例3 フレキシビリティおよび二次構造分析 植物アシル-ACPチオエステラーゼの予測される二次構造をコンピューター解析 で決定する。二次構造の予測は、ChouおよびFasmanの方法に基づく(Chouら,(1 974)Biochem.13:222-245;Preveligeら(1989),Prediction of Protein Structure and Principles of Protein Conformation(Fasman;G.D.編),pp391-416,Plenum, New York)およびGarnierら(1978)J.Mol.Biol.120:97-120)。 植物アシル-ACPチオエステラーゼ領域の種々の領域のフレキシビリティを、Ma cVector(International Biotechnologies,Inc.)を使用するコンピューター解 析により、KarplusおよびSchulzのフレキシビリティ予測方法(Naturwiss.(1985 )72:212-213)に基づいて予測する。実施例4 FatBチオエステラーゼの工学的製造 A. ベイC12チオエステラーゼ PCR部位特異的突然変異誘発(Higuchiら(1988)Nucl.Acids Res.16:7351-7367 )を用いてアミノ酸置換を行う。突然変異誘発に使用するセンス突然変異体プラ イマー(sense mutant primer)は下記の通りである: 前記配列の大文字M、R、H、T、KおよびQはそれぞれアミノ酸のメチオニン 、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン、リシンおよびグルタミンを1文字で表 す略号であり、突然変異ヌクレオチドは下線で示されている。 PCR条件は下記のようにした:94℃で1分間の変性、48℃で30秒の再生、72℃ で2分間の伸長で5サイクルのPCRをプログラムした。これらの最初の5サイク ルの後、再生を60℃で30秒にして30サイクルを実施した。増幅DNAをエタノール 沈殿で回収し、ゲル電気泳動で調べた。次いで、DNAをXbaIおよびBamHIで消化し 、エタノール沈殿させ、XbaI/BamHI切断pBCプラスミド中に連結した。連結反応 混合物を用いて電気穿孔法でSure細胞(Stratagene)を形質転換し、形質転換細 胞をクロラムフェニコール50mg/l含有LB培地にプレーティングした。正しいイン サートを含んでいる構築物をミニDNAプレパレーションおよび制限消化によって 同定した。挿入DNAの配列決定を行って突然変異を確認した。 PCRプライマーについて前述したものと同じ名称を突然変異体クローンに使用 した。例えば、M197R/R199Hは、(前駆体ベイチオエステラーゼの)残基197のメ チオニンがアルギニンに替えられ、残基199のアルキニンニがヒスチジンに替え られたクローンを意味する。同様に、T231Kは残基231のトレオニンがリシンに替 えられた突然変異体を意味する。 B. Cuphea palustris C14チオエステラーゼ より短い鎖長の脂肪アシル−ACPに対するチオエステラーゼ基質特異性を変え るための可能なアミノ酸修飾を決定するためには、C14:0選択チオエステラーゼ の配列をC8:0およびC10:0選択チオエステラーゼの配列と比較し得る。チオエス テラーゼCpFatB2(C14)とCpFatB1(C8/C10)とのアミノ酸配列の比較を図10に示す 。これらのチオエステラーゼ配列の最も顕著な相違はアミノ酸230〜312に見られ る。H229I、H241N、W253Y、E275A、 R290G、F292L、L295FおよびC304Rといったような置換は、単一形および組合わせ 形に実施できる。あるいは、C8/C10およびC14配列の部分を交換させるドメイン スワッピング(domain swapping)クローンを形成し得る。これに関して特に有 利なのは、アミノ酸274で始まる配列IEPQFV、およびアミノ酸289で始まるDRKFHK Lである。実施例5 キメラ酵素およびベイ突然変異体の特異性 lacZ発現構築物中の形質転換大腸菌細胞を30℃で0.6 O.D.600まで増殖させ、 次いで1mM IPTGを加え、30℃で2時間増殖を続ける。沈降細胞を再懸濁し、アッ セイバッファー中で超音波処理し、アシル−ACP加水分解を前述のように測定す る(Davies,H.M.(1993)Phytochemistry 33,1353-1356)。pCGN3823およびpBCで 形質転換したSure細胞をそれぞれ陽性対照および陰性対照として使用した。 図11は、Ch-1およびCh2で形質転換した大腸菌細胞を誘導しアッセイした時の キメラベイ/ショウノウ酵素のチオエステラーゼ特異的活性を示している。好ま しい基質は、Ch-1の場合(図11A)が14:0-ACP、Ch-2の場合(図11B)が12:0-ACP である。これらの結果は、チオエステラーゼタンパク質のC末端部分が基質特異 性を決定することを示している。 