JP2002340041A - 電磁式カップリング - Google Patents

電磁式カップリング

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JP2002340041A
JP2002340041A JP2001148073A JP2001148073A JP2002340041A JP 2002340041 A JP2002340041 A JP 2002340041A JP 2001148073 A JP2001148073 A JP 2001148073A JP 2001148073 A JP2001148073 A JP 2001148073A JP 2002340041 A JP2002340041 A JP 2002340041A
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JP
Japan
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armature
clutch
electromagnetic coupling
cam
ring
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JP2001148073A
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Hisafumi Yoshida
尚史 吉田
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GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケース状トルク伝達部材の組み立てを行いな
がら、アーマチャの位置決め機能を設定し、部材形状の
複雑化と部材間の摺動を防止し、低コストにする。 【解決手段】 トルク伝達部材3,5と、これらを連結
するメインクラッチ7と、電磁石19によりアーマチャ
17を介して断続操作されるパイロットクラッチ15
と、クラッチ15が連結されるとトルクを受けて作動し
クラッチ7を連結させるカム機構9とを備え、部材3を
構成する一側壁部27と部材25とを組み付ける際に移
動するカム機構9上にアーマチャ17の位置決め手段2
1を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力伝達
系などに用いられる電磁式カップリングに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−329562号公報に図5
のような駆動力伝達装置501が記載されている。
【0003】駆動力伝達装置501は、回転ケース50
3、インナーシャフト505、メインクラッチ507、
ボールカム509、プレッシャープレート511、カム
リング513、パイロットクラッチ515、アーマチャ
517、電磁石519などから構成されている。
【0004】駆動力伝達装置501は4輪駆動車におい
て2輪駆動走行時に切り離される後輪側のプロペラシャ
フトを分断して配置されており、回転ケース503は前
側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト5
05は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】電磁石519を励磁すると、アーマチャ5
17が吸引されてパイロットクラッチ515を押圧し締
結させる。パイロットクラッチ515が締結されると、
パイロットトルクが生じてボールカム509にエンジン
の駆動力が掛かり、発生したカムスラスト力によってメ
インクラッチ507が押圧され、駆動力伝達装置501
が連結されて後輪側に駆動力が伝達され、車両は4輪駆
動状態になる。
【0006】また、電磁石519の励磁を停止すると、
パイロットクラッチ515が開放されてボールカム50
9のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ507が
開放されて駆動力伝達装置501の連結が解除され、後
輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0007】回転ケース503は、メインクラッチ50
7とパイロットクラッチ515が連結されている円筒部
材521と、ロータ523から構成されている。ロータ
523は強磁性体で作られており、電磁石519の磁路
の一部を構成している。また、円筒部材521は磁路か
ら磁束が漏洩するのを防止するために、ステンレス鋼で
作られている。
