JP2002370111A - 穴明け加工装置及びその方法 - Google Patents

穴明け加工装置及びその方法

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JP2002370111A JP2001182670A JP2001182670A JP2002370111A JP 2002370111 A JP2002370111 A JP 2002370111A JP 2001182670 A JP2001182670 A JP 2001182670A JP 2001182670 A JP2001182670 A JP 2001182670A JP 2002370111 A JP2002370111 A JP 2002370111A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 穴明け加工装置において、ドリルの寿命を長
くし、加工時間を短縮し、切屑の分断を迅速容易に行う
ことにある。 【解決手段】 ドリル16を回転させる回転アクチュエ
ータM3と、ドリル16を取り付けた加工ヘッド15を
前進・後退させる送りアクチュエータM1を有し、切削
加工中に、回転アクチュエータM3の負荷トルクτが所
定の基準値τrefに下がるまで、送りアクチュエータM
1により加工ヘッド15を介してドリル16をワークW
に突き当てたままで後退させて切屑Kを分断させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はドリルの寿命を長く
し、加工時間を短縮し、切屑の分断を迅速容易に行う穴
明け加工装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】従来より、穴明け加工装置は、モータMで
(図7)回転するドリル51を備えた加工ヘッド50を
有し、該加工ヘッド50を前進させることにより、上記
回転するドリル51でワークWの切削加工を行い穴Qを
加工する。
【0004】このような穴明け加工装置において、切削
加工中に発生する切屑をそのまま放置しておくと、切削
加工の邪魔になるなど不都合を生じるので、従来より、
切屑を分断している。
【0005】この場合、切屑を分断する方式としては、
図7と図8に示す2つの方式がある。
【0006】図7の方式は、切削加工中に加工ヘッド5
0を後退させ、ドリル51の刃先をワークWから一旦離
すことにより、切屑Kを分断する。
【0007】即ち、図7において、例えばt1で切削加
工を開始してから、切削加工中のt2において、加工ヘ
ッド50を後退させ回転するドリル51の刃先を加工中
の穴Qの底部から離して切屑Kを分断し、t3におい
て、該加工ヘッド50を高速前進させ、t4において、
回転するドリル51を穴Qの底部に突き当て再度切削加
工を行う。
【0008】また、図8の方式は、切削加工中に加工ヘ
ッド50をワークW中で一旦停止させることにより、切
屑Kを分断する。
【0009】即ち、図8において、例えばt1で切削加
工を開始してから、切削加工中のt2において、加工ヘ
ッド50を一旦停止させることにより、回転するドリル
51の刃先を加工中の穴Qの底部に突き当てたままで切
屑Kを分断し、t3において、該加工ヘッド50を前進
させ、再度切削加工を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】ところが、上記図7、図8の方式は、次の
ような課題がある。
【0012】(1)図7の方式の課題。 図7の場合には、既述したように、加工ヘッド2を後退
させ(例えば図7のt2〜t3)ドリル51をワークW
から一旦離すことにより、切屑Kを分断する。
【0013】このため、ドリル51とワークWとの間に
切屑Kが挟まることがあり、また、ドリル51が後退後
に高速前進して(例えば図7のt3〜t4)加工中の穴
Qの底部に突き当たるので、負荷が急激に上昇する。
【0014】その結果、ドリル51に衝撃が加わり、該
ドリル51の寿命が短くなる。
【0015】また、図7場合は、加工ヘッド50を一旦
後退させ(図7のt2〜t3)、その後高速前進させて
