JPH07118121A - 油性固形物 - Google Patents

油性固形物

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JPH07118121A
JPH07118121A JP26362293A JP26362293A JPH07118121A JP H07118121 A JPH07118121 A JP H07118121A JP 26362293 A JP26362293 A JP 26362293A JP 26362293 A JP26362293 A JP 26362293A JP H07118121 A JPH07118121 A JP H07118121A
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JP
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group
oil
modified polyethylene
polyethylene wax
oily
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JP26362293A
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Inventor
Takeo Imai
健雄 今井
Masafumi Shibata
雅史 柴田
Genichi Nakamura
元一 中村
Koji Ito
康志 伊藤
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 液体油及び/又は固体油、並びに次の一般式
(1)又は(2)で表わされるフッ化アルキル変性ポリ
エチレンワックスを含有する油性固形物、及びこれを含
有する化粧料。 【化1】 〔R1 は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素
基を、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜
18の脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基を、n
及びmは10〜1000の整数を、Rfは炭素数2〜17のパ
ーフルオロアルキル基又は重合度2〜5のパーフルオロ
プロピレノキシドオリゴマーを示す〕 【効果】 この油性固形物は、強度及び耐油分分離性に
優れ、化粧料、医薬品、クレヨン等の文具その他の分野
において有用であり、中でも化粧料に配合した場合に
は、使用感に影響を与えずに適度な強度、高い安定性及
び優れた顔料分散性を有する化粧料を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油性固形物、更に詳細に
は特定のフッ化アルキル変性ポリエチレンワックスを含
有し、適度な強度と優れた撥水、撥油性を有し、化粧品
や医薬品、クレヨン等の油性基剤として有用な油性固形
物、及びこれを含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、口紅、眉墨等の化粧品や医薬
品、クレヨン等の文具などの油性基剤としては、ワック
ス等の固体油と液体油と共に加熱溶解し、次いで冷却成
型することにより得られる油性固形物が用いられてい
る。
【0003】また、近年ではかかる油性固形物の利用分
野、とりわけ化粧料分野においては製品の多様化、高度
化に伴って油性固形物に更なる性能の向上が望まれてい
る。例えば、従来、固形油性化粧料としては、化粧品用
液体油及びパラフィン等のワックスからなる油性固形物
に顔料等の化粧料成分を分散したものが用いられている
が、このような油性固形化粧料は強度が劣り、また撥
水、撥油性も満足できるものではなかった。
【0004】そこで、これらの固形油性化粧料の強度及
び撥水、撥油性等の性能改善を目的として、合成ポリエ
チレンワックスやシリコーン系油剤等を配合することも
行われてきたが、未だその効果は充分とはいえず、更に
高い性能が求められていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、化粧料等に用
いた際に、適度な強度及び優れた撥水、撥油性を付与で
きる油性固形物の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を行った結果、液体油及び/又は固
体油に、後記一般式(1)又は(2)で表わされるフッ
化アルキル変性ポリエチレンワックスを添加することに
より、飛躍的に強度と撥水、撥油性を改善した油性固形
物が得られ、これは特に口紅等の化粧料の基剤として有
用なことを見出し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は液体油及び/又は固体
