JP2002362975A - 大型黒鉛材及びその製造方法 - Google Patents
大型黒鉛材及びその製造方法Info
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Abstract
鉛材を簡単にかつ安価に製造する方法を提供すること。 【解決手段】 原料充填工程では、骨格形成用材料29
が配置された多孔質体製の容器24内に、炭素粉末を分
散してなる液状原料23を流し込む。続く成形工程で
は、液状原料23が充填された骨格形成用材料29を乾
燥して所定形状の固形物31を得る。続く焼成工程で
は、固形物31を焼成して炭素粉末を炭素化して焼成品
を得る。続く黒鉛化工程では、焼成品を2000℃〜3
200℃で熱処理することにより黒鉛化する。その結
果、大型黒鉛材21を得ることができる。
Description
の製造方法に関するものである。
鋳造用部材、半導体製造装置用の各種部品、軸受用部材
などの素材として従来よく用いられている。通常、この
ような黒鉛材は、炭素を含む原料粉末を成形機を用いて
所定形状に成形した後、これを焼成して炭素化・黒鉛化
することにより製造される。
ルド成形機、CIP用成形機などが一般に使用される。
この場合、プレス成形法の一種であるCIPでは、原料
粉末に対して大きなプレス圧が加えられる。このため、
CIPは強度的に優れた黒鉛材を得るのに適している。
り成形を行う場合において、直径1mを超える大型の黒
鉛材を得たいときには、非常に大きな成形機が必要にな
る。しかも、CIPではプレス圧が100MPa〜20
0MPaにも達するため、高圧に耐えうる機械的強度を
備えた成形機を作製する必要がある。以上のことから、
従来においては設備コストの増大が必至であった。
利用して大型黒鉛材を製造するという方法も一応考えら
れる。しかし、この方法により製造された大型黒鉛材は
ポーラスであり、十分な強度を備えていない。従って、
黒鉛材の強度アップを図るためには繰り返し含浸を行う
必要があり、製造時の工数が多くなるという問題があっ
た。また、含浸を何度か行ったとしても、強度アップに
はおのずと限界があり、使用可能な用途も限定されると
いう問題があった。
であり、その目的は、成形機を用いることなく高強度か
つ大型の黒鉛材を簡単にかつ安価に製造する方法を提供
することにある。
めに、請求項1に記載の発明では、骨格形成用材料が配
置された多孔質体製の容器内に、炭素粉末を分散してな
る液状原料を流し込む原料充填工程と、前記液状原料が
充填された骨格形成用材料を乾燥して所定形状の固形物
を得る成形工程と、前記固形物を焼成して前記炭素粉末
を炭素化することにより焼成品を得る焼成工程と、前記
焼成品を2000℃〜3200℃で熱処理することによ
り黒鉛化する黒鉛化工程と、を含むことを特徴とする大
型黒鉛材の製造方法をその要旨とする。
製の容器は石膏または紙からなるとした。請求項3に記
載の発明は、請求項1または2において、前記骨格形成
用材料は炭素繊維をその成分とするとした。
て、前記骨格形成用材料として、炭素繊維からなる網を
複数枚積層して用いることとした。請求項5に記載の発
明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記液
状原料は、平均粒子径100μm以下のコークス粉末に
ピッチを重量比20%〜70%の範囲で混合し、かつ2
00℃〜300℃の範囲で混練した後、これを粉砕する
ことにより得た原料粉末を、溶媒に分散させることによ
り調製されたものであるとした。
料が配置された多孔質体製の容器内に、炭素粉末を分散
してなる液状原料を流し込む原料充填工程と、前記液状
原料が充填された骨格形成用材料を乾燥して所定形状の
固形物を得る成形工程と、前記固形物を焼成して前記炭
素粉末を炭素化することにより焼成品を得る焼成工程
と、前記焼成品を2000℃〜3200℃で熱処理する
ことにより黒鉛化する黒鉛化工程と、を経て製造された
大型黒鉛材をその要旨とする。
る。請求項1に記載の発明によると、炭素粉末を分散し
てなる液状原料を用いて原料充填工程を行うことによ
り、骨格形成用材料の隙間に均一に炭素粉末が充填され
る。ここで用いられる容器は多孔質体製であるため、液
状原料中の余剰の液分は、容器の気孔を介してある程度
外部に排出される。続く成形工程において、液状原料が
充填された骨格形成用材料を乾燥することにより、液状
原料中の液分がほぼ完全に除去され、所定形状の固形物
が得られる。そして、続く焼成工程にて焼成時の熱によ
り揮発分が除去され、さらに黒鉛化工程にて固形分が黒
鉛化される結果、所望の大型黒鉛材が得られる。そし
