JP2002357243A - 振動吸収装置および振動吸収方法 - Google Patents

振動吸収装置および振動吸収方法

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JP2002357243A
JP2002357243A JP2001167112A JP2001167112A JP2002357243A JP 2002357243 A JP2002357243 A JP 2002357243A JP 2001167112 A JP2001167112 A JP 2001167112A JP 2001167112 A JP2001167112 A JP 2001167112A JP 2002357243 A JP2002357243 A JP 2002357243A
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JP
Japan
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vibration absorbing
absorbing device
vibration
viscoelastic material
viscoelastic
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Application number
JP2001167112A
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English (en)
Inventor
Takuo Ozawa
拓生 小澤
Shigenori Kabashima
重憲 樺島
Takeshi Ozaki
毅志 尾崎
Masahiro Takano
昌宏 高野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の振動吸収装置は、人工衛星構造の表面
形状に合わせて、各材料の選択と各材料の厚さの最適化
を行う必要がある等の課題があった。 【解決手段】 歪みエネルギーを熱エネルギーに変換消
散する粘弾性材料4(4a〜4d)と、当該粘弾性材料
4の一方の端面に接着する弾性材料5(5a〜5d)と
を備え、粘弾性材料4と弾性材料5とを少なくとも2層
以上にわたって交互に衛星構体パネル1上に順次接着し
て複数層形成するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、人工衛星の打ち
上げ時に発生する振動を吸収するための振動吸収装置お
よび振動吸収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来の振動吸収装置が適用され
た人工衛星構造の一部を示す断面構造図である。図4に
おいて、101は人工衛星構造の一部を形成する衛星構
体パネル、102は衛星構体パネル101に付設されて
いる搭載機器ユニット、103は衛星構体パネル101
に接着している振動吸収装置である。図5は、従来の振
動吸収装置103の動作を説明する説明図である。図5
において、図4と同一符号は同一又は相当部分を示すの
でその説明を省略する。104は衛星構体パネル101
上に形成され衛星構体パネル101に積層接着している
粘弾性材料、105は粘弾性材料104上に形成され粘
弾性材料104に積層接着している弾性材料である。図
5に示したように、振動吸収装置103は、粘弾性材料
104と弾性材料105とを積層接着することによって
形成される。
【0003】次に動作について説明する。人工衛星の打
ち上げ時に発生する音響・振動荷重を受けて、衛星構体
パネル101には音響・振動荷重によって振動が発生す
る。この振動が搭載機器ユニット102に伝達した場合
には、搭載機器ユニット102には過大な加速度が加わ
ることになる。
【0004】このような事態を避けるために、振動が発
生し衛星構体パネル101に曲げ変形が生じた場合にお
いて、粘弾性材料104にはせん断変形と曲げ変形が生
じるが、弾性材料105はほとんど変形が生じないよう
に振動吸収装置103に対して最適化設計がなされてい
る。また、一般に、粘弾性材料104は、内部に生じる
歪みエネルギーを熱エネルギーに変換消散することによ
って振動を吸収する特性をもつ。
【0005】図5に示されたように、衛星構体パネル1
01に曲げ変形が生じても、弾性材料105には変形が
生じないため、粘弾性材料104には衛星構体パネル1
01と弾性材料105との変形の差によって生じる歪み
が発生する。粘弾性材料104に発生した歪みエネルギ
ーは、熱エネルギーに変換消散されるので、衛星構体パ
ネル101の曲げ振動は吸収されるから搭載機器ユニッ
