JP2002335997A - 細胞周期調節因子の活性の測定法とそれを用いた癌の診断法 - Google Patents

細胞周期調節因子の活性の測定法とそれを用いた癌の診断法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射性同位体を用いずに、細胞周期調節因子
を測定する方法を見出すこと。 【解決手段】 生体細胞からサイクリン依存性キナーゼ
/サイクリン複合体を測定するための試料を調製し、該
試料の存在下、サイクリン依存性キナーゼの基質となる
基質蛋白質とアデノシン5’−O−(3−チオトリホス
フェート)(ATP−γS)を反応させて、該基質蛋白
質のセリンまたはスレオニン残基にモノチオリン酸基を
導入し、導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識
蛍光物質または標識酵素を結合させることによって該基
質蛋白質を標識し、該基質蛋白質を標識した標識蛍光物
質からの蛍光量を測定するか、または該基質蛋白質を標
識した標識酵素に、該標識酵素との反応によって光学的
に検出可能な物質が生じるような基質を作用させて、生
じた生成物の量を光学的に測定し、予め作製した検量線
をもとにサイクリン依存性キナーゼの活性値を蛍光量ま
たは生じた生成物の量から算出することを特徴とする細
胞周期調節因子の活性の測定法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は放射性物質を用い
ることのない細胞周期調節因子の活性の測定法とそれを
用いた癌の診断法に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞増殖は生命維持上、生物の基本的か
つ重要な特徴の一つである。細胞増殖は、1つの細胞が
2つの娘細胞に分裂することにより行われるが、体細胞
分裂の場合、細胞の成長、DNAの複製、染色体の分
配、細胞の分裂などからなる複数の連続反応により、細
胞分裂が起こっている。この連続反応の一連過程は細胞
周期と呼ばれる。細胞周期は、真核細胞の場合、4つの
時期に分けられる。すなわち、DNA複製が起こるS
期、細胞の分裂が起こるM期、M期と次のS期までの間
の間隙であるG1期およびS期と次のM期までの間の間
隙であるG2期からなる。G1期は細胞が増殖へのシグ
ナルを受け、DNA複製の準備や細胞の分裂に必要な代
謝、成長のための時期であり、G2期は分裂に入る準備
のための時期と考えられている。また、G1期には哺乳
類細胞ではR点(Restriction poin
t)、酵母ではSTARTと呼ばれる移行点が実験的に
想定されている。一般に細胞は外界からの増殖シグナル
を受けて増殖する。これらのシグナルを細胞はG1期で
受け取り、細胞周期を進行させるが、G1期のある点を
過ぎると細胞は増殖シグナルがなくなっても、増殖を停
止することなくS→G2→M→G1と細胞周期を進行さ
せる。この点がR点またはSTARTであり、いわば細
胞が増殖方向に進行することを決定する時期であるとい
える。さらに、細胞は細胞周期を逸脱し、成長も増殖も
しない休止期(G0期)に入ることができる。実験的に
はこのような細胞は適当なシグナルを与えればG1期に
戻り、成長と分裂を再び誘導することができる。多細胞
生物体を構成する多くの非成長性、非増殖性の細胞はG
0期にあると考えられている。
【0003】細胞内にあって、細胞周期調節因子は主に
2つ存在する。1つは、正の調節因子であるサイクリン
依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるリン酸化酵素群で
あり、もう一つは負の調節因子であるCDK阻害因子
(CDKI)である。CDKは、通常細胞内では不活性
型単体として細胞質に存在し、CDK自体がリン酸化等
の活性化を受けて細胞内の核内に移動する。核内では、
CDKは核内に存在するサイクリン分子と結合してCD
Kとサイクリンの複合体(以下、活性型CDKと称す
る)となり、細胞周期の様々な段階において、細胞周期
の進行を正に調節する。一方、CDKIはCDKと結合
することにより、すなわちCDKIが活性型CDKまた
はCDK単体と結合することによりCDKを不活性と
し、細胞周期活性を負に調節する。
【0004】CDKは、現在、CDK1、2、3、4、
5、6および7のタイプが知られ、それぞれ結合するサ
イクリンが異なる。すなわち、CDK1はサイクリンA
またはBと、CDK2はサイクリンAまたはEと、CD
K4およびCDK6はサイクリンD1、D2またはD3
と結合して活性型となる。活性型CDKは、それぞれ特
異的な細胞周期の段階を制御する。細胞周期制御にかか
わるCDKと、機能的に結合するサイクリンおよびこれ
ら活性型CDKが機能する段階を以下の表1に示す。
【0005】
【表1】
【0006】このように、異なる種類のCDKが活性化
されることにより細胞周期が調節され、細胞増殖を調節
している。活性型CDKは基質蛋白質のセリンまたはス
レオニン残基をリン酸化する酵素である。in vit
ro反応系においては、活性型CDK1および2はヒス
トンH1を、活性型CDK4および6はRb(網膜芽細
胞腫蛋白質、Retinoblastoma prot
ein)を基質として良好に反応を行う。しかし、実際
の細胞周期制御における各活性型CDKの生理的基質
は、その一つがRbであると考えられているが、これ以
外に基質が存在するかどうかは未だ不明である。
【0007】上記のように、CDKおよびサイクリンは
密接に関連しあって細胞周期を調節しているが、食道癌
ではサイクリンD1遺伝子の増幅が多くの症例において
認められ、胃癌や大腸癌ではサイクリンD1遺伝子の発
現亢進が多くの症例において示されている。一方、サイ
クリンEの遺伝子の増幅は胃癌や大腸癌で認められてい
るが、食道癌では認められていない。胃および大腸での
サイクリンEの過剰発現は、腺腫および腺癌の場合に有
意に高頻度であり、深部への侵潤、ステージの進行、転
移などの悪性度と有意な相関を示す。また、CDK1の
発現およびキナーゼ活性は、正常粘膜組織においてと比
較して大部分の胃癌および大腸癌において著しく亢進し
ている。従って、サイクリン遺伝子の発現の亢進と、種
々の癌の進行度や悪性度と相関していることが知られて
いる(安井 弥、SysmexJournal We
b.,1〜10頁, vol.1, 2000)。
【0008】以上のことから、それぞれの種類のCDK
の活性を測定すると、細胞周期の制御に関連した疾患の
種類や悪性度の良い指標となり得ることが期待される。
すなわち、R点でCDK2の発現が低下し細胞周期を停
止させて細胞分裂が調節されるが、CDK2の発現が高
まっていることはR点における細胞周期の停止不能、例
えば癌のような疾患の状態を意味すると予想される。ま
た、CDK4または6の発現が高まっていると、CDK
4または6と特異的に結合するサイクリンD1遺伝子の
発現亢進が見られる胃癌または大腸癌が予想され、癌の
種類を決定することが可能であると考えられる。
【0009】通常、CDKの活性は放射性同位体を用い
て測定される。詳細には、抗CDK抗体を用い細胞溶解
液から免疫沈降法により抽出された活性の不明なCDK
存在下に、基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基
に、32P標識したアデノシン5’−O−(3−トリホス
