JP2002339098A - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents

平版印刷版用支持体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】種々のアルミニウム材料からなるアルミニウム
合金板に対し、均一な凹凸の粗面化形状を形成すること
ができる平版印刷版用支持体の製造方法の提供。 【解決手段】アルミニウム合金板に、電気化学的粗面化
処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を得る
平版印刷版用支持体の製造方法であって、該アルミニウ
ム合金板のアルミニウム含有率が95〜99.4質量%
であり、かつ、該電気化学的粗面化処理が、塩酸を主体
とする水溶液中で交流を用いて行われることを特徴とす
る平版印刷版用支持体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体の製造方法に関し、特に、原材料となるアルミニウム
合金板の組成に特に限定されずに、均一に粗面化処理を
施すことができる平版印刷版用支持体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金板を支持体とする感光
性平版印刷版はオフセット印刷に幅広く使用されてい
る。この平版印刷版は平版印刷版原版を製版して得られ
る。平版印刷版原版は、一般に、アルミニウム合金板の
表面の一方または両方に粗面化処理を行い、感光液を塗
布し乾燥して感光層を形成することによって得られる。
なお、平版印刷版の印刷時の耐摩耗性を向上させるた
め、粗面化処理後には陽極酸化処理を施すことも一般に
行われる。また、製版時の真空密着時間を短くするた
め、感光層の表面に、マット層といわれる表面に微小な
凹凸を有する層を設けることもある。
【0003】平版印刷版原版は画像露光、現像、水洗等
の処理を経て平版印刷版とされる。画像露光の方法とし
ては、画像を焼き付けたリスフィルムを平版印刷版原版
に密着させて光を当てることで画像部と非画像部との違
いを設ける方法、レーザを用いたり画像を投影したりす
ることにより平版印刷版原版に直接画像部または非画像
部を書き込み画像部と非画像部との違いを設ける方法等
が挙げられる。現像においては、ポジ型の平版印刷版原
版では露光部の感光層が除去され、ネガ型の平版印刷版
原版では非露光部の感光層が除去される。ここで、感光
層が除去され、平版印刷版用支持体の表面、即ち、アル
ミニウム合金板表面または陽極酸化皮膜表面が露出した
部分は親水性を示す非画像部となり、感光層が除去され
ずに残った部分は親インキ性(親油性)を示す画像部と
なる。現像後、必要に応じて、親水化処理、ガム引き、
バーニング処理等が行われる。
【0004】このようにして得られた平版印刷版は、印
刷機の版胴に取り付けられ、印刷に供される。印刷にお
いては、平版印刷版の表面にインキと湿し水とが供給さ
れる。親油性である平版印刷版の画像部にはインキが付
着し、親水性である平版印刷版の非画像部には水が付着
する。画像部のインキはブランケット胴に転写された
後、更に、紙等の被印刷材に転写され、印刷が完了す
る。
【0005】上記のようにして用いられる平版印刷版用
支持体には、保水性、耐刷性、調子再現性等を向上させ
ることを目的として、表面に均一な凹凸を形成すべく、
粗面化処理が行われている。アルミニウム合金板の粗面
化方法としては、従来、硝酸を主体とする電解液を用い
て電解エッチングする電気化学的粗面化(以下「電解粗
面化」ともいう。)法、機械的粗面化法、化学的粗面化
法、またはこれらの組み合わせが一般的に用いられてい
る。中でも、硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面
化法は、均一な凹凸の粗面化形状を得られ、印刷性能に
優れる点で好適に用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、平版印刷版
原版の使用態様はユーザごとに異なり、その強度等の要
求特性も異なる。これに対して、従来、主にアルミニウ
ム合金板の合金成分の調整と、アルミニウム合金板の圧
延条件の調整とにより、強度等を調整している。特に、
アルミニウム合金板の合金成分の調整によるところが大
きい。一方、近年、全地球規模のエネルギーの有効利用
等の観点から、原材料として合金成分の調整を行ってい
ないアルミニウム材料、例えば、種々の不純物を含有す
るスクラップ材や、新地金に比べて市場価格が安い、多
くの不純物元素を含有する二次地金または再生地金と呼
ばれる地金を用いて、平版印刷版用支持体を製造するこ
との要求が大きくなってきた。
【0007】しかしながら、従来、均一な凹凸を得られ
るとして用いられてきた、硝酸を主体とする水溶液を用
いた電解粗面化法においては、アルミニウム合金板の合
金成分の調整を厳密に行う必要がある。そして、合金成
分の組成が振れると粗面化形状が大きく変化するため、
粗面化処理の条件を一定とした場合に、種々のアルミニ
ウム材料からなるアルミニウム合金板、特に不純物元素
の含有量の多いアルミニウム合金板に対し、均一な凹凸
の粗面化形状を形成することができないという問題があ
った。したがって、本発明は、粗面化処理の条件を厳密
に調整することなく、種々のアルミニウム材料からなる
アルミニウム合金板に対し、均一な凹凸の粗面化形状を
形成することができる平版印刷版用支持体の製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、塩酸を主体とする水溶液
中で交流を用いて電解粗面化処理を行うと、不純物元素
の含有量の多い場合を含む広範囲の組成のアルミニウム
合金板に対して、粗面化処理の条件を厳密に調整するこ
となく、均一な凹凸の粗面化形状を形成することができ
ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】即ち、本発明は、アルミニウム合金板に、
電気化学的粗面化処理を含む表面処理を施して平版印刷
版用支持体を得る平版印刷版用支持体の製造方法であっ
て、該アルミニウム合金板のアルミニウム含有率が95
〜99.4質量%であり、かつ、該電気化学的粗面化処
理が、塩酸を主体とする水溶液中で交流を用いて行われ
ることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法を提
供する。
【0010】前記アルミニウム合金板が、Fe、Si、
Cu、Mg、Mn、Zn、CrおよびTiからなる群か
ら選ばれる3種以上の元素を以下の範囲で含有するの
は、本発明の好適な態様の一つである。 Fe:0.20〜1.0質量%、Si:0.10〜1.
0質量%、Cu:0.03〜1.0質量%、Mg:0.
1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Z
n:0.03〜0.5質量%、Cr:0.005〜0.
1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%
【0011】前記交流が、波形が台形波であり、周波数
が40〜80Hzであり、電流がゼロからピークに達す
るまでの時間が0.5〜6msecであり、アノードサ
イクル側およびカソードサイクル側のピーク時の電流密
度がそれぞれ20〜100A/dm2 である交流であ
り、かつ、前記電気化学的粗面化処理が終了した時点で
のアルミニウム合金板のアノード反応に用いた電気量の
総和が、10〜800C/dm2 であるのが好ましい。
【0012】前記塩酸を主体とする水溶液が、塩酸濃度
が5〜15g/L、アルミニウムイオン濃度が3〜15
g/Lであり、液温が25〜50℃である水溶液である
のが好ましい。
【0013】また、本発明は、上記平版印刷版用支持体
の製造方法により得られる平版印刷版用支持体を提供す
る。更に、本発明は、上記平版印刷版用支持体の上に感
光層を設けた平版印刷版原版を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 <アルミニウム合金板(圧延アルミ)>本発明に用いら
れるアルミニウム合金板は、寸度的に安定なアルミニウ
ムを主成分とする金属であり、アルミニウム含有率が9
5〜99.4質量%のアルミニウム合金からなる。 アル
ミニウム合金板としては、アルミニウム合金がラミネー
トされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙
を用いることもできる。更に、特公昭48−18327
号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合
体シートを用いることもできる。
【0015】アルミニウム合金板が、Fe、Si、C
u、Mg、Mn、Zn、CrおよびTiからなる群から
選ばれる3種以上の元素を以下の範囲で含有するのが好
ましい態様の一つである。そのようにすると、アルミニ
ウムの結晶粒が微細になるためである。
【0016】Fe:0.20〜1.0質量%、Si:
0.10〜1.0質量%、Cu:0.03〜1.0質量
%、Mg:0.1〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.
5質量%、Zn:0.03〜0.5質量%、Cr:0.
