JP2002372617A - 光学フィルターおよび画像表示装置 - Google Patents

光学フィルターおよび画像表示装置

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JP2002372617A
JP2002372617A JP2001180153A JP2001180153A JP2002372617A JP 2002372617 A JP2002372617 A JP 2002372617A JP 2001180153 A JP2001180153 A JP 2001180153A JP 2001180153 A JP2001180153 A JP 2001180153A JP 2002372617 A JP2002372617 A JP 2002372617A
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optical filter
dye
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ring
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JP2001180153A
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English (en)
Inventor
Isao Ikuhara
功 生原
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】画像表示装置に優れた画質と鮮明性を与える光
学フィルターおよび優れた画質と鮮明性が得られる画像
表示装置を提供する。 【解決手段】プラスチックフィルムからなる支持体上に
可視フィルター層、赤外線遮蔽層、電磁波遮蔽層および
反射防止層のうち少なくとも1層を有し、該プラスチッ
クフィルムのフィルム厚み100μmでの透過像鮮明度
が96.5%以上である光学フィルターおよびこの光学
フィルターを備えた画像表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透過像鮮明性に優
れた支持体からなる光学フィルターおよびこの光学フィ
ルターを用いた画像表示装置に関する。別の観点からす
れば、本発明は、液晶表示装置(LCD)、プラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセン
スディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CR
T)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような画
像表示装置に反射防止、赤外線遮蔽、電磁波遮蔽および
色再現性改良のために好ましく用いられ、優れた画質お
よび画像鮮明性を与える光学フィルターに関する。さら
に、本発明は、上記特性に優れた光学フィルターを備
え、反射防止、赤外線遮蔽、電磁波遮蔽および色再現性
が改良され、しかも優れた画質および画像鮮明性が得ら
れるプラズマディスプレイパネル(PDP)本体および
PDP前面板等の画像表示装置にも関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多種の画像表示装置(ディスプレ
イ)、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディ
スプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンス
ディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、
蛍光表示管、電界放射型ディスプレイの開発とこれらを
組み込んだ機器が実用化されている。これらの画像表示
装置は様々な問題、例えば、表示素子の色純度や色分離
が不十分な問題、ディスプレイ上に背景が映り込むこと
でコントラストが低下する問題、表示素子に起因する赤
外線や電磁波の外部漏洩の問題等を抱えている。これら
のそれぞれの問題に対しては、例えば、色分離のための
可視フィルター、反射防止膜、赤外線遮蔽フィルター、
電磁波遮蔽フィルター等の機能を持つ光学フィルターを
ディスプレイの前面に用いることが提案されている。
【0003】一方、これらフィルターにおいて、従来用
いられている透明支持体には、その作成時に生ずる非透
過性の点欠陥などによる透過像鮮明度が低いものがあ
り、これらが画像表示装置の画質を悪化させてしまう問
題があった。なお、点欠陥を生じる原因はいくつか存在
するが、例えばポリエチレンテレフタレート支持体に関
しては重合触媒としてよく用いられるアンチモン化合物
が重合過程で還元されポリマー中に黒色不溶性粒子とし
て析出し、支持体内で異物として存在する場合が多い。
この様な支持体を用い光学フィルターを作成した場合画
像の鮮明性に劣る、微小な画像部分が歪み認識できなく
なるなどの弊害が生じる。これらの弊害は特に視野角を
大きく取る、つまり透明支持体の光路が長くなる斜め方
向からの視る場合に顕著となる。これは、近年の画像表
示装置の高画質化による高精細化と大画面化による視野
角の拡大を阻害する要因の1つとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、画像
表示装置に優れた画質と鮮明性を与える光学フィルター
および優れた画質と鮮明性が得られる画像表示装置を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成の光学フィルターおよび画像表示装置により達成
された。 1.プラスチックフィルムからなる支持体上に可視フィ
ルター層、赤外線遮蔽層、電磁波遮蔽層および反射防止
層のうち少なくとも1層を有し、該プラスチックフィル
ムの透過像鮮明度が、フィルム厚み100μmで測定し
て、96.5%以上であることを特徴とする光学フィル
ター。 2.支持体が2軸延伸フィルムであることを特徴とする
上記1に記載の光学フィルター。 3.2軸延伸フィルムが、ポリエステル、ポリカーボネ
ートまたはポリアリレートの2軸延伸フィルムであるこ
とを特徴とする上記2に記載の光学フィルター。 4.2軸延伸フィルムが2軸延伸ポリエステルフィルム
であり、該2軸延伸ポリエステルフィルムのポリエステ
ルがテレフタル酸を主とする芳香族ジカルボン酸とエチ
レングリコールを主とするグリコールを主成分とし、重
合触媒としてゲルマニウム化合物を用いた重縮合により
製造されたものであることを特徴とする上記2に記載の
光学フィルター。 5.可視フィルター層を有し、該可視フィルター層が5
60ないし620nm(本明細書では「560nm以上
620nm以下」と同義である)の波長範囲に透過率
0.01〜80%の吸収極大を持つことを特徴とする上
記1〜4のいずれかに記載の光学フィルター。 6.赤外線遮蔽機能および電磁波遮蔽機能のうち少なく
ともいずれかの機能を持つ遮蔽フィルター層を1層以上
有することを特徴とする1〜5のいずれかに記載の光学
フィルター。 7.赤外線遮蔽機能を持つ赤外線遮蔽フィルター層を有
し、該赤外線遮蔽フィルター層が赤外線領域に吸収を有
する染料を含有することを特徴とする上記6に記載の光
学フィルター。 8.赤外線遮蔽フィルター層の赤外線領域に吸収を有す
る染料が750ないし850nm、851ないし950
nmおよび951ないし1100nmの波長範囲にそれ
ぞれ吸収極大を有することを特徴とする上記7に記載の
光学フィルター。 9.ハードコート層を有することを特徴とする上記1〜
8のいずれかに記載の光学フィルター。 10.透明支持体の屈折率より低い屈折率を有する反射
防止層を有することを特徴とする上記1〜9のいずれか
に記載の光学フィルター。 11.可視フィルター層を有し、該可視フィルター層が
560ないし620nmの波長範囲に透過率が0.01
ないし50%の吸収極大を有し、かつ該可視フィルター
層の380ないし440nmの波長範囲における平均透
過率が70%以下であることを特徴とする上記1〜10
のいずれかに記載の光学フィルター。 12.可視フィルター層を有し、該可視フィルター層が
500ないし550nmの波長範囲に透過率が20ない
し85%の吸収極大を、560ないし620nmの波長
範囲に透過率が0.01ないし50%の吸収極大を有す
ることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の光
学フィルター。 13.可視フィルター層を有し、該可視フィルター層が
500ないし550nmの波長範囲に透過率が20ない
し85%の吸収極大を、560ないし620nmの波長
範囲に透過率が0.01ないし50%の吸収極大を有
し、かつ該可視フィルター層の380ないし440nm
の波長範囲における平均透過率が70%以下であること
を特徴とする上記1〜12に記載の光学フィルター。 14.可視フィルター層を有し、該可視フィルター層が
460ないし500nmの波長範囲および500ないし
550nmの波長範囲にいずれも透過率が20ないし8
5%の吸収極大を、560ないし620nmの波長範囲
に透過率が0.01ないし50%の吸収極大をそれぞれ
有し、380ないし440nmの波長範囲における平均
透過率が70%以下であることを特徴とする上記1〜1
3のいずれかに記載の光学フィルター。 15.可視フィルター層の560ないし620nmの波
長範囲の吸収極大の半値幅が50nm以下であることを
特徴とする上記11〜14のいずれかに記載の光学フィ
ルター。 16.光学フィルターを用いた画像表示装置前面を標準
の光D65により照明した場合の画像表示装置前面の色
が、下記式(I)で表される範囲にあることを特徴とす
る上記1〜15のいずれかに記載の光学フィルター。 0≦|a*|≦10、0≦|b*|≦10 (I) ここで、a*およびb*は、各々CIE 1976 L*a*b*色空間に
おけるa*およびb*値を表し、JIS Z 8729に従い表示され
た値である。 17.上記1〜16のいずれかに記載の光学フィルター
を用いたことを特徴とする画像表示装置。 18.プラズマディスプレイパネルであることを特徴と
する上記17に記載の画像表示装置。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の画像表示装置に用いられ
る光学フィルターの代表的な層構成を、図面を参照しな
がら説明する。以下、陰極管表示装置(CRT)、プラ
ズマディスプレイパネル(PDP)などの画像表示装置
用の光学フィルターまたは光学フィルターを有した前面
板として使用する場合の層構成について説明する。
【0007】図1は陰極管表示装置(CRT)またはプ
ラズマディスプレイパネル(PDP)の本体1の前面に
本発明の光学フィルター3または前面板4を用いた場合
の断面概念図である。図1(a)は本体1に、各種のフ
ィルター層やハードコート層、反射防止層等が光学フィ
ルターの支持体の片側または両側に設けられているプラ
スチック支持体を含む光学フィルター3を直貼りした場
合、図1(b)は本体1と前面板4との間に空間があ
り、各種フィルター層やハードコート層、反射防止層か
らなる光学フィルターまたはその一部3が前面板の支持
体の両面に設けられている場合の概念図である。なお、
本発明において、「前面板」とは、各種のフィルター層
やハードコート層、反射防止層からなる光学フィルター
またはその一部を、別の支持体(プラスチックまたは透
明ガラス等)の片側または両側に積層したものであっ
て、ディスプレイ装置と観察者との間に、好ましくはデ
ィスプレイ装置の直前に設置されるものをいう。
【0008】図2は光学フィルターおよび前面板の層構
成の断面模式図の例であるが、無論これらに限定される
