JP2002338624A - ポリグルタルイミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリグルタルイミド樹脂の製造方法

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JP2002338624A
JP2002338624A JP2001142403A JP2001142403A JP2002338624A JP 2002338624 A JP2002338624 A JP 2002338624A JP 2001142403 A JP2001142403 A JP 2001142403A JP 2001142403 A JP2001142403 A JP 2001142403A JP 2002338624 A JP2002338624 A JP 2002338624A
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film
resin
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acid
polyglutarimide
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Hiroshi Awaji
弘 淡路
Katsuyuki Tanaka
克幸 田中
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリグルタルイミド樹脂は、通常、樹脂グラム
当たりの酸および酸無水物含量が0.3ミリ当量以上存
在しているため、ポリアクリロニトリル−スチレンや塩
化ビニルなどの透明熱可塑性樹脂と混合して組成物を製
造する際、完全相溶とならず透明な組成物を得ることが
困難であった。 【解決手段】 ポリグルタルイミド樹脂中の酸および酸
無水物を水酸化テトラアルキルアンモニウム/ハロゲン
化メチルでエステル化することにより、低温において短
時間で、酸および酸無水物含量を初期値の0〜99%に
減らすことができ、他の熱可塑性樹脂との相溶性が改善
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通常存在するより
も低い水準の酸および酸無水物含量をもつ光学用途に好
適なポリグルタルイミド樹脂に関する。さらに、該樹脂
の製造方法ならびに該樹脂を用いた透明フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリグルタルイミド樹脂は、透明性、剛
性、耐熱性などに優れた樹脂として知られている。その
製造法は米国特許第4246374号で開示されている
ようにポリメチルメタクリレートとメチルアミンとを押
し出し機中で反応させるものである。
【0003】ところが、このように製造されたポリグル
タルイミド樹脂は、通常、樹脂グラム当たりの酸および
酸無水物含量が0.3ミリ当量以上存在しているため、
ポリアクリロニトリル−スチレンや塩化ビニルなどの透
明熱可塑性樹脂と混合しても、完全相溶とならずに不透
明な組成物を与える。
【0004】通常存在するよりも低い水準の酸および酸
無水物含量をもつポリグルタルイミド樹脂およびその製
造方法に関する従来技術として、日本特許第21345
06号が知られている。
【0005】一方、近年、電子機器はますます小型化
し、ノート型パソコン、ワードプロセッサ、携帯電話、
携帯情報端末に代表されるように、軽量・コンパクトと
いう特長を生かした液晶表示装置が多く用いられるよう
になってきている。これら液晶表示装置は、偏光フィル
ムに始まり、その表示品位を保つために各種フィルムが
用いられている。また、携帯情報端末や携帯電話向けに
液晶表示装置を更に軽量化する目的で、ガラス基板の代
わりに樹脂フィルムを用いたプラスチック液晶表示装置
も実用化されている。
【0006】液晶表示装置の様に、偏光を取り扱う場
合、用いる樹脂フィルムは光学的に透明であることのほ
か、光学的な均質性が求められ、ガラス基板を樹脂フィ
ルムに代えたプラスチック液晶表示装置用のフィルム基
板の場合、複屈折と厚みの積で表される位相差の小さい
他、外部の応力などによりフィルムの位相差が変化しに
くいことが要求される。
【0007】樹脂フィルムでは、分子の分極と配向が位
相差と関係していることが知られており、位相差の小さ
いフィルムを得るには、分極の小さい樹脂を用い、分子
の配向を極力抑えた成形条件を用いてフィルム化する必
要がある。
【0008】一般的には、ポリカーボネート、ポリアリ
レート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等の、エ
ンジニアリング樹脂やトリアセチルセルロースなどのセ
ルロース類がフィルム用の樹脂として知られている。こ
れら樹脂を用いてフィルム化する場合、樹脂の溶融流動
・溶剤乾燥収縮・熱収縮や搬送応力等により成形中のフ
ィルムに各種応力がかかり、分子が配向する為、位相差
が残存するのを避けることはできない。
【0009】これらの問題を解決するため、分極の小さ
い樹脂を用いてフィルムを得ることが試みられており、
シクロオレフィン系樹脂に代表されるオレフィン系の樹
脂(特開平4−301415号公報)、オレフィン−マ
レイミド樹脂(特開平9−328523号公報)やポリ
グルタルイミド樹脂(特開平06−256537号公
報)などのイミド系樹脂、また、オレフィン−マレイミ
ド樹脂とアクリロニトリル−スチレン共重合体とのブレ
ンド体(特開2000−80240号公報)などからな
るフィルムが知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前記日本特許第213
4506号における酸低減方法は、押し出し装置中で、
高圧、高温の条件下で溶融したポリグルタルイミド樹脂
に可燃性の炭酸ジメチル、オルトギ酸トリメチル、オル
トギ酸トリエチルなどのエステル化剤を作用させて樹脂
中の酸・酸無水物をエステルに変換するものであるが、
特殊な装置を必要とする点および可燃性のエステル化剤
の蒸気が発生するなどの課題があった。
【0011】また、グルタルイミド系樹脂からなるフィ
ルムは、複屈折が小さく、また、安価な原料から製造す
ることが可能であり、工業的に好ましいフィルムである
が、得られたフィルムは脆弱であり、ロールフィルムと
して工業的に取り扱いが難しいという欠点を有してい
る。そのため、特開平6−256537号公報に見られ
るように、フィルムに延伸を施して特に耐折性の改善を
行うことが提案されている。しかし、該フィルムは、延
伸により位相差が発現するという問題点を有している。
また、二軸延伸のバランスにより面内位相差を小さくす
ることは可能であるが、二軸配向に伴い、フィルム厚み
方向の位相差が大きくなり、本発明用途には使用するこ
とが出来ないという問題点を抱えている。フィルム厚み
方向の位相差は、フィルム面内の最大屈折率をnxと
し、nxと直交する方向の屈折率をnyとし、フィルム
厚み方向の屈折率をnzとし、そしてフィルムの厚みを
dとしたとき、下記式(I) |(nx+ny)/2−nz)|×d (I) で表される。
【0012】一方、特表平06−500807号公報
や、特開平5−202253号公報に、グルタルイミド
樹脂とアクリロニトリル−スチレン共重合体とのブレン
ド体のディスクやレンズなどの成型体が提案されてお
り、該成形体は光学的に等方性を示すことが知られてい
るが、フィルムに関しては全く開示されていない。
【0013】このように、フィルムの面内複屈折性が極
めて小さく、かつ、工業的に取り扱うことが可能なグル
タルイミド系樹脂からなるフィルムは、未だ得られてい
ないのが現状である。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは鋭意研究した結果、ポリグルタルイミ
ド樹脂中の酸および酸無水物を水酸化テトラアルキルア
ンモニウムおよびハロゲン化メチルでエステル化するこ
とにより、室温において短時間で、酸および酸無水物量
を低下できることを見出した。さらに、このようにして
得られるポリグルタルイミド樹脂は、後述する熱可塑性
樹脂と良好な相溶性を示し、優れた特性を有する透明フ
ィルムを提供しうることを見出し、本発明の完成に至っ
た。
【0015】すなわち、本発明の第一は、ポリグルタル
イミド樹脂の製造方法の提供であり、具体的には、下記
式(1)で表されるグルタルイミド単位と、
【0016】
【化3】
【0017】(但し、式中、R1、R2、R3は独立に水
素または炭素数1〜12個の非置換のまたは置換のアル
キル基、アリール基である。)下記式(2)で表される
イミド化可能な単位、
【0018】
【化4】
【0019】(但し、式中、R4は独立に水素または炭
素数1〜12個の非置換のまたは置換のアルキル基、ア
リール基であり、R5は独立に炭素数1〜12個のアル
コキシ基、アリルオキシ基である。)を繰り返し単位と
して含むポリグルタルイミド樹脂を、水酸化テトラアル
キルアンモニウムおよびハロゲン化アルキルで処理する
ことにより、酸および酸無水物含量を初期値の0〜99
%に低減する工程を含む、ポリグルタルイミド樹脂の製
造方法を提供する。
【0020】ここで、水酸化テトラアルキルアンモニウ
ムは水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムが好まし
く、ハロゲン化アルキルはヨウ化アルキルが好ましい。
【0021】さらに、本発明の第二は、ポリグルタルイ
ミド樹脂の提供であり、具体的には、前記の製造方法に
よって得られる、酸および酸無水物の含量が樹脂1g当
たり0.5ミリ当量以下のポリグルタルイミド樹脂を提
供する。
【0022】一つの実施態様として、本発明のポリグル
タルイミド樹脂は、前記式(1)で示される繰り返し単
位を20重量%以上含有する。
【0023】さらに、また、本発明の第三は、透明フィ
ルムの提供であり、具体的には、前記のポリグルタルイ
ミド樹脂(以下、グルタルイミド樹脂Aと表す。)、お
