JP2002360539A - 磁気共鳴画像撮影装置 - Google Patents

磁気共鳴画像撮影装置

Info

Publication number
JP2002360539A
JP2002360539A JP2001178227A JP2001178227A JP2002360539A JP 2002360539 A JP2002360539 A JP 2002360539A JP 2001178227 A JP2001178227 A JP 2001178227A JP 2001178227 A JP2001178227 A JP 2001178227A JP 2002360539 A JP2002360539 A JP 2002360539A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulse
magnetic field
magnetic resonance
slice
presaturation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001178227A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002360539A5 (ja
JP4871457B2 (ja
Inventor
Shinji Kawasaki
真司 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
Original Assignee
Hitachi Medical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Medical Corp filed Critical Hitachi Medical Corp
Priority to JP2001178227A priority Critical patent/JP4871457B2/ja
Publication of JP2002360539A publication Critical patent/JP2002360539A/ja
Publication of JP2002360539A5 publication Critical patent/JP2002360539A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4871457B2 publication Critical patent/JP4871457B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 1回のプリサチュレーション処理により、撮
影部位から離れた複数部位の磁気共鳴信号を抑制して、
アーチファクトを低減する。 【解決手段】 被検体に励起用RFパルス102とスラ
イス傾斜磁場113とを印加して所望のスライス部位を
励起し、励起により発生する磁気共鳴信号141に位相
エンコードと周波数エンコードを付与する傾斜磁場12
2,133を印加する撮影シーケンス151を実行し
て、スライス部位の画像を再構成してディスプレイに表
示するにあたり、撮影シーケンス151の実行前に、励
起用RFパルス102に対応するスライス位置の両側に
位置に対応する基本周波数成分を有するプリサチュレー
ション用RFパルス101とスライス傾斜磁場111と
を印加した後、任意の軸方向の傾斜磁場(112,12
1,131)を印加することにより、撮影部位から離れ
た複数部位の磁気共鳴信号を抑制して、撮影領域の両側
から流入する血流により生ずるアーチファクトを抑制す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴撮影技術
に関し、特に血流などの移動する物質により生ずるアー
チファクトを抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴撮影(MRI)装置は、生体に
均一な静磁場を作用させた状態で特定周波数の高周波励
起パルス(励起用RFパルス)を照射して、被検体を構
成する物質に磁気共鳴現象を引き起こさせ、その物質か
ら発生する磁気共鳴信号(NMR信号)を計測して、そ
の物質の化学的・物理的な情報を画像化して医療診断に
供する装置である。例えば、生体の断層像を撮像する場
合、断層部位を特定する1軸方向のスライス傾斜磁場を
印加しながら励起用RFパルスを印加して同部位を励起
する。そして、スライス傾斜磁場の傾斜軸方向に互いに
直交する2軸方向の傾斜磁場を印加して、励起により発
生する磁気共鳴信号に2次元の位置情報を付与して、断
層像の画像データを計測するようにしている。通常、2
次元の位置情報を付与する2つの傾斜磁場を、それぞれ
位相エンコード傾斜磁場及び周波数エンコード傾斜磁場
と称している。
【0003】このようなMRIにおいて、撮像部位に血
流などの移動する物質が存在すると、スライス傾斜磁場
を印加して励起した後、位相エンコード傾斜磁場又は周
波数エンコード傾斜磁場を印加するまでの間に、撮像部
位の励起物質の状態が変化してしまうため、得られる断
層像にアーチファクトが生じ、診断に支障をきたすとい
う問題がある。例えば、腹部を輪切り断面で撮像する場
合、つまり肝臓などの腹部臓器をトランスバース(Tran
sverse)断面で撮像する場合、腹部には互いに逆向き流