ト102に加わる加速度は低減される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の振動吸収装置は
以上のように構成されているので、様々な表面形状を有
する人工衛星構造に適用しようとする場合に、例えば、
人工衛星構造の表面が平坦ではない場合において、適用
する表面形状に合わせて、粘弾性材料及び弾性材料に対
して各材料選択と各材料の厚さの最適化を行う必要があ
るという課題があった。
【0007】また、従来の振動吸収装置は、最適化設計
がなされた振動吸収装置を人工衛星構造に接着し音響・
振動試験を行い、音響・振動試験の結果、要求条件を満
たさなかった場合には、弾性材料上に振動吸収装置を更
に積層接着した場合でも音響・振動試験に弾性材料には
変形が生じないように最適化設計をしているために、振
動吸収装置を更に積層接着することによる振動吸収効果
の改善はほとんどないという課題があった。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、人工衛星構造の表面形状に依らず
適用することが可能であり、且つ振動吸収効果の高い振
動吸収装置および振動吸収方法を得ることを目的とす
る。
【0009】また、この発明は、弾性材料上に振動吸収
装置を更に積層接着することによって、振動吸収効果を
更に高めることができる振動吸収装置および振動吸収方
法を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明に係る振動吸収
装置は、歪みエネルギーを熱エネルギーに変換消散する
粘弾性材料と、粘弾性材料に接着する弾性材料とを備え
る振動吸収装置であって、粘弾性材料からなる層と弾性
材料からなる層とを積層した振動吸収層を人工衛星構造
上に順次接着して複数層形成するようにしたものであ
る。
【0011】この発明に係る振動吸収装置は、弾性材料
からなる層の厚さが、振動吸収装置の厚さの1/4以下
であるようにしたものである。
【0012】この発明に係る振動吸収装置は、弾性材料
が、金属を用いて形成するようにしたものである。
【0013】この発明に係る振動吸収装置は、弾性材料
が、繊維にマトリックス樹脂を充填した複合材料を用い
て形成するようにしたものである。
【0014】この発明に係る振動吸収装置は、弾性材料
が、1種類以上の金属と1種類以上の複合材料とのどち
らか一方もしくは両方を用いて形成するようにしたもの
である。
【0015】この発明に係る振動吸収装置は、粘弾性材
料が、損失係数が0.5以上である材料を用いて形成す
るようにしたものである。
【0016】この発明に係る振動吸収装置は、粘弾性材
料が、接着性を有する材料を用いて形成するようにした
ものである。
【0017】この発明に係る振動吸収装置は、粘弾性材
料が、1種類以上のプラスチック材料を用いて形成する
ようにしたものである。
【0018】この発明に係る振動吸収方法は、上述した
振動吸収装置を、人工衛星構造上に少なくとも2つ以上
積層接着するようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1による
振動吸収装置が適用された人工衛星構造の一部を示す断
面構造図である。図1において、1は人工衛星の一部を
形成する衛星構体パネル(人工衛星構造)、2は衛星構
体パネル1に付設されている搭載機器ユニット、3は衛
星構体パネル1に接着している振動吸収装置である。
【0020】図2は、この発明の実施の形態1による振
動吸収装置3の動作を説明する説明図である。図2にお
いて、図1と同一符号は同一又は相当部分を示すのでそ
の説明を省略する。4aは衛星構体パネル1上に形成さ
れ衛星構体パネル1に積層接着している粘弾性材料、5
aは粘弾性材料4a上に形成され粘弾性材料4aに積層
接着している弾性材料である。4bは弾性材料5a上に
積層接着している粘弾性材料、5bは粘弾性材料4b上
に積層接着している弾性材料であり、以降、この構造を
繰り返す。4c,4dは粘弾性材料、5c,5dは弾性
材料である。なお、以降の説明において、符号4を粘弾
性材料4a〜4d、符号5を弾性材料5a〜5dに付し
て説明する場合がある。また、複数の粘弾性材料4と複
数の弾性材料5とを積層した層を、振動吸収層と称す
る。
【0021】次に動作について説明する。人工衛星の打
ち上げ時に発生する音響・振動荷重を受けて、衛星構体
パネル1には音響・振動荷重によって振動が発生する。
この振動が搭載機器ユニット2に伝達した場合には、搭
載機器ユニット2には過大な加速度が加わることにな
る。
【0022】従来の振動吸収装置103とは異なり、こ
の発明の実施の形態1による振動吸収装置3では、振動
が発生し衛星構体パネル1に曲げ変形が生じた場合にお
