JP2002338622A - 部分ポリフルオロ炭化水素基含有ポリマー - Google Patents

部分ポリフルオロ炭化水素基含有ポリマー

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JP2002338622A JP2001151228A JP2001151228A JP2002338622A JP 2002338622 A JP2002338622 A JP 2002338622A JP 2001151228 A JP2001151228 A JP 2001151228A JP 2001151228 A JP2001151228 A JP 2001151228A JP 2002338622 A JP2002338622 A JP 2002338622A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、両末端にのみポリフルオロ炭化水素
基を部分的に有するポリマー以外の新規なポリマーを提
供すると共に、より優れた表面特性を有する表面処理剤
を提供することを目的とする。 【解決手段】アニオンリビング重合により得られたアニ
オン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオ
ン末端と反応することができる共役二重結合を有し、分
子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有
する化合物を反応させて生成したアニオンに対して、ア
ニオンに対して反応性を有する2以上の官能基を有する
化合物を反応させ、さらに、(1)分子内にポリフルオ
ロ炭化水素基を導入できる官能基を有するアニオン、
(2)アニオンリビング重合により得られるアニオン末
端、(3)アニオンリビング重合により得られたアニオ
ン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオン
と反応することができる共役二重結合を有し、分子内に
ポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有する化
合物を反応させて生成したアニオン、のいずれかを反応
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー鎖中に部
分的にフルオロアルキル基を有する新規なポリマー及び
その製造方法、さらには、それら新規ポリマーを含むコ
ーティング組成物または撥水撥油構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリマー鎖中に部分的にフルオロアルキ
ル基を有するポリマーとして、例えば特開2000−2
56302号公報には、一般式
【0003】
【化3】
【0004】(式中、Rfは酸素原子が介在していても
よく、塩素原子で置換されていてもよいフルオロ飽和炭
化水素基を、A−ZはZ置換ビニル系モノマー単位〔こ
こで、Zは−CO21及び−CONR23(ここで、R
1及びR2は同一であるかあるいは互いに異なる、ブロッ
ク化されていてもよいイソシアネート基含有炭化水素基
を、R3は水素原子、炭化水素基、又はR1又はR2と同
一であるかあるいは互いに異なる、ブロック化されてい
てもよいイソシアネート基含有炭化水素基をそれぞれ示
し、場合によりこれらイソシアネート基含有炭化水素基
はウレタン結合、酸素原子又は窒素原子が介在していて
もよい)の中から選ばれた少なくとも1種の基を示す〕
を、Bは置換されていてもよいビニル系モノマー単位
を、nは1〜5000を、mは0〜5000をそれぞれ
示す。)で表わされるフルオロ飽和炭化水素基含有化合
物が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ポリマー
は、その製造方法から両末端にフルオロアルキル基を有
する構造しか取り得ず、しかも、水またはドデカンに対
する接触角は満足のいくものではなかった。本発明は、
両末端にのみポリフルオロ炭化水素基を部分的に有する
ポリマー以外の新規なポリマーを提供すると共に、より
優れた表面特性を有する表面処理剤を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリマー鎖の一方の末
端、ポリマー鎖内等に特定の数のポリフルオロ炭化水素
基を有するポリマーを製造する方法を開発し、その方法
によって得られたポリマーが特異的に従来よりも優れた
特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、(1)フッ素原子を
含まないモノマーを重合して得られるポリマー鎖の末端
または内部に2〜10のポリフルオロ炭化水素基を含有
することを特徴とするポリマー、(2)フッ素原子を含
まないモノマーを重合して得られるポリマー鎖の一方の
末端に1〜10のポリフルオロ炭化水素基を含有するこ
とを特徴とするポリマー、(3)重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が1.
01〜2.50であることを特徴とする(1)または
(2)に記載のポリマー、(4)重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が、
1.01〜1.50であることを特徴とする(1)また
は(2)に記載のポリマー、(5)フッ素原子を含まな
いモノマーを重合して得られるポリマー鎖の末端に1〜
10のポリフルオロ炭化水素基を含有するポリマーであ
って、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比(Mw/Mn)が1.01〜1.40であることを
特徴とするポリマー、(6)フッ素原子を含まないモノ
マーを重合して得られるポリマー鎖が、式(I)
【化4】 (式中、R1は、水素原子またはC1〜C6のアルキル
基を表し、Xは、無置換または置換アリール基、無置換
または置換ヘテロアリール基、無置換または置換ビニル
基、C1〜C20炭化水素オキシカルボニル基を表
す。)で表される繰り返し単位からなることを特徴とす
る(1)〜(5)のいずれかに記載のポリマー、(7)
数平均分子量が1000〜100,000であることを
特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のポリマ
ー、(8)アニオンリビング重合により得られたアニオ
ン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオン
末端と反応することができる共役二重結合を有し、分子
内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有す
る化合物を反応させることを特徴とする(1)〜(7)
のいずれかに記載のポリマーの製造方法、(9)アニオ
ンリビング重合により得られたアニオン末端に対して、
自己重合する能力がないが、アニオン末端と反応するこ
とができる共役二重結合を有し、分子内にポリフルオロ
炭化水素基を導入できる官能基を有する化合物を反応さ
せて生成したアニオンに対して、分子内にポリフルオロ
炭化水素基を導入できる官能基を有し、かつ該アニオン
と反応することができる官能基を有する化合物を反応さ
せること特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の
ポリマーの製造方法、(10)アニオンリビング重合に
より得られたアニオン末端に対して、自己重合する能力
がないが、アニオン末端と反応することができる共役二
重結合を有し、分子内にポリフルオロ炭化水素基を導入
できる官能基を有する化合物を反応させて生成したアニ
オンに対して、アニオンに対して反応性を有する2以上
の官能基を有する化合物を反応させ、さらに、(1)分
子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有
するアニオン、(2)アニオンリビング重合により得ら
れるアニオン末端、(3)アニオンリビング重合により
得られたアニオン末端に対して、自己重合する能力がな
いが、アニオンと反応することができる共役二重結合を
有し、分子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官
能基を有する化合物を反応させて生成したアニオン、の
いずれかを反応させることを特徴とする(1)〜(7)
のいずれかに記載のポリマーの製造方法、(11)自己
重合する能力がないが、アニオン末端と反応することが
できる共役二重結合を有し、分子内にポリフルオロ炭化
水素基を導入できる官能基を有する化合物が、式(II)
または(III)
【化5】 (式中、R5及びR6は、それぞれ独立にフルオロアルキ
