JP2002363616A - 摺動性のよい焼結製品及びその製造方法 - Google Patents

摺動性のよい焼結製品及びその製造方法

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JP2002363616A
JP2002363616A JP2001176522A JP2001176522A JP2002363616A JP 2002363616 A JP2002363616 A JP 2002363616A JP 2001176522 A JP2001176522 A JP 2001176522A JP 2001176522 A JP2001176522 A JP 2001176522A JP 2002363616 A JP2002363616 A JP 2002363616A
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gcd
powder
mixture
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Makoto Iwakiri
誠 岩切
Yoshimi Sugaya
好美 菅谷
Hideo Yomo
英雄 四方
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Hitachi Powdered Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダイヤモンド粒子クラスタ(CD)及び該表
面にグラファイトをコーティングしたダイヤモンド粒子
クラスタ(GCD)を摺動表面のみに形成した摺動特性
のよい焼結製品を提供する。 【解決手段】 以下の(1)〜(3)の製造方法によ
り焼結体を得る。(1)目標密度より低密度の予備圧粉
体を作製し、この内外周表面に、CD粒子又はGCD粒
子、又はこれらと成形潤滑剤の混合物、或いはこれらの
粒子粉末と成形潤滑剤を付着させて成形金型に装填後、
目標密度に圧縮成形することによって、これらを圧粉体
表面に圧着し圧粉体を焼結する。(2)上記粒子或いは
粒子と成形潤滑剤との混合物等を、焼結体の内外周表面
に付着させた後、金型で加圧し、該粒子混合物等を焼結
体表面に圧着させる。(3)焼結体を、転造ダイにより
押圧し緻密化する際、転造面にCD粒子又はGCD粒子
を分散した転造潤滑液を供給し、CD粒子又はGCD粒
子を圧着させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、粉末冶金によっ
て製造され、使用する際に摺動を伴う滑り軸受、カム、
歯車等の焼結製品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結合金で作られた滑り軸受やカム等
は、耐摩耗性や摺動特性を考慮して、焼結合金を比較的
硬い合金相と軟らかい合金相との混合組繊としたり、黒
鉛や二硫化モリブデン等の固体潤滑剤粒子を合金中に分
散させたものとし、また、気孔中に潤滑油を含浸させる
ことができるという特徴を利用している。滑り軸受にお
いては、焼結樹脂製のものもある。ポリオレフィン系樹
脂、四フッ化エチレン樹脂、フッ素樹脂等の粉末を成
形、焼結したもの、樹脂粉と黒鉛粉、二硫化モリブデン
等の混合物を成形、焼結したもので、樹脂独特の摺動特
性が利用されている。
【0003】このような滑りを伴う焼結製品の耐摩耗性
や摺動特性を向上する手段として、合金中或いは樹脂中
に超微粒子のダイヤモンドを分散させたものが提案され
ている。特開平5−156304号公報に記載されてい
るように、粒径が100Å以下の丸みを帯びた形状のC
D粒子、又はその表面にグラファイトをコーティングし
たGCD粒子を金属粉末或いは樹脂粉末に約0.1質量
%程度混合して、圧粉成形及び焼結して得られる焼結体
は、耐摩耗性、潤滑性が向上し、機械部品の摺動部、噛
み合い部等に適していることが開示されている。このよ
うに、焼結製品は、耐摩耗性や摺動特性を改良するため
