JP2002356369A - 圧電セラミックス - Google Patents

圧電セラミックス

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JP2002356369A JP2002044613A JP2002044613A JP2002356369A JP 2002356369 A JP2002356369 A JP 2002356369A JP 2002044613 A JP2002044613 A JP 2002044613A JP 2002044613 A JP2002044613 A JP 2002044613A JP 2002356369 A JP2002356369 A JP 2002356369A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛を含まず、かつ、優れた圧電特性を有する
圧電セラミックスにおいて、焦電効果による圧電特性の
劣化を低減する。 【解決手段】 MII(MIIはSr、BaおよびCaから
選択される元素)、Ln(ランタノイド)、Bi、T
i、OおよびMnを含有するビスマス層状化合物であ
り、MIIBi4Ti415型結晶を含む圧電セラミックス
であって、MII、LnおよびBiの合計含有量をAで表
し、Tiの含有量をBで表したとき、原子比A/Bが
1.249≦A/B≦1.260であり、Mnの含有量
をCで表したとき、原子百分率100C/(A+B)が
0.396≦100C/(A+B)≦1.060である
圧電セラミックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レゾネータ、圧力
センサ等の分野に幅広く応用可能な圧電セラミックスに
関する。
【0002】
【従来の技術】圧電体は、外部から応力を受けることに
よって電気分極が変化する圧電効果と、電界を印加する
ことにより歪みを発生する逆圧電効果とを有する材料で
ある。圧電体は、圧力や変形を測定するためのセンサ、
レゾネータ、アクチュエータなどに応用されている。
【0003】現在実用化されている圧電材料の大部分
は、正方晶系または菱面体晶系のPZT(PbZrO3
−PbTiO3固溶体)系や、正方晶系のPT(PbT
iO3)系などのペロブスカイト構造を有する強誘電体
が一般的である。そして、これらに様々な副成分を添加
することにより、様々な要求特性への対応がはかられて
いる。
【0004】しかし、PZT系やPT系の圧電材料は、
実用的な組成ではキュリー点が300〜350℃程度の
ものが多い。これに対し現在のはんだ付け工程における
処理温度は、通常、230〜250℃なので、キュリー
点が300〜350℃程度の圧電材料ははんだ付け工程
において特性劣化を生じやすい。しかも、鉛を含まない
はんだ(鉛フリーはんだ)が実用化されると、はんだ付
け工程における処理温度はさらに高くなる。したがっ
て、圧電材料のキュリー点を高くすることは極めて重要
である。
【0005】また、これら鉛系圧電材料は、低温でも揮
発性の極めて高い酸化鉛(PbO)を多量(60〜70
質量%程度)に含んでいるため、生態学的な見地および
公害防止の面からも好ましくない。具体的には、これら
鉛系圧電材料をセラミックスや単結晶として製造する際
には、焼成、溶融等の熱処理が不可避であり、工業レベ
ルで考えた場合、揮発性成分である酸化鉛の大気中への
揮発、拡散量は極めて多量となる。また、製造段階で放
出される酸化鉛は回収可能であるが、工業製品として市
場に出された圧電材料に含有される酸化鉛は、現状では
その殆どが回収不能であり、これらが広く環境中に放出
された場合、公害の原因となることは避けられない。
【0006】鉛を全く含有しない圧電材料としては、例
えば、正方晶系に属するペロブスカイト構造のBaTi
3がよく知られているが、これはキュリー点が120
℃と低いため、実用的ではない。また、特開平9−10
0156号公報には、ペロブスカイト構造の(1−x)
(Bi1/2Na1/2)TiO3−xNaNbO3固溶体が記
載されているが、同公報にはキュリー点が370℃を超
えるものは記載されていない。
【0007】キュリー点の高い圧電体としては、例えば
ビスマス層状化合物が知られている。しかし、鉛を全く
含有しないビスマス層状化合物は、レゾネータに適用す
る場合に重要となるQmaxが小さいという問題がある。
Qmaxとは、位相角の最大値をθmaxとしたときのtanθm
axである。すなわち、Xをリアクタンス、Rをレジスタ
