JP2002500237A6 - 帯電防止ポリマー組成物およびその成形品 - Google Patents

帯電防止ポリマー組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

湿度による成形品の表面抵抗値の変化が少なく、均一な帯電防止効果を永久的に発揮する帯電防止ポリマー組成物を提供するため、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物、ABS、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびEPDMからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーに、ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーとともに、例えば、カルボキシル基の供給源と該カルボキシル基と反応し得る少なくとも1つの金属イオンの供給源とを含有するイオン供給源、およびイオン伝導性ポリマーに対する可塑剤を配合する。

Description

【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、複写機、レーザプリンタなどの電子写真装置の転写体分離案内部材であり、静電潜像を転写する紙やポリエステルフィルムなどの転写体を、感光ドラムから転写部に案内し、そして定着ローラへと案内し、および装置から搬出するために、所定の位置に設置される転写体分離案内部材など、帯電防止効果が要求される部材の成形に使用される帯電防止ポリマー組成物に関する。さらに詳しくは、イオン伝導性ポリマー、イオン供給源、およびイオン伝導性ポリマーに対する可塑剤とを併用することにより永久的に帯電防止効果を維持することができる帯電防止ポリマー組成物、並びにその成形品に関する。
【0002】
(発明の背景)
ポリエステルやポリアミドなどのポリマーは、包装材料、電気電子部品、自動車部品など種々の分野で広く使用されている。しかしながら、成形品は静電気を帯びやすいため静電気障害を引き起こす。例えば、複写機、レーザプリンタなどの電子写真装置において所定の位置に設置される転写体分離案内部材は、静電気により紙が剥がれにくくなると、ペーパージャムを起こす。
【0003】
従来、成形品の表面固有抵抗を1013〜108Ωに制御するために、界面活性剤を主体とする低分子量の帯電防止剤を成形工程でポリマーに練り込むか、または仕上げ工程で成形品の表面に塗布していた。しかしながら、界面活性剤による帯電防止効果は、界面活性剤に吸収された平衡水分によりもたらされるため、低湿度下では十分な帯電防止効果が発揮されない。また、反復摩擦や水洗により界面活性剤が脱落し、帯電防止効果が消失してしまう。
【0004】
そこで、フィラーとして導電性のある炭素繊維や金属繊維などの導電性材料を練り込んだポリマーや、親水性又は導電性のモノマーを共重合により組み込み、ポリマー自体の電気抵抗を低下させたポリマーや、ポリマーに親水性ポリマーをアロイ化することによって帯電防止性をもたせたポリマーが開発されている。また、ポリマーに添加するための永久帯電防止剤としては、ポリエーテル系、4級アンモニウム塩系、スルホン酸系、ベタイン系など種々の帯電防止剤が紹介されている(プラスチックス エージ社発行、プラスチックス エージ Nov.1993)。
【0005】
具体的な帯電防止ポリエステル組成物としては、熱可塑性樹脂に、少なくとも1個のポリオキシアルキレングリコールまたはその誘導体、およびビニル系不飽和スルホン酸またはその塩からなる単量体単位およびアルキル基の炭素原子数が1〜15の不飽和脂肪族カルボン酸アルキルエステルが結合されているビニル系重合体を配合した帯電防止性重合体組成物(特開昭60−202150号公報)、ポリエチレンテレフタレートに、重量平均分子量4,000ないし50,000のポリエチレングリコール、アルキルスルホン酸のアルカリ金属塩、およびアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩を配合してなる帯電防止効果を有するポリエステルフィルム(特開平2−232257号公報)、ポリエステル、およびエチレンオキサイド含量が15〜35重量%で数平均分子量が1,500〜3,000でありエチレンオキサイドでキャッピングされたポリ(プロピレンオキサイド)グリコールから誘導されたポリエーテルブロックを有するコポリエーテルエステルブロックッコポリマーを含有するポリマー混合物(特公平7−110918号公報)、炭素数6〜20の芳香族ジカルボン酸および/またはそのエステル、数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)グリコール、および炭素数2〜8のグリコール、を重縮合して得られるポリエーテルエステルと、ポリカーボネート樹脂からなる永久的な帯電防止効果を有する組成物(特開平8−245869号公報)、芳香族ポリカーボネート樹脂、ブロックコポリアミド樹脂、耐衝撃性改良剤、スピロ環構造を有する含燐化合物、および金属不活性剤を配合してなる熱可塑性樹脂組成物(特開平9−12854号公報)、炭素数4〜20のパラ配向芳香族ジカルボン酸成分、スルホン酸塩基で環置換された特定の芳香族ジオール成分、炭素数2〜10のグリコール成分、分子内にエステル形成性の官能基を2個有する数平均分子量200〜50,000のポリ(アルキレンオキシド)成分からなるポリエーテルエステルと、ABS等の熱可塑性樹脂からなる永久帯電防止性樹脂組成物(特開平9−176497号公報)などがある。しかしながら、成形品の表面においてより均一な帯電防止効果を発揮することができるポリマー組成物の開発が要望されている。
【0006】
(発明が解決しようとする課題)
