JP2002363590A - 潤滑グリース組成物 - Google Patents
潤滑グリース組成物Info
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Abstract
揮し、しかも合成樹脂に影響を及ぼすおそれがないた
め、例えば電動式動力舵取装置の減速機等の、合成樹脂
製の部品を用いた装置にも好適に使用することができ
る、新規な潤滑グリース組成物を提供する。 【解決手段】 増ちょう剤として、Liステアレート
と、Liヒドロキシステアレートとを併用した潤滑グリ
ース組成物である。
Description
動式動力舵取装置(電動式パワーステアリング装置)の
減速機などに好適に使用される潤滑グリース組成物に関
するものである。
電動式動力舵取装置の減速機としては近時、バックラッ
シによる歯打ち音の低減を目的として、例えばポリアミ
ド樹脂などの合成樹脂製のウォームホイールを用いたも
のが一般化しつつある。また上記減速機においては、ハ
ンドルの戻り性を向上するため、また動力伝達効率を向
上するために、低トルク化が必要とされる。
製のウォームホイールと金属製のウォームシャフトとの
摩擦面において、摩擦の低減に寄与する潤滑グリース組
成物の役割が重要であり、その組成について種々検討が
なされている。しかし合成樹脂に影響を及ぼすことなし
に、広い温度域で摩擦の低減に安定した効果を発揮しう
る潤滑グリース組成物については、未だ完成されるに至
っていないのが現状である。
減に安定した効果を発揮し、しかも合成樹脂に影響を及
ぼすおそれがないため、例えば電動式動力舵取装置の減
速機等の、合成樹脂製の部品を用いた装置にも好適に使
用することができる、新規な潤滑グリース組成物を提供
することにある。
1記載の発明は、基油と増ちょう剤とを含む潤滑グリー
ス組成物であって、増ちょう剤として、Liステアレー
トと、Liヒドロキシステアレートとを併用したことを
特徴とする潤滑グリース組成物である。Liステアレー
トおよびLiヒドロキシステアレートはともに、潤滑グ
リース組成物の増ちょう剤として周知の成分である。発
明者は、前記の目的を達成するために、これらの成分を
含む種々の増ちょう剤について、潤滑グリース組成物の
摩擦の低減にどの程度の効果を発揮しうるかを再検討し
た。
酸リチウム)は、摩擦の低減に高い効果を発揮しうるも
のの、これを単独で使用した場合には、低温になるほど
トルクが大きくなって低温での潤滑性能(「低温特性」
とする)が低下する傾向を示すことを見出した。そこで
さらに検討した結果、12−ヒドロキシステアリン酸リ
チウムに代表されるLiヒドロキシステアレートを、L
iステアレートと併用すれば良いとの知見を得るに至っ
た。
テアレートの持つ、摩擦を低減する効果を維持しつつ、
Liヒドロキシステアレートの添加によって、特に低温
域でのトルクの上昇を抑制して低温特性を改善すること
ができる。その結果、広い温度域で、摩擦を安定して低
減することが可能となる。したがって請求項1の構成に
よれば、広い温度域で摩擦の低減に安定した効果を発揮
し、しかも合成樹脂に影響を及ぼすおそれがないため、
例えば電動式動力舵取装置の減速機等の、合成樹脂製の
部品を用いた装置にも好適に使用することができる、新
規な潤滑グリース組成物を提供することが可能となる。
ステアレートとLiヒドロキシステアレートとが併用さ
れる。両者の配合割合は、Liステアレート(Li−S
t)とLiヒドロキシステアレート〔Li−St(O
H)〕との重量比Li−St/Li−St(OH)で表
して20/80〜95/5であるのが好ましい。
が小さい場合には、当該Liステアレートによる、潤滑
グリース組成物の摩擦を低減する効果が不十分になるお
それがある。一方、この範囲よりLiヒドロキシステア
レートの配合割合が小さい場合には、当該Liヒドロキ
システアレートを配合したことによる、特に低温域での
トルクの上昇を抑制して低温特性を改善する効果が不十
分になるおそれがある。
効果と、低温域でのトルクの上昇を抑制して低温特性を
改善する効果との兼ね合いにより、広い温度域でより良
好な特性を有する潤滑グリース組成物を得ることを考慮
すると、LiステアレートとLiヒドロキシステアレー