ル基を有する官能基に変換可能な官能基を表し、pは0
または1を表す。)で表される化合物であることを特徴
とする(8)〜(10)に記載の製造方法、(12)請
求項1〜7に記載のポリマーを成分とする表面処理剤、
(13)基体上に請求項1〜7に記載のポリマーを成分
とするコーティング層を設けたことを特徴とする撥水撥
油構造体、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリマーは、フッ素原子
を含まないモノマーを重合して得られるポリマー鎖の末
端または内部に2〜10のフルオロアルキル基を有する
ことを、または一方の末端に1〜10のフルオロアルキ
ル基を有することを特徴とする。本発明に用いられるフ
ッ素原子を含まないモノマーを重合してして得られるポ
リマーの構造は、リビング重合可能なモノマーから得ら
れるポリマー鎖が好ましく、特に式(I)で表される繰
り返し単位を含むポリマーが好ましい。
【0009】式(I)で表される繰り返し単位中、R
1は、水素原子またはC1〜C6のアルキル基を表し、
具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル
基、s−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、s
−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−
ヘキシル基、s−ヘキシル基等を例示することができ
る。
【0010】また、Xは、無置換または置換アリール
基、無置換または置換ヘテロアリール基、無置換または
置換ビニル基、C1〜C20炭化水素オキシカルボニル
基を表す。具体的には、ビニル基、2−ブテニル基等の
C2〜C20のアルケニル基、フェニル基、1−ナフチ
ル基、9−アントラセニル基等のC6〜C20の芳香族
炭化水素基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピ
リジル基、2−フラニル基、2−チエニル基、3−チエ
ニル基、1−ピロロ基、2−オキサゾリル基、3−イオ
オキサゾリル基、2−チアゾリル基、3−イオチアゾリ
ル基、1−ピラゾリル基、4−ピラゾリル基、2−イミ
ダゾリル基、1,3,4−オキサジアゾール−2−イ
ル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,
3,4−チアジアゾール−2−イル、1,2,4−チア
ジアゾール−5−イル、1,3,4−トリアゾール−2
−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル、1,
2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,3,4−テ
トラゾール−5−イル、ピリミジン−2−イル、ピリミ
ジン−4−イル、ピラジン−2−イル、ピリダジン−3
−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル、1,3,
5−トリアジン−2−イル等のヘテロアリール基、メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポ
キシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−
ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等の
C1〜C20の炭化水素オキシカルボニル基等を例示す
ることができる。
【0011】また、これらの官能基は、適当な炭素上の
位置にさらに置換基を有することができる。その置換基
としては、クロル原子、ブロム原子、ヨウ素原子である
ハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、
イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘ
キシル基、シクロプロプル基、シクロヘキシル基、ビニ
ル基、アリル基、フェニル基、4−クロロフェニル基、
4−メトキシフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基
等の置換フェニル基、プロパルギル基等の炭化水素基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロ
ポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブト
キシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、4−クロロフ
ェノキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等
のアルコキシ基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチル
アミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基等のアミノ
基、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ
基、メチルスルフィニル基、メチルスルホニル基等のア
ルキル、アリール、もしくはヘテロ環チオ基またはその
酸化体、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル
基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカル
ボニル基、n−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカ
ルボニル基等のC1〜C20のアルコキシカルボニル
基、アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、2−
ピリジルカルボニル基等のC2〜C20のアシル基、シ
アノ基、ニトロ基等を例示することができる。但し、リ
ビング重合でポリマー鎖を形成する場合、リビング重合
を失活させない官能基を用いる必要がある。式(I)で
表される繰り返し単位は、一種単独で、または二種以上
を混合して用いることができ、二種以上混合して用いた
場合、その重合様式は特に限定されず、ブロック重合、
ランダム重合いずれもとることができる。必要に応じ
て、リビング重合可能な単量体から導かれる式(I)で
表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含めること
ができる。
【0012】本発明のポリマーに含まれるフルオロアル
キル基は、フッ素原子を含むアルキル基であれば特に制
限されないが、具体的には、式(IV)
【0013】
【化6】
【0014】(式中、Qは2価有機基を表し、Rf1は、
エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含
んでいてもよい1価ポリフルオロ炭化水素基を表す。)
で表される官能基が好ましい。
【0015】この場合、エーテル性酸素原子またはチオ
エーテル性硫黄原子を含まない1価ポリフルオロ炭化水
素基とは、1価炭化水素基の水素原子の2個以上がフッ
素原子に置換された基をいい、特にポリフルオロアルキ
ル基が好ましい。
【0016】1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素原
子の割合は、(1価ポリフルオロ炭化水素基中のフッ素
原子数)/(1価ポリフルオロ炭化水素基に対応する同
一炭素原子数の炭化水素基中の水素原子数)×100
(%)で表現した場合に60%以上であるのが好まし
く、特には80%以上が好ましく、さらには実質的に1
00%である場合、すなわち1価炭化水素基の水素原子
の実質的に全てがフッ素原子に置換された「1価ペルフ
ルオロ炭化水素基」であるのが好ましい。
【0017】また、1価ポリフルオロ炭化水素基は、直
鎖構造であっても、分岐構造であってもよく、直鎖構造
が特に好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分の
炭素原子数1〜3程度の短鎖であるのが好ましく、分岐
部分が1価ポリフルオロ炭化水素基の末端部分に存在し
ている構造が好ましい。1価ポリフルオロ炭化水素基の
炭素数は1〜18が好ましく、特に4〜12が好まし
い。
【0018】さらに、1価ポリフルオロ炭化水素基は、
ポリフルオロアルキル基が好ましく、ペルフルオロアル
キル基が好ましい。ポリフルオロアルキル基の炭素数は
1〜18が好ましく、特に4〜12が好ましい。
【0019】1価ポリフルオロ炭化水素基の具体例とし