【0008】このように円筒部材521とロータ523
は材料が異なっているから、それぞれ別に加工された
後、ネジ部525で螺着されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】駆動力伝達装置501
では、ロータ523とパイロットクラッチ515とアー
マチャ517が電磁石519の磁路を構成しており、ア
ーマチャ517に磁力を効率よく導くために、アーマチ
ャ517とパイロットクラッチ515との隙間をなるべ
く小さく保つ必要があり、そのためには、アーマチャ5
17を位置決めする必要がある。
【0010】アーマチャ517の位置決めには、円筒部
材521の矢印527で示す箇所(プレッシャープレー
ト511とアーマチャ517との間)にスナップリング
を装着してアーマチャ517を位置決めする方法があ
る。
【0011】しかし、上記のように、ロータ523を円
筒部材521にネジ込む方法では、アーマチャ517と
このスナップリングとの接触を知覚することが難しいか
ら、この方法を用いることはできない。
【0012】そこで、駆動力伝達装置501の場合は、
プレッシャープレート511に凸部529を形成して、
アーマチャ517を位置決めしている。
【0013】しかし、この方法では、プレッシャープレ
ート511の形状が複雑になり、加工コストが高くな
る。
【0014】また、アーマチャ517は円筒部材521
のスプライン部531に連結され、プレッシャープレー
ト511はインナーシャフト505のスプライン部53
3に連結されており、駆動力伝達装置501の連結が解
除されているときは、回転ケース503とインナーシャ
フト505の相対回転に伴って相対回転するから、アー
マチャ517とプレッシャープレート511が互い摺動
して磨耗する恐れがある。
【0015】そこで、本発明は、ケース状トルク伝達部
材の磁路側部材とクラッチ側部材とをネジ止めなどの方
法で組み付けながら、アーマチャの位置決め機能を設定
することができると共に、部材の形状を複雑にせず、部
材間の摺動を防止し、低コストに構成された電磁式カッ
プリングの提供を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の電磁式カップ
リングは、ケース状トルク伝達部材と、軸状トルク伝達
部材と、これらを連結するメインクラッチと、電磁石に
よって移動操作されるアーマチャを介して断続操作され
るパイロット機構と、パイロット機構が連結されると、
両トルク伝達部材に掛かる伝達トルクを受けて作動し、
メインクラッチを連結させるカム機構とを備え、ケース
状トルク伝達部材が、電磁石の磁路の一部を構成する軸
方向の一側壁部と、クラッチ側のトルク伝達部材とから
なり、軸方向一側壁部がトルク伝達部材に対して相対位
置を調整可能な手段で組み付けられていると共に、カム
機構が、軸方向一側壁部の組み付け位置に応じて移動す
るように構造された電磁式カップリングであって、この
カム機構上に、アーマチャの位置決め手段を設けたこと
を特徴としている。
【0017】このように、本発明の電磁式カップリング
は、カム機構上にアーマチャの位置決め手段が設けられ
ており、軸方向一側壁部をトルク伝達部材に組み付ける
(例えば、ネジ込む)と、カム機構と共に位置決め手段
が移動して、アーマチャの位置決め機能が設定される。
【0018】また、組み付ける前に、カム機構の上で、
予めアーマチャとパイロット機能(例えば、パイロット
クラッチ)との隙間(位置決め機能)を予め調整してお
くことができる上に、調整したこの隙間は、軸方向一側
壁部を所定の位置に組み付けるだけで、正確に再現され
る。
【0019】従って、アーマチャの位置決め機能を正確
に設定することができる。
【0020】また、軸方向一側壁部の組み付け作業は、
アーマチャの位置決め機能に特別な配慮をせず行えるか
ら、極めて容易である。
【0021】また、ケース状トルク伝達部材に取り付け
られたスナップリングによってアーマチャを位置決めす
る従来の方法と異なり、軸方向一側壁部の組み付け位置
がこのスナップリングによって制約されないから、軸方
向一側壁部を組み付けながら、同時にメインクラッチの
隙間を調整することが可能になる。
【0022】また、従来例のプレッシャープレート51
1のようなカム機構の一側部材に、アーマチャを位置決
めするための凸部を形成する必要がなくなり、これに伴
う大きなコストの上昇を避けることができる。
【0023】なお、上記の位置決め機能によって、アー
マチャとパイロット機構の隙間が所定の値に調整される
から、電磁石の磁力が効率よくアーマチャに導かれて、
パイロット機構で必要なパイロットトルクが得られる。
