JP2002357878A - 修飾ゼラチン、これを用いたハロゲン化銀写真乳剤および写真感光材料 - Google Patents

修飾ゼラチン、これを用いたハロゲン化銀写真乳剤および写真感光材料

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輝一 柳
Mamoru Sakurazawa
守 桜沢
Naohiro Takeda
直弘 竹田
Yoichi Maruyama
陽一 丸山
Katsuyuki Takada
勝之 高田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平板状ハロゲン化銀乳剤の凝集を抑制するこ
とができる修飾ゼラチンを提供すること。また、この修
飾基を導入したゼラチンを用い、高感度でかつ粒状性に
優れ、経時による写真性変動の少ないハロゲン化銀写真
乳剤及びこれを含有するハロゲン化銀写真感光材料を提
供すること。 【解決手段】 (A)ゼラチンと、(B)メルカプト基
を有する含窒素芳香族環を含み、ゼラチン中の反応性基
と共有結合を形成し得る化合物と、を反応させて得られ
る修飾ゼラチンであって、ゼラチン中における前記化合
物の導入量がゼラチン100g当たり1.0×10−6
モル以上2.0×10−3モル以下であることを特徴と
する修飾ゼラチン、これを用いたハロゲン化銀写真乳剤
および写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、修飾ゼラチン、よ
り具体的には含窒素芳香族環を含む化合物により修飾さ
れたゼラチンに関する。本発明はさらに、上記修飾ゼラ
チンを含有するハロゲン化銀写真乳剤の凝集安定性を改
良し、高感度で粒状性に優れるハロゲン化銀写真乳剤及
びこれを用いるハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンは写真化学工業において長い間
利用されており、ゼラチンが写真システムにおいて果た
している役割は多岐にわたっている。ゼラチンの役割が
多岐に渡る理由としては、ゼラチンが優れた保護コロイ
ド性、ゾル−ゲル変換性、イオン透過性、適度な吸湿、
保水性などの優れた特性を有すると同時に化学反応サイ
トを有することにより、分子間架橋や写真有用基との結
合能力を同時に備えているためであるが、更なる性能の
向上が求められている。その方法として、一部を合成高
分子で置換する方法とゼラチン自身に修飾(写真有用基
の結合)を加える方法がある。ゼラチンの修飾について
は、ゼラチンの主ペプチド鎖のペンダントあるいはブラ
ンチのアミン部分あるいはカルボン酸部分を利用して修
飾する方法が一般的であり、種々の方法が提案されてい
る。例えば、我孫子義弘他編「にかわとゼラチン」丸善
(1987)、米国特許第4,978,607号明細書、特開平6-73341
号公報などには様々なゼラチン修飾法が提案されてい
る。
【0003】平板状ハロゲン化銀粒子に関してはすでに
米国特許第4434226号、同4439520号、同
4414310号、同4433048号、同44143
06号、同4459353号等にその製法、および使用
技術が開示されている。アスペクト比の高い平板粒子を
用いれば、平板粒子の比表面積が大きくなるので、上記
の平板粒子の利点を有効活用することができる。即ち、
より大きな表面積を有する平板粒子に、より多くの増感
色素を吸着させることによって、1粒子当たりの光の吸
収量を増大させ、高感度化を達成することができる。こ
のように、より高いアスペクト比の平板粒子を用いて、
より多くの色素を吸着させることによって高感度化が可
能となるが、その際、凝集という大きな問題が発生す
る。凝集とは、2つ以上の平板粒子が集まって、平板粒
子の主表面同士が合着して二次粒子を形成する現象で、
平板粒子のアスペクト比が高いほど、吸着色素量が多い
ほど、即ち、吸着色素の粒子表面の被覆率が高いほど起
こり易い。この凝集は、粒状性の悪化、現像後の濃度低
下、カブリの上昇等の写真性能の低下を引き起こす。
【0004】従来から、平板粒子の凝集防止について
は、多くの検討がなされてきた。例えば、Pierre Glafk
ides, “Chimie et Physique Photographiques” (5th.
ed.,1’Usine, Paris, 1987)には、粒子形成中に強く
攪拌すること、温度を上げること、硝酸銀溶液を希釈す
ること、あるいはある程度までゼラチン含量を増やすこ
とで凝集を軽減できることが記載されている。しかしな
がら、高感度ハロゲン化銀乳剤の製造適性への要求はい
っそう高まっており、特に高感度を得るために、より高
いアスペクト比の平板粒子を含有する乳剤に関しては、
従来の技術では十分満足できる結果が得られなくなって
いる。
【0005】平板粒子の凝集改良の別手段として、ゼラ
チンの保護コロイド性を高める検討がなされている。例
えば、欧州特許第603804号明細書には、鎖長を伸
ばした酸処理ゼラチンが開示されている。該特許では酸
処理ゼラチンがアルカリ処理ゼラチンに比べ、低分子量
成分が多いので、その欠点をゼラチン分子鎖を架橋する
ことによりなくそうとするものである。その際、架橋剤
はゼラチンのアミノ基同士を架橋する架橋剤、例えばbi
s-(vinyl sulfonyl)化合物が用いられている。酸処理ゼ
ラチンはハロゲン化銀乳剤粒子の形成およびその化学増
感において、アルカリ処理ゼラチンに比べ還元性が強く
また不純物も多いため、好ましい写真的特性が得られな
いという欠点を有している。特開平5−113618号
公報には、高分子量成分を12%以上含むゼラチンを含
有する平板状ハロゲン化銀乳剤の凝集防止技術が、およ
び特開平11−237704号公報には、分子量28
0,000以上の高分子量成分を30%以上含むゼラチ
ンの存在下で製造される平板状ハロゲン化銀乳剤の製造
法が開示されている。
【0006】修飾ゼラチンを用いたハロゲン化銀粒子の
凝集抑制としてはラテックスと共有結合したゼラチン
(特開平7−152103)などが提案されてる。
【0007】しかしながら、これらの技術は、平板粒子
の凝集防止に対してある程度の改良効果を示すものの、
その効果はまだ十分なものとは言えなかった。
【0008】一方、メルカプトアゾール基はハロゲン化
銀へ強く吸着すると同時に保存性を改良することが知ら
れており、例えばT. H. James「THE THEORY OF THE
PHOTOGRAPHIC PROCESS 第4版」マクミラン出版、
ニューヨーク、1章III節(1977年)などに記載さ
れており、メルカプトアゾール基をゼラチンへ導入する
ことによりハロゲン化銀写真感光材料の保存性を改良す
ることが特開平3−37643号公報、同4−2264
49号公報などで開示されている。しかし本発明者らに
よると、特開平3−37643号公報の実施例にある修
飾ゼラチンは、平板状粒子においては粒状性が悪化する
という問題が発生し、改良が強く求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的は
平板状ハロゲン化銀乳剤の凝集を抑制することができる
修飾ゼラチンを提供することにある。本発明の第二の目
的は、上記修飾基を導入したゼラチンをハロゲン化銀写
真感光材料に用いることにより、高感度でかつ粒状性に
優れ、経時による写真性変動の少ないハロゲン化銀写真
乳剤及びこれを含有するハロゲン化銀写真感光材料を提
供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、メルカプト基を有す
る含窒素芳香族環を含む修飾基をゼラチンに対して特定
の割合で導入した修飾ゼラチンを用いることにより優れ
た写真感光材料を提供できることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0011】(1)(A)ゼラチンと、(B)メルカプ
ト基を有する含窒素芳香族環を含み、ゼラチン中の反応
性基と共有結合を形成し得る化合物と、を反応させて得
られる修飾ゼラチンであって、ゼラチン中における前記
化合物の導入量がゼラチン100g当たり1.0×10
−6モル以上2.0×10−3モル以下であることを特
徴とする修飾ゼラチン。
【0012】(2)下記一般式(I)で表される修飾ゼ
ラチン。
【0013】
【化2】
【0014】式中、Gelはゼラチンを表す。Lはゼラ
チン中に存在する−C(=O)O−、−NH−、−N
=、−N<、−O−、−S−、−NH−C(=N
)NH−又は−NH−C(=NH)NH−から選
ばれる基である。Lは2価または3価の連結基を表
す。Zは含窒素芳香族ヘテロ環基を表す。nは1または
2である。ただし、−L−Z−SHで表される修飾基
の導入量はゼラチン100gに対して1.0×10−6
モル以上2.0×10−3モル以下である。
【0015】(3)下記一般式(II)で表される(2)
に記載の修飾ゼラチン。
【0016】
【化3】
【0017】式中、Gelはゼラチンを表す。Lはゼラ
チン中に存在する−C(=O)O−、−NH−、−N
=、−N<、−O−、−S−、−NH−C(=N
)NH−又は−NH−C(=NH)NH−から選
ばれる基である。L2Bは2価または3価の連結基を表
す。R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素
原子または置換基を表す。nは1または2である。括弧
内に表される修飾基の導入量はゼラチン100gに対し
て1.0×10−6モル以上2.0×10−3モル以下
である。
【0018】(4)要件(C)を満足することを特徴と
する(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の修飾ゼ
ラチン。
【0019】(C)該ゼラチンがPAGI法に準じて測
定された分子量分布において、分子量約200万以上の
高分子量成分が3%以上30%以下、かつ分子量約10
万以下の低分子量成分が55%以下の範囲にある。
【0020】(5)粒子の全投影面積の50%以上が下
記の(a)ないし(d)を満たすハロゲン化銀粒子で占めら
れ、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の修飾ゼ
ラチンを含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳
剤。
【0021】(a) 平行な主平面が(111)面、(b)
アスペクト比が2以上、(c) 転位線を1粒子当り10
本以上を含む、(d) 塩化銀含有率が10モル%未満の
沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化
銀粒子。
【0022】(6)粒子の全投影面積の50%以上が下
記の(a)、(d)および(e)を満たすハロゲン化銀粒子で占
められ、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の修
飾ゼラチンを含有することを特徴とするハロゲン化銀写
真乳剤。
【0023】(a) 平行な主平面が(111)面、(d)
塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀もしくは塩沃
臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子、(e) 六角形
ハロゲン化銀粒子で、その頂点部および/または側面部
および/または主平面部に1粒子当り少なくとも1個の
エピタキシャル接合を有する。
【0024】(7)粒子の全投影面積の50%以上が、
円相当径が0.6μm以上、粒子厚みが0.2μm未満
で、かつ平行な主平面が(111)面である平板状ハロ
ゲン化銀粒子で占められ、(1)ないし(4)のいずれ
か1項に記載の修飾ゼラチンを含有することを特徴とす
るハロゲン化銀写真乳剤。
【0025】(8) 前記平板状ハロゲン化銀粒子の粒
子厚みが0.1μm以下であることを特徴とする(7)
に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0026】(9) 前記平板状ハロゲン化銀粒子が、
少なくとも1種の晶相制御剤の存在下で主平面を(11
1)面に制御されたことを特徴とする(7)または
(8)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
【0027】(10) 前記晶相制御剤が下記一般式
(III)、(IV)または(V)で表される化合物である
ことを特徴とする(9)に記載のハロゲン化銀写真乳
剤。
【0028】
【化4】
【0029】一般式(III)中、R’はアルキル基、
アルケニル基またはアラルキル基を表わし、R’、R
’、R’、R’およびR’はそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表わす。R’とR’、R
とR’、R’とR’およびR’とR’はそれ
ぞれ縮環してもよい。ただし、R’、R’、
’、R’およびR’のうち少なくとも一つはア
リール基を表わす。Xは対アニオンを表わす。
【0030】
【化5】
【0031】一般式(IV)および(V)中、A
、AおよびAはそれぞれ独立に含窒素ヘテロ環
を完成させるための非金属原子群を表わし、Bは2価の
連結基を表わす。mは0または1を表わす。R''およ
びR''はそれぞれ独立してアルキル基を表わし、X
はアニオンを表わす。nは0、1または2を表わし、分
子内塩のときはnは0または1である。
【0032】(11) 粒子の全投影面積の50%以上
が下記(b)、(d)および(g)を満たすハロゲン化銀粒子で
占められ、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の
修飾ゼラチンを含有することを特徴とするハロゲン化銀
写真乳剤。
【0033】(b) アスペクト比が2以上、(d) 塩化銀
含有率が10モル%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀
よりなる平板状ハロゲン化銀粒子、(g) 平行な主平面
が(100)面である。
【0034】(12) 粒子の全投影面積の50%以上
が下記(b)、(h)および(i)を満たすハロゲン化銀粒子で
占められ、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の
修飾ゼラチンを含有することを特徴とするハロゲン化銀
写真乳剤。
【0035】(b) アスペクト比が2以上、(h) 平行な
主平面が(111)面もしくは(100)面、(i) 少
なくとも80モル%の塩化銀を含有する平板状ハロゲン
化銀粒子である。
【0036】(13) 粒子の全投影面積の50%以上
が下記(j)、(k)および(m)を満たすハロゲン化銀粒子で
占められ、(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の
修飾ゼラチンを含有することを特徴とするハロゲン化銀
写真乳剤。
【0037】(j) ハロゲン化銀粒子の円相当径が2μ
m以上、(k) アスペクト比が10以上、(m) 個々の粒
子の平均AgI含有量が5モル%以上、である。
【0038】(14)支持体上に(5)ないし(11)
のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真乳剤を含有す
る感光性層を少なくとも一つ有することを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0039】(15) 前記感光性層に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の50%以上がさらに下記(j)
を満たし、前記感光性層に含まれるハロゲン化銀粒子の
全投影面積の80%以上が粒子投影部の中心から50%
以内に転位線が存在しない粒子であることを特徴とする
(14)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0040】(j) ハロゲン化銀粒子の円相当径が2μ
m以上。
【0041】(16) 前記感光性層に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、粒子の形成時
に沃化物イオン放出剤を用いて沃化物イオンを急激に生
成せしめながら形成する工程を含む製法により調製され
たものであることを特徴とする(14)に記載のハロゲ
ン化銀写真感光材料。
【0042】(17) 前記感光性層に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、粒子の形成時
にその形成が行われている容器中に沃化銀微粒子を添加
する工程を含む製法により調製されたものであることを
特徴とする(14)に記載のハロゲン化銀写真感光材
料。
【0043】(18) 前記沃化銀微粒子の形成が、ハ
ロゲン化銀粒子形成の行われている反応容器外で形成さ
れることを特徴とする(17)に記載のハロゲン化銀写
真感光材料。
【0044】(19) 前記感光性層に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、粒子の形成時
に、少なくとも全銀量の30%の粒子形成が該ハロゲン
化銀粒子の存在する容器中にそれとは別の容器で形成さ
れたハロゲン化銀微粒子を添加することにより行われる
ことを特徴とする(14)に記載のハロゲン化銀写真感
光材料。
【0045】(20) 前記感光性層に含まれるハロゲ
ン化銀粒子の全投影面積の50%以上が還元増感された
乳剤であることを特徴とする(14)に記載のハロゲン
化銀写真感光材料。
【0046】(21)(1)ないし(4)のいずれか1
項に記載の修飾ゼラチンを含有することを特徴とするハ
ロゲン化銀写真感光材料。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施方法および実
施態様について詳細に説明する。本明細書において
「〜」はその前後に記載される数値を下限値及び上限値
として含む意味で使用される。
【0048】本発明は、メルカプト基を有する含窒素芳
香族環を含む修飾基を、ゼラチンに対して特定の割合で
導入することにより、優れた写真感光材料を作製するの
に有効なゼラチンを得ることできるという知見に基づく
ものである。
【0049】本発明で用いる(A)ゼラチンの種類は特
に限定されない。ゼラチンの主要な供給源としては、
豚、牛類の皮と骨等が挙げられるが、好ましくは、牛骨
から生産されるゼラチンである。その処理方法としては
酸処理、アルカリ(石灰)処理、などが挙げられ、これ
らのいずれも用いることができるが、より好ましくはア
ルカリ(石灰)処理ゼラチンである。ゼラチンは、ゼラ
チン中の化学反応性基が残存していれば、他の官能基で
修飾されていてもよい。例えばビス−(ビニルスルホニ
ル)化合物またはカルボキシル基を活性化し、ゼラチン
を架橋し得る化合物を用いて製造された水可溶性鎖延長
ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリ
メリット化ゼラチン、ピロメリット化ゼラチン、酵素処
理低分子量ゼラチン(分子量2000〜10万)等が挙げら
れ、これらを2種類以上混合してもよい。
【0050】本発明におけるゼラチンの成分の比率、す
なわち分子量分布は国際的に決められたPAGI法に準
じて、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(以下
「GPC法」と記す)で測定したものである。この方法
に関しては大野隆司、小林裕幸、水澤伸也、 "日本写真
学会誌" 、47巻4号、1984年、237〜247頁
等に詳述されている。
【0051】本発明に係わるゼラチンの分子量分布の測
定条件を下記に示す。
【0052】(測定条件) カラム:Shodex Asahipak GS-620 7G(8mmI.D.×500mm)
×2 ガードカラム:Shodex Asahipak GS-1G 7B 溶離液:0.1ミリモル/リットルのりん酸二水素カリ
ウム溶液と0.1ミリモル/リットルのりん酸水素二ナ
トリウム溶液の等量混合液 流速:1.0ミリリットル/分 カラム温度:50℃ 検出:UV230nm サンプル濃度:0.2mass% 注入量:100マイクロリットル 横軸にリテンションタイム(Retention Time)、縦軸に吸
光度をとって得られるGPC曲線は、まず排除限界のピ
ークが現われ、次にゼラチンのβ成分、α成分のピーク
が現われ、さらにリテンションタイムが長くなるにつれ
て裾を引くような形になる。
【0053】本発明における分子量約200万以上の高
分子量成分の占める割合は、排除限界のピークの面積の
全体に占める割合を算出することにより求める。具体的
には、リテンションタイム17分位に現われるGPC曲
線の極小点から横軸に対して垂線を引き、その垂線より
高分子量側の部分(高分子量成分)の面積の全体の面積
に占める割合を算出する。また、分子量約10万以下の
低分子量成分の占める割合は、α成分以下の面積の全体
に占める割合を算出することにより求める。具体的に
は、リテンションタイム23分位に現われるβ成分ピー
クとα成分ピークとの間のGPC曲線の極小点から横軸
に対して垂線を引き、その垂線より低分子量側の部分
(低分子量成分)の面積の全体の面積に占める割合を算
出する。
【0054】本発明のゼラチンは、分子量約200万以
上の高分子量成分が3%以上30%以下、かつ分子量約
10万以下の低分子量成分が55%以下に制御されたも
のであることが好ましい。高分子量成分が30%を越え
ると濾過性が急激に悪化するため好ましくない。また、
低分子量成分が55%を越える場合および/または高分
子量成分が5%未満の場合には本発明の効果が充分に発
現しない。本発明の効果を発現するためには、分子量約
200万以上の高分子量成分が5%以上15%以下、か
つ分子量約10万以下の低分子量成分が50%以下であ
ることが特に好ましい。
【0055】本発明の高分子量のゼラチンの製造法とし
ては下記の二つに大別される。
【0056】1.ゼラチンの架橋を行わない方法 例えば下記のような方法が用いられる。 製法(i) ゼラチンの抽出操作で抽出後期のゼラチン抽
出液を使用して抽出初期のゼラチン抽出液を排除する。 製法(ii) ゼラチンの抽出以後乾燥までの製造工程にお
いて処理温度を40℃未満とする。 製法(iii) ゼラチンゲルを冷水(15℃)透析する。
[ザ・ジャーナル・オブ・フォトグラフィックサイエン
ス(The Journal of Photographic Science)、23巻3
3頁(1975)参照]。 製法(iv) イソプロピルアルコールの使用による分画
法。[ディスカッションズ・オブ・ザ・フアラディ・ソ
サイエティ(Discussions of the Faraday Society)、1
8巻、288頁(1954)参照]。
【0057】上記の製法を単独もしくは組み合わせて用
いることにより、本発明のゼラチンを得ることができ
る。
【0058】2.ゼラチン架橋剤を用いる方法 本発明で用いられるゼラチンは、ゼラチンを架橋させる
ことで分子量分布を制御したものがより好ましく用いら
れる。架橋方法としては酵素によってゼラチン分子間を
架橋する方法と、架橋剤を添加して架橋剤がゼラチン分
子間に化学結合を作ってゼラチン分子を架橋する方法と
の二つがある。
【0059】本発明で用いられ得る酵素による方法の代
表的な方法として、トランスグルタミナーゼで架橋され
たゼラチンについて述べる。トランスグルタミナーゼ酵
素は、蛋白質であるゼラチンのグルタミン残基のα−カ
ルボキシアミド基と各種一級アミンとの間のアシル転移
反応を触媒する機能によってゼラチンを架橋する事がで
きる。トランスグルタミナーゼは動物由来、植物由来、
微生物由来のものがあり例えば、動物由来のものとして
は、モルモットの肝臓などの哺乳類の臓器、血液より抽
出したもの、また植物由来のものとしては、エンドウ豆
より抽出、微生物由来のものとしては放線菌より抽出さ
れている。本発明ではトランスグルタミナーゼ活性を示
すものであれば、どの様な起源のものも好ましく用いる
事ができる。
【0060】本発明で用いられ得るトランスグルタミナ
ーゼは、例えばClark 等の方法(Achives of Biochemis
try and Biophysics, 79, 338 (1959)) 、Connel等の方
法(J.Bilogical Chemistry, 246 (1971))、特開平4
−207149号記載の方法、特開平6−30770号
記載の方法のいずれで合成されたものでも好ましく用い
る事ができる。これらのトランスグルタミナーゼとして
は商品名アクテバ(味の素(株)製)が挙げられる。本
発明で用いられるトランスグルタミナーゼ活性は、ベン
ジルオキシカルボニルLグルタミニルグリシンとヒドロ
キシアミンを反応させ、生成したヒドロキサム酸の量を
求める事により測定できる。この測定により1分間に1
×10-6モルのヒドリキサム酸を生成するトランスグル
タミナーゼ活性を1ユニット(unit)とする。本発明で用
いられるトランスグルタミナーゼは、使用されるゼラチ
ンによって異なるが、ゼラチン1gに対して1×10-6
モル以上のヒドロキサム酸を生成する量を添加して分子
量分布を制御するのが好ましい。
【0061】架橋剤によりゼラチンを架橋する方法とし
ては、これまでゼラチンの硬化剤として知られている架
橋剤は全てこれを使用する事ができる。以下にその代表
的な化合物をあげる。
【0062】A.無機架橋剤(無機硬膜剤) カチオン性のクロム錯体;錯体の配位子としてはヒドロ
キシル基、シュウ酸基、クエン酸基、マロン酸基、乳酸
塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、硫酸塩、
塩化物、硝酸塩。
【0063】アルミニウム塩;特に硫酸塩、カリウムみ
ょうばん、アンモニウムみょうばん。上記の化合物はゼ
ラチンのカルボキシル基を架橋する。
【0064】B.有機架橋剤(有機硬膜剤) 1.アルデヒド系架橋剤;もっともよく使われるのはホ
ルムアルデヒドである。またジアルデヒドでも有効な架
橋ができ、その例としてはグリオキザール、スクシンア
ルデヒド、特にグルタルアルデヒドが有効である。ジグ
リコアルデヒドや種々の芳香族ジアルデヒド、またジア
ルデヒドスターチ、植物ガムのジアルデヒド誘導体も本
発明の架橋に用いることができる。
【0065】2.N−メチロール化合物およびその他の
保護されたアルデヒド架橋剤;ホルムアルデヒドと種々
の脂肪族直鎖或いは環状のアミド、尿素、含窒素ヘテロ
環との縮合によって得られるN−メチロール化合物。具
体的には2,3−ジヒドロキジオキサン、ジアルデヒド
とそのヘミアセタールの酢酸エステル、2,5−メトキ
シテトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0066】3.ケトン架橋剤;ジケトン、キノン類の
化合物。よく知られているジケトンとして、2,3−ブ
タンジオン、CH3COCOCH3など。キノンとして
は、p−ベンゾキノンがよく知られている。
【0067】4.スルホン酸エステルとスルホニルハラ
イド;代表的化合物としてビス(スルホニルクロリド)
類およびビス(スルホニルフロリド)類がある。
【0068】5.活性ハロゲン化合物;2個以上の活性
ハロゲン原子をもつ化合物。代表的化合物としてケト
ン、エステル、アミドの単純なビス−α−クロロ或いは
ビス−α−ブロモ誘導体、ビス(2−クロロエチル尿
素)、ビス(2−クロロエチル)スルフォン、ホスホー
ルアミジックハライド等が挙げられる。
【0069】6.エポキサイド;ブタジェンジオキサイ
ドが代表的化合物として挙げられる。
【0070】7.活性オレフィン;2個以上の二重結
合、特に隣接する電子吸引基によって活性化された無置
換ビニル基をもつ多くの化合物はゼラチンの架橋剤とし
て有効である。この化合物の例としては、ジビニルケト
ン、レゾルシノールビス(ビニルスルホナート)、4,
6−ビス(ビニルスルホナート)、4,6−ビス(ビニ
ルスルホニル)−m−キシレン、ビス(ビニルスルホニ
ルアルキル)エーテル或いはアミン、1,3,5−トリ
アクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ジアクリ
ルアミド、1,3−ビス(アクリロイル)尿素等が挙げ
られる。
【0071】8.s−トリアジン系化合物;下記一般式
(H−I)で示される化合物。
【0072】
【化6】
【0073】式中、R1は水酸基、−OM基(Mは1価
の金属原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメ
チル、エチル、2−エチルヘキシル)、−N(R2)(R3)
基(R2、R3はそれぞれ炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数6〜15のアリール基を表し、互いに同じであっ
ても異なってもよい。)、−NHCOR4(R4は水素原
子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のア
リール基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6
〜20アリールチオ基を表わす。)、あるいは炭素数1
〜20のアルコキシ基を表わす。また前記一般式(H−
I)で示されるシアヌルクロリド系硬膜剤については特
公昭47−6151号、同47−33380号、同54
−25411号、特開昭56−130740号に詳細な
記載がある。また一般式(H−I)の化合物と類似した
構造を持つ特公昭53−2726号、特開昭50−61
219号、同56−27135号等に記載されている化
合物も本発明に有用である。
【0074】9.ビニルスルホン系化合物;下記一般式
(H−II)で示される化合物。
【0075】
【化7】
【0076】上記一般式中、X1およびX2は−CH=C
2又は、−CH2CH2Yのいずれかであり、X1および
2は同じであっても異なってもよい。Yは求核性基に
より置換されるか、塩基によってHYの形で脱離し得る
基(例えば、ハロゲン原子、スルホニルオキシ、硫酸モ
ノエステル等)を表す。Lは2価の連結基であり、置換
されていてもよい。一般式(H−II)で表わされるビニ
ルスルホン系硬膜剤については、例えば特公昭47−2
4259号、同50−35807号、特開昭49−24
435号、同53−41221号、同59−18944
号等の公報に詳細な記載がある。
【0077】10.カルバモイルアンモニウム塩;下記
一般式(H−III)で示される化合物。
【0078】
【化8】
【0079】式中、R1、R2は炭素数1〜10のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、2−エチルヘキシル
基など)、炭素数6〜15のアリール基(例えばフェニ
ル基、ナフチル基など)、または炭素数7〜15のアラ
ルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基など)を表
わし、互いに同じであっても異なってもよい。また
1、R2は互いに結合して窒素原子と共に複素環を形成
することも好ましい。X-は陰イオンを表わす。一般式
(H−III)で表わされるカルバモイルアンモニウム塩
系硬膜剤についての詳細な記載は、特公昭56−128
53号、同58−32699号、特開昭49−5194
5号、同51−59625号、同61−9641号に詳
しい。
【0080】Rは水素原子、ハロゲン原子、アシルア
ミド基、ニトロ基、カルバモイル基、ウレイド基、炭素
数1〜10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキ
シ基)、炭素数1〜10のアルキル基(例えばメチル
基、n−ブチル基)、炭素数6〜15のアリール基(例
えばフェニル基、ナフチル基)、またはアラルキル基
(例えばベンジル基)などの置換基を表す。
【0081】11.下記一般式(H−IV)で示される化
合物。
【0082】
【化9】
【0083】R1、R2、R3およびX-の定義は一般式
(H−III)における定義と全く同様であり、これらの化
合物はベルギー特許第825,726号に詳しい。
【0084】12.アミジニウム塩系化合物;下記一般
式(H−V)で示される化合物。
【0085】
【化10】
【0086】R1、R2、R3およびR4は炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数6〜20のアラルキル基、または
炭素数6〜20のアリール基であり、それぞれ同じであ
っても異なってもよい。Yは一般式(H−V)で表わさ
れる化合物が求核試薬と反応した際に脱離し得る基を表
わし、好ましい例としてハロゲン原子、スルホニルオキ
シ基、1−ピリジニウミル基等が挙げられる。X-は陰
イオンを表わす。一般式(H−V)で表わされるアミジ
ニウム塩系硬膜剤については特開昭60−225148
号に詳細な記述がある。
【0087】13.カルボジイミド系化合物;下記一般
式(H−VI)で示される化合物。
【0088】
【化11】
【0089】式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基
(例えばメチル基、エチル基など)、炭素数5〜8のシ
クロアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシアルキル
基、または炭素数7〜15のアラルキル基を表わす。R
2はR1に定義された基を表わす。これらのカルボジイミ
ド系硬膜剤については、特開昭51−126125号、
同52−48311号に詳しい。
【0090】14.リジニウム塩基系化合物;下記一般
式(H−VII)で示される化合物。
【0091】
【化12】
【0092】式中、R1は炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数6〜15のアリール基、または炭素数7〜1
5のアラルキル基を表わす。これらの基は置換されても
よい。R2、R3は水素原子、ハロゲン原子、アシルアミ
ド基、ニトロ基、カルバモイル基、ウレイド基、アルコ
キシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラ
ルキル基などの置換基を表わし、それぞれ同じであって
も異なってもよい。またR2とR3が結合してピリジニウ
ム環骨格と共に縮合環を形成することも好ましい。Yは
一般式(H−VII)で表わされる化合物が求核試薬と反応
した際に脱離し得る基を表わす。X-は陰イオンを表わ
す。これらのピリジニウム塩基硬膜剤については、特公
昭58−50699号、特開昭57−44140号、同
57−46538号に詳細な記載がある。
【0093】15.ピリジニウム塩系化合物;下記一般
式(H−VIII)で示される化合物。
【0094】
【化13】
【0095】式中、R1、R2の定義は一般式(H−II
I)におけるR1、R2の定義と全く同様であり、R3は炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜15のアリール
基または炭素数7〜15のアラルキル基を表わす。X-
は陰イオンを表わす。一般式(H−VIII)で表わされる
ピリジニウム塩系硬膜剤については特開昭52−544
27号に詳しく記載されている。
【0096】本発明で用いられ得る硬膜剤としては前記
の一般式(H−I)〜一般式(H−VIII) で表わされる
化合物の他にも、特開昭50−38540号、同52−
93470号、同56−43353号、同58−113
929号、米国特許第3,321,313号に記載され
た化合物等も好ましい。
【0097】以下に本発明に使用される化合物の具体的
な例を分類してあげるが、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0098】
【化14】
【0099】
【化15】
【0100】本発明の乳剤に用いられる高分子量のゼラ
チンの製造においては、これまであげてきた架橋剤をゼ
ラチン溶液に添加して、ゼラチン分子間架橋を起こさせ
る。その際の条件は、各架橋剤によって異なっている
が、一定の反応温度と反応時間を設定してGPC法によ
ってゼラチンの分子量分布を測定する事によって、反応
条件を決定する事ができる。その際、ゼラチン溶液の粘
度測定する事で架橋の進行を追跡する事ができる。添加
された架橋剤は全部を反応させる事が望ましいが、未反
応で残った場合は、架橋反応後ゼラチン溶液の限外濾過
などにより残存した架橋剤を除去する事ができる。本発
明のゼラチンの分子量分布は、架橋剤の添加量や架橋反
応の温度、時間、pH等の架橋反応の条件を調節するこ
とにより制御できる。
【0101】本発明の高分子量のゼラチンとしては、上
記の架橋剤いずれか1種または2種以上を組み合わせて
架橋されたゼラチンを好ましく用いることができる。一
般式(H−I)で表されるs−トリアジン系化合物、一
般式(H−II)で表されるビニルスルホン系化合物、一
般式(H−III)で表されるカルバモイルアンモニウム
塩または一般式(H−VI)で表されるカルボジイミド系
化合物を用いて架橋されたゼラチンが好ましい。特に、
写真性能への影響が少ない点で一般式(H−II)で表さ
れるビニルスルホン系化合物が好ましい。
【0102】本発明の高分子量のゼラチンの製造に用い
る元ゼラチンとしては、アルカリ処理ゼラチン、酸処理
ゼラチンのいずれも使用可能だが、写真性能に悪影響を
及ぼす不純物含量が少ない点でアルカリ処理ゼラチンが
より好ましい。特に不純物イオンや不純物を除去する脱
イオン処理や限外濾過処理を施したアルカリ処理ゼラチ
ンを用いることが好ましい。また、本発明において好ま
しく用いられる架橋されたゼラチンの元ゼラチンとして
も、アルカリ処理ゼラチンが好ましい。
【0103】米国特許第5,318,889号では、酸
処理ゼラチンをビニルスルホン化合物で架橋することに
より高分子量化したゼラチンが開示されている。該特許
で開示されたゼラチンは、本発明のゼラチンの分子量分
布には及ばないものであったが、酸処理ゼラチンの場合
には高分子量成分を本発明のゼラチンと同等まで増加さ
せた場合でも、写真感度を低下させるなど写真性能上の
欠点のあることが明らかになっている。
【0104】本発明では(B)メルカプト基を有する含
窒素芳香族環を含み、ゼラチン中の反応性基と共有結合
を形成しうる化合物、を用いてゼラチンを修飾する。含
窒素芳香族環とは、具体的には単環または縮環の含窒素
芳香族ヘテロ環であり、好ましくは5ないし7員の含窒
素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5ないし6員
の含窒素芳香族ヘテロ環であり、例えば、イミダゾー
ル、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾ
ール、オキサゾール、セレナゾール、ベンズトリアゾー
ル、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンズセ
レナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフ
トチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダ
ゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピ
リダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザイ
ンデン等があげられ、更に好ましくは、5員の含窒素芳
香族ヘテロ環であり、具体的にはイミダゾール、ピラゾ
ール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキ
サゾール、ベンズトリアゾール、ベンズチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール
が好ましく、特に好ましくは、トリアゾール、テトラゾ
ールであり、最も好ましくはテトラゾールである。ゼラ
チン中の反応性基と共有結合を形成しうる化合物とは具
体的には、ゼラチン又はゼラチン誘導体中に含まれる反
応性基(例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、メルカプト基などが挙げられる)と共有結合を
形成し得る基を有する化合物であり、該共有結合を形成
し得る基には、前記反応性基と直接反応する基のみなら
ず、縮合剤を用いて活性化した後に反応する基も含まれ
る。このような共有結合を形成し得る基の具体例につい
ては後述する。
【0105】本発明の修飾ゼラチンでは、ゼラチン中に
おける、ゼラチン中の反応性基と共有結合を形成しうる
化合物の導入量がゼラチン100g当たり1.0×10
−6モル以上2.0×10−3モル以下であり、好まし
くは1.0×10−6モル以上1.5×10−3モル以
下であり、より好ましくは1.0×10−6モル以上
1.0×10−3モル以下である。上記化合物の導入量
を上記範囲に限定することにより、ハロゲン化銀写真感
光材料の感度を低下せずに、かぶり濃度の上昇を抑制す
ることができ、さらに乳剤の溶解経時後のハロゲン化銀
粒子の凝集抑制効果を発揮することにより、塗設におけ
る写真性能の悪化が改良され、製造適性に優れたハロゲ
ン化銀乳剤を調製することが可能になる。
【0106】本発明の修飾ゼラチンは好ましくは、上記
した一般式(I)で表される。以下、一般式(I)につ
いて詳しく説明する。
【0107】一般式(I)において、Gelはゼラチンを
表す。ゼラチンの種類は本明細書中上記した通りであ
る。ゼラチンは、ゼラチン中の化学反応性基が残存して
いれば、ゼラチンが一般式(I)の修飾基以外の他の官
能基で修飾されていてもよい。例えばビス−(ビニルス
ルホニル)化合物またはカルボキシル基を活性化し、ゼ
ラチンを架橋し得る化合物を用いて製造された水可溶性
鎖延長ゼラチン、フタル化ゼラチン、コハク化ゼラチ
ン、トリメリット化ゼラチン、ピロメリット化ゼラチ
ン、酵素処理低分子量ゼラチン(分子量2000〜10万)等
が挙げられ、これらを2種類以上混合してもよい。
【0108】Lはゼラチン中に存在する反応性基のう
ち、−C(=O)O−、−NH−、−N=、−N<、−
O−、−S−、−NH−C(=NH )NH−又は−
NH−C(=NH)NH−から選ばれる基を表し、具体
的にはゼラチン分子中に含まれる化学反応性基として、
リジン、ヒドロキシリジンまたはオルニチン残基の側鎖
のアミノ基、グルタミン酸やアスパラギン酸残基の側鎖
のカルボキシル基、セリン、スレオニン、ヒドロキシリ
ジンまたはヒドロキシプロリン残基側鎖のヒドロキシル
基、システイン残基側鎖のメルカプト基、チロシン残基
側鎖のフェノール性水酸基、ヒスチジン残基側鎖のイミ
ダゾール基、アルギニン残基側鎖のグアニジル基、ポリ
ペプチドの末端にあるアミノ酸のアミノ基、カルボキシ
ル基等に由来するものが挙げられる。Lとして好まし
くは−NH−、−N=、−O−であり、より好ましくは
−NH−、−N=であり、最も好ましくは−NH−であ
る。
【0109】Lは2価または3価の連結基を表し、好
ましくは炭素数1〜20の2価の連結基を表す。L
−N=である場合、Lは3価の連結基であり、L
の連結部分が例えば=CH−となる。
【0110】Lが表す2価の連結基の具体例として
は、炭素数1〜20のアルキレン基(例えばメチレン、
エチレン、プロピレン、ブチレン、キシリレンなど)、
炭素数6〜20のアリーレン基(例えばフェニレン、ナ
フチレンなど)、カルボニル基、スルホン基、スルホキ