ては、以下に示す例が挙げられる。なお、以下の具体例
中には、それぞれの構造異性の基に相当する基も含まれ
る。C49−[ただし、F(CF24 −、(CF32
CFCF2−、(CF33C−、CF3CF2CF(C
3)−等の構造異性の基を含む]、C511−[ただ
し、F(CF25−、(CF32CF(CF22−、
(CF33CCF2 −、F(CF23CF(CF3)−
等の構造異性の基を含む]、C613−[ただし、F
(CF23C(CF32 −等の構造異性の基を含
む]、C817−、C1021−、C 1225−、C1429
−、C1633−、C1827−、C2041−、(CF32
CF(CF2s −(sは0または1以上の整数を表
す)、HCt2t−(tは0または1以上の整数を表
す)。
【0020】また、エーテル性酸素原子またはチオエー
テル性硫黄原子を含む1価ポリフルオロ炭化水素基と
は、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素
結合間、または、上記の1価ポリフルオロ炭化水素基と
Q2 との間にエーテル性酸素原子が挿入された基をい
い、1価ポリフルオロ炭化水素基中の炭素−炭素結合間
にエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が
挿入された基が好ましい。
【0021】エーテル性酸素原子を含む1価ポリフルオ
ロ炭化水素基としては、ポリフルオロオキシアルキレン
部分を含む基が好ましく、特にペルフルオロオキシアル
キレン部分を含む基が好ましく、とりわけ、ペルフルオ
ロオキシアルキレン部分を含み、かつ、末端がペルフル
オロアルキル基である基が好ましい。該ペルフルオロオ
キシアルキレンとしては、ペルフルオロオキシメチレ
ン、ペルフルオロオキシエチレン、ペルフルオロオキシ
プロピレン、またはペルフルオロオキシブチレン等が挙
げられる。
【0022】エーテル性酸素原子を含む1価ポリフルオ
ロ炭化水素基の具体例としては、以下に示す例が挙げら
れる。
【0023】
【化7】CF3(CF24OCF(CF3)−、F[C
F(CF3)CF2O]u CF(CF3)CF2CF2
(uは1以上の整数を表す)、F[CF(CF3)CF2
O]yCF(CF3)−(yは1以上の整数を表す)、F
(CF2CF2CF2O)v CF2CF2−(vは1以上の
整数を表す)、(CF2CF2O)w CF2CF2−(wは
1以上の整数を表す)
【0024】式(IV)中のQ は、2価有機基であり、特
に下記式(V)
【0025】
【化8】
【0026】(式中、Y1、Y2はそれぞれ独立に、−
(CH2y −、−O−、−CH2O−、−NR3−、−
CO2−、OCO2−、−CONR3−、−OCONR
3−、−S−、−SO3−又は−SO2NR3−の1種又は
2種以上の結合基を表し、R3は水素原子又は炭素数1
〜8のアルキル基を表し、yは1〜3のいずれかの整数
を表し、aまたはdは、それぞれ独立に、0、または1
〜3のいずれかの整数を表し、bは1〜3のいずれかの
整数を表し、cは0又は1を表す。)で表される2価有
機基であるのが好ましい。
【0027】式(V)中のR3として具体的には、水素原
子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピ
ル基、n−ブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基、イ
ソブチル基、n−ペンチル基、s−ペンチル基、イソペ
ンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、s−ヘキ
シル基等を例示することができる。また、式(V)で表
される2価有機基として具体的には、下記式
【0028】
【化9】−(CH22−、−CH2OCH2CH2CH
2−、−CONHCH2CH2CH2−、−CONHCH2
CH2NHCH2CH2−、−CH2CH2OCONHCH2
CH2CH2
【0029】で表される有機基を例示することができ
る。また、式(V)で表される2価有機基中、2価炭化
水素基、または2価炭化水素基の炭素−炭素結合間にエ
ーテル性酸素原子が挿入された基が好ましい。2価炭化
水素基としては、アルキレン基が好ましく、直鎖または
分岐のいずれの構造であってもよく、−(CH2)i−
(ここで、iは1〜20の整数、好ましくは4〜8の整
数である。)で表される直鎖アルキレン基が好ましい。
分岐構造である場合には、分岐部分の炭素原子数が1〜
3程度の短鎖であるものが好ましい。
【0030】2価炭化水素基の炭素−炭素結合間にエー
テル性酸素原子が挿入された基としては、上記アルキレ
ン基の炭素−炭素結合間の1か所にエーテル性酸素原子
が挿入された基が好ましい。
【0031】式(IV)で表される官能基として、具体的
には下記式(A1)または(A2)で表される基を好ま
しく例示することができる。
【0032】
【化10】
【0033】(式中、Rf11、またはRf12は、それぞ
れ独立に、上記に示した好ましい態様の1価のポリフル
オロ炭化水素基を表し、Z1〜Z3はそれぞれ独立に、−
(CH 2h−を表し、hは、1〜10のいずれかの整数
を表し、好ましくは2〜4のいずれかの整数を表す。)
【0034】さらに、式(IV)で表される官能基とし
て、下記式(A10)〜(A30)で表される基を好ま
しく例示することができる。
【0035】
【化11】
【0036】(式中、kは1〜18のいずれかの整数を
表し、好ましくは6〜12のいすれかの整数を表し、n
は0、または1〜10のいすれかの整数を表し、好まし
くは1〜5のいすれかの整数を表し、mは、1〜18の
いすれかの整数をあらあわし、好ましくは4〜12のい
ずれかの整数を表し、Z1〜Z5は、それぞれ独立に、2
価炭化水素基、好ましくは直鎖アルキレン基を表す。)
【0037】式A10として具体的には、下記式で示す
官能基を例示することができ、下式中のペルフルオロア
ルキル基は、直鎖構造であるのが好ましい。
【0038】
【化12】C49−(CH22−、C49−(CH23
−、C49−(CH24−、C51 1−(CH22−、
511−(CH23−、C613−(CH22−、C8
17−(CH22−、C817−(CH23−、C817
−(CH24−、C919−(CH22−、C919
(CH23−、C1021−(CH22
【0039】また、式A20として、具体的には、下記
式で示す官能基を例示することができる。
【0040】
【化13】F[CF(CF3)CF2O]2CF(CF3
CH2O(CH23−、F[CF(CF3)CF2O]4
F(CF3)CH2O(CH23−、F(CF2CF2CF
2O)2CF2CF2CH2O(CH23
【0041】また、式A30として、具体的には、下記
式で示す官能基を例示することができる。ただし、下式
中のペルフルオロアルキル基は直鎖構造であるのが好ま
しい。
【0042】
【化14】C49−(CH22−O−(CH23−、C
613−(CH22−O−(CH2 3−、C818−(C
22−O−(CH23−、C817−(CH23−O
−(CH23
【0043】本発明のポリマーは、上記したポリフルオ
ロ炭化水素基をポリマー鎖中の末端、または内部に2〜
10有することをを特徴とする。ポリマー鎖の末端は、
片方の末端でも、両末端でも構わない。この場合、ポリ
マー鎖末端、または内部にポリフルオロ炭化水素基を2
以上有するとは、同一繰り返し単位内に、ポリフルオロ
炭化水素基を2以上有する場合のみならず、ポリマー鎖
全体から見てあたかも同一箇所に該官能基が集中してい
るかのうように見える場合を含む。例えば、ポリフルオ
ロ炭化水素基を有する繰り返し単位から数えて前後1〜
4の範囲に該官能基が存在する場合や、ポリフルオロ炭
化水素基を有する繰り返し単位から適当な炭素数、例え
ば2〜6炭素数のスペーサーを前後にまたは一方に配し
た後、該官能基を有する繰り返し単位を配する場合等を
例示することができる。また、ポリマー鎖内部の位置は
特に限定されず、任意の位置を設定することができ、ま
た、ポリフルオロ炭化水素基を挟んだ両側のポリマーの
種類は、同一でも相異なっていてもよい。
【0044】本発明のポリマーは、上記したポリフルオ
ロ炭化水素基を、ポリマー鎖の一方の末端のみに1〜1
0有することを特徴とする。上記した2種のポリマーに
おいては、重量平均分子量Mwと数平均分子量の比(M
w/Mn)が1.01〜2.50の範囲であるのが好ま
しく、さらに1.01〜1.50の範囲であるのがこの
ましい。
【0045】また、本発明のポリマーは、ポリマーの両
末端に1〜10のポリフルオロ炭化水素基を有するポリ
マーであってMw/Mnの値が、1.01〜1.40の
範囲であることを特徴とする。以上、本発明で得られた
ポリマーの数平均分子量は特に制限されないが、好まし
