JP2002363489A - 光触媒性薄膜の製造方法、および光触媒性部材 - Google Patents

光触媒性薄膜の製造方法、および光触媒性部材

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JP2002363489A
JP2002363489A JP2001172243A JP2001172243A JP2002363489A JP 2002363489 A JP2002363489 A JP 2002363489A JP 2001172243 A JP2001172243 A JP 2001172243A JP 2001172243 A JP2001172243 A JP 2001172243A JP 2002363489 A JP2002363489 A JP 2002363489A
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photocatalytic
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thin film
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Minoru Takashio
稔 高塩
Tetsuya Fukushima
哲弥 福嶋
Junji Hiraoka
純治 平岡
Takahiro Doke
隆博 道家
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Toto Ltd
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】親水性、分解活性に優れ、尚且つ耐摩耗性のあ
る光触媒性薄膜 【解決手段】ガラス基材表面に光触媒性を呈する二酸化
チタン微粒子を主成分として含む二酸化チタン分散溶液
と、テトラアルコキシシランとその加水分解縮合物を含
み、そのテトラアルコキシシランの加水分解物の重量平
均分子量(Mw)が1100以上4000以下であるシ
リコーンコーティング溶液を混合し、その混合溶液を塗
布、乾燥して、光触媒性薄膜を形成する製造方法であ
り、形成された光触媒性薄膜の膜厚が70nm以上13
0nm以下となるように形成されたことを特徴とする光
触媒性薄膜製造方法及び光触媒性薄膜基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス基材に、耐摩
耗性、耐水性、親水性、分解活性に優れる光触媒性薄膜
を形成する製造方法およびその製造方法により形成され
た光触媒性部材である。
【0002】
【従来の技術】近年、二酸化チタンを用いた光触媒性薄
膜の研究、応用が注目を集めている。光触媒とは、その
伝導電子体と荷電子体のバンドギャップエネルギーより
大きい光エネルギーが照射されると、励起状態となり荷
電子対を生成する光半導体物質のことである。アナター
ゼ型結晶構造の二酸化チタンでは、光波長が387nm
以下の光が照射されると励起され、その内部に荷電子対
が生成される。さらに、その荷電子対により表面及びそ
の近傍に水酸基ラジカルや、スーパーオキサイドイオン
等の活性酸素種が発生し、これらの活性酸素種の持つ強
力な酸化力により有機物を分解する特性(分解活性)を
有している。その特性を利用してカーボン系の汚れ成分
を分解する自己洗浄作用や、アミン化合物、アルデヒド
化合物等の悪臭成分を分解する脱臭作用、大腸菌、黄色
ブドウ球菌等の菌成分の発生を防ぐ抗菌作用等を得るこ
とができ、それらの機能を備えた部材が提案されてい
る。また、励起状態の二酸化チタンは、高度な親水性を
発現する特性を併せ持つ(光励起による親水化現象)。
その特性を利用して車両のミラーやウィンドウに親水性
の薄膜を形成し、表面に付着する雨滴を濡れ広げさせる
ことにより視界を確保する手法も提案されている。光触
媒性を呈する二酸化チタンを含む光触媒性薄膜を形成す
る技術としては、従来、二酸化チタンの微粒子を有機ま
たは無機のバインダで固定する方法や、チタンアルコキ
シド等の二酸化チタンの前駆体からゾル・ゲル法により
形成する方法等、湿式による手法と、スパッタリングや