れの大動脈と大静脈があることから、両大血管の血流に
よりアーチファクトが生じ、診断に支障をきたすことが
ある。
【0004】このような血流によるアーチファクトを抑
制するため、従来、プレサチュレーションという撮像手
法が知られている(特開平3−32642号公報)。こ
の手法は、所望部位の撮影シーケンス(パルスシーケン
ス)を実行する前に、撮影領域のスライス部位よりも血
流の上流側にスライス傾斜磁場パルスと励起用RFパル
スとを照射し、続いて任意の方向の傾斜磁場パルスを印
加する手法である。つまり、撮影領域よりも上流側の少
なくとも血流部分を励起し、これにより生じた核スピン
に傾斜磁場を印加して核スピンの位相をバラバラにし
て、撮影領域に血流が流入する前に、血流に係る磁気共
鳴信号を飽和させて抑制することによって、アーチファ
クトが発生しないようにする手法である。すなわち、核
スピンの位相をバラバラにしてランダムにすると、その
核スピンを合成した信号は十分に小さな信号になる。そ
の結果、その血流部分が撮影領域に流入して生ずるアー
チファクトを抑制することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報に記載されたプリサチュレーション法によると、大動
脈あるいは大静脈のように、互いに逆向きに流れる2つ
の血管が撮影部位に存在する場合、例えば撮影部位の頭
側と足側の2箇所の部位にプリサチュレーション処理を
実行することになるから、撮影時間が長くなるなどの問
題がある。すなわち、通常の撮影シーケンスの前に、プ
リサチュレーション用のRFパルスを照射した後、信号
飽和用の傾斜磁場パルスを印加するプリサチュレーショ
ン処理を2回実行するために、2倍の時間を要する。し
たがって、撮影の繰り返し時間TRを一定とすると、撮
影可能なスライス枚数の減少に繋がる。また、スライス
枚数を一定にすると、TRの延長により、画像コントラ
ストの変化及び撮影時間の延長に繋がるという問題があ
る。
【0006】本発明は、上記従来の問題点を解消し、1
回のプリサチュレーション処理により、複数部位の磁気
共鳴信号を抑制することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、静磁場空間に
置かれた被検体に励起用RFパルスとスライス傾斜磁場
とを印加して所望のスライス部位を励起した後、該励起
により発生する磁気共鳴信号に位相エンコードと周波数
エンコードを付与する傾斜磁場を前記被検体に印加する
撮影シーケンスを実行し、前記磁気共鳴信号に基づいて
前記スライス部位の画像を再構成してディスプレイに表
示する場合に、前記撮影シーケンスの実行前に、少なく
とも2つの基本周波数成分、但し典型的には画像化する
スライスの両側に位置する周波数である2つの基本波成
分、を有するプリサチュレーションパルス用RFぱるす
と、前記スライス傾斜磁場とを前記被検体に印加した
後、前記被検体に任意の軸方向の傾斜磁場を印加するこ
とにより、上記課題を解決する。
【0008】すなわち、例えば通常撮影時のスライス傾
斜磁場と同じ傾斜磁場を印加しながら、撮影スライス励
起用RFパルスの基本周波数f0よりも低い周波数f1
と高い周波数f2の少なくとも2つの基本周波数成分を
有するプリサチュレーション用のRFパルスを照射する
と、スライス傾斜磁場の強度と周波数f1、f2との関
係できまる2箇所の部位X1、X2が励起される。これ
らの部位X1、X2は、通常撮影時のスライス部位X0
を挟んだ両側になる。そして、励起された部位X1、X
2の核スピンの位相は、続いて印加される傾斜磁場によ
ってランダムになり、複数の核スピンを合成してなる磁
気共鳴信号は十分に小さな信号になる。つまり、1回の
プリサチュレーション処理により、複数部位の磁気共鳴
信号を抑制することができ、例えば、撮影領域の両側か
ら流入する血流により生ずるアーチファクトを抑制する
ことができる。また、スライス枚数の低減や撮影時間の
延長などの問題を回避できる。
【0009】本発明の磁気共鳴撮影装置は、被検体に静
磁場を印加する磁場発生手段と、前記被検体に励起用R
Fパルスを印加するRFパルス発生手段と、前記被検体
に直交3軸方向の傾斜磁場を印加する傾斜磁場発生手段
と、前記RFパルス発生手段と前記傾斜磁場発生手段と
を制御して、前記被検体の所望のスライス部位を励起し
た後、前記スライス部位から発生する磁気共鳴信号に位
相エンコードと周波数エンコードを付与する撮影シーケ
ンスを実行する制御手段と、前記磁気共鳴信号を計測し
て得られる信号に基づいて前記スライス部位の画像を再
構成する画像再構成手段とを備え、前記制御装置は、前
記撮影シーケンスの実行前に、プリサチュレーション用
RFパルスと前記スライス傾斜磁場とを前記被検体に印
加した後、前記被検体に任意の軸方向の傾斜磁場を印加
する機能を備え、前記プリサチュレーション用RFパル
スは、少なくとも2つの基本周波数成分、但し典型的に
は画像化するスライスの両側に位置する周波数である2
つの基本波成分を有するものとすることにより、実現で
きる。
【0010】本発明において、特に、前記少なくとも2
つの基本周波数成分は、互いに位相がずれた関係にする
ことが好ましい。これにより、合成されたRFパルスを
Sinc関数等で振幅変調した際の振幅の最大値(波高値)