くは、1000〜1000,000の範囲の分子量を例
示することができる。
【0046】本発明のポリマーの製造方法として、具体
的に、アニオンリビング重合により得られたアニオン末
端に対して、自己重合する能力がないが、アニオンと反
応することができる共役二重結合を有し、分子内にポリ
フルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有する化合物
を反応させる方法を例示することができる。
【0047】本反応で用いられる自己重合する能力がな
いが、アニオンと反応することができる共役二重結合を
有し、分子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官
能基を有する化合物としては、式(II)または(III)
で表される化合物を好ましく例示することができる。
【0048】式中、R5、R6はそれぞれ独立に、アニオ
ンリビング重合を阻害せずにポリフルオロ炭化水素基を
導入できる官能基を表わす。ポリフルオロ炭化水素基を
芳香環の置換基の一部として導入する方法として具体的
には、(1)水酸基、チオール基、アミノ基上の水素原
子をポリフルオロ炭化水素基を有する求核試薬及び塩基
を用いて置換反応を行う方法、(2)ポリフルオロ炭化
水素基を有するオレフィン、またはアセチレンに対し
て、遷移金属を用いてハロゲノアリール化合物等とカッ
プリング反応を行う方法、(3)ポリフルオロ炭化水素
基を有するハロゲノオレフィンまたはエノールトリフレ
ートに対して、遷移金属を用いてアリールメタル化合
物、例えばアリールスズ化合物またはアリールホウ素化
合物等を用いてカップリング反応を行う方法、(4)カ
ルボン酸を、ポリフルオロ炭化水素基を有するアルコー
ル又はハロゲン化合物等を用いてエステル化する方法、
(5)ポリフルオロ炭化水素基を有するカルボン酸及び
その誘導体とフェノールからエステル化する方法等を例
示することができる。したがって、R5、R6のの具体例
としては、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ
ル基、臭素原子、ヨウ素原子等を例示することができ、
さらには、アニオンリビング重合を阻害しないために
も、重合を阻害せずに反応後容易に脱離することができ
る保護基で保護された上記例示された官能基を例示する
ことができる。そのような保護基で保護された官能基の
具体例としては、水酸基の保護されたt−ブチル−ジメ
チルシリルオキシ基、t−ブトキシ基、テトラヒドロピ
ラニルオキシ基、1−エトキシエトキシ基等を例示する
ことできる。
【0049】アニオンリビング重合のポリマー成長末端
に対して式(II)、または(III)で表される化合物を
反応させた場合、式(II)、または(III)で表される
化合物自体は自己重合しないことから、ポリマー末端に
1分子反応させることができる。この反応により生成し
たアニオンに対して、メタノール等のプロトン供与体で
反応を停止させれば、分子の一方の末端のみにpが1の
場合は2個、pが0の場合には1個のポリフルオロ炭化
水素基を導入することができる。
【0050】先と同様に、アニオンリビング重合のポリ
マー成長末端に対して式(II)、または(III)で表さ
れる化合物を反応させた結果生じたアニオンに対して、
適当な炭素数、例えばC1〜6のハロゲノアルキル基を
有し、かつポリフルオロ炭化水素基を導入することがで
きる官能基を有するベンゼン誘導体を反応させることに
より更にもう一個のポリフルオロ炭化水素基を導入する
ことができる。
【0051】また、先と同様に、アニオンリビング重合
のポリマー成長末端に対して式(II)、または(III)
で表される化合物を反応させて得られたアニオン末端に
対して、アニオンに対して反応性を有する2以上の官能
基を有する化合物、例えば、1,4−ジハロゲノブタ
ン、1,4−ビス(ハロゲノメチル)ベンゼン等を反応
させ、さらに、(1)分子内にフルオロアルキル基を導
入できる官能基を有するアニオン、例えば、式(II)ま
たは(III)で表される化合物とs−ブチルリチウム等
の有機金属を反させることにより得られるアニオンと、
(2)アニオンリビング重合により得られるアニオン末
端、(3)アニオンリビング重合により得られたアニオ
ン末端に対して、自己重合する能力がないが、該アニオ
ンと反応することができる共役二重結合を有し、分子内
にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有する
化合物を反応させて生成したアニオン、例えば、先同様
にしてアニオンリビング重合のポリマー成長末端に対し
て式(II)、または(III)で表される化合物を反応さ
せた得られたアニオン末端等、のいずれかを反応させる
ことにより、(1)の場合は、分子の一方の末端にポリ
フルオロ炭化水素基を最大4個まで、(2)の場合に
は、アニオンリビング重合により得られるポリマー鎖の
長さを自由に調節することにより、ポリマー分子鎖内の
任意の位置に最大2個まで、(3)の場合にも、(2)
の場合と同様にアニオンリビング重合により得られるポ
リマー鎖の長さを自由に調節することにより、ポリマー
分子鎖内の任意の位置に、ポリフルオロ炭化水素基を導
入することができる。
【0052】上記アニオン重合に供される化合物とし
て、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、2−
ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリ
ジン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−
α−メチルスチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキ
シ)スチレン、p−(テトラヒドロピラニルオキシ)−
α−メチルスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)ス
チレン、p−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルス
チレン、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチル
エステル、アクリル酸n−プロピルエステル、アクリル
酸イソプロピルエステル、アクリル酸n−ブチルエステ
ル、アクリル酸t−ブチルエステル、アクリル酸2−エ
チルヘキシルエステル、アクリル酸イソデシルエステ
ル、アクリル酸イソオクチルエステル、アクリル酸ラウ
リルエステル、アクリル酸シクロヘキシルエステル、ア
クリル酸テトラヒドロフラニルエステル、アクリル酸1
−アダマンチルエステル、アクリル酸2−メチル−2−
アダマンチルエステル、アクリル酸1−メチレンアダマ
ンチルエステル、アクリル酸1−エチレンアダマンチル
エステル、アクリル酸3,7−ジメチル−1−アダマン
チルエステル、アクリル酸イソボニルエステル、アクリ
ル酸トリシクロデカニルエステル、アクリル酸ノルボル
ニルエステル、アクリル酸メンチルルエステル、アクリ
ル酸ジシクロペンテニルエステル、メタクリル酸メチル
エステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸
n−プロピルエステル、メタクリル酸イソプロピルエス
テル、メタクリル酸n−ブチルエステル、メタクリル酸
t−ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル
エステル、メタクリル酸イソデシルエステル、メタクリ
ル酸イソオクチルエステル、メタクリル酸ラウリルエス
テル、メタクリル酸シクロヘキシルエステル、メタクリ
ル酸テトラヒドロフラニルエステル、メタクリル酸1−
アダマンチルエステル、メタクリル酸2−メチル−2−
アダマンチルエステル、メタクリル酸1−メチレンアダ
マンチルエステル、メタクリル酸1−エチレンアダマン
チルエステル、メタクリル酸3,7−ジメチル−1−ア
ダマンチルエステル、メタクリル酸イソボニルエステ
ル、メタクリル酸トリシクロデカニルエステル、メタク
リル酸ノルボルニルエステル、メタクリル酸メンチルル
エステル、メタクリル酸ジシクロペンテニルエステル、
1,4−ブタジエン、1,4−ヘキサジエン等を例示す
ることができる。また、式(I)で表される繰り返し単
位を構成しない単量体であってもリビングアニオン重合
可能な単量体も上記例示化合物と共に重合を行うことが
可能であり、そのような単量体として、例えば、メチル
ビニルケトン、エチルビニルケトン等のビニルケトン化
合物、(メタ)アクリル酸アミド又は(メタ)アクリロ
ニトリル等を例示することができる
【0053】本発明の製造に用いられる重合溶媒は、重