油、並びに次の一般式(1)又は(2)
【0008】
【化2】
【0009】〔式中、R1 は炭素数1〜6の直鎖又は分
岐鎖の飽和炭化水素基を示し、R2 及びR3 は同一か又
は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜18の
脂肪族炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基を示し、n
及びmは10〜1000の整数を示し、Rfは炭素数2
〜17のパーフルオロアルキル基又は重合度2〜5のパ
ーフルオロプロピレノキシドオリゴマーを示す〕で表わ
されるフッ化アルキル変性ポリエチレンワックスを含有
することを特徴とする油性固形物、並びに当該油性固形
物を含有することを特徴とする化粧料を提供するもので
ある。
【0010】本発明に用いられるフッ化アルキル変性ポ
リエチレンワックスは、フッ化アルキル基の結合する炭
素原子に1つ又は2つの炭化水素置換基が結合した前記
一般式(1)で表わされる化合物及びポリエチレン鎖の
中央近傍にフッ化アルキル基がエステル結合を介して導
入された前記一般式(2)で表わされる化合物から選ば
れるものである。
【0011】(1)及び(2)式中、R1 で示される炭
素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基として
は、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ペンチル
基、n−ヘキシル基及び2−メチル基、3−メチル基、
2,2−ジメチル基等の短鎖分岐を有する基が挙げられ
る。これらの末端の分岐鎖は、フッ化アルキル変性ポリ
エチレンワックスの物性に対し、そのエチレン重合度が
低い場合には融点を低下させるなどの変化を発現する
が、重合度が高い場合は何等影響を及ぼさない。
【0012】本発明におけるフッ化アルキル変性ポリエ
チレンワックスは、エチレン繰り返し単位(n又はm)
として10〜1000の範囲の重合度を有する混合物で
ある。その重合度分布(重量平均分子量/数平均分子
量)に特に制限はないが、通常は1.05〜5程度であ
る。重合度が概ね300以下の場合は生成ポリエチレン
はワックス様の、それ以上ではプラスチック様の外観及
び物性を示す。
【0013】また、(1)及び(2)式中、Rfで示さ
れる炭素数2〜17のパーフルオロアルキル基として
は、例えば以下のものが挙げられる。
【0014】
【化3】
【0015】また、Rfで示されるパーフルオロアルキ
ルプロピレンオキシドオリゴマーとしては以下のものが
挙げられる。
【0016】
【化4】
【0017】尚、一般式(2)で表わされるフッ化アル
キル変性ポリエチレンワックスにおいては、Rf基の導
入位置は平均的に分子鎖の中央であるが、個々の分子に
ついては中央から片寄っていてもかまわない。すなわち
一般式(2)で表わされるフッ化アルキル変性ポリエチ
レンワックスは、分子鎖中の種々の位置にRf基を有す
るポリエチレンの混合物である。このRf基の導入位置
の分布は製造条件により変化するが、一方の末端からエ
チレン繰り返し単位として10以上は離れて存在する。
一般式(2)で表わされるフッ化アルキル変性ポリエチ
レンワックスは、後述するようにリビング重合ポリエチ
レンの末端を蟻酸エステルを用いて2量化させることで
得られるものである。理論的には、迅速開始緩慢生長系
のリビング重合においては、生成するポリマーの分子量
分布はポアソン分布となる。重合度が上がれば単分散に
近づくため、Rf基の導入位置も分子鎖中央となる。し
かしながら、実際の重合においては微妙な環境の違いか
ら分子量分布が広がることが多く、その場合には導入位
置の分布も広がることになる。導入位置を完全に特定す
ることは困難であるが、一方の末端近傍にRf基を有す
る同程度の分子量のポリエチレンに比べると融点が低く
観測されることから、その構造を推定することができ
る。
【0018】更に、一般式(1)で表わされるフッ化ア
ルキル変性ポリエチレンワックスにおいて、R2 及びR
3 はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化
水素基若しくは芳香族炭化水素基を示す。R2 及びR3
が18より多い炭素数のものを用いることも原理的には
可能であるが、原料の入手性、生成するポリエチレンの
物性、反応性等を考慮すれば実用的ではない。
【0019】R2 及びR3 で示される脂肪族炭化水素置
換基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、炭素数5
〜18の直鎖又は分岐の飽和炭化水素基、脂環式炭化水
素基等が挙げられる。尚特殊な場合として、二つの置換
基が共有結合で結ばれ、フッ化アルキル基とエステル結
合する炭素原子を含む炭化水素環が形成されているもの