(図7のt3〜t4)ドリル1を穴Qの底部に突き当て
るといった往復動作が行われる。
【0016】その結果、このような余分な往復動作のた
めに、加工時間が長くなり、ひいては効率が低下する。
【0017】(2)図8の方式の課題。 図8の場合には、既述したように、切削加工中に加工ヘ
ッド50を一旦停止させることにより、回転するドリル
51の刃先を加工中の穴Qの底部に突き当てたままで切
屑Kを分断する。
【0018】このため、前記図7の場合のように、ドリ
ル51の寿命が短くなったり、加工時間が長くなったり
することはない。
【0019】しかし、切削加工中に加工ヘッド50を一
旦停止させても、その切削加工負荷により、加工ヘッド
50側やワークW側が撓むことがある。
【0020】例えば、ワークWがH形鋼の場合には、ム
ク材と比べて剛性が小さく、そのため切削加工負荷によ
り撓み易い。
【0021】その結果、回転するドリル51は、ワーク
Wが撓むことにより、加工中の穴Qの底部に突き当たっ
たままで該ワークWを切削してしまうことがある。
【0022】即ち、従来は、加工ヘッド2側やワークW
側の撓みにより、ドリル1とワークW間の相対速度をゼ
ロにするには長時間を要し、これにより、相対速度がゼ
ロになるまでは、切屑が薄く繋がり分断できないことが
ある。
【0023】本発明の目的は、穴明け加工装置におい
て、ドリルの寿命を長くし、加工時間を短縮し、切屑の
分断を迅速容易に行うことにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、ドリル16を回転させる回転アクチュエ
ータM3と、ドリル16を取り付けた加工ヘッド15を
前進・後退させる送りアクチュエータM1を有し、切削
加工中に、回転アクチュエータM3の負荷トルクτが所
定の基準値τref に下がるまで、送りアクチュエータM
1により加工ヘッド15を介してドリル16をワークW
に突き当てたままで後退させて切屑Kを分断させること
を特徴とする穴明け加工装置と、上記穴明け加工装置を
使用する穴明け加工方法であって、(1)送りアクチュ
エータM1を切削送り速度で駆動し、回転アクチュエー
タM3で回転するドリル16を前進させ、ワークWに切
り込ませることにより切削加工を行い、(2)該切削加
工中に、回転アクチュエータM3の負荷トルクτが所定
の基準値τref に下がるまで、送りアクチュエータM1
によりドリル16をワークWに突き当てたままで後退さ
せて切屑Kを分断し、上記(1)と(2)の動作を繰り
返すことを特徴とする穴明け加工方法という技術的手段
を講じている。
【0025】上記本発明の構成によれば、切削加工中に
(例えば図2のt2〜t4)、ドリル16をワークWに
突き当てたままで後退させる間に(例えば図2のt4〜
t5)切屑Kを分断させるので、ドリル16とワークW
の間に切屑が挟まったり、該ドリル16が再度ワークW
と突き当たることはなく、そのためドリル16の寿命が
長くなると共に、加工時間が短くなり、更に、ドリル1
6を後退させる際に該ドリル16の切込み力が減少して
切屑の分断を迅速容易に行うことができる。
【0026】このため、本発明によれば、穴明け加工装
置において、ドリルの寿命を長くし、加工時間を短縮
し、切屑の分断を迅速容易に行うことが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、実施の形態によ
り添付図面を参照して、説明する。図1は本発明の実施
の形態を示す全体図である。
【0028】図1に示す穴明け加工装置は、主軸モータ
M3で回転するドリル16と、該ドリル16が取り付け
られ送りモータM1で上下方向(Z軸方向)に前進・後
退する加工ヘッド15を有する。
【0029】即ち、穴明け加工装置は(図4、図5)、
一般にはワークWを切削し穴明け加工を行う装置であっ
て、後述するように、例えばH形鋼のウェブWBと左右
のフランジLF、RFの穴明け加工を行う。
【0030】このうち、図1には、一例としてH形鋼の
ウェブWBの穴明け加工を行うドリル16と、その加工
ヘッド15が図示されている。
【0031】このドリル16は、前記主軸モータM3で
回転することにより、後述するように、切削加工を行う