いて、衛星構体パネル1と弾性材料5には曲げ変形が生
じ、粘弾性材料4にはせん断変形と曲げ変形とが生じ
る。この時、粘弾性材料4と弾性材料5とのせん断剛性
が異なることと、曲げ変形時の各層の曲率が異なること
によって、粘弾性材料4の層には歪みが生じる。この歪
みエネルギーが熱エネルギーに変換消散されるので、衛
星構体パネル1の曲げ振動が吸収されるから搭載機器ユ
ニット2に加わる加速度は低減される。
【0023】次に実施例について説明する。この発明の
発明者は、実施の形態1における振動吸収装置3の効果
を確認するため、振動試験を行った。試験に使用した衛
星構体パネル1は、表皮が炭素繊維にマトリックス樹脂
を充填した複合材料である炭素繊維複合材料(Carb
onFiber Reinforced Plasti
c、以下、CFRPと称する)からなり、ハニカムコア
がアルミからなるCFRP/アルミハニカムサンドイッ
チパネルである。衛星構体パネル1は2種類用意し、一
方は、長さ1000mm×幅1000mm×厚さ26m
mの平面パネルであり、他方はR950mmの曲面を持
つように成形した曲面パネルである。
【0024】上記した2種類の衛星構体パネル1の片側
(曲面パネルは凹面側)の表面中央部に搭載機器ユニッ
ト2を模擬した長さ50mm×幅50mm×厚さ10m
mのアルミブロックをエポキシ系接着剤を用いて接着し
た。また、衛星構体パネル1を固定した後、正弦波掃引
試験を行い、アルミブロックの応答加速度を加速度ピッ
クアップを使用して検出した。振動試験は、室温(25
℃)で行い、試験条件は加振加速度1G、掃引速度4o
ct/min、周波数範囲10〜1000Hzとした。
【0025】次に、衛星構体パネル1において、搭載機
器ユニット2を模擬したアルミブロックが接着されてい
る面とは逆のパネル表面中央部に、アクリル系樹脂(プ
ラスチック材料),エポキシ系樹脂(プラスチック材
料),ウレタン系樹脂(プラスチック材料)の何れか1
種類からなる粘弾性材料4と弾性材料5(アルミ,ステ
ンレス鋼,CFRP等)とを1層づつエポキシ系接着剤
を用いて接着する。また、同様に、衛星構体パネル1を
固定した後、正弦波掃引試験を行った。図3は、この発
明の実施例における振動試験の条件と結果を示す説明図
である。図3において、No.1〜No.8,No.1
5〜No.16は、図2に示されたこの発明の実施の形
態1による振動吸収装置3を用いた振動試験を示してお
り、No.9〜No.15,No.17〜No.19
は、図5に示された従来技術による振動吸収装置103
を用いた振動試験を示している。No.9〜No.13
の粘弾性材料104の厚さと弾性材料105の厚さは、
予め振動吸収効果を得られるように最適化設計を行って
いる。また、図3において、衛星構体パネル1の表面形
状と、使用した振動吸収装置に用いた材料と、当該材料
の寸法と、振動試験の結果である応答低減率とを示して
いる。応答低減率は、振動吸収装置3あるいは振動吸収
装置103を接着していない衛星構体パネル1のみの応
答加速度を1.0としたときの、振動吸収装置3あるい
は振動吸収装置103を接着した衛星構体パネル1の応
答加速度の低減した割合(応答低減率)によって評価し
ている。図3における各図形は、◎は応答低減率の値が
0.5以上であることを示しており、○は応答低減率の
値が0.25以上且つ0.5未満であることを示してお
り、△は応答低減率の値が0.1以上且つ0.25未満
であることを示しており、×は応答低減率の値が0以上
且つ0.1未満であることを示している。
【0026】試験結果について説明する。衛星構体パネ
ル1の表面形状が平面である場合、No.1〜No.8
に示されたこの発明の実施の形態1による振動吸収装置
3の振動吸収効果は、粘弾性材料4の種類(アクリル系
樹脂,エポキシ系樹脂,ウレタン系樹脂)や弾性材料5
の種類(CFRP,アルミ,ステンレス鋼)、粘弾性材
料4の厚さ、弾性材料5の厚さ、及びこれらの積層数に
依らず、いずれの場合においても応答低減率が0.25
以上であり、高い振動吸収効果が得られた。特に、弾性
材料5の厚さが振動吸収装置3の厚さの1/10以下で
あるNo.1〜No.6の場合において、いずれの場合
においても応答低減率が0.5以上であり、高い振動吸
収効果が得られた。即ち、弾性材料5の厚さは、振動吸
収装置3の厚さの1/4以下であれば高い振動吸収効果
が得られ、更に1/10以下であれば更に高い振動吸収
効果が得られ、より好ましくは図3に示されたように1
/30程度であれば更に高い振動吸収効果が得られる。
【0027】一方、No.9〜No.15の従来技術に
よる振動吸収装置103の振動吸収効果は、粘弾性材料
104の厚さが5mm、弾性材料105の厚さが10m
mであるNo.9〜No.13までは応答低減率が0.