本発明の課題は、成形品において湿度による表面抵抗値の変化が少なく、均一な帯電防止効果を永久的に発揮することを可能にする帯電防止ポリマー組成物を提供することにある。詳しくは、本発明の課題は、電子写真装置において所定の位置に設置される転写体分離案内部材など、静電気が問題となるポリマー成形品に好適に使用される帯電防止ポリマー組成物を提供することにある。
【0007】
さらにもうひとつの課題は、成形品の表面抵抗率における変化を減ずることによって優れた帯電防止効果を維持しながら、さらに撥水性を付与するポリマー組成物を提供することにあり、それは、帯電防止効果と撥水性の両方を必要とする成形品に有用である。
【0008】
(発明の要旨)
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、マトリックスポリマーに、イオン伝導性ポリマー、イオン供給源または電解質、およびイオン伝導性ポリマーに対する可塑剤を配合することにより、優れた帯電防止効果を提供できることを見出した。すなわち、第1の本発明に従う帯電防止ポリマー組成物は、
(A)ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンサルファイド、およびポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物からなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーと、
(B)ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーと、
(C)(i)炭素原子6〜54個を含む炭化水素酸、スルホン酸、および少なくとも1個の結合するカルボキシル基もしくはスルホ基を有する有機重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、および亜鉛イオンからなる群から選ばれ、(i)のカルボキシル基またはスルホ基と反応し得る少なくとも1つの金属イオンの供給源、固体電解質、または高分子電解質を含むイオン供給源と、
(D)前記ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)に対する可塑剤と、
を含有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明である帯電防止ポリマー組成物は、上記ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーが、ポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする。
第3の本発明は、上記可塑剤(D)が、式(1)で表される可塑剤
【0010】
【化2】
Figure 2002500237
【0011】
(式中、mは1〜3の整数であり、nは4〜25の整数であり、Aは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、Bは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、そしてXはH、CH3またはC25である)であることを特徴とする上記第1または第2の発明である帯電防止ポリマー組成物である。
【0012】
第4の発明は、組成物全体の重量に対して、ポリマー(A)が40.0〜98.4重量%、ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)が1.0〜35.0重量%、イオン供給源(C)が0.1〜15.0重量%、および可塑剤(D)が0.5〜10.0重量%含有されていることを特徴とする上記第1〜第3のいずれかの発明である帯電防止ポリマー組成物である。
【0013】
第5の本発明は帯電防止ポリマー組成物であり、
(A)ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、およびEPDM(エチレン/プロピレン/ジエン)エラストマーからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーと、
(B)ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーと、
(C)(i)炭素原子6〜54個を含む炭化水素酸、スルホン酸、および少なくとも1個の結合したカルボキシル基もしくはスルホ基を有する有機重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、および亜鉛イオンからなる群から選ばれ、および(i)のカルボキシル基ま
たはスルホ基と反応し得る少なくとも1つの金属イオンの供給源、固体電解質、または高分子電解質を含むイオン供給源と、
(D)前記ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)に対する可塑剤と、
を含有することを特徴とする。
【0014】
第6の本発明は、フッ素化化合物、シリコーン化合物、またはそれらの混合物を含む撥水剤をさらに含有することを特徴とする上記第1から第5のいずれかの発明である帯電防止ポリマー組成物である。
【0015】
さらに他の本発明は、上記帯電防止ポリマー組成物から成形されたことを特徴とする電子写真装置用転写体分離案内部材などの成形品、並びに帯電防止効果および撥水性を要求される成形品である。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明の帯電防止ポリマー組成物は、少なくとも成形品の表面固有抵抗を1013〜108Ωに制御することができる程度の帯電防止性を有する。
【0017】
本発明のポリマー(A)は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンサルファイド、およびポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物からなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーである。
【0018】