に、合金組織を工夫したり、固体潤滑剤を分散させ、或
いは、CD又はGCDの粒子を分散させることが知られ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】摺動特性を向上させる
ためにCD又はGCD粒子を製品全体に分散させた焼結
合金にすると、CD又はGCD粒子は材料強度の向上に
寄与しないため、添加量が増加すると強度が低下する。
また、焼結製品の摺動部は殆どが外周面又は内周面であ
るが、焼結製品の内部にあるCD又はGCD粒子は摺動
作用に関係なく無用なものとして存在する。さらに、C
D又はGCD粒子は比較的高価であるから、焼結製品が
大きくなるほど、添加による焼結製品のコストが高くな
る。この発明は、CD又はGCD粒子によって摺動特性
を向上させた焼結製品を、より安価に提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明の摺動性のよい
焼結製品は、滑り軸受、歯車、カム、或いは連接棒など
の摺動して用いられる製品の外周又は内周の表面部に、
粒径が200Å以下の丸みを帯びた形状のCD及びGC
Dの少なくとも1種の粉末粒子が付着し又は埋め込まれ
ていることを特徴とする。
【0006】また、その製造方法は、下記の何れかの手
順を特徴とする。 (1)目標とする粉末成形品の密度より低い密度に圧縮
成形した予備圧粉体を作製し、この予備圧粉体の内周表
面又は外周表面に、CD及びGCDの少なくとも1種の
粉末、又は該粉末と成形潤滑剤粉末の混合物を付着さ
せ、又はCD及びGCDの少なくとも1種の粉末と成形
潤滑剤粉末を層状に付着させたのち成形金型に装填し、
目標密度に圧縮成形して該粉末又は混合物が圧粉体表面
に圧着された圧粉体を製作し、その圧粉体を焼結する。 (2)圧粉成形及び焼結された焼結体の内周表面又は外
周表面に、前記と同様にCD及びGCDの少なくとも1
種の粉末、又は該粉末と成形潤滑剤粉末の混合物、又は
CD及びGCDの少なくとも1種の粉末と成形潤滑剤粉
末を層状に付着させた後、サイジング金型に装填し、加
圧して焼結体を金型に密着させ、前記粉末又は混合物を
焼結体表面に圧着させる。 (3)圧粉成形及び焼結された焼結体の外周面に、転造
ダイを押圧回転させて、焼結体外周面を緻密化又は造形
する際に、転造面にCD粒子又はGCD粒子が分散した
転造潤滑液を供給して、転造面に前記CD粒子又はGC
D粒子を圧着させる。
【0007】CD粒子及びGCD粒子は、多結晶ダイヤ
モンドを200Å以下の超微粒子に分級化し、丸みを帯
びた粒子形状に整粒化した超微粒子クラスターである。
CDまたはGCDの粒子径が200Åより大きいと、摺
動の際、相手材の接触面に微細な掻き傷などの損傷を与
えるので好ましくない。成形潤滑剤としては、脂肪酸、
脂肪酸アミド系ワックス、金属石鹸、又はポリエチレン
ワックスなどののいずれかの粉末の中から選択する。予
備圧粉体又は焼結体にCD又はGCD粒子、或いは該粒
子と成形潤滑剤との混合物を付着させる方法は、下記の
何れかである。 (1)付着させる粉末又は混合物に静電気を印加し、ア
ースされた予備圧粉体又は焼結体に吹き付けて静電気的
に吸引付着させる方法。 (2)付着させる粉末又は混合物を液体に添加した塗料
を、予備圧粉体又は焼結体に塗布し、乾燥する方法。 粉末又は混合物への静電気の印加及び静電塗布は、公知
の摩擦帯電式静電粉体塗布法で行うことができる。前記
の塗料は、付着させようとする粉末を、例えばアルコー
ル等の液に混合したものでよい。
【0008】予備圧粉体又は焼結体に塗布されたCD粒
子又はGCD粒子は、金属石鹸に比べて成形潤滑効果が
少ないので、圧粉体又は焼結体の外周面積が大きい場合
には、圧粉体の成形金型又はサイジング金型に成形潤滑
剤を塗布することが望ましい。塗布は、静電塗布或いは
溶液塗布によることができる。また、予備圧粉体又は焼
結体に、CD粉末又はGCD粉末を塗布した後、その上
に成形潤滑剤を積層して塗布し、或いはCD粉末又はG
CD粉末と成形潤滑剤の混合物の形で塗布することもで
きる。
