JP2002347079A - プラスチック成形品の製造方法、射出成形金型及びプラスチック成形品 - Google Patents

プラスチック成形品の製造方法、射出成形金型及びプラスチック成形品

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JP2002347079A
JP2002347079A JP2001152114A JP2001152114A JP2002347079A JP 2002347079 A JP2002347079 A JP 2002347079A JP 2001152114 A JP2001152114 A JP 2001152114A JP 2001152114 A JP2001152114 A JP 2001152114A JP 2002347079 A JP2002347079 A JP 2002347079A
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cavity
plastic molded
transfer surface
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Jun Watabe
順 渡部
Yasuo Yamanaka
康生 山中
Kiyotaka Sawada
清孝 沢田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、高精度なプラスチック光学素子を
低コストに提供できるプラスチック成形品の製造方法、
射出成形金型及びプラスチック成形品を提供することを
目的とする。 【解決手段】 本発明に係るプラスチック成形品の製造
方法によれば、溶融した樹脂の軟化温度以下に加熱され
た射出成形金型に溶融した樹脂を射出充填し、溶融した
樹脂が軟化温度未満まで冷却する時に、転写面以外のキ
ャビティ面であって、かつ互いに対向する位置にある少
なくとも2つの非転写面の各々と樹脂の間に空隙を各々
形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック成形品
の製造方法、射出成形金型及びプラスチック成形品に関
し、特に高精度な鏡面を有するプラスチックレンズ、プ
ラスチックミラー等の矩形状プラスチック光学素子の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ方式のデジタル複写機、プリン
タ、又はファクシミリ装置の光書き込みユニットには、
レーザビームの結像、及び各種補正機能を有する矩形状
のレンズ、或いはミラー等の光学素子が用いられてい
る。近年これらの光学素子は、製品のコストダウンの要
求でガラスからプラスチック製へと変化し、また複数の
機能を最小限の素子で補うため、その転写面形状も球面
のみならず複雑な非球面形状を有するようになってきて
いる。また、レンズの場合には、その形状はレンズ厚が
厚く、また長手方向でレンズ厚が一定ではない偏肉形状
である場合が多くなってきている。また、その製造方法
は製造コストが低く、大量生産に適した射出成形法、或
いは金型内に配置された転写面を形成する入れ子を移動
可能にし、金型内に充填された樹脂の冷却に伴う体積収
縮に対して可動入れ子が前進することで圧力を補い形状
精度を確保する方法、いわゆる射出圧縮成形法を用いる
ことが一般的となっている。
【0003】射出成形法、或いは射出圧縮成形法で製造
する際は、加熱溶融された樹脂材料を金型内に射出充填
し、冷却固化させる工程において、金型内の樹脂圧力や
樹脂温度が均一になることが、所望の形状精度を確保す
るために望ましいことである。しかし、レンズ厚みが偏
肉形状の場合、レンズ厚みの偏差によって充填された樹
脂の冷却速度が長手方向の各部で異なり、体積収縮量に
差が生じるため、形状精度が悪化したり、レンズ厚みの
厚いところではひけが発生してしまうという不具合があ
った。また、厚肉の場合には、樹脂の冷却過程で体積収
縮量が多いためにひけが発生しやすく、ひけ発生を防止
するために射出圧力を大きくしたり、又は樹脂の充填量
を多くすると、内部歪みが大きくなり、光学性能に悪影
響を及ぼすことがあった。また、射出圧縮成形法を用い
て製造する場合、前記射出成形法より射出圧力を低くし
て成形することができるが、レンズ厚みに偏差があると
長手方向の各部で体積収縮量に差が生じ、このことによ
り可動入れ子が樹脂の体積収縮に追従できず均等な圧力
をかけることができないため、転写面の一部にひけが発
生し、形状精度が確保できないという問題があった。
【0004】こうした射出成形法、或いは射出圧縮成形
法の欠点を改善する方法として特開平11−28745
号公報(以下従来例と称す)では、溶融樹脂を金型に充
填後、軟化温度未満まで冷却するときに、キャビティ駒
を樹脂から離隔させることによってキャビティ壁面と樹