ポリエステルは、エチレングリコールとテレフタル酸との重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレート、ブタンジオールとテレフタル酸との重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートの物理的、化学的性質を備えた範囲で他の共単量体成分を含有するコポリマーなどである。コポリマーの製造に用いられる共単量体成分としては、グリコール成分としてのエチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなど、およびジカルボン酸成分としてのイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
【0019】
ポリエステルの固有粘度は、0.3〜1.3であり、好ましくは0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0.6〜0.9である。
【0020】
本発明において好適に使用されるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびそれらの配合物である。
【0021】
さらに、本発明におけるポリエステルには、一般にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる異方性溶融相を形成しうる溶融加工性ポリエステルまたはポリエステルアミドも含まれる。このようなポリマーの構成成分は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、および芳香族ジアミンである。異方性溶融相を形成しうる溶融加工性ポリエステルまたはポリエステルアミドは、これらの構成成分の1種を重合するか、2種以上の成分を共重合して得られる。
【0022】
具体的には、1種または2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させて得られる芳香族ポリエステル、芳香族ジカルボン酸と、1種または2種以上の脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジオールと、1種または2種以上の脂肪族ジオールとを重合させて得られる芳香族ポリエステル、芳香族ヒドロキシカルボン酸を主成分とし、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよび脂肪族ジオールから成る群から選ばれる1種または2種以上の成分を重合させて得られる芳香族ポリエステル、芳香族ヒドロキシアミンと、1種または2種以上の芳香族ジアミンと、1種または2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合して得られる芳香族ポリエステルアミド、芳香族ヒドロキシアミンと、1種または2種以上の芳香族ジアミンと、1種または2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、1種または2種以上の脂肪族カルボン酸とを重合して得られる芳香族ポリエステルアミド、および芳香族ヒドロキシアミンと、1種または2種以上の芳香族ジアミンと、1種または2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、1種または2種以上の脂肪族カルボン酸と、芳香族ジオールと、1種または2種以上の脂肪族ジオールとを重合して得られる芳香族ポリエステルアミドなどが挙げられる。
【0023】
芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、および5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、並びにヒドロキシ安息香酸のハロゲン、アルキル、およびアリール置換体などが挙げられる。
【0024】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、並びにt−ブチルテレフタル酸やクロロテレフタル酸などのアルキルおよびハロゲン置換芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0025】
脂肪族ジカルボン酸としては、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン酸、およびそれらの置換誘導体などが挙げられる。
【0026】
芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、ビフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、3,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3′−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド
、3,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,6−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3′−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルジメチルシラン、並びにそれらのアルキルおよびハロゲン置換誘導体などが挙げられる。
【0027】
脂肪族ジオールとしては、トランス−1,4−ヘキサンジオール、シス−1,4−ヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの環状、直鎖状、および分岐状の脂肪族ジオール並びにそれらの置換誘導体などが挙げられる。
【0028】
