JP2002363060A - 浴用組成物 - Google Patents

浴用組成物

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勝義 中西
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克彦 三国
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Yokohama Kokusai Bio Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 皮膚に対し刺激性がなく、皮膚のきめ等の状
態を改善し、美肌作用に優れ、かつ入浴後の肌感触に優
れた浴用組成物を提供する。 【解決手段】炭素数が1〜24であるアルキル基、また
は炭素数3〜24のアルケニル基で、その平均置換数が
1〜11であるトレハロースのアルキルエーテル体及び
/又はトレハロースのアルケニルエーテル体を含有する
ことを特徴とする浴用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚に対し刺激性
がなく、皮膚のきめ等の状態を改善し、美肌作用に優
れ、かつ入浴後の肌感触に優れた浴用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トレハロースのアルキル誘導体
は、特開平8−157491号公報にあるように化粧料
に配合することは公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同公報
には、トレハロースのアルキルエーテル体、アルケニル
エーテル体の浴用組成物への応用については報告がな
い。一方、皮膚に対し刺激性がなく、皮膚のきめ等の状
態を改善し、美肌作用に優れ、かつ入浴後の肌感触に満
足できる浴用組成物は少なかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明人らは、炭素数が
1〜24であるアルキル基、または炭素数3〜24のア
ルケニル基で、その平均置換数が1〜8であるトレハロ
ースのアルキルエーテル及び/又はトレハロースのアル
ケニルエーテル体(以下、「トレハロースアルキルエー
テル体」という)が保湿作用や感触改善作用に優れてい
ることに注目し、浴用組成物への配合特性について検討
を行った結果、トレハロースアルキルエーテル体、特に
トレハロースのエチルエーテル体を配合することで皮膚
に対し刺激性がなく、皮膚のきめ等の状態を改善し、美
肌作用に優れ、かつ入浴後の肌感触に優れた浴用組成物
が得られることを見出し本発明を完成した。
【0005】すなわち、第1の本発明は、炭素数が1〜
24であるアルキル基、または炭素数3〜24のアルケ
ニル基で、その平均置換数が1〜8であるトレハロース
のアルキルエーテル及び/又はトレハロースのアルケニ
ルエーテル体を含有することを特徴とする浴用組成物で
ある。
【0006】第2の本発明は、エチル基の平均置換数が
1〜8であるトレハロースのエチルエーテル体を含有す
ることを特徴とする浴用組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明におけるトレハロースは、
ミコースとも呼ばれ、グルコースを構成糖とする非還元
性糖質であり、1−O−α−D−グルコピラノシル−α
−D−グルコピラノシドが該当する。本発明で合成に用
いるトレハロースは無水物を用いることが好ましい。
【0008】本発明の浴用組成物で用いるトレハロース
のアルキルエーテル体、またはアルケニルエーテル体と
は、トレハロースが有する8個の水酸基の全部または一
部の水酸基の酸素原子を介して、炭素数1〜24のアル
キル基、炭素数3〜24のアルケニル基(不飽和結合を
有する脂肪族基)がエーテル化置換されたものであり、
好ましくは炭素数2又は6〜20のアルキル基、炭素数
6〜20のアルケニル基でエーテル化置換されたもの
で、その平均置換数が1〜8での範囲にあるものが使用
可能であるが、該エーテル誘導体はべたつき感の改善や
うるおい感の付与などの感触調整剤として用いる以外
に、平均置換数が0.2〜1.2の範囲にある場合に
は、界面活性作用を有するため、界面活性剤としても利
用できるので好ましい、平均置換数が1.0未満である
ことは未精製で非置換のトレハロースを含むことを意味
する。また、平均置換数が1.2以上では、アルキル鎖
長やアルケニル鎖長にもよるが乳化剤から油剤としての
性質を示す。そして、平均置換数が増えるに従って固形
油の特性を示すようになる。本発明では、トレハロース
のアルキルエーテルやアルケニルエーテルを油剤として
用いる場合には、液状油であっても固形油であっても剤
形の特性によって選択して使用可能である。本発明で
は、炭素数が1〜24の範囲で直鎖状、分岐状のアルキ
ル基、炭素数3〜24のアルケニル基が置換されるが、
特に炭素数6〜20であると、界面活性剤、油剤などと
しての作用を顕著に得ることができる。なお、置換基の
数は、例えばプロトンNMR(各磁気共鳴スペクトル)
を用いて測定することができる。
【0009】本発明の浴用組成物において、トレハロー
スのアルキルエーテル体、アルケニルエーテル体を得る
方法としては、後記の実施例で詳細に示すが、例えば
(1)プロピレングリコールなどの反応溶媒中で、ナト
リウムメトキシドなどのアルカリ、ステアリン酸ナトリ
ウムなどの界面活性剤の存在下、ここに置換数に応じた
量の炭素数1〜24のアルキルブロマイド、アルキルク
ロライドなどのアルキルハライド、または炭素数3〜2
4のアルケニルブロマイド、アルケニルクロライドなど
のアルケニルハライドを反応させエーテル誘導体を製造
する方法、(2)ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチ
ルホルムアミドなどの非プロトン系溶媒中で、水素化ナ
トリウムやナトリウムメトキシドなどを用いてトレハロ
ースの水酸基をアルコキシドにし、ここに置換数に応じ
た量の炭素数1〜24のアルキルブロマイド、アルキル
クロライドなどのアルキルハライド、または炭素数3〜2
4のアルケニルブロマイド、アルケニルクロライドなど
のアルケニルハライドを反応させエーテル誘導体を製造
する方法、(3)ジメチルスルホキシド、N−メチルピ
ロリジノンなどの非プロトン系溶媒を用い、ここに置換
数に応じた量の炭素数1〜24のアルキルハライド及び
/又は炭素数3〜24のアルケニルハライドとトレハロ