ベイ突然変異体のうち2つの突然変異体の酵素特異性を図11Cおよび図11Dに示 す。Met197がアルギニンになり、Arg199がヒスチジンになる突然変異体(M197R/ R199H)は、酵素が12:0-ACPおよび14:0-ACP基質の両方に同等に特異的であるよ うにベイチオエステラーゼの特異性を変える(図11C)。別の突然変異体T231Kは 、野生型(データ示さず)と同じ活性プロフィルを示す。しかしながら、3つの 突然変異体を組み合わせた三重突然変異体M197R/R199H/T231Kは、14:0-ACP特異 的チオエステラーゼ活性を示す(図11D)。この三重突然変異体酵素を高濃度で アッセイすると、極めて低いレベルの12:0-ACP活性が検出可能である。 更に2つの突然変異体(R327QおよびR322M/R327Q)を、やはリチオエステラー ゼ活性について検査した。これら2つの突然変異体は同じ活性プ ロフィルを示し、12:0-ACPおよび14:0-ACPに対する特異的活性は、野生型ベイチ オエステラーゼと比べて、それぞれ約100倍および約30倍減少している。これら のデータは、突然変異R327Qが活性減少の原因であることを示す。R327Qの低い活 性は、このアミノ酸位置が活性部位システインC320の極めて近傍に位置するとい う事実に起因していると思われる。C320の触媒活性を立証する研究を下記のよう に実施した。C320を部位特異的突然変異誘発によってセリンまたはアラニンのい ずれかに変えた。突然変異体C320Aはチオエステラーゼ活性を完全に喪失し、C32 0Sは野生型活性の約60%を保持していた。活性部位におけるシステインとセリン の交換も、動物チオエステラーゼに関して明らかにされている(Witkowskiら,(1 992)J.Biol.Chem.267:18488-18492)。動物では活性部位はセリンであり、従っ て交換はセリンからシステインであった。実施例6 大腸菌fadD細胞におけるベイ突然変異体の発現 大腸菌脂肪酸減成突然変異株K27(fadD88)、即ちアシルー補酵素Aシンテタ ーゼを欠失している株は、培地中に供給された遊離脂肪酸を使用することができ ない(Kleinら,(1971)Eur.J.Biochem.19:442-450)。従って、細菌脂肪酸シンタ ーゼに対する組換えチオエステラーゼの影響を、脂肪酸減成からの妨害なしに観 察するための理想的な宿主である。大腸菌fadDをYale大学のE.coli Genetic Sto ck Centerから入手した(CGSC5478)。 これらのfadD細胞をpBC、即ち野生型ベイチオエステラーゼ遺伝子、または突然 変異体構築物のいずれかで形質転換し、50mg/lのクロラムフェニコールと1mM IP TGとを含むLB培地で30℃で一晩増殖した。総脂質を前述のように分析した(Voel kerら,(1994)前出)。これらの分析の結果を下記の表Iに示す。 *pBCベクターのみで形質転換したfadD細胞。 ベイチオエステラーゼをfadD細胞内で発現すると、大量のラウリン酸(対照バ ックグラウンドの500倍以上)と少量のミリスチン酸(ラウリン酸の約10%)が 生成される(表I)。この結果は、前述の報告(Voelkerら(1994)前出)と一致 している。突然変異体M197R/R199HがfadD細胞内で発現されると、12:0対14:0蓄 積比は1:1.5に変化する(表I)。これは、この突然変異体のチオエステラーゼ 特異性を反映するものである(図11C)。突然変異体M197R/R199H/T231KがfadD細 胞で発現されると、12:0対14:0の比は野生型ベイチオエステラーゼの場合に見ら れるものと完全に逆転する。この結果も、該突然変異体の酵素特異性と合致して いる(図11D)。実施例7 速度論的分析 月桂樹チオエステラーゼに対する突然変異の影響を解明するために、基本的速 度論および阻害研究を実施した。アッセイ量を一定の割合で増加させ、100μlを 5分間隔で0.5mlストップ溶液中にサンプリングすることにより、チオエステラ ーゼ活性プログレス曲線を作成した。100mMトリス-HCl、pH8.0、0.01%トリトン X-100、1mM DTT、10%グリセロールを含有するバッファー中、30℃で速度論的 アッセイを実施した。各反応混合物を2.0mlのジメチルエーテルで抽出した後、 有機画分900μl中の放射能を液体シンチレーション計数で測定した。この操作手 順に従うと、抽出可能な脂肪酸(14Cで標識)の総てを、有機画分と水性画分と の間の界面の干渉なしに正確に測定できる。このアッセイでのラウリン酸および ミリスチン酸の生成は、時間に対して少なくとも30分間は直線的であり、酵素濃 度に対しては1mUまで直線的であった。アッセイは全て二重に実施した。Bio-Me tallics,Inc.のキネティクスソアフトウエアを使用して、初期速度データを下記 の方程式に当てはめた。(Kcat):拮抗阻害の場合はv=VmaxS/ [Km,app(l+I/Kis)+S];非拮抗阻害の場合はv=VmaxS/[Km,app(1+I /Kis)+S(1+I/Kii)];反拮抗阻害の場合はv=VmaxS/[Km,app+S(1+ I/Kii)]である。