芳香族ヒドロキシアミンおよび芳香族ジアミンとしては、例えば4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよびそれらの置換誘導体などが挙げられる。
【0029】
本発明で用いる液晶ポリマーは、一般に数平均分子量が約2,000〜200,000であり、好ましくは5,000〜50,000であり、さらに好ましくは10,000〜20,000である。
【0030】
本発明において好適に使用される液晶ポリマーは、4−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸との共重合体、およびハイドロキノンとビフェノールとテレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸と4−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸との共重合体である。
【0031】
本発明における他のマトリックスポリマーであるポリアミドは、ジアミン成分とジカルボン酸成分との重縮合により得られる。具体例としては、脂肪族アルキレンジアミン、芳香族ジアミン、および脂環族ジアミンとから成る群から選択される1種以上のジアミンと、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および脂肪族アミノカルボン酸とから成る群から選択される1種以上のジカルボン酸との重縮合により得られるポリアミド、およびこれらの配合物が挙げられる。
【0032】
脂肪族アルキレンジアミンは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。具体的には、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−エチルテトラメチレンジアミンなどを挙げることができる。これらの脂肪族アルキレンジアミンは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
芳香族ジアミンは、単独で、または二種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、パラフェニレンジアミン、オルトフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、メタキシレンジアミンなどが挙げられる。
【0034】
脂環式アルキレンジアミンは、具体的には、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、イソフォロンジアミン、ピペラジンなどが挙げられる。これらは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸などを挙げることができる。これらは単独で、または二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが、そして芳香族アミノカルボン酸としては、例えば、パラアミノ安息香酸などが挙げられる。これらの芳香族モノマーは単独でもまたは二種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0037】
アミノカルボン酸の具体例は、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノウンデカン酸などが挙げられる。これらは単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、ポリアミドの数平均分子量は、2,000〜50,000であり、好ましくは5,000〜40,000であり、さらに好ましくは7,000〜30,000である。
【0039】
本発明において好適に使用されるポリアミドは、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン66とナイロン6とのコポリマー、およびそれらの配合物である。
【0040】
ポリカーボネートは、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートを溶融状態で反応せしめるエステル交換法、およびビスフェノールAとホスゲンを溶媒および酸受容剤としてのピリジン中で反応せしめる溶液重縮合法により得られる。
【0041】
ポリカーボネートの数平均分子量は、6,000〜100,000、好ましくは10,000〜80,000、さらに好ましくは15,000〜50,000である。
【0042】
ポリオキシメチレンホモポリマーは、ホルムアルデヒドの重合により得られ、コポリマーは、トリオキサンと環状エーテル、または環状ホルマールとの重合により得られる。
【0043】
ポリオキシメチレンの数平均分子量は、ホモポリマー、コポリマーとも8,000〜150,000、好ましくは12,000〜100,000、さらに好ましくは20,000〜80,000である。
【0044】
ポリフェニレンサルファイドは、p−ジクロルベンゼンと硫化ナトリウムをN−メチルピロリドンのような極性溶媒中で200℃以上の高温で反応させることにより得られる。
【0045】
ポリフェニレンサルファイドの重量平均分子量は、5,000〜90,000、好ましくは8,000〜70,000、さらに好ましくは10,000〜60,000である。
【0046】
ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物は、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとが、すべての割合で完全に相溶するという性質を有しているため、いかなる割合で配合したものでもよい。
【0047】
本発明において好適に使用されるポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物は、ポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの重量比が70:30〜50:50の配合物である。
