JP2002363071A - メラニン生成抑制剤及び皮膚外用剤 - Google Patents

メラニン生成抑制剤及び皮膚外用剤

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JP2002363071A
JP2002363071A JP2001173655A JP2001173655A JP2002363071A JP 2002363071 A JP2002363071 A JP 2002363071A JP 2001173655 A JP2001173655 A JP 2001173655A JP 2001173655 A JP2001173655 A JP 2001173655A JP 2002363071 A JP2002363071 A JP 2002363071A
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melanin formation
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洋幸 松田
Hiroyasu Kumamoto
浩康 隈元
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Misao Yagi
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Kenichi Yamamoto
憲一 山本
Toshimitsu Hagiwara
利光 萩原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いメラニン生成抑制効果があり、安定性、
安全性に優れたメラニン生成抑制剤及びそれを含有する
皮膚外用剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される大環状ケト
ン誘導体の1種又は2種以上及び/又は下記一般式
(2)で表される大環状アルコール誘導体の1種又は2
種以上を含有することを特徴とするメラニン生成抑制
剤。 【化1】 (1) 【化2】 (2)(各式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基で
置換されていてもよい、飽和又は1〜3個の不飽和結合
を有する環員炭素数13〜24の鎖状炭化水素基を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、次の一般式(1)
【化3】 (式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基で置換され
ていてもよい、飽和又は1〜3個の不飽和結合を有する
環員炭素数13〜24の鎖状炭化水素基を示す。)で表
される大環状ケトン誘導体の1種又は2種以上、及び/
又は次の一般式(2)
【化4】 (式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基で置換され
ていてもよい、飽和又は1〜3個の不飽和結合を有する
環員炭素数13〜24の鎖状炭化水素基を示す。)で示
される大環状アルコール誘導体の1種又は2種以上を含
有するメラニン生成抑制剤、及びこれらのメラニン生成
抑制剤を1種又は2種以上含有する皮膚外用剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】皮膚への紫外線等の照射により日焼けを
起こし、皮膚組織が色黒く変色を生じるのは、紫外線暴
露による刺激やホルモン等が原因となって、色素細胞に
おいてメラニンが生成、沈着することに起因する。そば
かす、しみなどは皮膚局所において表皮全層にメラニン
が滞って沈着している状態である。この表皮におけるメ
ラニン合成については、色素細胞の中で生合成された酸
化酵素であるチロシナーゼがチロシンを酸化重合させる
ことでメラニンが生成するとされている。このような、
メラニンの生成、沈着過程を抑制することが美白剤開発
としての課題であり、様々な研究がなされてきた。
【0003】これまでに、チロシナーゼの活性を阻害し
てメラニン生成を抑制する物質や、生成したメラニンを
淡色漂白化する物質として、ビタミンC、システイン、
コウジ酸、アルブチン、グルタチオン、ハイドロキノン