のもではない。図2(a)および図2(b)は図1
(a)の配置に対応する光学フィルターの層構成の例で
あり、図2(c)および図2(d)は図1(b)の配置
に対応する前面板の層構成の例である。図2(a)およ
び図2(b)ではプラスチック透明支持体15とハード
コート層14、プラスチック透明支持体15と電磁波遮
蔽層12およびプラスチック透明支持体15と可視フィ
ルター層18との間には十分な接着強度を得るために下
塗り層を設けることが好ましい。赤外線遮蔽機能を有し
ていてもよいプラスチック透明支持体17と可視フィル
ター層18の間および赤外線遮蔽機能を有していてもよ
いプラスチック透明支持体17と赤外線遮蔽層13の間
は両者を境とした片側をそれぞれ別々に作製し、両者を
粘着剤で貼り合わせることもできる。光学フィルターと
画像表示装置本体との間は、例えば市販のアクリル系粘
着剤を用いて容易に接着することができる。図2(c)
および図2(d)ではプラスチック透明支持体15とハ
ードコート層14、赤外線遮蔽機能を有していてもよい
プラスチック透明支持体17と可視フィルター層18、
赤外線遮蔽機能を有していてもよいプラスチック透明支
持体17と反射防止層11および赤外線遮蔽機能を有し
ていてもよいプラスチック透明支持体17と電磁波遮蔽
層12との間には十分な接着強度を得るために下塗り層
を設けることが好ましい。図2(c)ではプラスチック
透明支持体15とガラス透明支持体16の間および可視
フィルター層18と電磁波遮蔽層12との間を両者を境
とした片側をそれぞれ別々に作製し、それぞれ粘着剤で
貼り合わせる方法をとることもできる。図2(d)では
プラスチック透明支持体15とガラス透明支持体16お
よび可視フィルター層18とガラス透明支持体16の間
をそれぞれ粘着剤で貼り合わせる方法をとることもでき
る。
【0009】本発明の光学フィルターは図1および図2
のいずれの構成においても最終的な完成品としての画像
表示装置を前面側から見た場合、色味は無彩色に近いこ
とが好ましい。光学フィルターの無彩色の程度として
は、標準の光D65により照明した場合の画像表示装置
前面の色が下記式(I)で表される範囲であることが好
ましい。 0≦|a*|≦10、0≦|b*|≦10 (I) ここで、a*、b*は、各々CIE 1976 L*a*b*色空間におけ
るa*、b*値を表し、JISZ 8729に従い表示するものとす
る。より好ましくは、−5≦a*≦5、−10≦b*≦0の
範囲である。
【0010】以下、本発明の光学フィルターおよびそれ
を用いた前面板を構成する各材料とその構成について説
明するが無論これらに限定されるものではない。
【0011】(プラスチック透明支持体)プラスチック
透明支持体を形成する材料の例には、セルロースエステ
ル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロー
ス(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセル
ロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセル
ロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステ
ル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,
4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエ
チレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカ
ルボキシレート)、ポリアリレート(例、ビスフェノー
ルAとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例、シンジ
オタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、
アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホ
ン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリ
エーテルイミドおよびポリオキシエチレンが含まれる。
ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレートが好
ましい。ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレ
ンナフタレートが最も好ましい。支持体の厚みは5μm
ないし5cmであることが好ましく、25μmないし1
cmであることがさらに好ましく、50μmないし1.
2mmであることが最も好ましい。
【0012】支持体として用いるプラスチックフィルム
の透過像鮮明度は、フィルム厚み100μmで測定し
て、96.5%以上であることが好ましく、96.7%
以上であることがさらに好ましく、97.0%以上であ
ることが最も好ましい。ここでいう透過像鮮明度は、
「JIS K 7105 プラスチックの光学的特性試験方法
6.6像鮮明度」記載の透過光の像鮮明度をさし、本JIS記
載の方法に従って評価するものとする。透過像鮮明度の
値としては光学くしの幅0.125mmのものを採用するもの
とする。この様な優れた光透過像鮮明度を有する支持体
は、例えばポリエチレンテレフタレートでは特許公報第
2958588号記載の方法によって作成することがで
きる。
【0013】プラスチック透明支持体に赤外線遮蔽機能
を持たせると、光学フィルターに耐候性に優れた赤外線
遮蔽機能を付与できる、該フィルターを安価に製造でき
る、プラスチック透明支持体の取り扱いが容易であるな
どの点において好ましい結果が得られる。以下赤外線遮
蔽機能を有するプラスチック透明支持体について説明す
る。 (赤外線遮蔽機能を有する透明支持体)本発明における
赤外線遮蔽機能とは、800ないし1000nmの近赤
外領域の線スペクトルを遮蔽する機能をいう。この近赤
外領域の線スペクトル遮蔽特性は800ないし1000
nmの平均透過率が50%以下、好ましくは40%以下
である。この赤外線遮蔽効果を付与するには透明プラス
チック支持体に近赤外吸収性化合物を混合する方法を用
いることができる。例えば銅原子を含有する樹脂組成物
(特開平6−118228号公報)、銅化合物、リン化
合物を含有する樹脂組成物(特開昭62−5190号公
報)、銅化合物、チオ尿素誘導体を含有する樹脂組成物
(特開平6−73197号公報)、タングステン系化合
物を含有する樹脂組成物(US3,647,729号公
報)などを形成することによって容易に製造できる。
【0014】近赤外吸収性化合物のバインダーとして用
いる透明支持体の材料としては、セルロースエステル
(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース
(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロ
ース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロ
ース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4
−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカル
ボキシレート)、ポリアリレート(例、ビスフェノール
Aとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例、シンジオ
タクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、ア
クリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエー
テルイミドおよびポリオキシエチレンが含まれる。近赤
外吸収性化合物のバインダー樹脂としては、近赤外吸収
性化合物を熱による劣化を防ぐ観点から、比較的低い温
度で溶融できる樹脂(アクリル等)か、あるいは溶液キ
ャスト法で製膜できる樹脂を用いることが好ましい。
【0015】溶液キャスト法で製膜する樹脂としては共
重合ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレー
ト、トリアセチルセルロースなどが好ましい。もちろん
耐熱性に優れる近赤外吸収性化合物を用いる場合には、
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレー
トなどに溶融混練、製膜し用いる方法も好ましい。支持
体の厚みは100μmないし5cmであることが好まし
く、150μmないし1cmであることがさらに好まし
く、170μmないし3mmであることが最も好まし
い。支持体として用いるプラスチックフィルムの厚み1
00μmでの透過像鮮明度は96.5%以上であることが好
ましく、96.7%以上であることがさらに好ましく、97.0
%以上であることが最も好ましい。以上、赤外線遮蔽機
能を有するプラスチック透明支持体について説明した。
【0016】透明支持体に紫外線吸収剤を添加してもよ
い。紫外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01な
いし20質量%であることが好ましく、0.05ないし
10質量%であることがさらに好ましい。さらに滑り剤
として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加し
てもよい。無機化合物の例には、SiO2、TiO2、B
aSO4、CaCO3、タルクおよびカオリンが含まれ
る。プラスチック透明支持体には表面処理を施すことが
好ましい。表面処理の中でもコロナ処理、紫外線処理、
グロー処理、火焔処理が特に有効である。これらについ
ては「発明協会公開技法 公技番号94−6023号」
に記載の方法に従って実施することができる。
【0017】またプラスチック透明支持体には帯電防止
層を付与することが好ましい。帯電防止剤としては、金
属酸化物、導電性金属、炭素繊維、π共役系高分子(ポ
リアリーレンビニレン等)イオン性化合物などを挙げる
ことができ、体積抵抗率が107Ωcm以下、より好ま
しくは106Ωcm以下、さらに好ましくは105Ωcm
以下のものである。導電性金属酸化物及びその誘導体、
などであり、この中でも特に好ましく用いられる導電性
材料は結晶性の金属酸化物粒子であり、ZnO、TiO
2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、
BaO、MoO3、V25が挙げられ、特に好ましいも
のは、SnO2を主成分とし酸化アンチモン約5〜20
%を含有させ及び/又はさらに他成分(例えば酸化珪
素、ホウ素、リンなど)を含有させたものである。これ
らの導電性素材および塗設方法の詳細はは「発明協会公
開技法 公技番号94−6023号」に記載されてお
り、これに従って実施することができる。
【0018】更に、透明支持体の上に積層する層との密
着を向上させるため、一層以上の下塗り層を設けること
ができる。下塗り層の素材としては塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル、
ビニルエステル等の共重合体或いはラテックス、ゼラチ
ン等の水溶性ポリマーなどが挙げられる。
【0019】(ハードコート層)透明プラスチック支持
体上にハードコート層を設けることにより、光学フィル
ターの表面硬度が向上し、傷がつきにくく長期間に渡っ
て明るく、くっきりした画像を見ることができる点にお
いて好ましい結果が得られる。ハードコート層の形成に