【0009】焼結合金は、鉄系、青銅系や黄銅系、銅鉄
系、アルミニウム系等で、固体潤滑剤などを含有する焼
結合金を包含する。また、焼結樹脂にも適用することが
できる。予備圧粉体は、密度がハンドリングできる範囲
で、目標成形密度より低いものとし、CD粉末又はGC
D粉末を塗布した後金型に装着する際にCD粉末又はG
CD粉末が掻き取られないように、成形金型のキャビテ
ィの横断面形状より薄肉形状に成形する。圧粉体の成形
は、常温による成形または加熱された温間成形により行
うことができる。CD粉末又はGCD粉末を塗布した焼
結体をサイジングする場合も同様で、焼結体はサイジン
グ金型の横断面形状より小型形状とし、ネガティブサイ
ジングを行う。転造は、焼結合金の歯車やカム等に適用
される。ニアネットシェープの焼結体に回転する転造ダ
イを押圧して仕上がり形状に造形すると共に、転造面を
緻密化させる。この転造の最中に、転造部にCD粉末又
はGCD粉末を懸濁させた潤滑油を導入することによ
り、焼結製品の転造部にCD粉末又はGCD粉末を圧入
又は圧着する。
【0010】このように、予備圧粉体又は焼結体に付着
させたCD粒子又はGCD粒子は、金型内で加圧されて
圧粉体又は焼結体の表面部に圧入又は圧着される。予備
圧粉体に塗布し焼結したものでは、CD粒子又はGCD
粒子は焼結製品の表面に比較的強固に固定された状態と
なる。更に、サイジングすれば、より強固に固定され
る。転造による場合も、潤滑油中のCD粒子又はGCD
粒子は、硬質な転造ダイに加圧されて焼結製品の転造面
に圧入又は圧着される。その結果、表面が改質された焼
結製品が得られる。改質された表面は、耐摩耗性が向上
するとともに摺動摩擦が少なくなる。その理由は、焼結
製品の材料基地に硬質なCD粒子又はGCD粒子が分散
した複合材料となっていること、摺動する際の相手部材
は、焼結製品の表面から突出している丸みを帯びたCD
粒子又はGCD粒子と接触するため、或いは、摺動面で
CD粒子又はGCD粒子がコロのように転動する等の作
用によるものと考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の態様を説明
する。 <CD及びGCD>用いられるCD及びGCDは、
(株)東京ダイヤモンド工具製作所製の下記のものであ
る。 (1)CD:平均粒子径50Å (2)GCD:平均粒子径100Å
【0012】<成形潤滑剤>ステアリン酸亜鉛、ステア
リン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン
酸モノアミド、エチレンビスステアリン酸アミド等及び
これらの混合物を用いることができる。
【0013】<焼結製品のための金属粉末と混合粉>鉄
系焼結合金、銅系焼結合金、アルミニウム系焼結合金、
その他通常の原料粉末を用いる。例えば、鉄系焼結合金
による機械要素で最も用途が多いのは、Fe−Cu−C
系であり、この場合、アトマイズ鉄粉に電解銅粉1.5
質量%及び黒鉛粉1質量%及びステアリン酸亜鉛が添加
された混合粉が挙げられる。軸受材料では、青銅系が最
も用途が多く、例えば、電解鋼粉にアトマイズ錫粉10
質量%及びステアリン酸亜鉛粉を添加した混合粉が挙げ
られる。
【0014】<予備圧粉体及び成形体>予備圧粉体は、
ハンドリングが可能な程度に圧粉体強度があればよく、
成形体の目標密度より低く成形する。一般的な鉄系や銅
系焼結合金のための圧粉体のハンドリングできる密度は
約4.5g/cm以上である。予備圧粉体は、焼結製
品形状に成形する金型のキャビティに隙間をもって装入
できる大きさであり、焼結製品の形状と相似の形状にす
ると、予備圧粉体を圧縮して金型に密着させるまでの変
形過程がほぼ均一になるので好ましい。例えば、軸孔付
き歯車形状の成形体を作るための予備圧粉体を円筒形状
とすることができる。この場合、予備圧粉体が圧縮され
たとき、変形或いは一部崩壊して圧粉体外周が金型の歯
型部分へ進入し歯形が造形される。
【0015】<焼結>アンモニア分解ガス中、ブタン変
性ガス中、窒素ガス中、真空中等、通常の雰囲気ガス中