005〜0.1質量%、Ti:0.01〜0.5質量%
【0017】また、アルミニウム合金板は、本発明の効
果を損なわない範囲で、Bi、Ni等の元素や不可避不
純物を含有することができる。
【0018】本発明に用いられるアルミニウム合金板
は、アルミニウム含有率が95〜99.4質量%であ
り、好ましくは上記3種以上の元素を上記範囲で含有す
るが、その組成は特定されるものではなく、従来より公
知公用の素材のもの、例えば、JIS A1100、J
IS A3005、JIS A3004、国際登録合金
3103A等のアルミニウム合金板を適宜利用すること
ができる。 中でも、JIS A3004のアルミニウム
合金板を用いるのは、本発明の好ましい態様の一つであ
る。また、アルミニウム合金板の製造方法は、連続鋳造
方式およびDC鋳造方式のいずれでもよく、DC鋳造方
式の中間焼鈍や、均熱処理を省略したアルミニウム合金
板も用いることができる。最終圧延においては、積層圧
延や転写等により凹凸を付けたアルミニウム合金板を用
いることもできる。本発明に用いられるアルミニウム合
金板は、連続した帯状のシート材または板材である、ア
ルミニウムウェブであってもよく、製品として出荷され
る平版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉
状シートであってもよい。また、本発明に用いられるア
ルミニウム合金板の厚みは、通常、0.05〜1mm程
度であり、0. 1mm〜0. 5mmであるのが好まし
い。この厚みは印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよび
ユーザーの希望により適宜変更することができる。
【0019】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に
おいては、上記アルミニウム合金板に、塩酸を主体とす
る水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面化処理を含
む表面処理を施して平版印刷版用支持体を得るが、この
表面処理には、更に各種の処理が含まれていてもよい。
なお、本発明に用いられる各種の工程においては、その
工程に用いられる処理液の中に使用するアルミニウム合
金板の合金成分が溶出するので、処理液はアルミニウム
合金板の合金成分を含有していてもよく、特に、処理前
にそれらの合金成分を添加して処理液を定常状態にして
用いるのが好ましい。
【0020】本発明においては、電気化学的粗面化処理
の前には、アルカリエッチング処理またはデスマット処
理を施すのが好ましく、また、アルカリエッチング処理
とデスマット処理とをこの順に施すのも好ましい。ま
た、電気化学的粗面化処理の後には、アルカリエッチン
グ処理またはデスマット処理を施すのが好ましく、ま
た、アルカリエッチング処理とデスマット処理とをこの
順に施すのも好ましい。本発明においては、これらの処
理の前に機械的粗面化処理を施すのも好ましい。また、
これらの後に、陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理等
を施すのも好ましい。
【0021】特に、表面処理が、アルカリエッチング処
理、デスマット処理、塩酸を主体とする水溶液中での交
流を用いた電気化学的粗面化処理、アルカリエッチング
処理および/またはデスマット処理、陽極酸化処理をこ
の順に含むのは、本発明の好ましい態様の一つである。
この場合、表面処理が、陽極酸化処理の後に、封孔処理
および/または親水化処理を含むのは、本発明の好まし
い態様の一つである。また、この場合、表面処理が、最
初のアルカリエッチング処理の前に、機械的粗面化処理
を含むのは、本発明の好ましい態様の一つである。
【0022】以下、機械的粗面化処理、第1アルカリエ
ッチング処理、第1デスマット処理、電気化学的粗面化
処理、第2アルカリエッチング処理、第2デスマット処
理、陽極酸化処理、封孔処理および親水化処理のそれぞ
れについて、詳細に説明する。なお、本明細書において
は、電気化学的粗面化処理の前に行う処理に「第1」と
いう序数をつけて呼び、電気化学的粗面化処理の後に行
う処理に「第2」という序数をつけて呼ぶ場合がある。
【0023】<機械的粗面化処理>機械的粗面化処理
は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。機
械的粗面化処理は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイ
ロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成
樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したロ
ーラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤
を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニ
ウム合金板の表面の一方または両方を擦ることにより行
う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、
表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いる
こともできる。ローラ状ブラシにおけるブラシ毛の長さ
は、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜
決定することができるが、一般的には、10〜100m
mである。
【0024】本発明に用いられる研磨剤は公知の物が使
用できる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミ
ニウム、アルミナ粉、火山灰、カーボランダム、金剛砂
等の研磨剤、またはこれらの混合物を用いることができ
る。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましいが、特にケ
イ砂はパミストンに比べて硬く、壊れにくいので、粗面
化効率が優れる点で好ましい。研磨剤の平均粒径は、粗
面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすること
ができる点で、3〜40μmであるのが好ましく、6〜
30μmであるのがより好ましい。研磨剤は、例えば、
水中に懸濁させて、研磨スラリー液として用いる。研磨
スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例
えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができ
る。
【0025】また、機械的粗面化処理においては、ま
ず、ブラシグレイニングを行うに先立ち、所望により、
アルミニウム合金板の表面の圧延油を除去するための脱
脂処理、例えば、界面活性剤、有機溶剤、アルカリ性水
溶液等による脱脂処理が行われてもよい。
【0026】<第1アルカリエッチング処理>第1アル
カリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアル
カリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。
第1アルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行
っていない場合には、前記アルミニウム合金板(圧延ア
ルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜を除去する
ことを目的として、また、機械的粗面化処理を行った場
合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッ
ジ部分を溶解し、滑らかなうねりを持つ表面を得ること
を目的として行われる。アルミニウム合金板をアルカリ
溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム
合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方
法、アルミニウム合金板をアルカリ溶液を入れた槽の中
に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム合金
板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
【0027】エッチング量は、次の工程で電解粗面化処
理を施す面については、1〜15g/m2 であるのが好
ましく、電解粗面化処理を施さない面については、0.
1〜5g/m2 (電解粗面化処理を施す面の約10〜4
0%)であるのが好ましい。エッチング量が上記範囲で
あると、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前
記アルミニウム合金板(圧延アルミ)の表面の圧延油
(油脂類)、汚れ、自然酸化皮膜が完全に除去されるた
め、平版印刷版としたときに、非画像部における保水性
に優れ、非画像部にインキが付着して起こる、いわゆる
ブラン汚れ(ブランケット汚れ)等が生じないので好ま
しい。また、機械的粗面化処理を行った場合には、機械
的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分の溶解
が十分となる。
【0028】アルカリ溶液に用いられるアルカリとして
は、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げら
れる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、
カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカ
リ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソ
ーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケ
イ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸
塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金
属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等
のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二
リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のア
ルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチ
ング速度が速い点および安価である点から、カセイアル
カリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属ア
ルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。
【0029】アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応
じて決定することができるが、1〜50質量%であるの
が好ましく、10〜35質量%であるのがより好まし
い。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解してい
る場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜
10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるの
がより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃で
あるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが
好ましい。エッチング処理の量は、1〜15g/m2
解するのが好ましく、3〜12g/m2 溶解するのがよ
り好ましい。第1アルカリエッチング処理は、アルミニ
ウム板のエッチング処理に通常用いられるエッチング槽
を用いて行うことができる。エッチング槽としては、バ
ッチ式および連続式のいずれも用いることができる。ま
た、アルカリ溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きか
けて第1アルカリエッチング処理を行う場合は、スプレ
ー装置を用いることができる。
【0030】<第1デスマット処理>第1デスマット処
理は、上記アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる
ことにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触
させる方法としては、例えば、アルミニウム合金板を酸
性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム
合金板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、
酸性溶液をアルミニウム合金板の表面に噴きかける方法
が挙げられる。第1デスマット処理においては、酸性溶
液として、後述する電解粗面化処理において排出される
塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極
酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の
廃液を用いるのが好ましい。
【0031】<電解粗面化処理>本発明においては、電
解粗面化処理を、塩酸を主体とする水溶液中で交流を用
いて行うことを特徴とする。塩酸を主体とする水溶液
は、塩酸濃度が5〜15g/Lであるのが好ましく、5
〜10g/Lであるのがより好ましく、また、アルミニ
ウムイオン濃度が3〜15g/Lであるのが好ましく、
3〜7g/Lであるのがより好ましい。塩酸を主体とす
る水溶液におけるアルミニウムイオンの濃度は、上記塩
酸濃度の塩酸水溶液に塩化アルミニウムを添加すること
により調整することができる。塩酸を主体とする水溶液
は、塩化ナトリウムおよび/または塩化アンモニウムを
含有することができる。また、塩酸を主体とする水溶液
は、Fe、Si、Cu、Mg、Mn、Zn、Cr、Ti
等のイオンを含有することができる。塩酸を主体とする
水溶液の液温は、25〜50℃であるのが好ましく、3
0〜45℃であるのがより好ましい。
【0032】電解粗面化処理に用いられる交流は、特に
限定されず、例えば、正弦波(サイン波)電流、矩形波
電流、三角波電流、台形波電流を用いることができる。
中でも、正弦波電流および台形波電流が好ましい。本発
明において、交流は、単相、二相、三相等のいずれでも
よいが、二相以上とすると、粗面化効率に優れるので好
ましい。また、交流と直流とを重畳した電流を用いるこ
ともできる。交流の周波数は、特に限定されないが、4
0〜120Hzであるのが好ましく、40〜80Hzで
あるのがより好ましく、50〜60Hzであるのが更に
好ましい。交流の周波数が40〜120Hzであると、
電源装置を製作するコストを抑制することができる。
【0033】また、アルミニウム合金板が陽極になると
きの電気量、即ち、陽極時電気量Q a と、陰極になると
きの電気量、即ち、陰極時電気量Qc との比Qc /Qa
が0.9〜1であると、アルミニウム合金板の表面に均
一なハニカムピットを形成することができるので好まし
い。より好ましくは、Qc /Qa は0.95〜0.99
である。電解租面化処理を、主極のアノード電流を分流
する補助電極を有する交流電解槽を用いて行う場合に
は、特開昭60−43500号公報および特開平1−5
2098号公報に記載されているように、補助電極に分
流するアノード電流の電流値を制御することにより、Q
c /Qa を制御することができる。
【0034】交流のdutyは、特に限定されないが、
アルミニウム合金板の表面に均一に粗面化処理を施す点
および電源装置の製作の点からは、0.33〜0.66
であるのが好ましく、0.4〜0.6であるのがより好
ましく、0.5であるのが最も好ましい。なお、本発明
において「duty」とは、交流の周期をT、アルミニ
ウム合金板が陽極反応する時間(アノード反応時間)を
a としたときのta/Tをいう。アルミニウム合金板
の表面には、カソード反応時に、水酸化アルミニウムを
主体とする酸化皮膜が生成し、更に、酸化皮膜の溶解や
破壊が生じることがある。そして、酸化皮膜の溶解や破
壊が生じると、溶解や破壊が生じた部分は、次のアルミ
ニウム合金板のアノード反応時におけるピッティング反
応の開始点となる。したがって、交流のdutyの選択
は均一な電解粗面化処理を行う点で、特に重要である。
【0035】交流における電流値がゼロから正または負
のピークに達するまでの時間TPは、台形波電流である
場合においては、0.5〜6msecであるのが好まし
く、0.6〜5msecであるのがより好ましく、0.