を低く抑えることができ、RFパルス発生装置の容量の
増大を抑えることができる。
【0011】
【実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、
図1〜図6を用いて説明する。図1は本発明方法の一実
施形態のパルスシーケンス、図2は本発明方法を適用可
能な磁気共鳴撮影装置の全体構成図、図3と図4は本発
明方法の動作説明図、図5と図6は本発明にかかるプリ
サチュレーション用RFパルスの波形図である。
【0012】図2に示すように、磁気共鳴撮影装置は、
静磁場発生装置1、傾斜磁場発生装置2、送信系3、受
信系4、信号処理系5、シーケンサ6、中央処理装置
(CPU)7、操作部8等を備えて構成される。静磁場
発生装置1は、被検体9が置かれる空間に均一な静磁場
を発生させるものである。その静磁場の方向は、通常、
被検体9の体軸方向又は体軸に直交する方向である。ま
た、静磁場発生装置1は、永久磁石方式、常電導電磁石
方式又は超電導電磁石方式の磁場発生手段により形成さ
れている。傾斜磁場発生装置2は、直交3軸(X、Y、
Z)方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル10と、
その傾斜磁場コイル10の駆動電流を供給する傾斜磁場
電源11を有して構成されている。傾斜磁場電源11
は、シーケンサ6の命令に従って直交3軸(X,Y,
Z)方向の傾斜磁場Gs、Gp、Grを被検体9に印加
するようになっている。この傾斜磁場の与え方によって
断層像のスライス面を設定することができるとともに、
計測される磁気共鳴信号(エコー信号)に位置情報をエ
ンコードすることができる。シーケンサ6はCPU7の
制御により動作し、パルスシーケンスと称される撮影シ
ーケンスに従って、傾斜磁場発生装置2、送信系3、受
信系4等に命令を送り、断層像を撮像するのに必要な制
御を実行するものである。
【0013】送信系3は、被検体9の生体組織を構成す
る原子核に核磁気共鳴を起こさせるためのRFパルス
(高周波磁場パルス)を照射するもので、高周波発振器
12、変調器13、高周波増幅器14及び高周波照射コ
イル15を有して構成されている。そして、送信系3
は、シーケンサ6の命令に従って、高周波発振器12か
ら出力される高周波パルスを変調器13で振幅変調し、
さらに高周波増幅器14で増幅した後、高周波照射コイ
ル15に供給してRFパルスを被検体9に照射するよう
になっている。
【0014】受信系4は、被検体9の生体組織の原子核
の核磁気共鳴により放出されるエコー信号(NMR信
号)を検出するもので、受信側の高周波受信コイル1
6、増幅器17、直交位相検波器18及びA/D変換器
19を有して構成される。高周波受信コイル16により
受波されたNMR信号は増幅器17で増幅され、直交位
相検波器18で検波された後、A/D変換器19でディ
ジタル信号の計測データに変換される。なお、シーケン
サ6の制御によるタイミングで直交位相検波器18によ
り位相を90°ずらしてサンプリングされた二系列の計
測データは、信号処理系5に送られる。
【0015】信号処理系5は、CPU7、ROM20、
RAM21、光磁気ディスク22、CRTなどのディス
プレイ23及び磁気ディスク24を有して構成される。
CPU7は、入力されるエコー信号についてフーリエ変
換、補正係数計算、画像再構成処理等の処理、及びシー
ケンサ6の制御を行ない、任意断面の信号強度分布ある
いは所定の処理をした画像を作成して、ディスプレイ2
3に断層像として表示するようになっている。ROM2
0は、経時的な画像解析処理及び計測を行なうプログラ
ムや、その実行に用いる不変のパラメータなどを記憶す
る。RAM21は、計測パラメータや、送信系4で検出
したエコー信号、及び必要な画像を一時保管する。光磁
気ディスク22及び磁気ディスク24は、CPU7によ
り再構成された画像データを記録する。ディスプレイ2
3は、光磁気ディスク22及び磁気ディスク24に格納
されている画像データを映像化して断層像として表示す
る。操作部8は、信号処理系5で実行する処理の制御情
報を入力する入力手段であり、例えば、トラックボール
又はマウス25やキーボード26を備えて構成される。
【0016】特に、本発明の特徴に係るプリサチュレー
ション処理を行なうために、CPU7は操作部8から入
力される指令に基づいて、通常の撮影を実行する前にプ
リサチュレーション処理の実行をシーケンサ6に指令す
るようになっている。そして、シーケンサ6は、CPU
7の指令に従ってプリサチュレーション処理のパルスシ
ーケンスを実行する機能を備えている。また、送信係3
の高周波発振器12と変調器13は、プリサチュレーシ
ョン用のRFパルスを発生するようになっている。
【0017】このように構成される磁気共鳴撮影装置に
よって、本発明に係る磁気共鳴画像撮影方法の一実施の
形態を説明する。図1の横軸は時間を、縦軸は各信号の
強度を示し、上から順に、RFパルス、スライス傾斜磁
場Gs、位相エンコード傾斜磁場Gp、リードアウト傾
斜磁場に相当する周波数エンコード傾斜磁場Gr、磁気
共鳴信号(エコー信号)を示している。
【0018】まず、プリサチュレーションするスライス
部位を選択するスライス傾斜磁場パルス111を印加し
ながら、プリサチュレーション用のRFパルス101を
照射する。スライス傾斜磁場パルス111は所定の軸方