フェート)(ATP)を作用させて、32P標識したAT
P由来のモノリン酸基を導入し、基質蛋白質に取り込ま
れた32P量をオートラジオグラフィーまたはシンチレー
ションカウンターで検出することによりリン酸化された
基質蛋白質の量が測定され、その基質蛋白質の量からC
DKの活性が算出される。上記の方法は、32Pという放
射性物質を使用するため、取り扱いや廃液処理等には注
意が必要である。
【0010】
【解決しようとする課題】従って、放射性物質を使用せ
ずに鋭敏に細胞周期調節因子を測定する方法およびその
結果に基づいて癌を診断する方法を見出すことが、所望
されていた。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、生体細胞から
サイクリン依存性キナーゼ/サイクリン複合体を測定す
るための試料を調製し、該試料の存在下、サイクリン依
存性キナーゼの基質となる基質蛋白質とアデノシン5’
−O−(3−チオトリホスフェート)(ATP−γS)
を反応させて、該基質蛋白質のセリンまたはスレオニン
残基にモノチオリン酸基を導入し、導入されたモノチオ
リン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質または標識酵素を結
合させることによって該基質蛋白質を標識し、該基質蛋
白質を標識した標識蛍光物質からの蛍光量を測定する
か、または該基質蛋白質を標識した標識酵素に、該標識
酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が生じる
ような基質を作用させて、生じた生成物の量を光学的に
測定し、予め作製した検量線をもとにサイクリン依存性
キナーゼの活性値を蛍光量または生じた生成物の量から
算出することを特徴とする細胞周期調節因子の活性の測
定法を提供するものである。さらに、本発明は本発明の
細胞周期調節因子の活性の測定法により得られた結果に
基づいて、癌を診断する方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法を実施するには、ま
ず試料が調製される。本発明においてサイクリン依存性
キナーゼ(CDK)/サイクリン複合体を含有する試料
とは、1種類または複数種類のCDK/サイクリン複合
体を含有するものであってもよいが、1種類のCDK/
サイクリン複合体を含有するものが好ましい。本発明の
方法で用いる生体細胞から調製されたCDK/サイクリ
ン複合体(以下、活性型CDKと略す)を含有する試料
は、生体細胞の可溶化およびその可溶化液からの測定目
的の活性型CDKを含む試料の単離により調製される。
本発明で用いられるCDKとは、CDK1、CDK2、
CDK3、CDK4、CDK5、CDK6およびCDK
7が挙げられる。
【0013】(1)細胞の可溶化 試料は、組織サンプル(バイオプシーサンプルや外科切
除サンプル等)のようなヒトを含む動物由来の生体細胞
から調製される。試料はCDK/サイクリン複合体の有
無を試験するためのものであり、試料中に存在する場合
にはその活性の度合いも測定されるものである。生体細
胞中、単体CDKは細胞質に存在し、サイクリンは核内
に存在する。単体CDKが核内に移行して核中でサイク
リンと結合して活性型CDKとなる。したがって、活性
型CDKを含む試料を調製するには、生体細胞を可溶化
させることにより、単体CDKはサイクリンと結合させ
る必要がある。生体細胞を可溶化させるために、生体細
胞はその細胞膜および核膜を化学的または物理的処理に
付して、破壊することにより行うことができる。具体的
には、例えば界面活性剤、蛋白質分解酵素阻害剤および
脱リン酸化酵素阻害剤を含有する緩衝液中、ワーリング
ブレンダー、シリンジで吸引排出するか、または超音波
処理に付すことが好ましい。
【0014】界面活性剤は、細胞膜や核膜を破壊して細
胞内物質を取り出すために用いられる。ただし、活性型
CDKを分解させない程度の界面活性を有するものが用
いられる。その例としては、ノニデットP−40、トリ
トンX−100、デオキシコール酸、CHAPSが挙げ
られる。界面活性剤濃度は、1w/v%以下が好まし
い。
【0015】蛋白質分解酵素阻害剤は、細胞膜や核膜が
破壊された細胞内物質が混在するときに蛋白質であるC
DKやサイクリン分子が破壊されるのを防ぐために用い
られる。その例は、EDTA、EGTAのようなメタロ
プロテアーゼ阻害剤、PMSF、トリプシンインヒビタ
ー、キモトリプシンのようなセリンプロテアーゼ阻害剤
および/またはヨードアセトアミド、E−64のような
システインプロテアーゼ阻害剤の混合物や、シグマ社か
ら市販のプロテアーゼ阻害剤カクテルのようなそれら蛋
白質分解酵素阻害剤の予め混合された市販品が挙げられ
る。
【0016】脱リン酸化酵素阻害剤は、蛋白質である活
性型CDK自体のリン酸基が水解されて活性が変動する
のを防ぐために用いられる。その例として、セリン/ス
レオニン脱リン酸化酵素阻害剤としてはフッ化ナトリウ
ムが、チロシン脱リン酸化酵素阻害剤としてはオルトバ
ナジン酸ナトリウム(Na3VO4)が挙げられる。
【0017】細胞可溶化液は、遠心分離やフィルターを
用いたろ過などに付され、不溶物が除去される。次に、
活性型CDKを含む試料を調製するにあたり、処理され
た生体細胞の可溶化液中の全蛋白質量を当業者に公知の
方法に従って測定しておくのが望ましい。全蛋白質量
は、例えば、DC蛋白質キット等を用いて、ウシIgG
を標準として測定される。
【0018】(2)測定目的の活性型CDKを含む試料
の単離 活性測定用の目的の活性型CDKを含む試料は、そのよ
うにして得られた細胞可溶化液から調製される。活性型
CDKを含む試料の調製法には、例えば、免疫沈降法が
ある。免疫沈降法によれば、目的の各種CDK1〜7の
いずれか一つに特異性を有する抗CDK抗体が用いられ
る。
【0019】より詳細には、所定量の蛋白質を含む細胞
可溶化液に、測定目的の活性型CDKに対応する抗CD
K抗体と、その抗CDK抗体を捕捉するための材料とし
てプロテインA、プロテインGまたは抗ウサギIgG抗
体をコートしたセファロースビーズの懸濁液(ビーズ含
量4〜6v/v%)を0〜10℃で1〜2時間反応させ
る。これらビーズは不溶性なので、ビーズに結合した該
抗CDK抗体とCDKの複合体は不溶性となり沈降す
る。
【0020】なお、免疫沈降法によると、細胞可溶化液
中のCDK群(CDK単体、活性型CDK、活性型CD
KとCDKIの複合体、およびCDKとCDKIの複合
体を意味する)がすべて捕捉されるので、活性型CDK
と共にCDK単体、活性型CDKとCDKIの複合体、
およびCDKとCDKIの複合体のような不活性型CD
Kも調製する試料に含まれる。しかし、不活性型CDK
はATP−γS存在下に基質蛋白質のモノチオリン酸化
に関与しないので、不活性型CDKを含む活性型CDK
の活性測定用試料を用いて本発明の方法を実施しても、
不活性型CDKの活性は測定されず、活性型CDKの活
性のみが測定されることとなる。
【0021】次いで、沈降した活性型CDKと抗CDK
抗体との複合体と結合したビーズを洗浄する。ビーズを
洗浄する洗浄用緩衝液には、後に活性型CDKの基質と
なる基質蛋白質と活性型CDKとにATP−γSが作用
するためにマグネシウムとコンプレックスを形成する必
要があるので、塩化マグネシウム、およびタンパクの高
次構造の安定化のために必要な酵素の安定化剤として例
