JP2002355709A - ドリル用スローアウェイチップ - Google Patents

ドリル用スローアウェイチップ

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JP2002355709A
JP2002355709A JP2001165753A JP2001165753A JP2002355709A JP 2002355709 A JP2002355709 A JP 2002355709A JP 2001165753 A JP2001165753 A JP 2001165753A JP 2001165753 A JP2001165753 A JP 2001165753A JP 2002355709 A JP2002355709 A JP 2002355709A
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peak
tungsten carbide
drill
tip
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Yoshihide Kojima
義秀 小島
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】小径のドリル用スローアウェイチップの耐欠損
性を向上させる。 【解決手段】硬質相成分として炭化タングステンを、結
合相成分としてコバルトをそれぞれ含み、かつCo3
3 C,Co66 C,Co24 CおよびCo394
から選ばれる少なくとも1種のコバルトタングステン
炭化物を含有する超硬合金であって、X線回折測定にお
ける前記コバルトタングステン炭化物のCo33 Cの
(333)と(511)の合成ピーク、Co66 Cの
(333)と(511)の合成ピーク、Co24 Cの
(333)と(511)の合成ピークおよびCo39
4 の(301)のピークのうちの最大ピークの強度を
1、WCの(001)のピーク強度をI2 とした時、
1 /I2 で表されるピーク強度比が0.03〜0.1
5である超硬合金から構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穿孔加工に使用す
るドリル用のスローアウェイチップに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】穿孔加工に使用するドリルとして、その
全体が一体に形成された通常のソリッド型ドリルの他
に、ドリル本体(ホルダー)と別体のスローアウェイチ
ップ上に切削用の刃を形成し、それをホルダーの先端
に、ネジ等によって着脱自在に装着できるようにした、
いわゆるスローアウェイ式ドリルがある。
【0003】このスローアウェイ式ドリルには、2チッ
プ型のものと1チップ型のものとがあり、このうち前者
の2チップ型のスローアウェイ式ドリルは、例えば特開
平10−29108号公報に記載されているように、穴
の中央部を削る内刃を有するチップと、穴の周縁部を削
る外刃を有するチップの2つのチップを、ホルダーの先
端に装着することで構成されている。そして上記公報記
載の発明では、1つのチップ上に内刃と外刃の両方を形
成しておき、ホルダーに装着する向きと位置とによって
同じチップを内刃チップもしくは外刃チップとして兼用
できるようにも構成されている。
【0004】しかし、この2チップ型の構成は、加工径
の大きな大型のドリルには適しているものの、例えば加
工径がφ10程度の小型のドリルにこれを適用しようと
すると、ホルダーの先端にチップ取り付けのためのスペ
ースや、あるいは切屑排出のためのスペースが十分に確
保できなかったり、チップ取り付けのためのネジが非常
に小さなものとなって十分な取り付け強度が得られなか
ったりするといった問題があった。
【0005】一方、前記1チップ型のスローアウェイ式
ドリル(以下『1チップドリル』と略称する)としては、
例えば特開平10−328918号公報に記載されてい
るように、従来のソリッド型ドリルの先端形状と類似し
た、穿孔方向に臨み、かつドリルの回転軸上に位置する
頂部から、それぞれ両側へ延びる一対の、加工孔の半径
の全長に亘る長い刃稜を有するチップを使用したものが
一般的である。
【0006】なお、従来のチップに用いられた超硬合金
材種は、Co33 C,Co66C,Co24 Cお
よびCo394 のコバルトタングステン炭化物を含
有していなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の1チッ