と共に(例えば図2のt2〜t4)、切屑Kの分断を行
う(例えば図2のt4〜t5)。
【0032】加工ヘッド15は、スライダ27上に敷設
されたZ軸ガイド28、29に滑り結合し、Z軸用の送
りモータM1で回転するボールねじ30に螺合してい
る。
【0033】また、スライダ27は、門型フレーム14
上に(図4)敷設されたY軸ガイド31、32に滑り結
合し、Y軸用の送りモータM4で回転するボールねじ3
3に螺合している。
【0034】この構成により、後述するコンベアローラ
26を(図5)を介してワークWを搬入位置決めした後
(図6のステップ101)、前記Y軸用送りモータM4
を(図4)駆動してドリル16を左右方向(Y軸方向)
に位置決めし、主軸モータM3を駆動して該ドリル16
を回転させる(図6のステップ102)。
【0035】この状態で、Z軸用の送りモータM1を早
送り速度で駆動すると(図2のt0)、加工ヘッド1
5、従ってドリル16が同速度でワークWに向かって前
進し、該ドリル16がワークWに突き当たって損傷しな
いように、突き当たり直前で(図2のt1)、送りモー
タM1をより遅い速度である切削送り速度に切り替えて
からドリル16をワークWに突き当て(図2のt2)、
加工が開始される。
【0036】この場合、ドリル16がワークWに接近し
ている間は(図2のt0〜t2)、該ドリル16を回転
させる主軸モータM3の負荷トルクτは、最低値τmin
を示しているが、ドリル16がワークWに突き当たって
それに切り込むと(図2のt2〜t3)、急激に上昇し
て最大値τmax に到達する。
【0037】そして、切削加工中は、図3(A)に示す
ように、主軸モータM3(図1)により回転するドリル
16が、送りモータM1の切削送り速度で前進してワー
クWを切り込むことにより、穴Qを加工して行くと、該
ドリル16の切込み力により、ワークWが下方に撓む。
【0038】ところが、加工開始から(図2のt2)、
一定時間Tが経過した後(図2のt4)、上記送りモー
タM1を(図1)逆転駆動させて加工ヘッド15を介し
てドリル16を後退させると(図2のt4)、該ドリル
16を回転させている主軸モータM3の負荷トルクτが
最大値τmax から徐々に低下する。
【0039】この状態で、主軸モータM3の負荷トルク
τが所定の基準値τref に下がったときに(図2のt
5)、送りモータM1を停止してドリル16の後退を停
止させと、図3(B)に示すように、ワークWの撓みは
無くなって平坦になる。
【0040】従って、ドリル16が例えば距離Lだけ
(図3(A)、図3(B))後退する間に(図2のt4
〜t5)、該ドリル16のワークWに対する切込み力が
減少することにより、穴Q加工の際に発生した切屑Kが
回転するドリル16て分断される。
【0041】このように、ドリル16は、前進した場合
の切込み力による切削加工と(図3(A))、後退して
その切込み力を減少させることによる切屑Kの分断(図
3(B))といった動作を繰り返すことにより、ステッ
プフィード動作を行う(例えば図2のt2〜t4、t4
〜t5)。
【0042】これにより、本発明によれば、切屑Kを分
断を迅速容易に行うことでき、また、ドリル16が、例
えば距離Lだけ後退する間に(図3(A)、図3
(B))、該ドリル16は穴Qの底部に当接しており、
ワークWに突き当たったままで離れないので、本発明に
よれば、ドリルの寿命を長くし、加工時間を短縮するこ
とができる。
【0043】また、上記ドリル16が取り付けられてい
る加工ヘッド15を、スライダ27を介して設けた前記
門型フレーム14は(図4)、穴明け加工装置のベース
17上に立設されている。
【0044】上記ベース17上の左側には、モータM2
により回転しながらH形鋼の左側フランジLFの穴明け
加工を行うドリル1を備えた加工ヘッド2が、右側に
は、同様にモータM2により回転しながらH形鋼の右側
フランジRFの穴明け加工を行うドリル1を備えた加工
ヘッド2がそれぞれ設けられている。
【0045】ベース17の左側には、移動プレート18
が設けられ、該移動プレート18は、Y軸ガイド20に
滑り結合し、油圧シリンダ19により左右方向(Y軸方
向)に移動自在となっている。