脂の間に空隙を画成している。これにより、冷却によっ
て生じる収縮を空隙に面する部分の樹脂が動くことによ
って吸収し、空隙に面した樹脂を優先的にひけさせ転写
面にひけが生じるのを防いでいる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例によれば、キャビティ内に形成した空隙が空気層、
つまり断熱層となり、樹脂から供給された熱がこの空隙
にこもり、その部分の温度だけが上昇し、キャビティ内
に温度分布が生じ、成形品精度が悪化するといった問題
が生じる。
【0006】本発明はこの問題点を解決するためのもの
であり、高精度なプラスチック光学素子を低コストに提
供できるプラスチック成形品の製造方法、射出成形金型
及びプラスチック成形品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記問題点を解決するた
めに、所定容積のキャビティを画成するキャビティ面に
少なくとも1つ以上の転写面を有し、キャビティ内に発
生する樹脂圧力によって転写面を転写する射出成形金型
を用いてプラスチック成形品を製造する、本発明に係る
プラスチック成形品の製造方法によれば、溶融した樹脂
の軟化温度以下に加熱された射出成形金型に溶融した樹
脂を射出充填し、溶融した樹脂が軟化温度未満まで冷却
する時に、転写面以外のキャビティ面であって、かつ互
いに対向する位置にある少なくとも2つの非転写面の各
々と樹脂の間に空隙を各々形成することに特徴がある。
よって、空隙に面した部分の樹脂が他の部分より動きや
すくなるため、冷却によって生じる応力分布を吸収し、
歪みの少ない成形品を得ることができると共に、冷却に
よって生じる収縮を吸収し、鏡面転写性を向上すること
ができる。また、空隙は断熱層をなるため、成形中に熱
がこもり温度が上昇するが、本発明では転写面に対して
対称な位置に空隙が形成されるため、前述した空隙の温
度上昇により不均一な収縮がおこり形状精度が悪化する
と言った問題を抑制することができる。
【0008】また、各空隙を強制的に冷却して空隙と接
する非転写面を冷却することにより、空隙での熱のこも
りによる冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぐことが
でき、高精度なプラスチック光学素子を低コスト生産す
ることができる。
【0009】更に、各空隙が互いに同じ容積であること
により、鏡面部両端での空隙の影響による温度上昇が同
じとなり、より均一な収縮を実現し転写精度を向上する
ことができる。
【0010】また、空隙内に気体を注入することによ
り、容易に空気層であるキャビティ内の空隙を冷却する
ことができ、冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぎ、
高精度なプラスチック光学素子を低コスト生産すること
ができる。
【0011】更に、気体の温度を調整することにより、
または空隙内に注入する気体の流量を調節することによ
り、成形品内部と外部での温度分布を低減し、成形品内
部の歪みを小さくすることができる。
【0012】また、非転写面を画成すると共に樹脂から
離隔するように摺動する可動入れ子を樹脂から離隔する
ように摺動させて空隙を形成する可動入れ子自体を冷却
することにより、具体的には可動入れ子内に冷却用液体
を流すことにより、型構造等の制約により気体を流す等
ができない場合においても、空隙での熱のこもりによる
冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぐことができ、高
精度なプラスチック成形品を低コストで生産することが
できる。
【0013】更に、転写面と略直交し、かつ互いに対向
する位置にある少なくとも2カ所の側面部に、不完全な
転写が行われる凸部もしくは凹部又は両者を設けたこと
により、樹脂をキャビティ内にフル充填する必要がなく
結果として成形圧力を低くすることができるため成形時
に発生する内部応力(成形品内の歪み)を小さくするこ
とができる。
【0014】また、別の発明として、所定容積のキャビ
ティを画成するキャビティ面に少なくとも1つ以上の転
写面を有し、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって
転写面を転写する射出成形金型は、溶融した樹脂の軟化
温度以下に加熱された射出成形金型に溶融した樹脂を射
出充填する樹脂充填手段と、転写面以外のキャビティ面
であって、かつ互いに対向する位置にある少なくとも2
つの非転写面を各々画成すると共に、溶融した樹脂が軟
化温度未満まで冷却する時に樹脂から離隔するように摺
動する少なくとも2つの可動入れ子とを有する。よっ
て、空隙に面した部分の樹脂が他の部分より動きやすく
なるため、冷却によって生じる応力分布を吸収し、歪み