プ型のチップ形状では、穿孔時にチップに加わる切削抵
抗が大きいため、チップの肉厚を大きくとる必要があ
り、その分、切屑排出のためのスペースを確保するのが
容易でないという問題があった。
【0008】そこで発明者は、今般、1チップ型につい
てさらに検討した結果、小径のドリル用スローアウェイ
チップに、ステンレス加工用に開発された特定の材質を
適用した場合、スローアウェイチップの耐欠損性が大幅
に向上することを見いだした。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明のドリル用スローアウェイチップは、幅10
mm〜12.5mmの穿孔加工に先端に孔の中央部を削
る内刃および孔の周縁部を削る外刃を有するドリル用ス
ローアウェイチップであって、硬質相成分として炭化タ
ングステンを、結合相成分としてコバルトをそれぞれ含
み、かつCo3 3 C,Co66 C,Co24 Cお
よびCo394 から選ばれる少なくとも1種のコバ
ルトタングステン炭化物を含有し、X線回折測定におけ
る前記コバルトタングステン炭化物のCo33 Cの
(333)と(511)の合成ピーク、Co66 Cの
(333)と(511)の合成ピーク、Co24 Cの
(333)と(511)の合成ピークおよびCo39
4 の(301)のピークのうちの最大ピークの強度を
1 、WCの(001)のピーク強度をI2 とした時、
1 /I2 で表されるピーク強度比が0.03〜0.1
5である超硬合金からなることを特徴とする。
【0010】かかるドリル用スローアウェイチップは、
小径であるにもかかわらず、耐欠損性が大きく、したが
って、チップの肉厚を小さくしてホルダー側の耐欠損性
を向上させることできる。また、チップの形状について
設計上、自由度が大きくなるので、例えば、耐欠損性と
ともに切屑排出性や切削抵抗の点で有利なドリル用スロ
ーアウェイチップの開発が可能となる。
【0011】なお、上記コバルトタングステン炭化物お
よびWCについて、X線回折測定におけるCo33
の(333)と(511)の合成ピーク、Co66
の(333)と(511)の合成ピーク、Co24
の(333)と(511)の合成ピークおよびCo3
94 の(301)のピーク、WCの(001)のピー
クを測定するのは、それぞれについてX線回折測定のピ
ークが最も明瞭に測定できるからである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下には、図面を参照して、本発
明の実施形態について具体的に説明する。
【0013】図1(a)は、本発明の一実施形態にかか
るドリル用スローアウェイチップ1の正面図、同図
(b)は、上記チップ1の穿孔方向に臨む前端面を示す
底面図である。また図2(a)は上記チップ1の背面
図、同図(b)は図1(a)の正面から見た左側面図で
ある。さらに、図3(a)は正面側から見た斜視図、同
図(b)は背面側から見た斜視図である。
【0014】この例のドリル用スローアウェイチップ1
は、これらの図に見るように、後述する超硬合金からな
り、互いに背中合わせの2表面をホルダーへの取り付け
のための第1座面1b、および第2座面1cとするとと
もに、この両座面1b、1cにそれぞれ開口を有するよ
うに、ホルダーへの取り付け用のネジが挿通される貫通
孔1aを形成したものである。
【0015】上記チップ1の図1(a)に黒矢印で示す
穿孔方向先端には、当該穿孔方向と交差方向に、孔の中
央部を削る内刃11と、孔の周縁部を削る外刃12とが
配置されている。なお、チップ1の先端の幅は10mm
〜12.5mmである。ここで、先端の幅が10mmよ
り小さい場合、上記ホルダーへの取り付け用のネジのサ
イズが非常に小さくなり、このネジの剛性が不足してし
まう恐れがある。
【0016】また上記チップ1を、穿孔方向に沿う回転
軸Pvを中心として、穿孔加工のために、図1(b)に
実線の矢印で示す方向に回転された際に、第2座面1c
側の、回転の前面部となる領域[図2(a)において、
回転軸Pvより右側の部分]には、当該部分を、上記回
転方向に対して第2座面1cより一段、低くなるように
段差を設けることで、第1すくい面13aが形成されて
いる。
【0017】そしてこの第1すくい面13aが形成され
ることで、チップ1の、貫通孔1aを形成した部分より
薄肉とされた突出部13のうち、上記第1すくい面13
a、およびこれと背中合わせの第1座面1bと交差する
穿孔方向前端面に、第1前逃げ面13bが形成されてお