よび、側鎖に少なくとも置換または非置換フェニル基及
びニトリル基を有する熱可塑性樹脂B、を含有し、フィ
ルム厚みが500μm以下で、位相差値が10nm以下
で、光線透過率が85%以上、ヘーズが2%以下である
ことを特徴とする透明フィルムを提供する。
【0024】本発明の透明フィルムは、好ましくは、少
なくとも一軸方向に延伸された延伸フィルムである。
【0025】また、本発明の透明フィルムは、配向位相
差が300nm以下であり得、またフィルム厚み方向の
位相差が100nm以下であり得る。さらに、本発明の
透明フィルムは、耐揉疲労が30回以上であり、引き裂
き強度が150gf/mm以上であるという優れた特性
を有する。
【0026】好ましくは、本発明の透明フィルムは、少
なくとも片面の表面自由エネルギーが50dyne/c
m以上である。
【0027】本発明において、グルタルイミド樹脂A
は、透明フィルムを構成する樹脂組成物中に50重量%
から90重量%までの割合で含有されることが好まし
い。
【0028】また、本発明において、熱可塑性樹脂B
が、置換または非置換アクリロニトリル単位を20重量
%から50重量%の割合で含有し、置換または非置換ス
チレン単位を50重量%から80重量%の割合で含有す
る置換または非置換アクリロニトリルと置換または非置
換スチレンとの共重合体であることが好ましい。
【0029】本発明は、別の局面において、本発明の透
明フィルムを用いた偏光子保護フィルムを提供し、さら
に、この偏光子保護フィルムを用いた偏光フィルムを提
供する。
【0030】また、さらに別の局面において、本発明の
透明フィルムは、これを用いた液晶表示装置を提供す
る。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリグルタル
イミド樹脂とは、代表的には、下記式(1)で表される
グルタルイミド単位と、
【0032】
【化5】
【0033】(但し、式中、R1、R2、R3は独立に水
素または炭素数1〜12個の非置換のまたは置換のアル
キル基、アリール基である。) 下記式(2)で表されるイミド化可能な単位、
【0034】
【化6】
【0035】(但し、式中、R4は独立に水素または炭
素数1〜12個の非置換のまたは置換のアルキル基、ア
リール基であり、R5は独立に炭素数1〜12個のアル
コキシ基、アリルオキシ基である。)を繰り返し単位と
して含む。ポリグルタルイミド樹脂において前記式
(1)および(2)の繰り返し単位は、ポリグルタルイ
ミド樹脂の分子鎖中でブロック状に配列していてもよ
く、また、ランダムや交互に配列されていてもよい。
【0036】該ポリグルタルイミド樹脂中には必要に応
じ第三成分が共重合されていてもかまわない。好ましい
第三成分の例としては、ブチルアクリレートなどのアク
リル系単量体、スチレンや置換スチレン、α−メチルス
チレンなどのスチレン系単量体、アクリロニトリルやメ
タクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、
N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどの
マレイミド系単量体を用いることができる。また、これ
らは該ポリグルタルイミド樹脂と直接共重合しても良
く、また、グラフト共重合してもかまわない。
【0037】必要とされる耐熱性については、ガラス転
移温度で80℃以上が好ましく、より好ましくは100
℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
【0038】また、好ましい重量平均分子量の範囲は、
1×104以上5×105以下の共重合体が用いられる。
重量平均分子量が1×104未満のポリグルタルイミド
樹脂は、本発明の透明フィルムの引張り強度などの機械
的強度が不十分となり好ましくない。5×105を越え
るポリグルタルイミド樹脂と成形性が劣り、好ましくな
い。
【0039】本明細書中において用いられる用語「酸お
よび酸無水物」とは、ポリグルタルイミド中に存在する
カルボキシル基、酸無水物基を意味する。本発明の製造
方法によれば、ポリグルタルイミド樹脂グラム当たりの
酸および酸無水物含量は、その初期値の0〜99%、よ
り好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜25
%、特に好ましくは0〜10%となる。
【0040】また、処理前のポリグルタルイミド樹脂の
酸および酸無水物含量は、0.05ミリ当量以上が好ま
しい。処理前の含量が小さすぎる場合には、本発明の効
果が充分に活かせない場合があるためである。処理前の
含量が大きければ、本発明の効果は顕著になるが、現実
的には10ミリ当量以下と考えられる。
【0041】前記処理前のポリグルタルイミド樹脂の酸
および酸無水物含量を低減するために使用される反応剤
としては、水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびハ
ロゲン化アルキルが挙げられる。
【0042】水酸化テトラアルキルアンモニウムはカル
ボキシル基、酸無水物基と反応して活性なカルボキシレ
ートアニオンを発生させ、ついで該カルボキシレートア
ニオンがハロゲン化アルキルと反応してアルキルエステ
ルを与えるものと考えられる。
【0043】水酸化テトラアルキルアンモニウムとして
は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエ
チルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニ
ウムが好ましく、特に水酸化テトラ−n−ブチルアンモ
ニウムが好ましい。これら水酸化テトラアルキルアンモ
ニウムは通常メタノール溶液として市販されている場合
があるが、本発明においてはこのメタノール溶液を使用
しても差し支えない。
【0044】ハロゲン化アルキルとしては、ヨウ化メチ
ル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−ブチル、塩化メチル、塩
化エチル、塩化−n−ブチルが好ましいが、特にヨウ化
メチルが好ましい。
【0045】前記反応剤(エステル化剤)の使用量は、
水酸化テトラアルキルアンモニウムについてはポリマー
中のカルボキシル基、酸無水物基に対して0.1当量〜
0.9当量、ハロゲン化アルキルについてはポリマー中
のカルボキシル基、酸無水物基に対して0.2当量〜
1.8当量を使用することが好ましい。これらの反応剤
の量が少なすぎると、所望の酸および酸無水物含量に出
来ないおそれがあり、多すぎると好ましくない反応副生
成物を得るおそれがある。
【0046】反応溶媒としては、グルタルイミドポリマ
ーを溶解し、前記水酸化テトラアルキルアンモニウムお
よびハロゲン化アルキルと均一に混合するが反応しない
溶媒が使用でき、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリド
ンなどが好ましい。
【0047】反応方法としては、グルタルイミドポリマ
ーを前記溶媒に溶解させた後、ハロゲン化アルキルを添
加し、最後に水酸化テトラアルキルアンモニウムを添加
する。
【0048】反応温度としては、0℃〜100℃、好ま
しくは10℃〜70℃、さらに好ましくは20℃〜50
℃である。
【0049】反応時間としては、10分から3時間、好
ましくは20分〜2時間、さらに好ましくは30分〜1
時間である。
【0050】ポリマーの取得については、所定の時間反
応させた後、反応液を水、メタノール、アセトンなどの
沈殿溶媒に投入し、ポリマーを沈殿させ、この沈殿を濾
別、必要に応じていずれかの沈殿溶媒で洗浄し、最後に
乾燥することにより実施できる。
【0051】上記の処理工程を含む製造方法で得られる
ポリグルタルイミド樹脂は、初期のポリグルタルイミド
樹脂と比べて、酸および酸無水物含量は0〜99%に低
減する。酸および酸無水物基の低減度合いは実施例に記
載したように、処理前後のポリグルタルイミド樹脂の1
g当たりの酸および酸無水物含量を滴定して得られる数
値から算出できる。
【0052】本発明の製造方法によって得られるポリグ
ルタルイミド樹脂の1g当たりの酸および酸無水物含量
は0.5ミリ当量以下が好ましい。酸および酸無水物含
量が大きすぎる場合には、後述する熱可塑性樹脂Bと混
合した場合の相溶性が劣り、良好な透明性を有する成形
体が得られない場合がある。より好ましくは0.4ミリ
当量以下で、さらに好ましくは0.3ミリ当量以下であ
る。
【0053】また、熱可塑性樹脂Bと混合して低複屈折
の樹脂組成物を得るためには、本発明の製造方法によっ
て得られるポリグルタルイミド樹脂中における、前記式
(1)で示したグルタルイミド単位は20重量%以上9
9重量%以下が好ましい。より好ましくは、40重量%
以上95重量%以下であり、さらに好ましくは60重量
%以上90重量%以下である。これらの範囲を外れる
と、低複屈折の樹脂組成物を得るための熱可塑性樹脂B
との配合比がアンバランスとなり、良好な相溶性が得ら
れる範囲を逸脱するおそれがある。
【0054】本明細書中の以下の説明では、上記のポリ
グルタルイミド樹脂、および、側鎖に置換または非置換
のフェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂Bとを
含有する透明フィルムについて述べるが、以降は上記の
ポリグルタルイミド樹脂をグルタルイミド樹脂Aと表す
ことがある。
【0055】本発明に用いられる側鎖に置換または非置
換フェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂Bと
しては、アクリロニトリル・スチレン系の共重合体を好
ましく用いることができる。特に好ましくは、熱可塑性
樹脂Bは、下記式(3)で示される不飽和ニトリル単位
と下記式(4)で示されるスチレン系単位を含む。
【0056】
【化7】
【0057】(ここで、R6およびR7は、それぞれ独立