えばジチオスレイトール(DTT)を含む。さらに、ア
ルブミンや、少量の界面活性剤などを含まれてもよい。
【0022】その後、測定目的の活性型CDKを含有す
る試料を用いて、その活性を測定する。本発明による方
法は、活性型CDK存在下に基質蛋白質のセリンまたは
スレオニン残基をモノチオリン酸化することと、そのチ
オリン酸基を標識してその標識を測定することからな
る。なお、本発明の方法においては、ビーズに結合した
CDK抗体と結合した状態の活性型CDK抗体を、活性
型CDKとして用いて行ってもよい。
【0023】(i)活性型CDK存在下に、CDKの基
質である基質蛋白質とアデノシン5’−O−(3−チオ
トリホスフェート)(ATP−γS)を反応させて、該
基質蛋白質のセリンまたはスレオニン残基にATP−γ
S由来のモノチオリン酸基を導入すること。通常、活性
型CDKは、以下の式に示すように、基質蛋白質のセリ
ンまたはスレオニン残基にATPを作用させてATP由
来のモノリン酸基を導入されるが、本発明の方法におい
ては、ATPの代わりにATP−γSを用いて、モノリ
ン酸基の代わりにモノチオリン酸基を基質蛋白質のセリ
ンまたはスレオニン残基に導入されるものである。
【0024】モノチオリン酸化するには、該基質蛋白質
0.1〜1mg/mlを含むpH6.5〜8.5、好ま
しくは7.4の溶液に、25〜40℃、好ましくは37
℃の温度で、該基質蛋白質1当量に対して10〜100
当量のATP−γSを、活性型CDKの存在下で、5分
間〜1時間、好ましくは10分間反応させることにより
行う。測定試料には測定目的の活性型CDKのみなら
ず、上述のように不活性型も含まれているが、活性型C
DKのみがチオリン酸基導入反応を触媒するので、本発
明の方法には不活性型は関与しない。
【0025】
【化1】 基質蛋白質としては、活性型CDK1およびCDK2に
対してはヒストンH1、活性型CDK4およびCDK6
に対してはRb(網膜芽細胞腫蛋白質、Retinob
lastoma protein)などが挙げられる。
【0026】なお、本発明において、元来分子内にシス
テイン残基を含む基質蛋白質、例えばRbについては、
その残基をアラニンなどのチオール基を含まないアミノ
酸残基に置換した基質蛋白質が用いられる。これは、活
性型CDKの作用によりATP−γS由来のチオリン酸
基が導入された基質蛋白質のチオリン酸の硫黄原子を標
識蛍光物質または標識酵素で標識する際に、基質蛋白質
内に元来存在するシステイン残基のチオール基が同時に
標識されて測定誤差が生じないようにするためである。
【0027】元来分子内にシステイン残基を含む基質蛋
白質について、その残基をアラニンなどのチオール残基
を含まないアミノ酸残基に置換した基質蛋白質を製造す
る方法としては、PCR法、部位点突然変異法による基
質蛋白質遺伝子の修飾およびその遺伝子の発現が挙げら
れる。具体的には、例えば、Rbのようなシステイン残
基を含む基質蛋白質には、オリゴヌクレオチドプライマ
ーRb−1(5’−ACA GGA TCC TTG
CAG TAT GCT TCC−3’)、Rb−2
(5’GCT GTT AGC TAC CAT CT
G ATT TAT−3’)、Rb−3(5’−ATG
GTA GCT AAC AGC GAC CGT
GTG−3’)およびRb−7(5’−GCG AAT
TCAATC CAT GCT ATC ATT−
3’)を用いてクローニングすることにより得られる組
換えベクターから発現して得られる、システイン残基を
コードするヌクレオチドをアラニン残基をコードするヌ
クレオチドに置換した組換えDNAを発現させてシステ
イン残基をアラニン残基に置換した基質蛋白質を製造す
る。
【0028】(ii)該基質蛋白質の標識およびその標
識の量の測定 導入されたチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質また
は標識酵素を結合させることによって該基質蛋白質を標
識するには、チオリン酸基が導入された該基質蛋白質
0.1〜1mg/mlを含むpH7.5〜9.0、好ま
しくは8.5の溶液に、該基質蛋白質1当量に対して1
0〜100当量の、チオール基と反応する官能基を持つ
標識蛍光物質または標識酵素を10分〜2時間反応させ
ることにより行う。反応は、遊離のチオール、例えばβ
−ME(β−メルカプトエタノール)、DTT(ジチオ
スレイトール)が添加されて停止される。
【0029】標識蛍光物質で標識した該基質蛋白質の場
合、該標識蛍光物質からの蛍光量を測定し、予め作製し
たチオリン酸基を導入した既知量の基質蛋白質と蛍光量
との検量線に、得られた蛍光量をあてはめることにより
該基質蛋白質の量を算出する。その該基質蛋白質の量
を、試料中に含まれる活性型CDKの活性値とする。ま
たは、標識酵素で標識した該基質蛋白質の場合、該基質
蛋白質を標識した標識酵素に、該標識酵素との反応によ
って光学的に検出可能な物質が生じるような基質を作用
させて、生じた生成物の量を光学的に測定し、前記と同
様に予め作製した検量線に得られた測定値をあてはめる
ことにより試料中に含まれる活性型CDKの活性値を算
出する。ここで、光学的に検出可能な物質とは、蛍光や
吸光度等を測定することによってその存在を検出できる
ような物質をいう。
【0030】チオリン酸基の硫黄原子に結合可能な標識
蛍光物質としては、フルオレセイン、クマリン、エオシ
ン、フェナントロリン、ピレン、ローダミンなどが挙げ
られる。そのうち、フルオレセインが好ましい。これら
の標識蛍光物質によりチオリン酸基の硫黄原子と結合す
るためには、チオール基と反応する官能基を持つ標識蛍
光物質、例えばアルキルハライド、マレイミド、アジリ
ジン部位を有する標識蛍光物質が使用される。
【0031】チオール基と反応する官能基を持つ標識蛍
光物質としては、ヨードアセチル−FITC(フルオレ
セインイソチオシアネート)、5−(ブロモメチル)フ
ルオレセイン、フルオレセイン−5−マレイミド、5−
ヨードアセトアミドフルオレセイン(5−IAF)、6
−ヨードアセトアミドフルオレセイン(6−IAF)、
4−ブロモメチル−7−メトキシクマリン、エオシン−
5−ヨードアセトアミド、エオシン−5−マレイミド、
エオシン−5−ヨードアセトアミド、N−(1,10−
フェナントロリン−5−イル)ブロモアセトアミド、1
−ピレンブチリルクロリド、N−(1−ピレンエチル)
ヨードアセトアミド、N−(1−ピレンメチル)ヨード
アセトアミド(PMIA アミド)、1−ピレンメチル
ヨードアセテート(PMIA エステル)、ローダミン
レッドC2マレンイミドなどが挙げられる。このうち、
ヨードアセチル−FITCが好ましい。
【0032】また、チオリン酸基の硫黄原子と反応する
官能基を有するビオチン、例えばヨードアセチルビオチ
ンと反応させた後に、ビオチンとアビジンの親和性を利
用してアビジンに標識蛍光物質が共有結合した分子を反
応させて、チオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質を導
入してもよい。チオリン酸基の硫黄原子に標識酵素を導
入する方法としては、ヨードアセチルビオチンを硫黄原
子に導入し、その後該ビオチン分子に親和性を持つアビ
ジン分子に酵素が共有結合した分子を反応させることに
よる方法がある。酵素としては、βガラクトシダーゼ、
アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼが挙げられ