ンスとしたとき、共振周波数と反共振周波数との間にお
けるQ(=|X|/R)の最大値である。Qmaxが大き
いほど発振が安定し、また、低電圧での発振が可能とな
る。
【0008】本発明者らは、特許第3032761号公
報において、鉛を含有せず、かつ、Qmaxが大きいビス
マス層状化合物として、SrBi4Ti415系組成にラ
ンタノイドを添加した圧電セラミックスを提案してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】圧電セラミックスは焦
電性を示すため、分極された圧電セラミックスに対して
熱衝撃が加わると、焦電効果に伴う電荷が発生する。S
rBi4Ti415系組成の圧電セラミックスは比抵抗が
比較的高いため、焦電効果によって発生した電荷が解消
されにくい。そのため、この電荷によって生じる電界が
自発分極の向きに影響を与えて、圧電特性の劣化、特に
電気機械結合係数(kt)の劣化が生じやすい。
【0010】本発明は、鉛を含まず、かつ、優れた圧電
特性を有する圧電セラミックスにおいて、焦電効果によ
る圧電特性の劣化を低減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(5)の本発明により達成される。 (1) MII(MIIはSr、BaおよびCaから選択さ
れる元素)、Ln(ランタノイド)、Bi、Ti、Oお
よびMnを含有するビスマス層状化合物であり、MII
4Ti415型結晶を含む圧電セラミックスであって、 MII、LnおよびBiの合計含有量をAで表し、Tiの
含有量をBで表したとき、原子比A/Bが 1.249≦A/B≦1.260 であり、 Mnの含有量をCで表したとき、原子百分率100C/
(A+B)が 0.396≦100C/(A+B)≦1.060 である圧電セラミックス。 (2) 1.250<A/B≦1.260 である上記(1)の圧電セラミックス。 (3) MII中の原子比をSrxBayCazで表したと
き、 x+y+z=1、 0≦x≦1、 0≦y≦0.9、 0≦z≦1 である上記(1)または(2)の圧電セラミックス。 (4) 原子比Ln/(Ln+MII)が 0<Ln/(Ln+MII)<0.5 である上記(1)〜(3)のいずれかの圧電セラミック
ス。 (5) YおよびScから選択される少なくとも1種の
元素を、それぞれY23およびSc23に換算して合計
で0.3質量%未満含有する上記(1)〜(4)のいず
れかの圧電セラミックス。
【0012】
【作用および効果】本発明では、MIIBi4Ti415
組成に、ランタノイド酸化物およびマンガン酸化物を添
加した圧電セラミックスにおいて、金属元素の構成比A
/Bおよび100C/(A+B)を上記のように制御す
る。これにより、圧電セラミックスの比抵抗が減少す
る。そのため、焦電効果によって発生した電荷が速やか
に解消される結果、圧電特性の劣化を抑制することがで
きる。
【0013】
【発明の実施の形態】圧電セラミックス 本発明の圧電セラミックスは、MII(MIIはSr、Ba
およびCaから選択される元素)、Ln(ランタノイ
ド)、Bi、Ti、OおよびMnを含有するビスマス層
状化合物であり、MIIBi4Ti415型結晶を含む複合
酸化物である。
【0014】MII、LnおよびBiの合計含有量をAで
表し、Tiの含有量をBで表したとき、本発明の圧電セ
ラミックス中では、原子比A/Bが 1.249≦A/B≦1.260 であり、好ましくは 1.250<A/B≦1.260 であり、より好ましくは 1.251≦A/B≦1.260 である。A/Bが小さすぎると、比抵抗が高くなってし
まう。一方、A/Bが大きすぎると、比抵抗が低くなり
すぎて分極が困難となる。
【0015】MII中の原子比をSrxBayCazで表し
たとき、 x+y+z=1、 0≦x≦1、 0≦y≦0.9、 0≦z≦1 であることが好ましい。MIIに占めるBaの比率yが高
くなりすぎると、焼成時に圧電セラミックスが溶融しや
すくなる。
【0016】本発明の圧電セラミックスは、Qmaxを向
上させるために、ランタノイド酸化物を含有する。ラン
タノイドは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybおよび
Luであり、これらのうちでは、La、Nd、Sm、G
d、Dy、Ho、ErおよびYbの少なくとも1種が好
ましく、Laが最も好ましい。ランタノイドをLnで表