蒸着、イオンプレーティングといった乾式による手法が
検討されている。ところが、前述の乾式法では、装置コ
ストが高く、成膜に要する時間が比較的長いという問題
点があり、生産性上好ましくない。湿式方法において
は、このような問題はないが、二酸化チタンの微粒子を
無機のバインダで固定する方法において、二酸化チタン
の微粒子と加水分解性のオルガノシラン等の無機バイン
ダ前駆体を含む混合溶液を塗布し、被膜中に二酸化チタ
ンと二酸化珪素の混合された光触媒性薄膜を形成する手
法では、二酸化チタンの充填率を低くした場合、耐摩耗
性や耐水性などの耐久性は向上するが、分解活性や親水
性が充分に発揮されないという傾向があり、逆に二酸化
チタンの充填率を向上させれば、分解活性や親水性は、
向上するが、その反面、被膜の強度が低下し、耐摩耗性
や耐水性等の耐久性が低下する傾向にある等、耐久性と
分解活性、親水性は二律背反の条件となっていた。ま
た、第2865065号特許公報には、基材の上に二酸
化チタン層を形成し、その上に二酸化珪素層を形成する
手法が提案されている。この手法は、前述の、二酸化チ
タンと二酸化珪素の混合された光触媒性薄膜を形成する
手法に比べ、暗所維持性に優れる等、親水性能は向上す
る傾向にあるが、耐摩耗性等は、所望の性能が得られて
いない。そこで、本発明の目的は、二酸化チタンと二酸
化珪素の混合された光触媒性薄膜または、二酸化チタン
層と二酸化珪素層からなる光触媒性薄膜を車両用ミラー
や建材ガラス等のガラス基板に形成するにあたり、耐摩
耗性、耐水性等の耐久性に優れ、尚且つ分解活性、親水
性が充分に発揮されることができ、透明性のある光触媒
性薄膜を形成する製造方法およびその製造方法により形
成される光触媒性部材を提供することである。
【0003】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、ガラス基材表面に光触媒性を呈する二酸化チタン微
粒子を主成分として含む二酸化チタン分散溶液と、テト
ラアルコキシシランとその加水分解縮合物を含み、その
テトラアルコキシシランの加水分解物の重量平均分子量
(Mw)が1100〜4000であるシリコーンコーテ
ィング溶液を混合し、その混合溶液を塗布、乾燥して、
形成された光触媒性薄膜であり、且つ、光触媒性薄膜の
膜厚が70nm〜130nmとなるように形成されたこ
とを特徴とする光触媒性薄膜製造方法である。
【0004】請求項2記載のガラス基材表面に光触媒性
を呈する二酸化チタン微粒子を主成分として含む二酸化
チタン分散溶液を塗布、乾燥し、その後、テトラアルコ
キシシランとその加水分解縮合物を含み、そのテトラア
ルコキシシランの加水分解物の重量平均分子量(Mw)
が1100〜4000であるシリコーンコーティング溶
液を塗布、乾燥し、二酸化チタン層の上に二酸化珪素層
が形成された光触媒性薄膜であり、且つ、光触媒性薄膜
の二酸化チタン層の膜厚を70nm〜120nmとし、
二酸化珪素層の膜厚を5nm〜10nmとなるように形
成されたことを特徴とする光触媒性薄膜製造方法であ
る。
【0005】請求項3記載の本発明は、請求項1又は2
記載の製造方法により製造された光触媒性部材である。
【0006】請求項4記載の本発明は、請求項1又は2
記載の光触媒性薄膜製造方法において、シリコーンコー
ティング溶液に、さらにアルミニウムキレート化合物が
含まれる光触媒性薄膜製造方法である。
【0007】請求項5記載の本発明は、請求項4記載の
製造方法により製造された光触媒性部材である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を詳しく説明す
る。本発明に使用される二酸化チタン分散溶液として
は、結晶性二酸化チタン微粒子が分散媒中に均一に分散
されたものである。分散媒としては、特に限定されない
が、水単独又は、水と有機溶剤(低級脂肪族アルコール
類として、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、ノルマルプロパノール、n−ブタノール等、エ
チレングリコール誘導体としてエチレングリコール、エ
チレングリコールモノブチルエーテル等、ジエチレング