も本発明の範囲にある。かかる結合様式の具体例として
は、以下のようなものが挙げられる。
【0020】
【化5】
【0021】芳香族炭化水素置換基の具体例としては、
フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ナ
フチル基等が挙げられる。
【0022】これらのR2 及びR3 は変性ポリエチレン
の分子量が比較的低い場合は融点や表面物性に影響を与
えるが、分子量が大きい場合には影響を与えることはな
い。
【0023】かかるフッ化アルキル変性ポリエチレンワ
ックスは、例えば次に示す製法A〜Cにより得ることが
できる。
【0024】製法A(一般式(1)で表わされるフッ化
アルキル変性ポリエチレンワックスの製法): 1)炭素数1から6の直鎖又は分岐のアルキルリチウム
/3級ジアミン系開始剤を用いてエチレンをリビング重
合させる段階と、 2)次の一般式(3)で示されるカルボニル化合物を反
応させる段階、及び
【0025】
【化6】
【0026】3)次の一般式(4)で示されるフッ化ア
ルキルカルボン酸ハライドを反応させる段階
【0027】
【化7】
【0028】とからなるフッ化アルキル変性ポリエチレ
ンワックスの製法。
【0029】製法B(一般式(1)で表わされるフッ化
アルキル変性ポリエチレンワックスの製法): 1)炭素数1から6の直鎖又は分岐のアルキルリチウム
/3級ジアミン系開始剤を用いてエチレンをリビング重
合させる段階と、 2)酸素酸化を行う段階、及び 3)前記式(4)で示されるフッ化アルキルカルボン酸
ハライドを反応させる段階 とからなるフッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの
製法。
【0030】製法C(一般式(2)で表わされるフッ化
アルキル変性ポリエチレンワックスの製法): 1)炭素数1から6の直鎖又は分岐のアルキルリチウム
/3級ジアミン系開始剤を用いてエチレンをリビング重
合させる段階と、 2)蟻酸エステルを反応させる段階、及び 3)前記式(4)で示されるフッ化アルキルカルボン酸
ハライドを反応させる段階 とからなるフッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの
製法。
【0031】次に、各製法について説明する。
【0032】まず、製法Aにおいては第一段階として、
炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキルリチウム/3級
ジアミンによるエチレンのリビング重合を行う。
【0033】ポリエチレンのリビング重合においては、
非極性の脂肪族炭化水素溶媒が用いられる。かかる溶媒
の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、シクロヘキサン、シクロペンタン等が挙げられ
る。好ましくはシクロヘキサンである。
【0034】炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキルリ
チウム化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウ
ム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t
ert−ブチルリチウム等が用いられる。ここで用いる
リチウム化合物の有機基が、生成するポリエチレンの一
方の末端に導入されることになる。
【0035】3級ジアミンとしては、二つの窒素間の原
子数が2ないし3個のものが好適に用いられる。かかる
ジアミンの具体例としては、テトラメチルエチレンジア
ミン、ジピペリジノエタン、ジピロリジノエタン、スパ
ルテイン等が挙げられる。
【0036】これらの3級ジアミンは通常、アルキルリ
チウムに対して0.1〜10当量用いられる。3級ジア
ミンの使用量が0.1当量より少ないと重合が遅く、ま
た有機基導入反応の収率が低くなり、10当量より多い
とリビング末端が失活してしまうものが多くなる。
【0037】上記のアルキルリチウム化合物及び3級ジ
アミンを含む炭化水素溶液にエチレンを導入すること
で、エチレンのリビング重合が進行する。エチレンの導
入圧力に特に制限はないが、1〜100kg/cm2 が適当
である。1kg/cm2 より低い場合には重合反応が遅すぎ
て、経済的ではない。他方、100kg/cm2 を超える高
圧においては重合が速すぎて、反応の制御が困難とな
る。
【0038】重合は0〜100℃で好適に行われる。望
ましくは20〜80℃である。反応温度が0℃より低い
と重合反応が遅くなり過ぎ、また生成するポリエチレン
が沈澱しやすくなるため好ましくない。他方、反応温度
が100℃を超えるとリビング末端が失活しやすくなる
ため好ましくない。
【0039】重合時間は、重合温度、3級ジアミン濃
度、エチレン導入圧力等によって異なるが、一般に0.