5以上であり、高い振動吸収効果が得られているが、N
o.14及びNo.15では応答減衰率が0.25未満
であり、振動吸収効果は高くない。即ち、この実施の形
態1による振動吸収装置3においては、衛星構体パネル
1の表面形状が平坦である場合には、粘弾性材料4の厚
さ、弾性材料5の厚さ、及びそれらの材質には依らず、
高い振動吸収効果が得られる。
【0028】また、衛星構体パネル1の表面形状が曲面
である場合には、No.17〜No.18の従来技術に
よる振動吸収装置103は、曲面に合わせて積層接着す
ることが出来ず、振動試験を実施することが出来なかっ
た。No.19の従来技術による振動吸収装置103
は、積層接着することは出来たが、応答減衰率が0.2
5未満であり、振動吸収効果は高くなかった。更に、N
o.15〜No.16のこの実施の形態1による振動吸
収装置3は、曲面に合わせて積層接着することが可能で
あり、振動吸収効果は平面の場合とほぼ同等であった。
【0029】この発明の実施の形態1による振動吸収装
置3が、曲面に合わせて積層接着することが可能である
理由は、弾性材料5が0.5mmから3.0mmと薄い
ため、表面形状に沿って弾性材料5と粘弾性材料4とを
積層接着することが可能であるためである。一方、従来
技術による振動吸収装置103は、弾性材料105が1
0mm,又は14mmと厚いため、表面形状に沿って弾
性材料105と粘弾性材料104とを積層接着すること
が不可能である。また、接着できたとしても、その振動
吸収効果は低い。
【0030】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、粘弾性材料4及び弾性材料5の厚さを薄くし、且つ
粘弾性材料4と弾性材料5とを交互に積層接着し、各材
料を数層から数十層にわたって積層するように構成した
ので、衛星構体パネル1の表面形状に依らず適用するこ
とが可能であると共に、高い振動吸収効果が得られる。
【0031】また、この実施の形態1によれば、衛星構
体パネル1の表面形状に依らず適用することが可能であ
るので、粘弾性材料4及び弾性材料5に対して各材料選
択と各材料の厚さの最適化を行う必要がないから、設計
時間が短縮できるという効果が得られる。
【0032】実施の形態2.この発明の実施の形態2に
おける振動吸収装置3の粘弾性材料4は、アクリル系粘
弾性材料(アクリル系樹脂、プラスチック材料),エポ
キシ系粘弾性材料(エポキシ系樹脂、プラスチック材
料),又はウレタン系粘弾性材料(ウレタン系樹脂、プ
ラスチック材料)の何れか1種類において、損失係数が
0.1,0.3,0.5,0.7,1.0である材料を
用いている点で、図2に示した粘弾性材料4とは異な
る。また、この発明の実施の形態2における振動吸収装
置3の動作は、実施の形態1と同様であるのでその説明
を省略する。
【0033】次に実施例について説明する。この発明の
実施の形態2における振動吸収装置3の効果を確認する
ため、振動試験を行った。実施の形態1における振動吸
収装置3の振動試験と同様に、衛星構体パネル1を固定
した後、正弦波掃引試験を行い、アルミブロックの応答
加速度を加速度ピックアップを使用して検出した。振動
試験は、室温(25℃)で行い、試験条件は加振加速度
1G、掃引速度4oct/min、周波数範囲10〜1
000Hzとした。
【0034】また、この発明の実施の形態2における振
動吸収装置3の振動試験は、図3に示された粘弾性材料
4に様々な損失係数を有する材料を用いてる点が異な
り、衛星構体パネル1の表面形状と、弾性材料5と、当
該材料の寸法と、振動吸収装置3の厚さは、実施の形態
1における振動吸収装置3の振動試験と同じである。
【0035】粘弾性材料4にアクリル系粘弾性材料、エ
ポキシ系粘弾性材料、又はウレタン系粘弾性材料の何れ
か1種類を用いている場合において、損失係数が0.5
以上の粘弾性材料を用いている場合の応答加速度は特に
大きく低減していた。
【0036】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、粘弾性材料に損失係数が0.5以上の粘弾性材料を
用いるようにしたので、応答加速度を特に大きく低減す
ることができる効果が得られる。
