JP2002354570A - マイクロホンカプセル支承機構 - Google Patents
マイクロホンカプセル支承機構Info
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Abstract
ヤフラム(2,3)によって弾性的にマイクロホンケー
シングに支承されている、マイクロホンカプセルの支承
機構に関する。 【解決手段】 マイクロホンカプセル(1)が2つの環
状ダイヤフラム(2,3)によって弾性的にマイクロホ
ンケーシングに支承されている。カプセル(1)が環状
ダイヤフラム(2,3)によって支持箱(4)と連結さ
れており、蓋(5)が支持箱(4)と少なくとも実質的
に気密に連結されており、それにより、下側のダイヤフ
ラム(3)と、蓋(5)と、カプセル(1)とで閉じた
容積部(6)が形成され、この閉じた容積部(6)の小
さな開口部(7)だけが周囲とつながっており、支持箱
(4)および/または蓋(5)はマイクロホンケーシン
グと連結されている。
Description
に組み込まれ、マイクロホンに組み込まれたマイクロホ
ンカプセルの弾性的な懸架部としての役目をするマイク
ロホンカプセルの支承機構に関する。
イクロホンケーシングと連結したホーンカプセル(以下
においては単にカプセルと呼ぶことが多い)の作動様式
に関わりなく、グリップノイズから音響的に絶縁して分
離することが必要である。
弾性ゴム支承機構が従来技術から公知である。これは、
弾性的なゴムまたはゴム状の材料から製作された鍔状ま
たはスパイダー状の中に、カプセルが埋設される形成物
であり、この形成物がマイクロホンケーシングの内部に
貼り付け、挟み込まれ、もしくはその他の形式で恒久的
に、または取外し可能に、マイクロホンケーシングと連
結される。
器であって、このために1つの根本的な問題に直面する
ことになる。すなわちマイクロホンカプセルが、有効音
と望ましくないマイクロホンカプセルの振動運動とを区
別できないことである。この両方の種類の励起には同じ
作用がある。すなわち、マイクロホンカプセルのダイヤ
フラムが運動し、その当然の帰結として、マイクロホン
出力部に電気信号を生じることにつながる。マイクロホ
ンの振動によって発生する電気信号が望ましくないこと
は明白である。そこでマイクロホンメーカーは、振動ノ
イズやグリップノイズを設計的な方策によってできるだ
け小さく抑えようと努力している。
カプセルと弾性的な懸架部または弾性的な支承機構を質
量・ばね系とみなすことができる。このような系を機械
的に分析すると微分方程式に行きつき、その解が機械シ
ステムを表す、完全な記述となる。純粋に数式から見る
と、機械的な振動性回路(質量・ばね減衰)の前述した
微分方程式は、電気的な振動性回路(インダクタンス・
キャパシタンス抵抗)の微分方程式に完全に一致してい
るので、類推計算によって、電気分野の分析を行うこと
ができる。
(L)に対応し、ばね(c)はキャパシタンス(C)に
対応し、減衰(k)はオーム抵抗(R)に対応する。
が簡単なので(複素インピーダンスを用いた計算)、こ
のようなやり方を使えば、機械的な基本式を解くよりも
早く結果を得ることができる。次いで、電気分野から得
られた結果を機械分野に移し変え、それによってマイク
ロホンカプセルの運動が、時間の経過につれて、および
周波数全体にわたって完全に記述できることになる。
ズにあまり敏感に反応しないようにするため、質量・ば
ね系をどのように調節すればよいかという問題に答える
にあたっては、まず最初に、マイクロホンの伝達範囲の
限界に関わる問題に答えなくてはならない。マイクロホ
ンは種々の用途に合わせて設計されており、それに応じ
て、上側および下側の周波数限界もケースごとに別様に
選択される。一般的には、高品質のマイクロホンのほう
が品質要求の低いマイクロホンよりも、低い周波数に向
かう方向へも高い周波数に向かう方向へも、いずれも周
波数限界について広い周波数領域を有している。振動ノ
イズやグリップノイズによるマイクロホンカプセルの励
起は低周波領域で起こるので、マイクロホンが伝達する
妨害励起に関わるマイクロホンの挙動にとっては、マイ
クロホンの下側の周波数限界が主要な役割を演じる。
数の推移が、人間の耳で聴取できるもっとも低い周波数
にまで達していると、伝達されるべきもっとも低い周波
数限界がこれよりも高く調整されているマイクロホンよ
りも、振動ノイズやグリップノイズに対するマイクロホ
ンの挙動がはるかに敏感になる。つまり、マイクロホン