は公知の硬化性樹脂を用いることができる。硬化性樹脂
としては、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線重合性樹脂
等があるが、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。熱
硬化性樹脂としてはメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂等のプレポリマーの架橋反応を利用するものが
ある。
【0020】活性エネルギー線としては、放射線、ガン
マー線、アルファー線、電子線、紫外線等が挙げられる
が、紫外線が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂層
は、架橋しているポリマーを含む。架橋しているポリマ
ーを含む活性エネルギー線硬化層は、多官能モノマーと
重合開始剤を含む塗布液を上記の透明基材フィルム上に
塗布し、多官能モノマーを重合させることにより形成で
きる。これらのモノマーの官能基としては、エチレン性
不飽和二重結合基が好ましい。
【0021】上記多官能モノマーは、多価アルコールと
アクリル酸またはメタクリル酸とのエステルであること
が好ましい。多価アルコールの例には、エチレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサノール、ペンタエリスリト
ール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチ
ロールエタン、ジペンタエリスリトール、1,2,4−
シクロヘキサノール、ポリウレタンポリオールおよびポ
リエステルポリオールが含まれる。これらの中では、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトールおよびポリウレタンポリオールが好ま
しい。2種類以上の多官能モノマーを併用してもよい。
【0022】これらの活性エネルギー線硬化層に、無機
微粒子を添加することで膜としての架橋収縮率を改良
し、塗膜の硬度を上げることができる。無機微粒子とし
ては硬度が高いものが好ましく、モース硬度が6以上の
無機粒子が好ましい。例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸
化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウ
ム粒子が含まれる。
【0023】これらの無機微粒子の平均粒子径は、1n
mないし400nm、より好ましくは5nmないし20
0nm、さらに好ましくは10nmないし100nmで
ある。平均粒子径が1nm未満では分散が難しく凝集粒
子ができ、400nmを越えるとヘイズが大きくなり、
どちらも透明性を落としてしまい好ましくない。このよ
うな無機微粒子を、好ましくは10質量%ないし60質
量%、より好ましくは15質量%ないし50質量%、よ
り好ましくは20質量%ないし45質量%添加する。
【0024】一般に無機微粒子は、バインダーポリマー
との親和性が悪いため単に両者を混合するだけでは界面
が破壊しやすく、膜として割れ、耐傷性を改善すること
は困難である。無機微粒子とポリマーバインダーとの親
和性を改良するため、無機微粒子表面を有機セグメント
を含む表面修飾剤(表面処理剤)で処理することができ
る。表面修飾剤は、一方で無機微粒子と結合を形成し、
他方でバインダーポリマーと高い親和性を有することが
望ましい。金属と結合を生成し得る官能基としては、シ
ラン、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム等の金
属のアルコキシド化合物や、リン酸、スルホン酸、カル
ボン酸基等のアニオン性基を有する化合物が好ましい。
また、バインダーポリマーとは化学的に結合させること
が好ましく、末端にビニル性重合基等を導入したものが
好適である。例えば、エチレン性不飽和基を重合性基お
よび架橋性基として有するモノマーからバインダーポリ
マーが製造されている場合は、上記金属アルコキシド化
合物またはアニオン性を有する化合物は、その末端にエ
チレン性不飽和基を有していることが好ましい。このよ
うなハードコート層処方によればハードコート層の割れ
やプラスチック支持体とのはがれなどの弊害を発生する
ことなく、優れた表面硬度を得ることができる。例えば
鉛筆硬度試験で4H以上の硬度を容易に達成することが
できる。鉛筆硬度試験は、JIS−S−6006が規定
する試験用鉛筆を用い、JIS−K−5400が規定す
る鉛筆硬度評価方法に従い行うことができる。評価結果
の値は9.8Nの加重にて傷が全く認められない鉛筆硬
度の値である。
【0025】以下、上記有機金属化合物の表面修飾剤を
例示する。 a)シラン含有有機化合物 a−1 H2C=CHCOOC48OSi(OC493 a−2 (H2C=CHCOOC48O)2Si(OC492 a−3 (H2C=CHCOOC48O)3SiOC49 a−4 H2C=CHCOOC36OSi(OC493 a−5 (H2C=CHCOOC36O)2Si(OC492 a−6 (H2C=CHCOOC36O)3SiOC49
【0026】 b)アルミニウム含有有機化合物例 b−1 H2C=CHCOOC48OAl(OC492 b−2 H2C=CHCOOC36OAl(OC372 b−3 H2C=CHCOOC24OAl(OC252 b−4 H2C=CHCOOC24OC24OAl(OC24OC252 b−5 H2C=C(CH3)COOC48OAl(OC492 b−6 H2C=CHCOOC48OAl(OC49)OC48COOCH=C H2 b−7 H2C=CHCOOC24OAl{O(1,4−ph)CH32
【0027】 c)ジルコニウム含有有機化合物 c−1 H2C=CHCOOC48OZr(OC493 c−2 H2C=CHCOOC37OZr(OC373 c−3 H2C=CHCOOC24OZr(OC253 c−4 H2C=C(CH3)COOC48OZr(OC493 c−5 {CH2=C(CH3)COO}2Zr(OC492
【0028】 d)チタニウム含有有機化合物 d−1 {H2C=C(CH3)COO}3TiOC24OC24OCH3 d−2 Ti{OCH2C(CH2OC24CH=CH22254 d−3 H2C=CHCOOC48OTi(OC493 d−4 H2C=CHCOOC37OTi(OC373 d−5 H2C=CHCOOC24OTi(OC253 d−6 H2C=CHCOOSiOTi(OSiCH33 d−7 H2C=C(CH3)COOC48OTi(OC493
【0029】 アニオン性官能基含有表面処理剤例 e)リン酸基含有有機化合物例 e−1 H2C=C(CH3)COOC24OPO(OH)2 e−2 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OPO(OH)2 e−3 H2C=CHCOOC24OCOC510OPO(OH)2 e−4 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OPO(OH)2 e−5 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OPOCl2 e−6 H2C=C(CH3)COOC24CH[OPO(OH)2]2 e−7 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OPO(ONa)2 e−8 H2C=CHCOOC24OCO(1,4−ph)C510OPO(OH)2 e−9 (H2C=C(CH3COO)2CHC24OCOC510OPO(OH)2
【0030】 f)スルホン酸基含有有機化合物例 f−1 H2C=C(CH3)COOC24OSO3H f−2 H2C=C(CH3)COOC36SO3H f−3 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OSO3H f−4 H2C=CHCOOC24OCOC510OSO3H f−5 H2C=CHCOOC1224(1,4−ph)SO3H f−6 H2C=C(CH3)COOC24OCOC510OSO3Na
【0031】 g)カルボン酸基含有有機化合物例 g−1 H2C=CHCOO(C510COO)2H g−2 H2C=CHCOOC510COOH g−3 H2C=CHCOOC24OCO(1,2−ph)COOH g−4 H2C=CHCOO(C24COO)2H g−5 H2C=C(CH)COOC5H10COOH g−6 H2C=CHCOOC24COOH ここでphはフェニレン基を示す。
【0032】これらの無機微粒子の表面修飾は、溶液中
でなされることが好ましい。表面修飾剤を溶解した溶液
に無機微粒子を添加し、超音波、スターラー、ホモジナ
イザー、ディゾルバー、サンドグラインダーを用いて、
撹拌、分散することが好ましい。
【0033】表面修飾剤を溶解する溶液としては、極性
の大きな有機溶剤が好ましい。具体的には、アルコー
ル、ケトン、エステル等の公知の溶剤が挙げられる。
【0034】表面修飾した無機微粒子溶液に、上記の多
官能モノマーと重合開始剤を加え活性エネルギー線硬化
塗布液とする。
【0035】光重合開始剤の例としては、アセトフェノ
ン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイ
ルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アミロキシムエス
テル、テトラメチルチウラムモノサルファイドおよびチ
オキサントン類が含まれる。光重合開始剤に加えて、光
増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチル
アミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、およびチオキサントンが含まれる。
【0036】光重合開始剤は、多官能モノマー100重
量部に対して、0.1ないし15重量部の範囲で使用す
ることが好ましく、1ないし10重量部の範囲で使用す
ることがさらに好ましい。光重合反応は、活性エネルギ
ー線硬化層の塗布および乾燥後、紫外線照射により実施
することが好ましい。
【0037】本発明のハードコートフィルムの作製は、
透明支持体上に活性エネルギー線硬化塗料をディッピン
グ法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、グ
ラビア法、ワイヤーバー法等の公知の薄膜形成方法で形
成、乾燥、活性エネルギー線照射して作製することがで
きる。
【0038】(可視フィルター層)可視フィルター層と
は、可視光(波長範囲380〜780nm)を選択的に
吸収する層をいう。可視フィルター層の厚さは0.1μ
mないし5cmであることが好ましく、0.5μmない
し1cmであることがさらに好ましく、1μmないし7
mmであることが最も好ましい。可視フィルター層は5
60ないし620nmの波長範囲に吸収極大を持つこと
が好ましく、より好ましくは580ないし600nmの
波長範囲に吸収極大をもつことである。また、500な
いし550nmの波長範囲に吸収極大を持っていてもよ
い。500ないし550nmの波長範囲の透過率は20
ないし85%の範囲であることが好ましく、より好まし
くは40ないし85%の範囲である。500ないし55
0nmの波長範囲の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光
体の発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体
の発光域は、なだらかにカットすることが好ましい。5