に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0058】
【化8】
【0059】(ここで、R8およびR9は、それぞれ独立
に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R10
は、水素、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン、水酸
基、アルコキシ基またはニトロ基を示す。) 上記の好ましい共重合体(熱可塑性樹脂B)を構成する
不飽和ニトリル化合物の好ましい例を挙げると、アクリ
ロニトリルやメタクリロニトリルのようなα−置換不飽
和ニトリル、フマロニトリルのようなα,β−二置換オ
レフィン性不飽和結合を有するニトリル化合物である。
【0060】上記の好ましい共重合体(熱可塑性樹脂
B)を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、
ビニルトルエン、メトキシスチレンまたはクロロスチレ
ン等の非置換または置換スチレン系化合物や、α−メチ
ルスチレン等のα−置換スチレン系化合物を用いること
ができる。これらアクリロニトリル・スチレン系の共重
合体中には必要に応じ第三成分を含有していてもかまわ
ない。好ましい第三成分の一例としては、ブチルアクリ
レートなどのアクリル系単量体であり、また、エチレン
やプロピレン等のオレフィン系単量体であり、これら単
量体を一種または二種以上を共重合させることにより得
られたフィルムの可撓性を増すことができる。また、そ
の他の第三成分としては、N−置換マレイミドであり、
特に、フェニルマレイミドを共重合成分として用いるこ
とにより、該共重合体の耐熱性を向上することができ
る。
【0061】熱可塑性樹脂Bは、これら単量体を直接共
重合することにより得られるが、スチレン系または不飽
和ニトリル系重合体に、該当する単量体をグラフト共重
合させてもかまわない。また、ゴム弾性を有するアクリ
ル系重合体にスチレン系単量体や不飽和ニトリル系単量
体をグラフト重合させる事により好ましい共重合体を得
ることができる。特に好ましい単量体は、不飽和ニトリ
ル成分がアクリロニトリルであり、スチレン系単量体が
スチレンである。また、本発明の熱可塑性樹脂Bは、1
×104ないし5×105の重量平均分子量を有すること
が好ましい。これら樹脂はAS樹脂やAAS樹脂として
知られている。
【0062】熱可塑性樹脂Bにおいて、好ましい共重合
体中の不飽和ニトリル系成分の含有量としては、熱可塑
性樹脂B中の総繰り返し単位を基準として、20〜60
重量%が望ましく、より好ましくは20〜50重量%で
ある。また、スチレン系成分の含有量としては、40〜
80重量%が好ましく、より好ましくは50〜80重量
%である。特に、前者が20〜30重量%で、後者が7
0〜80重量%の場合は更に好ましい結果を与える。ス
チレン系やニトリル系の成分がこの範囲を超えると、本
発明フィルム中の分子の配向による位相差が大きくな
り、本発明の目的を達成できなくなる。さらには、グル
タルイミド樹脂Aとの相溶性が乏しくなり、得られたフ
ィルムのヘーズが大きく実用に耐えなくなる。
【0063】第3成分は、これを添加する場合は、熱可
塑性樹脂B中の含有率は5モル%以上、30モル%以下
であることが好ましい。ニトリル系やスチレン系の特に
好ましい成分は用いるグルタルイミド樹脂A及び熱可塑
性樹脂Bにより異なる。
【0064】また、本発明の熱可塑性樹脂Bは、1×1
4ないし5×105の重量平均分子量を有することが好
ましい。
【0065】グルタルイミド樹脂Aに対して、熱可塑性
樹脂Bが主としてアクリロニトリル及びスチレンからな
る共重合体である場合は、アクリロニトリルの含有量
を、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25
〜40重量%とし、また、スチレンの含有量を、好まし
くは50〜80重量%、より好ましくは60〜75重量
%、とする事により、広い組成範囲で良好な相溶性を示
し、フィルムとした場合、全光線透過率85%以上かつ
ヘイズが2%以下のフィルムを得ることができる。
【0066】特に、グルタルイミド樹脂Aのグルタルイ
ミド単位を60〜80重量%とし、アクリロニトリルの
含有量を26〜29重量%、また、スチレンの含有量を
71〜74重量%とする事により、熱可塑性樹脂Bはグ
ルタルイミド樹脂Aと幅広い組成範囲で良好な相溶性を
示し、全光線透過率90%以上かつヘイズ1%以下と極
めて透明なフィルムを得ることができる。
【0067】分子の配向による位相差の小さいフィルム
を得るには、グルタルイミド樹脂Aと熱可塑性樹脂Bと
の組成比や、グルタルイミド樹脂A及び熱可塑性樹脂B
のフェニル基やイミド基の含有量に依存する。好ましい
組成比は、一般的には、グルタルイミド樹脂Aの含有量
は50〜95重量%、より好ましくは、60〜90重量
%であり、熱可塑性樹脂Bの含有量は5〜50重量%、
より好ましくは、10〜40重量%である。
【0068】分子の配向による位相差の発現しやすさ
は、一定条件下でフィルムを延伸することにより発現す
る位相差(配向位相差)で評価することが可能である。
一般的に光学フィルムとして使用されているビスフェノ
ールAタイプのポリカーボネートは1400nmと大き
な配向位相差を示すが、グルタルイミド樹脂A及び熱可
塑性樹脂Bの組成を上記範囲に保つことにより、300
nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは
50nm以下、特に好ましくは30nm以下とすること
ができる。
【0069】このように、グルタルイミド樹脂A、およ
び、熱可塑性樹脂Bを前記特定の組成とする事により、
光線透過率が85%以上、ヘーズが2%以下である光学
的に極めて透明なフィルムを得ることができ、得られた
フィルムは、フィルムに働く応力等に起因した分子の配
向による位相差が発現しにくいという特徴を有する。
【0070】またグルタルイミド樹脂からなるフィルム
は可撓性が乏しく裂けやすいという欠点を有するが、ア
クリロニトリル・スチレン系共重合体に代表される熱可
塑性樹脂Bをブレンドすることにより、フィルムの機械
的特性を向上することができる。
【0071】本発明に関わるフィルムは、溶融押出し
法、インフレーション法などの溶融成形法、や溶液流延
法など、公知のフィルム化方法により得ることができ
る。フィルム化方法は特に限定されない。フィルム化に
際し、グルタルイミド樹脂Aと熱可塑性樹脂Bを単に混
合してフィルム化してもかまわないし、予め両樹脂を熱
溶融混練しペレットなどに成形の後、フィルム化に供し
てもかまわない。フィルム化に先立ち、用いる樹脂やペ
レットを予備乾燥しておくことはフィルムの発泡など、
欠陥を防ぐ上で有用である。本発明フィルムは加工時の
分子配向による位相差が出にくいという特徴を有してい
るため、溶融成形法によるフィルム化も、好ましい方法
である。溶融成形法でフィルムを成形する場合、Tダイ
法やインフレーション法などの溶融押し出し法や、カレ
ンダー法、熱プレス法、射出成型法など、公知の方法を
採用できるが、良好な厚み精度を有する幅広のフィルム
を得やすいと言う点で、Tダイを用いた溶融成形法が好
ましい。また、極めて均一な厚み精度を有するフィルム
を得ることができるという点で溶液流延法も好ましい方
法である。これらのフィルム化方法により、ダイライン
等の欠陥が無く、また、フィルム厚みバラツキが5%以
下と小さく、位相差の小さい、光学的に等方なグルタル
イミド系樹脂フィルムを得ることができる。
【0072】溶液流延法に用いることのできる溶剤は、
公知の溶剤から選択される。塩化メチレンやトリクロロ
エタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤はグルタルイミド
樹脂Aや熱可塑性樹脂Bを溶解しやすく、また沸点も低
いため好適な溶剤の一つである。また、ジメチルホルム
アミドやジメチルアセトアミドなどの、極性の高い非ハ
ロゲン系の溶剤も用いることができる。さらに、トルエ
ン、キシレンやアニソール等の芳香族系や、ジオキサ
ン、ジオキソラン、テトラヒドロフランやピラン等の環
状エーテル系、エチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール
エーテル系、メチルエチルケトン等のケトン系、炭酸ジ
メチル等の炭酸エステル系の溶剤も使用可能である。こ
れら溶剤は相互に混合して用いることもでき、また、ア
ルコール等の非溶剤を混合して、溶剤の蒸発速度を制御
することも、表面性の優れたフィルムを得るためには好
ましい方法である。
【0073】溶液流延法によりフィルム化する場合、本
発明に関わるグルタルイミド樹脂A及び熱可塑性樹脂B
を前記溶剤に溶解したのち、支持体に流延乾燥し、フィ
ルムとする。溶解に先立ち、予め両樹脂を熱溶融混練し
ペレットなどに成形した後、溶剤に溶解してもかまわな
い。好ましい支持体としては、ステンレスのエンドレス
ベルトや、ポリイミドフィルムや二軸延伸ポリエチレン
テレフタレートフィルム等のような、フィルムを用いる
ことが出来る。
【0074】該フィルムは、支持体上で残存溶剤量が1
%以下になるまで乾燥することも可能であるが、必要に
応じて、フィルムが自己支持性を有するまでに溶剤を乾
燥した後、フィルムを支持体から剥離し、更に乾燥する
ことも可能である。フィルムの乾燥は、一般には、フロ
ート法や、テンターあるいはロール搬送法が利用でき
る。
【0075】また、フィルムの位相差値は、10nm以
下が好ましく、より好ましくは5nm以下である。フィ
ルムの面内位相差のみならず、厚み方向の位相差を制御
することも、特にフィルム位相差の視野角依存性を低減
するためには重要である。フィルム厚み方向の位相差
は、フィルム面内の最大屈折率をnx、nxと直交する
方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をn
z、フィルムの厚みをdとしたとき、|(nx+ny)