前記式中、vは速度を表し、Vmaxは最高速度を表し、Sは基 質濃度を表し、Km,appは見掛けミカエリス定数を表し、KisおよびKiiはそれぞれ 傾斜(slope)および遮断(intercept)阻害定数を表し、Iは阻害剤濃度を表す 。これらの分析の結果を下記の表IIに示す。 * 14:0-ACPを変化基質とした12:0-ACPの傾斜阻害定数 ** 14:0-ACPに対する拮抗阻害 ND 測定せず 同じ実験条件下で、月桂樹チオエステラーゼおよび三重突然変異体M197R/R199 H/T231Kは14:0-ACPに対して類似のKm,app値を示す。12:0-ACPに対する突然変異 体の特異的活性は、本発明者らのアッセイシステムで有意な速度パラメーターを 得るには小さすぎる。しかしながらこれらの結果は、突然変異が突然変異体酵素 への基質(14:0-ACP)結合アフィニティを大幅に増加させるものではないことを 示している。 基質(14C標識14:0-ACP)と拮抗させるために冷12:0-ACPを用いて、前述の条 件で阻害アッセイを実施した。これらのアッセイの結果を下記の表IIIに示す。 これらの阻害アッセイでは、野生型および突然変異体酵素について極めて類似 した結果が見られる。同量の阻害剤(12:0-ACP)および基質(14:0-ACP)がアッ セィに存在すると、14:0-ACP TE活性は約50%低下する。12:0-ACPの量が14:0-AC Pの5倍であると、14:0-ACP TE活性は75%以上低下する。これまでに観察された ことと一致して(Pollardら,前出)、類似の速度メカニズムが野生型月桂樹TE により使用されているが、即ち12:0-ACPおよび14:0-ACPの両方が類似のKmを有す るが、Vmaxは12:0-ACPの方が遥かに有利である。これらのデータは、突然変異体 酵素の特異性がアシル加水分解ステップで決定されることを示唆している。即ち 、12:0-ACPおよび14:0-ACPはどちらも類似のアフィニティをもって突然変異体酵 素に結合できるが、14:0-ACPの方が遥かに高い割合で開裂される。この結論は、 12:0-ACPが14:0-ACPに対する拮抗阻害剤であることを示す阻害速度論によっても 裏付けられる(野生型および突然変異体酵素のKi値はそれぞれ10.2+1.2μMおよ び11.6+0.2μMである(表II))。 従って、12:0-ACPが野生型および突然変異体酵素の両方で14:0-ACPに対する良 好な拮抗阻害剤として機能することから、月桂樹チオエステラーゼについて記述 されたアミノ酸置換が基質結合部位に直接影響するものではないことは明らかで ある。実際、ミカエリス定数は月桂樹チオエステラーゼおよび遺伝子工学的に操 作された月桂樹酵素について類似しており、基質の長さとは無関係である。これ は、特異性が主にアシル加水分解ステップで決定されるに相違ないことを示唆す るものである。基質(アシル-A CP)は比較的大きい分子(ACPのMrは約9Kd)であるため、植物チオエステラー ゼは極めてゆとりのある結合ポケットを有すると思われる。しかしながら、酵素 は脂肪酸の鎖長または構造(即ち、二重結合の有無)に対して高い選択性を示す 。 また、天然月桂樹チオエステラーゼのトリペプチドMet-Arg-Argは、12:0-ACP に対する選択性の唯一の決定因子ではない。なぜなら、このトリペプチドは別の 中鎖特異的チオエステラーゼ中で同じ位置に一般的に存在するからである。従っ て、遺伝子工学的に操作された月桂樹チオエステラーゼ中の変化は、Bacillus s tearothermophilus乳酸デヒドロゲナーゼの表面ループを修飾した時に観察され たもの(El Hawraniら(1994)Trends in Biotech.12:207-211)と類似の特定二次 構造を僅かに変えるだけであリ得る。トリペプチドをM-R-RからR-R-Hに変えると 、タンパク質の鎖フレキシビリティの予想(Karplusら(1985)Naturwiss.77,212- 213)に従い、このトリペプチドの直ぐ後のβ構造のフレキシビリティが明らか に減少する。これは、基質結合ポケットおよび活性部位のフレキシビリティを低 下させ得る。実施例8 FatAチオエステラーゼの遺伝子工学的操作 FatAまたはクラスI型チオエステラーゼの改質の1具体例として、マンゴスチ ンGarm FatA1クローンのチオエステラーゼ酵素特異性の改変を行う。FatAチオエ ステラーゼに関する望ましい改質としては、C18:0脂肪アシル-ACPに対する活性 がC18:1またはC16:0脂肪アシル-ACP基質に対する活性と比べて増加するように基 質特異性を変えることが挙げられる。 例えば、C18:0のような飽和脂肪酸に対する比活性を増加させるためには、主 に飽和脂肪酸に作用するクラスIIチオエステラーゼの対応する領域とは異なるク ラスIチオエステラーゼの領域の突然変異が有用であり得る。