て、このような方法により製造された黒鉛材は、黒鉛化
した炭素粉末の内部に骨格を有しているため、大型であ
るにもかかわらず高い強度を備えたものとなる。
用いる必要がないため、大型黒鉛材の製造に伴う設備コ
ストの増大という問題も発生せず、安価に高強度の大型
黒鉛材を製造することができる。さらに、本発明の方法
は、ゾルゲル法にて作製された黒鉛材の強度アップを図
るために繰り返し含浸を行う方法に比べ、製造時の工数
が少なくて済む。よって、簡単に高強度の大型黒鉛材を
製造することができる。
は材料自体が安価であることに加え、加工しやすいので
比較的容易に所望の形状にすることができるという利点
がある。よって、上記のものからなる容器を用いること
により、製造コストを低減することができる。
はそれ自体が優れた機械的強度を備えていることに加
え、黒鉛化した周囲の炭素粉末との親和性も高い。従っ
て、骨格形成用材料としてこのようなものを用いること
により、確実に黒鉛材の高強度化を図ることができる。
がばらばらの状態ではなく交錯した状態で存在している
ことから形状保持性がよく、確実に黒鉛材の高強度化を
図ることができる。また、網を複数枚積層して用いた場
合、焼成工程後に黒鉛材を所望の形状に加工するときに
好都合となる。
料粉末を溶媒に分散させることにより調製した液状原料
を用いれば、黒鉛材に高熱伝導性及び高強度を確実に付
与することができる。なお、溶媒を用いているため溶媒
中に炭素粉末を分散することができ、原料充填工程にお
いて骨格形成用材料の隙間に均一に炭素粉末を充填する
ことができる。以上のことから、熱伝導性や強度等のば
らつきを未然に防止することができる。
を備えた大型黒鉛材とすることができる。
形態の半導体製造用炭素部品及びその製造方法を図1〜
図4に基づき詳細に説明する。
リコン単結晶引き上げ装置1が示されている。この装置
1は、シリコン材料を加熱していったん溶融させた後、
シリコンを単結晶として引き上げることにより、高純度
のシリコンインゴットを得るためのものである。このシ
リコン単結晶引上げ装置1を構成する密閉本体2の上部
には、その内部に不活性ガスを導入するための導入部3
が設けられている。密閉本体2の内部には、石英るつぼ
4、るつぼ5、回転軸6、ヒータ7、保温筒8、上部リ
ング9、下部リング10、底部遮熱板11及びガス整流
部材12等が収容されている。石英るつぼ4にはシリコ
ン材料が投入される。この石英るつぼ4は、その外側に
配置されたるつぼ5に保持されている。るつぼ5の底面
中央部は回転軸6によって下方から支持されている。図
示しない駆動手段によって回転軸6が回転すると、それ
に伴ってるつぼ5が回転する。るつぼ5の側部の周囲に
はヒータ7が配置されている。このヒータ7への通電に
よってるつぼ5が加熱され、シリコン材料が溶融するよ
うになっている。ヒータ7の側部の周囲には、保温筒8
が設けられている。この保温筒8は、上部リング9と下
部リング10との間に支持されている。密閉本体2の内
底面には、底面から熱が逃げるのを防止するための底部
遮熱板11が配設されている。
密閉本体2において導入部3が形成されている位置に
は、導入部3を介して導入される不活性ガスを整流し
て、石英るつぼ4内にそれを確実に導くためのガス整流
部材12が設けられている。本実施形態のガス整流部材
12は、断面円形状の筒状物である。ガス整流部材12
の一端の直径は、他端の直径よりも大きくなっている。
ゆえに、このガス整流部材12を側方から投影したとき
の形状は略台形状である。言い換えると、ガス整流部材
12は先細り形状のテーパ状部材となっている。このガ
ス整流部材12は、小径側の端部を下方に向けた状態
で、大径側の端部が密閉本体2の上面内側に固定されて
いる。
(るつぼ5、回転軸6、ヒータ7、保温筒8、上部リン
グ9、下部リング10、底部遮熱板11及びガス整流部
材12)は大型黒鉛材21からなる。この大型黒鉛材2
1は、黒鉛化した炭素粉末によって、炭素繊維からなる
骨格同士の隙間が埋められた構成を備えている。
0であることがよく、特には40〜55であることがよ
い。ショアー硬度が30未満であると、他部材との当接
等により欠けが生じやすくなり、耐久性に劣るものとな
るからである。逆に、ショアー硬度が60を越えるもの
は、耐久性に優れる反面、製造が困難になるおそれがあ
るからである。
〜2.0g/cm3であることがよく、特には1.6g
/cm3〜1.8g/cm3であることがよい。密度が
1.5g/cm3未満であると、十分な緻密さが得られ
なくなることで機械的強度が低下してしまい、ひいては
耐久性に劣るものとなるからである。逆に、密度を2.