で、通常の焼結温度で行われる。
【0016】<サイジング>CD又はGCD粒子が付着
した焼結体のサイジングは、ネガティブサイジングとす
る。
【0017】<摩擦帯電式静電粉体塗布>この装置は、
CD粒子、GCD粒子、又は成形潤滑剤粉末を予備圧粉
体、あるいは焼結体に塗布するもので、粉末ホッパー、
粉末移送のためのベンチュリー装置、及び帯電ガンから
なっており、一方、予備圧粉体又は焼結体はアースされ
ている。粉末が入ったホッパーは、その底部から上方の
粉末に向かって空気を噴出させる構造になっており、粉
末が流動状態となる。流動状態の粉末は、パイプの中を
通って、ホッパーの上方に設けられているベンチュリー
装置により吸引され、ベンチュリー装置の前方の帯電ガ
ンに供給される。帯電ガンに送られた粉末は、圧縮空気
の導入により更に加速、撹拌されながら四フッ化エチレ
ン樹脂(PTFE樹脂)製の荷電室に送られる。粉末が
荷電室を通過すると、粉末は樹脂面との摩擦によりプラ
スに帯電されるようになっている。予備圧粉体又は焼結
体に、帯電ガンの先端から延長されたノズルを向けて、
帯電した粉末を噴射すると、粉末同士は同じ電荷のため
互いに反発しあい、予備圧粉体又は焼結体に分散して付
着する。リング状の予備圧粉体又は焼結体の外周に塗布
する場合は、両端面と孔の部分をセラミックス部材で覆
う。内周に塗布する場合は、孔の両端にセラミックス管
を当接し、セラミックス管内に帯電した粉末を供給す
る。金型に潤滑剤を塗布する場合も同様である。
【0018】<粉末分散塗料及び塗布方法>CD粉末、
GCD粉末、及び成形潤滑剤としてのステアリン酸亜鉛
粉は、エチルアルコール又は水に分散させる。予備圧粉
体又焼結体に刷毛塗り又はスプレーしたのち、温風機で
乾燥する。
【0019】<転造>歯車製品の場合、歯車形状の焼結
体を作製する。この焼結体を回転自在に軸支し、軸支し
た二つの歯車形状の転造ダイを焼結体に対向させて当接
させ、転造ダイを焼結体の軸心方向へ押圧しながら回転
させることにより、焼結体の歯部面を変形、緻密化し、
歯形を造形する。この際、CD又はGCD粉末を分散さ
せた転造潤滑油を焼結体に注ぎながら行う。潤滑油とし
ては、スピンドル油、タービン油、ギヤ油等が用いら
れ、CD又はGCDの含有量は、潤滑油の粘度が上昇し
ない程度の5〜10質量%とされる。転造処理を行った
後には、焼結製品の表面に付着した潤滑油を圧縮空気を
吹き付けたり、油で洗浄することによってCD又はGC
Dを回収する。
【0020】次に、CD粉末を予備圧粉体に塗布する方
法による場合を例に、CD粉末の付着状況、摩擦特性に
及ぼす効果について説明する。 <CD又はGCD粉末の塗布試験> (1)鋼材の表面を鏡面に仕上げた部材を用意し、前記
の摩擦帯電式静電粉体塗布装置を用いてCD粉末を塗布
し、塗布面を顕微鏡で観察した。表面に付着したCD粒
子は、全面にわたって微少粒子が付着しており、1〜1
0μm程度の凝集粒子が0.01mm当たりに約50
個程度観察された。 (2)前記のCD粒子を分散したアルコール塗料を塗
布、乾燥したものは、塗布された粒子の量にばらつきが
認められるが、厚く大きな部分があり、10〜20μm
程度の凝集粒子が0.01mm当たりに約20個程度
観察された。塗料による塗布は、作業性が静電塗布に比
べて劣る。また、予備圧粉体又は焼結体の内径寸法が小
さいものでは塗布が困難である。
【0021】<圧粉体の成形試験>内径寸法が直径35
mmの成形金型に、前記の青銅系焼結合金用の混合粉を
密度が約5.2g/cmで直径33mmの予備圧粉体
を装填して上下方向から圧縮して密度6.5g/cm
の成形体とし、圧粉体を金型から抜き出す際の荷重を測
定した。前記の予備圧粉体は、外周面に(a)CD粒子
を静電塗布したもの、(b)CD粒子分散塗料を塗布し
たもの、(c)CD粒子とステアリン酸亜鉛粉を質量で
1:10の割合でアルコールに分散させた塗料を塗布、
乾燥したものである。抜き出し荷重は、どれもほぼ同等
であったが、前記(c)のCD粒子とステアリン酸亜鉛
粉を塗布したものが僅かに低い荷重であった。