リコール誘導体として、ジエチレングリコール、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル等)との混合溶媒を
用いることができる。本発明においては、水、ノルマル
プロパノールの混合溶媒、水、メタノールの混合溶媒、
水、メタノール、ノルマルプロパノールの混合溶媒が、
コーティング時の成膜性、二酸化チタン微粒子の分散安
定性に優れ適している。また、二酸化チタン分散溶液に
含まれる結晶性二酸化チタン微粒子は、結晶型がアナタ
ーゼ型又は、ブルッカイト型であるものが、光触媒性が
高く、長期にわたり性能を維持する特性を有しており、
さらに、安価に容易に入手可能であることから、好適に
利用できる。また、二酸化チタン微粒子の結晶は、平均
結晶粒子径が20nm以下であるものが、透明性が高
く、また、被膜にした後の耐摩耗性に優れる傾向にあ
り、好適に利用できる。本発明に利用されるシリコーン
コーティング溶液は、一般式Si(OR)4で表される
テトラアルコキシシランとその加水分解縮合物を含み、
基材に塗布、乾燥した後、二酸化珪素を主成分とする被
膜を形成するものである。ここで、一般式Si(OR)
4中のRは、アルキル基であり、具体的には、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基等を示す。また、前記シリコーン
コーティング溶液としては、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン等が挙げられる。これらを適当な溶
剤で希釈し、そこに硬化剤としての水単独、又は水に触
媒(塩酸、酢酸、硝酸、クエン等)を必要量添加して、
加水分解及び重縮合反応を行わせて、テトラアルコキシ
シランの加水分解重縮合物である4官能珪素化合物を含
む溶液に調製する。その際、4官能珪素化合物の重量平
均分子量(Mw)がポリスチレン換算で1100以上4
000以下であることが好ましい。重量平均分子量(M
w)が1100未満である場合は、被膜を形成した後
の、耐摩耗性や耐水性等の耐久性が低下する傾向にあ
り、重量平均分子量(Mw)が4000を越える場合
は、溶液の粘性が向上するため、実際の成膜が困難とな
り、透明性のある被膜が形成し難い。ゆえに、前述のよ
うに調製することが重要となる。シリコーンコーティン
グ溶液の調製方法としては、テトラアルコキシシラン
を、希釈溶剤であるエタノール又はメタノールに希釈す
し、希釈溶液を作成する。さらに、希釈溶液に、硬化剤
として水を3〜5重量%、硝酸を0.05〜0,2重量
%の範囲で添加し、前述の条件になるように溶液を攪拌
し、調製する。攪拌の際、必要に応じて20〜50℃の
範囲で温度を加えることもできる。
【0009】シリコーンコーティング溶液に加水分解縮
合反応を促進させ、また、それぞれの加水分解縮合物を
架橋させる特徴を持つ添加物を性状が不安定にならない
範囲で添加できる。本発明においては、アルミニウムキ
レート化合物が利用できる。シリコーンコーティング溶
液とアルミニウムキレート化合物の配合比率は、酸化物
換算固形分濃度でシリコーンコーティング溶液:アルミ
ニウムキレート化合物が90〜99重量%:1〜10重
量%となるように調整するのが好ましい。
【0010】前述の二酸化チタン分散溶液とシリコーン
コーティング溶液を混合し、その混合溶液を基材に塗布
し、二酸化チタンと二酸化珪素を主成分とする光触媒性
薄膜を形成する手法としては、二酸化チタン分散溶液
に、前述の条件になるように調製したシリコーンコーテ
ィング溶液を配合し、混合溶液を作成する。この際、二
酸化チタン分散溶液とシリコーンコーティング溶液の配
合比率は、酸化物換算固形分で二酸化チタン分散溶液:
シリコーンコーティング溶液が70〜90重量%:10
〜30重量%となるように調製する。さらに形成される
光触媒性薄膜の膜厚は、70〜130nmに調製するの
が好ましい。膜厚が70nm未満である場合は、所望の
分解活性が得られず、膜厚を120nmより厚くする
と、耐摩耗性が低下する傾向にある。
【0011】混合溶液を作成する場合は、シリコーンコ
ーティング溶液は、テトラアルコキシランの加水分解縮
合物を前述の分子量になるように予め調製した後に、二
酸化チタン分散液と混合することが好ましい。予め二酸