0g/cm3よりも大きくしようとすると、製造が困難
になるおそれがあるからである。
いて説明する。ここでは、るつぼ5に用いられる大型黒
鉛材21を製造する例を挙げて説明する(図2〜図4参
照)。
ッチを混合し、これを加熱下で混練した後、これを粉砕
することにより、原料粉末を得る(原料粉末作製工
程)。コークス粉末の平均粒子径は100μm以下であ
ることが好ましい。ピッチはコークス粉末に対して重量
比20%〜70%の範囲で混合されることが好ましい。
ピッチの量が20重量%未満であると、原料粉末同士の
結合力が弱くなり、十分高い熱伝導性及び機械的強度を
付与することができなくなるからである。なお、混練は
200℃〜300℃の範囲で行われることが好ましい。
所定の溶媒に分散させることにより、スラリー状の液状
原料23をあらかじめ作製しておく。溶媒としては、水
や、メタノール等の低級アルコール類のような極性溶媒
が用いられることがよい。ここで、原料粉末の配合量は
溶媒の50重量%〜300重量%程度であることがよ
い。原料粉末の配合量が少なすぎると、原料粉末が沈降
・分離する可能性がある。逆に、原料粉末の配合量が多
すぎると、液状原料23の高粘度化に伴って液状原料2
3の流動性が小さくなり、原料充填が困難になるおそれ
がある。また、このようにして作製された液状原料23
は103cps以上、好ましくは104cps〜105c
ps程度の粘度に調製されることがよい。その理由は、
粘度が高すぎると液状原料23の流動性が小さくなり、
原料充填が困難になるおそれがある。
成用材料をあらかじめ配置しておく。ここで用いられる
容器24は気孔を有する多孔質体製である。本実施形態
では、石膏製の容器24を用いている。容器24におけ
る気孔は、液状原料23中に分散される原料粉末よりも
小径であることがよい。その理由は、気孔が原料粉末よ
りも大径であると、液状原料23中の液分のみならず原
料粉末自体も流出してしまい、原料充填の効率が低下し
てしまうからである。なお、石膏のような材料が使用可
能となった理由は、製造工程の全体を通じて大きな成形
圧を加える必要がなくなったためである。
蓋体26とからなる。本体25側の上部には椀状の凹部
27が設けられており、蓋体26側の下部にはその凹部
27に挿入可能な凸部28が設けられている。本体25
と蓋体26とを重ね合わせた場合、凹部27の内面と凸
部28の外面との間には空間が生じる。この空間の形状
は、得ようとするるつぼ5の形状に対応したものとな
る。この空間には骨格形成用材料が配置される。
等のような無機繊維をその成分とするものを使用するこ
とができる。本実施形態では、具体的にいうと炭素繊維
からなる網29を用いている。このような網29は、複
数枚積層した状態で配置されることがよい。なお、図2
には図面作成の便宜上、網29を3枚用いた状態が示さ
れている。しかし、実際上はこのような網29を数枚〜
数十枚程度、場合によっては百枚以上用いてもよい。上
記網29は、炭素繊維を編むことによって形成されたも
のであってもよいほか、炭素繊維を編むことなくバイン
ダ等を用いて単に集積させたものであってもよい。前記
網29はピッチ系炭素繊維を用いて形成されてもよいほ
か、ピッチ系以外の炭素繊維(例えばPAN系の炭素繊
維やその他の炭素繊維等)を用いて形成されてもよい。
内に配置し、例えば原料供給孔30を介して上記液状原
料23を供給する。すると、骨格形成用材料である各網
29のメッシュの隙間に、均一に炭素粉末が充填された
状態となる。なお、多孔質体製の容器24を用いている
ことから、液状原料23中の余剰の液分(即ちここでは
上記の極性溶媒)は、容器24の気孔を介してある程度
外部に排出されてしまう。その結果、水切りを行うこと
ができる。また、真空ポンプ等を使用することにより、
水切りを促進してもよい。
状原料23が充填された骨格形成用材料を乾燥すること
により、液状原料23中の液分をほぼ完全に除去して所
定形状の固形物31を得る(成形工程)。本実施形態に