00ないし550nmの波長範囲の吸収極大での半値幅
(吸収極大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の
幅)は、30ないし300nmであることが望ましく、
40ないし300nmであることがより好ましく、50
ないし150nmであることがさらに好ましく、60な
いし150nmであることが最も好ましい。
【0039】560ないし620nmの波長範囲の吸収
極大での透過率は、0.01ないし50%の範囲である
ことが望ましく、より好ましくは0.01ないし40%
の範囲である。560ないし620nmの波長範囲の吸
収極大は、赤色蛍光体の色純度を低下させているサブバ
ンドを選択的にカットするために設定される。PDPに
おいては、ネオンの励起によって放出される585nm
付近の不要な発光をカットすると同時に赤色蛍光体から
の短波側の光をカットする。本発明により吸収極大を分
離したことで、緑の蛍光体の色調に悪影響を与えること
無く、選択的に光をカットできる。緑の蛍光体の色調へ
の影響をさらに低下させるため、吸収スペクトルのピー
クをシャープにすることが好ましい。具体的には、56
0ないし620nmの波長範囲の吸収極大での半値幅
は、5ないし200nmであることが望ましく、10な
いし100nmであることがより好ましく、12ないし
50nmであることが最も好ましい。
【0040】460ないし500nmの波長範囲の吸収
極大での透過率は、20ないし85%の範囲であること
が望ましく、より好ましくは40ないし85%の範囲で
ある。460ないし500nmの波長範囲の吸収極大
は、可視フィルターの着色を抑え、無彩色化するために
設定される。輝度や色補正機能への悪影響を低下させる
ため、吸収スペクトルのピークをシャープにすることが
好ましい。具体的には、460ないし500nmの波長
範囲の吸収極大での半値幅は、5ないし200nmであ
ることが望ましく、10ないし150nmであることが
より好ましく、15ないし100nmであることが最も
好ましい。
【0041】380ないし440nmの波長範囲におけ
る平均透過率T1は次の式により定義される。
【0042】
【数1】
【0043】式中、T(375+5n)は波長(375
+5n)nmにおける透過率(%)を示す。
【0044】380ないし440nmの波長範囲におけ
る平均透過率は70%以下であることが好ましく、より
好ましくは60%以下である。更に詳しくは、380な
いし440nmの波長範囲における平均透過率は、1な
いし70%が好ましく、より好ましくは5ないし60%
であり、最も好ましくは10ないし50%である。38
0ないし440nmの波長範囲の吸収は、可視フィルタ
ー自体の青みの着色を抑え、無彩色化するために設定さ
れる。
【0045】640ないし780nmの波長範囲におけ
る平均透過率T2は次の式により定義される。
【0046】
【数2】
【0047】式中、T(635+5n)は波長(635+
5n)nmにおける透過率(%)を表す。
【0048】640ないし780nmの波長範囲におけ
る平均透過率は70%以下であることが好ましく、より
好ましくは60%以下である。さらに詳しくは、この平
均透過率は1ないし70%が好ましく、さらに好ましく
は5ないし60%であり、最も好ましくは10ないし5
0%である。波長が640ないし780nmの範囲の吸
収は、可視フィルター自体の赤みの着色を抑え、無彩色
化するために設定する。
【0049】380ないし440nmの波長範囲と64
0ないし780nmの波長範囲における平均透過率の調
整は、光学フィルター自体の色味ができるだけ無彩色に
近づくようにいずれかの範囲または両方の範囲を上記範
囲に調整する。560ないし620nmの波長範囲にお
ける吸収極大の位置およびその透過率、500ないし5
50nmの波長範囲における吸収極大の位置およびその
透過率ならびに両吸収の位置関係や吸収強度の強度比に
よって光学フィルター自体の色味は微妙に変化する。し
たがって、380ないし440nmの波長範囲と640
ないし780nmの波長範囲における透過率の調整は光
学フィルター設計仕様ごとに実施する必要がある。輝度
を低下させたり色補正機能への悪影響を最小限に抑える
ために透過率を調整する場合、440nm前後の透過率
の変化はできるだけ急峻であることが望ましく、445
nmでの透過率は好ましくは75%以上、さらに好まし
くは80%以上である。同様に640nm前後の透過率
の変化はできるだけ急峻であることが望ましく、635
nmでの透過率は好ましくは75%以上、さらに好まし
くは80%以上である。
【0050】上記の吸収スペクトルを付与するために、
色素(染料または顔料)を用いて、フィルター層を形成
することができる。500ないし550nmの波長範囲
に吸収極大を持つ染料としては、スクアリリウム系、ア
ゾメチン系、シアニン系、オキソノール系、アントラキ
ノン系、アゾ系またはベンジリデン系の化合物が好まし
く用いられる。アゾ染料としては、GB539703
号、同575691号、US2,956,879号およ
び堀口博著「総説合成染料」三共出版などに記載の多く
のアゾ染料を使用することができる。波長が500ない
し550nmの範囲に吸収極大を持つ染料の例を以下に
示す。
【0051】
【化1】
【0052】
【化2】
【0053】
【化3】
【0054】560ないし620nmの波長範囲に吸収
極大を持つ染料としては、シアニン系、スクアリリウム
系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系また
はアゾ系の化合物が好ましく用いられる。560ないし
620nmの波長範囲に吸収極大を持つ染料の例を以下
に示す。
【0055】
【化4】
【0056】
【化5】
【0057】
【化6】
【0058】また、500ないし550nmの波長範囲
と560ないし620nmの波長範囲の両方に吸収極大
を持つ染料を可視フィルター層に用いることもできる。
例えば、染料を微粒子分散物のような会合体の状態にす
ると、一般に波長が長波長側にシフトして、ピークがシ
ャープになる。そのため、500ないし550nmの波
長範囲に吸収極大を持つ染料には、その会合体が560
ないし620nmの範囲に吸収極大を持つものもある。
そのような染料が部分的に会合体を形成した状態で使用
すると、500ないし550nmの波長範囲と560な
いし620nmの波長範囲の両方に吸収極大を得ること
ができる。そのような染料の例を以下に示す。
【0059】
【化7】
【0060】460ないし500nmの波長範囲に吸収
を持つ染料としては、メチン系、アントラキノン系、キ
ノン系、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染
料、キサンテン染料、アゾ系、アゾメチン系の化合物が
好ましく用いられる。メチン系としてはシアニン系、メ
ロシアニン系、オキソノール系、アリーリデン系、スチ
リル系などを挙げることができる。460ないし500
nmの波長範囲に吸収を持つ染料の例を以下に示す。
【0061】
【化8】
【0062】380ないし440nmの波長範囲に吸収
を持つ染料としては、メチン系、アントラキノン系、キ
ノン系、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染
料、キサンテン染料、アゾ系、アゾメチン系の化合物が
好ましく用いられる。メチン系としてはシアニン系、メ
ロシアニン系、オキソノール系、アリーリデン系、スチ
リル系などを挙げることができる。380ないし440
nmの波長範囲に吸収を持つ染料の例を以下に示す。
【0063】
【化9】
【0064】
【化10】
【0065】640ないし780nmの波長範囲に吸収
を持つ染料としては、シアニン系、スクアリリウム系、
アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系、アゾ
系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系、キサン
テン系、Cu−フタロシアニン系、フェノチアジン系ま
たはフェノキサジン系などの化合物が好ましく用いられ
る。640ないし780nmの波長範囲に吸収を持つ染
料の例を以下に示す。
【0066】
【化11】
【0067】フィルター層には、以上に記載した、波長
吸収範囲がほぼ同一である、または異なる、2種または
3種類以上の染料を組み合わせて用いることができる。
【0068】(バインダー)可視フィルター層は、染料
のほかに適当なバインダーを含むことが好ましく、特に
好ましくはポリマーバインダーを含む。天然ポリマー
(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)また
は合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリ
ビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
アルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコ
ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポ
リアミド)をポリマーバインダーとして用いることがで
きる。親水性ポリマー(上記天然ポリマー、ポリビニル
ブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコー
ル、水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
【0069】(下塗り層)本発明の光学フィルターで
は、前述の、又は、後述の、ハードコート層、反射防止
層、可視フィルター層、赤外線遮蔽層、電磁波遮蔽層を
支持体上に設けることができ、この場合には支持体とこ
れらの機能層との間に、1層又は2層以上の下塗り層を
設けることができる。この下塗り層としては、25℃に
おける弾性率が1000MPa以下1MPa以上、好ま
しくは800MPa以下5MPa以上、さらに好ましく
は500MPa以下10MPa以上の柔らかいポリマー
が好ましい。またその厚みとしては好ましくは2nmな
いし20μm、さらに好ましくは5nmないし5μm、
最も好ましくは50nmないし1μmである。本発明の
下塗り層に使用される好ましいポリマーは、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプ
レン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチル
ビニルエーテルいずれかの単独重合体またはこれらのビ
ニルモノマーよりなる群より選ばれた2種以上のモノマ
ーを共重合したコポリマー(共重合体)である。
【0070】(反射防止層)反射防止層とは、正反射率
が3.0%以下の層を意味し、好ましくは1.8%以下
の正反射率を有する層である。反射防止層としては通常
低屈折率層を設けることが有用である。低屈折率層の屈
折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率
層の屈折率は、1.20ないし1.55であることが好
ましく、1.30ないし1.50であることがさらに好
ましい。低屈折率層の厚さは、50ないし400nmで
あることが好ましく、50ないし200nmであること
がさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ
素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特
開平3−130103号、同6−115023号、同8
−313702号、同7−168004号の各公報記