化チタン分散溶液と混合し、テトラアルコキシシランの
加水分解縮合物の溶液条件を調製する場合、管理が複雑
になり、調製を正確にすることができない場合がある。
さらに、テトラアルコシシランの加水分解縮合物が二酸
化チタン微粒子と反応し、成膜後の光触媒活性が低下す
る傾向にある。
【0012】二酸化チタン分散溶液を基材に塗布し、さ
らに、前述の記載内容に調製したシリコーンコーティン
グ溶液を塗布し、二酸化チタンと二酸化珪素を主成分と
する光触媒性薄膜を形成する手法としては、最初に基材
に二酸化チタン分散溶液を塗布し、基材を乾燥し、二酸
化チタンを主成分とする被膜を形成する。乾燥の際の温
度は、好ましくは100℃以上、さらに好ましくは12
0〜200℃であることが好ましい。100℃以下で
は、乾燥が不十分であり、完全に分散溶媒を除去するこ
とができない。200℃以上とすると、冷却に時間を要
するため、生産性が悪くなる。また、形成される二酸化
チタンを主成分とする被膜の膜厚は、70〜120nm
になるように形成されることが好ましい。膜厚が70n
m未満である場合は、所望の分解活性が得られず、膜厚
を120nmより厚くすると、耐摩耗性が低下する傾向
にある。さらに、続いて、シリコーンコーティング溶液
を塗布し、基材を乾燥し、二酸化チタンを主成分とする
被膜の最表面を覆うように二酸化珪素の被膜を形成し、
二酸化チタンと二酸化珪素を主成分とする光触媒性被膜
を形成する。この際、二酸化チタンを主成分とする被膜
の上に形成される二酸化珪素層の膜厚は、5〜10nm
であることが好ましい。膜厚が5nm未満である場合
は、形成された二酸化珪素層が十分に二酸化チタンを主
成分とする被膜の最表面を覆うように被膜されず、二酸
化チタン粒子が露出し、耐摩耗性が低下する傾向にあ
る。膜厚を10nmより厚くすると、形成される二酸化
珪素を主成分とする被膜の膜厚が厚くなりす過ぎ、分解
活性や親水性が低下する傾向にある。
【0013】各溶液の塗布方法としては、スプレー方
式、ディップ方式、フローコート方式、カーテンコート
方式、スピンコート方式が、利用できる。比較的大きい
面積の基材に関しては、ディップ方式、フローコート方
式、スプレー方式が、生産性の観点より適している。特
にディップ方式、フローコート方式は、透明性があり、
且つ均一にコーティングが可能である。また、比較的小
さい面積の基材に関しては、スピンコート方式が、透明
性があり、且つ均一にコーティングする方法として適し
ている。さらに、塗布溶液を循環させ必要がないため、
塗布溶液の安定性も良く、好適に利用できる。
【0014】各溶液を塗布後、硬化させる手法は、公知
の手法を用いることができる。硬化に必要な加熱温度
は、所望の性能により、常温から各基材の耐熱温度まで
の幅を選ぶことができる。本発明の方法により表面に光
触媒性薄膜が形成される基材としては、建材ガラス、車
両用ガラス等のガラス基材や、車両用ミラー等が用いら
れる。ガラス基材の材質としては、ソーダライムガラ
ス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス等が利用できる。特に
ホウ珪酸ガラス、石英ガラスは、含有アルカリ量が少な
く、工程中でのアルカリ溶出を少なく抑えることがで
き、好適に利用できる。ミラーとしては、Cr鏡,Ag
鏡,Al鏡や、アモルファスな二酸化珪素や二酸化チタ
ンを多層に積層したブルー鏡等が利用できる。特にCr
鏡は、耐熱性や耐摩耗性に優れ、好適に利用できる。ま
た、車両用ミラーは、表面に金属反射層があるものと、
裏面に金属反射層があるものがあるが、光触媒性薄膜を
金属反射層と反対側の面に構成できることより好まし
い。また、光触媒性薄膜を反射金属の耐熱温度以上に加
熱する場合は、反射金属の裏面に無機系耐熱塗料を施す
ことによって、反射金属の酸化劣化を防ぐことができ
る。前述の基材に塗付した後の硬化温度としては、ガラ
スであれば、ガラス軟化温度以下であり、且つ、光触媒
性が失われない500℃以下が好ましい。車両用ミラー
であれば、各反射金属の耐熱温度以下が好ましい。裏面
に耐熱処理を施してある車両用ミラーであれば、さらに
高い温度を利用できる。また、鏡面処理前に光触媒性被
膜を形成する場合は、ガラス軟化温度以下であり、且つ