や天然物からの抽出物等の有効性が確認されている。し
かしながら、これらの物質は安定性、安全性、美白効果
も十分ではなく、未だ満足のいく美白剤は得られていな
い。
【0004】これまでに、大環状ヒドロキシケトン構造
を有するメラニン生成抑制効果のある化合物として、ム
スク香料の合成中間体として知られる2−ヒドロキシシ
クロペンタデカノン(特開平9−151129号公報)
が報告されている。しかし、この化合物のメラニン生成
抑制効果も未だ充分ではなく、さらに活性の強いメラニ
ン生成抑制剤の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
メラニン生成抑制効果があり、安定性、安全性に優れた
メラニン生成抑制剤及びそれを含有する皮膚外用剤を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような現状におい
て、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、下記一般式
(1)で示される大環状ケトン誘導体、及び/又は、下
記一般式(2)で示される大環状アルコール誘導体が、
生きた色素細胞のメラニン産生に対し強力な抑制作用を
有し、上記課題を解決できることを見いだした。
【0007】
【化5】
【化6】
【0008】さらに、本発明者らは、上記一般式(1)
及び/又は上記一般式(2)からなるメラニン生成抑制
剤が、安定性、安全性に優れ、高いメラニン生成抑制効
果があり、これを含有した皮膚外用剤が処方系中もしく
は基剤中で安定で且つ安全で、優れた美白効果があるこ
とを見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明は
上記一般式(1)で表される大環状ケトン誘導体の1種
又は2種以上、及び/又は上記一般式(2)で表される
大環状アルコール誘導体の1種又は2種以上を含有する
メラニン生成抑制剤、該メラニン生成抑制剤を含有する
皮膚外用剤に関するものであり、以下に示すとおりであ
る。
【0009】(1)前記一般式(1)で示される大環状
ケトン誘導体の1種又は2種以上、及び/又は前記一般
式(2)で示される大環状アルコール誘導体の1種又は
2種以上を含有することを特徴とするメラニン生成抑制
剤。 (2)前記メラニン生成抑制剤の1種又は2種以上を含
有することを特徴とする皮膚外用剤。 (3)前記第(1)項記載のメラニン生成抑制剤の1種
又は2種以上を0.00001〜10重量%含有するこ
とを特徴とする皮膚外用剤。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のメラニン生成抑制剤であ
る上記一般式(1)で示される化合物の好ましい具体例
としては、以下に示す化合物が挙げられるが、本発明
は、これらの化合物に限定されるものではない。シクロ
テトラデカノン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサ
デカノン、シクロヘプタデカノン、シクロオクタデカノ
ン、シクロノナデカノン、シクロイコサノン、シクロヘ
ンコサノン、シクロドコサノン、シクロトリコサノン、
シクロテトラコサノン、シクロペンタコサノン、3−メ
チルシクロペンタデカノン、(S)-3−メチルシクロペ
ンタデカノン、(R)-3−メチルシクロペンタデカノ
ン、3−メチルシクロヘキサデカノン、4−メチルシク
ロヘキサデカノン、4−シクロペンタデセノン、5−シ
クロペンタデセノン、4−シクロヘキサデセノン、5−
シクロヘキサデセノン、(E)-5−シクロヘキサデセノ
ン、(Z)-5−シクロヘキサデセノン、9−シクロヘプ
タデセノン、(E)-9−シクロヘプタデセノン、(Z)-
9−シクロヘプタデセノン、3−メチル−4−シクロペ
ンタデセノン、3−メチル−5−シクロペンタデセノ
ン、3−メチル−4−シクロヘキサデセノン、3−メチ
ル−5−シクロヘキサデセノン、4−メチル−4−シク
ロヘキサデセノン、4−メチル−5−シクロヘキサデセ
ノン、10−シクロイコセノン、11−シクロドコセノ
ン、12−シクロテトラコセノン等。
【0011】また、上記一般式(2)で示される化合物
の好ましい具体例としては、以下に示す化合物が挙げら
れるが、本発明は、これらの化合物に限定されるもので