の下側の限界周波数を高く調整することによって、振動
ノイズやグリップノイズに対するマイクロホンの感度を
下げることが可能である。
ンに組み込んでいるマイクロホンメーカーもいくつかあ
る。これは、マイクロホンが舞台用マイクスタンドに設
置されていて、歩行音などの妨害音が舞台の床から生じ
ると予想されるときにスイッチオンとされるべき、いわ
ゆる歩行音フィルタである。このとき電気フィルタは、
低い周波数が電気的にカットされるように調整されてい
る。電気フィルタも、零信号と妨害信号を区別すること
はできないので、歩行音フィルタがオンになっている
と、フィルタ特性曲線に基づいて、有効音も思いがけず
周波数に依存して弱められることになる。簡単に言え
ば、そのために優れたマイクロホンが低価値なマイクロ
ホンに格下げされてしまう。
なっている。すなわち、下側の周波数領域ではマイクロ
ホンカプセルの伝達領域に制限を設けず、その目的のた
めに、システムの機械的な共振周波数が伝達されるべき
周波数領域の範囲外になる程度に低く調整されるよう
に、マイクロホンカプセルの弾性的な支承機構を調整し
ようと尽力されている。これは、下側の周波数限界が2
00Hzのマイクロホンでは容易に可能であるが、これ
よりも品質的に高い、下側の周波数限界が20Hzのマ
イクロホンでははるかに困難である。
っているように、機械的な振動系の機械的な共振周波数
のすぐ付近では、励起信号そのものの振幅よりもはるか
に大きくなる可能性のある振幅が生じる。こうした望ま
しくない振幅増大を減らすために、高い程度の内部減衰
を有しているゴムまたはゴム状の材料が支承機構に使用
される。これらの材料は、マイクロホンケーシングの振
動によって外部から供給される機械エネルギーを熱に変
換する。
では目的を申し分なく果たすが、コストをかけたとして
も一連の問題を生む。すなわち可撓性の高い材料は、さ
まざまな化学的、機械的な添加物によって高度の減衰を
するように調整される。しかしその結果として、材料
が、機械的特性(強度、弾性)の高い温度依存性を示す
ことになり、そのために、異なる気象状況に強く反応し
てしまう。たとえば高価値なマイクロホンの公知の支承
機構は、低温側では0℃を少し越えた温度ですでに弾性
をほぼ完全に失って硬化し、このことはカプセル支承機
構が完全に効果を失うことにつながる。
ときに、すでにカプセルがマイクロホンケーシングの内
面に接触するほど自重のせいで垂れ下がる危険があるほ
どに軟化し、こうした接触も、同じくカプセル支承機構
が完全に効果を失うことにつながる。
定性ばかりでなく、その老化も利用時の深刻な問題であ
る。ゴムは紫外線から強い作用を受け、いわゆる軟化剤
(ゴムを軟質にするための化学添加剤)の不可避的な損
失(気化)によって、脆く砕けやすくなる。
技術に基づく支承機構のいろいろな不利な特性を有して
いない、マイクロホンカプセルのための新規な弾性的な
支承機構を提供することである。この支承機構は、その
都度のカプセルの型式や、その都度の利用分野に容易に
適合可能である。
性回路の3つの要素である、カプセルの質量mと、支承
機構のコンプライアンスcと、支承機構の減衰k(電気
的な対応物はR,CおよびL)とを、分離された要素と
して構成することによって、前述の課題を解決する。こ
のことは、好ましくは、次のようにして実現される。
って取り付けられる。これらのダイヤフラムは、小さな
内部減衰、またはきわめて小さな内部減衰を有している
材料で製作されている。それによって、ダイヤフラムを
純粋なばね部材(C)とみなして取り扱うことができ
る。このダイヤフラムは、従来技術とは異なり、内部減
衰を有していなくてよいので(そして有していないほう
が望ましいので)、ダイヤフラムの選択には、従来技術
とは比較にならないほど多数の材料を対象とすることが
できる。
成部材として構成され、このことも同じくまったく新た
な解決の可能性につながる。
環状ダイヤフラム(2,3)によって弾性的にマイクロ
ホンケーシングに支承されている、マイクロホンカプセ
ルの支承機構において、カプセル(1)が環状ダイヤフ
ラム(2,3)によって支持箱(4)と連結されてお
り、蓋(5)が支持箱(4)と少なくとも気密的に連結
されており、それにより、下側のダイヤフラム(3)
と、蓋(5)と、カプセル(1)とで閉じた容積部
(6)が形成され、この閉じた容積部(6)の小さな開
口部(7)だけが外部ないしは周囲とつながっており、
支持箱(4)および/または蓋(5)はマイクロホンケ
ーシングと連結されていることを特徴とする支承機構。