シド基、エーテル基、エステル基、またはアミド基を単
独あるいは2つ以上を組み合わせて得られる基が挙げら
れる。
【0111】Lとして好ましくは炭素数1〜12のア
ルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、カルボニ
ル基、スルホン基、スルホキシド基、エーテル基、エス
テル基、またはアミド基を単独あるいは2つ以上を組み
合わせて得られる基であり、具体例を以下に示す。
【0112】
【化16】
【0113】
【化17】
【0114】これらは、Lに対して左右いずれの向き
で結合してもよいが、左側がLと結合するのが好まし
い。
【0115】Lは可能な場合には更に置換基を有して
いてもよく、置換基としては例えばアルキル基(好まし
くは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、
特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エ
チル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オク
チル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられ
る。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、よ
り好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2
〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3
−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
2、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパ
ルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリー
ル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素
数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例
えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙
げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは
炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に
好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチル
アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジル
アミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましく
は炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特
に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エ
トキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキ
シ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素
数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例
えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げら
れる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より
好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜
12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、
ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニ
ル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素
数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例
えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙
げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましく
は炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特
に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオ
キシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基
(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2
〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば
アセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ま
しくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10
であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなど
が挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好
ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜1
6、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメト
キシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリール
オキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜2
0、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭
素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニル
アミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好
ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタ
ンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが
挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数
0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好まし
くは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メ
チルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニ
ルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル
基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数
1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例え
ばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバ
モイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ま
しくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12
であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられ
る。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、
より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数
6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられ
る。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、よ
り好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1
〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられ
る。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、
より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数
1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼン
スルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ま
しくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜1
6、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレ
イド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げら
れる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜2
0、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭
素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フ
ェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ
基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ
基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、ス
ルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好
ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であ
り、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、
硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、
キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオ
キサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルな
どが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3
〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましく
は、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリ
ル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げ
られる。これらの置換基は更に置換されてもよい。ま
た、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なっても
よい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成し
てもよい。nは1あるいは2の整数を表し、好ましくは
1である。
【0116】Zは、含窒素芳香族ヘテロ環基を表し、具
体的には単環または縮環の含窒素芳香族ヘテロ環を表
し、好ましくは5ないし7員の含窒素芳香族ヘテロ環で
あり、より好ましくは5ないし6員の含窒素芳香族ヘテ
ロ環であり、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリ
アゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、
セレナゾール、ベンズトリアゾール、ベンズチアゾー
ル、ベンズオキサゾール、ベンズセレナゾール、チアジ
アゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフ
トオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピ
リジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジ
ン、トリアザインデン、テトラザインデン等があげら
れ、更に好ましくは、5員の含窒素芳香族ヘテロ環であ
り、具体的にはイミダゾール、ピラゾール、トリアゾー
ル、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズ
トリアゾール、ベンズチアゾール、ベンズオキサゾー
ル、チアジアゾール、オキサジアゾールが好ましく、特
に好ましくは、トリアゾール、テトラゾールであり、最
も好ましくはテトラゾールである。
【0117】Zで表される含窒素芳香族ヘテロ環は可能
な場合には更に置換基を有してもよく、置換基としては
一般式(I)のLの置換基として挙げたものが適用で
きる。
【0118】一般式(I)中における、−L−Z−S
Hで表される修飾基の導入量は乾燥したゼラチン100
gに対して1.0×10−6モル以上2.0×10−3
モル以下であり、好ましくは1.0×10−6モル以上
1.5×10−3モル以下であり、より好ましくは1.
0×10−6モル以上1.0×10−3モル以下であ
る。この範囲とすることにより、ハロゲン化銀写真感光
材料の感度を低下せずに、かぶり濃度の上昇を抑制する
ことができ、さらに乳剤の溶解経時後のハロゲン化銀粒
子の凝集抑制効果を発揮することにより、塗設における
写真性能の悪化が改良され、製造適性に優れたハロゲン
化銀乳剤を調製することが可能になる。
【0119】一般式(I)で表される修飾ゼラチンの中
でも、下記の一般式(II)で表される修飾ゼラチンはよ
り好ましい。
【0120】
【化18】
【0121】一般式(II)において、Gel、Lおよび
nはそれぞれ一般式(I)におけるそれらと同義であ
り、また、好ましい範囲も同様である。
【0122】一般式(II)において、L2Bは2価また
は3価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜14の2
価の連結基を表わす。具体的には炭素数1〜14のアル
キレン基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン、ブ
チレン、キシリレンなど)、炭素数6〜14のアリーレ
ン基(例えばフェニレン、ナフチレンなど)、カルボニ
ル基、スルホン基、スルホキシド基、エーテル基、エス
テル基、またはアミド基を単独あるいは2つ以上を組み
合わせて得られる基である。L2Bとして好ましくは炭
素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリー
レン基、カルボニル基、スルホン基、スルホキシド基、
エーテル基、エステル基、またはアミド基を単独あるい
は2つ以上を組み合わせて得られる基である。具体的に
は、先のLで例示した基が挙げられる。
【0123】R、R、RおよびRはそれぞれ独
立に水素原子あるいは置換基を表し、置換基としては一
般式(I)におけるLの置換基として挙げたものが適
用できる。
【0124】R、R、RおよびRとして好まし
くはアルキル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アシル基、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、カルボキシル
基、ニトロ基、水素原子であり、より好ましくはアルキ
ル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、水素原子であり、
更に好ましくは水素原子である。
【0125】一般式(II)において、括弧内に表される
修飾基の導入量は乾燥ゼラチン100gに対して1.0
×10−6モル以上2.0×10−3モル以下であり、
好ましくは1.0×10−6モル以上1.5×10−3
モル以下であり、より好ましくは1.0×10−6以上
1.0×10−3モル以下である。この範囲とすること
により、ハロゲン化銀写真感光材料の感度を低下せず
に、かぶり濃度の上昇を抑制することができ、さらに乳
剤の溶解経時後のハロゲン化銀粒子の凝集抑制効果を発
揮することにより、塗設における写真性能の悪化が改良
され、製造適性に優れたハロゲン化銀乳剤を調製するこ
とが可能になる。
【0126】次に、本発明の修飾ゼラチン(好ましく
は、一般式(I)又は(II)で表される修飾ゼラチン)
の一般的合成法の一例を示すが、これらに限定されるも
のではない。
【0127】<本発明の修飾ゼラチンの一般的合成法>
本発明の修飾ゼラチンは、ゼラチンあるいはゼラチン誘
導体中に含まれる反応性基(例えば、アミノ基、カルボ
キシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基などが挙げら
れる。)と、それらと共有結合を形成する基を有する化
合物を水、あるいは水を含む有機溶媒中で反応させるこ
とによって合成することができる。
【0128】反応温度としては、30〜80℃が好まし
く、より好ましくは30〜70℃であり、更に好ましく
は40〜70℃であり、特に好ましくは45〜65℃で
ある。
【0129】反応pH値としては5.0〜11.0が好
ましく、より好ましく5.0〜10.0であり、更に好
ましくは6.0〜9.0であり、特に好ましくは、6.
5〜8.5である。
【0130】反応溶媒としては、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、アセトン
などに水を混合したもの、または水が好ましい。
【0131】反応溶媒中のゼラチン固形分濃度として
は、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは
0.5〜30質量%であり、更に好ましくは3〜30質
量%であり、特に好ましくは、5〜30質量%である。
【0132】ゼラチン中に含まれる反応性基と共有結合
を形成することができる基としては、特開昭51−11
7619号、T. H. James「THE THEORY OF THE PHO
TOGRAPHIC PROCESS 第4版」マクミラン出版、ニュー
ヨーク、2章III節(1977年)、A. G. Ward、A. Co
urts、「The Science and Technology of Gelatin」第
7章Academic Press(1977年)の記載を参考にする
ことができる。
【0133】ゼラチン中に含まれる反応性基と共有結合
を形成することができる基として、具体的にはアルデヒ
ド基、アセタール基、エポキシ基、イソシアネート基、
活性ハロゲン基(例えばハロゲノメチレンカルボニル
基、ハロゲノメチレンカルボニルオキシ基、ハロゲノメ
チレンカルボンアミド基、ハロゲノメチレンスルホニル
基、ハロゲノメチレンスルホンアミド基、ジハロゲノ−
S−トリアジン基などがある。)、活性エステル(例え
ば下記)、
【化19】
【0134】エチレンイミノ基、活性オレフィン基(例
えばビニルスルホニル基、ビニルスルホンアミド基、ビ
ニルカルボニル基、ビニルカルボンアミド基、ビニルカ
ルボニルオキシ基などがある。)、酸ハライド(例えば
カルボン酸クロリド、スルホン酸クロリドなどがあ
る。)、スルホン酸エステル、酸無水物(例えば、コハ
ク酸無水物、フタル酸無水物などがある。)、イソチオ
シアネート基、カルボン酸を縮合剤で活性化したもの、
スルホン酸を縮合剤で活性化したもの、リン酸を縮合剤
で活性化したもの等が挙げられる。
【0135】カルボン酸、スルホン酸およびリン酸等を
活性化する縮合剤としては、カルボジイミド(例えば
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、
N,N−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸
塩(WSC)、N−シクロへキシル−N’−[2−(N−メチ
ル−ピペリジニノエチル)カルボジイミド・メソ−p−
トルエンスルホン酸]等がある。)、カルボニルジイミ
ダゾール、スルホニルクロライド(例えばトリイソプロ
ピルベンゼンスルホニルクロライドなどがある。)、蟻
酸クロライド(例えば、クロロ蟻酸イソブチル、クロロ
蟻酸エチルなどがある。)、ホスホニルクロライド(例
えばベンゾトリアゾリル−1−イルオキシトリス(ジメ
チルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
(BOP試薬)などがある。)、ウロニウム塩(O−ベンゾ
トリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチ
ルウロニウムヘキサフルオロホスフェートなどがあ
る。)、カルバモイルアンモニウム塩(例えば4−(2
−スルホナトエチル)−1−モルホニルカルボニルピリ
ジニウムなどがある。)、カルベニウムクロライド塩
(例えばクロロビス(モルホリノ)カルベニウムクロラ
イドヘキサフルオロホスフェートなどがある。)などが
挙げられるが、カルボン酸、スルホン酸およびリン酸等
の酸とアミノ基あるいはヒドロキシル基を結合させ酸ア
ミド結合あるいはエステル結合を形成させる縮合剤であ
れば何でもよい。また、これらの縮合剤を用いて他の活
性エステルへ変換してもよい。
【0136】縮合剤として好ましくはカルボジイミドで
あり、より好ましくは水溶性のカルボジイミドであり、
更に好ましくはWSCである。
【0137】ゼラチン中に含まれる反応性基と共有結合
を形成することができる基として好ましいのは、エポキ
シ基、活性オレフィン基、活性エステル基、カルボン酸
を縮合剤で活性化したものであり、より好ましくはエポ
キシ基、ビニルスルホニル基、ビニルカルボニル基、ビ
ニルカルボンアミド基、ビニルカルボニルオキシ基、カ
ルボン酸をカルボジイミドを用いて活性化したものであ
り、更に好ましくはカルボン酸をカルボジイミドを用い
て活性化したものである。
【0138】以下にゼラチン中に含まれる反応性基と直
接反応し、一般式(I)又は(II)で表される修飾ゼラ
チンを形成する化合物、またはゼラチン中に含まれる反
応性基と、縮合剤を用いて活性化した後に反応し、一般
式(I)又は(II)で表される修飾ゼラチンを形成する
化合物の具体例を示すが、本発明で用いる化合物はこれ
に限定されるものではない。
【0139】
【化20】
【0140】
【化21】
【0141】
【化22】
【0142】本発明の修飾ゼラチンはハロゲン化銀写真
感光材料の親水性コロイド層(例えばハロゲン化銀乳剤
層および非感光性親水性コロイド層)の少なくとも1層
に含有して使用することができる。本発明の修飾ゼラチ
ンを含有する層は好ましくは、ハロゲン化銀乳剤層およ
びその隣接親水性コロイド層の少なくとも1層であり、
特に好ましい層はハロゲン化銀乳剤層である。さらに本
発明の修飾ゼラチンの添加時期はハロゲン化銀乳剤の調
製時であることがより好ましく、粒子形成過程、化学熟
成過程、化学熟成終了後の何れであってもよい。粒子形
成過程で添加することが最も好ましい。本発明の修飾ゼ
ラチンは水または親水性有機溶媒(例えばメタノール、
N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解して添加され
る。
【0143】本発明の修飾ゼラチンを用いるハロゲン化
銀写真感光材料は適切には、光、レーザーまたはX線照
射に感光性のある材料であり、白黒リバーサルフィル
ム、白黒ネガフィルム、カラーネガフィルム、カラーリ
バーサルフィルム、感光性写真成分がデジタルスキャン
されたフィルム、白黒反転紙、白黒紙、カラー紙、反転
カラー紙、感光性写真成分がデジタルデータベースから
のレーザー照射により感光された紙から選択される。ハ
ロゲン化銀写真感光材料としてはカラーネガフィルムが
好ましく、その実施態様としては例えば特開平11−3
05396号などを挙げることができる。
【0144】以下に、本発明の修飾ゼラチンを含有する
ハロゲン化銀乳剤(以下、「本発明の乳剤」ともいう)
について更に詳細に説明する。
【0145】本発明で用いるハロゲン化銀粒子乳剤の形
状は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶
を有しているもの、球状、板状のような変則的な結晶を
有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、ある
いはそれらの複合形である。特に平板状粒子であること
がより好ましい。
【0146】本発明におけるハロゲン化銀乳剤は、臭化
銀、塩化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭
化銀、等が好ましい。
【0147】本発明の乳剤は、上記修飾ゼラチンを含有
するものであり、さらに含有する全ハロゲン化銀粒子の
投影面積の50%以上を占めるハロゲン化銀粒子の態様
により以下に述べるように分類することができる。
【0148】まず本発明に関する第1の乳剤であるハロ
ゲン化銀粒子が平行な主平面が(111)面である塩化
銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀または塩沃臭化銀
よりなる平板状ハロゲン化銀粒子について説明する。
【0149】この平板状ハロゲン化銀粒子は対向する
(111)主平面と該主平面を連結する側面からなり、
沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀より成る。塩化銀を含んで
もよいが、塩化銀含率は10モル%未満、好ましくは8
モル%以下、より好ましくは3モル%以下、もしくは0
モル%である。沃化銀含有率については、好ましくは4
0モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
沃化銀含有率および臭化銀含有率は、それぞれ0.5モ
ル%以上が好ましい。
【0150】沃化銀含有率に拘わらず、粒子間の沃化銀
含量の分布の変動係数は20%以下が好ましく、特に1
0%以下が好ましい。沃化銀分布について粒子内で構造
を有していることが好ましい。この場合、沃化銀分布の
構造は2重構造、3重構造、4重構造さらにはそれ以上
の構造があり得る。また、粒子内部で沃化銀含有量が連
続的に変化していてもよい。
【0151】全投影面積の50%以上がアスペクト比2
以上の粒子で占められる。ここで平板粒子の投影面積な
らびにアスペクト比は参照用のラテックス球とともにシ
ャドーをかけたカーボンレプリカ法による電子顕微鏡写
真から測定することができる。平板粒子は上から見た時
に、通常6角形、3角形もしくは円形状の形態をしてい
るが、該投影面積と等しい面積の円の直径を厚みで割っ
た値がアスペクト比である。平板粒子の形状は6角形の
比率が高い程好ましく、また、6角形の各隣接する辺の
長さの比は1:2以下であることが好ましい。
【0152】平板粒子は、円相当径で0.1μm以上2
0.0μm以下が好ましく、0.2μm以上10.0μ
m以下がさらに好ましい。円相当径とは、ハロゲン化銀
粒子の投影面積と等しい面積の円の直径である。粒子の
投影面積は電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍
率を補正することにより得られる。また、平板粒子の厚
みは、0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは
0.02μm以上0.4μm以下が好ましい。平板粒子
の厚みとは二つの主平面の間隔である。球相当径では
0.1μm以上5.0μm以下が好ましく、0.2μm
以上3μm以下がさらに好ましい。球相当径とは、個々
の粒子の体積と等しい体積を有する球の直径である。ま
た、個々の粒子のアスペクト比は、1以上100以下が
好ましく、2以上50以下がさらに好ましい。アスペク
ト比とは粒子の投影面積径をその粒子の厚みで割った値
である。
【0153】本発明に関する第1、および後述の第2の
乳剤が含有するハロゲン化銀粒子は単分散性であること
が好ましい。本発明に関する第1および第2の乳剤が含
有する全ハロゲン化銀粒子の球相当径の変動係数は30
%以下、好ましくは25%以下である。また、平板状粒
子の場合は投影面積径の変動係数も重要であり、本発明
の全ハロゲン化銀粒子の投影面積径の変動係数は30%
以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下
であり、更に好ましくは20%以下である。また、平板
状粒子の厚みの変動係数は、30%以下が好ましく、よ
り好ましくは25%以下であり、更に好ましくは20%
以下である。変動係数とは個々のハロゲン化銀粒子の投
影面積径の分布の標準偏差を平均投影面積径で割った
値、もしくは、個々のハロゲン化銀平板状粒子の厚みの
分布の標準偏差を平均厚みで割った値である。
【0154】本発明に関する第1および第2の乳剤が含
有する平板粒子の双晶面間隔は米国特許第5,219,
720号に記載のように0.012μm以下にしたり、
特開平5−249585号に記載のように(111)主
平面間距離/双晶面間隔を15以上にしてもよく、目的
に応じて選んでよい。
【0155】アスペクト比が高い程、著しい効果が得ら
れるので、平板粒子乳剤は全投影面積の50%以上が好
ましくはアスペクト比5以上の粒子で占められることが
好ましい。さらに好ましくはアスペクト比8以上であ
る。アスペクト比があまり大きくなりすぎると、前述し
た粒子サイズ分布の変動係数が大きくなる方向になるた
めに、通常アスペクト比は100以下が好ましい。
【0156】平板粒子の転位線は、例えばJ.F.Ha
milton,Phot.Sci.Eng.,11、5
7、(1967)やT.Shiozawa,J.So
c.Phot.Sci.Japan,35、213、
(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用
いた直接的な方法により観察することができる。すなわ
ち乳剤から粒子に転位線が発生するほどの圧力をかけな
いよう注意して取り出したハロゲン化銀粒子を電子顕微
鏡観察用のメッシュにのせ、電子線による損傷(プリン
トアウト等)を防ぐように試料を冷却した状態で透過法
により観察を行う。この時粒子の厚みが厚い程、電子線
が透過しにくくなるので高圧型(0.25μmの厚さの
粒子に対して200kV以上)の電子顕微鏡を用いた方
がより鮮明に観察することができる。このような方法に
より得られた粒子の写真より、主平面に対して垂直方向
から見た場合の各粒子についての転位線の位置および数
を求めることができる。
【0157】転位線の数は、好ましくは1粒子当り平均
10本以上である。より好ましくは1粒子当り平均20
本以上である。転位線が密集して存在する場合、または
転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒子当
りの転位線の数は明確には数えることができない場合が
ある。しかしながら、これらの場合においても、おおよ
そ10本、20本、30本という程度には数えることが
可能であり、明らかに、数本しか存在しない場合とは区
別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数については
100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均と
して求める。
【0158】転位線は、例えば平板粒子の側面近傍に導
入することができる。この場合転位は側面にほぼ垂直で
あり、平板状粒子の中心から辺(側面)までの距離の長
さのx%の位置から始まり側面に至るように転位線が発
生している。このxの値は好ましくは10以上100未
満であり、より好ましくは30以上99未満であり、最
も好ましくは50以上98未満である。この時、この転
位線の開始する位置を結んでつくられる形状は粒子形と
相似に近いが、完全な相似形ではなく、ゆがむことがあ
る。この型の転位数は粒子の中心領域には見られない。
転位線の方向は結晶学的におおよそ(211)方向であ
るがしばしば蛇行しており、また互いに交わっているこ
ともある。
【0159】また平板粒子の側面近傍の全域に渡ってほ
ぼ均一に転位線を有していても、側面近傍の局所的な位
置に転位線を有していてもよい。すなわち六角形平板ハ
ロゲン化銀粒子を例にとると、6つの頂点の近傍のみに
転位線が限定されていてもよいし、そのうちの1つの頂
点近傍のみに転位線が限定されていてもよい。逆に6つ
の頂点近傍を除く辺のみに転位線が限定されていること
も可能である。
【0160】また平板粒子の平行な2つの主平面の中心
を含む領域に渡って転位線が形成されていてもよい。主
平面の全域に渡って転位線が形成されている場合には転
位線の方向は主平面に垂直な方向から見ると結晶学的に
おおよそ(211)方向の場合もあるが(110)方向
またはランダムに形成されている場合もあり、さらに各
転位線の長さもランダムであり、主平面上に短い線とし
て観察される場合と、長い線として辺(外周)まで到達
して観察される場合がある。転位線は直線のこともあれ
ば蛇行していることも多い。また、多くの場合互いに交
わっている。
【0161】転位線の位置は以上のように側面近傍また
は主平面上または局所的な位置に限定されていてもよい
し、これらが組み合わされて、形成されていてもよい。
すなわち、側面近傍と主平面上に同時に存在していても
よい。
【0162】この平板粒子乳剤の粒子表面の沃化銀含有
量は、好ましくは10モル%以下で、特に好ましくは5
モル%以下である。本発明の粒子表面の沃化銀含有量は
XPS(X−ray Photoelectron S
pectroscopy)を用いて測定される。ハロゲ
ン化銀粒子表面付近の沃化銀含量の分析に使用されるX
PS法の原理に関しては、相原らの、「電子の分光」
(共立ライブラリ−16、共立出版発行,昭和53年)
を参考にすることができる。XPSの標準的な測定法
は、励起X線としてMg−Kαを使用し、適当な試料形
態としたハロゲン化銀から放出される沃素(I)と銀
(Ag)の光電子(通常はI−3d5/2、Ag−3d
5/2)の強度を観測する方法である。沃素の含量を求
めるには、沃素の含量が既知である数種類の標準試料を
用いて沃素(I)と銀(Ag)の光電子の強度比(強度
(I)/強度(Ag))の検量線を作成し、この検量線
からもとめることができる。ハロゲン化銀乳剤ではハロ
ゲン化銀粒子表面に吸着したゼラチンを蛋白質分解酵素
などで分解、除去した後にXPSの測定をおこなわなけ
ればならない。粒子表面の沃化銀含有量が10モル%以
下の平板粒子乳剤とは、1つの乳剤に含まれる乳剤粒子
を、XPSで分析したときに沃化銀含量が10モル%以
下であるものをさす。この場合、明瞭に2種以上の乳剤
が混合されているときには、遠心分離法、濾別法など適
当な前処理を施した上で同一種類の乳剤につき分析を行
なう必要がある。
【0163】本発明の平板粒子乳剤の構造は例えば臭化
銀/沃臭化銀/臭化銀からなる3重構造粒子ならびにそ
れ以上の高次構造も好ましい。構造間の沃化銀含有率の
境界は明確なものであっても、連続的になだらかに変化
しているものであっても、いずれでもよい。通常、粉末
X線回折法を用いた沃化銀含有量の測定では沃化銀含有
量の異なる明確な2山を示す様なことはなく、高沃化銀
含有率の方向にすそをひいたようなX線回折プロフィー
ルを示す。表面よりも内側の層の沃化銀含有率が高いこ
とが好ましく、表面よりも内側の層の沃化銀含有率は好
ましくは5モル%以上高く、より好ましくは7モル%以
上高い。
【0164】次に、本発明に関する第2の乳剤である平
行な主平面が(111)面であり、最小の長さを有する
辺の長さに対する最大の長さを有する辺の長さの比が2
以下である六角形ハロゲン化銀粒子の頂点部、および/
または側面部、および/または主平面部に1粒子当り少
なくとも一個以上のエピタキシャル接合を有する粒子に
ついて説明する。エピタキシャル接合した粒子とは、ハ
ロゲン化銀粒子本体の他に該粒子と接合した結晶部(す
なわち、エピタキシャル部)を持つ粒子であり、接合し
た結晶部は通常ハロゲン化銀粒子本体から突出してい
る。接合した結晶部(エピタキシャル部)の粒子全銀量
に対する割合は2%以上30%以下が好ましく、5%以
上15%以下がより好ましい。エピタキシャル部は粒子
本体のどの部分に存在してもよいが、粒子主平面部、粒
子側面部、粒子頂点部が好ましい。エピタキシャルの個
数は、少なくとも一つ以上が好ましい。また、エピタキ
シャル部の組成は、AgCl、AgBrCl、AgBr
ClI、AgBrI、AgI、AgSCN等が好まし
い。エピタキシャル部が存在する場合、粒子内部には転
位線が存在してもよいが、存在しなくてもよい。
【0165】第2の乳剤においては、第1の乳剤と同
様、前記ハロゲン化銀粒子は塩化銀含有率10モル%未
満の沃臭化銀または塩沃臭化銀よりなる。
【0166】次に、本発明に関する、第1の乳剤および
第2の乳剤ハロゲン化銀粒子の調製方法について説明す
る。本発明の調製工程としては、(a)基盤粒子形成工
程と、それに引き続く粒子形成工程((b)工程)から
成る。基本的に(a)工程に引き続き(b)工程を行う
ことがより好ましいが、(a)工程のみでもよい。
(b)工程は、(b1)転位導入工程、(b2)頂点部
転位限定導入工程、または(b3)エピタキシャル接合
工程、のいずれでもよく、一つでもよければ、二つ以上
組み合わせてもよい。
【0167】まず、(a)基盤粒子形成工程について説
明する。基盤部は、粒子形成に使用した全銀量に対して
少なくとも50%以上が好ましく、さらに好ましくは6
0%以上である。また、基盤部の銀量に対するヨードの
平均含有率は0mol%以上30%mol以下が好まし
く、0mol%以上15mol%以下がさらに好まし
い。また、基盤部は必要に応じてコアシェル構造を取っ
てもよい。この際、基盤部のコア部は基盤部の全銀量に
対して50%以上70%以下であることが好ましく、コア
部の平均ヨード組成は0mol%以上30mol%以下
が好ましく、0mol%以上15mol%以下が更に好
ましい。シェル部のヨード組成は0mol%以上3mo
l%以下が好ましい。
【0168】ハロゲン化銀乳剤の調製方法としては、ハ
ロゲン化銀核を形成した後、更にハロゲン化銀粒子を成
長させて所望のサイズの粒子を得る方法が一般的であ
り、本発明も同様であることに変りはない。また、平板
状粒子の形成に関しては、少なくとも核形成、熟成、成
長の工程が含まれる。この工程は、米国特許第4,945,03
7号に詳細に記載されている。
【0169】1.核形成 平板粒子の核形成は、一般にはゼラチンの水溶液を保持
する反応容器に、銀塩水溶液とハロゲン化アルカリ水溶
液を添加して行われるダブルジェット法、あるいはハロ
ゲン化アルカリを含むゼラチン溶液に銀塩水溶液を添加
するシングルジェット法が用いられる。また、必要に応
じて銀塩を含むゼラチン溶液にハロゲン化アルカリ水溶
液を添加する方法も用いることができる。さらに、必要
に応じて特開昭2-44335号に開示されている混合器にゼ
ラチン溶液と銀塩溶液とハロゲン化アルカリ水溶液を添
加し、ただちにそれを反応容器に移すことによって平板
粒子の核形成を行うこともできる。また、米国特許第5,
104,786号に開示されているように、ハロゲン化アルカ
リと保護コロイド溶液を含む水溶液をパイプに通しそこ
に銀塩水溶液を添加することにより核形成を行うことも
できる。また、米国特許第6,022,681号記載の
塩素含有量が核形成に使用した銀量に対して10モル%
以上であるような核形成を用いてもよい。
【0170】核形成は、ゼラチンを分散媒とし、pBr
が1〜4の条件で分散媒形成することが好ましい。ゼラ
チンの種類としては、アルカリ処理ゼラチン、低分子量
ゼラチン(分子量:3000〜4万)、米国特許第4,
713,320号および同第4,942,120号に記
載の酸化処理ゼラチン、および低分子量の酸化処理ゼラ
チンを用いてもよい。特に低分子量の酸化処理ゼラチン
を用いることは好ましい。
【0171】分散媒の濃度は、10質量%以下が好まし
く、さらに1質量%以下がより好ましい。核形成時の温
度は、5〜60℃が好ましいが、平均粒径が0.5μm
以下の微粒子平板粒子を作る場合は5〜48℃がより好
ましい。分散媒のpHは、1以上10以下が好ましい
が、1.5以上9以下がさらに好ましい。
【0172】また、米国特許第5,147,771号,
同第5,147,772号、同第5,147,773
号、同第5,171,659号、同第5,210,01
3号、同第5,252,453号、および特許第3,0
89,578号に記載のポリアルキレンオキサイド化合
物を核形成工程、もしくは後の熟成工程、および成長工
程で添加することが可能である。
【0173】2.熟成 1.における核形成では、平板粒子以外の微粒子(特
に、八面体および一重双晶粒子)が形成される。次に述
べる成長過程に入る前に平板粒子以外の粒子を消滅せし
め、平板粒子となるべき形状でかつ単分散性のよい核を
得る必要がある。これを可能とするために、核形成に引
き続いてオストワルド熟成を行うことがよく知られてい
る。
【0174】核形成後直ちにpBrを調節した後、温度
を上昇させ六角平板粒子比率が最高となるまで熟成を行
う。この時に、ゼラチン溶液を追添加してもよい。その
際の分散媒溶液に対するゼラチンの濃度は、10質量%
以下であることが好ましい。この時使用する追添加ゼラ
チンは、アルカリ処理ゼラチン、アミノ基が95%以上
修飾されたコハク化ゼラチンやトリメリット化ゼラチン
のような特開平11−143002号記載のアミノ基修
飾ゼラチン、特開平11−143003号記載のイミダ
ゾール基修飾ゼラチン、および酸化処理ゼラチンを用い
る。特に、コハク化ゼラチンやトリメリット化ゼラチン
を用いることが好ましい。熟成の温度は、好ましくは4
0〜80℃、より好ましくは50〜80℃であり、pB
rは1.2〜3.0である。また、pHは1.5以上9
以下が好ましい。
【0175】また、この時平板粒子以外の粒子を速やか
に消失せしめるために、ハロゲン化銀溶剤を添加しても
よい。この場合のハロゲン化銀溶剤の濃度としては、0.