7〜3msecであるのが更に好ましい。上記範囲であ
ると、アルミニウム合金板の表面に、より均一なクレー
ター状の凹部(ピット)が形成される。電解粗面化処理
における開始時から終了時までの電気量は、アルミニウ
ム合金板が陽極のときの総和で、10〜1000C/d
2 であるのが好ましく、10〜800C/dm2 であ
るのがより好ましく、40〜500C/dm2 であるの
が更に好ましい。交流におけるアノードサイクル側のピ
ーク時の電流Iap、およびカソードサイクル側のピーク
時の電流Icpは、それぞれ20〜100A/dm2 であ
るのが好ましく、30〜80A/dm2 であるのがより
好ましく、40〜60A/dm2であるのが更に好まし
い。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5であるのが好
ましく、0.9〜1.0であるのがより好ましい。
【0036】電解粗面化処理においては、1または2以
上の交流電解槽において、アルミニウム合金板に交流が
流れない休止期間を1回以上設け、前記休止期間の長さ
を0.001〜0.6秒とすると、ハニカムピットがア
ルミニウム合金板の表面全体に均一に形成されるので好
ましい。より好ましくは0.005〜0.55秒、更に
好ましくは0.01〜0.5秒である。直列に配置され
た2以上の交流電解槽を用いる場合には、一の交流電解
槽と他の交流電解層との間におけるアルミニウム合金板
に交流が流れない時間を0.001〜20秒とするのが
好ましい。より好ましくは0.1〜15秒、更に好まし
くは1〜12秒である。
【0037】電解粗面化処理には、縦型、フラット型、
ラジアル型等の各種の交流電解槽を備える電解粗面化処
理装置を用いることができるが、中でも、フラット型ま
たはラジアル型の交流電解槽を備えるものが好ましい。
また、交流電解槽を複数台直列に配設した電解粗面化処
理装置も好適に用いることができる。図1に、本発明に
好適に用いられるフラット型交流電解槽を備える電解粗
面化処理装置の一例の断面模式図を示す。電解粗面化処
理装置100は、アルミニウムウェブWを略水平方向に
搬送しつつ三相の交流(以下「三相交流電流」ともい
う。)を印加して電解粗面化処理を施す電解粗面化処理
装置である。
【0038】電解粗面化処理装置100は、アルミニウ
ムウェブWの搬送方向aに沿って延在し上面が開放され
た浅い箱状の交流電解槽2と、交流電解槽2の底面近傍
に搬送方向aに沿って、アルミニウムウェブWの搬送経
路である搬送面Tに対して平行に配設された三つの板状
の主極4A、4Bおよび4Cと、交流電解槽2の内部に
おける搬送方向aに対して上流側(以下、単に「上流
側」という。)および搬送方向aに対して下流側(以
下、単に「下流側」という。)の端部近傍に配設され、
交流電解槽2内部においてアルミニウムウェブWを搬送
する搬送ローラ6Aおよび6Bと、交流電解槽2の上方
における上流側に位置し、アルミニウムウェブWを交流
電解槽2の内部に導入する導入ローラ8Aと、交流電解
槽2の上方における下流側に位置し、交流電解槽2内部
を通過したアルミニウムウェブWを交流電解槽2の外部
に導出する導出ローラ8Bとを備える。交流電解槽2内
部には、上述した塩酸を主体とする水溶液が貯留されて
いる。主極4A、4Bおよび4Cは、それぞれ三相の交
流を発生させる交流電源TacのU端子、V端子およびW
端子に接続されている。したがって、主極4A、4Bお
よび4Cに印加される交流は、位相が120°ずつずれ
ている。
【0039】電解粗面化処理装置100の作用について
以下に説明する。アルミニウムウェブWは、導入ローラ
8Aによって交流電解槽2の内部に導入され、搬送ロー
ラ6Aおよび6Bによって搬送方向aに沿って一定速度
で搬送される。交流電解槽2の内部において、アルミニ
ウムウェブWは、主極4A、4Bおよび4Cに対して平
行に移動するとともに、主極4A、4Bおよび4Cから
交流を印加される。これにより、アルミニウムウェブW
において、アノード反応とカソード反応とが交互に起
き、アノード反応が起きているときには主にハニカムピ
ットが生じ、カソード反応が起きているときには主に水
酸化アルミニウムの皮膜が生じて、表面が粗面化され
る。主極4A、4Bおよび4Cに印加される交流は、上
述したように位相が120°ずつずれているから、主極
4Bにおいては、主極4Aの位相(U相)よりも120
°遅れた位相(V相)でアノード反応とカソード反応と
が繰り返され、主極4Cにおいては、主極4Bよりも1
20°遅れた位相(W相)でアノード反応とカソード反
応とが繰り返される。したがって、アルミニウムウェブ
Wにおいては、周波数の同一の単相の交番波形電流を印
加した場合に比べて、3倍の頻度でアノード反応とカソ
ード反応とが繰り返されるから、高い搬送速度および電
流密度で電解粗面化処理を行う場合においても、幅方向
の縞であるチャタマークが生じにくい。
【0040】図2に、本発明に好適に用いられるフラッ
ト型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の他の一例
の断面模式図を示す。図2において、図1と同一の符号
は、図1において前記符号が示す要素と同一の要素を示
す。電解粗面化処理装置102は、上述した電解粗面化
処理装置100が備える交流電解槽2の後段に補助電解
槽10を配設した電解粗面化処理装置である。補助電解
槽10は、上面が開放された箱型であり、底面近傍に、
アルミニウムウェブWの搬送面Tに対して平行に板状の
補助電極12が設けられている。補助電解槽10の上流
側壁面の近傍と下流側壁面の近傍とには、アルミニウム
ウェブWを補助電極12の上方において搬送する搬送ロ
ーラ14Aおよび14Bが配設されている。また、補助
電解槽10の上方における上流側には、アルミニウムウ
ェブWを補助電解槽10の内部に導入する導入ローラ1
6Aが設けられ、補助電解槽10の上方における下流側
には、補助電解槽10内部を通過したアルミニウムウェ
ブWを外部に導出する導出ローラ16Bが設けられてい
る。補助電解槽10内部には、上述した塩酸を主体とす
る水溶液が貯留されている。
【0041】交流電源TacのU相、V相およびW相は、
それぞれ補助電極12に接続され、U相、V相およびV
相のそれぞれと補助電極12との間には、サイリスタT
h1、Th2およびTh3が介装されている。サイリス
タTh1、Th2およびTh3は、いずれも点弧時に交
流電源Tacから補助電極12に向って電流が流れるよう
に接続されている。したがって、サイリスタTh1、T
h2およびTh3のいずれを点弧したときも、補助電極
12にはアノード電流が流れるから、サイリスタTh
1、Th2およびTh3を位相制御することにより、補
助電極12に流れるアノード電流の電流値を制御するこ
とができ、したがって、Qc /Qa の値も制御すること
ができる。
【0042】図3に、本発明に好適に用いられるラジア
ル型交流電解槽を備える電解粗面化処理装置の一例の断
面模式図を示す。電解粗面化処理装置104は、塩酸を
主体とする水溶液が貯留される交流電解槽本体22を備
える交流電解槽20と、交流電解槽本体22内部に収容
され、水平方向に伸びる軸線の周りに回転可能に配設さ
れ、アルミニウムウェブWを、図3における左方から右
方に向かって、搬送方向aで送る送りローラ24とを備
えている。交流電解槽本体22内部には、上述した塩酸
を主体とする水溶液が貯留されている。交流電解槽本体
22の内壁面は、送りローラ24を囲むように略円筒状
に形成されており、前記内壁面上には、半円筒状の主極
26Aおよび26Bが送りローラ24を挟んで設けられ
ている。主極26Aおよび26Bは、複数の小電極に分
割され、それぞれの小電極の間には、絶縁性のスペーサ
ーが介装されている。小電極は、例えば、グラファイト
や金属を用いて形成することができ、スペーサーは、例
えば、塩化ビニル樹脂により形成することができる。ス
ペーサーの厚さは1〜10mmであるのが好ましい。ま
た、図3においては簡略的に示したが、主極26Aおよ
び26Bのいずれにおいても、スペーサーにより分割さ
れた小電極のそれぞれが交流電源Tacに接続されてい
る。
【0043】交流電解槽20の上部には、アルミニウム
ウェブWを交流電解槽本体22に導入し、また、導出す
るための開口部22Aが形成されている。交流電解槽本
体22における開口部22Aの近傍には、交流電解槽本
体22に塩酸を主体とする水溶液を補充する給液ノズル
28Aが設けられている。交流電解槽20の上方におけ
る開口部22A近傍には、アルミニウムウェブWを交流
電解槽本体22内部に案内する一群の上流側案内ローラ
30Aと、交流電解槽本体22内で電解粗面化処理され
たアルミニウムウェブWを外部に案内する一群の下流側
乗内ローラ30Bとが配設されている。
【0044】交流電解槽20においては、交流電解槽本
体22の下流側に隣接して溢流槽32が設けられてい
る。溢流槽32内部には、上述した塩酸を主体とする水
溶液が貯留されている。溢流槽32は、交流電解槽本体
22から溢流した塩酸を主体とする水溶液を一時貯留