【0046】移動プレート18上には、前記加工ヘッド
2がY軸ガイド21を介して滑り結合し、該加工ヘッド
2は、油圧シリンダ4により、左右方向に移動自在とな
っている。
【0047】上記加工ヘッド2には、前記モータM2に
より回転駆動するドリル1が取り付けられ、該ドリル1
は、例えばモータ・ボールねじ機構(図示省略)により
上下方向(Z軸方向)に移動位置決め自在となってい
る。
【0048】更に、ベース17(図5)の右側(Y軸方
向)の前方(X軸方向)と後方には、固定バイス22、
23が設けられ、それらに対向して、移動プレート18
上には、可動バイス24、25が設けられている。
【0049】また、固定バイス22、23と可動バイス
24、25の下方(Z軸方向)には(図4)、上記H形
鋼のフランジRF、LFを支持するサポートローラ2
8、29が回転自在に支承されている。
【0050】この構成により、コンベアローラ26を
(図5)介してワークWを搬入した後、油圧シリンダ1
9を作動して移動プレート18を前方(Y軸方向)に移
動させることにより、可動バイス24、25と固定バイ
ス22、23で該ワークWをクランプし位置決めする
(図6のステップ101)。
【0051】この状態で、ドリル16(図4)を左右方
向(Y軸方向)に位置決めし、主軸モータM3を駆動し
てドリル16を回転させ(図6のステップ102)、そ
の後は、今度は送りモータM1(図4)を駆動すること
により、ドリル16をワークWに突き当て所定の動作が
行われる(図3のステップ103以降)。
【0052】上記構成を有する穴明け加工装置の制御
は、NC装置10(図1)により行われ、該NC装置1
0は、図示するように、CPU10Aと、主軸モータ駆
動部10Aと、負荷トルク検出部10Cと、負荷トルク
判定部10Dと、送りモータ駆動部10Eと、記憶部1
0Fと、入出力部10Gにより構成されている。
【0053】CPU10Aは、本発明の動作プログラム
(図6に相当)に従って主軸モータ駆動部10A、負荷
トルク検出部10Cなどの制御を統括する。
【0054】主軸モータ駆動部10Aは(図1)、回転
アクチュエータである前記主軸モータM3を制御してド
リル16を回転させる。
【0055】負荷トルク検出部10Cは、前記ドリル1
6を回転させる主軸モータM3の電流を、例えばインパ
ータ6を介して入力し、該主軸モータM3の負荷トルク
τを検出する(図2)。
【0056】負荷トルク判定部10Dは(図1)、前記
負荷トルク検出部10Cで検出した負荷トルクτが(図
2)、所定の基準値τref に下がったか否かを判定す
る。
【0057】送りモータ駆動部10Eは、送りアクチュ
エータである送りモータM1を制御して上記ドリル16
の加工ヘッド15を上下方向(Z軸方向)に前進・後退
させる。
【0058】記憶部10Fは、前記ドリル16の後退を
開始する基準時間である一定時間T(図2)などを記憶
し、この一定時間Tは他の加工情報と共に入出力部10
Gから入力される。
【0059】以下、前記構成を有する本発明の動作を図
6に基づいて説明する。
【0060】(1)加工開始前の動作。 図6のステップ101において、ワークWを搬入位置決
めし、ステップ102において、ドリル16を左右方向
に位置決めし、回転させ、ステップ103において、送
りモータM1を早送り速度、切削送り速度で駆動し、ド
リル16をワークWに突き当てる。
【0061】即ち、NC装置10のCPU10Aは(図
1)、穴明け加工装置の(図5)のコンベアローラ26
を回転させてワークWである例えばH形鋼を搬入する
と、油圧シリンダ19を制御して移動プレート18を前
方(Y軸方向)に移動させ、可動バイス24、25と固
定バイス22、23で該ワークWを固定し、それを位置
決めする。
【0062】この状態で、CPU10Aは、ドリル16
を(図4)左右方向(Y軸方向)に位置決めした後、今
度は主軸モータ駆動部10Aを介して主軸モータM3を
駆動して該ドリル16を回転させる。
【0063】この段階では(図2のt0)、送りモータ
M1は(図1)停止しており、上記回転するドリル16
は、ワークWから離反している。
【0064】しかし、CPU10Aが(図1)送りモー