3mol/リットル(以下、「L」とも表記する。)以下が
好ましく、0.2mol/L以下がより好ましい。直接反転用
乳剤として用いる場合は、ハロゲン化銀溶剤として、ア
ルカリ性側で用いられるNHより、中性、酸性側で用
いられるチオエーテル化合物等のハロゲン化銀溶剤の方
が好ましい。このように熟成して、ほぼ100%平板状
粒子のみとする。
【0176】熟成が終わった後、次の成長過程でハロゲ
ン化銀溶剤が不要の場合は次のようにしてハロゲン化銀
溶剤を除去する。 (i) NHのようなアルカリ性ハロゲン化銀溶剤の場
合は、HNO3のようなAg+との溶解度積の大きな酸を
加えて無効化する。 (ii) チオエーテル系ハロゲン化銀溶剤の場合は、特開
昭60-136736号に記載のごとくH等の酸化剤を添
加して無効化する。
【0177】3.成長 熟成過程に続く結晶成長期のpBrは1.4〜3.5に
保つことが好ましい。成長過程に入る前の分散媒溶液中
のゼラチン濃度が低い場合(1質量%以下)に、ゼラチ
ンを追添加する場合がある。その際、分散媒溶液中のゼ
ラチン濃度は、1〜10質量%にすることが好ましい。
この時使用するゼラチンは、アルカリ処理ゼラチン、ア
ミノ基が95%以上修飾されたコハク化ゼラチンやトリ
メリット化ゼラチン、および酸化処理ゼラチンを用い
る。特に、コハク化ゼラチンやトリメリット化ゼラチン
を用いることが好ましい。
【0178】成長中のpHは、好ましくは2以上10以
下、より好ましくは4以上8以下である。ただし、コハ
ク化ゼラチンおよびトリメリット化ゼラチン存在時には
5以上8以下が好ましい。結晶成長期におけるAg+
およびハロゲンイオンの添加速度は、結晶臨界成長速度
の20〜100%、好ましくは30〜100%の結晶成
長速度になるようにする事が好ましい。この場合、結晶
成長とともに銀イオンおよびハロゲンイオンの添加速度
を増加させていくが、その場合、特公昭48-36890号、同
52-16364号記載のように、銀塩およびハロゲン塩水溶液
の添加速度を上昇させてもよく、水溶液の濃度を増加さ
せてもよい。銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液を同時に添
加するダブルジェット法で行ってもよいが、米国特許第
4,672,027号および同第4,693,964号
に記載の硝酸銀水溶液と臭化物を含むハロゲン水溶液と
沃化銀微粒子乳剤を同時に添加することが好ましい。こ
の際、成長の温度は、50℃以上90℃以下が好まし
く、60℃以上85℃以下が更に好ましい。また、添加
するAgI微粒子乳剤は、あらかじめ調製したものでも
よく、連続的に調製しながら添加してもよい。この際の
調製方法は特開平10−43570号を参考にできる。
【0179】添加するAgI乳剤の平均粒子サイズは0.
005μm以上0.1μm以下、好ましくは0.007
μm以上0.08μm以下である。基盤粒子のヨード組
成は、添加するAgI乳剤の量により変化させることが
できる。
【0180】さらに、銀塩水溶液とハロゲン塩水溶液の
添加の代わりに、沃臭化銀微粒子を添加することは好ま
しい。この際、微粒子のヨード量を所望する基盤粒子の
ヨード量と等しくすることで、所望のヨード組成の基盤
粒子が得られる。沃臭化銀微粒子はあらかじめ調製した
ものでもよいが、連続的に調製しながら添加する方が好
ましい。添加する沃臭化銀微粒子サイズは、0.005
μm以上0.1μm以下、好ましくは0.01μm以上
0.08μm以下である。成長時の温度は50℃以上9
0℃以下、好ましくは60℃以上85℃以下である。
【0181】次に、(b)工程について説明する。ま
ず、(b1)工程について説明する。(b1)工程は第
1シェル工程と第2シェル工程から成る。上述した基盤
に第1シェルを設ける。第1シェルの比率は好ましくは
全銀量に対して1モル%以上30モル%以下であって、
その平均沃化銀含有率20モル%以上100モル%以下
である。より好ましくは第1シェルの比率は全銀量に対
して1モル%以上20モル%以下であって、その平均沃
化銀含有率25モル%以上100モル%以下である。基
盤への第1シェルの成長は基本的には硝酸銀水溶液と沃
化物と臭化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法
で添加する。もしくは硝酸銀水溶液と沃化物を含むハロ
ゲン水溶液をダブルジェット法で添加する。もしくは沃
化物を含むハロゲン水溶液をシングルジェット法で添加
する。
【0182】以上のいずれの方法でも、それらの組み合
わせでもよい。第1シェルの平均沃化銀含有率から明ら
かなように、第1シェル形成時には沃臭化銀混晶の他に
沃化銀が析出し得る。いずれの場合でも通常は、次の第
2シェルの形成時に、沃化銀は消失し、すべて沃臭化銀
混晶に変化する。
【0183】第1シェルの形成の好ましい方法として沃
臭化銀もしくは沃化銀微粒子乳剤を添加して熟成し溶解
する方法がある。さらに、好ましい方法として沃化銀微
粒子乳剤を添加して、その後硝酸銀水溶液の添加もしく
は硝酸銀水溶液とハロゲン水溶液を添加する方法があ
る。この場合、沃化銀微粒子乳剤の溶解は、硝酸銀水溶
液の添加により促進されるが、添加した沃化銀微粒子乳
剤の銀量を用いて第1シェルとし、沃化銀含有率100
モル%とする。そして添加した硝酸銀水溶液の銀量を用
いて第2シェルとして計算する。沃化銀微粒子乳剤は急
激に添加されることが好ましい。
【0184】沃化銀微粒子乳剤を急激に添加するとは、
好ましくは10分以内に沃化銀微粒子乳剤を添加するこ
とをいう。より好ましくは7分以内に添加することをい
う。この条件は添加する系の温度、pBr、pH、ゼラ
チン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロゲン化銀溶
剤の有無、種類、濃度等により変化しうるが、上述した
ように短い方が好ましい。添加する時には実質的に硝酸
銀等の銀塩水溶液の添加は行なわれない方が好ましい。
添加時の系の温度は40℃以上90℃以下が好ましく、
50℃以上80℃以下が特に好ましい。
【0185】沃化銀微粒子乳剤は実質的に沃化銀であれ
ばよく、混晶となり得る限りにおいて臭化銀および/ま
たは塩化銀を含有していてもよい。好ましくは100%
沃化銀である。沃化銀はその結晶構造においてβ体、γ
体ならびに米国特許第4,672,026号に記載され
ているようにα体もしくはα体類似構造があり得る。本
発明においては、その結晶構造の制限は特にはないが、
β体とγ体の混合物がさらに好ましくはβ体が用いられ
る。沃化銀微粒子乳剤は米国特許第5,004,679
号等に記載の添加する直前に形成したものでもよいし、
通常の水洗工程を経たものでもいずれでもよいが、本発
明においては好ましくは通常の水洗工程を経たものが用
いられる。沃化銀微粒子乳剤は、米国特許第4,67
2,026号等に記載の方法で容易に形成できうる。粒
子形成時のpI値を一定にして粒子形成を行う、銀塩水
溶液と沃化物塩水溶液のダブルジェット添加法が好まし
い。ここでpIは系のI-イオン濃度の逆数の対数であ
る。温度、pI、pH、ゼラチン等の保護コロイド剤の
種類、濃度、ハロゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度等に
特に制限はないが、粒子のサイズは0.1μm以下、よ
り好ましくは0.07μm以下が本発明に都合がよい。
微粒子であるために粒子形状は完全には特定できないが
粒子サイズの分布の変動係数は25%以下が好ましい。
特に20%以下の場合には、本発明の効果が著しい。こ
こで沃化銀微粒子乳剤のサイズおよびサイズ分布は、沃
化銀微粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュにのせ、カー
ボンレプリカ法ではなく直接、透過法によって観察して
求める。これは粒子サイズが小さいために、カーボンレ
プリカ法による観察では測定誤差が大きくなるためであ
る。粒子サイズは観察された粒子と等しい投影面積を有
する円の直径と定義する。粒子サイズの分布について
も、この等しい投影面積円直径を用いて求める。本発明
において最も有効な沃化銀微粒子は粒子サイズが0.0
6μm以下0.02μm以上であり、粒子サイズ分布の
変動係数が18%以下である。
【0186】沃化銀微粒子乳剤は上述の粒子形成後、好
ましくは米国特許第2,614,929号等に記載の通
常の水洗およびpH、pI、ゼラチン等の保護コロイド
剤の濃度調整ならびに含有沃化銀の濃度調整が行われ
る。pHは5以上7以下が好ましい。pI値は沃化銀の
溶解度が最低になるpI値もしくはその値よりも高いp
I値に設定することが好ましい。保護コロイド剤として
は、平均分子量10万程度の通常のゼラチンが好ましく
用いられる。平均分子量2万以下の低分子量ゼラチンも
好ましく用いられる。また上記の分子量の異なるゼラチ
ンを混合して用いると都合がよい場合がある。乳剤1k
gあたりのゼラチン量は好ましくは10g以上100g
以下である。より好ましくは20g以上80g以下であ
る。乳剤1kgあたりの銀原子換算の銀量は好ましくは
10g以上100g以下である。より好ましくは20g
以上80g以下である。ゼラチン量および/または銀量
は沃化銀微粒子乳剤を急激に添加するのに適した値を選
択することが好ましい。
【0187】沃化銀微粒子乳剤は、通常あらかじめ溶解
して添加するが、添加時には系の撹拌効率を十分に高め
る必要がある。好ましくは撹拌回転数は、通常よりも高
めに設定される。撹拌時の泡の発生を防じるために消泡
剤の添加は効果的である。具体的には、米国特許第5,
275,929号の実施例等に記述されている消泡剤が
用いられる。
【0188】第1シェル形成のさらに好ましい方法とし
て、従来の沃化物イオン供給法(フリーな沃化物イオン
を添加する方法)のかわりに米国特許第5、496、6
94号に記載の沃化物イオン放出剤を用いて、沃化物イ
オンを急激に生成せしめながら沃化銀を含むハロゲン化
銀相を形成することができる。
【0189】沃化物イオン放出剤は沃化物イオン放出調
節剤(塩基および/または求核試薬)との反応により沃
化物イオンを放出するが、この際に用いる求核試薬とし
ては好ましくは以下の化学種が挙げられる。例えば、水
酸化物イオン、亜硫酸イオン、ヒドロキシルアミン、チ
オ硫酸イオン、メタ重亜硫酸イオン、ヒドロキサム酸
類、オキシム類、ジヒドロキシベンゼン類、メルカプタ
ン類、スルフィン酸塩、カルボン酸塩、アンモニア、ア
ミン類、アルコール類、尿素類、チオ尿素類、フェノー
ル類、ヒドラジン類、ヒドラジド類、セミカルバジド
類、ホスフィン類、スルフィド類が挙げられる。
【0190】塩基や求核試薬の濃度、添加方法、また反
応液の温度をコントロールすることにより沃化物イオン
の放出速度、タイミングをコントロールすることができ
る。塩基として好ましくは水酸化アルカリが挙げられ
る。
【0191】沃化物イオンを急激に生成せしめるのに用
いる沃化物イオン放出剤及び沃化物イオン放出調節剤の
好ましい濃度範囲は1×10−7〜20Mであり、より
好ましくは1×10−5〜10M、さらに好ましくは1
×10−4〜5M、特に好ましくは1×10−3〜2M
である。濃度が20Mを上回ると、分子量の大きい沃化
物イオン放出剤及び沃化物イオン放出剤の添加量が粒子
形成容器の容量に対して多くなり過ぎるため好ましくな
い。また、1×10−7Mを下回ると沃化物イオン放出
反応速度が遅くなり、沃化物イオン放出剤を急激に生成
せしめるのが困難になるため好ましくない。
【0192】好ましい温度範囲は30〜80℃であり、
より好ましくは35〜75℃、特に好ましくは35〜6
0℃である。温度が80℃を上回る高温では一般に沃化
物イオン放出反応速度が極めて速くなり、また30℃を
下回る低温では一般に沃化物イオン放出反応速度が極め
て遅くなるため、それぞれ使用条件が限られ好ましくな
い。
【0193】沃化物イオンの放出の際に塩基を用いる場
合、液pHの変化を用いてもよい。この時、沃化物イオ
ンの放出速度、タイミングをコントロールするのに好ま
しいpHの範囲は2〜12であり、より好ましくは3〜
11、特に好ましくは5〜10、最も好ましくは調節後
のpHが7.5〜10.0である。pH7の中性条件下
でも水のイオン積により定まる水酸化物イオンが調節剤
として作用する。
【0194】また、求核試薬と塩基を併用してもよく、
この時もpHを上記の範囲でコントロールし、沃化物イ
オンの放出速度、タイミングをコントロールしてもよ
い。沃化物イオン放出剤から沃素原子を沃化物イオンの
形で放出させる場合、全沃素原子を放出させてもよい
し、一部は分解せずに残っていてもよい。
【0195】上述した基盤および第1シェルを有する平
板粒子上に第2シェルを設ける。第2シェルの比率は好
ましくは全銀量に対して10モル%以上40モル%以下
であって、その平均沃化銀含有率が0モル%以上5モル
%以下である。より好ましくは第2シェルの比率は全銀
量に対して15モル%以上30モル%以下であって、そ
の平均沃化銀含有率が0モル%以上3モル%以下であ
る。基盤および第1シェルを有する平板粒子上への第2
シェルの成長は該平板粒子のアスペクト比を上げる方向
でも下げる方向でもよい。基本的には硝酸銀水溶液と臭
化物を含むハロゲン水溶液をダブルジェット法で添加す
ることにより第2シェルの成長は行なわれる。もしくは
臭化物を含むハロゲン水溶液を添加した後、硝酸銀水溶
液をシングルジェット法で添加してもよい。系の温度、
pH、ゼラチン等の保護コロイド剤の種類、濃度、ハロ
ゲン化銀溶剤の有無、種類、濃度等は広範に変化しう
る。pBrについては、本発明においては該層の形成終
了時のpBrが該層の形成初期時のpBrよりも高くな
ることが好ましい。好ましくは該層の形成初期のpBr
が2.9以下であり該層の形成終了時のpBrが1.7
以上である。さらに好ましくは該層の形成初期のpBr
が2.5以下であり該層の形成終了時のpBrが1.9
以上である。最も好ましくは該層の形成初期のpBrが
2.3以下1以上である。最も好ましくは該層の終了時
のpBrが2.1以上4.5以下である。
【0196】(b1)工程の部分には転位線が存在する
ことが好ましい。転位線は平板粒子の側面部近傍に存在
することが好ましい。側面部近傍とは、平板粒子の六辺
の側面部とその内側部分、すなわち(b1)工程で成長
させた部分のことである。側面部に存在する転位線は1
粒子当り平均10本以上が好ましい。より好ましくは1
粒子当り平均20本以上である。転位線が密集して存在
する場合、または転位線が互いに交わって観察される場
合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数えること
ができない場合がある。しかしながら、これらの場合に
おいても、おおよそ10本、20本、30本という程度
には数えることが可能であり、明らかに数本しか存在し
ない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当りの平
均数については100粒子以上について転位線の数を数
えて、数平均として求める。
【0197】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当
たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒
子の100ないし50%を占めることが好ましく、より
好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは10
0ないし90%を占める。50%を下回ると粒子間の均
質性の点で好ましくない。
【0198】本発明において転位線を含む粒子の割合及
び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子
について転位線を直接観察して求めることが好ましく、
より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300
粒子以上について観察して求める。
【0199】次に、(b2)工程について説明する。一
つ目の態様としては、頂点近傍のみを沃化物イオンによ
り溶解する方法、二つ目の態様としては、銀塩溶液と沃
化物塩溶液を同時に添加する方法、三つ目の態様として
は、ハロゲン化銀溶剤を用いて頂点近傍のみを実質的に
溶解する方法、四つ目の態様としてはハロゲン変換を介
する方法がある。
【0200】一つ目の態様である沃化物イオンにより溶
解する方法について説明する。基盤粒子に沃化物イオン
を添加することで基盤粒子の各頂点部近傍が溶解して丸
みを帯びる。続けて、硝酸銀溶液と臭化物溶液、また
は、硝酸銀溶液と臭化物溶液と沃化物溶液の混合液を同
時に添加すると粒子は更に成長して頂点近傍に転位が導
入される。この方法に関しては、特開平4−14954
1号、および特開平9−189974号を参考にでき
る。
【0201】本態様において添加される沃化物イオンの
総量は、該沃化物イオン総モル数を基盤粒子の総銀量モ
ル数で除した値に100を掛けた値をI2(モル%)と
した時、基盤粒子の沃化銀含有率I1(モル%)に対し
て、(I2−I1)が0以上8以下を満たすことが本発明
に従う効果的な溶解を得る上で好ましく、より好ましく
は0以上4以下である。
【0202】本態様において添加される沃化物イオンの
濃度は低い方が好ましく、具体的には0.2モル/L以
下の濃度であることが好ましく、更に好ましくは0.1
モル/L。また、沃化物イオン添加時のpAgは8.0
以上が好ましく、更に好ましくは8.5以上である。
【0203】基盤粒子への沃化物イオンの添加による該
基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添
加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸
銀溶液と臭化物溶液と沃化物溶液の混合液を同時に添加
して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
【0204】二つ目の態様である銀塩溶液と沃化物塩溶
液との同時添加による方法について説明する。基盤粒子
に対して銀塩溶液と沃化物塩溶液を急速に添加すること
で粒子の頂点部に沃化銀もしくは沃化銀含率の高いハロ
ゲン化銀をエピタキシャル生成させることができる。こ
の際、銀塩溶液と沃化物塩溶液の好ましい添加速度は
0.2分〜0.5分であり、更に好ましくは0.5分か
ら2分である。この方法に関しては、特開平4−149
541号に詳細に記載されているので、参考にすること
ができる。
【0205】基盤粒子への沃化物イオンの添加による該
基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添
加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸
銀溶液と臭化物溶液と沃化物溶液の混合液を同時に添加
して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
【0206】三つ目の態様であるハロゲン化銀溶剤を用
いる方法について説明する。基盤粒子を含む分散媒にハ
ロゲン化銀溶剤を加えた後、銀塩溶液と沃化物塩溶液を
同時添加すると、ハロゲン化銀溶剤により溶解した基盤
粒子の頂点部に沃化銀もしくは沃化銀含率の高いハロゲ
ン化銀が優先的に成長することになる。この際、銀塩溶
液および沃化物塩溶液は急速に添加する必要はない。こ
の方法に関しては、特開平4−149541号に詳細に
記載されているので、これを参考にできる。
【0207】基盤粒子への沃化物イオンの添加による該
基盤粒子の頂点部溶解に引き続き、硝酸銀溶液の単独添
加、または、硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸
銀溶液と臭化物溶液と沃化物溶液の混合液を同時に添加
して粒子を更に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
【0208】次に、四つ目の態様であるハロゲン変換を
介する方法について説明する。基盤粒子にエピタキシャ
ル成長部位指示剤(以下、サイトダイレクターと呼
ぶ)、例えば特開昭58−108526号記載の増感色
素や、水溶性沃化物を添加することで基盤粒子の頂点部
に塩化銀のエピタキシャルを形成した後沃化物イオンを
添加することで塩化銀を沃化銀もしくは沃化銀含率の高
いハロゲン化銀へハロゲン変換する方法である。サイト
ダイレクターは増感色素、水溶性チオシアン酸イオン、
および水溶性沃化物イオンが使用できるが、沃化物イオ
ンが好ましい。沃化物イオンは基盤粒子に対して0.0
005〜1モル%、好ましくは0.001〜0.5モル
%が好ましい。最適な量の沃化物イオンを添加した後、
銀塩溶液と塩化物塩溶液の同時添加すると塩化銀のエピ
タキシャルを基盤粒子の頂点部に形成できる。
【0209】塩化銀の沃化物イオンによるハロゲン変換
について説明する。溶解度の大きいハロゲン化銀は溶解
度のより小さいハロゲン化銀を形成し得るハロゲンイオ
ンを添加することにより、溶解度のより小さいハロゲン
化銀に変換される。この過程はハロゲン変換と呼ばれ、
例えば米国特許第4,142,900号に記載されてい
る。基盤の頂点部にエピタキシャル成長した塩化銀を沃
化物イオンにより選択的にハロゲン変換することで基盤
粒子頂点部に沃化銀相を形成させる。詳細は、特開平4
−149541号に記載されている。
【0210】基盤粒子の頂点部にエピタキシャル成長し
た塩化銀を沃化物イオンの添加による沃化銀相へのハロ
ゲン変換に引き続き、硝酸銀溶液の単独添加、または、
硝酸銀溶液と臭化物溶液、もしくは、硝酸銀溶液と臭化
物溶液と沃化物溶液の混合液を同時に添加して粒子を更
に成長させ頂点近傍に転位を導入させる。
【0211】(b2)工程の部分には転位線が存在する
ことが好ましい。転位線は平板粒子の頂点部近傍に存在
することが好ましい。頂点部近傍とは、粒子の中心と各
頂点を結ぶ直線の中心からx%の位置の点から、各頂点
を作る辺に垂線を下した時に、その垂線とその辺とで囲
まれた三次元の部分のことである。このxの値は好まし
くは50以上100未満、さらに好ましくは75以上100
未満である。側面部に存在する転位線は1粒子当り平均
10本以上が好ましい。より好ましくは1粒子当り平均
20本以上である。転位線が密集して存在する場合、ま
たは転位線が互いに交わって観察される場合には、1粒
子当りの転位線の数は明確には数えることができない場
合がある。しかしながら、これらの場合においても、お
およそ10本、20本、30本という程度には数えるこ
とが可能であり、明らかに数本しか存在しない場合とは
区別できる。転位線の数の1粒子当りの平均数について
は100粒子以上について転位線の数を数えて、数平均
として求める。
【0212】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当
たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒
子の100ないし50%を占めることが好ましく、より
好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは10
0ないし90%を占める。50%を下回ると粒子間の均
質性の点で好ましくない。
【0213】本発明において転位線を含む粒子の割合及
び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子
について転位線を直接観察して求めることが好ましく、
より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300
粒子以上について観察して求める。
【0214】次に、(b3)工程について説明する。基
盤粒子へのハロゲン化銀のエピタキシャル形成に関して
は、米国特許第4,435,501号に記載されている
ように、基盤粒子表面に吸着した沃化物イオン、アミノ
アザインデン、もしくは分光増感色素等のサイトダイレ
クターによって銀塩エピタキシャルが選択された部位、
例えば基盤粒子の側面、もしくは頂点に形成できること
が示されている。また、特開平8−69069号には極
薄平板粒子基盤の選択された部位に銀塩エピタキシャル
を形成させ、このエピタキシャル相を最適な化学増感す
ることで高感化を達成している。
【0215】本発明においても、これらの方法を用いて
本発明の基盤粒子を高感化することは非常に好ましい。
サイトダイレクターは、アミノアザインデン、もしくは
分光増感色素を用いてもよいし、沃化物イオン、もしく
はチオシアン酸イオンを用いることができ、目的に応じ
て使い分けることもできるし、組み合わせてもよい。
【0216】増感色素量、沃化物イオン、およびチオシ
アン酸イオンの添加量を変化させることで、銀塩エピタ
キシャルの形成部位を、基盤粒子の側面、あるいは頂点
に限定させることができる。添加する沃化物イオンの量
は、基盤粒子の銀量に対して0.0005〜1.0モル
%、好ましくは、0.001〜0.5モル%である。ま
た、チオシアン酸イオンの量は、基盤粒子の銀量に対し
て、0.01〜0.2モル%、好ましくは、0.02〜
0.1モル%である。これらサイトダイレクター添加後
に、銀塩溶液とハロゲン塩溶液を添加して銀塩エピタキ
シャルを形成する。この際の、温度は、40〜70℃が
好ましく、45〜60℃が更に好ましい。また、この際
のpAgは7.5以下が好ましく、6.5以下が更に好
ましい。サイトダイレクターを用いることで、基盤粒子
の頂点部、もしくは側面部に銀塩のエピタキシャルが形
成される。こうして得た乳剤を、特開平8−69069
号のようにエピタキシャル相に選択的に化学増感を施し
て高感化させてもよいが、銀塩エピタキシャル形成に引
き続き、銀塩溶液とハロゲン塩溶液を同時添加して更に
成長させてもよい。この際添加するハロゲン塩水溶液
は、臭化物塩溶液、もしくは、臭化物塩溶液と沃化物塩
溶液との混合液が好ましい。またこの際の温度は、40
〜80℃が好ましく、45〜70℃が更に好ましい。ま
た、この際のpAgは5.5以上9.5以下が好まし
く、6.0以上9.0以下が好ましい。
【0217】(b3)工程において形成されるエピタキ
シャルは、基本的に(a)工程で形成した基盤粒子の外
部に基盤粒子とは異なるハロゲン組成が形成されている
ことを特徴とする。エピタキシャルの組成は、AgC
l、AgBrCl、AgBrClI、AgBrI、Ag
I、AgSCN等が好ましい。また、エピタキシャル層
に特開平8−69069号に記載されているような「ド
ーパント(金属錯体)」を導入することはさらに好まし
い。エピタキシャル成長の位置は、基盤粒子の頂点部、
側面部、主平面部の少なくとも一部分でもよく、複数の
個所にまたがってもよい。頂点部のみ、もしくは、側面
部のみ、もしくは、頂点部と側面部の形態を取ることが
好ましい。
【0218】(b3)工程の部分には転位線が存在しな
くてもよいが、転位線が存在することはさらに好まし
い。転位線は基盤粒子とエピタキシャル成長部との接合
部、もしくはエピタキシャル部に存在することが好まし
い。接合部、もしくはエピタキシャル部に存在する転位
線は1粒子当り平均10本以上が好ましい。より好まし
くは1粒子当り平均20本以上である。転位線が密集し
て存在する場合、または転位線が互いに交わって観察さ
れる場合には、1粒子当りの転位線の数は明確には数え
ることができない場合がある。しかしながら、これらの
場合においても、おおよそ10本、20本、30本とい
う程度には数えることが可能であり、明らかに数本しか
存在しない場合とは区別できる。転位線の数の1粒子当
りの平均数については100粒子以上について転位線の
数を数えて、数平均として求める。エピタキシャル部の
形成時に6シアノ金属錯体がドープされているのが好ま
しい。6シアノ金属錯体のうち、鉄、ルテニウム、オス
ミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロムを
含有するものが好ましい。金属錯体の添加量は、ハロゲ
ン化銀1モル当たり10-9乃至10-2モルの範囲である
ことが好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり10-8乃至
10-4モルの範囲であることがさらに好ましい。金属錯
体は、水または有機溶媒に溶かして添加することができ
る。有機溶媒は水と混和性を有することが好ましい。有
機溶媒の例には、アルコール類、エーテル類、グリコー
ル類、ケトン類、エステル類、及びアミド類が含まれ
る。金属錯体としては、下記式(MA)で表される6シ
アノ金属錯体が特に好ましい。6シアノ金属錯体は、高
感度の感光材料が得られ、しかも生感光材料を長期間保
存したときでも被りの発生を抑制するという効果を有す
る。
【0219】(MA)[M(CN)6n- (式中、Mは鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、
ロジウム、イリジウムまたはクロムであり、nは3また
は4である。)。
【0220】6シアノ金属錯体の具体例を以下に示す。 (MA-1) [Fe(CN)64- (MA-2) [Fe(CN)63- (MA-3) [Ru(CN)64- (MA-4) [Os(CN)64- (MA-5) [Co(CN)63- (MA-6) [Rh(CN)63- (MA-7) [Ir(CN)63- (MA-8) [Cr(CN)64-
【0221】6シアノ錯体の対カチオンは、水と混和し
やすく、ハロゲン化銀乳剤の沈殿操作に適合しているイ
オンを用いることが好ましい。対イオンの例には、アル
カリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオ
ン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、リチウムイオ
ン)、アンモニウムイオンおよびアルキルアンモニウム
イオンが含まれる。
【0222】本発明の平板粒子は粒子間の転位線量分布
が均一であることが望ましい。本発明の乳剤は1粒子当
たり10本以上の転位線を含むハロゲン化銀粒子が全粒
子の100ないし50%を占めることが好ましく、より
好ましくは100ないし70%を、特に好ましくは10
0ないし90%を占める。50%を下回ると粒子間の均
質性の点で好ましくない。
【0223】本発明において転位線を含む粒子の割合及
び転位線の本数を求める場合は、少なくとも100粒子
について転位線を直接観察して求めることが好ましく、
より好ましくは200粒子以上、特に好ましくは300
粒子以上について観察して求める。
【0224】本発明の乳剤の調製時に用いられる分散媒
もしくは保護コロイドとして、及びその他の親水性コロ
イド層のバインターとしては、ゼラチンを用いるのが有
利であるが、それ以外の親水性コロイドも用いることが
できる。
【0225】例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の
高分子とのグラフトポリマー、アルブミン、カゼインの
ような蛋白質;ヒドロキシエチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、セルロース硫酸エステル類のよう
なセルロース誘導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体の
ような糖誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルア
ルコール部分アセタール、ポリ−N−ビニルピロリド
ン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾー
ルのような単一あるいは共重合体の如き多種の合成親水
性高分子物質を用いることができる。
【0226】ゼラチンとしては本発明のゼラチン、石灰
処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンやBull.So
c.Sci.Photo.Japan.No.16.P3
0(1966)に記載されたような酵素処理ゼラチンを
用いてもよく、また、ゼラチンの加水分解物や酵素分解
物も用いることができる。
【0227】好ましくは、アミノ基が95%以上修飾さ
れたコハク化ゼラチン、およびトリメリット化ゼラチ
ン、または酸化処理ゼラチンである、また低分子量ゼラ
チン、および低分子量酸化処理ゼラチンを用いることも
好ましい。
【0228】さらに、分子量分布が28万以上の成分を
全ゼラチンに対して、30質量%以上、好ましくは35
質量%以上含んでいるゼラチンを用いてもよい。石灰処
理ゼラチンは、その分子量に基づいてサブα(低分子
量)、α(分子量約10万)、β(分子量約20万)、
γ(分子量約30万)および大高分子部分(ボイド:分
子量30万より大)からなる。それぞれの成分の比率、
すなわち分子量分布は、国際的に定められたPAGI法
により測定される。更に詳しい説明および製法は、特開
平11−237704号に詳細に記載されている。
【0229】本発明の乳剤は脱塩のために水洗し、新し
く用意した保護コロイド分散にすることが好ましい。こ
の際の保護コロイドは上述した親水性コロイドおよびゼ
ラチンを用いることができる。この際、分子量分布が2
8万以上の成分を30%以上、好ましくは35%以上含
んでいるゼラチンを用いることは好ましい。水洗の温度
は目的に応じて選べるが、5℃〜50℃の範囲で選ぶこ
とが好ましい。水洗時のpHも目的に応じて選べるが2〜
10の間で選ぶことが好ましい。さらに好ましくは3〜
8の範囲である。水洗時のpAgも目的に応じて選べる
が5〜10の間で選ぶことが好ましい。水洗の方法とし
てヌードル水洗法、半透膜を用いた透析法、遠心分離
法、凝析沈降法、イオン交換法のなかから選んで用いる
ことができる。凝析沈降法の場合には硫酸塩を用いる方
法、有機溶剤を用いる方法、水溶性ポリマーを用いる方
法、ゼラチン誘導体を用いる方法などから選ぶことがで
きる。
【0230】本発明の第3の乳剤について以下に詳細に
説明する。本発明の第3の乳剤は全投影面積の50%以
上が沃臭化銀または沃塩臭化銀平板粒子で占められてお
り、(111)面を主平面とする。ここで平板状ハロゲ
ン化銀粒子は、1枚の双晶面か2枚以上の平行な双晶面
を有するハロゲン化銀粒子の総称である。双晶面とは、