の少ない成形品を得ることができると共に、冷却によっ
て生じる収縮を吸収し、鏡面転写性を向上することがで
きる。
【0015】更に、別の発明として、上記のプラスチッ
ク成形品の製造方法によって製造され、又は上記射出成
形金型を用いて射出成形したプラスチック成形品に特徴
がある。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係るプラスチック成形品
の製造方法によれば、溶融した樹脂の軟化温度以下に加
熱された射出成形金型に溶融した樹脂を射出充填し、溶
融した樹脂が軟化温度未満まで冷却する時に、転写面以
外のキャビティ面であって、かつ互いに対向する位置に
ある少なくとも2つの非転写面の各々と樹脂の間に空隙
を各々形成する。
【0017】
【実施例】図1は本発明の第1の実施例に係る射出成形
金型を示す概略断面図である。同図において、本実施例
の射出成形金型1は、所定容積のキャビティ11を画成
するキャビティ面に、少なくとも1つ以上成形品の鏡面
を転写する転写面12と、キャビティ11内に開口しキ
ャビティ11内に溶融した樹脂材料を射出充填する図示
しないゲートを有し、略直交し(ここでの、略直交と
は、鏡面部を成形品正面部とした場合の成形品側面部に
相当する部分のこと)、かつ両者が互いに対向する位置
にある少なくとも2カ所の成形品側面部に相当する位置
にあるキャビティ面13を画成する壁面に移動可能な可
動入れ子14とを有している。可動入れ子14には、そ
れを摺動可能とするための圧力制御装置15が連結され
ている。更に、可動入れ子14にはキャビティ11内と
外部とを連通している連通口16が設けられ、連通口1
6から外部まで連通された連通管17には、金型外に設
置させられた気体発生源18が連結されている。また、
気体発生源18には流量調整弁19が備えられている。
【0018】次に、本実施例の動作について説明する
と、図1の(a)において、キャビティ11内に溶融樹
脂が図示しないゲートを介して射出充填され、キャビテ
ィ11内に発生する樹脂圧力によって成形品に鏡面を転
写し、冷却固化により成形品を成形する。可動入れ子1
4は、連結されている圧力制御装置15によって、キャ
ビティ11内に溶融樹脂を射出充填する際にキャビティ
11内に発生する最大樹脂圧力以上の押圧力が付与さ
れ、射出圧力によって可動入れ子14が移動しないよう
に固定されている。続いて、図1の(b)に示すように
キャビティ11内に射出充填された樹脂の冷却固化が進
み、樹脂圧力が所定圧力になった時転写面12に略直交
しかつ互いに対向する位置にある少なくとも2つのキャ
ビティ面13に設けられた可動入れ子14を転写面12
から離す方向(図1の(b)で矢印方向)に移動させ、
可動入れ子14と転写面13の間に空隙20を形成す
る。この空隙20に面した部分の樹脂が他の部分より動
きやすくなるため、冷却によって生じる応力分布を吸収
し、歪みの少ない成形品を得ることができるとともに、
冷却によって生じる収縮を吸収し、鏡面転写性を向上す
ることができる。また、空隙20は断熱層となるため、
成形中に熱がこもり温度が上昇するが、本実施例ではキ
ャビティ面13に対して対称的な位置に空隙20を形成
しているため、空隙20の温度上昇によってキャビティ
面13が両端で不均一に収縮されることがなく、良好な
形状精度を確保することができる。更に、お互い対向す
る位置に形成される空隙20の容積を同じとすることに
よって、キャビティ面13両端での空隙20の影響によ
る温度上昇が同じとなりより均一な収縮を実現し転写精
度を向上することができる。また、上述したように空隙
20が生じるとその部分は断熱層となり、その部分で熱
がこもるため、通常の射出成形の場合と比較して冷却時
間、言い換えれば成形サイクルが長くなり、成形品コス
トの増大を招く。しかし、本実施例によれば、可動入れ
子14が移動した時にキャビティ11内に開口されかつ
気体発生源18が連結管17を介して連結されている連
通口16より圧縮気体を空隙20に流入させることで、
空隙20を形成している空気層を冷却し、上述したよう
な空隙形成による成形サイクルの増大を防ぐことができ
る。
【0019】一方、空隙20を冷却する場合、冷却速度
を速くしすぎると成形品内部と外部での温度分布が大き
くなり、成形品内部の歪みが大きくなり、レンズの場合
には透過するビームスポット径の肥大化を招いてしま
う。そこで、本実施例では気体発生源18に備えられて
いる流量調節弁19を調節し、圧縮気体の流量を変える
ことで容易に複雑な機構を要せずに、空隙20の温度を
コントロールし、成形品の冷却速度を適宜最適に制御す
ることができる。また、圧縮気体の温度を直接変えるこ
とで、上述した流量コントロールより更に冷却速度の制
御性を向上させることができる。尚、連通口16のキャ
ビティへの開口幅は0.001〜0.5mm、好ましく
は0.001から0.05mmになるように形成されて