おいて具体的には、網29を収容した状態の容器24を
それごと乾燥炉内にセットし、炉内温度を水の蒸発温度
以上の値(ここでは120℃〜150℃程度)に設定し
て乾燥を行っている。溶剤としてメタノールを選択した
場合、乾燥温度をこれよりも低く設定することができ
る。ここで十分に乾燥を行っておく理由は、次の焼成工
程において良好な焼成品を得ることができるからであ
る。即ち、乾燥を行うことにより、焼成品にヒケやクラ
ック等が生じにくくなるからである。
焼成して炭素粉末を炭素化させることにより焼成品を得
る焼成工程を行った後、焼成品を熱処理することにより
黒鉛化する黒鉛化工程を行い、大型黒鉛材21とする。
成形体(固形物31)を900℃〜1100℃で焼成す
ることにより炭素化し、さらにこれを2000℃〜32
00℃で熱処理することにより黒鉛化する。この後、必
要に応じて機械加工を行い、外形や表面粗さ等を整え
る。その結果、大型黒鉛材21からなる所望形状のるつ
ぼ5が完成する。なお、るつぼ5以外の黒鉛製部材(回
転軸6、ヒータ7、保温筒8、上部リング9、下部リン
グ10、底部遮熱板11及びガス整流部材12)につい
ても、基本的には同様の製造方法を適用して作製するこ
とが可能である。
均粒子径20μmの石炭系コークス100重量部と、バ
インダーピッチ45重量部とを混合し、これを双腕型ニ
ーダーを用いて200℃で3時間混練した。次に、その
混練物を平均粒子径40μmになるように粉砕し、原料
粉末とした。そして、この原料粉末100重量部を、水
70重量部に分散させることにより、粘度5×104c
psのスラリー状液状原料23を作製した。
素繊維からなる網29を複数枚積層した状態で配置し、
かつ上記液状原料23を供給した。このように原料充填
を行った後、液状原料23が充填された骨格形成用材料
を乾燥炉内にて300分、120℃の条件で乾燥し、椀
形状の固形物31を得た。
31を容器24から型抜きした後、1000℃で焼成し
て炭素化した。そして、強度アップのためさらにこれを
2800℃で焼成して黒鉛化した。この後、得られた大
型黒鉛材21の機械加工を行い、るつぼ5を完成させ
た。なお、実施例のるつぼ5は1m以上の直径を有する
ものとした。
る大型黒鉛材21の密度は1.61 g/cm3であり、
気孔率は28%であった。従って、実施例のるつぼ5は
比較的緻密な組織を有しており、ゾルゲル法による従来
のものに比べて高い機械的強度が付与されているであろ
うと考えられた。
及びショアー硬度を調査した。その結果、曲げ強さは4
3MPa、ショアー硬度は38であり、実施例のるつぼ
5は十分高い機械的強度を備えたものであることがわか
った。 [比較例]従来公知のゾルゲル法により、実施例と同じ
形状・サイズの黒鉛製るつぼを作製した。なお、強度ア
ップのために含浸を複数回行うとともに、その後で密
度、気孔率、曲げ強さ及びショアー硬度をそれぞれ測定
した。
って実施例よりも小さい反面、気孔率は45%であって
実施例よりも大きかった。即ち、比較例のるつぼは、緻
密体と言いうるものではなかった。また、曲げ強さは3
MPa、ショアー硬度は30であり、いずれも実施例の
数値よりも低くなった。
効果を得ることができる。 (1)本実施形態では、容器24内に液状原料23を流
し込む原料充填工程と、乾燥を行って所定形状の固形物
31を得る成形工程と、固形物31中の炭素粉末を炭素
化する焼成工程と、焼成品を黒鉛化する黒鉛化工程とを
経て、大型黒鉛材21を製造している。そして、この製
造方法によれば、黒鉛化した炭素粉末の内部にいわば骨
格を有した大型黒鉛材21を得ることができる。しか
も、このようにして得られた大型黒鉛材21は、従来の
ゾルゲル法による黒鉛材よりも高い強度を備えたものと
なる。
を用いる必要がないという利点がある。このため、大型
黒鉛材21の製造に伴う設備コストの増大という問題も
発生せず、安価に高強度の大型黒鉛材21を製造するこ
とができる。さらに、この製造方法は、ゾルゲル法にて