したとき、原子比Ln/(Ln+MII)は、 0<Ln/(Ln+MII)<0.5 であり、好ましくは 0.03≦Ln/(Ln+MII)≦0.3 である。Ln/(Ln+MII)が大きすぎると、Qmax
がかえって低くなってしまう。Ln酸化物の添加による
Qmaxの向上は、焼結性の向上によると考えられる。
【0017】また、本発明の圧電セラミックスは、Qma
xを向上させるためにMn酸化物を含有する。Mn酸化
物とLn酸化物とを複合添加することにより、Qmaxは
著しく向上する。ただし、Mn酸化物の含有量が多すぎ
ると、比抵抗が低くなって分極処理が困難となる。一
方、Mn酸化物の含有量が少なすぎると、比抵抗が高く
なり本発明の効果が実現しない。そのため、Mnの含有
量をCで表したとき、本発明では原子百分率100C/
(A+B)を 0.396≦100C/(A+B)≦1.060 とし、好ましくは 0.532≦100C/(A+B)≦0.994 とする。
【0018】なお、原子比A/Bおよび原子百分率10
0C/(A+B)は、蛍光X線分析により測定すること
ができる。
【0019】本発明においてY酸化物および/またはS
c酸化物を含有させれば、圧電セラミックスの比抵抗を
さらに減少させることができ、焦電効果による圧電特性
の劣化をさらに低減できる。Y酸化物をY23に、Sc
酸化物をSc23にそれぞれ換算して求めた両酸化物の
合計含有量は、好ましくは0.3質量%未満、より好ま
しくは0.2質量%以下である。この合計含有量が多す
ぎると、比抵抗が低くなりすぎて分極が困難となる。一
方、比抵抗低減効果を十分に発揮させるためには、上記
合計含有量を0.05質量%以上とすることが好まし
い。
【0020】なお、Y酸化物をLn酸化物と共に含有す
ることにより、共振周波数の温度特性が向上し、しか
も、十分に大きいQmaxが得られる。
【0021】また、Co酸化物を含有させることによっ
てもQmaxを向上させることができる。Qmax向上効果を
十分に発揮させるためには、CoO換算の含有量を0.
1質量%以上とすることが好ましい。ただし、Co酸化
物の含有量が多すぎると、比抵抗が大きくなって分極が
難しくなる。そのため、CoO換算の含有量は、好まし
くは0.7質量%未満とし、より好ましくは0.5質量
%以下とする。
【0022】本発明の圧電セラミックスは、ビスマス層
状化合物であるMIIBi4Ti415型結晶を含み、実質
的にこの結晶から構成されていることが好ましいが、完
全に均質でなくても、例えば異相を含んでいてもよい。
この圧電セラミックス中において、LnはMIIBi4
415型結晶のMIIサイトを主に置換していると考え
られるが、一部が他のサイトを置換していてもよく、ま
た、一部が結晶粒界に存在していてもよい。
【0023】本発明の圧電セラミックスの全体組成は、
a≧0として、一般に(MII 1-aLna)Bi4Ti415
付近の組成にMnOが付加されたものとすればよく、C
o酸化物を含有する場合には、これにさらにCoOが付
加されたものとすればよい。ただし、A/Bが前記した
限定範囲内にある限り、例えばTiに対するMII+Ln
の比率やTiに対するBiの比率が、化学量論組成から
±5%程度ずれていてもよい。例えば、Tiに対するB
iの比率をより高くすることで、Qmaxをより高くする
ことが可能である。また、酸素量も、金属元素の価数や
酸素欠陥などに応じて変化し得る。
【0024】また、本発明の圧電セラミックスには、不
純物ないし微量添加物としてPb酸化物、Cr酸化物、
Fe酸化物等が含有されていてもよいが、これらの酸化
物の含有量は、PbO、Cr23、Fe23などの化学
量論組成の酸化物に換算してそれぞれ全体の0.5質量
%以下であることが好ましく、これらの酸化物の合計で
も0.5質量%以下であることがより好ましい。これら
の酸化物の含有量が多すぎると、圧電特性が損なわれる
ことがある。なお、圧電セラミックス中にはPbが含ま
れないことが最も好ましいが、0.5質量%程度以下の
含有量であれば実質的に問題はない。
【0025】本発明の圧電セラミックスの結晶粒は、紡
錘状ないし針状である。その平均結晶粒径は特に限定さ
れないが、長軸方向において、好ましくは1〜10μ
m、より好ましくは3〜5μmである。
【0026】上記組成の圧電セラミックスのキュリー点
は、少なくとも380℃以上とすることができ、430
℃以上とすることも容易である。
【0027】本発明の圧電セラミックスは、レゾネー
タ、高温用センサ等に好適である。使用モードは特に限
定されず、例えば厚み縦振動や厚みすべり振動等のいず