はない。シクロテトラデカノール、シクロペンタデカノ
ール、シクロヘキサデカノール、シクロヘプタデカノー
ル、シクロオクタデカノール、シクロノナデカノール、
シクロイコサノール、シクロヘンコサノール、シクロド
コサノール、シクロトリコサノール、シクロテトラコサ
ノール、シクロペンタコサノール、3−メチルシクロペ
ンタデカノール、(1R,3R)-3−メチルシクロペンタデカ
ノール、(1R,3S)-3−メチルシクロペンタデカノール、
(1S,3R)-3−メチルシクロペンタデカノール、(1S,3S)-
3−メチルシクロペンタデカノール、3−メチルシクロ
ヘキサデカノール、4−メチルシクロヘキサデカノー
ル、4−シクロペンタデセノール、5−シクロペンタデ
セノール、4−シクロヘキサデセノール、5−シクロヘ
キサデセノール、(E)-5−シクロヘキサデセノール、
(S)-5−シクロヘキサデセノール、9−シクロヘプタデ
セノール、(E)-9−シクロヘプタデセノール、(S)-9−
シクロヘプタデセノール、3−メチル−4−シクロペン
タデセノール、3−メチル−5−シクロペンタデセノー
ル、3−メチル−4−シクロヘキサデセノール、3−メ
チル−5−シクロヘキサデセノール、4−メチル−4−
シクロヘキサデセノール、4−メチル−5−シクロヘキ
サデセノール、10−シクロイコセノール、11−シク
ロドコセノール、12−シクロテトラコセノール等。
【0012】本発明の上記一般式(1)で示される化合
物あるいは一般式(2)で示される化合物は、アルコー
ルを有する炭素及び鎖状炭化水素基の置換により生ずる
不斉炭素上の(R,S)構造により光学活性な異性体が
存在するが、本発明においてはこれらのいずれの異性体
であっても、またラセミ体であっても用いることができ
る。さらに二重結合により生ずるシス体及びトランス体
のいずれの異性体であっても、またそれらの混合物であ
っても用いることができる。
【0013】本発明に係わる大環状ケトン化合物(1)
は、例えば15員環ケトンではムスコン(3−メチルシ
クロペンタデカノン)、エグザルトン(シクロペンタデ
カノン)、16員環ケトンではアンブレトン(5−シク
ロヘキサデセノン)、シクロヘキサデカノン、17員環
ケトンとしてはシベトン(9−シクロヘプタデセノン)
等が市販ムスク香料として入手が容易であり、これらを
使用することができる。またそれ以上の環員数の大環状
ケトンは、相当する炭素数を有する両末端長鎖ジカルボ
ン酸ジエステルを、公知の方法であるアシロイン縮合反
応及び続く還元的脱水酸基反応により合成することがで
きる(特許第3087921号)。さらに飽和体は相当
する不飽和体を常法に従い、例えば触媒としてパラジウ
ムカーボン存在下水素化することで容易に得ることがで
きる。
【0014】本発明に係わる大環状アルコール化合物
(2)は、例えば15員環アルコールではムスコン(3
−メチルシクロペンタデカノン)、エグザルトン(シク
ロペンタデカノン)、16員環アルコールではアンブレ
トン(5−シクロヘキサデセノン)、シクロヘキサデカ
ノン、17員環アルコールとしてはシベトン(9−シク
ロヘプタデセノン)等の市販ムスク香料を常法により水
素化ホウ素ナトリウム等でケトン基を還元することで容
易に調製し使用することができる。またそれ以上の環員
数の大環状アルコールは、相当する炭素数を有する両末
端長鎖ジカルボン酸ジエステルを、公知の方法であるア
シロイン縮合反応及び続く還元的脱水酸基反応(特許第
3087921号)により相当するケトン体を合成後、
上述した様に還元することで得られる。さらに飽和体は
相当する不飽和体を常法に従い、例えば触媒としてパラ
ジウムカーボン存在下水素化することで容易に得ること
ができる。
【0015】本発明において、皮膚外用剤とは、化粧
品、医薬品、医薬部外品のことであり、これらの剤型は
任意であり、通常、化粧品、医薬品、医薬部外品等に用
いられているもの、例えば、化粧水、乳液、パック、フ
ァンデーション、クリーム、軟膏、浴用剤、ゲル等の剤
型が挙げられる。
【0016】皮膚外用剤の剤型中のメラニン生成抑制剤
の濃度は、基剤の種類、他のメラニン生成抑制剤との併
用の有無、使用目的等により適宜変えることができる
が、通常は外用剤全量に対して、好ましくは0.00001 〜
10重量%、更に好ましくは 0.0001〜1 重量%の範囲と