載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208
811号、同6−299091号、同7−168003
号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭6
0−59250号、特開平5−13021号、同6−5
6478号、同7−92306号、同9−288201
号の各公報に記載)として形成することができる。微粒
子を含む層では、微粒子間または微粒子内のミクロボイ
ドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。
微粒子を含む層は、3ないし50体積%の空隙率を有す
ることが好ましく、5ないし35体積%の空隙率を有す
ることがさらに好ましい。
【0071】広い波長領域の反射を防止するためには、
低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率
層)を積層することが好ましい。中・高屈折率層は、本
発明の下塗り層よりも高い屈折率を持つ層であり、中・
高屈折率層を併用することにより、低屈折率層のみを用
いた場合よりも広い範囲で、高い反射防止効果を有す
る。高屈折率層の屈折率は、1.65ないし2.40で
あることが好ましく、1.70ないし2.20であるこ
とがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率
層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるよ
うに調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50ないし
1.90であることが好ましい。中・高屈折率層の厚さ
は、5nmないし100μmであることが好ましく、1
0nmないし10μmであることがさらに好ましく、3
0nmないし1μmであることが最も好ましい。中・高
屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、
3%以下であることがさらに好ましく、1%以下である
ことが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈
折率を有するポリマーを用いて形成することができる。
屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレ
ン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香
族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポ
リウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環
式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロ
ゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高
い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノ
マーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
【0072】さらに高い屈折率を得るため、上記ポリマ
ー(ポリマーバインダー)中に無機微粒子を分散しても
よい。無機微粒子の屈折率は、1.80ないし2.80
であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物ま
たは硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物
または硫化物の例には、二酸化チタン(例、ルチル、ル
チル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構
造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコ
ニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫
および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、
これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さら
に他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構
成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意
味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、
Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Z
n、Al、Mg、Si、PおよびSが含まれる。被膜形
成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機
材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、
配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合
物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形
成することもできる。
【0073】(電磁波遮蔽層)本発明において電磁波遮
断効果を有する層の表面抵抗は0.01ないし500Ω
/□、より好ましくは0.01ないし10Ω/□であ
る。電磁波遮蔽効果を付与するには、前面板の可視光透
過率を低下させないため透明導電層を用いることが好ま
しい。透明導電層としては、金属層、金属酸化物層、導
電性ポリマー層等を挙げるこができる。透明導電層を形
成する金属としては、例えば銀、パラジウム、金、白
金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケ
ル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステン、イリジ
ウム、鉛単独もしくはこれらの合金を挙げることができ
るが、好ましくは銀、パラジウム、金、白金、ロジウム
単独もしくはこれらの合金である。ここで銀とパラジウ
ムの合金が好ましく、このとき銀の含有率は60%ない
し99%が好ましく、80%ないし98%が更に好まし
い。金属層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜4
0nmが更に好ましく、10〜30nmが最も好まし
い。膜厚が1nm未満では電磁波遮蔽効果が乏しく、1
00nmを超えると可視光線の透過率が低下する。透明
導電層を形成する金属酸化物としては、例えば酸化錫、
酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、
ATOなどを挙げることができる。この膜厚は20〜1
000nmが好ましい。さらに好ましくは40〜100
nmである。これら金属透明導電層と酸化物透明導電層
を合わせて用いるのも好ましい。また、同一層内に金属
と導電性金属酸化物が共存することも好ましい。
【0074】金属層の保護、酸化劣化防止および可視光
線の透過率を高めるために透明酸化物層を積層すること
ができる。この透明酸化物層は導電性があってもなくて
もかまわない。透明酸化物層としては例えば2〜4価金
属の酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグ
ネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび金属ア
ルコキサイド化合物等の薄膜が挙げられる。透明導電
層、透明酸化物層を形成する方法としては特に制限はな
く、任意の加工処理方法を選択することが可能である。
例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーテ
ィング法、プラズマCVD法あるいはPVD法、該当す
る金属あるいは金属酸化物の超微粒子の塗布等いずれの
公知技術も用いることが可能である。
【0075】電磁波遮蔽効果を付与する別の方法として
金属メッシュを用いる方法がある。これは支持体全面に
細く金属を格子状に配置させたものであり、透明導電性
層に比べて透明性にやや劣るものの導電性に優れ、優れ
た電磁波遮蔽能力をもつ。この方法を単独で、あるいは
透明導電層と併用し、目的に応じて電磁波遮蔽能力を調
整して用いることもできる。金属メッシュとしては金属
薄膜から形成するメッシュが好ましい。金属薄膜からな
るメッシュは透明支持体上に金属薄膜を形成した後、フ
ォトリソグラフィー法によりエッチング加工する。具体
的には感光性樹脂を塗布し所定の形状のマスクをかけ露
光、現像し、レジスト層を形成し、更にレジストに覆わ
れていない部分をエッチングにより除去することで作製
される。薄膜の形成には金属箔を貼り合わせる方法、電
解メッキ法、無電解メッキ法、蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法などで形成することが好ま
しく、更に好ましくは無電解メッキ法、無電解メッキ後
電解メッキする方法である。金属薄膜からなるメッシュ
の線巾は15μm以下であることが好ましく、更に好ま
しくは9μm以下であり、特に好ましくは7μm以下で
ある。金属線の厚みとしては0.1μmないし10μm
が好ましく、更に好ましくは1μmないし7μmであ
り、特に好ましくは1μmないし5μmである。金属の
材質としては金、銀、銅、白金、ニッケル、クロム、ス
ズ、ロジウム、イリジウム、パラジウムが好ましく、更
に好ましくは金、銀、銅、ニッケル、クロム、スズ、パ
ラジウムであり、特に好ましくは銅、ニッケル、スズで
ある。これら金属は単独で用いても良いし、2種以上用
いても良い。2種以上用いる場合は、合金化しても良い
し、積層して用いても良い。金属の好ましい組み合わせ
としては銅とニッケルである。また、金属薄膜上に黒色
レジストを形成した後にエッチングすることなどで金属
線を黒化処理することもできる。開口率としては60%
以上が好ましく、さらに好ましくは75%以上であり、
特に好ましくは85%以上である。エッチングする形状
としてはランダム形であることが好ましい。ランダムの
形状としては同一の多角形からなるもの、2種以上の多
角形が組み合わされてなるもの、曲線からなるもの、曲
線と直線を組み合わせたものが挙げられるが製造の容易
さから同一の多角形からなるものであることが好まし
い。ランダムな形状とするには、規則的に配列された格
子パターンの交点をランダムに再配置することで形成さ
れる。交点の再配置はランダムに行うことができるが、
一定の範囲内で行われることが好ましい。
【0076】(赤外線遮蔽フィルター層)赤外線遮蔽機
能を持つ遮蔽フィルター層(赤外線遮蔽フィルター層)
は750ないし850nm、851nmないし950n
mおよび951ないし1100nmに、さらに好ましく
は、790ないし845nm、860ないし945nm
および960ないし1050nmに、最も好ましくは、
800ないし840nm、870ないし940nmおよ
び970ないし1030nmにそれぞれ光吸収の極大を
有しており、その透過率は極大の波長においてそれぞれ
0.01%〜30%の間であり、好ましくは0.05%
〜20%の間であり、最も好ましくは、0.1〜10%
の間である。赤外線遮蔽フィルター層は、前述した可視
フィルター層と同様に、色素(染料または顔料)を用い