トの配合割合は、前記の範囲内でも特に、重量比Li−
St/Li−St(OH)で表して80/20〜90/
10であるのが好ましい。
テアレートとLiヒドロキシステアレートとの併用によ
る効果を損なわない範囲で、従来公知の種々の、他の増
ちょう剤を併用することもできる。かかる他の増ちょう
剤は、セッケン系と非セッケン系とに大別される。この
うちセッケン系増ちょう剤としては、前述した2種以外
の、アルカリ金属(Li、Na、K)、アルカリ土類金
属(Ca、Sr、Ba)、Al、Zn、Cu、Pbなど
のセッケンがあげられる。セッケンのタイプとしては、
高級脂肪酸の金属塩(金属セッケン型、混合セッケン
型)や、あるいは高級脂肪酸と、低級脂肪酸または二塩
基酸などとのコンプレックス塩(コンプレックス型)が
あげられる。
これに限定されないが、例えば、(I) 炭素数12〜2
4の脂肪族モノカルボン酸、および/または少なくとも
1個のヒドロキシル基を含む炭素数12〜24の脂肪族
モノカルボン酸の、アルカリ金属塩(ただし前述した2
種を除く)、アルカリ土類金属塩、もしくはAl塩、(I
I) 炭素数12〜24の脂肪族モノカルボン酸、および
/または少なくとも1個のヒドロキシル基を含む炭素数
12〜24の脂肪族モノカルボン酸と、炭素数2〜11
の脂肪族モノカルボン酸とのCaコンプレックス塩、(I
II) 炭素数12〜24の脂肪族モノカルボン酸と、炭
素数7〜24の芳香族モノカルボン酸とのAlコンプレ
ックス塩、(IV) 炭素数12〜24の脂肪族モノカルボ
ン酸、および/または少なくとも1個のヒドロキシル基
を含む炭素数12〜24の脂肪族モノカルボン酸と、炭
素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸またはそのジエステ
ル、炭素数7〜24の芳香族モノカルボン酸またはその
エステル、リン酸エステル類、およびホウ酸エステル類
のうちの少なくとも1種とのLiコンプレックス塩など
があげられる。
機系に大別され、このうち無機系の非セッケン系増ちょ
う剤としては、例えばベントナイト、シリカゲル、亜硝
酸ホウ素などがあげられる。また有機系の非セッケン系
増ちょう剤としては、例えば式(i): R1NHCONHR2NHCONHR1 (i) 〔式中R1は、炭素数6〜24でかつ直鎖状もしくは分
岐状の、飽和または不飽和の、1価の脂肪族炭化水素基
を示し、R2は、炭素数6〜15の、2価の芳香族炭化
水素基を示す。〕で表されるジウレア化合物、上記式
(i)中のR1が炭素数6〜15の1価の芳香族炭化水素基
であるアリルウレア化合物、ポリウレア化合物、フタロ
シアニン化合物、テレフタラメート化合物、インダンス
レン、アメリンなどがあげられる。
装置の減速機用等に使用される種々の基油が、いずれも
使用可能である。基油の具体例としては、鉱油、エステ
ル油、合成炭化水素油、ポリグリコール系合成油、フェ
ニールエーテル系合成油、シリコーン油、フッ素系合成
油等があげられる。これらの基油は、それぞれ1種単独
で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
ンなどの合成炭化水素油が、基油として好適に使用され
る。かかる合成炭化水素油は、エステル油などのように
合成樹脂に影響を及ぼすおそれがなく、広い温度域で、
鉱油等に比べて安定な状態を維持できるとともに、ポリ
グリコール系合成油、シリコーン油等に比べて潤滑性に
優れる上、フェニールエーテル系合成油、フッ素系合成
油等に比べて安価であるという利点を有している。
すおそれがあるので、基油として使用しないのが望まし
いが、合成樹脂に影響を及ぼさないごく少量であれば、
他の基油と併用しても構わない。この発明は、かかる併
用を排除するものではない。基油と増ちょう剤との配合
割合は、潤滑グリース組成物に求められるちょう度その
他の特性値や、あるいは基油の粘度等の物性値などに応
じて適宜、設定すれば良い。特に増ちょう剤を、基油1
00重量部に対して5〜35重量部の配合割合で配合す
るのが好ましく、5〜25重量部の割合で配合するのが
さらに好ましい。なお増ちょう剤の配合割合は、少なく
とも前記2種の増ちょう剤を含む、増ちょう剤の総量を
示す。
成物には、上記の各成分の他に、さらに必要に応じて、