(111)面の両側ですべての格子点のイオンが鏡像関
係にある場合にこの(111)面のことをいう。この平
板状粒子は粒子を上から見た時に三角形状、四角形状、
六角形状もしくはこれらが丸みを帯びた円形状をしてお
り、三角形状のものは三角形の、六角形状のものは六角
形の、円形状のものは円形状の互いに平行な外表面を有
している。
【0231】本発明の乳剤は全投影面積の50%以上が
厚み0.2μm未満の平板粒子で占められており、円相
当径が0.6μm以上である。
【0232】粒子の厚みは、参照用のラテックスととも
に粒子の斜め方向から金属を蒸着し、そのシャドーの長
さを電子顕微鏡写真上で測定し、ラテックスのシャドー
の長さを参照にして計算することにより容易に求められ
る。
【0233】本発明において平板粒子のアスペクト比と
は、円相当径を粒子厚みで割った値である。また平均ア
スペクト比とは全粒子のアスペクト比の平均値である。
【0234】本発明の平板粒子の円相当径は0.6μm
以上であるが、好ましくは1.0μm以上であるが、よ
り好ましくは1.5μm以上、更に好ましくは2.0μ
m以上であり、10μm以下である。
【0235】平板粒子の厚みは0.2μm未満である
が、0.1μm以下であることがより好ましく、0.0
5μm以下であることがさらに好ましく、0.01μm
以上である。
【0236】本発明の乳剤の全粒子において円相当径の
変動係数は、好ましくは40%以下であり、より好まし
くは25%以下、更に好ましくは15%以下である。
【0237】本発明の平板粒子は沃臭化銀または沃塩臭
化銀である。その他の銀塩、例えばロダン銀、硫化銀、
セレン化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機酸銀が別粒子とし
て、あるいはハロゲン化銀粒子の一部分として含まれて
いてもよい。
【0238】本発明の乳剤粒子の好ましい沃化銀含有率
の範囲は0.1〜20モル%であり、より好ましくは
0.3〜15モル%、特に好ましくは1〜10モル%で
あるが、目的に応じて選んでよい。20モル%を超える
と一般に現像速度が遅れるため好ましくない。
【0239】本発明の平板粒子の好ましい塩化銀含有率
の範囲は0〜20モル%であり、より好ましくは0〜1
5モル%、特に好ましくは0〜7モル%であるが、目的
に応じて選んでよい。
【0240】本発明の平板粒子のアスペクト比は3以上
であって、10以上300以下が好ましく、より好まし
くは10以上100以下、最も好ましくは15以上10
0以下である。
【0241】本発明の平板粒子は粒子内部に沃臭化銀相
を持つことが好ましい。粒子内部とは、平板粒子の中心
から粒子の辺に垂線をおろした直線の長さをLとしたと
きに、粒子の中心から半径0.9Lにある任意の範囲を
いう。粒子のフリンジ部に転位線が観察される場合は、
転位線が導入されていない範囲のことを示す。
【0242】この沃臭化銀相のヨード含量は1モル%以
上40モル%以下が好ましく、さらに好ましくは1モル
%以上20モル%以下、最も好ましくは1モル%以上1
0モル%以下である。
【0243】本発明のような厚みの薄い平板粒子は表面
積が大きいため、上記のような双晶転位は大きな非効率
となっていた。
【0244】粒子成長を通常のDJ法で行なうのではな
く微粒子添加成長法によって行うことにより年輪構造が
ない平板粒子を得ることができる。微粒子添加成長法は
例えば特開平10−43570号を参考にして行なうこ
とができる。
【0245】本発明の乳剤の表面ヨード含量は5モル%
以下0モル%以上であると好ましい。表面ヨード含量の
測定はESCA(XPSという名称もある)法(X線を
照射し粒子表面から出て来る光電子を分光する方法)に
より確認することができる。本発明の表面ヨード含量は
より好ましくは4モル%以下、さらに好ましくは3モル
%以下である。
【0246】転位線は例えば特開平3−175440号
の実施例の記載を参考に導入することができ、フリンジ
部に導入されていてもよいし、粒子の頂点付近にのみ導
入されていてもよい。また特開平6−258745号記
載のヨード放出剤を使用して転位線を導入することも好
ましい。
【0247】本発明において、前記平板状ハロゲン化銀
粒子は、少なくとも1種の晶相制御剤の存在下で主平面
を(111)面に制御されているのが好ましい。本明細
書ではハロゲン化銀結晶の(111)面により強く吸着
する性質を有する化合物を「(111)晶相制御剤」と
呼ぶ。このような性質の化合物を(111)主平面型の
平板粒子の形成時に存在させると、該化合物が平板粒子
の主平面に吸着し平板粒子の厚み方向の成長を抑制し、
その結果、より厚みの薄い平板粒子を得ることができ
る。前記(111)晶相制御剤としては、前記一般式
(III)、(IV)または(V)で表される化合物が好ま
しい。
【0248】前記一般式(III)において、R’はア
ルキル基、アルケニル基またはアラルキル基を表し、具
体的には、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のア
ルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル
基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル
基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペ
ンチル基、シクロへキシル基)、炭素数2〜20のアル
ケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペ
ンテニル基)、炭素数7〜20のアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェチネル基)が好ましい。Rで表
わされる置換基はさらに置換されてもよく、その場合の
置換基としては、以下のR’〜R’が表わす置換基
が挙げられる。
【0249】R’〜R’はそれぞれ独立して、水素
原子または置換基を表わす。ただし、R’、R’、
’、R’およびR’のうち少なくとも一つはア
リール基を表わす。前記置換基としては、ハロゲン原
子、アルキル基、アルケ二ル基、アラキニル基、アラル
キル基、アリール基、ヘテロ環基(例えば、ピリジル
基、フリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、モルホ
リノ基等)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ
基、アシルアミノ基、ウレイド基、ウレタン基、スルホ
ニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ス
ルホニル基、スルフィニル基、アルキルオキシカルボニ
ル基、アシル基、アシルオキシ基、りん酸アミド基、ア
ルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、スルホ基、
カルボキシ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、ニトロ基、
スルフィノ基、アンモニオ基(例えば、トリメチルアン
モニオ基等)、ホスホニオ基、ヒドラジノ基等である。
これらの基は、さらに置換されていてもよい。また、R
’とR’、R’とR’、R’とR’、
’とR’はそれぞれ結合して縮環していてもよ
く、例えば、キノリン環、イソキノリン環、アクリジン
環を形成してもよい。
【0250】前記一般式(III)において、Xは対ア
ニオンを表わす。対アニオンとして、例えば、ハロゲン
イオン(クロロイオン、臭素イオン)、硝酸イオン、硫
酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、トリフロロ
メタンスルホン酸イオン等が挙げられる。
【0251】前記一般式(III)で表される化合物の好
ましい態様は、R’がアラルキル基を表わし、R
がアリール基を表わし、且つXがハロゲンイオンを表
わす態様である。 次に本発明で用いる前記一般式(I
V)および(V)の化合物について説明する。
【0252】前記一般式(IV)および(V)中、A
、AおよびAはそれぞれ独立して、含窒素ヘテ
ロ環を完成させるための非金属原子群を表わす。前記非
金属原子群は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んで
いてもよい。また、A、A 、AおよびAのそれ
ぞれで構成される含窒素へテロ環には、ベンゼン環が縮
環してもよい。さらに、A、A、AおよびA
構成される含窒素ヘテロ環は置換基を有してもよく、そ
れぞれが同一でも異っていてもよい。前記置換基として
は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニ
ル基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、スルホ基、カルボキ
シ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウ
レイド基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ
基、メルカプト基、アルキルチオ基またはアリールチオ
基を表わす。A、A、AおよびAで構成される
含窒素へテロ環は、5〜6員環(例えば、ピリジン環、
イミダゾール環、チオゾール環、オキサゾール環、ピラ
ジン環、ピリミジン環など)であるのが好ましく、ピリ
ジン環であるのがさらに好ましい。
【0253】前記一般式(IV)および(V)中、Bは連
結基を表わす。前記連結基とは、アルキレン、アリーレ
ン、アルケニレン、−SO−、−SO−、−O−、−
S−、−CO−、−N(R)−(Rはアルキル基、
アリール基、水素原子を表わす。)を単独で、または2
種以上を組合せて構成されるものが挙げられる。Bとし
ては、アルキレンまたはアルケニレンであるのが好まし
い。前記一般式(IV)中、mは0または1を表わす。
【0254】前記一般式(IV)中、R’’および
’’はそれぞれ独立してアルキル基を表わす。
’’およびR’’は、それぞれ炭素数1〜20の
アルキル基であるのが好ましい。R’’および
’’で表されるアルキル基には、置換または無置換
のアルキル基が含まれ、アルキル基の置換基としては、
、A、AおよびAの置換基として例示した置
換基と同様である。R’’およびR ’’は、それぞ
れ炭素数4〜10のアルキル基であるのが好ましく、ア
リール置換アルキル基(アリール以外に置換されていて
もよい)であるのがより好ましい。
【0255】前記一般式(IV)および(V)中、X
アニオンを表わす。Xとしては、塩素イオン、臭素イ
オン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p−ト
ルエンスルホナート、オギザラートが挙げられる。前記
一般式(IV)および(V)中、nは0、1または2を表
す。前記一般式(IV)および(V)で表される化合物は
分子内塩であってもよく、その場合は、nは0または1
である。
【0256】前記一般式(III)、(IV)または(V)
で表される化合物の具体例としては、下記に挙げるもの
の他に、(III)については特開平8−227117号
公報に記載されている晶壁制御剤1〜29が挙げられ、
(IV)および(V)につては特開平2−32号公報に開
示されている化合物1〜42が挙げられるが、本発明は
これらの化合物に限定されるものではない。
【0257】
【化23】
【0258】
【化24】
【0259】前記一般式(III)、(IV)または(V)
で表される(111)晶相制御剤を用いた平板粒子の製
造法については、特開平10−104769号公報およ
び特願平11−255799号明細書に開示されてい
る。本発明において、前記(111)晶相制御剤は、核
形成時に存在させてもさせなくてもよいが、存在させず
に、熟成および/または成長時に存在させるのが好まし
い。より具体的には、前記(111)晶相制御剤は、核
形成終了後に添加するか、あるいは引き続き行われる熟
成時に添加されるのが好ましい。さらに、平板粒子成長
時にも前記(111)晶相制御剤を存在させ、必要によ
って成長開始前、あるいは成長中に前記(111)晶相
制御剤を添加することが好ましい。より好ましくは、前
記(111)晶相制御剤を平板粒子成長時に連続的に添加
することである。
【0260】本発明において、前記一般式(III)、(I
V)または(V)で表わされる化合物は、ハロゲン化銀
1mol当たり10−5mol〜10−1mol添加す
るのが好ましく、10−4mol〜10−1mol添加
するのが特に好ましい。
【0261】本発明に有用な(111)面選択性晶相制
御効果は下記のテスト法で簡単に見出すことができる。
即ち通常のアルカリ処理骨ゼラチンを分散媒に用い、7
5℃で硝酸銀と臭化カリウムを銀電極と参照電極に飽和
カロメル電極を用いて、+90mVでコントロールダブ
ルジェット法で粒子形成すると、(100)面を持った
立方体臭化銀粒子が得られる。その際、粒子形成の途中
に(111)晶相制御剤を添加すると、立方体に(11
1)面が現れ始めて14面体となり(角部が丸くなる場
合もある)、さらに全ての面が(111)である八面体
に変化することで、この(111)晶相制御剤の効果を
明確に知ることができる。
【0262】本発明の第4の乳剤およびこれと併用する
本発明以外の写真乳剤について説明する。本発明の第4
の乳剤においては、ハロゲン化銀粒子が平行な主平面が
(100)面、塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化
銀または塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子が
好ましく用いられる。この乳剤について以下に説明す
る。
【0263】上記乳剤は粒子の全投影面積の50〜100%、
好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%が主平面
が(100)面であるアスペクト比が2以上の平板状粒
子からなる。粒子厚みは0.01〜0.10μm、好ましくは0.
02〜0.08μm、より好ましくは0.03〜0.07μmであり、
アスペクト比は2〜100、好ましくは3〜50、より好まし
くは5〜30である。粒子厚みの変動係数(「分布の標準
偏差/平均粒子厚み」の100分率、以下COV.と記す)は3
0%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下
である。このCOV.が小さいほど、粒子厚みの単分散度が
高いことを示している。
【0264】平板状粒子の投影面積径ならびに厚みは、
レプリカ法による透過電子顕微鏡(TEM)写真を撮影し
て個々の粒子の投影面積径と厚みを求める。この場合、
厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。
本発明におけるCOV.の測定は、少なくとも600個以上の
粒子について測定した結果である。
【0265】本発明の(100)平板状粒子の組成は塩
化銀含有率10モル%未満の塩沃臭化銀あるいは沃臭化
銀である。また、その他の銀塩、例えばロダン銀、硫化
銀、セレン化銀、テルル化銀、炭酸銀、リン酸銀、有機
酸銀等が別粒子として、あるいはハロゲン化銀粒子の一
部分として含まれていてもよい。
【0266】AgX結晶中のハロゲン組成を調べる方法
としては、X線回折法が知られている。X線回折法につい
ては基礎分析化学講座24「X線回折」等に詳しく記載さ
れている。標準的には、CuのKβ線を線源としてAgX
(420)面の回折角度を粉末法により求める。
【0267】回折核2θが求まるとブラックの式から格
子定数aが以下のように求まる。 2dsinθ=λ d = a /( h2 + k2 + l21/2 ここで、2θは( h k l )面の回折角、λはX線の波
長、dは( h k l )面の面間隔である。ハロゲン化銀固
溶体のハロゲン組成と格子定数aの関係は既に知られて
いるので(例えば、T.H.James編 「The Theory of Phot
ographic Process. 4thEd.」Macmillian New Yorkに記
載されている)、格子定数が分かるとハロゲン組成が決
定できる。
【0268】本発明の(100)平板状粒子のハロゲン
組成構造は、どのようなものでもよい。例えばコアとシ
ェルのハロゲン組成の異なる(コア/シェル)2構造を
有する粒子やコアと2つ以上のシェルを有する多重構造
の粒子が例として挙げられる。コアの組成としては臭化
銀が好ましいがこれに限られるものではない。また、シ
ェルの組成はコアよりも沃化銀含有率が高い方が好まし
い。
【0269】上記の(100)平板状粒子は、平均沃化
銀含有率2.3モル%以上、かつ表面の平均沃化銀含有
率は8モル%以上であることが好ましい。また、沃化銀
含有率の粒子間の変動係数は20%未満であることがよ
り好ましい。表面沃化銀含有率は先述したXPSを用いて
測定することができる。
【0270】上記の(100)平板状粒子を形状で分類
すると、次の6つを挙げることができる。(1)主平面
の形状が直角平行四辺形である粒子。(2)該直角平行
四辺形の4つの角の内、1個以上、好ましくは1〜4個が非
等価的に欠落した粒子。即ち〔(最大欠落部の面積)/
最少欠落部の面積=K1が2〜8の粒子)〕、(3)該4つの
角が等価的に欠落した粒子(該K1が2より小の粒子)、
(4)該欠落部の側面の面積の5〜100%、好ましくは20〜
100%が{111}面である粒子。(5)主平面を構成す
る4つの辺の内の少なくとも相対する2つの辺が外側に凸
の曲線である粒子、(6)該直角平行四辺形の4つの角の
うちの1つ以上、好ましくは1〜4個が直角平行四辺形状
に欠落した粒子。これらは電子顕微鏡を用いた観察によ
り確認できる。
【0271】上記の(100)平板状粒子の表面の晶癖
に占める(100)面比率は、80%以上、好ましくは90%
以上であるが、それについては粒子の電子顕微鏡写真を
用いて統計的に見積もることができる。乳剤中のAgX
粒子における(100)平板比率が100%にほぼ近い場合
には、以下の方法にて上記見積もりを確認することもで
きる。その方法とは、日本化学会紙1984、No.6、942pに
記載してある方法であり、一定量の該(100)平板状
粒子にベンゾチアシアニン色素を量を変えて40℃で17時
間吸着させ、625nmでの光吸収より単位乳剤あたりの全
粒子の表面積の総和(S)及び(100)面の面積の総
和(S1)を求め、これらの値をもとに、式:S1/S×10
0(%)よって(100)面比率を算出する方法である。
【0272】上記の(100)平板状粒子の平均球相当
直径は好ましくは0.35μm未満である。粒子サイズ
の見積もりはレプリカ法によって、投影面積と厚みの測
定により求めることができる。
【0273】上記の(100)平板状粒子は粒子形成中
に多価金属イオンのドープにより電子捕獲ゾーンが導入
されていることが好ましい。「電子捕獲ゾーン」とは、
多価金属イオン含有濃度が1×10-5モル/モル局所銀
から1×10-3モル/モル局所銀で、粒子体積の5%以
上30%以下を占める部分のことを言う。また、「モル
局所銀」とは、多価金属イオン導入時に形成される銀量
(モル)のこといをいう。多価金属イオン含有濃度が5
×10-5モル/モル局所銀から5×10-4モル/モル局
所銀であるとより好ましい。
【0274】多価金属イオン含有濃度は均一であること
が必要である。均一であるとは該金属イオンの粒子内へ
の導入を単位銀量当たり一定量で行い、かつ粒子形成に
用いる硝酸銀と同時期に多価金属イオンを粒子形成用反
応容器に導入することをいう。このときハロゲン溶液も
同時に添加されてよい。本発明の多価金属イオンを含む
化合物を水溶液として添加してもよいし、多価金属イオ
ンとなる化合物をドープまたは吸着させた微粒子を調製
し添加してもよい。多価金属には、鉄、ルテニウム、オ
スミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム又はクロム
が含まれる。電子捕獲ゾーンは粒子内のどの部分にあっ
てもよい。また電子捕獲ゾーンが粒子内に2カ所以上あ
ってもよい。
【0275】次に本発明の第5の乳剤について説明す
る。本発明に関するハロゲン化銀粒子が平行な主平面が
(111)面あるいは(100)面であり、アスペクト
比が2以上であって、80モル%以上の塩化銀を含有す
る平板状粒子について以下説明する。
【0276】高塩化銀で(111)粒子を製造するため
には特別の工夫が必要である。Weyの米国特許第4,
399,215号でアンモニアを用いて高塩化銀平板粒
子を製造する方法を用いてもよい。Maskaskyの
米国特許第5,061,617号明細書でチオシアン酸
塩を用いて高塩化銀平板粒子を製造する方法を用いても
よい。以下に示した高塩化銀粒子において(111)面
を外表面とする粒子を形成するために粒子形成時に添加
剤(晶相制御剤)を添加する方法を用いてもよい。以下
に示す。
【0277】 特許番号 晶相制御剤 発明者 米国特許第4,400,463号 アザインデン類+ マスカスキー チオエーテルペプタイザ− 米国特許第4,783,398号 2−4−ジチアゾリジノン 御舩等 米国特許第4,713,323号 アミノピラゾロピリミジン マスカスキー 米国特許第4,983,508号 ビスピリジニウム塩 石黒等 米国特許第5,185,239号 トリアミノピリミジン マスカスキー 米国特許第5,178,997号 7−アザインドール系化合物 マスカスキー 米国特許第5,178,998号 キサンチン マスカスキー 特開昭64−70741号 色素 西川等 特開平3−212639号 アミノチオエーテル 石黒 特開平4−283742号 チオ尿素誘導体 石黒 特開平4−335632号 トリアゾリウム塩 石黒 特開平2−32号 ビスピリジニウム塩 石黒等 特開平8−227117号 モノピリジニウム塩 大関等。
【0278】(111)平板粒子形成に関しては、前記
表中に記載されているように種々の晶相制御剤を用いる
方法が知られているが、特開平2−32号に記載された
化合物(化合物例1〜42)が好ましく、特開平8−2
27117号に記載されている晶相制御剤1〜29が特
に好ましい。しかしながら、これらに限定されるもので
はない。
【0279】(111)平板粒子はふたつの平行な双晶
面を形成することにより得られる。双晶面の形成は温
度、分散媒(ゼラチン)、ハロゲン濃度等により左右さ
れるのでこれらの適当な条件を設定しなければならな
い。晶相制御剤を核形成時に存在させる場合にはゼラチ
ン濃度は0.1%〜10%が好ましい。塩化物濃度は
0.01モル/L以上、好ましくは0.03モル/L以
上である。
【0280】また、粒子を単分散化するためには、核形
成に際して晶相制御剤を用いないのが好ましいことが特
開平8−184931号に開示されている。晶相制御剤
を核形成時に用いない場合にはゼラチン濃度は0.03
%〜10%、好ましくは0.05%〜1.0%である。
塩化物濃度は0.001モル/L〜1モル/L、好まし
くは0.003モル/L〜0.1モル/Lである。核形
成温度は2℃〜90℃まで任意の温度を選べるが5℃〜
80℃が好ましく、特に5℃〜40℃が好ましい。
【0281】最初の核形成段階で平板粒子の核が形成さ
れるが、核形成直後には反応容器内には平板粒子以外の
核も多数含まれる。そのため、核形成後、熟成を行い、
平板粒子のみを残存させ他を消滅させる技術が必要とな
る。通常のオストワルド熟成を行うと、平板粒子核も溶
解消滅するため、平板粒子核が減少し、結果として得ら
れる平板粒子のサイズが増大してしまう。これを防止す
るために、晶相制御剤を添加する。特にフタル化ゼラチ
ンを併用することで、晶相制御剤の効果を高め、平板粒
子の溶解を防止できる。熟成中のpAgは特に重要であ
り、銀塩化銀電極に対して60〜130mVが好まし
い。
【0282】次に、形成した核を物理熟成及び銀塩とハ
ロゲン化物の添加により、晶相制御剤存在下に成長させ
る。この際には、塩化物濃度は5モル/L以下、好まし
くは0.05〜1モル/Lである。粒子成長時の温度は
10℃〜90℃の範囲で選択できるが、30℃〜80℃
の範囲が好ましい。
【0283】晶相制御剤の全使用量は完成乳剤中のハロ
ゲン化銀1モルあたり、6×10-5モル以上、特に3×
10-4モル〜6×10-2モルが好ましい。晶相制御剤の
添加時期としては、ハロゲン化銀粒子の核形成時から物
理熟成、粒子成長途中のどの時期でもよい。添加後より
(111)面が形成を開始する。晶相制御剤は予め反応
容器内に添加してもよいが、小サイズ平板粒子形成する
場合には、粒子成長とともに反応容器内に添加し、その
濃度を増大させるのが好ましい。 核形成時に使用した
分散媒量が成長にとって不足の場合には添加により補う
必要がある。成長には10g/L〜100g/Lのゼラ
チンが存在するのが好ましい。補うゼラチンとしてはフ
タル化ゼラチンあるいはトリメリットゼラチンが好まし
い。粒子形成時のpHは任意であるが中性から酸性領域
が好ましい。
【0284】次に(100)平板粒子について説明す
る。(100)平板粒子は(100)面を主平面とした
平板状粒子である。該主平面の形状は、直角平行四辺形
形状または、該直角平行四辺形のある一つの角が欠落し
た3〜5角形形状(欠落した形状とは、その角を頂点と
し、その角をなす辺によって形成される直角三角形部
分)、または該欠落部分が2つ以上4つ以下存在する4
〜8角形形状等がある。
【0285】欠落した部分を補った直角平行四辺形形状
を、補充四辺形とすると、該直角平行四辺形および該補
充四辺形の隣接辺比率(長辺の長さ/短辺の長さ)は1
〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
【0286】(100)主平面を有する平板状ハロゲン
化銀乳剤粒子の形成法としては、ゼラチン水溶液のよう
な分散媒中に銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を攪拌
しながら添加、混合することにより行うが、この時、例
えば、特開平6−301129号、同6−347929
号、同9−34045号、同9−96881号では、沃
化銀または沃化物イオンを、あるいは、臭化銀または臭
化物イオンを存在させ、塩化銀との結晶格子の大きさの
違いから核に歪みを生じさせ、螺旋転位の様な異方成長
性を付与する結晶欠陥を導入する方法が開示されてい
る。該螺旋転位が導入されると、低過飽和条件ではその
面での2次元核の形成が律速ではなくなるため、この面
での結晶化が進み、螺旋転位を導入することによって平
板状の粒子が形成される。ここで低過飽和条件とは臨界
添加時の好ましくは35%以下、より好ましくは2〜2
0%を示す。該結晶欠陥が螺旋転位であると確定された
わけでは無いが、転位の導入された方向、あるいは粒子
に異方成長性が付与される事から螺旋転位である可能性
が高いと考えられている。平板粒子をより薄くする為に
は、導入された該転位保持が好ましい事が特開平8−1
22954号、同9−189977号に開示されてい
る。
【0287】また、特開平6−347928号ではイミ
ダゾール類、3,5−ジアミノトリアゾール類を用いた
り、特開平8−339044号ではポリビニルアルコー
ル類を用いるなどして、(100)面形成促進剤を添加
して(100)平板粒子を形成する方法が開示されてい
る。しかしながら、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0288】高塩化銀粒子とは塩化銀含有量が80モル
%以上の粒子をいうが、95モル%以上が塩化銀である
ことが好ましい。本発明の粒子はコア部とコア部を取り
巻くシェル部よりなる、いわゆるコア/シェル構造をし
ていることが好ましい。コア部は90モル%以上が塩化
銀であることが好ましい。コア部はさらに、ハロゲン組
成の異なる二つ以上の部分からなっていてもよい。シェ
ル部は全粒子体積の50%以下であることが好ましく、
20%以下であることが特に好ましい。シェル部はヨウ
塩化銀もしくは沃臭塩化銀であることが好ましい。シェ
ル部は0.5モル%から13モル%のヨードを含有する
ことが好ましく、1モル%から13モル%で含有するこ
とが特に好ましい。沃化銀の全粒子中の含有量は5モル
%以下が好ましく、1モル%以下が特に好ましい。
【0289】臭化銀含有率もコア部よりもシェル部が高
いことが好ましい。臭化銀含有率は20モル%以下が好
ましく、5モル%以下が特に好ましい。ハロゲン化銀粒
子の平均粒子サイズ(体積換算球相当直径)に特に制限
はないが、好ましくは0.1μm〜0.8μm、特に好
ましくは0.1μm〜0.6μmである。
【0290】ハロゲン化銀粒子の円相当径は好ましくは
0.2〜1.0μmである。また、厚みは0.2μm以
下、好ましくは0.1μm以下、特に好ましくは0.0
6μm以下である。本発明において全ハロゲン化銀粒子
の投影面積の50%以上が、アスペクト比(その直径/厚
みの比)2以上であり、好ましくは5以上20以下であ
る。一般に平板粒子は、2つの平行な面を有する平板状
であり、したがって本発明における「厚み」とは平板粒
子を構成する2つの平行な面の距離で表される。
【0291】本発明のハロゲン化銀粒子の粒子サイズの
分布は、多分散でも単分散でもよいが、単分散であるこ
とがより好ましい。特に全投影面積の50%以上を占め
る平板粒子の円相当径の変動係数が20%以下が好まし
い。理想的には0%である。晶相制御剤が粒子形成後も
粒子表面に存在すると、増感色素の吸着や現像に影響を
与える。そのため、晶相制御剤は粒子形成後に除去する
ことが好ましい。ただし、晶相制御剤を除去した場合、
高塩化銀(111)平板粒子は、通常の条件では(11
1)面を維持するのが困難である。したがって、増感色
素等写真的に有用な化合物で置換して粒子形態を保持す
ることが好ましい。この方法については、特開平9−8
0656号、特開平9−106026号、米国特許第
5,221,602号明細書、同第5,286,452
号、同第5,298,387号、同第5,298,38
8号、同第5,176,992号等に記載されている。
上記方法により晶相制御剤は粒子から脱着するが、脱
着した晶相制御剤を水洗により乳剤外へ除去するのが好
ましい。水洗温度としては、保護コロイドとして通常用
いられるゼラチンが凝固しない温度で行うことができ
る。水洗方法としては、フロキュレーション法や限外ろ
過法等の種々の公知技術を用いることができる。水洗温
度は40℃以上が好ましい。また、晶相制御剤は低pH
で粒子より脱着が促進される。従って、水洗工程のpH
は粒子が過度に凝集しない限りの低いpHが好ましい。
【0292】ハロゲン化銀粒子には周期律表VIII属金
属、即ちオスミウム、イリジウム、ロジウム、白金、ル
テニウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄から選
ばれた金属のイオンまたはその錯イオンを単独または組
み合わせて用いることができる。更にこれらの金属は、
複数種用いてもよい。
【0293】上記金属イオン提供化合物は、ハロゲン化
銀粒子形成時に分散媒になるゼラチン水溶液中、ハロゲ
ン化物水溶液中、銀塩水溶液中、またはその他の水溶液
中に添加するか、あるいは予め、金属イオンを含有せし
めたハロゲン化銀微粒子の形でハロゲン化銀乳剤に添加
し、この乳剤を溶解させる等の手段によって本発明のハ
ロゲン化銀粒子に含有せしめることができる。また、金
属イオンを該粒子中に含有せしめるには、粒子形成前、
粒子形成、粒子形成直後のいずれかで行うことができる
が、この添加時期は、金属イオンを粒子のどの位置にど
れだけの量含有させるかによって変えることができる。
【0294】ハロゲン化銀粒子には、用いる金属イオン
の提供化合物のうち50モル%以上、好ましくは80モ
ル%以上が、より好ましくは100モル%がハロゲン化
銀粒子表面から粒子体積の50%以下に相当するまでの
表面層に局在しているのが好ましい。この表面層の体積
は好ましくは30%以下である。金属イオンを表面層に
局在させることは、内部感度の上昇を抑制し、高感度を
得るのに有利である。こうしたハロゲン化銀粒子の表面
層に集中させて金属イオン提供化合物を含有せしめるに
は、例えば表面層を除いた部分のハロゲン化銀粒子(コ
ア)を形成した後、表面層を形成するための水溶性銀塩
溶液とハロゲン化物水溶液の添加にあわせて金属イオン
提供化合物を供給することで行うことができる。
【0295】ハロゲン化銀乳剤は、第VIII族金属以外
に、その乳剤粒子形成もしくは物理熟成の過程において
種々の多価金属イオン不純物を導入することができる。
これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたる
が、ハロゲン化銀1モルに対して、10-9〜10-2モル
が好ましい。
【0296】ハロゲン化銀乳剤をその乳剤が用いられる
層によってさらにハロゲン化銀乳剤に特徴を出してもよ
い。特に青感性層に用いる場合においては、ハロゲン化
銀乳剤(本発明の第6の乳剤)に含まれるハロゲン化銀
粒子は、平均沃化銀含有量が3モル%以上が好ましく、
5モル%以上が更に好ましい。また、高感度層に用いる
場合には円相当径は1μm以上が好ましく、2μm以上
が更に好ましい。
【0297】本発明の前記第1ないし第6の乳剤粒子以
外の平板粒子のアスペクト比は任意に選んでよいが、1
0以上300以下が好ましく、より好ましくは10以上
100以下、最も好ましくは15以上100以下であ
る。
【0298】また、感材の圧力耐性付与を持たせるため
にハロゲン化銀乳剤に以下のような特徴を持たせてもよ
い。ハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子は、
主平面の中心から面積で50%以内、好ましくは80%
以内の部分に、透過電子顕微鏡で観察した際に転位線が
存在しない粒子が全粒子の投影面積の80%以上を占め
ることが好ましく、90%以上を占めることが更に好ま
しい。主平面の中心とは、主平面の面積における重心位
置のことである。
【0299】以下に、本発明の乳剤全般に関わる内容に
ついて説明する。本発明に使用できる乳剤は、グラフキ
デ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.