向(本実施形態では、X軸方向を生体の体軸方向として
いる。)及び強度で印加する。その後、所定の傾斜磁場
Gsパルス112、同Gpパルス121、同Grパルス
131を印加する。これにより、RFパルス101で励
起された核スピンの位相を拡散し、後述する通常撮影時
のパルスシーケンス151の実行時に磁気共鳴信号を発
生しないようにする。傾斜磁場Gsパルス112、同G
pパルス121、同Grパルス131は、好ましくは3
軸方向全てに印加するが、必ずしも3軸全てに印加する
必要はない。要は、RFパルス101で励起された核ス
ピンの位相を拡散して、核スピンの巨視的な磁場の位相
がランダムに拡散して、合成成分を小さくできればよ
い。また、各傾斜磁場パルスの強度も、核スピンの位相
を十分に拡散する値を選定する。
【0019】このようにしてプリサチュレーション処理
を行なった後、通常の撮影シーケンス151を実行す
る。本実施形態の撮影シーケンス151は、静磁場中に
置かれた被検体にRFパルス102をスライス傾斜磁場
Gsパルス113とともに印加し、続いて位相再整相用
傾斜磁場Gsパルス114と、位相エンコード傾斜磁場
Gpパルス122と、周波数エンコード方向の位相拡散
傾斜磁場Grパルス132とを印加する。その後、リー
ドアウト傾斜磁場パルス133を印加して、エコー信号
141を計測する。この通常の撮影シーケンスは、グラ
ディエント系のパルスシーケンスであるが、本発明はこ
れに限られるものではなく、周知の他のパルスシーケン
スを適用しても、プリサチュレーションの効果を得るこ
とができる。
【0020】このようにして、1回のプリサチュレーシ
ョン処理をすることにより、エコー信号141を計測し
て画像の再構成処理をすれば、通常撮影時のGsパルス
113に対応するスライス部位の両側から移動して、同
スライス部位に流入する血流などの移動する物質により
生ずるアーチファクトを抑制することができ、きれいな
画像を得ることができる。
【0021】このことについて、図3、4を用いて詳し
く説明する。図3は、通常のパルスシーケンスによって
撮影する領域と、プリサチュレーション処理によって励
起される領域を模式的に示したものである。図示のよう
に、人体の躯幹部201に動脈202と静脈203が存
在し、それらは人体の長軸方向(頭-足方向)に互いに
逆向きに流れている。この様な人体の躯幹部201に対
し、X軸方向の位置X0の断面204における断層像を
撮影する。この場合、動脈202からの血流アーチファ
クトの発生を防ぐため、X軸方向の位置X1の領域20
5にプリサチュレーション処理を実行するとともに、同
時に、静脈203からの血流アーチファクトの発生を防
ぐため、X軸方向の位置X2の領域206にプリサチュ
レーション処理を実行する。
【0022】このように、位置X1の領域205と位置
X2の領域206を同時にプリサチュレーション処理す
る条件について、図4を参照しながら詳しく説明する。
図3(A)はX軸方向とスライス傾斜磁場Gsによる磁
場強度の関係を示し、図3(B)は同図(A)の傾斜磁
場を有するX軸方向の位置と共鳴周波数との関係を示
す。ここで、スライス選択に係るプリサチュレーション
処理のGsパルス111と撮影時のGsパルス113の
磁場強度は同じであるとする。プリサチュレーション用
のRFパルス101を照射する際にGsパルス111を
印加すると、図3(A)に示すようにX軸方向に磁場の
勾配ができる。このとき、位置X1と位置X2のプリサ
チュレーション領域205,206の磁場強度は、それ
ぞれB1,B2となる。また、共鳴周波数はf1、f2
となる。なお、図3において、X0は撮影時のスライス
部位を示し、B0は同部位の磁場強度、f0は同部位の
共鳴周波数である。これらのことから、Gsパルス11
1を印加しつつ、励起用RFパルス102の基本周波数
f0よりも低い周波数f1と高い周波数f2の少なくと
も2つの基本周波数成分を有するプリサチュレーション
用のRFパルス101を照射すると、2箇所のスライス
部位X1、X2のプリサチュレーション領域205,2
06に存在する物質の核スピンを励起することができ
る。そして、励起されたプリサチュレーション領域20
5,206の核スピンの位相は、続いて印加される傾斜
磁場パルス112,121,131によって拡散される
から、複数の核スピンを合成してなる磁気共鳴信号は十
分に小さな信号になり、血流によるアーチファクトを抑
制できる。なお、上記では、プリサチュレーション領域
を同時に2領域励起することについて説明したが、同様
にすれば、3以上の領域をプリサチュレーション処理で
きる。
【0023】上記ではGsパルス111とGsパルス1
13は同一である例について説明したが、これらは同一
強度である必要はない。両者が異なる強度の場合には上
記説明中のB0、B1、B2及びf0、f1、f2の関
係も対応して変化するが、上記と同様の効果が得られ
る。
【0024】次に、プリサチュレーション用のRFパル
ス101について、具体的に説明する。通常、プリサチ
ュレーション用のRFパルス101及び励起RFパルス
102は、スライス位置に対応する基本周波数f0、f
1、f2を有する高周波をsinc関数などで振幅変調した
波形の高調波パルスを用いる。そして、一般に、sinc関
数の最大振幅位置において、基本周波数の波形の位相が
