JP2002360229A - 粉末飲食品の製造法 - Google Patents
粉末飲食品の製造法Info
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Abstract
賦形剤を添加し、噴霧乾燥を行った後、粉末粒子を粉砕
又は破砕又は圧縮して作られることを特徴とする泡立ち
の少なく溶解性の良い粉末飲料、又は粉末食品の製造
法。 【効果】 溶解時の発泡防止、溶解性の良好な粉末飲
料、又は粉末食品の製造方法であり、溶解後の泡立ちが
非常に少ないため見た目に良く、さらに溶解性の良い粉
末飲料、粉末食品を提供することができる。
Description
に関する。すなわち、本発明は、粉末飲料、又は粉末食
品を形成する粉末粒子を加工する製造方法に関するもの
である。詳しくは噴霧乾燥によって得られた粉末粒子を
粉砕、又は破砕、又は圧縮して、粉末中空構造を破壊
し、必要に応じて造粒した粉末飲料、又は粉末食品の製
造に関するものである。
汁などにより得られた液体飲料に賦形剤を添加し、噴霧
乾燥を行う方法が一般的手法である。噴霧乾燥が瞬時に
行われるため、飛散しやすい香り成分が保持できる点
と、連続的にポーラスな粒子を効率的に生産できる点な
どの利点があるため頻繁に用いられている。また、噴霧
乾燥だけでは湯、水に溶解したとき、ままこ(溶け残
り)になることもあるため、造粒を行い粉末飲料、又は
粉末食品を得ている。
乾燥後整粒した粉末飲料、又は粉末食品を湯や水で溶解
すると、泡が発生し、溶解液表面を覆うことがしばしば
見受けられるが、そのため、復元時の外観が低下するだ
けでなく、香り立ちが悪く、風香味も劣化し、また、溶
解不良も招来され、この点の解決が希求されている。
決するためになされたものである。従来より泡の発生を
押さえるために乳化剤やシリコン等の消泡剤を用いる方
法もあるが、泡の発生を抑える効果はなく、破泡速度を
速めるにすぎず、発泡という原因根本を解決したわけで
はない。さらには、近年、消費者の食品添加物への関心
度・知識度が上がり、食品添加物未使用食品が市場で広
がりつつある。こういった背景より、消泡剤を使用しな
い方法の検討が必要であった。
を抑制、防止する新規技術を開発するため、各方面から
鋭意検討の結果、液体飲食品に賦形剤を添加し、常法に
したがって噴霧乾燥した後、生成した粒子を粉砕したと
き、全く予期せざることに、得られた粒子は、これを水
に溶解して復元したとき、液表面にできる気泡の発生が
大幅に抑制されるという新規にしてきわめて有用な知見
を得、この有用新知見に基づき更に検討、研究の結果、
遂に完成されたものである。以下、本発明について詳述
する。
のであって、飲食品には、飲料及び食品の双方を包含す
るものであり、ここで粉末化を行う液体飲料は、コーヒ
ー飲料、茶飲料、乳飲料、果汁飲料、野菜飲料などの一
般的な清涼飲料であり、そのまま或いは濃縮したものあ
るいはペーストを用いる。
用いて抽出した抽出液、又はこの抽出液に砂糖などの甘
味料や牛乳など添加した飲料などであり、ブラックコー
ヒー、カフェ・オ・レ、フレーバーコーヒーなどのコー
ヒー飲料、緑茶、麦茶、ほうじ茶、ウーロン茶、ストレ
ートティー、ミルクティー、レモンティー、フレーバー
ティ、ブレンド茶などの茶飲料が挙げられる。
これらの濃縮果汁、ピューレやペーストなどを用いて作
られた液体飲料などであり、レモンジュース、オレンジ
ジュース、グレープフルーツジュース、アップルジュー
ス、フルーツミックスジュース、プルーンジュース、ト
マトジュース、キャロットジュース、野菜ミックスジュ
ース、又はこれらのミックスジュースなどが挙げられ
る。
する食品をすべて包含するものであって、そのまま或い
は濃縮したもの或いはペースト状物も使用することがで
きる。したがって、本発明によれば、これらの液体食品
を原料として、水などの液体に溶解させたときに泡の発
生が抑制され、溶解性及び風味がすぐれた各種粉末液体
が製造でき、その例としては次のものが非限定的に挙げ
られる:粉末おもゆ、粉末マッシュポテト、粉末スープ
(インスタントスープ:コンソメ、ポタージュ)、粉末
ラーメンスープ、粉末ダシ、粉末ツユ、粉末醤油、粉末
酢、粉末味噌汁(インスタント味噌汁)、その他。
