JP2002364727A - ステータ組立体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のステータ組立体には、ニードル軸受の
レースの軸方向移動が制限されておらず、ニードル軸受
まで含めて搬送・運送する際に脱落する恐れがあるとい
う問題点がある。 【解決手段】軸方向の側部をニードル軸受で支持したス
テータ組立体であって、ニードル軸受のレースに設けた
フランジ部に凸部を設け、ステータ組立体の側部に設け
た凹部に嵌合したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の自動変速
機等に使用されるトルクコンバータのステータ組立体に
関する。より詳細には、軸方向でニードル軸受に支持さ
れたトルクコンバータ用のステータ組立体に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１７は、ニードル軸受を組み込んだ、
従来のステータ組立体の軸方向断面図である。また、図
１８は、図１７のステータ組立体をＸ矢視方向から見た
正面図であり、従来ニードル軸受のレースをブッシュ側
部に嵌め込んだ様子を示している。

【０００３】図１７において、ステータ組立体１５０
は、羽根車１６０からなり、羽根車１６０の内周にはワ
ンウェイクラッチ１７０の外輪１６８が嵌合している。
ワンウェイクラッチ１７０は、スプラグ型のワンウェイ
クラッチであり、外輪１６８、外輪１６８の内周側に同
心状態で配置された内輪１６２、外輪１６８と内輪１６
２との間に配置されトルクを伝達するスプラグ１６３、
スプラグを保持する保持器１６４、スプラグに内外輪と
噛合うための起き上がりモーメントを与えるリボンスプ
リング１６５を備えている。

【０００４】内輪１６２及び外輪１６８の軸方向の両端
には、両者を同心状に保持すると共にワンウェイクラッ
チ１７０のスプラグ１６３、保持器１６４及びリボンス
プリング１６５を軸方向に脱落しないように保持してい
るブッシュ１６１及び１７２が設けられている。ブッシ
ュ１６１及１７２は、それぞれスナップリング１６６及
び１６７により羽根車１６０に対して軸方向で固定状態
に保持されている。

【０００５】ブッシュ１６１及び１７２の軸方向外側に
設けられた段部には、ニードル軸受１７３及び１６９の
レース１７４及び１７１がそれぞれ嵌合している。各レ
ース１７４及び１７１には環状の延長部が設けられ、こ
の延長部が、ブッシュまたは羽根車内周部分に設けられ
た段部に嵌合される。図１８に示すように、円周方向で
４個設けられた延長部がブッシュの段部に嵌合してい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上、説明した従来の
ステータ組立体には、ニードル軸受のレースの軸方向移
動が制限されておらず、ニードル軸受まで含めて搬送・
運送する際に脱落する恐れがあるという問題点がある。

【０００７】そこで、本発明は、ニードル軸受まで含め
て一体的に取り扱うことの可能なステータ組立体を提供
することを目的とする。

【０００８】

【解決するための手段】上記目的を達成するため、本発
明のステータ組立体は、軸方向の側部をニードル軸受で
支持したステータ組立体であって、前記ニードル軸受の
レースに設けたフランジ部に凸部を設け、前記ステータ
組立体の側部に設けた凹部に嵌合したことを特徴として
いる。

【０００９】また、本発明のステータ組立体は、軸方向
の側方をニードル軸受で支持したステータ組立体であっ
て、前記ニードル軸受は、レースの外周または内周を切
り欠いたフランジ部と、該フランジ部の一部を径方向に
延長し、縁部を折り曲げた延長部とを有し、該延長部を
前記ステータ組立体の側部に設けた段部に嵌め合わせた
ことを特徴としている。

【００１０】

【発明の実施の形態】ニードル軸受の内周または外周を
折返してフランジを設け、フランジ面に凹部を設け、ス
テータのブッシュ、ワンウェイクラッチの外輪またはス
テータ組立体の羽根車に設けた凹部に嵌め合わせて軸方
向の抜けを防止する。

【００１１】ニードル軸受の内周または外周を折返して
フランジを設け（但し、一部を切り欠いてフランジを形
成さずそのまま延在させ）延在部の縁を折返してフラン
ジを設け、ステータ組立体のブッシュ、ワンウェイクラ
ッチ外輪またはステータ組立体の羽根車に設けた段部に
嵌め合わせる。尚、この段部はステータ組立体のブッシ
ュ、ワンウェイクラッチ外輪またはステータ組立体の羽
根車に設けられた潤滑油溝の内周側または外周側の開口
部に設ける。

【００１２】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の各実施例
を詳細に説明する。尚、図面において同一部分は示して
いる。