合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒
であれば、特に制限されず、具体的には、n−ヘキサ
ン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサ
ン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素類、ベンゼン、
トルエン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル
類の他、アニソール、ヘキサメチルホスホルアミド等の
アニオン重合において通常使用される有機溶媒を挙げる
ことができる。また、これらの溶媒は、1種単独で、ま
たは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0054】本発明において用いられるアニオン重合開
始剤として、アルカリ金属又は有機アルカリ金属を例示
することができ、アルカリ金属としては、リチウム、ナ
トリウム、カリウム、セシウム、ナトリウム−カリウム
合金等を例示することができ、有機アルカリ金属として
は、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、ア
リール化物等を使用することができ、具体的には、エチ
ルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチ
ウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウ
ムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェ
ニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α
−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフ
ェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メ
チルペンチルリチウム、1,1−ジフェニルメチルカリ
ウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチ
オヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、
クミルセシウム等を挙げることができ、これらの化合物
は、1種単独で、または2種以上を混合して用いること
ができる。
【0055】反応は、通常、アニオン重合開始剤に、上
記例示した単量体化合物を添加し、アニオンリビング重
合を行い、さらに式(II)または(III)で表される化
合物を添加して行われる。これらの一連の反応は、アル
ゴンまたは窒素等の不活性ガス下、もしくは高真空下、
−100〜0℃、好ましくは、−70〜−20℃の範囲
で行われる。用いる式(II)または(III)で表される
化合物等は、ポリマー成長末端アニオンのモル数と当量
以上であれば、特に制限されないが、1.5〜2.0当
量用いるのが好ましい。
【0056】本発明のポリマーは、後述するようにキャ
スティングしてフィルム状にした場合、優れた撥水性、
撥油性を有することから、様々な基体上の表面処理剤の
有効成分として用いることできる。
【0057】表面処理剤として用いる場合、耐水性や耐
溶剤性、耐摩耗性、密着性を向上させるためにはバイン
ダー成分となる合成樹脂成分と組み合わせて使用するこ
とができる。バインダー用有機樹脂組成物として、従来
から用いられているエラストマーが使用でき、このエラ
ストマーの有機樹脂成分は特に制限されず、従来から一
般的に使用されている公知の樹脂組成物、例えば、ウレ
タン樹脂、アクリル樹脂といった汎用樹脂の他、アクリ
ルウレタン樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ
素樹脂、ポリエステル樹脂、クロロスルホン化ポリエチ
レン樹脂、シリコーンを主成分とする高分子等の合成樹
脂を用いることができ、これらを2種以上を併用するこ
ともできる。
【0058】また、有機質、無機質の粒状物、粉末、マ
イクロカプセル等を基体に結合するために使用されるア
クリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリ酢酸ビニ
ル系あるいは合成ゴムラテックス等の各種のエマルジョ
ン型や水溶液型の樹脂バインダー、アクリル樹脂エマル
ジョン、防シワ加工、ピリング加工、肉厚感付与、耐久
性硬化仕上げあるいは柔軟仕上げに使用される自己架橋
型の熱硬化性アクリルエマルジョン、水系スエード加工
や反発弾性を目的とするウレタンエマルジョン、あるい
は透湿防水加工に用いられるW/0型ウレタンエマルジ
ョン等の各種の樹脂成分に配合して使用することもでき
る。
【0059】更には、風合い改良目的で使用されるアミ
ノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性等のジメチルシ
リコーンオイルのエマルジョン、触感改良目的で使用さ
れるコラーゲンやシルクプロテインなどの水溶性タンパ
ク質等、相容性があるものであればいかなるものにも配
合して使用することでき、これらの2種以上を併用して
使用することもできる。
【0060】上記樹脂組成物を混合するのに使用する有
機溶剤は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラ
ン、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、
クロロフォルム、酢酸エチル、ジクロロメタン、ベンゼ
ン、トルエン、m−キシレン、アセトン等の中から幅広
く選択することができる。
【0061】ポリフルオロ炭化水素基含有オリゴマーの
有機樹脂成分に対する配合割合は特に限定されないが、
例えば、樹脂固形分100重量部に対するポリフルオロ
炭化水素基含有オリゴマーの量を0.01〜15重量部
の範囲になるように配合するのがっ好ましく、0.05
〜10重量部の範囲になるように配合するのがより好ま
しい。この配合量が0.01重量部を下回ると撥水撥油
性、防汚性の効果が得られなし、一方、15重量部を上
回っても油や水の接触角の更なる増加は認められず、基
体の性能を損なう恐れがあるので避けることが好まし
い。
【0062】本発明の表面処理剤は、必要に応じて他の
撥水剤や撥油剤、防滑剤、表面強度改良剤、サイズ剤、
難燃剤等を併用することも可能である。他の撥水剤、撥
油剤の例として、具体的にはパラフィンワックスやその
合成品、水溶性あるいはエマルジョン製剤のポリエチレ
ンワックス、パラフィンワックスもしくはその金属塩、
シリコン系ワックス、フッ素系樹脂エマルジョン、シリ
コーン系樹脂エマルジョン、アルキルエチレン尿素、N
−メチロール脂肪酸アミド等を例示することができる。
防滑剤の例としては、スチレン−アクリル系やスチレン
−マレイン酸系等のエマルジョン製剤及びコロイダルシ
リカが挙げられる。表面強度改良剤の例としては、澱
粉、酸化澱粉及びその変性物、カルボキシメチルセルロ
ース、ポリビニルアルコールやポリアクリルアミド及び
それらの誘導体や変性物が挙げられる。
【0063】また、本発明の表面処理剤は必要に応じ
て、スエード調触感等を付与するためのアクリル樹脂や
ウレタン樹脂等のビーズ、コラーゲンやセルロース等の
天然物粉末あるいは尿素ホルマリン樹脂粉末等、色調を
調整するための顔料や染料、アルキルフェノール、アル
キレンビスフェノールあるいはアルキルフェノール・チ
オエーテル等の酸化防止剤、フェニルサリチレート、2
−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、2−ヒドロ
キシベンゾフェノンあるいは2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、その他に安定
剤、可塑剤等を必要量添加することができる。
【0064】また、溶剤に有機樹脂成分が溶解あるいは
分散された市販の樹脂表面処理剤、例えば、塩ビレザ
ー、塩ビシート、ポリオレフィン系樹脂シート、塩ビ壁
紙、合成皮革あるいは人工皮革等の表面処理に使用され
る表面処理剤等の使用時に、本発明中に関わるフルオロ
アルキル基含有オリゴマーを添加、混合して使用するこ
とも可能である。
【0065】本発明の表面処理剤は、刷毛塗り、スプレ
ーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーテ
ィング、ナイフコーティング、ディップコーティング等
の既知の塗工方法により幅広い樹脂製品に表面処理する
ことができる。また、必要があれば塩素化ポリプロピレ