を行う。噴霧乾燥は、常法、例えば粉末飲料の製造の常
法にしたがって、行えばよく、噴霧乾燥を行う際、粉末
化基材、増量材、呈味成分や芳香成分の保護を目的と
し、必要に応じて賦形剤を用いる。用いられる賦形剤
は、デキストリン、乳糖、デンプン、ガム類(例えば、
グアーガム)などの多糖類等が挙げられる。液体中の固
形分含量がブリックス50以下になるように、賦形剤を
必要に応じて添加して、液体中の固形分含量の調整を行
う。好ましくは、ブリックス20〜30に調整し噴霧乾
燥を行う。
2流体ノズル法の3方法に大別され、いずれも使用でき
るが、液体原料のレオロジー特性、製品の物質を考慮し
て決定される。加圧ノズル噴霧の場合、液体を3〜20
MPa程度に加圧し、ノズル先端の円形オリフィスより
流出させ微粒化する。回転円板の場合、液体を回転円板
の中心部に供給し、5000〜6000rpmの回転円
板の遠心力を利用して円板周辺へ流動した後、極めて細
い糸状、または、薄膜状になって微粒化する。2流体ノ
ズルの場合、供給液とともに圧縮空気または水または水
蒸気を送り、液と気体とのせん断力を利用して噴霧、微
粒化する。
際しても、液滴径の小さい噴霧滴が得られる。一般的に
は、粒子径10〜500μmの噴霧乾燥物が得られる。
た噴霧乾燥物を、粉砕処理、破砕処理、圧縮処理の少な
くともひとつの処理にて処理することが必要である。こ
れらの処理には、噴霧乾燥によって得られた粉末粒子
を、微粉砕〜粉砕〜細砕〜粗砕〜破砕等のこれらを適宜
の大きさにまで破壊するすべての処理が包含され、更に
また、該粉末粒子を圧縮、圧潰ないし磨砕する処理も包
含される。これら破壊処理は、単独で行ってもよいし、
2つ以上適宜組み合わせて行ってもよいし、同一処理を
2回以上くり返して行ってもよいし、これらを適宜組み
合わせて行ってもよい。
壊装置が適宜使用することができるが、実用性の面から
して、粉砕機や圧縮系造粒機を使用すると良い。
機、摩砕機、凍結粉砕機が挙げられ、これらが適宜使用
される。
粉砕機に分かれる。衝撃式粉砕機は一般にはスクリーン
型、回転盤型、軸流型に大別される。具体的には、ハン
マーミル、アトマイザ、ジェットマイザである。
れる。回転式石臼として、マスコロイダーが挙げられ
る。擂潰機は、乳鉢と同等で摩砕と圧縮により粉砕、混
練を行う装置である。
作が困難な原料を粉砕する方法である。その1つとして
液化天然ガス(LNG)の冷熱を利用して、原料を凍結
させて粉砕する低温粉砕システムがある。粉砕機を利用
する場合、粒子の大きさは50μm以下、好ましくは1
0μm以下に調整する必要がある。
押し出し造粒機、乾式破砕造粒機が挙げられこれらが適
宜使用される。
と回転バスケット式がある。どちらの方式も粉末状にな
った原料に粉体間の結合力を調整するための適量の水分
または賦形剤を加え混合捏和する。大体において水分は
10−20重量%のものが多いが、中には10重量%以
下であったり、極端なものには70−80重量%のもの
もある。次に圧縮工程を行い、空隙を最小にし、さらに
粒に成形するなんらかの形状の穴から押出し、カッター
で0.1〜3mmに切断することにより空洞の少ない粉
末飲料を得ることができる。
を圧縮し、これをグラニュレータ、アトマイザなどによ
り粉砕して50μm〜3mmの必要に応じた大きさに整
粒する。これにより空洞を減少させることが可能であ
る。圧縮圧力は、高ければ高いほど脱泡作用が強くなる
が、それに反比例して溶解性が悪化する。溶解性が悪化
した場合は、必要に応じて粉砕工程、造粒工程を行って
も良い。
そのまま湯又は水で溶解させても良いが、粉砕粉末の粒
度が低いため、溶解時にままこを生じる場合もある。そ
の場合、流動層造粒機等を用いて造粒、整粒を行うとよ
い。造粒する場合は、造粒後のかさ比重が0.20〜
0.50g/ml、好ましくは0.30〜0.40g/
mlになるようにすると良い。
量の湯、水、又は牛乳などを添加して溶解する。このよ
うな製造方法により、消泡剤を使用することなく、泡の
発生が少なく且つ溶解性の良い粉末飲食品(粉末飲料、
粉末食品が包含される)を得ることができる。
後整粒した粉末飲食品を粉砕、圧縮等の破壊処理に供す
ることによって、これを湯や水に溶解して復元した際、
泡の発生を抑制ないし防止するだけでなく、溶解性や風