【0022】<焼結製品表面のCD付着状況>前記の成
形試験で作られた青銅系材料の成形体をアンモニア分解
ガス中、温度780℃で焼結したのち、金型中でサイジ
ングし、外周面を面粗さRa 0.7μmに仕上げた。各
試料について、CD粒子の存在を確認するため、破断面
と外周表面を電子プローブマイクロアナライザー(EP
MA)により炭素像(C像)を調べた。破断面にはC像
が認められない。表面には点在してC像が認められ、走
査型電子顕微鏡(SEM)像と対比すると、C像はどの
試料とも気孔及び表面の凹部に多く存在している。ま
た、静電塗布と刷毛塗り塗布を比較すると、後者の方が
C像は多量である。
【0023】<リングオンディスク試験による乾式摺動
の摩擦係数>前記の青銅系材料の成形体に、3種類の塗
布方法によって作られたサイジング体と、成形体に何も
塗布しないサイジング体を、リングオンディスク試験に
より、摩擦係数を測定した。荷重は0.5N、回転速度
を10rpmとし、潤滑油を用いずに大気中で行った。
摩擦係数は、成形金型に(a)CD粒子を静電塗布した
ものが0.68、(b)CD粒子分散塗料を塗布したも
のが0.60、(c)CD粒子とステアリン酸亜鉛粉を
塗布したものが0.72、(d)何も塗布しないものが
1.63であった。表面にCD粒子が存在すると摩擦係
数が低くなる。CDの付着状態が必ずしも細かく均一に
なっておらず、凝集しているものであっても、その量が
多いものの摩擦係数が低かった。
【0024】<乾式軸受試験による摩擦係数>前記した
と同様な要領で、寸法が内径5mm、外径9mm、全長
3mmのサイジングされた試料を作製した。軸受試験に
用いた軸は、ステンレス鋼(SUS 420J2)材の
焼入れ品で、軸受とのクリアランスが14μmである。
ラジアル荷重は300kPa(7.2N)で、軸の回転
速度を300rpm(78.5mm/s)とし、室温大
気中で無給油で運転し、所定回転速度に達してから3分
後の摩擦で比較した。摩擦係数は、成形金型に(a)C
D粒子を静電塗布したものが0.49、(b)CD粒子
分散塗料を塗布したものが0.48、(c)CD粒子と
ステアリン酸亜鉛粉を塗布したものが0.52、(d)
何も塗布しないものが0.58であった。CD粒子は、
摩擦係数を低くし、CD粒子の量が多いものほど効果が
認められる。
【0025】<GCDを用いた焼結晶の摩擦係数>前記
したリングオンディスク試験による乾式摺動の摩擦係数
の測定と同じ要領で、CDをGCDに代えて試料を作製
し、摩擦係数を測定した。各試料の摩擦係数は0.7前
後であり、CD粒子の場合と同等な特性を示した。
【0026】<好ましい実施対象>この発明の焼結製品
は、滑り軸受で特に高荷重用に適している。高荷重で揺
動する軸受面をもつ連接棒にも適している。その他、高
い面圧で用いられる歯車、カム等が挙げられる。
【0027】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明は、焼
結製品の要所表面だけにCD又はGCDを含む表面改質
された摺動面が形成されたものであり、その表面はより
摺動特性が向上したものとなっているため、低級な合金
系、或いは固溶強化元素を含み固体潤滑剤を含有するよ
うな合金系においても、表面改質によって摺動特性がよ
り優れており、軸受要素や機械要素の品質向上及び焼結
製品の適用範囲を拡大することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/12 F16C 33/12 B F16H 53/02 F16H 53/02 B 55/06 55/06 (72)発明者 菅谷 好美 千葉県船橋市上山町3−605−7 (72)発明者 四方 英雄 千葉県松戸市大金平1−48−1 Fターム(参考) 3J011 DA02 LA01 SB19 SE02 SE04 3J030 AC01 AC10 BA01 BC01 BC02 BC10 EA01 EB01 EC01 EC04 4K018 CA08 FA02 FA24 JA16 KA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結製品の外周又は内周の表面部に、下