る。そのうち、ペルオキシダーゼが好ましい。
【0033】標識された該基質蛋白質の量の測定方法と
しては、標識蛍光物質からの蛍光量を測定するか、また
は標識酵素で標識された該基質蛋白質に、該標識酵素と
の反応によって光学的に検出可能な物質が生じるような
基質を作用させて、生じた生成物を光学的に測定する方
法がある。具体的には、標識蛍光物質を用いる場合、標
識蛍光物質をある特定の波長で励起させて、蛍光画像解
析装置で検出する。照射する光の波長は標識蛍光物質に
よって異なるが、具体的には、標識蛍光物質が、フルオ
レセインであるときは488nmの波長を照射して励起
させる。
【0034】標識酵素を用いる場合、標識酵素で標識さ
れた該基質蛋白質に、該標識酵素との反応によって蛍光
物質が生じるような基質を加えて、該標識酵素との反応
を起こさせて蛍光物質を生成させ、その蛍光物質を特定
の蛍光波長で励起させて、蛍光を検出する。標識酵素と
の反応により蛍光物質を生成する物質には、標識酵素が
ペルオキシダーゼであるときには、蛍光物質を生成する
ECL−プラスが挙げられる。なお、基質は使用する標
識酵素に合わせて適宜選択することができる。
【0035】標識蛍光物質または反応によって生成した
蛍光物質の量を測定し、予め作製した検量線にあてはめ
て、活性型CDKの活性値が算出される。標識された基
質蛋白質の反応液は、該標識された基質蛋白質の標識蛍
光物質の蛍光量または、標識酵素との反応によって生じ
た発光物質の蛍光量が検量線範囲に入る程度まで希釈す
る必要がある。具体的には、例えば、反応液は、100
〜500倍に希釈する。希釈剤としては、TBS(50
mM Tris−HCl、pH7.5、150mM N
aCl)、水、塩化ナトリウム水溶液等が用いられる。
塩化ナトリウム水溶液の場合は、塩化ナトリウムの濃度
が100〜500mMの範囲が好ましい。希釈した場合
には、活性型CDKの活性を算出する際に希釈倍率も考
慮に入れる。得られた活性型CDKの活性値は、調製し
た試料の全蛋白質量から取り出した所定量の蛋白質中に
含まれる量である。
【0036】予め作製する検量線は、チオール基を導入
した既知量の基質蛋白質を用いて作製されるのが望まし
いが、その他、標識蛍光物質または標識酵素との反応に
対する挙動が、チオール基を導入した基質蛋白質と同様
であることが知られているビオチン化アクチン等が代わ
りに用いられてもよい。その際、活性型CDKの活性値
は、ビオチン化アクチン等の量から換算される必要があ
る。また、本発明は、本発明の方法により測定したCD
K活性の結果により、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、食道
癌、前立腺癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮
癌、脳腫瘍、骨肉種または骨髄腫瘍のような癌疾患を診
断する方法を提供する。
【0037】
【実施例】方法例1(活性型CDK1の測定の場合;ヒ
ストンH1を基質とし、ペルオキシダーゼ標識を使った
例) 第1工程:0.1w/v%NP40(界面活性剤ノニデ
ットP−40)、50mMのトリス−HCl、pH7.
4, 5mM EDTA、50mMのフッ化ナトリウ
ム、1mMのオルトバナジン酸ナトリウムおよび100
μl/mlのプロテアーゼ阻害剤カクテール(シグマ、
SIGMA社)を含む溶解緩衝液中で、1x107細胞
/5mlの溶解緩衝液という条件下にHeLa(子宮頚
部癌細胞)細胞を、氷浴中で23G針をつけた5mlの
シリンジで10回吸引排出を繰り返し、細胞溶解液を調
製した。不溶物を15000rpmで5分間4℃で遠心
除去した。上澄み中に含まれる全蛋白質量をDC蛋白質
キット(バイオ−ラッド、Bio−Rad社)を用い
て、ウシIgGを標準として測定した。
【0038】第2工程:1.5ml用量のエッペンドル
フチューブに、500μlの溶解緩衝液中に溶解物の全
蛋白質量が10μgとなる量を加え、サンプルを調製し
た。サンプルに、10μlのポリクローナル抗CDK抗
体(サンタクルツバイオテクノロジー、Santa C
ruz Biotechnology社)を加えた。そ
のサンプルに、60μlのプロテインAをコートしたセ
ファロースビーズ(最終的には30μlの封入されたビ
ーズ)の1:1(セファロースビーズ:溶解緩衝液)ス
ラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で連続的に回
転させてインキュベートした。サンプル中のビーズを1
mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビーズを、50
mMのトリス−HCl、pH7.4,10mMの塩化マ
グネシウム(MgCl2)、1mMのDTTを含むキナ
ーゼ緩衝液1mlで1度洗浄した。ビーズを15μlの
キナーゼ緩衝液中に再懸濁させた。
【0039】第3工程:懸濁液に、ヒストンH1溶液
(50mMのトリス−HCl,pH7.4中の0.1m
g/mlの溶液)を10μl加えた。その懸濁液にAT
P−γS溶液(10mM水溶液)を10μl加えた。懸
濁液を10分間37℃で連続的に振とうしながらインキ
ュベートした。10000rpmで10秒間ビーズを遠
心し、沈殿させた。30μlの上澄み液を集めた。上澄
み液に、ヨードアセチルビオチンとチオリン酸の結合反
応の至適条件がpH8.5であるため、150mMのト
リス−HClおよびpH9.2,5mMのEDTAを含
む結合用緩衝液25μlを加えた。上澄み液に、40m
M PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce
社)溶液(20mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20
μl加えた。上澄み液を90分間暗所室温でインキュベ
ートした。ヨードアセチルビオチンとの反応を、7.5
μlのβ−ME(β−メルカプトエタノール)を加えて
停止させた。反応液を、TBS(50mMのトリス−H
Cl,pH7.4,150mM 塩化ナトリウム)で希
釈した。
【0040】第4工程 希釈した反応液の50μlをスロットブロッター(Sl
ot Blotter)を用いてPVDFメンブレン上
に添加し吸引した。メンブレンを50mlのTBS−T
(0.05w/v%Tween20を含むTBS溶液)
で1度洗浄した。メンブレンがアビジン−ペルオキシダ
ーゼと反応しないように、予めメンブレンの疎水性部分
をBSAによりブロックする。具体的には、メンブレン
をTBS−T中で3w/v%のBSA(ウシ血清アルブ
ミン、Bovine SerumAlbumin)で3
0分間室温でブロックした。メンブレンをアビジン−ペ
ルオキシダーゼ(Vector社)(TBS−Tで50
000倍希釈)で10分間室温で反応させた。メンブレ
ンを50mlのTBS−Tで3回洗浄した。ECL−プ
ラス(Amersham社)をメンブレンに5分間反応
させた;溶液の調製は、製造者の指示に従った。メンブ
レンを200mlの水で洗浄して反応を停止させた。M
olecular Imager(Bio−Rad社)
で蛍光のバンドを視覚化し、定量した。
【0041】方法例2(活性型CDK1の測定の場合;
ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例) 上記第4工程において、アビジン−ペルオキシダーゼの