月桂樹チオエステ ラーゼの工学的製造実験で得られたデータは、アミノ酸229〜285領域(図1の最 上行のコンセンサスナンバリング)がチオエステラーゼ基質結合において重要で あることを示している。この領域の アミノ酸配列を比較すると、高度に保存されたアミノ酸250〜265領域では、幾つ かの帯電アミノ酸が、FatAとFatBチオエステラーゼとでは異なっていることがわ かる。FatAチオエステラーゼでは、数個の例外を除いてアミノ酸261が負の電荷 を有するが、これまでに分析されたFatBクローンでは、アミノ酸261は通常正の 電荷を有する。また、FatAチオエステラーゼでは、これまでに研究された総ての FatAチオエステラーゼでアミノ酸254が正の電荷を有するが、これまでに分析さ れたFatBクローンでは、アミノ酸254はいずれの場合も電荷をもたないアミノ酸 である。従って、これらの位置のアミノ酸電荷を変えれば、基質選択性が変化し 得る。 アミノ酸261(図1のコンセンサスナンバリング)のFatA TE突然変異体、マン ゴスチンFatA1のD261Kを、月桂樹チオエステラーゼ配列の修飾に関して記述した 方法と類似のPCR部位特異的突然変異誘発を用いて製造する。突然変異体D261Kを 、前述のようにチオエステラーゼ活性について測定する(Davies,H.M.(1993)前 出)。 これらの分析の結果(図12)は、18:1と比べた18:0に対する選択性が、野生 型Garm FatA1では25%であるのに対し、突然変異体D261Kでは35%(18:0/18:1 )であることを示している。野生型および突然変異体Garm FatA1クローンはど ちらも16:0に対して極めて低い活性を示し、C10:0〜C14:0のような中鎖長基質に 対しては活性を示さない。前述のD261K突然変異と、アミノ酸254をリシンからバ リンに変える突然変異とを有する別のGarm FatA1突然変異体を製造した。この突 然変異体K254V/D261Kは、40%の18:0/18:1比の増加を示した。これらの結果も 、この領域の修飾が酵素活性および特異性を変化させ得ることを示す月桂樹の証 拠を裏付けている。更なる特異性変化を評価するために、Garm FatA1クローンを FatBチオエステラーゼ構造に向けて更に改質すべく、三重突然変異体G249T/K254 V/D261Kが構築中である。 マンゴスチンGarm FatA1クローンの別の望ましいアミノ酸修飾は、18:0に富む (18:0 enriched)Garm FatA1チオエステラーゼアミノ酸配列を、18:0基質に対す る活性が殆どまたは全くなく、主に18:1基質に対して活性 を示すFatAクローンのアミノ酸配列と比較することによって選択し得る。Garm F atA1のアミノ酸配列と、Brassica campestris(rapa)由来の18:1選択性チオエ ステラーゼクローン、Br FatA1のアミノ酸配列との比較を図13に示す。予想さ れるβシートおよびターン(図13のマンゴスチンおよびBrassicaチオエステラ ーゼ比較のアミノ酸G169およびG172により固定される(anchored))に続く領域で 月桂樹チオエステラーゼについて立証された結合基質変化に鑑みて、この領域も マンゴスチンチオエステラーゼクローンGarm FatA1の基質特異性を変えるため のターゲットである。マンゴスチンおよびBrassica rapaクラスIチオエステラ ーゼの二次構造分析およびアミノ酸配列比較の結果、マンゴスチンチオエステラ ーゼGarm FatA1の基質特異性を更に変えるための幾つかの標的突然変異が同定 される。標的アミノ酸には、Y182V、Q186E、D209S、V210DおよびH219Fがある。 FatA型植物チオエステラーゼのペプチド配列アラインメントを更に分析すると 、マンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼを除いて、総てのFatA型植物チオ エステラーゼで多数のアミノ酸残基が保存されていることがわかる。これらのGa rm FatA1特異的アミノ酸の5つは、(図1のコンセンサスナンバリングを使用 して)G185(共通はD)、S188(共通はA)、V270(共通はD)、H279(共通は F)およびS307(共通はA)である。これら5つのアミノ酸は非保存的置換であ るため、特に興味深い。例えばS223Tのような保存的置換と比べると、非保存的 置換のほうがマンゴスチン酵素の構造的または生化学的変化を生起させやすく、 従って18:0-ACPのみに特異性を示し、16:0-ACPには極めて低い活性しか示さない 。 これら5つの同定されたアミノ酸を、Garm FatA1中で共通アミノ酸またはア ラニンのいずれかに突然変異誘発させた。S188およびS307の場合はアラニン置換 のみを形成した。アラニンはこれらの残基の共通アミノ酸でもあるからである。 また、前記アミノ酸置換の種々の組合わせを含む突然変異体も形成した。前記Ga rm FatA1突然変異体の分析に、アフィニティタグ発現/タンパク質精製を使用 する。