1〜24時間程度である。重合時間を変化させることに
より、生成するポリエチレンの分子量を制御することが
できる。リビング末端の失活を防ぐ点から、重合熱を除
去できる限り、重合時間はなるべく短時間であることが
好ましい。
【0040】次いで、第二段階として、上記方法により
生成したリビング末端に一般式(3)で表わされるカル
ボニル化合物を反応させる。カルボニル化合物としては
特定のアルデヒド、ケトンが用いられ、目的とする末端
構造に応じて適宜使い分けられる。アルデヒドを用いる
場合は1級又は2級の、ケトンを用いる場合は3級のリ
チウムアルコキシドが導入されることになる。かかるア
ルデヒド、ケトンとしては、炭素数1〜18の脂肪族又
は芳香族炭化水素基を有するものが用いられる。
【0041】通常、アルキルリチウムのカルボニル化合
物への求核付加反応はα水素の引き抜き反応と競合する
ため、ある程度の割合で末端官能基を持たないポリエチ
レンを副生する。カルボニル基に隣接したメチル基を有
するケトン類を用いる場合、反応条件にもよるが、末端
導入反応率は50〜70%程度に留まる。かかるケトン
類の具体例としては、アセトン、2−ブタノン、2−ペ
ンタノン、3−メチル−2−ブタノン、アセトフェノン
等が挙げられる。カルボニル基に隣接した基がメチル基
以外でかつα水素を有するケトンにおいては引き抜き反
応が遅くなるため、有機基の導入率は向上し、70〜9
0%に達する。かかるケトンの具体例としては、3−ペ
ンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙
げられる。一方、ケトンよりも立体障害の少ないアルデ
ヒド類においては、α水素があってもほぼ定量的に目的
の水酸基等含有ポリエチレンを得ることができる。かか
るアルデヒドの具体例としては、プロパナール、ブタナ
ール、ペンタナール、ヘキサナール等が挙げられる。α
水素を持たないカルボニル化合物においては、ほぼ定量
的に有機基が導入される。かかるカルボニル化合物の具
体例としては、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、
ベンゾフェノン等が挙げられる。これらのカルボニル化
合物及びアルデヒド類においては、90%を超える導入
率を得ることが可能である。
【0042】カルボニル化合物の量に特に制限はない
が、極めて定量的な反応であるから、リビング末端に対
し等モル量ないし1.2倍の過剰モル量程度で十分であ
る。過剰のカルボニル化合物の使用は、カニッツアロ反
応、アルドール縮合等の副反応を生ずるので好ましくな
い。
【0043】カルボニル化合物とリビングポリエチレン
との反応は均一系においては室温でもほぼ1分以内に完
結する。しかしながら、ポリエチレンの分子量が高く沈
澱を生成している場合には、数分〜数時間の反応が必要
となる。反応温度に特に制限はないが、通常0〜100
℃、好ましくは20〜80℃で行われる。一般には、重
合に用いた温度と同一の温度において行われる。カルボ
ニル化合物の添加方法については特に限定しないが、発
熱を伴うことから微量ずつ加えるか、重合に用いられる
炭化水素溶媒で希釈してから加えることが望ましい。
【0044】第二段階までで生成したポリエチレンは、
分子末端にリチウムアルコキシドを有しているが、次に
第三段階として、このリチウムアルコキシド末端に酸ハ
ライドを反応させる。酸ハライドとしては、前記一般式
(4)で表わされるものが好適に用いられる。かかる酸
ハライドの具体例としては以下のものが挙げられる。
【0045】
【化8】
【0046】これらの酸ハライドは単独で又は2種以上
を適当な割合で混合して用いてもよく、その使用量は、
リビング末端に対して等モル量以上であれば特に制限は
ない。また反応温度にも特に制限はないが、通常−78
〜100℃、好ましくは−30〜70℃である。反応時
間にも特に制限はなく、通常は0.1〜24時間の範囲
である。比較的高温で、均一な系においては、短時間で
ほぼ100%の収率で反応が進行し、一般式(1)で表
わされるフッ化アルキル変性ポリエチレンワックスが得
られる。
【0047】製法Bにおいては、まず第一段階として製
法Aと同様のリビング重合を行い、次いで第二段階とし
て、製法Aのカルボニル化合物との反応に代えて、リビ
ング末端の酸素酸化を行う。具体的には所定の分子量に
達したリビングポリエチレンを含む反応器内のエチレン
ガスを除去した後、酸素を導入することで達成される。
反応条件によっては、窒素、アルゴン等の不活性ガスで
適当な濃度に希釈された酸素を用いて、反応速度を調節
することが望ましい。一般にはこの酸素酸化は、乾燥空
気を導入することにより達成される。酸素(混合)ガス
の導入速度及び圧力は、反応速度が制御できる範囲であ
れば特に制限されない。過酸化物の生成を防ぐために
は、微量ずつ導入することが好ましい。酸素酸化反応を
行う際の温度についても特に制限はないが、通常−78
〜100℃、好ましくは−30〜70℃である。
【0048】更に、第三段階として製法Aと同様にして
酸ハライドを反応させれば、一般式(1)で表わされる
フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスが得られる。
【0049】また、製法Cにおいては、まず第一段階と
して製法Aと同様のリビング重合を行い、次いで第二段
階として、生成したリビングポリエチレンに対して、蟻
酸エステルを反応させる。蟻酸エステルを構成するアル
コール成分に特に制限はないが、通常は低分子の1価ア
ルコールが用いられる。かかる蟻酸エステルの具体例と
しては、蟻酸メチル、蟻酸エチル等が挙げられる。蟻酸
エステルの代わりに他のカルボン酸エステルを用いた場
合も、ある程度の割合で3級水酸基を有するポリエチレ
ンが得られるが、プロトン引き抜き反応その他の副反応
が多く、高いフッ化アルキル基導入率を得ることができ
ない。本反応は2分子のリビング末端が1分子の蟻酸エ
ステルに対して付加することで完結するものであるか
ら、蟻酸エステルの添加量は生長リビング末端量に対
し、1/2当量であることが必要である。また、副反応
を防ぎ、確実に目的物を得るためには、蟻酸エステルは
少量ずつゆっくりと添加することが必要である。
【0050】反応温度は特に制限はないが、通常は−7
8〜100℃、好ましくは−20〜70℃で行われる。
蟻酸エステルとリビングポリエチレンとの反応は、均一
系においては室温でもほぼ1分以内に完結する。しかし
ながら、ポリエチレンの分子量が高く沈澱を生成してい
る場合には、数分〜数時間の反応が必要となる。
【0051】第二段階まで生成したポリエチレンは、分
子鎖中央近傍にリチウムアルコキシドを有しているが、
更に第三段階として製法Aと同様にして酸ハライドを反
応させれば、一般式(2)で表わされるフッ化アルキル
変性ポリエチレンワックスが得られる。
【0052】かくして得られるフッ化アルキル変性ポリ
エチレンワックスの平均分子量は、ワックスとしての性
能と他の油との相溶性を考慮すると500〜4500の
範囲が好ましい。
【0053】本発明の油性固形物中にフッ化アルキル変
性ポリエチレンワックスの配合量は特に制限されない
が、通常0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜50
重量%、更に好ましくは1〜30重量%である。
【0054】本発明において、上述したフッ化アルキル
変性ポリエチレンワックスと共に配合される液体油又は
固体油としては、通常化粧料、医薬品、クレヨン等に用
いられる常温で液体状又は固体状(半固体状のものも含
む)のものであれば特に制限されるものではない。
【0055】液体油としては、室温で流動性のある液状
のものが好ましく、その具体例としては、ジメチルポリ
シロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサン、スクワラン、軽質流動パラフィ
ン、α−オレフィンオリゴマー、流動ポリイソブチレ
ン、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシ
ル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、イ
ソステアリン酸ヘキシルデシル、リンゴ酸ジイソステア
リル、ホホバ油、液状ラノリン、液状ジグリセリド、オ
リーブ油、アボカド油、ヒマシ油、イソステアリルアル
コール等が挙げられる。これらの液体油の配合量は、特
に制限はないが、本発明の油性固形物中に5〜99.9
重量%、特に50〜99重量%が好ましい。
【0056】また、固体油の具体例としては、モクロ
ウ、硬化牛脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラ
イスワックス、ミツロウ、セレシンワックス、マイクロ
クリスタリンワックス、パラフィンワックス、ポリエチ
レンワックス、硬化ホホバ油、ラノリン、ワセリン、固
形パラフィン、細胞間脂質(セラミド等)等が挙げられ
る。これらの固体油の配合量は、用途により適宜決定す
ればよいが、本発明の油性固形物中に0〜99.9重量
%、特に0〜50重量%が好ましい。
【0057】本発明の油性固形物は、上述の液体油及び
/又は固体油とフッ化アルキル変性ポリエチレンワック
スとを加熱融解して均一に混合し、次いで冷却固化する
ことにより製造することができる。
【0058】本発明の油性固形物は化粧料やクレヨン等
の文具の製造その他様々な用途の油性基剤として用いら
れるものであるが、特に化粧料用として有用であり、そ
の場合、配合量は化粧料の種類によっても異なるが、全
量中に5〜99重量%、特に20〜99重量%が好まし
い。
【0059】本発明の化粧料には、上記成分の他、目的
に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上
記以外の実質的に水を含まない油性原料、界面活性剤、
薬効成分、防腐剤、抗酸化剤、保湿剤、紫外線吸収剤、
顔料、香料等を配合することができる。
【0060】本発明の化粧料は、上記成分を常法に従っ
て、加熱、混合、攪拌等することにより製造することが
でき、口紅、ファンデーション、アイシャドウ、アイラ
イナー等のメイクアップ化粧品とすることができる。
【0061】
