JP2002348294A - t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 - Google Patents
t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法Info
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Abstract
保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化
シラン化合物を製造する方法を提供する。 【解決手段】 乾燥窒素雰囲気下において、反応系内に
反応基質であるt−ブトキシスチレン及びジメチルクロ
ロシランと、白金触媒を上記反応基質に対して2〜4p
pm仕込み、撹拌させながら、60〜80℃に加熱し、
ジメチルクロロシランの残りの滴下量を調節しながら系
内の温度が85〜100℃になるように反応を進行さ
せ、反応終了後、100℃未満の釜温度で70Paの減
圧状態にして未反応のジメチルクロロシラン等の低沸点
物を除去することにより、t−ブトキシ基で保護された
フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合
物を製造する。
Description
護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シ
ラン化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、着色の要
因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると
共に、工業的に高純度で収率よく製造することができる
t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有す
る有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法に関する。
ゲン化シラン化合物は、シランカップリング剤や変性シ
リコーンの原料等として広く工業的に利用されるケイ素
含有化合物である。特にフェノール性水酸基を有する有
機ハロゲン化シラン化合物は、アルカリに可溶な性質を
有することから、アルカリ可溶性ケイ素樹脂を調製する
ために用いることができるので、工業的に重要な化合物
である。
製造方法としては、例えば、白金触媒の存在下、ジメチ
ルクロロシランとスチレンとを用いるヒドロシリレーシ
ョン反応が知られている。そして、かかる反応を応用し
て、フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン
化合物を製造する方法として、下記一般式(3)に示す
ように、スチレンの代わりにt−ブトキシ基を有するス
チレンを用いて、t−ブトキシ基で保護されたフェノー
ル性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得る
方法が検討されている。
に微量の水分が存在すると、下記式(4)に示すよう
に、水分とジメチルクロロシランが反応してSi−Cl
結合が外れることにより、ジメチルクロロシランが分解
し、しかも、この反応により生じるHClが、t−ブト
キシ基を有するスチレンと反応することにより連鎖的に
t−ブチル基を脱離させる。その結果、t−ブトキシ基
で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン
化シラン化合物の収率及び純度低下を招くという問題が
ある。
も、ヒドロシリレーション反応を促進させたり、あるい
は蒸留による精製を行うために反応系内の温度を高温に
すると、上記と同様に連鎖的にt−ブチル基が脱離し、
モノマーのオリゴメリゼーションが以下の式(5)のよ
うに促進させる結果、副生成物が生成し、やはりt−ブ
トキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機
ハロゲン化シラン化合物の収率及び生成物中における純
度の低下を招くという問題がある。このような問題があ
ることから、工業的に高純度のt−ブトキシ基で保護さ
れたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン
化合物を得ることが困難であるという問題がある。
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物は、通常、沸点が非常に高いことか
ら、純度を高めるために蒸留により精製しようとしても
かなり高温にしないと蒸留による精製が困難である。し
かも、反応系内をあまり高温にすると、連鎖的にt−ブ
チル基が脱離し、モノマーのオリゴメリゼーションが進
行して副生成物が生成する結果、収率及び純度が低下す
るという問題が生じる。また、有機ハロゲン化シラン化
合物を製造する際には、ヒドロシリレーション反応を促
進するために白金等を触媒として用いるが、かかる触媒
自身が、得られる生成物を茶褐色に着色させることもあ
るという問題もある。
キシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハ
ロゲン化シラン化合物を製造する方法として、着色の要
因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると
共に、工業的に高純度で収率よく製造することができる
方法が求められていた。
みてなされたものであり、着色の要因となり得る副生成
物の生成と触媒の使用量を抑えると共に、工業的に高純