ンのようなプライマーを本発明の樹脂表面処理剤を塗工
する前に下塗り剤として使用することも出来る。
【0066】本発明の表面処理剤は、ガラス、プラスチ
ック成形体、布帛、木材、金属等の基体の表面に用いる
ことができる。担体として使用できるガラスの形状とし
ては、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な形
状にでも塗布することができる。また、施工済の窓ガラ
ス、ショーケース、めがね等用途によっては、加工済の
ガラスに処理することもできる。
【0067】本発明の表面処理剤で処理されたガラス
は、窓ガラス、計器用カバーガラス、照明器具、照明
灯、ブラックライト、水処理用充填剤をはじめ、カメ
ラ、眼鏡レンズ等、撥水、撥油等の効果を必要とするあ
らゆる使用場面に使用できる。
【0068】本発明の表面処理剤で処理したプラスチッ
ク成形体は、壁紙、内装用ボード、家具、電気機器、車
輛用部品をはじめ、カメラ、メガネのレンズ等、撥水、
撥油等の効果を必要とする多くの使用場面に使用でき
る。
【0069】プラスチック成形体の形状としては、フィ
ルム状、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な
形状にでも塗布することができる。また、施工済の建築
資材、家庭電化製品、めがね等用途によっては、加工済
のプラスチック成形体に処理することができる。
【0070】本発明の処理剤の処理に用いられる布帛と
して、毛、絹、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセ
テートなどの再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミ
ド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビ
ニルなどの合成繊維、アラミドなどの耐熱性繊維の単独
あるいは混紡繊維からなる織布、編布、不織布などを用
いることができる。また、ポリアミドとポリエステルの
フィブリル化型複合繊維等からなる擬革、織布、不織
布、編布等の基材にポリウレタン接着剤を介してポリウ
レタン樹脂層が形成されてなる合成皮革等を用いること
もできる。また、傘、テント、バッグ等、加工済の布帛
に処理することもできる。本発明の表面処理剤で処理し
た布帛は、撥水、撥油抗菌等の効果を必要とする多くの
使用場面、たとえばカーテン、壁紙等のインテリア製
品、テント、傘、テーブルクロス等の日用品、食品包装
材等としてまた育苗シート等農業分野にも使用できる。
【0071】本発明の表面処理剤で処理された金属とし
ては、アルミニウム、鉄、銅等の単体金属の他、ステン
レス、しんちゅう、黄銅、アルミ合金、チタン合金等の
各種合金なども担体として使用可能である。また、使用
する金属の形状、材質によっては、通常の塗料で塗装し
た金属シートや板、着色したカラー鋼板やカラーアルミ
サッシ等の上にも塗布することができる。
【0072】金属の形状としては、板状、管状、球状、
繊維状、シート状等どのような複雑な形状にでも塗布す
ることができ、また施工済の窓枠、家具、ショーケー
ス、めがねフレーム等用途によっては、加工済の金属に
処理することもできる。本発明に示す光触媒を担持した
金属は、窓枠、家具、装飾品、内装パネル、外装パネ
ル、水処理用充填剤をはじめ、ストレーナー、フィルタ
ー等、撥水、撥油等の効果を必要とする多くの使用場面
に使用できる。
【0073】本発明の表面処理剤で処理された木材およ
び木質材料の形状としては、板状、板状、球状、シート
状等どのような複雑な形状でも塗布することができ、施
工済の壁、天井板、柱のほか、家具、木工細工等の加工
済の木材および木質材料に処理することもできる。本発
明の表面処理剤を処理した木材および木質材料は、建築
用材、家具、木工品、インテリア材および内装材等、撥
水、撥油等の効果を必要とする多くの使用場面に使用で
きる。
【0074】本発明の表面処理剤を処理したプラスチッ
クフィルムは、その撥水、撥油機能を活かして、処理し
ていない面に粘着剤を塗布したフィルムとすることで、
自動車や各種輸送機器の窓ガラス、建築物の窓ガラス、
冷凍・冷蔵ショーケースや温室などの内側に貼り付ける
ことができる。このプラスチックフィルムに使用できる
樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ
メチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプ
ロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリ
デン樹脂、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂、フ
ッ化エチレン−エチレン共重合樹脂等を例示することが
できる。
【0075】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明
するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではな
い。
【0076】
【実施例】本発明の実施例に使用した試薬および溶媒の
精製法について以下に述べる。使用した溶媒、およびモ
ノマーは、すべて、通常の手順に従って、精製し、窒素
雰囲気下、CaH2を用いて蒸留した。テトラヒドロフ
ラン(THF)は、さらに高真空ライン(10-6Tor
r)でナトリウムナフタレニド存在下から蒸留した。イ
ソプレンはn−BuLiを、1,1−ジフェニルエテン
(DPE)は、s−BuLiを約3モル%添加したの
ち、真空ラインで蒸留した。2−ビニルピリジンにはC
aH2を、t−ブチルメタクリレートにはトリオクチル
アルミニウムを添加後、真空ラインで蒸留した。ジフェ
ニルメチルカリウムは、ジフェニルメタンとカリウムナ
フタレニドをTHF中12時間反応させて調製した。s
ec−ブチルリチウム(s−BuLi)は、市販のs−
BuLiのシクロヘキサン(1.3M;ナカライ社製)
を高真空下、ヘプタンで希釈し、小分けしたものを用い
た。正確な濃度は、高真空下、THF中−78℃で1,
1−.ジフェニルエチレン(DPE)との反応により1,
1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムを生成さ
せ、このアニオン特有の赤色が消色するまで標準 n−
オクタノール/THFを用いて比色滴定により求めた。
[重合操作方法]アニオン重合は高真空下ブレークシー
ル法を用いた。重合はモノマーを開始剤系に加え所定時
間反応した後、メタノールで反応を停止した。
【0077】[サイズエクスクルージョンクロマトグラ
フィー(SEC)の測定]UV(254nm)及び屈折
率検出計を備えたTOSOH−HLC−8020を用い
て測定した。カラムは3種のポリスチレンゲルカラム
(TSKgelG4000HXL、G3000HXL及
びG2000HXL)を用いて行った。キャリア溶媒と
してはTHFまたはN,N−ジメチルホルムアミドを用
い、カラムオーブン温度40℃、流速1.0ml/分で
行った。標準試料としてポリスチレン、ポリイソプレ
ン、及びポリ(メチルメタクリレート)を用い、検量線
を作成して、Mn及びMw/Mn値を決定した。TSK
−G4000HHRカラムを備えたTOSH−HLC−
8020を用いて、分取を行った。溶媒としてTHFを
用い、ポリマー濃度は、サンプルの分子量に応じて、1
0〜20w/v%に調製した。 [X線光電子分光(XPS)測定]Perkin Elmer社製X-
ray photoelectron spectrometer 5500MTを用いて、光
源にモノクロAlKα線をX線源としてステージ角度を
変化させて深さ方向の測定をした。試料としては、得ら
れたポリフルオロ炭化水素基含有ポリマーを溶媒に溶解
させてガラス基板上にキャスチングしてフィルムとした
ものを用いた。 [接触角の測定]得られたポリフルオロ炭化水素基含有
ポリマーを溶媒に溶解させてガラス基板上にキャスチン
グしてフィルムとした後、その表面上にシリンジで水、
またはドデカンを一滴滴下し、協和界面科学製自動接触
角計CA−Zを用いて測定した。
【0078】実施例1 スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.188mmol)に
添加し−78℃で10分間撹拌した。その後、1−(4
−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル)−1
−フェニルエテン70mg(0.226mmol)のT
HF1ml溶液を同温度で添加し、その後脱気したメタ
ノールを加え反応を停止させ、大量のメタノールに加え