【0024】従って、電磁式カップリングを、例えば、
車両の動力伝達系に用いた場合は、車両の走行条件変化
に応じた所望の大きさの駆動力を車輪に伝達することが
できる。
【0025】請求項2の発明は、請求項1に記載された
発明であって、アーマチャの位置決め手段が、カム機構
の一側部材に設けられていることを特徴としており、請
求項1の構成と同等の作用・効果を得ることができる。
【0026】この構成の場合、位置決め手段は、例え
ば、カム機構の一側部材上に取り付けられた止め輪、あ
るいは、一側部材に設けられた段差部、あるいは、一側
部材の突き当て面などであり、いずれにしても、位置決
め手段を予め一側部材上に設けておくことができるか
ら、組み付けが極めて容易であり、組み付けコストが安
い。
【0027】請求項3の発明は、請求項1に記載された
発明であって、アーマチャの位置決め手段が、カム機構
の一側部材と他側部材との間に設けられていることを特
徴としており、請求項1の構成と同等の作用・効果を得
ることができる。
【0028】この構成の場合、位置決め手段は、例え
ば、カム機構の一側部材と他側部材との間に配置された
板状部材であり、請求項2の構成と同様に、位置決め手
段を予めカム機構上にセットしておくことができるか
ら、組付けが容易であり、組み付けコストが安い。
【0029】また、アーマチャの位置決め手段が、カム
機構の一側部材と他側部材との間で支持され倒れが防止
されるから、位置決め機能が長期にわたって正常に保た
れる。
【0030】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれ
かに記載された発明であって、アーマチャの位置決め手
段が、リング状部材であり、このリング状部材が、軸状
トルク伝達部材の外周に支承されていることを特徴とし
ており、請求項1〜3の構成と同等の作用・効果を得る
ことができる。
【0031】また、位置決め手段であるリング状部材
が、軸状トルク伝達部材の外周で支承され、倒れが防止
されるから、位置決め機能が長期にわたって正常に保た
れる。
【0032】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1と図2によ
って電磁式カップリング1(本発明の第1実施形態)の
説明をする。
【0033】電磁式カップリング1は、請求項1,3,
4の特徴を備えており、4輪駆動車において2輪駆動走
行時に切り離される後輪側(リヤデフ側)と原動機側
(トランスファ)側との間に配置されている。また、左
右の方向はこの車両の左右の方向であり、図1の右方は
この車両の前方(原動機側)に相当する。なお、符号を
与えていない部材等は図示されていない。
【0034】電磁式カップリング1とリヤデフ(原動機
の駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装
置)は、この順で前後方向に配置され、デフキャリヤに
収容されている。
【0035】電磁式カップリング1は、回転ケース3
(ケース状トルク伝達部材)、中空のインナーシャフト
5(軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ7
(クラッチ)、ボールカム9(カム機構)、プレッシャ
ープレート11(カム機構の他側部材)、カムリング1
3(カム機構の一側部材)、多板式のパイロットクラッ
チ15、アーマチャ17、電磁石19、リングプレート
21(アーマチャの位置決め手段:リング状部材)、コ
ントローラなどから構成されている。
【0036】なお、ボールカム9、プレッシャープレー
ト11、カムリング13、パイロットクラッチ15、ア
ーマチャ17、電磁石19などによってメインクラッチ
7のパイロット機構が構成されている。
【0037】回転ケース3は、それぞれが機械構造用鋼
のような強度材料で作られているフランジ部材23及び
円筒部材25(クラッチが配置されたトルク伝達部
材)、強磁性体で作られているロータ27(磁路の一部
を構成する軸方向の一側壁部)などから構成されてい
る。
【0038】円筒部材25には前側壁部29が形成され
ており、フランジ部材23はボルト31によってこの前
側壁部29に固定されている。
【0039】また、前側壁部29には、インナーシャフ
ト5の前端部外側にリング状の凸部33が同芯状に形成
されている。
【0040】ロータ27は、互いの間に設けられたネジ
部35によって円筒部材25の後部側開口に螺着されて
おり、互いの間に設けられた嵌合部37によってセンタ
ーリングされている。また、ネジ部35のロータ27側
ネジにはナット39が螺着されており、そのダブルナッ