光触媒性が失われない500℃以下が好ましい。
【0015】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。 <実施例1>テトラメトキシシラン(コルコート社製
MS51酸化物換算で51重量%)を1.58重量部、2重
量%硝酸水を5重量部、エタノールを93.42重量部
加え、酸化物換算固形分0.8重量%の分散液を調整し
た。さらにこの分散液を25℃、24時間をマグネチッ
クスターラで混合し、#1−1分散液(シリコーンコー
ティング溶液)を得た。この分散液のテトラメトキシシ
ランの加水分解重合物の分子量はポリスチレン換算によ
る重量平均分子量(Mw)が1200(東ソー株式会社
製:HLC−8120GPC)であった。#1−1分散
液68.82重量部に、二酸化チタン分散溶液(アナタ
ーゼ型酸性TiO2ゾル、平均粒子径10nm、固形分20
%)8.0重量部、1−プロパノール23.72重量部
を混合し、TiO2/SiO2を酸化物換算重量比80/20、
固形分2重量%の#1−2分散液を作製した。#1−2
分散液を、ガラス板(100mm×100mm×2mm
の基板)にスピンコートにより成膜した後、450℃−
1時間保持で熱処理し、膜厚約100nmの光触媒性薄
膜を得た。次に実施例1の試料の分解活性、耐摩耗性、
耐水性を見た。詳しくは、分解活性は、紫外線ランプ
(三共電気製、ブラックライトブルー(BLB)20W
蛍光灯)0.5mW/cm2(ウシオ電機製照度計 UIT
-150型)照射下で水との接触角10°以下(接触角計:
協和界面化学製、CA−X150)にしてから、自動車
用固形WAX(シュアラスター製:商品名ヒーロ:主成分
カルナバロウ)を試料の表面に塗りつけ、室温で1時間
放置した後、中性洗剤を含んだスポンジで洗浄し乾燥し
た。乾燥後、BLB0.05mW/cm2照射し、1時
間毎に、水との接触角を測定した。分解活性の高さは、
1時間辺りの接触角の変化幅により評価した。1時間辺
りの水との接触角の変化が15゜以上であるものを◎
(分解活性が高い)、1時間辺りの水との接触角の変化
が10゜以上15゜未満であるものを○(分解活性がや
や高い)、1時間辺りの水との接触角の変化が10゜未
満であるものを×(分解活性が低い)とした。また、耐
摩耗性の強さは、摺動試験機(東洋精機製、ウォッシャ
ビリティテスタ)を用い、綿布を試料表面に接触させ、
荷重120g/cm2、1500往復摺動、摺動スピー
ド30往復摺動/分、ストローク300mmの条件で摺
動した。摺動後、試料表面で洗浄し、50℃で乾燥して
から表面を観察した。評価として○キズなし、△キズ
少、×著しいキズとして3段階で示した。耐水性は、4
0℃、湿度95%環境下に、試料を120時間放置し、
試料表面を観察した。評価としては、○剥離なし、△一
部剥離あり、×著しい剥離として3段階で示した。表1
に結果を示す。
【0016】
【表1】
【0017】<比較例1>テトラエトキシシラン(コル
コート社製 ES40酸化物換算で40重量%)を2重
量部、1重量%硝酸水を2重量部、エタノールを96重
量部加え、酸化物換算固形分0.8重量%の分散液を調
整した。さらにこの分散液を25℃、10時間をマグネ
チックスターラで混合し、#H1−1分散液(シリコー
ンコーティング溶液)を得た。この分散液のテトラエト
キシシラン加水分解重合物の分子量はポリスチレン換算
で重量平均分子量(Mw)が600であった。#H1−
1分散液68.28重量部に、二酸化チタン分散溶液
(アナターゼ型酸性TiO2ゾル、平均粒子径10nm、固
形分20%)8.0重量部、1−プロパノール23.7
2重量部を混合し、TiO2/SiO2を酸化物換算重量比80
/20、固形分2重量%の#H1−2分散液を作製し
た。#H1−2分散液を、ガラス板(100mm×10
0mm×2mmの基板)にスピンコートにより成膜した
後、450℃−1時間保持で熱処理し、膜厚約100n
mの光触媒性薄膜を得た。前述と同様に分解活性、耐摩
耗性、耐水性を見た。結果を表1に示す。
【0018】<比較例2>#1−2分散液50重量部に
エタノール50重量部を加え、固形分1重量%の#H2
−1分散液を作製した。#H2−1分散液をガラス板