し、交流電解槽本体22における塩酸を主体とする水溶
液の液面の高さを一定に保持する機能を有する。
【0045】交流電解槽本体22と溢流槽32との間に
は、補助電解槽34が設けられている。補助電解槽34
は、交流電解槽本体22よりも浅く、底面34Aが平面
状に形成されている。そして、底面34A上には、円柱
状の補助電極36が複数本儲けられている。補助電解槽
34内部には、上述した塩酸を主体とする水溶液が貯留
されている。補助電極36は、白金等の高耐食性の金
属、フェライト等により形成されているのが好ましい。
また、補助電極36は板状であってもよい。補助電極3
6は、交流電源Tacにおける主極26Bが接続される側
に、主極26Bに対して並列に接続され、中間には、サ
イリスタTh4が、点弧時に交流電源Tacにおける前記
側から補助電極36に向かって電流が流れるように接続
されている。また、交流電源Tacにおける主極26Aが
接続された側も、サイリスタTh5を介して補助電極3
6に接続されている。サイリスタTh5も、点弧時に交
流電源Tacにおける主極26Aが接続された側から補助
電極36に向かって電流が流れるように接続されてい
る。サイリスタTh4およびTh5のいずれを点弧した
ときも、補助電極36にはアノード電流が流れる。した
がって、サイリスタTh4およびTh5を位相制御する
ことにより、補助電極36に流れるアノード電流の電流
値を制御することができ、したがって、Qc /Qa の値
も制御することができる。
【0046】電解粗面化処理装置104の作用について
以下に説明する。図3における左方から、交流電解槽2
0に案内されたアルミニウム合金板Wは、まず、上流側
案内ローラ30Aによって交流電解槽本体22に案内さ
れる。そして、送りローラ24によって図3における左
方から右方に向かって送られ、下流側案内ロ一ラ30B
によって補助電解槽34内に導かれる。交流電解槽本体
22および補助電解槽34の内部において、アルミニウ
ムウェブWは、主極26Aおよび26Bに印加された交
流電流と、補助電極36に印加されたアノード電流とに
より、主極26Aおよび26Bに面する側の表面が粗面
化され、ほぼ均一なハニカムピットが形成される。
【0047】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に
おいては、このようにアルミニウム合金板に塩酸を主体
とする水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を
行うため、アルミニウム合金板のアルミニウム含有率が
95〜99.4質量%と低い場合であっても、アルミニ
ウム合金板の表面に均一な凹凸を形成することができ
る。
【0048】<第2アルカリエッチング処理>第2アル
カリエッチング処理は、上記アルミニウム合金板をアル
カリ溶液に接触させることにより、エッチングを行う。
アルミニウム合金板をアルカリ溶液に接触させる方法お
よびそれに用いる装置は、第1アルカリエッチング処理
の場合と同様のものが挙げられる。エッチング量は、電
解粗面化処理を施した面については、0.01〜1g/
2 であるのが好ましい。アルカリ溶液に用いられるア
ルカリとしては、第1アルカリエッチング処理の場合と
同様のものが挙げられる。アルカリ溶液の濃度は、エッ
チング量に応じて決定することができるが、0.01〜
80質量%であるのが好ましい。アルカリ溶液の温度は
20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜60
秒であるのが好ましい。
【0049】<第2デスマット処理>第2デスマット処
理は、上記アルミニウム合金板を酸性溶液に接触させる
ことにより行う。アルミニウム合金板を酸性溶液に接触
させる方法は、第1アルカリエッチング処理の場合と同
様のものが挙げられる。第2デスマット処理において
は、酸性溶液として、後述する陽極酸化処理において排
出される硫酸溶液の廃液を用いるのが好ましい。また、
前記廃液の代わりに、硫酸濃度が100〜600g/
L、アルミニウムイオン濃度が1〜10g/Lであり、
液温が60〜90℃である硫酸溶液を用いることもでき
る。
【0050】<陽極酸化処理>以上のように処理された
アルミニウム合金板には、更に、陽極酸化処理が施され
るのが好ましい。陽極酸化処理はこの分野で従来より行
われている方法で行うことができる。具体的には、硫
酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の単独のまたは
2種以上を組み合わせた水溶液または非水溶液である電
解液の中で、アルミニウム合金板に直流、脈流または交
流を流すとアルミニウム合金板の表面に陽極酸化皮膜を
形成することができる。
【0051】この際、少なくともアルミニウム合金板、
電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中
に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分
が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の
成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、
Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽
イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン
酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イ
オン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げ
られ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていて
もよい。
【0052】中でも、特開昭54−12853号公報お
よび特開昭48−45303号公報に記載されているよ
うに、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電
解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質
量%)であるのが好ましく、また、アルミニウムイオン
濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であ
るのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)
であるのがより好ましい。このような電解液は、例え
ば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸にアル
ミニウムを添加することにより調製することができる。
【0053】硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を
行う場合には、アルミニウム合金板に直流を印加しても
よく、交流を印加してもよい。アルミニウム合金板に直
流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A
/dm2 であるのが好ましく、5〜40A/dm2 であ
るのがより好ましい。連続的に陽極酸化処理を行う場合
には、アルミニウム合金板の一部に電流が集中していわ
ゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当
初は、5〜10A/m2 の低電流密度で電流を流し、陽
極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2
たはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。連
続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム合金
板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うの
が好ましい。
【0054】アルミニウム合金板に給電する電極として
は、鉛、酸化イリジウム、白金、フェライト等により形
成された電極を用いることができる。中でも、主に酸化
イリジウムから形成された電極、および、基材の表面を
酸化イリジウムで被覆した電極が好ましい。そのような
基材としては、チタン、タンタル、ニオブ、ジルコニウ
ム等のいわゆるバルブ金属を用いるのが好ましく、バル
ブ金属の中でも、チタン、ニオブが好ましい。バルブ金
属は、比較的電気抵抗が大きいため、銅からなる芯材の
表面にバルブ金属をクラッドして基材を形成させてもよ
い。銅からなる芯材の表面にバルブ金属をクラッドする
場合には、複雑な形状の基材を作製することは困難であ
るため、基材を各部品毎に分割した形態の芯材にバルブ
金属をクラッドし、その後、各部品を組み合わせて基材