透過させない材料(8)で被覆されており、もしくはこ
の材料で充填されていることを特徴とするところの第1
項に記載の支承機構。
向いている方の側に、開口部(7)と一直線上に並ばな
い位置に配置された少なくとも1つの貫通穴(10)を
有する穴板(9)が配置されていることを特徴とすると
ころの第1項または2項に記載の支承機構。
り、蓋と穴板(9)の間の領域は、弾性的に圧縮可能
な、空気をあまり通さない材料(8)が実質的に充填さ
れていることを特徴とするところの第3項に記載の支承
機構。
(10)がカプセル中心軸(12)から間隔をおいて配
置されており、穴板(9)は蓋(5)に対して回転可能
に支持されていることを特徴とするところの第3項また
は4項に記載の支承機構。
れることを特徴とするところの第1項1から5項までの
いずれか1項に記載の支承機構。
明する。図1は、本発明の実施例によるカプセルを示す
断面図である。図2は、本発明によるカプセルの周波数
に対する振幅の推移を示し、また図3は、本発明の異な
った実施例であり、図4は、図3の変形例である。
れば、マイクロホンカプセル1は2つの環状のダイヤフ
ラム2,3によって、有利には接着によって支持箱4と
連結されている。このとき有利にはカプセル1は、破線
で図示されているように、上側のダイヤフラム2よりも
突出しているのに対し、下側のダイヤフラム3は実質的
にカプセルの下面と同一平面上で終わっている。
来のカプセルに相当しており、それに対して太い実線の
部分は音響調整のために必要な容積部であり、その壁部
は本来のカプセルと不動に連結されているので、この容
積部は本発明の意味においてはまだカプセルに属してい
る。このような容積部が必要ないときは、当然ながらこ
れを省略することができる。
的に気密に支持箱4に着座し、少なくとも1つの小さな
開口部7を備えている蓋5が螺合している。このように
して、下側のダイヤフラム3は蓋5とともに、底面にあ
る小さな開口部7によってのみ外部に開いている1つの
閉じた容積部6を形成している。開口部7は、空気を半
透過させる(あまり透過させない)材料8で覆うか、ま
たは充填するのが好ましい。
泡材、不織布、プラスチック繊維や天然繊維からなる織
物、あるいは金属織物であってよい。この場合の織物と
は、製織によってつくられる古典的な形成物であると解
する必要はなく、いわゆる「不織ティシュー」であって
もよい。
イヤフラム2,3のばね特性とは、機械的な振動性回路
を形成しており、その共振周波数は上に説明したように
「選択」され、材料の選択および環状ダイヤフラム2,
3の寸法の選択(および特殊ケースではカプセル1の重
量化)によって調整される。ダイヤフラム2および3の
材料としては、特にPCフィルム、アルミニウム、銅、
鋼材、真鍮などであって、それぞれ有利には0.01m
mから1mmの厚さのフィルムの形態のものが考慮の対
象となる。
するためには、機械的な減衰部材、実際には摩擦部材
を、振動性回路に導入することが必要である。
にあまり透過させない)開口部7と多孔性の材料8によ
って達成される。マイクロホンケーシングすなわち支持
箱4に、軸方向を向いた機械的な励起が生じるたびに、
マイクロホンカプセル1は静止状態を離れ、励起の種類
と方向に応じて上方または下方へ向かって運動する。そ
れによって空気が、閉じた容積部6から、開口部7およ
び半透過性の材料8を通って押し出され、ないしは吸い
込まれるのであり、このことは、この通路の流動特性に
基づいて、貫流する空気の運動およびこれに伴うカプセ
ル1の運動を減衰する顕著な機械的摩擦と結びついてい
る。
ットの組付けは、支持箱4または蓋5を通じて行われる
が、いずれの場合でも、マイクロホンカプセル1の運動
が妨げられないように行われる。
たは開口部7の異なる寸法によって得ることのできる異
なる減衰定数(R)で、本発明により達成することがで
きる振幅の推移の一例を、周波数を横軸として示してい
る。曲線Rは摩擦が小さいときの振動挙動を示してお
り、曲線Gはこれに比べて摩擦が大きいときの振動挙動
を示している。図2から明らかなように、摩擦の値を変
えることによって、機械システムの共振周波数を大幅に
変化させることなく、振動挙動を非常に広い範囲で変化
させることができる。
えるという事実は、マイクロホンカプセルの支承機構の
きわめて大きな改良である。なぜなら、ダイヤフラムの
材料を選択するときにいかなる妥協も必要なくなり、ま
た逆に、支承機構のばね特性に思わぬ変化を起すことな
く、支承機構の調整に必要な摩擦値を選択することがで