(100mm×100mm×2mmの基板)にスピンコ
ートにより成膜した後、450℃−1時間保持で熱処理
し、膜厚約50nmの光触媒性薄膜を得た。前述と同様
に分解活性、耐摩耗性、耐水性を見た。結果を表1に示
す。
【0019】<比較例3>#1−1分散液75重量部
に、二酸化チタン分散溶液(アナターゼ型酸性TiO2ゾ
ル、平均粒子径10nm、固形分20%)12重量部、
1−プロパノール13重量部を混合し、TiO2/SiO2を酸
化物換算重量比80/20、固形分3重量%の#H3−
1分散液を作製した。#1−2分散液を、ガラス板(1
00mm×100mm×2mmの基板)にスピンコート
により成膜した後、450℃−1時間保持で熱処理し、
膜厚約150nmの光触媒性薄膜を得た。前述と同様に
分解活性、耐摩耗性、耐水性を見た。結果を表1に示
す。
【0020】<実施例2>光触媒性二酸化チタン分散溶
液(アナターゼ型酸性TiO2ゾル、平均粒子径10nm、
固形分20%)10重量部に、1−プロパノール35重
量部、メタノール55重量部を加え、マグネチックスタ
ーラで混合することにより、固形分2重量%の二酸化チ
タン分散溶液を作製した。次に、二酸化チタン分散溶液
を、ガラス板(100mm×100mm×2mmの基
板)にスピンコートにより成膜した後、120℃、30
分乾燥させることで、膜厚約100nmの酸化チタン微
粒子層を形成し#2−1試料とした。#2−1試料の表
面に無定型二酸化珪素層を形成させるにあたり、詳しく
は、テトラメトキシシラン(コルコート社製 MS51酸化
物換算で51重量%)を0.40重量部、2重量%硝酸
水を5重量部、エタノールを94.6重量部で混合し、
テトラメトキシシランを酸化物換算で固形分0.20重
量%の分散液を調整した。この分散液を25℃、24時
間混合し、#2−2分散液を得た。この分散液のテトラ
メトキシシラン加水分解重合物の分子量はポリスチレン
換算により重量平均分子量(Mw)が1200であっ
た。#2−2分散液を、#2−1試料表面にスピンコー
トにより成膜した#2−3試料を得た。この試料の二酸
化珪素層の膜厚は、約8nmであった。#2−3試料を
450℃−1時間保持で熱処理し、光触媒性薄膜を形成
した試料を得た。実施例2の#2−1試料の表面SEM
写真を図1に、形成された光触媒性薄膜の表面SEM写
真を図2に示す。図1では、二酸化チタンの粒子が観察
されるが、図2では、二酸化チタンの粒子が殆ど観察さ
れないことより、二酸化珪素層が二酸化チタン層の表面
を覆うように形成されていることが解る。前述と同様に
分解活性、耐摩耗性、耐水性を見た。結果を表1に示
す。
【0021】<比較例4>#2−1試料の表面に無定型
二酸化珪素層を形成させるにあたり、詳しくは、テトラ
エトキシシラン(コルコート社製 ES40酸化物換算
で40重量%)を0.5重量部、1重量%硝酸水を2重
量部、エタノールを97.5重量部で混合し、テトラエ
トキシシランを酸化物換算で固形分0.20重量%の分
散液を調整した。この分散液を25℃、10時間混合
し、#H4−1分散液を得た。この分散液のテトラエト
キシシラン加水分解重合物の分子量はポリスチレン換算
による重量平均分子量(Mw)が600であった。#H
4−1分散液を、#2−1試料表面にスピンコートによ
り成膜した#H4−2試料を得た。この試料の二酸化珪
素層の膜厚は、約8nmであった。#H4−2試料を4
50℃−1時間保持で熱処理し、光触媒性薄膜を形成し
た試料を得た。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、耐水
性を見た。結果を表1に示す。
【0022】<比較例5>#2−1試料の表面に無定型
二酸化珪素層を形成させるにあたり、詳しくは、テトラ
メトキシシラン(コルコート社製 MS51酸化物換算で5
1重量%)を0.98重量部、2重量%硝酸水を5重量
部、エタノールを94.02重量部で混合し、テトラメ
トキシシシランを酸化物換算で固形分0.50重量%の
分散液を調整した。この分散液を25℃、24時間混合
し、#H5−1分散液を得た。この分散液のテトラメト
キシシラン加水分解重合物の分子量はポリスチレン換算
により重量平均分子量(Mw)が1200であった。#