Glafkides,Chemie et Phisi
quePhotographique,Paul Mo
ntel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」,
フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin,Pho
tographic EMulsion Chemis
try(Focal Press,1966))、ゼリ
クマン等著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレ
ス社刊(V.L.Zelikman et al.,M
aking and Coating Photogr
aphic EMulsion,Focal Pres
s,1964)などに記載された方法を用いて調製する
ことができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア
法等のいずれでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲ
ン塩を反応させる形式としては片側混合法、同時混合
法、それらの組合わせなどのいずれを用いてもよい。粒
子を銀イオン過剰の下において形成させる方法(いわゆ
る逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つ
の形式としてハロゲン化銀の生成する液相中のpAg を一
定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブ
ルジェット法を用いることもできる。この方法による
と、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン
化銀乳剤が得られる。乳剤調製用の反応容器にあらかじ
め沈澱形成したハロゲン化銀粒子を添加する方法、米国
特許第4,334,012号、同第4,301,241
号、同第4,150,994号に記載の方法は、場合に
より好ましい。これらは種結晶として用いることもでき
るし、成長用のハロゲン化銀として供給する場合も有効
である。後者の場合粒子サイズの小さい乳剤を添加する
のが好ましく、添加方法として一度に全量添加、複数回
に分割して添加あるいは連続的に添加するなどのなかか
ら選んで用いることができる。また表面を改質させるた
めに種々のハロゲン組成の粒子を添加することも場合に
より有効である。
【0300】ハロゲン化銀粒子のハロゲン組成の大部分
あるいはごく一部分をハロゲン変換法によって変換させ
る方法は米国特許第3,477,852号、同第4,1
42,900号、欧州特許273,429号、同第27
3,430号、西独公開特許第3,819,241号な
どに開示されており、有効な粒子形成法である。より難
溶性の銀塩に変換するのに可溶性ハロゲンの溶液あるい
はハロゲン化銀粒子を添加することができる。一度に変
換する、複数回に分割して変換する、あるいは連続的に
変換するなどの方法から選ぶことができる。
【0301】粒子成長の方法として、一定濃度、一定流
速で可溶性銀塩とハロゲン塩を添加する方法以外に、英
国特許第1,469,480号、米国特許第3,65
0,757号、同第4,242,445号に記載されて
いるように濃度を変化させる、あるいは流速を変化させ
る粒子形成法は好ましい方法である。濃度を増加させ
る、あるいは流速を増加させることにより、供給するハ
ロゲン化銀量を添加時間の一次関数、二次関数、あるい
はより複雑な関数で変化させることができる。また必要
により供給ハロゲン化銀量を減量することも場合により
好ましい。さらに溶液組成の異なる複数個の可溶性銀塩
を添加する、あるいは溶液組成の異なる複数個の可溶性
ハロゲン塩を添加する場合に、一方を増加させ、もう一
方を減少させるような添加方式も有効な方法である。
【0302】可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩の溶液を反
応させる時の混合器は米国特許第2,996,287
号、同第3,342,605号、同第3,415,65
0号、同第3,785,777号、西独公開特許2,5
56,885号、同第2,555,364号に記載され
ている方法のなかから選んで用いることができる。
【0303】熟成を促進する目的に対してハロゲン化銀
溶剤が有用である。例えば熟成を促進するのに過剰量の
ハロゲンイオンを反応器中に存在せしめることが知られ
ている。また他の熟成剤を用いることもできる。これら
の熟成剤は銀およびハロゲン化物塩を添加する前に反応
器中の分散媒中に全量を配合しておくことができるし、
ハロゲン化物塩、銀塩または解膠剤を加えると共に反応
器中に導入することもできる。別の変形態様として、熟
成剤をハロゲン化物塩および銀塩添加段階で独立して導
入することもできる。
【0304】熟成剤としては、例えば、アンモニア、チ
オシアン酸塩(例えば、ロダンカリ、ロダンアンモニウ
ム)、有機チオエーテル化合物(例えば、米国特許第
3,574,628号、同第3,021,215号、同
第3,057,724号、同第3,038,805号、
同第4,276,374号、同第4,297,439
号、同第3,704,130号、同第4,782,01
3号、特開昭57−104926号に記載の化合物)、
チオン化合物(例えば、特開昭53−82408号、同
55−77737号、米国特許第4,221,863号
に記載されている四置換チオウレアや、特開昭53−1
44319号に記載されている化合物)や、特開昭57
−202531号に記載されているハロゲン化銀粒子の
成長を促進しうるメルカプト化合物、アミン化合物(例
えば、特開昭54−100717号)が挙げられる。
【0305】米国特許第3,772,031号に記載さ
れているようなカルコゲン化合物を乳剤調製中に添加す
る方法も有用な場合がある。S、Se、Te以外にもシ
アン塩、チオシアン塩、セレノシアン酸、炭酸塩、リン
酸塩、酢酸塩を存在させてもよい。
【0306】本発明のハロゲン化銀粒子は硫黄増感、セ
レン増感等のカルコゲン増感;金増感、パラジウム増感
等の貴金属増感;及び還元増感の少なくとも1つをハロ
ゲン化銀乳剤の製造工程の任意の工程で施こすことがで
きる。2種以上の増感法を組み合せることは好ましい。
どの工程で化学増感するかによって種々のタイプの乳剤
を調製することができる。粒子の内部に化学増感核をう
め込むタイプ、粒子表面から浅い位置にうめ込むタイ
プ、あるいは表面に化学増感核を作るタイプがある。本
発明の乳剤は目的に応じて化学増感核の場所を選ぶこと
ができるが、一般に好ましいのは表面近傍に少なくとも
一種の化学増感核を作った場合である。
【0307】本発明で好ましく実施しうる化学増感の一
つはカルコゲン増感と貴金属増感の単独又は組合せであ
り、ジェームス(T.H.James)著、ザ・フォト
グラフィック・プロセス、第4版、マクミラン社刊、1
977年、(T.H.James、The Theor
y of the Photographic Pro
cess,4th ed,Macmillan,197
7)67−76頁に記載されるように活性ゼラチンを用
いて行うことができるし、またリサーチ・ディスクロー
ジャー、120巻、1974年4月、12008;リサ
ーチ・ディスクロージャー、34巻、1975年6月、
13452、米国特許第2,642,361号、同第
3,297,446号、同第3,772,031号、同
第3,857,711、同第3,901,714号、同
第4,266,018号、および同第3,904,41
5号、並びに英国特許第1,315,755号に記載さ
れるようにpAg 5〜10、pH5〜8および温度30〜8
0℃において硫黄、セレン、テルル、金、白金、パラジ
ウム、イリジウムまたはこれら増感剤の複数の組合せと
することができる。貴金属増感においては、金、白金、
パラジウム、イリジウム等の貴金属塩を用いることがで
き、中でも特に金増感、パラジウム増感および両者の併
用が好ましい。金増感の場合には、塩化金酸、カリウム
クロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫
化金、金セレナイドのような公知の化合物を用いること
ができる。パラジウム化合物はパラジウム2価塩または
4価の塩を意味する。好ましいパラジウム化合物は、R
2PdX6またはR2PdX4で表わされる。ここでRは水
素原子、アルカリ金属原子またはアンモニウム基を表わ
す。Xはハロゲン原子を表わし塩素、臭素または沃素原
子を表わす。
【0308】具体的には、K2PdCl4、(NH42
dCl6、Na2PdCl4、(NH42PdCl4、Li
2PdCl4、Na2PdCl6またはK2PdBr4が好ま
しい。金化合物およびパラジウム化合物はチオシアン酸
塩あるいはセレノシアン酸塩と併用することが好まし
い。
【0309】硫黄増感剤として、ハイポ、チオ尿素系化
合物、ロダニン系化合物および米国特許第3,857,
711号、同第4,266,018号および同第4,0
54,457号に記載されている硫黄含有化合物を用い
ることができる。いわゆる化学増感助剤の存在下に化学
増感することもできる。有用な化学増感助剤には、アザ
インデン、アザピリダジン、アザピリミジンのごとき、
化学増感の過程でカブリを抑制し、且つ感度を増大する
ものとして知られた化合物が用いられる。化学増感助剤
改質剤の例は、米国特許第2,131,038号、同第
3,411,914号、同第3,554,757号、特
開昭58−126526号および前述ダフィン著「写真
乳剤化学」、138〜143頁に記載されている。
【0310】本発明の乳剤は金増感を併用することが好
ましい。金増感剤の好ましい量としてハロゲン化銀1モ
ル当り1×10-4〜1×10-7モルであり、さらに好ま
しいのは1×10-5〜5×10-7モルである。パラジウ
ム化合物の好ましい範囲は1×10-3から5×10-7
ある。チオシアン化合物あるいはセレノシアン化合物の
好ましい範囲は5×10-2から1×10-6である。本発
明のハロゲン化銀粒子に対して使用する好ましい硫黄増
感剤量はハロゲン化銀1モル当り1×10-4〜1×10
-7モルであり、さらに好ましいのは1×10-5〜5×1
-7モルである。
【0311】本発明の乳剤に対して好ましい増感法とし
てセレン増感がある。セレン増感においては、公知の不
安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属
セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチル
セレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素)、セレノケ
トン類、セレノアミド類のようなセレン化合物を用いる
ことができる。セレン増感は硫黄増感あるいは貴金属増
感あるいはその両方と組み合せて用いた方が好ましい場
合がある。
【0312】本発明のハロゲン化銀乳剤を粒子形成中、
粒子形成後でかつ化学増感前あるいは化学増感中、ある
いは化学増感後に還元増感することは好ましい。
【0313】ここで、還元増感とは、ハロゲン化銀乳剤
に還元増感剤を添加する方法、銀熟成と呼ばれるpAg 1
〜7の低pAg の雰囲気で成長あるいは熟成させる方法、
高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長あ
るいは熟成させる方法のいずれを選ぶこともできる。ま
た2つ以上の方法を併用することもできる。
【0314】還元増感剤を添加する方法は還元増感のレ
ベルを微妙に調節できる点で好ましい方法である。
【0315】還元増感剤としては、例えば、二酸化チオ
尿素、アスコルビン酸およびその誘導体、アミンおよび
ポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ジヒドロキシベンゼ
ン類及びその誘導体(例えば4,5−ジヒドロキシー
1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウムなど)、ヒ
ドロキシアミン類及びその誘導体、シラン化合物、ボラ
ン化合物が公知である。本発明の還元増感にはこれら公
知の還元増感剤を選んで用いることができ、また2種以
上の化合物を併用することもできる。還元増感剤として
は二酸化チオ尿素、アスコルビン酸およびその誘導体、
ヒドラジン誘導体、ジヒドロキシベンゼン類及びその誘
導体が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳
剤製造条件に依存するので添加量を選ぶ必要があるが、
ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-1モルの範囲が
である。
【0316】還元増感剤は、例えば、水あるいはアルコ
ール類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド
類のような有機溶媒に溶かし粒子成長中に添加される。
あらかじめ反応容器に添加するのもよいが、粒子成長の
適当な時期に添加する方法が好ましい。また水溶性銀塩
あるいは水溶性アルカリハライドの水溶性にあらかじめ
還元増感剤を添加しておき、これらの水溶液を用いてハ
ロゲン化銀粒子を沈澱せしめてもよい。また粒子成長に
伴って還元増感剤の溶液を何回かに分けて添加しても連
続して長時間添加するのも好ましい方法である。
【0317】本発明の乳剤の製造工程中に銀に対する酸
化剤を用いることが好ましい。銀に対する酸化剤とは、
金属銀に作用して銀イオンに変換せしめる作用を有する
化合物をいう。特にハロゲン化銀粒子の形成過程および
化学増感過程において副生するきわめて微小な銀粒子
を、銀イオンに変換せしめる化合物が有効である。ここ
で生成する銀イオンは、例えば、ハロゲン化銀、硫化
銀、セレン化銀のような水に難溶の銀塩を形成してもよ
く、又、硝酸銀のような水に易溶の銀塩を形成してもよ
い。銀に対する酸化剤は、無機物であっても、有機物で
あってもよい。無機の酸化剤としては、例えば、オゾ
ン、過酸化水素およびその付加物(例えば、NaBO2
・H22・3H2O、2NaCO3・3H22、Na42
7・2H22、2Na2SO4・H22・2H2O)、ペ
ルオキシ酸塩(例えば、K228、K226、K22
8)、ペルオキシ錯体化合物(例えば、K2[Ti(O
2)C2 4]・3H2O、4K2SO4・Ti(O2)OH
・SO4・2H2O、Na3[VO(O2)(C242
・6H2O)、過マンガン酸塩(例えば、KMnO4)、
クロム酸塩(例えば、K2Cr27)のような酸素酸
塩、沃素や臭素のようなハロゲン元素、ハロゲンのオキ
ソ酸塩(例えば、過沃素酸カリウム)、高原子価の金属
の塩(例えば、ヘキサシアノ第二鉄酸カリウム)および
チオスルフォン酸塩がある。
【0318】また、有機の酸化剤としては、p−キノン
のようなキノン類、過酢酸や過安息香酸のような有機過
酸化物、活性ハロゲンを放出する化合物(例えば、N−
ブロムサクシンイミド、クロラミンT、クロラミンB)
が例として挙げられる。
【0319】本発明の好ましい酸化剤は過酸化水素およ
びその付加物、ハロゲン元素、ハロゲンのオキソ酸塩、
チオスルフォン酸塩の無機酸化剤及びキノン類の有機酸
化剤である。前述の還元増感と銀に対する酸化剤を併用
するのは好ましい態様である。酸化剤を用いたのち還元
増感を施こす方法、その逆方法あるいは両者を同時に共
存させる方法のなかから選んで用いることができる。こ
れらの方法は粒子形成工程でも化学増感工程でも選んで
用いることができる。
【0320】本発明に用いられる写真乳剤には、感光材
料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防
止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の
化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール
類、例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾー
ル類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミ
ダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、メルカプト
チアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカ
プトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール
類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ニ
トロベンゾトリアゾール類、メルカプトテトラゾール類
(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール);
メルカプトピリミジン類;メルカプトトリアジン類;例
えば、オキサドリンチオンのようなチオケト化合物;ア
ザインデン類、例えば、トリアザインデン類、テトラア
ザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3
a,7)チトラアザインデン類)、ペンタアザインデン
類のようなかぶり防止剤または安定剤として知られた、
多くの化合物を加えることができる。例えば、米国特許
第3,954,474号、同第3,982,947号、
特公昭52−28660号に記載されたものを用いるこ
とができる。好ましい化合物の一つに特開昭63−21
2932号に記載された化合物がある。かぶり防止剤お
よび安定剤は粒子形成前、粒子形成中、粒子形成後、水
洗工程、水洗後の分散時、化学増感前、化学増感中、化
学増感後、塗布前のいろいろな時期に目的に応じて添加
することができる。乳剤調製中に添加して本来のかぶり
防止および安定化効果を発現する以外に、粒子の晶壁を
制御する、粒子サイズを小さくする、粒子の溶解性を減
少させる、化学増感を制御する、色素の配列を制御する
など多目的に用いることができる。
【0321】本発明に用いられる写真乳剤は、メチン色
素類その他によって分光増感されることが本発明の効果
を発揮するのに好ましい。用いられる色素には、シアニ
ン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メ
ロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシア
ニン色素、スチリル色素およびヘミオキソノール色素が
包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシ
アニン色素、および複合メロシアニン色素に属する色素
である。これらの色素類には、塩基性複素環核としてシ
アニン色素類に通常利用される核のいずれをも適用でき
る。すなわち、例えば、ピロリン核、オキサゾリン核、
チオゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾー
ル核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール
核、ピリジン核;これらの核に脂環式炭化水素環が融合
した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した
核、即ち、例えば、インドレニン核、ベンゾインドレニ
ン核、インドール核、ベンゾオキサドール核、ナフトオ
キサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール
核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾイミダゾール核、キ
ノリン核が適用できる。これらの核は炭素原子上に置換
基を有していてもよい。
【0322】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として、例えば、
ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チ
オオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−
2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸
核の5〜6員複素環核を適用することができる。
【0323】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合せを用いてもよく、増感色素の組合せ
は特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。その代
表例は米国特許第2,688,545号、同第2,97
7,229号、同第3,397,060号、同第3,5
22,052号、同第3,527,641号、同第3,
617,293号、同第3,628,964号、同第
3,666,480号、同第3,672,898号、同
第3,679,428号、同第3,703,377号、
同第3,769,301号、同第3,814,609
号、同第3,837,862号、同第4,026,70
7号、英国特許第1,344,281号、同第1,50
7,803号、特公昭43−4936号、同53−12
375号、特開昭52−110618号、同52−10
9925号に記載されている。 増感色素とともに、そ
れ自身分光増感作用をもたない色素あるいは可視光を実
質的に吸収しない物質であって、強色増感を示す物質を
乳剤中に含んでもよい。
【0324】増感色素を乳剤中に添加する時期は、これ
まで有用であると知られている乳剤調製の如何なる段階
であってもよい。もっとも普通には化学増感の完了後塗
布前までの時期に行なわれるが、米国特許第3,62
8,969号、および同第4,225,666号に記載
されているように化学増感剤と同時期に添加し分光増感
を化学増感と同時に行なうことも、特開昭58−113
928号に記載されているように化学増感に先立って行
なうこともでき、またハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了
前に添加し分光増感を開始することもできる。更にまた
米国特許第4,225,666号に教示されているよう
にこれらの前記化合物を分けて添加すること、即ちこれ
らの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を
化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許第
4,183,756号に開示されている方法を始めとし
てハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
【0325】添加量は、ハロゲン化銀1モル当り、4×
10-6〜8×10-3モルで用いることができるが、より
好ましいハロゲン化銀粒子サイズ0.2〜1.2μmの
場合は約5×10-5〜2×10-3モルが有効である。
【0326】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、本
発明の乳剤を含有する感光性層を少なくとも一層有すれ
ばよい。また本発明の乳剤は、何れの感光性層に含有さ
せても本発明の効果を奏する。
【0327】本発明を採用し得るハロゲン化銀写真感光
材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン
化銀乳剤、色素形成カプラー、DIRカプラー等の機能
性カプラー、各種の添加剤等、及び現像処理について
は、欧州特許第0565096A1号(1993年10
月13日公開)及びこれに引用された特許に記載されて
いる。以下に各項目とこれに対応する記載個所を列記す
る。
【0328】1.層構成:61頁23〜35行、61頁
41行〜62頁14行 2.中間層:61頁36〜40行、 3.重層効果付与層:62頁15〜18行、 4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21〜25行、 5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26〜30行、 6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31〜34行、 7.乳剤製造法:62頁35〜40行、 8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41〜42
行、 9.平板粒子:62頁43〜46行、 10.粒子の内部構造:62頁47行〜53行、 11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行〜63頁5
行、 12.乳剤の物理熟成・化学熟成:63頁6〜9行、 13.乳剤の混合使用:63頁10〜13行、 14.かぶらせ乳剤:63頁14〜31行、 15.非感光性乳剤:63頁32〜43行、 16.塗布銀量:63頁49〜50行、 17.写真用添加剤:リサーチ・ディスクロージャ(R
D)Item17643(1978年12月)、同It
em18716(1979年11月)及び同Item3
08119(1989年12月)に記載されており、下
記に各項目およびこれに関連する記載個所を示す。
【0329】 添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119 1.化学増感剤 23頁 648頁右欄 996頁 2.感度上昇剤 同 上 3.分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 996右〜 998右 強色増感剤 649頁右欄 4.増 白 剤 24頁 998右 5.かぶり防止剤 24〜25頁 649頁右欄 998右〜1000右 および安定剤 6.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 1003左〜1003右 フィルター染料、 650頁左欄 紫外線吸収剤 7.ステイン防止剤 25頁右欄 650左〜右欄 1002右 8.色素画像安定剤 25頁 1002右 9.硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 1004右〜1005左 10.バインダー 26頁 同 上 1003右〜1004右 11.可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006左〜1006右 12.塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左 表面活性剤 13.スタチック 27頁 同 上 1006右〜1007左 防止剤 14.マット剤 1008左〜1009左。
【0330】18.ホルムアルデヒドスカベンジャー:6
4頁54〜57行、 19.メルカプト系かぶり防止剤:65頁1〜2行、 20.かぶらせ剤等放出剤:65頁3〜7行、 21.色素:65頁7〜10行、 22.カラーカプラー全般:65頁11〜13行、 23.イエロー、マゼンタ及びシアンカプラー:65頁1
4〜25行、 24.ポリマーカプラー:65頁26〜28行、 25.拡散性色素形成カプラー:65頁29〜31行、 26.カラードカプラー:65頁32〜38行、 27.機能性カプラー全般:65頁39〜44行、 28.漂白促進剤放出カプラー:65頁45〜48行、 29.現像促進剤放出カプラー:65頁49〜53行、 30.その他のDIRカプラー:65頁54行〜66頁4
行、 31.カプラー分散方法:66頁5〜28行、 32.防腐剤・防かび剤:66頁29〜33行、 33.感材の種類:66頁34〜36行、 34.感光層膜厚と膨潤速度:66頁40行〜67頁1
行、 35.バック層:67頁3〜8行、 36.現像処理全般:67頁9〜11行、 37.現像液と現像薬:67頁12〜30行、 38.現像液添加剤:67頁31〜44行、 39.反転処理:67頁45〜56行、 40.処理液開口率:67頁57行〜68頁12行、 41.現像時間:68頁13〜15行、 42.漂白定着、漂白、定着:68頁16行〜69頁31
行、 43.自動現像機:69頁32〜40行、 44.水洗、リンス、安定化:69頁41行〜70頁18
行、 45.処理液補充、再使用:70頁19〜23行、 46.現像薬感材内蔵:70頁24〜33行、 47.現像処理温度:70頁34〜38行、 48.レンズ付フィルムへの利用:70頁39〜41行。
【0331】以下の実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例によりいかなる意
味においても限定されることはない。
【0332】
【実施例】実施例1:修飾ゼラチン1a〜1g及び2aの
合成 未修飾のアルカリ処理された元ゼラチン1としては、牛
骨を原料とする通常のアルカリ処理オセインゼラチンを
用いた。元ゼラチン1の物性値は 含水率 : 11.4% 等電点 : 5.0 質量平均分子量: 164000(分子量はPAGI法
に基づいて測定) PAGI法により測定された分子量分布は、高分子量成
分が2.5%、低分子量成分が60.0%である。
【0333】ボイド/α比 : 0.13(GPCプロフ
ィールにおける使用したカラム(GS-620)の排除限界の
ボイド部分(分子量約200万以上)とα鎖(分子量10
万)に対する高さの比率)であった。
【0334】1−1 修飾ゼラチン1aないし1g、比
較ゼラチン1の合成 修飾ゼラチン1bの合成 元ゼラチン1(113.6g(乾燥質量100.0
g))に水836.4gを加え、室温で30分間膨潤さ
せた後60℃に加温して溶解した。次いで5mol/l
NaOHでpH値8.0に調整した後、あらかじめ、
N、N−ジメチルホルムアミド50mLに4−(5−メル
カプト−1−テトラゾリル)安息香酸(前記例示化合物
1)222mg(1.0ミリモル)、N−ヒドロキシサ
クシンイミド(NHS)115mg(1.0ミリモル)とW
SC(N−エチル−N、N−ジメチルアミノプロピルカルボ
ジイミド塩酸塩)191mg(1.0ミリモル)を溶解
し、室温で3時間攪拌したものをゼラチン水溶液中に3
0分間かけて滴下した。滴下終了後、60℃に保ちなが
ら更に30分間攪拌した。反応終了後、再び5mol/
lのNaOHでpH=8.0に調整した後、透析(55
℃、72時間)を行った。次いで濃縮(55℃、130
hPa)を行い、固形分濃度が10質量%になるように調
整した。その後5℃に冷却し、ゼラチンセット物として
修飾ゼラチン1bを1kg得た。
【0335】さらに4−(5−メルカプト−1−テトラ
ゾリル)安息香酸、WSC、及びNHSの添加量を変える以外
は同じにして4−(5−メルカプト−1−テトラゾリ
ル)安息香酸のゼラチンへの化学修飾率(%)の異なる
修飾ゼラチン(修飾ゼラチン1a、1c、1d)を合成
した。
【0336】また、比較のために同様の方法で4−(5
−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸の導入量の
少ない修飾ゼラチン(修飾ゼラチン1g)、さらに導入
量の多い修飾ゼラチン(修飾ゼラチン1e〜1f)と特
開平3−37643号公報の実施例に記載のゼラチン
(比較ゼラチン1)を合成した。
【0337】1−2 修飾ゼラチン2aの合成 元ゼラチン1(113.6g)に水760mlを加え、
室温で30分間膨潤させた後60℃に加温して溶解し
た。次いで5mol/lNaOHでpH値6.8に調整
した後、硬膜剤H−II―4の1%水溶液71.4ml(
H−II―4:2.2ミリモル)を1時間かけて滴下し60
℃、3時間攪拌した。 このときゼラチンは架橋されて高
分子量となり、PAGI法により測定された分子量分布
は、高分子量成分が11.8%、低分子量成分が42.
