JP2706513B2

JP2706513B2 - 制振シート

Info

Publication number: JP2706513B2
Application number: JP1119742A
Authority: JP
Inventors: 幸夫西山; 康仁百田
Original assignee: Nitto Denko Corp
Current assignee: Nitto Denko Corp
Priority date: 1989-05-11
Filing date: 1989-05-11
Publication date: 1998-01-28
Anticipated expiration: 2013-01-28
Also published as: JPH02297434A

Description

【発明の詳細な説明】（ａ）産業上の利用分野本発明は自動車、車両、機器等の振動を生じる金属製
基体上に貼着させて振動の減衰を図るべく粘着材層を備
えた制振シートで、特に、振動減衰硬化の温度特性が改
善された制振シートに関するものである。

（ｂ）従来の技術自動車等のように連続的に振動するものに対しては、
いわゆる粘弾性物質が振動による力学的エネルギーを内
部発熱によって熱エネルギーへ変換、散逸せしめること
により、パネル等の振動を減衰させて騒音の発生を低減
させるという制振処理が行なわれており、自動車の他に
も鉄道車両、航空機等の輸送機器、ホッパ、粉砕機等の
産業機器、建材、橋梁等の建築物等にも広く応用されて
いる。

このように、粘弾性物質の特性を利用し、構造体の振
動を減衰し、騒音発生を低減する材料を制振材と称する
が、制振材は、作用機構の点から、つぎの２種に大別で
きる。

即ち、その第一は粘弾性物質の伸縮変形による内部発
熱を利用して被制振体の振動減衰をはかる単層型制振材
で、第二は、粘弾性物質を比較的高い弾性率をもつ拘束
層で挟み付けることにより剪断変形を生じさせることに
より同様に振動減衰をはかる積層型制振材である。

第一の単層型制振材としては、自動車車体パネルの制
振材として広く用いられている熱融着アスファルトシー
トがよく知られている。

これは、常温では全く流動性を示さない固体のシート
で、これを自動車製造工程中に制振処理すべきパネル体
上に静置し、熱硬化性樹脂塗料を焼付ける際に加えられ
る温度を利用して、当該パネル上へ融着せしめて制振処
理を行っている。

第二の拘束型制振材としては、粘弾性物質として、例
えばアルキル基の炭素数が４〜10のアルキルアクリレー
ト、低級アルキルアクリレート、低級アルキルメタクリ
レート、酢酸ビニル等を共重合して得られるアクリレー
ト系粘着性組成物、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、ブチルゴム、加硫戻しした再生ゴム等の１種または
２種以上に粘着付与剤、ゴム軟化剤、充填剤等を配合し
て得られる未加硫ゴム組成物を用い、これを拘束層とし
て機能するアルミニウム等の金属薄板に0.1〜3mmの厚さ
に塗布あるいは積層し、これを制振処理すべきパネル体
上へ粘着せしめる制振材がある。

（ｃ）発明が解決しようとする課題第一の単層型制振材の場合、十分な制振性を得るため
には、制振材層を３〜5mmとなかり厚くせねばならず、
その結果、重量が大となり、自動車等の軽量化が要望さ
れるときにはその使用が限定される。しかもこの種の制
振材は制振特性に大きな温度依存性があり、常温付近で
は十分な制振性を有するが、40℃以上の高温ではほとん
ど制振性を有しない。

一方、第二の拘束型制振材は第一の単層型制振材と比
較し、薄くて高い制振特性を有することから軽量とする
ことができるものの、第一の単層型制振材と同様、制振
特性に大きな温度依存があり、40℃以上の高温では、ほ
とんど制振特性を有しなくなる。

本発明は、初期粘着性を有する制振シートにおいて、
該シートを、下記（Ａ）〜（Ｃ）の３層から成る構造体
とすることにより、広い温度範囲において高い制振性を
有する良好な制振シートを提供することを目的とする。

（Ａ）動的弾性率が10¹¹〜10¹²dyne/cm²である高弾性拘
束層（Ｂ）半硬化状態で柔軟性を有し、加熱硬化後の動的弾
性率が10⁹〜10¹⁰dyne/cm²である熱硬化性樹脂層から成
る中弾性拘束層（Ｃ）動的弾性率が10⁶〜10⁸dyne/cm²である低弾性粘着
層（ｄ）課題を解決するための手段上記目的を達成するために、本発明の制振シートは、
初期粘着性を有する制振シートにおいて、その製品構成
が上記（Ａ）〜（Ｃ）の３層から成る構造体であること
を特徴とするものである。

上記（Ｂ）の層において、加熱硬化後の動的弾性率
が、10⁹dyne/cm²未満および10¹⁰dyne/cm²を超えた場合
では制振特性の温度依存性があまり改善されず、特に40
℃以上の高温での制振特性が悪くなるので好ましくな
い。