Garm FatA1野生型および突然 変異体チオエステラーゼを、pQE32ベクター(Qiagen)を用いて大腸菌内で発現 させる。6つの連続ヒスチジン残基からなるアフィニティタグを含む組換えタン パク質を高レベルで生成し、Qiagen Ni-NTA樹脂を製造業者の指示通りに使用し て精製する。 発現プラスミドを構築するために、GarmFatA-1の成熟部分(アミノ酸65から C末端の最後まで)をPCRで増幅し、ポリリンカーのBamHIおよびSalI制限部位の 間でpQEベクター中に挿入した。DNA配列を配列決定によって確認し、プラスミド を大腸菌M15細胞(Qiagen)中に形質転換した。これらの細胞を、100mg/Lアンピ シリンと30mg/Lカナマイシンとを含むLB培地で30℃で増殖させ、2mM IPTGの添 加により組換えタンパク質の産生を誘導し、細胞を更に4時間増殖させた。細胞 をペレット化し、溶解し、組換えタンパク質を製造業者の指示に従いNi-NTA樹脂 で精製した。突然変異体Garm FatA1酵素もpQE構築物から大腸菌内で発現させ 、精製し、18:0-ACPおよび18:1-ACP加水分解活性についてアッセイした。これら のアッセイの結果を、特異的活性ホールド変化(fold change)グラフとして図1 6に示す。選択した突然変異体の特異的活性を図17に示す。 突然変異体S118Aは、4倍増の18:0-ACP活性および2倍増の18:1-ACP活性を示 す。S307Aは、18:1-ACP活性を変えずに、18:0−ACP活性を選択的に増加させる( 2倍)。一方、特定残基の修飾はマイナス効果を生起させた。例えば、G185D、V 270DおよびH279Fは、2倍を超える活性減少を示す。しかしながら場合によって は、特に小さい疎水性アミノ酸の場合には、アラニンの置換(例えばG185Aおよ びV270A)がマイナス効果を逆転させる(G185Aは活性が2倍増加)。その理由は 、タンパク質構造に対するアラニンの中立的作用と、前述の小さいアミノ酸に対 するアラニンの類似性とにあると思われる。この結果は、FatA中の保存アミノ酸 のアラニンスキャニングが、加水分解活性の増大した突然変異体を形成させ得る ことも示唆している。 これらの研究はまた、酵素活性にプラスの影響を与える置換が加法的であるこ とも立証している。増大した活性を示す2つの突然変異体(例えば S188AおよびV270A)を組合わせて二重突然変異体を形成すると、酵素活性のより 一層の増大が観察される。突然変異体S188/V270Aは13倍増の18:0−ACP活性を示 す。また、プラスの突然変異を、一方の基質では選択性の増加を示すが他方の基 質では示さない突然変異と組合わせると、結果として得られる突然変異体は、遥 かに改善された総活性および18:0−/18:1ACP比を示す。例えば、S188A/V270A/S3 07Aは7倍増の18:0−ACP活性を示し、18:0/18:1比が野生型Garm FatA1の比0.3/ 1に比べて0.8/1である。実施例9 ドメインスワッピング 都合の良い制限部位が得られないチオエステラーゼドメインスワッピング構築 物の調製方法を提供する。 A. 短ドメイン法 短ドメインスワッピング方法を図14に示す。2つの別個のPCRの結果、新しい ドメインと同じ重複配列を含む2つの断片(プライマーa+dおよびプライマー b+cの産物)が得られる。プライマーcおよびdは、元のドメインの3'末端下 流と全く同じ配列に、新しいドメイン配列に対応する5'突出部(overhang)を加 えたものに適合するように合成する。適合配列の長さは、Tmを50℃以上(Cまた はG=4℃且つTまたはA=2℃と想定して計算)にするのに十分なものでなけ ればならない。理想的には、5'突出部の長さが18塩基(6アミノ酸)以下である とよいが、それより長い突出部もより低い効率で機能し得る。最初の2つのPCR は、約0.2μMのプライマーと0.1μgの鋳型DNAとを用いて、下記のPCR条件で 実施しる。第2のランのPCR(PCR3)は、PCR1および2の各産物を10μlずつ混合 し、プライマーaおよびbを最終濃度0.2μMまで加えることにより実施する。そ の結果得られる産物は、元のドメインが新しいドメイン配列に置換された標的遺 伝子(targeted gene)である。PCR産物は、サブクローニングのために沈降およ び制限消化する前にアガロースゲル上で検査し得る。修飾DNA断片は、所望の突 然変異を確認するために配列決定する必要がある。 B. 長ドメイン法 図15に示すように、より長いドメインをスワッピングする場合は、遺伝子IIか ら遺伝子Iへのドメインの交換は、先ずPCR1、2および3によって得られた3 つの断片を増幅することにより達成される。次いで、これらの部分的に重複した 断片を一緒にして、次のPCRのためにプライマーaおよびbと混合する。PCR条件 は下記の通りである。その結果得られる完全長産物は、遺伝子II由来の新しいド メインを有する遺伝子Iである。 