代わりにアビジン−FITCを使用し、ECL−プラス
を反応させない以外は方法例1と同様に操作した。
【0042】方法例3(活性型CDK2の測定の場合;
ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例) 第1工程 エッペンドルフチューブ(容量1.5ml)中に10m
gから50mgの湿重量を持つ組織を入れ、方法例1の
第1工程中に記載の溶解緩衝液を800μl加え、ペッ
スルで磨り潰した。この際のペッスルは、押し付け力5
kgで90度の回転を左右に行う基礎運動を合計10回
繰り返した。ガラスウール(重量約0.1g)を充填
し、先端に0.45μmポアサイズを持つディスクフィ
ルター(ミリポア社)を装備した注射筒(容量1ml)
に、得られた粗可溶化液を通すことより、不溶物及び脂
質を取り除いた細胞可溶化液を調製した。上澄み中に含
まれる全蛋白質量をDC蛋白質キット(バイオ−ラッ
ド、Bio−Rad社)を用いて、ウシIgGを標準と
して測定した。
【0043】第2工程 方法例1の第2工程と同様に操作した。
【0044】第3工程 懸濁液に、ヒストンH1溶液(50mMトリス−HC
l、pH7.4中の0.1mg/mlの溶液)を10μ
l加えた。その懸濁液にATP−γS溶液(10mM水
溶液)を10μl加えた。懸濁液を90分間37℃で連
続的に振盪させながらインキュベートした。1000r
pmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、30μlの
上澄み液を集めた。上澄み液18μlに150mMトリ
ス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを含む結合
緩衝液15μlを加えた。さらに、5mM ヨードアセ
チルフルオロセイン(Pierce社)溶液(50mM
のリン酸緩衝液pH6.0及び50%ジメチルスルフォ
オキシド)を10μl加えた後、90分間暗所室温でイ
ンキュベートした。ヨードアセトアミドフルオロセイン
の反応を43μlのβ―MEを加えて停止させた。反応
液を、TBS(50mMトリス−HCl、pH7.4、
150mM塩化ナトリウム)で5倍から10倍に希釈し
た。
【0045】第4工程 希釈した反応液の50μlをスロットブロッターを用い
てPVDFメンブレン上に添加し吸引した。メンブレン
を50mMのTBS−T(0.05%w/v%Twee
n20を含むTBS溶液)で振盪しながら10分間3回
洗浄した。その後、メンブレンを200mlの水で洗浄
し、乾燥させた。MolecularImager(B
io−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、イメージ
アナライザーにより数値化した。
【0046】方法例4(活性型CDK2の測定の場合;
ヒストンH1を基質とし、FITC標識を使った例) 第1工程 K562細胞株を用い、方法例1の第1工程を同様に操
作した。 第2工程 500μlの溶解緩衝液中、K562細胞可溶化物の全
蛋白量が、0、25、50、100および200μg/
mlの濃度系列の試料を調製し、5ml容量のエッペン
ドルフチューブに注入した。それぞれのサンプルに、1
0μlのポリクロナール抗CDK2抗体(200μg/
ml、サンタクルズバイオテクノロジー、Santa
Cruz Biotechnology社)を加えた。
そのサンプルに、40μlのプロテインAをコートした
セファロースビーズの1:1(セファロースビーズ:溶
解緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃
で連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中
のビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビ
ーズを、100mMトリス−HCl、pH7.4、10
0mM 塩化ナトリウムで1回洗浄し、さらに、100
mMトリス−HCl、pH7.4で1回洗浄した。
【0047】第3工程 ビーズに、ヒストンH1を含むリン酸化反応溶液(40
mM トリス−HCl、pH7.4、18mM塩化マグ
ネシウム、2mM ATP−γS、6μg/test
ヒストンH1)を50μl加えた。懸濁液を90分間3
7℃で連続的に振盪させながらインキュベートした。1
000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿させ、3
6μlの上澄み液を集めた。上澄み液36μlに150
mMトリス−HCl、pH9.2、5mM EDTAを
含む結合緩衝液30μlを加えた。さらに、35mM
PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierce社)溶
液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0)を20μl加
えた後、90分間暗所室温でインキュベートした。その
後、等量(86μl)の0.5% β―MEを加え、反
応を停止した。反応液を、TBS(50mMトリス−H
Cl、pH7.4、150mM塩化ナトリウムで5倍か
ら10倍に希釈した。
【0048】第4工程 希釈した反応液の50μlをスロットブロッターを用い
てPVDFメンブレン上に添加し吸引した。得られたメ
ンブレンを1w/v%のBSAで30分間ブロックし、
TBSで5分間洗浄した。次にアビジン−FITC(P
ierce社)(TBSで500倍希釈)溶液中で37
℃、60分間反応した。反応後、メンブレンをTBSで
3回、水で1回洗浄し、乾燥させた。Molecula
r Imager(Bio−Rad社)で蛍光のバンド
を視覚化し、測定した。
【0049】製造例1(Rb(網膜芽細胞腫蛋白質)の
システイン残基をアラニン残基で置換した蛋白質をコー
ドする組換えベクターおよびそのベクターを発現したタ
ンパクの製造) (1)発現プラスミドの構築 まず、ヒトRbをコードするcDNAをヒト胎盤のcD
NAライブラリー(ストラタジーン(STRATAGE
NE)社)よりクローニングした。Cys853をAl
aに単一変異させた、ヒトのRbのC−末端部分(Le
u769からLys928)を発現するプラスミドを構
築するためには、2工程のPCRを、ヒトRb cDN
Aの全長を含むpJ3Ωベクターで、オリゴヌクレオチ
ドプライマーを用いて行った。
【0050】1.第1のPCR まず、ヒトRbタンパクのLeu769からAsp92
1に相当する領域を増幅し、同時に、Cys853をA
laに変換するために、4種類のプライマーを用いて2
段階PCRを行った。用いたプライマーは、両端のプラ
イマーRb−1(5’−ACA GGA TCC TT
G CAG TAT GCT TCC−3’、BamH
I部位(下線部)を導入)およびRb−7(5’−GC
G AAT TCA ATC CAT GCT ATC
ATT−3’、EcoRI部位(下線部)を導入)に
加えて、853位をAlaコドン(AGC)に変換した
プライマーRb−2(5’−GCT GTT AGC
TAC CAT CTGATT TAT−3’、点変異
コドンを下線で示した)とその相補的プライマーRb−
3 (5’−ATG GTA GCT AAC AGC
GAC CGTGTG−3’)である。ヒトRb全長
cDNAを鋳型として、プライマーセットRb−1/R