て形成することができる。
【0077】上記の波長が750〜1100nmの範囲
に吸収極大を示す染料の吸収スペクトルは、蛍光体の輝
度を下げることのないよう、可視域(400〜700n
m)の副吸収が少ないほうが好ましい。好ましい吸収波
形を得るために、会合状態にある染料を用いることが特
に好ましい。会合状態の染料は、いわゆるJバンドを形
成するため、 シャープな吸収スペクトルピークを示
す。 染料の会合とJバンドについては、 文献 ( 例え
ば、Photographic Science and Engineering Vol 18,No
323-335(1974))に詳細がある。J会合状態の染料の吸
収極大は、溶液状態の染料の吸収極大よりも長波側に移
動する。従って、フィルター層に含まれる染料が会合状
態であるか、非会合状態であるかは、吸収極大を測定す
ることで容易に判断できる。本明細書では、溶液状態の
染料の吸収極大より30nm以上長波長側に移動してい
る状態を会合状態と称する。会合状態の染料では、吸収
極大の移動が30nm以上であることが好ましく、40
nm以上であることがさらに好ましく、45nm以上で
あることが最も好ましい。染料には、水に溶解するだけ
で会合体が形成する化合物もある。但し、一般には、染
料の水溶液にゼラチンまたは塩(例、塩化バリウム、塩
化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム)を添加
して会合体を形成する。染料の水溶液にゼラチンを添加
する方法が特に好ましい。染料の会合体は、染料の固体
微粒子分散物として形成することもできる。固体微粒子
分散物にするためには、公知の分散機を用いることがで
きる。分散機の例には、ボールミル、振動ボールミル、
遊星ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェット
ミル及びローラミルが含まれる。分散機については、特
開昭52ー92716号及び国際特許88/07479
4号に記載がある。縦型又は横型の媒体分散機が好まし
い。分散は、適当な媒体(例、水、アルコール)の存在
下で実施してもよい。分散用界面活性剤を用いることが
好ましい。分散用界面活性剤としては、アニオン界面活
性剤(特開昭52ー92716号及び国際特許88/0
74794号に記載)が好ましく用いられる。必要に応
じてアニオン性ポリマー、ノニオン性界面活性剤あるい
はカチオン性界面活性剤を用いてもよい。染料を適当な
溶媒中に溶解した後、その貧溶媒を添加して、微粒子状
の粉末を得てもよい。この場合も、上記の分散用界面活
性剤を用いてもよい。あるいはpHを調整することによ
って溶解し、次にpHを変化させて染料の微結晶を析出
させてもよい。この微結晶も染料の会合体である。会合
状態の染料が微粒子(または微結晶)である場合、平均
粒径は0.01ないし10μmであることが好ましい。
会合状態で使用する染料は、メチン染料(例えば、シア
ニン、メロシアニン、オキソノール、スチリル)である
ことが好ましく、シアニン染料またはオキソノール染料
であることが最も好ましい。
【0078】シアニン染料は、下記式で定義される。 Bs=Lo−Bo 式中、Bsは、塩基性核であり、Boは、塩基性核のオ
ニウム体であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。さらに、下記式(1)で表されるシアニン
染料は、特に会合状態で、好ましく用いることができ
る。
【0079】
【化12】
【0080】式(1)において、Z1及びZ2は、それぞ
れ独立に、5員又は6員の含窒素複素環を形成する非金
属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香
族環または脂肪族環が縮合してもよい。含窒素複素環お
よびその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオキサ
ゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール
環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフ
ラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチ
アゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、
イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダ
ゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン
環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキ
サリン環、およびキノキサリン環等が含まれる。含窒素
複素環は、6員環より5員環の方が好ましい。5員の含
窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環縮合している
のがさらに好ましい。ベンゾチアゾール環、ナフトチア
ゾール環、インドレニン環またはベンゾインドレニン環
が好ましい。
【0081】含窒素複素環及びそれに縮合している環
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロ
ゲン原子、シアノ、ニトロ、脂肪族基、芳香族基、複素
環基、−OR10、−COR11、−COOR12、−OCO
13、−NR1415、−NHCOR16、−CONR17
18、NHCONR1920、NHCOOR21、−SR22
−SO223、−SO2OR24、−NHSO225または
−SO2NR2627である。R10〜R27は、それぞれ独
立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基で
ある。なお、−COOR12のR12が水素の場合、すなわ
ちカルボキシルの場合、および−SO2OR24のR24
水素原子の場合、すわちスルホの場合は、水素原子が解
離していても、塩の状態であってもよい。
【0082】上記肪族族基は、アルキル基、アルケニル
基、アルキニル基またはアラルキル基を包含する。これ
らの基は置換基を有していてもよい。アルキル基は、環
状であっても鎖状であってもよい。鎖状アルキル基は、
分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、
1ないし20が好ましく、1ないし12であることがさ
らに好ましく、1ないし8であることが最も好ましい。
アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソ
プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シク
ロヘキシルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。置換
アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様で
ある。置換アルキル基の置換基としては、Z1及びZ2
含窒素複素環の置換基と同じである(但し、シアノ基お
よびニトロ基は除く)。置換アルキル基の例には、2−
ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、2−メトキ
シエチル、2−ジエチルアミノエチル、3−スルホプロ
ピルおよび4−スルホブチルが含まれる。
【0083】アルケニル基は、環状であっても鎖状であ
ってもよい。鎖状アルケニル基は、分基を有していても
よい。アルケニル基の炭素原子数は、2ないし20が好
ましく、2ないし12がさらに好ましく、2ないし8が
最も好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリ
ル、1−プロペニル、2ーブテニル、2−ペンテニル及
び2−ヘキセニルが含まれる。置換アルケニル基のアル
ケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換ア
ルケニル基の置換基は、アルキル基の置換基と同じであ
る。アルキニル基は、環状であっても鎖状であってもよ
い。鎖状アルキニル基は、分基を有していてもよい。ア
ルキニル基の炭素原子数は、2ないし20が好ましく、
2ないし12がさらに好ましく、2ないし8が最も好ま
しい。アルキニル基の例には、エチニルおよび2−プロ
ピニルが含まれる。置換アルキニル基のアルキニル部分
は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基
の置換基は、アルキル基の置換基と同じである。アラル
キル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様であ
る。アラルキル基のアリール部分は、後述するアリール
基と同様である。アラルキル基の例には、ベンジルおよ
びフェネチルが含まれる。置換アラルキル基のアラルキ
ル部分は、上記アラルキル基と同様である。置換アラル
キル基のアリール部分は、後述するアリール基と同様で
ある。
【0084】本発明において、芳香族基は、アリール基
または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原
子数は、6ないし25であることが好ましく、6ないし
15であることがさらに好ましく、6ないし10である
ことが最も好ましい。アリール基の例には、フェニルお
よびナフチルが含まれる。置換アリール基の置換基の例
は、Z1及びZ2の含窒素複素環の置換基と同じである。
置換アリール基の例には、4−カルボキシフェニル、4
−アセトアミドフェニル、3−メタンスルホンアミドフ
ェニル、4−メトキシフェニル、3−カルボキシフェニ
ル、3,5−ジカルボキシフェニル、4−メタンスルホ
ンアミドフェニルおよび4−ブタンスルホンアミドフェ
ニルが含まれる。
【0085】本発明において、複素環基は、置換基を有
していてもよい。複素環基の複素環は、5または6員環
であることが好ましい。複素環に、脂肪族環、芳香族環
または他の複素環が縮合していてもよい。複素環(縮合
環を含む)の例には、ピリジン環、ピペリジン環、フラ
ン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノ
リン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール
環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン
環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、
ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環および
チアジアゾール環が含まれる。複素環の置換基は、Z1
及びZ2の含窒素複素環の置換基と同じである。
【0086】式(1)のR1およびR2で表される脂肪族
基および芳香族基は前述と同じである。L1は奇数個の
メチンからなるメチン鎖であり、5個または7個が好ま
しい。メチン基は置換基を有していてもよい。置換基を
有するメチン基は中央の(メソ位の)メチン基であるこ
とが好ましい。置換基の例としては、Z1及びZ2の含窒
素複素環の置換基と同様である。また、メチン鎖の二つ
の置換基が結合して5または6員環を形成しても良い。
【0087】a,b及びcは、それぞれ独立に0又は1
である。aおよびbは、0であることが好ましい。cは
シアニン染料がスルホやカルボキシルのようなアニオン