/2−nz|×dで表される。本発明フィルムは位相差
を発現しにくい為、厚み方向の位相差も小さいフィルム
を得ることができる。好ましい厚み方向の位相差は、1
00nm以下であり、より好ましくは50nm以下、更
に好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下
である。
【0076】本発明フィルムは、そのまま、あるいは各
種加工を行い、光学的等方フィルム、位相差フィルム、
偏光子保護フィルム用として、液晶表示装置周辺等の光
学的用途に好適に用いることができる。
【0077】また、グルタルイミド樹脂Aと熱可塑性樹
脂Bの組成比を適当に選択することにより、フィルムに
応力が加わり分子が配向した場合でも、すなわち、フィ
ルムを延伸した場合でも殆ど位相差が発現されない構成
とする事が可能である。このような特性を示す好ましい
組成比はグルタルイミド樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bの
種類に依存する。一般的には、使用する熱可塑性樹脂B
及びグルタルイミド樹脂Aに含まれるフェニル基モル数
Pに対するグルタルイミド樹脂A及び熱可塑性樹脂Bに
含まれるイミド基モル数Iの比(I/P比)を0.9〜
1.5、より好ましくは1.0〜1.4、更に好ましく
は、1.1〜1.3となるようにグルタルイミド樹脂A
および熱可塑性樹脂Bの組成比を選択することが好まし
い。
【0078】グルタルイミド樹脂Aとしてグルタルイミ
ド単位75重量%、イミド化可能な単位としてメタクリ
ル酸メチルエステルから構成される単位を25重量%を
有するグルタルイミド樹脂Aを、熱可塑性樹脂Bとして
アクリロニトリル−スチレン共重合体を選択した場合の
好ましい組成比は、グルタルイミド樹脂A:熱可塑性樹
脂Bが重量比で55:45〜70:30、より好ましく
は、60:40〜64:36であり、かつ、熱可塑性樹
脂B中のアクリロニトリル成分が20〜30重量%、よ
り好ましくは26〜29重量%である。この様な組成と
することにより、フィルムの平面方向の位相差が10n
m以下、好ましくは5nm以下、フィルム厚み方向の位
相差が10nm以下、好ましくは5nm以下、配向位相
差が50nm以下、好ましくは30nm以下という、実
質的に複屈折を示さず、かつ、光線透過率が85%以
上、好ましくは90%以上、ヘーズが2%以下、好まし
くは1%以下、である透明フィルムを得ることができ
る。
【0079】このようにして得られたフィルムは、通
常、機械的強度、特に繰り返しの屈曲に対する耐久性を
表す耐揉疲労が10回以下であり、引き裂き強度も10
0〜120gf/mmと小さいため、広幅のフィルムと
して工業的に扱うには、困難を伴うが、本発明者らは、
更にこのフィルムを延伸することによりこれら機械的強
度が大幅に改善されることを見いだした。グルタルイミ
ド樹脂Aと熱可塑性樹脂Bとを前記組成に保つことによ
り、延伸し引き裂き強度や耐揉疲労を改善した後も位相
差が大きくならず、工業的に取り扱いが可能であり、か
つ、充分な光学特性を有するグルタルイミド系樹脂から
なる透明フィルムを得ることが出来る。
【0080】延伸は、テンターを用いた横延伸、ロール
を用いた縦延伸や、自由端一軸延伸、及びこれらを逐次
組み合わせた、逐次二軸延伸や、縦と横を同時に延伸す
る同時二軸延伸等、公知の延伸法を用いることができ
る。
【0081】延伸温度及び延伸倍率は、得られたフィル
ムの引き裂き強度を指標として最適の値を採用すること
ができる。好ましい延伸温度の範囲は、一般には、DS
C法によって求めたフィルムのガラス転移温度をTgと
したときに、Tgの−30℃から+30℃の範囲であ
り、更に好ましくはTgの−20℃から+20℃の範囲
である。これより高い温度で延伸した場合、得られたフ
ィルムの引き裂き強度や耐揉疲労の改善が不十分であっ
たり、延伸倍率が過大になりすぎ工業的な実施が困難と
なるおそれがある。逆に、これより低い温度で延伸した
場合、延伸フィルムのヘーズが大きくなり、極端な場
合、フィルムが裂けるなどの工程上の問題を引き起こ
す。
【0082】好ましい延伸倍率は、延伸温度にも依存す
るが、1.1倍から3倍の範囲で選択される。グルタル
イミド樹脂Aと熱可塑性樹脂Bがすでに述べた好ましい
組成範囲にあるならば、適当な延伸条件を選択すること
により、光線透過率やヘーズを低下させることなくフィ
ルムの延伸が可能であり、特に、1.3倍以上、より好
ましくは1.5倍以上延伸することにより、フィルムの
引き裂き強度が150gf/mm以上、好ましくは20
0gf/mm以上に、耐揉疲労も30回以上、好ましく
は100回以上と、その機械的強度が大幅に改善されて
いる、光線透過率が85%以上であり、ヘーズが1%以
下のフィルムを得ることができる。
【0083】フィルムの引き裂き強度や耐揉疲労は、測
定値が大きいほど好ましいが、現実的には、引き裂き強
度は10000gf/mm以下程度である。また、耐揉
疲労は、現実的には10000回以下程度である。
【0084】また、光線透過率は100%が理想的であ
るが、99%以下が現実的な数値であり、ヘーズは0%
が理想的であるが、0.1%以上が現実的な数値であ
る。
【0085】フィルムの延伸による耐揉疲労の改善は、
延伸方向への曲げに対して改善され、引き裂き強度の改
善は、延伸方向に対して直交する方向への引き裂き強度
が改善される。そのため、ロール状フィルムに於いて
は、フィルム幅方向(TD方向)の引き裂き強度が改善
されたフィルムが必要な場合は縦延伸を行い、フィルム
の機械方向(長手方向:MD方向)を改善する場合は横
延伸を適用することが好ましい。また、MD方向への曲
げに対する耐揉疲労を改善するには縦延伸が好ましく、
TD方向への曲げに対する耐揉疲労を改善するには横延
伸が好ましい。両方向の改善は、逐次二軸延伸又は同時
二軸延伸が好ましく、同時二軸延伸は、フィルム平面に
均一にこれら機械的特性の改善をすることができるた
め、特に好ましい。これら延伸の際に、二軸方向の延伸
を調整し、それぞれの延伸による位相差を相殺すること
により面内位相差を低く抑えることも可能である。本明
細書中では、フィルムの面内の少なくとも1つの方向で
上述した耐揉疲労が得られれば、そのフィルムはその耐
揉疲労を有するという。フィルム面内の互いに直交する
2つの方向において、上記の良好な耐揉疲労を有するこ
とが好ましい。また、本明細書中では、フィルムの面内
の少なくとも1つの方向で上述した引き裂き強度が得ら
れれば、そのフィルムはその引き裂き強度を有するとい
う。フィルム面内の互いに直交する2つの方向におい
て、上記好ましい引き裂き強度を有することがより好ま
しい。
【0086】このようにして得られた本発明の延伸フィ
ルムは、フィルムの平面方向の位相差が10nm以下で
ある。フィルムの平面方向の位相差が10nmを越える
と液晶表示装置において位相差に起因した光漏れなどに
よる画質悪化やコントラスト低下の原因となる。フィル
ムの平面方向の位相差は、より好ましくは5nm以下で
ある。また、本発明の延伸フィルムは、厚み方向の位相
差が100nm以下、好ましくは50nm以下であり、
より好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以
下のフィルムを得ることができる。
【0087】本発明フィルムの厚みは、20μmから3
00μmであり、好ましくは30μmから200μm、
より好ましくは50μmから100μmである。フィル
ムの光線透過率は、85%以上が好ましく、より好まし
くは、90%以上である。また、フィルムへーズは2%
以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。
【0088】本発明フィルムは、必要に応じて少量の可
塑剤や熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等の加工性改良
剤、あるいは、フィラーなどの公知の添加剤やその他の
重合体を含有していてもかまわない。特にグルタルイミ
ド樹脂Aのイミド含有率が50重量%以上と高くなった
場合、得られるフィルムは硬く脆くなるため、フィルム
の応力白化や裂けを防止する目的で可塑剤を加えること
は有効である。
【0089】好ましい可塑剤を例示すると、フタル酸系
可塑剤としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチ
ル、フタル酸ジ−n−エチルヘキシル、フタル酸ジイソ
オクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−n
−デシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−ド
デシル、フタル酸ジイソトリデシル、フタル酸ジシクロ
ヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−2−
エチルヘキシル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシ
ル、脂肪族二塩基酸系可塑剤としては、アジピン酸ジ−
n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキ
シル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチル
ヘキシル、リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸ト
リブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸−
2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジール、エポキシ
系可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化トー
ル油脂肪酸−2−エチルヘキシル、脂肪酸エステル系可