焼結体を作製した後に複数回含浸を行う方法に比べて、
製造時の工数が少なくて済むという利点がある。よっ
て、簡単に高強度の大型黒鉛材21を製造することがで
きる。
らなる容器24を用いている。石膏は材料自体が安価で
あることに加え、加工しやすいので比較的容易に所望の
形状にすることができるという利点がある。よって、こ
のような容器24を用いることにより、大型黒鉛材21
の製造コストを低減することができる。また、石膏は多
孔質体であるにもかかわらずある程度の剛性を持つ点に
おいて有利である。
成用材料として、炭素繊維からなる網29を複数枚積層
して用いている。炭素繊維はそれ自体が優れた機械的強
度を備えていることに加え、黒鉛化した周囲の炭素粉末
との親和性も高い。従って、骨格形成用材料としてこの
ようなものを用いることにより、確実に大型黒鉛材21
の高強度化を図ることができる。
ばらばらの状態ではなく交錯した状態で存在しているの
で、形状保持性がよいという利点もある。さらに、網2
9を複数枚積層して用いた場合、焼成工程後に大型黒鉛
材21を所望の形状に加工するときに好都合となる。つ
まり、網29のうちの一部のものが仮に加工によって傷
付いたとしても、それ以外のものについては傷付きを免
れることができ、もって全体の強度低下を防止すること
ができるからである。
原料粉末を溶媒に分散させることにより調製した液状原
料23を用いている。このため、ゾルゲル法による場合
に比べて高い熱伝導性及び強度を、大型黒鉛材21に確
実に付与することができる。なお、溶媒を用いているた
め溶媒中に炭素粉末を分散することができ、原料充填工
程において骨格形成用材料の隙間に均一に炭素粉末を充
填することができる。以上のことから、熱伝導性や強度
等のばらつきを未然に防止することができる。 [第2の実施形態]次に、本発明を具体化した第2実施
形態を説明する。ここでは第1実施形態と相違する点を
主に述べ、共通する点についてはその説明を省略する。
格形成用材料が相違する。即ち、第1実施形態では炭素
繊維からなる網29を複数枚積層して用いていたのに対
し、ここではばらばらの状態の炭素繊維そのものを用い
ている。そして、このような炭素繊維を、本体25と蓋
体26とがなす空間内に配置した状態で、原料充填工程
を行うこととしている。従って、本実施形態によれば上
記(1)(2)(3)(5)の効果を得ることができ
る。 [第3の実施形態]次に、本発明を具体化した第3実施
形態を説明する。ここでは第1実施形態と相違する点を
主に述べ、共通する点についてはその説明を省略する。
2実施形態のときとは構成成分や形状が大きく相違する
ものであって、具体的には発泡樹脂を用いている。つま
り、本実施形態の骨格形成用材料は、炭素のみを構成成
分とするものではなくて、組成の一部として炭素を含む
樹脂からなる。また、本実施形態の骨格形成用材料は、
繊維状物ではなくて、気孔を有するフォーム状物であ
る。なお、上記のような発泡樹脂として、例えば発泡ス
チロールや発泡ポリウレタン等を選択することができ
る。原料充填工程の実施前に発泡樹脂を加工し、所望の
形状(ここでは椀形状)としておくことがよい。
と蓋体26とがなす空間内に配置したうえで原料充填工
程を行うと、発泡樹脂の気孔内に液状原料23が入り込
み、内部に炭素粉末が充填された状態となる。続く成形
工程において、液状原料23が充填された発泡樹脂を乾
燥すると、るつぼ形状の固形物31が得られる。続く焼
成工程では、焼成時の熱によって炭素粉末が炭素化・黒
鉛化され、所望の大型黒鉛材21を得ることができる。
このとき同時に発泡樹脂も炭素化・黒鉛化し、大型黒鉛
材21における骨格となる。
1,2ほどでは無いが、比較的高強度の大型黒鉛材21
を製造することができる。また、このような発泡樹脂を
用いた場合においても、炭素粉末を均一に充填すること
ができる。しかも、発泡樹脂は形状保持性や加工性にも
優れている。
更してもよい。 ・ 紙を用いて多孔質製の容器24を構成してもよい。