度で収率よく製造することができるt−ブトキシ基で保
護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シ
ラン化合物の製造方法に関する。
t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有す
る有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法について鋭意
検討した結果、所定構造のt−ブトキシベンゼン化合物
とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の反応温度
でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応系
内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を
除去することにより、上記課題を解決できることを見出
して本発明を完成した。
ノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の
製造方法は、下記一般式(1)で示されるハロゲン化シ
ラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブトキ
シベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基質
に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反応
系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーション
反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応系
内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を
除去することを特徴とする。
シラン化合物」(以下、単に「ハロゲン化シラン化合
物」という。)において、XはCl、Br及びFから選
ばれるハロゲン原子を示す。また、R1及びR2はそれぞ
れ独立にアルキル基又はCl、Br及びFから選ばれる
ハロゲン原子を示す。ここで、上記R1及びR2同士は同
じアルキル基又はハロゲン原子でも、異なるアルキル基
又はハロゲン原子でもよい。上記X、R1、R2のハロゲ
ン原子としては、通常はClが用いられる。また、上記
R1及び/又はR2を構成するアルキル基としては、C1
〜C3のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基等)が用いられる。また、このア
ルキル基は、炭化水素基中にハロゲン原子(F、Cl、
Br、I)等、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む
ものでもよい。上記R1及び/又はR2を構成するアルキ
ル基としては、通常はメチル基が用いられる。
体的には、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロ
シラン、エチルジクロロシラン、n−プロピルジクロロ
シラン、イソプロピルジクロロシラン、(トリフルオロ
プロピル)ジクロロシラン、(クロロメチル)ジクロロ
シラン、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラ
ン、n−プロピルメチルクロロシラン、イソプロピルメ
チルクロロシラン、トリフルオロプロピルメチルクロロ
シラン、(クロロメチル)メチルクロロシラン、メチル
クロロシラン、エチルクロロシラン、n−プロピルクロ
ロシラン、イソプロピルクロロシラン、トリフルオロプ
ロピルクロロシラン、(クロロメチル)クロロシラン、
(トリメチルシリルメチル)クロロシラン等が挙げられ
る。
シベンゼン化合物」(以下、単に「t−ブトキシベンゼ
ン化合物」という。)において、R3はビニル基又はア
リル基を示す。この中で、通常はビニル基が用いられ
る。また、tBuはt−ブチル基を示す。また、上記
「t−ブトキシベンゼン化合物」において、t−ブトキ
シ基の数(m)は1〜3個、特に好ましくは1個であ
る。更に、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」におい
て、t−ブトキシ基の位置はいずれであっても構わない
が、保護基を外してフェノール性水酸基とした場合のア
ルカリ可溶性が良好となるので、パラ位が好ましい。
記「ハロゲン化シラン化合物」と上記「t−ブトキシベ
ンゼン化合物」とのヒドロシリレーション反応を促進さ
せるために通常用いられる種類のものであれば特に限定
はない。このような触媒としては通常、第8族金属触媒
が用いられる。該第8族金属触媒としては、コバルト、
ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジ
ウム及び白金等の第8族金属の単体、有機金属錯体、金
属塩及び金属酸化物等が挙げられる。これらの中で、触
媒活性の高さや取り扱いの容易さ等の理由から、白金の
金属単体、有機金属錯体、金属塩及び金属酸化物が好ま
しく、有機白金錯体を用いることが特に好ましい。そし
て、本発明において、上記「触媒」の量は、反応基質、
即ち、上記「ハロゲン化シラン化合物」及び上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」の合計重量に対して、第8族
金属の重量として0.01〜100重量ppm、好まし
くは0.05〜100重量ppm、更に好ましくは0.