ト機能によって円筒部材25とロータ27(ネジ部3
5)にスラスト力を掛けて弛みを防止し、固定機能を高
めている。
【0041】円筒部材25とロータ27との間にはOリ
ング41が配置され、オイル漏れを防止している。
【0042】フランジ部材23に形成されたスプライン
部43には動力伝達軸が連結されている。この動力伝達
軸はデフキャリヤから前方に突き出しており、そのスプ
ライン部に連結されたコンパニオンフランジと継ぎ手と
プロペラシャフトなどを介してトランスファ側に連結さ
れている。原動機の駆動力はこれらの動力伝達系を介し
て回転ケース3に伝達される。
【0043】インナーシャフト5は後方から回転ケース
3に貫入しており、その前端はボールベアリング45を
介して円筒部材25の凸部33に支承され、センターリ
ングされている。
【0044】また、インナーシャフト5の前端は、スナ
ップリング47,49によりボールベアリング45を介
して回転ケース3(円筒部材25)に対し軸方向に位置
決めされている。
【0045】また、インナーシャフト5の後端はニード
ルベアリング51を介してロータ27の内周に支承され
ている。
【0046】このように、インナーシャフト5は、ボー
ルベアリング45によって前端部が、ニードルベアリン
グ51によって後端部が、それぞれセンターリングされ
ており、これらのセンターリング機能によって、インナ
ーシャフト5の振れと電磁式カップリング1の振動が防
止されている。
【0047】また、インナーシャフト5の前端には円筒
部材25(前側壁部29)との間に断面がX字状のシー
ルであるXリング52が配置され、インナーシャフト5
の後端にはロータ27との間に、ニードルベアリング5
1の外側で、Xリング53が配置されており、それぞれ
オイル漏れを防止している。
【0048】インナーシャフト5の内周に形成されたス
プライン部55にはドライブピニオンシャフトが連結さ
れている。このドライブピニオンシャフトにはドライブ
ピニオンギアが一体に形成されており、ドライブピニオ
ンギアはリヤデフ側のリングギアと噛み合っている。イ
ンナーシャフト5の回転はこれらの動力伝達系を介して
リヤデフに伝達される。
【0049】回転ケース3は上記のOリング41とXリ
ング52,53とによって密封されており、その内部に
は、円筒部材25の前側壁部29に形成されたオイル孔
57からオイルが注入される。また、オイルを注入した
後このオイル孔57はスチールボール59を圧入してシ
ールされている。
【0050】なお、フランジ部23は、スチールボール
59を圧入した後、ボルト31で円筒部材25に取り付
けられる。
【0051】また、前側壁部29にはオイルの封入量を
増大させる容量増大空間部61,63が設けられてお
り、これらの容量増大空間部61,63には、回転ケー
ス3内部の他の部分と同様に、注入されたオイルと空気
が収容されている。
【0052】メインクラッチ7は、回転ケース3(円筒
部材25)とインナーシャフト5との間に配置されてお
り、そのアウタープレート65は円筒部材25の内周に
形成されたスプライン部67に連結され、インナープレ
ート69はインナーシャフト5の外周に形成されたスプ
ライン部71に連結されている。
【0053】ボールカム9は、プレッシャープレート1
1に3箇所周方向等間隔に形成されたカム面と、図2の
ように、カムリング13に3箇所周方向等間隔に形成さ
れたカム面73との間にボール75を配置して構成され
ている。
【0054】プレッシャープレート11は、内周をイン
ナーシャフト5のスプライン部71に連結されており、
ボールカム9のスラスト力を受けてメインクラッチ7を
回転ケース3(前側壁部29)に押圧し締結させる。
【0055】カムリング13は、インナーシャフト5の
外周に相対回転自在に配置されており、カムリング13
とロータ27との間には、ボールカム9のカム反力を受
けるスラストベアリング77とワッシャ79が配置され
ている。
【0056】パイロットクラッチ15は、回転ケース3
(円筒部材25)とカムリング13との間に配置されて
おり、そのアウタープレート81は円筒部材25のスプ
ライン部67に連結され、インナープレート83はカム
リング13の外周に形成されたスプライン部85に連結
されている。
【0057】アーマチャ17は、プレッシャープレート
11とパイロットクラッチ15との間に配置されてお
り、外周を円筒部材25のスプライン部67に移動自在
に連結されている。
【0058】リングプレート21は、プレッシャープレ
ート11とカムリング13との間に挟まれて支持されて
いる。リングプレート21はその外周側をアーマチャ1
7とプレッシャープレート11との間に貫入して、アー
