JP2013241637A - 圧粉体及び機械部品、並びに圧粉体の製造方法 - Google Patents

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尚樹 八代
Takahiro Okuno
孝洋 奥野
Eiichiro Shimazu
英一郎 島津
Akinari Ohira
晃也 大平
Yasutaka Ito
容敬 伊藤
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Abstract

【課題】高機能の機械部品とすることができる圧粉体、およびその容易かつ低コストに製造可能とする方法の提供。
【解決手段】ベース部2と、ベース部2の表面を被覆する表層部3とを有する圧粉体1を製造するための方法であって、基材粉末4と箔状粉末5を含む原料粉末を金型により圧縮する際、金型の成形面に箔状粉末5を付着させ、かつ成形面を箔状粉末5で覆ってから金型のキャビティに基材粉末4を充填し、その後、原料粉末を圧縮する
【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉体及び機械部品、並びに圧粉体の製造方法に関する。
近年、例えば金属製の機械部品のコスト低減を主たる目的として、この種の機械製品を、溶製材に機械加工や塑性加工を施して得られる溶製品から、原料粉末の圧粉体を加熱・焼結して得られる焼結品へと置換する試みがなされている。しかしながら、焼結品は無数の内部空孔を有する多孔質体である関係上、強度面においては同種材料で製作した溶製品よりも劣る場合が多い。そのため、比較的高い機械的強度が必要とされる用途においても焼結品を採用可能とするには、焼結品の基礎となる圧粉体を高密度化することが必要不可欠となる。
高密度の圧粉体を得るための手段の一つに、圧粉体を成形する際の成形圧(原料粉末の圧縮力)を高めることが考えられるが、成形圧が高まるにつれて金型と圧粉体の密着性が増す。そのため、高密度に圧縮成形された圧粉体を金型から抜き出す際には、抜出圧力を高める必要があるとも考えられるが、抜出圧力を高めると、圧粉体に割れや欠け等の不具合が生じ易くなる他、金型の短寿命化を招来する。そこで、圧粉体の高密度成形と、圧粉体の離型性向上とを両立させるために、圧粉体の成形時には滑剤(潤滑剤)を使用する場合が多い。具体例を挙げると、特許文献1には、金属粉末に滑剤としてのステアリン酸亜鉛又はオレイン酸亜鉛を添加した原料粉末を使用すること、すなわち原料粉末の側に滑剤を使用することが記載されている。また、特許文献2及び特許文献3には、それぞれ、金型の成形面をDLC被膜で被覆すること、及び金型の成形面に高級脂肪酸系潤滑剤を塗布すること、すなわち金型の側に滑剤を使用することが記載されている。
また、様々な産業分野に適用可能な高機能な機械部品を得るために、圧粉体にめっきや蒸着等の表面処理を施すことにより、基材単独では発現できない新規機能を圧粉体に付与する試みがなされている。一例を挙げると、下記の特許文献4には、スパッタ装置を用いてNiやAl等の耐食性を有する金属を圧粉体表面に堆積させることにより(第1実施例)、もしくは、金型の成形面に高粘度のオイルを塗布すると共に、このオイル上に耐食性を有する金属粉末を分散させたオイルを塗布した後、金型に充填した原料粉末を圧縮することにより(第2実施例)、表面に耐食性被膜を有する圧粉体を得ることが記載されている。
なお、上述した種々の技術手段は、金属粉末を主成分とした原料粉末のみならず、樹脂粉末、あるいはセラミックス粉末を主成分とした原料粉末の圧粉体を成形する際にも適用可能である。
特開平4−191301号公報 特開2000−523238号公報 特許第3309970号公報 特開平3−53001号公報
しかしながら、圧粉体の高密度成形を可能とするために採用される従来の技術手段では次のような問題がある。まず、特許文献1のように、金属粉末に滑剤を添加した原料粉末を使用する場合には、金属粉末中に滑剤を均一に分散させる必要があるが、金属粉末と滑剤を均一に混合できたとしても時間経過に伴って滑剤の分散性が低下する。滑剤の分散性が低下した原料粉末を使用すると、圧粉体の密度にばらつきが生じ易く、相対的に低密度の部分では必要とされる機械的強度を確保することが難しくなる。また、特許文献2に記載されているDLC被膜は、その形成に多大な手間とコストを要し、特許文献3に記載のように、金型の成形面に滑剤を塗布するようにした場合、乾燥に時間を要する、潤滑被膜の膜厚にばらつきが生じ易い等、改良の余地が多々ある。
また、特許文献4に記載された手法で表面に耐食性被膜を有する圧粉体を得るようにした場合、被膜形成に多大なコストを要する、圧粉体の形状によっては高精度の被膜形成が難しい、などといった問題がある。なお、圧粉体の表面に被膜を形成するための手法としては、乾式めっき法に分類される上記のスパッタリング以外にも、溶液処理を伴う湿式めっき法を採用することも可能ではあるが、スパッタリングと同様に被膜形成に多大なコストを要する。また、湿式めっき法では、圧粉体が多孔質体である関係上、高精度の被膜形成が難しいという問題や、圧粉体を構成する基材粉末の特性変化を招来するおそれがある。