するのが良い。
【0017】皮膚外用剤の基剤としては、公知の皮膚外
用剤の基剤を用いることができ、本発明化合物に対して
不活性なものであれば特に制限されることはなく、固
体、液体、乳剤、泡状剤、ゲル状剤等のいずれも使用す
ることができる。また、本発明の皮膚外用剤には、本発
明化合物のメラニン生成抑制効果を損なわない範囲にお
いて、医薬品、化粧品等で一般に用いられる各種成分、
例えば、水性成分、油性成分、粉末成分、界面活性剤、
保湿剤、低級あるいは多価アルコール類、増粘剤、着色
料、香料、抗酸化剤、PH調整剤、キレート剤、防腐
剤、紫外線防御剤、乳化剤、抗炎症剤、薬効成分、皮膚
栄養剤、等を適宜添加することができる。
【0018】さらに、前述の成分の他に、他の美白成分
の1種又は2種以上を配合しても良く、例えばパンテテ
イン−S−スルフォン酸、イソフェルラ酸、アスコルビ
ン酸及びこれらの誘導体、アルブチン、コウジ酸、リノ
ール酸、エラグ酸、グリチルリチン酸、甘草抽出物等と
併用することにより、効果をより一層高めることができ
る。また、本発明のメラニン生成抑制剤を皮膚外用剤の
剤型中に混合する場合は、単独で他の各種成分と混ぜて
も、あるいは香料組成物中に溶解させた後にその他の各
種成分と混ぜてもどちらでも良い。
【0019】
【実施例】以下に実施例によって本発明を記述するが、
本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施
例中において用いる測定機器及び測定条件を以下に示
す。
【0020】(1)ガスクロマトグラフ(転換率の測
定); 機器:HP−5890A(ヒューレットパッカード社
製) カラム:Chemical bonded column OV-1 ( 25 m× 0.25
mm)(ジーエルサイエンス株式会社製) キャリアーガス:ヘリウム 測定温度:100 〜220 ℃(10℃/分で昇温)
【0021】(2)赤外吸収スペクトル(IR); 機器:IR−810型(日本分光工業株式会社製) 測定方法:フィルム法 (3)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR); 機器:AM−400(400MHz)(ブルッカー社
製) 内部標準物質:テトラメチルシラン (4)質量スペクトル(MS); 機器:M−80B質量分析計(イオン化電圧:20e
V)(株式会社日立製作所製)
【0022】合成例1:10−シクロイコセノンの合成 温度計と冷却器を取り付けた500mlの4口反応器に
メチル 10−ウンデセノエート(25ml)、グラッ
ブス触媒(0.25g)及び塩化メチレン(100m
l)を仕込み、窒素気流下、室温にて16時間撹拌し
た。反応混合物を減圧下溶媒を留去し、メタノール(7
5ml)に溶かした後、−10℃下3時間にて再結晶化
を行った。得られた結晶をろ過し、−10℃に冷却した
メタノール(75ml)で洗浄後、得られた白色結晶を
真空ポンプで乾燥し10−イコセン二酸ジメチルエステ
ル7.2gを得た。
【0023】温度計、滴下ロート及び冷却器を取り付け
た200mlの4口反応器に金属ナトリウム(0.9
g)及び乾燥トルエン(60ml)を仕込み、窒素気流
下105℃にて加熱撹拌した。その中に10−イコセン
二酸ジメチルエステル(3.7g)、塩化トリメチルシ
リル(4.4g)の乾燥トルエン(60ml)溶液を1
5分間かけて滴下し、加熱還流下2時間撹拌した。反応
混合物を冷却し、メタノール(60ml)でクエンチ
後、5%塩酸水と酢酸エチルを加えて分液し、得られた
有機層を2回水洗後、飽和食塩水洗を行い、溶媒を減圧
下留去して粗生成物3.4gを得た。このものをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル
=10/1)で精製し、2−ヒドロキシ−11−シクロ
イコセノン2.4g(収率77%)を得た。
【0024】温度計、滴下ロート及び冷却器を取り付け
た50mlの4口反応器に亜鉛粉末(2.3g)、2−
ヒドロキシ−11−シクロイコセノン(1.4g)及び
トルエン(10ml)を仕込み、窒素気流下90℃にて
加熱撹拌した。その中に20N−硫酸水(2.8ml)
を2.5時間かけて滴下し、その後30分加熱撹拌し
た。反応終了後トルエンと水を加えて分液し、有機層を
2回水洗後、飽和食塩水洗を行い、溶媒を減圧下留去し