タ駆動部10Eを介して送りモータM1を早送り速度で
駆動すると、ドリル16も早送り速度で前進してワーク
Wに接近するので(図2のt0〜t1)、既述したよう
に、ワークWに突き当たる直前に(図2のt1)送りモ
ータM1を切削送り速度に切り替えてからドリル16を
同速度でワークWに突き当てる(図2のt2)。
【0065】(2)加工開始後の動作。
【0066】(2)−A 一回目の切削加工(図2のt
2〜t4)。
【0067】図6のステップ104において、送りモー
タM1を切削送り速度で駆動し、ドリル16をワークW
に切り込ませ、切削加工を行い、ステップ105におい
て、ドリル16がワークWを貫通したか否かを判断し、
貫通しない場合には(NO)、ステップ106におい
て、一定時間Tを経過したか否かを判断し、経過しない
場合には(NO)、ステップ104に戻って同じ動作を
繰り返す。
【0068】即ち、前記したように、ドリル16が切削
送り速度でワークWに突き当たると(図2のt2)、該
ドリル16はそのまま切削送り速度でワークWを切込
み、回転するドリル16がワークWを切削し穴Qの加工
が開始される。
【0069】穴Qの加工が開始されると、CPU10A
は(図1)、ドリル16がワークWを貫通したか否かを
判断し、貫通しない場合には、加工開始(図2のt2)
から一定時間Tを経過したか否かを判断する。
【0070】例えば、CPU10Aは(図1)、上記ド
リル16がワークWを貫通したことは、負荷トルク検出
部10Cにより主軸モータM3の負荷トルクτが変化し
たことにより、一定時間経過したことは、現時点t′
(図2)が予め記憶部10F(図1)に記憶した一定時
間Tを経過したことで、それぞれ判断する。
【0071】そして、加工開始(図2のt2)から一定
時間Tを経過していない場合、(例えば現時点t′)、
図示するように、その前と同様に(図2のt2〜
t′)、回転するドリル16が切削送り速度で前進して
ワークWを切込み、t4まで穴Q加工が続行される。
【0072】この場合、ドリル16を回転させる主軸モ
ータM3の負荷トルクτは、該ドリル16がワークWに
接近している間は最低値τmin であるが(図2のt0〜
t2、ドリル16がワークWに突き当たってそれに切り
込むと(図2のt2)急激に上昇し、t3で最大値τ
max に到達する。
【0073】また、切削加工中は(例えば図2の現時点
t′)、ドリル16の切込み力により、ワークWが下方
に撓んでいる。
【0074】(2)−B 一回目の切屑Kの分断(図2
のt4〜t5)。
【0075】しかし、図6のステップ106において、
一定時間Tを経過したと判断した場合には(YES)、
ステップ107において、ドリル16の後退を開始し、
ステップ108において、主軸モータM3の負荷トルク
τが所定の基準値τref に下がったか否かを判断し、下
がっていない場合には(NO)、ステップ107に戻っ
て同じ動作を繰り返し、下がった場合には(YES)、
ステップ109において、ドリル16の後退を停止す
る。
【0076】即ち、CPU10Aは(図1)、加工開始
(図2のt2)から一定時間Tが経過したと判断した場
合には(図2のt4)、送りモータ駆動部10Eを介し
て送りモータM1を逆転駆動し、ドリル16の後退を開
始すると共に、負荷トルク検出部10Cを介して検出し
た主軸モータM3の負荷トルクτが、所定の基準値τ
ref に下がったか否かを負荷トルク判定部10Dにより
判定する。
【0077】そして、CPU10Aは(図1)、主軸モ
ータM3の負荷トルクτが、所定の基準値τref に下が
ったと判断した場合には(図2のt5)、そこで送りモ
ータ駆動部10Eを制御して送りモータM1を停止し、
ドリル16の後退を停止する。
【0078】この場合、ドリル16が距離Lだけ後退す
る間に(図2のt4〜t5)、該ドリル16は、ワーク
Wに突き当たったままで該ワークWに対する切込み力を
減少させることにより、穴Qを加工する際に発生した切
屑Kを分断する。
【0079】また、このドリル16の後退が停止したと
きには(図2のt5)、切削加工のワークWの撓みは無
くなって平坦になっている。
【0080】(2)−C 二回目の切削加工(図2のt
5〜t7)。