て結晶を析出させ、結晶を濾過した。得られた結晶をT
HFに溶解し、テトラn−ブチルアンモニウムフルオリ
ド(TBAF)60mg(0.226mmol)を室温
で滴下し、室温で10時間撹拌し、反応液を水に加えて
結晶を析出させ、その結晶を濾過し、乾燥させた。得ら
れた結晶をN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)に
溶解し、室温でNaH14mg(50%、0.282m
mol)を加えたの後、さらに、臭化3−(n−ペルフ
ルオロオクチル)−n−プロピル(C817(CH23
Br)152mg(0.282mmol)を加えた。室
温で10時間反応させた後、反応液を水に加え、析出し
た結晶を濾過、乾燥させ結晶1.22g(収率100
%)を得た。結晶の物性については第1表、第2表にま
とめて示す。
【0079】実施例2 1−(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニ
ル)−1−フェニルエテンの代わりに1,1−ビス
{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニ
ル)}エテン100mg(0.0226mmol)用
い、TBAFを120mg、NaHを28mg、C8
17(CH23Brを313mg用いる以外実施例1と同
様にして行い、結晶1.40g(収率100%)を得
た。結晶の物性については第1表、第2表にまとめて示
す。
【0080】実施例3 s−BuLiを0.0541mmol、1,1−ビス
{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニ
ル)}エテン30mg(0.0649mmol)用い、
TBAFを30mg(0.119mmol)、NaHを
6mg(0.119mmol)、C817(CH23
rを65mg(0.119mmol)用いる以外、実施
例2と同様に反応を行い、結晶1.11g(収率100
%)を得た。結晶の物性については第1表、第2表にま
とめて示す。
【0081】実施例4 スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.0584mmol)
に添加し−78℃で10分間撹拌した。その後、1,1
−ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フ
ェニル)}エテン30mg(0.0700mmol)の
THF1ml溶液を同温度で加え、さらに、4−(4−
(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェニル)−ブチ
ルブロマイド24mg(0.070mmol)のTHF
1ml溶液を加えた。その後、大量のメタノールに加え
て結晶を析出させ、結晶を濾過した。得られた結晶をT
HFに溶解し、TBAF60mg(0.231mmo
l)を室温で滴下し、室温で10時間撹拌し、反応液を
水に加えて結晶を析出させ、その結晶を濾過し、乾燥さ
せた。得られた結晶をN、N−ジメチルホルムアミド
(DMF)に溶解し、室温でNaH11mg(50%、
0.231mmol)を加えたの後、さらにC8
17(CH23Br130mg(0.231mmol)を
加えた。室温で10時間反応させた後、反応液を水に加
え、析出した結晶を濾過、乾燥させ結晶1.17g(収
率100%)を得た。結晶の物性については第1表、第
2表にまとめて示す。
【0082】実施例5 スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.180mmol)に
添加し−78℃で10分間撹拌した。その後、1,1−
ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェ
ニル)}エテン95mg(0.216mmol)のTH
F1ml溶液を同温度で加え、さらに、1,4−ジブロ
モブタン50mg(0.216mmol)のTHF1m
l溶液を加えた。その後、大量のメタノールに加えて結
晶を析出させ、濾過、乾燥し、ポリマーAを得た。1,
1−ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
フェニル)}エテン95mg(0.216mmol)の
THF1ml溶液にs−BuLi(0.216mmo
l)を−78℃で加え、さらに同温度で先に得られたポ
リマーAのTHF溶液を加えた。その後、反応液を大量
のメタノールに加えて結晶を析出させ、濾過した。得ら
れた結晶をTHFに溶解し、TBAF210mg(0.
792mmol)を室温で滴下し、室温で10時間撹拌
し、反応液を大量のメタノールに加えて結晶を析出さ
せ、その結晶を濾過し、乾燥させた。さらに得られた結
晶をDMFに溶解し、室温でNaH40mg(50%、
0.792mmol)を加えたの後、さらにC8
17(CH23Br432mg(0.0792mmol)
を加えた。室温で10時間反応させた後、反応液を水に
加え、析出した結晶を濾過、乾燥させ結晶1.50g
(収率100%)を得た。結晶の物性については第1
表、第2表にまとめて示す。
【0083】実施例6 スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.433mmol)に
添加し−78℃で10分間撹拌した。その後、1,1−
ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェ
ニル)}エテン230mg(0.520mmol)のT
HF1ml溶液を同温度で加え、さらに、1,4−ジブ
ロモブタン110mg(0.520mmol)のTHF
1ml溶液を加えた。その後、大量のメタノールに加え
て結晶を析出させ、濾過、乾燥し、ポリマーAを得た。
スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.433mmol)に
添加し−78℃で10分間撹拌したのち、先に得られた
ポリマーAのTHF溶液を同温度で加えた。その後、反
応液を大量のメタノールに加えて結晶を析出させ、濾過
した。得られた結晶をTHFに溶解し、TBAF300
mg(1.14mmol)を室温で滴下し、室温で10
時間撹拌し、反応液を水に加えて結晶を析出させ、その
結晶を濾過し、乾燥させた。さらに得られた結晶をDM
Fに溶解し、室温でNaH54mg(50%、1.14
mmol)を加えたの後、さらにC817(CH23
r616mg(1.14mmol)を加えた。室温で1
0時間反応させた後、反応液を水に加え、析出した結晶
を濾過、乾燥させ結晶2.82g(収率100%)を得
た。結晶の物性については第1表、第2表にまとめて示
す。
【0084】実施例7 スチレン1.04g(10mmol)のTHF5ml溶
液を−78℃でs−BuLi(0.401mmol)に
添加し−78℃で10分間撹拌した。その後、1,1−
ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フェ
ニル)}エテン210mg(0.481mmol)のT
HF1ml溶液を同温度で加え、さらに、1,4−ジブ
ロモブタン100mg(0.0481mmol)のTH
F1ml溶液を加えた。その後、大量のメタノールに加
えて結晶を析出させ、濾過、乾燥し、ポリマーAを得
た。スチレン1.04g(10mmol)のTHF5m
l溶液を−78℃でs−BuLi(0.401mmo
l)に添加し−78℃で10分間撹拌したのち、1,1
−ビス{(4−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)フ
ェニル)}エテン210mg(0.481mmol)の
THF1ml溶液を同温度で加え、さらに先に得られた
ポリマーAのTHF溶液を同温度で加えた。その後、反
応液を大量のメタノールに加えて結晶を析出させ、濾過
した。得られた結晶をTHFに溶解し、TBAF460
mg(1.76mmol)を室温で滴下し、室温で10
時間撹拌し、反応液を大量のメタノールに加えて結晶を
析出させ、その結晶を濾過し、乾燥させた。さらに得ら
れた結晶をDMFに溶解し、室温でNaH85mg(5
0%、1.76mmol)を加えたの後、さらにC8
17(CH23Br950mg(1.76mmol)を加
えた。室温で10時間反応させた後、反応液を水に加
え、析出した結晶を濾過、乾燥させ結晶3.05g(収
率100%)を得た。結晶の物性については第1表、第
2表にまとめて示す。
【0085】
【表1】 a)ポリマー鎖中にC817(CH23基が配置されて
いる位置を示す。 b)SECを測定して求めた。 c)1HNMRより求めた。 d)ポリマー鎖中のC817(CH23基の数を表す。
【0086】
【表2】 a)Take−Off角を表す。表面から10°でおよ