同じ原理により、最初のランでPCRを追加し、次いで第2のPCRを4つの断片(示 さず)の存在下で実施すれば、2つのドメインを遺伝子Iに同時にスワッピング することができる。 成功したPCR条件は次の通りである:94℃で1分間の変性、48℃で30秒の再生 および72℃で2分間の延長で5サイクルをプログラムした。最初の5サイクルの 次に、同じプログラムで、但し再生を60℃で30秒にして、30サイクルを実施した 。最初の5サイクルをより低い温度で実施する理由は、5'突出部とのPCRプライ マーのアニーリングを確実にするためである。その後のサイクルで温度を上げる と、最初の5サイクル中に増幅した配列への更なる増幅が制限される。総てのプ ライマーのTmは約60℃に設定すベきである。その後のクローニングに好都合なよ うに、完全長アンカープライマー(aおよびb、図14および図15)は通常、種々 のPCRサブクローニングベクター用のさらなる制限部位および/または突出部も 含む。非突然変異誘発バックグラウンドを減少させるために、鋳型DNAはできる だけ少ない量(通常は0.1μg以下)で使用することが重要である。 C. FatAおよびFatBドメインスワッピング FatAおよびFatBチオエステラーゼペプチド配列を並置して(aligned)、2つ のクラスの酵素の間の明らかな類似性と相違とを示すことができる(Voelker(19 96)Genetic Engineering,Vol.18,J.K.Setlow編,pp.111-133;図3)。FatBチオエ ステラーゼには高度に保存されているN末端近傍の疎水性領域が存在し、FatAチ オエステラーゼには存在しない。しかしながら、両クラスのチオエステラーゼに 存在し部分的に相同であると分類できる領 域が5つ存在し、FatAおよびFatBチオエステラーゼの全メンバーの間で高度に保 存されている、ヒスチジンおよびシステイン残基の周りの活性部位領域も存在す る。FatBだけに存在する疎水性部分以外に、相互間の相同性が殆どまたは全くな い固有の領域が更に3つある。Garm FatA1およびUC FatB1に固有の保存領域の位 置を表すこれら種々のペプチド領域を図18に示す。アミノ酸の番号付は、図1の 最上行のコンセンサスナンバリングに従う。 前述のドメインスワッピング方法を用いて、これら固有の保存領域をGarm Fat A1およびUc FatB1の間で欠失または交換させることにより突然変異体を形成し、 酵素活性および特異性についてアッセイした。 前記欠失および交換による突然変異体の分析結果を図19AおよびBに示す。 これらの結果から次のことが明らかである。FatBに固有の疎水性部分は、FatB チオエステラーゼの活性または基質特異性に影響を与えない。FatBに固有のC末 端部分の欠失は酵素活性を低下させるが、基質特異性を変えることはない。活性 部位領域は基質特異性を変化させずに交換可能であり、これは活性部位領域外の 配列が酵素特異性を決定することを意味する。残基275〜298の固有配列の交換は 基質特異性を変化させないが、酵素活性の低下を生起する。残基382までのFatB N末端部分とFatAのC末端部分(382〜430)との融合により形成したキメラ酵素 は不活性であり、FatBのC末端部分が酵素活性全体に不可欠であることを示唆し ている。FatAおよびFatBのN末端およびC末端の融合(残基275を切断点とする )により形成したキメラ酵素は不活性であり、65〜275の間の配列が各酵素の全 体的構造に影響を及ぼすことを示唆している。実施例10 植物形質転換および分析 Brassica napus種子中でのGarm FatA1チオエステラーゼの発現の結果としてC1 8:0脂肪酸レベルが増加したトランスジェニック植物がWO 97/12047号に開示され ている。napin5'および3'調節領域の調節下のGarm FatA 1チオエステラーゼ遺伝子を含む構築物pCGN5255を植物形質転換に使用する。非 形質転換対照植物の約2%と比べて39%にも達する高オレイン酸系の脂肪酸組成 が、選択した5255トランスジェニック植物由来の個々の半種子で報告されている 。類似のレベルの18:0脂肪酸が、二重Garm FatA1発現構築物pCGN5266で形質転換 した低リノール酸B.napus系由来のトランスジェニック植物で報告されている。 分離種子(segregating seed)集団のプールした種子試料のステアリン酸レベル は、5255形質転換体で14.2%に達し、5266形質転換質体で22%に達した。 二重Garm FatA1突然変異体G185A/S188Aで形質転換したトランスジェニック植 物のステアリン酸生成を分析するために、野生型Garm FatA1コーディング配列を G185A/S188A突然変異体コーディング配列で置換する以外はpCGN5255と同一であ るnapin発現構築物を調製する。二重突然変異体構築物pCGN5274をAgrobaterium tumefaciens中に形質転換し、トランスジェニックB.napus変種Quantum植物を作 製するために使用する。