JP2002338618A - 重合体水溶液の製造方法 - Google Patents

重合体水溶液の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 狭い分子量分布を有しかつ分散剤や洗剤ビル
ダー等に適する重合体水溶液であって、着色が起こり難
い重合体水溶液の製造方法の提供。 【解決手段】 (a)アクリル酸単量体または(b)ア
クリル酸単量体およびそれと共重合性単量体からなる単
量体混合物を、水性媒体中でラジカル重合させて得られ
るpHが5以下である重合体水溶液にアリカリを添加す
ることにより中性またはアルカリ性の重合体水溶液を製
造する方法において、少なくとも重合体水溶液のpHが
5〜6の範囲にある間重合体水溶液中に還元性化合物
を、重合体を基準にして0.3質量%以上存在させておく
ことを特徴とする重合体水溶液の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、顔料分散剤やスケ
ール防止剤または洗剤ビルダーなどとして好適な重合体
水溶液の製造方法に関するものであり、本発明によれば
製造時および貯蔵中のいずれにおいても着色の起こらな
い重合体水溶液が得られる。
【0002】
【従来の技術】顔料分散剤やスケール防止剤または洗剤
ビルダーなどの用途には、一般的に数平均分子量が20
00〜10000程度のポリ(メタ)アクリル酸塩およ
び(アクリル酸塩/マレイン酸塩)コポリマーなどの水
溶性重合体が使用されている。かかる水溶性重合体は、
通常連鎖移動剤の存在下に水性媒体中で水溶性単量体を
ラジカル重合させることにより製造されている。上記水
溶性重合体の主要単量体として使用される(メタ)アク
リル酸塩については、重合時には、副反応が発生し難い
点で塩になっていない(メタ)アクリル酸を使用するこ
とが好ましい。その結果上記水溶性重合体は重合直後に
は酸性の水溶液として得られるが、分散剤または洗剤ビ
ルダーとしての物性は、ポリ(メタ)アクリル酸塩の方
が優れているため、上記酸性の重合体水溶液は水酸化ナ
トリウムなどのアルカリを添加して中和されることが一
般的である。
【0003】ポリ(メタ)アクリル酸塩および(アクリ
ル酸塩/マレイン酸塩)コポリマーなどの重合体水溶液
は、上記の中和の際または中和後貯蔵される期間中に着
色し易いという問題があった。この水溶性重合体が着色
し易いという傾向は一般的なものであり、例えば特開2
001−31722号公報においても、同様な水溶性重
合体の着色の防止のために、重合溶媒として溶存酸素濃
度が5ppm以下の溶媒を使用するという手段が提案さ
れている。しかしながら、この方法だけでは完全には着
色を防止できないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、着色を抑
制した前記水溶性重合体の水溶液を得る方法を提供すべ
き鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明は、(a)アクリル酸単量体または(b)
アクリル酸単量体およびそれと共重合性単量体からなる
単量体混合物を、水性媒体中でラジカル重合させて得ら
れるpHが5以下である重合体水溶液にアリカリを添加
することにより中性またはアルカリ性の重合体水溶液を
製造する方法において、少なくとも重合体水溶液のpH
が5〜6の範囲にある間重合体水溶液中に還元性化合物
を、重合体を基準にして0.3質量%以上存在させておく
ことを特徴とする重合体水溶液の製造方法である。以
下、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においてアクリル酸単量体
およびそれと共重合性単量体からなる単量体混合物を重
合に供する場合には、共重合性単量体の好ましい使用割
合は、全単量体の合計量を基準にして30質量%以下で
ある。共重合性単量体の使用割合が30質量%を越える
と、一般的に得られる重合体における分散性能が不十分
となり易く、共重合性単量体がアクリル酸塩の場合であ
っても重合系のpHが上がりその結果副反応が起こり易
くなり、好ましくない。アクリル酸と共に使用し得る共
重合性単量体としては、水溶性単量体が好ましく、具体
的にはアクリル酸塩、メタクリル酸、クロトン酸、フマ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸およびそれらの塩等の不
飽和カルボン酸系単量体;2-アクリルアミド-2- メチル
プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスル
ホン酸、( メタ) アリルスルホン酸およびそれらの塩等
のスルホン酸系単量体;( メタ)アクリル酸ヒドロキシ
エチル、( メタ) アクリル酸ヒドロキシプロピル、( メ
タ) アクリル酸ポリアルキレンオキサイド、( メタ) ア
クリル酸グリセリド、( メタ) アクリルアミド、アリル
アルコール、メタリルアルコール、N-アルキル( C=1
〜3) アクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミ
ド、アクリロニトリル、N-ビニルピロリドン、酢酸ビニ
ル、( メタ) アクリル酸ジメチルアミノメチルおよびそ