【００１３】（第１実施例）図１は、本発明の第１実施
例のステータ組立体の軸方向断面図であり、図２は、第
１実施例のステータ組立体の正面部分断面図である。ま
た、図１は、図２のＯ−Ｐ線に沿った断面図であり、ま
た、図２は、図１のＯ−Ｑ線に沿った断面図である。

【００１４】図１において、ステータ組立体１は、羽根
車１０からなり、羽根車１０の内周にはワンウェイクラ
ッチ９の外輪１１が嵌合している。ワンウェイクラッチ
９は、ラチェット型のワンウェイクラッチであり、外輪
１１、外輪１１の内周側に同心状態で配置された内輪１
２、外輪１１に設けられたポケット２８（図２）に収容
された爪部材１３とを備えている。また、内輪１２には
爪部材１３が嵌合する凹部２７が設けられている。外輪
１１は、羽根車１０に対してスナップリング１４によっ
て軸方向に固定状態に保持されている。

【００１５】上述のように構成したワンウェイクラッチ
９は、ワンウェイクラッチ９が一方向に回転すると、爪
部材１３が内輪１２の外周に対してフリーで摺動するの
で、外輪１１と内輪１２とは相対的に空転する。次に、
ワンウェイクラッチ９が他方向に回転しようとすると、
爪部材１３が凹部２７に嵌合し、ワンウェイクラッチ９
がロックアップ状態になる。

【００１６】ステータ組立体１の羽根車１０は、その内
周部にブッシュ部３５が設けられている。また、外輪１
１にも、内周部にブッシュ部３４が設けられている。ブ
ッシュ部３４及び３５が内輪１２及び外輪１１の軸方向
の両端に摺動自在に嵌合することで、両者を同心状に保
持すると共にワンウェイクラッチ９の爪部材１３を軸方
向に脱落しないように保持している。

【００１７】ニードル軸受１５は、軸方向で内側に配置
された内側レース２２、軸方向で外側に配置された外側
レース２３、内側レース２２と外側レース２３との間に
配置されるころ２１とからなっている。内側レース２２
及び外側レース２３はそれぞれほぼ環状の形状をしてい
る。また、ニードル軸受１６は、軸方向で内側に配置さ
れた内側レース２４、軸方向で外側に配置された外側レ
ース２５、内側レース２４と外側レース２５との間に配
置されるころ２６とからなっている。内側レース２４及
び外側レース２５もそれぞれほぼ環状の形状をしてい
る。

【００１８】ブッシュ部３４及び３５の軸方向外側には
それぞれ段部１８及び１７が設けられ、ニードル軸受１
６及び１５の内側レース２４及び２２がそれぞれ嵌合し
ている。各内側レース２４及び２２にはそれぞれ環状の
延長部２０及び１９が設けられ、この延長部２０及び１
９が、ブッシュ部３４及び３５にそれぞれ設けられた段
部１８及び１７にそれぞれ嵌合している。

【００１９】ここで、図２を用いてステータ組立体１を
更に説明する。爪部材１３は、アコーデオンスプリング
３３によって内輪１２の凹部２７へ噛合う方向へと常時
付勢されている。また、ワンウェイクラッチ９の外輪１
１には、ダンパ機構３０が設けられている。ダンパ機構
３０は、円周方向に配置された複数のダンパスプリング
３２を有する。ダンパスプリング３２は、コイルスプリ
ングであるが、その他のスプリングを用いることも可能
である。

【００２０】ダンパ機構３０は、更にダンパ作動制限部
３１を備えており、ダンパスプリング３２で吸収できな
いほどの衝撃が加わって場合、ダンパ作動制限部３１が
係合することでスプリング３２に過大な負荷かがかから
ないように設定してある。

【００２１】次に、図３−図９を用いて、本発明の第1
実施例を詳細に説明する。図３は、ニードル軸受１５の
内側レース２２の正面図であり、図４は、ニードル軸受
１６の内側レース２４の正面図であり、図５は、図３に
示した内側レース２２を羽根車１０の内径部に嵌合した
状態で示す正面図であり、図６は、図４に示した内側レ
ース２をワンウェイクラッチ９の外輪１１に嵌合した状
態で示す正面図である。

【００２２】図３に示すように、ニードル軸受１５の内
側レース２２は、ほぼ環状の形状であり、円周方向等分
に４箇所で切り欠かれ、切り欠かれた部分は半径方向外
方に延在する延長部１９となっている。この延長部１９
は、図1において説明したように。羽根車１０のブッシ
ュ部３５の段部１７に嵌合し、内側レース２２が回動す
ることを防止している。