本発明は、上述したような種々の問題点を解決するために創案されたものであり、その課題とするところは、高機能の機械部品となり得る圧粉体を、容易かつ低コストに製造可能とすることにある。
上記の課題を解決するために創案された本発明に係る圧粉体は、ベース部と、ベース部の表面を被覆する表層部とを有する圧粉体であって、原料粉末として基材粉末と箔状粉末とを含むものを使用し、成形面がこの成形面に付着した箔状粉末で覆われた状態の金型で原料粉末を圧縮することにより成形され、基材粉末の含有量が表層部よりもベース部で多く、箔状粉末の含有量がベース部よりも表層部で多いことを特徴とする。
箔状粉末とは、見かけ密度が小さく、高アスペクト比(=粒径/厚さ)の薄板状粉末であり、圧粉体の成形に一般に用いられる顆粒状(非箔状)の基材粉末に比べると、金型の成形面に対する付着性、及び粉末同士の付着性が良好であるという性質を有する。このため、箔状粉末を金型に供給すれば、供給した箔状粉末を成形面に(層状に)付着させることが、さらには成形面を箔状粉末で覆うことができる。そして、成形面を箔状粉末で覆った状態で原料粉末を圧縮すれば、基材粉末の含有量が表層部よりもベース部で多く(基材粉末の含有率が表層部よりもベース部で高く)、箔状粉末の含有量がベース部よりも表層部で多い(箔状粉末の含有率がベース部よりも表層部で高い)圧粉体を得ることができる。従って、箔状粉末として、圧粉体(ベース部)に所望の特性を付与し得るものを選択使用すれば、機能性被膜として機能する表層部、ひいてはこの表層部を有する圧粉体を容易かつ低コストに製造することができる。
具体的には、箔状粉末として、基材粉末とは異なる種類の粉末を選択使用することにより、所望の機能が付加された圧粉体を得ることができる。例えば、鉄系金属の基材粉末を用いる一方で、銅系金属の箔状粉末を用いれば、支持すべき軸とのなじみ性に優れた表層部を有する軸受(焼結軸受)用の圧粉体を容易に得ることができる。
なお、基材粉末としては、金属粉末、樹脂粉末及びセラミックス粉末の群から選択される何れか一つ、もしくは上記の群から選択される二種以上の粉末を使用することができる。すなわち、本発明は、金属粉末の圧粉体を得る場合のみならず、樹脂粉末の圧粉体やセラミックス粉末の圧粉体、さらにはこれらの混合粉末の圧粉体を得る場合にも適用することができる。
上記構成において、箔状粉末として二種以上を使用し、表層部に異なる種類の箔状粉末を積層させることもできる。このようにすれば、圧粉体、ひいてはこれを焼結してなる機械部品に、種々の特性を付与することができる。
本発明に係る圧粉体は、基材粉末と箔状粉末を含む原料粉末を金型により圧縮成形する際、金型の成形面に箔状粉末を付着させ、かつ成形面を箔状粉末で覆った状態で原料粉末を圧縮することにより製造することができる。このとき、箔状粉末を予め成形面に付着させた状態(成形面を予め箔状粉末で被った状態)で基材粉末を金型に充填すれば、表層部を箔状粉末のみで構成することが、すなわち所望の特性を効果的に発現することができる圧粉体を一層容易に得ることが可能となる。
上記した本発明に係る製造方法において、箔状粉末としては、滑剤の箔状粉末を使用しても良い。このようにすれば、原料粉末と金型(成形面)との摩擦を軽減することができるので、成形性を高めて高密度の圧粉体を容易に得ることができることに加え、圧粉体の離型性が向上する。また、この場合、原料粉末への滑剤添加量を低減もしくは滑剤添加を省略することができるので、圧粉体を一層高密度化することができる。特に、原料粉末への滑剤添加を省略することができれば、原料粉末中での滑剤の分散性の低下を考慮する必要がなくなるので、作業性の向上、さらには圧粉体内部における密度のばらつきを抑えることができる。
上記の製造方法において、箔状粉末を成形面に付着させる工程を2回以上行い、かつ各回で使用する箔状粉末の種類を(相互に)異ならせることもできる。このようにすれば、種々の特性が付与された圧粉体、ひいてはこれを焼結してなる機械部品を容易に製造することができる。
上述したように、箔状粉末は金型の成形面に対する付着性、及び粉末同士の付着性が良好であることから、金型に供給するだけでその成形面に付着させることができ、ひいては成形面を覆うことができる。但し、金型に箔状粉末を供給した状態で金型を動作させることにより、箔状粉末を成形面に付着させるようにしても良い。具体的な一例を挙げると、金型として、成形面を有する第1金型と、第1金型の成形面に対して半径方向隙間を介して対向し、第1金型に対して相対移動可能の第2金型とを有するものを用い、第1金型の成形面を露出させた状態で第2金型上に箔状粉末を供給し、その後、第1金型の成形面が第2金型で遮蔽される方向に第1金型と第2金型を相対移動させることにより、箔状粉末を第1金型の成形面に付着させることができる。この際、箔状粉末として、その厚さが上記半径方向隙間の隙間幅よりも小さいものを用いれば、第1及び第2金型の相対移動に伴って箔状粉末を上記半径方向隙間内に導入することができる。そして、隙間内に導入された箔状粉末は、両金型の相対移動が進展するのに伴って第1金型の成形面に押し付けられるので、成形面に対する箔状粉末の付着性、ひいては箔状粉末による成形面の被覆率が向上する。