【0081】図6のステップ109において、ドリル1
6の後退を停止した後は、ステップ104に戻って同じ
動作を繰り返し、送りモータM1を切削送り速度で駆動
し、ドリル16をワークWに切り込ませ、切削加工を行
う。
【0082】即ち、CPU10Aは(図1)、送りモー
タM1を停止してドリル16の後退を停止した後は(図
2のt5)、送りモータ駆動部10Eを制御して再度送
りモータM1を切削送り速度で駆動し、これにより、回
転するドリル1が、再度ワークWに切り込むことによ
り、穴Q加工が続行される。
【0083】このようにして二回目の切削加工が行わ
れ、一回目の切削加工中(図2のt2〜t4)の動作と
同じ動作が行われる。
【0084】即ち、図6のステップ105において、ド
リル16がワークWを貫通しない場合には(NO)、ス
テップ106において、一定時間Tが経過したか否かを
判断し、経過していない場合には(NO)、ステップ1
04に戻って切削加工を続行する。
【0085】例えば、図2の現時点t′′では、再加工
開始(図2のt5)から一定時間Tを経過していないの
で、図示するように、その前と同様に(図2のt2〜t
4)、回転するドリル16がワークWに切り込んで穴Q
加工が続行され、この状態は、t7まで続く。
【0086】また、切削加工中は(例えば図2の現時点
t′′)、同様にドリル16の切込み力により、ワーク
Wが下方に撓んでいる。
【0087】このようにして二回目の切削加工が行われ
る。
【0088】(2)−D 二回目の切屑Kの分断(図2
のt7〜t8)。
【0089】そして、ステップ106において、一定時
間Tが経過したと判断した場合には(図2のt7)、ス
テップ107において、ドリル16の後退を開始し、ス
テップ108において、主軸モータM3の負荷トルクτ
が所定の基準値τref に下がったか否かを判断し、下が
っていない場合には(NO)、ステップ107に戻って
同じ動作を繰り返し、下がった場合には(YES)、ス
テップ109において、ドリル16の後退を停止し(図
2のt8)、この間(図2のt7〜t8)、前回と同様
に(図2のt4〜t5)、ドリル16は、ワークWに突
き当たったままで該ワークWに対する切込み力を減少さ
せることにより、穴Qを加工する際に発生した切屑Kを
分断する。
【0090】また、このドリル16の後退が停止したと
きには(図2のt8)、同様に切削加工のワークWの撓
みは無くなって平坦になっている。
【0091】このようにして二回目の切屑Kの分断が行
われる。
【0092】上記のように、本発明によれば、一回目の
切削加工(図2のt2〜t4)、一回目の切屑Kの分断
(図2のt4〜t5)、二回目の切削加工(図2のt5
〜t7)、二回目の切屑Kの分断(図2のt7〜t8)
・・・といった図6のステップ104から109までの
ステップフィード動作が行われ、穴明け加工装置におい
て、ドリルの寿命を長くし、加工時間を短縮し、切屑の
分断を迅速容易に行うことができる。
【0093】(3)加工終了後の動作(図2のt10〜
t12)。
【0094】前記のようなステップフィード動作を行っ
ている際に、図6のステップ105において、ドリル1
6がワークWを貫通したと判断した場合には(YE
S)、ステップ110において、送りモータM1を早戻
り速度で駆動し、ドリル16をワークWから離反させ
る。
【0095】即ち、CPU10Aが(図1)、負荷トル
ク検出部10Cを介して主軸モータM3の負荷トルクτ
の変化を検出することにより、ドリル16がワークWを
貫通したと判断した場合には(図2のt10)、送りモ
ータ駆動部10Eを介して送りモータM1を早戻り速度
で駆動し、ドリル16を後退してワークWから離反さ
せ、元の位置に復帰させる(図2のt12)。
【0096】この場合、切削加工中には(図2のt8〜
t10)、ドリル16の切込み力により撓んでいたワー
クWは、ドリル16が離反し切込み力が無くなると同時
に撓みが無くなって平坦になり(t10〜t12)、ま
た、ワークWが貫通することにより、主軸モータM3の
負荷トルクτは、急激に減少して最低値τmin となる
(図2のt10〜t11)。
【0097】尚、上記実施形態においては、H形鋼のウ