て粗生成物1.4gを得た。このものをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=10/
1)で精製し、10−シクロイコセノン1.2g(収率
92%)を得た。
【0025】1H-NMR (500MHz, CDCl3, d) ppm : 1.28
(br.s, 30H), 1.57-1.64 (m, 4H), 2.40 (t, J=7.0 Hz,
4H). IR (film) cm-1 : 3025, 1715. MS (m/e) : 292 (M+), 274, 237, 196, 149, 135, 121,
109, 95, 81, 67, 55,41, 29
【0026】合成例2:10−シクロイコサノンの合成 温度計と冷却器を取り付けた50mlの4口反応器に1
0−シクロイコセノン(0.6g)、パラジウム−カー
ボン(0.06g)及びエタノール10mlを仕込み、
水素雰囲気下室温にて16時間加熱撹拌をした。触媒を
ろ過し、溶媒を減圧下留去して粗生成物0.6gを得
た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(へキサン/酢酸エチル=10/1)で精製し、10−
シクロイコサノン0.6g(収率定量的)を得た。
【0027】1H-NMR (500MHz, CDCl3, d) ppm : 1.20-
1.40 (m, 22H), 1.57-1.67 (m, 4H), 1.96-2.04 (m, 4
H), 2.37 (t, J=7.3 Hz, 2H), 2.41 (t, J=7.0, 2H),
5.31-5.36(m, 2H). IR (film) cm-1 : 1715. MS (m/e) : 294 (M+), 276, 251, 194, 163, 149, 135,
125, 111, 98, 83, 71,55, 41, 29.
【0028】合成例3:シクロペンタデカノールの合成 シクロペンタデカノン5.0g(MW:224、22.
3mmol)を5.0mlのエタノールに溶解後、水素
化ホウ素ナトリウム(MW:37.8、2.5g)を3
0分かけて加えた。この時、反応溶液の温度は20℃か
ら50℃まで上昇した。50℃で1時間反応を行った後
ヘキサン50mlを加え、次ぎに水を50ml加えて反
応を終了した。反応溶液の有機層と水層を分液後、50
mlの水で有機層を2回洗浄し、次ぎに溶媒を減圧除去
した。得られた反応生成物4.57gをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(内径25mm × 高さ190m
m、ナカライテスク社製シリカゲル60を使用し、溶媒
はヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、純度
99.3%のシクロペンタデカノールを2.35g得
た。
【0029】1H-NMR (500MHz, CDCl3, d) ppm : 1.42-
1.28 (m, 24H) , 1.47 (m, 2H) , 1.57(m, 2H), 3.57
(m, 1H). IR (film) cm-1 : 3280, 1460. MS (m/e) : 208 (M-18), 180, 152, 151, 138, 137, 12
4, 123, 110, 109, 97,96, 95, 83, 82, 81, 69, 68, 6
7, 57, 55, 43, 42, 41.
【0030】合成例4:9−シクロへプタデセノールの
合成 合成例3の反応条件下、シクロペンタデカノンをシベト
ンに置き換えてケトンの還元を行い、9−シクロへプタ
デセノールを得た。1 H-NMR (500MHz, CDCl3, d) ppm: 1.42-1.18 (m, 20H)
, 1.58-1.42 (m, 4H) ,2.13-2.00 (m, 4H) , 3.71 (m,
1H), 5.34 (m, 2H). IR (film) cm-1 : 3290, 1460. MS (m/e): 252(M+), 234(M-18), 149, 135, 121, 109,
96, 95, 94, 93, 83, 82, 81, 80, 79, 69, 68, 67, 5
7, 55, 54, 43, 41.