本願請求項２の制振シートにおいては、高弾性拘束
層、中弾性拘束層および低弾性粘着層のそれぞれの弾性
率が10¹¹〜10¹²dyne/cm²、10⁹〜10¹⁰dyne/cm²、10⁶〜10
⁸dyne/cm²であることを特徴とするものである。

ここで高弾性拘束層とは拘束層の動的弾性率が10¹¹〜
10¹²dyne/cm²であり、このような動的弾性率のものを選
択することにより、中弾性拘束層および低弾性粘着層を
広い温度範囲で拘束し、樹脂層の剪断変形による振動減
衰を効率よく生じさせることとなるので望ましいのであ
る。

このような動的弾性率のものの代表的なものとして、
アルミニウム、ステンレス等の金属箔やガラスクロス等
の無機繊維布がある。

上記中弾性拘束層としては貼付作業時は柔軟性を有す
るが、加熱処理後は剛性を有するような熱硬化性樹脂層
で形成されたものであり、加熱硬化後の動的弾性率とし
て10⁹〜10¹⁰dyne/cm²のものである。

さらに低弾性粘着層としては、アルクリ系や未加硫ゴ
ム系又はブチルゴム系の粘着剤で、その動的弾性率は10
⁶〜10⁸dyne/cm²、好ましくは10⁶〜10⁷dyne/cm²のもので
ある。

ここにおいて、動的弾性率が、10⁶dyne/cm²未満では
粘着層が柔らかすぎて被着体に対する保持力が小さくな
りすぎることとなるので好ましくなく、一方、10⁸dyne/
cm²を超えると低温から常温付近における制振特性が低
下することとなるので望ましくない。

上記のような３種の弾性率を有する３層積層構造体と
することにより−20〜80℃という広い温度範囲において
高い損失係数を有し、良好な制振特性を示すのである。

尚、本発明において、高弾性拘束層の厚みは10〜300
μｍであり、好ましくは30〜150μｍである。その厚さ
が、10μｍ未満では拘束層としての効果が低く、一方、
300μｍを超えると厚みが厚過ぎることから、制振シー
トとして柔軟性に欠け、曲面に対する貼付作業性が低下
するので好ましくないのである。

また中弾性拘束層は常温で柔軟性を有する熱硬化性樹
脂層で、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノ
ール系樹脂のものがあり、適宜顔料、充填剤等が含有さ
れる。

この中弾性拘束層の厚みは0.1〜2mmのものが好まし
く、この厚さが、0.1mm未満であると中弾性拘束層とし
ての効果、即ち40℃以上での制振特性が低下するので好
ましくなく、一方、2mmを超えると厚くしたことによる
特性向上が認められず不経済でありしかも重量増加とな
るので好ましくない。

更に、低弾性粘着層としてはその厚さが0.05〜2mm、
特に0.1〜1mmのものが好ましい。

この厚さが、0.05mm未満では制振特性が悪くなり、一
方、2mmを超えると厚くした効果がほとんど限界に達し
意味がないだけでなく、不経済であり、また重量増加と
なる。

（ｅ）作用本発明の制振シートにおいては、上記構成を有し、３
層積層構造体とすることにより、従来のアスファルト系
又は金属拘束層と粘弾性層から成る２層拘束型制振材と
比較し、被着体である鋼板の補強効果をも併せ持つこと
ができ、制振性と補強性という両特性を有する有用な制
振シートとなる作用を有するのである。

（ｆ）実施例以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。

第１図に示すように、以下に述べる組成物（Ａ）から
なる厚さ0.5mmのブチルゴム系の低弾性粘着層（１）、
以下に述べる組成物（Ｂ）からなる厚さ0.8mmのエポキ
シ系樹脂製中弾性拘束層（２）及び0.1mmの厚みでアル
ミニウム箔からなる高弾性拘束層（３）の３層積層構造
体（厚さ1.4mm）から成る本発明の制振シートを得た。

この制振シートを、厚さ0.8mmの鉄板に載置、接着し
た後、170℃で30分間加熱し、エポキシ系樹脂から成る
中弾性拘束層（２）を硬化させた。この各層において、
その各弾性率は、ブチルゴム系粘着層（低弾性粘着層
（１））が９×10⁶dyne/cm²、エポキシ系樹脂からなる
硬化物の弾性率（中弾性拘束層（２））は３×10¹⁰dyne
/cm²、アルミ箔（高弾性拘束層（３））は２×10¹¹dyne
/cm²である。

組成物（Ａ）ブチルゴム 100重量部ポリブテン 110重量部石油系樹脂 40重量部炭酸カルシウム 125重量部カーボン２重量部以上の成分をロール混練機にて充分に混練したのち、
常法によりシート化した。