同時に、pCGN5255を使用して、トランスジェニックB.na pus変種Quantum植物を5274植物の対照として作製する。 Quantum5255および5274植物のプールした分離種子を分析して脂肪酸組成を調 べる。これらの結果の統計的分析を下記の表に示す。 5255および5274のデータをヒストグラムで図20に示す。組成分析の詳細な結果 は図21に示す。 Garm FatA1二重突然変異体S188A/V270Aで別の構築物を製造する。Garm FatA1 コーディング領域でS188A/V270A突然変異体(上記)コーディング配列が置換さ れている以外はpCGN5255と同一であるnapin発現構築物pCGN5290を形成する。更 に、2つの野生型Garm FatA1コーディング配列が2つのS188A/V270A突然変異体 コーディング領域に置換されている以外はpCGN5266と同一である二重構築物pCGN 5291も形成する。構築物pCGN5290およびpCGN5291をAgrobacterium tumefaciens 中に形質転換し、トランスジェニックB.napus変種Quantumの製造に使用する。各 構築物当たり約25のトランスジェニック植物が得られる。各トランスジェニック 植物の成熟種子を収穫し、脂肪酸組成について分析する。 T2プール種子の脂肪酸組成分析の結果は、S188A/V270A突然変異体Garm FatA1 を発現する植物が、pCGN5255またはpCGN5266のいずれかを発現するトランスジェ ニック植物と比較すると、総脂肪酸のパーセンテージとして、遥かに多い量のス テアリン酸(C18:0)を生成することを示している(図22)。より特定的には、p CGN5290およびpCGN5291を発現する植物の種子のステアリン酸レベルは、それぞ れpCGN5255およびpCGN5266を発現する植物の種子から得られるレベルより68%お よび57%高い。分離種子集団のプール種子試料のステアリン酸レベルは、5290形 質転換体で16. 3%に達し、対照5255形質転換体で9.9%に及ぶ。また、分離種子集団のプール種 子試料のステアリン酸レベルは対照5266形質転換体では13%であるのに対し、52 91形質転換体では20.9%に達する。非形質転換対照Brassica napusのステアリン 酸含量は3%以下である。これらの結果の統計的分析を下記の表に示す。 これらの結果は、トランスジェニックチオエステラーゼ植物では、C18:1活性 に比べてC18:0活性が増加した突然変異体チオエステラーゼの発現によりステア リン酸レベルが改善され得ることを示している。 前記結果は、遺伝子工学的に操作された、基質特異性を変化させたチオ エステラーゼが生成され得るように植物アシル-ACPチオエステラーゼ配列を修飾 することができることを立証するものである。このようなチオエステラーゼは、 遺伝子工学的に操作されたチオエステラーゼを供給すべく、また既存の脂肪酸合 成経路を新規の脂肪酸組成が得られるように改変すベく、宿主細胞内で発現させ 得る。特に、遺伝子工学的に操作されたチオエステラーゼは、望ましいTAG分子 の天然の供給源を得るために、脂肪種子植物の種子中で発現させ得る。 本明細書中で言及した刊行物および特許出願明細書は全て、本発明が属する分 野の当業者の技術レベルを示すものである。これらの刊行物および特許出願明細 書は全て、個々の各刊行物または特許出願明細書が特異的且つ個別に引用により 組み入れられると指摘されるのと同じ程度に、引用により本明細書に組み入れら れる。 以上、本発明が十分に理解されるように、図面を引用し且つ実施例を挙げて詳 細な説明をしてきたが、ある程度の変更及び改変が添付の「請求の範囲」の範囲 内で実施可能であることは明白であろう。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. アシル-ACPチオエステラーゼにより加水分解されるアシル-ACP基質に対して 改変された基質特異性を有する遺伝子工学的に操作された植物アシル-ACPチオエ ステラーゼを取得する方法であって、 (a)第1の植物チオエステラーゼタンパク質をコードする遺伝子配列を修飾 して1以上の修飾チオエステラーゼ遺伝子配列を作製し、ここで該修飾配列は第 1植物チオエステラーゼの成熟部分において1個以上のアミノ酸残基が置換、挿 入または欠失されている遺伝子工学的に操作されたアシル-ACPチオエステラーゼ をコードしており、 (b)該修飾遺伝子配列を宿主細胞において発現させて、遺伝子工学的に操作 された植物チオエステラーゼを産生させ、そして (c)遺伝子工学的に操作された植物チオエステラーゼをアッセイして基質特 異性の変化を検出する、 ことを含んでなる、上記方法。 2. 前記アミノ酸の置換、挿入または欠失が第1植物チオエステラーゼのC末端 側の3分の2の部分にある、請求項1に記載の方法。 3. 