1〜50重量ppm、より好ましくは0.5〜40重量
ppm、特に好ましくは1〜20重量ppm、最も好ま
しくは2〜10重量ppmである。上記「触媒」の濃度
が0.01ppm未満であると、ヒドロシリレーション
反応が促進されず、収率が低下するので好ましくなく、
一方、100ppmを越えると、得られる生成物が着色
するおそれがあるので好ましくない。
20℃以下として、上記「ハロゲン化シラン化合物」と
上記「t−ブトキシベンゼン化合物」とをヒドロシリレ
ーション反応させる。この場合、上記「ハロゲン化シラ
ン化合物」と上記「t−ブトキシベンゼン化合物」に直
接上記「触媒」を添加して反応を行ってもよいが、反応
系の温度制御及び触媒成分の添加を容易にするため、適
当な溶媒に上記「ハロゲン化シラン化合物」、上記「t
−ブトキシベンゼン化合物」、及び上記「触媒」を添加
して反応させてもよい。このような溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロ
ヘキサン、テトラヒドロフラン等を用いることができ
る。
化合物」及び「t−ブトキシベンゼン化合物」の割合に
ついては特に限定はなく、同量でも、あるいは上記「t
−ブトキシベンゼン化合物」を過剰量用いてもよく、あ
るいは、上記「ハロゲン化シラン化合物」を上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量より過剰に用い
ることができる。上記「ハロゲン化シラン化合物」は通
常、低沸点であることから、反応終了後、反応系から容
易に除去できるのに対し、上記「t−ブトキシベンゼン
化合物」は通常、沸点が高く、高温にすると生成物が熱
分解するために、蒸留により反応系から除去することが
困難である。そこで、上記「ハロゲン化シラン化合物」
を上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量よ
り過剰に用いることにより、反応系からの除去が困難な
上記「t−ブトキシベンゼン化合物」を理論上ほぼ完全
に反応させ、反応系における残留を極めて低減すること
ができるので好ましい。上記「ハロゲン化シラン化合
物」を過剰に用いる場合、その割合は通常、上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」に対して、1〜50%過剰、
より好ましくは2〜20%過剰、最も好ましくは5〜1
0%過剰な割合である。上記割合が50%過剰を超える
場合には、過剰な上記「ハロゲン化シラン化合物」が無
駄となってコスト高となる。
20℃以下、好ましくは0〜100℃、より好ましくは
20〜100℃、更に好ましくは30〜100℃、特に
好ましくは50〜90℃である。上記反応系内の温度が
120℃を超えると、上記のように、上記「t−ブトキ
シベンゼン化合物」のt−ブチル基が連鎖的に脱離し、
モノマーのオリゴメリゼーションが促進される結果、収
率及び純度低下、副生成物の生成による着色等を引き起
こすおそれがあるので好ましくない。一方、上記反応系
内の温度を20℃以上とすると、収率向上の観点から、
ヒドロシリレーション反応の反応速度を適切な範囲とす
ることができるので好ましい。
は、通常、大気圧下に行われるが、加圧下で行うことも
できる。また、反応雰囲気中に酸素が存在すると、白金
等の触媒の存在下、酸素が上記「ハロゲン化シラン化合
物」と反応してSi−H結合がSi−OHとなり、これ
がSi−Cl結合と反応して上記「ハロゲン化シラン化
合物」を分解し、しかも、この反応により生じるHCl
が、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」と反応するこ
とにより連鎖的にt−ブチル基を脱離させてt−ブトキ
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物の収率及び純度低下を招くことか
ら、通常は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で、上記
ヒドロシリレーション反応を開始する前の上記反応系内
の酸素濃度を0.5%以下、好ましくは0.3%以下、
更に好ましくは0.1%以下とすることができる。
は、通常は1%以下、好ましくは0.5%以下、更に好
ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以
下、特に好ましくは0.005%以下である。反応系内
の水分濃度を1%以下とすると、水分と上記「ハロゲン
化シラン化合物」が反応・分解し、それによって発生す
るHClガスが上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の
t−ブチル基を脱離させることを抑え、その結果、収率
及び純度低下を防止できるので好ましい。水分濃度を低
くする手段については特に限定はなく、通常、反応系を
乾燥ガス(乾燥窒素又は乾燥アルゴン等の乾燥不活性ガ
ス等)雰囲気下にすることにより達成できる。
化合物」及び上記「t−ブトキシベンゼン化合物」がヒ
ドロシリレーション反応をすることにより、下記一般式
(6)に示すように、t−ブトキシ基で保護されたフェ
ノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を
得ることができる。尚、式中、R4はC2H4又はC3H 6
を示す。本発明の製造方法により得られる化合物は、R
3がビニル基にあっては、下記一般式(7)で示される
ようなα付加体であっても、下記一般式(8)で示され
るようなβ付加体であってもよく、R3がアリル基にあ
っては、下記一般式(9)で示されるようなα付加体で
あっても、下記一般式(10)で示されるようなβ付加
体であってもよい。
ン反応後、反応系に残留する不純物、特に、上記のよう
に反応基質である上記「ハロゲン化シラン化合物」や上
記「t−ブトキシベンゼン化合物」を過剰に用いた場
合、残留している未反応の反応基質を除去するため、反
応終了後に、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧
状態とする。
要であるが、通常は70Pa以下、好ましくは50Pa