紙の場合、不要になったら焼いて捨てることが可能であ
るほか、リサイクルも可能である点において、石膏より
有利であるといえる。しかも、紙は焼成時における初期
段階で焼失してしまうので、必ずしも容器24の型抜き
が要らなくなるという特徴もある。
素繊維の代わりに、炭化珪素繊維等のような耐熱性の無
機繊維を骨格形成用材料として選択してもよい。 ・ 第1〜第3実施形態において、蓋体26を省略して
本体25のみで原料充填工程を行うことも許容される。
な椀状体のみに限定されず、例えば棒状体、環状体、球
状体、箱状体、板状体等であってもよい。 ・ 本発明の大型黒鉛材21は、半導体製造装置の一種
であるシリコン単結晶引上げ装置1の内部に用いられる
各種部品(回転軸6、ヒータ7、保温筒8、上部リング
9、下部リング10、底部遮熱板11等)として具体化
されてもよい。勿論、シリコン単結晶引上げ装置1以外
の半導体製造装置における部品として具体化されてもよ
い。
思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技
術的思想を以下に列挙する。 (1) 請求項6において、前記大型黒鉛材は、シリコ
ン単結晶引上げ装置の内部に用いられる、るつぼ、回転
軸、ヒータ、保温筒、上部リング、下部リング、底部遮
熱板またはガス整流部材であることを特徴とする大型黒
鉛材。
記骨格形成用材料は発泡樹脂であることを特徴とする大
型黒鉛材の製造方法。従って、この技術的思想2に記載
の発明によれば、気孔を有するので液状原料が入りやす
く炭素粉末を均一に充填することができ、しかも形状保
持性や加工性にも優れている。
載の発明によれば、成形機を用いることなく高強度かつ
大型の黒鉛材を簡単にかつ安価に製造する方法を提供す
ることができる。
を備えた大型黒鉛材とすることができる。
コン単結晶引上げ装置を示す概略断面図。
明するための概略断面図。
めの概略断面図。
めの概略断面図。
の容器、29…骨格形成用材料としての炭素繊維からな
る網、31…固形物。
Claims (6)
- 【請求項1】骨格形成用材料が配置された多孔質体製の
容器内に、炭素粉末を分散してなる液状原料を流し込む
原料充填工程と、前記液状原料が充填された骨格形成用
材料を乾燥して所定形状の固形物を得る成形工程と、前
記固形物を焼成して前記炭素粉末を炭素化することによ
り焼成品を得る焼成工程と、前記焼成品を2000℃〜
3200℃で熱処理することにより黒鉛化する黒鉛化工
程と、を含むことを特徴とする大型黒鉛材の製造方法。 - 【請求項2】前記多孔質体製の容器は石膏または紙から
なることを特徴とする請求項1に記載の大型黒鉛材の製
造方法。 - 【請求項3】前記骨格形成用材料は炭素繊維をその成分
とすることを特徴とする請求項1または2に記載の大型
黒鉛材の製造方法。 - 【請求項4】前記骨格形成用材料として、炭素繊維から
なる網を複数枚積層して用いることを特徴とする請求項
3に記載の大型黒鉛材の製造方法。 - 【請求項5】前記液状原料は、平均粒子径100μm以
下のコークス粉末にピッチを重量比20%〜70%の範
囲で混合し、かつ200℃〜300℃の範囲で混練した
後、これを粉砕することにより得た原料粉末を、溶媒に
分散させることにより調製されたものであることを特徴
とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の大型黒鉛
材の製造方法。 - 【請求項6】骨格形成用材料が配置された多孔質体製の
容器内に、炭素粉末を分散してなる液状原料を流し込む
原料充填工程と、前記液状原料が充填された骨格形成用
材料を乾燥して所定形状の固形物を得る成形工程と、前
記固形物を焼成して前記炭素粉末を炭素化することによ
り焼成品を得る焼成工程と、前記焼成品を2000℃〜
3200℃で熱処理することにより黒鉛化する黒鉛化工
程と、を経て製造された大型黒鉛材。
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