以上で述べた圧粉体の製造方法において、金型の成形面に箔状粉末を付着させる前に、箔状粉末及び成形面の少なくとも一方に、成形面に対する箔状粉末の付着性(箔状粉末による成形面の被覆率)を高めるための前処理を施すようにしても良い。このような前処理は、製造コスト増を極力招かないように簡便に実行し得るものが好ましく、帯電化処理、湿潤化処理等を好ましく採用し得る。
以上で述べた本発明に係る圧粉体は、これを焼結することにより、軸受やギヤ等の機械部品として使用することができる。このような機械部品は、圧粉体が上記の特徴を有することにより、高機能でありがながら安価に製造し得る。
以上で述べたように、本発明によれば、高機能な機械部品とすることができる圧粉体を、容易かつ低コストに製造することができる。
本発明の一実施形態に係る圧粉体1の断面図である。 上段は箔状粉末の側面図、下段は箔状粉末の平面図である。 図1に示す圧粉体の成形工程を模式的に示す断面図である。 図3中のX部拡大断面図である。 図3に示す金型の成形面に箔状粉末を付着させる方法の一例を模式的に示す断面図である。 図3に示す金型の成形面に箔状粉末を付着させる方法の他例を模式的に示す断面図である。 (a)図は比較試験1の試験結果を示す図、(b)図は比較試験2の試験結果を示す図、(c)図は比較試験3の試験結果を示す図、(d)図は比較試験4の試験結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の一実施形態に係る圧粉体1を示す。図示例の圧粉体1は、加熱処理が施されることにより、機械部品としての焼結軸受に加工されるものであって、内周に、支持すべき軸を支持する軸受面となる領域を有する円筒状をなす。この圧粉体1は、ベース部2と、ベース部2の表面を被覆する表層部3とからなり、図3に示すように、金型10に充填した原料粉末を圧縮することにより、より詳しくは、各成形面16が各成形面16に付着した銅系金属の箔状粉末5で覆われた状態の金型10に基材粉末4を充填し、その後、原料粉末(基材粉末4と箔状粉末5)を圧縮することにより成形された成形品である(成形方法の具体的手順は後述する)。なお、この圧粉体1が上記のようにして成形されていることにより、基材粉末4の含有量は表層部3よりもベース部2で多く、箔状粉末5の含有量はベース部2よりも表層部3で多くなっている。
次に、上記圧粉体1の製造方法(成形方法)の一例を詳述する。
図3に示す金型10は、同軸配置されたコア11、ダイ12、上パンチ13及び下パンチ14を備え、下パンチ14を下降限に位置させたときに、下パンチ14、コア11及びダイ12の間にキャビティ15が画成されるものである。そして、圧粉体1は、当該金型10の成形面16であるコア11の外周面11a、ダイ12の内周面12a、上パンチ13の下端面13a及び下パンチ14の上端面14aのそれぞれに箔状粉末5を付着させ、かつ各成形面16を箔状粉末5で覆った状態で基材粉末4をキャビティ15に充填し、その後、原料粉末4及び箔状粉末5(原料粉末)を当該金型10で圧縮することにより成形される。
より具体的には、まず、各成形面16が、面積比で70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上箔状粉末5で覆われるように(各成形面16の箔状粉末5による被覆率が70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上となるように)箔状粉末5を各成形面16に付着させる。
ここで、箔状粉末5としては、各成形面16に対する付着性及び粉末5同士の付着性を考慮して、厚さtが0.1〜30μm、粒径Lが100μm以下(アスペクト比L/t=1000以下)のものが使用され、好ましくは、厚さtが0.1〜10μm、粒径Lが50μm以下(アスペクト比500以下)、より好ましくは、厚さtが0.1〜10μm、粒径Lが10μm以下(アスペクト比100以下)の箔状粉末5が使用される。なお、ここでいう「厚さt」及び「粒径L」は、図2に示すように個々の箔状粉末5の幾何学的な最大寸法をいう。また「粒径L」とは、平均粒径(D50)である。
箔状粉末5は、上記の厚さt及び粒径Lを有する薄板状であり、単位重量あたりの幅広面の面積が大きい。また、箔状粉末5は見かけ密度が小さい。そのため、箔状粉末5は、これを金型10のキャビティ15に投入する(下パンチ14を下降限に位置させた状態でダイ12の内周に投入する)だけでも、図4に拡大して示すように、その幅広面を各成形面16(この場合、コア11の外周面11a、ダイ12の内周面12a及び下パンチ14の上端面14a)に向け、かつ複数層重なった層状態となって各成形面16に付着させることができる。