b−2とプライマーセットRb−3/Rb−7によりそ
れぞれ以下の反応条件下にPCRを行ってPCRフラグ
メント1および2をそれぞれ得た。PCRフラグメント
1および2は、プライマーRb−2とRb−3に対応す
る領域で相補的である。
【0051】反応液組成(ヌクレオチド2305-2565に相当するフラグメント1用) pJ3 W-Rb 250 ng Taq DNA ポリメラーゼ (TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U TaKaRa Ex Taq 用緩衝液(宝酒造) MgCl2 (宝酒造) 2 mM dNTPs (宝酒造) 250 mM プライマー Rb-1 1 mM プライマー Rb-2 1 mM 合計 50mL
【0052】反応液組成(ヌクレオチド2551-2763に相当するフラグメント2用) pJ3 W-Rb 250 ng Taq DNA ポリメラーゼ (TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造) MgCl2 (宝酒造) 2 mM dNTPs (宝酒造) 250 mM プライマー Rb-3 1 mM プライマー Rb-7 1 mM 合計 50mL
【0053】反応温度 95℃, 5 分、94℃, 30秒、55℃, 1分、72℃, 1分(15 サ
イクル)、72℃, 2分。
【0054】2.突出部の処理 PCR産物のA−3’突出部(overhang)を以
下の反応条件を用いてクレノウ(Klenow)で処理
した。反応液組成 PCRフラグメント1および2 クレノウフラグメント(宝酒造) 0.07 U クレノウフラグメント用緩衝液(宝酒造) dNTPs (宝酒造) 250 mM反応温度 37℃, 1時間
【0055】3.第2のPCR それらのPCR産物の混合物を鋳型として、両端のプラ
イマーセットRb−1/Rb−7により以下の反応条件
下にPCRを行い、Cys853Alaを持つLeu7
69からAsp921に相当する470bpのDNA断
片を増幅した。反応液組成 クレノウ処理されたPCR フラグメント1および2 Taq DNA ポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造) MgCl2 (宝酒造) 2 mM dNTPs (宝酒造) 250 mM プライマーRb-1 1 mM プライマーRb-7 1 mM 合計 50 mL 反応温度 95℃, 5分、94℃, 30秒、55℃, 1分、72℃, 1分(15サイ
クル)、72℃, 2分。
【0056】4.pMelBacAへのクローニング N末端に分泌シグナルを付加したRbタンパクを発現す
るために、前工程3.で増幅された470bpのDNA
フラグメントをBamHIおよびEcoRI消化した
後、pMelBacA(Invitrogen社)のB
amHI部位とEcoRI部位に挿入した。得られたプ
ラスミドを、pMelBacA−Rbとした。
【0057】5.PCR 得られたプラスミドを鋳型として、プライマーRb−9
(5’−GCG AAT TCA TGA AAT T
CT TAG TCA−3’、EcoRI部位(下線
部)を導入)とRb−5(5’−GTT CTC GA
TCA ATC CAT GCT ATC ATT
−3’、XhoI部位(下線部)を導入)を用いて以下
の反応条件下にPCRを行い、分泌シグナルを付加した
540bpDNA断片を増幅した。反応液組成 pMelBacA-Rb 250 ng Taq DNA ポリメラーゼ(TaKaRa Ex Taq, 宝酒造) 0.03 U TaKaRa Ex Taq用緩衝液 (宝酒造) MgCl2 (宝酒造) 2 mM dNTPs (宝酒造) 250 mM プライマーRb-9 1 mM プライマーRb-5 1 mM 合計 50 mL 反応温度 94℃, 5分、94℃, 30 秒、55℃, 1分、72℃, 1分(25 サ
イクル)、72℃, 2分。
【0058】6.pFastBac1へのクローニング 前工程5.で増幅された、分泌シグナルを含む540b
pのDNAフラグメントを、EcoRIおよびXhoI
消化した後、pFastBac1(Lifetech)
のEcoRI部位とXhoI部位に挿入した。
【0059】(2)Bac-To-Bac Baculovirus 発現シス
テム(Lifetech社)による組み換えウイルスの単離 添付プロトコールに従い、前工程6で得られた発現プラ
スミドを基に、組み換えウイルスを単離した。
【0060】(3)発現 前工程(2)で調製した組み換えウイルス液を、MOI
=10の条件で昆虫細胞 (High Five(登録
商標) cell, Invitrogen社)に感染
させ、Cys853Alaを含むLeu769からAs
p921に相当する領域を発現させた。発現タンパクが
培地(EX−CELL405,JRHBioscien
ces社)に分泌されることを、抗ヒトRbポリクロー
ナル抗体[Rb(C−15),Santa Cruz
社]を用いたウエスタン・ブロット法により確認し、感
染5日後に培地を収穫した。
【0061】(4)発現タンパクの精製 全工程(3)で得たRb組み換えタンパクを含む培地
を、PD−10カラム(Pharmacia社)により
50mM MES緩衝液(pH6.0)に緩衝液交換し
た後、0〜1M NaClの直線勾配を用いるCM−5
pwカラム(TOSOH社)によりタンパクを溶出し
た。約0.3M NaClでRb組み換えタンパクが溶
出されることを、抗ヒトRbポリクローナル抗体[Rb
(C−15),Santa Cruz社]を用いたウエ
スタン・ブロット法により確認した。得られた蛋白質
は、CDK4またはCDK6の測定を行う場合に、方法
1において第3工程の基質蛋白質であるヒストンH1の
代わりに用いる。
【0062】方法例5(活性型CDK4の測定の場合;
製造例1で製造した組換えヒトRbを基質とし、FIT
C標識を使った例) 第1工程 方法例3の第1工程と同様に操作した。 第2工程 1.5ml容量のエッペンドルフチューブに、500μ
lの溶解緩衝液中にK562細胞可溶化物の全蛋白量が
0、50、100、125、250μgとなる量を加
え、サンプルを調製した。それぞれのサンプルに、10
μlのポリクロナール抗CDK4抗体(200μg/m
l、サンタクルズバイオテクノロジー、Santa C
ruz Biotechnology社)を加えた。そ
のサンプルに、40μlのプロテインAをコートしたセ
ファロースビーズの1:1(セファロースビーズ:溶解
緩衝液)スラリーを加えた。サンプルを、1時間4℃で
連続的に回転させてインキュベートした。サンプル中の
ビーズを1mlの溶解緩衝液で2回洗浄した。そのビー
ズを、100mMトリス−HCl、pH7.4、100
mM 塩化ナトリウムで1回洗浄し、さらに、100m
Mトリス−HCl、pH7.4で1回洗浄した。
【0063】第3工程 ビーズに、製造例1で製造した組換えヒトRb蛋白質を
含むリン酸化反応溶液(40mM トリス−HCl、p
H7.4、200mM塩化マグネシウム、3.3mM
ATP−γS、20μl組換えヒトRb蛋白質溶液:5
0mM MES緩衝液、pH6.0)を50μl加え
た。懸濁液を90分間37℃で連続的に振盪させながら
インキュベートした。1000rpmで10秒間ビーズ
を遠心し、沈殿させ、36μlの上澄み液を集めた。上
澄み液36μlに150mMトリス−HCl、pH9.