マチャ17を前方に位置決めし、アーマチャ17とプレ
ッシャープレート11との干渉を防止している。
【0059】図2のように、リングプレート21には、
ボールカム9のボール75との干渉を避ける3箇所の切
り欠き部87と、各切り欠き部87の間に形成された3
本の脚部89とが設けられており、各脚部89の内周
で、インナーシャフト5の外周に支承されている。
【0060】電磁石19のコア91は、ロータ27に形
成されたリング状の凹部93に適度なエアギャプを介し
て貫入していると共に、両側シール型のボールベアリン
グ95によってロータ27上に支承されている。また、
コア91は回り止め部材97を介してデフキャリヤ側に
連結され、回り止めされている。
【0061】電磁石19のリード線99はコネクター1
01によって車載バッテリ側のコネクターに接続されて
いる。
【0062】ロータ27とパイロットクラッチ15とア
ーマチャ17によって電磁石19の磁路が構成されてい
る。
【0063】ロータ27は非磁性体であるステンレス鋼
のリング103によって径方向の外側と内側に分断され
ている。また、パイロットクラッチ15の各プレート8
1,83には、リング103と対応する径方向位置に、
複数個所の切り欠き105と、これらの切り欠き105
を連結するブリッジ部が周方向に設けられている。これ
らのリング103と切り欠き105とによって、磁路上
での磁束の短絡が防止されている。
【0064】コントローラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、電磁石19の励磁、励磁電流の制御、励磁停止など
を行う。
【0065】電磁石19が励磁されると、上記の磁路に
磁束ループ107が形成されてアーマチャ17が吸引さ
れ、ロータ27との間でパイロットクラッチ15を押圧
し締結させ、パイロットトルクを発生させる。
【0066】パイロットトルクが発生すると、パイロッ
トクラッチ15を介して回転ケース3に連結されたカム
リング13と、インナーシャフト5側のプレッシャープ
レート11からボールカム9に伝達トルクが掛かり、発
生したカムスラスト力を受けてプレッシャープレート1
1が前方に移動し、メインクラッチ7を押圧して締結さ
せる。
【0067】こうして電磁式カップリング1が連結され
ると、回転ケース3を回転させる原動機の駆動力はイン
ナーシャフト5から上記のドライブピニオンシャフトな
どの動力伝達系を介してリヤデフを回転させ、リヤデフ
から左右の後輪に配分されて車両は4輪駆動状態にな
り、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
【0068】このとき、電磁石19の励磁電流を制御す
ると、パイロットクラッチ15の滑りに変化が生じてボ
ールカム9のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ
7の押圧力が変化して後輪に送られる駆動力の大きさが
変わるから、前後輪間の駆動力配分比を制御することが
できる。
【0069】例えば、旋回走行中にこのような駆動力配
分比の制御を行うと、車両の操縦性や安定性などを大き
く向上させることができる。
【0070】電磁石19の励磁を停止すると、パイロッ
トクラッチ15が開放されてボールカム9のカムスラス
ト力が消失し、メインクラッチ7が開放されて電磁式カ
ップリング1の連結が解除され、リヤデフ側が切り離さ
れて、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。
【0071】回転ケース3に封入されているオイルは、
電磁式カップリング1の回転に伴う遠心力を受けて内部
を循環し、メインクラッチ7、ボールカム9、パイロッ
トクラッチ15、スプライン部67,71,85、スラ
ストベアリング77、ワッシャ79、カムリング13及
びリングプレート21(脚部89)の内周とインナーシ
ャフト5の外周との摺動面、Xリング53などに供給さ
れ、これらを充分に潤滑・冷却する。
【0072】また、メインクラッチ9の各インナープレ
ート69にはオイル孔109が形成されており、各プレ
ート65,69の摺動面に対するオイルの移動を促進
し、これらの潤滑・冷却効果を向上させている。
【0073】また、プレッシャープレート11には貫通
孔が形成されており、オイルによる移動抵抗を軽減して
メインクラッチ7の操作レスポンスを向上させると共
に、この貫通孔はオイルの流路になり、ボールカム9、
パイロットクラッチ15側へのオイルの移動を促進し、
これらの潤滑・冷却効果を向上させる。
【0074】電磁式カップリング1の主な構成部材の組
付けは次のように行われる。
【0075】インナーシャフト5をボールベアリング4
5で円筒部材25に組み付けた後、メインクラッチ7を
組み付け、リングプレート21を組み付けたボールカム
9を組み付ける。
【0076】さらに、アーマチャ17、パイロットクラ
ッチ15、スラストベアリング77、ワッシャ79を組
み付けた後、ロータ27を円筒部材25にネジ込み、ナ
ット39でロックする。
【0077】このロータ27のネジ込みに伴い、スラス
トベアリング77とワッシャ79を介してボールカム9
とリングプレート21が押圧されて移動し、ロータ27
を所定の位置までネジ込むと、リングプレート21とア
ーマチャ17との隙間が決まり、アーマチャ17の位置
決め機能が設定される。
【0078】また、このときボールカム9の一側部材で
あるプレッシャープレート11がメインクラッチ7を押
圧し、プレート65,69の隙間調整が行われる。
【0079】こうして、電磁式カップリング1が構成さ
れている。
【0080】電磁式カップリング1は、上記のように、
ロータ27を円筒部材25にネジ込むことにより、ボー
ルカム9のプレッシャープレート11とカムリング13
との間にセットされたリングプレート21が移動して、
アーマチャ17の位置決め機能が設定される。
【0081】この位置決め機能によって、アーマチャ1
7とパイロットクラッチ15の隙間が所定値に調整さ
れ、電磁石19の磁力が効率よくアーマチャ17に導か
れて必要なパイロットトルクが得られるから、車両の走
行条件の変化に応じて所望の大きさの駆動力を後輪に伝
達することが可能になる。
【0082】また、リングプレート2とアーマチャ17
との隙間(位置決め機能)は、ワッシャ79とスラスト
ベアリング77とカムリング13の軸方向寸法の和と、
アーマチャ17とパイロットクラッチ15(プレート8
1,83)の軸方向寸法の和との差で決まるから、これ
らの寸法(位置決め機能)は、予め調整しておくことが
できる上に、調整したこの隙間は、ロータ27を所定の
位置に組み付けるだけで正確に再現される。
【0083】従って、アーマチャ17の位置決め機能の
設定は容易であり、位置決め機能は正確である。
【0084】また、スナップリングによってアーマチャ
を位置決めする従来の方法と異なり、ロータ27の組み
付け位置がこのスナップリングとの当たりによって制限
されることはないから、ロータ27の組み付け作業は容
易であると共に、上記のように、ロータ27を組み付け
ながら、同時にメインクラッチ7の隙間を調整すること
が可能になる。
【0085】また、リングプレート21の脚部89が、
インナーシャフト5の外周で支承されており、倒れが防
止されるから、アーマチャ17の位置決め機能が長期に
わたって正常に保たれる。
【0086】また、電磁式カップリング1の連結が解除
されているときでも、リングプレート21の位置決め機
能によってアーマチャ17とプレッシャープレート11
との接触、摺動、磨耗が防止され、耐久性が大きく向上
する。
【0087】[第2実施形態]図3によって電磁式カッ
プリング201(本発明の第2実施形態)の説明をす
る。
【0088】この電磁式カップリング201は請求項
1,2の特徴を備えており、第1実施形態の電磁式カッ
プリング1を用いた4輪駆動車に、電磁式カップリング
1と置き換えて用いられている。なお、図3の右方はこ
の車両の前方(原動機側)に相当し、符号のない部材等
は図示されていない。
【0089】以下、電磁式カップリング1と同機能の部
材に同一の符号を与えて引用しながら、相違点を説明す
る。
【0090】電磁式カップリング201は、回転ケース
3、インナーシャフト5、メインクラッチ7、ボールカ
ム9、プレッシャープレート11、カムリング13、パ
イロットクラッチ15、アーマチャ17、電磁石19、
スナップリング203(アーマチャの位置決め手段)、
コントローラなどから構成されている。
【0091】スナップリング203は、カムリング13
の外周に取り付けられており、アーマチャ17の内周側
には、スナップリング203側に段差部205が形成さ
れている。
【0092】スナップリング203は、この段差部20
5と接触することにより、アーマチャ17を前方(プレ
ッシャープレート11側)に位置決めし、アーマチャ1
7とプレッシャープレート11との干渉を防止してい
る。
【0093】電磁式カップリング201の組付けは、電
磁式カップリング1と同様に行われ、その過程で、ボー
ルカム9とスナップリング203が押圧されて移動し、
ロータ27を所定の位置までネジ込むと、スナップリン
グ203とアーマチャ17との隙間が決まり、アーマチ
ャ17の位置決め機能が設定されると共に、プレッシャ
ープレート11がメインクラッチ7を押圧し、プレート
65,69の隙間調整が行われる。
【0094】こうして、電磁式カップリング201が構
成されている。
【0095】電磁式カップリング201では、カムリン
グ13上にスナップリング203を取り付ける軸方向位
置、アーマチャ17の段差部205の軸方向深さなどに
よって、スナップリングとアーマチャ17間の隙間(位
置決め機能)を調整することができる。
【0096】従って、アーマチャ17の位置決め機能を
調整するために、カムリング13やアーマチャ17の寸
法(厚さ)を変更しないですむ。
【0097】これに加えて、電磁式カップリング201
は、電磁式カップリング1(第1実施形態)において位
置決め手段のリングプレート21をカムリング13とプ
レッシャープレート11との間に配置したことによる効
果を除き、電磁式カップリング1と同等の効果が得られ
る。
【0098】[第3実施形態]図4は、電磁式カップリ
ング301(本発明の第3実施形態)を示している。
【0099】この電磁式カップリング301は、第2実
施形態の電磁式カップリング201において、アーマチ
ャ17の段差部205を面取り部303にしたものであ
り、請求項1,2の特徴を備えている。
【0100】アーマチャの内周には、軸方向両側に面取
り部303が形成されており、スナップリング203側
の面取り部303と、スナップリング203との間で、
アーマチャ17を前方(プレッシャープレート11側)
に位置決めし、アーマチャ17とプレッシャープレート
11との干渉を防止している。
【0101】こうして構成された電磁式カップリング3
01は、電磁式カップリング201と同等の効果が得ら
れる。
【0102】なお、各実施形態において、メインクラッ
チ7は、ケース状トルク伝達部材(回転ケース3)と軸
状トルク伝達部材(インナーシャフト5)との間で駆動
力を伝達するための機構であり、アウタープレート65
とインナープレート69だけでは意味を持たず、回転ケ
ース3とインナーシャフト5とアウタープレート65と
インナープレート69はいずれもメインクラッチ7に必
須の構成部材である。
【0103】また、同様な理由によって、パイロットク
ラッチ15には、回転ケース3とカムリング13とアウ
タープレート81とインナープレート83が必須の構成
部材である。
【0104】また、ボールカム9(カム機構)は、伝達
された駆動トルクをメインクラッチ7の押圧力に変換す
るための機構であり、プレッシャープレート11、カム
リング13、これらに形成されたカム面73、これらの
間に配置されるボール75だけでなく、プレッシャープ
レート11に駆動力を伝達するインナーシャフト5、カ
ムリング13に駆動力を伝達する回転ケース3とパイロ
ットクラッチ15などが必須の構成部材になる。
【0105】なお、本発明において、軸方向一側壁部と
トルク伝達部材とを相対位置の調整可能に連結する手段
は、ネジを用いた連結手段に限らない。
【0106】また、請求項4の電磁式カップリングを構
成するパイロット機構は、多板クラッチ、単板クラッ
チ、コーンクラッチのような摩擦クラッチを用いたパイ
ロットクラッチ機構だけでなく、クラッチを用いずに電
磁石でパイロット機能を行う公知のパイロット機構を用
いてもよい。
【0107】また、メインクラッチやパイロットクラッ
チは、多板クラッチの他に、例えば、単板クラッチやコ
ーンクラッチのように、摩擦クラッチであればどのよう
な形式のクラッチでもよい。また、これらは湿式でも乾
式でもよい。
【0108】また、本発明のカップリングは、デファレ
ンシャル装置の差動回転部材の間に配置することによっ
て、差動制限機構に用いることもできる。
【0109】
【発明の効果】本発明の電磁式カップリングは、カム機
構上に設けたアーマチャ位置決め手段によって、アーマ
チャとパイロット機構の隙間が所定の値に調整され、必
要なパイロットトルクが得られ、所望のトルクを伝達で
きる。
【0110】また、軸方向一側壁部をトルク伝達部材に
組み付ける(例えば、ネジ込む)と、位置決め手段がカ
ム機構と共に移動するから、アーマチャの位置決め機能
の設定が容易である。
【0111】また、カム機構の上でアーマチャとパイロ
ット機能との隙間を調整しておくことができると共に、
調整した隙間(位置決め機能)は、軸方向一側壁部を所
定の位置に組み付けるだけで再現されるから、アーマチ
ャの位置決め機能を正確に設定できる。
【0112】また、軸方向一側壁部の組み付け作業は、
アーマチャの位置決め機能に影響を与えずに組み付ける
ことができるから、容易である。
【0113】また、スナップリングによってアーマチャ
を位置決めする方法と異なり、軸方向一側壁部を組み付
けながら、同時にメインクラッチの隙間を調整すること
ができる。
【0114】請求項2の電磁式カップリングは、請求項
1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0115】また、位置決め手段を予め一側部材上に設
けておくことができるから、組付けが容易であり、組み
付けコストが安い。
【0116】請求項3の電磁式カップリングは、請求項
1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0117】また、板状部材(位置決め手段)を予めカ
ム機構上に設けておくことができるから、組付けが容易
であり、組み付けコストが安い。
【0118】また、板状部材の倒れが防止され、位置決
め機能が正常に保たれる。
【0119】請求項4の電磁式カップリングは、請求項
1〜3の構成と同等の効果を得ることができる。
【0120】また、リング状部材(位置決め手段)の倒
れが防止され、位置決め機能が正常に保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す断面図である(図2のB−
B断面相当)。
【図2】第1実施形態に用いられたアーマチャの位置決
め手段などを示す図面である(図1のA−A断面相
当)。
【図3】第2実施形態を示す断面図である。
【図4】第3実施形態を示す断面図である。
【図5】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 電磁式カップリング 3 回転ケース(ケース状トルク伝達部材) 5 インナーシャフト(軸状トルク伝達部材) 7 メインクラッチ 9 ボールカム(カム機構:パイロット機構) 11 プレッシャープレート(カム機構の他側部材) 13 カムリング(カム機構の一側部材) 15 パイロットクラッチ(パイロット機構) 19 電磁石(パイロット機構) 21 リングプレート(アーマチャの位置決め手段) 25 円筒部材(クラッチが配置されたトルク伝達部
材) 27 ロータ(磁路の一部を構成する軸方向の一側壁
部) 201 電磁式カップリング 203 スナップリング(アーマチャの位置決め手段) 301 電磁式カップリング

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース状トルク伝達部材と、軸状トルク
    伝達部材と、これらを連結するメインクラッチと、電磁
    石によって移動操作されるアーマチャを介して断続操作
    されるパイロット機構と、パイロット機構が連結される
    と、両トルク伝達部材に掛かる伝達トルクを受けて作動
    し、メインクラッチを連結させるカム機構とを備え、ケ
    ース状トルク伝達部材が、電磁石の磁路の一部を構成す
    る軸方向の一側壁部と、クラッチ側のトルク伝達部材と
    からなり、軸方向一側壁部がトルク伝達部材に対して相
    対位置を調整可能な手段で組み付けられていると共に、
    カム機構が、軸方向一側壁部の組み付け位置に応じて移
    動するように構造された電磁式カップリングであって、
    このカム機構上に、アーマチャの位置決め手段を設けた
    ことを特徴とする電磁式カップリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された発明であって、ア
    ーマチャの位置決め手段が、カム機構の一側部材に設け
    られていることを特徴とする電磁式カップリング。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された発明であって、ア
    ーマチャの位置決め手段が、カム機構の一側部材と他側
    部材との間に設けられていることを特徴とする電磁式カ
    ップリング。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された発
    明であって、アーマチャの位置決め手段が、リング状部
    材であり、このリング状部材が、軸状トルク伝達部材の
    外周に支承されていることを特徴とする電磁式カップリ
    ング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005214422A (ja) * 2004-02-02 2005-08-11 Borgwarner Inc トランスファケース等用の多極電磁アクチュエータを有するクラッチ

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