【0037】実施の形態3.この発明の実施の形態3に
おける振動吸収装置3の粘弾性材料4は、接着性を有す
る点で、図2に示した粘弾性材料4とは異なる。接着性
を有する粘弾性材料4として、例えば液状のものを硬化
させてシート状にし粘着性を持たせたものや、予めシー
ト状になっているものに対して粘着性を持たせたものが
ある。また、この発明の実施の形態3における振動吸収
装置3の動作は、実施の形態1と同様であるのでその説
明を省略する。
【0038】以上のように、この実施の形態3によれ
ば、粘弾性材料4が接着性を有するようにしたので、粘
弾性材料4と弾性材料5、あるいは衛星構体パネル1と
振動吸収装置3との接着に接着剤を使用する必要がない
から、実装が容易になるという効果が得られる。
【0039】実施の形態4.この発明の実施の形態4に
おける振動吸収装置3は、図3に示された振動試験の条
件であるNo.1とNo.9に対して、振動吸収装置3
上に、更に同一寸法,同一材料の振動吸収装置3を積層
接着した点で、実施の形態1で示された振動吸収装置3
とは異なっている。また、この発明の実施の形態4にお
ける振動吸収装置3の動作は、実施の形態1と同様であ
るのでその説明を省略する。
【0040】次に実施例について説明する。この発明の
実施の形態4における振動吸収装置3の効果を確認する
ため、振動試験を行った。実施の形態1における振動吸
収装置3の振動試験と同様に、衛星構体パネル1を固定
した後、正弦波掃引試験を行い、アルミブロックの応答
加速度を加速度ピックアップを使用して検出した。振動
試験は、室温(25℃)で行い、試験条件は加振加速度
1G、掃引速度4oct/min、周波数範囲10〜1
000Hzとした。
【0041】この発明の実施の形態4における振動吸収
装置3は、図3に示された試験条件のNo.1とNo.
9に用いられた振動吸収装置3を2つ積層接着した振動
吸収装置3を用いている。
【0042】従来技術による振動吸収装置103を2つ
積層接着した場合には、振動吸収効果の変化はほとんど
無い。また、実施の形態1による振動吸収装置3を2つ
積層接着した場合には、振動吸収効果は大きく上昇する
結果が得られた。
【0043】この発明の実施の形態4による振動吸収装
置3は、後から追加した振動吸収装置3においても振動
時に曲げ変形が生じるために、振動吸収装置3の粘弾性
材料4に歪みが発生し、その歪みエネルギーが熱エネル
ギーに変換消散され、振動が更に吸収されたものと推測
される。一方、従来技術による振動吸収装置103は、
弾性材料5にほとんど変形が生じないので、振動吸収装
置103を後から追加しても重量を増加させる動作と同
等である。
【0044】以上のように、この実施の形態4によれ
ば、実施の形態1と同様の効果を奏すると共に、振動吸
収装置3上に、更に同一寸法,同一材料の振動吸収装置
3を積層接着するように構成したので、既に設計若しく
は製造された振動吸収装置3を備える人工衛星パネル1
に対して、容易に振動吸収効果を更に高めることができ
るという効果が得られる。
【0045】また、この実施の形態4によれば、既に設
計若しくは製造された振動吸収装置3を備える人工衛星
パネル1に対して容易に振動吸収効果を高めることがで
きるので、振動吸収効果を高めたい場合において、高価
な人工衛星構造の設計若しくは製造をやり直す必要がな
いから、人件費及び製造費などのコストを抑制すること
が可能であると共に、迅速に作業ができるという効果が
得られる。
【0046】なお、この実施の形態4では、後から追加
する振動吸収装置3は1つとして説明したが、これに限
られるものではなく、2つ以上の振動吸収装置3を追加
した場合においても、既に設計若しくは製造された人工
衛星パネル1に対して、振動吸収効果を更に高める効果
を奏することはいうまでもない。
【0047】また、上記実施の形態1から実施の形態4
において、弾性材料5に用いられる材料は1種類として
説明したが、これに限られるものではなく、1種類以上
の金属と1種類以上の複合材料とのどちらか一方もしく
は両方を用いた場合においても、上記実施の形態1から
実施の形態4において示した効果と同等の効果を奏す
る。
【0048】さらに、上記実施の形態1から実施の形態