H5−1分散液を#2−1試料表面にスピンコートによ
り成膜した#H5−2試料を得た。この試料の二酸化珪
素層の膜厚は、約15nmであった。#H5−2試料を
450℃−1時間保持で熱処理し、光触媒性薄膜を形成
した試料を得た。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、耐
水性を見た。結果を表1に示す。
【0023】<比較例6>#2−1試料の表面に無定型
二酸化珪素層を形成させるにあたり、詳しくは、テトラ
エトキシシラン(コルコート社製 MS51酸化物換算で5
1重量%)を0.19重量部、2重量%硝酸水を5重量
部、エタノールを94.80重量部で混合し、テトラエ
トキシシランを酸化物換算で固形分0.10重量%の分
散液を調整した。この分散液を25℃、24時間混合
し、#H6−1分散液を得た。この分散液のテトラエト
キシシラン加水分解重合物の分子量はポリスチレン換算
により重量平均分子量(Mw)が1200であった。#
H6−1分散液を#2−1試料表面にスピンコートによ
り成膜した#H6−2試料を得た。この試料の二酸化珪
素層の膜厚は、約4nmであった。#H6−2試料を4
50℃−1時間保持で熱処理し、光触媒性薄膜を形成し
た試料を得た。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、耐水
性を見た。結果を表1に示す。
【0024】<比較例7>光触媒性二酸化チタン分散溶
液(アナターゼ型酸性TiO2ゾル、平均粒子径10nm、
固形分20%)5重量部に、1−プロパノール35重量
部、メタノール60重量部を加え、マグネチックスター
ラで混合することにより、固形分1重量%の二酸化チタ
ン分散溶液を作製した。次に、二酸化チタン分散溶液
を、ガラス板(100mm×100mm×2mmの基
板)にスピンコートにより成膜した後、120℃、30
分乾燥させることで、膜厚約50nmの酸化チタン微粒
子層を形成し#H7−1試料とした。#2−2分散液を
#H7−1試料表面にスピンコートにより成膜した#H
7−2試料を得た。この試料の二酸化珪素層の膜厚は、
約8nmであった。#H7−2試料を450℃−1時間
保持で熱処理し、光触媒性薄膜を形成した試料を得た。
表1に結果を示す。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、
耐水性を見た。結果を表1に示す。
【0025】<実施例3>#2−1試料の表面に無定型
二酸化珪素層を形成させるにあたり、詳しくは、テトラ
メトキシシラン(コルコート社製:MS51、酸化物換算で
固形分51重量%)20.52重量部にアルミニウムキ
レート化合物(川研ファインケミカル製:アルキルキレ
ートD、酸化物換算で固形分24重量%)2.26重量
部、メタノール77.22重量部で混合し、酸化物換算
固形分(SiO2/Al2O3 95/5)で11重量%の#3−2
分散液を作製した。#3−2分散液を1.82重量部、
2重量%硝酸水を3重量部、エタノールを95.18重
量部で混合し、酸化物換算で固形分0.20重量%の分
散液を調整し25℃、24時間攪拌した。この分散液の
テトラメトキシシラン加水分解重合物の分子量は、ポリ
スチレン換算による重量平均分子量(Mw)が1200
であり、#3−3分散液とした。#3−3分散液を#2
−1試料の表面にスピンコートにより成膜し、#3−3
試料を得た。この試料の二酸化珪素層のま膜厚は約8n
mであった。前記熱処理により、光触媒性薄膜が形成さ
れた試料を得た。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、耐
水性を見た。結果を表1に示す。
【0026】<実施例4>実施例4の#3−2分散液
7.28重量部、2重量%硝酸水5重量部、メタノール
56重量部(酸化物換算固形分0.8重量%)を25
℃、24時間をマグネチックスターラで混合し、#4−
1分散液を作製した。#4−1分散液に二酸化チタン分
散溶液(アナターゼ型酸性TiO2ゾル、平均粒子径10n
m、固形分20%)8.0重量部、1−プロパノール2
3.72重量部を混合し、TiO2/(SiO2、Al2O3)を酸
化物換算重量比80/20、固分2重量%の#4−2分
