JP2002348294A - t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法 - Google Patents

t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法

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JP2002348294A JP2001155776A JP2001155776A JP2002348294A JP 2002348294 A JP2002348294 A JP 2002348294A JP 2001155776 A JP2001155776 A JP 2001155776A JP 2001155776 A JP2001155776 A JP 2001155776A JP 2002348294 A JP2002348294 A JP 2002348294A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に高純度で収率よくt−ブトキシ基で
保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化
シラン化合物を製造する方法を提供する。 【解決手段】 乾燥窒素雰囲気下において、反応系内に
反応基質であるt−ブトキシスチレン及びジメチルクロ
ロシランと、白金触媒を上記反応基質に対して2〜4p
pm仕込み、撹拌させながら、60〜80℃に加熱し、
ジメチルクロロシランの残りの滴下量を調節しながら系
内の温度が85〜100℃になるように反応を進行さ
せ、反応終了後、100℃未満の釜温度で70Paの減
圧状態にして未反応のジメチルクロロシラン等の低沸点
物を除去することにより、t−ブトキシ基で保護された
フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合
物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はt−ブトキシ基で保
護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シ
ラン化合物の製造方法に関し、更に詳しくは、着色の要
因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると
共に、工業的に高純度で収率よく製造することができる
t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有す
る有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】官能性クロロシラン化合物等の有機ハロ
ゲン化シラン化合物は、シランカップリング剤や変性シ
リコーンの原料等として広く工業的に利用されるケイ素
含有化合物である。特にフェノール性水酸基を有する有
機ハロゲン化シラン化合物は、アルカリに可溶な性質を
有することから、アルカリ可溶性ケイ素樹脂を調製する
ために用いることができるので、工業的に重要な化合物
である。
【0003】従来より、有機ハロゲン化シラン化合物の
製造方法としては、例えば、白金触媒の存在下、ジメチ
ルクロロシランとスチレンとを用いるヒドロシリレーシ
ョン反応が知られている。そして、かかる反応を応用し
て、フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン
化合物を製造する方法として、下記一般式(3)に示す
ように、スチレンの代わりにt−ブトキシ基を有するス
チレンを用いて、t−ブトキシ基で保護されたフェノー
ル性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を得る
方法が検討されている。
【0004】
【化3】
【0005】しかし、上記反応過程において、反応系内
に微量の水分が存在すると、下記式(4)に示すよう
に、水分とジメチルクロロシランが反応してSi−Cl
結合が外れることにより、ジメチルクロロシランが分解
し、しかも、この反応により生じるHClが、t−ブト
キシ基を有するスチレンと反応することにより連鎖的に
t−ブチル基を脱離させる。その結果、t−ブトキシ基
で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン
化シラン化合物の収率及び純度低下を招くという問題が
ある。
【0006】
【化4】
【0007】また、反応系内に水分がほとんど無くて
も、ヒドロシリレーション反応を促進させたり、あるい
は蒸留による精製を行うために反応系内の温度を高温に
すると、上記と同様に連鎖的にt−ブチル基が脱離し、
モノマーのオリゴメリゼーションが以下の式(5)のよ
うに促進させる結果、副生成物が生成し、やはりt−ブ
トキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機
ハロゲン化シラン化合物の収率及び生成物中における純
度の低下を招くという問題がある。このような問題があ
ることから、工業的に高純度のt−ブトキシ基で保護さ
れたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン
化合物を得ることが困難であるという問題がある。
【0008】
【化5】
【0009】更に、上記反応により得られるt−ブトキ
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物は、通常、沸点が非常に高いことか
ら、純度を高めるために蒸留により精製しようとしても
かなり高温にしないと蒸留による精製が困難である。し
かも、反応系内をあまり高温にすると、連鎖的にt−ブ
チル基が脱離し、モノマーのオリゴメリゼーションが進
行して副生成物が生成する結果、収率及び純度が低下す
るという問題が生じる。また、有機ハロゲン化シラン化
合物を製造する際には、ヒドロシリレーション反応を促
進するために白金等を触媒として用いるが、かかる触媒
自身が、得られる生成物を茶褐色に着色させることもあ
るという問題もある。
【0010】そこで従来より、工業的に重要なt−ブト
キシ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハ
ロゲン化シラン化合物を製造する方法として、着色の要
因となり得る副生成物の生成と触媒の使用量を抑えると
共に、工業的に高純度で収率よく製造することができる
方法が求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたものであり、着色の要因となり得る副生成
物の生成と触媒の使用量を抑えると共に、工業的に高純
度で収率よく製造することができるt−ブトキシ基で保
護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シ
ラン化合物の製造方法に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
t−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有す
る有機ハロゲン化シラン化合物の製造方法について鋭意
検討した結果、所定構造のt−ブトキシベンゼン化合物
とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の反応温度
でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応系
内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を
除去することにより、上記課題を解決できることを見出
して本発明を完成した。
【0013】本発明のt−ブトキシ基で保護されたフェ
ノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の
製造方法は、下記一般式(1)で示されるハロゲン化シ
ラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブトキ
シベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基質
に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反応
系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーション
反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応系
内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物を
除去することを特徴とする。
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】上記「一般式(1)で示されるハロゲン化
シラン化合物」(以下、単に「ハロゲン化シラン化合
物」という。)において、XはCl、Br及びFから選
ばれるハロゲン原子を示す。また、R1及びR2はそれぞ
れ独立にアルキル基又はCl、Br及びFから選ばれる
ハロゲン原子を示す。ここで、上記R1及びR2同士は同
じアルキル基又はハロゲン原子でも、異なるアルキル基
又はハロゲン原子でもよい。上記X、R1、R2のハロゲ
ン原子としては、通常はClが用いられる。また、上記
1及び/又はR2を構成するアルキル基としては、C1
〜C3のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基等)が用いられる。また、このア
ルキル基は、炭化水素基中にハロゲン原子(F、Cl、
Br、I)等、炭素原子及び水素原子以外の原子を含む
ものでもよい。上記R1及び/又はR2を構成するアルキ
ル基としては、通常はメチル基が用いられる。
【0017】上記「ハロゲン化シラン化合物」として具
体的には、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロ
シラン、エチルジクロロシラン、n−プロピルジクロロ
シラン、イソプロピルジクロロシラン、(トリフルオロ
プロピル)ジクロロシラン、(クロロメチル)ジクロロ
シラン、ジメチルクロロシラン、ジエチルクロロシラ
ン、n−プロピルメチルクロロシラン、イソプロピルメ
チルクロロシラン、トリフルオロプロピルメチルクロロ
シラン、(クロロメチル)メチルクロロシラン、メチル
クロロシラン、エチルクロロシラン、n−プロピルクロ
ロシラン、イソプロピルクロロシラン、トリフルオロプ
ロピルクロロシラン、(クロロメチル)クロロシラン、
(トリメチルシリルメチル)クロロシラン等が挙げられ
る。
【0018】上記「一般式(2)で示されるt−ブトキ
シベンゼン化合物」(以下、単に「t−ブトキシベンゼ
ン化合物」という。)において、R3はビニル基又はア
リル基を示す。この中で、通常はビニル基が用いられ
る。また、tBuはt−ブチル基を示す。また、上記
「t−ブトキシベンゼン化合物」において、t−ブトキ
シ基の数(m)は1〜3個、特に好ましくは1個であ
る。更に、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」におい
て、t−ブトキシ基の位置はいずれであっても構わない
が、保護基を外してフェノール性水酸基とした場合のア
ルカリ可溶性が良好となるので、パラ位が好ましい。
【0019】本発明の上記「触媒」の種類としては、上
記「ハロゲン化シラン化合物」と上記「t−ブトキシベ
ンゼン化合物」とのヒドロシリレーション反応を促進さ
せるために通常用いられる種類のものであれば特に限定
はない。このような触媒としては通常、第8族金属触媒
が用いられる。該第8族金属触媒としては、コバルト、
ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジ
ウム及び白金等の第8族金属の単体、有機金属錯体、金
属塩及び金属酸化物等が挙げられる。これらの中で、触
媒活性の高さや取り扱いの容易さ等の理由から、白金の
金属単体、有機金属錯体、金属塩及び金属酸化物が好ま
しく、有機白金錯体を用いることが特に好ましい。そし
て、本発明において、上記「触媒」の量は、反応基質、
即ち、上記「ハロゲン化シラン化合物」及び上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」の合計重量に対して、第8族
金属の重量として0.01〜100重量ppm、好まし
くは0.05〜100重量ppm、更に好ましくは0.