4において、粘弾性材料4に用いられる材料は、アクリ
ル系粘弾性材料,エポキシ系粘弾性材料,ウレタン系粘
弾性材料のいずれか1種類として説明したが、これに限
られるものではなく、アクリル系粘弾性材料,エポキシ
系粘弾性材料,ウレタン系粘弾性材料等をそれぞれ組み
合わせて得られる粘弾性材料4を用いた場合において
も、上記実施の形態1から実施の形態4において示した
効果と同等の効果を奏する。
【0049】さらに、上記実施の形態1から実施の形態
4において、衛星構体パネル1における平面パネルの外
側,内側、あるいは、曲面パネルの凸面側,凹面側の何
れの表面に適用しても上記実施の形態1から実施の形態
4において示した効果と同等の効果を奏する。
【0050】さらに、上記実施の形態1から実施の形態
4において、振動吸収装置3は、人工衛星構造に用いら
れる衛星構体パネル1に適用した場合について説明した
が、これに限られるものではなく、宇宙構造物、あるい
はその他の構造物等に適用した場合においても上記実施
の形態1から実施の形態4において示した効果と同等の
効果を奏する。
【0051】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、歪み
エネルギーを熱エネルギーに変換消散する粘弾性材料
と、粘弾性材料に接着する弾性材料とを備える振動吸収
装置であって、粘弾性材料からなる層と弾性材料からな
る層とを積層した振動吸収層を人工衛星構造上に順次接
着して複数層形成するように構成したので、人工衛星構
造の表面形状に依らず適用することが可能であると共
に、高い振動吸収効果が得られるという効果を奏する。
また、人工衛星構造の表面形状に依らず適用することが
可能であるから、粘弾性材料及び弾性材料に対して各材
料選択と各材料の厚さの最適化を行う必要がないから、
設計時間が短縮できるという効果がある。
【0052】この発明によれば、弾性材料からなる層の
厚さが、振動吸収装置の厚さの1/4以下であるように
構成したので、高い振動吸収効果が得られるという効果
がある。
【0053】この発明によれば、弾性材料が、金属を用
いて形成するように構成したので、高い振動吸収効果が
得られるという効果がある。
【0054】この発明によれば、弾性材料が、繊維にマ
トリックス樹脂を充填した複合材料を用いて形成するよ
うに構成したので、高い振動吸収効果が得られるという
効果がある。
【0055】この発明によれば、弾性材料が、1種類以
上の金属と1種類以上の複合材料とのどちらか一方もし
くは両方を用いて形成するように構成したので、高い振
動吸収効果が得られるという効果がある。
【0056】この発明によれば、粘弾性材料が、損失係
数が0.5以上である材料を用いて形成するように構成
したので、応答加速度を特に大きく低減することができ
るという効果がある。
【0057】この発明によれば、粘弾性材料が、接着性
を有する材料を用いて形成するように構成したので、粘
弾性材料と弾性材料、あるいは人工衛星構造と振動吸収
装置との接着に接着剤を使用する必要がないから、実装
が容易になるという効果がある。
【0058】この発明によれば、粘弾性材料が、1種類
以上のプラスチック材料を用いて形成するように構成し
たので、高い振動吸収効果が得られるという効果があ
る。
【0059】この発明によれば、上述した振動吸収装置
を、人工衛星構造上に少なくとも2つ以上積層接着する
ように構成したので、既に設計若しくは製造された人工
衛星構造に対して、容易に振動吸収効果を更に高めるこ
とができる効果を奏する。また、既に設計若しくは製造
された人工衛星構造に対して容易に振動吸収効果を高め
ることができるので、振動吸収効果を高めたい場合にお
いて、高価な人工衛星構造の設計若しくは製造をやり直
す必要がないから、人件費及び製造費などのコストを抑
制することが可能であると共に、迅速に作業ができると
いう効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による振動吸収装置
が適用された人工衛星構造の一部を示す断面構造図であ
る。
【図2】 この発明の実施の形態1による振動吸収装置
の動作を説明する説明図である。