【0031】合成例5:10−シクロイコセノールの合
成 温度計と冷却器を取り付けた500mlの4口反応器に
メチル 10−ウンデセノエート(25ml)、グラッ
ブス触媒(0.25g)及び塩化メチレン(100m
l)を仕込み、窒素気流下室温にて16時間撹拌した。
反応混合物から減圧下に溶媒を留去し、メタノール(7
5ml)に溶かした後、−10℃下3時間にて再結晶化
を行った。得られた結晶をろ過し、−10℃に冷却した
メタノール(75ml)で洗浄後、得られた白色結晶を
真空ポンプで乾燥し10−イコセン二酸ジメチルエステ
ル7.2gを得た。
【0032】温度計、滴下ロート及び冷却器を取り付け
た200mlの4口反応器に金属ナトリウム(0.9
g)及び乾燥トルエン(60ml)を仕込み、窒素気流
下105℃にて加熱撹拌した。その中に10−イコセン
二酸ジメチルエステル(3.7g)、塩化トリメチルシ
リル(4.4g)の乾燥トルエン(60ml)溶液を1
5分間かけて滴下し、加熱還流下2時間撹拌した。反応
混合物を冷却し、メタノール(60ml)でクエンチ
後、5%塩酸水と酢酸エチルを加えて分液し、得られた
有機層を2回水洗後、飽和食塩水洗を行い、溶媒を減圧
下留去して粗生成物3.4gを得た。このものをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(へキサン/酢
酸エチル=10/1)、2−ヒドロキシ−11−シクロ
イコセノン2.4g(収率77%)を得た。
【0033】温度計、滴下ロート及び冷却器を取り付け
た50mlの4口反応器に亜鉛粉末(2.3g)、2−
ヒドロキシ−11−シクロイコセノン(1.4g)及び
トルエン(10ml)を仕込み、窒素気流下90℃にて
加熱撹拌した。その中に20N−硫酸水(2.8ml)
を2.5時間かけて滴下し、その後30分加熱撹拌し
た。反応終了後トルエンと水を加えて分液し、有機層を
2回水洗後飽和食塩水洗を行い、溶媒を減圧下留去して
粗生成物1.4gを得た。このものをシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(へキサン/酢酸エチル=10/
1)で精製し、10−シクロイコセノン1.2g(収率
92%)を得た。
【0034】この様にして得たケトン体を、合成例3の
反応条件下、シクロペンタデカノンを10−シクロイコ
セノンに置き換えてケトンの還元を行い、10−シクロ
イコセノールを得た。1 H-NMR (500MHz, CDCl3, d) ppm: 1.62-1.18 (m, 28H)
, 2.06-1.94 (m, 4H) ,3.69 (m, 1H), 5.34 (m, 2H). IR (film) cm-1 : 3315, 1460. MS (m/e): 276(M-18), 248, 163, 149, 135, 121, 109,
95, 94, 81, 80, 69, 67, 55, 41, 29.
【0035】実施例1 (色素細胞に対するメラニン生成抑制作用)プラスチッ
ク培養フラスコ(25cm2)に5×104 個のB−1
6メラノーマ細胞を播種し、10%血清を含むDMEM
培地[日本水産(株)商品名]で5%二酸化炭素の存在
下、37℃の温度で培養した。2日後、エタノールで希
釈したテスト試料を培地中の濃度が、1.6、3.1、
6.2ppmになる様に添加し、更に4日間培養した。
培養終了後、培地を除去し、リン酸緩衝溶液(以下、P
BSという。)で洗浄後、トリプシン及びEDTA(エ
チレンジアミンテトラ酢酸)含有培地を使用して細胞を
フラスコから剥離させ、細胞懸濁液から遠心分離により
細胞を回収した。
【0036】得られた細胞をPBSで1回洗浄した後、
沈渣の白色度を目視観察した。その結果を表1に示す。 − :溶媒対照と同等(黒色) + :溶媒対照とわずかに差がある(黒灰色) ++ :溶媒対照と明らかに差がある(白灰色) +++:細胞の着色が認められない(白色)
【0037】
【表1】
【0038】これらの結果から明らかなように、本発明
の化合物である大環状ケトン誘導体は、いずれも溶媒対
照(コントロール)に比べ、色素細胞内のメラニン産成
を顕著に抑制する作用を有することが認められた。その
抑制活性は著しく化合物の環炭素数に依存し、濃度3.