ェブWBを切削加工するドリル16(図1)について詳
述したが、本発明はこれに限定されず、H形鋼の左右の
フランジLF、RFを(図4)切削加工するドリル1に
も適用され、同様の効果を奏することは勿論である。
【0098】また、主軸モータM3の代わりに、送りモ
ータM1の負荷トルク変動を利用しても、同様の効果を
奏することは勿論である。
【0099】
【発明の効果】上記のとおり、本発明によれば、切削加
工中に、ドリルをワークに突き当てたままで後退させる
間に切屑を分断させるので、ドリルとワークの間に切屑
が挟まったり、該ドリルが再度ワークと突き当たること
はなく、そのためドリルの寿命が長くなると共に、加工
時間が短くなり、更に、ドリルを後退させる際に該ドリ
ルの切込み力が減少して切屑の分断を迅速容易に行うこ
とができるという効果を奏することとなった。
【0100】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体図である。
【図2】本発明の動作説明図である。
【図3】本発明による切削送り時と後退時におけるドリ
ル16とワークWとの関係を示す図である。
【図4】本発明が適用される穴明け加工装置の正面図で
ある。
【図5】本発明が適用される穴明け加工装置の平面図で
ある。
【図6】本発明による動作を説明するためのフローチャ
ートである。
【図7】第1従来技術の説明図である。
【図8】第2従来技術の説明図である。
【符号の説明】
10 NC装置 10A CPU 10B 主軸モータ駆動部 10C 負荷トルク検出部 10D 負荷トルク判定部 10E 送りモータ駆動部 10F 記憶部 10G 入出力部 14 門型フレーム 15 加工ヘッド 16 ドリル 27 スライダ 28、29 Z軸ガイド 30、33 ボールねじ 31、32 Y軸ガイド M1 送りモータ M3 主軸モータ Q 穴 W ワーク

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドリルを回転させる回転アクチュエータ
    と、ドリルを取り付けた加工ヘッドを前進・後退させる
    送りアクチュエータを有し、切削加工中に、回転アクチ
    ュエータの負荷トルクが所定の基準値に下がるまで、送
    りアクチュエータにより加工ヘッドを介してドリルをワ
    ークに突き当てたままで後退させて切屑を分断させるこ
    とを特徴とする穴明け加工装置。
  2. 【請求項2】 上記回転アクチュエータが主軸モータに
    より、送りアクチュエータが送りモータによりそれぞれ
    構成され、該主軸モータの負荷トルクをインバータを介
    して検出する負荷トルク検出部と、該負荷トルク検出部
    で検出した負荷トルクが所定の基準値に下がったか否か
    を判定する負荷トルク判定部を設けた請求項1記載の穴
    明け加工装置。
  3. 【請求項3】 上記請求項1記載の穴明け加工装置を使
    用する穴明け加工方法であって、(1)送りアクチュエ
    ータを切削送り速度で駆動し、回転アクチュエータで回
    転するドリルを前進させ、ワークWに切り込ませること
    により切削加工を行い、(2)該切削加工中に、回転ア
    クチュエータの負荷トルクが所定の基準値に下がるま
    で、送りアクチュエータによりドリルをワークに突き当
    てたままで後退させて切屑Kを分断し、 上記(1)と(2)の動作を繰り返すことを特徴とする
    穴明け加工方法。
  4. 【請求項4】 上記(2)の動作において、加工開始か
    ら一定時間が経過した場合に、ドリルの後退を開始し、
    回転アクチュエータの負荷トルクが所定の基準値に下が
    ったか否かを判断し、下がった場合にはドリルの後退を
    停止し、その後(1)の動作に移行する請求項3記載の
    穴明け加工方法。
  5. 【請求項5】 上記ドリルが後退を開始してから停止す
    るまでの間に、ワークの切削加工中の撓みが無くなって
    平坦になる請求項4記載の穴明け加工方法。
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