箔状粉末5を成形面16に付着させるための方法に特段の制約はない。すなわち、上記したように、下パンチ14を下降限に位置させた状態でダイ12の内周に箔状粉末5を投入する、という手法以外にも、(1)箔状粉末5を付着させておいたスポンジ,ゴム部材,刷毛等を金型10の各成形面16に押し付ける(擦り付ける)、(2)箔状粉末5を金型10に供給した状態で金型10を動作させる、等を採用することができる。
ここで、図5を参照しながら、金型10の動作を利用して箔状粉末5を成形面16に付着させる方法の一例を説明する。なお、以下で説明する方法は、本願発明に規定の「金型として、成形面を有する第1金型と、第1金型の成形面に対して半径方向隙間を介して対向し、第1金型に対して相対移動可能の第2金型とを有するものを用いる」方法の具体的な一例であり、コア11及びダイ12が「第1金型」に相当し、下パンチ14が「第2金型」に相当する。
まず、図5(a)に示すように、下パンチ14を下降限に位置させ、成形面16であるコア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aを露出させた状態で、下パンチ14の上に箔状粉末5を供給する。次いで、図5(b)に示すように、コア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aが下パンチ14の遮蔽される方向に下パンチ14とコア11及びダイ12とを相対移動させる(ここでは、ダイ12の上端面と下パンチ14の上端面14aとが面一となるように下パンチ14を上昇移動させる)。そして、下パンチ14は、その昇降移動を許容するために、コア11の外周面11aと隙間幅数十〜数百μm程度の半径方向隙間C1を介して対向配置されると共に、ダイ12の内周面12aと隙間幅数十〜数百μm程度の半径方向隙間C2(図では理解の容易化のために隙間C1,C2の隙間幅を誇張して描いている)を介して対向配置されていること、並びに、上記した厚みtの箔状粉末5を用いるようにしたことから、下パンチ14を上昇移動させるのに伴って半径方向隙間C1,C2に箔状粉末5が入り込む。半径方向隙間C1,C2に入り込んだ箔状粉末5は、図5(b)中の拡大図に示すように、成形面16であるコア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aに押し付けられるようにして層状に付着する。
下パンチ14の上昇移動が完了した後は、金型10に残存する余剰の箔状粉末5を除去・回収する(但し、本実施形態のように、ベース部2の表面全域を被覆する表層部3を形成する場合、下パンチ14の上端面14aには箔状粉末5を付着させておく)。成形面16である上パンチ13の下端面13aに箔状粉末5を付着させるには、例えば、図5(a)又は図5(b)の状態で上パンチ13を下降移動させる、上記した(1)の手法等を採用することができる。
金型10の動作を利用して箔状粉末5を成形面16に付着させる方法は、上記のものに限られず、以下のような手順を踏むことも可能である。まず、図6(a)に示すように、下パンチ14を、その上端面14aがコア11及びダイ12の上端面と面一となる位置まで上昇させておき、成形面16であるコア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aを下パンチ14で遮蔽した状態し、この状態で、下パンチ14上に十分量の箔状粉末5を供給する。次いで、図6(b)に示すように、コア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aが露出する方向に下パンチ14をコア11及びダイ12に対して相対移動させ(ここでは下パンチ14を下降移動させ)、成形面16であるコア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aに箔状粉末5が層状に付着させる。下パンチ14を下降限まで下降移動させた後は、下パンチ14を再度上昇移動させ、下パンチ14上にある余剰の箔状粉末5を除去・回収する。
図5及び図6を参照しながら説明した方法によれば、金型10のうち、コア11の外周面11a及びダイ12の内周面12aで構成される成形面16に箔状粉末5を効率的に付着させることができる。
なお、上述した種々の手順で箔状粉末5を成形面16に付着させる(箔状粉末5で成形面16を覆う)前に、付着力を一層高めるための前処理を施すようにしても良い。この前処理としては、圧粉体1の製造コスト増大を極力招かないような簡便なものが望ましく、例えば、(イ)金型10(成形面16)の帯電化処理、(ロ)箔状粉末5の帯電化処理、(ハ)箔状粉末5の湿潤化処理(例えば、油や溶剤等を箔状粉末5に付着させておく)などを採用することができる。これら(イ)(ロ)(ハ)の処理は、一種のみを採用しても良いし、適宜組み合わせて採用しても良い。
以上のようにして、箔状粉末5を金型10の成形面16に付着させ、かつ成形面16を箔状粉末5で覆った後、基材粉末4としての鉄系粉末(ここでは、箔状ではない鉄系粉末)を金型10のキャビティ15に充填する。なお、鉄系粉末としては、どのような製法で製造されたものであっても問題なく使用することができる。具体的には、還元法により製造される還元粉末、アトマイズ法により製造されるアトマイズ粉末、あるいは電解法により製造される電解粉末の何れもが使用可能である。また、基材粉末4としては、基材粉末4に種々の特性を付与するための各種充填材を適量含んだものを使用することも可能である。