5%であった。更に5mol/lNaOHでpH値8.
0に調整した後、あらかじめ、N、N−ジメチルホルムア
ミド50mLに4−(5−メルカプト−1−テトラゾリ
ル)安息香酸(前記例示化合物1)ジナトリウム塩13
3mg(0.5ミリモル)、N−ヒドロキシサクシンイ
ミド(NHS)58mg(0.5ミリモル)とWSC(N−エ
チル−N、N−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩
酸塩)96mg(0.5ミリモル)を溶解し、室温3時
間攪拌したものをゼラチン水溶液中に30分間かけて滴
下した。滴下終了後、60℃に保ちながら更に30分間
攪拌した。反応終了後透析(55℃、72時間)を行っ
た。次いで濃縮(55℃、130hPa)を行い、固形分
濃度が10%になるように調整した。その後5℃に冷却
し、ゼラチンセット物として修飾ゼラチン2aを1kg得
た。
【0338】修飾ゼラチン1a〜1g、2aおよび比較
ゼラチン1の4−(5−メルカプト−1−テトラゾリ
ル)安息香酸の導入量はUV吸収より定量した。結果を
表1に示す。
【0339】
【表1】
【0340】実施例2:請求項3の第1の乳剤と本発明
の修飾ゼラチンの効果を示す。
【0341】以下の乳剤調製で分散媒として用いたゼラ
チン1〜ゼラチン4は、以下の属性を持つゼラチンであ
る。
【0342】ゼラチン1:牛骨を原料とする、通常のア
ルカリ処理オセインゼラチン。ゼラチン中の−NH
の化学修飾なし。実施例1の元ゼラチン1に同じ。
【0343】ゼラチン2:ゼラチン1の水溶液に、50
℃、pH9.0の条件下で無水フタル酸を加えて化学反
応させた後、残留するフタル酸を除去して乾燥させたゼ
ラチン。ゼラチン中の−NH基が化学修飾された数の
割合95%。
【0344】ゼラチン3:ゼラチン1の水溶液に、50
℃、pH9.0の条件下で無水トリメリット酸を加えて
化学反応させた後、残留するトリメリット酸を除去して
乾燥させたゼラチン。ゼラチン中の−NH基が化学修
飾された数の割合95%。
【0345】ゼラチン4:ゼラチン1に酵素を作用させ
て低分子量化し、平均分子量を15000にした後、酵
素を失活させて乾燥させたゼラチンゼラチン中の−NH
基の化学修飾なし。
【0346】上記のゼラチン1ないしゼラチン4は、全
て脱イオン処理をした後、5%水溶液の35℃における
pHが6.0となるように調整を行った。
【0347】(乳剤A−1の調製)KBrを1.0g、
前記のゼラチン4を1.1g含む水溶液1300mLを
35℃に保ち、撹拌した。(1st液調製) Ag−1
水溶液(100mL中にAgNOを4.9g含有す
る)38mLと、X−1水溶液(100mL中にKBr
を5.2g含有する)29mL、およびG−1水溶液
(100mL中に前記のゼラチン4を8.0g含有す
る)8.5mLをトリプルジェット法で、一定の流量で
30秒間にわたり添加した(添加1)。その後、KBr
6.5gを添加し、温度を75℃に昇温した。昇温後1
2分間の熟成工程を経た後、G−2水溶液(100mL
中に前記のゼラチン−1を12.7g含有する)300
mLを添加し、次いで、4,5−ジヒドロキシ−1,3
−ジスルホン酸ジナトリウム一水和物を4.2gを添加
した。
【0348】次に、Ag−2水溶液(100mL中にA
gNOを22.1g含有する)157mLと、X−2
水溶液(100mL中にKBrを15.5g含有する)
をダブルジェット法で28分間にわたり添加した。この
時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期流量の3.
4倍になるように流量加速を行い、X−2水溶液の添加
は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが7.52を保
つように行った(添加2)。次いで、Ag−3水溶液
(100mL中にAgNOを32.0g含有する)3
29mLと、X−3水溶液(100mL中にKBrを2
1.5g、KIを1.2g含有する)をダブルジェット
法で53分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶
液の添加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように
流量加速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバ
ルク乳剤溶液のpAgが7.52を保つように行った
(添加3)。さらに、Ag−4水溶液(100mL中に
AgNOを32.0g含有する)156mLと、X−
4水溶液(100mL中にKBrを22.4g含有す
る)をダブルジェット法で17分間にわたり添加した。
この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で行い、X
−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが7.52を保つように行った(添加4)。
【0349】その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムを0.0025g、G−3水溶液(100mL中に前
記のゼラチン1を12.0g含有する)125mLを、
1分間づつ間隔をあけて順次添加した。次いでKBr4
3.7gを添加し反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
を9.00にしてから、AgI微粒子乳剤(100g中
に平均粒径0.047μmのAgI微粒子を13.0g
含有する)73.9gを添加し、その2分後から、Ag
−4水溶液249mLと、X−4水溶液をダブルジェッ
ト法で添加した。
【0350】この時Ag−4水溶液は一定の流量で9分
間にわたって添加し、X−4水溶液は最初の3.3分間
だけ反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00に
保つように添加し、残りの5.7分間は添加をせず、反
応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが最終的に8.4に
なるようにした(添加5)。その後、通常のフロキュレ
ーション法により脱塩を行い、次いで、攪拌しながら
水、NaOH、前記のゼラチン1を添加し、56℃でp
H6.4、pAg8.6になるように調整した。得られ
た乳剤は、球相当径の平均値が0.99μm、アスペク
ト比の平均値が3.1かつ粒子の全投影面積の60%が
アスペクト比2.5以上4.5以下であり、AgI含有
量の平均値が3.94モル%の沃臭化銀、平行な主平面
が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒子から成
り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面のAgI
含有量は2.1モル%であった。また、AgCl含量が
0モル%であった。
【0351】続いて、下記増感色素Exs−1、チオシ
アン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウムおよび
N,N−ジメチルセレノ尿素、下記化合物RS−1を順
次添加し最適に化学増感を施した後、水溶性メルカプト
化合物ExA−1およびExA−2を4:1の比率で合
計でハロゲン化銀1モル当たり3.6×10−4モル添
加することにより化学増感を終了させた。乳剤A−1で
は、Exs−1の添加量がハロゲン化銀1モル当たり
3.65×10−4モルの時に最適に化学増感された。
【0352】増感色素Exs−1、化合物RS−1
【化25】
【0353】水溶性メルカプト化合物ExA−1および
ExA−2
【化26】
【0354】(乳剤A−2の調製)前記の乳剤A−1の
調製条件に対して、以下の変更を行った調製条件で乳剤
A−2を調製した。
【0355】(i) 75℃昇温後12分間の熟成工程を
経た後に添加されるG−2水溶液中のゼラチンを前記の
ゼラチン−1からゼラチン−2に変更する。
【0356】(ii) (添加2)のAg−2水溶液の添加
を、添加液量を157mLとしたままで添加時間が2
2.4分間となるように添加流量を変更。流量加速は最
終流量が初期流量の3.4倍になるようにする。また、
X−2水溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgが7.83を保つように行う。
【0357】(iii) (添加3)のAg−3水溶液の添
加を、添加液量を329mLとしたままで添加時間が4
2.4分間となるように添加流量を変更。流量加速は最
終流量が初期流量の1.6倍になるようにする。また、
X−3水溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液の
pAgが7.83を保つように行う。
【0358】得られた乳剤は、球相当径の平均値が0.
99μm、アスペクト比の平均値が6.9かつ粒子の全
投影面積の60%がアスペクト比5.0以上8.0以下
であり、AgI含有量の平均値が3.94モル%の沃臭
化銀、平行な主平面が(111)面である平板状ハロゲ
ン化銀粒子から成り、XPSで測定されたハロゲン化銀
粒子表面のAgI含有量は2.4モル%であった。ま
た、AgCl含量が0モル%であった。なお、乳剤A−
2では、増感色素Exs−1の添加量がハロゲン化銀1
モル当たり4.60×10−4モルの時に最適に化学増
感された。
【0359】(乳剤A−3の調製)前記の乳剤A−1の
調製条件に対して、以下の変更を行った調製条件で乳剤
A−3を調製した。
【0360】(i) 75℃昇温後12分間の熟成工程を
経た後に添加されるG−2水溶液中のゼラチンを前記の
ゼラチン−1からゼラチン−3に変更する。
【0361】(ii) (添加2)のAg−2水溶液の添加
を、添加液量を157mLとしたままで添加時間が14
分間となるように添加流量を変更。流量加速は最終流量
が初期流量の3.4倍になるようにする。また、X−2
水溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpAg
が8.30を保つように行う。
【0362】(iii) (添加3)のAg−3水溶液の添
加を、添加液量を329mLとしたままで添加時間が2
7分間となるように添加流量を変更。流量加速は最終流
量が初期流量の1.6倍になるようにする。また、X−
3水溶液の添加は、反応容器内のバルク乳剤溶液のpA
gが8.30を保つように行う。
【0363】得られた乳剤は、球相当径の平均値が0.
99μm、アスペクト比の平均値が12.5、かつ粒子
の全投影面積の60%がアスペクト比9.0以上15.
0以下であり、AgI含有量の平均値が3.94モル%
の沃臭化銀、平行な主平面が(111)面である平板状
ハロゲン化銀粒子から成り、XPSで測定されたハロゲ
ン化銀粒子表面のAgI含有量は2.6モル%であっ
た。また、AgCl含量が0モル%であった。なお、乳
剤A−3では、増感色素Exs−1の添加量をハロゲン
化銀1モル当たり6.42×10−4モルとした。
【0364】前記の乳剤A−1〜A−3について400
kVの透過型電子顕微鏡を用いて液体窒素温度で観察し
たところ、いずれの粒子においても平板粒子のフリンジ
部に転位線が10本以上存在していることがわかった。
【0365】また、前記の乳剤A−1〜A−3は、前記
の乳剤調製工程における(添加2)の直前に4,5−ジ
ヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリウ
ム一水和物を添加したことにより還元増感がなされてい
る。
【0366】(乳剤A−4〜A−6の調製)乳剤A−1
〜A−3において、乳剤調製工程に使用したゼラチン1
のを本発明の修飾ゼラチン1bに等量置き換えた以外は
同様に、各々乳剤A−4〜A−6を調製した。
【0367】(乳剤A−7〜A−13及びA−15の調
製)乳剤A−3において、乳剤調製工程に使用したゼラ
チン1を表2に示す修飾ゼラチンに等量置き換えた以外
は同様に、各々乳剤A−7〜A−13およびA−15を
調製した。
【0368】
【表2】
【0369】(乳剤A−14の調製)乳剤A−3におい
て、乳剤調製工程に4−(5−メルカプト−1−テトラ
ゾリル)安息香酸を乳剤A−9に含まれるモル数の1倍
モル添加した以外は同様に、乳剤A−14を調製した。
【0370】下塗り層を設けてある三酢酸セルロースフ
ィルム支持体に下記に示すような塗布条件で、前記の乳
剤A−1〜A−15の塗布を行った。塗布試料を各々表
2に示すように試料101〜115とする。
【0371】(乳剤塗布条件)ハロゲン化銀については
銀換算の塗布量を示す。
【0372】 1)乳剤層 各種の乳剤 銀 1.76g/m マゼンタ色素形成カプラー(M−1) 1.58g/m トリクレジルホスフェート 1.32g/m ゼラチン 3.24g/m 2)保護層 4ージクロロー6ーヒドロキシーsートリアジンナトリウム塩 0.08g/m ゼラチン 1.80g/m また塗布性をよくするために、適宜、界面活性剤が含有
されている。
【0373】マゼンタ色素形成カプラーM−1
【化27】
【0374】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間硬膜処理を施した。その後、富士フイ
ルム(株)製ゼラチンフィルターSC−50(カットオ
フ波長が500nmである長波長光透過フィルター)と
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、後述の現
像処理を行なった試料を緑色フィルターで濃度測定する
ことにより写真性能の評価を行った。感度はかぶり濃度
プラス0.2のマゼンタ濃度を与えるルックス・秒で表
示する露光量の逆数の対数の相対値で表示した。(試料
101の感度を100とした。)富士写真フイルム
(株)製ネガプロセサーFP−350を用い、以下に記
載の方法で(液の累積補充量がその母液タンク容量の3
倍になるまで)処理した。
【0375】 (処理方法) 工 程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分45秒 38℃ 45mL 漂 白 1分00秒 38℃ 20mL 漂白液オーバーフローは 漂白定着タンクに全量流入 漂白定着 3分15秒 38℃ 30mL 水洗 (1) 40秒 35℃ (2) から(1) への 向流配管方式 水洗 (2) 1分00秒 35℃ 30mL 安 定 40秒 38℃ 20mL 乾 燥 1分15秒 55℃ *補充量は35mm巾1.1m長さ当たり(24Ex.1本相当)。
【0376】次に、処理液の組成を記す。
【0377】 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 1.0 1.1 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸 2.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 4.0 4.4 炭酸カリウム 30.0 37.0 臭化カリウム 1.4 0.7 沃化カリウム 1.5mg − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 2.8 4−〔N−エチル−N−(α−ヒドロキシエチル)アミノ〕 −2−メチルアニリン硫酸塩 4.5 5.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.10。
【0378】 (漂白液) タンク液、補充液共通(単位 g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 120.0 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 10.0 臭化アンモニウム 100.0 硝酸アンモニウム 10.0 漂白促進剤 0.005モル (CH3)2N-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2-N(CH3)2・2HCl アンモニア水(27%) 15.0mL 水を加えて 1.0L pH(アンモニア水と硝酸にて調整) 6.3。
【0379】 (漂白定着液) タンク液(g) 補充液(g) エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム二水塩 50.0 − エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 5.0 2.0 亜硫酸ナトリウム 12.0 20.0 チオ硫酸アンモニウム水溶液(700g/L) 240.0mL 400.0mL アンモニア水(27%) 6.0mL − 水を加えて 1.0L 1.0L pH(アンモニア水と酢酸にて調整) 7.2 7.3。
【0380】(水洗液) タンク液、補充液共通 水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハ
ース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型ア
ニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充
填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシ
ウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理し、続いて
二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/リットルと
硫酸ナトリウム0.15g/リットルを添加した。この
液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
【0381】 (安定液) タンク液、補充液共通(単位 g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル (平均重合度10) 0.2 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。
【0382】(経時による写真性変化の評価)塗布試料
の露光後の経時による感度変化を以下の方法で評価し
た。
【0383】前記の試料101〜115を、前記と同様
に連続ウェッジを通して1/100秒間露光を施した後、一
方を−20℃で14日間(経時(i))、他方を40℃、
相対湿度40%で14日間(経時(ii))の2つの条件で
経時させた。その後、前記の発色現像時間を1分45秒
とした現像処理を行い、緑色フィルターでかぶり濃度プ
ラス0.5のマゼンタ濃度を与えるルックス・秒で表示
する露光量の逆数の対数の相対値で感度を求め、経時
(i)と経時(ii)の感度変化幅を比較し、経時後の写真性
変化を表す値とした。値が小さいほど写真性変化が小さ
く好ましい。
【0384】(塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価)前記の試料101〜115において各乳剤を40℃
で溶解し8時間経時させた後に試料101〜115と同
様の塗布条件で試料201〜215を作製した。これら
の試料101〜115及び201〜215を40℃、相
対湿度70%の条件下で14時間放置した後、前記と同
様の現像処理を行い、各試料のかぶり濃度プラス0.2
の濃度でのRMS粒状度を測定した。粒子が凝集すると
粒状性が悪化しRMS粒状度の値が増大する。
【0385】写真性能の結果を表2にまとめて示した。
表2に示すように乳剤A−1からA−3はアスペクト比
の増加とともに粒子が凝集し易くなるため「溶解経時後
のRMS粒状度」が悪化した。本発明の修飾ゼラチンを
用いると粒子の凝集が抑制され、凝集のない粒子本来の
粒状度を示すようになった。また粒状性だけでなく、
「経時後の写真性変化」もアスペクト比の大きな粒子の
方が有効である。この「溶解経時後のRMS粒状度」及
び「経時後の写真性変化」への効果は、メルカプト化合
物の導入量が本発明より少なくても、乳剤A−12のご
とく、極めて不十分である。また単にメルカプト化合物
を添加するだけでは乳剤A−14に示すごとく効果は発
現しない。メルカプト化合物の導入量が本発明より多い
修飾ゼラチンを用いた乳剤A−10及びA−11では凝
集防止の効果が極めて不十分である。さらに導入量の多
い特開平3−37643号公報の実施例に記載の比較ゼ
ラチン1を用いた乳剤A−13では逆に凝集が悪化し
た。このように感度、粒状性及び経時後の写真性変化全
てに優れた写真性能を満たすには本発明の修飾ゼラチン
における銀親和性基の導入量が不可欠である。また銀親
和性基をあらかじめ高分子量化したゼラチンに導入した
修飾ゼラチン2aを用いた乳剤A−15は粒状性及び経
時後の写真性変化の何れも効果が大きいことが分かる。
【0386】実施例3:請求項4の第2の乳剤と本発明
の修飾ゼラチンの効果を示す。以下の製法によりホスト
ハロゲン化銀乳剤Em−AとEm−Bを調製した。
【0387】(種乳剤aの調製)KBr0.017g、
平均分子量20000の酸化処理ゼラチン0.4gを含
水溶液1164mLを30℃に保ち撹拌した。AgNO
3(1.6g)水溶液とKBr水溶液と平均分子量20
000の酸化処理ゼラチン(2.1g)水溶液をトリプ
ルジェット法で30秒間に渡り添加した。AgNO3
液の濃度は0.2mol/リットルの溶液を用いた。こ
の時,銀電位を飽和カロメル電極に対して15mVに保
った。KBr水溶液を加え、銀電位を−60mVとした
後,75℃に昇温した。平均分子量100000のコハ
ク化ゼラチン21gを添加した。AgNO3(206.
3g)水溶液とKBr水溶液をダブルジェット法で流量
加速しながら61分間に渡って添加した。この時、銀電
位を飽和カロメル電極に対して−40mVに保った。脱
塩した後、平均分子量100000のコハク化ゼラチン
を加え、40℃でpH5.8、pAg8.8に調整し、
種乳剤を調製した。この種乳剤は乳剤1kg当たり、A
gを1モル、ゼラチンを80g含有し、平均円相当直径
1.60μm、円相当直径の変動係数22%、平均厚み
0.043μm、平均アスペクト比37の平板粒子であ
った。
【0388】(ホスト平板粒子乳剤Em−Aの調製)上
記種乳剤aを134g、KBr1.9g、平均分子量1
00000のコハク化ゼラチン22gを含む水溶液12
00mLを75℃に保ち撹拌した。AgNO 3(13
7.5g)水溶液とKBr水溶液と分子量20000の
酸化処理ゼラチン水溶液を特開平10−43570号に
記載の磁気カップリング誘導型攪拌機を有する別のチャ
ンバ−内で添加前直前混合して25分間に渡り添加し
た。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して−40
mVに保った。その後、AgNO3(30.0g)水溶
液とKBr水溶液と予め調製したAgI超微粒子乳剤を
トリプルジェット法で30分間に渡って一定流量で添加
した。AgI超微粒子乳剤の添加量は沃化銀含有率が1
5モル%になるように調整した。またAgI超微粒子乳
剤は円相当径0.03μm、円相当径の変動係数17%
で分散ゼラチンとしてトリメリット化ゼラチンを使用し
たものを用いた。途中で6塩化イリジウムカリウムとベ
ンゼンチオスルホン酸ナトリウムを添加した。この時、
銀電位を飽和カロメル電極に対して−20mVに保っ
た。その後AgNO3水溶液(36.4g)とKBr水
溶液と前述した予め調整したAgI超微粒子乳剤を40
分間に渡って一定流量で添加した。AgI超微粒子乳剤
の添加量は沃化銀含有率が15モル%になるように調整
した。この時、銀電位を飽和カロメル電極に対して+8
0mVに保った。通常の水洗を行い、ゼラチン1を添加
し、40℃でpH5.8、pBr4.0に調整した。こ
の乳剤を乳剤Em−Aとした。乳剤Em−Aは平均円相
当径4.2μm、円相当径の変動係数19%、平均厚み
0.062μm、平均アスペクト比68の平板粒子であ
った。また、全投影面積の90%以上が円相当径3.0
μm以上、厚み0.07μm以下であった。また、全投
影面積の90%以上が最小の長さを有する辺の長さに対
する最大の長さを有する辺の長さの比が1.4以下であ
る六角形平板粒子で占められていた。低温での投下電子
顕微鏡観察の結果、全投影面積の90%以上の粒子に転
位線は全く観測されなかった。また側面の(111)面
比率は68%であった。
【0389】(ホスト平板粒子乳剤Em―BおよびEm
―Cの調製)乳剤Em−Aにおいて、乳剤調製工程に使
用するゼラチン1を本発明の実施例1に示した修飾ゼラ
チン1c、および2aに等量置き換えた以外は同様に、
各々ホスト平板粒子乳剤Em−BおよびCを調製した。
【0390】(エピタキシャル沈着と化学増感)ホスト
平板粒子乳剤Em−A、Em−B及びEm−Cに以下に
示した(i)から(iii)のエピタキシャル沈着を行った。
【0391】(i) ホスト平板粒子乳剤を40℃で溶解
しKI水溶液をホスト平板粒子の銀量1モルに対して3
×10-3モル添加した。増感色素I、II、IIIを6:
3:1のモル比で飽和被覆量の70%の比率で添加し
た。但し増感色素は、特開平11−52507号に記載
の方法で作成した固体微分散物として、使用した。すな
わち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸ナトリウム
3.2質量部をイオン交換水43部に溶解し、増感色素
13質量部を添加し、60℃の条件下でディゾルバ−翼
を用い2000rpmで20分間分散することにより、
増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシアノルテニウム
(II)酸カリウムを3.1×10-6モル(以降ホスト平
板粒子の銀量1モルに対して)添加した後KBr水溶液
を1.5×10-2モル添加した。その後、1モル/リッ
トルの硝酸銀水溶液3.0×10-2モルとNaCl水溶
液2.7×10-2モルをダブルジェット法で10分間に
渡って定流量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和カ
ロメル電極に対して+85mVであった。かぶり防止剤
ExA−3を2×10-5モル添加した後,乳剤を50℃
に昇温し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸
ナトリウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し
最適に化学増感を施した。実施例2のメルカプト化合物
ExA−1を5×10-4モル添加して化学増感を終了し
た。
【0392】増感色素I、II、III、かぶり防止剤Ex
A−3
【化28】
【0393】(ii) ホスト平板粒子乳剤を40℃で溶解
し前述したAgI微粒子乳剤をホスト平板粒子の銀量1
モルに対して3×10-3モル添加した。増感色素I、I
I、IIIを6:3:1のモル比で飽和被覆量の70%の比
率で添加した。但し増感色素は、特開平11−5250
7号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使用
した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫酸
ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43部に溶解
し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でデ
ィゾルバ−翼を用い2000rpmで20分間分散する
ことにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシア
ノルテニウム(II)酸カリウムを3.1×10-6モル
(以降ホスト平板粒子の銀量1モルに対して)添加した
後KBr水溶液を1.5×10-2モル添加した。NaC
l水溶液を2.7×10-2モル添加した後、0.1モル
/リットルの硝酸銀水溶液3.0×10-2モルを1分間
に渡って定流量で添加した。添加終了時の銀電位は飽和
カロメル電極に対して+85mVであった。かぶり防止
剤ExA−3を2×10-5モル添加した後,乳剤を50
℃に昇温し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫
酸ナトリウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加
し最適に化学増感を施した。化合物ExA−1を5×1
-4モル添加して化学増感を終了した。
【0394】(iii) ホスト平板粒子乳剤を40℃で溶
解し前述したAgI微粒子乳剤をホスト平板粒子の銀量
1モルに対して3×10-3モル添加した。増感色素I、
II、IIIを6:3:1のモル比で飽和被覆量の70%の
比率で添加した。但し増感色素は、特開平11−525
07号に記載の方法で作成した固体微分散物として、使
用した。すなわち硝酸ナトリウム0.8質量部および硫
酸ナトリウム3.2質量部をイオン交換水43部に溶解
し、増感色素13質量部を添加し、60℃の条件下でデ
ィゾルバ−翼を用い2000rpmで20分間分散する
ことにより、増感色素の固体分散物を得た。ヘキサシア
ノルテニウム(II)酸カリウムを3.1×10-6モル
(以降ホスト平板粒子の銀量1モルに対して)添加した
後KBr水溶液を1.5×10-2モル添加した。その
後、0.1モル/リットルの硝酸銀水溶液3.0×10
-2モルとNaCl水溶液2.7×10-2モルをダブルジ
ェット法で2分間に渡って定流量で添加した。添加終了
時の銀電位は飽和カロメル電極に対して+85mVであ
った。かぶり防止剤ExA−3を2×10-5モル添加し
た後,KBr水溶液を添加して銀電位を飽和カロメル電
極に対して+20mVに調整した。乳剤を50℃に昇温
し、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリ
ウムおよびN,N−ジメチルセレノ尿素を添加し最適に
化学増感を施した。化合物ExA−1を5×10-4モル
添加して化学増感を終了した。
【0395】ホスト平板粒子乳剤に上記エピタキシャル
沈着を組み合わせて調製した乳剤についてEPMA法を
用いて粒子間の沃化銀含有率と塩化銀含有率の分布を測
定した。またレプリカでの電子顕微鏡観察からエピタキ
シャル沈着の様子を観察した。ホスト平板粒子乳剤Em
−Aでの結果をまとめて表3に示す。ホスト平板粒子乳
剤Em−BおよびCも同じ結果を得た。これら9種の乳
剤は塩化銀含有率が1.2モル%、沃化銀含有率が4.
5モル%の沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子で
あった。
【0396】
【表3】
【0397】実施例2と同様に前記の乳剤9種の塗布を
行った。塗布した試料を試料301ないし309とし
た。感度も実施例1と同様の露光・現像処理を行い、試
料301の感度を100として実験した。試料301〜
309を用いて実施例2と同様にして経時による写真性
変化の評価を行った。
【0398】また前記9種の乳剤を40℃で溶解し8時
間経時させた後に塗布した試料を試料301〜309と
同様の塗布条件で各々試料311〜319を作製した。
実施例2と同様に感度・RMS粒状度を試料301〜3
09と比較し、塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価を行った。
【0399】結果を表4にまとめて示した。
【0400】
【表4】
【0401】表4に示す通り、本発明の請求項4の第2
の乳剤においても感度を損なうことなく、写真性変化を
小さくすることができる。また塗設時の粒子凝集を防止
することができ粒状性に優れた乳剤を提供できる。
【0402】実施例4:請求項5の第3の乳剤と本発明
の修飾ゼラチンの効果を示す。
【0403】(乳剤EM−A1の調製) (1st液調製)KBrを0.6g、前記のゼラチン4
を1.1g含む水溶液1300mLを35℃に保ち、撹
拌した。
【0404】(添加1)Ag−1水溶液(100mL中
にAgNO3を4.9g含有する)24mLと、X−1
水溶液(100mL中にKBrを4.1g含有する)2
4mL、およびG−1水溶液(100mL中に前記の実
施例2のゼラチン4を1.8g含有する)24mLをト
リプルジェット法で、一定の流量で30秒間にわたり添
加した。その後、KBr1.3gを添加し、温度を75
℃に昇温した。昇温後12分間の熟成工程を経た後、G
−2水溶液(100mL中に前記のゼラチン3を12.