性置換基を有して分子内塩を形成する場合は、0であ
る。X1はアニオンである。アニオンの例としては、ハ
ライドイオン(Cl-、Br -、I-)、p−トルエンス
ルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、PF6 -,BF4 -
たはClO4 -が含まれる。本発明のシアニン染料は、カ
ルボキシル基またはスルホ基を含むことが好ましい。シ
アニン染料の具体例を示す。
【0088】
【化13】
【0089】
【化14】
【0090】
【化15】
【0091】
【化16】
【0092】
【化17】
【0093】オキソノール染料は、下記式で定義され
る。 Ak=Lo−Ae 式中、Akは、ケト型酸性核であり、Aeは、エノール
型酸性核であり、Loは、奇数個のメチンからなるメチ
ン鎖である。下記式一般式(2)で表されるオキソノー
ル染料は、(特に会合状態で)好ましく用いることがで
きる。
【0094】
【化18】
【0095】一般式(2)において、Y1およびY2は、
それぞれ独立に、脂肪族環または複素環を形成する非金
属原子群である。複素環が好ましい。脂肪族環の例に
は、インダンジオン環が含まれる。複素環の例には、5
−ピラゾロン環、イソオキサゾロン環、バルビツール酸
環、ピリドン環、ローダニン環、ピラゾリジンジオン
環、ピラゾロピリドン環およびメルドラム酸環が含まれ
る。脂肪族環および複素環は置換基を有していてもよ
い。置換基は前述のZ1及びZ2の含窒素複素環の置換基
と同様である。5−ピラゾロン環およびバルビツール酸
環が好ましい。L2は、奇数個のメチンからなるメチン
鎖である。メチンの数は3、5または7個であることが
好ましく、5個が最も好ましい。メチン基は置換基を有
していてもよい。置換基を有するメチン基は中央の(メ
ソ位の)メチン基であることが好ましい。置換基の例と
しては、前述のアルキル基の置換基と同様である。ま
た、メチン鎖の二つの置換基が結合して5または6員環
を形成しても良い。X2は、水素原子またはカチオンで
ある。カチオンの例には、アルカリ金属(例、Na、
K)イオン、アンモニウムイオン、トリエチルアンモニ
ウムイオン、トリブチルアンモニウムイオン、ピリジニ
ウムイオンおよびテトラブチルアンモニウムイオンが含
まれる。以下に、式(2)で表されるオキソノール染料
の例を示す。
【0096】
【化19】
【0097】
【化20】
【0098】
【化21】
【0099】750ないし850nm用としては、式
(2)のオキソノール染料を、851ないし950nm
および951ないし1100nm用としては、式(1)
のシアニン染料を用いることがさらに好ましい。
【0100】銀を透明状に成膜する方法が電磁波遮蔽に
加えて赤外線遮蔽効果を持たせる方法として安価であり
好ましい。赤外線遮蔽フィルター層には、以上に記載し
た、波長吸収範囲がほぼ同一である、または異なる、2
種または3種類以上の手段を組み合わせて用いることが
できる。
【0101】(無機ガラス基板)本発明において「ガラ
ス透明支持体」ともいう。本発明の前面板に用いる無機
ガラス基板の厚みは1mmないし5mmが好ましく、
1.5mmないし4.5mmがより好ましく、2mmな
いし4mmが最も好ましい。材質としてはパネル本体を
保護する観点および安全性の観点から強化ガラスが好ま
しい。
【0102】(その他の層)本発明の光学フィルターに
は、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設け
ることもできる。反射防止膜の最表面には潤滑層を形成
してもよい。潤滑層は、反射防止膜表面に滑り性を付与
し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオ
ルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、天然ワック
ス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤
またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑
層の厚さは、2ないし20nmであることが好ましい。
または反射防止膜の最表面に防汚層を設けることもでき
る。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水
性、親油性の汚れを付きにくくするものである。そのほ
か防汚層は含フッ素ポリマーを用いて形成することがで
きる。防汚層の厚さは2nmないし100nm、好まし
くは5nmないし30nmである。
【0103】本発明においては、表面にアンチグレア機
能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面
に映るのを防止する機能)を付与することができる。例
えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そし
てその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防
止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成
することにより、アンチグレア機能を得ることができ
る。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3
ないし30%のヘイズを有する。
【0104】反射防止層(低屈折率層)、フィルター
層、赤外線や電磁波の遮蔽層、下塗り層、ハードコート
層、潤滑層、防汚層、その他の層は、一般的な塗布方法
により形成することができる。塗布方法の例には、ディ
ップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート
法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法およびホッパーを使用するエクストルージョ
ンコート法(米国特許2,681,294号明細書記
載)が含まれる。2以上の層を同時塗布により形成して
もよい。同時塗布法については、米国特許2,761,
791号、同2,941,898号、同3,508,9
47号、同3,526,528号の各明細書および原崎
勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉
書店発行)に記載がある。また、本発明における反射防
止層および赤外線や電磁波の遮蔽層の成膜方法には、ス
パッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング
法、プラズマCVD法あるいはPVD法も透明支持体の
耐熱性等の改良に合わせて適宜選択することができる。
【0105】本発明において、発明の構成素材(例え
ば、支持体の材料の種類、染料の種類、下塗り層の素
材、赤外や電磁波の遮蔽層の素材、反射防止層用の低屈
折率ポリマーの種類等)及び、諸特性(例えば、可視フ
ィルターの透過率、電磁波遮蔽層の表面抵抗値、赤外遮
蔽層の赤外透過率、下塗り層の弾性率範囲等)から選ば
れた2つ以上の好ましい構成素材又は特性の組み合わせ
も、本発明の好ましい実施態様として使用することがで
きる。
【0106】(本発明の光学フィルターおよび前面板の
用途)本発明の光学フィルターおよび前面板は、液晶表
示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PD
P)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(EL
D)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置
に用いられる。本発明の光学フィルターおよび前面板は
特に、プラズマディスプレイパネル(PDP)および陰
極管表示装置(CRT)の光学フィルターおよび前面板
として使用すると、顕著な効果が得られる。プラズマデ
ィスプレイパネル(PDP)は、ガス、ガラス基板、電
極、電極リード材料、厚膜印刷材料および蛍光体により
構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラ
ス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁
層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を
形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガ
スを封入する。光学フィルターおよび前面板はこれらプ
ラズマディスプレイ本体を保護するように、本体前面に
位置する。光学フィルターおよび前面板は本体を保護す
るために充分な強度を備えていることが好ましい。本発
明の光学フィルターおよび前面板は、プラズマディスプ
レイ本体と隙間をおいて使用することもできるし、プラ
ズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもでき
る。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市
販されている。プラズマディスプレイパネルについて
は、特開平5−205643号、同9−306366号
の各公報に記載がある。
【0107】
〔実施例1〜4、比較例1〜3〕
1.透明支持体へのフィルター層の塗設 1−1.ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体
の作成 特許公報第2958588号記載の方法を参考に重合
し、ペレット化した各種PET(ポリエチレンテレフタ
レート)を130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後
T型ダイから押し出したあと急冷し、熱固定後の膜厚が
100μmおよび175μmになるような厚みの未延伸
フィルムを作成した。これを、102℃で約3.3倍に
MD方向に延伸した後、111℃で約4.1倍に横延伸
した。その後240℃で90秒熱固定した後、235℃
でTD方向に3%弛緩させた後、巻き取った。こうして
作成した各種2軸延伸PETフィルムの厚み100μm
での透過像鮮明度を測定した(表1 実施例1〜4、比
較例1〜3)。
【0108】
【表1】
【0109】1−2.下塗り層の形成 (第1層下塗り層の形成)上記で製膜した厚み175μ
mの各種2軸延伸PETフィルムの両面をコロナ処理し
た後、両面に屈折率1.55、25℃における弾性率1
00MPa、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジ
エンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)
製、LX407C5)を塗布し、下塗り層を形成した。
乾燥後の膜厚さとして、フィルター層を設ける面には厚
さ300nm、ハードコート層を設ける面には厚さ15
0nmとなるように塗布した。
【0110】(第2層下塗り層の形成)フィルター層を
設ける面の下塗り層の上に、酢酸とグルタルアルデヒド
を含むゼラチン水溶液を、乾燥後の厚さ110nmとな
るように塗布し、反射防止層を設ける面の下塗り層の上
には屈折率1.50、25℃における弾性率120MP
a、ガラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(H
A16、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ20n
mとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0111】1−4.可視および近赤外線フィルター層