り、この第1前逃げ面13bと、上記第1すくい面13
aとの交差稜によって、上述した内刃11が形成されて
いる。内刃11には丸ホーニングが施されている。
【0018】また同様に第1座面1b側の、回転の前面
側となる領域[図1(a)において、回転軸Pvより右
側の部分]には、当該部分を、上記回転方向に対して第
1座面1bより一段、低くなるように段差を設けること
で、第2すくい面14aが形成されている。
【0019】またこの第2すくい面14aが形成されて
いることで、チップ1の貫通孔1aを形成した部分より
薄肉とされた突出部14のうち、上記第2すくい面14
a、およびこれと背中合わせの第2座面1cと交差する
穿孔方向前端面に、第2前逃げ面14bが形成されてお
り、この第2前逃げ面14bと、上記第2すくい面14
aとの交差稜によって外刃12が形成されている。
【0020】さらに上記のように段差を設けることで第
1すいくい面13aの前方に形成された、第2座面1c
との段差分の空間が、ホルダーとの間に、内刃11から
の切屑を排出するためのスペースを形成するための切屑
ポケットとされており、同様に段差を設けることで第2
すくい面14aの前方に形成された、第1座面1bとの
段差分の空間が、ホルダーとの間に、外刃12からの切
屑を排出するためのスペースを形成する切屑ポケットと
されている。
【0021】内刃11は、穿孔方向に臨む頂部11a
と、この頂部11aからチップ1の内方向および外方向
の両方向へ下り傾斜で延びる刃稜11b、11cとを有
する形状に形成されている。
【0022】一方、外刃12も同様に、穿孔方向に臨む
頂部12aと、この頂部12aからチップ1の内方向お
よび外方向の両方向へ下り傾斜で延びる刃稜12b、1
2cとを有する形状に形成されている。
【0023】また、内刃11と外刃12とは、内刃11
による孔の中央部の切削と、外刃12による孔の周縁部
の切削とをほぼ同時に行って、スムースな穿孔加工をす
るために、それぞれの頂部11a、頂部12aが、穿孔
方向に対してほぼ同じ高さに配置されている。
【0024】さらに上記内刃11と外刃12とは、チッ
プ1を、回転軸Pvを中心として回転させた際に、内刃
11の外方向へ延びる刃稜11cと、外刃12の内方向
へ延びる刃稜12bの回転軌跡が交差するように配置さ
れている。
【0025】なおこの例では、第1すくい面13aと第
2座面1cとが曲面を含む段差面15によって繋がれて
いるとともに、第2すくい面14aと第1座面1bとが
曲面を含む段差面16によって繋がれている。
【0026】このように繋ぐと、段差の隅部に集中する
応力を緩和してチップ1の強度をさらに向上することが
できる。
【0027】またこの例では、内刃11の外方向へ延び
る刃稜11cが、それに続く第1すくい面13aととも
に、図1(b)に示すようにチップ1の回転方向に対し
て、後退傾斜(傾斜角度θ3)するように、刃稜11b
に対して屈曲配置されている。
【0028】このように配置すると第1すくい面13a
の前面に切屑排出のスペースをより大きく取って、切屑
を、このスペース内でよりスムースにカールさせるとと
もに、第1すくい面13aの後退傾斜に沿ってスムース
に、ホルダーのフルート溝に排出できるという利点があ
る。
【0029】また上記のように配置すると、穿孔加工時
に発生する切削抵抗のうち、チップ1を外刃12の方向
へ押圧する向きの分力が大きくなるため、上記切削抵抗
のうち、外刃12を径方向内方へ押圧する向きの分力に
抗して、穿孔加工の加工径を、定められた値に維持でき
るという利点もある。
【0030】上記各部を備えたこの例のチップ1は、例
えば図4(a)(b)に実線の矢印で示すようにホルダ
ー2の先端の、一対の挟持片21、22間のポケット2
3に挿入されて位置決めされた状態で、上記挟持片21
の貫通孔21aと、チップ1の貫通孔1aとにネジ3を
挿通させて、挟持片22のネジ孔22aに螺着すること
で、ホルダー2の先端に固定されて、穿孔加工に使用さ
れる。
【0031】また、この固定状態において、第1すくい
面13a、第2すくい面14aのそれぞれ前側の、挟持
片22、21との間に形成される切屑排出のためのスペ
ースは、それぞれホルダー2の周面に形成されたらせん
状のフルート溝24、25と連通され、それによって内
刃11、および外刃12からの切屑が、上記フルート溝
24、25を通ってスムースに孔外へ排出される。
【0032】このような上記2チップ類似の1チップ型
のチップ1において内刃11は、孔の中央部を削るに足
る長さを有していれば良く、また外刃12も、孔の周縁