各照射毎に一定になるように制御している。ここで、si
nc関数の最大振幅位置は、sinc関数を時間tの関数とす
ると、t=0のときである。
【0025】しかし、このように位相を調整したRFパ
ルスは、複数の基本周波数成分からなる振幅の和が非常
に大きくなり、高周波発振器などの送信系の装置の容量
限界を超えてしまうことがある。つまり、図5に示すよ
うに、基本周波数が1:2の関係にある2つの波に、そ
れぞれsinc関数による振幅変調を施したRFパルス40
1,402を足し合わせると、RFパルス403のよう
に大きな振幅の波形になる。つまり、RFパルス40
1,402とがt=0において位相が一致していること
から、両者の和であるRFパルス403がt=0におい
て、特に大きな値になっている。
【0026】この様な問題を解決するには、図6に示す
ように、プリサチュレーション用のRFパルスの複数の
基本波成分の位相をずらせばよい。図6において、低い
周波数を基本周波数とするRFパルス501は、図5の
RFパルス104と同様であるが、高い周波数を基本周
波数とするRFパルス502は、図4のRFパルス40
2に対して基本波成分の位相を90°ずらしている。こ
れにより、両者の和であるRFパルス503は、図4の
RFパルス403に比べて振幅が小さくなっている。な
お、RFパルス501、502の振幅変調関数であるsi
nc関数の位相は同じである。また、ずらす位相は必ずし
も90°が最適ではなく、基本周波数に応じて最適な位
相差を持たせることが好ましい。
【0027】ここで、プリサチュレーション領域20
5,206の励起領域の厚み(幅)について検討する。
上述したように、プリサチュレーション用のRFパルス
を照射する際には、プリサチュレーション領域205,
206の位置に対応した基本周波数を有する高周波をsi
nc関数により振幅変調したRFパルスを用いる。これ
は、周波数空間(実空間に対応する。)において基本周
波数のフーリエ変換結果である基本周波数位置でのδ関
数と、sinc関数のフーリエ変換結果である矩形形状のコ
ンボリュ-ションの結果として、基本周波数を基準にし
てある幅を有する領域を励起することを意味する。この
幅は、sinc関数の形状、さらに詳しくはsinc関数の周波
数に依存する。したがって、sinc関数の周波数を高くす
れば、周波数空間(実空間)での励起幅は広くなる。こ
れらのことから、複数のプリサチュレーション領域(2
05,206)に対応した基本周波数を有する高調波
を、周波数が異なる複数のsinc関数で振幅変調すること
により、複数のプリサチュレーション領域の励起幅を異
なる値に設定することができる。
【0028】ところで、sinc関数の波形データをテーブ
ルの形で保持する場合、任意の励起幅にするために、任
意の周波数のsinc関数を用いるようにすると、テーブル
を複数用意しなければならず、効率的でない。この様な
場合は、各周波数成分の振幅変調関数として同一のsinc
関数を用い、複数のプリサチュレーション領域の励起幅
を同一にすることにより、sinc関数の波形のデータテー
ブルを複数用意する必要をなくして、コンピュータシス
テムの資源を有効活用できる。
【0029】なお、上述の実施形態では、1回のプリサ
チュレーション処理により複数領域を同時に処理する例
を説明したが、この場合は、複数の領域が平行な場合に
限られる。しかし、非平行な複数の領域をプリサチュレ
ーション処理したい場合は、スライス傾斜磁場の方向を
変えて、2回以上のプリサチュレーション処理すればよ
い。
【0030】上述の実施形態では、通常の撮影シーケン
スとしてグラディエント系のパルスシーケンスを示した
が、本発明はこれに限られるものではなく、周知の他の
パルスシーケンスを適用しても、プリサチュレーション
の効果を得ることができる。例えば、EPIシーケンス
のように、1回の励起用RFパルスによる励起により、
複数のエコー信号を計測する方式のパルスシーケンスに
も、同様に適用することができる。
【0031】上述の実施形態では、撮影スライス面の両
側にプリサチュレーション領域を設定する場合を示した
が、本発明はこれに限られるものではなく、任意の位置
にプリサチュレーション領域を設定してもプリサチュレ
ーションの効果を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、1
回のプリサチュレーション処理により、撮影部位から離
れた複数部位の磁気共鳴信号を抑制することができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の磁気共鳴画像撮影方法の一実施
形態のパルスシーケンスである。
【図2】図2は本発明の磁気共鳴画像撮影方法を適用し
てなる磁気共鳴撮影装置の全体構成図である。
【図3】図3は本発明の磁気共鳴画像撮影方法の動作説
明図である。
【図4】図4は本発明の磁気共鳴画像撮影方法の動作説
明図である。
【図5】図5は本発明にかかるプリサチュレーション用
RFパルスの一例の波形図である。
【図6】図6は本発明にかかるプリサチュレーション用
RFパルスの他の例の波形図である。
【符号の説明】
1 静磁場発生装置 2 傾斜磁場発生装置 3 送信系 4 受信系 5 信号処理系 6 シーケンサ 7 CPU 8 操作部 10 傾斜磁場コイル 15 高周波照射コイル 16 高周波受信コイル