の形成 ゼラチンの10質量%水溶液180gに、染料(b7)
0.05g、染料(a2)0.15g、染料(d1)
0.16g、染料(2−7)1.15g、染料(1−1
2)0.22gおよび染料(1−13)0.16gを溶
解させ、40℃で30分間攪拌した後、2μmのポリプ
ロピレンフィルターでろ過した。得られたフィルター層
用塗布液を透明支持体のゼラチン第2下塗り層上に、乾
燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で1
0分間乾燥して可視フィルター層および近赤外フィルタ
ー層を兼ねる層を形成した。
【0112】上記各種支持体を用いて作成したフィルタ
ーの可視光分光透過率を調べたところ、535nm付近
と595nm付近に吸収極大を有し、吸収極大での透過
率は、535nmの吸収極大が約69%、595nmの
吸収極大が約25%であった。吸収極大の半値幅は、5
35nmの吸収極大が約69nm、595nmの吸収極
大が28nmであった。また、440nm前後の透過率
の変化は急峻で、445nmでの透過率が約75%、4
35nmでは約27%、430nmでは約10%であっ
た。T1は約32%であった。近赤外線(800〜10
00nm)領域での平均透過率は2%であった。
【0113】2.ハードコート層および反射防止層の塗
設 2−1.無機粒子分散液(M−1)の調製 セラミックコートのベッセルに各試薬を以下の量計量し
た。 シクロヘキサノン 337g PM−2(日本化薬(株)製リン酸基含有メタアクリレート) 31g AKP−G015(住友化学工業(株)製アルミナ:粒径15nm) 92g 上記混合液をサンドミル(1/4Gのサンドミル)にて
1600rpm、10時間微細分散した。メディアは1
mmφのジルコニアビーズを1400g用いた。分散
後、ビーズを分離し、表面修飾したアルミナ(M−1)
を得た。
【0114】2−2.活性エネルギー線硬化層用塗布液
の調製 表面処理したアルミナ微粒子の43質量%シクロヘキサ
ノン分散液(M−1)116gに、メタノール97g、
イソプロパノール163gおよびメチルイソブチルケト
ン163gを加えた。混合液に、ジペンタエリスリトー
ルペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ
アクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)
200gを加えて溶解した。さらに、光重合開始剤(イ
ルガキュア907、チバガイギー社製)7.5gおよび
光増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)
5.0gを加えて溶解した。混合物を30分間攪拌した
後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターで濾過し
て活性エネルギー線硬化層用塗布液(ハードコート層用
塗布液)を調製した。
【0115】2−3.ハードコート層および反射防止層
としての低屈折率層の塗設 フィルター層を塗設し、低張力熱処理を施したPET支
持体のフィルター層と反対側にアルミナを充填した活性
エネルギー線硬化層用塗布液を乾燥膜厚が8μmになる
ようにワイヤーバーで塗布・乾燥し、紫外線照射し硬化
層(ハードコートコート層)を積層した。引き続いて反
応性フッ素ポリマー(JN−7219、日本合成ゴム
(株)製)2.50gにt-ブタノール1.3gを加え、
室温で10分間攪拌し、1μmのポリプロピレンフィル
ターでろ過して得られた低屈折率層用塗布液を、上記ハ
ードコート層上に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が9
6nmとなるように塗布した。120℃で15分間乾燥
して硬化させ低屈折率層を形成した。以上1、2で、各
種透明支持体上に反射防止層、ハードコート層、可視お
よび近赤外線フィルター層を形成した。
【0116】3.赤外線遮蔽機能を有する透明支持体の
作製 4種類のフタロシアニン色素((株)日本触媒製 イー
エクスカラー814K、810K、812K、905
B)それぞれ0.002質量%を1−1で重合した各種
PETに分散し、1−2と同様の方法にて厚さ200μ
mの2軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの近赤
外線(800〜1000nm)平均透過率は43%であ
った。
【0117】4.光学フィルターの作製 1、2で作製した、反射防止層、ハードコート層、可視
および近赤外線フィルター層を形成した各種透明支持体
の可視および近赤外遮蔽フィルター層を付与した面に、
アクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで塗布し、3
で作製した赤外線遮蔽機能を有する支持体と貼り合せ、
光学フィルターを作製した。貼りあわせは同じ支持体を
用いている物どうしで行った。
【0118】5.光学フィルターの色味および機能の評
価 プラズマディスプレイ(PDP:TH-42PD2 松下電器産
業(株)製)の前面板を取り外し、4で作製した各種支
持体を用いた光学フィルターの赤外線遮蔽機能を有する
支持体面にアクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで
塗布し、PDP表面に直貼りし画像の見えを評価した。
【0119】5−1.色味の評価 光学フィルターを直貼りしたPDP前面の色味を分光放
射計(トプコン社製SR−2A)にて測定し、標準の光
D65により照明した場合の色調をシミュレーションによ
り求めた。いずれもa*が−3.0〜1.2の範囲に、b*
が−4.5〜−1.5の範囲に有り目視評価でも無彩色
に近く見えた。
【0120】5−2.フィルター機能の評価 赤外線遮蔽能、表示される画像のコントラストの測定、
目視による色再現性および透過画像の鮮明性の評価を行
った。いずれの光学フィルターも近赤外線領域の線スペ
クトル遮蔽能は、800nmで約5%、850nmでは
3%以下となり、周辺に設置される赤外線リモートコン
トロール装置に対する妨害を防止できた。また、560
ないし620nmの波長範囲における透過率はピーク極
大値がいずれも約25%であり、何れの光学フィルター
をつけたものも前面板を取り外す前にくらべて、オレン
ジ色の入った赤が純赤に、くすんだ青が鮮やかな青に、
また黄ばんだ感じの白が純白に改良されていることを確
認した。明室コントラストの測定は、照明光として色評
価用蛍光灯(TOSHIBA昼白色 演色AAA 40
ワット FLR40S・N-EDL/M・NU)を用いた部屋にて、できる
だけ明るさの差の少ない環境下で実施した。輝度の測定
にはトプコン社製分光放射計SR−2Aを用いた。測定
時の画面中央部表面の照度は照度計を画面に平行に設置
した明るさが約500ルクスの条件で行った。また、い
ずれの光学フィルターにも表面に反射防止層を設けてい
たので、外部照明の映り込みがあまりないため画面が見
やすく、次に行う透過画像鮮明性の評価に適した状態で
あった。透過画像鮮明性の評価は、白黒の垂直の線から
なるパターンを画面に表示し、垂直(90°)と斜め(画
面となす角度が30°)から見たときのパターン境界の
鮮明性を調査した。また、同様に赤、緑、青からなるカ
ラーのパターンについても調査した。明室コントラスト
と透過画像鮮明性の評価結果を表6に示した。
【0121】
【表2】
【0122】表2に示される鮮明性の評価は、下記の通
りである。 ◎…非常に鮮明 ○…鮮明 △…やや不鮮明 ×…不鮮明
【0123】表2に示す結果より、本発明で特定された
透過像鮮明度を満たすPETフィルムを支持体に用いた
実施例1〜4の場合、明室コントラストおよび透過画像
鮮明性のいずれにも優れるが、透過像鮮明度を満たさな
い比較例1〜3の場合これらの特性に劣ることが明らか
である。特に画像の鮮明性は光路差の長くなる斜め方向
で顕著である。
【0124】
【発明の効果】本発明の光学フィルターは、画像表示装
置に優れた画質と鮮明性を与えることができる。また、
この光学フィルターを装着した画像表示装置は、優れた
画質と鮮明性が得られる。これらは高精細の画像および
/または広視野角からの視認において特に効果を現す。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像表示装置本体の前面に本発明の光学フィル
ターを用いた場合の断面模式図である。図1(a)は画
像表示装置本体に光学フィルターを直貼りした場合、図
1(b)は画像表示装置本体に前面板を用い前面板に本
発明の光学フィルターを用いた場合の断面模式図であ
る。
【図2】光学フィルターあるいは前面板の層構成を示す
断面模式図である。図2(a)および図2(b)は図1
(a)の、図2(c)および図2(d)は図1(b)の
配置に対応する層構成の例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 画像表示装置本体(CRTまたはPDP等) 2 支持体 3 光学フィルター又はその一部 4 前面板 11 反射防止層 12 電磁波遮蔽層(および赤外線遮蔽層) 13 赤外線遮蔽層 14 ハードコート層 15 プラスチック透明支持体 16 ガラス透明支持体 17 赤外線遮蔽機能を有してもよいプラスチック透明
支持体 18 可視フィルター層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 9/00 313 G02B 1/10 A H01J 29/89 Z Fターム(参考) 2H048 CA04 CA12 CA14 CA24 CA29 2H091 FA37X FB02 LA03 LA08 2K009 AA02 AA15 BB24 CC03 CC09 CC42 DD02 EE01 EE03 EE05 5C032 AA02 AA07 EE03 EE10 EF01 EF02 EF07 5G435 AA00 BB06 DD12 GG11 GG33 HH02 HH03 KK07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムからなる支持体上
    に可視フィルター層、赤外線遮蔽層、電磁波遮蔽層およ
    び反射防止層のうち少なくとも1層を有し、該プラスチ
    ックフィルムの透過像鮮明度が、フィルム厚み100μ
    mで測定して、96.5%以上であることを特徴とする
    光学フィルター。
  2. 【請求項2】 支持体が2軸延伸フィルムであることを
    特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 【請求項3】 2軸延伸フィルムが、ポリエステル、ポ
    リカーボネートまたはポリアリレートの2軸延伸フィル
    ムであることを特徴とする請求項2に記載の光学フィル
    ター。
  4. 【請求項4】 可視フィルター層を有し、該可視フィル
    ター層が560〜620nmの波長範囲に透過率0.0
    1〜80%の吸収極大を持つことを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の光学フィルター。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光学フ
    ィルターを用いたことを特徴とする画像表示装置。
  6. 【請求項6】 プラズマディスプレイパネルであること
    を特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
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