塑剤としては、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチ
ル、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸メチル、高分子系
添加剤としては、ポリエチレングリコールジメチルエー
テル、ポリエチレングリコール安息香酸エステル、エス
テル基を含有する高分子化合物(アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸などの2塩基酸と1,2−プロピレングリ
コール、1,3−プロピレングリコールなどの重縮合
物)などが挙げられる。これら添加剤の中でも、芳香族
基を含まない、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸
ジイソデシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ア
ゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチ
ル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸トリブ
チル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸−2−
エチルヘキシル、リン酸トリクレジール、エポキシ化大
豆油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシ
ル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチル、塩素化パ
ラフィン、塩素化脂肪酸メチル、ポリエチレングリコー
ルジメチルエーテル、あるいはエステル基を含有する高
分子化合物(アジピン酸、セバシン酸などの2塩基酸と
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコールなどの重縮合物)などの可塑剤が、得られたフ
ィルムの位相差を悪化させないため好ましい。これらの
可塑剤は、上記のフィルム100重量部に対して20重
量部以下の範囲で添加される。20重量部を超えると、
連続的にロールフィルムを延伸する際の位相差値の安定
性を損なうおそれがあるため、好ましくない。
【0090】また、フィルムの滑り性を改善する目的で
フィラーを含有させても良い。フィラーとして、無機ま
たは有機の微粒子を用いることができる。無機微粒子の
例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニ
ウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物微粒子、焼成
ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アル
ミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩微粒子、
炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、およ
びリン酸カルシウムなどを用いることが出来る。有機微
粒子としては、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリ
ル系樹脂、架橋スチレン系樹脂などの樹脂微粒子を用い
ることができる。
【0091】本発明フィルムに紫外線吸収剤を含有させ
ることにより本発明フィルムの耐候性を向上する他、本
発明フィルムを用いる偏光フィルムや液晶表示装置の耐
久性も改善することができ実用上好ましい。紫外線吸収
剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−p−クレゾール、2−ベンゾトリアゾール−2−
イル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール等のベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル
−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキ
シル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線
吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸
収剤等が挙げられ、また、2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾ
エート等のベンゾエート系光安定剤やビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等
のヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤も使用でき
る。
【0092】本発明フィルムは、通常その表面エネルギ
ーが50dyne/cm以下の値を示す。フィルムの表
面エネルギーは、公知の方法にて測定することができ
る。その詳細は、D.K.Owens,Journal
of Applied Polymer Scien
ce,vol13,1741頁(1969年)などに、
記載されている。このような、低い表面エネルギーを示
す表面に接着剤や粘着剤を介して他のフィルムやガラス
を貼合した場合、十分な接着強度や粘着強度を得ること
ができず、容易に剥離してしまう。また、初期強度は得
られたとしても、長期の使用により環境条件の遅速はあ
っても接着強度あるいは粘着強度が低下することにより
剥離しやすくなるという問題点がある。上記フィルムを
コロナ放電処理や火花処理などの電気的処理、低圧また
は常圧下でのプラズマ処理、オゾンの存在下または非存
在下での紫外線照射処理、クロム酸等による酸処理、火
焔処理、シラン系やチタン系などのプライマー処理など
の公知の表面活性化処理を行うことにより、容易に50
dyne/cmを安定的に超える、本発明フィルムとす
ることができる。
【0093】コロナ放電処理の程度は、下記式(II)で
表される放電量で制御する事ができる。
【0094】 H=P/(LS×M) (II) ここで、Hは放電量、Pは高周波電力(W)、LSはフ
ィルムの通過速度(m/min)、Mは放電幅(m)で
ある。好ましいコロナ放電処理の条件としては、10〜
500W・min/m2である。生産性を考慮すると、
放電量のより好ましい上限は、300W・min/m2
であり、更に好ましくは、100W・min/m2であ
る。また、好ましいプラズマ処理としては、雰囲気ガス
として水素、炭酸ガス、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸
素などの単一あるいは混合ガス中での常圧プラズマ処理
である。一般には、雰囲気ガスとしては、窒素やヘリウ
ムやアルゴンなどの不活性ガス中に、酸素や空気・炭酸
ガスなどの活性ガスの1種または2種以上を1%〜20
容量%混合して用いることが好ましい。また、本発明に
関わるフィルムは、驚くべき事に、アルカリ溶液中に晒
すことにより表面エネルギーを大きくすることができる
という特徴を有する。好ましくは、アルカリ成分とし
て、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化テトラ
メチルアンモニウム等を用い、溶剤として、水またはメ
チルアルコールやエチルアルコール、イソプロピルアル
コールなどのアルコール類を用い、これらを単一あるい
は混合溶液として用い、フィルム表面と接触反応させる
ことにより、フィルムの表面エネルギーを大きくするこ
とができる。
【0095】このようにして得られた表面エネルギーの
高いフィルムは、粘着剤や接着剤との親和性が高くな
り、他のフィルムやガラスと積層した場合、剥離強度が
大きく、高温高湿下においても剥離強度が大きいという
特徴を有する。好ましい表面エネルギーの値は、用いる
接着剤や粘着剤の種類によって異なるが、一般的には5
0dyne/cm以上80dyne/cm以下であり、
より好ましくは55dyne/cm以上70dyne/
cm以下である。表面エネルギーの値は、処理方法や処
理条件を適当に選択することにより調整することができ
る。
【0096】また、このようにして得られた表面エネル
ギーは、一般的には、室温に放置することにより漸次低
下し、表面処理の効果が小さくなるという性質を示す。
特にシクロオレフィン系樹脂の場合、比較例5に示すよ
うに、プラズマ処理後1日放置した後の表面エネルギー
に対して、20日後は20%程度と、大きく減少する。
このことは、最適な表面エネルギー状態を安定的に保つ
ことが困難であるということを意味し、得られた積層フ
ィルムの剥離強度にバラツキを生じるという問題点を有
する。本発明に関わる樹脂組成物からなるフィルムは、
処理効果が経時的に低下するという傾向が小さく、安定
的に最適な表面エネルギーを示すという特徴を有する。
【0097】また、本発明透明フィルムの表面には、必
要に応じハードコート層などのコーティング層を形成す
ることができる。また、本発明フィルムは、コーティン
グ層を介して、または、介さずに、スパッタリング法等
によりインジウムスズ酸化物系等の透明導電層を形成
し、プラスチック液晶表示装置の電極基板やタッチパネ
ルの電極基板として用いることもできる。該コーティン
グ層は厚み0.1μmから10μm、好ましくは1μm
から5μmの範囲で形成する事が好ましい。
【0098】好ましいコーティング層を例示すると、有
機系コーティング層としては、メラミン樹脂系、アクリ
ル樹脂系、ウレタン樹脂系、アルキド樹脂系、含フッソ
系樹脂系であり、また有機−シリコーン複合系として
は、ポリエステルポリオールやエーテル化メチロールメ
ラミンにアルキルトリアルコキシシラン、テトラアルコ
キシシランの部分加水分解物を配合したものが挙げられ
る。また、アミノシランやエポキシシランの部分加水分