【発明の効果】本発明の油性固形物は、強度及び撥水、
撥油性に優れ、化粧料、医薬品、クレヨン等の文具その
他の分野において有用であり、中でも化粧料に配合した
場合には、使用感に影響を与えずに適度な強度、高い撥
水、撥油性を有する化粧料を得ることができる。
【0062】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。
【0063】合成例1 窒素置換した1リットルのオートクレーブ中に、乾燥シ
クロヘキサン400ml、テトラメチルエチレンジアミン
3ml、n−ブチルリチウム(1.6mol/リットル)1
2.5mlを仕込み、50℃にてエチレンガスを2kg/cm
2 の圧力で導入した。30分間重合を行った後、エチレ
ンガスを除去し、そこへベンズアルデヒド2.2mlを滴
下した。10分間反応させた後、パーフルオロオクタン
酸フルオリド5.4mlを加えた。15分間反応させた
後、反応溶液を2リットルのメタノール中に投入した。
減圧濾過にて集めた固体を沸騰トルエン中に溶解させ、
熱時濾過にて不溶分を除いた後、濾液を2リットルのメ
タノール中に投入した。生成した固体を集め、50℃の
オーブンで真空下に24時間乾燥した。生成物の収量は
17.0g、Waters社製の装置を用いたGPC分
析(オルトジクロルベンゼン、135℃、ポリエチレン
標準サンプルで較正)の結果、生成物の数平均分子量は
1120であった。
【0064】1H−NMR分析(Bruker社製、2
00MHz、テトラクロロエチレン、80℃。ロック溶
媒としてDMSO−d6を二重管で用い、外部標準とし
てTMSを用いた。)の結果、0.8ppm(トリプレッ
ト)に開始末端メチル基、1.2ppm 付近に主鎖のメチ
レン基、5.6ppm (トリプレット)にベンジル位メチ
ン、7.2ppm 付近にフェニル基のシグナルが観察され
た。各々のシグナルの積分比から、数平均分子量116
0、フッ化アルキル基導入率100%であることがわか
った。
【0065】合成例2〜3 合成例1と同様の方法にて、フッ化アルキル変性ポリエ
チレンワックスを得た。条件及び結果を表1に示す。な
お、表1に示す分子量は合成例1と同様のGPC分析に
基づくものである。
【0066】
【表1】
【0067】合成例4 窒素置換した1リットルのオートクレーブ中に、乾燥シ
クロヘキサン400ml、テトラメチルエチレンジアミン
3ml、n−ブチルリチウム(1.6mol/リットル)1
2.5mlを仕込み、50℃にてエチレンガスを2kg/cm
2 の圧力で導入した。30分間重合を行った後、エチレ
ンガスを除去し、そこへ蟻酸エチル0.8mlを滴下し
た。10分間反応させた後、パーフルオロオクタン酸フ
ルオリド2.7mlを加えた。15分間反応させた後、反
応溶液を2リットルのメタノール中に投入した。減圧濾
過により集めた固体を沸騰トルエンに溶解させ、熱時濾
過にて不溶分を除いた後、濾液を2リットルのメタノー
ル中に投入した。生成した固体を集め、50℃のオーブ
ンにて真空下に24時間乾燥した。生成物の収量は1
3.1g、Waters社製の装置を用いたGPC分析
(オルトジクロルベンゼン、135℃、ポリエチレン標
準サンプルで較正)の結果、生成物の数平均分子量は1
690であった。
【0068】1H−NMR分析(Brucker社製、
200MHz、テトラクロロエチレン、80℃。ロック
溶媒としてDMSO−d6を二重管で用い、外部標準と
してTMSを用いた。)の結果、0.8ppm (トリプレ
ッド)に開始末端メチル基、1.2ppm 付近に主鎖のメ
チレン基、4.8ppm (ダブルトリプレット)にエステ
ル酸素のα位メチンのシグナルが観察された。各々のシ
グナルの積分比から、数平均分子量1730、フッ化ア
ルキル基導入率90%であることがわかった。
【0069】実施例1 合成例2にて合成したフッ化アルキル変性ポリエチレン
ワックスを用い、以下の表2の組成により油性固形物を
調製した。
【0070】
【表2】
【0071】(製法)原料を加熱融解して均一に混合
後、脱泡してから型に流し込み、冷却して固める。
【0072】実施例2 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスとして、合成
例4にて合成したものを同じ量用いて、実施例1と同様
の製法により、油性固形物を製造した。
【0073】比較例1 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの代わりに、
固形パラフィン(融点68℃)を同じ量用いて、実施例
1と同様の製法により、油性固形物を製造した。
【0074】比較例2 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの代わりに、
マイクロクリスタリンワックスを同じ量用いて、実施例
1と同様の製法により、油性固形物を製造した。
【0075】試験例1 実施例1、2及び比較例1、2の油性固形物を、40℃
の恒温槽に3ケ月間保存した場合の、強度について評価
を行った。その結果を表3に示す。また、実施例1、2
及び比較例1、2の油性固形物の撥水、撥油性(オイル