ースを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化カル
シウム、もしくはナトリウムメトキシドなどのナトリウ
ムアルコキシド等のアルカリと共に、好ましくは高い反
応収率が得られるアルカリである水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムと共に加えて反応させエーテル誘導体を製
造する方法などが挙げられるが、特に(3)の製造方法
は収率が良く、かつ使用する原料として汎用原料が使用
でき、コストを低くできることから好ましい。すべての
方法で、さらに反応時にアルゴンや窒素などの不活性ガ
スを用いることが好ましい。また、この際のアルキルエ
ーテル化、アルケニルエーテル化の状況は得られた合成
物をカラムで分離した後、プロトンNMRを用いて分析
することが好ましい。
【0010】また、製造時の条件としては、(1)の方
法では反応温度は70〜150℃が好ましく、反応時間
としては例えば120℃で1〜8時間、(2)の方法で
は反応温度は好ましくは20〜100℃、反応時間とし
ては例えば45℃で5〜60時間、(3)の方法では反
応温度は好ましくは60〜150℃、反応時間としては
例えば100℃で1〜8時間が好適である。原料比率と
しては、トレハロース1当量に対して、アルキルハライ
ド又はアルケニルハライド0.5〜6当量が好ましい。
反応が終了した溶液は、反応溶媒を減圧・加温条件等で
除去し、残渣を(1)酢酸エチル、トルエンなどエーテ
ル誘導体があまり溶解しない溶剤を添加して沈澱化させ
る、(2)シリカゲルなどを充填したカラムを用い、不
純物を除去する方法により精製することができる。未反
応のトレハロースは前記(2)の方法で除去できる他、
イソプロパノールなどエーテル誘導体が溶解しトレハロ
ースが溶解しない溶剤を用いて分離除去することができ
る。必要により反応副生成物の塩を脱塩樹脂等で除去す
ることができる。
【0011】本発明の浴用組成物では、トレハロースの
アルキルエーテル体の中で特にエチルエーテル体が好ま
しい。エチルエーテル体は肌の感触を改善する効果に優
れている。
【0012】本発明の浴用組成物に、トレハロースアル
キルエーテル体を配合する際の配合割合は、浴用組成物
の総量に対して、0.01〜90質量%の範囲にあるこ
とが好ましく、さらに好ましくは0.1〜40質量%の
範囲にあることが好ましい。また、本発明では、トレハ
ロースのアルキルエーテル体と共にトレハロースを配合
することも好ましい。両者はお互いに同じ構造を有する
ため、剤型により製剤の安定性向上などの効果が期待で
きる場合がある。トレハロースを配合する際の配合量と
しては、浴用組成物の総量に対して、0.01〜50質
量%の範囲にあることが好ましい。トレハロースはトレ
ハロースのアルキルエーテル体と一緒に配合しても、別
々に配合しても構わない。
【0013】本発明の浴用組成物には、他の生理活性成
分を配合することが好ましい。生理活性成分とは、皮膚
に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質
が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、スリミ
ング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、
抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン
類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、
細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。その中でも、天
然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、酵素成
分が特に好ましい。本発明では、これらの生理活性成分
を1種または2種以上配合することが好ましい。
【0014】これらの成分の例としては、例えばアシタ
バエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテア
エキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキ
ス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキ
ス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキ
ス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキ
ス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエ
キス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オ
レンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラ
スチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カシスエ
キス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギ
エキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキ
ス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキ
ス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、ク
ララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、
クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲ
ンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキ
ス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキ
ス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サ
イコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボン
ソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウ
エキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキ
ス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキ
ス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエ
キス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウ
サンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノ
コギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキ
ス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエ
キス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、
茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキ
ス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエ
キス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、
納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラ
エキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パ
セリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエ
キス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、
フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエ
キス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロ
ポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミント
エキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキ
ス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキ
ス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤ
グルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキ
ス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラ
ベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモン
エキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリ
ーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキ
ス等を挙げることができる。また、レモンの皮、海藻、
ヒノキ、ヒバ、米ヌカ、シュウブ、ショウキョウ、カン
ゾウ、チンピ、トウヒ、トウキ、ニンジン、ハッカ、ケ
イヒ、ウバイ、ヨモギ、ドクダミ、モモノハ、カミツ
レ、アロエ、ジャスミン、ローズヒップ、ラベンダー、
グァバ、オウゴン、クコ、レイシ、ニワトコ、アシタ
バ、ウコギ、ゴボウ等の粉砕物を用いても構わない。
【0015】また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒ
アルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウ
ム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水
分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、ザルコシン、
N−メチル−L−セリン等のアミノ酸誘導体、乳酸ナト
リウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタ
イン、ホエイなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミ
ド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質
などの油性成分、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチ
ン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイ
アズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミン
A,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウ
ム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル
等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミン
ジクロロ酢酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボ
ン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フ
ラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化
剤、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸などの細胞賦
活剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行
促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒
剤、カンゾウ抽出物、ヒノキチオール、dl−α−トコ
フェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、カンフ
ル、l−メントール、γ−アミノ酪酸などが挙げられ
る。さらに酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ等が
挙げられる。
【0016】これらの生理活性成分の浴用組成物への配
合割合は、その活性成分の効果発現濃度によるが、抽出
エキス等を考慮した場合、一般的には浴用組成物の総量
に対して0.01〜50質量%が好ましく、さらに好ま
しくは0.1〜20質量%が好ましい。尚、生理活性成
分は1種または2種以上を組み合わせて配合することが
好ましい。
【0017】本発明の浴用組成物には、上記の各成分以
外に、通常浴用組成物に用いられる各種成分を併用する
ことができる。例えば下記に示すような無機塩類、無機
酸類、有機酸類、油脂類、多価アルコール類、香料類等
が挙げられる。
【0018】1)無機塩類 塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウ
ム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、
硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カ
ルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナ
トリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、
硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等。
【0019】2)無機酸類 無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸等。
【0020】3)有機酸類 安息香酸<tマル酸<Tリチル酸等。
【0021】4)油脂類 オリーブ油、大豆油、アーモンド油、ひまし油、やし
油、パーム油、タートル油、ヌカ油、ホホバ油、ミンク
油、卵黄油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動
パラフィン、白色ワセリン等。
【0022】5)多価アルコール類 グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポ
リエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール
等。
【0023】6)香料類 ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オ
レンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョ
ウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ
油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲ
ラニオール、ミカン油油、トウヒ、シトロネロール等の
天然及び合成香料等。
【0024】また、保湿剤としては、例えばエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、
ソルビトール、マルビトール、トレハロース、ラフィノ
ース、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸およ
びその塩、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等
のグリコール類、多価アルコール類および多糖類等を本
発明では配合できる。
【0025】さらに、本発明の浴用剤組成物は、上記の
もの以外にも、必要に応じてその他の成分として、界面
活性剤、ビタミン類、及び医薬品、医薬部外品並びに化
粧品用タール系色素等を適宜配合できる。
【0026】本発明の浴用剤組成物の剤型としては、粉
末状、錠剤状、エマルジョン状、ジェル状など従来公知
の剤型を使用することができる。
【0027】本発明の浴用組成物として粉末状の剤型を
用いる場合には、トレハロースのアルキルエーテル体及
び/又はトレハロースのアルケニルエーテル体を単独も
しくは上記各成分と造粒したものを用いることが好まし
い。造粒の方法としては、従来公知の方法が使用でき
る。例えば、スプレードライヤーや流動層乾燥機、ヘン
シェルミキサー、ニーダーなどの造粒機を用いる方法が
挙げられる。造粒時には結合剤を用いても用いなくても
構わない。スプレードライヤーを用いてトレハロースの
アルキルエーテル体及び/又はトレハロースのアルケニ
ルエーテル体等を造粒した場合には、使用時のレハロー
スのアルキルエーテル体及び/又はトレハロースのアル
ケニルエーテル体等の溶解性を上げることができる。ま
た、無機塩類と共に造粒した場合も溶解性の改善が期待
出来る。また、ベタインなどの界面活性剤や酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの顔料と一緒に
造粒することも可能である。この場合、活性剤の安定性
向上、顔料の分散性改善などの効果が期待できる。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例によって、本発明
を具体的に説明する。また、実施例および比較例で得ら
れた浴用組成物についての官能評価方法を以下に示す。
【0029】評価方法は、10人に対し、入浴中の感
触、入浴後の感触および一週間連用した後の皮膚の状態
について評価した。40℃のお湯を浴槽に約200l入
れ、実施例、比較例の組成からなる浴用組成物をそれぞ
れ30gを投入し、10分間入浴した。それぞれの評価
項目について5段階で評価を行い、非常に良い5点、良
い4点、普通3点、変化なし2点、悪い1点の点数を記
入しその平均を取った。従って点数が高いほど評価が高
いことを示す。
【0030】実施例1(合成例2:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) 内部を減圧にて乾燥させた200ml容ナスフラスコ
に、ステアリン酸ナトリウム1.53g、トレハロース
(無水和物)3.42g、プロピレングリコール(モレ
キュラーシーブにて乾燥させたもの)20ml、1−ブ
ロモドデカン4.79ml、ナトリウムメトキシド1.