そ2nmまで、80°で10nmまでの情報を得ること
ができる。
【0087】第1表の官能基数より、得られたポリマー
はポリフルオロ炭化水素基が定量的に導入されたことが
わかり、しかも狭い分子量分布と計算通りの分子量を有
していることがわかる。第2表より、ポリマーフィルム
表面上で水、ドデカンとも高い接触角を有しており、撥
水、撥油的表面が形成されていることがわかる。XPS
測定の結果、フィルム表面に近づくより多くのポリフル
オロ炭化水素基が濃縮されていることがわかる。また、
ポリフルオロ炭化水素基の個数が増えることで、接触
角、ポリフルオロ炭化水素基の濃縮が増加した。また、
ポリフルオロ炭化水素基の個数が同じ場合(実施例2と
3)には、ポリマー分子量による影響を受け、分子量が
少ない方が、接触角、ポリフルオロ炭化水素基の濃縮が
増加する傾向が見られた。特に、ポリマー末端が、−C
64(CH22817であると仮定するとその計算値
は50.0/50.0になり、ポリフルオロ炭化水素基
が4個である実施5においては、ほぼこの値に近いこと
を示しており、表面がほとんどポリフルオロ炭化水素基
覆われていること示唆しているといえる。また、以上の
ことは、ポリフルオロ炭化水素基が、ポリマー鎖の分子
内に配置されていても同様のことが言える。(実施例6
および7)
【0088】
【発明の効果】以上、述べたように、構造が制御された
本発明のポリマーを用いることにより、効果的に表面を
ポリフルオロ炭化水素基で覆うことができ、優れた表面
特性が得られることがわかった。本発明のポリマーは、
ポリマー鎖の繰り返し単位に他の官能基を持たせて別の
機能を発現させることも可能であり、ポリフルオロ炭化
水素基による機能を損なうことなく別の機能を付加させ
ることも考えられ従来にない機能を発現できる可能性が
あり、産業上の利用可能性は高いものといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/18 103 C09K 3/18 103 Fターム(参考) 4H020 BA12 BA23 4J038 CA021 CC021 CC081 CC091 CG141 CH031 CH041 CH071 CK041 GA12 KA06 MA14 NA07 PB02 PB03 PB06 PB08 PC02 PC03 PC06 PC10 4J100 HA27 HC77 HE14 HG27 JA01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フッ素原子を含まないモノマーを重合して
    得られるポリマー鎖の末端または内部に2〜10のポリ
    フルオロ炭化水素基を含有することを特徴とするポリマ
    ー。
  2. 【請求項2】フッ素原子を含まないモノマーを重合して
    得られるポリマー鎖の一方の末端に1〜10のポリフル
    オロ炭化水素基を含有することを特徴とするポリマー。
  3. 【請求項3】重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
    (Mn)の比(Mw/Mn)が1.01〜2.50であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマ
    ー。
  4. 【請求項4】重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
    (Mn)の比(Mw/Mn)が、1.01〜1.50で
    あることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマ
    ー。
  5. 【請求項5】フッ素原子を含まないモノマーを重合して
    得られるポリマー鎖の末端に1〜10のポリフルオロ炭
    化水素基を含有するポリマーであって、重量平均分子量
    (Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が
    1.01〜1.40であることを特徴とするポリマー。
  6. 【請求項6】フッ素原子を含まないモノマーを重合して
    得られるポリマー鎖が、式(I) 【化1】 (式中、R1は、水素原子またはC1〜C6のアルキル
    基を表し、Xは、無置換または置換アリール基、無置換
    または置換ヘテロアリール基、無置換または置換ビニル
    基、C1〜C20炭化水素オキシカルボニル基を表
    す。)で表される繰り返し単位からなることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載のポリマー。
  7. 【請求項7】数平均分子量が1000〜100,000
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
    のポリマー。
  8. 【請求項8】アニオンリビング重合により得られたアニ
    オン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオ
    ン末端と反応することができる共役二重結合を有し、分
    子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有
    する化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜7
    のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  9. 【請求項9】アニオンリビング重合により得られたアニ
    オン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオ
    ン末端と反応することができる共役二重結合を有し、分
    子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有
    する化合物を反応させて生成したアニオンに対して、分
    子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有
    し、かつ該アニオンと反応することができる官能基を有
    する化合物を反応させること特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載のポリマーの製造方法。
  10. 【請求項10】アニオンリビング重合により得られたア
    ニオン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニ
    オン末端と反応することができる共役二重結合を有し、
    分子内にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を
    有する化合物を反応させて生成したアニオンに対して、
    アニオンに対して反応性を有する2以上の官能基を有す
    る化合物を反応させ、さらに、(1)分子内にポリフル
    オロ炭化水素基を導入できる官能基を有するアニオン、
    (2)アニオンリビング重合により得られるアニオン末
    端、(3)アニオンリビング重合により得られたアニオ
    ン末端に対して、自己重合する能力がないが、アニオン
    と反応することができる共役二重結合を有し、分子内に
    ポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有する化
    合物を反応させて生成したアニオン、のいずれかを反応
    させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載
    のポリマーの製造方法。
  11. 【請求項11】自己重合する能力がないが、アニオン末
    端と反応することができる共役二重結合を有し、分子内
    にポリフルオロ炭化水素基を導入できる官能基を有する
    化合物が、式(II)または(III) 【化2】 (式中、R5及びR6は、それぞれ独立にフルオロアルキ
    ル基を有する官能基に変換可能な官能基を表し、pは0
    または1を表す。)で表される化合物であることを特徴
    とする請求項8〜10に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1〜7に記載のポリマーを成分と
    する表面処理剤。
  13. 【請求項13】基体上に請求項1〜7に記載のポリマー
    を成分とするコーティング層を設けたことを特徴とする
    撥水撥油構造体。
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