いる。これによって、射出・充填時に樹脂が侵入して、
ばりを形成するのを防ぐことができる。
【0020】キャビティ11内に形成された空隙20に
対応するキャビティ面13を有するキャビティ駒を冷却
することでも同様の効果を得ることができる。型構造等
の制約により空隙内にエアーを流す等ができない場合
は、有効な手法となる。即ち、キャビティ駒を冷却する
方法として、本発明の第2の実施例の射出成形金型の概
略断面図である図2に示すように、金型外部に冷媒用温
調機21を備え、可動入れ子14内形成された流路22
に冷却用液体を流すことで容易に対処することができ
る。また、この場合は使用温度域によって、例えば10
0℃以下なら水、100℃以上なら油と言ったように使
い分けることで大きな温度範囲をカバーすることができ
る。更に、本発明の第3の実施例の射出成形金型の概略
断面図である図3に示すように、形成された空隙20に
対応するキャビティ面13を有する可動入れ子14にヒ
ートパイプ23を埋め込み、ヒートパイプ23の金型外
の部分を冷却することでも対処できる。この場合は金型
外に冷却溶媒を流すことができるので、金型に冷却配管
等を設ける必要がなく、金型構造が複雑にならない。ま
た、ヒートパイプ23の冷却は冷却溶液を用いても良い
が、ヒートパイプを空冷することで冷却効果を得ること
ができる。この場合は、図3に示すように、ヒートパイ
プ23に冷却フィン24を設けることでより大きな冷却
効率が得られる。
【0021】図4は本発明の第4の実施例に係る射出成
形金型を示す概略断面図である。本実施例の基本的構成
は第1の実施例と同じである。ここでは、可動入れ子1
4がキャビティ面13の全面ではなく、キャビティ面1
3の一部を構成するように形成されている。この場合、
鏡面部以外として空隙20が形成される面と同一キャビ
ティ面13上に転写面25が形成され、そこを基準面も
しくは基準位置をして光学素子をハウジングに固定する
場合の基準とすることができる。
【0022】また、空隙20を形成する成形品側面部の
鏡面部との境界に相当する場所も転写させるようにす
る、つまり空隙20が形成されないようにすることで、
本発明の第5の実施例を示す図5からわかるように、空
隙20が形成された時に、空隙20に接する鏡面部端部
26で剥離が生じ、形状精度が悪化することを防ぐこと
ができる。
【0023】尚、本発明で作製されたプラスチック光学
素子は、図6に示されるような、成形時に空隙が形成さ
れる、鏡面部と略直交しかつ互いに対向する位置にある
少なくとも2箇所の側面部には不完全転写部27を有す
る。そのため樹脂をキャビティ内にフル充填する必要が
なく結果として成形圧力を低くすることができるため成
形時に発生する内部応力(成形品内の歪み)を小さくす
ることができる。
【0024】また、本発明によれば、図6に示されるよ
うな矩形状長尺光学素子だけでなく、図7のような丸形
状の光学素子に対しても鏡面部と略直交しかつ互いに対
向する位置に少なくとも2面の側面部に不完全転写部2
7を設けることで、精度を向上させることができる。
【0025】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変
形や置換可能であることは言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、所定容積のキャビ
ティを画成するキャビティ面に少なくとも1つ以上の転
写面を有し、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって
転写面を転写する射出成形金型を用いてプラスチック成
形品を製造する、本発明に係るプラスチック成形品の製
造方法によれば、溶融した樹脂の軟化温度以下に加熱さ
れた射出成形金型に溶融した樹脂を射出充填し、溶融し
た樹脂が軟化温度未満まで冷却する時に、転写面以外の
キャビティ面であって、かつ互いに対向する位置にある
少なくとも2つの非転写面の各々と樹脂の間に空隙を各
々形成することに特徴がある。よって、空隙に面した部
分の樹脂が他の部分より動きやすくなるため、冷却によ
って生じる応力分布を吸収し、歪みの少ない成形品を得
ることができると共に、冷却によって生じる収縮を吸収
し、鏡面転写性を向上することができる。また、空隙は
断熱層をなるため、成形中に熱がこもり温度が上昇する
が、本発明では転写面に対して対称な位置に空隙が形成
されるため、前述した空隙の温度上昇により不均一な収
縮がおこり形状精度が悪化すると言った問題を抑制する
ことができる。
【0027】また、各空隙を強制的に冷却して空隙と接
する非転写面を冷却することにより、空隙での熱のこも
りによる冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぐことが
でき、高精度なプラスチック光学素子を低コスト生産す