1ppmにおける活性は、環炭素数12以下では活性が
認められず、14程度以上では充分に強い抑制作用を示
した。さらに環炭素数がより大きな20程度が特に強い
抑制効果を示した。
【0039】実施例2 (色素細胞に対するメラニン生成抑制作用)実施例1と
同様な操作を行い、メラニン生成抑制作用を調べた。得
られた結果を表2に記載した。
【0040】
【表2】
【0041】これらの結果から明らかなように、本発明
の化合物である大環状アルコール誘導体は、いずれも溶
媒対照(コントロール)に比べ、色素細胞内のメラニン
産成を顕著に抑制する作用を有することが認められた。
その抑制活性は著しく化合物の環炭素数に依存し、濃度
3.1ppmにおける活性は、環炭素数12以下では活
性が認められず、14程度以上では充分に強い抑制作用
を示した。さらに環炭素数がより大きな20程度が特に
強い抑制効果を示した。
【0042】比較例1 実施例1と同様の方法で、公知のメラニン生成抑制効果
を有する化合物や本発明の範囲外の化合物のメラニン生
成抑制作用を同条件下比較測定した。結果を表3に示し
た。表3の結果から明らかなように、代表的なメラニン
生成抑制剤として知られるアルブチン及び特開平9−1
51129号公報に記載されている大環状ケトアルコー
ル、また特開平8−73334号公報に記載されている
ヨノール類等の比較化合物と比べ、本発明の化合物は、
より低濃度においても著しく強いメラニン生成抑制効果
が認められた。
【0043】
【表3】
【0044】比較例2 実施例1と同様の方法で、公知のメラニン生成抑制効果
を有する化合物や本発明の範囲外の化合物のメラニン生
成抑制作用を同条件下比較測定した。結果を表4に示し
た。
【0045】
【表4】
【0046】これらの結果から明らかなように、代表的
なメラニン生成抑制剤として知られるアルブチン及び特
開平9−151129号公報に記載されている大環状ケ
トアルコール、また特開平8−73334号公報に記載
されているヨノール類等の比較化合物と比べ、本発明の
化合物は、より低濃度においても著しく強いメラニン生
成抑制効果が認められた。
【0047】実施例3 下記表中の油相部と水相部の成分を室温で各々撹拌しな
がら溶解する。水相部を油相部に加え可溶化して、化粧
水を調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で示
す。
【0048】 <油相部> 5−シクロヘキサデセノン 0.01 エタノール 20.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.) 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.1 <水相部> グリセリン 10.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0049】得られた化粧水は、本発明の化合物が配合
されていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存安
定性も良好であった。
【0050】実施例4 下記表中の油相部と水相部の成分を室温で各々撹拌しな
がら溶解する。水相部を油相部に加え可溶化して、乳液
を調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で示
す。
【0051】 <油相部> シクロヘプタデカノン 0.1 ステアリン酸 2.0 流動パラフィン 6.0 スクワレン 2.0 ソルビタンモノステアレート 1.5 ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 2.0 パラオキシ安息香酸ブチル 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.15 <水相部> グリセリン 5.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0052】得られた乳液は、本発明の化合物が配合さ
れていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存安定
性も良好であった。
【0053】実施例5 下記表中の油相部と水相部の各成分を70℃で各々撹拌
しながら溶解する。水相部に油相部をかきまぜながら徐
々に加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化
し、乳化後、よく撹拌しながら30℃まで冷却してクリ
ームを調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で
示す。
【0054】 <油相部> 10(E)−シクロイコセノン 0.1 ステアリン酸 2.0 流動パラフィン 23.0 ワセリン 7.0 ソルビタンモノステアレート 3.5 ミツロウ 2.0 ベヘニルアルコール 1.0 ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 2.5 パラオキシ安息香酸ブチル 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.15 <水相部> グリセリン 5.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0055】得られたクリームは、本発明の化合物が配
合されていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存
安定性も良好であった。
【0056】実施例6 下記表中の油相部と水相部の成分を室温で各々撹拌しな
がら溶解する。水相部を油相部に加え可溶化して、化粧
水を調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で示