解物、シランカップリング剤とアルキルトリアルコキシ
シラン・テトラアルコキシシランの部分加水分解物、コ
ロイダルシリカとアルキルトリアルコキシシランの加水
分解物等のシリコーン系材料も好適に用いることができ
る。
【0099】これらコーティング材料を本発明透明フィ
ルムの片面または両面にコーティング後、熱硬化により
耐溶剤性皮膜を有するフィルムを得ることが出来る。こ
の時、低温硬化型の触媒を同時に用いることは、好まし
くないフィルムの熱変性を抑制するために好ましい方法
である。また多官能アクリレート等のモノマーやオリゴ
マーに光増感剤を添加し、紫外線や電子線により得られ
る硬化層も好適に用いることが出来る。該コーティング
層には、必要により、各種フィラーを添加することがで
きる。好ましいフィラーとしては、ポリメタクリル酸エ
ステル系やポリアクリル酸エステル系、ポリオレフィン
系、ポリスチレン系、ジビニルベンゼン系、ベンゾグア
ナミン系、有機シリコーン系等の有機系フィラーあるい
はシリカやアルミナ、酸化チタン等の無機系フィラーが
使用可能である。一方、フィラーの添加により液晶表示
装置などの表示部位に用いた場合、表示像のギラツキ感
を与える事があり、フィラー形状、コーティング剤やコ
ーティング条件の最適化により、 JIS K 7105
の6.6記載の方法で0.125mmの光学くしを用い
て測定した透過像像鮮明度を80%以上にすることが望
ましい。
【0100】本発明透明フィルムの好ましい用途は、光
学等方フィルムであり、他の好ましい用途は、位相差フ
ィルムである。光学等方フィルムは、更に、各種用途に
応用される。このような好ましい用途の一つは、プラス
チック液晶表示装置や抵抗膜式タッチパネルの電極基板
であり、他の好ましい用途は、偏光子保護フィルムであ
る。本発明の透明フィルムを偏光子保護フィルムとして
使用する場合、延伸されたポリビニルアルコールのフィ
ルムにヨウ素や染料を含有させた偏光子に適当な接着剤
を用いて貼合し、偏光板とすることが出来る。接着剤の
種類にも依存するが、表面処理を施した本発明フィルム
は、ポリビニルアルコールとの接着強度を、50Kg/
cm2以上、好ましくは200Kg/cm2以上とするこ
とが可能である。特に、本発明フィルムは、適度な水蒸
気透過率を有するため、ポリビニルアルコール系樹脂や
ウレタン系樹脂からなる水系接着剤も好適に用いること
ができる。また、他の好ましい用途は、書き換え可能な
高密度記録媒体用の支持基板あるいは記録層の保護フィ
ルムである。これらの詳細については、日経マイクロデ
バイス(日本経済新聞社発行)2000年7月17日号
155頁に記載されている。
【0101】
【実施例】実施例および比較例に示される各物性値の測
定方法を以下に示す。
【0102】<グルタルイミドポリマー中の酸、酸無水
物含量の定量> (1)ポリマーの滴定:塩化メチレン(37.5ml)に
グルタルイミドポリマー(0.3g)を溶解させた後、
メタノール(37.5ml)を添加する。この溶液にフ
ェノールフタレイン/エタノール溶液(1重量%)を2
滴添加する。0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(5m
l)を添加し、1時間攪拌する。この溶液を0.1N−
塩酸を用いて滴定する。溶液の赤紫色が消失するまでに
添加した0.1N−塩酸の添加量をAmlとする。 (2)ブランクの滴定:塩化メチレン(37.5ml)/
メタノール(37.5ml)にフェノールフタレイン/
エタノール溶液(1重量%)を2滴添加する。これに
0.1N−水酸化ナトリウム水溶液(5ml)を添加
し、0.1N−塩酸を用いて滴定する。溶液の赤紫色が
消失するまでに添加した0.1N−塩酸の添加量をBm
lとする。 (3)樹脂グラム中の酸、酸無水物含量C(ミリ当量/
g)は次式で求められる。 C=0.1×(5−A−B)/0.3
【0103】<赤外スペクトル> パーキン・エルマー
(PERKIN ELMER)社製スペクトラムワン
(Spectrum One)で測定した。
【0104】<ヘイズ> JIS K7105−198
1の6.4記載の方法により測定した。
【0105】<ガラス転移温度> JIS K7121
に準拠し、セイコー電子製の示差走査熱量計(DSC)
を用いて測定した。すなわち、試料10mgをDSC装
置にセットし、この試料を室温より10℃/分で昇温
し、ガラス転移温度を測定した。
【0106】<残存揮発分> サンプルを一定量秤量
し、島津製作所製の熱重量分析計(TGA−50)を用
い、室温より20℃/分の昇温速度で200℃まで加熱
し、初期の重量に対する加熱減量の割合により残存揮発
分を求めた。
【0107】<光線透過率> JIS K7105−1
981の5.5記載の方法により550nmの光を用い
て測定した。
【0108】<位相差> 顕微偏光分光光度計(オーク
製作所:TFM−120AFT)を用い、測定波長55
0nmで測定した。
【0109】<厚み方向の位相差> 顕微偏光分光光度
計(オーク製作所:TFM−120AFT)を用い、5
50nmの測定波長で位相差の角度依存性を測定し、n
x、ny、nzを求める。別途フィルムの厚みを測定
し、下式を用いて厚み方向の位相差を計算する。 厚み方向の位相差=|(nx+ny)/2−nz|×d
【0110】<配向位相差> 幅5cm、長さ25cm
のフィルムを、両短辺を保持してガラス転移温度にて1
分保ち、1.5倍に長さ方向へ0.2m/分の速度で一
軸に延伸した。その後、得られたフィルムを冷却し、サ
ンプル中央部の位相差を測定した。また、別途フィルム
の厚みを測定し、フィルム厚み100μmに換算した時
の位相差を計算し、配向位相差とした。
【0111】<光弾性係数> フィルムの複屈折は顕微
偏光分光光度計(オーク製作所製TFM−120AFT
−PC)により測定した。光軸方向に幅1cmの短冊に
切断したフィルムの一方を固定し、他方に50g、10
0g、150gの加重をかけ、単位応力による複屈折率
の変化量を算出する。
【0112】<引き裂き強度> 島津製作所製のオート
グラフを使用してJIS K7128(トラウザー法)
に従い測定した。尚、測定は引張速度が200mm/分
で行っい、平均厚み50±5μmのフィルムを使用し
た。 <耐揉疲労> 東洋精機製作所社製、MIT耐揉疲労試
験機(FOLDINGENDURANCE TESTE
R)D型を使用し、JIS C5016に準拠して測定
した。尚、測定は、幅15mm、長さ200mmのサン
プルを使用し、測定の方向は折り曲げの方向を表記し
た。
【0113】(参考例1)N−メチルグルタルイミド−
メチルメタクリレート共重合体(N−メチルグルタルイ
ミド含量75重量%)の酸、酸無水物含量は0.73ミ
リ当量/gであった。またこの共重合体の赤外スペクト
ルを測定すると1801と1759cm-1に酸、酸無水
物に基づく吸収が観測された(図1)。
【0114】(比較例1)参考例1の酸、酸無水物含量
0.73ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミド−メ
チルメタクリレート共重合体/アクリロニトリル−スチ
レン共重合体(アクリロニトリル含量29重量%)=7
/3(重量比)を塩化メチレンに溶解して18重量%の
ドープを調製した。このドープを2軸延伸PETフィル
ムにバーコーターを用いてキャストした後、室温で15
分、オーブンを用いて80℃で1時間、120℃で2時
間乾燥してフィルムを得た。このフィルムのヘイズは6
2%であった。
【0115】(実施例1)参考例1の酸、酸無水物含量
0.73ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミド−メ
チルメタクリレート共重合体:30gをジメチルホルム
アミド(270g)に70℃で溶解させた後、液温を2
0℃まで下げた。20℃において、この溶液にヨウ化メ
チル(3.1g、酸、酸無水物含量に対して1当量)を
添加し、さらに水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム
/メタノール溶液(10%、28.4g、酸、酸無水物
含量に対して0.5当量)を添加した。1時間後、反応
液をメタノール(1000ml)に投入し、ポリマーを
沈殿させた。この沈殿物を濾別し、乾燥させて21gの
ポリマーを得た。このポリマーの酸、酸無水物含量を定
量すると0.27ミリ当量/g(初期の37.0%)ま
で低下していた。
【0116】(実施例2)実施例1で得た酸、酸無水物
含量が0.27ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミ
ド−メチルメタクリレート共重合体/アクリロニトリル
−スチレン共重合体(アクリロニトリル含量29重量
%)=7/3(重量比)を塩化メチレンに溶解して18
重量%のドープを調製した。このドープを2軸延伸PE
Tフィルムにバーコーターを用いてキャストした後、室
温で15分、オーブンを用いて80℃で1時間、120
℃で2時間乾燥してフィルムを得た。このフィルムのヘ
イズは0.4%であった。
【0117】(実施例3)参考例1の酸、酸無水物含量
0.73ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミド−メ
チルメタクリレート共重合体:30gをジメチルホルム
アミド(270g)に70℃で溶解させた後、液温を2
0℃まで下げた。20℃において、この溶液にヨウ化メ
チル(4.6g、酸、酸無水物含量に対して1.5当
量)を添加し、さらに水酸化テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム/メタノール溶液(10%、42.6g、酸、酸
無水物含量に対して0.75当量)を添加した。1時間
後、反応液をメタノール(1000ml)に投入し、ポ
リマーを沈殿させた。この沈殿物を濾別し、乾燥させて
20gのポリマーを得た。このポリマーの酸、酸無水物
含量を定量すると0.15ミリ当量/g(初期の20.