【００２３】ニードル軸受１５の内側レース２２は、延
長部１９の間には軸方向に延在するほぼ環状のフランジ
部４６が設けられており、このフランジ部４６の半径方
向外面に微小な凸部、すなわち突起４１を形成してあ
る。突起４１は、円周方向等分に４つ設けられている。
この突起４１は、段部１７の内周に形成された凹部に係
合する。この係合により内側レース２２が軸方向に移動
する、すなわちニードル軸受１５が軸方向に移動するこ
とが防止できる。尚、突起４１は内側レース２２の回り
止めも兼ねている。

【００２４】また、図４に示すように、ニードル軸受１
６の内側レース２４は、ほぼ環状の形状であり、円周方
向等分に４箇所で切り欠かれ、切り欠かれた部分は半径
方向外方に延在する延長部２０となっている。この延長
部２０は、図1において説明したように。外輪１１のブ
ッシュ部３４の段部１８に嵌合し、内側レース２４が回
動することを防止している。

【００２５】ニードル軸受１６の内側レース２４は、延
長部２０の間には軸方向に延在するほぼ環状のフランジ
部４７が設けられており、このフランジ部４７の半径方
向外面に微小な凸部、すなわち突起４３を形成してあ
る。突起４３は、円周方向等分に４つ設けられている。
この突起４３は、段部１８の内周に形成された凹部に係
合する。この係合により内側レース２４が軸方向に移動
する、すなわちニードル軸受１６が軸方向に移動するこ
とが防止できる。尚、突起４３は内側レース２４の回り
止めも兼ねている。

【００２６】図５に示すように、内側レース２２の延長
部１９は、羽根車１０の段部１７に設けた凹所４８内に
嵌合している。また、内側レース２４の延長部２０は、
外輪１１の段部１８に設けた凹所４９内に嵌合してい
る。

【００２７】図７は、図１に示したステータ組立体１の
外輪１１のブッシュ部３４とニードル軸受１６との関係
を示す断面図である。内側レース２４のフランジ部４７
の外周面に設けた突起４３は、外輪１１の段部１８の内
周に設けた凹部５０に嵌合している。突起４３と凹部５
０とは、互いに相補的な形状をしていることが好ましい
が、凹部５０内に突起４３が収まるものであれば、別形
状であってもよい。尚、４５はころ２６を保持する保持
器である。

【００２８】図８は、図３のＦ部の詳細を示す部分正面
図である。内側レース２２の延長部１９は、段部１７の
凹所４８に嵌合している。延長部１９の円周方向の両縁
部には折返し部５１が設けられ、この折返し部５１が、
段部１７の凹所に嵌合することで、レース２２の回り止
めとなっている。図７に示す外輪側のニードル軸受１６
の内側レース２４についても、同様の折返し部が設けら
れ、同じように回り止めとして機能している。

【００２９】図９は、図４のＥ部の拡大図である。ニー
ドル軸受１６の内側レース２４のフランジ部４７の外周
面に微小な突起４３が設けられていることがよく分か
る。突起４３の大きさ、高さは任意に設定できることは
言うまでもない。

【００３０】（第２実施例）図１０は、本発明の第２実
施例のステータ組立体の軸方向断面図である。羽根車１
０側の構成は、内側レース２２の延長部の構成（後述）
が異なるだけであり、第１実施例とほぼ同様なので説明
は省略する。外輪１１側の構成のみについて説明する。
外輪１１のブッシュ部３４の内径側に段部７が設けら
れ、この段部７にニードル軸受２が保持されている。

【００３１】図１１は、ニードル軸受２の内側レース３
の正面図であり、図１２は、ニードル軸受１５の内側レ
ース２２の正面図である。ニードル軸受２は、ほぼ環状
の内側レース３、ほぼ環状の外側レース４、内側レース
３と外側レース５との間に配置されたころ４からなって
いる。段部７の外周面には、凹部６が設けられ、この凹
部６に内側レース３のフランジ部３７の内周面に設けら
れた微小な突起３８が段部７の凹部６に嵌合すること
で、内側レース３の軸方向と周方向の移動とを制限して
いる。

【００３２】また、図１２に示すように、羽根車１０側
のニードル軸受１５の内側レース２２の延長部６９は、
第１実施例と異なり、延長部６９に周方向の折返し部は
設けられていない。延長部６９は、羽根車１０のブッシ
ュ部３５方向にほぼ直角に折り返されている。直角に折
り返された部分は、段部１７に設けられた凹部に嵌合し
て、円周方向の回り止めとなっている。

【００３３】図１３は、図１１に示した内側レース２２
を羽根車内径部に嵌合した状態で示す、図１０のＺ‘方
向より見た正面図であり、図１４は、図１２に示した内
側レース３を外輪１１に嵌合した状態で示す、図１０の
Ｙ’方向より見た正面図である。