【0048】
本発明の他の適当なマトリックスポリマーは、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、およびEPDM(エチレン/プロピレン/ジエン)エラストマーである。
【0049】
本発明において使用されるイオン伝導性ポリマー(B)は、ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーである。ポリエーテルは、マトリックスポリマーであるポリエステルおよびポリアミドとの相溶性がよいため、成形品の表面に均一な帯電防止効果を提供することができる。
【0050】
具体的には、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルアミドイミド、エチレンオキシド−エピハロヒドリン共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体などが挙げられる。好ましくは、結晶化度が低いポリエーテルであり、特に好ましくは、ポリエーテルエステルアミドである。
【0051】
ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーの含有量は、組成物の重量に対して、1.0〜35.0重量%であり、好ましくは3.0〜20.0重量%、さらに好ましくは4.5〜12.5重量%である。1.0重量%より少量では、帯電防止効果が不十分であり、35.0重量%より多量に含有すると、機械的特性の低下を招く。
【0052】
本発明において使用されるイオン供給源(C)は、
(i)炭素原子6〜54個を有する炭化水素酸、スルホン酸、および少なくとも1個の結合するカルボキシル基もしくはスルホ基を有する有機重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、および亜鉛イオンからなる群から選ばれ、(i)のカルボキシル基またはスルホ基と反応し得る少なくとも1つの金属イオンの供給源、固体電解質、または高分子電解質を含む。
【0053】
意図された用途によって、本発明の帯電防止ポリマー組成物において、(i)に定義されたカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)に定義された金属イオン供給源を含むイオン供給源に代えて、固体電解質または高分子電解質が使用される。固体電解質の具体例は、XYまたはXW2で表され、ここでXはLi、Na、K、またはNH4、YはClO4、I、BF4、またはCF3SO3、およびWはMg、Ca、Zn、またはCuである化学組成を含む。
【0054】
さらに、本発明において使用可能な高分子電解質は、例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、およびアクリレートコポリマーアンモニウム塩などの幅広い範囲の組成に相当する。
【0055】
イオン供給源を含有することにより、前記イオン伝導性ポリマーに対して充分にイオンを供給することができるため、イオン伝導性ポリマーが帯電防止効果を十分に発揮することができる。
【0056】
好ましくは、カルボキシル基またはスルホ基の供給源(i)は、炭素原子6〜25個を含む炭化水素酸、スルホン酸、およびペンダント状カルボキシル基もしくはスルホ基を含む有機重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源である。
【0057】
さらに好ましくは、炭素原子2〜5個のα−オレフィンと、カルボキシル基が少なくとも部分的にナトリウムまたはカリウム陽イオンで中和された炭素原子3〜5個のα、β−エチレン性不飽和カルボン酸との有機イオン性炭化水素共重合体からなるアイオノマーが好適に用いられる。
【0058】
他の適当なアイオノマーは、(i)ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートオリゴマーと、(ii)(i)のオリゴマー状のカルボキシル末端基と反応し得るナトリウムおよび/またはカリウムイオン供給源から誘導される物質を含む。
【0059】
イオン供給源の含有量は、組成物の重量に対して、0.1〜15.0重量%であり、好ましくは0.3〜12.0重量%、さらに好ましくは1.0〜8.0重量%である。0.1重量%より少量では、帯電防止効果が不十分であり、15.0重量%より多量に含有すると、機械的特性の低下を招く。イオン供給源は、組成物中の金属の濃度が1.0重量%より多くなるのに十分な量の金属イオン供給源を含有する。
【0060】
本発明において使用される可塑剤(D)は、使用するポリエーテル系イオン伝導性ポリマーに対して可塑化効果を有するものである。具体的には、フタル酸エステル系可塑剤として、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレートなど、リン酸エステル系可塑剤として、トリクレジルフォスフェート、トリフェニルフォスフェートなど、スルホンアミド系可塑剤として、o,p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド、N−メチルベンゼンスルホンアミド、N−エチルベンゼンスルホンアミド、N−ブチルベンゼンスルホンアミドなど、およびポリエーテル系可塑剤などを挙げることができる。好ましい可塑剤は、式(1)
【0061】
【化3】
Figure 2002500237
【0062】
で表され、 式中、mは1〜3の整数であり、nは4〜25の整数であり、Aは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、Bは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、そしてXはH、CH3またはC25である。
【0063】
本発明の組成物が可塑剤を含有することにより、高温条件下でイオンが動きやすくなるため、成形品を使用する温度条件が高くなる程、優れた帯電防止効果を発揮することができる。