れのモードも利用可能である。
【0028】製造方法 次に、本発明の圧電セラミックスを製造する方法の一例
を説明する。
【0029】まず、出発原料として、酸化物、または、
焼成により酸化物に変わりうる化合物、例えば、炭酸
塩、水酸化物、シュウ酸塩、硝酸塩等、具体的にはMII
CO3、Bi23、TiO2、La23、MnO2、Mn
CO3等の粉末を用意し、これらをボールミル等により
湿式混合する。
【0030】次いで仮焼する。なお、通常、仮焼前に仮
成形する。仮焼温度は、好ましくは700〜1000
℃、より好ましくは750〜850℃である。仮焼温度
が低すぎると、化学反応が十分に終了せず、仮焼が不十
分となる。一方、仮焼温度が高すぎると、仮成形体が焼
結し始めるため、その後の粉砕が困難となる。仮焼時間
は特に限定されないが、通常、1〜3時間とすることが
好ましい。
【0031】得られた仮焼物をスラリー化し、ボールミ
ル等を用いて湿式粉砕する。この粉砕により得られる粉
末の平均粒径は特に限定されないが、その後の成形のし
やすさを考慮すると、1〜5μm程度とすることが好ま
しい。
【0032】湿式粉砕後、仮焼物の粉末を乾燥し、乾燥
物に水を少量(4〜8質量%程度)添加した後、100
〜400MPa程度の圧力でプレス成形して、成形体を得
る。この際、ポリビニルアルコール等のバインダを添加
してもよい。
【0033】次いで、成形体を焼成し、圧電セラミック
スを得る。焼成温度は好ましくは1100〜1250℃
の範囲から選択し、焼成時間は好ましくは1〜5時間程
度とする。焼成は大気中で行ってもよく、大気中よりも
酸素分圧の低い雰囲気や高い雰囲気、あるいは純酸素雰
囲気中で行ってもよい。
【0034】焼成後、分極処理を施す。分極処理の条件
は、圧電セラミックスの組成に応じて適宜決定すればよ
いが、通常、分極温度は150〜250℃、分極時間は
1〜30分間、分極電界は抗電界の1.1倍以上、好ま
しくは1.5倍以上とすればよい。
【0035】
【実施例】実施例1 以下の手順で、表1および表2に示す圧電セラミックス
サンプルを作製した。
【0036】出発原料として、SrCO3、Bi23
TiO2、La23、MnCO3の各粉末を、最終組成が
(Sr0.9La0.1)Bi4Ti415付近となり、かつM
nOを含有するように配合し、純水中でジルコニアボー
ルを利用したボールミルにより10時間湿式混合した。
【0037】次いで、混合物を十分に乾燥し、プレス成
形した後、800℃で2時間仮焼した。得られた仮焼物
をボールミルで粉砕した後、乾燥し、バインダ(ポリビ
ニルアルコール)を加えて造粒した。得られた造粒粉を
一軸プレス成形機を用いて294MPaの荷重を加え、厚
さ約1.5mmの薄板状に成形した。得られた成形体に熱
処理を施してバインダを揮発させた後、1230℃で4
時間焼成した。
【0038】次に、各焼結体の元素含有量を、蛍光X線
分析により測定した。この測定結果から、前記したA/
Bおよび100C/(A+B)を求めた。結果を表1お
よび表2に示す。
【0039】次に、焼結体を厚さ500μmとなるまで
ラップ研磨し、さらに、平面寸法が15mm×15mmとな
るように切断した。
【0040】次に、焼結体の両面にCu電極を蒸着によ
り形成し、比抵抗を測定した。上記焼結体の室温におけ
る比抵抗は1012Ωcm程度であるため、測定の際に電流
がほとんど流れず、測定精度が低くなる。そのため本実
施例では、250℃のシリコーンオイルバス中で比抵抗
を測定した。
【0041】次いで、250℃のシリコーンオイルバス
中において、焼結体に1.5×EC(MV/m)以上の電界
を1分間印加して分極処理を施し、圧電セラミックスサ
ンプルを得た。なお、上記ECは、250℃における各
焼結体の抗電界である。
【0042】次いで、Cu電極を除去した後、各サンプ
ルをラップ研磨して厚さ435μmの薄板を得た。この
薄板の両面にAg電極を蒸着により形成し、ヒューレッ
トパッカード社製インピーダンスアナライザHP419
4Aによる測定を行い、共振反共振法を利用して厚み縦
方向電気機械結合係数(kt)を求めた。なお、ktは下
記式により算出した。
【0043】
【数1】
【0044】次いで、各サンプルに対し、−40〜85
℃の雰囲気に交互にそれぞれ88回ずつ曝す熱衝撃試験
を行った。この熱衝撃試験後に、再び電気機械結合係数
(k t)を測定した。
【0045】熱衝撃試験前の電気機械結合係数をkt0
熱衝撃試験後の電気機械結合係数をkt1とし、その変化