部を削るに足る長さを有していればよいため、従来の1
チップドリルのものに比べて、穿孔時にチップ1に加わ
る切削抵抗を低減することができる。そして、このチッ
プ1を構成する後述の超硬合金の耐欠損性が大いので、
内刃11および外刃12の部分の肉厚を小さくし、ホル
ダー2への取付けネジを1本として、切屑排出のための
スペースを確保することが可能となった。
【0033】次いで、図5は、チップ1がアキシャル方
向、および挟持面に沿うラジアル方向にどのように拘束
されるかを示す模式的断面図である。図5においては、
チップ1は断面として表されておらず、また、ホルダ2
のドリル本体4の断面ハッチングは省略してある。
【0034】図5に示すように、チップ1の後部座面2
8およびホルダ2の底部拘束面29は、回転軸Pvに直
交する面33に沿って形成されるか、或いは回転軸Pv
に直交する面33に対して角度A1をなして傾斜してい
る。この角度A1としては、チップ1が受けるスラスト
荷重の大部分を底部拘束面29にて受けるためには、4
5度未満に設定されなければならない。この中でも、角
度A1の好ましい範囲は7〜25度である。例えば角度
A1は15度に設定される。
【0035】後部座面28の側部座面31に近い側とな
る第1の端部34は、側部31から遠い側となる第2の
端部35よりも穿孔方向の後方に位置するように、後部
座面28は傾斜している。
【0036】一方、チップ1の側部座面31およびホル
ダ2の側部拘束面32が、後部座面28および底部座面
29に対してなす角度A2は、略直角をなすように設定
される。この角度A2の好ましい範囲は、80度〜11
0度である。例えば95度に設定される。
【0037】他方、側部座面31および側部拘束面32
が回転軸線に対してなす角度A3は、上記の角度A1と
角度A2とから、A3=A1+A2−90で表される。
例えば、角度A1が15度で、角度A2が95度である
場合には、角度A3は20度となる。
【0038】穿孔加工時のチップ1は、回転軸Pvに平
行な方向に沿うスラスト荷重を受ける。このため、チッ
プ1の後部座面28から底部拘束面29にスラストFが
与えられるが、このスラスト荷重Fは底部拘束面29に
垂直な方向の力Rと、底部拘束面29に沿ってチップ1
を側部拘束面31側へ押す力Gとに分解される。すなわ
ち、底部拘束面29がスラスト荷重Fの一部をチップ1
を側部拘束面31に押し付ける力に変換させる。
【0039】本実施の形態では、チップ1に関していう
と後部座面28および側部座面31が第1の座面1bに
対して略直交し、ホルダ2に関していうと底部拘束面2
9および側部拘束面31が挟持片21,22の挟持面2
6,27に対して略直交するので、チップ1に働くスラ
スト荷重が一対の挟持片21,22をお互いに押し広げ
る力に変換されることがない。
【0040】特に、チップ1の後端の後部座面28をポ
ケット23の底の底部拘束面29に当接させるレイアウ
トを採用するので、上記の角度A1の設定の自由度を高
くでき、したがって、広い座面を確保してスラスト荷重
を受けることができる。その結果、小径の取付ねじでも
剪断に耐えることができ、穿設加工によるスラスト抵抗
を受けるチップ1を安定して保持することができる。
【0041】なお、上記チップ1の形態によれば、特
に、先端から後端にかけて幅が小さくなるものであり、
この点でサイズが非常に小さいチップ1であるが、上記
作用に加えて、以下に説明する超硬合金を用いることに
より、非常に高い耐欠損性を備えることが可能となる。
【0042】すなわち、上記チップ1は、硬質相成分と
して炭化タングステンを、結合相成分としてコバルトを
それぞれ含み、上記の硬質相、結合相以外にコバルトタ
ングステン炭化物からなる相が存在することを大きな特
徴とするものである。このコバルトタングステン炭化物
としては、Co33 C,Co66 C,Co24
およびCo394の化合物が知られている。これら
のコバルトタングテン炭化物のX線回折測定における最
大ピークは、Co33 Cでは(333)と(511)
の合成ピーク、Co66 Cでは(333)と(51
1)の合成ピーク、Co24 Cでは(333)と(5
11)の合成ピーク、Co394 の(301)であ
るが、本発明によれば、これらのコバルトタングステン
炭化物のピークの内、最も強度の大きいピーク高さをI
1、炭化タングステンの最大のピーク高さをI2とした
時、I1 /I2 で表されるピーク強度比が0.03〜
0.15である超硬合金からなることが最も重要であ