はスクワランを使用)について評価を行った。なお、撥
水、撥油性の評価は、接触角を測定することによって行
った。接触角90°以上を「非常に良好」(◎)、30
°以上90°未満を「良好」(○)、10°以上30°
未満を「普通」(△)、10°未満を「劣る」(×)と
した。その結果も表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】実施例3 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスとして、合成
例2にて合成したフッ化アルキル変性ポリエチレンワッ
クスを用い、以下の表4の組成により口紅を調製した。
【0078】
【表4】
【0079】(製法)基剤原料を加熱融解して均一に混
ぜる。これに色材原料を加え、ロールミルで練ることに
より均一に分散させた後、再融解して脱泡してから型に
流し込み、急冷して固める。固まったものを型から取り
出し、容器に装填した。
【0080】実施例4 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスとして、合成
例4にて合成したものを同じ量用いて、実施例3と同様
の製法により、口紅を製造した。
【0081】比較例3 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの代わりに、
固形パラフィン(融点63℃)を同じ量用いて、実施例
3と同様の製法により、口紅を製造した。
【0082】比較例4 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスの代わりに、
マイクロクリスタリンワックスを同じ量用いて、実施例
3と同様の製法により、口紅を製造した。
【0083】試験例2 専門パネラー10人に実施例3、4及び比較例3、4の
口紅を使用してもらい、その使用感について官能評価し
た。その結果を表5に示す。また、実施例3、4及び比
較例3、4の口紅の撥水、撥油性(オイルはスクワラン
を使用)を観察した。その結果を表5に示す。
【0084】
【表5】
【0085】実施例5 合成例3によって合成したフッ化アルキル変性ポリエチ
レンワックスを用い、以下の表6の組成により、眉墨を
製造した。
【0086】
【表6】
【0087】(製法)顔料以外の原料を加熱融解して均
一に混ぜる。これに顔料を加えてよく攪拌し、ロールミ
ルで練ることにより均一に分散させた後、冷却、圧搾射
出機によって内径3mmのノズルから押し出し成形した。
【0088】実施例6 フッ化アルキル変性ポリエチレンワックスとして、合成
例4にて合成したものを同じ量用いて、実施例5と同様
の製法により、眉墨を製造した。
【0089】比較例5 実施例5の基剤のフッ化アルキル変性ポリエチレンワッ
クス全量を固形パラフィンに置き換えて、実施例5と同
様の製法により、眉墨を製造した。
【0090】試験例3 専門パネラー10人に実施例5、6及び比較例5の眉墨
を使用してもらい、強度及び使用感について官能評価し
た。その結果を表7に示す。また、実施例5、6及び比
較例5の眉墨の撥水、撥油性(オイルはスクワラン使
用)を観察した。その結果も表7に示す。
【0091】
【表7】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体油及び/又は固体油、並びに次の一
    般式(1)又は(2) 【化1】 〔式中、R1 は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖の飽和炭
    化水素基を示し、R2 及びR3 は同一か又は異なってい
    てもよく、水素原子又は炭素数1〜18の脂肪族炭化水
    素基若しくは芳香族炭化水素基を示し、n及びmは10
    〜1000の整数を示し、Rfは炭素数2〜17のパー
    フルオロアルキル基又は重合度2〜5のパーフルオロプ
    ロピレノキシドオリゴマーを示す〕で表わされるフッ化
    アルキル変性ポリエチレンワックスを含有することを特
    徴とする油性固形物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の油性固形物を含有するこ
    とを特徴とする化粧料。
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Cited By (3)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002338622A (ja) * 2001-05-21 2002-11-27 Nippon Soda Co Ltd 部分ポリフルオロ炭化水素基含有ポリマー
JP2003089699A (ja) * 2001-09-19 2003-03-28 Kao Corp シラン化合物
WO2009136633A1 (ja) * 2008-05-09 2009-11-12 ロート製薬株式会社 棒状化粧料、棒状化粧品、及びそれらの製造方法

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