5%)まで低下していた。またこのポリマーの赤外スペ
クトルを測定すると1801と1759cm-1の酸、酸
無水物に基づく吸収が参考例1のそれよりも減少した
(図2)。
【0118】(実施例4)実施例3で得た酸、酸無水物
含量が0.15ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミ
ド−メチルメタクリレート共重合体/アクリロニトリル
−スチレン共重合体(アクリロニトリル含量29重量
%)=7/3(重量比)を塩化メチレンに溶解して18
重量%のドープを調製した。このドープを2軸延伸PE
Tフィルムにバーコーターを用いてキャストした後、室
温で15分、オーブンを用いて80℃で1時間、120
℃で2時間乾燥してフィルムを得た。このフィルムのヘ
イズは0.2%であった。
【0119】(実施例4−1)実施例3で得た酸、酸無
水物含量が0.15ミリ当量/gのN−メチルグルタル
イミド−メチルメタクリレート共重合体(ガラス転移温
度150℃)85重量%と、アクリロニトリル及びスチ
レンの含量がそれぞれ28重量%、72重量%であるス
チレンとアクリロニトリルからなる共重合体15重量%
を、塩化メチレンに固形分濃度15重量%になるように
溶解し、ガラス板上に敷いた二軸延伸PETフィルム上
に流延し室温で60分放置した。その後フィルムを剥
し、4片固定治具に挟んで、100℃で10分間、さら
に140℃で10分間乾燥を行って厚さ53μmのフィ
ルムを得た。このフィルムは、残存揮発分が0.8%で
あり、ガラス転移温度は140℃であった。フィルムの
光弾性係数は6×10-13cm2 /dynであった。こ
のフィルムから30cm×10cmのサンプルフィルム
を切り取り、延伸試験装置(東洋精機製作所、X4HD
−HT)を用いて延伸速度10cm/分、延伸倍率1.
5倍、延伸温度140℃の条件でサンプルフィルムの長
手方向へ自由端縦一軸で延伸した結果、フィルム厚さ4
0μm、位相差102nmのフィルムを得た。このフィ
ルムの配向位相差は256nmであった。
【0120】(実施例4−2〜実施例4−6・比較例2
〜3)実施例4−1と同様のグルタルイミド樹脂および
スチレン−アクリロニトリル共重合体を用い、それぞれ
所定量を含む、固形分濃度が15重量%になるような塩
化メチレン溶液を調整し、実施例4−1同様にしてフィ
ルムを得た。
【0121】このフィルムを実施例4−1と同様にし
て、ガラス転移温度にて延伸倍率1.5倍でサンプルフ
ィルムの長手方向へ自由端縦一軸で延伸した。
【0122】実施例4−1〜実施例4−6、比較例2〜
3で得られたフィルムの特性値を表1に示した。
【0123】
【表1】
【0124】(比較例4)ビスフェノール成分としてビ
スフェノールAからなるポリカーボネート(帝人化成株
式会社 C−1400、ガラス転移温度149℃)を塩
化メチレン溶液に濃度15重量%になるように溶解し、
ガラス板上に流延し室温で60分放置後フィルムを剥
し、4片固定治具に挟んで、100℃で10分間、さら
に120℃で10分間乾燥を行って厚さ約80μmのフ
ィルムを得た。このフィルムの位相差値は21nm、光
線透過率は90%、ヘイズは0.3%であった。このフ
ィルムの配向位相差は約1400nmを示した。
【0125】(実施例4−7)実施例4−1で用いたグ
ルタルイミド樹脂(N−メチルグルタルイミド含量75
重量%、ガラス転移温度150℃)64重量%と、スチ
レン−アクリロニトリル共重合体36重量%(I/P比
=1.15)を、塩化メチレン溶液に固形分濃度15重
量%になるように溶解し、ガラス板上に敷いた二軸延伸
PETフィルム上に流延し室温で60分放置した。その
後フィルムを剥し、4片固定治具に挟んで、100℃で
10分間、更に140℃で10分間、160℃で30分
間乾燥を行って厚さ約100μmのフィルムを得た。こ
のフィルムのフィルム平面方向の位相差は3nm、厚み
方向の位相差は2nm、光線透過率は92%、ヘーズは
0.3%であった。また、ガラス転移温度は135℃、
耐揉疲労はTD方向(流延方向または機械の流れ方向)
が6回、MD方向(MD方向に直交する方向)が7回、
引き裂き強度は、MD方向が85gf/mm、TD方向
が82gf/mmであった。
【0126】(実施例4−8)実施例4−7と同様の方
法で作成したフィルムを、MD方向に160℃で1.5
倍に延伸した。このフィルムのヘーズは0.4%、フィ
ルムの平面方向の位相差は5nm、厚み方向の位相差は
4nmであり、耐揉疲労はTD方向が5回、MD方向が
72回、引き裂き強度は、MD方向が62gf/mm、
TD方向が177gf/mmであった。
【0127】(実施例4−9)実施例4−7と同様の方
法で作成したフィルムを、MD方向に160℃で1.5
倍延伸した後に、TD方向に160℃で1.5倍延伸し
た。このフィルムのヘーズは0.4%、フィルムの平面
方向の位相差は2nm、厚み方向の位相差は4nmであ
り、耐揉疲労はTD方向が210回、MD方向が190
回、引き裂き強度は、MD方向が161gf/mm、T
D方向が158gf/mmであった。
【0128】(実施例4−10)実施例4−1で用い
た、グルタルイミド樹脂64重量%とスチレン−アクリ
ロニトリル共重合体36重量%(I/P比=1.15)
を、溶融混練しペレットとした。このペレットを用い、
Tダイ溶融押出機に供給して、厚さ100μmのフィル
ムを得た。このフィルムの位相差値は2nm、配向位相
差は19nm、光線透過率は92%、ヘイズは0.7%
であり、耐揉疲労はTD方向が7回、MD方向が9回、
引き裂き強度は、MD方向が123gf/mm、TD方
向が120gf/mmであった。このフィルムのガラス
転移温度は137℃であった。また、フィルムの光弾性
係数は6×10-13cm2/dyneであった。
【0129】(実施例4−11)実施例10で得られた
フィルムを、MD方向に160℃で1.7倍に延伸し
た。このフィルムを用い、25cmの長さの放電バーを
用い、40V、3A、ラインスピード1m/分でコロナ
処理を行った。得られたフィルムのヘーズは0.4%、
フィルムの平面方向の位相差は3nm、厚み方向の位相
差は4nmであり、耐揉疲労はTD方向が5回、MD方
向が83回、引き裂き強度は、MD方向が70gf/m
m、TD方向が197gf/mmであった。コロナ処理
した後3日放置したフィルムの表面エネルギーは56d
yne/cmであった。一方コロナ処理前のフィルム表
面は46dyne/cmであった。このフィルムを室温
にて長時間放置したところ、10日後で54dyne/
cm、20日後で54dyne/cm、70日後で53
dyne/cmと安定した表面エネルギーを示した。
【0130】(実施例4−12)実施例4−10と同様
の方法で作成した未延伸フィルムを、MD方向に160
℃で1.7倍延伸した後に、TD方向に160℃で1.