を組み立ててもよい。
【0055】陽極酸化処理の条件は、使用される電解液
によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一
般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、
電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解
時間10〜300秒であるのが適当である。陽極酸化処
埋は、陽極酸化皮膜量が1〜5g/m2 になるように行
うのが、平版印刷版の耐刷性の点から好ましい。また、
アルミニウム合金板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸
化皮膜量の差が1g/m2 以下になるように行うのが好
ましい。
【0056】<封孔処理>本発明においては、陽極酸化
皮膜を形成させたアルミニウム合金板を、沸騰水、熱水
または水蒸気に接触させて陽極酸化処理に存在する小孔
(マイクロポア)を封じる封孔処理を行ってもよい。こ
れらは、公知の方法に従って行うことができる。
【0057】<親水化処理>陽極酸化処理後または封孔
処理後、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケ
イ酸塩の水溶液に浸せきさせる方法、親水性ビニルポリ
マーまたは親水性化合物を塗布して親水性の下塗り層を
形成させる方法等により、親水化処理を行うのが好まし
い。ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸
塩の水溶液による親水化処理は、米国特許第2,71
4,066号明細書および米国特許第3,181,46
1号明細書に記載されている方法および手順に従って行
うことができる。また、親水性の下塗り層の形成による
親水化処理は、特開昭59−101651号公報および
特開昭60−149491号公報に記載されている条件
および手順に従って行うことができる。この方法に用い
られる親水性ビニルポリマーとしては、例えば、ポリビ
ニルスルホン酸、スルホン酸基を有するp−スチレンス
ルホン酸等のスルホン酸基含有ビニル重合性化合物と
(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の通常のビニル
重合性化合物との共重合体が挙げられる。また、この方
法に用いられる親水性化合物としては、例えば、−NH
2 基、−COOH基およびスルホ基からなる群から選ば
れる少なくとも一つを有する化合物が挙げられる。
【0058】上記に詳細に説明した本発明の平版印刷版
用支持体の製造方法によれば、アルミニウム含有率が低
く、低価格のアルミニウム合金板を用いた場合であって
も、表面の凹凸が均一な平版印刷版用支持体を得ること
ができる。また、本発明の平版印刷版用支持体の製造方
法により得られた平版印刷版用支持体は、後述するよう
に感光層を設け平版印刷版原版とすると、これを製版し
て平版印刷版としたときに、印刷性能に優れ、かつ、版
切れが起こりにくい。
【0059】<感光層>本発明により得られる平版印刷
版用支持体に、感光層を設けて、平版印刷版原版が得ら
れる。感光層は、特に限定されないが、例えば、通常の
可視光で露光する可視光露光型製版層、赤外線レーザ光
等のレーザ光で露光するレーザ露光型製版層が挙げられ
る。以下、可視光露光型製版層およびレーザ露光型製版
層について説明する。
【0060】(1)可視光露光型製版層 可視光露光型製版層は、感光性樹脂および必要に応じて
着色剤等を含有する組成物により形成することができ
る。感光性樹脂としては、光が当たると現像液に溶ける
ようになるボジ型感光性樹脂、光が当たると現像液に溶
解しなくなるネガ型感光性樹脂が挙げられる。ポジ型感
光性樹脂としては、例えば、キノンジアジド化合物、ナ
フトキノンジアジド化合物等のジアジド化合物と、フェ
ノールノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂等
のフェノール樹脂との組み合わせが挙げられる。ネガ型
感光性樹脂としては、例えば、ジアゾ樹脂(例えば、芳
香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等のアルデヒド
類との縮合物)、前記ジアゾ樹脂の無機酸塩、前記ジア
ゾ樹脂の有機酸塩等のジアゾ化合物と、(メタ)アクリ
レート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の結
合剤との組み合わせ、(メタ)アクリレート樹脂、ポリ
スチレン樹脂等のビニルポリマーと、(メタ)アクリル
酸エステル、スチレン等のビニル重合性化合物と、ベン
ゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、チオキサントン
誘導体等の光重合開始剤との組み合わせが挙げられる。
【0061】着色剤としては、通常の色素のほか、露光
により発色する露光発色色素、露光によりほとんどまた
は完全に無色になる露光消色色素等を用いることができ
る。露光発色色素としては、例えば、ロイコ色素が挙げ
られる。露光消色色素としては、例えば、トリフェニル
メタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系
色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、
アゾメチン系色素、アントラキノン系色素が挙げられ
る。
【0062】可視光露光型製版層は、例えば、上記感光
性樹脂と上記着色剤とを溶剤に配合した感光性樹脂溶液
を塗布し、その後、乾燥させることにより形成すること
ができる。感光性樹脂溶液に用いられる溶剤としては、
上記感光性樹脂を溶解することができ、かつ、室温であ
る程度の揮発性を有する溶剤が挙げられる。具体的に
は、例えば、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステ
ル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶
剤、アミド系溶剤、炭酸エステル系溶剤が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、プロ
パノール、ブタノールが挙げられる。ケトン系溶剤とし
ては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチル
ケトンが挙げられる。エステル系溶剤としては、例え
ば、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸メチル、ギ酸エチ
ルが挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、テ
トラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。グリコー
ルエーテル系溶剤としては、例えば、エチルセロソル
ブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブが挙げられ
る。アミド系溶剤としては、例えば、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミドが挙げられる。炭酸エステ
ル系溶剤としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピ
レン、炭酸ジエチル、炭酸ジブチルが挙げられる。
【0063】感光性樹脂溶液の塗布方法は、特に限定さ
れず、回転塗布法、ワイヤーバー塗布法、ディップ塗布
法、エアーナイフ塗布法、ロール塗布法、ブレード塗布
法等の従来公知の方法を用いることができる。
【0064】(2)レーザ露光型製版層 レーザ露光型製版層としては、例えば、レーザ光を照射
した部分が残存するネガ型レーザ製版層、レーザ光を照
射した部分が除去されるポジ型レーザ製版層、レーザ光
を照射すると光重合する光重合型レーザ製版層が主なも
のとして挙げられる。
【0065】ネガ型レーザ製版層は、(A)熱または光
により分解して酸を発生させる酸前駆体、(B)酸前駆
体(A)が分解して発生した酸により架橋する酸架橋性
化合物、(C)アルカリ可溶性樹脂、(D)赤外線吸収
剤、および(E)フェノール性水酸基含有化合物を適当
な溶剤に溶解させ、または懸濁させたネガ型レーザ製版
層形成液を用いて形成することができる。
【0066】酸前駆体(A)としては、例えば、イミノ
フォスフェート化合物のように、紫外光、可視光または
熱により分解してスルホン酸を発生させる化合物が挙げ
られる。ほかには、光カチオン重合開始剤、光ラジカル
重合開始剤、光変色剤等として一般に使用されている化
合物も、酸前駆体(A)として用いることができる。酸
架橋性化合物(B)としては、例えば、アルコキシメチ
ル基およびヒドロキシル基のうち少なくとも一方を有す
る芳香族化合物、N−ヒドロキシメチル基、N−アルコ
キシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する
化合物、エポキシ化合物が挙げられる。アルカリ可溶性
樹脂(C)としては、例えば、ノボラック樹脂、ポリ
(ヒドロシスチレン)等の側鎖にヒドロキシアリール基
を有するポリマーが挙げられる。
【0067】赤外線吸収剤(D)としては、例えば、波
長760〜1200nmの赤外線を吸収する染料および
顔料が挙げられる。具体的には、例えば、黒色顔料、赤
色顔料、金属粉顔料、フタロシアニン系顔料;前記波長
の赤外線を吸収するアゾ染料、アントラキノン染料、フ
タロシアニン染料、シアニン色素が挙げられる。フェノ
ール性水酸基含有化合物(E)としては、例えば、一般
式(R1 −X) n −Ar−(OH)m (式中、R1 は、
炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基であ
り、Xは、単結合、O、S、COOまたはCONHであ
り、Arは、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基また
は複素環基であり、nおよびmは、それぞれ1〜8の自
然数である。)で表される化合物が挙げられる。そのよ
うな化合物としては、例えば、ノニルフェノール等のア
ルキルフェノール類が挙げられる。ネガ型レーザ製版層
形成液には、上記各成分のほかに、可塑剤等を配合する
こともできる。
【0068】ボジ型レーザ製版層は、(F)アルカリ可
溶性高分子、(G)アルカリ溶解阻害剤、および(H)
赤外線吸収剤を適当な溶剤に溶解させ、または懸濁させ
たポジ型レーザ製版層形成液を用いて形成することがで
きる。アルカリ可溶性高分子(F)としては、例えば、
フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラック樹脂、ピ
ロガロール樹脂、ポリ(ヒドロキシスチレン)等のフェ
ノール性水酸基を有するフェノール系ポリマー;少なく
とも一部のモノマー単位がスルホンアミド基を有するポ
リマーであるスルホンアミド基含有ポリマー;N−(p
−トルエンスルホニル)(メタ)アクリルアミド基等の
活性イミド基を有するモノマーの単独重合または共重合
により得られる活性イミド基含有ポリマーが挙げられ
る。
【0069】アルカリ溶解阻害剤(G)としては、例え
ば、加熱等によりアルカリ可溶性高分子(F)と反応し
てアルカリ可溶性高分子(F)のアルカリ溶解性を低下
させる化合物が挙げられる。具体的には、例えば、スル
ホン化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、アミド
化合物が挙げられる。アルカリ可溶性高分子(F)とア
ルカリ溶解阻害剤(G)の組み合わせとしては、アルカ
リ可溶性高分子(F)としてノボラック樹脂、アルカリ
溶解阻害剤(G)としてスルホン化合物の一種であるシ
アニン色素の組み合わせが好適に挙げられる。赤外線吸
収剤(H)としては、例えば、スクワリリウム色素、ピ
リリウム色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染料、ア
ントラキノン系染料等の波長750〜1200nmの赤
外域に吸収領域があり、光/熱変換能を有する色素、染
料および顔料が挙げられる。
【0070】光重合型レーザ製版層は、(I)分子末端
にエチレン性不飽和結合を有するビニル重合性化合物を
含有する光重合型レーザ製版層形成液を用いて形成する
ことができる。光重合型レーザ製版層形成液には、必要
に応じて、(J)光重合開始剤、(K)増感剤等を配合
することができる。ビニル重合性化合物(I)として
は、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイ
ン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸と脂肪族多価アル
コールとのエステルであるエチレン性不飽和カルボン酸
多価エステル;前記エチレン性不飽和カルボン酸と多価
アミンとからなるメチレンビス(メタ)アクリルアミ
ド;キシリレン(メタ)アクリルアミド等のエチレン性
不飽和カルボン酸多価アミドが挙げられる。ビニル重合
性化合物(I)としては、ほかに、スチレン、α−メチ
ルスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のエチレン性不
飽和カルボン酸モノエステルが挙げられる。光重合開始
剤(J)としては、ビニル系モノマーの光重合に通常使
用される光重合開始剤を用いることができる。増感剤
(K)としては、例えば、チタノセン化合物、トリアジ
ン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイミダゾー
ル系化合物、シアニン色素、メロシアニン色素、キサン
テン色素、クマリン色素が挙げられる。
【0071】上述したネガ型レーザ製版層形成液、ポジ
型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ製版層形成
液に使用される溶剤、ならびに、ネガ型レーザ製版層形
成液、ポジ型レーザ製版層形成液および光重合型レーザ
製版層形成液の塗布方法については、上記感光性樹脂溶
液について挙げた溶剤および塗布方法を用いることがで
きる。なお、光重合型レーザ製版層を形成させる場合に
おいては、シラン化合物を水、アルコールまたはカルボ
ン酸で部分分解して得られる部分分解型シラン化合物等
の反応性官能基を有するシリコーン化合物を用いて、平
版印刷版用支持体の粗面化処理面をあらかじめ処理して
おくと、支持体と光重合型レーザ製版層との接着性が向
上するため好ましい。
【0072】このようにして得られた平版印刷版原版
を、必要に応じて、適当な大きさに裁断して、露光し現
像して製版することにより、平版印刷版が得られる。可
視光露光型製版層(感光性製版層)を設けた平版印刷版
原版の場合には、印刷画像が形成された透明フィルムを
重ねて通常の可視光を照射することにより露光し、その
後、現像を行うことにより製版することができる。レー
ザ露光型製版層を設けた平版印刷版原版の場合には、各
種レーザ光を照射して印刷画像を直接書き込むことによ
り露光し、その後、現像することにより製版することが
できる。
【0073】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。 1.平版印刷版用支持体の製造 (実施例1−1〜1−25および比較例1−1〜1−
3)第10表に示すように、第1表に示す組成の各アル
ミニウム合金板に、第9表に示す各表面処理を施し、各
平版印刷版用支持体を得た。第9表に示す表面処理は、
機械的粗面化処理、第1アルカリエッチング処理、第1
デスマット処理、電気化学的粗面化処理、第2アルカリ
エッチング処理、第2デスマット処理、陽極酸化処理、
封孔処理および親水化処理を、この順に組み合わせて行
ったものである。各処理の詳細は、以下のとおりであ
る。なお、各処理の後には、スプレーによる水洗を行
い、また、各処理および水洗の後にはニップローラで液
切りを行った。第1表に各アルミニウム合金板の原材料
コストおよび圧延性を示す。原材料コストはアルミニウ
ム合金板Lを100として相対評価した。また、圧延性
は、優れるものから劣るものまでを○、○△、△、△
×、×の5段階で評価した。
【0074】(1)機械的粗面化処理 図4に示したような装置を使って、第2表に示す平均粒
径を有する第2表に示す種類の研磨剤と水との懸濁液を
研磨スラリー液(いずれも比重1.12)として、スプ
レー管でアルミニウム合金板の表面に供給しながら、回
転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理
A〜Dを行った。図4において、51はアルミニウム合
金板、52および54はローラ状ブラシ、53は研磨ス
ラリー液、55、56、57および58は支持ローラで
ある。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長
は60mmであった。ナイロンブラシの号数は第2表に
示した通りであった。ナイロンブラシはφ300mmの
ステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛し
た。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支
持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであっ
た。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負
荷が、ブラシローラをアルミニウム合金板に押さえつけ
る前の負荷に対して管理し、その差は1.5kWであっ
た。ブラシの回転方向はアルミニウム合金板の移動方向
と同じであった。ブラシの回転数は250rpmであっ