組成物（Ｂ）液状エポキシ樹脂 100重量部ジシアンジアミド５重量部イミダゾール 0.6重量部タルク 100重量部カーボン１重量部有機ベントナイト８重量部以上の成分をロール混練機にて充分に混練したのち、
常法によりシート化した。

比較例１実施例のものから中弾性拘束層を抜いた、いわゆる従
来タイプの２層拘束型制振材を用いた。

尚、全体の厚さは1.4mmとなるように調整した。

比較例２実施例のものから低弾性粘着層を抜いたタイプのもの
を用いた。

尚、全体の厚さは1.4mmとなるように調整した。

試験方法（制振特性）実施例の３層積層構造体（厚み1.4mm）から成る制振
シートを厚さ0.8mmで25mm×200mmの形状の鋼板に載置、
接着後170℃で30分間熱処理し、硬化させた。

又、比較例１のものを用い、上記と同様の鋼板に載
置、接着させて固定した。

更に、比較例２のものを用い、上記と同様の鋼板に載
置、接着後170℃で30分間熱処理し、硬化させた。

上記の実施例及び比較例１・２のものを用いたもの
を、減衰法により、制振性を測定した。

その測定結果から算出される損失係数ηで制振結果を
判定し、プロットしたものを第２図に、実施例、比較例
としてそれぞれ示す。

曲げ強度試験（補強特性）先端間の距離100mmで平行に配置させた、先端が曲率
半径5mmの逆Ｕ字型断面を呈する２枚の垂直平板（幅50m
m）を有する支持台で、幅70mmにされた試験片を水平に
支持し、その中央部に上部から曲率半径10mmのＵ字型断
面を呈する垂直平板（幅50mm）で荷重を加えたときの最
大曲げ応力（kg/70mm幅）を測定した。

その結果を第１表に示す。

第２図に示す結果より、実施例のものは、比較例のも
のに比べて、幅広い温度範囲（−20〜80℃）で優れた制
振性を示すことが認められる。

又、第１表に示す結果より、実施例のものは、補強効
果も良好で充分に実用に耐ええることが認められる。

（ｇ）発明の効果本発明は、以上説明したように構成されているので、
以下に記載されるような効果を奏する。

請求項１の制振シートにおいては、初期粘着性を有す
る制振シートにおいて、その製品構成が高弾性拘束層、
熱硬化性樹脂層からなる中弾性拘束層、および低弾性粘
着層とから成る３層構造体であることにより、従来のも
のに比較して、優れた制振性と補強性という両特性を有
する効果を有するものである。

請求項２の制振シートにおいては、その製品構成要素
である熱硬化性樹脂層が半硬化状態で柔軟性を有するこ
とにより、曲面を有する被着体に対する追随性が良好な
ため、貼付作業性が良好で、しかも、加熱硬化後の動的
弾性率が10⁹〜10¹⁰dyne/cm²であるので40℃以上の高温
における制振特性が良好となっている効果を有するので
ある。

請求項３の制振シートにおいては、高弾性拘束層、中
弾性拘束層および低弾性粘着層のそれぞれの弾性率が10
¹¹〜10¹²dyne/cm²、10⁹〜10¹⁰dyne/cm²、10⁶〜10⁸dyne/
cm²であることにより、温度依存性の少ない良好な制振
性に加えて補強性という両特性を有する効果を有するの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す断面図、第２図は実施
例及び比較例１・２の制振特性を示す説明図である。（１）……低弾性粘着層、（２）……中弾性拘束層、
（３）……高弾性拘束層。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】制振シートにおいて、その製品構成が、下
記（Ａ）〜（Ｃ）の３層から成る構造体であることを特
徴とする初期粘着性を有する制振シート。（Ａ）動的弾性率が10¹¹〜10¹²dyne/cm²である高弾性拘
束層（Ｂ）半硬化状態で柔軟性を有し、加熱硬化後の動的弾
性率が10⁹〜10¹⁰dyne/cm²である熱硬化性樹脂層から成
る中弾性拘束層（Ｃ）動的弾性率が10⁶〜10⁸dyne/cm²である低弾性粘着
層
【請求項２】制振シートにおいて、その製品構成が、高
弾性拘束層、熱硬化性樹脂層から成る中弾性拘束層、お
よび低弾性粘着層の３層から成り、それぞれの層の動的
弾性率が、10¹¹〜10¹²dyne/cm²、10⁹〜10¹⁰dyne/cm²、1
0⁶〜10⁸dyne/cm²であることを特徴とする制振シート。
【請求項３】高弾性拘束層が、厚みが１〜300μｍであ
る、金属箔または無機繊維布から成る請求項１または２
に記載の制振シート。