金型10のキャビティ15に基材粉末4を充填した後、上パンチ13及び下パンチ14を相対的に接近移動させ、基材粉末4(原料粉末)を圧縮すると、円筒状のベース部2と、ベース部2の表面を被覆する表層部3とからなり、基材粉末4の含有量が表層部3よりもベース部2で多く、箔状粉末5の含有量がベース部2よりも表層部3で多い圧粉体1が得られる。そして、この圧粉体1に加熱処理を施して焼結させ、必要に応じてサイジング等の寸法矯正処理を施すと、機械部品の一例としての焼結軸受が得られる。焼結軸受は、必要に応じて内部空孔に潤滑油を含浸させた上で使用される。
上述したように、箔状粉末5とは、見かけ密度が小さく、高アスペクト比(=粒径/厚さ)の薄板状粉末であり、圧粉体1の成形用粉末として一般に用いられる顆粒状の基材粉末4に比べると、金型10の成形面16に対する付着性、及び粉末同士の付着性が良好であるという性質を有する。このため、箔状粉末5は、金型10に供給すれば、供給した箔状粉末5を成形面16に(層状に)付着させることが、さらには成形面16を箔状粉末5で覆うことができる。そして、成形面16を箔状粉末5で覆った状態で金型10(のキャビティ15)に基材粉末4を充填し、これを圧縮すると、基材粉末4の含有量が表層部3よりも多いベース部2が成形されるのと同時に、箔状粉末5の含有量がベース部2よりも多い(箔状粉末5の集合体からなる)表層部3を成形することができる。従って、箔状粉末5として、ベース部2に所望の特性を付与し得るもの(基材粉末4とは異なる種類の粉末)を選択使用すれば、各種被膜として機能する表層部3、ひいてはこの表層部3を有する圧粉体1を容易かつ低コストに製造することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る圧粉体1およびその製造方法について説明を行ったが、これらには本発明の要旨を逸脱しない範囲で適当な変更を施すことが可能である。例えば、以上では、ベース部2の表面全域を表層部3で被覆した圧粉体1を得るようにしたが、本発明は、ベース部2の表面の一部(例えば内径面のみ)を表層部3で被覆した圧粉体1を得る場合にも好ましく適用することができる。
また、例えば、金型10の成形面16に付着させる(成形面16を覆う)箔状粉末5を滑剤(固体潤滑剤)の箔状粉末とすることができる。使用可能な滑剤は上述したサイズを満足する限りにおいて特に限定されず、例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される金属石けんの他、鱗片状黒鉛、雲母、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、層状珪酸塩などを使用することができる。
このように、滑剤の箔状粉末5を金型10の成形面16に付着させ、かつ成形面16を滑剤の箔状粉末5で覆った状態で基材粉末4をキャビティ15に充填した後、これらを圧縮すれば、基材粉末4と成形面16との摩擦を軽減・排除することができるので、圧粉体1の成形性及び離型性を向上することができる。これにより、圧粉体1を高密度に成形することができ、高い機械的強度を有する機械部品を得ることが可能となる。なお、この場合、圧粉体1は、ベース部2のみで構成されるものとすることができる。また、このようにすると、基材粉末4への滑剤添加量を低減もしくは滑剤添加を省略することができるので、圧粉体1(ベース部2)内部の不純物量を減じて圧粉体1を一層高密度化することができる。特に、基材粉末4への滑剤添加を省略することができれば、基材粉末4中での滑剤の分散性の低下を考慮する必要がなくなるので、作業性の向上、さらには圧粉体1内部における密度のばらつきを抑えることができる。
もちろん、成形面16に付着させる(成形面16を覆う)箔状粉末5は、銅系金属や滑剤の箔状粉末に限られるわけではない。例えば、箔状粉末5として、高い耐食性を有する材料からなる箔状粉末、高い防錆性を有する材料で形成された箔状粉末等を使用することも可能である。
また、図示は省略するが、箔状粉末5として二種以上を使用し、表層部3に、異なる種類の箔状粉末5を積層させることもできる。例えば、表層部3を、銅系金属の箔状粉末5(の集合体)からなる第1層と、この第1層よりも内部側に設けられ、滑剤の箔状粉末5(の集合体)からなる第2層とで構成することができる。このような表層部3を有する圧粉体1は、例えば、銅系金属の箔状粉末5を金型10の成形面16に付着させる(成形面16を銅系金属の箔状粉末5で覆う)と共に、この銅系金属の箔状粉末5に滑剤の箔状粉末5を付着させ、然る後、金型10のキャビティ15に充填した基材粉末4を圧縮することで得ることができる。すなわち、箔状粉末5を成形面16に付着させる工程を2回以上行い、かつ各回で使用する箔状粉末5の種類を異ならせれば良い。