た。機械的粗面化処理後の算術平均粗さ(JIS B0
601−1994に準拠してカットオフ値0.3mm、
評価長さ3mmで測定した。)は、いずれも0.3〜
0.6μmの範囲の値であった。
【0075】(2)第1アルカリエッチング処理 アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、ア
ルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液(液温
70℃)に浸せきさせて、第1アルカリエッチング処理
を行い、アルミニウム合金板の処理面を第10表に示す
量で溶解した。
【0076】(3)第1デスマット処理 第3表に示す液組成および液温の酸性水溶液の中にアル
ミニウム合金板を第3表に示す処理時間で浸せきさせ
て、デスマット処理AおよびBを行った。 (4)電気化学的粗面化処理 第4表に示す諸条件で、酸性水溶液中で交流を用いて、
電気化学的粗面化処理A〜Jを行った。 (5)第2アルカリエッチング処理 アルミニウム合金板に、カセイソーダを27質量%、ア
ルミニウムイオンを6.5質量%含有する水溶液(液温
40℃)に浸せきさせて、第2アルカリエッチング処理
を行い、アルミニウム合金板の処理面を第10表に示す
量で溶解した。 (6)第2デスマット処理 第5表に示す液組成および液温の酸性水溶液の中にアル
ミニウム合金板を第3表に示す処理時間で浸せきさせ
て、デスマット処理A〜Cを行った。
【0077】(7)陽極酸化処理 第6表に示す液組成および液温の酸性水溶液を用い、直
流電流を用い、電流密度2A/dm2 で陽極酸化皮膜量
が第6表に示す量になるように陽極酸化処理AおよびB
を行った。なお、酸性水溶液は、第6表に示すアルミニ
ウムイオン濃度となるように、第6表に示す濃度の硫酸
に硫酸アルミニウムを添加して調製した。 (8)封孔処理 第7表に示す沸騰水および蒸気を用い、第7表に示す処
理時間で、陽極酸化皮膜のマイクロポアを封孔する、封
孔処理AおよびBを行った。封孔処理は、沸騰水を用い
る場合は、アルミニウム合金板を沸騰水に浸せきさせて
行い、また、蒸気を用いる場合は、アルミニウム合金板
を、純水を沸騰させて生成した蒸気が充満する温度10
0℃、圧力30mmAq(3.06Pa、常圧に対し
て)の雰囲気の装置内に放置して行った。 (9)親水化処理 第8表に示す液組成および液温の水溶液を用い、第8表
に示す処理時間で浸せきさせて、親水化処理AおよびB
を行った。
【0078】(実施例2−1〜2−4ならびに比較例2
−1および2−2)第12表に示すように、第11表に
示す組成の各アルミニウム合金板に、第9表に示す各表
面処理を施し、各平版印刷版用支持体を得た。第9表に
示す表面処理の内容は、実施例1−1〜1−25および
比較例1−1〜1−3の場合と同様である。第11表に
各アルミニウム合金板の原材料コストおよび圧延性を示
す。原材料コストはJIS A1050材を100とし
て相対評価した。また、圧延性は、優れるものから劣る
ものまでを○、○△、△、△×、×の5段階で評価し
た。
【0079】2.平版印刷版用支持体の表面形状 各実施例および比較例で得られた各平版印刷版用支持体
の表面形状を走査型電子顕微鏡を用いて倍率750倍で
観察し、表面の凹凸の均一性を評価した。結果を第10
表および第12表に示す。なお、各表においては、表面
の凹凸が均一であったものを○、不均一であったものを
×と表した。
【0080】3.平版印刷版原版の製造 各実施例および比較例においてアルミニウム合金板に表
面処理を施して得られた各平版印刷版用支持体の表面
に、下記の工程で感光層A〜Dのいずれかを形成させ
て、各平版印刷版原版を得た。平版印刷版用支持体(ア
ルミニウム合金板と表面処理との組み合わせ)と感光層
との組み合わせは、第10表および第12表に示した通
りである。 (1)感光層A 感光層Aの形成に際しては、あらかじめ下塗り層を形
成させた。下塗り層は、下記組成の下塗り液を塗布し、
80℃で30秒間乾燥させて形成させた。乾燥後の被覆
量は10mg/m2 であった。 <下塗り液組成> ・ジヒドロキシエチルグリシン 0.05質量部 ・メタノール 94.95質量部 ・水 5.00質量部
【0081】下塗り層の上に下記組成の感光性樹脂溶
液を塗布し、100℃で2分間乾燥させて感光層A(ポ
ジ型の可視光露光型製版層)を形成させて、ポジ型平版
印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は2.5g/m2
あった。 <感光性樹脂溶液組成> ・ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリドとピロガロール −アセトン樹脂とのエステル化合物 0.73g ・クレゾール−ノボラック樹脂 2.00g ・染料(オイルブルー#603、オリエント化学工業社製) 0.04g ・エチレンジクロリド 16g ・2−メトキシエチルアセテート 12g
【0082】(2)感光層B 感光層Bの形成に際しては、あらかじめ下塗り層を形
成させた。下塗り層は、下記組成の下塗り液を塗布し、
100℃で10秒間乾燥させて形成させた。乾燥後の被
覆量は0.05g/m2 であった。 <下塗り液組成>主にメチルメタクリレート/エチルア
クリレート/2−アクリルアミド−2−メチルプロパン
スルホン酸ナトリウム共重合体(モノマー比:50/3
0/20(モル比)、平均分子量60,000)からな
る。
【0083】下塗り層の上に下記組成の感光性樹脂溶
液を塗布し、120℃で40秒間乾燥させて感光層B
(ネガ型の可視光露光型製版層)を形成させて、ネガ型
平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は2.0g/m
2 であった。<感光性樹脂溶液組成> ・米国特許第4,123,276号明細書の実施例1に記載されている2−ヒ ドロキシエチルメタクリレート共重合体(I) 0.87g ・p−ジアゾジフェニルアミンとパラホルムアルデヒドとの縮合物の2−メト キシー4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルベンゼンスルホン酸塩 0.1g ・染料(オイルブルー#603、オリエント化学工業社製) 0.03g ・メタノール 6g ・2−メトキシエタノール 4g
【0084】(3)感光層C 感光層Cの形成に際しては、あらかじめ下塗り層を形
成させた。下塗り層は、下記組成の下塗り液を塗布し、
80℃で30秒間乾燥させて形成させた。乾燥後の被覆
量は10mg/m2 であった。 <下塗り液組成> ・β−アラニン 0.5g ・メタノール 95g ・水 5g
【0085】下塗り層の上に下記組成のポジ型レーザ
製版層形成液をワイヤーバーを用いて塗布し、100℃
で2分間乾燥させて感光層C(ポジ型レーザ製版層)を
形成させて、ポジ型平版印刷版原版を得た。乾燥後の被
覆量は1.8g/m2 であった。 <ポジ型レーザ製版層形成液組成> ・下記に示す方法で得られたアルカリ可溶性高分子化合物A 0.7g ・2,6−ジメチレン−(4,5−ナフタレン−1,2,3−トリメチルピロ ール)−4−モノクロロ−5,6−プロパン−ヘプテン−メチルベンゼンスルホ ネート(シアニン色素(アルカリ溶解阻害剤)) 0.1g ・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを1−ナフタレンスルホン酸ア ニオンにした染料 0.02g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF177、大日本インキ化学工業社製) 0.05g ・γ−ブチルラクトン 8g ・メチルエチルケトン8g ・1−メトキシ−2−プロパノール 4g
【0086】<アルカリ可溶性高分子化合物Aの製造>
かくはん機、冷却管および滴下ロートを備えた500m
L容の三つ口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.
36mol)、クロロギ酸エチル39.1g(0.26
mol)およびアセトニトリル200mLを入れ、氷水
浴で冷却しながら混合物をかくはんし、トリエチレンア
ミン36.4g(0.36mol)を約1時間かけて滴
下ロートを使って加えた。滴下後、室温で30分間かく
はんし、p−アミノベンゼンスルホンアミド51.7g
(0.30mol)を加え、油浴にて70℃に温めなが
ら1時間かくはんした。これを水中でスラリー状にし、
固形物をろ取して、N−(p−アミノスルフェニル)メ
タクリルアミドの白色固体を得た。これを5.04g
(0.021mol)と、メタクリル酸エチル2.05
g(0.018mol)、アクリロニトリル1.11g
(0.021mol)およびN,N−ジメチルアセトア
ミド20gとを三つ口フラスコに入れ、65℃に加熱し
て、和光純薬社製「V−65」0.15gを混ぜ、窒素
気流中で2時間かくはんした。これに、N−(p−アミ
ノスルホフェニル)メタクリルアミド5.04g(0.
021mol)、メタクリル酸エチル2.05g(0.