以下、更に好ましくは30Pa以下である。かかる範囲
とすることにより、生成物の分解を防止しつつ、反応系
の不純物、例えば未反応の上記「ハロゲン化シラン化合
物」等を容易に除去することができる結果、収率及び純
度をより向上させることができるので好ましい。そし
て、上記反応系内の温度は100℃以下、好ましくは上
記反応系の圧力が70Pa以下の場合に70〜100
℃、更に好ましくは上記反応系の圧力が70Pa以下の
場合に80〜100℃、より好ましくは上記反応系の圧
力が50Pa以下の場合に80〜100℃、特に好まし
くは上記反応系の圧力が30Pa以下の場合に80〜1
00℃である。上記反応系の温度が100℃を超える
と、以下の式(11)に示すように、反応生成物が分解
し、イソブテンとフェノール系化合物が生成する結果、
収率と生成物の純度低下を引き起こす場合があるので好
ましくない。また、上記反応系の温度を上記範囲とする
と、蒸留による低沸点物の除去効果の低減を防止するこ
とができるので好ましい。
ことにより本発明における目的化合物をほぼ化学量論的
に得ることができ、このようにして得られたt−ブトキ
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物は、高温で蒸留せずとも副反応が少
なく、純度が高い。このため、釜残をそのまま高純度の
製品として用いることができる。純度は、反応生成物
中、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%、よ
り好ましくは98%以上のものとすることができる。ま
た、得られた生成物は着色も少なく、製品に色の問題が
ほとんどない。このため、ケイ素系モノマーとして工業
的に有用である。更に、本発明の製造方法により得られ
るt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有
する有機ハロゲン化シラン化合物は、t−ブトキシ基で
保護されたフェノール性水酸基を有するため、酸処理又
は熱処理により、t−ブチル基を外してフェノール性水
酸基とすることができ、アルカリ可溶性ケイ素樹脂の調
製等に用いることができる。
本発明を更に詳しく説明する。 (1)t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の製造
方法 原料として、t−ブトキシスチレン(F.W.=17
6.26、d=0.936、以下「BOST」とい
う。)を370.2g(2.1モル)及びジメチルクロ
ロシラン(F.W.=94.62、d=0.852、以
下「DMCS」という。)を210.0g(2.2モ
ル)使用した。そして、磁気スターラー、冷却管、滴下
ロート、温度計を備えた1Lの反応装置の系内を十分な
乾燥窒素雰囲気下(水分濃度:10ppm以下)とした
(工程)。続いて、上記BOSTを全量、上記DMC
Sを約50g及び白金触媒(Pt−ジビニルテトラメチ
ルジシロキサン錯体/キシレン)0.05〜0.1ml
(反応基質に対して2〜4ppm)を仕込み、系内を撹
拌させながら、オイルバスで徐々に60〜80℃に加熱
した(工程)。発熱により反応の進行を確認したら、
系内の温度が85〜100℃になるように、上記DMC
Sの残量を滴下量を調節しながら反応系に添加して反応
を進行させた(工程)。反応終了後、100℃未満の
釜温度で70Paの減圧蒸留により、主に未反応のDM
CS等の低沸点物を留去し(工程)、実施例のt−ブ
トキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。また、
比較例として、上記工程において、釜温度を100℃
を超える温度とした他は、上記実施例と同じ方法でt−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。
化合物の分析 実施例の上記工程終了直後の生成物並びに上記工程
終了直後の実施例及び比較例の生成物について、ガスク
ロマトグラフィーによる分析を行った。分析は、カラ
ム:パックドカラムSE30 2mカラム、キャリアー
ガス:Heガス(圧力:1kg/cm2)、初期温度:
100℃(上記工程終了直後及び比較例)、50℃
(上記工程終了直後の実施例)、昇温速度:10℃/
minの条件下で行った。その結果を図1〜図3に示
す。また、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物が
生成していることを確認するため、生成物について、G
C−MSによる分析を行った。その結果を図4に示す。
トグラフィーによる分析においてリテンションタイム1
1.36と12.35の強いピークが認められた。これ
は、原料であるDMCSとBOSTが反応して、下記構
造式(12)及び(13)のα付加体とβ付加体が得ら
れていることを示している。一方、BOSTのピーク位
置は図1において矢印にて示しているが、ピークが認め
られていないことから、生成物中にBOSTの残留が認
められないことが判る。更に、図1において、リテンシ
ョンタイム0.75のピークは、BOSTよりも5%過
剰に用いたDMCSを示し、若干未反応のDMCSが残
留していることが判る。このように、本発明の方法によ
れば、反応系に仕込んだ原料化合物を化学量論的に反応
させることができ、実施例においてはBOSTに対して
ほぼ100%の収率である。
1のガスクロマトグラフィーに認められていたDMCS
のピークが消失していることから、低沸点のDMCSが
蒸留により除去されていることが分かる。一方、リテン
ションタイム1.77のピークは、シリンダー注入時の
ガス又はイソブチレンと考えられる。そして、この図2
のガスクロマトグラフィーによる分析の結果から、t−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物は98.8%の高
純度で得られていることが判る。しかも、得られたt−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物は、目視で観察し
た結果、ほとんど透明で極めて着色度が低いものであ
り、製品として問題はないことが判った。また、図4に