従って、本発明によれば、箔状粉末5として、圧粉体1に所望の特性を付与し得るものを一種又は複数種選択使用することにより、圧粉体1、ひいては機械部品に様々な機能を付加することができ、しかもこのような圧粉体1を容易かつ低コストに製造することができる。
以上で説明した圧粉体1及びその製造方法では、基材粉末4として金属粉末を用いたが、基材粉末4としては、樹脂粉末又はセラミックス粉末、あるいは金属粉末、樹脂粉末及びセラミックス粉末の群から選択される二種以上の粉末を混合したものであっても問題なく使用することができる。すなわち、本発明は、金属粉末の圧粉体1を製造する際のみならず、樹脂粉末又はセラミックス粉末の圧粉体1や、各種材料の混合粉末の圧粉体1を製造する際にも好ましく適用することができる。また、本発明は、円筒状の圧粉体1を製造する際にのみ適用可能なわけではなく、金型による成形が可能な形状の圧粉体1であれば、上記同様に適用可能である。
まず、粉末(粒子)形状によって、金型の成形面への付着性(成形面における保持性)がどの程度異なるのかを比較するため、粒子形状が相互に異なる粉末を4種類準備し、各粉末の付着性を確認した。この比較試験1で使用した試験用粉末と、付着性の評価方法の詳細とを以下に示す。なお、この比較試験1、さらには後述する比較試験2〜4及び確認試験1,2で用いた金型は、図3に示すものと同様に、円筒状の圧粉体を成形するための金型、すなわちコア、ダイ、上パンチ及び下パンチを備えた金型である。
[試験用粉末]
1.箔状粉末:伊藤黒鉛工業株式会社製 CNP7(平均粒径D50=7μmの鱗片状黒鉛)
2.土塊状粉末:伊藤黒鉛工業株式会社製 CP2000M(平均粒径D50=4μmの土塊状黒鉛)
3.不定形粉末:伊藤黒鉛工業株式会社製 AG−6T(平均粒径D50=6μmの人造黒鉛)
4.球状粉末:伊藤黒鉛工業株式会社製 SG−BH8(平均粒径D50=8μmの球状黒鉛)
[付着性の評価方法]
金型内に試験用粉末を投入し、投入後所定時間経過した時点で投入した粉末を取り出した。そして、成形面であるコアの外周面を光学顕微鏡で観察して、画像解析により被覆率(コアの外周面に占める箔状粉末の被覆面積比率)を算出し、各試験用粉末の付着性を評価した。なお、後述する比較試験2〜4においても同様の評価方法を採用した。
この比較試験1の試験結果を図7(a)に示す。なお、付着性は4段階で評価することとし、図7(a)では、被覆率60%未満を「×」、被覆率60%以上70%未満を「△」、被覆率70%以上80%未満を「○」、被覆率80%以上を「◎」としている。図7(a)からも明らかなように、4種類の試験用粉末の平均粒径に大差はないことから、成形面に対する付着性は粉末(粒子)形状によって左右されると言え、その中でも箔状粉末は、他の形状の粉末に比べて成形面に対する付着性が良好で、付着面に保持され易いことが確認された。
次に、箔状粉末の粒径(平均粒径D50)によって、成形面への付着性がどの程度異なるかを比較・検証した。この比較試験2で使用した箔状粉末は以下の4種類である。
[使用した箔状粉末]
(1)平均粒径D50=7μm(伊藤黒鉛工業株式会社製 CNP7)
(2)平均粒径D50=15μm(伊藤黒鉛工業株式会社製 CNP15)
(3)平均粒径D50=60μm(伊藤黒鉛工業株式会社製 Z−100)
(4)平均粒径D50=250〜300μm(伊藤黒鉛工業株式会社製 Z+80)
この比較試験2の試験結果を図7(b)に示す。なお、この比較試験2における付着性の評価基準は、比較試験1と同様である。図7(b)からも明らかなように、同様の粒子形状を有する箔状(鱗片状)粉末であっても、粒径によって成形面への付着性が異なること、より詳しくは粒径が大きくなるほど成形面への付着性が低下することが明らかとなった。特に、平均粒径が50μmを超えると、粒径が100μmを超えるような粗大粒子が含まれる可能性が高くなる。このような粗大粒子は高重量である関係上、成形面に付着したとしても保持され難く、落下し易い。従って、成形面に付着させる箔状粉末は、その平均粒径が50μm以下で、粒径が100μmを超える粗大粒子を含まないものが特に望ましいと言える。
次に、成形面への箔状粉末の付着方法によって、成形面に対する箔状粉末の付着性がどの程度異なるかを比較・検証すべく、成形面であるコアの外周面に以下に示すA〜Jの手法で箔状粉末を付着させた。この比較試験3では、箔状粉末として、窒化ホウ素(電気化学工業株式会社製 デンカボロンナイトライドGP/平均粒径D50=8μm)を使用した。
[箔状粉末の付着方法]
A:下パンチを下降させた状態の金型(キャビティ)に箔状粉末を供給。
B:下降状態の下パンチ上に箔状粉末を供給した後、下パンチを上昇移動させることにより、コアの外周面と下パンチの内周面との間の半径方向隙間に箔状粉末を導入させ、コアの外周面に箔状粉末を付着させた(図5を参照して説明した手法と同様)。
C:上昇移動させた下パンチとコアの境界上に箔状粉末を供給してから、下パンチを下降移動させることにより、コアの外周面に箔状粉末を付着・保持させた(図6を参照して説明した手法と同様)。