【0064】
好ましい可塑剤は、mが1であるか、nが4〜14であるか、またはXがHであり、そして特にmが1であり、nが4〜14であり、且つXがHであるときに得られる。さらに好ましい可塑剤は、mが1であるか、nが7〜13であるか、XがHであるか、Aが炭素原子8個のアシルもしくはメチルであるか、またはBが炭素原子8個のアシルであり、そして特にmが1であり、nが7〜13であり、XがHであり、Aが炭素原子8個のアシルもしくはメチルであり、且つBが炭素原子8個のアシルであるときに得られる。
【0065】
好ましい具体例は、ポリエチレングリコール400ビス(2−エチルヘキサノエート)、メトキシポリエチレングリコール550 2−エチルヘキサノエート、およびテトラエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)である。中でも、ポリエチレングリコール400ビス(2−エチルヘキサノエート)が最も好適に使用される。
【0066】
可塑剤の含有量は、組成物の重量に対して、0.5〜10.0重量%であり、好ましくは1.0〜8.0重量%、さらに好ましくは2.0〜6.0重量%である。0.5重量%より少量では、帯電防止効果が不十分であり、10.0重量%より多量に含有すると、機械的特性の低下を招く。
【0067】
本発明の組成物は、公知の難燃剤を混合することができる。具体的には、ポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレン、ポリペンタブロモスチレン、デカブロモジフェニル、テトラブロモジフェニル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモジフェニルサルファイド、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化フェノキシ樹脂などの臭素化難燃剤、エポキシ末端フェノキシ樹脂などを挙げることができる。好ましくは、エポキシ末端フェノキシ樹脂および臭素化ポリスチレンである。難燃剤の配合量は、通常、組成物の重量に基づいて、7〜20重量%である。
【0068】
難燃剤とともに、酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウムなど、難燃助剤として公知であるアンチモン化合物を配合してもよい。
【0069】
エンジニアリングプラスチックを強化するための慣用の無機充填材を配合することもできる。無機充填材として、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム、ウィスカー、カオリン、クレー、タルク、ワラストナイト、炭酸カルシウム、シリカ、およびマイカなどを挙げることができる。ガラス繊維が好適に使用される。無機充填材の配合量は、通常、組成物の重量に基づいて、5〜60重量%である。
【0070】
本発明の組成物は、その特性を損なわない程度で前記成分に加えて、耐衝撃剤、熱安定剤、酸化防止剤、染料、顔料、離型剤など慣用の添加剤を配合してもよい。
【0071】
フッ素化化合物、シリコーン化合物、または表面自由エネルギーが低く、そして当該技術においてよく知られているその化学組成物などの撥水剤を、適当な量で、本発明の前記の帯電防止ポリマー組成物にさらに添加することにより帯電防止効果と撥水性の両方において顕著な改良をもたらすポリマーを得ることもできる。撥水剤が、成形工程でポリマーに練りこまれるか、または仕上げ工程で成形品の表面に塗布される主として界面活性剤から成る低分子量の帯電防止剤と併用される場合には、動摩擦係数を下げることにより滑り特性を改良できることもあるが、静電気障害を起す静電気を容易に生じさせる。撥水剤の具体例は、PTFE、PFA、FEP、ETFE、シリコーンオイル、シリコーンガム、アミノ変性シリコーン、およびエポキシ変性シリコーンのような変性シリコーン、フルオロシリコーン、並びにパーフルオロアルキル基含有オリゴマーである。
【0072】
本発明のポリマー組成物の製造は、従来公知のいかなる方法によっても行うことができる。例えば、一般に使用されているバンバリーミキサー、押出し機、各種のニーダー等の混練装置を用いて溶融混練することができる。混練順序については、各成分を一度に混練してもよく、また、イオン伝導性ポリマー、イオン供給源、可塑剤をサイドフィーダーから供給してもよい。
【0073】
本発明の組成物は、射出成形法など公知の方法により、電子写真装置において所定の位置に設置される転写体分離案内部材など、静電気が問題となる装置内で使用される成形品を製造するために使用されることができる。
【0074】
本発明の帯電防止ポリマー組成物を成形することにより形成された、ASTM D 257の試験方法により測定された107から1013Ωの範囲の表面抵抗率を有する製品であり、そしていかなるプライマーもなしでその成形品の表面に静電塗装を直接施すことが可能である製品を得ることもできる。本発明の帯電防止ポリマー組成物から製造された成形品は、0.5から1重量%の界面活性剤を含有するアルコール中の溶液のような表面処理剤を成形品の表面に施して、界面活性剤による吸湿性によって表面固有抵抗を下げる必要はないので、本発明の帯電防止ポリマー組成物から製造された成形品に対して、静電塗装が使用されてもよい。
【0075】
(実施例)
本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は本実施例にのみ限定されるものではない。
【0076】
(実施例1、比較例1〜5)
表1に示す各成分を二軸押出機(W&P社製ZSK−40)で溶融混練した。水冷後、ペレットを製造した。得られたペレットを用いて試験片(7.5mm×12.5mm×3mm)を成形した。成形の際の金型温度および樹脂温度はそれぞれ110℃、290℃であった。
【0077】
得られた試験片を用いて、表面抵抗率および体積抵抗率を測定した。測定結果を表1に示す。測定方法は以下の通りである。