率△ktを △kt=(kt1−kt0)/kt0 により求めた。結果を表1および表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】表1および表2から本発明の効果が明らか
である。すなわち、サンプルの組成を本発明で限定する
範囲内とすることにより比抵抗が低くなり、その結果、
△k tの絶対値が低く抑えられている。
【0049】なお、表1および表2に示す各サンプルに
おいて、キュリー点は500℃以上であり、厚み縦振動
の3次高調波モードでのQmaxは10以上であった。ま
た、熱衝撃試験によってキュリー点は変化しなかった。
また、各サンプルを粉末X線回折法により解析したとこ
ろ、SrBi4Ti415型結晶の単一相となっているこ
とが確認された。
【0050】実施例2 出発原料として、CaCO3、Bi23、TiO2、La
23、MnCO3の各粉末を、最終組成が(Ca0.9La
0.1)Bi4Ti415付近となり、かつMnOを含有す
るように配合した。また、焼成温度は1200℃とし
た。また、分極条件は、150℃、16kV/mm、100
0秒とした。これら以外の条件は実施例1と同様とし、
サンプルを作製した。これらのサンプルについて実施例
1と同様な測定を行った。結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3から、元素MIIがCaである場合にも
本発明が有効であることがわかる。
【0053】表3に示す各サンプルにおいて、キュリー
点は500℃以上であり、厚み縦振動の3次高調波モー
ドでのQmaxは15以上であった。また、熱衝撃試験に
よってキュリー点は変化しなかった。また、各サンプル
を粉末X線回折法により解析したところ、CaBi4
415型結晶の単一相となっていることが確認され
た。
【0054】実施例3 出発原料として、CaCO3、Bi23、TiO2、La
23、MnCO3、Y23の各粉末を、最終組成が(C
0.9La0.1)Bi4Ti415付近となり、かつMnO
およびY23を含有するように配合した。これ以外の条
件は実施例2と同様とし、サンプルを作製した。これら
のサンプルについて実施例1と同様な測定を行った。結
果を表4に示す。なお、表4にはY23含有量も示して
ある。
【0055】
【表4】
【0056】表4から、Y23添加により比抵抗がさら
に低くなり、その結果、△ktの絶対値がより低く抑え
られることがわかる。なお、Y23の少なくとも一部に
替えてSc23を用いたところ、比抵抗低減および△k
tの絶対値低下が認められた。
【0057】表4に示す各サンプルにおいて、キュリー
点は500℃以上であり、厚み縦振動の3次高調波モー
ドでのQmaxは16以上であった。また、熱衝撃試験に
よってキュリー点は変化しなかった。また、各サンプル
を粉末X線回折法により解析したところ、CaBi4
415型結晶の単一相となっていることが確認され
た。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 MII(MIIはSr、BaおよびCaから
    選択される元素)、Ln(ランタノイド)、Bi、T
    i、OおよびMnを含有するビスマス層状化合物であ
    り、MIIBi4Ti415型結晶を含む圧電セラミックス
    であって、 MII、LnおよびBiの合計含有量をAで表し、Tiの
    含有量をBで表したとき、原子比A/Bが 1.249≦A/B≦1.260 であり、 Mnの含有量をCで表したとき、原子百分率100C/
    (A+B)が 0.396≦100C/(A+B)≦1.060 である圧電セラミックス。
  2. 【請求項2】1.250<A/B≦1.260 である請求項1の圧電セラミックス。
  3. 【請求項3】 MII中の原子比をSrxBayCazで表
    したとき、 x+y+z=1、 0≦x≦1、 0≦y≦0.9、 0≦z≦1 である請求項1または2の圧電セラミックス。
  4. 【請求項4】 原子比Ln/(Ln+MII)が 0<Ln/(Ln+MII)<0.5 である請求項1〜3のいずれかの圧電セラミックス。
  5. 【請求項5】 YおよびScから選択される少なくとも
    1種の元素を、それぞれY23およびSc23に換算し
    て合計で0.3質量%未満含有する請求項1〜4のいず
    れかの圧電セラミックス。
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