味の劣化や低下は生じないすぐれた新規粉末飲食品が製
造される。
をまたねばならないが、泡の発生防止のメカニズムにつ
いては、現時点では、一応次のように考えられる。すな
わち、噴霧乾燥物粒子は、これを復元すると泡が発生
し、溶解液表面を覆うことがしばしばであるが、これ
は、噴霧乾燥後の粒子が中空構造になっており、湯や水
に溶解したときに水分が粒子に浸透し、粒子内の空洞が
なくなり、空洞中の空気が細かい多数の泡を発生させ、
更に、この細かい泡は互いに集まり、溶解液の表面に無
数の泡の層を形成し、粉末飲食品の外観の悪化にもつな
がるものと考えられるところ、本発明においては、噴霧
乾燥後の粒子を粉砕、圧縮したりすることにより、泡の
原因のひとつとなっている該粒子中の中空構造が破壊さ
れ、その結果、起泡が抑制ないし完全に防止されるもの
と考えられる。
それが有する中空構造、つまり多孔性に依存するところ
が大きいことから、起泡防止のためにこの中空構造を破
壊したにもかかわらず、本発明によって製造された粉末
飲食品は卓越した溶解性を有しており、この点のメカニ
ズムについては今後の研究をまたねばならない。まして
や、中空構造の破壊によっても、風味や品質が変化や劣
化することなく維持される点のメカニズムについては更
に今後の研究にまたねばならない。
砕ないし圧縮処理とを有機的に結合することにより、泡
の防止だけでなく、泡の防止とは矛盾するとも考えられ
る溶解性の改良、維持のほか、風味や品質、食感の劣化
防止等の著効が奏されるが、このような知見は従来知ら
れておらず、新規である。以下、本発明の実施例につい
て述べる。
ブリックス 5.0の茶抽出液を得た。抽出した茶抽出
液中の茶固形分に対し4倍量のデキストリンを添加し、
ブリックス 25に調整した。その調整液を噴霧乾燥で
粉末化した。その粉末のかさ比重が0.35〜0.50
g/mlの範囲になるように衝撃式粉砕機で粉砕し、そ
の後、流動層造粒機にてかさ比重が0.30g/mlに
なるように造粒を行った。
乾燥し、できた粉末を流動層造粒機でかさ比重が0.3
0g/mlになるように造粒を行った。
れた粉末を各1gずつを100mlの湯(95℃)、及
び冷水(2℃)を投入し、60rpmにて10回転の攪
拌溶解させた。湯、及び冷水投入から5分間『外観』、
『気泡』、『溶解性』を比較し、得られた結果を、下記
表1に示す。なお、外観については、◎非常によい、○
よい、×悪いで表わし、気泡については、◎気泡の発生
が全く認められない、△気泡の発生が認められるが破泡
する、×気泡が発生し、破泡もしない、で表示した。
及び比較例1のそれぞれについて、冷水投入を後から攪
拌1分後〜5分後までの間、1分ごとに溶解性などを確
認したもの(写真)を、実施例1については、図面代用
写真(図1〜図6)に示し、比較例1については、図面
代用写真(図7〜図12)に示した。
ついて次のことが確認された。 (実施例1:冷水溶解) 図1(冷水投入直後):大きい泡は発生するが、溶け残
り(ままこ)はほとんど認められない。 図2(攪拌してから1分後):泡の発生は認められな
い。すべてが溶解しており、見た目が非常に良く、良好
である。 図3(攪拌してから2分後):1分後の場合と状態に変
化は認められず、良好である。 図4(攪拌してから3分後):1分後の場合と状態に変
化は認められず、良好である。 図5(攪拌してから4分後):1分後の場合と状態に変
化は認められず、良好である。 図6(攪拌してから5分後):1分後の場合と状態に変
化は認められず、良好である。
溶け残り(ままこ)も多く浮遊しており、やや「だま」
の形成が感じられる。 図8(攪拌してから1分後):多数の泡が認められる
が、大きい泡は減少している。容器の壁面に細かい泡が
集まり、クリーム状の泡の集団の形成の開始が認められ
た。 図9(攪拌してから2分後):容器の壁面には、泡の集
合体により白いリングの形成が認められ、見た目に非常
に悪いことが確認された。 図10(攪拌してから3分後):容器の壁面に形成され
た白いリング(泡の集合体)は、なかなか消滅しないこ
とが確認された。 図11(攪拌してから4分後):上記と変化は認められ
ず、クリーム状の泡はなかなか破泡しないことが確認さ
れた。 図12(攪拌してから5分後):5分経過後において