【図3】 この発明の実施例における振動試験の条件を
示す説明図である。
【図4】 従来の振動吸収装置が適用された人工衛星構
造の一部を示す断面構造図である。
【図5】 従来の振動吸収装置の動作を説明する説明図
である。
【符号の説明】
1 衛星構体パネル、2 搭載機器ユニット、3 振動
吸収装置、4,4a〜4d 粘弾性材料、5,5a〜5
d 弾性材料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾崎 毅志 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高野 昌宏 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA01 BA08 BA18 BB03 BB04 BD03 3J059 AD02 BA43 BC01 BC04 BC07 BC13 CB09 GA50

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歪みエネルギーを熱エネルギーに変換消
    散する粘弾性材料と、該粘弾性材料に接着する弾性材料
    とを備える振動吸収装置であって、 前記粘弾性材料からなる層と前記弾性材料からなる層と
    を積層した振動吸収層を人工衛星構造上に順次接着して
    複数層形成することを特徴とする振動吸収装置。
  2. 【請求項2】 弾性材料からなる層の厚さは、振動吸収
    装置の厚さの1/4以下であることを特徴とする請求項
    1記載の振動吸収装置。
  3. 【請求項3】 弾性材料は、金属を用いて形成すること
    を特徴とする請求項1記載の振動吸収装置。
  4. 【請求項4】 弾性材料は、繊維にマトリックス樹脂を
    充填した複合材料を用いて形成することを特徴とする請
    求項1記載の振動吸収装置。
  5. 【請求項5】 弾性材料は、1種類以上の金属と1種類
    以上の複合材料とのどちらか一方もしくは両方を用いて
    形成することを特徴とする請求項1記載の振動吸収装
    置。
  6. 【請求項6】 粘弾性材料は、損失係数が0.5以上で
    ある材料を用いて形成することを特徴とする請求項1記
    載の振動吸収装置。
  7. 【請求項7】 粘弾性材料は、接着性を有する材料を用
    いて形成することを特徴とする請求項1記載の振動吸収
    装置。
  8. 【請求項8】 粘弾性材料は、1種類以上のプラスチッ
    ク材料を用いて形成することを特徴とする請求項1記載
    の振動吸収装置。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のいずれか1項記
    載の振動吸収装置を、人工衛星構造上に少なくとも2つ
    以上積層接着することを特徴とする振動吸収方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100964312B1 (ko) 2008-08-19 2010-06-16 금호타이어 주식회사 인 휠 모터 구동 차륜의 능동 진동 감쇠 장치
JP2014508686A (ja) * 2011-03-22 2014-04-10 シロー インダストリーズ インコーポレイテッド 消音性のある多層パッチを持つパネル組立部品
KR20220090383A (ko) * 2020-12-22 2022-06-29 엘아이지넥스원 주식회사 점탄성 특성을 갖는 요크 및 이를 이용한 전개형 태양전지판

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KR20220090383A (ko) * 2020-12-22 2022-06-29 엘아이지넥스원 주식회사 점탄성 특성을 갖는 요크 및 이를 이용한 전개형 태양전지판
KR102655972B1 (ko) * 2020-12-22 2024-04-09 엘아이지넥스원 주식회사 점탄성 특성을 갖는 요크 및 이를 이용한 전개형 태양전지판

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