【0078】
表面抵抗率の測定方法 ASTM D 257に準拠
体積抵抗率の測定方法 ASTM D 257に準拠
また、表中の成分は以下の通りである。
【0079】
ポリマー:固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(デュポン社製ライナイト(商品名))
イオン伝導性ポリマー:ポリエーテルエステルアミドコポリマー(三洋化成工業株式会社製ペレスタット6321(商品名)
イオン供給源:エチレン/メタクリル酸樹脂(重量比85/15)からなる共重合体のカルボン酸の60%がナトリウムで中和されているエチレン/メタクリル酸共重合体ナトリウム中和物(デュポン社製サーリン8920(商品名))
可塑剤:ポリエチレングリコール400ビス(2−エチルヘキサノエート)(ライオン株式会社製リオノンDEH−40(商品名))
ガラス繊維(PPG3540チョップドストランド)
【0080】
【表1】
Figure 2002500237
【0081】
実施例1と比較例1〜5とを比較すると、本発明の組成物からなる成形品は表面固有抵抗も体積固有抵抗も高く、帯電防止効果に優れていた。
【0082】
比較例3と比較例4とを比較すると、イオン伝導性ポリマーとともに可塑剤を用いることにより帯電防止効果が向上し、比較例3と比較例5とを比較すると、イオン伝導性ポリマーとともにイオン供給源を用いることによっても帯電防止効果が向上したことがわかる。しかし、いずれの場合も、イオン伝導性ポリマーとともに、可塑剤およびイオン供給源を用いた実施例1ほどは、帯電防止効果の向上が見られなかった。
【0083】
(実施例2〜5、比較例6〜9)
実施例として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(デュポン製ライナイト(商品名))41.0重量%、ポリエーテルエステルアミドコポリマー(三洋化成工業 株式会社製ペレスタット6321(商品名))5.5重量%、エチレン/メタクリル酸共重合体ナトリウム中和物(デュポン社製サーリン8920(商品名))3.5重量%、ポリエチレングリコール400ビス(2−エチルヘキサノエート)(ライオン株式会社製リオノンDEH−40(商品名))1.5重量%、ポリトリブロモスチレン(日産フェロ社製パイロチェック68)13.0重量%、三酸化アンチモン0.5重量%、およびガラス繊維(PPG3540チョップドストランド)35.0重量%からなる組成物を用いて試験片を成形した。
【0084】
比較例として、固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(デュポン製ライナイト(商品名))99.0重量%、およびアルキルスルホン酸ナトリウム1.0重量%からなる組成物を用いて試験片を成形した。
【0085】
得られた試験片を用いて表面固有抵抗に及ぼす温度および湿度の影響を試験した。25℃、50℃、80℃および120℃での測定結果をそれぞれ表2、表3、表4および表5に示す。
【0086】
【表2】
Figure 2002500237
【0087】
【表3】
Figure 2002500237
【0088】
【表4】
Figure 2002500237
【0089】
【表5】
Figure 2002500237
【0090】
いずれの温度条件下であっても、湿度が低くなる程、実施例と比較例との表面固有抵抗の差が大きくなり、帯電防止効果に差が生じた。そして、比較例の場合には、湿度が同じであっても、温度が高くなる程、帯電防止効果が低下するが、実施例の場合には、温度が高くなる程、帯電防止効果が増した。
【0091】
(実施例6および比較例10)
実施例2および比較例6と、それぞれ同一の試験片を使用した。耐摩擦耐久性を調べるために、表面を水で湿らせた布あるいは乾いた布で拭き、そして表面固有抵抗率を測定した。
【0092】
【表6】
Figure 2002500237
【0093】
湿った布で拭いても、乾いた布で拭いても、本発明の組成物からなる成形品の帯電防止効果は変わらなかったが、比較例のように界面活性剤を使用している場合には、摩擦により帯電防止効果は低下した。
【0094】
(実施例7〜11、比較例11および12)
表1にまとめた実施例1および比較例1〜5において使用したマトリックスポリマー、イオン伝導性ポリマー、可塑剤、およびガラス繊維にさらに、表7において特定したような量で追加の種々のイオン供給源を加えた。ASTM D 257により測定された表面および体積抵抗率の結果も表7に示す。
【0095】
【表7】
Figure 2002500237
【0096】
イオン供給源A:エチレン/メタクリル酸樹脂(重量比85/15)からなる共重合体のカルボン酸の60%がナトリウムで中和されているエチレン/メタクリル酸共重合体ナトリウム中和物(デュポン社製サーリン8920(商品名))
イオン供給源B:Clariant Japan, Inc.から商品名 Hostamont NaV 101で市販されているモンタン酸ナトリウム
イオン供給源C:Clariant Japan, Inc.から商品名 Hostmont LiV 103で市販されているモンタン酸リチウム
イオン供給源D:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩
イオン供給源E:ヨウ化リチウム
【0097】
(実施例11〜13および比較例13〜18)
本発明の帯電防止ポリマー組成物にさらに撥水剤を添加する効果をみるために、以下の表8にまとめたように、実施例11〜13および比較例13〜18の追加の配合物を調製した。界面活性剤の代わりにフッ素化化合物またはシリコーン化合物の撥水剤を使用した、実施例11〜13は、撥水性維持および帯電防止効果の両方を提供することを示す。
【0098】
撥水性が改良されるか否かに関する結果、および慣用の試験方法により測定した撥水角の値も表8に示す。
【0099】
【表8】
Figure 2002500237
【0100】