ることができる。
【0028】更に、各空隙が互いに同じ容積であること
により、鏡面部両端での空隙の影響による温度上昇が同
じとなり、より均一な収縮を実現し転写精度を向上する
ことができる。
【0029】また、空隙内に気体を注入することによ
り、容易に空気層であるキャビティ内の空隙を冷却する
ことができ、冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぎ、
高精度なプラスチック光学素子を低コスト生産すること
ができる。
【0030】更に、気体の温度を調整することにより、
または空隙内に注入する気体の流量を調節することによ
り、成形品内部と外部での温度分布を低減し、成形品内
部の歪みを小さくすることができる。
【0031】また、非転写面を画成すると共に樹脂から
離隔するように摺動する可動入れ子を樹脂から離隔する
ように摺動させて空隙を形成する可動入れ子自体を冷却
することにより、具体的には可動入れ子内に冷却用液体
を流すことにより、型構造等の制約により気体を流す等
ができない場合においても、空隙での熱のこもりによる
冷却時間(成形サイクル)の増大を防ぐことができ、高
精度なプラスチック成形品を低コストで生産することが
できる。
【0032】更に、転写面と略直交し、かつ互いに対向
する位置にある少なくとも2カ所の側面部に、不完全な
転写が行われる凸部もしくは凹部又は両者を設けたこと
により、樹脂をキャビティ内にフル充填する必要がなく
結果として成形圧力を低くすることができるため成形時
に発生する内部応力(成形品内の歪み)を小さくするこ
とができる。
【0033】また、別の発明として、所定容積のキャビ
ティを画成するキャビティ面に少なくとも1つ以上の転
写面を有し、キャビティ内に発生する樹脂圧力によって
転写面を転写する射出成形金型は、溶融した樹脂の軟化
温度以下に加熱された射出成形金型に溶融した樹脂を射
出充填する樹脂充填手段と、転写面以外のキャビティ面
であって、かつ互いに対向する位置にある少なくとも2
つの非転写面を各々画成すると共に、溶融した樹脂が軟
化温度未満まで冷却する時に樹脂から離隔するように摺
動する少なくとも2つの可動入れ子とを有する。よっ
て、空隙に面した部分の樹脂が他の部分より動きやすく
なるため、冷却によって生じる応力分布を吸収し、歪み
の少ない成形品を得ることができると共に、冷却によっ
て生じる収縮を吸収し、鏡面転写性を向上することがで
きる。
【0034】更に、別の発明として、上記のプラスチッ
ク成形品の製造方法によって製造され、又は上記射出成
形金型を用いて射出成形したプラスチック成形品に特徴
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る射出成形金型を示
す概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る射出成形金型を示
す概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例に係る射出成形金型を示
す概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例に係る射出成形金型を示
す概略断面図である。
【図5】本発明の第5の実施例に係る射出成形金型を示
す概略断面図である。
【図6】本発明で作製されたプラスチック光学素子を示
す斜視図である。
【図7】本発明で作製された別のプラスチック光学素子
を示す斜視図である。
【符号の説明】
1;射出成形金型、11;キャビティ、12;転写面、
13;キャビティ面、14;可動入れ子、15;圧力制
御装置、16;連通口、17;連通管、18;気体発生
源、19;流量調整弁、20;空隙、21;冷媒用温調
機、22;流路、23;ヒートパイプ、24;冷却フィ
ン、25;鏡面部端部、26;不完全転写部、27;側
面部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沢田 清孝 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 4F202 AH73 CA11 CB01 CD02 CK06 4F206 JA07 JQ81

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定容積のキャビティを画成するキャビ
    ティ面に少なくとも1つ以上の転写面を有し、前記キャ
    ビティ内に発生する樹脂圧力によって転写面を転写する
    射出成形金型を用いてプラスチック成形品を製造するプ
    ラスチック成形品の製造方法において、 溶融した樹脂の軟化温度以下に加熱された前記射出成形
    金型に溶融した樹脂を射出充填し、溶融した樹脂が軟化
    温度未満まで冷却する時に、前記転写面以外のキャビテ