きるからである。
態を示している。これは、摩擦値の所望の変更を容易か
つ単純に行うことを可能にする変形例である。これを可
能にするために、図示した実施例では、蓋5がカプセル
1と反対を向いている方の側に、少なくとも1つの貫通
穴10を有する穴板9を備えている。蓋5の底面と穴板
9との間には、空気をあまり透過させない材料8があ
り、この材料は、本実施例では蓋5にある開口部7を閉
止ないし被覆するだけでなく、実質的に、蓋5と穴板9
の間の全面を占めている。穴板9は蓋5と螺合している
ので、穴板9を強くネジで締めたり弱く締めたりするこ
とによって、小さな開口部7から、空気をあまり透過さ
せない材料8と、1つまたは複数の貫通穴10とを通っ
ていく通過空気の流動特性を変えることができる。この
ようにして、カプセル支承機構の減衰を簡単かつ細かい
段階で、事実上無段階に変化させることによって、さま
ざまな用途や組付け状態に適合させることが可能であ
る。
ている。ここでは、少なくとも1つの開口部7を偏心し
た位置に有している蓋5だけが図示されている。図示し
た実施例では、蓋5と穴板9の間に減衰材料(8)は設
けられていないが、当然ながら、このような減衰材料を
蓋5と穴板9の間の空間に挿入することも可能である。
図4に図示した実施例では、図3の変形例では必要だっ
た、状況によってはコストのかかるネジ山を省略するこ
とができ、ここでは穴板9が、たとえば蓋5の溝に係合
する突起11によって回転可能に支承されている。開口
部7と、貫通穴10の位置がそれぞれ中心軸12に対し
て偏心的に配置されているので、蓋5に対して穴板9を
回す(回転方向に位置を変える)ことで、往復して振動
する流動経路の長さaを変えることができ、それによっ
て摩擦を変え、それに伴ってカプセルの振動の減衰も変
えることができる。
み合わせて改変することも可能である。本当に重要なの
は、カプセル1の支承が、いかなる特殊な減衰特性も有
していなくてよい2つの環状ダイヤフラム2によって行
われることと、カプセルの振動の減衰が、カプセル、カ
プセルの支持箱、そして最後に環状ダイヤフラムの一方
によって形成される中空スペースから、空気が減衰され
て流出入することによって行われることである。
の流動を追加の部材によって再現可能なやり方で減衰す
るという可能性を対象とするものである。また別の実施
形態は、本発明による減衰装置との関連で、変換器の音
響調整を行うためにマイクロホンケーシングを利用する
という可能性を対象とするものである。
推移を示す説明図である。
Claims (6)
- 【請求項1】マイクロホンカプセル(1)が2つの環状
ダイヤフラム(2,3)によって弾性的にマイクロホン
ケーシングに支承されている、マイクロホンカプセルの
支承機構において、カプセル(1)が環状ダイヤフラム
(2,3)によって支持箱(4)と連結されており、蓋
(5)が支持箱(4)と少なくとも気密的に連結されて
おり、それにより、下側のダイヤフラム(3)と、蓋
(5)と、カプセル(1)とで閉じた容積部(6)が形
成され、この閉じた容積部(6)の小さな開口部(7)
だけが外部とつながっており、支持箱(4)および/ま
たは蓋(5)はマイクロホンケーシングと連結されてい
ることを特徴とする支承機構。 - 【請求項2】小さな開口部(7)が、空気をあまり透過
させない材料(8)で被覆されており、もしくはこの材
料で充填されていることを特徴とするところの請求項1
記載の支承機構。 - 【請求項3】蓋(5)の、カプセル(1)と反対を向い
ている方の側に、開口部(7)と一直線上に並ばない位
置に配置された少なくとも1つの貫通穴(10)を有す
る穴板(9)が配置されていることを特徴とするところ
の請求項1または2記載の支承機構。 - 【請求項4】穴板(9)が蓋(5)と螺合されており、
蓋と穴板(9)の間の領域は、弾性的に圧縮可能な、空
気をあまり通さない材料(8)が実質的に充填されてい
ることを特徴とするところの請求項3記載の支承機構。 - 【請求項5】開口部(7)および/または貫通穴(1
0)がカプセル中心軸(12)から間隔をおいて配置さ
れており、穴板(9)は蓋(5)に対して回転可能に支
持されていることを特徴とするところの請求項3または
4に記載の支承機構。 - 【請求項6】音響変換器の音響調整のために利用される
ことを特徴とするところの請求項1から5までのいずれ
か1項記載の支承機構。
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