2、5mM EDTAを含む結合緩衝液30μlを加え
た。さらに、50mM PEO−ヨードアセチルビオチ
ン(Pierce社)溶液(50mMのリン酸緩衝液p
H6.0)を20μl加えた後、90分間暗所室温でイ
ンキュベートした。その後、等量(86μl)のSDS
−サンプルローディング緩衝液(0.125Mトリス−
HCl、pH6.8、4%SDS,10%β―ME,2
5%グリセリン、ブロモフェノールブルー)を加え、5
分間100℃で処理した。
【0064】第4工程 第3工程で準備したサンプルを20μl/レーンの条件
でSDS−PAGEを行った(第一化学薬品、プレキャ
ストゲル、4−20%グラジエント、10mm×10m
m)。SDS−PAGEの条件は、第一化学薬品の指示
に従った(60mA、40分)。SDS−PAGE後、
ゲル内に展開された蛋白質は電気的にPVDFメンブレ
ンに転写された(10V、30分、Western B
lot法)。得られたメンブレンを4w/v%のBSA
で30分間ブロックし、TBS−Tで5分間洗浄した。
次にアビジンFITC(Pierce社)(TBS−T
で1000倍希釈)溶液中で37℃、30分間反応し
た。反応後、メンブレンをTBS−Tで2回、水で1回
洗浄し、乾燥させた。Molecular Image
r(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化し、測
定した。
【0065】活性型CDK1活性の測定 1.ビオチン化アクチン(BA)を標準物質とした検量
線作成 BA濃度0〜1000ng/mlの濃度系列の試料を調
製し、各50μlをスロットに注入する。スロット中の
試料は方法例1の第4工程の処理を行う。BAはペルオ
キシダーゼで標識されているので第4工程においてEC
L−プラス(蛍光基質)から蛍光物質を生成する。各B
A濃度の試料の蛍光物質の蛍光量を測定し、その蛍光量
をカウント(CNT)値で表示する。BA濃度を横軸
に、CNT値を縦軸にとり、データをプロットし、方法
例1の反応条件下での検量線を作成する。得られた検量
線は図1に示す。
【0066】同様に、方法例2についても、スロット中
の試料に方法例1の第4工程の処理を行い、上述のよう
にして方法例2の反応条件下での検量線を作成する。得
られた検量線は図2に示す。
【0067】2.活性型CDK1の活性値の算出 方法例1および2のそれぞれについて、抗CDK抗体を
添加しない以外は方法例1に従って処理した試料をブラ
ンク試料として調製する。そのブランク試料の蛍光量を
測定し、得られたCNT値をそれぞれの方法例に対応す
る上記で作成した検量線を用いてBA濃度に換算する。
得られたBA濃度を以下の式に代入して活性型CDK1
の活性値を算出する。 式1:{(試料のBA換算濃度)−(ブランク試料のB
A換算濃度)}×(試料の希釈倍率)=(活性型CDK
1の活性値)
【0068】なお、作成した検量線がシグモイド曲線で
はない、直線であるとき(例えば、方法例2)は、(試
料のCNT値)−(ブランク試料のCNT値)を算出
し、その差を検量線を用いてBA濃度に換算し、得られ
たBA濃度を以下の式に代入して活性型CDKの活性値
を算出してもよい。 式2:(試料とブランク試料のCNT値の差のBA換算
濃度)×(試料の希釈倍率)=(活性型CDK1の活性
値)
【0069】実施例1(方法例1に従い処理した試料の
活性型CDK1の活性値の測定) 方法例1に従い抗CDK1抗体を用い希釈倍率450倍
で調製した試料の蛍光量を、前述のようにして測定し
た。試料1は増殖期にあるHeLa細胞を、試料2は増
殖停止期にあるHeLa細胞を用いて調製した。検量線
が図1に示されたようにシグモイド曲線であったので式
1を用いて、すなわちブランク試料を上述のように作成
し、その蛍光量を測定して、先に測定した試料の蛍光量
から活性型CDK1の活性値を算出した。その結果を表
2に示す。
【0070】
【表2】
【0071】実施例2(方法例2に従い処理した試料の
活性型CDK1の活性値測定) 方法例2に従い抗CDK1抗体を用い希釈倍率100倍
で調製した試料の蛍光量を、前述のようにして測定し
た。検量線は図2に示されたように直線であったので、
式1または式2のいずれを用いても、活性型CDK1の
量は算出可能であることが判明した。
【0072】活性型CDK2活性の測定 実施例3(方法例3に従い処理した試料の活性型CDK
2の活性測定) 試料3は、方法例3に従い抗CDK2抗体を用いて調製
した。対照として、試料4を抗CDK2抗体を用いずに
方法例3に従い調製し、試料5を第2工程中の抗CDK
2抗体の代わりに非特異的IgG抗体を添加する以外は
方法3に従い調製した。試料3〜5の蛍光バンドを図3
に示す。また、それらのバンドの蛍光量は、Molec
ular Imager(Bio−Rad社)で数値化
した。得られた蛍光量は、表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】上記の結果から、非特異的IgG抗体を抗
CDK2抗体の代わりに添加した場合(試料5)に非特
異的反応が見られず、従って活性型CDK2の活性値が
本発明の方法により測定可能であることが示された。
【0075】実施例4(方法例4に従い処理した試料の
活性型CDK2の活性値測定) 1.K562細胞株(前骨髄性白血病)を標準物質とし
た検量線作成 方法例4に従い作成した0〜200μg/mlの濃度系
列の試料から得られた蛍光量を測定し、その蛍光量をC
NT値で表示した。K562細胞株の濃度を横軸に、C
NT値を縦軸にとり、データをプロットし、検量線を作
成した。得られた検量線は、図4に示す。
【0076】2.活性型CDK2の活性値の算出 K562細胞可溶化物の試料の代わりに未知試料を用い
る以外は方法例4に従って、検体として調製する。その
検体の蛍光量を測定し、得られたCNT値を上記で作成
した検量線を用いて、K562細胞可溶化物のCDK2
活性値に換算して活性値を算出する。
【0077】活性型CDK4活性の測定 実施例5(方法例5に従い処理した試料の活性型CDK
4の活性測定) 試料6は、方法例5に従い抗CDK4抗体を用いて調製
した。対照として、試料7を抗CDK4抗体を用いない
以外は方法例5に従い調製した。試料6および7の蛍光
バンドを図5に示す。
【0078】CDK特異的阻害剤を用いて活性型CDK
2測定値がCDK2の活性に特異的であることを証明す
る例 実施例6(活性型CDK2測定の場合) 第1工程:K562細胞株(前骨髄性白血病)を用い、
方法例1の第1工程を同様に操作した。 第2工程:1.5ml容量のエッペンドルフチューブ
に、500μlの溶解緩衝液中にK562細胞可溶化物
の全蛋白量が250μgとなる量を加え、サンプルを調
整した。サンプルに、10μlのポリクロナール抗CD
K2抗体(200μg/ml、サンタクルズバイオテク
ノロジー、Santa Cruz Biotechno
logy社)を加えた。そのサンプルに、40μlのプ
ロテインAをコートしたセファロースビーズの1:1
(セファロースビーズ:溶解緩衝液)スラリーを加え
た。サンプルを、1時間4℃で連続的に回転させてイン
キュベートした。サンプル中のビーズを1mlの溶解緩
衝液で2回洗浄した。そのビーズを、100mMトリス
−HCl、pH7.4、100mM 塩化ナトリウムで