    記の粉末粒子(1)又は混合物(2)が付着又は埋め込
    まれていることを特徴とする摺動性のよい焼結製品。 (1)粒径が200Å以下の丸みを帯びた形状のダイヤ
    モンド粒子クラスタ(以下「CD」という。)及び前記
    CDの表面にグラファイトがコーティングされているダ
    イヤモンド粒子クラスタ(以下「GCD」という。)の
    少なくとも1種の粉末粒子、 (2)成形潤滑剤と、前記CD及び前記GCDの少なく
    とも1種の粉末粒子からなる混合物。
  2. 【請求項2】 前記焼結製品が滑り軸受、歯車、カム、
    又は連接棒である請求項1に記載の摺動性のよい焼結製
    品。
  3. 【請求項3】 目標粉末成形密度より低い密度の圧縮成
    形した予備圧粉体を作製し、この予備圧粉体の内周表面
    又は外周表面に、下記の粉末粒子(1)又は混合物
    (2)を付着させた後、成形金型に装填し、目標密度ま
    で圧縮成形して、前記粉末粒子(1)又は混合物(2)
    が圧粉体表面に圧着された圧粉体を製作し、その圧粉体
    を焼結することを特徴とする摺動性のよい焼結製品の製
    造方法。 (1)CD及びGCDの少なくとも1種の粉末粒子、 (2)成形潤滑剤と、前記CD及び前記GCDの少なく
    とも1種の粉末粒子からなる混合物。
  4. 【請求項4】 圧粉成形及び焼結された焼結体の内周表
    面又は外周表面に、請求項3に記載の粉末粒子(1)又
    は混合物(2)を付着させた後、サイジング金型に装填
    し、加圧して焼結体を金型に密着させ、前記粉末粒子
    (1)又は(2)混合物を焼結体表面に圧着させること
    を特徴とする摺動性のよい焼結製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 圧粉成形及び焼結された焼結体の外周面
    に、転造ダイを押圧回転させて、焼結体外周面を緻密化
    又は造形する際に、転造面にCD粒子又はGCD粒子が
    分散した転造潤滑液を供給して、転造面に前記CD粒子
    又はGCD粒子を圧着させることを特徴とする摺動性の
    よい焼結製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 成形潤滑剤が脂肪酸、脂肪酸アミド系ワ
    ックス、金属石鹸、又はポリエチレンワックスからなる
    群の少なくとも1種の粉末である請求項3又は請求項4
    に記載の摺動性のよい焼結製品の製造方法。
  7. 【請求項7】 予備圧粉体又は焼結体に粉末粒子(1)
    又は混合物(2)を付着させる方法が、該粉末粒子
    (1)又は該混合物(2)に静電気を印加し、アースさ
    れた予備圧粉体又は焼結体に吹き付けて静電気的に吸引
    付着させる静電塗布方法により、CD粒子及びGCD粒
    子の少なくとも1種を塗布し、もしくはCD粒子及びG
    CD粒子の少なくとも1種と成形潤滑剤との混合物を塗
    布し、又はCD粒子及びGCD粒子の少なくとも1種を
    塗布した後、成形潤滑剤を塗布する方法の何れかである
    請求項3又は請求項4に記載の摺動性のよい焼結製品の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 予備圧粉体又は焼結体に粉末粒子(1)
    又は混合物(2)を付着させる方法が、CD粒子及びG
    CD粒子の少なくとも1種、又はCD粒子及びGCD粒
    子の少なくとも1種と成形潤滑剤との混合物を液に混合
    した塗料とし、該塗料を予備圧粉体又は焼結体に塗布、
    乾燥することからなる請求項3又は請求項4に記載の摺
    動性のよい焼結製品の製造方法。
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