1〜50重量ppm、より好ましくは0.5〜40重量
ppm、特に好ましくは1〜20重量ppm、最も好ま
しくは2〜10重量ppmである。上記「触媒」の濃度
が0.01ppm未満であると、ヒドロシリレーション
反応が促進されず、収率が低下するので好ましくなく、
一方、100ppmを越えると、得られる生成物が着色
するおそれがあるので好ましくない。
【0020】本発明では、次いで、反応系内の温度を1
20℃以下として、上記「ハロゲン化シラン化合物」と
上記「t−ブトキシベンゼン化合物」とをヒドロシリレ
ーション反応させる。この場合、上記「ハロゲン化シラ
ン化合物」と上記「t−ブトキシベンゼン化合物」に直
接上記「触媒」を添加して反応を行ってもよいが、反応
系の温度制御及び触媒成分の添加を容易にするため、適
当な溶媒に上記「ハロゲン化シラン化合物」、上記「t
−ブトキシベンゼン化合物」、及び上記「触媒」を添加
して反応させてもよい。このような溶媒としては、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロ
ヘキサン、テトラヒドロフラン等を用いることができ
る。
【0021】本発明において、上記「ハロゲン化シラン
化合物」及び「t−ブトキシベンゼン化合物」の割合に
ついては特に限定はなく、同量でも、あるいは上記「t
−ブトキシベンゼン化合物」を過剰量用いてもよく、あ
るいは、上記「ハロゲン化シラン化合物」を上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量より過剰に用い
ることができる。上記「ハロゲン化シラン化合物」は通
常、低沸点であることから、反応終了後、反応系から容
易に除去できるのに対し、上記「t−ブトキシベンゼン
化合物」は通常、沸点が高く、高温にすると生成物が熱
分解するために、蒸留により反応系から除去することが
困難である。そこで、上記「ハロゲン化シラン化合物」
を上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の必要理論量よ
り過剰に用いることにより、反応系からの除去が困難な
上記「t−ブトキシベンゼン化合物」を理論上ほぼ完全
に反応させ、反応系における残留を極めて低減すること
ができるので好ましい。上記「ハロゲン化シラン化合
物」を過剰に用いる場合、その割合は通常、上記「t−
ブトキシベンゼン化合物」に対して、1〜50%過剰、
より好ましくは2〜20%過剰、最も好ましくは5〜1
0%過剰な割合である。上記割合が50%過剰を超える
場合には、過剰な上記「ハロゲン化シラン化合物」が無
駄となってコスト高となる。
【0022】本発明における上記反応系内の温度は、1
20℃以下、好ましくは0〜100℃、より好ましくは
20〜100℃、更に好ましくは30〜100℃、特に
好ましくは50〜90℃である。上記反応系内の温度が
120℃を超えると、上記のように、上記「t−ブトキ
シベンゼン化合物」のt−ブチル基が連鎖的に脱離し、
モノマーのオリゴメリゼーションが促進される結果、収
率及び純度低下、副生成物の生成による着色等を引き起
こすおそれがあるので好ましくない。一方、上記反応系
内の温度を20℃以上とすると、収率向上の観点から、
ヒドロシリレーション反応の反応速度を適切な範囲とす
ることができるので好ましい。
【0023】また、本発明のヒドロシリレーション反応
は、通常、大気圧下に行われるが、加圧下で行うことも
できる。また、反応雰囲気中に酸素が存在すると、白金
等の触媒の存在下、酸素が上記「ハロゲン化シラン化合
物」と反応してSi−H結合がSi−OHとなり、これ
がSi−Cl結合と反応して上記「ハロゲン化シラン化
合物」を分解し、しかも、この反応により生じるHCl
が、上記「t−ブトキシベンゼン化合物」と反応するこ
とにより連鎖的にt−ブチル基を脱離させてt−ブトキ
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物の収率及び純度低下を招くことか
ら、通常は窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で、上記
ヒドロシリレーション反応を開始する前の上記反応系内
の酸素濃度を0.5%以下、好ましくは0.3%以下、
更に好ましくは0.1%以下とすることができる。
【0024】更に、本発明において反応系内の水分濃度
は、通常は1%以下、好ましくは0.5%以下、更に好
ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以
下、特に好ましくは0.005%以下である。反応系内
の水分濃度を1%以下とすると、水分と上記「ハロゲン