も、結局、白いリングの消滅は認められなかった。
し、ブリックス 4.0のコーヒー抽出液を得た。抽出
したコーヒー抽出液中のコーヒー固形分が5倍になるよ
う濃縮を実施し、最終的にブリックス20のコーヒー濃
縮液を調整した。このコーヒー調整液を噴霧乾燥し、乾
燥粉末を圧縮造粒機にて、ロール圧100〜150kg
/cm2、ロール回転3rpm、スクリュー回転5〜1
0rpmでスクリューの電流が1〜1.5Aとなるよう
な条件化で圧縮成形した。さらにアトマイザーにて微粉
化を行い、流動層造粒機にて造粒を行った。
乾燥し、できた粉末を流動層造粒機でかさ比重が0.3
0g/mlになるように造粒を行った。
乾燥し、粒径80μm、かさ比重0.20g/mlの噴
霧乾燥粉末が得られた。
で得られた粉末を各1gずつを100mlの湯、及び牛
乳に溶解させて溶解状態を比較した。得られた結果を、
下記表2に示す。なお外観、気泡における記号の意味
は、表1の場合と同じである。
ドライ方式で製造されているが、得られた粉末を溶解す
ると、発泡して、外観、風味、食感等が低下し、もとの
液状の飲食品には復元し難いという欠点がある。
ない全く新しい方式で解決したものであって、噴霧乾燥
粉末を更に破壊して内部構造を崩壊するという溶解性を
低下せしめることが充分に予測される方法をあえて採用
し、泡の発生防止のほか、溶解性や風味、品質、食感に
ついては何ら影響を受けないという全く新規にして予測
できない効果を確認し、図面代用写真からも明らかなよ
うにそれを実証したものである。
もとの液状飲食品にそのままもどすことのできる従来製
造し得なかった質の高い粉末飲食品を効率的、工業的に
製造することができる。
解した際、冷水投入直後の状態を示す図面代用写真であ
る
面代用写真である。
解した際、冷水投入直後の状態を示す図面代用写真であ
る。
面代用写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 液体飲食品に、必要に応じて賦形剤を添
加し、噴霧乾燥を行った後、粉末粒子に対して粉砕、破
砕、圧縮の少なくともひとつの処理を行うこと、を特徴
とする復元に際して泡立ちが少なく且つ溶解性にすぐれ
た粉末飲食品の製造法。 - 【請求項2】 更に、流動層造粒等により造粒処理する
こと、を特徴とする請求項1に記載の製造法。 - 【請求項3】 液体飲食品として、コーヒー飲料、茶飲
料、乳飲料、果汁飲料、野菜飲料から選択される少なく
ともひとつを使用して粉末飲料を製造すること、を特徴
とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の製造法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
造法で製造してなる粉末飲食品。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2001176053A JP4429550B2 (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | 粉末飲食品の製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005312319A (ja) * | 2004-04-27 | 2005-11-10 | Ucc Ueshima Coffee Co Ltd | 芳香食品の製造方法および芳香食品 |
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JP2017104068A (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | 花王株式会社 | 希釈用コーヒー組成物 |
JP2021000047A (ja) * | 2019-06-24 | 2021-01-07 | 佐藤食品工業株式会社 | 造粒粉末茶葉及びその製造方法 |
-
2001
- 2001-06-11 JP JP2001176053A patent/JP4429550B2/ja not_active Expired - Fee Related
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