示すように、生成物についてGC−MSによる分析を行
った結果、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の
ピークである270のピークが認められ、また、イソブ
チレンが脱離したことを示す214のピークが認められ
た。
MCSは蒸留により除去され、上記t−ブトキシフェニ
ルクロロシラン化合物のα付加体とβ付加体を示すリテ
ンションタイム11.32と12.36の強いピークが
認められたが、一方で実施例と異なり、リテンションタ
イム0.80と7.60にも強いピークが認められた。
これは、蒸留温度が100℃を超えるため、式(14)
に示すように、生成したt−ブトキシフェニルクロロシ
ラン化合物が分解し、イソブチレン(リテンションタイ
ム0.80)とフェノール性化合物(リテンションタイ
ム7.60)が生成していることを示している。このた
め、得られたt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物
の純度が約72.8%と実施例よりも低いものであるこ
とが判る。
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。例えば、本発明におい
て、得られた生成物をさらに精製するために、吸着物
質、例えば、活性炭やシリカゲル等を用いて処理するこ
とができる。この精製により、触媒残渣等の金属不純物
を取り除いて、より純度を高めると共に、着色の要因と
なり得る触媒残渣等の金属不純物を取り除いて、生成物
の着色度を低減させることができるので好ましい。
ェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物
の製造方法によれば、所定構造のt−ブトキシベンゼン
化合物とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の温
度でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応
系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物
を除去することにより、高温で蒸留せずにも副反応が少
なく高純度で着色が少ないt−ブトキシ基で保護された
フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合
物を得ることができる。また、反応系の水分濃度及び酸
素濃度を適切な範囲とすることにより、t−ブトキシベ
ンゼン化合物やハロゲン化シラン化合物の分解を抑制
し、収率及び純度を向上させることができるので好まし
い。
トグラフィーによる分析結果を示す図である。
トグラフィーによる分析結果を示す図である。
る分析結果を示す図である。
示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるハロゲン化
シラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブト
キシベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基
質に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反
応系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーショ
ン反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応
系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物
を除去することを特徴とするt−ブトキシ基で保護され
たフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化
合物の製造方法。 【化1】 (式中、XはCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原
子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立にC1〜C3アルキ
ル基又はCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を
示す) 【化2】 (式中、R3はビニル基又はアリル基を示す。tBuはt
−ブチル基を示し、m=1〜3である) - 【請求項2】 上記一般式(1)で示されるハロゲン化
シラン化合物を、上記一般式(2)で示されるt−ブト
キシベンゼン化合物の必要理論量よりも過剰量用いる請
求項1記載のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性
水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方
法。 - 【請求項3】 上記反応系内の水分濃度が1%以下であ
る請求項1又は2記載のt−ブトキシ基で保護されたフ
ェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物
の製造方法。 - 【請求項4】 上記ヒドロシリレーション反応を開始す
る前の上記反応系内の酸素濃度が0.5%以下である請
求項1乃至3のいずれかに記載のt−ブトキシ基で保護
されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラ
ン化合物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001155776A JP4172165B2 (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2001155776A JP4172165B2 (ja) | 2001-05-24 | 2001-05-24 | t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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