7g含有する)300mLを添加し、次いで、4,5−
ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸ジナトリ
ウム一水和物を8.4g、二酸化チオ尿素を0.002
gを1分間づつ間隔をあけて順次添加した。
【0405】(添加2)次に、Ag−2水溶液(100
mL中にAgNO3を22.1g含有する)157mL
と、X−2水溶液(100mL中にKBrを15.5g
含有する)をダブルジェット法で14分間にわたり添加
した。この時、Ag−2水溶液の添加は最終流量が初期
流量の3.4倍になるように流量加速を行い、X−2水
溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶液のpAgが
8.3を保つように行った。
【0406】(添加3)次いで、Ag−3水溶液(10
0mL中にAgNO3を32.0g含有する)329m
Lと、X−3水溶液(100mL中にKBrを21.5
g、KIを1.6g含有する)をダブルジェット法で2
7分間にわたり添加した。この時、Ag−3水溶液の添
加は最終流量が初期流量の1.6倍になるように流量加
速を行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳
剤溶液のpAgが8.3を保つように行った。
【0407】(添加4)さらに、Ag−4水溶液(10
0mL中にAgNO3を32.0g含有する)156m
Lと、X−4水溶液(100mL中にKBrを22.4
g含有する)をダブルジェット法で17分間にわたり添
加した。この時、Ag−4水溶液の添加は一定の流量で
行い、X−3水溶液の添加は反応容器内のバルク乳剤溶
液のpAgが8.3を保つように行った。
【0408】その後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ムを0.0025g、G−3水溶液(100mL中に前
記のゼラチン1を12.0g含有する)125mLを、
1分間づつ間隔をあけて順次添加した。
【0409】次いでKBr43.7gを添加し反応容器
内のバルク乳剤溶液のpAgを9.00にしてから、A
gI微粒子乳剤(100g中に平均粒径0.047mの
AgI微粒子を13.0g含有する)73.9gを添加
した。
【0410】(添加5)その2分後から、Ag−4水溶
液249mLと、X−4水溶液をダブルジェット法で添
加した。この時Ag−4水溶液は一定の流量で16分間
にわたって添加し、X−4水溶液はpAgを9.10に
保つように添加した。
【0411】(添加6)最初の5分間に、黄血塩水溶液
をトータルの銀に対して5×10-6 mol/molAgとなるよ
うに定量で添加した。続いて10分間は、反応容器内の
バルク乳剤溶液のpAgが7.5になるようにして添加
を行った。
【0412】その後、通常のフロキュレーション法によ
り脱塩を行い、次いで、攪拌しながら水、NaOH、前
記のゼラチン1を添加し、56℃でpH5.8、pAg
8.9になるように調整した。
【0413】得られた粒子は、全投影面積の50%以上
が円相当径1.2μm以上、粒子厚み0.20μm未満
であり、全粒子のアスペクト比の平均値が6.0、Ag
I含有量の平均値が3.94モル%である平行な主平面
が(111)面である平板状ハロゲン化銀粒子から成
り、XPSで測定されたハロゲン化銀粒子表面のAgI
含有量は2.1モル%であった。また全粒子の円相当径
の変動係数は24%であった。また、AgCl含量が0
モル%であった。
【0414】(EM−A2及びEM−A3)の調製 乳剤EM−1の粒子成長条件等を適当に変化させること
により、粒子厚みの異なる平板乳剤を調製した。全投影
面積の50%以上を占める粒子の厚みはEM−A2が
0.10μm以下、EM−A3が0.07μm以下であ
った。粒子厚み以外は円相当径、AgI含有量とも乳剤
EM−A1と同じである。
【0415】(EM−A4〜EM−A6)の調製 乳剤EM−A1ないしEM−A3調製中のゼラチン1を
本発明の修飾ゼラチン1bに等量置き換える以外は同様
にして各々EM−A4〜EM−A6を調製した。
【0416】(EM−A7〜EM−A9)の調製 乳剤EM−A1ないしEM−A3調製中のゼラチン1を
本発明の修飾ゼラチン2aに等量置き換える以外は同様
にして各々EM−A7〜EM−A9を調製した。
【0417】(平板粒子の透過型電子顕微鏡による観
察)EM−A1ないしA9は何れも平板粒子のフリンジ
部に転位線が1粒子当たり10本以上観察された。
【0418】(化学増感)上記EM−A1ないしEM−
A9に対して前記増感色素Exs−1及び下記増感色素
1、増感色素2,増感色素3、下記化合物ExA−4、
チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫酸ナトリウム
およびN,N−ジメチルセレノ尿素を順次添加し最適に
化学増感を施した後、前記の水溶性メルカプト化合物E
xA−1および前記実施例3の化合物ExA−3を4:
1の比率で合計でハロゲン化銀1モル当たり3.6×1
-4モル添加することにより化学増感を終了させた。
【0419】増感色素1、増感色素2,増感色素3
【化29】
【0420】化合物ExA−4
【化30】 本実施例で使用する乳剤の特性を表5に示す。
【0421】
【表5】
【0422】表5において、乳剤EM−A1以外の平板
状粒子においても高圧電子顕微鏡を用いると、特開平3
−237450号に記載されているような転位線が観察
される。
【0423】本実施例で使用する乳剤に用いる増感色素
の種類及び添加量を表6に示す。
【0424】
【表6】
【0425】増感色素4、増感色素5、増感色素6
【化31】
【0426】増感色素7、増感色素8
【化32】
【0427】増感色素9、増感色素10
【化33】
【0428】増感色素11、増感色素12、増感色素1
【化34】
【0429】1)支持体 本実施例で用いた支持体は、下記の方法により作製し
た。
【0430】1)第1層及び下塗り層 厚さ90μmのポリエチレンナフタレート(PEN)支
持体について、その各々の両面に、処理雰囲気圧力2.
66×10Pa、雰囲気気体中のH2O分圧75%、放
電周波数30kHz、出力2500W、処理強度0.5
kV・A・分/m2でグロー放電処理を施した。この支
持体上に、第1層として下記組成の塗布液を特公昭58
−4589号公報に記載のバー塗布法を用いて、5mL
/m2の塗布量で塗布した。
【0431】 導電性微粒子分散液(SnO2/Sb25粒子濃度 50 質量部 10%の水分散液.1次粒子径0.005μmの 2次凝集体でその平均粒径が0.05μm) ゼラチン 0.5 質量部 水 49 質量部 ポリグリセロールポリグリシジルエーテル 0.16 質量部 ポリ(重合度20)オキシエチレン 0.1 質量部 ソルビタンモノラウレート。
【0432】さらに、第1層を塗設後、直径20cmの
ステンレス巻芯に巻付けて、110℃(PEN支持体の
Tg:119℃)で48時間加熱処理し熱履歴させてア
ニール処理をした後、支持体をはさみ第1層側と反対側
に乳剤用の下塗り層として下記組成の塗布液をバー塗布
法を用いて、10mL/m2の塗布量で塗布した。
【0433】 ゼラチン 1.01 質量部 サリチル酸 0.30 質量部 レゾルシン 0.40 質量部 ポリ(重合度10)オキシエチレンノニルフェニルエーテル 0.11 質量部 水 3.53 質量部 メタノール 84.57 質量部 n−プロパノール 10.08 質量部。
【0434】さらに、後述する第2、第3層を第1層の
上に順に塗設し、最後に、後述する組成のカラーネガ感
光材料を反対側に重層塗布することによりハロゲン化銀
乳剤層付き透明磁気記録媒体を作製した。
【0435】2)第2層(透明磁気記録層) (i)磁性体の分散 Co被着γ−Fe23磁性体(平均長軸長:0.25μ
m、SBET :39m2/g、Hc:6.56×10
/m、σs :77.1Am/kg、σr :37.4A
/kg)1100質量部、水220質量部及びシラ
ンカップリング剤〔3−(ポリ(重合度10)オキシエ
チニル)オキシプロピル トリメトキシシラン〕165
質量部を添加して、オープンニーダーで3時間良く混練
した。この粗分散した粘性のある液を70℃で1昼夜乾
燥し水を除去した後、110℃で1時間加熱処理し、表
面処理をした磁気粒子を作製した。
【0436】さらに以下の処方で、再びオープンニーダ
ーにて4時間混練した。
【0437】 上記表面処理済み磁気粒子 855 g ジアセチルセルロース 25.3 g メチルエチルケトン 136.3 g シクロヘキサノン 136.3 g さらに、以下の処方で、サンドミル(1/4Gのサンド
ミル)にて2000rpm、4時間微細分散した。メデ
ィアは1mmΦのガラスビーズを用いた。
【0438】 上記混練液 45 g ジアセチルセルロース 23.7 g メチルエチルケトン 127.7 g シクロヘキサノン 127.7 g さらに、以下の処方で、磁性体含有中間液を作製した。
【0439】 (ii)磁性体含有中間液の作製 上記磁性体微細分散液 674 g ジアセチルセルロース溶液 24280 g (固形分4.34%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1) シクロヘキサノン 46 g これらを混合した後、ディスパ−にて撹拌し、「磁性体
含有中間液」を作製した。
【0440】以下の処方で本発明のα−アルミナ研磨材
分散液を作製した。
【0441】 (a)スミコランダムAA−1.5(平均1次粒子径1.5μm, 比表面積1 .3m2 /g) 粒子分散液の作製 スミコランダムAA−1.5 152g シランカップリング剤KBM903(信越シリコ−ン社製) 0.48g ジアセチルセルロース溶液 227.52g (固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1) 上記処方にて、セラミックコートしたサンドミル(1/
4Gのサンドミル)を用いて800rpm、4時間微細
分散した。メディアは1mmΦのジルコニアビーズを用
いた。
【0442】(b)コロイダルシリカ粒子分散液(微小
粒子) 日産化学(株)製の「MEK−ST」を使用した。
【0443】これは、メチルエチルケトンを分散媒とし
た、平均1次粒子径0.015μmのコロイダルシリカ
の分散液であり、固形分は30%である。
【0444】 (iii)第2層塗布液の作製 上記磁性体含有中間液 19053 g ジアセチルセルロース溶液 264 g (固形分4.5%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1) コロイダルシリカ分散液「MEK −ST」[分散液b] 128g (固形分30%) AA−1.5分散液 [分散液a] 12g ミリオネートMR−400(日本ポリウレタン(株)製) 希釈液 203g (固形分20%、希釈溶剤:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1) メチルエチルケトン 170 g シクロヘキサノン 170 g 上記を混合・撹拌した塗布液をワイヤーバーにて、塗布
量29.3mL/m2になるように塗布した。乾燥は1
10℃で行った。乾燥後の磁性層としての厚みは1.0
μmだった。
【0445】3)第3層(高級脂肪酸エステル滑り剤含
有層) (i)滑り剤の分散原液の作製 下記のア液を100℃加温溶解し、イ液に添加後、高圧
ホモジナイザーで分散し、滑り剤の分散原液を作製し
た。
【0446】 ア液 下記化合物 399 質量部 C613CH(OH)(CH210COOC50101 下記化合物 171 質量部 n−C50101O(CH2CH2 O)16H シクロヘキサノン 830 質量部。
【0447】 イ液 シクロヘキサノン 8600 質量部。
【0448】(ii)球状無機粒子分散液の作製以下の処方
にて、球状無機粒子分散液[c1]を作製した。
【0449】 イソプロピルアルコール 93.54質量部 シランカップリング剤KBM903(信越シリコ−ン社製) 化合物1−1:(CH3O)3Si−(CH23−NH2) 5.53質量部 化合物1−2 2.93質量部
【化35】
【0450】 シーホスタKEP50 88.00質量部 (非晶質球状シリカ、平均粒子径0.5μm、日本触媒
(株)製)。
【0451】上記処方にて10分間撹拌後、更に以下を
追添する。
【0452】 ジアセトンアルコール 252.93質量部 上記液を氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー
「SONIFIER450(BRANSON(株)
製)」を用いて3時間分散し、球状無機粒子分散液c1
を完成させた。
【0453】(iii)球状有機高分子粒子分散液の作製 以下の処方にて、球状有機高分子粒子分散液[c2]を
作製した。
【0454】 XC99−A8808(東芝シリコーン(株)製、球状架橋ポリシロキサン粒 子、平均粒径0.9μm) 60質量部 メチルエチルケトン 120質量部 シクロヘキサノン 120質量部 (固形分20%、溶媒:メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1/1) 氷冷・攪拌しながら、超音波ホモジナイザー「SONI
FIER450(BRANSON(株) 製)」を用いて
2時間分散し球状有機高分子粒子分散液c2を完成させ
た。
【0455】(iv) 第3層塗布液の作製 前述、滑り剤分散原液542gに下記を加え第3層塗布
液とした。
【0456】 ジアセトンアルコール 5950 g シクロヘキサノン 176 g 酢酸エチル 1700 g 上記シーホスタKEP50分散液[c1] 53.1 g 上記球状有機高分子粒子分散液[c2] 300 g FC431 2.65 g (3M(株)製、固形分50%、溶剤:酢酸エチル) BYK310 5.3 g (BYKケミジャパン(株) 製、固形分含量25%)。
【0457】上記第3層塗布液を第2層の上に10.3
5mL/m2の塗布量で塗布し、110℃で乾燥後、更
に97℃で3分間後乾燥した。
【0458】4)感光層の塗設 次に、前記で得られたバック層の反対側に、下記の組成
の各層を重層塗布し、カラーネガフィルムを作成した。
【0459】(感光層の組成) 各層に使用する素材の主なものは下記のように分類され
ている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 (具体的な化合物は以下の記載で、記号の次に数値が付
けられ、後ろに化学式が挙げられている)。
【0460】各成分に対応する数字は、g/m2単位で
表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については銀換算の
塗布量を示す。
【0461】 第1層(第1ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.122 0.07μmの沃臭化銀乳剤 銀 0.01 ゼラチン 0.919 ExM−1 0.066 ExC−1 0.002 ExC−3 0.002 Cpd−2 0.001 F−8 0.010 HBS−1 0.005 HBS−2 0.002。
【0462】 第2層(第2ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.055 ゼラチン 0.425 ExF−1 0.002 F−8 0.012 固体分散染料 ExF−7 0.120 HBS−1 0.074。
【0463】 第3層(中間層) ExC−2 0.050 Cpd−1 0.090 ポリエチルアクリレートラテックス 0.200 HBS−1 0.100 ゼラチン 0.700。
【0464】 第4層(低感度赤感乳剤層) EM−D 銀 0.577 EM−C 銀 0.347 ExC−1 0.188 ExC−2 0.011 ExC−3 0.075 ExC−4 0.121 ExC−5 0.010 ExC−6 0.007 ExC−8 0.050 ExC−9 0.020 Cpd−2 0.025 Cpd−4 0.025 HBS−1 0.114 HBS−5 0.038 ゼラチン 1.474。
【0465】 第5層(中感度赤感乳剤層) EM−B 銀 0.435 EM−C 銀 0.432 ExC−1 0.154 ExC−2 0.068 ExC−3 0.018 ExC−4 0.103 ExC−5 0.023 ExC−6 0.010 ExC−8 0.016 ExC−9 0.005 Cpd−2 0.036 Cpd−4 0.028 HBS−1 0.129 ゼラチン 1.086。
【0466】 第6層(高感度赤感乳剤層) EM−A1 銀 1.112 ExC−1 0.175 ExC−3 0.038 ExC−6 0.029 ExC−8 0.112 ExC−9 0.020 Cpd−2 0.064 Cpd−4 0.033 HBS−1 0.329 HBS−2 0.120 ゼラチン 1.245。
【0467】 第7層(中間層) Cpd−1 0.094 Cpd−6 0.369 固体分散染料ExF−4 0.030 HBS−1 0.049 ポリエチルアクリレートラテックス 0.088 ゼラチン 0.886。
【0468】 第8層(赤感層へ重層効果を与える層) EM−J 銀 0.293 EM−K 銀 0.293 Cpd−4 0.030 ExM−2 0.120 ExM−3 0.016 ExM−4 0.026 ExY−1 0.016 ExY−4 0.036 ExC−7 0.026 HBS−1 0.090 HBS−3 0.003 HBS−5 0.030 ゼラチン 0.610。
【0469】 第9層(低感度緑感乳剤層) EM−H 銀 0.329 EM−G 銀 0.333 EM−I 銀 0.088 ExM−2 0.378 ExM−3 0.047 ExY−1 0.017 ExC−7 0.007 HBS−1 0.098 HBS−3 0.010 HBS−4 0.077 HBS−5 0.548 Cpd−5 0.010 ゼラチン 1.470。
【0470】 第10層(中感度緑感乳剤層) EM−F 銀 0.457 ExM−2 0.032 ExM−3 0.029 ExM−4 0.029 ExY−3 0.007 ExC−6 0.010 ExC−7 0.012 ExC−8 0.010 HBS−1 0.065 HBS−3 0.002 HBS−5 0.020 Cpd−5 0.004 ゼラチン 0.446。
【0471】 第11層(高感度緑感乳剤層) EM−E 銀 0.794 ExC−6 0.002 ExC−8 0.010 ExM−1 0.013 ExM−2 0.011 ExM−3 0.030 ExM−4 0.017 ExY−3 0.003 Cpd−3 0.004 Cpd−4 0.007 Cpd−5 0.010 HBS−1 0.148 HBS−5 0.037 ポリエチルアクリレートラテックス 0.099 ゼラチン 0.939。
【0472】 第12層(イエローフィルター層) Cpd−1 0.094 固体分散染料ExF−2 0.150 固体分散染料ExF−5 0.010 油溶性染料ExF−6 0.010 HBS−1 0.049 ゼラチン 0.630。
【0473】 第13層(低感度青感乳剤層) EM−O 銀 0.112 EM−M 銀 0.320 EM−N 銀 0.240 ExC−1 0.027 ExC−7 0.013 ExY−1 0.002 ExY−2 0.890 ExY−4 0.058 Cpd−2 0.100 Cpd−3 0.004 HBS−1 0.222 HBS−5 0.074 ゼラチン 2.058。
【0474】 第14層(高感度青感乳剤層) EM−L 銀 0.714 ExY−2 0.211 ExY−4 0.068 Cpd−2 0.075 Cpd−3 0.001 HBS−1 0.071 ゼラチン 0.678。
【0475】 第15層(第1保護層) 0.07μmの沃臭化銀乳剤 銀 0.301 UV−1 0.211 UV−2 0.132 UV−3 0.198 UV−4 0.026 F−18 0.009 S−1 0.086 HBS−1 0.175 HBS−4 0.050 ゼラチン 1.984。
【0476】 第16層(第2保護層) H−1 0.400 B−1(直径1.7μm) 0.050 B−2(直径1.7μm) 0.150 B−3 0.050 S−1 0.200 ゼラチン 0.750。
【0477】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために、W−1ないしW−6、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−19及び、鉛塩、白金塩、イリジウム
塩、ロジウム塩が含有されている。 有機固体分散染料
の分散物の調整第12層のExF−2を次の方法で分散
した。
【0478】 ExF−2のウエットケーキ(17.6質量%の水を含む)2.800kg オクチルフェニルジエトキシメタンスルホン酸ナトリウム (31質量%水溶液) 0.376kg F−15(7%水溶液) 0.011kg 水 4.020kg 計 7.210kg。
【0479】(NaOHでpH=7.2に調整)上記組
成のスラリーをディゾルバーで攪拌して粗分散した後、
アジテータミルLMK−4を用い、周速10m/s、吐
出量0.6kg/min、0.3mm径のジルコニアビ
ーズ充填率80%で分散液の吸光度比が0.29になる
まで分散し、固体微粒子分散物を得た。染料微粒子の平
均粒径は0.29μmであった。同様にして、ExF−
4およびExF−7の固体分散物を得た。染料微粒子の
平均粒径はそれぞれ、0.28μm、0.49μmであ
った。ExF−5は欧州特許第549,489Aの実施
例1に記載の微小析出(Microprecipita
tion)分散方法により分散した。平均粒径は0.0
6μmであった。以下、各層に用いた化合物を示す。
【0480】
【化36】
【0481】
【化37】
【0482】
【化38】
【0483】
【化39】
【0484】
【化40】
【0485】
【化41】
【0486】
【化42】
【0487】
【化43】
【0488】
【化44】
【0489】
【化45】 上記のハロゲン化銀カラー写真感光材料を試料401と
する。
【0490】(試料402及び403の作成)試料40
1において、第6層の乳剤EM−A1を乳剤EM−A2
またはEM−A3に等銀量となるように置き換えた以外
同様にして試料402及び403を作成した。
【0491】(試料404〜406の作成)試料401
〜403において、各々第6層の乳剤EM−A1ないし
EM−A3を本発明の修飾ゼラチンを添加した乳剤EM
−A4ないしEM−A6に等銀量となるように置き換え
た以外同様にして試料404〜406を作成した。
【0492】これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間放置した後、色温度4800ーKで連
続ウェッジを通して1/100秒間露光を行い、−20℃で
14日間(経時(i))放置した後、下記のカラー現像処
理を施した。処理後の試料を赤色フィルターで濃度測定
することにより写真性能の評価を行った。感度はかぶり
濃度プラス0.2のシアン濃度を与えるルックス・秒で
表示する露光量の逆数の対数の相対値で表示した。(試
料401の感度を100とした。)現像は富士写真フイ
ルム社製自動現像機FP−360Bを用いて以下により
行った。尚、漂白浴のオーバーフロー液を後浴へ流さ
ず、全て廃液タンクへ排出するように改造を行った。こ
のFP−360Bは公開技法94−4992号(社団法
人発明協会発行)に記載の蒸発補正手段を搭載してい
る。
【0493】処理工程及び処理液組成を以下に示す。
【0494】 (処理工程) 工程 処理時間 処理温度 補充量* タンク容量 発色現像 3分 5秒 37.8 ℃ 20 mL 11.5L 漂 白 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L 定着 (1) 50秒 38.0 ℃ 5 mL 5L 定着 (2) 50秒 38.0 ℃ 8 mL 5L 水 洗 30秒 38.0 ℃ 17 mL 3L 安定 (1) 20秒 38.0 ℃ 17 mL 3L 安定 (2) 20秒 38.0 ℃ 15 mL 3L 乾 燥 1分30秒 60.0 ℃。
【0495】*補充量は感光材料35mm幅1.1m当
たり(24毎撮り1本相当)。
【0496】安定液及び定着液は(2)から(1)への
向流方式であり、水洗水のオーバーフロー液は全て定着
浴(2)へ導入した。尚、現像液の漂白工程への持ち込
み量、漂白液の定着工程への持ち込み量、及び定着液の
水洗工程への持ち込み量は感光材料35mm幅1.1m
当たりそれぞれ2.5mL、2.0mL、2.0mLで
あった。また、クロスオーバーの時間はいずれも6秒で
あり、この時間は前工程の処理時間に包含される。
【0497】上記処理機の開口面積は発色現像液で10
0cm2、漂白液で120cm2、その他の処理液は約1
00cm2であった。
【0498】以下に処理液の組成を示す。
【0499】 (発色現像液) タンク液(g) 補充液(g) ジエチレントリアミン五酢酸 3.0 3.0 カテコール−3,5−ジスルホン酸 ジナトリウム 0.3 0.3 亜硫酸ナトリウム 3.9 5.3 炭酸カリウム 39.0 39.0 ジナトリウム−N,N−ビス(2−スル ホナートエチル)ヒドロキシルアミン 1.5 2.0 臭化カリウム 1.3 0.3 沃化カリウム 1.3mg − 4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3, 3a,7−テトラザインデン 0.05 − ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.4 3.3 2−メチル−4−〔N−エチル−N− (β−ヒドロキシエチル)アミノ〕 アニリン硫酸塩 4.5 6.5 水を加えて 1.0L 1.0L pH(水酸化カリウムと硫酸にて調整) 10.05 10.18。
【0500】 (漂白液) タンク液(g) 補充液(g) 1,3−ジアミノプロパン四酢酸第二 鉄アンモニウム一水塩 113 170 臭化アンモニウム 70 105 硝酸アンモニウム 14 21 コハク酸 34 51 マレイン酸 28 42 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水で調整〕 4.6 4.0。
【0501】(定着(1)タンク液)上記漂白タンク液
と下記定着タンク液の5対95(容量比)混合液。
【0502】 (pH6.8) (定着(2)) タンク液(g) 補充液(g) チオ硫酸アンモニウム水溶液 240mL 720 mL (750g/L) イミダゾール 7 21 メタンチオスルホン酸アンモニウム 5 15 メタンスルフィン酸アンモニウム 10 30 エチレンジアミン四酢酸 13 39 水を加えて 1.0L 1.0L pH〔アンモニア水、酢酸で調整〕 7.4 7.45。
【0503】(水洗水)水道水をH型強酸性カチオン交
換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−
120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同ア
ンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに
通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3m
g/L以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナ
トリウム20mg/Lと硫酸ナトリウム150mg/L
を添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあ
った。
【0504】 (安定液) タンク液、補充液共通 (単位g) p−トルエンスルフィン酸ナトリウム 0.03 ポリオキシエチレン−p−モノノニルフェニルエーテル 0.2 (平均重合度10) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン・ナトリウム 0.10 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩 0.05 1,2,4−トリアゾール 1.3 1,4−ビス(1,2,4−トリアゾール−1− イルメチル)ピペラジン 0.75 水を加えて 1.0L pH 8.5。
【0505】(経時による写真性変化の評価)塗布試料
の露光後の経時による感度変化を以下の方法で評価し
た。
【0506】前記の試料401及〜406を、前記と同
様に連続ウェッジを通して1/100秒間露光を施した後、
一方を−20℃で14日間(経時(i))、他方を40
℃、相対湿度40%で14日間(経時(ii))の2つの条
件で経時させた。その後、前記の現像処理を行い、赤色
フィルターでかぶり濃度プラス0.5のマゼンタ濃度を
与えるルックス・秒で表示する露光量の逆数の対数の相
対値で感度を求め、経時(i)と経時(ii)の感度変化幅を
比較し、経時後の写真性変化を表す値とした。
【0507】(塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価)前記の試料401ないし409において第6層の乳
剤を各々40℃で溶解し8時間経時させた後に各々試料
401〜409と同様の塗布条件で試料411〜419
を作製した。これらの試料を40℃、相対湿度70%の
条件下で14時間放置した後、上記と同様に連続ウェッ
ジを通して1/100秒間露光を行いカラー現像処理を行っ
た。処理後の試料を赤色フィルターで濃度測定し、感度
はかぶり濃度プラス0.2のシアン濃度を与えるルック
ス・秒で表示する露光量の逆数の対数の相対値で表示し
た。(試料401の感度を100とした。)また、試料
401〜409及び試料411〜419の各試料のかぶ
り濃度プラス0.2の濃度でのRMS粒状度を測定し
た。結果を表7に示す。
【0508】
【表7】
【0509】表7に示す通り、本発明の請求項5の第3
の乳剤においても感度を損なうことなく、写真性変化を
小さくすることができる。特に粒子厚みが0.1μm以
下の平板粒子乳剤で有効である。また塗設時の粒子凝集
を防止することができ粒状性に優れたハロゲン化銀感光
材料を提供できる。
【0510】実施例5:本発明の修飾ゼラチンの多層カ
ラー感光材料における効果を示す。
【0511】以下の製法によりハロゲン化銀乳剤EM−
A11を調製した。
【0512】(EM−A11の調製)分子量15000
の低分子量ゼラチンを1.0gとKBrを1.0g含む
水溶液1200mLを35℃に保ち、激しく撹拌した。
AgNOを1.9g含む水溶液30mL、KBrを
1.5gと分子量15000の低分子量ゼラチンを0.
7g含む水溶液30mLとをダブルジェット法で30秒
間に亘り添加し、核形成を行った。この時、KBrの過
剰濃度を一定に保った。KBrを6g添加し、75℃に
昇温して熟成した。熟成終了後、コハク化ゼラチンを3
5g添加した。PHを5.5に調整した。AgNO
30g含む水溶液150mLとKBr水溶液をダブルジ
ェット法で16分間に亘り添加した。この時、銀電位を
飽和カロメル電極に対して−25mVに保った。さら
に、AgNOを110g含む水溶液とKBr水溶液を
ダブルジェット法で最終流量が初期流量の1.2倍にな
るように流量加速して15分間に亘り添加した。この
時、サイズが0.03μmのAgI微粒子乳剤を沃化銀
含有率が3.8%になるように同時に流量加速して添加
し、かつ銀電位を−25mVに保った。AgNOを3
5g含む水溶液132mLとKBr水溶液をダブルジェ
ット法で7分間に亘り添加した。添加終了時の電位を−
20mVになるようにKBr水溶液の添加を調整した。
温度を40℃にした後、化合物ExA−5をKI換算で
5.6g添加し、さらに0.8Mの亜硫酸ナトリウム水
溶液を64mL添加した。さらにNaOH水溶液を添加
してpHを9.0に上げ4分間保持し、沃化物イオンを
急激に生成せしめた後、pHを5.5に戻した。温度を
55℃に戻した後、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウ
ム、1mgを添加し、さらにカルシウム濃度が1ppm
の石灰処理ゼラチン(元ゼラチン1)を13g添加した
(添加1)。添加終了後、AgNOを70g含む水溶
液250mLおよびKBr水溶液を電位を60mVに保
ちながら20分間に亘り添加した。このとき、黄血塩を
銀1モルに対して1.0×10−5モル添加した。水洗
した後、カルシウム濃度1ppmの石灰処理ゼラチン
(元ゼラチン1)を80g添加し(添加2)、40℃で
pHを5.8、pAgを8.7に調整した。
【0513】化合物ExA−5
【化46】
【0514】上記の乳剤のカルシウム、マグネシウムお
よびストロンチウムの含有量をICP発光分光分析法に
より測定したところ、それぞれ15ppm、2ppmお
よび1ppmであった。
【0515】上記の乳剤を56℃に昇温した。まず、サ
イズが0.05μmの純AgBr微粒子乳剤をAg換算
で1g添加し、シェル付けした。次に実施例4の増感色
素1、2、3を固体微分散物の形態でそれぞれ銀1モル
当たり5.85×10−4モル、3.06×10−4
ル、9.00×10−6モル添加した。増感色素1、
2、3の固体微分散物は次のようにして調製した。表8
に調製条件を示したように、無機塩をイオン交換水に溶
解させた後、増感色素を添加し、60℃の条件下でディ
ゾルバー翼を用い2000rpmで20分間分散するこ
とにより、増感色素1、2、3の固体微分散物を得た。
増感色素を添加して増感色素の吸着が平衡状態での吸着
量の90%に達したとき、硝酸カルシウムをカルシウム
濃度が250ppmとなるように添加した。増感色素の
吸着量は、遠心沈殿により固層と液層を分離し、最初に
加えた増感色素量と上澄み液中の増感色素量との差を測
定して、吸着された増感色素量を求めた。硝酸カルシウ
ムの添加後、チオシアン酸カリウム、塩化金酸、チオ硫
酸ナトリウム、N,N−ヂメチルセレノウレア及び実施
例2の化合物RS−1を添加し、最適に化学増感した。
N,N−ヂメチルセレノウレアは銀1モルに対して3.