の4級塩、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドおよ
びその4級塩、ジアリルジメチルアンモニウムおよびそ
の4級塩等が挙げられる。上記水溶性単量体以外に、(
メタ) アクリル酸アルキル、不飽和カルボン酸エステル
類およびスチレン等の疎水性単量体も所望により適量使
用することもできる。重合後に得られるアルカリ中和前
の重合体の構成は、アクリル酸単量体単位またはその塩
を主成分とすることが好ましく、具体的には全単量体単
位の合計量を基準にするアクリル酸単量体単位またはそ
の塩の割合が80質量%以上であることが好ましい。
【0006】本発明においては、水性媒体中でラジカル
重合開始剤の存在下に上記単量体を重合させる。重合開
始剤としては、公知のラジカル発生化合物が使用でき、
例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アン
モニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、
過酢酸、過コハク酸、クメンヒドロパーオキサイド、ジ
-t- ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物および過酸
化水素等が挙げられる。さらには、有機または無機の過
酸化物とともに還元剤を併用するレドックス系の重合開
始剤も好ましく使用できる。重合開始剤の好ましい使用
量は、単量体100質量部あたり0.1〜5質量部であ
る。反応温度は、50〜150℃の範囲から適宜選択す
ればよく、重合時間としては1〜10時間程度でよい。
重合媒体としては通常水が使用され、重合反応液におけ
る好ましい水の割合は60〜30質量%程度である。水
の使用割合が少ないほど、製造コスト的に有利な高濃度
の重合体水溶液が得られる。
【0007】本発明において数平均分子量が2000〜
10000程度の重合体を得ようとする場合、重合時に
連鎖移動剤を使用する。連鎖移動剤としては、ラジカル
重合において一般的に使用されている連鎖移動剤が使用
でき、具体例としては、イソプロピルアルコール等のア
ルコール、亜硫酸または亜硫酸水素塩等の無機イオウ化
合物、メルカプトプロピオン酸、メルカプトエタノー
ル、チオ安息香酸等のチオール化合物等が挙げられる。
好ましい連鎖移動剤は、重合終了後に除去するのが容易
である点および臭気が少ない点で、イソプロピルアルコ
ールおよび亜硫酸水素塩であり、さらに好ましくは、亜
硫酸水素塩である。連鎖移動剤の好ましい使用量は、目
的とする重合体の所望平均分子量、連鎖移動剤自体の連
鎖移動能、単量体の種類、重合開始剤の使用量および重
合温度によって異なる。概略では、平均分子量が100
00以下の水溶性重合体を得るためには、モノマー10
0gあたり連鎖移動剤0.01〜3モルが好ましい。
【0008】本発明においては、上記単量体、水性媒
体、重合開始剤および連鎖移動剤を使用して、目的とす
る水溶性重合体を製造する。反応器に水性媒体を仕込ん
でおき攪拌下に、単量体、重合開始剤および連鎖移動剤
を徐々に、例えば1〜10時間程度かけて滴下し重合に
よる発熱が停止するまで重合を継続する。かかる重合の
末期に過酸化物を重合系に追加して重合率を向上させ、
残モノマーを低減させることが好ましい。過酸化物の好
ましい添加量は、単量体の合計量を基準にして0.5〜5
質量%である。上記操作によって得られる重合体水溶液
のpHが5以下の場合が本発明を適用する対象となる。
重合させる単量体としてアクリル酸を70質量%以上含
む単量体または単量体混合物を使用する場合には、上記
重合操作により通常pHが5以下の重合体水溶液が得ら
れる。
【0009】本発明においては、pHが5以下の重合体
水溶液をアルカリで中和する際に、少なくとも重合体水
溶液のpHが5〜6の範囲にある間重合体水溶液中に還
元性化合物を、重合体を基準にして0.3質量%以上存在
させておく。還元性化合物の好ましい量は、1〜20質
量%である。重合直後の重合体水溶液中に還元性化合物
が、重合体を基準にして0.3質量%以上含まれておれ
ば、さらに還元性化合物を添加する必要はないが、0.3
質量%未満の場合には、後から還元性化合物を添加す
る。還元性化合物の添加時期は特に限定されないが、重
合体水溶液のpHが5に達した時期に添加するのが好ま
しい。還元性化合物の添加の仕方としては、水溶液とし
て添加するのが好ましく、例えば30分位の時間をかけ
て滴下してもよいしまた一時に添加してもよい。中和後
の重合体水溶液の好ましいpHは7付近であるが、所望
により7以上に調整してもよい。
【0010】還元性化合物としては、亜硫酸水素ナトリ
ウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム等
の亜硫酸水素塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、
亜硫酸アンモニウム等の亜硫酸塩、硫化水素、二酸化イ
オウ、硫化ナトリウムおよび硫化アンモニウム等が好ま
しい。より好ましくは、亜硫酸水素塩および亜硫酸塩で
あり、特に好ましくは亜硫酸水素塩である。上記の事項
から明らかなとおり、還元性化合物として使用する化合
物の一部はラジカル重合における連鎖移動剤として使用