散液を作製した。#4−2分散液をガラス板(100m
m×100mm×2mmの基板)の表面にスピンコート
により成膜し、450℃−1時間保持の熱処理により、
膜厚は約100nmの光触媒性薄膜が形成された試料を
得た。前述と同様に分解活性、耐摩耗性、耐水性を見
た。結果を表1に示す。
【0027】
【発明の効果】本発明では、二酸化チタンと二酸化珪素
の混合された光触媒性薄膜または、二酸化チタン層と二
酸化珪素層からなる光触媒性薄膜をガラス基板に形成す
るにあたり、耐摩耗性、耐水性等の耐久性に優れ、尚且
つ分解活性、親水性が充分に発揮されることができ、透
明性のある光触媒性薄膜を形成する製造方法およびその
製造方法により形成される光触媒性部材を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2の#2−1試料の表面SEM写真
【図2】実施例2の光触媒性薄膜が形成された試料の表
面SEM写真
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福嶋 哲弥 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 平岡 純治 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 道家 隆博 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DL021 HA216 JC38 KA06 KA20 MA14 NA04 NA06 NA11 PC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基材表面に光触媒性を呈する二酸
    化チタン微粒子を主成分として含む二酸化チタン分散溶
    液と、テトラアルコキシシランとその加水分解縮合物を
    含み、そのテトラアルコキシシランの加水分解物の重量
    平均分子量(Mw)が1100〜4000であるシリコ
    ーンコーティング溶液を混合し、その混合溶液を塗布、
    乾燥して、形成された光触媒性薄膜であり、且つ、光触
    媒性薄膜の膜厚が70nm〜130nmとなるように形
    成されたことを特徴とする光触媒性薄膜製造方法。
  2. 【請求項2】 ガラス基材表面に光触媒性を呈する二酸
    化チタン微粒子を主成分として含む二酸化チタン分散溶
    液を塗布、乾燥し、その後、テトラアルコキシシランと
    その加水分解縮合物を含み、そのテトラアルコキシシラ
    ンの加水分解物の重量平均分子量(Mw)が1100〜
    4000であるシリコーンコーティング溶液を塗布、乾
    燥し、二酸化チタン層の上に二酸化珪素層が形成された
    光触媒性薄膜であり、且つ、光触媒性薄膜の二酸化チタ
    ン層の膜厚を70nm〜120nmとし、二酸化珪素層
    の膜厚を5nm〜10nmとなるように形成されたこと
    を特徴とする光触媒性薄膜製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の製造方法により
    形成されたことを特徴とする光触媒性部材。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の光触媒性薄膜製
    造方法において、シリコーンコーティング溶液に、さら
    にアルミニウムキレート化合物が含まれることを特徴と
    する光触媒性薄膜製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の製造方法により形成さ
    れたことを特徴とする光触媒性部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005060312A1 (ja) * 2003-12-16 2005-06-30 Murakami Corporation 発熱素子

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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