例えば酸化防止剤、極圧剤、摩耗防止剤、さび止め剤、
腐食防止剤、構造安定剤、固体潤滑剤などの添加剤を配
合してもよい。各添加剤の配合量は、それぞれ従来と同
程度であればよい。 〈潤滑グリース組成物の製造〉この発明の潤滑グリース
組成物は、従来と同様に直接ケン化法、または混合法に
よって製造される。
ッケン原料としての脂肪酸を基油中に溶解し、(2) 次
にかく拌下、強アルカリである金属水酸化物を加えて、
ケン化反応によってセッケンを合成するとともに、加熱
して脱水させ、(3) 次いでかく拌を続けながらさらに
加熱して、合成したセッケンを基油中に分散もしくは溶
解した後、冷却してゲル化させる操作を、Liステアレ
ートおよびLiヒドロキシステアレートの、少なくとも
2種のセッケン系の増ちょう剤についてそれぞれ別個に
行う。そして得られた少なくとも2種のゲルを所定の割
合で混合した後、ミリング処理することで潤滑グリース
組成物が製造される。
るタイミングは特に限定されない。ただし、ケン化反応
への影響と、ケン化反応によって生成した水の影響を避
けるためには、脱水後の任意の工程で、これらの成分を
配合するのが好ましい。またミリング処理まで完了した
潤滑グリースに、さらにその後の工程で添加剤を配合し
て、この発明の潤滑グリース組成物とすることもでき
る。一方の混合法では、あらかじめ別個に合成しておい
た、少なくともLiステアレートおよびLiヒドロキシ
ステアレートの2種を含む増ちょう剤と基油とを加熱下
でかく拌、混合して、増ちょう剤を基油中に分散もしく
は溶解した後、冷却してゲル化させ、さらにミリング処
理することで潤滑グリース組成物が製造される。
油とのかく拌、混合工程から、ミリング処理工程までの
任意の工程で、添加剤を配合することができる。また先
の場合と同様に、ミリング処理まで完了した潤滑グリー
スに、さらにその後の工程で添加剤を配合して、この発
明の潤滑グリース組成物とすることもできる。また、上
記直接ケン化法と混合法とを併用することもできる。す
なわち、いずれか1種の増ちょう剤を含む潤滑グリース
を直接ケン化法によって合成するとともに基油中に分散
もしくは溶解する工程から、ミリング処理工程までの任
意の工程で、添加剤とは別個に、あるいは添加剤と同時
に、別に合成しておいた残りの増ちょう剤を加えてさら
にミリング処理することでも潤滑グリース組成物が製造
される。
ス組成物は、前述したように広い温度域で摩擦の低減に
安定した効果を発揮し、しかも合成樹脂に影響を及ぼす
おそれがないため、例えば電動式動力舵取装置の減速機
等の、合成樹脂製の部品を用いた、比較的低速で駆動さ
れる、低負荷の装置の潤滑に特に好適に使用される。
て説明する。 実施例1〜3、比較例1、2 あらかじめ別個に合成した、基油としてのポリ(α−オ
レフィン)〔40℃での動粘度が48mm2/s〕10
0重量部と、増ちょう剤の総量12重量部とを配合し、
加熱下でかく拌、混合した後、冷却してゲル化させ、さ
らにミリング処理して潤滑グリース組成物を製造した。
トおよびLiヒドロキシステアレート(12−ヒドロキ
システアリン酸リチウム)の2種を用い、各実施例、比
較例における、上記2種の増ちょう剤の配合割合は、重
量比Li−St/Li−St(OH)で表して0/10
0(比較例1)、20/80(実施例1)、50/50
(実施例2)、85/15(実施例3)、100/0
(比較例2)とした。そして得られた各実施例、比較例
の潤滑グリース組成物について、バウデン−レーベン法
に準拠した摩擦試験機を使用して、下記の手順で、温度
25℃での静摩擦係数μを求めるとともに、−40℃で
の低温トルク(N・cm)を測定した。
力舵取装置の減速機において実際にウォームホイールに
使用するポリアミド樹脂にて形成した、直径φ5の円柱
状試験片と、同じく金属製のウォームシャフトに実際に
使用する機械構造用炭素鋼にて形成した平板状試験片と
を用いた。
の、摩擦試験面である端面の面粗さは、実機ウォームホ
イールの、歯面の面粗さと一致するように仕上げた。ま
た同様に平板状試験片の、摩擦試験面である表面の面粗
さは、実機ウォームシャフトの、歯面の面粗さと一致す
るように仕上げた。 〈測定〉測定に際しては、温度を25℃に設定した恒温