る。ピーク強度比を上記の範囲に設定したのは、この強
度比が0.3より小さいと合金中にコバルトタングステ
ン炭化物の析出がなく耐摩耗性が低下して工具摩耗量が
増加するためであり、0.15を越えると過剰のコバル
トタングステン炭化物の析出のため、合金強度が低下
し、工具損傷が激しくなるためである。
【0043】ここで、上記超硬合金のように合金中にコ
バルトタングステン炭化物を含む超硬合金は柔らかく耐
摩耗性がよくないと考えられるが、切刃の全長に沿っ
て、切削速度が低速な小径のスローアウェイドリルの場
合、耐摩耗性の問題が発現しない。これに対して、上記
チップ1の先端幅を12.5mm以上とすると、外刃1
2の外端側の切削速度が大きくなり、この部分の耐摩耗
性が低下する恐れがある。
【0044】なお、上記コバルトタングステン炭化物相
は、合金中に平均粒径が5μm以下、特に3μm以下の
相として存在することが望ましい。これは、平均粒径が
5μmを越えると、コバルトタングステン炭化物が本来
脆性であるために、合金全体の強度が低下するためであ
る。最適には平均粒径2μm以下である。
【0045】上記超硬合金を製造するに当たっては、原
料粉末としてWC粉末、周期律表第4a,5a,6a族
金属の炭化物,窒化物,炭窒化物から選ばれた1種また
は2種以上の粉末、およびCo粉末を前述した量だけ秤
量後、混合粉砕し、プレス成形などの公知の成形方法に
より成形後、焼成する。
【0046】焼成は、真空度10-1〜10-3Torrの
真空中で1623〜1773Kの温度範囲で10分〜2
時間行う。なお、本発明の特徴であるコバルトタングス
テン炭化物の析出は、一次原料の炭素量中および炭素粉
末の添加量を含めた総炭素量、炭化タングステンの一部
を置換する周期律表第4a,5a,6a族金属の炭化
物,窒化物,炭窒化物の添加量で制御することができ
る。例えば、使用する原料の炭素量が化学量論組成より
も低い場合に析出し易い。
【0047】そして、焼結体を上記チップ1の形状に加
工し、洗浄処理した後に、その表面に硬質層を形成す
る。被覆される硬質相としては、TiC,TiN,Ti
CNをはじめとする周期律表第4a,Alの炭化物,窒
化物,炭窒化物,酸化物が挙げられ、これらは、0.1
〜10μmの厚みで周知のCVD法、あるいはPVD法
により形成される。硬質層は単一層から構成されていて
も良いが、異なる材料からなる複数層から構成されてい
ても良い。例えば、硬質層をTiNからなる層とTiC
からなる層を順次積層して構成しても良い。
【0048】この超硬合金によれば、コバルトタングス
テン炭化物を非常に微量な量で析出させることにより、
特にステンレスを切削した時に優れた切削性能を得るこ
とができる。これは、コバルトタングステン炭化物の生
成に伴い結合相に固溶する炭素量が低下しW固溶量が増
大するため結合相が固溶強化される。さらに、生成する
コバルトタングステン炭化物の熱膨張係数が合金の大部
分を占めるWC相のそれとは異なるために残留圧縮応力
が生じて耐欠損性も向上する。したがって、この超硬合
金で上記チップ1を構成した場合、小径であるにもかか
わらず、耐欠損性が大きく、したがって、チップ1の肉
厚を小さくしてホルダー2側の耐欠損性を向上させるこ
とできる。また、チップ1の形状について設計上、自由
度が大きくなる。
【0049】しかし、コバルトタングステン炭化物は本
来脆性であるために、合金中に過剰に存在すると機械的
強度が著しく低下し、切削工具として用いた場合に工具
の損傷が激しくなる。
【0050】よって、このコバルトタングステン炭化物
は、上記の特定の範囲で存在することが必要となるので
ある。
【0051】なお本発明のドリル用スローアウェイチッ
プの構成は、以上で説明した図の例に限定されるもので
はなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜、設計変
更を施すことができる。
【0052】
【実施例】実施例 以下、本発明を次の例で説明する。
【0053】WC粉末,TiC粉末,TaC粉末および
Co粉末を表1に示す量比で混合し粉砕した後、SDK
1203形状に成形して10-2Torr以下の真空中
で、1673Kで1時間焼成した。尚、調合時に炭素粉
末,WC,TiC,TaCの混合比を変え、コバルトタ
ングステン炭化物量の異なる試料、コバルトタングステ
ン炭化物の出現しない試料を作製した。試料として、J
IS16101の試料形状によるものと、図に示す形状
を有し、先端の幅が11mmのスローアウェイチップを
作製した。