D:予め帯電させておいた金型に箔状粉末を供給。帯電方法としては、金型にフッ素樹脂シートを擦り付けることによる摩擦帯電方法を採用。
E:予め帯電させておいた箔状粉末を金型に供給。帯電方法としては、発泡樹脂製の容器内に箔状粉末を投入した後、容器を揺動させることによる摩擦帯電方法を採用。
F:箔状粉末を付着させたスポンジ製ローラをコアの外周面に擦り付ける。
G:上記Aを実行するのに先立って、箔状粉末を油(ここでは新日本石油株式会社製の防錆油 アンチラストP−1300。以下同様。)で湿らせておく。
H:上記Bを実行するのに先立って、箔状粉末を油で湿らせておく。
I:上記Cを実行するのに先立って、箔状粉末を油で湿らせておく。
J:上記Fを実行するのに先立って、箔状粉末を油で湿らせておく。
この比較試験3の試験結果を図7(c)に示す。なお、この比較試験3では、付着性を2段階で評価することとし、図7(c)では、被覆率80%以上85%未満を「○」、被覆率85%以上を「◎」としている。
図7(c)に示す試験結果から明らかなように、箔状粉末を金型に供給するだけの方法Aでも、成形面(コアの外周面)に十分量の箔状粉末を付着させ、かつ成形面を箔状粉末で覆うことができる。但し、方法Bの方が、箔状粉末の付着性が良好である。これは、図5(b)を参照して説明したように、下パンチの上昇移動に伴ってコアと下パンチの間の半径方向隙間に箔状粉末が入り込むこと、さらに言えば、上記半径方向隙間に導入された箔状粉末が下パンチの上昇移動に伴ってコアの外周面に押し付けられるためであると考えられる。また、箔状粉末を帯電化処理した金型に供給する方法D、帯電化処理した箔状粉末を金型に供給する方法E、湿潤化処理を施した箔状粉末を金型に供給する方法G〜Jの評価からも明らかなように、金型又は箔状粉末の帯電化処理や箔状粉末の湿潤化処理は、成形面に対する箔状粉末の付着性向上を図る上で有効であることが理解される。
圧粉体の成形性及び離型性を評価するため、成形面に滑剤を塗布しない場合、成形面に潤滑効果を奏する微粒状粉末を付着させた場合、及び成形面に潤滑効果を奏する箔状粉末を付着させた場合(成形面を滑剤の箔状粉末で覆った場合)のそれぞれで、得られた圧粉体の密度を算出し、比較した。具体的には、金型のキャビティ内に充填した鉄粉(JFE株式会社製 JIP21SX/平均粒径D50=150μm)を785MPaで加圧することによって厚み5〜6mmのリング状試験片を成形するに際し、成形面に滑剤を塗布しない場合、成形面に微粒状粉末としてのステアリン酸カルシウム(日油株式会社製カルシウムステアレート/粒径0.3〜50μm)を付着させた場合、及び成形面に箔状粉末としてのステアリン酸カルシウム(日油株式会社製カルシウムステアレートFI/粒径1〜30μm)を付着させた場合のそれぞれで、成形されたリング状試験片の密度を求めた。密度は、アルキメデス法により算出した。
密度の算出結果(比較試験4の試験結果)を図7(d)に示す。なお、図7(d)では、得られた圧粉体の相対密度(使用した鉄粉の理論密度に対する百分率)が90%未満のときを「△」、90%以上95%未満のときを「○」、95%以上のときを「◎」として評価している。
図7(d)から明らかなように、滑剤を塗布しない場合よりも微粒状の滑剤を成形面に付着させた場合の方が圧粉体を高密度化する上で有利であり、さらに、滑剤の箔状粉末を成形面に付着させた場合が、圧粉体を高密度化する上で最も有利である。この結果から、滑剤の箔状粉末を成形面に付着させた場合が圧粉体の成形性及び離型性が最も良好であると言える。
成形面に基材粉末とは異なる種類の粉末(以下、当該実施例5の説明において「異種粉末」という)を付着させてから金型に基材粉末を充填し、その後これらを圧縮することにより、図1に示すような圧粉体1が得られる否かを確認するための試験(確認試験1)を行った。
この確認試験1の具体的手順は以下のとおりである。
(1)上記の比較試験1〜4で使用したものと同様の金型の成形面に異種粉末を付着させる。実施例に係る異種粉末として、銅箔粉(福田金属箔粉工業株式会社製 MS800:粒径20〜50μm、厚さ0.5μm)を使用し、比較例に係る異種粉末として、非箔状(球状又は不定形)である銅の電解粉(福田金属箔粉工業株式会社製 CE−15:粒径40〜63μm)を使用した。
(2)異種粉末を成形面に付着させた後、金型のキャビティ内に基材粉末としての鉄粉(JFE株式会社製 JIP21SX/平均粒径D50=150μm)を充填し、基材粉末(及び異種粉末)を785MPaで加圧することによって厚み5〜6mmのリング状試験片を成形。
(3)成形したリング状試験片の外径面を光学顕微鏡で観察、さらには画像解析することにより、試験片の外径面が面積比でどの程度異種粉末で被覆されているか(被覆率)を算出。
(4)被覆率の算出結果から、図1に示すような圧粉体1が得られる否かを評価。
異種粉末として銅箔粉を用いた場合、試験片外径面における異種粉末の被覆率は85%以上であった。そのため、本発明に係る製造方法は、めっきの代替技術として活用することができる。一方、異種粉末として銅の電解粉を用いた場合、試験片外径面における異種粉末の被覆率は60%程度であった。被覆率にこのような差が生じたのは、異種粉末の形状が相互に異なるため、さらに言えば成形面に対する付着性が、非箔状の粉末よりも箔状粉末の方が良好であるためと考えられる。