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に静磁場を印加する磁場発生手段
    と、前記被検体に励起用RFパルスを印加するRFパル
    ス発生手段と、前記被検体に直交3軸方向の傾斜磁場を
    印加する傾斜磁場発生手段と、前記RFパルス発生手段
    と前記傾斜磁場発生手段とを制御して、前記被検体の所
    望のスライス部位を励起した後、前記スライス部位から
    発生する磁気共鳴信号に位相エンコードと周波数エンコ
    ードを付与する撮影シーケンスを実行する制御手段と、
    前記磁気共鳴信号を計測して得られる信号に基づいて前
    記スライス部位の画像を再構成する画像再構成手段とを
    備えた磁気共鳴撮影装置において、 前記制御装置は、前記撮影シーケンスの実行前に、少な
    くとも2つの基本周波数成分を有する励起パルスの合成
    パルスであるプリサチュレーション用RFパルスを1回
    以上印加することを特徴とする磁気共鳴撮影装置。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも2つの基本周波数成分
    は、前記スライス部位の両側の部位を励起する周波数に
    設定されてなることを特徴とする請求項1に記載の磁気
    共鳴撮影装置。
  3. 【請求項3】 前記少なくとも2つの基本周波数成分
    は、所定のタイミングで位相がずれた関係にあることを
    特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴撮影装置。
JP2001178227A 2001-06-13 2001-06-13 磁気共鳴画像撮影装置 Expired - Fee Related JP4871457B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001178227A JP4871457B2 (ja) 2001-06-13 2001-06-13 磁気共鳴画像撮影装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001178227A JP4871457B2 (ja) 2001-06-13 2001-06-13 磁気共鳴画像撮影装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002360539A true JP2002360539A (ja) 2002-12-17
JP2002360539A5 JP2002360539A5 (ja) 2008-06-26
JP4871457B2 JP4871457B2 (ja) 2012-02-08