018mol)、アクリロニトリル1.11g(0.0
21mol)、N,N−ジメチルアセトアミド20gお
よび「V−65」0.15gの混合物を2時間かけて滴
下し、反応終了後、メタノールを40g加え、30分間
混合した後、析出物をろ取し乾燥することで白色のアル
カリ可溶性高分子化合物A(分子量53,000)15
gを得た。
【0087】(4)感光層D 感光層Dの形成に際しては、あらかじめ下塗り層を形
成させた。下塗り層は、下記組成の下塗り液を塗布し、
80℃で30秒間乾燥させて形成させた。乾燥後の被覆
量は11mg/m2 であった。 <下塗り液組成> ・β−アラニン 0.1g ・フェニルホスホン酸 0.05g ・メタノール 40g ・水 60g
【0088】下塗り層の上に下記組成のネガ型レーザ
製版層形成液をワイヤーバーを用いて塗布し、120℃
で3分間乾燥させて感光層D(ネガ型レーザ製版層)を
形成させて、ネガ型平版印刷版原版を得た。乾燥後の被
覆量は1.5g/m2 であった。 <ネガ型レーザ製版層形成液組成> ・ノニルフェノール(酸架橋性化合物) 0.05g ・2,4,6−トリメトキシジアゾニウム−2,6−ジメチルベンゼンスルホ ネート(酸前駆体) 0.3g ・下記に示す方法で得られた架橋剤A(酸架橋性化合物) 0.5g ・ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(アルカリ可溶性樹脂) 1.5g ・2,6−ジメチレン−(4,5−ナフタレン−1,2,3−トリメチルピロ ール)−4−モノクロロ−5,6−プロパン−ヘプテン−メチルベンゼンスルホ ネート(シアニン色素(赤外線吸収剤)) 0.07g ・アイゼンスピロンブルーC−RH(保土ヶ谷化学社製) 0.035g ・フッ素系界面活性剤(メガファックF177、大日本インキ化学工業社製) 0.01g ・メチルエチルケトン 12g ・メタノール 10g ・1−メトキシ−2−プロパノール 8g
【0089】<架橋剤Aの製造>1−[α−メチル−α
−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α,α
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンを
カセイカリ水溶液中でホルマリンと反応させた。得られ
た反応液を硫酸酸性にし、晶出させて、純度92質量%
の架橋剤Aを得た。
【0090】4.平版印刷版原版の露光および現像 上記のようにして得られた各平版印刷版原版を下記のよ
うにして露光し、現像して、各平版印刷版を得た。 (1)感光層Aを有する平版印刷版原版 感光層Aを有する平版印刷版原版を真空焼枠中で透明ポ
ジティブフィルムを通して、1mの距離から3kWのメ
タルハライドランプにより50秒間露光を行った。その
後、SiO2 /Na2 Oのモル比が1.74のケイ酸ナ
トリウムの5.26質量%水溶液(pH12.7)を用
いて現像した。その後、ガム引きした。
【0091】(2)感光層Bを有する平版印刷版原版 感光層Bを有する平版印刷版原版を真空焼枠中で透明ネ
ガティブフィルムを通して、0.7mの距離から3kW
のメタルハライドランプにより50秒間露光を行った。
その後、下記組成の現像液を用いて現像した。その後、
ガム引きした。 <現像液組成> ・ベンジルアルコール 450g ・トリエタノールアミン 150g ・モノエタノールアミン 10g ・t−ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム 150g ・亜硫酸ナトリウム 30g ・イオン交換水 8420g
【0092】(3)感光層Cを有する平版印刷版原版 感光層Cを有する平版印刷版原版を出力500mW、波
長830nm、ビーム径17μm(1/e2 )の半導体
レーザを用いて、主操作速度5m/秒で露光した後、下
記組成のアルカリ現像液を用いて、30秒間現像して、
平版印刷版を得た。 <アルカリ現像液組成> ・カセイソーダ 2.8質量% ・シリカ 2.0質量% ・ノニオン性界面活性剤(プルロニックPE−3100、BASF社製) 0.5質量% ・水 94.7質量%
【0093】(4)感光層Dを有する平版印刷版原版 感光層Dを有する平版印刷版原版を出力500mW、波
長830nm、ビーム径17μm(1/e2 )の半導体
レーザを用いて、主操作速度5m/秒で露光した後、現
像液PD−4(富士写真フイルム(株)製)の1:8水
希釈液に30秒間浸せきさせて現像して、平版印刷版を
得た。
【0094】5.平版印刷版の評価 (1)印刷性能 上記のようにして得られた各平版印刷版を下記の条件で
印刷試験に供し、ブランケットへのインキの付着の程度
により印刷性能を目視により評価した。結果を第10表
および第12表に示す。なお、各表においては、ブラン
ケットへのインキの付着がほとんどないものを○、付着
が激しいものを×と表した。 <印刷試験>印刷機として、オーレリア社製のハリス印
刷機を用い、湿し水として、富士写真フイルム(株)製
のEU−3(1:100)に、イソプロパノールを全体
の10質量%となるように添加した液を用い、インキと
して、大日本インキ社製のクラフG(S)紅を用いて、
印刷を行った。1000枚印刷した後、印刷性能(ブラ
ンケットへのインキの付着の程度)を評価した。
【0095】(2)版切れ 上記のようにして得られた各平版印刷版(実施例2−1
〜2−4ならびに比較例2−1および2−2で得られた
平版印刷版用支持体を用いて得られたもの)について、
上記の条件でn=10で印刷試験を行い、100万枚印
刷する間に版切れの発生したサンプルの数を調査した。
結果を第10表および第12表に示す。
【0096】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に
よれば、アルミニウム含有率が低く、低価格のアルミニ
ウム合金板を用いた場合であっても、表面の凹凸が均一
な平版印刷版用支持体を得ることができることが分かる
(実施例1−1〜1−25および2−1〜2−4)。ま
た、本発明の平版印刷版用支持体の製造方法により得ら
れた平版印刷版用支持体は、平版印刷版としたときに、
印刷性能に優れ、かつ、版切れが起こりにくいことが分
かる(実施例1−1〜1−25および2−1〜2−
4)。
【0097】これに対して、平版印刷版用支持体の製造
において、電気化学的粗面化処理を硝酸を主体とする水
溶液中で交流を用いて行う場合は、得られる平版印刷版
用支持体の表面の凹凸が不均一であり、これを平版印刷
版としたときの印刷性能にも劣る(比較例1−1および
2−1)。また、平版印刷版用支持体の製造に用いられ
るアルミニウム合金板のアルミニウム含有率が高すぎる
場合は、原材料コストが高くなるだけでなく、平版印刷
版の版切れが起こりやすくなるときもある(比較例2−
1および2−2)。また、平版印刷版用支持体の製造に
用いられるアルミニウム合金板のアルミニウム含有率が
低すぎる場合は、アルミニウム合金板の圧延性が劣るの
で、好ましくない(比較例1−3)。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
【表10】
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用支持体の製造方法
によれば、アルミニウム含有率が低いアルミニウム合金
板を用いた場合であっても、表面の凹凸が均一であり、
平版印刷版としたときに、印刷性能に優れ、かつ、版切
れが起こりにくい平版印刷版用支持体を得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられるフラット型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明に用いられるフラット型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の他の一例を示す断面図であ
る。
【図3】 本発明に用いられるラジアル型交流電解槽を
備える電解粗面化処理装置の一例を示す断面図である。
【図4】 本発明において機械的粗面化処理に用いられ
るブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
2、20 交流電解槽 4A、4B、4C、26A、26B 主極 6A、6B、14A、14B 搬送ローラ 8A、16A 導入ローラ 8B、16B 導出ローラ 10、34 補助電解槽 12、36 補助電極 22 交流電解槽本体 22A 開口部 24 送りローラ 28A、28B 給液ノズル 30A 上流側案内ローラ 30B 下流側案内ローラ 32 溢流槽 34A 補助電解槽の底面 51 アルミニウム合金板 52、54 ローラ状ブラシ 53 研磨スラリー液 55、56、57、58 支持ローラ 100、102、104 電解粗面化処理装置 a 搬送方向 T 搬送面 Tac 電源 Th1、Th2、Th3、Th4、Th5 サイリスタ W アルミニウムウェブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 11/06 C25D 11/06 B // C22C 21/00 C22C 21/00 L M 21/02 21/02 21/06 21/06 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H114 AA04 AA14 DA04 DA64 EA02 EA09 FA04 GA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金板に、電気化学的粗面化
    処理を含む表面処理を施して平版印刷版用支持体を得る
    平版印刷版用支持体の製造方法であって、 該アルミニウム合金板のアルミニウム含有率が95〜9
    9.4質量%であり、かつ、該電気化学的粗面化処理
    が、塩酸を主体とする水溶液中で交流を用いて行われる
    ことを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記アルミニウム合金板が、Fe、Si、
    Cu、Mg、Mn、Zn、CrおよびTiからなる群か
    ら選ばれる3種以上の元素を以下の範囲で含有する請求
    項1に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。 Fe:0.20〜1.0質量%、 Si:0.10〜1.0質量%、 Cu:0.03〜1.0質量%、 Mg:0.1〜1.5質量%、 Mn:0.1〜1.5質量%、 Zn:0.03〜0.5質量%、 Cr:0.005〜0.1質量%、 Ti:0.01〜0.5質量%
  3. 【請求項3】前記交流が、波形が台形波であり、周波数
    が40〜80Hzであり、電流がゼロからピークに達す
    るまでの時間が0.5〜6msecであり、アノードサ
    イクル側およびカソードサイクル側のピーク時の電流密
    度がそれぞれ20〜100A/dm2 である交流であ
    り、かつ、前記電気化学的粗面化処理が終了した時点で
    のアルミニウム合金板のアノード反応に用いた電気量の
    総和が、10〜800C/dm2 である請求項1または
    2に記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】前記塩酸を主体とする水溶液が、塩酸濃度
    が5〜15g/L、アルミニウムイオン濃度が3〜15
    g/Lであり、液温が25〜50℃である水溶液である
    請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用支持体の
    製造方法。
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