箔状粉末として二種以上を使用した場合に、表層部に、異なる種類の箔状粉末を積層させることができるか否か、さらにはこのような表層部を有する圧粉体を成形し得るか否かを確認するための試験(確認試験2)を行った。
この確認試験2の具体的手順は以下のとおりである。
(1)上記の比較試験1〜4及び確認試験1で使用した金型、より具体的には、コアと下パンチの間、及び下パンチとダイの間の半径方向隙間の隙間幅がそれぞれ10μmとされた金型において、図5を参照しながら説明した手法を用いて成形面であるコアの外周面及びダイの内周面に銅の箔状粉末(福田金属箔粉工業株式会社製 MS800:粒径20〜50μm、厚さ0.5μm)を付着させる。
(2)次いで、上記金型の下パンチを、コアとの間、及びダイとの間にそれぞれ隙間幅20μmの半径方向隙間を形成し得る下パンチに交換してから、図5を参照しながら説明した手法で、上記の銅の箔状粉末上に窒化ホウ素の箔状粉末(電気化学工業株式会社製 デンカボロンナイトライドGP/平均粒径D50=8μm)を付着させる。
(3)金型のキャビティ内に充填したベース部成形用の鉄粉(JFE株式会社製 JIP21SX/平均粒径D50=150μm)を785MPaで加圧することによって厚み5〜6mmのリング状試験片を成形。
(4)成形したリング状試験片の外径面を光学顕微鏡で観察、さらには画像解析することにより、試験片の外径面が、面積比でどの程度銅の箔状粉末で被覆されているか(被覆率)を算出すると共に、試験片を切断して切断面を光学顕微鏡で観察。
試験片の外径面は、確認試験1で得られた試験片と同様に、面積比で85%以上が銅の箔状粉末で被覆されていた。また、試験片の切断面を観察したところ、銅の箔状粉末からなる層、窒化ホウ素の箔状粉末からなる層、鉄粉の集合体からなる層が確認できた。従って、本発明に係る製造方法を採用した場合、異なる種類の箔状粉末が積層してなる表層部、ひいてはこの表層部を有する圧粉体を作製し得る。なお、銅の箔状粉末からなる層、及び窒化ホウ素の箔状粉末からなる層の厚みは、双方共に5〜10μm程度であったことから、図5を参照しながら説明した手法を採用すれば、コアと下パンチの間、及び下パンチとダイの間の隙間幅に見合った厚みの表層部を形成することができる。
以上で述べた実施例1〜6(比較試験1〜4及び確認試験1,2)の結果から、本発明の有用性が実証される。
1 圧粉体
2 ベース部
3 表層部
4 基材粉末
5 箔状粉末
10 金型
11 コア
12 ダイ
13 上パンチ
14 下パンチ
15 キャビティ
16 成形面
C1 半径方向隙間
C2 半径方向隙間

Claims (10)

  1. ベース部と、ベース部の表面を被覆する表層部とを有する圧粉体であって、
    原料粉末として基材粉末と箔状粉末とを含むものを使用し、
    成形面が該成形面に付着した箔状粉末で覆われた状態の金型で原料粉末を圧縮することにより成形され、基材粉末の含有量が表層部よりもベース部で多く、箔状粉末の含有量がベース部よりも表層部で多いことを特徴とする圧粉体。
  2. 箔状粉末として二種以上を使用し、表層部に、異なる種類の箔状粉末を積層させた請求項1に記載の圧粉体。
  3. 請求項1又は2に記載の圧粉体を焼結させてなる機械部品。
  4. 基材粉末と箔状粉末を含む原料粉末を金型により圧縮成形するに際し、金型の成形面に箔状粉末を付着させ、かつ成形面を箔状粉末で覆った状態で原料粉末を圧縮することを特徴とする圧粉体の製造方法。
  5. 箔状粉末を予め成形面に付着させた状態で、基材粉末を金型に充填する請求項4に記載の圧粉体の製造方法。
  6. 箔状粉末として、滑剤の箔状粉末を使用する請求項4又は5に記載の圧粉体の製造方法。
  7. 箔状粉末を成形面に付着させる工程を2回以上行い、かつ各回で使用する箔状粉末の種類を異ならせる請求項5に記載の圧粉体の製造方法。
  8. 箔状粉末を金型に供給した状態で金型を動作させることにより、箔状粉末を成形面に付着させる請求項5〜7の何れか一項に記載の圧粉体の製造方法。
  9. 金型として、前記成形面を有する第1金型と、第1金型の成形面に対して半径方向隙間を介して対向し、第1金型に対して相対移動可能の第2金型とを有するものを用い、
    第1金型の成形面を露出させた状態で第2金型上に箔状粉末を供給し、その後、第1金型の成形面が第2金型で遮蔽される方向に第1金型と第2金型を相対移動させることにより、箔状粉末を第1金型の成形面に付着させる請求項8に記載の圧粉体の製造方法。
  10. 箔状粉末を成形面に付着させる前に、箔状粉末及び成形面の少なくとも一方に、成形面に対する箔状粉末の付着性を高めるための前処理を施す請求項4〜9の何れか一項に記載の圧粉体の製造方法。
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