す。
【0057】 <油相部> 5−シクロヘキサデセノール 0.01 エタノール 20.0 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(50E.O.) 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.1 <水相部> グリセリン 10.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0058】得られた化粧水は、本発明の化合物が配合
されていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存安
定性も良好であった。
【0059】実施例7 下記表中の油相部と水相部の成分を室温で各々撹拌しな
がら溶解する。水相部を油相部に加え可溶化して、乳液
を調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で示
す。
【0060】 <油相部> シクロヘプタデカノール 0.1 ステアリン酸 2.0 流動パラフィン 6.0 スクワレン 2.0 ソルビタンモノステアレート 1.5 ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 2.0 パラオキシ安息香酸ブチル 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.15 <水相部> グリセリン 5.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0061】得られた乳液は、本発明の化合物が配合さ
れていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存安定
性も良好であった。
【0062】実施例8 下記表中の油相部と水相部の各成分を70℃で各々撹拌
しながら溶解する。水相部に油相部をかきまぜながら徐
々に加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化
し、乳化後、よく撹拌しながら30℃まで冷却しクリー
ムを調製した。油相部及び水相部の各成分を重量%で示
す。
【0063】 <油相部> シクロイコセノール 0.1 ステアリン酸 2.0 流動パラフィン 23.0 ワセリン 7.0 ソルビタンモノステアレート 3.5 ミツロウ 2.0 ベヘニルアルコール 1.0 ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 2.5 パラオキシ安息香酸ブチル 0.05 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 香料 0.15 <水相部> グリセリン 5.0 1,3−ブチレングリコール 5.0 精製水 残部
【0064】得られたクリームは、本発明の化合物が配
合されていない処方のものに比べ美白効果に優れ、保存
安定性も良好であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によって、安定性、安全性に優
れ、高いメラニン生成抑制効果がある新規なメラニン生
成抑制剤を提供することができる。また、メラニン生成
抑制剤を皮膚外用剤に製剤した時にも、処方系もしくは
基剤中で安定性が極めて良く、且つ安全で、充分な美白
効果のある皮膚外用剤を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉井 英子 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 八木 操 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 山本 憲一 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 萩原 利光 神奈川県平塚市西八幡一丁目4番11号 高 砂香料工業株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4C083 AA082 AC012 AC022 AC071 AC072 AC102 AC122 AC211 AC212 AC242 AC432 AC442 AC482 CC02 CC04 CC05 CC19 DD23 DD31 EE01 EE16 4C206 AA01 AA02 AA03 CA03 CB21 KA01 MA01 MA83 ZA89 ZC80

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基で置換され
    ていてもよい、飽和又は1〜3個の不飽和結合を有する
    環員炭素数13〜24の鎖状炭化水素基を示す。)で表
    される大環状ケトン誘導体の1種又は2種以上、及び/
    又は下記一般式(2) 【化2】 (式中、Rは炭素数1〜3の低級アルキル基で置換され
    ていてもよい、飽和又は1〜3個の不飽和結合を有する
    環員炭素数13〜24の鎖状炭化水素基を示す。)で表
    される大環状アルコール誘導体の1種又は2種以上を含
    有することを特徴とするメラニン生成抑制剤。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のメラニン生成抑制剤の1
    種又は2種以上を含有することを特徴とする皮膚外用
    剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のメラニン生成抑制剤の1
    種又は2種以上を0.00001〜10重量%含有する
    ことを特徴とする皮膚外用剤。
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