化シラン化合物」が反応・分解し、それによって発生す
るHClガスが上記「t−ブトキシベンゼン化合物」の
t−ブチル基を脱離させることを抑え、その結果、収率
及び純度低下を防止できるので好ましい。水分濃度を低
くする手段については特に限定はなく、通常、反応系を
乾燥ガス(乾燥窒素又は乾燥アルゴン等の乾燥不活性ガ
ス等)雰囲気下にすることにより達成できる。
【0025】本発明において、上記「ハロゲン化シラン
化合物」及び上記「t−ブトキシベンゼン化合物」がヒ
ドロシリレーション反応をすることにより、下記一般式
(6)に示すように、t−ブトキシ基で保護されたフェ
ノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物を
得ることができる。尚、式中、R4はC24又はC3 6
を示す。本発明の製造方法により得られる化合物は、R
3がビニル基にあっては、下記一般式(7)で示される
ようなα付加体であっても、下記一般式(8)で示され
るようなβ付加体であってもよく、R3がアリル基にあ
っては、下記一般式(9)で示されるようなα付加体で
あっても、下記一般式(10)で示されるようなβ付加
体であってもよい。
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】本発明において、上記ヒドロシリレーショ
ン反応後、反応系に残留する不純物、特に、上記のよう
に反応基質である上記「ハロゲン化シラン化合物」や上
記「t−ブトキシベンゼン化合物」を過剰に用いた場
合、残留している未反応の反応基質を除去するため、反
応終了後に、反応系内を100℃以下に保ちながら減圧
状態とする。
【0029】上記反応系の圧力は減圧下であることが必
要であるが、通常は70Pa以下、好ましくは50Pa
以下、更に好ましくは30Pa以下である。かかる範囲
とすることにより、生成物の分解を防止しつつ、反応系
の不純物、例えば未反応の上記「ハロゲン化シラン化合
物」等を容易に除去することができる結果、収率及び純
度をより向上させることができるので好ましい。そし
て、上記反応系内の温度は100℃以下、好ましくは上
記反応系の圧力が70Pa以下の場合に70〜100
℃、更に好ましくは上記反応系の圧力が70Pa以下の
場合に80〜100℃、より好ましくは上記反応系の圧
力が50Pa以下の場合に80〜100℃、特に好まし
くは上記反応系の圧力が30Pa以下の場合に80〜1
00℃である。上記反応系の温度が100℃を超える
と、以下の式(11)に示すように、反応生成物が分解
し、イソブテンとフェノール系化合物が生成する結果、
収率と生成物の純度低下を引き起こす場合があるので好
ましくない。また、上記反応系の温度を上記範囲とする
と、蒸留による低沸点物の除去効果の低減を防止するこ
とができるので好ましい。
【0030】
【化10】
【0031】以上のような反応条件に従って反応を行う
ことにより本発明における目的化合物をほぼ化学量論的
に得ることができ、このようにして得られたt−ブトキ
シ基で保護されたフェノール性水酸基を有する有機ハロ
ゲン化シラン化合物は、高温で蒸留せずとも副反応が少
なく、純度が高い。このため、釜残をそのまま高純度の
製品として用いることができる。純度は、反応生成物
中、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%、よ
り好ましくは98%以上のものとすることができる。ま
た、得られた生成物は着色も少なく、製品に色の問題が
ほとんどない。このため、ケイ素系モノマーとして工業
的に有用である。更に、本発明の製造方法により得られ
るt−ブトキシ基で保護されたフェノール性水酸基を有
する有機ハロゲン化シラン化合物は、t−ブトキシ基で
保護されたフェノール性水酸基を有するため、酸処理又
は熱処理により、t−ブチル基を外してフェノール性水
酸基とすることができ、アルカリ可溶性ケイ素樹脂の調
製等に用いることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例によって
本発明を更に詳しく説明する。 (1)t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の製造
方法 原料として、t−ブトキシスチレン(F.W.=17
6.26、d=0.936、以下「BOST」とい
う。)を370.2g(2.1モル)及びジメチルクロ
ロシラン(F.W.=94.62、d=0.852、以
下「DMCS」という。)を210.0g(2.2モ
ル)使用した。そして、磁気スターラー、冷却管、滴下
ロート、温度計を備えた1Lの反応装置の系内を十分な
乾燥窒素雰囲気下(水分濃度:10ppm以下)とした