【0054】得られた焼結体の表面を研磨後、抗折強度
片をJIS16101規格により測定するとともに、X
線回折測定を行い、コバルトタングステン炭化物(Co
3 W3 C)のピーク高さI1 と、WC(001)のピー
ク高さI2 の強度比を算出し、さらに各々の試料につい
て次の切削テストを行い、欠損の有無及び欠損するまで
の加工本数を確認した。
【0055】〔切削条件〕 試験被削材 S50C 速度 2500m/min 送り 0.1mm/rev 穴深さ 30mm 切込み 2mm 各400孔 加工
【0056】
【表1】
【0057】表1に示すように、上記I1 /I2 で表さ
れるピーク強度比が0.03〜0.15である超硬合金
からなる試料3〜6は穴400本加工しても欠損が生じ
なかったのに対して、上記範囲から外れる他の試料には
欠損が生じた。なお、表1において試料3〜6が試料7
〜9に対して優れた結果を示したように、材質自体の抗
折強度はチップ1の耐欠損性と必ずしも比例関係でない
ことがわかった。
【0058】
【発明の効果】上述のように、本発明のドリル用スロー
アウェイチップは、幅10mm〜12.5mmの先端に
孔の中央部を削る内刃および孔の周縁部を削る外刃を有
するドリル用スローアウェイチップであって、硬質相成
分として炭化タングステンを、結合相成分としてコバル
トをそれぞれ含み、かつCo33 C,Co66 C,
Co24 CおよびCo394 から選ばれる少なく
とも1種のコバルトタングステン炭化物を含有し、X線
回折測定における前記コバルトタングステン炭化物のC
33 Cの(333)と(511)の合成ピーク、C
66 Cの(333)と(511)の合成ピーク、C
24 Cの(333)と(511)の合成ピークおよ
びCo394 の(301)のピークのうちの最大ピ
ークの強度をI1 、WCの(001)のピーク強度をI
2 とした時、I1 /I2 で表されるピーク強度比が0.
03〜0.15以下である超硬合金からなるので、小径
であるにもかかわらず、耐欠損性が大きく、したがっ
て、チップの肉厚を小さくしてホルダー側の耐欠損性を
向上させることできる。また、チップの形状について設
計上、自由度が大きくなるので、例えば、耐欠損性とと
もに切屑排出性や切削抵抗の点で有利なドリル用スロー
アウェイチップの開発が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図1(a)は、本発明の一実施形態にかかる
ドリル用スローアウェイチップ1の正面図、同図(b)
は、上記チップ1の穿孔方向に臨む前端面を示す底面図
である。
【図2】同図2(a)は上記チップ1の背面図、同図
(b)は図1(a)の正面から見た左側面図である。
【図3】同図3(a)は正面側から見た斜視図、同図
(b)は背面側から見た斜視図である。
【図4】同図(a)は、図1の例のチップをホルダーの
先端に取り付ける構造を、チップの正面側から見た分解
斜視図、同図(b)は、背面側から見た分解斜視図であ
る。
【図5】チップをホルダにて拘束する状態を示す模式的
断面図である。
【符号の説明】
1 ドリル用スローアウェイチップ 1b 第1座面 1c 第2座面 11 内刃 12 外刃 13a 第1すくい面 13b 第1前逃げ面 14a 第2すくい面 14b 第2前逃げ面

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】幅10mm〜12.5mmの先端に孔の中
    央部を削る内刃および孔の周縁部を削る外刃を有するド
    リル用スローアウェイチップであって、 硬質相成分として炭化タングステンを、結合相成分とし
    てコバルトをそれぞれ含み、かつCo33 C,Co6
    6 C,Co24 CおよびCo394 から選ばれ
    る少なくとも1種のコバルトタングステン炭化物を含有
    し、X線回折測定における前記コバルトタングステン炭
    化物のCo33 Cの(333)と(511)の合成ピ
    ーク、Co66 Cの(333)と(511)の合成ピ
    ーク、Co24 Cの(333)と(511)の合成ピ
    ークおよびCo394 の(301)のピークのうち
    の最大ピークの強度をI1 、WCの(001)のピーク
    強度をI2 とした時、I1 /I2 で表されるピーク強度
    比が0.03〜0.15である超硬合金からなるドリル
    用スローアウェイチップ。
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