される化合物と同一である。従って、重合において比較
的多量に連鎖移動剤を使用した場合には、得られる重合
体水溶液中には、重合体を基準にして0.3質量%以上の
還元性化合物が含まれていることもある。しかしなが
ら、そうでないこともあり、特に残モノマーの低減のた
めに過酸化物を重合末期に追加する場合には、得られる
重合体水溶液における還元性化合物の存在量はほぼ零で
あり還元性化合物の添加が必要になる。重合末期に過酸
化物を添加した場合、還元性化合物の好ましい添加量
は、該過酸化物の添加量の0.5〜5倍当量であり、さら
に好ましくは過酸化物の添加量の1.2〜3倍当量であ
る。
【0011】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。なお、以下の例において、「%」は
「質量%」である。
【0012】
【実施例1】還流冷却器、温度計、滴下口および攪拌機
を備えた容量2リットルのガラスフラスコに水220g
及び連鎖移動剤として亜硫酸水素ナトリウム3.5g を仕
込み、75℃に加温した。上記フラスコの内容液を攪拌
しながら、アクリル酸500gを水315gに溶解した
アクリル酸水溶液をポンプにより3.5時間かけて、フラ
スコに供給した。アクリル酸水溶液の滴下と併せて、過
硫酸ナトリウム2.5gを10%水溶液にしてまた亜硫酸
水素ナトリウム29.3g を30%水溶液にして、それぞ
れ3.5時間かけてアクリル酸水溶液とは別な滴下口から
反応器に添加した。上記添加が終了後、反応温度を80
℃まで昇温し、過硫酸ナトリウム2.4g(アクリル酸の
仕込み合計量を基準にして0.5質量%)を水溶液にして
反応液に30分かけて滴下した(この時反応液のpHは
約2であった)。その後、48%水酸化ナトリウムを用
いて反応液の中和を開始した。反応液のpHが5に達し
たとき、亜硫酸水素ナトリウム0.6g(重合体を基準に
して0.6質量%)を水溶液にして30分かけて滴下し
た。その後さらに中和を進めて、pHが7の重合体水溶
液を得た。得られた重合体水溶液のAPHAによる着色
度および該水溶液を70℃で10間放置した後のAPH
Aを測定した結果は、いずれの場合もAPHAは20で
あった。
【0013】
【比較例1】亜硫酸水素ナトリウム0.6gを中和の途中
で重合体水溶液に添加しないこと以外はすべて実施例1
と同様な操作を行い、pHが7の重合体水溶液を得た。
この重合体水溶液のAPHAは100であり、また該水
溶液を70℃で10間放置した後のAPHAは150で
あった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、分散剤や洗剤ビルダー
として好適な比較的低分子量でシャープな分子量分布を
有する重合体を容易に得ることができ、しかも得られる
重合体水溶液に色が着かずしかも該重合体水溶液の貯蔵
中にも着色が起こらない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB07Q AD03Q AG04Q AJ01Q AJ02P AJ02Q AJ08Q AJ09Q AK08Q AK12Q AL08Q AL09Q AM15Q AM21Q AP01Q AQ08Q BA03Q BA08Q BA29Q BA55Q CA01 CA04 EA01 FA19 FA30 GC00 JA15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アクリル酸単量体または(b)ア
    クリル酸単量体およびそれと共重合性単量体からなる単
    量体混合物を、水性媒体中でラジカル重合させて得られ
    るpHが5以下である重合体水溶液にアリカリを添加す
    ることにより中性またはアルカリ性の重合体水溶液を製
    造する方法において、少なくとも重合体水溶液のpHが
    5〜6の範囲にある間重合体水溶液中に還元性化合物
    を、重合体を基準にして0.3質量%以上存在させておく
    ことを特徴とする重合体水溶液の製造方法。
  2. 【請求項2】 還元性化合物が亜硫酸水素塩であること
    を特徴とする請求項1記載の重合体水溶液の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合体の平均分子量が2000〜100
    00であることを特徴とする請求項1また2記載の重合
    体水溶液の製造方法。
  4. 【請求項4】 (a)アクリル酸単量体または(b)ア
    クリル酸単量体およびそれと共重合性単量体からなる単
    量体混合物を、水性媒体中でラジカル重合させ、重合末
    期に過酸化物を追加してさらに重合を継続させた後、重
    合を終了させて得られるpHが5以下である重合体水溶
    液にアリカリを添加することにより中性またはアルカリ
    性の重合体水溶液を製造する方法において、pHが5以
    下である重合体水溶液に還元性化合物を添加して、少な
    くとも重合体水溶液のpHが5〜6の範囲にある間重合
    体水溶液中に還元性化合物を、重合体を基準にして0.3
    質量%以上存在させておくことを特徴とする重合体水溶
    液の製造方法。
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