(工程)。続いて、上記BOSTを全量、上記DMC
Sを約50g及び白金触媒(Pt−ジビニルテトラメチ
ルジシロキサン錯体/キシレン)0.05〜0.1ml
(反応基質に対して2〜4ppm)を仕込み、系内を撹
拌させながら、オイルバスで徐々に60〜80℃に加熱
した(工程)。発熱により反応の進行を確認したら、
系内の温度が85〜100℃になるように、上記DMC
Sの残量を滴下量を調節しながら反応系に添加して反応
を進行させた(工程)。反応終了後、100℃未満の
釜温度で70Paの減圧蒸留により、主に未反応のDM
CS等の低沸点物を留去し(工程)、実施例のt−ブ
トキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。また、
比較例として、上記工程において、釜温度を100℃
を超える温度とした他は、上記実施例と同じ方法でt−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物を製造した。
【0033】(2)t−ブトキシフェニルクロロシラン
化合物の分析 実施例の上記工程終了直後の生成物並びに上記工程
終了直後の実施例及び比較例の生成物について、ガスク
ロマトグラフィーによる分析を行った。分析は、カラ
ム:パックドカラムSE30 2mカラム、キャリアー
ガス:Heガス(圧力:1kg/cm2)、初期温度:
100℃(上記工程終了直後及び比較例)、50℃
(上記工程終了直後の実施例)、昇温速度:10℃/
minの条件下で行った。その結果を図1〜図3に示
す。また、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物が
生成していることを確認するため、生成物について、G
C−MSによる分析を行った。その結果を図4に示す。
【0034】(3)実施例及び比較例の効果 図1に示すように、合成直後の生成物では、ガスクロマ
トグラフィーによる分析においてリテンションタイム1
1.36と12.35の強いピークが認められた。これ
は、原料であるDMCSとBOSTが反応して、下記構
造式(12)及び(13)のα付加体とβ付加体が得ら
れていることを示している。一方、BOSTのピーク位
置は図1において矢印にて示しているが、ピークが認め
られていないことから、生成物中にBOSTの残留が認
められないことが判る。更に、図1において、リテンシ
ョンタイム0.75のピークは、BOSTよりも5%過
剰に用いたDMCSを示し、若干未反応のDMCSが残
留していることが判る。このように、本発明の方法によ
れば、反応系に仕込んだ原料化合物を化学量論的に反応
させることができ、実施例においてはBOSTに対して
ほぼ100%の収率である。
【0035】
【化11】
【0036】一方、図2より、製造工程終了後、上記図
1のガスクロマトグラフィーに認められていたDMCS
のピークが消失していることから、低沸点のDMCSが
蒸留により除去されていることが分かる。一方、リテン
ションタイム1.77のピークは、シリンダー注入時の
ガス又はイソブチレンと考えられる。そして、この図2
のガスクロマトグラフィーによる分析の結果から、t−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物は98.8%の高
純度で得られていることが判る。しかも、得られたt−
ブトキシフェニルクロロシラン化合物は、目視で観察し
た結果、ほとんど透明で極めて着色度が低いものであ
り、製品として問題はないことが判った。また、図4に
示すように、生成物についてGC−MSによる分析を行
った結果、t−ブトキシフェニルクロロシラン化合物の
ピークである270のピークが認められ、また、イソブ
チレンが脱離したことを示す214のピークが認められ
た。
【0037】一方、図3より、比較例では、低沸点のD
MCSは蒸留により除去され、上記t−ブトキシフェニ
ルクロロシラン化合物のα付加体とβ付加体を示すリテ
ンションタイム11.32と12.36の強いピークが
認められたが、一方で実施例と異なり、リテンションタ
イム0.80と7.60にも強いピークが認められた。
これは、蒸留温度が100℃を超えるため、式(14)
に示すように、生成したt−ブトキシフェニルクロロシ
ラン化合物が分解し、イソブチレン(リテンションタイ
ム0.80)とフェノール性化合物(リテンションタイ
ム7.60)が生成していることを示している。このた
め、得られたt−ブトキシフェニルクロロシラン化合物
の純度が約72.8%と実施例よりも低いものであるこ
とが判る。
【0038】
【化12】
【0039】尚、本発明においては、上記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて種々変更し