Family

ID=19018962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001178227A Expired - Fee Related JP4871457B2 (ja) 2001-06-13 2001-06-13 磁気共鳴画像撮影装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4871457B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007082867A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Ge Medical Systems Global Technology Co Llc Mri装置
JP2014030490A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴イメージング装置
JP2014236894A (ja) * 2013-06-10 2014-12-18 株式会社日立メディコ 磁気共鳴イメージング装置及びプリサチュレーション法
CN117547246A (zh) * 2024-01-12 2024-02-13 中国科学技术大学先进技术研究院 空间信号饱和方法、装置、设备及计算机可读存储介质

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007082867A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Ge Medical Systems Global Technology Co Llc Mri装置
JP4717573B2 (ja) * 2005-09-26 2011-07-06 ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー Mri装置
JP2014030490A (ja) * 2012-08-01 2014-02-20 Hitachi Medical Corp 磁気共鳴イメージング装置
JP2014236894A (ja) * 2013-06-10 2014-12-18 株式会社日立メディコ 磁気共鳴イメージング装置及びプリサチュレーション法
CN117547246A (zh) * 2024-01-12 2024-02-13 中国科学技术大学先进技术研究院 空间信号饱和方法、装置、设备及计算机可读存储介质
CN117547246B (zh) * 2024-01-12 2024-04-09 中国科学技术大学先进技术研究院 空间信号饱和方法、装置、设备及计算机可读存储介质

Also Published As

Publication number Publication date
JP4871457B2 (ja) 2012-02-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8466679B2 (en) Magnetic resonance imaging apparatus and method configured for susceptibility-emphasized imaging with improved signal-to-noise ratio
JP3525007B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US4568880A (en) Diagnostic apparatus for utilizing nuclear magnetic resonance
JP4416221B2 (ja) 磁気共鳴画像診断装置
JPH05329127A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
US7167740B2 (en) Measuring method in magnetic resonance imaging device and magnetic resonance imaging device
JP2021529610A (ja) 磁場変調によって撮像するmrtの方法および装置
JPH06169896A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4871457B2 (ja) 磁気共鳴画像撮影装置
JP3901448B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4397137B2 (ja) 磁気共鳴撮像装置
WO2009047690A2 (en) Segmented multi-shot mri involving magnetization preparation
JP4462781B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2891514B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3440134B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2018114163A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JPH05103768A (ja) 磁気共鳴イメージング方法
JP2002165774A (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP4400957B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP3400513B2 (ja) Mri装置
JPH0938063A (ja) 磁気共鳴断層撮影装置
JP2003116814A (ja) 磁気共鳴撮像装置
JP4343345B2 (ja) 磁気共鳴イメージング装置
JP2002204789A (ja) Mri装置
JP4399658B2 (ja) 磁気共鳴撮像装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080317

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080512

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080512

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110111

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111114

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees