JP2003042189A - 電磁クラッチ及び電磁式カップリング - Google Patents

電磁クラッチ及び電磁式カップリング

Info

Publication number
JP2003042189A
JP2003042189A JP2001232108A JP2001232108A JP2003042189A JP 2003042189 A JP2003042189 A JP 2003042189A JP 2001232108 A JP2001232108 A JP 2001232108A JP 2001232108 A JP2001232108 A JP 2001232108A JP 2003042189 A JP2003042189 A JP 2003042189A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnet
clutch
ring
rotor
shaped member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001232108A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Inose
秀之 猪瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GKN Driveline Japan Ltd
Original Assignee
Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tochigi Fuji Sangyo KK filed Critical Tochigi Fuji Sangyo KK
Priority to JP2001232108A priority Critical patent/JP2003042189A/ja
Publication of JP2003042189A publication Critical patent/JP2003042189A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁クラッチを締結させる電磁石の吸引力を
任意に調整可能な電磁クラッチ及び電磁式カップリング
の提供を図る。 【解決手段】 ケース状トルク伝達部材3と、軸状トル
ク伝達部材5と、これらの間にトルクを伝達するメイン
クラッチ7と、摩擦クラッチからなるパイロットクラッ
チ15と、電磁石の磁力によりパイロットクラッチを断
続する電磁クラッチ19と、ケース状トルク伝達部材3
及び軸状トルク伝達部材5に掛かる伝達トルクを受けて
作動してメインクラッチを連結させるカム機構9とを備
える、電磁クラッチ19をコイル37及びコイル37を
支持するコア39からなる電磁石35と、電磁石36の
磁路の一部を構成すると共にコア39に対して回転可能
なロータ27とにより構成すると共に、コア39の外周
面にテーパ面を形成し、このテーパ面に対向するテーパ
面を備えたリング状部材43を軸方向移動可能な状態で
ロータ27に設けてリング状部材43とコア39との間
のギャップを調整可能とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力伝達
系などに用いられる電磁クラッチ及び電磁式カップリン
グに関する。
【0002】
【従来の技術】特開平10−30656号公報に図3の
ような駆動力伝達装置301が記載されている。
【0003】駆動力伝達装置301は、回転ケース30
3、インナーシャフト305、メインクラッチ307、
ボールカム309、プレッシャープレート311、カム
リング313、パイロットクラッチ315、アーマチャ
317、電磁石319などから構成されている。
【0004】駆動力伝達装置301は4輪駆動車におい
て2輪駆動走行時に切り離される後輪側のプロペラシャ
フトを分断して配置されており、回転ケース303は前
側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト3
05は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】回転ケース303は、メインクラッチ30
7が連結されている円筒部材321と、パイロットクラ
ッチ315が連結されている円筒部材323と、磁性体
のロータ325などから構成されている。
【0006】電磁石319のコア327とロータ323
とパイロットクラッチ315によって電磁石319の磁
路が構成されており、円筒部材323は磁路からの磁束
漏洩を防止するために、例えば、オーステナイト系のス
テンレス鋼のような非磁性体で作られている。
【0007】電磁石319を励磁すると、磁路に磁気ル
−プが形成されてア−マチャ317が吸引され、パイロ
ットクラッチ315を押圧し締結させる。パイロットク
ラッチ315が締結されると、パイロットトルクが生じ
てボールカム309にエンジンの駆動力が掛かり、発生
したカムスラスト力によってメインクラッチ307が押
圧され、駆動力伝達装置301が連結される。
【0008】駆動力伝達装置301が連結されると、駆
動力が後輪に送られて車両は4輪駆動状態になり、悪路
の走破性や、車体の安定性などが向上する。
【0009】また、電磁石319の励磁を停止すると、
パイロットクラッチ315が開放されてボールカム30
9のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ307が
開放されて駆動力伝達装置301の連結が解除され、後
輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】駆動力伝達装置301
のように車両の動力伝達系に用いられるカップリング
は、例えば、同一の機種を種々の異なった車種に使いた
いという要求があり、また、同じ車種に使われる場合で
も、伝達できる駆動力(クラッチの連結力)の調整が必
要な場合がある。
【0011】しかし、駆動力伝達装置301にはこのよ
うな連結力の調整機能を持たないから、上記のような要
求に対応することができない。
【0012】また、駆動力伝達装置301のように電磁
石を用いてパイロットクラッチを開閉操作し、メインク
ラッチを連結させるカップリングでは、磁路の透磁率が
低いと(磁路中の磁束ロスが大きいと)、必要なパイロ
ットトルクが得られず、所望の駆動力を車輪に伝達する
ことができなくなる。
【0013】そこで、駆動力伝達装置301では、上記
のように、回転ケース303の円筒部材323をステン
レス鋼にして磁束の漏洩を防止し、必要なパイロットト
ルクを得ようとしているが、非磁性のステンレス鋼であ
るオーステナイト系のステンレス鋼は高価であるから、
装置がコスト高になる。
【0014】また、磁束を強めるには、電磁石の励磁電
流を大きくするか、電磁石を大型にする必要があり、い
ずれにしても電力消費が大きくなって、バッテリや発電
機系への負担が増えてしまう。
【0015】また、電磁石を大きくすると、装置が大型
で重くなり、車載性に影響をあたえてしまう恐れがあ
る。
【0016】さらに、電磁石を大きくすると、その励磁
電流を制御するコントローラも電流の増加に対応させる
必要が生じるから、これに伴ってさらにコスト高になり
易い。
【0017】そこで、本発明は、電磁石の吸引力を調整
することが可能な電磁クラッチ及び電磁式カップリング
の提供を目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1の電磁クラッチ
は、ケース状トルク伝達部材と、軸状トルク伝達部材
と、両トルク伝達部材の間に配置されたクラッチと、磁
路を介してこのクラッチを断続操作する電磁石と、ケー
ス状トルク伝達部材に固定され電磁石の磁路の一部を構
成すると共に電磁石を相対回転可能に指示するロータと
を備え、前記電磁石は、コイル及びコイルを支持するコ
アからなり、コアの外周面にテーパ面を形成し、このテ
ーパ面に対向するテーパ面を備えたリング状部材を軸方
向移動可能な状態でコアの外周との間に所定量離間させ
てロータに設け、リング状部材とコアとの間のギャップ
を調整可能としたことを特徴としている。
【0019】この発明では、そのテーパ面をコア外周面
のテーパ面に対向させた状態でリング状部材をコア外周
に配置し、リング状部材を軸方向に移動させる。この移
動によって、リング状部材とコアとの間のギャップが変
化するため、電磁石の磁束の透過度合いが変化し、電磁
石の吸引力(磁力)を調整することができる。
【0020】従って、この電磁クラッチでは、構成部品
の組み付け時あるいは組み付け後に、電磁石の吸引力を
調整することができ、吸引力を調整するために構成部品
に対して特別の加工を行ったり、別の部品を組み込む必
要がなく、簡単な構造とすることができる。
【0021】また、リング状部材の軸方向移動だけで、
電磁石の吸引力を調整できることから、電磁石を大型化
する必要がなくなる。
【0022】請求項2の発明は、請求項1に記載された
電磁クラッチであって、前記リング状部材がロータに圧
入されて固定されることを特徴とし、請求項1の構成と
同等の作用・効果を得ることができる。
【0023】また、リング状部材のロータへの圧入の際
に、その圧入位置を調整することにより、リング状部材
とコアとの間のギャップを調整することができるため、
電磁石の吸引力を組み付け時に調整することができる。
【0024】請求項3の発明は、請求項1に記載された
電磁クラッチであって、前記リング状部材がロータに螺
合されて固定されることを特徴とし、請求項1の構成と
同等の作用・効果を得ることができる。
【0025】また、リング状部材をロータに螺合させる
構造のため、螺合長さを選択することによってリング状
部材とコアとの間のギャップを調整することができる。
従って、組み付け時だけでなく、組み付け後においても
ギャップの調整ができ、幅広い調整が可能となる。
【0026】請求項4の電磁式カップリングは、請求項
1〜3のいずれかに記載された電磁クラッチと、前記電
磁クラッチの電磁石の作動または作動停止によって操作
されるパイロット機構と、カム機構とを備え、前記パイ
ロット機構が作動すると前記両トルク伝達部材間の伝達
トルクが前記カム機構に掛かり、発生した押圧力によっ
て前記摩擦クラッチが締結されることを特徴としてい
る。
【0027】この発明では、電磁石の制御によってパイ
ロットクラッチを断続して、カム機構がメインクラッチ
を連結し、ケース状トルク伝達部材及び軸状トルク伝達
部材の断続を行う構造となっている。このような構造で
あっても、電磁クラッチが請求項1〜3の特徴を備えて
いるため、電磁クラッチにおけるリング状部材とコアと
の間のギャップを調整することにより、パイロットクラ
ッチの締結力を調整することができる。
【0028】このように、電磁石の吸引力を調整できる
ことから、充分なトルクを伝達することができる。ま
た、万が一、磁束の漏洩等により励磁電流のロスがあっ
た場合でも、リング状部材とコアとのギャップを調整す
るだけで電磁石の吸引力を調整することができるから、
電磁石を大型化したり、電磁石に流す電流を大きくする
必要がなく、車載機器では、電磁石の電源であるバッテ
リや発電機系への負担が軽減されると共に、コントロー
ラの調整も不要になり、これに伴うコスト上昇も避けら
れる。
【0029】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1及び図2に
よって電磁式カップリング1(本発明の第1実施形態)
の説明をする。
【0030】電磁式カップリング1は、請求項1,2,
4の特徴を備えており、4輪駆動車において2輪駆動走
行時に切り離される後輪側(リヤデフ側)と原動機側
(トランスファ)側との間に配置されている。また、左
右の方向はこの車両の左右の方向であり、図1の右方は
この車両の前方(原動機側)に相当する。なお、符号を
与えていない部材等は図示されていない。
【0031】電磁式カップリング1とリヤデフ(原動機
の駆動力を左右の後輪に配分するデファレンシャル装
置)は、この順で前後方向に配置され、デフキャリヤに
収容されている。
【0032】電磁式カップリング1は、回転ケース3
(ケース状トルク伝達部材)、中空のインナーシャフト
5(軸状トルク伝達部材)、多板式のメインクラッチ
7、ボールカム9(カム機構)、プレッシャープレート
11、カムリング13、多板式のパイロットクラッチ1
5、アーマチャ17、電磁クラッチ19、コントローラ
などから構成されている。
【0033】回転ケース3は、それぞれが機械構造用鋼
のような強度材料で作られている動力伝達軸23及び円
筒部材25、鉄系合金(磁性材料)で作られているロー
タ27(電磁石35の磁路の一部を構成する部材)など
から構成されている。
【0034】動力伝達軸23にはフランジ部29が形成
されており、動力伝達軸23と円筒部材25はボルト3
1によって固着されている。
【0035】ロータ27は互いの間に設けられたネジ部
33によって円筒部材25の内周に螺着されている。ロ
ータ27のネジ部33にはロックナット47が螺着され
ている。このロックナット47は円筒部材25の後端を
押圧し、そのダブルナット機能によって円筒部材25と
ロータ27にスラスト力を掛けてそれぞれの弛みを防止
し、固定機能を高めている。
【0036】動力伝達軸23は、デフキャリヤから前方
に突き出しており、そのスプライン部49に連結された
コンパニオンフランジと継ぎ手とプロペラシャフトなど
を介してトランスファ側に連結されている。原動機の駆
動力はこれらの動力伝達系を介して回転ケース3に伝達
される。
【0037】インナーシャフト5は後方から回転ケース
3に貫入しており、その前端はボールベアリング51を
介して動力伝達軸23に支承されている。また、インナ
ーシャフト5の後端はニードルベアリング57を介して
ロータ27の内周に支承されており、インナーシャフト
5はスナップリング59を介してロータ27に対し軸方
向に位置決めされている。
【0038】インナーシャフト5は上記のように、ボー
ルベアリング51によって前端部が、ニードルベアリン
グ57によって後端部が、それぞれ径方向にセンターリ
ングされており、これらのセンターリング機能によっ
て、インナーシャフト5の振れと、インナーシャフト5
の振れによる電磁式カップリング1の振動が防止されて
いる。
【0039】また、インナーシャフト5とロータ27と
の間には、断面がX字状のシールであるXリング61が
ニードルベアリング57の内側に配置されてオイル漏れ
を防止している。
【0040】インナーシャフト5の内周に形成されたス
プライン部63にはドライブピニオンシャフトが連結さ
れる。このドライブピニオンシャフトにはドライブピニ
オンギアが一体に形成されており、ドライブピニオンギ
アはリヤデフ側のリングギアと噛み合っている。インナ
ーシャフト5の回転はこれらの動力伝達系を介してリヤ
デフに伝達される。
【0041】回転ケース3の内部には、動力伝達軸23
のフランジ部29に形成されたオイル孔65からオイル
が注入される。また、オイルを注入した後、このオイル
孔65はスチールボール67を圧入してシールされてい
る。
【0042】中空のインナーシャフト5は壁部69によ
って区画され、オイルの封入量を増大させる容量増大空
間部71が形成されている。また、動力伝達軸23のフ
ランジ部29にはオイルの封入量を増大させる容量増大
空間部73が設けられている。これらの容量増大空間部
71,73には、回転ケース3内部の他の部分と同様
に、注入されたオイルと空気が収容されている。また、
容量増大空間部71はインナーシャフト5に形成された
4個所の径方向流路77によってメインクラッチ7側と
連通している。
【0043】メインクラッチ7は、回転ケース3(円筒
部材25)とインナーシャフト5との間に配置されてお
り、そのアウタープレート79は円筒部材25の内周に
形成されたスプライン部81に連結され、インナープレ
ート83はインナーシャフト5の外周に形成されたスプ
ライン部85に連結されている。また、メインクラッチ
7の前方にはスペーサ87が配置され、スプライン部8
1に連結されている。
【0044】ボールカム9は、プレッシャープレート1
1とカムリング13との間に配置されている。
【0045】プレッシャープレート11は、内周をイン
ナーシャフト5のスプライン部85に連結されており、
ボールカム9のスラスト力を受けてメインクラッチ7
を、スペーサ87を介して回転ケース3に押圧し締結さ
せる。
【0046】カムリング13は、インナーシャフト5の
外周に相対回転自在に配置されており、カムリング13
とロータ27との間には、ボールカム9のカム反力を受
けるスラストベアリング89とワッシャ91が配置され
ている。
【0047】パイロットクラッチ15は、回転ケース3
(円筒部材25)とカムリング13との間に配置されて
おり、そのアウタープレート93は円筒部材25のスプ
ライン部81に連結され、インナープレート95はカム
リング13の外周に形成されたスプライン部97に連結
されている。
【0048】アーマチャ17は、プレッシャープレート
11とパイロットクラッチ15との間に配置されてお
り、外周を円筒部材25のスプライン部81に移動自在
に連結されている。
【0049】電磁クラッチ19は、コイル37及びコイ
ル37を支持するコア39からなる電磁石35と、上記
のロータ27と、リング状部材43とを備えている。電
磁石35のコア39は、ロータ27に形成されたリング
状の凹部41に適度なエアギャプを介して貫入している
と共に、両側シール型のボールベアリング55によって
ロータ27上に支承されている。また、電磁石35のコ
イル37はリード線、グロメットを介してコントローラ
に接続されている。
【0050】図2に示すように、コア39の外周面に
は、テーパ面39aが形成されている。テーパ面39a
は軸方向前方に向かって高くなる傾斜となっていると共
に、ロータ27に重なる部分に設けられている。
【0051】リング状部材43はコア39を囲むリング
状となって、コア39の外周に配置されている。リング
状部材43の内周面には、コア39のテーパ面39aと
対向する傾斜となったテーパ面43aが形成されてい
る。このリング状部材43はコア39とロータ27との
間に挟まれるようにこれらの後側から圧入され、ロータ
27に固定される。
【0052】圧入により、リング状部材43はコア39
との間のテーパ面39a、43aに沿って軸方向に移動
するため、移動量に応じて、リング状部材43とコア3
9と間のギャップ(隙間)Sが変化する。このギャップ
Sの変化量によって電磁石35の磁束の透過度合いが変
化するため、電磁石35の磁力(アーマチャ17の吸引
力)を調整することができる。
【0053】ロータ27とパイロットクラッチ15とア
ーマチャ17とによって電磁石35の磁路が構成されて
いる。
【0054】ロータ27は非磁性体であるステンレス鋼
のリング115によって径方向の外側と内側に分断され
ている。また、パイロットクラッチ15の各プレート9
3,95には、リング115と対応する径方向位置に、
複数個所の切り欠きと、これらの切り欠きを連結するブ
リッジ部が周方向に設けられている。これらのリング1
15と切り欠きとによって、磁路上での磁束の短絡が防
止されている。
【0055】コントローラは、車速、操舵角、横Gなど
から旋回走行を検知し、あるいは、路面状態などに応じ
て、電磁石35の励磁、励磁電流の制御、励磁停止など
を行う。
【0056】電磁石35が励磁されると、上記の磁路に
磁束ループ119が形成されてアーマチャ17が吸引さ
れ、ロータ27との間でパイロットクラッチ15を押圧
し締結させ、パイロットトルクを発生させる。
【0057】パイロットトルクが発生すると、パイロッ
トクラッチ15を介して回転ケース3に連結されたカム
リング13と、インナーシャフト5側のプレッシャープ
レート11とからボールカム9に伝達トルクが掛かり、
発生したカムスラスト力を受けてプレッシャープレート
11が前方に移動し、メインクラッチ7を押圧して締結
させる。
【0058】こうして電磁式カップリング1が連結され
ると、回転ケース3を回転させる原動機の駆動力はイン
ナーシャフト5から上記のドライブピニオンシャフトな
どの動力伝達系を介してリヤデフを回転させ、リヤデフ
から左右の後輪に配分されて車両は4輪駆動状態にな
り、悪路などの走破性や、車体の安定性が向上する。
【0059】このとき、電磁石35の励磁電流を制御す
ると、パイロットクラッチ15の滑りに変化が生じてボ
ールカム9のカムスラスト力が変わり、メインクラッチ
7の押圧力が変化して後輪に送られる駆動力の大きさが
変わるから、前後輪間の駆動力配分比を制御することが
できる。
【0060】例えば、旋回走行中にこのような駆動力配
分比の制御を行うと、車両の操縦性や安定性などを大き
く向上させることができる。
【0061】電磁石35の励磁を停止すると、パイロッ
トクラッチ15が開放されてボールカム9のカムスラス
ト力が消失し、メインクラッチ7が開放されて電磁式カ
ップリング1の連結が解除され、リヤデフ側が切り離さ
れて、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。
【0062】上記のように、リング状部材43の圧入量
を調整することによって、リング状部材43とコア39
との間のギャップSが調整されて円筒部材25側への磁
束漏洩が防止されており、また、インナープレート83
にペーパークラッチ板を用いたことによって回転ケース
3(円筒部材25)とインナーシャフト5との間で磁束
の漏洩が防止されている。
【0063】また、インナーシャフト5前端と回転ケー
ス3との間に磁束遮断機能のないボールベアリング51
が配置されていても、この部分は電磁石35の磁路から
遠く離れているから、磁束の漏洩は事実上無視できるほ
ど小さい。
【0064】このように電磁石35の磁力ロスが防止さ
れており、アーマチャ17に効率良く磁力が導かれるか
ら、パイロットクラッチ15で必要なパイロットトルク
が得られ、電磁式カップリング1を介して後輪側へ、車
両の走行条件などの変化に応じた所望の駆動力を伝達す
ることが可能になる。
【0065】回転ケース3に封入されているオイルは、
電磁式カップリング1の回転に伴う遠心力を受けて内部
を循環し、メインクラッチ7、ボールカム9、パイロッ
トクラッチ15、スプライン部81,85,97、スラ
ストベアリング89、ワッシャ91、カムリング13の
内周とインナーシャフト5の外周との摺動面、Xリング
61などに供給され、これらを充分に潤滑・冷却する。
【0066】また、容量増大空間部71のオイルは、イ
ンナーシャフト5の径方向流路77から遠心力によって
メインクラッチ7側に流入し、アウタープレート79と
インナープレート83との摺動面に与えられ、潤滑・冷
却効果をさらに向上させている。
【0067】また、メインクラッチ9の各インナープレ
ート83にはオイル孔121が形成されており、各プレ
ート79,83の摺動面に対するオイルの移動を促進
し、これらの潤滑・冷却効果を向上させている。
【0068】また、プレッシャープレート11には貫通
孔117が形成されており、オイルによる移動抵抗を軽
減してメインクラッチ7の操作レスポンスを向上させる
と共に、この貫通孔117はオイルの流路になり、ボー
ルカム9、パイロットクラッチ15側へのオイルの移動
を促進し、これらの潤滑・冷却効果を向上させている。
【0069】なお、上記のように、回転ケース3とイン
ナーシャフト5は、ボールベアリング51,57、スナ
ップリング59などを介して軸方向に位置決めされてい
るから、メインクラッチ7(プレート79とプレート8
3)、パイロットクラッチ15(プレート93とプレー
ト95)、プレッシャープレート11とアーマチャ17
などで、部材間の異常接触による偏磨耗が防止されると
共に、ボールカム9のクリアランスと機能(パイロット
機能とメインクラッチ7の押圧機能)が正常に保たれ
る。
【0070】また、回転ケース3とインナーシャフト5
は、ボールベアリング51とニードルベアリング57に
よってセンターリングされているから、インナーシャフ
ト5の振れと、電磁式カップリング1の振動が防止され
ている。
【0071】こうして、電磁式カップリング1が構成さ
れている。
【0072】電磁式カップリング1は、上記のように電
磁石35のコア39の外周面にテーパ面39aを形成
し、このテーパ面39aに沿ってリング状部材43を軸
方向に移動可能としてリング状部材43とコア39との
間のギャップSを調整することにより、電磁石35の磁
力(吸引力)を調整可能としている。従って、電磁式カ
ップリング1の組み付け時あるいは組み付け後に、電磁
石35の吸引力を好適に調整することができ、必要な吸
引力を簡単に得ることができる。
【0073】また、リング状部材の軸方向移動だけで、
電磁石の吸引力を調整できることから、電磁石を大型化
する必要がなくなり、しかも、構造が簡単となるため、
組み付けが簡単となると共に、大型化することがなく、
取り扱い性が向上する。
【0074】さらに、リング状部材43を軸方向に移動
させる移動量に応じて、コア39、リング状部材43、
ロータ27のラップ長を調整することができる。これに
よって、電磁石35の磁路も変化するため、必要な特性
の合わせた磁路を形成することができ、汎用性のある構
造とすることができる。
【0075】また、磁束の漏洩による励磁電流のロスが
あった場合でも、磁束の漏洩を補うために電磁石35を
大型にしたり、励磁電流を大きくする必要がなくなり、
電磁石35の大型化と重量化が回避され、電磁式カップ
リング1の車載性が向上すると共に、コントローラの調
整も不要になり、これに伴うコストの上昇も防止され
る。
【0076】また、吸引力を調整するために構成部品に
対して特別の加工を行ったり、別の部品を組み込む必要
がなく、簡単な構造とすることができる。
【0077】[第2実施形態]第2実施形態では、電磁
クラッチ19におけるリング状部材43の固定手段を螺
合によって行うものであり、請求項1,3,4の特徴を
備えている。
【0078】この実施形態では、図1を参照することに
より、図示を省略するが、ロータ27におけるコア39
と対向する内面には、ネジ部が形成されている。一方、
リング状部材43の外面には、ロータ27のネジ部に螺
合するネジ部が形成されている。リング状部材43はそ
のネジ部をロータ27のネジ部に螺合することにより、
ロータ27に固定される。
【0079】このリング状部材43の螺合長を調整する
ことにより、リング状部材43とコア39との間のギャ
ップSを第1実施形態と同様に調整することができる。
螺合長の調整は、例えば、リング状部材43がロータ2
7に突き当たるまでねじ込み、その位置からネジを弛め
る方向に回転させることにより行うことができる。
【0080】従って、この実施形態においても、第1実
施形態と同様に作用することができるが、電磁式カップ
リングの組み付け後においても、リング状部材43のね
じ込み量を調整することができるため、幅広い調整が可
能となる。
【0081】また、経時的に電磁石35の磁力が変化し
た場合にも、元の磁力に復帰させる操作も容易に行うこ
とができる。
【0082】
【発明の効果】請求項1の発明の電磁クラッチによれ
ば、リング状部材の軸方向の移動によって、リング状部
材とコアとの間のギャップが変化するため、電磁石の磁
束の透過度合いが変化し、電磁石の吸引力(磁力)を調
整することができ、構成部品の組み付け時あるいは組み
付け後に、電磁石の吸引力を調整することができ、吸引
力を調整するために構成部品に対して特別の加工を行っ
たり、別の部品を組み込む必要がなく、簡単な構造とす
ることができる。
【0083】また、リング状部材の軸方向移動だけで、
電磁石の吸引力を調整できることから、磁束の漏洩によ
る励磁電流のロスがあった場合でも、磁束の漏洩を補う
ために電磁石を大型化したり、励磁電流を大きくする必
要がなくなる。
【0084】請求項2の発明の電磁クラッチによれば、
請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0085】また、リング状部材のロータへの圧入の際
に、その圧入位置を調整することにより、リング状部材
とコアとの間のギャップを調整することができるため、
電磁石の吸引力を組み付け時に調整することができ、要
求される吸引力を備えたものとすることができる。
【0086】請求項3の発明の電磁クラッチによれば、
請求項1の構成と同等の効果を得ることができる。
【0087】また、リング状部材をロータに螺合させる
ため、螺合長さを選択することによってリング状部材と
コアとの間のギャップを調整することができ、組み付け
時だけでなく、組み付け後においてもギャップの調整が
でき、幅広い調整が可能となる。
【0088】請求項4の発明の電磁式カップリングによ
れば、電磁クラッチにおけるリング状部材とコアとの間
のギャップを調整することにより、パイロットクラッチ
の締結力を調整することができる。
【0089】また、電磁石の吸引力を調整できることか
ら、磁束の漏洩も簡単に防止することができ、充分なト
ルクを伝達することができる。また、万が一、磁束の漏
洩等により励磁電流のロスがあった場合でも、リング状
部材とコアとのギャップを調整するだけで電磁石の吸引
力を調整することができるから、電磁石を大型化した
り、電磁石に流す電流を大きくする必要がなく、車載機
器では、電磁石の電源であるバッテリや発電機系への負
担が軽減されると共に、コントローラの調整も不要にな
り、これに伴うコスト上昇も避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す断面図である。
【図2】リング状部材とコアとの関係を示す断面図であ
る。
【図3】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電磁式カップリング 3 回転ケース(ケース状トルク伝達部材) 5 インナーシャフト(軸状トルク伝達部材) 7 メインクラッチ 9 ボールカム(カム機構) 15 パイロットクラッチ 19 電磁クラッチ 27 ロータ 35 電磁石 37 コイル 39 ロータ 43 リング状部材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース状トルク伝達部材と、軸状トルク
    伝達部材と、両トルク伝達部材の間に配置されたクラッ
    チと、磁路を介してこのクラッチを断続操作する電磁石
    と、ケース状トルク伝達部材に固定され電磁石の磁路の
    一部を構成すると共に電磁石を相対回転可能に指示する
    ロータとを備え、 前記電磁石は、コイル及びコイルを支持するコアからな
    り、コアの外周面にテーパ面を形成し、このテーパ面に
    対向するテーパ面を備えたリング状部材を軸方向移動可
    能な状態でコアの外周との間に所定量離間させてロータ
    に設け、リング状部材とコアとの間のギャップを調整可
    能としたことを特徴とする電磁クラッチ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された発明であって、前
    記リング状部材がロータに圧入されて固定されることを
    特徴とする電磁クラッチ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された発明であって、前
    記リング状部材がロータに螺合されて固定されることを
    特徴とする電磁クラッチ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載された電
    磁クラッチと、前記電磁クラッチの電磁石の作動または