8倍延伸した。このフィルムを用い、5kHz−150
wの高周波電源を用い、2%の酸素を含むアルゴン−ヘ
リウム等容量混合ガスの常圧プラズマ化で10秒間フィ
ルムを処理した。このフィルムのヘーズは0.4%、フ
ィルムの平面方向の位相差は1nm、厚み方向の位相差
は3nmであり、耐揉疲労はTD方向が190回、MD
方向が215回、引き裂き強度は、MD方向が171g
f/mm、TD方向が173gf/mmであった。得ら
れたフィルムを3日放置した後のフィルムの表面エネル
ギーは59dyne/cmであった。一方、処理前のフ
ィルム表面は46dyne/cmであった。このフィル
ムを室温にて長時間放置したところ、10日後で57d
yne/cm、20日後で55dyne/cm、70日
後で54dyne/cmと安定した表面エネルギーを示
した。
【0131】(比較例5)シクロオレフィン系樹脂とし
て、日本ゼオン製ゼオノア1420Rのキシレン溶液
(固形分濃度35重量%)を調整して、ドープとした。
該ドープをバーコーターを用いて、二軸延伸ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上にキャストし、室温で60
分間放置後、さらに80℃で12時間乾燥させて、フィ
ルムを得た(Tg=127℃)。
【0132】ゼオノアフィルムをMD方向に150℃で
1.5倍延伸した。このフィルムのヘーズは0.4%、
フィルムの平面方向の位相差が38nm、厚み方向の位
相差が66nmであり、耐揉疲労はTD方向が216
回、MD方向が389回、引き裂き強度は、MD方向が
178gf/mm、TD方向が210gf/mmであっ
た。また、フィルムの光弾性係数は5×10―13cm2
/dyneであった。このフィルムを用い、実施例2と
同様にプラズマ処理を行った。得られたフィルムの処理
3日後の表面エネルギーは54dyne/cmであっ
た。一方、処理前のフィルム表面は42dyne/cm
であった。このフィルムを室温にて長時間放置したとこ
ろ、10日後で47dyne/cm、20日後で45y
ne/cm、70日後で44dyne/cmと表面エネ
ルギーの低下が著しかった。
【0133】実施例4−7〜実施例4−12、比較例5
で得られたフィルムの特性値を表2に示した。
【0134】
【表2】
【0135】(実施例4−13)実施例4−10に従い
幅450mm長さ200mロールフィルムを得た。この
ロールフィルムを用い、ロール間距離が1cmの6本ロ
ールにより、150℃にて2倍の縦延伸を行った。得ら
れたフィルムを更にテンターにより、150℃にて2倍
延伸した。このフィルムの片面に、50μmの、ポリエ
チレンと部分鹸化した酢酸ビニルの共押出フィルムを保
護フィルムとして貼合した。更に、5kHz−4kwの
高周波電源を用い、2%の酸素を含むアルゴン−ヘリウ
ム等容量混合ガスの常圧プラズマ中を、ラインスピード
1.8m/minでフィルムを通過させ、フィルム片面
の表面処理を行った。このフィルムのヘーズは0.4
%、フィルムの平面方向の位相差は1nm、厚み方向の
位相差は1nmであり、耐揉疲労はTD方向が112
回、MD方向が145回、引き裂き強度は、MD方向が
252gf/mm、TD方向が194gf/mmであっ
た。得られたフィルムを3日放置した後のフィルムの表
面エネルギーは60dyne/cmであった。一方、処
理前のフィルム表面は46dyne/cmであった。こ
のフィルムを室温にて長時間放置したところ、10日後
で55dyne/cm、20日後で54dyne/c
m、70日後で54dyne/cmと安定した表面エネ
ルギーを示した。
【0136】(実施例4−14)実施例4−9で得られ
たフィルムを用い、実施例4−12に従いフィルム表面
のコロナ処理を行った。得られたフィルムのヘーズは
0.5%、フィルムの平面方向の位相差は4nm、厚み
方向の位相差は28nmであり、処理後のフィルムの機
械的な強度は処理前と同等だった。得られたフィルムを
3日放置した後のフィルムの表面エネルギーは58dy
ne/cmであった。一方、処理前のフィルム表面は4
6dyne/cmであった。このフィルムを室温にて長
時間放置したところ、10日後で54dyne/cm、
20日後で53dyne/cm、70日後で52dyn
e/cmと安定した表面エネルギーを示した。
【0137】(実施例5)参考例1の酸、酸無水物含量
0.73ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミド−メ
チルメタクリレート共重合体:30gをジメチルホルム
アミド(270g)に70℃で溶解させた後、液温を2
0℃まで下げた。20℃において、この溶液にヨウ化メ
チル(6.2g、酸、酸無水物含量に対して2.0当
量)を添加し、さらに水酸化テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム/メタノール溶液(10%、56.8g、酸、酸
無水物含量に対して1.0当量)を添加した。1時間
後、反応液をメタノール(1000ml)に投入し、ポ
リマーを沈殿させた。この沈殿物を濾別し、乾燥させて
20gのポリマーを得た。このポリマーの酸、酸無水物
含量を定量すると0.00ミリ当量/g(初期の0%)
まで低下していた。またこのポリマーの赤外スペクトル
を測定すると1801と1759cm-1の酸、酸無水物
に基づく吸収が参考例1のそれよりも減少した(図
3)。
【0138】(実施例6)実施例5で得た酸、酸無水物
含量が0.00ミリ当量/gのN−メチルグルタルイミ
ド−メチルメタクリレート共重合体/アクリロニトリル
−スチレン共重合体(アクリロニトリル含量29重量
%)=7/3(重量比)を塩化メチレンに溶解して18
重量%のドープを調製した。このドープを2軸延伸PE
Tフィルムにバーコーターを用いてキャストした後、室
温で15分、オーブンを用いて80℃で1時間、120
℃で2時間乾燥してフィルムを得た。このフィルムのヘ
イズは0.2%であった。
【0139】
【発明の効果】本発明により、従来より穏和な温度にお
いて、しかも短時間で酸および酸無水物が低減されたポ
リグルタルイミド樹脂を製造することができる。
【0140】さらに、 本発明の透明フィルムは、特定
の構造と組成を有する重合体を用いることにより、低位
相差で、かつ、分子の配向による位相差も生じにくい光
学フィルムを与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1におけるN−メチルグルタルイミド−
メチルメタクリレート共重合体(酸、酸無水物含量0.
73ミリ当量/g)のIRスペクトル
【図2】実施例3におけるN−メチルグルタルイミド−
メチルメタクリレート共重合体(酸、酸無水物含量0.
15ミリ当量/g)のIRスペクトル
【図3】実施例5におけるN−メチルグルタルイミド−
メチルメタクリレート共重合体(酸、酸無水物含量0.
00ミリ当量/g)のIRスペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AB13 AB14 DA19 4F071 AA22X AA34X AA78 AF16Y AF30 AF35 AH19 BA02 BB02 BB07 BC01 BC12 4J002 BC042 BC062 BG031 BG092 BG102 GP00 4J100 AL01P AL02P BC66H CA01 CA31 GC35 HA44 HA61 HC43

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表されるグルタルイミド単
    位と、 【化1】 (但し、式中、R1、R2、R3は独立に水素または炭素
    数1〜12個の非置換のまたは置換のアルキル基、アリ
    ール基である。)下記式(2)で表されるイミド化可能
    な単位、 【化2】 (但し、式中、R4は独立に水素または炭素数1〜12
    個の非置換のまたは置換のアルキル基、アリール基であ
    り、R5は独立に炭素数1〜12個のアルコキシ基、ア
    リルオキシ基である。)を繰り返し単位として含むポリ
    グルタルイミド樹脂を、水酸化テトラアルキルアンモニ
    ウムおよびハロゲン化アルキルで処理することにより、
    酸および酸無水物含量を初期値の0〜99%に低減する
    工程を含む、ポリグルタルイミド樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 水酸化テトラアルキルアンモニウムが水
    酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムである、請求項1
    記載のポリグルタルイミド樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化アルキルがヨウ化アルキルで
    ある、請求項1または請求項2に記載のポリグルタルイ
    ミド樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の製造方法によって得られる、酸および酸無水物の含
    量が樹脂1g当たり0.5ミリ当量以下のポリグルタル
    イミド樹脂。
  5. 【請求項5】 前記式(1)で示される繰り返し単位を
    20重量%以上含有する、請求項4に記載のポリグルタ
    ルイミド樹脂。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載のポリグ
    ルタルイミド樹脂(以下、グルタルイミド樹脂Aと表
    す。)、および、側鎖に少なくとも置換または非置換フ
    ェニル基及びニトリル基を有する熱可塑性樹脂B、を含
    有し、フィルム厚みが500μm以下で、位相差値が1
    0nm以下で、光線透過率が85%以上、ヘーズが2%
    以下であることを特徴とする透明フィルム。
  7. 【請求項7】 少なくとも一軸方向に延伸されているこ
    とを特徴とする請求項6記載の透明フィルム
  8. 【請求項8】 配向位相差が300nm以下であること
    を特徴とする請求項6または7記載の透明フィルム。
  9. 【請求項9】 耐揉疲労が30回以上であることを特徴
    とする、請求項6または7記載の透明フィルム
  10. 【請求項10】 引き裂き強度が150gf/mm以上
    であることを特徴とする、請求項6または7記載の透明
    フィルム。
  11. 【請求項11】 少なくとも片面の表面エネルギーが5
    0dyne/cm以上である事を特徴とする請求項6ま
    たは7記載の透明フィルム。
  12. 【請求項12】 フィルム厚み方向の位相差が100n
    m以下であることを特徴とする請求項6または7記載の
    透明フィルム。
  13. 【請求項13】 グルタルイミド樹脂Aの含有量が50
    重量%から90重量%であることを特徴とする請求項6
    ないし12のいずれかに記載の透明フィルム。
  14. 【請求項14】 熱可塑性樹脂Bにおける置換または非
    置換アクリロニトリル成分が20重量%から50重量%
    であり、置換または非置換スチレン成分が50重量%か
    ら80重量%であることを特徴とする請求項6ないし1
    2のいずれかに記載の透明フィルム。
  15. 【請求項15】 請求項6ないし14のいずれか1項に
    記載の透明フィルムを用いたことを特徴とする偏光子保
    護フィルム
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の偏光子保護フィル
    ムを用いることを特徴とする偏光フィルム
  17. 【請求項17】 請求項6ないし16のいずれか1項に
    記載のフィルムを用いた事を特徴とする液晶表示装置。
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