撥水剤A:Toray Dow Silicone,Inc.から商品名BY
27−009で市販されているシリコーンオイルマスターバッチ
撥水剤B:DuPontから商品名MP1500で市販されているPTFE粉体
撥水剤C:DaiNippon Ink Co.,Ltd.から商品名Megafac 178RMで市販されているパーフルオロアルキルアクリレート−アルキルアクリレートブロックコポリマー
界面活性剤:Sanyo Kasei Kogyo Inc.から商品名Chemistat 3033で市販されているアルキル−ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩化合物
【0101】
(発明の効果)
本発明により、湿度による成形品の表面抵抗値の変化が少なく、均一な帯電防止効果を永久的に発揮することを可能にする帯電防止ポリマー組成物を提供することが可能になった。本発明のポリマー組成物から成形された成形品は、静電気が問題とされる装置内において好適に使用される。

Claims (10)

  1. 帯電防止ポリマー組成物であって、
    (A)ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンサルファイド、およびポリフェニレンオキサイドとポリスチレンとの配合物からなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーと、
    (B)ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーと、
    (C)(i)炭素原子6〜54個を含む炭化水素酸、スルホン酸、および少なくとも1個のカルボキシル基もしくはスルホ基を有する有機重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、および亜鉛イオンからなる群から選ばれ、および(i)のカルボキシル基またはスルホ基と反応し得る少なくと
    も1つの金属イオンの供給源、固体電解質、または高分子電解質を含むイオン供給源と、
    (D)前記ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)に対する可塑剤と、
    を含有することを特徴とする帯電防止ポリマー組成物。
  2. ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)が、ポリエーテルエステルアミドであることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物。
  3. ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)に対する可塑剤(D)が、式(1)で表される可塑剤
    Figure 2002500237
    (式中、mは1〜3の整数であり、nは4〜25の整数であり、Aは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、Bは炭素原子1〜10個のアルキル、アシルまたはアロイルであり、そしてXはH、CH3またはC25である)であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物。
  4. 組成物全体の重量に対して、ポリマー(A)が40.0〜98.4重量%、ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)が1.0〜35.0重量%、イオン供給源(C)が0.1〜15.0重量%、および可塑剤(D)が0.5〜10.0重量%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物。
  5. 請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物から成形されたことを特徴とする成形品。
  6. 請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物から成形されたことを特徴とする電子写真装置用転写体分離案内部材。
  7. ASTM D 257に準拠して測定された107から1013オームの範囲の表面抵抗率を有する請求項4に記載の組成物から製造され、その表面に静電塗装を直接施されることを特徴とする成形品。
  8. 帯電防止ポリマー組成物であって、
    (A)ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、およびEPDM(エチレン/プロピレン/ジエン)エラストマーからなる群から選ばれる1種または2種以上のポリマーと、
    (B)ポリエーテル系イオン伝導性ポリマーと、
    (C)(i)炭素原子6〜54個を含む炭化水素酸、スルホン酸、および少なくとも1個のカルボキシル基もしくはスルホ基を有する有機重合体からなる群から選ばれる少なくとも1つのカルボキシル基またはスルホ基の供給源、および(ii)ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、および亜鉛イオンからなる群から選ばれ、および(i)のカルボキシル基またはスルホ基と反応し得る少なくとも1つの金属イオンの供給源、固体電解質、または高分子電解質を含むイオン供給源と、
    (D)前記ポリエーテル系イオン伝導性ポリマー(B)に対する可塑剤と、
    を含有することを特徴とする帯電防止ポリマー組成物。
  9. フッ素化化合物、シリコーン化合物、またはそれらの混合物を含む撥水剤をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の帯電防止ポリマー組成物。
  10. 請求項8に記載の帯電防止ポリマー組成物から製造されたことを特徴とする成形品。
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