【００３４】図１５は、図１０において、外輪１１側の
ニードル軸受２周辺の拡大図である。内側レース３のフ
ランジ部３８の内周面に形成した突起３７が外輪１１の
段部７の内周に設けた凹部６に嵌合している様子が示さ
れている。

【００３５】また、図１６は、図１０において、羽根車
１０側のニードル軸受１５周辺の拡大図である。内側レ
ース２２のフランジ部の外周面に形成した突起４１が段
部１７の凹部に嵌合している状態を明瞭に示している。
また、内側レース２２の延長部６９の折返し部が、段部
１７の周方向に設けた凹部に嵌合している状態を示して
いる。

【００３６】以上説明した本発明のステータ組立体の各
実施例は、本発明を例示として説明するためのものであ
り、限定するためのものではないことは言うまでもな
い。例えば、上記実施例では、ラチェットワンウェイク
ラッチを用いたが、ワンウェイクラッチの種類は特に限
定されず、その他のワンウェイクラッチ、例えばスプラ
グ型ワンウェイクラッチも使用できることは言うまでも
ない。また、突起が嵌合するフランジ部に設ける凹部
は、溝として形成することもできる。

【００３７】また、凸部、延長部の大きさ、数、位置、
形状は特に制限はない。実施可能な程度の大きさであれ
ば良い。更に、ニードル軸受は、レース一体型のものを
用いているが、他のニードル軸受を使用することもでき
る。しかしながら、この型のニードル軸受はレースが従
来のものに比べて薄いものであり、本発明に用いること
によって凸部、延長部をプレス成形することが可能とな
るので生産性が良好となるという利点がある。

【００３８】

【発明の効果】以上説明した本発明によれば、以下のよ
うな効果が得られる。突起と凹部とを嵌合することで、
ニードル軸受まで含めて一体的に取り扱うことの可能な
ステータ組立体を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例のステータ組立体の軸方向断面図
（図２のＯ−Ｐ断面図）。

【図２】第１実施例のステータ組立体の正面部分断面図
（図１のＯ−Ｑ断面図）。

【図３】羽根車側のニードル軸受の内側レースの正面図
である。

【図４】外輪側のニードル軸受の内側レースの正面図で
ある。

【図５】図３に示した内側レースをワンウェイクラッチ
の外輪に嵌合した状態で示す正面図である。

【図６】図４に示した内側レースを羽根車の内径部に嵌
合した状態で示す正面図である。

【図７】図１に示したステータ組立体の外輪のブッシュ
部とニードル軸受との関係を示す断面図である。

【図８】図３のＦ部の詳細を示す部分正面図である。

【図９】図４のＥ部の拡大図である。

【図１０】本発明の第２実施例のステータ組立体の軸方
向断面図であある。

【図１１】外輪側のニードル軸受の内側レースの正面図
である。

【図１２】羽根車側のニードル軸受の内側レースの正面
図である。

【図１３】図１１に示した内側レースを羽根車内径部に
嵌合した状態で示す正面図である。

【図１４】図１４は、図１２に示した内側レースを外輪
に嵌合した状態で示す正面図である。

【図１５】図１０において、外輪側のニードル軸受周辺
の拡大図である。

【図１６】図１０において、羽根車側のニードル軸受周
辺の拡大図である。

【図１７】ニードル軸受を組み込んだ、従来のステータ
組立体の軸方向断面図である。

【図１８】図１７のステータ組立体をＸ矢視方向から見
た正面図である。

【符号の説明】

１ ステータ ９ ワンウェイクラッチ １１ 外輪 １２ 内輪 １３ 爪部材 ３８、４６、４７ フランジ部 ３７、４１，４３ 凸部 ６、５０ 凹部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向の側部をニードル軸受で支持した
   ステータ組立体であって、 前記ニードル軸受のレースに設けたフランジ部に凸部を
   設け、前記ステータ組立体の側部に設けた凹部に嵌合し
   たことを特徴とするステータ組立体。
2. 【請求項２】 前記凹部は羽根車の内径部分、ワンウェ
   イクラッチ外輪、またはブッシュに設けた溝であること
   を特徴とする請求項１に記載のステータ組立体。
3. 【請求項３】 前記凸部及び前記凹部は円周方向に複数
   設けられていることを特徴とする請求項１または２に記
   載のステータ組立体。
4. 【請求項４】 軸方向の側方をニードル軸受で支持した
   ステータ組立体であって、 前記ニードル軸受は、レースの外周または内周を切り欠
   いたフランジ部と、該フランジ部の一部を径方向に延長
   し、縁部を折り曲げた延長部とを有し、該延長部を前記
   ステータ組立体の側部に設けた段部に嵌め合わせたこと
   を特徴とするステータ組立体。