40×10−6モル添加した。化学増感終了時に実施例
2の化合物ExA−2および化合物ExA−3を添加し
て、EM−A11を調製した。
【0516】
【表8】
【0517】(試料501の作製)上記の乳剤EM−A
11を実施例4の試料401の第6層の乳剤EM−A1
に同じ銀量となるように置き換えた以外は同様にして、
試料501を作成した。
【0518】(試料502〜509の作製)試料502
〜509は、試料501の第6層の乳剤EM−A11中
の添加1のゼラチンの半量を、それぞれ順に修飾ゼラチ
ン1a〜1fおよび2a、比較ゼラチン1に置き換えて
調製し、それ以外については試料501と同じようにし
て多層カラー感光材料を作製した。
【0519】(試料510の作製)試料510は、試料
501の第6層の乳剤EM−A11中のゼラチンの1/
14を比較ゼラチン1に置き換えて調製し、試料504
と同量の4−(5−メルカプト−1−テトラゾリル)安
息香酸が導入されるように調整し、それ以外については
試料401と同じようにして多層カラー感光材料を作製
した。
【0520】れらの試料を40℃、相対湿度70%の条
件下で14時間放置した後、以下の評価を行った。
【0521】(経時による写真性変化の評価)塗布試料
の経時による保存かぶりの増加を以下の方法で評価し
た。前記の試料501〜510を、一方を−20℃で1
4日間(経時(i))、他方を50℃、相対湿度60%で
14日間(経時(ii))の2つの条件で経時させた。その
後、実施例4とおなじ露光および現像処理を行い、前記
と同様に赤色フィルターでかぶり部分の濃度を測定し
て、経時(i)のかぶり濃度に対する経時(ii)のかぶり濃
度の上昇幅を求め、その値を経時によるかぶり増加とし
た。結果を表9に示す。
【0522】
【表9】
【0523】比較用の試料501及び506、507、
509、510と本発明の試料502〜505、508
との比較から分かるように、本発明の修飾ゼラチンを添
加することにより、感光材料作製直後の感度を落とすこ
となく、かぶりが低減されていることが分かる。
【0524】(塗設時の性能悪化の評価)前記の試料5
01〜510において第6層の乳剤を各々40℃で溶解
し8時間経時させた後に試料501〜510と同様の塗
布条件で試料601〜610を作製した。上記と同様に
連続ウェッジを通して1/100秒間露光を行いカラー現像
処理を行った。処理後の試料を赤色フィルターで濃度測
定し、感度はかぶり濃度プラス0.2のシアン濃度を与
えるルックス・秒で表示する露光量の逆数の対数の相対
値で表示した。(試料501の感度を100とした。)
また、試料501〜510及び試料601〜610の各
試料のかぶり濃度プラス0.2の濃度でのRMS粒状度
を測定した。結果を表10に示す。
【0525】
【表10】
【0526】比較用の試料601、607、609、6
10と本発明の試料602〜205、608との比較か
ら分かるように、本発明の修飾ゼラチンを添加すること
により特に、乳剤の溶解経時後の塗設における写真性能
の悪化が改良され、製造適性にも優れていることが分か
る。
【0527】実施例6:晶相制御剤を用いた平板状乳剤
と本発明での修飾ゼラチンの効果を示す。
【0528】[ハロゲン化銀乳剤Em−1〜8の調製]
(Em−1の調製)特開平10−43570号公報記載
の容量0.5mLの混合器を用いて、下記のようにして
平板粒子を調製した。この実施例では核形成も粒子成長
も該混合器を用いて行う方法を示す。
【0529】該混合器内に、0.021Mの硝酸銀水溶
液500mLと、低分子量ゼラチン(平均分子量40,
000)0.1質量%を含む0.028MのKBr水溶液
500mLを連続的に20分間添加し、得られた乳剤を
連続的に20℃に保持した反応容器に受け、1000m
Lの平板核乳剤を得た。その際該混合器の撹拌回転数は
2000rpmであった(平板核形成)。
【0530】平板核形成終了後、反応容器内の核乳剤を
よく攪拌しながら、0.8MのKBr溶液36mLと
(111)晶相制御剤(i)を0.06mmol含む10
質量%のトリメリット化ゼラチンを300mL添加し、
温度を上昇させ75℃にして20分間放置した後、1/
50Mの(111)晶相制御剤(i)水溶液を50mL添
加した(熟成)。
【0531】その後再び該混合器内に、0.6Mの硝酸
銀水溶液1000mLと、低分子量ゼラチン(平均分子
量40,000)を50gとKIを3mol%含むKBr
0.6Mの水溶液1000mLを56分間、一定流量で
添加した。混合器で生成した微粒子乳剤は連続的に反応
容器に添加された。その際、混合器の撹拌回転数は20
00rpmであった。同時に、1/50Mの(111)
晶相制御剤(i)水溶液100mLを一定流量で反応容器
に添加した。反応容器の攪拌翼は、800rpmで回転
され、よく攪拌された。また、該微粒子乳剤を添加中、
反応容器内の温度を75℃、pBr2.5で一定に保持
した(成長)。
【0532】粒子成長中、硝酸銀を70%添加した時点
で6塩化イリジウム(IV)錯体を8×10−8mol/
mol銀添加しドープした。さらに、粒子成長終了前に
ヘキサシアノ鉄(II)錯体水溶液が混合器に添加され
た。ヘキサシアノ鉄(II)錯体は粒子のシェル部3%
(添加銀量換算で)に局所濃度で3×10−4mol/
mol銀の濃度になるようにドープした。
【0533】粒子成長終了後、実施例1の元ゼラチン1
を40g、硝酸カルシウムを60g、増感色素(i)を銀
1molあたり2.4mmol添加し、75℃のまま4
0分間保持した(色素吸着)。
【0534】その後、温度を35℃に降温し、通常のフ
ロキュレイション法で水洗・脱塩を行った。水洗・脱塩
後、再び50℃に昇温し、石灰処理骨ゼラチンを70
g、濾過水100mLを加え乳剤の再分散を行い、Na
OHとKBrを添加してpH6.5、pAg8.7に調
整して、Em−1を得た。このようにして得られたEm
−1に含まれる沃臭化銀(111)平板粒子の電子顕微
鏡写真から、全投影面積の50%以上が円相当径3.3
μm以上、粒子厚み0.030μm未満で、全粒子の平
均円相当径は3.31μm、平均粒子厚みは0.030
μmであった。また、全粒子の全投影面積に対する該沃
臭化銀(111)平板粒子の投影面積の比率は97%以
上であった。
【0535】
【化47】
【0536】(Em−2〜8の調製)Em−2〜8は、
Em−1で粒子形成後に添加した元ゼラチン1を表1に
記載の修飾ゼラチン1a〜1fおよび比較ゼラチン1に
各々置き換えて調製した。ゼラチンを置き換えても、E
m−2〜8に含まれる電子顕微鏡写真から求めた、全投
影面積の50%以上を占める沃臭化銀(111)平板粒
子の円相当径および粒子厚みと、全粒子の平均円相当径
と平均粒子厚みはEm−1と同等であった。
【0537】(粒子サイズ測定)CPS Instruments社製
ディスク遠心式粒度分布測定装置を用いて、Em−1〜
8に含まれる沃臭化銀(111)平板粒子の見かけのサ
イズを測定した。その結果を、Em−1に含まれる該平
板粒子の見かけのサイズの体積加重平均値を100とし
た値で表11に示した。
【0538】
【表11】
【0539】表11に示す結果から明らかなように、粒
子形成後の色素吸着時に本発明の修飾ゼラチン、即ち、
4−(5−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸が
ゼラチン100g当たり0.2〜1.0mmol導入さ
れた石灰処理骨ゼラチンを用いたEm−2〜5に含まれ
る臭化銀(111)平板粒子の見かけのサイズは、Em
−1およびEm−6〜8よりも小さい。一方、Em−1
〜8に含まれる電子顕微鏡写真から求めた沃臭化銀(1
11)平板粒子の平均サイズ(平均円相当径と平均粒子
厚み)には差がないので、ディスク遠心式粒度分布測定
装置を用いて測定した該平板粒子の見かけのサイズが大
きいことは、色素吸着時に発生した凝集により2つ以上
の平板粒子が合着し、見かけ上体積的に大きな粒子とし
て観測されていることを示す。したがって、本発明の修
飾ゼラチンによって平板粒子の見かけのサイズが小さく
なることは、即ち色素吸着時に発生する該平板粒子の凝
集が改良されたことを示す。
【0540】色素吸着時に発生する平板粒子の凝集の要
因の一つは、平板粒子に吸着し、保護コロイドとして凝
集防止の機能を果たしていたゼラチンが、増感色素が平
板粒子に吸着する際に脱着することである。メルカプト
アゾール基がハロゲン化銀粒子に強く吸着することが知
られおり、本発明の修飾ゼラチンが該凝集防止に有効な
理由は、ハロゲン化銀への吸着力が強く、増感色素の吸
着によるゼラチンの脱着が低減されたためと考えられ
る。しかしながら、表11のEm−6〜8の結果から明
らかなように、ゼラチンに導入する吸着基数には適点が
ある。ゼラチンに導入する吸着基数が増加すれば、ゼラ
チン1分子当たりに複数の吸着基が導入される確率が高
くなることが予想される。複数の吸着基を有する修飾ゼ
ラチンが2つ以上の平板粒子にまたがって吸着すれば、
平板粒子が架橋され、増感色素がゼラチンを脱着するの
とは全く別の理由で、結果的に凝集が発生しやすい(架
橋凝集が起きやすい)状況になり、凝集防止に対して、
ゼラチンに導入する吸着基数に適点が存在する理由であ
ると考えられる。
【0541】Em1〜8をチオ硫酸ナトリウム、塩化金
酸、チオシアン酸カリウムを添加して最適に化学増感を
行った。これら化学増感を施した各乳剤それぞれにゼラ
チン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを加え
て、下塗層を有するトリアセチルセルロースフィルム支
持体上に、ゼラチン、ポリメチルメタクリレート粒子、
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナ
トリウム塩を含む保護層と共に押し出し法によりそれぞ
れ銀量1g/mで塗布し、塗布試料701〜708を
それぞれ得た。
【0542】塗布試料701〜708は、富士写真フイ
ルム社製青色カットフィルターSC−50を用いてセン
シトメトリー用露光(1秒)を光学楔を介して与えた
後、下記の処方で得た現像液で、20℃、10分間現像
した後、常法により停止、定着、水洗、乾燥し、光学濃
度を測定した。カブリは、試料の最小光学濃度で求め、
感度は、カブリ+0.1の光学濃度を与えるルックス・
秒で表示する露光量の逆数の対数で評価し、塗布試料7
01の値を700とする相対値として示した。また、R
MS粒状度は、カブリ+0.2の光学濃度で測定し、塗
布試料701の値を100とする相対値として示した。
Dmaxは試料の最大光学濃度で求めた。表12にこれ
らの結果を示した。
【0543】 現像液 メトール 2.5g L−アスコルビン酸 10.0g ナボックス 35.0g KBr 1.0g 水を加えて1Lとし、pHを9.6に合わせる。
【0544】
【表12】
【0545】表12に示す結果から明らかなように、本
発明の修飾ゼラチン{乾燥したゼラチン100gに対し
て4−(5−メルカプト−1−テトラゾリル)安息香酸
が0.2〜1.0mmol導入された修飾ゼラチン}を
添加した乳剤を用いた塗布試料702〜705は、比較
乳剤を用いた塗布試料701および706〜708と比
較して、低カブリで感度が高く、かつDmaxが高い。ま
た、RMS粒状度も優れていた。これは、本発明の技術
によって、増感色素を吸着させる際に発生する高アスペ
クト比の平板粒子の凝集が防止された結果を反映するも
のである。
【0546】乳剤Em−2〜5を最適に化学増感を施
し、特開平9−146237号公報の実施例2の試料2
01の第6層の乳剤として使用し、同実施例と同じ処理
をしたところ、良好な結果を得た。
【0547】実施例7:請求項7の平板状乳剤と本発明
の修飾ゼラチンとの効果を示す。
【0548】(乳剤Aの調製<{100}塩化銀平板粒
子Cub=0.500μm [AgCl]>)反応容器にH
O 1.7リットル、実施例1の元ゼラチン1(メチオ
ニン含率が約40×10−6モル/gであった)35.
5g、塩化ナトリウム 1.4g、硝酸 1N液6.4mlを
入れ(pHは4.5)、29℃に恒温した。次に硝酸銀
水溶液(A−1液:硝酸銀 0.2g/mL)と塩化ナト
リウム水溶液(M−1液:塩化ナトリウム 0.069
g/mL)とを激しく撹拌しながらを68.2mL/分で4
5秒間添加した。その2分後にP−2液(臭化カリウ
ム:KBr 0.021g/mL)を186cc/分で14
秒間添加した。また3分後にA−2液(硝酸銀0.4g
/mL)とM−3液(塩化ナトリウム:0.15g/mL)
を34mL/分で135秒間、同時混合添加した。熟成過
程として、1分後、ゼラチン水溶液G−1[H2O 120
mL、ゼラチン1が20g、NaOH 1N液7mL、NaCl 1.7
g]を添加し、15分間で75℃に昇温し、10分間熟
成した。次に成長過程として、A−3液(硝酸銀0.4
g/mL)を流速5.0mL/分から9.5mL/分へ直線的
に増加させながら466mL添加し、その時M−4液(塩
化ナトリウム:0.15g/mL)を銀電位が120mV
に保ちながら同時に添加した。更に、A−4液(硝酸銀
0.4g/mL)を流速5.0mL/分から7.4mL/分へ
直線的に増加させながら142mL添加し、同時にM−5
液(塩化ナトリウム:0.14g/mL)を銀電位が12
0mVから100mVに直線的に減少するように同時に
添加した。
【0549】その後、40℃にて沈降水洗を行い脱塩を
施した。ゼラチン1を130g加え、乳剤を再分散さ
せ、pH 6.0、pAg7.0とした。
【0550】そして乳剤の一部を採取し、粒子のレプリ
カの電子顕微鏡写真像(TEM像)を観察した。それによる
と、全ハロゲン化銀粒子の投影面積計の95.1%が主平
面が{100}面、アスペクト比2以上の平板状粒子で
あり、その平均粒径0.94μm、平均粒子厚0.180μ
m、平均アスペクト比5.1、平均隣接辺比率1.1
5、立方体換算辺長=0.500μmの粒子Aが得られ
た。
【0551】(乳剤Bの調製:<{100}塩化銀平板
粒子Cub=0.505μm [AgCl98. 6Br1I0.4]>)乳
剤Aの調製において、A−3液を流速5.0mL/分から
9.5mL/分へ直線的に増加させながら459mL添加
し、その時M−4液を銀電位が120mVに保ちながら
同時に添加した。その後、A−4液とP−7液として
0.0067モルの沃化銀を含む沃化銀微粒子乳剤を流
速5.0mL/分から7.4mL/分へ直線的に増加させな
がらそれぞれ142mL添加し、同時にM−5液を銀電位
が120mVから100mVに直線的に増加するように
添加した。その後、A−5液(硝酸銀0.08g/mL)
とP−8液(臭化カリウム0.056g/mL)を35.
5mL/分で1分間添加した。その他は全く同様に乳剤A
の調製方法に従った。こうして得られた粒子Bは、全ハ
ロゲン化銀粒子の投影面積計の95.2%が主平面が
{100}面、アスペクト比2以上の平板状粒子であ
り、その平均粒径は0.94μm、平均粒子厚0.18
5μm、平均アスペクト比5.1、平均隣接辺比率1.
14、立方体換算辺長=0.505μmの粒子であっ
た。
【0552】(乳剤Cの調製:<{111}塩化銀平板
粒子 Cub=0.450μm[AgCl]>)反応容器にH
O 1.2リットル、塩化ナトリウム1.0g及びゼ
ラチン1を2.5g添加し、30℃に保たれた容器中
に、攪拌しながら硝酸銀水溶液(B−1液:硝酸銀0.
24g/mL)と塩化ナトリウム水溶液(N−1液:塩化
ナトリウム0.083g/mLと不活性ゼラチン0.01
g/mLとの混合物)とを激しく撹拌しながら75mL/分
で1分間添加した。添加終了1分後に本発明の晶相制御
剤(iii)を0.9ミリモル含む水溶液(K−1)20mL
を添加した。更に1分後に実施例2のゼラチン2の10
%水溶液(HG−1)340mLと塩化ナトリウム2.0
gを添加した。次の25分間で反応容器の温度を55℃
に昇温し55℃で30分間熟成した。成長過程として、
B−2液(硝酸銀0.4g/mL)を524mLとN−2液
(塩化ナトリウム0.17g/mL)451mLを27分間
かけて加速された流量で添加した。この間、加速された
流量で(硝酸銀添加量に比例)で晶相制御剤1を2.1
ミリモル含む水溶液(K−2)285mLを同時に添加し
た。更に、B−3液(硝酸銀0.4g/mL)を流速1
0.0mL/分から15mL/分へ直線的に増加させながら
142mL添加し、同時にN−3液(塩化ナトリウム0.
14g/mL)を銀電位が100mVから85mVに直線
的に減少するように同時に添加した。
【0553】その後30℃にて沈降水洗を行い、脱塩を
施した。更にゼラチン1を130g加え、pH6.3、
pAg7.2に調整した。こうして得られた乳剤Cは全
投影面積の98.2%以上が、主平面が{111}面の
アスペクト2以上の平板粒子であり、その平均粒径は
0.97μm、平均粒子厚0.123μm、平均アスペク
ト比7.2、立方体換算辺長=0.450μmの粒子の
粒子であった。
【0554】(乳剤Dの調製:<{111}塩化銀平板
粒子Cub=0.452μm[AgCl98.6Br1I0.4])>)乳
剤Dの調製において、B−2液を516mLとN−2液4
45mLを27分間かけて加速された流量で添加した。こ
の間、加速された流量で(硝酸銀添加量に比例)でK−
2液280mLを同時に添加した。更に、B−3液とP−
7液を流速10.0mL/分から15mL/分へ直線的に増
加させながら142mL添加し、同時にN−3液を銀電位
が100mVから85mVに直線的に減少するように同
時に添加した。その後、B−4液(硝酸銀0.08g/
mL)とP−8液を35.5mL/分で1分間添加した。そ
の他は全く同様に乳剤Gの調製方法に従った。こうして
得られた粒子Dは、全ハロゲン化銀粒子の投影面積計の
97.6%が主平面が{111}面、アスペクト比2以
上の平板状粒子であり、その平均粒径は0.92μm、
平均粒子厚0.139μm、平均アスペクト比6.7、
立方体換算辺長=0.452μmの粒子であった。
【0555】上記の乳剤A〜Dの化学増感及び分光増感
について説明する。これらの乳剤は全て金増感剤(コロ
イド状硫化金)9.6×10-5モル/モルAg、赤感性
分光増感色素G及びHを合計で1.7×10-4モル/モ
ルAgを添加し、60℃にて最適に化学増感及び分光増
感し、さらに1−(3−メチルウレイドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール5.9 ×10-4モル/モル
Agを添加して調製した。
【0556】
【化48】
【0557】紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してな
る支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層
を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設
して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光
材料の試料801を作製した。各写真構成層用の塗布液
は、以下のようにして調製した。
【0558】第一層塗布液調製 イエローカプラー(ExY)57g、色像安定剤(Cp
e−1)7g、色像安定剤(Cpe−2)4g、色像安
定剤(Cpe−3)7g、色像安定剤(Cpe−8)2
gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80m
lに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液22
0g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散
し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
【0559】一方、前記乳化分散物Aと乳剤Aとを混合
溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製し
た。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0560】第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液
と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤として
は、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナ
トリウム塩(Ha−1)、(Ha−2)、(Ha−3)
を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−
3、及びAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/
2、60.0mg/m2,5.0mg/m2及び10.
0mg/m2となるように添加した。
【0561】
【化49】
【0562】各感光性乳剤層の塩臭化銀乳剤には以下の
分光増感色素をそれぞれ用いた。
【0563】青感性乳剤層
【化50】
【0564】(増感色素AおよびCをそれぞれハロゲン
化銀1モル当り0.42×10-4モル添加した。また、
増感色素Bは、ハロゲン化銀1モル当り3.4×10-4
モルモル添加した。) 緑感性乳剤層
【化51】
【0565】(増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、
大サイズ乳剤Fに対しては3.0×10-4モル、小サイ
ズ乳剤Gに対しては3.6×10-4モル、また、増感色
素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対して
は4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0
×10-5モル、また、増感色素Fをハロゲン化銀1モル
当り、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、小
サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加した。) 赤感性乳剤層(増感色素GおよびHをそれぞれ、ハロゲ
ン化銀1モル当り、小サイズ乳剤Hに対して1.1×1
-4モル添加した。) さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀
1モル当たり3.0×10-3モル添加した。)
【化52】
【0566】また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および
赤感性乳剤層に対し、1−(3−メチルウレイドフェニ
ル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲ
ン化銀1モル当り3.3×10-4モル、1.0×10-3
モルおよび5.9×10-4モル添加した。
【0567】さらに、第二層、第四層、第六層および第
七層にも、それぞれ0.2mg/m 2、0.2mg/
2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように
添加した。
【0568】また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に
対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7
−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当
たり、1×10-4モル、2×10-4モル添加した。
【0569】また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアク
リル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平
均分子量200000〜400000)を0.05g/
2を添加した。
【0570】また第二層、第四層および第六層にカテコ
ール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6
mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように
添加した。
【0571】また、イラジエーション防止のために、以
下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0572】
【化53】
【0573】(層構成)以下に、各層の構成を示す。数
字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、
銀換算塗布量を表す。
【0574】支持体 ポリエチレン樹脂ラミネート紙 [第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2
含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増
白剤(4,4′−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリ
ル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料
(群青)を含む] 第一層(青感性乳剤層) 塩臭化銀乳剤E(立方体、平均粒子サイズ0.74μm で、粒子サイズ分布の変 動係数は0.08であり、臭化銀0.3モル%を、塩化銀を基体とする粒子表面 の一部に局在含有させた乳剤) 0.24 ゼラチン 1.25 イエローカプラー(ExY) 0.57 色像安定剤(Cpe−1) 0.07 色像安定剤(Cpe−2) 0.04 色像安定剤(Cpe−3) 0.07 色像安定剤(Cpe−8) 0.02 溶媒(Solv−1) 0.21。
【0575】 第二層(混色防止層) ゼラチン 0.99 混色防止剤(Cpe−4) 0.09 色像安定剤(Cpe−5) 0.018 色像安定剤(Cpe−6) 0.13 色像安定剤(Cpe−7) 0.01 混色防止剤(Cpe−19) 0.02 溶媒(Solv−1) 0.06 溶媒(Solv−2) 0.22。
【0576】 第三層(緑感性乳剤層) 塩沃臭化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、平均粒子サイズ0.45μmの大 サイズ乳剤Fと0.35μmの小サイズ乳剤Gとの1:3混合物(銀モル比)。 粒子サイズ分布の変動係数はそれぞれ0.10と0.08。各サイズ乳剤とも沃 化銀0.15モル%を粒子表面近傍に含有し、臭化銀0.4モル%を粒子表面に 局在含有させた) 0.14 ゼラチン 1.36 マゼンタカプラー(ExM) 0.15 紫外線吸収剤(UV−A) 0.14 色像安定剤(Cpe−2) 0.02 色像安定剤(Cpe−4) 0.002 色像安定剤(Cpe−6) 0.09 色像安定剤(Cpe−8) 0.02 色像安定剤(Cpe−9) 0.03 色像安定剤(Cpe−10) 0.01 色像安定剤(Cpe−11) 0.0001 溶媒(Solv−3) 0.11 溶媒(Solv−4) 0.22 溶媒(Solv−5) 0.20。
【0577】 第四層(混色防止層) ゼラチン 0.71 混色防止層(Cpe−4) 0.06 色像安定剤(Cpe−5) 0.013 色像安定剤(Cpe−6) 0.10 色像安定剤(Cpe−7) 0.007 混色防止剤(Cpe−19) 0.02 溶媒(Solv−1) 0.04 溶媒(Solv−2) 0.16。
【0578】 第五層(赤感性乳剤層) 塩沃臭化銀乳剤(乳剤Aと、金硫黄増感された立方体、平均粒子サイズ0.3 0μmの小サイズ乳剤Hとの5:5混合物(銀モル比)。粒子サイズ分布の変動 係数はそれぞれ0.09と0.11。乳剤Hは沃化銀0.1モル%を粒子表面近 傍に含有し、臭化銀0.8モル%を粒子表面に局在含有させた) 0.12 ゼラチン 1.11 シアンカプラー(ExC−a) 0.13 シアンカプラー(ExC−b) 0.03 色像安定剤(Cpe−1) 0.05 色像安定剤(Cpe−6) 0.06 色像安定剤(Cpe−7) 0.02 色像安定剤(Cpe−9) 0.04 色像安定剤(Cpe−10) 0.01 色像安定剤(Cpe−14) 0.01 色像安定剤(Cpe−15) 0.12 色像安定剤(Cpe−16) 0.03 色像安定剤(Cpe−17) 0.09 色像安定剤(Cpe−18) 0.07 溶媒(Solv−5) 0.15 溶媒(Solv−8) 0.05。
【0579】 第六層(紫外線吸収層) ゼラチン 0.46 紫外線吸収剤(UV−B) 0.25 紫外線吸収剤(UV−C) 0.20 化合物(S1−4) 0.0015 溶媒(Solv−7) 0.25。
【0580】 第七層(保護層) ゼラチン 1.00 ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体 (変性度17%) 0.04 流動パラフィン 0.02 界面活性剤(Cpe−13) 0.01。
【0581】
【化54】
【0582】
【化55】
【0583】
【化56】
【0584】
【化57】
【0585】
【化58】
【0586】
【化59】
【0587】
【化60】
【0588】
【化61】
【0589】(試料802〜804の作製)同様にして
試料801の乳剤Aに同じ銀量となるように、乳剤B〜
Dに変更した試料802〜804を作製した。
【0590】これらの試料801〜804を127mm
巾のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニ
ラボプリンタープロセッサー PP1258ARを用い
てセンシトメトリー用の階調露光を与えた。SP−1フ
ィルターを装着し5秒間露光した。特開2001―42
481号の実施例1に記載の処理工程及び処理液を用い
て発色現像処理を行った。
【0591】[塗設時の粒子凝集による粒状性悪化の評
価] (試料811〜814の作製)前記の試料801ないし
804において第五層の乳剤を各々40℃で溶解し8時
間経時させた後に、同様の塗布条件で試料811〜81
4を作製した。
【0592】(試料821〜824の作製)乳剤A〜D
において、沈降水洗及び脱塩後のゼラチン1のうち30
gを本発明の修飾ゼラチン1cに置き換える以外は同様
にして各々乳剤A′〜D′を調製した。
【0593】これらの乳剤A′〜D′を同様にして、試
料801の乳剤Aと同じ銀量となるように、乳剤A′〜
D′に変更し、第五層の乳剤を各々40℃で溶解し8時
間経時させた後に、試料805〜808を作製した。
【0594】平板状粒子の凝集防止効果の評価について
説明する。
【0595】上記試料811〜814および試料821
〜824の多層感光材料の断面を走査型電子顕微鏡にて
撮影し、その第五層の平板状粒子の分散性を観察して評
価を行った。上記断面写真を倍率3000倍で撮影し、
5視野以上の断面写真から1視野当たり平均凝集体個数
を求めた。ここで凝集体とは3つ以上の該平板状粒子の
主表面同士が密着した状態である。
【0596】本発明の修飾ゼラチンを用いた試料821
〜824では試料811〜814に比べて明らかに凝集
体の個数が減少した。
【0597】
【発明の効果】本発明によれば高感度で、経時による写
真性変動の少ない優れた乳剤ハロゲン化銀及び感光材料
を提供することができる。特に、本発明の修飾ゼラチン
は乳剤の溶解経時後のハロゲン化銀粒子の凝集抑制効果
があり、塗設における写真性能の悪化が改良され、製造
適性にも優れたハロゲン化銀乳剤の調製が可能になる。
フロントページの続き (72)発明者 竹田 直弘 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 丸山 陽一 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 (72)発明者 高田 勝之 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H023 BA02 BA04 DB05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ゼラチンと、(B)メルカプト基
    を有する含窒素芳香族環を含み、ゼラチン中の反応性基
    と共有結合を形成し得る化合物と、を反応させて得られ
    る修飾ゼラチンであって、ゼラチン中における前記化合
    物の導入量がゼラチン100g当たり1.0×10−6
    モル以上2.0×10−3モル以下であることを特徴と
    する修飾ゼラチン。
  2. 【請求項2】 下記一般式(I)で表される修飾ゼラチ
    ン。 【化1】 式中、Gelはゼラチンを表す。Lはゼラチン中に存在
    する−C(=O)O−、−NH−、−N=、−N<、−
    O−、−S−、−NH−C(=NH )NH−又は−
    NH−C(=NH)NH−から選ばれる基である。L
    は2価または3価の連結基を表す。Zは含窒素芳香族ヘ
    テロ環基を表す。nは1または2である。ただし、−L
    −Z−SHで表される修飾基の導入量はゼラチン10
    0gに対して1.0×10−6モル以上2.0×10
    −3モル以下である。
  3. 【請求項3】 粒子の全投影面積の50%以上が下記の
    (a)ないし(d)を満たすハロゲン化銀粒子で占められ、請
    求項1または2に記載の修飾ゼラチンを含有することを
    特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (a) 平行な主平面が(111)面、(b) アスペクト比
    が2以上、(c) 転位線を1粒子当り10本以上を含
    む、(d) 塩化銀含有率が10モル%未満の沃臭化銀も
    しくは塩沃臭化銀よりなる平板状ハロゲン化銀粒子。
  4. 【請求項4】 粒子の全投影面積の50%以上が下記の
    (a)、(d)および(e)を満たすハロゲン化銀粒子で占めら
    れ、請求項1または2に記載の修飾ゼラチンを含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (a) 平行な主平面が(111)面、(d) 塩化銀含有率
    が10モル%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀よりな
    る平板状ハロゲン化銀粒子、(e) 六角形ハロゲン化銀
    粒子で、その頂点部および/または側面部および/また
    は主平面部に1粒子当り少なくとも1個のエピタキシャ
    ル接合を有する。
  5. 【請求項5】 粒子の全投影面積の50%以上が、円相
    当径が0.6μm以上、粒子厚みが0.2μm未満で、
    かつ平行な主平面が(111)面である平板状ハロゲン
    化銀粒子で占められ、請求項1又は2に記載の修飾ゼラ
    チンを含有することを特徴とするハロゲン化銀写真乳
    剤。
  6. 【請求項6】 粒子の全投影面積の50%以上が下記
    (b)、(d)および(g)を満たすハロゲン化銀粒子で占めら
    れ、請求項1または2に記載の修飾ゼラチンを含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (b) アスペクト比が2以上、(d) 塩化銀含有率が10
    モル%未満の沃臭化銀もしくは塩沃臭化銀よりなる平板
    状ハロゲン化銀粒子、(g) 平行な主平面が(100)
    面である。
  7. 【請求項7】 粒子の全投影面積の50%以上が下記
    (b)、(h)および(i)を満たすハロゲン化銀粒子で占めら
    れ、請求項1または2に記載の修飾ゼラチンを含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (b) アスペクト比が2以上、(h) 平行な主平面が(1
    11)面もしくは(100)面、(i) 少なくとも80
    モル%の塩化銀を含有する平板状ハロゲン化銀粒子であ
    る。
  8. 【請求項8】 粒子の全投影面積の50%以上が下記
    (j)、(k)および(m)を満たすハロゲン化銀粒子で占めら
    れ、請求項1または2に記載の修飾ゼラチンを含有する
    ことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。 (j) ハロゲン化銀粒子の円相当径が2μm以上、(k)
    アスペクト比が10以上、(m) 個々の粒子の平均Ag
    I含有量が5モル%以上、である。
  9. 【請求項9】 請求項1または2に記載の修飾ゼラチン
    を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材
    料。
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