    作動停止によって操作されるパイロット機構と、カム機
    構とを備え、前記パイロット機構が作動すると前記両ト
    ルク伝達部材間の伝達トルクが前記カム機構に掛かり、
    発生した押圧力によって前記摩擦クラッチが締結される
    ことを特徴とする電磁式カップリング。
JP2001232108A 2001-07-31 2001-07-31 電磁クラッチ及び電磁式カップリング Pending JP2003042189A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001232108A JP2003042189A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 電磁クラッチ及び電磁式カップリング

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001232108A JP2003042189A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 電磁クラッチ及び電磁式カップリング

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003042189A true JP2003042189A (ja) 2003-02-13

Family

ID=19064077

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001232108A Pending JP2003042189A (ja) 2001-07-31 2001-07-31 電磁クラッチ及び電磁式カップリング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003042189A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102852996A (zh) * 2011-06-28 2013-01-02 丰田自动车株式会社 电磁接合装置
CN105156503A (zh) * 2015-10-09 2015-12-16 龙口中宇热管理系统科技有限公司 一种两级多片式电磁离合器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102852996A (zh) * 2011-06-28 2013-01-02 丰田自动车株式会社 电磁接合装置
CN105156503A (zh) * 2015-10-09 2015-12-16 龙口中宇热管理系统科技有限公司 一种两级多片式电磁离合器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003042189A (ja) 電磁クラッチ及び電磁式カップリング
JP2004187476A (ja) 電磁式アクチュエータ及びこれを用いたデファレンシャル装置
JP3243437B2 (ja) 駆動力伝達装置
JP2002340046A (ja) 電磁式カップリング
JP2002364675A (ja) 電磁クラッチ機構及びこれを用いたカップリング
JP2002340038A (ja) 電磁クラッチ機構及びこれを用いたカップリング
JP4006148B2 (ja) カップリング
JP2003028208A (ja) 電磁式カップリング
JP4028125B2 (ja) カップリング及びデファレンシャル装置
JP4674227B2 (ja) カップリング
JP2003042190A (ja) 電磁式カップリング
JPH11208303A (ja) 車両用駆動力伝達装置
JP2002340042A (ja) カップリング
JP2003146100A (ja) 電磁式カップリング
JP2021076208A (ja) 断続装置
JP2002364679A (ja) 電磁式カップリング
JP3574756B2 (ja) 電磁クラッチの磁路形成部材
JP2005155710A (ja) 電磁アクチュエータ
JP2002340044A (ja) 電磁式カップリング
JP2004270790A (ja) 電磁摩擦クラッチ
JP2002168271A (ja) 電磁式カップリング
JP2002340041A (ja) 電磁式カップリング
JP2000283177A (ja) カム機構及びカップリング及びデファレンシャル装置
JP2003013978A (ja) シール構造
JP2004197871A (ja) 電磁式動力伝達装置