08gを加え、アルゴン雰囲気下、120℃で3時間攪
拌した。反応溶液を減圧下で130℃まで加温してプロ
ピレングリコール等の大部分を除去した後、残渣にイソ
プロパノールを加え90℃で2時間還流させた。懸濁溶
液を濾過後、濾液を濃縮しシリカゲルフラッシュクロマ
トグラフィーにて精製して白色結晶412mgを得た。
本標品を重水に溶解させプロトンNMRを測定したとこ
ろ、トレハロース分子の8個の水酸基のいずれか1個の
水酸基にドデシル基がエーテル結合で結合されたトレハ
ロースのドデシルエーテル体であることを確認した。
【0031】実施例2(合成例2:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) 絶乾させた200ml容ナスフラスコに水素化ナトリウ
ム200mg、ジメチルスルホキシド10mlを加えた
後、ジメチルスルホキシド12mlに溶解させたトレハ
ロース(無水和物)1.71gを加えた。3時間後均一
になった溶液にジメチルスルホキシド12mlに溶解さ
せたトレハロース(無水和物)1.71gを加えた後に
1−ブロモドデカン1.2mlを徐々に滴下し45℃で
43.5時間攪拌した。反応溶液にn−ヘキサンとメタ
ノールを加え抽出を行い、メタノール相を減圧下110
℃まで加温しながら、メタノール及びジメチルスルホキ
シドの大部分を除去した。残渣にイソプロパノールを加
え90℃で4時間還流させた後、濾過を行った。濾液を
濃縮後、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにて
精製してクリーム色結晶1.535gを得た。ドデシル
基の置換数は1〜4であった。
【0032】実施例3(合成例3:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) 下記反応方法に従い、表1の如く使用アルカリ、その使
用量及び1−クロロドデカン、その使用量を変化させて
ドデシルトレハロースの合成を試みた。トレハロース
(無水和物)342mgとジメチルスルホキシド5ml
を反応容器内に加え、100℃で30分攪拌した後に、
アルゴン雰囲気下、各アルカリ及び1−クロロドデカン
を加え100℃で3時間攪拌を行った。反応後溶液のト
レハロース含量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
にて定量し、トレハロースの反応率を算出した。結果は
表1の通りである。KOH、NaOHはペレット状のも
のを乳鉢で軽く粉砕して使用した。
【0033】
【表1】
【0034】実施例4(合成例4:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) 実施例3では1-クロロドデカンを使用したが、1-ブロモ
ドデカンを使用しても多少反応率は低下するが目的とす
るトレハロースのドデシルエーテル体を合成することが
できる。トレハロース(無水和物)342mgとジメチ
ルスルホキシド5mlを反応容器内に加え、100℃で
30分攪拌した後に、アルゴン雰囲気下、表2に示す水
酸化カリウム及び1−ブロモドデカンを加え100℃で
3時間攪拌を行った。反応後溶液のトレハロース含量を
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、トレ
ハロースの反応率を算出した。結果は表2の通りであ
る。
【0035】
【表2】
【0036】実施例5(合成例5:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) 実施例3では溶媒としてジメチルスルホキシドを使用し
たが、他の極性有機溶媒を使用してもわずかではあるが
目的とするトレハロースのドデシルエーテル体を合成す
ることができる。トレハロース(無水和物)342mg
と表3に示す溶媒5mlを反応容器内に加え100℃で
30分攪拌した後に、アルゴン雰囲気下、水酸化カリウ
ム84mg (1.5mmol) 及び1−クロロドデカン
118μl(0.5mmol) を加え100℃で3時間
攪拌を行った。反応後溶液のトレハロース含量を高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、トレハロー
スの反応率を算出した。結果は表3の通りである。
【0037】
【表3】
【0038】実施例6(合成例6:トレハロースのアル
キルエーテル体の合成) これまではトレハロースのドデシルエーテル化について
であったが、他のアルキルエーテル体も同じく合成する
ことができる。トレハロース(無水和物)342mgと
ジメチルスルホキシド5mlを反応容器内に加え、10
0℃で30分攪拌した後に、アルゴン雰囲気下、水酸化
カリウム84mg (1.5mmol) 及び表4に示すア
ルキルクロライド0.5mmolを加え100℃で3時
間攪拌を行った。反応後溶液のトレハロース含量を高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量し、トレハロ
ースの反応率を算出した。結果は表4の通りである。
【0039】
【表4】
【0040】実施例7(合成例7:トレハロースのドデ
シルエーテル体の合成) アルゴンガスで内部を乾燥させた1l容ナスフラスコに
トレハロース34.23g、ジメチルスルホキシド30
0mlを加え、アスピレーターで減圧下90℃で攪拌し
た。1時間後減圧を解き(内部をアルゴンガスで置
換)、水酸化カリウム(乳鉢で軽く粉砕したもの)1
6.83g、1−クロロドデカン47.1mlを加えア
ルゴン雰囲気下100℃で3時間攪拌した。反応終了
後、反応溶液を真空ポンプで減圧下、バス温125℃ま
で昇温させて溶媒等を除去し、残渣にメタノール200
ml程度を加え一晩静置した。バス温70℃にて固形物
となった残渣を懸濁させてこれを濾過。濾別物として薄
褐色固体(M)13.81gを得た。この固体にはトレ
ハロースのドデシルエーテル体はほとんど含まれていな
かった。濾液をある程度濃縮し、これに酢酸エチル約7
00mlを加え一晩沈澱化。沈澱を濾別して減圧乾燥
後、薄褐色固体(D)15.06gを得た。また、濾液
を濃縮し、n−ヘキサン+メタノールで抽出。メタノー
ル相を濃縮後、シリカゲルフラッシュカラムを用いて精
製を行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)で複数の
スポットがあり、これらを分離することができず、大ま