た実施例とすることができる。例えば、本発明におい
て、得られた生成物をさらに精製するために、吸着物
質、例えば、活性炭やシリカゲル等を用いて処理するこ
とができる。この精製により、触媒残渣等の金属不純物
を取り除いて、より純度を高めると共に、着色の要因と
なり得る触媒残渣等の金属不純物を取り除いて、生成物
の着色度を低減させることができるので好ましい。
【0040】
【発明の効果】本発明のt−ブトキシ基で保護されたフ
ェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物
の製造方法によれば、所定構造のt−ブトキシベンゼン
化合物とハロゲン化シラン化合物とを120℃以下の温
度でヒドロシリレーション反応させ、反応終了後、反応
系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物
を除去することにより、高温で蒸留せずにも副反応が少
なく高純度で着色が少ないt−ブトキシ基で保護された
フェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合
物を得ることができる。また、反応系の水分濃度及び酸
素濃度を適切な範囲とすることにより、t−ブトキシベ
ンゼン化合物やハロゲン化シラン化合物の分解を抑制
し、収率及び純度を向上させることができるので好まし
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の工程終了直後の生成物のガスクロマ
トグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図2】実施例の工程終了直後の生成物のガスクロマ
トグラフィーによる分析結果を示す図である。
【図3】比較例の生成物のガスクロマトグラフィーによ
る分析結果を示す図である。
【図4】実施例の生成物のGC−MSによる分析結果を
示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示されるハロゲン化
    シラン化合物及び下記一般式(2)で示されるt−ブト
    キシベンゼン化合物で構成される反応基質を、該反応基
    質に対して0.01〜100ppmの触媒の存在下、反
    応系内の温度を120℃以下としてヒドロシリレーショ
    ン反応させ、該ヒドロシリレーション反応終了後、反応
    系内を100℃以下に保ちながら減圧状態として不純物
    を除去することを特徴とするt−ブトキシ基で保護され
    たフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化
    合物の製造方法。 【化1】 (式中、XはCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原
    子を示し、R1及びR2はそれぞれ独立にC1〜C3アルキ
    ル基又はCl、Br及びFから選ばれるハロゲン原子を
    示す) 【化2】 (式中、R3はビニル基又はアリル基を示す。tBuはt
    −ブチル基を示し、m=1〜3である)
  2. 【請求項2】 上記一般式(1)で示されるハロゲン化
    シラン化合物を、上記一般式(2)で示されるt−ブト
    キシベンゼン化合物の必要理論量よりも過剰量用いる請
    求項1記載のt−ブトキシ基で保護されたフェノール性
    水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 上記反応系内の水分濃度が1%以下であ
    る請求項1又は2記載のt−ブトキシ基で保護されたフ
    ェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラン化合物
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ヒドロシリレーション反応を開始す
    る前の上記反応系内の酸素濃度が0.5%以下である請
    求項1乃至3のいずれかに記載のt−ブトキシ基で保護
    されたフェノール性水酸基を有する有機ハロゲン化シラ
    ン化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011513405A (ja) * 2008-03-06 2011-04-28 ダウ・コーニング・コーポレイション ハロアルキルアルコキシシランおよびハロアルキルハロシランの製造方法

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