室中で、まず前記バウデン−レーベン摩擦試験機の、往
復動される台盤上に上記平板状試験片を固定し、その摩
擦試験面である表面に潤滑グリース組成物を塗布した。
次いで温度を安定させた後、上記バウデン−レーベン摩
擦試験機の保持部に円柱状試験片を保持させた状態で、
当該円柱状試験片の摩擦試験面である端面を、平板状試
験片の、潤滑グリース組成物を塗布した面に、一定の負
荷荷重をかけて圧接させた。負荷荷重は39.2Nとし
た。
1.0mm/秒、摺動幅15mmで往復動させた際に、
保持部に接続した板バネに発生する、摺動方向に沿う方
向の歪み量を歪みゲージで測定して、台盤往復時の起動
トルクと起動後の摺動トルクとを求め、その結果から静
摩擦係数μを算出した。結果を図1に示す。 〔低温トルク〕恒温室の設定温度を−40℃としたこと
以外は上記と同様にして台盤往復時の起動トルクを測定
して、−40℃での低温トルク(N・cm)とした。結
果を図2に示す。
単独で使用した比較例1の潤滑グリース組成物は、−4
0℃での低温トルクが小さいものの、静摩擦係数μが
0.2を超えることから、摩擦を低減する効果が不十分
であることがわかった。一方、Liステアレートを単独
で使用した比較例2の潤滑グリース組成物は静摩擦係数
μが小さく、摩擦を低減する効果に優れていた。しか
し、−40℃での低温トルクが、前述したポリアミド樹
脂製のウォームホイールと、機械構造用炭素鋼製のウォ
ームシャフトとを組み合わせた実機の、自動車の電動式
動力舵取装置の減速機において良好とされた32N・c
mを超えることから、低温特性が悪いことがわかった。
組成物は、いずれも静摩擦係数μが0.2以下で摩擦を
低減する効果に優れるとともに、−40℃での低温トル
クが32N・cm以下で低温特性にも優れることが確認
された。また各実施例の潤滑グリース組成物を比較する
と、Liステアレートの配合割合を多くするほど、低温
特性を維持しつつ、静摩擦係数μを小さくできることも
確認された。
ス組成物について、恒温室の設定温度を25℃、60℃
および80℃としたこと以外は前記と同様にして静摩擦
係数μを求めた。結果を図3に示す。図より、Liヒド
ロキシステアレートを単独で使用した比較例1の潤滑グ
リース組成物は、上記の測定温度範囲の全域で静摩擦係
数μが大きい上、その変動も大きいことから熱安定性が
悪いことがわかった。
成物は、上記測定温度範囲の全域で、比較例1に比べて
静摩擦係数μが小さく、しかもほぼ一定の値を示した。
そしてこのことから、実施例1〜3の潤滑グリース組成
物は熱安定性に優れ、広い温度域で、摩擦を低減する効
果を安定して発揮できることが確認された。また各実施
例の比較より、Liステアレートの配合割合を多くする
ほど、摩擦の低減効果が向上することも確認された。特
に実施例3の潤滑グリース組成物は、摩擦の低減効果に
優れていた。
比較例2の潤滑グリース組成物は、上記測定温度の範囲
内では、実施例3と同等の摩擦の低減効果を示したが、
前記のように低温特性が不良であった。
物における、Liステアレートの、増ちょう剤の総量に
対する配合割合(重量%)と、静摩擦係数μとの関係を
示すグラフである。
ける、Liステアレートの、増ちょう剤の総量に対する
配合割合(重量%)と、−40℃での低温トルク(N・
cm)との関係を示すグラフである。
ける、測定温度と静摩擦係数μとの関係を示すグラフで
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】基油と増ちょう剤とを含む潤滑グリース組
成物であって、増ちょう剤として、Liステアレート
と、Liヒドロキシステアレートとを併用したことを特
徴とする潤滑グリース組成物。 - 【請求項2】増ちょう剤として、Liステアレート(L
i−St)とLiヒドロキシステアレート〔Li−St
(OH)〕とを、重量比Li−St/Li−St(O
H)=20/80〜95/5の割合で併用した請求項1
記載の潤滑グリース組成物。 - 【請求項3】基油が合成炭化水素油である請求項1記載
の潤滑グリース組成物。 - 【請求項4】電動式動力舵取装置の減速機用である請求
項1記載の潤滑グリース組成物。
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