かに以下の3画分に分けた(Aから極性の低い順)。 (A)茶色オイル:重量不明(TLCよりジメチルスルホキ
シドがかなり混入していたため減圧条件で除去した) (B)薄黄色結晶:6.896g (C)薄黄色結晶:7.795g 上記(A)〜(D)について未反応の水酸基を無水酢酸、
ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンを適宜使用してア
セチル化し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー
にて精製を行った後に、メタノール、ナトリウムメトキ
シドを適宜使用して脱アセチル化を行い、表5で示すト
レハロースのドデシルエーテル体を得た((A')〜
(D'))。各試料の重量、トレハロース含量、ドデシル
基の置換度を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】実施例8(合成例8:トレハロースのエチ
ルエーテル体の合成) 反応容器であるナスフラスコにトレハロース無水和物3
42mg、ジメチルスルホキシド5mlを加え、アルゴ
ン雰囲気下100℃で30分攪拌した後、水酸化ナトリ
ウム(ペレット状のものを乳鉢で軽く粉砕)100m
g、ジエチル硫酸327μlを加え、アルゴン雰囲気下
100℃で3時間攪拌した。反応溶液を室温になるまで
放冷した後、アンモニア水500μlを加え2時間攪拌
した。該溶液をセライト濾過し、溶液を濃縮後水を加
え、溶液のラフィノース含量を高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)にて定量し、トレハロースの反応率を算出
したところ、反応率は98.5%であった。また、本標
品を重水に溶解させプロトンNMRを測定したところ、
トレハロース分子の8個の水酸基のいずれか1個の水酸
基にエチル基がエーテル結合で結合されたトレハロース
のエチルエーテル体(エチル化トレハロース)であるこ
とを確認した。
【0043】実施例9(合成例9:トレハロースのエチ
ルエーテル体の合成) 反応容器にトレハロース二水和物、アルカリ水溶液5m
lを加え、80℃で1時間攪拌後(条件5は室温)、硫
酸ジエチルを徐々に滴下し18時間攪拌した。室温まで
放冷した後アンモニア水(28%)を加え2時間攪拌。
溶液を中和後濾過。濾液をアシライザーを用いて脱塩し
てHPLC分析に供し、未反応のトレハロースを定量してこ
れよりトレハロースの反応率を求めた。また、溶液を凍
結乾燥後、1H−NMR測定を行いエチル基の平均置換
数を算出した。その結果を表6に示す。
【0044】
【表6】
【0045】上記実施例で得られたトレハロースのアル
キルエーテル体を用いて下記浴用組成物を調製した。
【0046】実施例10、11 実施例8のトレハロースのエチルエーテル体および実施
例1のトレハロースドデシルエーテル体をスプレードラ
イ乾燥したものを用いて、下記の組成からなる浴用組成
物を作製した。製法は通常の浴用組成物の方法に準じ
た。尚、表中の単位は質量%である。
【0047】 組 成 実施例10 実施例11 比較例1 比較例2 -------------------------------------------------------------------- 乾燥硫酸ナトリウム 残量 残量 残量 残量 炭酸水素ナトリウム 40 40 40 40 塩化ナトリウム 8 8 8 8 デキストリン 4 4 4 4 トレハロースエチルエーテル体 2 0 0 0 トレハロースドデシルエーテル体 0 2 0 0 トレハロース 0 0 0 2 酵素(プロテアーゼ) 0.3 0.3 0.3 0.3 PEG6000 0.7 0.7 0.7 0.7 香料 微量 微量 微量 微量 色素 微量 微量 微量 微量 計 100 100 100 100
【0048】実施例および比較例の評価結果を下記に示
す。
【0049】 評価項目 実施例10 実施例11 比較例1 比較例2 -------------------------------------------------------------------- 入浴中の皮膚への感触 4.4 4.6 2.8 3.1 肌がしっとりする 4.7 4.5 2.5 2.9 皮膚の張り 4.3 4.0 2.1 2.8 皮膚のきめ 4.4 4.2 2.3 3.0 よく温まる 4.5 4.6 2.5 2.8 肌が滑らかになる 4.7 4.5 3.0 3.1
【0050】上記の結果より、本発明の実施例は比較例
と比べて、皮膚がしっとりし、肌が滑らかに感じられる
など、皮膚の状態改善に優れた性能を有していることが
判る。
【0051】
【発明の効果】以上のことから、本発明は、炭素数が1
〜24であるアルキル基、または炭素数3〜24のアル
ケニル基で、その平均置換数が1〜8であるトレハロー
スのアルキルエーテル体及び/又はトレハロースのアル
ケニルエーテル体を含有することで皮膚に対し刺激性が
なく、皮膚のきめ等の状態を改善し、美肌作用に優れ、
かつ入浴後の肌感触に優れた浴用組成物が得られること
は明らかである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 勝義 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13−46 株式 会社横浜国際バイオ研究所内 (72)発明者 三国 克彦 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13−46 株式 会社横浜国際バイオ研究所内 (72)発明者 原 耕三 神奈川県横浜市鶴見区大黒町13−46 株式 会社横浜国際バイオ研究所内 Fターム(参考) 4C083 AB322 AB332 AB352 AD211 AD212 AD242 AD472 CC25 EE06 EE07 EE13 FF01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数が1〜24であるアルキル基、ま
    たは炭素数3〜24のアルケニル基で、その平均置換数
    が1〜8であるトレハロースのアルキルエーテル体及び
    /又はトレハロースのアルケニルエーテル体を含有する
    ことを特徴とする浴用組成物。
  2. 【請求項2】 エチル基の平均置換数が1〜8であるト
    レハロースのエチルエーテル体を含有することを特徴と
    する浴用組成物。
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