    ィ面であって、かつ互いに対向する位置にある少なくと
    も2つの非転写面の各々と樹脂の間に空隙を各々形成す
    ることを特徴とするプラスチック成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記非転写面を画成すると共に樹脂から
    離隔するように摺動する可動入れ子を樹脂から離隔する
    ように摺動させて前記空隙を形成する請求項1記載のプ
    ラスチック成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記各空隙を強制的に冷却して前記空隙
    と接する前記非転写面を冷却する請求項1記載のプアラ
    スチック成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記各空隙が互いに同じ容積である請求
    項1〜3のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 前記空隙内に気体を注入する請求項1〜
    4のいずれかに記載のプラスチック成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記気体の温度を調整する請求項5記載
    のプラスチック成形品の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記空隙内に注入する気体の流量を調節
    する請求項5又は6に記載のプラスチック成形品の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記可動入れ子自体を冷却する請求項2
    記載のプラスチック成形品の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記可動入れ子内に冷却用液体を流す請
    求項8記載のプラスチック成形品の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記転写面と略直交し、かつ互いに対
    向する位置にある少なくとも2カ所の側面部に、不完全
    な転写が行われる凸部もしくは凹部又は両者を設けた請
    求項1〜9のいずれかに記載のプラスチック成形品の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 所定容積のキャビティを画成するキャ
    ビティ面に少なくとも1つ以上の転写面を有し、前記キ
    ャビティ内に発生する樹脂圧力によって転写面を転写す
    る射出成形金型において、 溶融した樹脂の軟化温度以下に加熱された前記射出成形
    金型に溶融した樹脂を射出充填する樹脂充填手段と、 前記転写面以外のキャビティ面であって、かつ互いに対
    向する位置にある2つの非転写面を各々画成すると共
    に、溶融した樹脂が軟化温度未満まで冷却する時に樹脂
    から離隔するように摺動する少なくとも2つの可動入れ
    子とを有することを特徴とする射出成形金型。
  12. 【請求項12】 前記各可動入れ子が互いに連動して同
    じ移動量で移動する請求項11記載の射出成形金型。
  13. 【請求項13】 前記各空隙を強制的に冷却して前記空
    隙と接する前記非転写面を冷却する冷却手段を設けた請
    求項11記載の射出成形金型。
  14. 【請求項14】 前記空隙内に気体を注入する通気路を
    前記可動入れ子に設けた請求項13に記載の射出成形金
    型。
  15. 【請求項15】 前記気体の温度を調整する気体温度制
    御手段を設けた請求項14記載の射出成形金型。
  16. 【請求項16】 前記空隙内に注入する気体の流量を調
    節する気体流量制御手段を設けた請求項14又は15に
    記載の射出成形金型。
  17. 【請求項17】 前記可動入れ子に冷却用液体を流す流
    路を設けた請求項11記載の射出成形金型。
  18. 【請求項18】 前記可動入れ子自体を冷却する冷却部
    材を設けた請求項11記載の射出成形金型。
  19. 【請求項19】 前記転写面と略直交し、かつ互いに対
    向する位置にある少なくとも2カ所の側面部に、不完全
    な転写が行われる凸部もしくは凹部又は両者を設けた請
    求項11〜18のいずれかに記載の射出成形金型。
  20. 【請求項20】 請求項1〜10のいずれかに記載のプ
    ラスチック成形品の製造方法によって製造されたプラス
    チック成形品。
  21. 【請求項21】 請求項11〜19のいずれかに記載の
    射出成形金型を用いて射出成形されたプラスチック成形
    品。
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