1回洗浄し、さらに、100mMトリス−HCl、pH
7.4で1回洗浄した。
【0079】第3工程 CDK阻害剤として、CDK1および2活性の阻害剤で
あるブチロラクトン(Butyrolactone
I、カールバイオキム、Calbiochem社)ならびにCDK
2の阻害を含む広い阻害スペクトラムを持つスタウロス
ポリン(Staurosporine、カールバイオキ
ム、Calbiochem社)を用いた。ビーズに、ヒストンH1
及びCDK阻害剤(終濃度0,1、10、30,100
μMのブチロラクトン又は終濃度0,0.3、1、1
0,30μMのスタウロスポリン)を含むリン酸化反応
溶液(40mM トリス−HCl、pH7.4、18m
M塩化マグネシウム、2mM ATP−γS、6μg/
テストのヒストンH1)を50μl加えた。懸濁液を9
0分間37℃で連続的に振盪させながらインキュベート
した。1000rpmで10秒間ビーズを遠心し、沈殿
させ、36μlの上澄み液を集めた。上澄み液36μl
に150mMトリス−HCl、pH9.2、5mM E
DTAを含む結合緩衝液30μlを加えた。さらに、5
0mM PEO−ヨードアセチルビオチン(Pierc
e社)溶液(50mMのリン酸緩衝液pH6.0)を2
0μl加えた後、90分間暗所室温でインキュベートし
た。その後、等量(86μl)のSDS−サンプルロー
ディング緩衝液(0.125Mトリス−HCl、pH
6.8、4% SDS, 10% β―ME, 25%
グリセリン、ブロモフェノールブルー)を加え、5分間
100℃で処理した。
【0080】第4工程 第3工程で準備したサンプルを20μl/レーンの条件
でSDS−PAGEを行った(第一化学薬品、プレキャ
ストゲル、4−20%グラジエント、10mmx 10
mm)。SDS−PAGEの条件は、第一化学薬品の指
示に従った(60mA、40分)。SDS−PAGE
後、ゲル内に展開された蛋白質は電気的にPVDFメン
ブレンに転写された(10V, 30分、Wester
n Blot法)。得られたメンブレンを4w/v%の
BSAで30分間ブロックし、TBS−Tで5分間洗浄
した。次にアビジンFITC(Pierce社)(TB
S−Tで1000倍希釈)溶液中で37℃、30分間反
応した。反応後、メンブレンをTBS−Tで2回、H2
Oで1回洗浄し、乾燥させた。MolecularIm
ager(Bio−Rad社)で蛍光のバンドを視覚化
し、測定した。
【0081】得られた視覚化された蛍光バンドをイメー
ジアナライザーにより数値化し、グラフ化したものを図
6に示す。noneはCDK阻害剤を添加しないで上記
工程を実施したもの、DMSOはCDK阻害剤の溶剤
(ジメチルスルホキシド)のみを添加して上記工程を実
施したもの、IP(−)はCDK2抗体を入れずに上記
工程を実施したものである。図6に示すように、CDK
2の活性は、両阻害剤の分量依存的に阻害された。この
結果より、測定された活性値はCDK2に特異的な値で
あることが証明された。
【0082】
【発明の効果】上記から示されたように、本発明の方法
は、放射性物質を用いずに、細胞周期調節因子の活性を
鋭敏に高感度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られるビオチン化アクチン
の量(ng/スロット)と、蛍光量(カウント)との関
係を示す検量線である。
【図2】実施例2において得られるビオチン化アクチン
の量(ng/スロット)と、蛍光量(カウント)との関
係を示す検量線である。
【図3】実施例3において得られる蛍光バンドを示す図
である。
【図4】活性型CDK2の測定のための検量線である。
【図5】実施例5において得られる蛍光バンドを示す図
である。
【図6】実施例6において得られるグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 正稔 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内 (72)発明者 多田 幸代 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目5番1号 シスメックス株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA12 BA10 CA04 DA02 EA04 HA08 4B063 QA01 QA07 QA19 QQ02 QQ27 QR02 QR77 QR79 QS05 QS25 QS33 QX02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体細胞からサイクリン依存性キナーゼ
    /サイクリン複合体を測定するための試料を調製し、 該試料の存在下、サイクリン依存性キナーゼの基質とな
    る基質蛋白質とアデノシン5’−O−(3−チオトリホ
    スフェート)(ATP−γS)を反応させて、該基質蛋
    白質のセリンまたはスレオニン残基にモノチオリン酸基
    を導入し、 導入されたモノチオリン酸基の硫黄原子に標識蛍光物質
    または標識酵素を結合させることによって該基質蛋白質
    を標識し、 該基質蛋白質を標識した標識蛍光物質からの蛍光量を測
    定するか、または該基質蛋白質を標識した標識酵素に、
    該標識酵素との反応によって光学的に検出可能な物質が
    生じるような基質を作用させて、生じた生成物の量を光
    学的に測定し、 予め作製した検量線をもとにサイクリン依存性キナーゼ
    の活性値を蛍光量または生じた生成物の量から算出する
    ことからなる細胞周期調節因子の活性の測定法。
  2. 【請求項2】 該複合体のサイクリン依存性キナーゼ
    が、CDK1、CDK2、CDK4およびCDK6から
    選択される請求項1に記載の測定法。
  3. 【請求項3】 該標識蛍光物質が、蛍光色素である請求
    項1に記載の測定法。
  4. 【請求項4】 該蛍光色素が、FITCである請求項3
    に記載の測定法。
  5. 【請求項5】 該標識酵素が、ペルオキシダーゼである
    請求項1に記載の測定法。
  6. 【請求項6】 該複合体のサイクリン依存性キナーゼが
    CDK1またはCDK2であり、該基質蛋白質がヒスト
    ンH1である請求項1〜5のいずれか一つに記載の測定
    法。
  7. 【請求項7】 該複合体のサイクリン依存性キナーゼが
    CDK4またはCDK6であり、該基質蛋白質が、シス
    テイン残基をアラニンに置換したRbである請求項1〜
    5のいずれか一つに記載の測定法。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の測定方法を行い、得ら
    れた結果に基づいて癌を診断する方法。
  9. 【請求項9】 癌が、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、食道
    癌、前立腺癌、肝癌、腎臓癌、膀胱癌、皮膚癌、子宮
    癌、脳腫瘍、骨肉種または骨髄腫瘍である請求項8の方
    法。
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