前記アミノ酸の置換、挿入または欠失が図1に示したチオエステラーゼアミ ノ酸配列のコンセンサスナンバリングのアミノ酸230-285に対応する領域にある 、請求項1に記載の方法。 4. 前記アミノ酸の置換、挿入または欠失が図1に示したチオエステラーゼアミ ノ酸配列のコンセンサスナンバリングのアミノ酸315-375に対応する領域にある 、請求項1に記載の方法。 5. 第1植物チオエステラーゼの成熟部分の1個以上のアミノ酸残基が第2植物 チオエステラーゼの対応アミノ酸で置換され、第1および第2植物チオエステラ ーゼの優先的アシル-ACP基質は炭素鎖の長さおよび/または飽和度の点で相違す るものである、請求項1に記載の方法。 6. 第1チオエステラーゼが第2チオエステラーゼ由来のペプチドドメインの置 換により修飾される、請求項5に記載の方法。 7. 前記ペプチドドメインが第2チオエステラーゼの活性ヒスチジン残基と活性 システイン残基を含む、請求項6に記載の方法。 8. 植物の野生型アシル-ACPチオエステラーゼと比べて、該チオエステラーゼに より加水分解されるアシル-ACP基質に対して改変された基質特異性を示す、遺伝 子工学的に作製された植物アシル-ACPチオエステラーゼ。 9. 野生型アシル-ACPチオエステラーゼがFatBチオエステラーゼである、請求項 8に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステラーゼ。 10.野生型アシル-ACPチオエステラーゼがFatAチオエステラーゼである、請求項 8に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステラーゼ。 11.FatAチオエステラーゼがマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼである、 請求項10に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステラーゼ。 12.置換S188Aを含む、請求項11に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステ ラーゼ。 13.置換S307Aを含む、請求項11に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステ ラーゼ。 14.置換G185Aを含む、請求項11に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステ ラーゼ。 15.置換V270Aを含む、請求項11に記載の遺伝子工学的に作製されたチオエステ ラーゼ。 16.二重変異体である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の遺伝子工学的に作 製されたチオエステラーゼ。 17.三重変異体である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の遺伝子工学的に作 製されたチオエステラーゼ。 18.野生型の植物アシル-ACPチオエステラーゼと比べて、該チオエステラーゼに より加水分解されるアシル-ACP基質に対して改変された基質特異性を示す、遺伝 子工学的に作製された植物アシル-ACPチオエステラーゼをコードするDNA配列。 19.野生型チオエステラーゼがFatBチオエステラーゼである、請求項18 に記載のDNA配列。 20.野生型チオエステラーゼがFatAチオエステラーゼである、請求項18に記載の DNA配列。 21.FatAチオエステラーゼがマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼである、 請求項20に記載のDNA配列。 22.アミノ酸置換S188Aを含むマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコー ドする、請求項21に記載のDNA配列。 23.アミノ酸置換S307Aを含むマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコー ドする、請求項21に記載のDNA配列。 24.アミノ酸置換G185Aを含むマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコー ドする、請求項21に記載のDNA配列。 25.アミノ酸置換V270Aを含むマンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコー ドする、請求項21に記載のDNA配列。 26.二重マンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコードする、請求項22〜25 のいずれか1項に記載のDNA配列。 27.三重マンゴスチンGarm FatA1チオエステラーゼをコードする、請求項22〜25 のいずれか1項に記載のDNA配列。
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